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@ -0,0 +1,77 @@
{
"370000111_0": "APPLEの一番長い日",
"370000111_1": "「アタシはもう騙されないデスよ……ッ!」",
"370000111_2": "「ダメだよ、切ちゃんッ!\\n 待ってッ」",
"370000111_3": "「先生ッ!」",
"370000111_4": "「はい?」",
"370000111_5": "「まんまと隠し通せたと安心しているんでしょうが\\n 先生の正体は、潜入捜査官デスね……ッ」",
"370000111_6": "「――暁さんッ!?\\n 突然、何を言っているの」",
"370000111_7": "「えっと……ドラマの話かな?\\n ごめんね。先生、ちょっと流行りに疎くって……」",
"370000111_8": "「ムッ!?」",
"370000111_9": "「先生、驚かしてごめんなさい……ッ!\\n ほら、行こう切ちゃん」",
"370000111_10": "「で、でも……」",
"370000111_11": "「――いいから、早くッ!」",
"370000111_12": "「さようなら、2人とも。\\n 廊下は走っちゃダメよー」",
"370000111_13": "「と、いうことがあったデス」",
"370000111_14": "「その先生は、どこか怪しい所があったんですか?」",
"370000111_15": "「調にも同じことを聞かれて\\n じっくり思い返してみたんデスけど……」",
"370000111_16": "「全くなかったデース」",
"370000111_17": "「切ちゃん、根拠もなく人を疑ったらダメだよ」",
"370000111_18": "「ううう……」",
"370000111_19": "「セレナ、待たせたわね。\\n ブリーフィングが長引いてしまったわ」",
"370000111_20": "「ううん。\\n おふたりとお話ししてたから大丈夫」",
"370000111_21": "「切歌がしかめっ面しているけど、\\n 一体どんな話をしていたの」",
"370000111_22": "「切ちゃんってば、新しい先生が赴任してくるたびに、\\n いつも潜入捜査官じゃないかって疑うんだよ」",
"370000111_23": "「――だってAPPLEのセレナ先生には\\n 全然気づけなかったデスからッ」",
"370000111_24": "「もう騙されたくないんデスよッ!」",
"370000111_25": "「切歌ったらまったく……」",
"370000111_26": "それにしてもAPPLEか……。\\n あの子たちは元気にしているのかしら",
"370000111_27": "「諜報班の方はどう?」",
"370000111_28": "「いつも通りの平常運転。\\n 緊急の報告は上がってきていないよ」",
"370000111_29": "「しばらくは作戦もなしね。\\n 部隊のみんなから、危機感が薄れなければいいけど……」",
"370000111_30": "「特に、ナツミとか、ナツミとか……あとナツミとか?」",
"370000111_31": "「姉さんはナツミさんに厳しすぎだよ。\\n 彼女も彼女なりに頑張っているのに……」",
"370000111_32": "「頑張っているのは分かってるわよ。",
"370000111_33": " ただ……」",
"370000111_34": "「技術班の班長なんだから、もう少ししっかりして貰わないと\\n 部下に示しがつかないでしょ」",
"370000111_35": "「……心配なんだ?」",
"370000111_36": "「そんなんじゃないってッ!\\n ただ、隊長なんだから、部隊を気にかけるのは当然でしょッ」",
"370000111_37": "「もう少し素直になれば、部隊のみんなも喜ぶのに……」",
"370000111_38": "「はいはい、その話は終わりッ!\\n じゃあ次の議題……」",
"370000111_39": "「<ruby=ろかく>鹵獲</ruby>したロボット機体が増えすぎて、\\n 倉庫が圧迫されてるという問題だけど……」",
"370000111_40": "「その件だったら、再プログラムして艦内の警備に使えないかって\\n アイデアが技術班から上がっているよ」",
"370000111_41": "「うん、それは聞いてる。テストの許可も出したわ。\\n だけどそれだけでは、この問題は解決しないわよね」",
"370000111_42": "「敵対する組織を壊滅させるたびに根こそぎ押収するし……。\\n 増える一方で、減ることはないもんね」",
"370000111_43": "「ええ。だからといって、きっちり回収しとかないと\\n また悪事に使われちゃうかもしれないし……」",
"370000111_44": "「近いうちに、どこか信用できる機関に引き取って貰えないか\\n 相談してみるわ」",
"370000111_45": "「あッ! だったらあの並行世界を訪ねてみない?」",
"370000111_46": "「わたしも、久しぶりに可愛い生徒たちに会いたいし……」",
"370000111_47": "「確かにS.O.N.G.の面々なら信用できるわね。\\n 相談に乗って貰うのもアリかな」",
"370000111_48": "「いいわ。落ち着いたら一度訪ねてみましょう」",
"370000111_49": "「うん。スケジュールを調整しておくね」",
"370000111_50": "「了解。\\n じゃあ次の議題……」",
"370000111_51": "『本部よりポイントアルファ。<ruby=ふじょう>浮城</ruby>より<ruby=びょう>錨</ruby>は降りず。\\n 繰り返す。<ruby=ふじょう>浮城</ruby>より<ruby=びょう>錨</ruby>は降りず。送れ』",
"370000111_52": "「……こちら、ポイントアルファ。\\n 了。通信終わり」",
"370000111_53": "<ruby=びょう>錨</ruby>は降りず。つまり作戦は停止しないという事か……。\\n 隊長、早いこと疑いを晴らしてくださいよ",
"370000111_54": "「さて、01、02ドアを破れ。03、04解放後突入。\\n 目的はあくまでも捕縛だ。うかつに刺激するなよ」",
"370000111_55": "「ギッ!」",
"370000111_56": "「作戦開始ッ!」",
"370000111_57": "「一体、何事ですかッ!?」",
"370000111_58": "「動かないでッ!\\n おふたりには重大な嫌疑がかかっています」",
"370000111_59": "「抵抗なさらず、武装を解除してご同行を願いたい」",
"370000111_60": "「<ruby=ろかく>鹵獲</ruby>機体まで持ち出して……、\\n ふざけているのッ」",
"370000111_61": "「ギギッ!」",
"370000111_62": "「なッ!」",
"370000111_63": "「姉さんッ!」",
"370000111_64": "「お、おい、やめろッ! 誰が攻撃しろと言ったッ!\\n 停止ッ 攻撃停止だッ」",
"370000111_65": "「ギッ!」",
"370000111_66": "「聞こえないのかッ!?\\n このポンコツ共ッ 攻撃をやめろッ」",
"370000111_67": "「ギギッ!」",
"370000111_68": "「ぐふッ……」",
"370000111_69": "「<ruby=ろかく>鹵獲</ruby>機の暴走ッ!?\\n いえ、その前に、わたしたちに嫌疑って……」",
"370000111_70": "「一体どうなっているの?」",
"370000111_71": "「セレナ、考えるのはあとッ!」",
"370000111_72": "「うん……。",
"370000111_73": " まずは、暴走した<ruby=ろかく>鹵獲</ruby>機たちを止めるよッ!」",
"370000111_74": "「Granzizel bilfen gungnir zizzl――」"
}

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@ -0,0 +1,28 @@
{
"370000112_0": "「…………」",
"370000112_1": "「大丈夫、気を失ってるだけ……。\\n 大したことがなくてよかったわ」",
"370000112_2": "「セレナ、至急艦橋と医務室に連絡ッ!\\n 状況確認と医療班を呼んで……」",
"370000112_3": "「ダメみたい。\\n 通信が途絶えていて、どちらにも繋がらない……」",
"370000112_4": "「ますますどうなっているの?\\n まさか……敵襲ッ」",
"370000112_5": "「分からない。\\n だけど、気を失った彼は紛れもなくウチの隊員だよ」",
"370000112_6": "「わたしたちに重大な嫌疑がかかっていると言ってたわね」",
"370000112_7": "「なんのことだろう?」",
"370000112_8": "「分かる訳ないじゃないッ!\\n とにかく艦橋に行って、状況の確認を……」",
"370000112_9": "「…………」",
"370000112_10": "「このまま放ってもおけないわね。\\n 医務室まで連れていくわよ」",
"370000112_11": "「今度はなにッ!?」",
"370000112_12": "「姉さん、多数の<ruby=ろかく>鹵獲</ruby>機が\\n こちらに向かって来るッ」",
"370000112_13": "「じゃあこの警報って、わたしたちに対する……?」",
"370000112_14": "「状況からみて、多分……」",
"370000112_15": "「もうッ! ここはわたしたちの艦よッ!?\\n どうして追い回されなくちゃいけないのッ」",
"370000112_16": "「とにかく、急ぐわよッ!\\n セレナはそっちから彼を担いで……」",
"370000112_17": "「姉さん、彼はここに残して行こう」",
"370000112_18": "「なんでッ!",
"370000112_19": " 放っておく訳には……」",
"370000112_20": "「<ruby=ろかく>鹵獲</ruby>機たちの狙いは、明らかにわたしたち……」",
"370000112_21": "「戦闘は避けられそうにないし、\\n 彼の身を心配するなら、残して行く方がむしろ安全よ」",
"370000112_22": "「…………」",
"370000112_23": "「姉さん、急いでッ!」",
"370000112_24": "「ゴメン。",
"370000112_25": " ……無事でいてよね」"
}

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@ -0,0 +1,41 @@
{
"370000121_0": "特殊部隊APPLE司令部より発令",
"370000121_1": "当部隊隊長『マリア・カデンツァヴナ・イヴ』及び",
"370000121_2": "副隊長『セレナ・カデンツァヴナ・イヴ』は、",
"370000121_3": "隊規を著しく乱したため現時刻を以て、これを更迭する。",
"370000121_4": "「もう……これ以上は無理なのよッ!」",
"370000121_5": "「隊長ッ! 今辞めたら、あたしたちのこれまでの努力が\\n 水の泡になるっスッ」",
"370000121_6": "「知らないわよッ!」",
"370000121_7": "「そんなぁ……いくら隊長でも冷たすぎるっスッ!\\n なんとか考え直してほしいスッ」",
"370000121_8": "「ナツミ、聞き分けなさいッ!\\n これは隊長命令よッ」",
"370000121_9": "「隊長ッ!\\n ちょっと待って――」",
"370000121_10": "「ナツミ……最後通牒だと思って受け入れなさい。\\n 命令に背くのなら……わたしの手で処分してあげるわ」",
"370000121_11": "「――ッ!」",
"370000121_12": "「…………」",
"370000121_13": "前隊長マリアは、",
"370000121_14": "『隊員たちの故郷たる、世界蛇による被災世界を救済する』",
"370000121_15": "という、我が特殊部隊APPLEの設立憲章を覆す決定を下した。",
"370000121_16": "更には艦の通信履歴より、",
"370000121_17": "前副隊長による敵性組織への不可解なアクセスログを発見。",
"370000121_18": "両名は、敵性組織による工作員である嫌疑が発生した。",
"370000121_19": "「おいッ!\\n 隊長……いや、前隊長はいたかッ」",
"370000121_20": "「いえ……」",
"370000121_21": "「本当だろうなッ!\\n 間違っても匿おうなどと考えるんじゃないぞッ」",
"370000121_22": "「本当ですッ! 隊長も副隊長も見ていませんッ!\\n でも……一体、何が起こっているんですか」",
"370000121_23": "「……知っていることは、俺もお前と似たようなものだ。\\n 正直に言うと、よくは分からん」",
"370000121_24": "「それなら――ッ!」",
"370000121_25": "「俺たちAPPLEの使命はなんだ」",
"370000121_26": "「それは……ウロボロスの襲撃で滅びそうになっている故郷を、\\n 人が安心して住める、元の環境に戻すこと……です」",
"370000121_27": "「そうだ。\\n それを、前隊長は……捨てた」",
"370000121_28": "「それはッ! 司令部からの発令書に書いてあっただけで\\n 直接、隊長から話を聞いた訳では……」",
"370000121_29": "「発令書に添付されていた動画を見ただろう?\\n 背けば処分すると言った、あの冷たい表情を……」",
"370000121_30": "「信じたくはないが、ウロボロスの残党に\\n 情報を流していたという嫌疑までかかっているそうだ」",
"370000121_31": "「そんなッ!?\\n 隊長はウロボロスの呪いで成長を止められたんですよッ」",
"370000121_32": "「私たちより辛い想いをさせられている隊長が、\\n ウロボロスと手を組むなんて、考えられませんッ」",
"370000121_33": "「例えば、その呪いを解く方法が、\\n 俺たちを売ることで手に入るとしたら」",
"370000121_34": "「そんな……」",
"370000121_35": "「いや、今のは忘れてくれ。\\n 俺の推測でしかないからな」",
"370000121_36": "「ただ、話を聞きに行った隊員に重傷を負わせ、現在も逃亡中だ。\\n 裏切られている前提で動かないと、俺たちが危ないぞ」",
"370000121_37": "「……そうですね……」",
"370000121_38": "「いくら家族の様に付き合っていたとは言え、\\n 私たちは、故郷の未来を背負っているんですもんね……」"
}

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@ -0,0 +1,35 @@
{
"370000131_0": "「ごめんね、姉さん」",
"370000131_1": "「どうしたの?」",
"370000131_2": "「わたし……ウロボロス残党の潜伏先と思われる施設に、\\n ハッキングしてたの。ナツミさんに手伝ってもらって……」",
"370000131_3": "「どうせ、わたしの呪いを解く方法でも探ってたんでしょ?」",
"370000131_4": "「えッ? 知ってたの?」",
"370000131_5": "「知らなかったわよ。\\n でもセレナが意味もなくそんな事する訳ないじゃない」",
"370000131_6": "「姉さん……。\\n だけどあのログを辿られるなんて……」",
"370000131_7": "「しッ! 静かにッ!」",
"370000131_8": "「ギッ……ギッ……ギッ……」",
"370000131_9": "「どれだけ引っ張り出したのよ。\\n まさか、ロボットが反乱を起こした訳じゃないでしょうね」",
"370000131_10": "「艦や、すれ違う隊員たちには攻撃してないし、\\n 誰かに再プログラムされて、命令されているんだと思う」",
"370000131_11": "「でも、わたしたちを捕縛しにきた隊員は攻撃されたわよね?」",
"370000131_12": "「多分、もっと上位の命令に反する命令を出したから、\\n 反逆と見做されたんじゃないかな」",
"370000131_13": "「ほら、あの時『攻撃をやめろ』って言ってたでしょう?」",
"370000131_14": "「信じたくはないけど……、\\n 隊員の誰かがクーデターを起こして――」",
"370000131_15": "「その『上位の命令』を<ruby=ろかく>鹵獲</ruby>機に仕込んだり、\\n ニセの発令書を隊員に送ったってこと」",
"370000131_16": "「その可能性が一番高いと思う。\\n どれだけの隊員が係わっているのかまでは分からないけど……」",
"370000131_17": "「バカな事を考えるやつもいたものね。\\n 誰だか知らないけど、見つけ出してとっちめてあげるわ」",
"370000131_18": "「わたしたち2人がこの艦の最大戦力なんだから、\\n 捕まらなければ、クーデターはじきに止められるはず……」",
"370000131_19": "「お前たちはスタンバイモードで\\n 大人しくしているんだ」",
"370000131_20": "「ギーッ、ギッギッ」",
"370000131_21": "「な、なぜ命令を聞かないッ!?\\n 命令権は俺たち隊員にあるはずだッ」",
"370000131_22": "「ギッ、ギッ」",
"370000131_23": "「隊長たちを排除しようとしているのか?\\n 人にはまだ嫌疑がかかっているだけだッ」",
"370000131_24": "「まずは俺たちが話を聞く。\\n だから、スタンバイモードに――」",
"370000131_25": "「ギギッ!」",
"370000131_26": "「うわぁぁぁぁぁッ!」",
"370000131_27": "「ギッ、ギッ」",
"370000131_28": "「ギギッ」",
"370000131_29": "「隊員を気絶させて、どこかへ連れ去るつもり?」",
"370000131_30": "「どこに連れていくつもりよッ!\\n セレナ、助けるわよッ」",
"370000131_31": "「姉さんッ!\\n 通路から新手が……ッ」",
"370000131_32": "「邪魔するつもりなら、片っ端からぶっ壊してあげるわッ!」"
}

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@ -0,0 +1,19 @@
{
"370000132_0": "「彼はどこ?\\n 怪我はしてないッ」",
"370000132_1": "「……いない。\\n 連れ去られていっちゃったみたい……」",
"370000132_2": "「一体どこに連れていくっていうのよッ!\\n 追うわよセレナッ」",
"370000132_3": "「邪魔よッ!\\n どきなさいッ」",
"370000132_4": "「<ruby=ろかく>鹵獲</ruby>機の援軍が集まってきてるッ!」",
"370000132_5": "「これくらいッ!」",
"370000132_6": "「姉さん……掲示モニターに新しいメッセージが……」",
"370000132_7": "両名は、当艦内での破壊工作の後、逃亡の恐れあり。",
"370000132_8": "全隊員、直ちに艦内を捜索し、両名を捕縛せよ。",
"370000132_9": "隊長代理 ナツミ・ヒメジマ",
"370000132_10": "「首謀者が……ナツミさんッ!?」",
"370000132_11": "「えッ?」",
"370000132_12": "「危ない――ッ!」",
"370000132_13": "「そんな……彼女が……?\\n どうしてッ」",
"370000132_14": "「姉さん、しっかりしてッ!\\n まだ<ruby=ろかく>鹵獲</ruby>機たちが集まってくる。一旦逃げようッ!」",
"370000132_15": "「……え?",
"370000132_16": " ええ……そうね」"
}

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@ -0,0 +1,28 @@
{
"370000211_0": "閉ざされた信頼",
"370000211_1": "「こんのおおおッ!」",
"370000211_2": "「本当にしつっこいわねッ!」",
"370000211_3": "「姉さん、このまま正面から相手をしても消耗するだけだよ。\\n 一旦、どこかに身を隠そう」",
"370000211_4": "「そうね。このままじゃ方針も定められないし、\\n 波が引いたタイミングで、どこかの部屋に隠れるわよッ」",
"370000211_5": "「はいッ!」",
"370000211_6": "「<ruby=ろかく>鹵獲</ruby>機を再プログラムして艦内運用……。\\n あの提案は、反乱の下準備のためだったってこと」",
"370000211_7": "「隊長の許可があれば、隠れて準備する必要もないし……」",
"370000211_8": "「この艦には、倉庫が圧迫されるほどの<ruby=ろかく>鹵獲</ruby>機があったのよね。\\n 全機起動しているとすると……ゾッとするわね」",
"370000211_9": "「首謀者がナツミさんなら、その可能性は高いよ。\\n 何かを始めると、納得するまで辞めないから……」",
"370000211_10": "「あの子……何を考えているのかしら?\\n 野心なんて、微塵も感じたことがなかったけど……」",
"370000211_11": "「わたしも……信じられない。ナツミさんは隊員の中でも、\\n 部隊への愛着が、特に強い人だったし……」",
"370000211_12": "「以前、S.O.N.G.の方々を艦に招いた時の事を覚えてる?」",
"370000211_13": "「データを改ざんしてわたしが教師になれたのも\\n 彼女の技術があってこそなんですよ」",
"370000211_14": "「褒められると照れちゃうじゃないっスか。\\n でも、あれはなかなか楽しいお仕事だったっスね」",
"370000211_15": "「あんなに楽しそうにしていましたし、\\n 任務にも誇りを持っていました」",
"370000211_16": "「そうね……」",
"370000211_17": "「みんな、仲がいいんですね」",
"370000211_18": "「そりゃ、エアーキャリアーっていう1つ屋根の下で暮らす\\n 家族みたいなもんスから」",
"370000211_19": "「だから、姉さんはみんなの隊長なんだよ」",
"370000211_20": "「そうっスよ。副隊長がみんなのお姉さんで、\\n 隊長は癒やしのマスコットっスッ」",
"370000211_21": "「だーかーらーッ! セレナは妹で、姉はわたしッ!\\n 勝手にマスコットにしないでッ」",
"370000211_22": "「ナツミは、部隊の仲間を一際大切にする人間で、\\n APPLEを家族の様に思っていたわッ」",
"370000211_23": "「そんなあの子が、理由もなくこんな行動に出る訳がないッ!\\n 何か事情があるのか……誰かに脅されているのか……」",
"370000211_24": "「とにかく話をしてみないと埒が明かないわねッ!」",
"370000211_25": "「うん、会いに行こうッ!\\n 彼女はきっと、研究室にいるはず……ッ」"
}

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@ -0,0 +1,24 @@
{
"370000221_0": "「なにこれ?」",
"370000221_1": "「通路の隔壁が閉じて……、\\n まるで迷路みたい」",
"370000221_2": "「本当に好き放題してくれるわね……。\\n <ruby=ろかく>鹵獲</ruby>機たちも巡回しているだろうし、警戒しながら進むわよ」",
"370000221_3": "「ねぇ、セレナ。\\n この床、なんだと思う」",
"370000221_4": "「これはトリモチ罠だよ。\\n 以前、ナツミさんから開発報告が上がってきてた」",
"370000221_5": "「確かに、足元がベタベタして歩きにくいけど……、\\n 動けなくなるほどの粘着力なんてないわよね」",
"370000221_6": "「ねぇ、セレナ。\\n この足元に張られた、鈴がたくさん付いたロープは」",
"370000221_7": "「侵入者が引っ掛けると、鈴の音で教えてくれる鳴子かな?\\n 姉さんが跨ぐのに少し苦労する高さに合わせているみたい」",
"370000221_8": "「あの子、わたしをバカにしてるの?\\n こんな効果の無いレトロなトラップばかり……」",
"370000221_9": "「そう言えば……。最近のナツミさんは、\\n 科学者としての自信を喪失気味だったような」",
"370000221_10": "「どういう事?」",
"370000221_11": "「うん。ナツミさんは、技術士官としてAPPLEの装備や設備の\\n メンテナンスを一手に担ってるでしょう」",
"370000221_12": "「ただ聖遺物やフォニックゲイン、スクルドに提供された\\n デュプリケイター、姉さんにかけられた呪いなど……」",
"370000221_13": "「彼女を取り巻く技術や事象などの科学的な解明が、\\n 一向に進まない事に、焦りを感じていたみたい」",
"370000221_14": "「気持ちは分かるけど……、\\n この陳腐な罠とどういう関係が」",
"370000221_15": "「近頃だと『枯れた技術の水平思考』とかいう、\\n 前世紀の偉人の言葉に深く感銘を受けていたとか」",
"370000221_16": "「いつもの軽い口調だったから、ここまで深刻だったなんて……」",
"370000221_17": "「そこまで悩んでて、なんで隊長のわたしに相談しないのよッ!\\n さっさと会いに行って、説教でもしてあげないとねッ」",
"370000221_18": "「やられたわ。",
"370000221_19": " 『枯れた技術の水平思考』ってのも侮れないものね」",
"370000221_20": "「トリモチに気を取られ、ロープを飛び越えた所に\\n 赤外線センサーと、重のトラップ……」",
"370000221_21": "「ギッ、ギッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,19 @@
{
"370000222_0": "「これで最後ッ!」",
"370000222_1": "「研究室まではもうすぐねッ!\\n 急ぐわよッ」",
"370000222_2": "「ドアのIDカードリーダーには、妙な仕掛けはないみたいね」",
"370000222_3": "「わたしたちのIDが無効にされてなければいいけど……」",
"370000222_4": "「やっぱり……反応してくれないよ。\\n どうしよう」",
"370000222_5": "「少し遠回りになるけど、\\n わたしたちの網膜認証で通れるドアに向かうわよッ」",
"370000222_6": "「ここも設定が変更されて……?」",
"370000222_7": "「2メートルは離れている網膜センサーで、同一人物の双眸を\\n 同時に読み取れとか……」",
"370000222_8": "「そんなめちゃくちゃな設定にッ!?」",
"370000222_9": "「誰が通れるっていうのよ! 次よッ!」",
"370000222_10": "「『隊長の体格でしか通れない先にセンサーを設置して、\\n 隊長のを読み取るからセキュリティは万全っスッ』」",
"370000222_11": "「そう言った時のナツミのドヤ顔をぶん殴りたくなってきたわ。\\n 肝心の設定をセレナに変えるなんて、バカなのッ」",
"370000222_12": "「誰も通さないという決意の表れかな……」",
"370000222_13": "「もう怒ったわッ!\\n セレナ、艦底のカタパルトに行くわよッ」",
"370000222_14": "「まさか、外壁を伝って\\n 研究室に乗り込むつもり」",
"370000222_15": "「フフン、その通りよ。\\n ギアを纏っているわたしたちなら余裕でしょ」",
"370000222_16": "「ここまで虚仮にされたんだから、\\n ガツンと言ってやらなきゃ気が済まないわッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,46 @@
{
"370000231_0": "「ここには<ruby=ろかく>鹵獲</ruby>機や隊員たちが配備されていない?\\n どうしてだろう」",
"370000231_1": "「わたしたちの性格から、\\n 逃げ出すなんて考えていないんじゃない」",
"370000231_2": "「だからと言って、全くの無人にするかな?\\n 外部からの侵入にも無防備すぎるし……」",
"370000231_3": "「今はわたしたちを捕まえようと躍起になっているんでしょう?\\n 艦内の捜索に気を取られているうちがチャンスなのよッ」",
"370000231_4": "「まさか、航空母艦の外壁を伝って窓から侵入するなんて\\n 想像もしていないはず」",
"370000231_5": "「さぁ、カタパルトデッキから一旦外に出るわよッ!」",
"370000231_6": "「姉さん待ってッ! 外を見て。\\n 対空砲座が全て展開されて……、それに――ッ」",
"370000231_7": "「なにあれ?\\n どうして浮遊機雷まで散布されているの」",
"370000231_8": "「わたしたちの目論見は、\\n 完全に見抜かれているみたいだね……」",
"370000231_9": "「ギッ、ギッ」",
"370000231_10": "「ギッ、ギッ」",
"370000231_11": "「待ち伏せッ!?」",
"370000231_12": "「セレナッ!\\n なんとか血路を開いて艦内に戻るわよッ」",
"370000231_13": "「ギッ、ギッ」",
"370000231_14": "「は――ッ!」",
"370000231_15": "「ギッ、ギッ」",
"370000231_16": "「ダメ、数が多すぎる……ッ!」",
"370000231_17": "「カタパルトデッキの隅まで移動ッ!\\n 壁を背にして戦うわッ」",
"370000231_18": "「でも、持久戦になったら勝ち目はないよッ!」",
"370000231_19": "「四方から取り囲まれるよりはマシでしょッ!」",
"370000231_20": "「ギッ、ギッ」",
"370000231_21": "「く……ッ!\\n どうにかしてこの状況を打開しないと……ッ」",
"370000231_22": "「――ッ!\\n あのガラクタの山は何」",
"370000231_23": "「ナツミさんが研究で試作したものが積まれているみたい……。\\n あれは――ッ」",
"370000231_24": "「姉さん、1つだけ状況を打破する可能性が出てきたよ」",
"370000231_25": "「コイツらを一網打尽にできる装置でもあった?」",
"370000231_26": "「ううん。だけど、この装置なら撤退ができるかも……」",
"370000231_27": "「ギッ、ギッ」",
"370000231_28": "「もったいぶらずに、早く説明してッ!」",
"370000231_29": "「ナツミさんは、この艦が並行世界を渡る動力……、\\n デュプリケイターを再現しようと研究していたの」",
"370000231_30": "「それは聞いているわ。\\n 模造品まで作ったけど、完成はしなかったって……」",
"370000231_31": "「その模造品がここにあるの」",
"370000231_32": "「ギッ、ギッ」",
"370000231_33": "「未完成なんでしょッ!?」",
"370000231_34": "「確かに完全に再現はできてないんだけど、\\n 並行世界間の移動には成功していたみたいッ」",
"370000231_35": "「ただ……どの並行世界に飛べるかが指定できなくて……」",
"370000231_36": "「随分ギャンブル性が高いみたいだけど、\\n ここでなぶり殺しにされるよりはマシじゃない」",
"370000231_37": "「すぐに起動してッ!」",
"370000231_38": "「起動確認ッ!\\n ゲートが開いたよッ」",
"370000231_39": "「3つ数えたら同時に飛び込むわよッ!\\n つ、つ、つッ」",
"370000231_40": "「姉さんッ!\\n どうしてゲートに飛び込まないのッ」",
"370000231_41": "「これだけ敵に囲まれているんだし、転送中に装置を破壊されたら\\n 並行世界の狭間に取り残されてしまうかも知れないじゃない」",
"370000231_42": "「わたしはここで、装置を護るわ」",
"370000231_43": "「そんなッ! 姉さん――ッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,50 @@
{
"370000311_0": "噛み合わぬ想い出",
"370000311_1": "「マリア姉さん。\\n 今日はお買い物に付き合ってくれてありがとうッ」",
"370000311_2": "「これくらいどうという事はないんだけど……、\\n とくに珍しくもないお店でよかったの」",
"370000311_3": "「どうせなら、こっちの世界にしかない\\n 珍しいブランドとかを探してもよかったんじゃない」",
"370000311_4": "「いいのッ!\\n どこで買ったかじゃなくて、誰と買ったかが大事なんだから」",
"370000311_5": "「お店を探すために時間を使うより、\\n 一緒に服を選ぶことに時間を使いたかったのッ」",
"370000311_6": "「お前食べるの遅いなぁ……。\\n 手伝ってやるよッ」",
"370000311_7": "「取らないでッ!\\n お兄ちゃん、自分の分食べたでしょッ」",
"370000311_8": "「おれは食べ終わって暇だから\\n 手伝ってやるって言ってんだッ」",
"370000311_9": "「やぁだッ! 取らないでッ!\\n わかったよ。早く食べるよッ」",
"370000311_10": "「おいおい、そんなにいっぺんに口に入れんなって」",
"370000311_11": "「だぁっで、ばやぶだべぼっで――ブッ!\\n ゴホッゴホッ、ゲホッゲホッ……」",
"370000311_12": "「ほら、いっぺんに食べるから……」",
"370000311_13": "「だぁって、お兄ちゃんがぁ……うぇぇぇぇん!」",
"370000311_14": "「ごめん……ごめんってッ!\\n ほら、ジュース取ってきてやるから……」",
"370000311_15": "「…………」",
"370000311_16": "「どうしたのセレナ。\\n さすがに、あなたが注文した料理を取ったりしないわよ」",
"370000311_17": "「違うのッ!\\n 昔、姉さんと観た映画にあんなシーンがあったなぁって……」",
"370000311_18": "「あッ! その……本当の姉さんと……」",
"370000311_19": "「分かってるし、そんなこと気にしなくていいわよ。\\n それよりどんな映画だったの 兄弟喧嘩の話」",
"370000311_20": "「ううん、怪盗団が小さな国のお城に、宝物を盗みに行く話で、\\n ご飯を取り合って、お口に詰め込むシーンがあったの」",
"370000311_21": "(えッ? その映画、わたしも小さな頃に\\n セレナと一緒に観たことあるかも……",
"370000311_22": "「怪盗はね、宝物を盗むって予告状を出すんだけど、\\n 本当は、囚われているお姫様を救い出すことが目的で……」",
"370000311_23": "「最後に、怪盗はお姫様と駆け落ちするんだけど……、\\n 人はあのあと結ばれて、幸せになったのかな」",
"370000311_24": "「変ね……あの映画のラスト、駆け落ちなんてしたかしら?」",
"370000311_25": "「姉さんも、あの映画観たことあるの?」",
"370000311_26": "「ええ。でもわたしの記憶では、怪盗は最後、姫の幸せを祈って\\n 立ち去り、姫も追いたいのを我慢して見送ってたような……」",
"370000311_27": "「ええッ! そんな――ッ!」",
"370000311_28": "「あ……わたしの記憶違いかも知れないし……」",
"370000311_29": "(並行世界だから、映画の筋が違うなんてこともあるのかしら?)",
"370000311_30": "「でも、怪盗さんとお姫様は、一緒にいないとダメだよ。\\n 姉さんはそう思わない」",
"370000311_31": "「そうかしら?\\n どんな事情があっても、人から物を盗るのは犯罪だし……」",
"370000311_32": "「大切に思う相手なら、その人の幸せのために、\\n 身を引くべきだと思うわ」",
"370000311_33": "「それじゃダメだよ。2人は一緒にいないと……。\\n 人で幸せにならないと……」",
"370000311_34": "「…………」",
"370000311_35": "「想い出に水を差してしまったようで、ごめんね」",
"370000311_36": "「ううん、いいの……」",
"370000311_37": "「……この話は、終わりにした方がよさそうね」",
"370000311_38": "「……うん」",
"370000311_39": "「なにかあったの?」",
"370000311_40": "「マリアさん、今セレナちゃんと一緒ですか?」",
"370000311_41": "「ええ、一緒にいるわ」",
"370000311_42": "「今しがた、アガートラーム起動の\\n アウフヴァッヘン波形が観測されたんです」",
"370000311_43": "「状況確認のために、連絡を入れてみたのですが……」",
"370000311_44": "「――ッ!\\n わたしもセレナも、ギアを起動していないわッ」",
"370000311_45": "「なるほど、分かりました。\\n こちらでも継続して調査してみます」",
"370000311_46": "「観測地点はおふたりのいる位置からほど近くなので、\\n よければ、様子を見に行ってもらえませんか」",
"370000311_47": "「了解ッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,23 @@
{
"370000321_0": "「わたしたち以外にアガートラームの装者が?」",
"370000321_1": "「まだ分からない。でもアガートラームの\\n アウフヴァッヘン波形が観測されたということは……」",
"370000321_2": "「きゃぁぁぁッ!」",
"370000321_3": "「悲鳴?」",
"370000321_4": "「マリア姉さん、こっちッ!」",
"370000321_5": "「誰かが戦っているのッ!?\\n 急ぐわよッ」",
"370000321_6": "「ギギッ」",
"370000321_7": "(まさか<ruby=ろかく>鹵獲</ruby>機たちがゲートを抜けて\\n 並行世界まで追ってくるなんて。姉さんは無事なのッ",
"370000321_8": "「こんな街中でッ!」",
"370000321_9": "(カタパルトにいた<ruby=ろかく>鹵獲</ruby>機たちが全て渡ってきたら、\\n この街は大惨事になるッ",
"370000321_10": "「わたしが降伏すれば、大人しく戻ってくれますか?」",
"370000321_11": "「ギギギッ」",
"370000321_12": "「問答無用ですか。\\n なら、ここで倒すしか――ッ」",
"370000321_13": "「ギギッ」",
"370000321_14": "「うわぁぁぁぁぁッ!\\n 来るなッ 近づくなッ」",
"370000321_15": "「しまったッ!」",
"370000321_16": "「させないわッ!」",
"370000321_17": "「あなたは……」",
"370000321_18": "「えッ!? この人……」",
"370000321_19": "「セレナ、話はあとッ!\\n まずはこのロボットたちを殲滅するわよッ」",
"370000321_20": "「<size=40>はいッ!</size>」"
}

View file

@ -0,0 +1,11 @@
{
"370000322_0": "「もう残っていないわね」",
"370000322_1": "「ありがとうございます」",
"370000322_2": "「あの……もしかして……?」",
"370000322_3": "「わたしは、こことは違う世界の人間……特殊部隊APPLEで\\n 副隊長を務めているセレナ・カデンツァヴナ・イヴです」",
"370000322_4": "「突然失礼ですが、おふたりは以前、わたしや姉とマーナガルムで\\n 共闘していただいたマリアさんに、セレナさんですか」",
"370000322_5": "「ええ」",
"370000322_6": "「もちろん覚えてますよッ!」",
"370000322_7": "「やっぱりッ!」",
"370000322_8": "「お願いしますッ!\\n 姉の……マリア姉さんの救出に、力を貸してくださいッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,76 @@
{
"370000331_0": "「クーデターか……それはまた大変だったな」",
"370000331_1": "「こちらの世界にわたしたちの問題を\\n 持ち込んでしまったこと、心からお詫びします」",
"370000331_2": "「それは気にしなくていい。\\n 幸い人的被害は出ていないからな」",
"370000331_3": "「ゲートは今――」",
"370000331_4": "「我々S.O.N.G.によって周辺を封鎖している」",
"370000331_5": "「今は翼さんが警戒に当たっているから、\\n その……ロカクキ が追ってきても心配ないですよ」",
"370000331_6": "「ありがとうございます。\\n それで……姉の救出に助力いただくことは……」",
"370000331_7": "「そうデスッ!\\n リトル・マリアのピンチなのデス」",
"370000331_8": "「リトル・マリアって……」",
"370000331_9": "「まぁ待ってくれ。\\n 焦る気持ちは理解するが、もう少し聞きたいことがある」",
"370000331_10": "「まず教えてほしいんだが、君が通ってきたゲートは\\n 生身の人間は通過できるのか」",
"370000331_11": "「司令が直接乗り込み、制圧するおつもりですか?」",
"370000331_12": "「今回の場合、俺と緒川が動く方が早いと思うのでな……」",
"370000331_13": "「残念ながら、模造デュプリケイターのゲートは\\n 生物の通過は不可能だと聞いています」",
"370000331_14": "「わたしが通ってこれたのは、ギアを纏っていたお陰かと……」",
"370000331_15": "「ふむ……では次に君たちの艦、エアーキャリアーの\\n 装備や配備について、明かせる範囲で教えてくれ」",
"370000331_16": "「なるほど。現状では、装者たちを送り出す以外に手段は無いが、\\n 少し厳しい条件になる」",
"370000331_17": "「…………」",
"370000331_18": "「どうしてですか?\\n わたしは、先生の助けになりたいです」",
"370000331_19": "「理由は大きく3つある」",
"370000331_20": "「1つ目は、敵味方の区別が付き辛いことだ。\\n 万一発見された場合でも、即座に攻撃する訳にはいかん」",
"370000331_21": "「次に潜入の難易度だ。ただでさえセキュリティの高い戦闘艦に\\n ナツミくんの罠が張り巡らされているのなら、なおさらだ」",
"370000331_22": "「最後……とは言えこれが一番重要だが、\\n 目的が救出にあることだ」",
"370000331_23": "「潜入したことが発覚したり、安易に戦闘を開始した場合、\\n 彼女の身に危険が及ぶ」",
"370000331_24": "「確かに、囚われているマリアさんの身を案じると、\\n 少し時間を掛けてでも綿密な作戦が必要だと思います」",
"370000331_25": "「…………」",
"370000331_26": "「…………」",
"370000331_27": "「どうしたのセレナ。\\n 何か言いたいことでもあるの」",
"370000331_28": "「あの……マリア姉さん。\\n わたしたちと響さんなら、発見されずに潜入する方法があるよ」",
"370000331_29": "「……ッ!」",
"370000331_30": "「そっか、怪盗型ギア……だったっけ?」",
"370000331_31": "「あのぉ……」",
"370000331_32": "「そういえばあったな。\\n でも、なんでそんな心象変化をしたんだっけか」",
"370000331_33": "「政治家の人に圧力を掛けられて、無理やりF.I.S.の聖遺物を\\n 売り払われて、マムがとても困っていたことがあって……」",
"370000331_34": "「怪盗型ギアで、それらを取り戻したんですッ!」",
"370000331_35": "「それが……」",
"370000331_36": "「あのかっこいいギアデスねッ!」",
"370000331_37": "「どんな性能なんだっけ?」",
"370000331_38": "「実は……」",
"370000331_39": "「ステルス、移動の消音、赤外線探知、天井に貼り付けたりと、\\n 確かに隠密行動にはぴったりだけど。でも――」",
"370000331_40": "「恥ずかしがってる場合かよッ!\\n 並行世界の自分を助けに行くんだろッ」",
"370000331_41": "「……その通りね」",
"370000331_42": "「司令。\\n この任務、わたしたち人に……」",
"370000331_43": "「マリアさんッ!\\n ごめんなさいッ」",
"370000331_44": "「えッ? どうしたの?」",
"370000331_45": "「わたし、怪盗型ギアに\\n 心象変化できなくなっちゃったんですッ」",
"370000331_46": "「ええッ!?\\n そんなことってあるの」",
"370000331_47": "「前に探偵ものアニメにハマって……。\\n ライバルがとっても嫌な奴で、それが……その……怪盗で……」",
"370000331_48": "「このバカは単純だからな。アニメに影響されて、\\n 怪盗に対して憧憬を持てなくなったんだろ」",
"370000331_49": "「…………」",
"370000331_50": "「ご……ごめんなさい……」",
"370000331_51": "「……司令。この任務、わたしとセレナに任せて」",
"370000331_52": "「確かに適任ではあるが……、\\n そちらのセレナくんは……」",
"370000331_53": "「大丈夫ですッ!\\n 一度戻ってマムの許可を得ます」",
"370000331_54": "「分かった。ナスターシャ教授の許可が得られたらという\\n 条件付きとなるが、マリアくんたちに任せよう」",
"370000331_55": "「やったッ!\\n マリア姉さん、ファントムシスターズ再結成だねッ」",
"370000331_56": "「……セレナ、今回は向こうのマリアを助けに行くんだから\\n 名乗りはなしよ」",
"370000331_57": "「分かってるよ……ちょっと残念だけど……」",
"370000331_58": "「セレナ先生ッ!\\n マリアが行くならリトル・マリアは安心デスッ」",
"370000331_59": "「大船に乗ったつもりで、待っていれば大丈夫です」",
"370000331_60": "「……いえ、わたしも行きますッ!」",
"370000331_61": "「おいおい、話聞いてたのか?」",
"370000331_62": "「お前の姉ちゃんを無事に救出するためには、\\n 怪盗型ギアが必要で……」",
"370000331_63": "「どうすれば怪盗型ギアを手に入れられるんですか?」",
"370000331_64": "「あのねセレナさん、怪盗型ギアって言うのは\\n ギアが心象変化したもので……」",
"370000331_65": "「気持ちは分かるけど、心象変化は心の奥底のイメージが\\n 発露したもので、なりたいとかほしいとかだけでは……」",
"370000331_66": "「Seilien coffin airget-lamh tron――」",
"370000331_67": "「<size=40>ええぇぇぇぇッ!</size>」",
"370000331_68": "「お前、なんでそんな簡単にッ!」",
"370000331_69": "「わたし、APPLEでは諜報や潜伏系の任務が多いんです」",
"370000331_70": "「確かにリディアン音楽院に来た時は、\\n 完全に先生だと思ってました」",
"370000331_71": "「それに昔、姉と観た怪盗映画の影響もあって\\n 心の底から憧れてたんですよね……怪盗に」",
"370000331_72": "「だからほら、ご覧の通りッ!」",
"370000331_73": "「先生……かっこいいデスッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,62 @@
{
"370000411_0": "怪盗姉妹再始動",
"370000411_1": "「ここは?」",
"370000411_2": "「エアーキャリアーの艦底にあるカタパルトデッキです」",
"370000411_3": "「誰か来ますよ」",
"370000411_4": "「みんな、隠れてッ!」",
"370000411_5": "「マリア隊長、捕縛されたらしいね。\\n セレナ副隊長は、隊長を見捨てて逃げたとか……」",
"370000411_6": "「くッ!」",
"370000411_7": "「落ち着いて。\\n 潜入した意味がなくなるわ」",
"370000411_8": "「でも……あの隊員たちが姉の居場所を知っているかもッ!」",
"370000411_9": "「お姉さんの安全のためです。\\n 今は我慢して、様子を伺いましょう」",
"370000411_10": "「マリア隊長に会ったのか?」",
"370000411_11": "「まさか。話を聞きたいのは山々だけど、\\n あたしみたいな下っ端が、この状況で会える訳ないよ」",
"370000411_12": "「いや、階級は関係なく囚われたマリア隊長に会ったという\\n 隊員が人も見つからないんだよ」",
"370000411_13": "「裏切りを働いた隊長に簡単に会わせてもらえないのは、\\n 普通のことじゃない」",
"370000411_14": "「じゃあ一体、誰が捕まえたんだ?」",
"370000411_15": "「そりゃあ、あの<ruby=ろかく>鹵獲</ruby>機たちでしょう?\\n そのために再プログラムされたって聞いたし」",
"370000411_16": "「じゃあ、なんでまだ動いてんだよ?\\n 隊長たちを捕まえるために起動したんなら――」",
"370000411_17": "「普通、捕まえたり逃げられたりしたら\\n 止めるんじゃないのか」",
"370000411_18": "「それは……」",
"370000411_19": "「そもそも、隊長が裏切ったって話も、捕まったって話も\\n 俺は怪しいと思うぜ」",
"370000411_20": "「実際にこの目で見たわけじゃないからな……」",
"370000411_21": "「よかったですね。\\n まだおふたりのこと、信じてる隊員さんもいるみたいですよ」",
"370000411_22": "「そうですね。\\n ……あの、先ほどはすみませんでした」",
"370000411_23": "「彼らも姉の居場所を知らないみたいですし、\\n もし飛び出していたら、完全に作戦が失敗していました」",
"370000411_24": "「気持ちは痛いほど分かるから、気にしなくていいわ」",
"370000411_25": "「だけど、マリアさんの居場所を誰も知らないなら\\n どうやって捜せばいいんだろう」",
"370000411_26": "「あなた、心当たりはないの?」",
"370000411_27": "「ええ。この艦には牢や営倉のような施設はありませんので、\\n 捕まっているとすれば、隊員部屋の空室か倉庫……」",
"370000411_28": "「ナツミさんの目の届く範囲に置いている可能性も\\n ありますよね」",
"370000411_29": "「だとすると、研究室か艦橋……」",
"370000411_30": "「でも、いきなり首謀者の所へ乗り込んで、\\n 外れてた場合は完全に詰むわよ」",
"370000411_31": "「もう少し範囲を絞り込みたいところね」",
"370000411_32": "「あッ! <ruby=ろかく>鹵獲</ruby>機に捕まったのなら、\\n <ruby=ろかく>鹵獲</ruby>機が見張っているんじゃないですか?」",
"370000411_33": "「確かにその可能性は高いですッ!\\n とすると、まずはわたしの私室へ向かいましょう」",
"370000411_34": "「管理端末から<ruby=ろかく>鹵獲</ruby>機たちの配備や、\\n 巡回ルートが分かるかもしれません」",
"370000411_35": "「やはり隔壁がロックされていますね。\\n マリアさん、怪盗型ギアに電子錠を外すような機能は」",
"370000411_36": "「残念だけど、そんな便利機能は知らないわ。\\n 静音性、隠密性、俊敏性は高くなっているみたいだけど……」",
"370000411_37": "「この隔壁の両サイドに付いてる機材は、虹彩センサーかしら?」",
"370000411_38": "「それぞれのセンサーに、わたしと姉の網膜を読み込ませると\\n 解除される設定だったんですが……」",
"370000411_39": "「現在は、片方がわたしの右目、もう片方がわたしの左目の設定に\\n なっているみたいなんです」",
"370000411_40": "「2メートルは離れていますよ……」",
"370000411_41": "「清々しいほど理不尽な設定に変えたのね。\\n もう二度と開かなくなったようなものじゃない」",
"370000411_42": "「…………。",
"370000411_43": " ……あッ!」",
"370000411_44": "「わたしの右目と……」",
"370000411_45": "「わたしの左目……」",
"370000411_46": "「ナツミさんも、わたしが並行世界の自分を連れて\\n 戻ってくるなんて、想像できなかったんでしょうね……」",
"370000411_47": "「なんだか酷く疲れた気分だわ。\\n こんなおバカな仕掛け、もう勘弁してほしいわね」",
"370000411_48": "「それが……実はこの先にもう1つありまして……」",
"370000411_49": "「小さなトンネルが付いているみたいですけど、\\n これは」",
"370000411_50": "「はい。トンネルの先には、姉のDNAを読み取って\\n 扉を開くための装置があります」",
"370000411_51": "「姉以外にこのサイズの穴を通り抜けられる隊員がいないので、\\n 姉と一緒じゃないと入れなかったんですが……」",
"370000411_52": "「結局DNAを読み取るなら、トンネルはいらないんじゃない?」",
"370000411_53": "「それだと眠った姉を連れてくれば、\\n 誰でも通れるようになるからと、ナツミさんが……」",
"370000411_54": "「なるほど。それで、読み取るDNAが\\n セレナのものに変更されていると……」",
"370000411_55": "「……はい」",
"370000411_56": "「……わたしなら入れますね。\\n 行ってきます」",
"370000411_57": "「デュプリケイターの模造品を作れるような人の発想って\\n 底知れないわ……」",
"370000411_58": "「これでもヒメジマ・パーフェクト・セキュリティ・システム。\\n 略してSなんて呼ばれてたんですが……アハハ……」",
"370000411_59": "「パープリン・セキュリティ・システムに改名することを\\n おすすめするわ」"
}

View file

@ -0,0 +1,20 @@
{
"370000421_0": "「ここがわたしの部屋です」",
"370000421_1": "「ここにある管理端末は、艦内の各種センサーとリンクして\\n いますから、<ruby=ろかく>鹵獲</ruby>機たちの配備なんてすぐに分かりますよ」",
"370000421_2": "「部屋の奥に……」",
"370000421_3": "「2人とも、動いちゃダメですッ!\\n 床に圧力センサー、壁にも赤外線センサー多数ッ」",
"370000421_4": "「これはあなたが自分で仕掛けたものじゃ……、\\n ないわよね」",
"370000421_5": "「はい、その通りです……。\\n ナツミさん、ここまで念を入れるなんて……」",
"370000421_6": "「大丈夫。\\n こんなレトロなトラップなら何度もパスしてきたわッ」",
"370000421_7": "「ファントムシスターズとしての特訓も頑張ったもんねッ!」",
"370000421_8": "「セレナ……、\\n ちょっと集中したいから、恥ずかしい話はやめてね」",
"370000421_9": "「あ、はい……。\\n マリア姉さん、ごめんなさい」",
"370000421_10": "「…………」",
"370000421_11": "「あとは、この赤外線さえ超えれば……。\\n よしッ オールクリア」",
"370000421_12": "「どうしてッ!?」",
"370000421_13": "「すみません。それはトラップではなく、\\n デスクの時計にセットしたアラームが……」",
"370000421_14": "「音を聴きつけて、<ruby=ろかく>鹵獲</ruby>機が来たよッ!」",
"370000421_15": "「なんて間の悪い……ッ!」",
"370000421_16": "「ギッ、ギッ」",
"370000421_17": "「みんな、応援を呼ばれる前に速やかに対処ッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,29 @@
{
"370000422_0": "「ギアのお陰で、誰が潜入しているかは分からない\\n でしょうけど、ここで戦闘をしたことは伝わってしまうわね」",
"370000422_1": "「わたしのせいで、姉の身に何かあったら……」",
"370000422_2": "「きっと大丈夫……、\\n なんて無責任な慰めはしないけど……」",
"370000422_3": "「今は落ち込むより先に、\\n やらなければいけないことがあるはずですッ」",
"370000422_4": "「そうよ。端末は壊れてないわね?\\n なら急いでお姉さんの居場所を突き止めましょう」",
"370000422_5": "「はいッ!」",
"370000422_6": "「姉の居場所を示す、直接的な情報はありません」",
"370000422_7": "「ただ、<ruby=ろかく>鹵獲</ruby>機たちが不自然に多数配備されている場所が\\n 箇所に分散されています」",
"370000422_8": "「艦橋付近、艦尾の機関室周辺、艦首の居住施設付近です。\\n うち艦橋周辺の配置は、事件発生時刻から変更なし……」",
"370000422_9": "「姉が囚われているのは、\\n 居住施設か機関室のどちらかの可能性が高いですッ」",
"370000422_10": "「2手に分かれた方が良さそうですね」",
"370000422_11": "「パープリン・セキュリティが多いのはどっち?」",
"370000422_12": "「……機関室方面です」",
"370000422_13": "「じゃあ、セレナたちは2人で機関室に行って。\\n 居住施設にはわたしが向かうわ」",
"370000422_14": "「姉さん、無理はしないでねッ!」",
"370000422_15": "「あなたたちも気を付けるのよ」",
"370000422_16": "「ばべばびばいぼぉぉッ!?」",
"370000422_17": "(手錠はともかく、猿ぐつわ1つ外せないなんてッ!)",
"370000422_18": "(普通、捕まえたら尋問とか取り調べとかしない?\\n 隊員の人も会いに来ないってどういうこと",
"370000422_19": "(ギアのペンダントも取り上げずに放置なんて……。\\n バカなんじゃないのッ",
"370000422_20": "「むぐぐぐ……もごごッ!」",
"370000422_21": "(って、聖詠を唄わせないための猿ぐつわか……。\\n 何も考えてない訳じゃないのね",
"370000422_22": "「むぐぐぐ……むぐぐぐッ!」",
"370000422_23": "(はぁ……暴れても消耗するだけね。\\n 今は、体力の温存に努めよう",
"370000422_24": "「…………」",
"370000422_25": "(セレナ……無事にどこかの並行世界に辿り着けたかしら。\\n 危険な世界じゃなければいいのだけど……",
"370000422_26": "(何? 何が起こっているのッ!?)"
}

View file

@ -0,0 +1,62 @@
{
"370000511_0": "怪盗と囚われの隊長",
"370000511_1": "艦尾、機関室前――",
"370000511_2": "「ギッ!」",
"370000511_3": "「ううッ……」",
"370000511_4": "「ギギッ!」",
"370000511_5": "「倒れた人を運び込んでましたね」",
"370000511_6": "「――ッ!」",
"370000511_7": "「以前、気絶した隊員が運ばれていくのを見たんですが……、\\n 行先はここだったんですね」",
"370000511_8": "「この部屋は……」",
"370000511_9": "「機関室です。きっと反抗的な隊員を集めて、\\n 収容所代わりにしているんですね」",
"370000511_10": "「あれ? でも機関室って、大事な場所ですよね?\\n そんな所に、反抗的な人を集めるなんて……」",
"370000511_11": "「もちろん、動力炉やデュプリケイターに触れるところには\\n 入れていないと思います」",
"370000511_12": "「ある意味では艦内で一番堅牢な部屋なので、\\n 閉じ込めるには都合がよかったのでしょう」",
"370000511_13": "「堅牢……ということは、警備している<ruby=ろかく>鹵獲</ruby>機を倒しても\\n 入るのは難しいですか」",
"370000511_14": "「そうですね。\\n <ruby=ろかく>鹵獲</ruby>機にしか開けないようにしているはずです」",
"370000511_15": "「…………」",
"370000511_16": "「待ってくださいね。\\n 今作戦を……」",
"370000511_17": "「……なら、さっき入った<ruby=ろかく>鹵獲</ruby>機が出てくるタイミングで\\n わたしが奇襲をかけますッ」",
"370000511_18": "「そして、<ruby=ろかく>鹵獲</ruby>機を引き連れて逃げるので、\\n その間に中にいる人たちを助けてくださいッ」",
"370000511_19": "「そんな危険なことさせられませんッ!\\n 陽動ならわたしが……」",
"370000511_20": "「わたしが行っても、\\n 捕まっている人たちを混乱させてしまうかもしれません」",
"370000511_21": "「それに、姉を助けるのは妹の役目ですッ!」",
"370000511_22": "「……ありがとうございます。\\n くれぐれも気を付けてください」",
"370000511_23": "「大丈夫です。\\n この後で、マリア姉さんを手伝いに行かないといけませんから」",
"370000511_24": "「フフッ、そうですね」",
"370000511_25": "「出てきましたッ!\\n 行きますッ」",
"370000511_26": "「<ruby=ろかく>鹵獲</ruby>機さんッ!\\n こっちですッ」",
"370000511_27": "「ギッ!」",
"370000511_28": "「ギギッ!」",
"370000511_29": "「えッ!? 想像より強いッ!\\n こ、これは人では勝てなさそうですね……」",
"370000511_30": "「ギッ!」",
"370000511_31": "(よし、かかったッ!)",
"370000511_32": "「撤退します――ッ!」",
"370000511_33": "「ギギッ!」",
"370000511_34": "「うまく逃げてくださいね」",
"370000511_35": "「ううッ……」",
"370000511_36": "「はぁ……はぁ……」",
"370000511_37": "「皆さんッ!\\n すぐに拘束を解きますッ」",
"370000511_38": "「副隊長、救出していただいて感謝しますッ!」",
"370000511_39": "「皆さん……、\\n こんなことになってしまって、すみません」",
"370000511_40": "「副隊長ッ!\\n 私たちは隊長たちが裏切ったなんて信じてませんよッ」",
"370000511_41": "「ありがとう。",
"370000511_42": " それで、姉……隊長はここにはいませんか?」",
"370000511_43": "「――ッ!?\\n 隊長は捕まったんですか」",
"370000511_44": "「ええ、わたしを逃がすために……。\\n 隊長も皆さんと一緒に監禁されていると思ったのですが……」",
"370000511_45": "「そうでしたか……。\\n ですが隊長は、ここには運び込まれておりません」",
"370000511_46": "「副隊長ッ!\\n その……すみませんでしたッ」",
"370000511_47": "「あなたはッ!?\\n 隊長室に捕縛にやってきた……」",
"370000511_48": "「はい。俺はヒメジマ班長により、隊長たちの装備を\\n 解除した上で、研究室まで同行願うよう命令されました」",
"370000511_49": "「なのに、急に<ruby=ろかく>鹵獲</ruby>機たちが暴走し、あんなことに……。\\n 本当に申し訳ありませんでしたッ」",
"370000511_50": "「いえ、その様子は見ていましたから……。\\n それより、その命令はナツミさんから直接」",
"370000511_51": "「……いいえ。俺たち一部の技術班隊員は、\\n <ruby=ろかく>鹵獲</ruby>機の運用テストのために専用端末を渡されていて……」",
"370000511_52": "「この専用端末に危急の命令ということでメールが届きました。\\n 無論、確認のため無線で艦橋に連絡を取ったのですが……」",
"370000511_53": "「命令を遵守するよう返答されましたので、実行に移しました。\\n 隊長たちの嫌疑など、すぐに晴れると思っていたんです」",
"370000511_54": "「無線に返事をしたのは?\\n それもナツミさんではないんですよね」",
"370000511_55": "「はい。聞き覚えはありませんが、男の声でした」",
"370000511_56": "「そう……<ruby=ウチのこ>諜報班</ruby>の可能性もありますね……。\\n ひとまず、この端末はお預かりしてもいいですか」",
"370000511_57": "「どうぞ。<ruby=ろかく>鹵獲</ruby>機たちに指示を出すための端末と聞いてましたが、\\n 今となっては、もう信用なりませんし……」",
"370000511_58": "「救出は済みましたか?\\n すぐに<ruby=ろかく>鹵獲</ruby>機たちが追ってきますッ!」",
"370000511_59": "「無事でよかった……皆さん、動けますか?\\n <ruby=ろかく>鹵獲</ruby>機たちが戻る前に、ここから退避しますッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,55 @@
{
"370000521_0": "一方、艦首側捜索中のマリア――",
"370000521_1": "(警備は<ruby=ろかく>鹵獲</ruby>機ばかりで、\\n 隊員の姿が見当たらないわね……",
"370000521_2": "「<size=25>こちらマリア</size>」",
"370000521_3": "「マリア姉さん、機関室には隊員さんたちが監禁されていたけど、\\n 隊長のマリアさんはいなかったよ」",
"370000521_4": "「<size=25>そう。こっちもまだ発見できていないわ。\\n 部屋数が多くて、しばらく時間がかかりそうよ</size>」",
"370000521_5": "「こっちは救出した隊員さんたちを揚陸艇まで\\n 送ってから、そっちを手伝いに行くね」",
"370000521_6": "「<size=25>居住ブロックにはセンサートラップが多数設置されているわ。\\n 用心して</size>」",
"370000521_7": "「はい。\\n マリア姉さんも気を付けて……それじゃ、またあとで」",
"370000521_8": "(確か、士官と隊員は一緒に収容しないのが常道。\\n ということは、こちら側にいる可能性は高いわね",
"370000521_9": "(いない……)",
"370000521_10": "(ここもいない……)",
"370000521_11": "(……ッ!?\\n やっと見つけたッ",
"370000521_12": "「もごごごごッ!」",
"370000521_13": "「静かにッ! 今猿ぐつわを外すわ」",
"370000521_14": "「ぷはッ! えッ? 怪盗……?\\n あなた……まさかとは思うけど……」",
"370000521_15": "「――覚えていない?\\n わたしは、以前共闘したS.O.N.G.のマリアよ」",
"370000521_16": "「もちろん、忘れるわけないじゃないッ!」",
"370000521_17": "「えッ? じゃあそれシンフォギアなの?\\n 格好いい……」",
"370000521_18": "「あまりジロジロ見ないで。\\n 潜入するのに都合がいいのだけど……結構恥ずかしいのよッ」",
"370000521_19": "「……ふーん」",
"370000521_20": "「あ、それで?\\n どうしてあなたが」",
"370000521_21": "「妹さんに言われて、あなたの救出に来たわ」",
"370000521_22": "「――妹はッ!?\\n セレナは無事なのね」",
"370000521_23": "「静かに。\\n 怪我つ負ってないから、安心しなさい」",
"370000521_24": "「よかった……」",
"370000521_25": "「手錠も外してあげるから、少し大人しくなさい」",
"370000521_26": "「セレナはS.O.N.G.に保護されているのね?」",
"370000521_27": "「いえ、今は別行動だけど、一緒にここに来て――",
"370000521_28": " って、何よこの複雑な手錠はッ!」",
"370000521_29": "「戻ってきているのッ!?\\n 今どこに――」",
"370000521_30": "「ちょっと集中させてッ!\\n どうしてこの手錠、鎖が知恵の輪になってるのよッ」",
"370000521_31": "「……捕虜の人権に配慮してるらしいわ。\\n 閉じ込められて退屈しないよう、希望を失わないように……」",
"370000521_32": "「これもナツミさんが作ったものなのね……。\\n 天才とナントカは紙一重って言うけど……本当に呆れるわ」",
"370000521_33": "「確かに少しは気を紛らわせることができたわ。\\n でも……ナツミの作るもの、わたしもバカにしてた……」",
"370000521_34": "「それが原因なのかしら……」",
"370000521_35": "「……今回のこと?」",
"370000521_36": "「家族のように思ってた。それに甘えて雑に扱ってた。\\n その結果が、こんなクーデターだなんて……」",
"370000521_37": "「そんなことでクーデターなんかしないでしょう……。",
"370000521_38": " ――ッ! 外れたわッ!」",
"370000521_39": "「えッ!」",
"370000521_40": "「プッ! アハハハハッ!\\n お、可笑しいッ」",
"370000521_41": "「……なんなの、どうしてバラが咲くのッ!?」",
"370000521_42": "「これも捕虜の体臭予防にって、あのバカが……、\\n アハハハハハハッ」",
"370000521_43": "「ハァ……。\\n うちにも人、仲間のことをバカって呼ぶ子がいるわ」",
"370000521_44": "「だけど皆、それが信頼や親しみの表れであると知っている。\\n こんな、人を思い遣るバカなものを作る人には……」",
"370000521_45": "「その通りよッ!」",
"370000521_46": "「ナツミのバカにッ!\\n クーデターなんて大それた真似ができるわけないわッ」",
"370000521_47": "「気持ちは分かるけど……、\\n もう少し状況を把握してもらえないかしら……」",
"370000521_48": "「なによッ!\\n あなただって騒いでたじゃないッ」",
"370000521_49": "「ギギッ!」",
"370000521_50": "「お客さんが来たわよッ!\\n やれるわね」",
"370000521_51": "「ずっと縛られてストレス溜まってるのよッ!\\n 大暴れしてあげるわッ」",
"370000521_52": "「ギッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,28 @@
{
"370000522_0": "「遅いわッ!」",
"370000522_1": "「邪魔ッ!」",
"370000522_2": "「ギギッ!」",
"370000522_3": "「ギッ!」",
"370000522_4": "「<ruby=ろかく>鹵獲</ruby>、押収機って言ってたわよねッ!\\n 一体、どれだけ集めてるのよッ」",
"370000522_5": "「数えたことないわッ わたしたちAPPLEが、\\n どれだけの並行世界で作戦展開してると思ってるのよッ」",
"370000522_6": "「だからって全部持ってこなくてもいいでしょッ!」",
"370000522_7": "「放置してたら危ないでしょッ!」",
"370000522_8": "「はぁ…はぁ…ッ!\\n キリがないわね……」",
"370000522_9": "「この部屋ですッ!」",
"370000522_10": "「マリア姉さんッ!\\n 遅くなってごめんッ」",
"370000522_11": "「ふぅッ! 助かったわ……」",
"370000522_12": "「姉さんッ!\\n どうして人で恰好つけたりなんかしたのッ」",
"370000522_13": "「……ごめん。\\n あの時は、ああするしかないと思ったの……」",
"370000522_14": "「それなら先に相談するとか――」",
"370000522_15": "「言ったらセレナは絶対逃げないでしょッ!」",
"370000522_16": "「当たり前です!\\n だいたい、いつも姉さんは……」",
"370000522_17": "「…………」",
"370000522_18": "「姉妹喧嘩はそこまでにしなさいッ!\\n 今は、わたしたちの世界に退避するのが先決よ」",
"370000522_19": "「何言ってるのよッ!\\n 装者が人も揃ってるんだし、艦の制圧を手伝ってよッ」",
"370000522_20": "「あなた……自分の姿をご覧なさい。\\n 疲れとダメージでボロボロよ」",
"370000522_21": "「これくらい、どうってことないわッ!\\n わたしたちだけ逃げたら、隊員たちはどうなるのよッ」",
"370000522_22": "「クーデターに抵抗して監禁されていた隊員は\\n 全員、艦から退去させたよ」",
"370000522_23": "「今残っているのは、ナツミさんに従っている人たちだし、\\n 危険に晒されることはないと思います」",
"370000522_24": "「一旦S.O.N.G.に帰還して、\\n 今後のことを相談するべきよ」",
"370000522_25": "「……そうね。\\n わかったわ……」"
}

View file

@ -0,0 +1,54 @@
{
"370000531_0": "その頃、セレナたちに救出された隊員たちは――",
"370000531_1": "「このまま私たちだけ逃げ出していいのでしょうか?」",
"370000531_2": "「他の隊員たちのことが気掛かりなのか?」",
"370000531_3": "「だが、俺たちが再び囚われたら、\\n 副隊長たちの足枷になってしまうかも知れんぞ」",
"370000531_4": "「そこですッ! この騒動を隊長と副隊長に収めてもらって、\\n 落ち着いたら戻ってくるんですか どんな顔してッ」",
"370000531_5": "「……ここは。この艦は私たちの家じゃないですかッ!\\n まだ大勢の隊員、いえ家族が残っています」",
"370000531_6": "「家が崩壊の危機なんだったら、私たちが護らないとッ!\\n 家族が間違ったことをしているなら、正さないとッ」",
"370000531_7": "「だから私は、艦に残りたいです」",
"370000531_8": "「…………」",
"370000531_9": "「そうだな。",
"370000531_10": " 俺たちの手で取り返さないとなッ! 家と家族をッ!」",
"370000531_11": "「逃げてる場合じゃねぇなッ!\\n 引き返そうッ」",
"370000531_12": "「<size=40>おおッ!</size>」",
"370000531_13": "「無事にAPPLEのマリアくんを救出できたようだな。\\n みんな、ご苦労だった」",
"370000531_14": "「先生、おかえりなさいデスッ!\\n リトル・マリアもお久しぶりなのデス」",
"370000531_15": "「リ……ッ!?」",
"370000531_16": "「酷い目に遭ったな。\\n まぁ、存外元気そうでよかったよ」",
"370000531_17": "「まぁいいわ。\\n ……妹共々助けてくれてありがとう」",
"370000531_18": "「みんな、心配してたんです」",
"370000531_19": "「風鳴司令、ご協力いただき感謝いたします」",
"370000531_20": "「マリアちゃんッ! 大丈夫だった?\\n ひどいことされてない」",
"370000531_21": "「あんたは相変わらず……ッ!\\n ちゃん付けで呼ぶなッ 子ども扱いするなッ」",
"370000531_22": "「ごめんね、可愛いからつい」",
"370000531_23": "「可愛いっていーうーなッ!」",
"370000531_24": "「しかし、あのナツミさんがクーデターとは本当なのか?」",
"370000531_25": "「分からないわ。\\n わたしが捕まっている間、誰も面会にも来なかったのよ」",
"370000531_26": "「ナツミさんだとしても、目的も分からないままなんです」",
"370000531_27": "「ナツミさんもダーククリスタルの侵食を受けたとか?」",
"370000531_28": "「いえ。あれからダーククリスタルの探知も定期的に\\n 行っていますが、そんな兆候はありません」",
"370000531_29": "「だったら、なんだってクーデターなんて……、\\n もう一遍乗り込んで探る必要があるんじゃないか」",
"370000531_30": "「お願いッ!\\n わたしもすぐに戻りたいのッ」",
"370000531_31": "「まぁ待て。\\n マリアくんたちは、少し休んで回復に努めるほうがいい」",
"370000531_32": "「わたしたちだけ安全な世界で、\\n 休んでるわけにはいかないのよッ」",
"370000531_33": "「姉さん……」",
"370000531_34": "「わたしがもっと強いリーダーなら、\\n きっとクーデターなんて起こらなかった……だからッ」",
"370000531_35": "「大丈夫。あなたは十分に強いリーダーだわ」",
"370000531_36": "「あなたが身体を張って妹を逃がし、\\n その結果、監禁されていた隊員たちも救い出す事ができた」",
"370000531_37": "「捕縛されて歯痒い想いをしたんでしょうけど、\\n 姉としての責務は十分に果たせたのだから……」",
"370000531_38": "「――全然分かってないッ!\\n わたしにとって、部隊全員が家族なのッ」",
"370000531_39": "「自分と妹が助かったからもういいなんて、\\n そんな薄情な考え、できるわけないじゃないッ」",
"370000531_40": "「もういいなんて言ってないでしょう?\\n 今は一度休んで、冷静になりなさい」",
"370000531_41": "「隊長として責任を感じる気持ちは理解できるわ。\\n ただあなたの妹は、あなたを救い出そうと必死だった」",
"370000531_42": "「そんな妹さんの想いを、ないがしろにするのは良くないわ。\\n あなたは、妹さんと並び立つことでより強くなれるんだから……」",
"370000531_43": "「――ッ!\\n 冗談じゃないわッ」",
"370000531_44": "「確かにわたしは弱いわよッ!\\n セレナがいなくちゃ、人じゃ何もできなかったッ」",
"370000531_45": "「そんなつもりじゃ……」",
"370000531_46": "「あなたからは、わたしがわがままで子供っぽくて弱く\\n 見えるんでしょうね……」",
"370000531_47": "「確かにあなたは強いわ。\\n 人でもわたしよりずっと大人で……」",
"370000531_48": "「だけど、妹を亡くさないと\\n その強さを得られないんだとしたら――ッ」",
"370000531_49": "「姉さん、ダメッ!」",
"370000531_50": "「――そんな強さ、わたしはいらないわよッ!」",
"370000531_51": "「…………」"
}

View file

@ -0,0 +1,72 @@
{
"370000611_0": "罪悪の残響",
"370000611_1": "「……さん?」",
"370000611_2": "「マリア姉さんッ!」",
"370000611_3": "「えッ! あ、ごめんなさい。",
"370000611_4": " 少し考え込んでしまったようね」",
"370000611_5": "「姉さん、謝ってッ!\\n 自分が何を言ったのか分かっているのッ」",
"370000611_6": "「あ、あの……わたし……」",
"370000611_7": "「ひどいことを言ってしまったわ……。\\n その……ごめんなさい」",
"370000611_8": "「…………」",
"370000611_9": "「あったかいものどうぞ」",
"370000611_10": "「あの……わたし……」",
"370000611_11": "「強さにもいろいろあるわよ」",
"370000611_12": "「ありがとうございます。\\n そう……ですね」",
"370000611_13": "「ごめんなさい。\\n 最低なことを言った自覚はある」",
"370000611_14": "「だけど、本心じゃないの……。\\n 本当に、ごめんなさい」",
"370000611_15": "「あの……」",
"370000611_16": "「いいの。気にしないで。\\n 本気で言ったわけではないことは分かってる」",
"370000611_17": "「姉さん……」",
"370000611_18": "「とにかく、一度休んで冷静さを取り戻してくれると助かる。\\n 今話し合ったところで、建設的な意見は出ないだろう」",
"370000611_19": "「やっぱり疲れてるんだよ……」",
"370000611_20": "「どれほどの業物であっても、\\n 手入れを怠った刀の切れ味は鈍るものだからな」",
"370000611_21": "「睡眠と食事をたくさん摂ってください」",
"370000611_22": "「友里、悪いが2人を客室に案内してやってくれ」",
"370000611_23": "「分かりました」",
"370000611_24": "「心配するな。\\n 我々S.O.N.G.とて、この件を放置するつもりはない」",
"370000611_25": "「そうだよッ!\\n みんな付いてるからねッ」",
"370000611_26": "「手伝えることがあったら、なんでも頼ってほしいデース」",
"370000611_27": "「欲を言うと、もう少し情報があればいいんですけどね……」",
"370000611_28": "「あッ! 風鳴司令」",
"370000611_29": "「今回、<ruby=ろかく>鹵獲</ruby>機の再プログラミングを命じられた隊員が\\n この端末を渡されていたようなのですが……」",
"370000611_30": "「変わった端末ですね?」",
"370000611_31": "「<ruby=ろかく>鹵獲</ruby>機たちにプログラムやコマンドを送ったりする他、\\n 命令もこの端末で受信していたそうです」",
"370000611_32": "「なるほど、有用な情報が入手できるかも知れんな。\\n 預かってもいいか」",
"370000611_33": "(あの頃のわたしが、大人になったわたしを責めている……?\\n そんな錯覚に陥ってしまった",
"370000611_34": "(それは、わたしが乗り越えたと思っていた罪の意識の残響?)",
"370000611_35": "「ここにいたか」",
"370000611_36": "「みっともない所を見せてしまったかしら……」",
"370000611_37": "「気にするな。\\n 誰しも触れられたくないことのつやつはある」",
"370000611_38": "「あら? わたしが傷ついたと思ったのかしら?」",
"370000611_39": "「違ったのか?」",
"370000611_40": "「亡くなったセレナのお陰で強くなれたことは認めてるし、\\n セレナへの想いや決意が揺らがないことも事実よ」",
"370000611_41": "「ただ、あの姉妹を見てると、折角2人揃っているのだから、\\n もっと大切にしてほしいとか思ってしまうのよ」",
"370000611_42": "「それは、仕方のないことなんじゃないのか?」",
"370000611_43": "「そうね……」",
"370000611_44": "「マリアさんはどうしてますか?」",
"370000611_45": "「余程疲れていたようで、\\n 今は隣の部屋でぐっすり眠っています」",
"370000611_46": "「それならよかったです。クーデターが起きたり監禁されたり、\\n 精神的なショックも大きかったでしょうから」",
"370000611_47": "「ありがとうございます。\\n 確かに……隊長としての責任を重く感じていたようです」",
"370000611_48": "「それから……あの……」",
"370000611_49": "「フフッ……やっぱり他にも用があったみたいですね。\\n どうしたんですか」",
"370000611_50": "「……どうすれば、おふたりみたいになれるかなと思って」",
"370000611_51": "「わたしと姉みたいに?」",
"370000611_52": "「はい。お互いに大切に思いあっているのは分かるんですけど、\\n 遠慮がないと言うか、信頼しあってると言うか……」",
"370000611_53": "「なるほど……。あなたは、マリアさんに\\n 信頼されていないと思っているんですか」",
"370000611_54": "「いえ、全くされていないとは思ってないんですけど、\\n マリア姉さんからしてみれば、わたしは庇護対象と言うか……」",
"370000611_55": "「そっか……。でも、逆にあなたからも、\\n マリアさんに遠慮があるんじゃないですか」",
"370000611_56": "「……それは……話すときとかに、つい考えてしまうんです。\\n 実の妹ではないわたしが、こんなことを言っていいのか……」",
"370000611_57": "「実の妹のセレナさんなら、こんな風に言わないんじゃないか。\\n そうやって悩んでいる間に話が終わってたりして……」",
"370000611_58": "「それは深刻ですね……」",
"370000611_59": "「あなたたちは、互いに『実の姉妹じゃないから』ということに\\n 意識を向けすぎているように感じます」",
"370000611_60": "「えッ?」",
"370000611_61": "「例えば響さんや未来さんと話すときに、\\n 『姉妹じゃない』と考えてから言葉を選ばないでしょう」",
"370000611_62": "「そっか……『実の姉妹じゃない』って考えてしまうから\\n 距離ができてしまうんですね」",
"370000611_63": "「わたしたちは並行世界の同一存在ですから、\\n 姿を見て重ねてしまうのは仕方ないことですけど……」",
"370000611_64": "「過ぎた遠慮は、本当に信頼しあうことへの弊害に\\n なってしまうと思います」",
"370000611_65": "「ありがとうございますッ!\\n 月読さんや暁さんが、先生って呼ぶのも当然ですねッ」",
"370000611_66": "「それほどでもありませんよ」",
"370000611_67": "「わたし、頑張ってみますッ!」",
"370000611_68": "「それで1つお願いがあるんですけど……」",
"370000611_69": "「分かりましたッ!\\n 楽しそうだし、やってみましょうッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,22 @@
{
"370000621_0": "「どうしたの? 急にこんなところに連れてきて。\\n トレーニングに付き合えばいいの」",
"370000621_1": "「うん、それはその通りなんだけど……もう少し待って。",
"370000621_2": " あッ! 来たッ!」",
"370000621_3": "「お待たせしましたッ!」",
"370000621_4": "「ちょっと、どういうことよッ!?」",
"370000621_5": "「せっかくわたしたち4人揃ったんですから、\\n トレーニングしませんか」",
"370000621_6": "「いつものペアでやるのもいいですが、\\n 変則的なペアでのトレーニングもしてみたいですッ」",
"370000621_7": "「それって仲直りさせようって魂胆?\\n 昨日のことなら、気にしてないわよ」",
"370000621_8": "「その……わたしも、心から謝罪したつもりだし、\\n 喧嘩してるつもりはないわよ」",
"370000621_9": "「そうじゃないのッ!\\n またエアーキャリアーに乗り込むかも知れないから……」",
"370000621_10": "「少しでも互いの特性を知っておいた方がいいじゃないですか」",
"370000621_11": "「確かにそうね。\\n わたしはいいわよ」",
"370000621_12": "「わ、わたしもいいわよッ!」",
"370000621_13": "「ありがとうございますッ!\\n では、よろしくお願いします」",
"370000621_14": "「ありがとうございます。\\n じゃあ最初は、普段通りのコンビで行きましょうッ」",
"370000621_15": "「わたしの攻撃を受けてみなさいッ!」",
"370000621_16": "「セレナッ! 危ないッ!」",
"370000621_17": "「…………」",
"370000621_18": "「流石にお互い、いいコンビネーションですねッ!\\n では、次は組み分けを変えましょうか」",
"370000621_19": "「姉コンビ、妹コンビに分かれてみましょうッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,63 @@
{
"370000622_0": "「わたしの成長ぶりも見てくださいねッ!」",
"370000622_1": "「すごいッ!\\n マリアさん、以前より動きが軽やかになっていませんか」",
"370000622_2": "(マーナガルムとの決戦の時、この並行世界のセレナの言葉で\\n わたしは自信を取り戻せたのよね",
"370000622_3": "「そう言えば、おふたりに出会った頃からだよね?\\n 身体の小ささを活かした戦い方を意識しだしたのは」",
"370000622_4": "「呪いで成長が止まったことを悲観してばかりじゃ仕方ないから、\\n どうにかメリットにできないか考えたのよ」",
"370000622_5": "「いい判断だわ。あなたの立場だとそのプラス思考は、\\n 部隊全体の士気の向上にも繋がるでしょうしね」",
"370000622_6": "「そう言えば隊員たちも、姉さんが以前より自分たちのことを、\\n 気にかけてくれてる様に感じると言ってたよ」",
"370000622_7": "「……部下の悩みにも気付かない隊長なんて……」",
"370000622_8": "「姉さんッ! トレーニング中に考え事は危険だよッ!」",
"370000622_9": "「えッ!?」",
"370000622_10": "「あ、あら……?」",
"370000622_11": "「ええ……ッ!?」",
"370000622_12": "「ね、姉さんッ!\\n そんなつもりじゃ――ッ」",
"370000622_13": "「らいじょうぶだから子ども扱いひないで……」",
"370000622_14": "「すみませんッ!\\n メディカルルームに連れて行きますッ」",
"370000622_15": "「付いて行かないでよかったのかしら?」",
"370000622_16": "「大勢で押しかけても、治療の邪魔になるし……、\\n あとで一緒にお見舞いに行こう」",
"370000622_17": "「…………」",
"370000622_18": "「セレナ?」",
"370000622_19": "「……うん。\\n マリア姉さんに少し話したいことがあって……」",
"370000622_20": "「どうしたの?」",
"370000622_21": "「マリア姉さん、わたしに過保護……でしょ?\\n わたしが小さいからだと、さっきまでは思ってたんだけど」",
"370000622_22": "「マリア姉さん、セレナという存在に対して\\n 過保護になってるよ」",
"370000622_23": "「どういう意味?」",
"370000622_24": "「うん、さっきのトレーニングを思い返してほしいんだけど、\\n わたしに攻撃が向かった時は……」",
"370000622_25": "「前に出て庇ってくれたよね?\\n だけど、マリアさんの時は違った」",
"370000622_26": "「え? たまたまじゃない?」",
"370000622_27": "「……実はね、マリア姉さん。\\n わたし、並行世界のわたしに言われたの」",
"370000622_28": "「『実の妹じゃないのに』っていちいち考えちゃってるから\\n マリア姉さんに遠慮して、距離ができてるって」",
"370000622_29": "「そんなこと……」",
"370000622_30": "「わたしとマリア姉さんは、実の姉妹じゃない。\\n そんなことはとっくに理解してるんだけど……」",
"370000622_31": "「意識しすぎて遠慮してしまっている」",
"370000622_32": "「それだと、いつまでも本当の仲間になれないから、\\n マリア姉さんも同じなら、遠慮なく本音で付き合ってほしい」",
"370000622_33": "「そうしないと、本当の信頼の絆を結べないから……。\\n そのことを伝えたかったの」",
"370000622_34": "(本当のセレナじゃないと意識しすぎている?\\n 確かにわたしも同じ……でも……",
"370000622_35": "(本当のセレナと同じ姿で……同じ声で唄うこの子を前に\\n それを意識しないことなんてできるの",
"370000622_36": "「姉さん?」",
"370000622_37": "「……そうね。無意識に出ているものだとすると\\n 時間がかかってしまうかも知れないけど、努力するわ」",
"370000622_38": "「あの子たちのことも心配だし、\\n そろそろメディカルルームに様子を見に行きましょう」",
"370000622_39": "「……うん」",
"370000622_40": "「ん……ッ!」",
"370000622_41": "「姉さん、目が覚めたッ!?」",
"370000622_42": "「わたしにも、グレイスフルレディ講座\\n 受けさせなさいよッ」",
"370000622_43": "「姉さんッ!?」",
"370000622_44": "「えッ!? ここは?」",
"370000622_45": "「S.O.N.G.のメディカルルームです」",
"370000622_46": "「姉さん、ごめんなさい。\\n わたしの渾身の一撃が入っちゃって……」",
"370000622_47": "「いいのよ。\\n トレーニング中に上の空だったわたしが悪いんだし……」",
"370000622_48": "「また、この世界のわたしに\\n かっこ悪いところを見せてしまったわ」",
"370000622_49": "「気にすることないよ」",
"370000622_50": "(気にしないわけにはいかない。\\n わたしは、あの人を目標にして、あの人のようになるのよ",
"370000622_51": "(呪いが解けても、解けなくても……。\\n 素敵なわたしになって、みんなを護っていかなきゃ……",
"370000622_52": "(さて、まずは<ruby=いばしょ>艦</ruby>と<ruby=かぞく>隊員</ruby>を取り返してからだわッ!)",
"370000622_53": "「わたしが正しく成長した姿なんだし、\\n 多少気にするのは仕方がないでしょうッ」",
"370000622_54": "「わたしは可愛いマリア姉さんが大好きだよ」",
"370000622_55": "「だから、なんで抱き上げるのよッ!",
"370000622_56": " 降ろしてッ! 子ども扱いしないでッ!」",
"370000622_57": "「あ、マリアさん目を覚ましてるッ!\\n 大丈夫ですか」",
"370000622_58": "「大丈夫?\\n 怪我はしてない」",
"370000622_59": "「だ、大丈夫よッ!\\n 訓練だからそんなこともあるわッ」",
"370000622_60": "「みんな、至急発令所に集まって。\\n 例の端末の解析が完了し、大変なことが分かったのッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,39 @@
{
"370000631_0": "「みんな揃ったな。セレナくんたちがAPPLEから持ち帰った\\n 端末の解析が終わった」",
"370000631_1": "「残念なことに、この端末で<ruby=ろかく>鹵獲</ruby>機を制御する機能は、\\n 強固なプロテクトにより使用することができなかった」",
"370000631_2": "「<ruby=ろかく>鹵獲</ruby>機を制御できるなら、先生たちのクーデター鎮圧が\\n かなり楽になるのに……残念」",
"370000631_3": "「でもわたしたちを集めたってことは、\\n 何か分かったと考えていいのよね」",
"370000631_4": "「ああ、端末内から作戦の概要書が発見できた。\\n どうやら、かなり大規模で悪質な作戦を展開中のようだ」",
"370000631_5": "「――ッ! つまりエアーキャリアーの制圧は\\n 計画の一部でしかないと」",
"370000631_6": "「そうだ。セレナくん、この設計図を見てくれないか?」",
"370000631_7": "「これは……ッ! ナツミさんの模造デュプリケイターです。",
"370000631_8": " しかも自律移動型ッ!?」",
"370000631_9": "「作戦概要によると、自律移動型デュプリケイターは、\\n 既に数百の並行世界に送り込まれているらしい」",
"370000631_10": "「なんの目的でそんなことを……?」",
"370000631_11": "「送り込んだデュプリケイターを同時に暴走させて\\n 並行世界の、境界の破壊と統合を目的としているようだ」",
"370000631_12": "「統合した世界に、それぞれの世界から協力的な者だけを集め、\\n 壊れかけている自分たちの故郷を、元通りにする計画らしい」",
"370000631_13": "「故郷と同じ場所、失った人と姿が同じ者。\\n つまり、並行世界の存在で代用できると考えたらしいな」",
"370000631_14": "「そんなッ!\\n それじゃまるでテスラさんのッ」",
"370000631_15": "「ああ、だが……あの時と違って、この作戦には\\n 情念のようなものが感じられん。」",
"370000631_16": "「確かに、この計画を立案した者は、大切な人や故郷を\\n 失った者への救済になると、本気で信じているようだが……」",
"370000631_17": "「随分と上から物を見た救済だわ」",
"370000631_18": "「結局は自分たちの故郷を棄てるだけデスッ!」",
"370000631_19": "「大切な人や、故郷を失って悲しんでいる人に\\n 代わりをあげたらもう大丈夫って思ってるってこと」",
"370000631_20": "「そんなの悲しんでる人の気持ちを1つも分かってないッ!\\n 酷すぎるッ」",
"370000631_21": "「立花の言う通りだ。\\n 人間は、そんな単純なものではない」",
"370000631_22": "「でもナツミは、テスラの事件や顛末も知っているはずなのに\\n どうしてそんな計画を……」",
"370000631_23": "「ナツミさんは、聡明な方です。\\n こんな計画の成功を信じているとは、とても思えません」",
"370000631_24": "「そうですね……本部のコンピュータで簡単に演算しただけでも\\n 世界が安定する確率は、万分の以下と算出されましたから」",
"370000631_25": "「そんな分の悪い賭けをしようとしてるのかよッ!」",
"370000631_26": "「4万……安定しなかった時は何が起こるのでしょう?」",
"370000631_27": "「良くてレイラインの崩壊。\\n 悪ければ並行世界自体が消滅してしまうでしょうね」",
"370000631_28": "「そんな……。\\n それじゃ、ただのテロじゃないッ」",
"370000631_29": "「させないッ! わたしの家族に、\\n 世界崩壊の手引きなんてさせるもんですかッ」",
"370000631_30": "「フフフフ……。\\n 相変わらずセキュリティホールの管理が杜撰っスね……」",
"370000631_31": "「ここを突けば……ほりゃッ!",
"370000631_32": " イージーイージー、侵入成功っスッ!」",
"370000631_33": "「さてさて、あの子たちが見られるカメラは……確か……、",
"370000631_34": " ビンゴッ! よし、行くっスッ! 頑張れっスッ!」",
"370000631_35": "「よしよし、うまく突破してくれたっス」",
"370000631_36": "「フフフフ……みんな待ってるっスよッ!\\n もうすぐ、みんなの家を取り返してあげるっスよ」"
}

View file

@ -0,0 +1,41 @@
{
"370000711_0": "反転攻勢",
"370000711_1": "閉鎖中のゲート周辺――",
"370000711_2": "「待ち合わせに遅れそうなんですけど、通してくれませんか?」",
"370000711_3": "「すみませんね。\\n この先で事故があったので迂回してください」",
"370000711_4": "「もうッ! 怒られちゃうじゃないッ!」",
"370000711_5": "「どう? 強行突破してゲートを使うことはできそうかしら?」",
"370000711_6": "「街中ということもあって、重装備ではないけど……、\\n きちんと話をしたら、通してくれるんじゃないかな」",
"370000711_7": "「無理に決まってるでしょッ!\\n S.O.N.G.に連絡されて取り押さえられるのがオチよッ!」",
"370000711_8": "「でも、あのゲートを通る以外に、\\n エアーキャリアーに帰る方法がないのよね……」",
"370000711_9": "「ナツミくんの計画が実行された瞬間、いくつもの並行世界が\\n 消滅する危険性が高い……か」",
"370000711_10": "「司令、今すぐエアーキャリアーを制圧して、\\n ヒメジマさんを捕まえるべきですよッ」",
"370000711_11": "「いや、自律型デュプリケイターの暴走が、\\n どのような実行手順なのか分からん以上、危険すぎるだろう」",
"370000711_12": "「ボタン1発で全デュプリケイターが一斉に暴走するとかか?\\n 考えたくもないけど、そいつはうっかり手を出せないな」",
"370000711_13": "「ひとまずは、これまでに接触したことのある、\\n 並行世界の二課やF.I.S.、スクルドといった組織に連絡」",
"370000711_14": "「協議した上で対策を行うこととする」",
"370000711_15": "「――ッ!」",
"370000711_16": "(そんな、それでもし、\\n わたしたちの艦を撃墜する判断が下されたら……ッ",
"370000711_17": "「あの調子だと、わたしたちがゲートに近づくだけで\\n 逮捕されかねないわよ」",
"370000711_18": "「確かに……」",
"370000711_19": "「セレナ、もしわたしたちAPPLEが当事者じゃないとして、\\n 協議の場に呼ばれたら、なんて意見する」",
"370000711_20": "「逼迫した状況を鑑みると、超長距離からの砲撃で\\n エアーキャリアー撃墜の提案をするって所かな」",
"370000711_21": "「そうよね。わたしも大体同じ。\\n だったら、わたしたち人にしか部隊は救えないわ」",
"370000711_22": "「……うん……」",
"370000711_23": "「<size=40>4人よッ!</size>」",
"370000711_24": "「あなた……なぜここがッ!?",
"370000711_25": " お願いッ! 止めないでッ!」",
"370000711_26": "「聞こえなかったのかしら?\\n 乗り込むのは、あなたたち人じゃなくて人ッ」",
"370000711_27": "「わたしたちも一緒に行きます」",
"370000711_28": "「大丈夫なんですか?」",
"370000711_29": "「S.O.N.G.の司令やマムには許可を貰いました。\\n ただ条件として……」",
"370000711_30": "「長話してる程、時間に余裕がないわッ!\\n さっさと行くわよ」",
"370000711_31": "「姉さん、通行証を見せないと通してもらえないよッ!」",
"370000711_32": "「並行世界の姉さんも、格好付けの性格は変わらないね」",
"370000711_33": "「一緒にしないでよッ!\\n たまたま似てるだけでしょッ」",
"370000711_34": "「姉さん、誰かが戦ってるよッ!」",
"370000711_35": "「艦内よね?\\n 一体何が起こっているのッ」",
"370000711_36": "「あなたたち、焦るのは分かるけど慎重にねッ!",
"370000711_37": " 行くわよッ!」",
"370000711_38": "「ちょっと、勝手に仕切らないでよねッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,40 @@
{
"370000721_0": "「クッ! いつまでもつか分からんぞッ!」",
"370000721_1": "「もう少し耐えてください。\\n 残った隊員の説得も完了し、順次集結してきているそうですッ」",
"370000721_2": "「別動隊はッ!?」",
"370000721_3": "「あの後、連絡がありません。\\n 道中の<ruby=ろかく>鹵獲</ruby>機を排除しながら、艦橋に向かっているはずです」",
"370000721_4": "「ギギギッ……」",
"370000721_5": "「ここは通さんッ!」",
"370000721_6": "「危ないッ!」",
"370000721_7": "「た、隊長ッ!?",
"370000721_8": " みんなーッ! 隊長が戻られたぞーッ!」",
"370000721_9": "「おおーッ!」",
"370000721_10": "「気を抜くなッ! 右舷デッキから新手来るぞッ!\\n 圧しとどめろッ」",
"370000721_11": "「了解ッ!」",
"370000721_12": "「一旦下がってください」",
"370000721_13": "「副隊長、ありがとうございますッ!」",
"370000721_14": "「各員、孤立するなッ!\\n 数的優位を作り、防御と足止めに専念ッ」",
"370000721_15": "「攻撃はッ!」",
"370000721_16": "「わたしたちに任せてくださいッ!」",
"370000721_17": "「甲板上の敵は、あらかた片付きましたね」",
"370000721_18": "「隊長、副隊長、お戻りをお待ちしていました。\\n お帰りなさいッ」",
"370000721_19": "「あなた、揚陸艇に乗って退艦したはずですよね?\\n どうしてここに」",
"370000721_20": "「副隊長、あの時はありがとうございました。\\n みんなで話し合って、退艦せずに残ることにしたんです」",
"370000721_21": "「この艦は私たちにとっての家で、仲間はみんな家族です。\\n だから、戻って説得しようって……」",
"370000721_22": "「よく説得できたわね」",
"370000721_23": "「はい。事実確認をしようとした隊員が、みんなの前で\\n <ruby=ろかく>鹵獲</ruby>機に攻撃されましたので……」",
"370000721_24": "「それを機に一斉蜂起がはじまり、\\n 今ではヒメジマ班長からの命令メールに従う隊員はいません」",
"370000721_25": "「<size=25>やっぱり、わたしの部隊は最高じゃない……</size>」",
"370000721_26": "「……隊長? すみません。聞き取れませんでした」",
"370000721_27": "「なんでもないわよッ!",
"370000721_28": " それで戦況はッ!? 戦況を報告してッ!」",
"370000721_29": "「はいッ! 艦内の<ruby=ろかく>鹵獲</ruby>機の鎮圧はおよそ6割が完了。\\n 現在、艦橋の奪還を最優先に進めておりますッ」",
"370000721_30": "「部隊の被害状況は?」",
"370000721_31": "「死者及び重症者はゼロ。数名が<ruby=ろかく>鹵獲</ruby>機に連れ去られたとの\\n 報告がありますが、恐らく機関室に監禁されているかと」",
"370000721_32": "「これは私たちが捕まっていた時からの推測となりますが、\\n 身命の危険はないとして、救出は後回しにしておりますッ」",
"370000721_33": "「分かったわ。\\n では、わたしたちも艦橋奪還部隊に合流しましょうッ」",
"370000721_34": "「ギッギッ!」",
"370000721_35": "「6割鎮圧したって言ってたけど、結構残っているのね」",
"370000721_36": "「みんなで艦橋に向かってるから、\\n 遠くにいた<ruby=ろかく>鹵獲</ruby>機が急いで戻ってきているみたいッ!」",
"370000721_37": "「ギッッッッッッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,17 @@
{
"370000722_0": "「無尽蔵に湧いてこなければ、たいした脅威でもないのよッ!」",
"370000722_1": "「姉さん、嬉しいのは分かるけど、\\n 笑いながら戦うのは怖いよ」",
"370000722_2": "「な、なによッ!\\n 隊員たちが無事で、嬉しいのは当然でしょッ」",
"370000722_3": "「まだ問題は何も解決していないのに……」",
"370000722_4": "「油断だけはしないでね」",
"370000722_5": "「分かってるわよッ!」",
"370000722_6": "「こちら艦橋奪還部隊。隊長、聞こえますか?\\n 先程、艦橋の制圧に成功しましたッ」",
"370000722_7": "「そう。お疲れ様。ナツミの身柄は拘束した?\\n 間違っても私刑紛いの行動は慎むようにッ」",
"370000722_8": "「それが……艦橋には数体の<ruby=ろかく>鹵獲</ruby>機が配備されていただけで\\n ヒメジマ班長の姿はありませんッ」",
"370000722_9": "「分かった。あなたたちは万一に備えて艦橋の守護。\\n 手が余るようなら、<ruby=ろかく>鹵獲</ruby>機の排除に回しなさい」",
"370000722_10": "「はッ! ですが、ヒメジマ班長の捜索は?」",
"370000722_11": "「それはこっちでやるわ」",
"370000722_12": "「了。隊長、お気を付けください。\\n 通信終わり」",
"370000722_13": "「姉さん、ナツミさんは……」",
"370000722_14": "「分かってる。\\n 問題が起こった時に彼女がいるのは、間違いなく研究室よ」"
}

View file

@ -0,0 +1,50 @@
{
"370000731_0": "「ナツミ、いるわよね?\\n これから入るけど、早まったことするんじゃないわよッ」",
"370000731_1": "「たッ!」",
"370000731_2": "「ナツミ、あんたの作戦は頓挫したわ。\\n 計画を即座に中断し投降しなさいッ」",
"370000731_3": "「<size=40>隊長ぉぉぉぉぉぉぉぉッ!</size>」",
"370000731_4": "「止まりなさいッ!\\n 下手に動くと攻撃するわよッ」",
"370000731_5": "「わ、隊長の大人バージョンッ!?\\n すごいギアっスねッ」",
"370000731_6": "「ナツミさん、ふざけている場合じゃありませんよ」",
"370000731_7": "「そうよナツミ、並行世界の統合なんて……。\\n あんた何考えてるのよ」",
"370000731_8": "「違うっスよ隊長」",
"370000731_9": "「動かないでッ!」",
"370000731_10": "「だから違うっスッ!\\n あたしがやったんじゃないっスよッ」",
"370000731_11": "「じゃあ誰がやったって言うの?」",
"370000731_12": "「剣を向けるのやめてほしいっス。\\n 真犯人はここっス」",
"370000731_13": "「ここ?」",
"370000731_14": "「どこよッ!?」",
"370000731_15": "「だからここっス」",
"370000731_16": "「ナツミさん、真面目に答えてちょうだい。\\n あなたの立場がどんどん悪くなるわよ」",
"370000731_17": "「だから違うんスッ!\\n 真犯人はこのコンピュータの中にいるっスッ」",
"370000731_18": "「このクーデターは、あたしが作ったA.I.『ララーダ』が\\n 起こしたことなんスよーッ」",
"370000731_19": "「あたしもこの部屋からずっと出られない状態だったっス」",
"370000731_20": "「通信機とドアの故障だと思ってて、のんびりしてたんスけど、\\n さすがに部屋置きの食料も心もとなくなって……」",
"370000731_21": "「仕方なく監視カメラをハッキングしたら、外で隊員たちが\\n <ruby=ろかく>鹵獲</ruby>機と戦ってたんで、遠隔でフォローしてたっスよ」",
"370000731_22": "「ひと段落した後、何かおかしいと思って、コンピュータを\\n 調べてみて、やっとこの子が悪さをしてたと知ったっス」",
"370000731_23": "「ナツミさん、外ではクーデターの首謀者になってますよ」",
"370000731_24": "「濡れ衣っスッ!\\n あたしは名前を使われただけなんスよッ」",
"370000731_25": "「…………」",
"370000731_26": "「隊長ぉぉぉぉ、信じてくださいっスッ!\\n 本当にあたしじゃないんスよぉぉぉぉッ」",
"370000731_27": "「信じてもらいたいなら、きちんと説明して。\\n なんの目的でそんなA.I.を作って、どうしてこうなったの?」",
"370000731_28": "「はじまりは模造デュプリケイターのテストだったっス。\\n 人間や動物を並行世界に送れなかったっスから……」",
"370000731_29": "「だったら機械を送り込んで、\\n 並行世界のデータを集めればいいと思ったっス」",
"370000731_30": "「それが自律型デュプリケイターなんですね」",
"370000731_31": "「調子に乗って百を超える並行世界に自律型デュプリケイターを\\n 送ったら、データの精査ができなくなったっス」",
"370000731_32": "「つまり、データの整理をするために\\n A.I.を作ったってわけ……?」",
"370000731_33": "「軽く言ってますけど、この人凄いです……」",
"370000731_34": "「いやぁ、そっちは専門分野っスからね。\\n 聖遺物とか哲学兵装なんかと比べたらかわいいものっスッ」",
"370000731_35": "「ナツミさん、話が脱線してますよ」",
"370000731_36": "「あ、はい。\\n それで並行世界のデータを分析させた上で……」",
"370000731_37": "「世界蛇に襲われた世界を元に戻す方法なんかを、\\n シミュレートさせてたんスけど……」",
"370000731_38": "「ある日を境に、どんどん方法論が過激になったっスッ!」",
"370000731_39": "「なにかキッカケがあったの?」",
"370000731_40": "「はい、隊長がこの部屋に来て、全て棄てろと言った日っス」",
"370000731_41": "「…………」",
"370000731_42": "「いくら片付けろと言っても片付けないから……、\\n 役に立たないものは、全部棄てろって言ったのよッ」",
"370000731_43": "「つまり……そのA.I.は、廃棄されるのを恐れて\\n 過激な手段ででも役に立とうとしたってこと」",
"370000731_44": "「そういうことっスッ!」",
"370000731_45": "「……分かった。わたしが悪いって言うのね……。\\n じゃあ責任を取って、そのA.I.をぶっ壊してあげるわッ!」",
"370000731_46": "「隊長、ダメっスッ!」",
"370000731_47": "「ギッギッ……」"
}

View file

@ -0,0 +1,25 @@
{
"370000732_0": "「この状況でわたしたちに攻撃してくるなんて\\n いい度胸だわッ」",
"370000732_1": "「ナツミ、そのコンピュータを貸しなさいッ!」",
"370000732_2": "「違うっスッ! これを壊しても……」",
"370000732_3": "「問答無用よッ!」",
"370000732_4": "「ああッ! あたしのコンピュータがッ!」",
"370000732_5": "「隊長、マズいっスッ!\\n ララーダがデータをどこかへ転送してるっスッ」",
"370000732_6": "「なんですってッ!\\n 早く止めなさいよッ」",
"370000732_7": "「入力装置も壊れたから干渉ができなくなったっスよッ!\\n ……ああッ 完全に逃げられてしまったっス……」",
"370000732_8": "「今度はなんなのよッ!」",
"370000732_9": "「隊長、艦周辺の上空にひび割れ……、\\n いや次元の歪みが多数出現ッ」",
"370000732_10": "「乱れた気流に煽られた浮遊機雷が艦に接触しましたッ!」",
"370000732_11": "「もうッ! 次から次へと……」",
"370000732_12": "「大変ですッ!\\n 艦尾の機関室周囲の外壁が損傷したようですッ」",
"370000732_13": "「姉さんッ!\\n 機関室の中にはまだ数名の隊員が囚われてるよ」",
"370000732_14": "「大丈夫よ。\\n 浮遊機雷で中の人間がどうこうなる程、ヤワな艦じゃないわ」",
"370000732_15": "「機関室は外壁に損傷を感知すると、デュプリケイターや\\n 動力炉を火災から護るために、真空状態になるっス……」",
"370000732_16": "「――ッ!\\n そうだったわね……ッ」",
"370000732_17": "「わたしも姉を追いますッ!」",
"370000732_18": "「艦の周辺に次元の歪みが現れたと言ってたわね……」",
"370000732_19": "「ララーダが作戦を開始させたのでしょうか……」",
"370000732_20": "「そうっスッ!\\n あの子には人間の心の機微はまだ分からないっス」",
"370000732_21": "「故郷や大切な人を失っても、並行世界の同一存在で補えば\\n 人間は元通りの幸せを感じると、本気で思ってるっスよ」",
"370000732_22": "「お願いっスッ!\\n ララーダを止めてくださいっスッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,55 @@
{
"370000811_0": "アイディアル・シェイプ",
"370000811_1": "エアーキャリアー機関室、数分前――",
"370000811_2": "「ねぇ、みんなは無事だと思う?」",
"370000811_3": "「しばらく誰もここに運び込まれてこないし、\\n 案外、艦の制圧もそろそろ終わるんじゃねぇか」",
"370000811_4": "「クライマックスに捕まってる私らって……」",
"370000811_5": "「確かに締まらねぇな……」",
"370000811_6": "「フフッ……」",
"370000811_7": "「なんだッ!?」",
"370000811_8": "『警告、機関室外部の装甲に損傷を確認しました。\\n 当ブロックは火災発生を防止するため……』",
"370000811_9": "『真空状態へと移行します。\\n 作業員はただちに退避してください。繰り返し警告……』",
"370000811_10": "「マズいわッ!」",
"370000811_11": "「おい、みんなッ!\\n 急いでここを出ないとッ」",
"370000811_12": "「誰かッ!\\n ドアを開けてくれッ」",
"370000811_13": "「おーい、私たちまだ中にいるわッ!\\n この際<ruby=ろかく>鹵獲</ruby>機でもいいから、お願い開けてッ!」",
"370000811_14": "「お願<size=28>い……</size><size=25>開け……</size>」",
"370000811_15": "「おいッ! しっかりしろッ!",
"370000811_16": " お、<size=28>おい…………</size>」",
"370000811_17": "「やっぱりロックされてる……。\\n セレナ、このドアはぶち壊せないのッ」",
"370000811_18": "「この艦で一番装甲の厚い扉だから、\\n 壊すには時間が掛かると思う……」",
"370000811_19": "「ナツミ、聞こえる?」",
"370000811_20": "「隊長、どうしたんスか?」",
"370000811_21": "「機関室のドアを開いてッ! 至急よッ!」",
"370000811_22": "「えッ!? ち、ちょっと待つっスッ!」",
"370000811_23": "「隙間程度しか開いてないわよッ!」",
"370000811_24": "「こちらからは、開いてることになってるっスッ!」",
"370000811_25": "「姉さん、ドアの内側に何か詰まってるみたい」",
"370000811_26": "「中は真っ暗なのに、なんで分かるのよッ!?」",
"370000811_27": "「これは……怪盗型ギアの暗視機能だよ。\\n だけど、この隙間はわたしでは通れない……ッ」",
"370000811_28": "「わたしが入るッ!\\n セレナ、外から指示お願いッ」",
"370000811_29": "「はい、気を付けてッ!」",
"370000811_30": "「真っ暗で何も見えない……」",
"370000811_31": "「なッ!? 今の衝撃でドアが閉じたッ!?\\n セレナ――」",
"370000811_32": "「ギッ……ギッ……」",
"370000811_33": "(――部屋の中に<ruby=ろかく>鹵獲</ruby>機がいるッ!?)",
"370000811_34": "(だけど、襲い掛かってこないという事は、\\n <ruby=ろかく>鹵獲</ruby>機からもわたしが見えてないってこと?)",
"370000811_35": "「姉さんッ! 大丈夫ッ!?」",
"370000811_36": "「ギッ……ギッ……」",
"370000811_37": "(何も見えないし、声も上げられない……。\\n 早くドアを開けなければいけないのにッ",
"370000811_38": "(ダメだわ……こんなことしてる間に、隊員たちの命がッ!\\n こんな時……あの人なら……",
"370000811_39": "「妹さんに言われて、あなたの救出に来たわ」",
"370000811_40": "(不安でたまらなかった時に颯爽と現れて……、\\n 鮮やかにわたしの拘束を解いて、助け出してくれた",
"370000811_41": "(それなのに……、\\n 酷いことを言った",
"370000811_42": "(あの人の強さは、妹を犠牲にして手に入れたものだと……。\\n そんな強さなら、いらないとまで言った",
"370000811_43": "(もちろん本音じゃない。\\n わたしは、あの強さがうらやましかったのよ",
"370000811_44": "(それなのに、酷い暴言を咎めることもしないで……。\\n わたしを責めるどころか、心配して……",
"370000811_45": "(こんな危険な場所にまで付いてきてくれたあの人みたいに、\\n わたしだって、本当はあんな風に強くありたいのにッ",
"370000811_46": "(違うッ! 憧れているだけじゃダメよッ!\\n わたしにも……きっとできるッ",
"370000811_47": "(隊員たちを救い出してみせるッ!)",
"370000811_48": "(見えるッ! それに身体が軽いッ!\\n わたしのギアも……怪盗型に心象変化した",
"370000811_49": "「これならやれるわッ!」",
"370000811_50": "「ギッ!?」",
"370000811_51": "「悪いけど時間がないのッ!\\n 即スクラップになってもらうわよッ」",
"370000811_52": "「ギシャァァァァァァッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,22 @@
{
"370000812_0": "「わたしの身のこなしに、\\n ついてこられるかしらッ」",
"370000812_1": "「姉さんッ! 何があったのッ!?\\n ――そのギアはッ か、かわいい……」",
"370000812_2": "「うん……心象変化できちゃったみたい。\\n でも、今はそんなことよりッ」",
"370000812_3": "「みんな、もう大丈夫よッ!」",
"370000812_4": "「…………」",
"370000812_5": "「そんな……間に合わなかったって言うの……?」",
"370000812_6": "「返事を……返事をしてくださいッ!」",
"370000812_7": "「……う……ううッ……」",
"370000812_8": "「姉さんッ! まだ息があるよッ!」",
"370000812_9": "「あ……アハハッ! よかった……」",
"370000812_10": "「隊長ッ! ……って、どうしたっスかその恰好はッ!?」",
"370000812_11": "「う、うるさいッ!」",
"370000812_12": "「そんなことより、\\n 用があってここに来たんじゃないのッ」",
"370000812_13": "「あ、そうっス。大人バージョンの隊長と、子供バージョンの\\n 副隊長が、ララーダを追って行ったっスッ」",
"370000812_14": "「場所は?」",
"370000812_15": "「多分、工作室っス」",
"370000812_16": "「分かった。\\n セレナ、わたしたちも行こうッ」",
"370000812_17": "「うんッ!\\n ナツミさん、ここはお願いしますッ」",
"370000812_18": "「あ、隊長ッ!\\n これを持って行くっスッ」",
"370000812_19": "「これは……?」"
}

View file

@ -0,0 +1,18 @@
{
"370000821_0": "エアーキャリアー工作室、同時刻――",
"370000821_1": "「ナツミさんは、ララーダのデータはこの部屋のコンピュータに\\n 転送されたはずだと言っていたけど……」",
"370000821_2": "「マリア姉さんッ!\\n あの機械、何かを組み立ててるみたい」",
"370000821_3": "「あれはッ!\\n ララーダが自分のための身体を作っている……」",
"370000821_4": "「――ッ!?",
"370000821_5": " それは止めないとッ!」",
"370000821_6": "「そうね。\\n 急ぎましょうッ」",
"370000821_7": "「これは、障壁……ッ!?」",
"370000821_8": "「わたしたちを近づけないようにしてるのッ!?」",
"370000821_9": "「マズいわッ!\\n どんどん組みあがっていくッ」",
"370000821_10": "「でもこれ、通れないよッ!」",
"370000821_11": "「止まった……?」",
"370000821_12": "「違う。\\n 終わったのよ」",
"370000821_13": "「排除開始」",
"370000821_14": "「来るわよッ!」",
"370000821_15": "「あなたを自由にさせるわけにはいきませんッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,19 @@
{
"370000822_0": "「これでどうッ!?」",
"370000822_1": "「――攻撃が全然通らないッ!?」",
"370000822_2": "「なんなのよ? この障壁はッ!」",
"370000822_3": "「でも……、\\n こんなボディまで用意して、何をしようとしてるんだろう」",
"370000822_4": "「計画を邪魔された腹いせに、艦を沈めようとでも言うの?」",
"370000822_5": "「S.O.N.G.のおふたりさん、聞こえるっスか?\\n あたしっス、ナツミっスッ」",
"370000822_6": "「S.O.N.G.に所属してるのはわたしだけよ」",
"370000822_7": "「F.I.S.のセレナです」",
"370000822_8": "「あ、そっスか……失礼しました。\\n でも今はどうでもいいっス」",
"370000822_9": "「もしかして、そこにいるごっついのは、\\n ララーダっスかね」",
"370000822_10": "「そうだと思うわ。\\n あんなボディを作った理由は分からないけど……」",
"370000822_11": "「ララーダは、まだ作戦を諦めてないっス。\\n 自律型デュプリケイターたちにアクセスを続けてるっス」",
"370000822_12": "「じゃあ、わたしたちに邪魔をさせないように\\n あのボディを作ったんでしょうか」",
"370000822_13": "「あんな強力な障壁を張っている理由も、それなら納得ね」",
"370000822_14": "「障壁? バリアっスか?\\n その対応はちょっとこっちで考えてみるっス」",
"370000822_15": "「隊長たちも向かってるはずっスから\\n 合流してなんとか止めてほしいっスッ」",
"370000822_16": "「なるべく頑張ってみるわ」"
}

View file

@ -0,0 +1,21 @@
{
"370000911_0": "浮城に舞う怪盗姉妹W",
"370000911_1": "「さっきナツミさんから何を預かったの?」",
"370000911_2": "「ララーダに修正プログラムを転送するための\\n レシーバーって言ってたわ」",
"370000911_3": "「そのレシーバーを取り付けられれば、\\n あとはナツミさんがなんとかしてくれそうだね」",
"370000911_4": "「そんなに上手くいくかしら……」",
"370000911_5": "「あれ何ッ!?\\n まさか、あれが……」",
"370000911_6": "「姉さん、あそこ。\\n マリアさんたちが戦ってるッ」",
"370000911_7": "「一体どうすれば……」",
"370000911_8": "「いつの間にか、次元の歪みがまた増えてる……。\\n これはもう、絶唱で路を拓くしか……」",
"370000911_9": "「それはダメッ!」",
"370000911_10": "「だけど、放置していたら\\n 多くの世界が消滅してしまうかも知れないのよッ」",
"370000911_11": "「うッ! なにするのよッ!」",
"370000911_12": "「バカなのッ!?\\n まだジョーカーを切る場面じゃないでしょッ」",
"370000911_13": "「その姿、怪盗ギアに心象変化したんですね」",
"370000911_14": "「う、うん……必要に駆られたのよッ!」",
"370000911_15": "「おふたりとも、お待たせしました」",
"370000911_16": "「そっちはうまくいったのね?」",
"370000911_17": "「ええ。隊員たちはみんな無事よ」",
"370000911_18": "「よかった……。\\n じゃあ後は、ララーダを止めるだけですねッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,57 @@
{
"370000912_0": "「これならッ!」",
"370000912_1": "「いっけぇッ!」",
"370000912_2": "「まだですッ!」",
"370000912_3": "「ハァ……ハァ……これだけ攻撃しても無傷なんて……。\\n エクスドライブ化でもしない限り、やはり絶唱でしか……」",
"370000912_4": "「本当にそれしかないなら、わたしが唄うのが筋なんじゃない?\\n ここはわたしの艦で、護るべきはわたしの家族なんだから」",
"370000912_5": "「……勝手な話だけど、\\n あなたたち姉妹のどちらかが欠けるのは見たくないわ」",
"370000912_6": "「ほんっっっとに勝手ねッ!」",
"370000912_7": "「Answer_mode」",
"370000912_8": "「アナタたちは、誰も欠けない。\\n 壊れても、並行世界からスペアを取り寄せる」",
"370000912_9": "「喋ったッ!?」",
"370000912_10": "「壊れてもって……」",
"370000912_11": "「これがナツミさんの言ってたララーダの作戦?」",
"370000912_12": "「失くしたものは再収得し、壊れたものは修理する。\\n 再生産活動を妨げないための、当然の義務である」",
"370000912_13": "「人間の脳細胞はナイーブで、シナプスの揺らぎは乱数が\\n 多すぎるため、バックアップ不能……理解」",
"370000912_14": "「但し、並行世界にスペアがいくらでも存在する。\\n 問題は移動に多大な労力を要すること」",
"370000912_15": "「問題が明確であれば、解決もまた明確。\\n 並行世界を融合させ、スペアを使い易い場所に置けば良い」",
"370000912_16": "「アナタたちは、何故邪魔をする?」",
"370000912_17": "「そんなの決まってるじゃないッ!\\n あんたのやり方が気に食わないからよッ」",
"370000912_18": "「回答不明瞭……。\\n APPLEは故郷を失って辛いのではなかったのか」",
"370000912_19": "「故郷を失って辛くない人なんていませんッ!\\n でも、だからこそわたしたちAPPLEは支え合うのですッ」",
"370000912_20": "「回答不明瞭……。\\n 本来支える人を失って後悔しているのではなかったのか」",
"370000912_21": "「スペアを用いて、失ったことをなかったことにできる」",
"370000912_22": "「後悔はいつもしていますッ!\\n でも同じ間違いをしないように成長したいんですッ」",
"370000912_23": "「なかったことになんて、したくないんですッ!」",
"370000912_24": "「回答不明瞭……成長、折り合いを付ける、乗り越える……。\\n それは記憶のデフラグ。つまり思い出し難く封印するだけ」",
"370000912_25": "「忘れ去りたい辛い記憶を、脳の非活性領域に追いやり、\\n 心に蓋し、我慢し、強がっているだけではないのか」",
"370000912_26": "「わたしは……ッ!」",
"370000912_27": "「マリア姉さん……」",
"370000912_28": "「並行世界のセレナに会う度に、\\n 本当の妹のセレナを思い出してしまう」",
"370000912_29": "「APPLEの人に再会したら、羨ましくなって、\\n セレナが死んでなかった未来を妄想してしまう」",
"370000912_30": "「わたしは、本当は乗り越えられていないのかも知れない。\\n そいつの言う通り、強がっているだけかも知れない」",
"370000912_31": "「あんたバカなのッ!? 大切な人の死を乗り越えるのと\\n その存在を忘れ去ってしまう事は別よッ」",
"370000912_32": "「あんたは、顔や、声や、姿かたちが似てる人に会ったから\\n 妹を思い出すのッ そんなわけないでしょッ」",
"370000912_33": "「マリアさん、大切な人であればこそ思い出して、\\n 懐かしむのは人として当たり前の行為ではないですか」",
"370000912_34": "「思い出すキッカケがどうであれ、常に心に留めているから\\n 大切な人と呼ぶのではないでしょうか」",
"370000912_35": "「…………」",
"370000912_36": "「セレナさん、遠慮してはダメですッ!」",
"370000912_37": "「そうよッ! ガツンと言ってあげなきゃダメよッ!」",
"370000912_38": "「――ッ!",
"370000912_39": " マリア姉さん」",
"370000912_40": "「出会った人や仲間と、将来どういう関係になりたいのか\\n 考えるのは……いけないことなのかな……」",
"370000912_41": "「望む未来を妄想して、そこに近づくために努力する。\\n 仲間との絆って、そこから結ばれていくんじゃないかな」",
"370000912_42": "「――ッ!」",
"370000912_43": "「ナツミ・ヒメジマの問い。\\n 不幸な人類を救済する方法に対する解をワタシは実行する」 ",
"370000912_44": "「だから、そこは何回も否定してるっスッ!\\n 成功率が低くて、今よりもっと不幸になる人が増えるっスッ」",
"370000912_45": "(前にも言われた……、\\n 実の姉妹じゃないことを意識しすぎている",
"370000912_46": "(わたしは、失ったセレナにかこつけて、無意識に深入りを避け、\\n 目の前の仲間たちをないがしろにしていた……",
"370000912_47": "「わたしは……不幸じゃないッ!\\n こんなに大切な仲間に巡り会えているんだからッ」",
"370000912_48": "「だったら、絶唱を唄うなんて言い出さないで、\\n ちゃんとわたしたちに向き合いなさいよッ」",
"370000912_49": "「アナタたちは、人類の救済を阻む破滅願望の持ち主。\\n 即ち、人類に仇なす存在と認定。排除開始する」",
"370000912_50": "「隊長たち、避けながら聞いてくださいっス」",
"370000912_51": "「フォニックゲインが十分にあれば、\\n エクスドライブになれるっスか」",
"370000912_52": "「そんな簡単な問題じゃ……」",
"370000912_53": "「なれるわッ!」",
"370000912_54": "「だったらあたしの頭脳をオーバーヒートさせてでも、\\n どうにかしてみせるっスッ 科学的にッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,31 @@
{
"370000921_0": "「ナツミさん、フォニックゲインの研究には\\n いつも頭を抱えてたじゃないですか」",
"370000921_1": "「そうよッ! どうにかなるもんじゃないでしょうッ!?」",
"370000921_2": "「エクスドライブになれたら、バリアを破れるんスよね?」",
"370000921_3": "「あの程度のバリアなら破れるはずッ!」",
"370000921_4": "「なら、どうにかするしかないっスねッ!」",
"370000921_5": "「ナツミ、本当にどうにかできるのねッ!?」",
"370000921_6": "「専門分野じゃないので、正直なところ分からないっス」",
"370000921_7": "「ちょっとナツミさん、ふざけてる場合じゃ……」",
"370000921_8": "「フォニックゲインが歌から発せられるエネルギーである以上、\\n 科学的に増幅する方法があるはずっス」",
"370000921_9": "「よく聞いて、言うとおりに動いてほしいっス。\\n まずはその部屋を減圧して、少し室温を上げるっス」",
"370000921_10": "「ちょっと苦しいかも知れないっスけど、これで音の振動と\\n 屈折率の効率を最適化したっス」",
"370000921_11": "「次に音圧の計算が……、\\n みなさんの歌声がだいたいdBなので……」",
"370000921_12": "「副隊長とS.O.N.G.のおふたりで、mの正三角形状に\\n 並んでほしいっス」",
"370000921_13": "「ちょっと、わたしはッ!?」",
"370000921_14": "「隊長は準備が終わるまで、みなさんが攻撃されないよう\\n ララーダの攻撃を捌いてほしいっス」",
"370000921_15": "「くッ! 仕方ないわッ!\\n 急いでよねッ」",
"370000921_16": "「副隊長たちは、フォニックゲインを右隣の人に再配置、\\n 受けた人はアガートラームの調律機能で右隣に受け渡し」",
"370000921_17": "「これを繰り返してほしいっス」",
"370000921_18": "「なるほど、3人のアガートラームで、\\n フォニックゲインのベクトル操作を……」",
"370000921_19": "「じゃあ、わたしから始めるわよッ!\\n セレナ、受け止めてッ」",
"370000921_20": "「はいッ!\\n 次、お願いしますッ」",
"370000921_21": "「しっかりッ!」",
"370000921_22": "「きついッ……けどッ!」",
"370000921_23": "「みんなのために……頑張るッ!」",
"370000921_24": "「亜光速に達したっスッ!\\n 隊長、みなさんが循環させてるフォニックゲインを突くっス」",
"370000921_25": "「簡単に言ってくれるわねッ!」",
"370000921_26": "「……そこよッ!」",
"370000921_27": "「これでアスピレーター原理で圧縮された\\n フォニックゲインが増幅するはず……成功っスッ」",
"370000921_28": "「しっかり受け取ったわッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,28 @@
{
"370000931_0": "「この膨大なエネルギー量はッ!\\n 危険、危険……」",
"370000931_1": "「Question_mode」",
"370000931_2": "「アナタたちをDNAスキャンした結果、染色体一致。\\n 98%の可能性で、本人及び姉妹と判定」",
"370000931_3": "「アナタたちはなんらかの方法で、並行世界のスペア入手済み。\\n 他者との優位性を維持するため、ワタシを邪魔するのか」",
"370000931_4": "「自分たちだけ幸せならそれでいいのか?\\n 計画を発動すると、その幸福を全人類が享受できると……」",
"370000931_5": "「黙ってッ!\\n わたしは確かに並行世界の自分や妹に出会い支えられたわ」",
"370000931_6": "「だけど、未だかつてスペアだなんて、\\n 本当のセレナの身代わりだなんて考えたことはないわッ」",
"370000931_7": "「マリア姉さん……みんな……一緒に戦ってくれる?\\n 家族の、絆の力をこの人に見せたいの」",
"370000931_8": "「セレナ、本当にいいの?\\n わたしはあなたの姉じゃ――」",
"370000931_9": "「ごめんなさいッ!」",
"370000931_10": "「え……ッ!」",
"370000931_11": "「本当は、知ってた」",
"370000931_12": "「ただいま、セレナ。\\n ついでにご飯を買ってきたから、一緒に――」",
"370000931_13": "「姉さんッ! わたしと一緒に、泥棒になってッ!」",
"370000931_14": "「狙った獲物は逃がさない――」",
"370000931_15": "「わたしたちは、『怪盗ファントムシスターズ』ッ!」",
"370000931_16": "「ちょ、ちょっと、何やってるのよッ!?\\n 降ろしなさいッ」",
"370000931_17": "「わたしはマリア姉さんが大好きッ!\\n 小さくても大きくても、そんなの関係ないよッ」",
"370000931_18": "(わたしは、この子たちに出会えて、\\n 支えられて、本当に幸運だった",
"370000931_19": "(そして何よりも……)",
"370000931_20": "「わたし……唄うよ」",
"370000931_21": "「わたしの絶唱で、ネフィリムを起動する前の状態に\\n リセットできるかもしれないの」",
"370000931_22": "「ギアを纏う力はわたしが望んだモノじゃないけど、この力で、\\n みんなを守りたいと望んだのは、わたしなんだから」",
"370000931_23": "(血を分けた、本当の妹のセレナ。\\n あの子の決意を、決断を……生きた証をッ",
"370000931_24": "「嘆き、悲しんで……、",
"370000931_25": " わたしが否定するわけにはいかないからッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,18 @@
{
"370000932_0": "「隊長ッ! 今っスッ!\\n レシーバーをララーダの身体にッ」",
"370000932_1": "「分かったッ!\\n わたしに任せてッ」",
"370000932_2": "「ナツミ、ララーダの体内にレシーバーをぶち込んだわよッ!」",
"370000932_3": "「ララーダの通信ポートが開いたのを確認したっスッ!\\n 修正プログラムを転送ッ」",
"370000932_4": "「人間は不可解……ネガティブな情報を保持し続け、\\n 傷ついた肉体の交換を躊躇う」",
"370000932_5": "「古い物に思い入れ……否、想いがあるから保持を続ける……。\\n 不可解、不可解、不可解、不可解」",
"370000932_6": "「不可解、不可解……否、理解。幸福は与えられる物に非ず。\\n 自ら手に入れた……物のみを認める……理……解……」",
"370000932_7": "「これで、本当に……終わり?」",
"370000932_8": "「マリア姉さん、見てッ!」",
"370000932_9": "「もう……大丈夫みたいです」",
"370000932_10": "「並行世界に向けて送られていたララーダの通信も途絶したっス」",
"370000932_11": "「なんとか最悪の事態は免れたみたいね」",
"370000932_12": "「早く隊員のみんなにも知らせて、\\n 安心させてあげてあげないとだね」",
"370000932_13": "「ええ。すぐに全員を集めて、終息の報告をするわ。\\n それと……ナツミのやつにどんな罰則を与えようかしら」",
"370000932_14": "「ええッ!? あたし結構活躍したっスよッ!\\n 控えめに言って、プラマイゼロっスよッ」",
"370000932_15": "「言っとくけど、あんたの作ったものが元凶だからねッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,55 @@
{
"370001011_0": "狂騒の果て",
"370001011_1": "「諸君。特殊部隊APPLE隊長マリア・カデンツァヴナ・イヴは、\\n 命の限り、諸君らの故郷世界の復興に尽くすことを誓うッ」",
"370001011_2": "「わたしが、部隊設立憲章を放棄することなど、\\n 未来永劫起こりえないことだと信じてほしい」",
"370001011_3": "「副隊長セレナ・カデンツァヴナ・イヴの名において\\n 隊長の言に倣いますッ」",
"370001011_4": "「俺たちも、もう二度と隊長たちを疑わないと誓いますッ!」",
"370001011_5": "「私たち隊員一同も、隊長の命に従い、\\n 自分たちの故郷の復興に尽くすと誓いますッ」",
"370001011_6": "「<size=40>誓いますッ!</size>」",
"370001011_7": "「結局、最初の発令書に付いていた動画はなんだったのですか?\\n これまでやってきたことを放棄すると言ってましたが……」",
"370001011_8": "「もう……これ以上は無理なのよッ!」",
"370001011_9": "「隊長ッ!今辞めたら、あたしたちのこれまでの努力が\\n 水の泡になるっスッ」",
"370001011_10": "「知らないわよッ!」",
"370001011_11": "「そんなぁ……いくら隊長でも冷たすぎるっスッ!\\n なんとか考え直してほしいスッ」",
"370001011_12": "「ナツミ、聞き分けなさいッ!\\n これは隊長命令よッ」",
"370001011_13": "「はぁ……あれは、いくら言っても片付けない\\n ナツミの研究室に貯めこまれたガラクタのことよ」",
"370001011_14": "「ガラクタじゃないっスッ!\\n れっきとした発明品っスよッ」",
"370001011_15": "「今回の事件も、あたしの発明品のおかげで\\n 解決したっスよッ」",
"370001011_16": "「あんたもしつこいわね。\\n それで、今回の事件を引き起こしたのは」",
"370001011_17": "「……それもあたしの発明品っス」",
"370001011_18": "「それは擁護できないねッ!」",
"370001011_19": "「ナツミ・ヒメジマ技術班長ッ!」",
"370001011_20": "「はッ!」",
"370001011_21": "「今回の騒乱を引き起こした罰として、\\n 向こう年間の、研究室及び甲板掃除を言い渡すッ」",
"370001011_22": "「そんなぁ……」",
"370001011_23": "「今回の事は、簡単に信じちまった俺らにも責任がある。\\n みんなで手伝ってやろうぜッ」",
"370001011_24": "「おおーッ!」",
"370001011_25": "「それで隊長……ワタシは、やはり廃棄される?」",
"370001011_26": "「棄てられたくないなら、役に立ちなさいッ!」",
"370001011_27": "「ララーダも必死ですね……」",
"370001011_28": "「隊長、チェスでもいかがですか?」",
"370001011_29": "「そうね……将棋なら考えてあげるわッ!」",
"370001011_30": "「この度は、あたしのせいでS.O.N.G.のみなさんには\\n 本当にご迷惑をおかけしたっス」",
"370001011_31": "「スミマセンでした」",
"370001011_32": "「本当にお世話になったわ」",
"370001011_33": "「マリアさん、セレナさん、ありがとうございました。\\n おふたりがいなかったらどうなっていたことか……」",
"370001011_34": "「気にしなくていいわよ。\\n 新たに出会った仲間……と、そのうるさい姉だしね」",
"370001011_35": "「何よ仲間の姉ってッ! しかもうるさいってッ!」",
"370001011_36": "「分かったわよ。じゃああなたも仲間でいいわ」",
"370001011_37": "「最初からそう言いなさいよ。素直じゃないわねッ!」",
"370001011_38": "「変に遠慮なんかしちゃダメですよ。\\n いつまでも仲良くいてくださいね」",
"370001011_39": "「はい。今回の事件で、わたしでもマリア姉さんの\\n 役に立てるって自信がつきました」",
"370001011_40": "「あなたの存在は、マリアさんにとっての\\n 立派な支えになっています。あまり気負わないでくださいね」",
"370001011_41": "「はいッ!」",
"370001011_42": "「では、またいつか……」",
"370001011_43": "「なにかあったら、すぐに駆けつけてあげるわッ!」",
"370001011_44": "「あッ! そう言えば、\\n 他の並行世界の組織との協議はどうなるんですか」",
"370001011_45": "「計画は阻止したんだから、超長距離からいきなり\\n 砲撃とかやめてよねッ」",
"370001011_46": "「許可は貰ったって言ったでしょ?\\n 時間だけ、猶予をもらってたのよ」",
"370001011_47": "「各組織に連絡後、集合するだけでもそれくらいはかかるもの」",
"370001011_48": "「マリア姉さん、プレッシャーを与えたくないからって\\n 詳細は黙ってたんですよ」",
"370001011_49": "「24時間以内に阻止できなかった場合は、エアーキャリアーごと\\n 盗み出して、向こうの世界に渡るつもりだったけどね」",
"370001011_50": "「つもりって……そんなこと出来るわけないでしょッ!?」",
"370001011_51": "「できるわよ。\\n だってわたしたち……」",
"370001011_52": "「<size=40>ファントムシスターズだ(です)からッ!</size>」"
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@ -0,0 +1,54 @@
{
"370001111_0": "怪盗は眠らない",
"370001111_1": "「わたしは将棋初心者なんだから、\\n 少しは手加減してくれてもいいのに……」",
"370001111_2": "「わたしが楽しめることをしたいって言ったのはセレナじゃない。\\n 手加減なんてしたら、全然楽しくないわ」",
"370001111_3": "「確かに遠慮されても嫌なんだけど、\\n あそこまでコテンパンにやられるとは思わなかったよ……」",
"370001111_4": "「お久しぶりっスッ!」",
"370001111_5": "「――ッ!?」",
"370001111_6": "「それで、自律型デュプリケイターが、いろんな並行世界に、\\n 知られてはいけない情報をバラまいてしまったんですか」",
"370001111_7": "「ええ。公になったら極秘情報を巡って争いになったり、\\n 世界によっては、文明のブレイクスルーが起こったり……」",
"370001111_8": "「その程度だけどねッ!」",
"370001111_9": "「大問題ね」",
"370001111_10": "「隊長、これ以上虐めないでくださいっスッ!」",
"370001111_11": "「それで、そのデータを回収するついでに顔を見せてくれた……、\\n ってわけではなさそうね」",
"370001111_12": "「助けてくださいッ!\\n このままだと年単位で甲板掃除させられるっスッ」",
"370001111_13": "「そこはお二方を世紀の大泥棒と見込んでッ!」",
"370001111_14": "「違いますッ! 大怪盗ですッ!」",
"370001111_15": "「ちょっとわたしたちに頼りすぎじゃない?」",
"370001111_16": "「だって、何かあったら駆けつけるって言ったじゃないッ!」",
"370001111_17": "「…………」",
"370001111_18": "今夜、御社サーバーのデータを頂きに参上します。",
"370001111_19": "怪盗ファントムシスターズ",
"370001111_20": "「今日も華麗に盗み出しましたねッ!」",
"370001111_21": "「それで……あと何件残ってるの?」",
"370001111_22": "「はい、えっと残り2869件です」",
"370001111_23": "「ゴールはまだまだ見えませんね」",
"370001111_24": "「分かり切ってるんだから、毎回聞かなきゃいいじゃない……」",
"370001111_25": "「そこまでよッ!」",
"370001111_26": "「意外にいい勘してるのよね。この人」",
"370001111_27": "「ふざけた予告状なんて送ってきて……。\\n あなたたちは一体何者なのッ」",
"370001111_28": "「あッ! 少し待ってくださいね」",
"370001111_29": "「えッ!? まぁ……少しくらいなら……」",
"370001111_30": "「どうしますか? ユニット名」",
"370001111_31": "「ユニット名なんてあるんですか?」",
"370001111_32": "「前のままでいいんじゃないかしら……」",
"370001111_33": "「ちょっと待ってよ。\\n メンバー増えたんだから、ユニット名変えないッ」",
"370001111_34": "「『ファントムシスターズ[Another]』などでしょうか?」",
"370001111_35": "「なんかピンと来ないわねぇ……。\\n むしろ『ファントムカルテット』なんてどう」",
"370001111_36": "「『ファントムシスターズW』なんてどうかな?」",
"370001111_37": "「それよッ!」",
"370001111_38": "「いいですね」",
"370001111_39": "「まぁ、それくらいなら……」",
"370001111_40": "「待たせたわねッ!」",
"370001111_41": "「早くしてくれないかしら?」",
"370001111_42": "「鮮やかに、華麗にッ!」",
"370001111_43": "「神出鬼没にして正体不明ッ!」",
"370001111_44": "「夜空より音も無く舞い降りる……4輪の花束ッ!」",
"370001111_45": "「狙った獲物は逃がさない――」",
"370001111_46": "「<size=40>わたしたちは、『怪盗ファントムシスターズW』ッ!</size>」",
"370001111_47": "「増量ッ!?\\n 予告状から変えちゃダメなんじゃないのッ」",
"370001111_48": "「今、改名したのよ。\\n これから、よろしくねッ」",
"370001111_49": "「逮捕した後でよろしくしてあげるわッ!」",
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"370001111_51": "「ま、待ちなさいッ!」"
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