data: update everything

and add keys so i don't have to deal with old shit later
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louis 2018-10-20 23:56:30 -04:00
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@ -0,0 +1,52 @@
{
"304000111_0": "翳る太陽",
"304000111_1": "「はぁぁぁぁ――――ッ!」",
"304000111_2": "「周辺住民の避難状況はッ!?」",
"304000111_3": "「2ブロック先の老人介護施設の避難が遅れている。\\n あと最低分、現エリアにイズを拘束してくれ」",
"304000111_4": "「了解しました」",
"304000111_5": "「それで、どうするのかしら?」",
"304000111_6": "「……そうだな」",
"304000111_7": "「この先の介護施設の避難が完了していないらしい。\\n 敵をこの場に分以上足止めしなければならないのだが……」",
"304000111_8": "「じーちゃんばーちゃんに急げっつっても無理だろーしな。\\n 要するに、ここを抜かれなきゃいいんだろ」",
"304000111_9": "「ああ。恩に着る」",
"304000111_10": "「それで、どうする?」",
"304000111_11": "「敵はわたしたち2人の存在にはまだ気づいていないはず。\\n 三方から同時にたたみ掛けましょう」",
"304000111_12": "「伏兵による奇襲作戦か。囮役が一番危険だが……」",
"304000111_13": "「構わない。元よりこの身ひとつで戦う身。\\n 今さら己の命を的にすることなど厭いはせん」",
"304000111_14": "「まったく、こっちでも全然、変わんねーな」",
"304000111_15": "「どういうことだ?」",
"304000111_16": "「いいえ、こっちの話よ。\\n それより時間がないわ。早く始めましょう」",
"304000111_17": "「あ、ああ。承知した」",
"304000111_18": "「おらおらおら――――ッ!」",
"304000111_19": "「はぁぁぁぁ――――ッ!」",
"304000111_20": "「ここから先には行かせはせんッ!」",
"304000111_21": "「はぁぁぁぁ――――ッ!」",
"304000111_22": "「しまったッ! 取りこぼしたッ!!」",
"304000111_23": "「まずい、翼のところから突破されるわッ!!」",
"304000111_24": "「ちいッ! 当ったれ――――――ッ!!」",
"304000111_25": "「ふう……なんとか無事に殲滅できたわね」",
"304000111_26": "「ちょっとばかし、ヒヤッとしたとこもあったけどな」",
"304000111_27": "「面目ない……不甲斐ないところを見せた」",
"304000111_28": "「仕方ねーって。付け焼き刃のコンビネーションじゃな」",
"304000111_29": "「翼ッ! 新たなノイズの反応を多数検知したッ!\\n 例の介護施設の近くだッ」",
"304000111_30": "「なッ!? すぐ向かいますッ!」",
"304000111_31": "「どうしたの?」",
"304000111_32": "「件の介護施設の近傍に、新手のノイズが現れたそうだ」",
"304000111_33": "「はぁッ!? ふざけんなってッ!!」",
"304000111_34": "「急ぎましょうッ!!」",
"304000111_35": "「くッ……間に合ってくれッ!!」",
"304000111_36": "「お婆ちゃん、こっちへッ!」",
"304000111_37": "「わ、わたしのことはいいからお逃げなさいッ」",
"304000111_38": "「そんなわけには行きませんよッ!」",
"304000111_39": "「ひいッ!?」",
"304000111_40": "「きゃあああ――ッ!!」",
"304000111_41": "「く――ッ!」",
"304000111_42": "「こっからでも無理矢理当てて見せるッ!!」",
"304000111_43": "「待って、誰かいるッ!?」",
"304000111_44": "「あいつは――ッ!?」",
"304000111_45": "「立花、響……」",
"304000111_46": "「また、あいつか……」",
"304000111_47": "「またって……どういうことだ?」",
"304000111_48": "「詮索は後よッ! わたしたちも加勢しましょうッ!」",
"304000111_49": "「お、おうッ。そうだなッ!!」"
}

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@ -0,0 +1,52 @@
{
"304000112_0": "「…………」",
"304000112_1": "「いいタイミングで来てくれたな」",
"304000112_2": "「………ッ!」",
"304000112_3": "「なに怖い顔してんだよ?」",
"304000112_4": "「おい、返事くらいしたら――」",
"304000112_5": "「痛ッ! な、なにすんだッ!」",
"304000112_6": "「………」",
"304000112_7": "「あ……ちょっと待ってッ!」",
"304000112_8": "「シカトして行っちまった……」",
"304000112_9": "「彼女を知ってるのか?」",
"304000112_10": "「ああ……まあ、知ってると言えば知ってる。\\n こっちで知り合いってわけじゃねーけど……」",
"304000112_11": "「それにしても、あいつ、本当に何だったんだ?\\n 虫の居所でも悪かったのか……」",
"304000112_12": "「いや。彼女とは戦場でたびたび顔を合わせているが……\\n たいがい、あんな調子だな」",
"304000112_13": "「そうなの……まるで別人みたいね」",
"304000112_14": "「別人……どういうことだ?\\n 昔の知り合いか何かなのか」",
"304000112_15": "「そういうわけじゃないんだけれど……」",
"304000112_16": "「では一体……?」",
"304000112_17": "「ごめんなさい。その説明は後にさせて。\\n 話すと長くなるから」",
"304000112_18": "(あの目……。\\n まるで、昔のあたしみたいだ……",
"304000112_19": "「ところで戦場でたびたび顔を合わせるって言ったけど。\\n 彼女、あなたとは一緒に行動していないの」",
"304000112_20": "「ああ、彼女は我々の組織の者ではないからな」",
"304000112_21": "「そうなの?」",
"304000112_22": "「装者として協力するならともかく。\\n ああして、勝手気ままに戦場に現れてはかき乱すばかり……」",
"304000112_23": "「正直、扱いあぐねているところだ」",
"304000112_24": "「そう……。わたしたちの世界の彼女とは、\\n 性格だけじゃなく、立場もだいぶ違うみたいね」",
"304000112_25": "「『わたしたちの世界』?」",
"304000112_26": "「ああ、まどろっこしいから後で全部説明する」",
"304000112_27": "「そう言われても、さっきから気になって仕方ないのだが……」",
"304000112_28": "「――すまない、通信が入った。少し待ってくれ」",
"304000112_29": "「……はい、翼です。\\n はい……はい。承知しました」",
"304000112_30": "「すまないが、我々の本部まで同行してもらえるだろうか」",
"304000112_31": "「ああ、自己紹介がまだだったな。\\n わたしは特異災害対策機動部二課所属、風鳴翼という者だ」",
"304000112_32": "「よく知っているわ。わたしはマリア・カデンツァヴナ・イヴよ。\\n 改めてよろしく」",
"304000112_33": "「あたしは雪音クリスだ。\\n それにしても、こっちじゃ二課のままなのか……」",
"304000112_34": "「二課のことも知っているのか?」",
"304000112_35": "「ギアを纏っている以上、いずれかの機関の者なのだろうが……。\\n どこの組織の所属なんだ まさか、米国のF.I.S.……?」",
"304000112_36": "「それも、風鳴司令の前でまとめて説明させていただくわ」",
"304000112_37": "「そうか。ならば案内しよう」",
"304000112_38": "「お願いね」",
"304000112_39": "「それじゃ、行きましょうか。この並行世界の二課にね」",
"304000112_40": "「ああ……」",
"304000112_41": "「ううッ……ああッ!?」",
"304000112_42": "(また、こんなに、うなされて……)",
"304000112_43": "「大丈夫だからね、響。きっと、すぐ良くなるから」",
"304000112_44": "「……独りは、嫌、だよ……未来、置いてかない、で……」",
"304000112_45": "「わたしは、ここにいるよ。\\n ずっと一緒にいるから。大丈夫だから……」",
"304000112_46": "(だから……いつもみたいに、言ってよ)",
"304000112_47": "(へいき、へっちゃら、って……)",
"304000112_48": "「う……ううッ……」",
"304000112_49": "「響……ッ」"
}

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@ -0,0 +1,75 @@
{
"304000211_0": "暗い夢の中",
"304000211_1": "――数日前",
"304000211_2": "「あ、先輩方、おはようございますッ!」",
"304000211_3": "「おはようございます」",
"304000211_4": "「よう。今日は遅刻しないですみそうだな」",
"304000211_5": "「あ、ああ。みんな、おはよ……」",
"304000211_6": "「おはよう。朝から3人一緒なんて、珍しいね」",
"304000211_7": "「実は夕べクリス先輩の家で勉強を教わって、\\n そのままお泊まりしたんデスよ」",
"304000211_8": "「へえ……そうだったんだ。にぎやかで楽しそうね」",
"304000211_9": "「べ、別に楽しくねーって。こいつらが、\\n どうしても勉強を教えてくれっていうから、仕方なくな」",
"304000211_10": "「その割には嬉しそうだけど」",
"304000211_11": "「し、仕方なくだッ! 先輩だからなッ!」",
"304000211_12": "「フフ。いいじゃない、照れなくたって」",
"304000211_13": "「そうデスよッ!\\n アタシと調が一緒にいて、楽しくないはずないデスッ」",
"304000211_14": "「お前も調子に乗んなッ!」",
"304000211_15": "「ふぅ……」",
"304000211_16": "「なんかあんまり元気ないデスね?」",
"304000211_17": "「確かに、妙に辛気くせー顔してんな。\\n 元気だけが唯一の取り柄のくせに」",
"304000211_18": "「はは……。元気だけが唯一の取り柄って、ひどいなぁ……」",
"304000211_19": "「でも、本当に具合悪そう。目も真っ赤です」",
"304000211_20": "「朝ご飯でも抜いてきたデスか?」",
"304000211_21": "「あ、うん。そうじゃなくて最近、ちょっと寝不足で……」",
"304000211_22": "「夕べも、うなされてたものね……」",
"304000211_23": "「あっ、ゴメン。もしかして未来、起こしちゃってた?」",
"304000211_24": "「わたしは、大丈夫だけど……響が心配だよ」",
"304000211_25": "「なにか変な夢でも見るデスか?」",
"304000211_26": "「あはははは……まあ、そんな感じかな」",
"304000211_27": "「なんだ、その思わせぶりな言い回しはよ?」",
"304000211_28": "「悩みでもあんなら言ってみろ。楽になるぞ?」",
"304000211_29": "「そんな大げさな。ただの夢の話だから。ははは……」",
"304000211_30": "「夢……」",
"304000211_31": "「でも、どうせ夢を見るならご飯の海で溺れたいよねぇ」",
"304000211_32": "「おお、それは素敵デスねッ!」",
"304000211_33": "「いくらでもご飯食べられるなんて、夢みたい。\\n ……夢の話だけど」",
"304000211_34": "「でしょ? 夢の中くらい好きな物、思う存分食べたいよねぇ」",
"304000211_35": "「はあ……バカを心配したあたしがバカだった」",
"304000211_36": "「あはははは……」",
"304000211_37": "「ごめんね、でもありがとう」",
"304000211_38": "「別に、お前から礼言われる筋合いねーって」",
"304000211_39": "「遅くなりました」",
"304000211_40": "「失礼します」",
"304000211_41": "「ん? どうした、小日向まで」",
"304000211_42": "「響が具合悪そうだったので、ついて来ちゃいました」",
"304000211_43": "「もう~。ぜんぜん大丈夫って何度も言ってるのに」",
"304000211_44": "「大丈夫そうに見えないから言ってるの」",
"304000211_45": "「小日向は本当に立花が心配なんだな」",
"304000211_46": "「うーん……本当に大丈夫なんですけどね~」",
"304000211_47": "「でも……響、今日も授業中ほとんど寝ちゃってて。\\n すごく疲れてるみたいだから……」",
"304000211_48": "「こいつが授業中寝てるのなんていつものことだろ?」",
"304000211_49": "「な、なんで知ってるのッ!?」",
"304000211_50": "「普段の行動から類推すれば、当然の帰結というものだな」",
"304000211_51": "「翼さんまで。とほほ……」",
"304000211_52": "「でも……いつもの居眠りとは違って、\\n すごく苦しそうな顔してたし……」",
"304000211_53": "「ふむ……」",
"304000211_54": "(そんなもん、よく見てるな……)",
"304000211_55": "「それに食欲だって、最近あまりないでしょ?\\n お替わりも、いつもより杯は少ないし」",
"304000211_56": "「いつもより2杯少ないって。\\n 普段、何杯食ってんだよ……」",
"304000211_57": "「だがここ最近は、そこまでハードな任務もなかったし、\\n さほど疲労が溜まる状況ではないと思うのだが……」",
"304000211_58": "「もしかすると、風邪の引き始めか?」",
"304000211_59": "「うーん。別に熱っぽくもないし、\\n そういうんじゃないと思いますけど」",
"304000211_60": "「そうそう。バカは風邪ひかねーっていうしな」",
"304000211_61": "「風邪じゃないかもしれないけど……何か他に原因があったら……」",
"304000211_62": "「まあ用心するに越したことはないが、病は気からともいう。\\n 心配しすぎも逆に心身に毒だぞ」",
"304000211_63": "「ね、ね? そう思いますよね?」",
"304000211_64": "「そもそもお前がしゃっきりしねーのが悪いんだろうが」",
"304000211_65": "「うわぁ、やぶ蛇だった」",
"304000211_66": "「とは言え、無理は禁物だ。\\n 今日のトレーニングはやめておくか」",
"304000211_67": "「いえ、本当にもう大丈夫ですから」",
"304000211_68": "「ま、訓練すれば眠気なんて一発で覚めるだろ」",
"304000211_69": "「確かに、ひと汗流せば、食欲も戻ってくるかもしれないな。\\n ただ、それでも無茶はするなよ」",
"304000211_70": "「はいッ!」",
"304000211_71": "「じゃ、訓練してくるから。待ってて」",
"304000211_72": "「うん……でも、本当に無理しないでね?」"
}

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@ -0,0 +1,68 @@
{
"304000212_0": "「チッ! ちょこまかと避けやがってッ!」",
"304000212_1": "「クリスちゃんだってッ! 弾幕キツすぎるよッ!!」",
"304000212_2": "「嫌らしい動きしてんのはッ! お互い様だってぇのッ!!」",
"304000212_3": "「くッ! 危なッ!」",
"304000212_4": "「マジかッ!? こいつも躱すかよッ!?」",
"304000212_5": "「次の弾は撃たせないよッ!!」",
"304000212_6": "「ちいぃッ!!」",
"304000212_7": "「うぐッ!?」",
"304000212_8": "(――こんな時に、眩暈が……ッ)",
"304000212_9": "「――ッ!? 隙あり――ッ!!」",
"304000212_10": "「しっ、しまったッ!?」",
"304000212_11": "「あああ――ッ!!」",
"304000212_12": "「バッ、バカッ! 受け身くらい取れッ!!」",
"304000212_13": "「響――ッ!!」",
"304000212_14": "「大丈夫か、立花ッ!!」",
"304000212_15": "「……お、おい……バカッ……何やってんだよ、お前……」",
"304000212_16": "「くッ……立花、しっかりしろッ!」",
"304000212_17": "「響ッ!? 響いいいッ!!」",
"304000212_18": "「待て小日向ッ!\\n 頭を打っているかもしれない……素人がむやみに動かすのは危険だ」",
"304000212_19": "「そ、そんな……ッ!」",
"304000212_20": "「いや、あくまで可能性だ。模擬戦とはいえギアを纏っていた\\n 以上、深刻な怪我にはならないはず……」",
"304000212_21": "「雪音は至急、救護班に連絡を。\\n 雪音ッ 聞いているのかッ」",
"304000212_22": "「あ、ああ、わかったッ!」",
"304000212_23": "「お待たせしました」",
"304000212_24": "「メディカルチェックの結果ですが……\\n 響さんの脳に異常は見受けられませんでした」",
"304000212_25": "「本当ッ!?」",
"304000212_26": "「はい。ですから、安心して下さい」",
"304000212_27": "「よかった……」",
"304000212_28": "「実際の話、脳震盪は後遺症が軽視できないものですが……\\n そこはギアのシステムが大半の衝撃を吸収してくれますし」",
"304000212_29": "「今回のような常識的な加速度下での落下による衝撃ならば、\\n 脳へのダメージはほぼ皆無と見て良いでしょう」",
"304000212_30": "「計測した脳波はレム睡眠とノンレム睡眠を定期的に繰り返して\\n いましたし……失神というより、睡眠に近い状態のようです」",
"304000212_31": "「どういうことだ?」",
"304000212_32": "「今回の昏倒は、落下による脳への直截的な衝撃よりも、\\n 蓄積した疲労と睡眠不足が大きく影響したものと推定されます」",
"304000212_33": "「つまり……疲れて寝ちまったってのか?\\n ったく。心配かけやがって……」",
"304000212_34": "「ただ、ずいぶんうなされているようだったのが、\\n 少々気になりましたが……」",
"304000212_35": "「……それは……最近、ずっとそうで……」",
"304000212_36": "「そちらについては、今度、改めてストレスチェックも\\n 受診していただいたほうがいいかもしれません」",
"304000212_37": "「まあとにかく、大事には至らなくてよかった」",
"304000212_38": "「申し訳ありません……」",
"304000212_39": "「今回の事態を招いたのは、睡眠不足を訴えていた小日向の\\n 忠告を無視して訓練を促した、わたしに監督責任があります」",
"304000212_40": "「それを言ったら、あたしにだって……」",
"304000212_41": "「いや、お前たちには普段から任務で不規則な生活を強いている。\\n 責任というなら、俺たちが一番に負うべきものだ」",
"304000212_42": "「今回の件は、たまたま響くんが抱えていた、見えないストレスが\\n 表面化した結果だろう……本当にすまなかった」",
"304000212_43": "「今後はメンタル面もより手厚くケアできるよう、\\n 出来るだけ早急に検討すると約束しよう」",
"304000212_44": "「よろしく、お願いします……」",
"304000212_45": "「……ところで、あいつの意識は――」",
"304000212_46": "「そろそろ目を覚ますと思います」",
"304000212_47": "「迎えに行ってやってくれるか?」",
"304000212_48": "「もちろんです。\\n みなさん、ありがとうございました」",
"304000212_49": "「う……ん……あれ、未来……?」",
"304000212_50": "「よかった、目が覚めて……。\\n 気分はどう」",
"304000212_51": "「なんか、久々によく寝た気分」",
"304000212_52": "「もう。体調悪いのに無茶するから……」",
"304000212_53": "「心配かけてごめんね。もう大丈夫だから」",
"304000212_54": "「う……うん……うああああ……ッ」",
"304000212_55": "「響……また、うなされてるの?」",
"304000212_56": "「いや、だよ……そんなの、やだ……」",
"304000212_57": "(いつもより酷いみたい……一回、起こした方がいいかな……)",
"304000212_58": "「響……響ッ! 起きて……」",
"304000212_59": "「……誰も……助けて、くれない……」",
"304000212_60": "「……わたしは……独り、だ……ここは、暗い、よ……」",
"304000212_61": "「そんなことないよ……。\\n 響にはわたしがいるよ。みんなが、ついてるよ」",
"304000212_62": "「だから……そんなに苦しまないで、響……」",
"304000212_63": "「うううっ……ああああッ!!」",
"304000212_64": "(どうしてこんなに苦しんでるの?)",
"304000212_65": "(心配だよ……)"
}

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@ -0,0 +1,48 @@
{
"304000221_0": "「おはよう、未来……」",
"304000221_1": "「どうしたの。すごいクマだよ……?」",
"304000221_2": "「それはわたしの台詞だよ。\\n 響のうなされ方、前よりずっと酷くなってる」",
"304000221_3": "「えっ? 本当に? どうしたんだろう……」",
"304000221_4": "「何か心配事でもあるの?」",
"304000221_5": "「え……ッ!? そんなの全然ないけど……」",
"304000221_6": "「なら、いいんだけど……。\\n わたし、もう見てられなくて……」",
"304000221_7": "「そ、そんな。大げさだなぁ……」",
"304000221_8": "「だって響、毎晩うなされながら、ずっと言ってるんだよ。\\n 『わたしは独りっきりだ』って……」",
"304000221_9": "「えっ……本当に?」",
"304000221_10": "「なにか、心当たりないの?」",
"304000221_11": "「ないないッ! そんなの、あるわけないよッ!」",
"304000221_12": "「だってわたし、みんなと一緒だし。\\n なにより……わたしには未来が傍にいるもの」",
"304000221_13": "「だから、本当に大丈夫だから……」",
"304000221_14": "「こんな状態で大丈夫なわけないよッ!!」",
"304000221_15": "「辛いときは辛いって、そう言ってよ……。\\n そんなにわたし、響の支えになれないのかな」",
"304000221_16": "「こんな時くらいは、素直に甘えてよ……」",
"304000221_17": "「未来……」",
"304000221_18": "「ありがとう、未来。\\n 本当言うとね。夢を見るたび苦しくて、辛くなるんだ」",
"304000221_19": "「夢から覚めても、不安がずっと残って、\\n ……その不安に押しつぶされそうになる」",
"304000221_20": "「わたしには、未来やみんながいるはずなのに……。\\n 夢の中のわたしは、独りぼっち……」",
"304000221_21": "「自分でも、なんであんな夢見るのか、全然わからなくて……」",
"304000221_22": "「なにが原因かはわたしにもわからないけど……。\\n このままじゃ響の身体がもたないよ」",
"304000221_23": "「昨日、エルフナインちゃんがストレスチェックを\\n 受けるべきだって言ってたし……ちゃんと看て貰おうよ」",
"304000221_24": "「うん、そうだね……」",
"304000221_25": "「善は急げ。わたしもつきそうから。\\n 早速、今日にもお願いに行こう」",
"304000221_26": "「それで、再度メディカルチェック中というわけなのね」",
"304000221_27": "「ああ。昨日よりも目に見えて憔悴していたな……」",
"304000221_28": "「ちゃんと原因がわかるといいですけど……」",
"304000221_29": "「……」",
"304000221_30": "「どうしてあなたまでふさいでるわけ?」",
"304000221_31": "「あれはクリス先輩のせいじゃないデスよ」",
"304000221_32": "「暁の言うとおりだ。確かに、昨日の立花の昏倒については\\n 我々にも責任の一端があるが……」",
"304000221_33": "「今回の件の根本的な原因は、\\n 立花の奥に根ざす、別の何かのようだからな」",
"304000221_34": "「でもよ……あの時、あたしの攻撃が引き金で\\n あいつの症状が悪化したんなら……」",
"304000221_35": "(ホント、この子も、たいがい打たれ弱いんだから……)",
"304000221_36": "「もう、まどろっこしいわねッ!」",
"304000221_37": "「こんなとこであなたがへこんでたって\\n 何の解決にもならないのよッ」",
"304000221_38": "「それよりも、ぼうっとしてるなら\\n わたしの訓練に付き合いなさい」",
"304000221_39": "「な、なんだよ、藪から棒に」",
"304000221_40": "「藪から棒にもなにも……。\\n そもそもここはトレーニングルームで、わたしたちは訓練に来てるの」",
"304000221_41": "「体調悪くないなら、付き合いなさい。\\n 無論、手加減なんて無用よ」",
"304000221_42": "「まあ……今のあなたなら、例え全力でも\\n わたしにまともな攻撃を当てられるとは思えないけど」",
"304000221_43": "「んだとッ!? 言いやがったなッ!!」",
"304000221_44": "「悔しいと思うならかかって来なさいッ!」",
"304000221_45": "「安い挑発だが……乗ってやるッ!!」"
}

View file

@ -0,0 +1,25 @@
{
"304000222_0": "「そこだぁ――ッ!!」",
"304000222_1": "(かわせる。けど、ここは――)",
"304000222_2": "「ああ――――――――ッ!!」",
"304000222_3": "「えっ……マリアッ!?」",
"304000222_4": "「受け身もせず、まともに落ちたデスかッ!?」",
"304000222_5": "「今の動き……もしかして――」",
"304000222_6": "「だッ、大丈夫か――ッ!?」",
"304000222_7": "「大丈夫に決まってるでしょ?」",
"304000222_8": "「昨日、翼も言ったんでしょ? シミュレーションの模擬弾も、\\n 落下の衝撃も、ギアがあれば大きな打撃にはならないって」",
"304000222_9": "「そりゃ……分かってるつもりだけど……」",
"304000222_10": "「わたしでさえこうピンピンしてるのよ? タフネスが持ち前の\\n あの子が、この程度でどうこうなるわけないじゃないの」",
"304000222_11": "「そうデスよ。この間もクリス先輩が言ってたじゃないデスか。\\n 響さんは元気だけが唯一の取り柄だって」",
"304000222_12": "「そうだよな……あいつは、頑丈なのが取り柄なんだもんな」",
"304000222_13": "「クリス先輩、自分を責めすぎるのはよくないと思います」",
"304000222_14": "「フッ、3人に教えられたな」",
"304000222_15": "(それにしても、マリア……。\\n これを言うためにわざわざ攻撃受けたんだ……",
"304000222_16": "(怪我はしないとはいえ、たぶんプールの飛び込み台から\\n 飛び込んで腹打ちする程度には痛いデスよ、あれ……",
"304000222_17": "「はい、翼です」",
"304000222_18": "「訓練中すまんが、異常事態が発生した。\\n 至急、発令所に集まってくれ」",
"304000222_19": "「アルカ・ノイズでも出現しましたか?」",
"304000222_20": "「そうじゃないが……詳しくは発令所で説明する」",
"304000222_21": "「承知しました。\\n 風鳴翼以下名、ただちに発令所へ出頭します」",
"304000222_22": "「異常事態……?」"
}

View file

@ -0,0 +1,43 @@
{
"304000231_0": "「全員集まったな」",
"304000231_1": "「あれ、響さんは待たなくていいんデスか?」",
"304000231_2": "「響ちゃんならメディカルルームでチェック中だよ」",
"304000231_3": "「状況が状況なのでな……。\\n 今回の呼集からは対象外とした」",
"304000231_4": "「それで、どんな事態が起きたというのですか?」",
"304000231_5": "「ああ、それなんだが……結論から言おう。\\n 先刻、ギャラルホルンがアラートを発した」",
"304000231_6": "「また別の並行世界と繋がった、ということね……」",
"304000231_7": "「何も、立花がこんな状況の時に……ッ」",
"304000231_8": "「仕方あるまい。\\n 事態というものはこちらの事情まで斟酌してはくれないものだ」",
"304000231_9": "「それで、わたしたちを呼集されたのは……」",
"304000231_10": "「ああ。他でもない。ギャラルホルンを通って、\\n 並行世界の調査を行ってもらいたい」",
"304000231_11": "「発動したギャラルホルンからは、\\n 前回同様、強い次元干渉波が計測されています」",
"304000231_12": "「それって何か悪いことが起こるんデスか?」",
"304000231_13": "「いえ、内容まではわかりません……」",
"304000231_14": "「それをこれから調べなければならんのだが……」",
"304000231_15": "「まずは向こうの世界がどんな世界で、何が起こっているのか\\n 確認するための潜入偵察任務を行う……ということですね」",
"304000231_16": "「ああ、頼めるか?」",
"304000231_17": "「そういうことなら、あたし1人で充分だ」",
"304000231_18": "「クリスくん1人でか?」",
"304000231_19": "「ああ。あいつの戦力低下くらい、あたし1人で補うさ」",
"304000231_20": "「まだそんなことを言っているのか、雪音。\\n それは誤った責任感というものだ」",
"304000231_21": "「そういうんじゃねーって」",
"304000231_22": "「こっちの世界だって、いつ何が起こるかわからないんだ。\\n たかが偵察に大人数を突っ込むわけにもいかないだろ」",
"304000231_23": "「それはそうだが……しかし、単独行動は許可できんな」",
"304000231_24": "「あたしの能力が信じられねぇってのかよッ!?」",
"304000231_25": "「任務の性質上の問題だ。個人の能力の高低の問題ではない」",
"304000231_26": "「ギャラルホルンの向こうには、\\n どんな世界が広がっているかも分からないんです」",
"304000231_27": "「万が一向こうで不測の事態が起きた場合、\\n 人では手詰まりになりかねませんからね……」",
"304000231_28": "「ならば2人ではどうかしら?」",
"304000231_29": "「マリアくんとか?」",
"304000231_30": "「戦闘が発生した時の事を想定すれば、\\n 近接戦を得意とする装者が組んだ方が安全でしょう」",
"304000231_31": "「それにわたしたちなら、並行世界での対処にも慣れているしね」",
"304000231_32": "「いいだろう。\\n ならばクリスくん、マリアくんの人に今回の任務を任せよう」",
"304000231_33": "「ということで。よろしくね」",
"304000231_34": "「……礼は言わねぇからな」",
"304000231_35": "「フッ……そんなの、最初から期待してないわ」",
"304000231_36": "「何事だッ!?」",
"304000231_37": "「近郊にてノイズの反応を検知ッ! 数はおよそ50ッ!」",
"304000231_38": "「翼たち3人だけでも可能な数ではあるが……」",
"304000231_39": "「念のためだ。2人ともすまないが、\\n 偵察任務の前にもう一仕事、頼めるか」",
"304000231_40": "「ああ……出かける前のひと暴れだッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,75 @@
{
"304000232_0": "「急な出撃任務、ご苦労だった」",
"304000232_1": "「クリスくんとマリアくんは、いったん休憩を取ってから、\\n 明日にも並行世界の調査へ向かってくれ」",
"304000232_2": "「休憩なんていらねーよ。\\n さっさと始めた方がいいだろ」",
"304000232_3": "「まあ、正直肩慣らし程度だったものね」",
"304000232_4": "「確かに、どんな事態が起こっているかわからない以上、\\n 早く出立してもらえたほうが、助かるが……」",
"304000232_5": "「だが、向こうで何か問題が発生したら\\n すぐ戻ってくるように。いいな」",
"304000232_6": "「クリス……どこかに出かけるの?」",
"304000232_7": "「ああ、ちょいと任務でな」",
"304000232_8": "「わたしも一緒にね」",
"304000232_9": "「そう……なんだ」",
"304000232_10": "「あいつは?」",
"304000232_11": "「まだ検査中なの」",
"304000232_12": "「そっか……ま、あまり重く考えすぎんなよ?」",
"304000232_13": "「うん……」",
"304000232_14": "「気をつけて行って来てね」",
"304000232_15": "「大丈夫だって。こっちの心配はいいからよ。\\n あいつのこと、頼むな」",
"304000232_16": "「うん……わかってる」",
"304000232_17": "「2人とも、留守中、良い子にしてなさいよ?」",
"304000232_18": "「この歳で子供扱いはないデスよ」",
"304000232_19": "「ごめんごめん、つい癖でね」",
"304000232_20": "「こっちは大丈夫……。\\n だから、マリアたちは安心して任務に専念して」",
"304000232_21": "「無事の帰還を祈っている」",
"304000232_22": "「ありがと」",
"304000232_23": "「皆さん、お気を付けて……」",
"304000232_24": "「さって、と。それじゃ、行ってくるとするか」",
"304000232_25": "「そっか、ギャラルホルンが……。\\n それで、クリスちゃんとマリアさんが向こうに」",
"304000232_26": "「うん、調査に向かったって」",
"304000232_27": "「迷惑かけちゃったなぁ……」",
"304000232_28": "「響は何よりまず元気になる事。\\n ……あんまり心配させないで」",
"304000232_29": "「うん、ごめんね未来。\\n でも、ちょっと夢見が悪いだけだし、大丈夫だよ」",
"304000232_30": "「……どんな夢なのか、聞いてもいいかな?」",
"304000232_31": "「最近ずっと、おんなじ夢ばかり、見るんだ……」",
"304000232_32": "「とてもとても、怖い夢……」",
"304000232_33": "「日の当たらない暗いところに閉じこもって。\\n 周りには誰もいなくて……」",
"304000232_34": "「苦しいのに、誰も、助けてくれなくて……」",
"304000232_35": "「誰も笑いかけてくれない……。\\n 誰も手を握ってくれない……」",
"304000232_36": "「ずっとずっと、心の奥が痛いのに……。\\n それが、いつの間にか、当たり前になっちゃって……」",
"304000232_37": "「わたし、怖いよ……」",
"304000232_38": "「どうして? ただの夢だよ?」",
"304000232_39": "「だって、夢から覚めた時、それが\\n 本当のことになっちゃってるんじゃないかって……」",
"304000232_40": "「そう思うと……眠るのが、怖いんだ……」",
"304000232_41": "「大丈夫だよ。だって……響には、わたしがいるもの」",
"304000232_42": "「うん……そう……だよね。\\n ありがとう、未来……」",
"304000232_43": "「安心したら……少しだけ、眠くなってきちゃったかな……」",
"304000232_44": "「今晩はきっと大丈夫だから。お休みなさい、響……」",
"304000232_45": "「うん……お休み、未来……」",
"304000232_46": "「あのさ……未来……。手……握っててくれる?\\n 眠るまででいいから、さ……」",
"304000232_47": "「ずっと握ってるよ。だから、安心して……」",
"304000232_48": "「ああ……未来の手、やっぱりあったかい……」",
"304000232_49": "「無事転移が終わったみたいね」",
"304000232_50": "「ああ……みたいだな」",
"304000232_51": "「ぱっと見、あたしらの世界と変わらなそうだけど……。\\n ……この世界でもルナアタックは無かったみたいだな」",
"304000232_52": "「ええ、そのようね」",
"304000232_53": "(ルナ・アタックが無い……と言う事は、この世界の装者もまた、\\n 翼や奏だけになっているのかしら……断定は出来ないけど",
"304000232_54": "「はぁぁぁ――ッ!!」",
"304000232_55": "「この声は――」",
"304000232_56": "「もしかして――ッ」",
"304000232_57": "「行ってみましょうッ!」",
"304000232_58": "「はぁぁぁぁ――――ッ!」",
"304000232_59": "「あれは、この並行世界の翼、ね……」",
"304000232_60": "「1人でノイズの群れと戦ってるみたいだな」",
"304000232_61": "「……加勢しましょう。はああ――ッ!」",
"304000232_62": "「誰だッ!?\\n その姿……まさか、シンフォギア装者だと……」",
"304000232_63": "「ええ、そうよ」",
"304000232_64": "(やはり、この世界ではわたしたちと面識がないみたいね……)",
"304000232_65": "(おい、どうするんだよ……?\\n あたしたち、滅茶苦茶怪しくねーか",
"304000232_66": "(何とかなるわよ)",
"304000232_67": "「……どこの誰かは知らないが、助太刀感謝する。\\n 正直、猫の手も借りたいところだった……」",
"304000232_68": "「お礼はノイズを殲滅してからでいいわ。\\n それより、詳しい状況を教えてもらえるかしら」",
"304000232_69": "「わたしたち、さっきここに来たばかりなの」",
"304000232_70": "「――――――ッ!」",
"304000232_71": "「あいつは――ッ!?」",
"304000232_72": "「立花、響……」"
}

View file

@ -0,0 +1,98 @@
{
"304000311_0": "異変究明",
"304000311_1": "「ここが特異災害対策機動部二課の本部……」",
"304000311_2": "「ほんのちょっと前なのに、ずいぶん懐かしい感じがするな」",
"304000311_3": "(里帰り、ってのは……\\n ひょっとしたら、こんな気分なのかな…… ",
"304000311_4": "「こっちだ」",
"304000311_5": "「戻りました。\\n 先の戦闘で助勢してくれた人も一緒です」",
"304000311_6": "「君たちがそうか……。よく来てくれたな。\\n まあ、自分の家だと思って楽にしてくれ」",
"304000311_7": "「言われなくても、こっちは最初から\\n そういう気分だけどな……」",
"304000311_8": "「ん? それはどういう……」",
"304000311_9": "(余計なことを言うと混乱するわ。\\n まずはわたしが順を追って説明するから、静かにしてて",
"304000311_10": "「確かにかなり落ち着いているようだが……\\n 君たちは――」",
"304000311_11": "「い、いろいろあるんだよッ!\\n 聞き流しやがれッ」",
"304000311_12": "(ああ……もう……)",
"304000311_13": "「そ、そうか……」",
"304000311_14": "「ごめんなさい。この子に代わってわたしから説明するわ。\\n わたしたち人は――」",
"304000311_15": "「なるほど……な」",
"304000311_16": "「つまり諸君は並行世界からギャラルホルンの力を使って\\n こちらの世界に渡ってきた、と……そういうのだな」",
"304000311_17": "「ええ。ギャラルホルンがアラートを発したと言うことは、\\n この世界に何らかの危機があるものと考えられるわ」",
"304000311_18": "「わたしたちは、その解決のために来たの」",
"304000311_19": "「危機……か」",
"304000311_20": "「にわかに言われても、正直ピンとこないが」",
"304000311_21": "「司令……もしかして、先日永田町に送られた\\n 完全聖遺物の件でしょうか」",
"304000311_22": "「いや、しかしあれが影響を及ぼすとも思えんが……」",
"304000311_23": "「まるで雲を掴むような話だ。\\n もう少し具体的な情報はないのか」",
"304000311_24": "「前回ギャラルホルンがアラートを出したケースでは、\\n 通常よりも数段強力なイズの個体が出現したわね」",
"304000311_25": "「こちらでは、その様な個体は出現してないかしら?」",
"304000311_26": "「強力なノイズ……だと?」",
"304000311_27": "「もしかして、先日の反応の……」",
"304000311_28": "「ああ……その可能性はあるな」",
"304000311_29": "「どういうこと?」",
"304000311_30": "「実は、ほんの数日前のことなのだが――」",
"304000311_31": "「翼ッ! 未知の強力なノイズの反応を新たに検知したッ!\\n 至急、指定のポイントへ急行してくれッ」",
"304000311_32": "「了解しましたッ!」",
"304000311_33": "「こちら、翼。\\n 指定ポイントに現着しましたが――」",
"304000311_34": "「目下、ノイズは視認出来ず。\\n そちらのモニターの様子は」",
"304000311_35": "「こちらもつい先刻、ノイズの反応をロストしたところだ」",
"304000311_36": "「ロストですか? どこかに消えたとでも――」",
"304000311_37": "「ッ!? そこかッ!」",
"304000311_38": "「…………」",
"304000311_39": "「あいつ、は――」",
"304000311_40": "「…………」",
"304000311_41": "「立花、響……か」",
"304000311_42": "「ここに現れたノイズは、お前が倒したのか?」",
"304000311_43": "「…………」",
"304000311_44": "「あっ、待てッ!」",
"304000311_45": "「と、いうようなことがあってな……」",
"304000311_46": "「あれだけ強大な反応のノイズだ。よほど巨大か、\\n 桁外れに強力な力を秘めた個体であったと考えられる」",
"304000311_47": "「だけど……ここにいる誰も、実物を見ていない、と」",
"304000311_48": "「ああ、そういうことだ」",
"304000311_49": "「状況からして、先に現場にいたガングニール装者、\\n 立花響くんがイズを倒したとしか思えんのだが……」",
"304000311_50": "「だが?」",
"304000311_51": "「それ程までに強大なノイズを、あんな短時間に、しかも\\n たった人で倒せるとは、さすがに思えなくてな……」",
"304000311_52": "「なるほど……ま、そうだろ」",
"304000311_53": "「あたしらの知ってるあのノイズが相手なら、\\n エクスドライブモードでもねーと、人じゃ無理だろうな」",
"304000311_54": "「ところで、その『強力なノイズの個体』というのは、\\n 一体どういう物なのか教えてもらえないだろうか」",
"304000311_55": "「わたしたちはそのノイズの変異をノイズのカルマ化と定義づけ、\\n 変異したイズを便宜上『カルマイズ』と呼称しているわ」",
"304000311_56": "「カルマノイズ……」",
"304000311_57": "「カルマ化したノイズは通常とは比べものにならないほど強力な\\n 相手よ。そして有機物との接触で炭化しないという特徴もある」",
"304000311_58": "「それは……まさか無限に人を殺し続けられるという事かッ!?」",
"304000311_59": "「ええ、その通り。正直、たちが悪すぎる。\\n ……だからこそ、ギャラルホルンが反応したのかも知れないけど」",
"304000311_60": "「そんな化け物が……?」",
"304000311_61": "「それに、これはまだデータが不足しているから\\n あくまで推論にすぎないけど――」",
"304000311_62": "「周辺にいる人間を検知して出現したり、\\n 消えたりする特性もあると考えられているわ」",
"304000311_63": "「人間の数を――?」",
"304000311_64": "「いえ、恐らくはフォニックゲインを感知しているのだとは\\n 思うけど、カルマ化したイズ全てがそうとは限らない」",
"304000311_65": "「……どっちにしてもあれ1体で何人でも人間を炭化させられる\\n からな。放っておいたらあっという間に炭の山の出来上がりだ」",
"304000311_66": "「なんてたちの悪い……」",
"304000311_67": "「なるほど……まさかそんなノイズが存在していたとはな」",
"304000311_68": "「先日の個体がそれだったのかはわからないが……。\\n 唯一の目撃者の響くんに話を聞いてみるのがいいだろうな」",
"304000311_69": "「そうみたいね……。\\n それで、彼女は今、どこに」",
"304000311_70": "「残念ながら、彼女は我々とは協力関係になくてな……」",
"304000311_71": "「ギアを纏っている間ならともかく、\\n 普段の動向までは把握できていないんだ」",
"304000311_72": "「しかたねーな。なら、学園のまわりでも探してみるか」",
"304000311_73": "「そうね」",
"304000311_74": "「……」",
"304000311_75": "「案内は必要かな?」",
"304000311_76": "「いいって。学園の中は、よく知ってるしな」",
"304000311_77": "「とはいったものの。\\n さて、どこから探したもんか……」",
"304000311_78": "「例え見つけたとしても、あの調子だとわたしたちと\\n 話をしてくれるかどうかも怪しいわね……」",
"304000311_79": "「うだうだ考えてても始まらねぇ。\\n とにかくダメ元でも行ってみるしかないだろ」",
"304000311_80": "「そうね……」",
"304000311_81": "「待ってくれ、2人とも」",
"304000311_82": "「どうしたの?」",
"304000311_83": "「道案内ならいらないって言ったろ?」",
"304000311_84": "「いや、そうではなく、だな……」",
"304000311_85": "「今日会ったばかりの2人にこんなことをお願いするのも、\\n 少々不躾かもしれないのだが……」",
"304000311_86": "「わたしは、強くあらなくてはならない……。\\n だから、わたしと訓練してくれないだろうか」",
"304000311_87": "「翼……?」",
"304000311_88": "「なにぶん、ここにいる装者はわたし1人なのでな……。\\n シミュレータだけでなく、できれば生きた経験が欲しいのだ」",
"304000311_89": "「思い詰めた顔でなにかと思ったわ。\\n そんなことなら、お安い御用よ」",
"304000311_90": "「それに……確かにこの世界では会ったばかりだけど、\\n 向こうの世界では、わたしたちは仲間ですもの」",
"304000311_91": "「そうか……並行世界でのわたしと面識があるのだったな」",
"304000311_92": "「ああ。そんな顔で頼まれちゃ、嫌とはいえねーよ」",
"304000311_93": "「けど、あたしらとやって自信喪失しても知らねーからな?」",
"304000311_94": "「ああ。それならば、望むところだ」",
"304000311_95": "「なら、早速やりましょうか」"
}

View file

@ -0,0 +1,38 @@
{
"304000312_0": "「――参った。いや、流石の手並みだな」",
"304000312_1": "「あなたこそ。\\n 人でそこまで立ち回れるなんて、見事ね」",
"304000312_2": "「やっぱり、翼は翼なのね……」",
"304000312_3": "(そのひたむきな太刀筋も眼差しも、変わらないわ……)",
"304000312_4": "「うん?」",
"304000312_5": "「なんでもないわ。ただの独り言よ」",
"304000312_6": "「こんなもんでいいだろ?\\n そろそろあたしたちは行くからな」",
"304000312_7": "「ああ、助かった。また今度頼む」",
"304000312_8": "「あ……そうだ。あなた、立花響が\\n 立ち寄りそうなところに心当たりないかしら」",
"304000312_9": "「……立花響、か……」",
"304000312_10": "「何か?」",
"304000312_11": "「いや、何でもない」",
"304000312_12": "「たまに学園の近くの公園で姿を見かけることがある。\\n 運がよければ、そこで会えるかもしれないな」",
"304000312_13": "「そう、ありがとう」",
"304000312_14": "「じゃあ、今度こそ行くとするか」",
"304000312_15": "「心当たりがあるなら発令所で教えといてくれても\\n 良さそうなもんだけどな……」",
"304000312_16": "「彼女たちの間には、なにか大きな壁があるようね……」",
"304000312_17": "「壁、ね……。\\n なんだか知らないけど、いろいろ面倒な感じだな」",
"304000312_18": "「……当たりだ。あそこ――」",
"304000312_19": "「…………」",
"304000312_20": "「なあ……あれ、本当にあいつか……?\\n まるで別人みたいに見える……」",
"304000312_21": "「並行世界なのだから、多少の違いはあるものよ」",
"304000312_22": "「そりゃわかるけど……」",
"304000312_23": "「ねえ、あなた」",
"304000312_24": "「――ッ!?」",
"304000312_25": "「立花響さん、よね?」",
"304000312_26": "「そう、だけど……誰?」",
"304000312_27": "「そう身構えないで。わたしたちも装者よ。\\n 昨晩、一緒に戦ったでしょう」",
"304000312_28": "「…………」",
"304000312_29": "「実は、数日前にあなたが1人で対峙したノイズについて\\n 聞かせて貰いたいのだけど……」",
"304000312_30": "「……そんなの、どうでもいい……」",
"304000312_31": "「えっ?」",
"304000312_32": "「放っておいて……」",
"304000312_33": "「取り付く島もないわね……」",
"304000312_34": "「ああ……」",
"304000312_35": "(それにしても、あいつ……\\n なんで、あんな暗い顔してんだよ……"
}

View file

@ -0,0 +1,55 @@
{
"304000411_0": "陽だまりの無い世界",
"304000411_1": "「どうだ?\\n 響くんから、何か聞き出せたか」",
"304000411_2": "「いえ、まったく……」",
"304000411_3": "「あれから何度も接触してみたけど、\\n 毎回、ほとんど言葉も交わせずじまいで……」",
"304000411_4": "「話を聞くどころか、まともな対話も出来ないわ。\\n 正直、どうしたらいいか……」",
"304000411_5": "「何なんだよ、あいつはッ! 本当にあいつなのかよッ」",
"304000411_6": "「……すまない」",
"304000411_7": "「いや、おっさんが謝る事じゃねーけど……」",
"304000411_8": "「彼女がああまで頑なになってしまった理由、\\n もしかして知っているの」",
"304000411_9": "「それは……」",
"304000411_10": "「何か知っているなら、教えて頂けないかしら」",
"304000411_11": "「…………」",
"304000411_12": "「言いにくい話かもしれないけれど、それでも今、わたしたちは\\n 藁にもすがりたい状況なの」",
"304000411_13": "「彼女との対話のきっかけを掴まないことには、\\n 事態は何も進展しない、だから……」",
"304000411_14": "「……わかった。\\n ……俺の責任で話せることを話すとしよう」",
"304000411_15": "「話が分かるじゃねーか」",
"304000411_16": "「彼女には、ある辛い過去があってな。\\n それ以来、誰も信じることができないでいる状態なんだ」",
"304000411_17": "「我々も何度も接触し、彼女を支えようとしたが……\\n 残念ながら、一切聞く耳を持ってくれん」",
"304000411_18": "「ただ、ノイズとの戦いには興味というか、執着があるのか、\\n 戦場に駆けつけ、イズと戦ってはくれている……」",
"304000411_19": "「辛い過去……?」",
"304000411_20": "「実は、彼女はさる事件の生き残りなのだが――」",
"304000411_21": "「もしかして、ツヴァイウィング……\\n 翼と天羽奏のライブ中に起こった、イズ襲撃事件かしら」",
"304000411_22": "「知っているなら話が早い」",
"304000411_23": "「あのライブ事変を生き残った彼女は、犠牲となった者の遺族から\\n 謂われのない非難や中傷、差別を一身に受けたようだ」",
"304000411_24": "「家族以外は誰も傍にいない状況で、自分のせいで\\n 唯一の拠り所の家族までもが、理不尽な中傷を受ける……」",
"304000411_25": "「それは当時の彼女にとって、どれだけ深い傷になったのか。\\n 当事者では無い我々には、到底計り知れるものではない……」",
"304000411_26": "「ちょ、ちょっと待ってくれ、おっさん」",
"304000411_27": "「ん?」",
"304000411_28": "「今、『家族以外はいない』って言ったか?\\n でも……あいつはいたんだろう」",
"304000411_29": "「あいつ……? それは、誰のことだ?」",
"304000411_30": "「小日向未来のことね」",
"304000411_31": "「小日向……? いや、彼女の近辺に\\n そんな人物がいるとは聞いたことないが……」",
"304000411_32": "「なんだって……?」",
"304000411_33": "「いったい全体、どういうことなんだ?」",
"304000411_34": "「どうやらあの子が立花響の傍にいないのは確かなようね」",
"304000411_35": "「だったら、あいつはどこにいるんだよ?\\n あいつがあのバカの傍にいないなんて……」",
"304000411_36": "「わからないわ。どこかで生きているのか、既に死んで\\n いるのか……それとも存在そのものが無いのか……」",
"304000411_37": "「縁起でもないこと言うなよ」",
"304000411_38": "「ともかく、今大事なのは、そこではないわ」",
"304000411_39": "「この世界の彼女の生い立ちや、今の状況は把握できた」",
"304000411_40": "「その上で、彼女との対話へとこぎつけ、\\n 目撃したイズの情報を聞き出さないと」",
"304000411_41": "「あいつの気持ちは二の次ってことかよ?」",
"304000411_42": "「そうは言ってないわ。でも優先順位が少し違うというだけ……」",
"304000411_43": "「ちッ! ノイズが現れたのかッ!?」",
"304000411_44": "「彼女もやってくるかもしれない。接触するチャンスね」",
"304000411_45": "「……ノイズを放っておくわけにもいかねえしな」",
"304000411_46": "「2人とも、手を貸してくれるのか?」",
"304000411_47": "「ええ。それで、状況は?」",
"304000411_48": "「近隣住民の避難がまだ終わっていないのだ。\\n イズにこれ以上街中を闊歩させるわけにはいかん」",
"304000411_49": "「人手が欲しかったところだ。正直、助かる」",
"304000411_50": "「人手っていや……あいつも、騒ぎを嗅ぎつけて来たんだな」",
"304000411_51": "「立花か……」",
"304000411_52": "「…………」"
}

View file

@ -0,0 +1,9 @@
{
"304000412_0": "「ノイズの反応沈黙」",
"304000412_1": "「装者たちにも、大きな損害はない模様です」",
"304000412_2": "「並行世界からの援軍か……正直、助かるな」",
"304000412_3": "「ずっといて貰うわけにもいかんのが辛いところだがな」",
"304000412_4": "「し、司令ッ! 新たなノイズの反応を検知ッ!」",
"304000412_5": "「なんなの、この反応の大きさは――ッ!?」",
"304000412_6": "「これは……まさか数日前のッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,14 @@
{
"304000421_0": "「これであらかた片付いたか?」",
"304000421_1": "「ええ。これでようやく彼女と話す時間が取れるわね」",
"304000421_2": "「…………」",
"304000421_3": "「気をつけろッ! すぐ近くに強力なノイズの反応を検知したッ!\\n 反応からして数日前の奴の公算が高いッ」",
"304000421_4": "「どうやら、彼女から無理に話を聞く必要は無くなったようね」",
"304000421_5": "「ああ……この世界にも、やっぱりコイツがいたんだな……」",
"304000421_6": "「なんだ、あの異様な姿のノイズは……?」",
"304000421_7": "「あれがカルマノイズよ。\\n 一筋縄ではいかないから、油断しないようにね」",
"304000421_8": "「――ッ!!」",
"304000421_9": "(この反応……。\\n やっぱり、先日彼女が見たのも、こいつだったみたいね",
"304000421_10": "「ヤツが逃げ出さないうちに速攻で片付けるッ!!」",
"304000421_11": "「ええ、わかってるわッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,29 @@
{
"304000422_0": "「まだ再生するというの?」",
"304000422_1": "「クソッ! しぶとすぎんだろッ!」",
"304000422_2": "「おおおお――ッ!!」",
"304000422_3": "「バカッ! 考えなしに突っ込むなッ!!」",
"304000422_4": "「かは――ッ!?」",
"304000422_5": "「は……ッ!?」",
"304000422_6": "「はあああ――ッ!!」",
"304000422_7": "「間一髪……、というところね」",
"304000422_8": "「大丈夫かッ!?」",
"304000422_9": "「……余計なこと、しないで」",
"304000422_10": "「なんだと?」",
"304000422_11": "「……どうせみんな独り、誰も辛い時に助けてなんてくれない」",
"304000422_12": "「お前、なに言って……」",
"304000422_13": "「待って、カルマノイズが……ッ!」",
"304000422_14": "「消えた、だと……」",
"304000422_15": "「住民の避難が進んで周辺の人数が減ったから……かしらね」",
"304000422_16": "「クソッ! あれだけ削ったのに、また初めからかよ……」",
"304000422_17": "「――ッ!」",
"304000422_18": "「今日はいい天気だね」",
"304000422_19": "「ほんと、おかげでアイスも美味しい日和だね」",
"304000422_20": "(少し顔色よくなったかな……? よかった……)",
"304000422_21": "「……クリスちゃんとマリアさん、今頃どうしてるかな?」",
"304000422_22": "「2人だったら心配ないよ。\\n それよりも、響はもっと自分のことを心配してよね」",
"304000422_23": "「あはは……ごめんごめ――ッ!?」",
"304000422_24": "「響……?」",
"304000422_25": "「うぐ――ッ!? あ……あああッ!?」",
"304000422_26": "「響ッ!? どうしたの、響――ッ!!」"
}

View file

@ -0,0 +1,43 @@
{
"304000431_0": "「未来……」",
"304000431_1": "「響……」",
"304000431_2": "「ごめんね……また、心配かけちゃった……」",
"304000431_3": "「う――ッ!?」",
"304000431_4": "「無理しないで響ッ! まだ立ったりしちゃダメだよ」",
"304000431_5": "「もう少し良くなったら、一緒に帰ろう?\\n だからここでもう少しだけ休んで。ね」",
"304000431_6": "「うん……」",
"304000431_7": "(どうして、こんなに衰弱してるの……?)",
"304000431_8": "「未来さん……少しお話しがあります。\\n 発令所まで来ていただけますか」",
"304000431_9": "「……うん、わかった」",
"304000431_10": "「ごめん、響。\\n ちょっとだけ、みんなとお話ししてくるね」",
"304000431_11": "「…………」",
"304000431_12": "「すぐ戻るから。ここで待っててね」",
"304000431_13": "「立花の容態はッ!?」",
"304000431_14": "「どうなんデスかッ!?」",
"304000431_15": "「先日からメディカルチェックを何度も繰り返していますが、\\n 残念ながら、依然、原因は不明のままです」",
"304000431_16": "「……」",
"304000431_17": "「だが、響くんの衰弱は尋常ではない。\\n これは、もはや通常の疾病が原因とは考えにくいだろう」",
"304000431_18": "「打つ手はないんですか? 少しでも手がかりとか……」",
"304000431_19": "「原因はわかりませんが、神経パルスの乱れが\\n 日に日に増大する傾向にあるようです」",
"304000431_20": "「肉体的な衰弱も、主に精神面から来ていると思われます」",
"304000431_21": "「精神面……」",
"304000431_22": "「ええ、そうです」",
"304000431_23": "「この前、響さんは悪夢にうなされていると言っていましたが、\\n 内容はわかりませんか」",
"304000431_24": "「それは――」",
"304000431_25": "「とてもとても、怖い夢……」",
"304000431_26": "「日の当たらない暗いところに閉じこもって。\\n 周りには誰もいなくて……」",
"304000431_27": "「苦しいのに、誰も、助けてくれなくて……」",
"304000431_28": "「誰も笑いかけてくれない……。\\n 誰も手を握ってくれない……」",
"304000431_29": "「ずっとずっと、心の奥が痛いのに……。\\n それが、いつの間にか、当たり前になっちゃって……」",
"304000431_30": "「わたし、怖いよ……」",
"304000431_31": "「響くんが、そんな悪夢を……?」",
"304000431_32": "「そんなこと、ありえないデスッ!」",
"304000431_33": "「うん……響さんには、みんなついているもの」",
"304000431_34": "「なのに……これはいったいどういうことだ?」",
"304000431_35": "「こんなときに襲撃だとッ!?」",
"304000431_36": "「ノイズのことで立花にこれ以上心労をかけてなるものか。\\n 行くぞ、人とも」",
"304000431_37": "「もちろんデスッ!」",
"304000431_38": "「響さんにはゆっくり眠ってもらわないと」",
"304000431_39": "「小日向は立花の傍についてやってくれ」",
"304000431_40": "「翼さん、ありがとうございます……。\\n 調ちゃんと切歌ちゃんも気をつけて」"
}

View file

@ -0,0 +1,22 @@
{
"304000432_0": "「ただいま、響……」",
"304000432_1": "「……み、く……?」",
"304000432_2": "「起きてたの……?」",
"304000432_3": "「うん……。さっき、警報が聞こえたけど……」",
"304000432_4": "「大丈夫。翼さんと調ちゃん、切歌ちゃんが\\n 行ってくれたから。安心して」",
"304000432_5": "「そっか……」",
"304000432_6": "「はぁ……ダメだなぁ……わたし。\\n 誰かを助けるために戦いたいのに、こんな状態で……」",
"304000432_7": "「もう。今は、ゆっくり休むときだよ。変なこと考えないの」",
"304000432_8": "「今は、か……本当に、今だけ、なのかな……」",
"304000432_9": "「響?」",
"304000432_10": "「わたし、どうなるのかな……? このまま――」",
"304000432_11": "「どうにもなったりしない。\\n 絶対、絶対に……そんなのわたしが許さないんだから」",
"304000432_12": "「み……く……」",
"304000432_13": "「だから……大丈夫だから。少し眠って?」",
"304000432_14": "「……ごめん、ね……」",
"304000432_15": "(どうして……)",
"304000432_16": "(どうして響がそんな悪夢で苦しまなければいけないの?)",
"304000432_17": "(何が響に、そんな孤独を感じさせているの?)",
"304000432_18": "(どうすれば、響の苦しみを取り除いてあげられるの?)",
"304000432_19": "(わからない……わからないよ、響……)"
}

View file

@ -0,0 +1,22 @@
{
"304000511_0": "精神同調",
"304000511_1": "「わたしたちは一度、向こうの世界に帰ることにするわ」",
"304000511_2": "「ノイズのカルマ化が起きていることが分かったし、\\n 一度報告に戻らないとな」",
"304000511_3": "「そうか。短い間だが、2人には世話になった……。\\n 心から感謝している」",
"304000511_4": "「そんな神妙な顔しないで。\\n 向こうで情報をまとめてすぐにまた来るわ」",
"304000511_5": "「カルマノイズを潰さない限り、この世界も\\n あたしらの世界も、無事じゃ済まないからな……」",
"304000511_6": "「ちょうどよかった。\\n 向こうに戻るなら、これを持って行くといい」",
"304000511_7": "「これは?」",
"304000511_8": "「これまでに我々が収集したデータだ」",
"304000511_9": "「そちらの世界と比べたら微々たる物かもしれないが……\\n 比較することで何か新しい発見があるかもしれん」",
"304000511_10": "「ありがとう」",
"304000511_11": "「……やれやれ。やっと帰って来れたな」",
"304000511_12": "「あら、向こうはお気に召さなかったのかしら?」",
"304000511_13": "「そういうわけじゃねーけど、どうも調子狂うんだよな。\\n ……久しぶりにあのバカの顔でも見たい気分だ」",
"304000511_14": "「フフ、それじゃ早速発令所に行きましょうか。\\n もしかしたら来てるかもしれないし――」",
"304000511_15": "「――なッ……ノイズ警報ッ!?」",
"304000511_16": "「いくらなんでもタイミング良すぎだろッ!」",
"304000511_17": "「戻ったか、2人ともッ!」",
"304000511_18": "「戻って早々悪いが、ノイズが出現した。\\n すぐに迎撃に出てくれ」",
"304000511_19": "「まったく、休む間もないのかよ……」"
}

View file

@ -0,0 +1,27 @@
{
"304000512_0": "「2人とも、戻ってきたのか」",
"304000512_1": "「つい今しがたね」",
"304000512_2": "「マリア、お帰り」",
"304000512_3": "「お帰りなさいデスッ!」",
"304000512_4": "「……あいつはどうした?」",
"304000512_5": "「響さんは……」",
"304000512_6": "「それは道すがら話そう」",
"304000512_7": "「…………」",
"304000512_8": "「邪魔するぞ」",
"304000512_9": "「……響、クリスとマリアさんだよ?」",
"304000512_10": "「え……あ……ほんとだ……」",
"304000512_11": "(どういうこと……?)",
"304000512_12": "(まるで病人じゃねーか……)",
"304000512_13": "「お帰り、いつ帰って来たの……?」",
"304000512_14": "「あ、ああ。ついさっきな」",
"304000512_15": "「よかった……2人とも無事で……」",
"304000512_16": "「おかげ様でね」",
"304000512_17": "「帰ってきたと思ったら出撃なんてな。\\n イズも少しは空気読めってんだ、ったく……」",
"304000512_18": "「ごめんね……わたしが、こんなだから……」",
"304000512_19": "「ば……バカッ。変な気使ってんじゃねーよ」",
"304000512_20": "「お前がいなくても余裕なんだから、大人しく寝てろって」",
"304000512_21": "「あはは……そっか……あたし、いらないかな……」",
"304000512_22": "「そ、そういう意味じゃねーってのッ!」",
"304000512_23": "「その内お前の力が必要な時が来るんだから。\\n それまでにちゃんと養生しとけ。わかったなッ」",
"304000512_24": "「うん……ごめん……わかった……」"
}

View file

@ -0,0 +1,28 @@
{
"304000521_0": "「なんとかならねーのかよッ!」",
"304000521_1": "「すみません、ボクが不甲斐ないばかりに……」",
"304000521_2": "「そんなことないデス。エルフナインは\\n 寝る間も惜しんで毎日必死に原因を調べているデスよ」",
"304000521_3": "「うん……。この状況は、誰のせいでもないもの」",
"304000521_4": "「わかってんだよ、そんなことはッ!」",
"304000521_5": "「けどよ……このままじゃ、あいつ……」",
"304000521_6": "「ちくしょうッ! おかしいだろッ! 同じやつなのに向こうじゃ\\n ピンピンしてて、こっちじゃあんな状態だなんてよッ」",
"304000521_7": "「落ちつけ。\\n お前が激昂したところで、事態は何も変わらないぞ」",
"304000521_8": "「先ほどもお伝えしたように、\\n 響さんの不調の原因は分かりません……」",
"304000521_9": "「ただ、ずっと悪夢を見続けていることで、\\n 心身ともにかなりの衰弱が見られます」",
"304000521_10": "「ええ、さっき会ってきたわ。\\n いつからあんなになったの」",
"304000521_11": "「それが。衰弱にも波があるのか、\\n 急に悪化することもあるみたいで……」",
"304000521_12": "「一昨日まではそこまでではなかったのですが、\\n 昨日、一気に症状が悪化して……」",
"304000521_13": "「それにしても、その悪夢っていうのは……?」",
"304000521_14": "「響、寝ている間中、『わたしは独りだ……』とか\\n 『どうせ誰も助けてくれない』って、ずっと呟いているんです」",
"304000521_15": "「その言葉……」",
"304000521_16": "「なんだそりゃ、まるで向こうのあいつじゃねーか……」",
"304000521_17": "「向こうのあいつって……、向こうにも響がいるの?」",
"304000521_18": "「ああ。でも向こうのあいつは、こっちのと性格が\\n 真逆だけどな」",
"304000521_19": "「……ちょうどこの前のカルマノイズとの戦いの時も、\\n 『どうせみんな独り』とか何とかって言ってたような」",
"304000521_20": "「それ、詳しい話を聞かせてッ! お願いッ!」",
"304000521_21": "「えッ!? お、おう……」",
"304000521_22": "「あら……翼もいたのね」",
"304000521_23": "「マリアか……戻って早々、精が出るな」",
"304000521_24": "「少し、体を動かしたくなったの。\\n ちょうどいいわ。付き合ってくれるかしら」",
"304000521_25": "「ああ、もちろんだ」"
}

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@ -0,0 +1,27 @@
{
"304000522_0": "「少しは、気分転換になったか?」",
"304000522_1": "「……まあね。やっぱりあなたも?」",
"304000522_2": "「ああ……今も心の中は千々に乱れている……」",
"304000522_3": "(当然よね……。\\n あの子を除けば翼が一番、付き合い長いんですものね",
"304000522_4": "「ところで……さっきの話だけど、どう思う?」",
"304000522_5": "「向こうにいるという、立花のことか……?」",
"304000522_6": "「ええ……『独り』そして『助けてくれない』。\\n どちらのあの子も口にしているその言葉……」",
"304000522_7": "「確かに関係ない……とは言い切れないだろうな」",
"304000522_8": "「原因不明の体調不良と、悪夢を見る立花、\\n その口から出た言葉と並行世界の立花との酷似……」",
"304000522_9": "「状況的にみて、偶然という言葉だけでは片付けられないだろうな」",
"304000522_10": "「やっぱり、そう思う?」",
"304000522_11": "「……向こうから持ち帰ってくれたデータを、今、エルフナインが\\n 分析してくれているのだろう」",
"304000522_12": "「もしかしたら、他に分かることもあるかもしれないな」",
"304000522_13": "「……そうね。今は、待つしかないわ。\\n ああ、そういえば。向こうの世界にはあなたもいたわよ」",
"304000522_14": "「そうなのか? いったい、どんな……?」",
"304000522_15": "「安心して。翼は向こうでも翼だったわ」",
"304000522_16": "「それは、褒めてるのか……?」",
"304000522_17": "「フフ、さあね?」",
"304000522_18": "(よかった。今日は、昨日ほどうなされてないみたい……)",
"304000522_19": "(でも、これ以上衰弱が進んだら……\\n 本当に、響の身体がもたなくなっちゃう……",
"304000522_20": "(クリスとマリアさんから聞いた、もう1人の響の話……)",
"304000522_21": "(別の世界があるだなんて、すぐには信じられなかったけど……)",
"304000522_22": "(でも……きっと、向こうの響が、こっちの響の衰弱に\\n 関係してる……今はそうとしか思えない",
"304000522_23": "「…………」",
"304000522_24": "(響のために、今のわたしが出来ることって、何だろう……?)"
}

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@ -0,0 +1,22 @@
{
"304000531_0": "「あれれ? もう人がいるデス?」",
"304000531_1": "「おう、早いな」",
"304000531_2": "「こんな時間から先輩方もトレーニングデスか?」",
"304000531_3": "「ああ。家ではどうにも落ち着かなくてな」",
"304000531_4": "「同感デス……」",
"304000531_5": "「響さん、夕べは大丈夫だったでしょうか……」",
"304000531_6": "「幸い、昨日と大差はねーみたいだけどな」",
"304000531_7": "「解析が進んでいると嬉しいデスね」",
"304000531_8": "「みんな立花が心配なんだな」",
"304000531_9": "「誰よりも早く来てたのはどこのどいつだよ」",
"304000531_10": "「わ、わたしはその、バイクだから早く着いただけだ」",
"304000531_11": "「みんな別々の場所から来てるし、\\n 交通手段は関係ないと思います」",
"304000531_12": "「そうデスよ。\\n でも……そう言うってことは、クリス先輩は番だったんデスね」",
"304000531_13": "「あ、あたしは……家が近いだけだッ」",
"304000531_14": "「はいはいそのくらいにして。\\n みんなあの子が心配なのは一緒でしょ」",
"304000531_15": "「そろそろエルフナインの解析の結果が出る頃だものね」",
"304000531_16": "「気持ちは分かるけど、黙って待っていても仕方ないし、\\n 訓練でもしていましょうか」",
"304000531_17": "「ああ、いい考えだと思う」",
"304000531_18": "「それじゃ始めましょう。あまり上の空で戦うと怪我するわよ。\\n しっかり気持ちを切り替えましょう」",
"304000531_19": "「了解デスッ!」"
}

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@ -0,0 +1,16 @@
{
"304000532_0": "「お前たちは、全く……」",
"304000532_1": "「上の空にならないようにって言ったんだけどね……」",
"304000532_2": "「――えッ? そんな事ないデスッ!」",
"304000532_3": "「うん、そんな事ない……」",
"304000532_4": "「やはり立花のことで皆、大なり小なり動揺しているのだろう。\\n 気持ちが入っていないようだ」",
"304000532_5": "「これ以上はやっても身にならないし、負傷の怖れすらある」",
"304000532_6": "「そうね……わたしもそう思うわ。\\n 仕方ないわね、訓練はこのくらいにしましょうか」",
"304000532_7": "「みなさん、集まってるみたいですね」",
"304000532_8": "「エルフナイン……何かあったのか?」",
"304000532_9": "「みなさんにお話ししたいことがあります。\\n 発令所へ来ていただけますか」",
"304000532_10": "「切ちゃんッ!」",
"304000532_11": "「急ぐデスッ!」",
"304000532_12": "「――って、わたしたち以外、もう誰もいない?」",
"304000532_13": "「み、みんな早すぎデス……」"
}

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@ -0,0 +1,40 @@
{
"304000541_0": "「お前たち……早いな」",
"304000541_1": "「そんなことより、何か分かったのかッ!」",
"304000541_2": "「そうです。話とやらを聞かせてくださいッ!」",
"304000541_3": "「まあ、そう急かすな。\\n 話は未来くんが着いてからにさせてくれ。じきに来るはずだ」",
"304000541_4": "「お待たせしました」",
"304000541_5": "「いや、それほどでもないさ」",
"304000541_6": "「それでは始めようか。エルフナインくん、頼む」",
"304000541_7": "「はい」",
"304000541_8": "「ようやく響さんの不調の原因が分かったかもしれません」",
"304000541_9": "「本当なの?」",
"304000541_10": "「まだ確証とまではいきませんが、恐らくは」",
"304000541_11": "「聞かせてもらえるかしら、その仮説を」",
"304000541_12": "「今回の響さんの不調の原因は、彼女の精神が並行世界の\\n 響さんの精神と同調してしまったことにあると思います」",
"304000541_13": "「同調って……どういうこと?」",
"304000541_14": "「つまり、並行世界側の響さんの持つ負の感情などがこちらの\\n 響さんへと流れ込み、それが響さんを苦しめているんです」",
"304000541_15": "「待てよ。向こうにいたのはあのバカだけじゃねーぞ。\\n なのにどうして、あいつだけ……」",
"304000541_16": "「それは恐らく、2人の響さんたちの精神性の問題なんです」",
"304000541_17": "「精神性の問題……?」",
"304000541_18": "「こちらの響さんは正の感情が強く、\\n 対して向こうの響さんは負の感情が強い――そうですね」",
"304000541_19": "「ああ……確かにあいつ、\\n こっちのあいつと裏表って言っていいくらいだったが……」",
"304000541_20": "「共鳴しあう2人の間に発生した精神ポテンシャルの差――」",
"304000541_21": "「この落差のために、どちらも一方通行に近い形で\\n 相手の感情が流れ込んでいるようなんです」",
"304000541_22": "「正の感情は悪いものでは無いので、向こうの響さんへの影響は\\n ほぼ皆無、もしくは自覚がない状態なのでしょうが……」",
"304000541_23": "「負の感情を急激に受け取ってしまったこちらの響さんは、\\n それが心身の不調へと繋がってしまっているのでしょう」",
"304000541_24": "「他の人にそういった影響がほとんど無いのは、\\n 双方が近い精神性を持つからではないでしょうか」",
"304000541_25": "「例えば、向こうの翼さんはどうでしたか?」",
"304000541_26": "「ええそうね……2人はほぼ同じように見えたわ」",
"304000541_27": "「並行世界とは本来、同じような歴史を同じような人が歩む\\n ものなんです」",
"304000541_28": "「小さな違いはありますが、それこそ、その人が本来持つ\\n 精神性まで変わってしまうような事はまれです」",
"304000541_29": "「今回はそれが悪い方に働き、更にカルマノイズから攻撃を\\n 受けたことで、大きな負荷がかかってしまったのではないかと」",
"304000541_30": "「カルマ化したノイズはそういった負の感情を\\n 強烈なまでに増幅する呪いを持っています」",
"304000541_31": "「向こうでカルマ化したノイズと、向こうの響さんが対峙する\\n ことで、その影響がより大きくなったと考えられます」",
"304000541_32": "「それなら……どうすればいいの?」",
"304000541_33": "「鍵は……恐らく、未来さんです」",
"304000541_34": "「わたし……?」",
"304000541_35": "「またかよッ!\\n いつもいつも、肝心な時に邪魔しやがってッ」",
"304000541_36": "「話の続きは戻ったら聞かせてちょうだい」",
"304000541_37": "「わかりました。みなさんお気を付けて」"
}

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@ -0,0 +1,39 @@
{
"304000542_0": "「それじゃ、行ってくる」",
"304000542_1": "「うん……お願い。マリアさんも……」",
"304000542_2": "「任せておきなさい」",
"304000542_3": "「これまでの仮説が正しければ――」",
"304000542_4": "「並行世界の響さんの精神の安定、つまり負ではなく正の感情が\\n 強くなれば、こちらへの影響は無くなっていくはずです」",
"304000542_5": "「その鍵となるのは……恐らく、未来さんでしょう」",
"304000542_6": "「わたしが……?」",
"304000542_7": "「ええ。響さんにとって、未来さんは欠かせない存在ですから」",
"304000542_8": "「ただ、向こうの世界に未来さんがいるのかどうか、\\n その状況が分からないようですし――」",
"304000542_9": "「ああ、少なくとも向こうの二課は把握してなかった」",
"304000542_10": "「もし見つけ出しても事情を一から伝えて協力を得る事は\\n 非常に困難を要することが予測されます」",
"304000542_11": "「それじゃあ、どうしようもないってこと?」",
"304000542_12": "「いえ、方法はあります……ですが……」",
"304000542_13": "「その方法を教えてッ!」",
"304000542_14": "「それは、こちらの未来さんに直接向こうの世界に渡って\\n もらうことです」",
"304000542_15": "「……わたしが?」",
"304000542_16": "「なッ!? いくらなんでも、そりゃ危険すぎるだろう」",
"304000542_17": "「……はい、危険はともないます。\\n ですが、今考えられる方法としてはそれしか……」",
"304000542_18": "「待て、ギャラルホルンを通過できるのは装者だけではないのか?」",
"304000542_19": "「小日向は装者ではない」",
"304000542_20": "「……以前に記録で見ました」",
"304000542_21": "「未来さんは、かつて一時とはいえ、\\n ギアを纏ったことがありましたよね」",
"304000542_22": "「<ruby=シェンショウジン>神獣鏡</ruby>……」",
"304000542_23": "「はい、そうです」",
"304000542_24": "「けど、あれはあの時分解されたデスよ?」",
"304000542_25": "「確かに、こちらの世界のものはそうでしょう」",
"304000542_26": "「もしかして……」",
"304000542_27": "「はい。こちらの世界にはなくても、\\n 向こうの世界になら、まだあるかもしれません」",
"304000542_28": "「心配すんな。必ず<ruby=シェンショウジン>神獣鏡</ruby>を見つけてくる」",
"304000542_29": "「あなたはいつでも向こうの世界に行けるように、\\n 体調を整えて待ってなさい」",
"304000542_30": "「……はい。わかりました」",
"304000542_31": "「カルマ化したノイズに対抗するために、2つの世界への対応を\\n 考えても、戦力の増強と向こうの装者の協力は不可欠だ」",
"304000542_32": "「難しい任務だとは思うが、\\n なんとかやり遂げてくれッ」",
"304000542_33": "「ああッ! 任せときなッ!」",
"304000542_34": "「すぐに朗報を届けて見せるわ」",
"304000542_35": "(お願い、2人とも……)",
"304000542_36": "(わたしに、響を助ける力を……)"
}

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@ -0,0 +1,24 @@
{
"304000611_0": "決意",
"304000611_1": "「立花の容態はどうだ?」",
"304000611_2": "「正直言って、あまりよくありません」",
"304000611_3": "「1日の大半を眠って過ごしている状態ですし。\\n なにより……」",
"304000611_4": "「ううう……ああああ――ッ!?」",
"304000611_5": "「相変わらずひどくうなされてるデスね……」",
"304000611_6": "「苦しそう……」",
"304000611_7": "「響……ほら、みんないるよ? だから、大丈夫……」",
"304000611_8": "「お願い、翼さん……。\\n そっちの手、握ってあげてもらえますか」",
"304000611_9": "「わかった。こうか……?」",
"304000611_10": "「ありがとうございます。\\n こうすると、少しだけ響の表情が和らぐんです……」",
"304000611_11": "「はぁ、はぁ、はぁ……う、ん……」",
"304000611_12": "「ほら、ね?」",
"304000611_13": "「それならアタシたちも握るデスッ!」",
"304000611_14": "「うん……わたしたちの温もりが、\\n 少しでも響さんの心に伝わるなら……」",
"304000611_15": "「1日中だって繋ぐデスよッ!」",
"304000611_16": "「ありがとう、みんな……」",
"304000611_17": "「ゲゲゲッ! まったくどうしてこんな時ばかり現れるデスかッ!?」",
"304000611_18": "「響はわたしが見てるから。みんな、お願いします」",
"304000611_19": "「ああ……すぐに倒して戻ってくる」",
"304000611_20": "「それまでの間、響さんのこと、お願いします」",
"304000611_21": "「うん」"
}

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@ -0,0 +1,13 @@
{
"304000621_0": "「このッ! 木っ端微塵にされたいデスかッ!」",
"304000621_1": "「ノイズはどんな倒し方しても、\\n 最後は炭素化で木っ端微塵になるよ、切ちゃん……」",
"304000621_2": "「でも……響さんが大変な時に現れたこと、許せないのは――」",
"304000621_3": "「わたしも同じだよ」",
"304000621_4": "「響さんがいないからって、\\n イズなんかに苦戦してなるものかデスッ」",
"304000621_5": "「うん。マリアやクリス先輩が頑張っているんだもの」",
"304000621_6": "「その通りだッ!」",
"304000621_7": "「わたしたちがノイズごときに遅れを取っていては、\\n 立花にも無用の心配をかけてしまうからな――ッ」",
"304000621_8": "「もはや残敵はわずかだ。\\n 人とも、一気呵成に平らげるぞッ」",
"304000621_9": "「はいデスッ!!」",
"304000621_10": "「了解です」"
}

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@ -0,0 +1,41 @@
{
"304000622_0": "「あ……未来……」",
"304000622_1": "「おはよう、響」",
"304000622_2": "「もしかして、ずっと傍で、こうして……?」",
"304000622_3": "「ずっとじゃないけど……大体は、かな」",
"304000622_4": "「ごめんね……」",
"304000622_5": "「もう。ごめんは無しだよ」",
"304000622_6": "「うん、わかった。ごめん――あッ」",
"304000622_7": "「フフ……もう、言ってる傍から」",
"304000622_8": "「はは……ほんと、わたしってばおかしいね……」",
"304000622_9": "「あのね、響……」",
"304000622_10": "「ずっとこうしてついていてあげたいんだけど、\\n 行かなくちゃいけないところができたの」",
"304000622_11": "「行くって……どこへ……?」",
"304000622_12": "「ギャラルホルンを通って、並行世界へ」",
"304000622_13": "「な、なんでッ!? 未来がどうして並行世界なんかに?」",
"304000622_14": "「落ち着いて聞いて……」",
"304000622_15": "「う、うん……」",
"304000622_16": "「響の具合が悪くなった原因が、並行世界にあるんだって」",
"304000622_17": "「並行世界にいる、もう1人の響の心が……\\n 響の中に流れ込んで苦しめてるの」",
"304000622_18": "「だから、わたし……響を助けに行きたいの。\\n そして、向こうの世界の響も……」",
"304000622_19": "「とめても……」",
"304000622_20": "「……うん。もう決めたんだ」",
"304000622_21": "「……だよ、ね」",
"304000622_22": "「あのね、未来……お願いが、あるんだ」",
"304000622_23": "「なに?」",
"304000622_24": "「あの子……並行世界のわたしなんだけど、多分、ずっと\\n 真っ暗な所で独りきりで、辛い思いを抱え込んでるんだ……」",
"304000622_25": "「誰も助けてくれないから、誰も信じれない、どんなに悲しくても\\n 言えない、そんな気持ちを感じるんだ……」",
"304000622_26": "「だから……助けてあげて欲しい。わたしは1人じゃないって、\\n 一番辛い時にわたしに教えてくれたのは、未来だから……」",
"304000622_27": "「何度も暗い夜からわたしを助けてくれたのは、未来だから」",
"304000622_28": "「うん……」",
"304000622_29": "「でもね、響。わたしだって、何度も何度も、\\n 響に助けられてきたんだよ」",
"304000622_30": "「わたしたち、ずっとそうして一緒に生きてきたんじゃない」",
"304000622_31": "「だから、もう1回、わたしの番。\\n 響のこと、わたしに助けさせて」",
"304000622_32": "「うん……ありがとう、未来」",
"304000622_33": "「待ってるから……。だから、絶対に、無茶しないでね?」",
"304000622_34": "「フフ……いつもと反対だね」",
"304000622_35": "「うん……本当だ。反対だね……」",
"304000622_36": "「わたし、未来をいつもこんな気持ちにさせてたんだね」",
"304000622_37": "「わたしの気持ちがわかったら、\\n 次からはもう少し無茶は控えてね」",
"304000622_38": "「うん……できるだけ頑張ってみる」"
}

View file

@ -0,0 +1,29 @@
{
"304000631_0": "「なるほど、な……」",
"304000631_1": "「響くんたちを助けるために、\\n <ruby=シェンショウジン>神獣鏡</ruby>がどうしても必要だというのだな……」",
"304000631_2": "「ええ。<ruby=シェンショウジン>神獣鏡</ruby>の在処をご存じないかしら?」",
"304000631_3": "「ご存じもなにも。\\n <ruby=シェンショウジン>神獣鏡</ruby>なら、既にペンダントを作成済みだ」",
"304000631_4": "「本当かッ!? それなら――」",
"304000631_5": "「いや、しかし――」",
"304000631_6": "「しかしもかかしもないだろうッ!\\n それが無きゃ、あいつはこっちにこれねーんだッ」",
"304000631_7": "「なにか問題でも?」",
"304000631_8": "「ああ、ペンダントを作成はしたものの、\\n 扱える適合者が見つからなくてな」",
"304000631_9": "「無理な起動実験もあって、破損してしまい、\\n 廃棄処分になっている」",
"304000631_10": "「それじゃあ、もう無いってことかッ!?」",
"304000631_11": "「いや、廃棄処分と言っても聖遺物を捨てるわけにはいかず、\\n 厳重に保管してある。今は、それしか――」",
"304000631_12": "「それで構わねーよ。少しでも、あいつを救える可能性が\\n あるなら十分だッ」",
"304000631_13": "「なるほどな……。\\n きみは本当にそちらの響くんの事を大事に思っているんだな」",
"304000631_14": "「そ、そんな事、関係ないだろッ」",
"304000631_15": "「……わかった、用意させよう。\\n こちらとしても今の状況で装者の戦力が増える事に異論は無い」",
"304000631_16": "「本気ですかッ!? 廃棄処分の物とは言え、\\n 機関上層部に無断で聖遺物を譲渡するなんて――ッ」",
"304000631_17": "「構わないさ。全ての責任は俺が負う」",
"304000631_18": "「し、しかし……」",
"304000631_19": "「それにな」",
"304000631_20": "「……こちらの響くんも含め、仲間を助けるためと聞いて\\n 放っておくなんて、カッコ悪いことが出来るかよッ」",
"304000631_21": "「市街地にノイズの反応多数ッ!」",
"304000631_22": "「ほんと、こう言うタイミングでばかり現れるんだから」",
"304000631_23": "「2人とも早速で悪いが、翼と一緒に出撃を頼めるか?」",
"304000631_24": "「戻ってくるまでに<ruby=シェンショウジン>神獣鏡</ruby>は用意しておこう」",
"304000631_25": "「ああ。任せとけッ!」",
"304000631_26": "「わかったわ」"
}

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@ -0,0 +1,11 @@
{
"304000632_0": "「もう一押しだ。怯むな、2人ともッ!」",
"304000632_1": "「ええ、わかってるわッ!」",
"304000632_2": "「しっかし、キリがねぇな、この数はッ!\\n 猫の手も借りたいくらいだッ」",
"304000632_3": "「お望みの猫の手がやってきたみたいよ?」",
"304000632_4": "「あん?」",
"304000632_5": "「おぉぉぉ――――――ッ!!」",
"304000632_6": "「立花か……。だがちょうどいいタイミングだ。\\n あいつが穿った穴から切り裂いてくれるッ」",
"304000632_7": "「ったく、物騒なやつだなッ!」",
"304000632_8": "「翼らしくていいじゃない。わたしたちも続くわよッ!」"
}

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@ -0,0 +1,20 @@
{
"304000641_0": "「……ねえ。行きがけにエルフナインに言われたこと、\\n 覚えてる」",
"304000641_1": "「――ああ、当然だろッ!」",
"304000641_2": "「準備の途中、すみません。少しだけ、いいですか?」",
"304000641_3": "「どうしたの?」",
"304000641_4": "「向こうの響さんと接触を持つにあたって、\\n ひとつだけ試して欲しいことがあるんです」",
"304000641_5": "「なんだ?」",
"304000641_6": "「伝え聞いた状況から判断する限り、向こうの響さんは、\\n それこそ孤立無援の、強い孤独感の中にいると思います」",
"304000641_7": "「ですから……独りじゃないって教えてあげてください」",
"304000641_8": "「向こうの響さんにも、逆にこちらの響さんの感情が\\n 流れ込んでいる以上、その言葉はきっと届くと思います」",
"304000641_9": "「ああ……わかった」",
"304000641_10": "「フッ……」",
"304000641_11": "「なによ、急に笑って」",
"304000641_12": "「いや。考えてみたら、あたしら、アイツに救われてるんだよな」",
"304000641_13": "「そうね……そういう意味では適任かもしれないわね」",
"304000641_14": "「フフ……」",
"304000641_15": "「ハハハ……」",
"304000641_16": "「だから――あなたの背中はッ!」",
"304000641_17": "「あたしらが護ってやる――――――ッ!!」"
}

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@ -0,0 +1,18 @@
{
"304000642_0": "「終わったな」",
"304000642_1": "「…………」",
"304000642_2": "「おい、お前――」",
"304000642_3": "「――何の用?」",
"304000642_4": "「あたしは雪音クリス。\\n 歳。誕生日は日で血液型は型だ」",
"304000642_5": "「好きなものは……あ~、その、あんぱんだッ!」",
"304000642_6": "「……いきなり何?」",
"304000642_7": "「……いいから覚えとけッ!」",
"304000642_8": "「……」",
"304000642_9": "「わたしはマリア・カデンツァヴナ・イヴ。22歳よ」",
"304000642_10": "「あなたまで……一体なんなの?」",
"304000642_11": "「フフ、ただの自己紹介よ。少し昔を思い出して、ね」",
"304000642_12": "「……もう行くから」",
"304000642_13": "「行っちゃったわね」",
"304000642_14": "「ああ。けど、これからさ……」",
"304000642_15": "(お前があたしらを救って見せたように。\\n 今度はあたしらが必ずお前を救ってみせるからな"
}

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@ -0,0 +1,39 @@
{
"304000711_0": "神獣鏡、起動",
"304000711_1": "「今回も無事戻って来られたわね……」",
"304000711_2": "「ああ、そうだな」",
"304000711_3": "「おふたりとも、お帰りなさいッ!」",
"304000711_4": "「うむ、よくぞ無事に戻ったな」",
"304000711_5": "「なんだ? まさか、ここで待ってたのかよ?」",
"304000711_6": "「なに、たまたま偶然見回りに来ていただけさ」",
"304000711_7": "「はい、おふたりがお帰りになるのを、今か今かと\\n 待っていました」",
"304000711_8": "「……おほん。それで、首尾はどうだった?」",
"304000711_9": "「誰に物言ってんだッ!」",
"304000711_10": "「これが<ruby=シェンショウジン>神獣鏡</ruby>の……」",
"304000711_11": "「……悪い。ペンダントは貰ってきたんだけど、\\n 破損してるらしくて」",
"304000711_12": "「……大丈夫です。\\n これなら修復できると思います」",
"304000711_13": "「よくやったお前たちッ! では、エルフナインくん」",
"304000711_14": "「はい、早速ギアの修復を進めますッ!」",
"304000711_15": "「頼んだわよ」",
"304000711_16": "「これが、新しい<ruby=シェンショウジン>神獣鏡</ruby>……」",
"304000711_17": "「向こうの世界としては1つ目の、<ruby=シェンショウジン>神獣鏡</ruby>となります」",
"304000711_18": "「それと、ギアを起動させる前に、こちらを」",
"304000711_19": "「LiNKER……」",
"304000711_20": "「……怖いですか?」",
"304000711_21": "「ちょっとだけ、でも……大丈夫」",
"304000711_22": "(響……)",
"304000711_23": "(思い出すよ、あの時のこと……)",
"304000711_24": "(わたしは響を助けたい……\\n この想いで、あの時わたしは装者になれた……",
"304000711_25": "(それは今も同じ……ううん、\\n あの時以上にわたしは響を救いたいと思ってる……",
"304000711_26": "(だから、わたしの想いに答えて……<ruby=シェンショウジン>神獣鏡</ruby>ッ!)",
"304000711_27": "「Rei shen shou jing rei zizzl……」",
"304000711_28": "「小日向ッ!?」",
"304000711_29": "「あの子……」",
"304000711_30": "「ああ……ホントにやってくれやがったッ!」",
"304000711_31": "「成功ですよ、未来さんッ!」",
"304000711_32": "「わたし……できたんだ。\\n 装者になれた……響を救うために……」",
"304000711_33": "「でも。こうあっさり適合されると\\n アタシたちの立つ瀬がないデスよ……」",
"304000711_34": "「ううん……。\\n それだけ、未来さんの想いの力が強かったということ」",
"304000711_35": "「よしッ! その力、早速試してみろッ!」",
"304000711_36": "「はいッ!」"
}

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@ -0,0 +1,9 @@
{
"304000721_0": "「はぁ、はぁ……やれる。\\n イズ相手なら……」",
"304000721_1": "「……クリス?」",
"304000721_2": "「自分の意思で初めてギアを操ったにしては上出来だな」",
"304000721_3": "「だが、これから戦うのはただのノイズじゃない……。\\n あたしらでも相手するのが厳しいカルマイズだ」",
"304000721_4": "「だから……本当に戦力になるのかどうか、見極めさせてもらう」",
"304000721_5": "「うん、わかった……お願いしますッ!」",
"304000721_6": "「いい返事だ。それじゃ――行くぞッ!!」"
}

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@ -0,0 +1,15 @@
{
"304000722_0": "「あたしの負けだな。\\n なんだ、戦えるじゃないか」",
"304000722_1": "「クリス……今の、手を抜いてたよね?」",
"304000722_2": "「あったりまえだ。\\n 今までまともにギアを纏ったことない相手に本気出せるかッ」",
"304000722_3": "「まあでも、これくらいやれれば十分だ。なぁ?」",
"304000722_4": "「フフ……そうね」",
"304000722_5": "「……未来くん。きみの覚悟と、そして行動。\\n しかとこの目で見届けさせてもらった」",
"304000722_6": "「それでは未来くんを臨時の装者として登録させてもらおう」",
"304000722_7": "「あ……ありがとうございますッ!」",
"304000722_8": "「だが。ひとつだけ、約束して欲しい」",
"304000722_9": "「響くんを救うことも大切だが、決して無茶はするんじゃないぞ。\\n 君にもしものことがあれば、響くんも悲しむのだからな」",
"304000722_10": "「……はいッ、わかっています」",
"304000722_11": "「でも……響は必ず助けてみせますッ!」",
"304000722_12": "「ああ、期待している」"
}

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@ -0,0 +1,42 @@
{
"304000731_0": "「ここが並行世界……?\\n 全然、そういう風に見えないけど……」",
"304000731_1": "「ぱっと見は、な。けど、よく見れば色々違うところもある」",
"304000731_2": "「いるべき人間がいなかったり、あるべき物がなかったり、\\n なんてこともざらだからな」",
"304000731_3": "「そうなんだ……」",
"304000731_4": "「ともかく、だ。こっちのことでも、ギアのことでも\\n あたしが先輩だからな、遠慮なく頼ってくれッ」",
"304000731_5": "「ありがとう、クリス」",
"304000731_6": "「うッ……」",
"304000731_7": "(相変わらず呼び捨てのままかよ……)",
"304000731_8": "「ん? どうしたの、クリス」",
"304000731_9": "「はぁ……何やってるんだか……」",
"304000731_10": "「こんなところで時間を無駄にしても仕方ないわ。\\n 早速二課に向かいましょう」",
"304000731_11": "「わ、わかってる」",
"304000731_12": "「はい、マリアさん」",
"304000731_13": "「ちッ……」",
"304000731_14": "「?」",
"304000731_15": "「司令、永田町より入電です。\\n 例の完全聖遺物の件で至急相談があるとのことです」",
"304000731_16": "「どういうことだ?」",
"304000731_17": "「それが、ここ最近になって活発な反応が見られるそうで。\\n 我々専門家の知見を求むとのことでした」",
"304000731_18": "「うむ……だが我々はカルマノイズへの対策の方が先決だ。\\n 少々待って欲しいと伝えておいてくれ」",
"304000731_19": "「了解しました」",
"304000731_20": "「またお邪魔させてもらったわ」",
"304000731_21": "「構わないさ。よく来たな」",
"304000731_22": "「そちらのお嬢さんは初めてだが……\\n そうか、君が小日向未来くんか」",
"304000731_23": "「あ……、はいッ!」",
"304000731_24": "「どうした? 驚かせてしまったか?」",
"304000731_25": "「い……いえ、なんでもありません」",
"304000731_26": "「ここに来れた、という事は無事に<ruby=シェンショウジン>神獣鏡</ruby>のギアを\\n 纏えたのだな」",
"304000731_27": "「あ、ありがとうございます。みなさんのご協力のおかげです」",
"304000731_28": "(びっくりした……弦十郎さんも、翼さんも、\\n 本当にそっくりなんだ……",
"304000731_29": "「まあ、最初は大体みんなそんな反応だ」",
"304000731_30": "「響くんたちの話は聞いている」",
"304000731_31": "「彼女たちを救うことは我々の目的にもかなっている。\\n どうかよろしく頼む」",
"304000731_32": "「はい、頑張ります」",
"304000731_33": "「あの、ところで、響はどこに……?」",
"304000731_34": "「残念ながら、彼女の居場所は我々も把握していない」",
"304000731_35": "「ただ、恐らく――」",
"304000731_36": "「きやがったかッ!」",
"304000731_37": "「ちょうどいい、恐らく彼女はノイズを倒しに現れるはずだ」",
"304000731_38": "「君たちも現場へ急行してくれ」",
"304000731_39": "「わかりましたッ!」"
}

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@ -0,0 +1,14 @@
{
"304000741_0": "「あれは……響ッ!?」",
"304000741_1": "「あの子……わたしたちより先に着いてたのね」",
"304000741_2": "「怪我はしてないみたいだな」",
"304000741_3": "「響……」",
"304000741_4": "「……ん?」",
"304000741_5": "「あのね……わたしは小日向未来。よろしくね」",
"304000741_6": "「……そう」",
"304000741_7": "「あ、待って、響ッ!!」",
"304000741_8": "「もう、またがむしゃらに突っ込んで……。\\n 命が惜しくないのかしら」",
"304000741_9": "「目の前の敵を倒せりゃ、どうでもいいんだよ……多分な」",
"304000741_10": "「……どうしたの?」",
"304000741_11": "「何でもない。それよりさっさと援護するぞッ!」"
}

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@ -0,0 +1,13 @@
{
"304000751_0": "「あらかた片付け終わったようだな」",
"304000751_1": "「…………」",
"304000751_2": "「……ッ!!」",
"304000751_3": "「どうやら真打ち登場のようね」",
"304000751_4": "「出やがったな……ッ!」",
"304000751_5": "「あれが、カルマノイズ……ッ!?」",
"304000751_6": "「時間は奴を利するのみだ。\\n 気炎万丈、一気呵成に焼き尽くすのみッ」",
"304000751_7": "「速攻はいいけど、油断しないでねッ!」",
"304000751_8": "「はいッ!!」",
"304000751_9": "「いざ、参る――ッ!!」",
"304000751_10": "「はぁぁぁぁ――ッ!!」"
}

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@ -0,0 +1,24 @@
{
"304000752_0": "「くッ……さすがに、手強いッ!」",
"304000752_1": "「この再生能力、タチ悪すぎだってのッ!」",
"304000752_2": "「きゃあッ!」",
"304000752_3": "「バカッ! 寄りすぎだ、距離を取れッ!」",
"304000752_4": "「――ッ! どいてッ!」",
"304000752_5": "「え? きゃッ!」",
"304000752_6": "(響……今、助けてくれたの……?)",
"304000752_7": "「確かに強い。でも、相手の再生能力も無限じゃないはずッ!\\n 今が我慢のしどころよッ」",
"304000752_8": "「向こうが逃げなきゃいいんだけどなッ!」",
"304000752_9": "「……奴の姿が薄れてッ?」",
"304000752_10": "「いかせはしない――ッ!!」",
"304000752_11": "「くッ! 仕留めきれないかッ!」",
"304000752_12": "「クソッ……また、逃げられちまった……」",
"304000752_13": "「やはりあの再生能力は厄介ね……。\\n 何とか方法を考えないと」",
"304000752_14": "「すまない。わたしが奴を仕留められていたら……」",
"304000752_15": "「あなたのせいじゃないわ。\\n ……切り替えましょう」",
"304000752_16": "「それはそうと、あんな化物を\\n 前はどうやって倒したんだ……」",
"304000752_17": "「それは、後で説明するわ」",
"304000752_18": "「…………」",
"304000752_19": "「響ッ!」",
"304000752_20": "(さっきのは、わたしを庇ってくれたの……?)",
"304000752_21": "(それとも、偶然……?)"
}

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@ -0,0 +1,42 @@
{
"304000811_0": "未来の戦い",
"304000811_1": "(響――)",
"304000811_2": "「――ッ! どいてッ!」",
"304000811_3": "「え? きゃッ!」",
"304000811_4": "(あれは、やっぱりわたしを庇って――)",
"304000811_5": "「やっぱり、響は響だよ。だから、もっと話したい。\\n ううん、話さなくっちゃ……」",
"304000811_6": "「よく集まってくれた。\\n 早速、カルマイズに関する対策会議を始めよう」",
"304000811_7": "「……もう1人は、どうしたんだ?」",
"304000811_8": "「あの子は用事があるの。とても大事な、ね」",
"304000811_9": "「そういうことだ」",
"304000811_10": "「そうなのか……?」",
"304000811_11": "「まずはカルマノイズについての情報を整理したい。\\n 君たちの知っている事をもう一度話してくれ」",
"304000811_12": "「ええ。あのカルマノイズは――」",
"304000811_13": "「……なるほど。それほど厄介な相手ということか……」",
"304000811_14": "「この場で使える手段はそう多くないわ。\\n 装者による連携・飽和攻撃くらいでしょうね」",
"304000811_15": "「……この場で使える、ということは他の手段も\\n あるにはあるということなのか」",
"304000811_16": "「まーな。S2CAやイグナイトとかもある」",
"304000811_17": "「それはいったい……?\\n それに、なぜ使えない手段なんだ」",
"304000811_18": "「S2CAは絶唱、イグナイトは暴走の力を元にしてるんだよ」",
"304000811_19": "「S2CAを使うには、手を繋ぐことを特性とした、\\n あの子の存在が不可欠なのよ」",
"304000811_20": "「……そちらの、立花響が必要という事か?」",
"304000811_21": "「そういう事。そしてあの子は今とても戦えるような\\n 状況じゃない……」",
"304000811_22": "「こっちのあいつが使えればいいんだけどな。\\n いきなりやれっていうのは、さすがに無茶がすぎるだろ」",
"304000811_23": "「そうね。それに装者の特性も同じとは限らない。\\n だからこの手段は使えない」",
"304000811_24": "「……イグナイト、というのは?\\n 暴走の力とは不穏な響きだが……」",
"304000811_25": "「あたしらのギアには、イグナイトモジュールってのが\\n 追加されてるんだ」",
"304000811_26": "「イグナイトモジュール……だと?」",
"304000811_27": "「魔剣ダインスレイフを核として、人為的な暴走を引き起こし、\\n それを力に変えることができるの」",
"304000811_28": "「ただ、これはカルマノイズの持つ『呪い』との相性が最悪で、\\n 下手に使えば本当に暴走してしまう、諸刃の剣よ」",
"304000811_29": "「……それで有効な手立ては連携しかない、ということか」",
"304000811_30": "「……ならば皆の力を合わせ、立ち向かうだけの事。この場の\\n 人、それに小日向を加えた装者人の力があれば――」",
"304000811_31": "「それで足りないのはこの前で立証済みだろ?」",
"304000811_32": "「そうね。連携で多少は補えるかもしれないけど、\\n 彼女にも協力してもらわないと厳しいでしょうね」",
"304000811_33": "「戦力は多いに越したことないからな」",
"304000811_34": "「……確かに我々も彼女と協力出来ればとは思うが――」",
"304000811_35": "「不確定要素を戦力に数えるのは、賛同できません」",
"304000811_36": "「翼……」",
"304000811_37": "「連携を高めるのがカルマノイズ打倒に繋がるというなら、\\n 今出来る事をしたい。……協力してもらえないだろうか」",
"304000811_38": "「ああ、もちろんだ」",
"304000811_39": "「確かに、今出来る事はそれくらいね」"
}

View file

@ -0,0 +1,26 @@
{
"304000812_0": "「少しは形になったかしら」",
"304000812_1": "「ま、いいんじゃねーか?\\n 頭数が人足りないってのはあるけどな」",
"304000812_2": "「……」",
"304000812_3": "「翼、どうかした?」",
"304000812_4": "「立花響との協力――本当に出来るのだろうか?\\n やはり、わたしは反対だ……」",
"304000812_5": "「……どうしてそう思うの?」",
"304000812_6": "「これまで何度も戦場で顔を合わせた。\\n 二課に入るよう説得した事もある」",
"304000812_7": "「しかし彼女の答えはいつも『興味ない』ただそれだけだ。\\n ふらりと現れては、いたずらに戦場をかき乱すだけ」",
"304000812_8": "「彼女が何を考えているのか分からない。\\n 志を同じくすることなど、出来るとは思えない……」",
"304000812_9": "「それに、そのような者が、\\n ガングニールを纏っていることも、わたしは……」",
"304000812_10": "「あいつは、ただ真っすぐなんだよ。バカだけど」",
"304000812_11": "「そうね。それが彼女の本質だと思うわ」",
"304000812_12": "「それはそちらの世界の立花響だろう。\\n 同じとは限らない……」",
"304000812_13": "「でも、違うとも限らないわ。ギャラルホルンは大きな川から\\n 外れた支流とを繋ぐ聖遺物、けれど元の川の流れは同じ」",
"304000812_14": "「だから、個人の性格や嗜好、そういった物に大きな変化は\\n ないのよ。……今のところは、だけど」",
"304000812_15": "「ギアがあったりなかったり、誰かがいたりいなかったり、\\n 小さな違いなら結構あるけどな」",
"304000812_16": "「こちらの彼女を見て、最初は元の世界の彼女とのギャップに\\n 驚いたけど……でも、本質は同じなんじゃないかと思うの」",
"304000812_17": "「……わたしはね、彼女のその真っすぐな所に救われたのよ」",
"304000812_18": "「……あたしも同じだ」",
"304000812_19": "「本当にそうならいいが……。\\n だが、だとしてもどうやってあの者を説得する」",
"304000812_20": "「それは専門家に任せましょう」",
"304000812_21": "「あのバカの事はあいつの担当だしな」",
"304000812_22": "「専門家?」",
"304000812_23": "「そう、彼女の一番の親友が今頃頑張ってるはずよ」"
}

View file

@ -0,0 +1,34 @@
{
"304000821_0": "「……ふッ! はッ!」",
"304000821_1": "「……ふぅ。\\n ……何 何か用」",
"304000821_2": "「……ごめん、邪魔しちゃったかな?」",
"304000821_3": "「……この前の人たちといい、急に現れて何なの?\\n やけに馴れ馴れしいし」",
"304000821_4": "「そうだったね、ちゃんと説明してなかった」",
"304000821_5": "(並行世界やギャラルホルンについては機密だと思うけど……。\\n ううん、こちらが嘘や誤魔化しをしたんじゃ、信用してくれない",
"304000821_6": "「えーとね、わたしたちは――」",
"304000821_7": "「別の世界、別のわたし……」",
"304000821_8": "「うん、いきなり信じてって言っても難しいと思うけど……」",
"304000821_9": "「……どうでもいい」",
"304000821_10": "「他に用が無いなら、気が散るからどこかに行って」",
"304000821_11": "「あのね、もう少しあなたと……響と話したいと思ったの」",
"304000821_12": "「……わたしは話したい事なんてない」",
"304000821_13": "「そんな事言わないで。あのね、この前の戦いの事なんだけど、\\n 響、わたしを……庇ってくれたんだよね」",
"304000821_14": "「庇った……わたしが?」",
"304000821_15": "「うん、そうだよ。だからわたし、お礼を言いたくて……」",
"304000821_16": "「そんなつもりなんてない……あなたの勘違い」",
"304000821_17": "「ううん、響が庇ってくれたんだよ」",
"304000821_18": "「……勝手な事言わないで。\\n ただの偶然。だから感謝されるいわれもない」",
"304000821_19": "「それでも、響のおかげなのは確かだから。\\n ……ありがとう」",
"304000821_20": "「……関係ない」",
"304000821_21": "「え? 響、どこへ……?」",
"304000821_22": "「……帰る。付いてこないで」",
"304000821_23": "「何なの、あの子……」",
"304000821_24": "「それでも、響のおかげなのは確かだから。\\n ……ありがとう」",
"304000821_25": "(助けた……わたしが? そんなはず無い……。\\n 助けたりなんてしてない",
"304000821_26": "「助けなんて……あるものか。助けなんて……」",
"304000821_27": "(……誰も、わたしを助けてくれなかった。\\n だから、わたしも誰も助けない。助けたりなんてしない",
"304000821_28": "(……胸の奥が痛い……痛いよ……)",
"304000821_29": "「……こんなの、違う。痛くなんてない。\\n わたしはもう、こんなことで痛みなんて感じない……」",
"304000821_30": "(誰かなんていらない。どうせ独りになるなら、\\n 最初から独りでいい……ううん、独りがいい",
"304000821_31": "「ヤツらだ……倒さなきゃッ!」"
}

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@ -0,0 +1,23 @@
{
"304000822_0": "「今回は、普通のノイズしかいなかったわね……」",
"304000822_1": "「さっさとぶっ倒したいのに。\\n もったいぶらずに出て来いってんだ……」",
"304000822_2": "「……彼女と協力は出来そう?」",
"304000822_3": "「さっきの戦いを見る限りじゃ、まだなんだろ?」",
"304000822_4": "「うん……。\\n あの、少し聞いてもいい」",
"304000822_5": "「何だ?」",
"304000822_6": "「この前のカルマノイズとの戦いの時、\\n 響がわたしを庇ってくれたように思うの」",
"304000822_7": "「そうなのか?」",
"304000822_8": "「うん……さっきの戦いでも、ノイズの攻撃が街を破壊しない\\n ように、注意をひきつけていたような気がして……」",
"304000822_9": "「あの子が……?」",
"304000822_10": "「だから、わたしはやっぱり響は響じゃないかって。\\n 無意識かも知れないけど、みんなを護ろうとしてくれてる」",
"304000822_11": "「そう、思ったんだけど……どうかな?」",
"304000822_12": "「さすがに考えすぎじゃないのか?\\n お前を庇ったってのは分かる気もするけどさ……」",
"304000822_13": "「でも、わたしの知ってる響なら……」",
"304000822_14": "「そうかも知れないわね。\\n けれど、それだけじゃ何とも言えないわ」",
"304000822_15": "「……そう、ですよね……」",
"304000822_16": "「でもね――あの子の事を一番知っているのは、そしてあの子と\\n 一番絆が深いのは、言うまでも無くあなたよ」",
"304000822_17": "「だから、わたしはあなたの判断を尊重するわ」",
"304000822_18": "「マリアさん……」",
"304000822_19": "「そうだな。\\n あのバカの事だし、お前が言うならそうなのかもな」",
"304000822_20": "「クリス……2人とも、ありがとう」"
}

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@ -0,0 +1,23 @@
{
"304000831_0": "「この前に戦ったカルマノイズのデータを元にして、\\n シミュレータを調整した。早速、訓練に入ってくれ」",
"304000831_1": "「ありがとうございます。風鳴司令」",
"304000831_2": "「いいさ。俺に出来るのはこれくらいだからな……」",
"304000831_3": "「……ん?\\n ま、まさかおっさんが調整したのか――ッ」",
"304000831_4": "「そうだが……それがどうかしたのか?」",
"304000831_5": "「そんな事も出来たんだ……」",
"304000831_6": "「待って、わたしたちの知る風鳴司令は、\\n どちらかと言うと武闘派だったと思うんだけど……」",
"304000831_7": "「武闘派……? そうなのか?」",
"304000831_8": "「最低限の護身術程度はできるが……。\\n それ以外での武術等の心得は無いぞ」",
"304000831_9": "「代わりと言っちゃなんだが、機械の扱いなら任せてくれ」",
"304000831_10": "「これでも、日がなSF映画を見ては着想を得て、色々と\\n 発明もしている。特許も多く持っているしな……」",
"304000831_11": "「お、おっさんが……ウソだろッ!?」",
"304000831_12": "「こうして聞くと、結構違いもあるんですね……」",
"304000831_13": "「SF映画……?」",
"304000831_14": "(確かわたしたちの世界の司令はアクション映画が\\n 好きだったわよね……",
"304000831_15": "(以前行った、天羽奏のいた世界……あの世界の風鳴司令は\\n ミステリー物をよく見てるとか聞いたような。――ッ",
"304000831_16": "「……いえ、そんな事はないわよね。\\n まさか……ね」",
"304000831_17": "「どうしたんだ?」",
"304000831_18": "「何でもないわ……」",
"304000831_19": "「せっかくこうしてシミュレータを更新してくれたんだ。\\n 早速訓練に入らないか」",
"304000831_20": "「はい、そうしましょう」"
}

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@ -0,0 +1,18 @@
{
"304000832_0": "「もう少し調整が必要か……」",
"304000832_1": "「そうね。本物はもっと手強いと思うわ」",
"304000832_2": "「決め手に欠けるって感じだよな……。\\n 連携は結構上手くいってるんだが」",
"304000832_3": "「ごめんね、わたしの力がもっとあれば……」",
"304000832_4": "「いや、小日向のせいではない……。\\n 力不足はわたしも同様だ」",
"304000832_5": "「でも、この中ではわたしが一番装者として未熟ですから……」",
"304000832_6": "「それを言うなら、出力が小さいのはわたしの――」",
"304000832_7": "「――はいはい。そこまで。誰がどうじゃないわよ。\\n みんな等しく力不足……つまり戦力不足なんだから」",
"304000832_8": "「やっぱりあいつも何とかして協力させないとな」",
"304000832_9": "「ええ、そうね……」",
"304000832_10": "「なあ……もう少し訓練を続けないか?\\n まだできることがあるかもしれない」",
"304000832_11": "「あ……ごめんなさい。\\n わたしは――」",
"304000832_12": "「いいわ。行きなさい。\\n ……あなたにはやるべきことがあるんだから」",
"304000832_13": "「あのバカの説得、頑張れよ」",
"304000832_14": "「……力になれなくてすまない」",
"304000832_15": "「そんなことないです。\\n それじゃわたし、行きますね……」"
}

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@ -0,0 +1,19 @@
{
"304000841_0": "「未来くんも行ってしまったし、俺は今のデータを解析して、\\n もう少し装置の改良に取り組むとしよう」",
"304000841_1": "「必要なら、このシミュレータは自由に使ってくれ」",
"304000841_2": "「……さて、3人になっちまったけど、どうする?\\n あたしは続けてもいいけどな」",
"304000841_3": "「連携の訓練としては、物足りないわね」",
"304000841_4": "「それなら……頼みがある」",
"304000841_5": "「……何だ?」",
"304000841_6": "「以前聞いたイグナイト……カルマノイズをも屠ったという、\\n その力について、詳しく聞きたい」",
"304000841_7": "「それは構わないけれど……イグナイトはカルマノイズへの\\n 対抗手段として使う事は――」",
"304000841_8": "「出来なくても構わない。口惜しいが、わたしはまだこの\\n 天羽々斬を使いこなせていない……そう感じるんだ」",
"304000841_9": "「だから、この先の可能性を……どんな力がこのギアには\\n 秘められているのかを知りたい。もっと強くなるために……」",
"304000841_10": "「イグナイトは他の聖遺物を核としている物だから、厳密には\\n ギアの可能性からは少しズレるかもしれないけど……」",
"304000841_11": "「つっても暴走の力はギアにあるもんだし、いいんじゃないか?\\n ……見せてやるッ」",
"304000841_12": "「ちょっと……ッ!? そんな簡単に……」",
"304000841_13": "「この前のノイズとの戦いじゃ、少し食傷気味だったしな。\\n いっちょ、派手にやろうじゃねーかッ」",
"304000841_14": "「ありがたい……よろしく頼むッ!」",
"304000841_15": "「イグナイトモジュール――抜剣ッ!」",
"304000841_16": "「仕方ないわね……。\\n イグナイトモジュール――抜剣ッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,24 @@
{
"304000851_0": "「……その出力、凄まじいの一言につきるな。\\n それが、暴走の力……」",
"304000851_1": "「そうよ。シンフォギアの持つ可能性の1つ。\\n 暴走を人為的に制御した力よ」",
"304000851_2": "「その力……諸刃の剣だと言っていたが、どうしてなんだ?\\n カルマイズの持つ呪いがどうとか……」",
"304000851_3": "「イグナイトモジュールには、魔剣ダインスレイフの欠片が\\n 使われているの」",
"304000851_4": "「魔剣ダインスレイフの持つ呪いとカルマノイズの放つ呪い。\\n これはどちらも人の持つ破壊衝動を増幅させる効果がある」",
"304000851_5": "「そうして2つの呪いが干渉すると、意志の力では\\n 抑えられない程の破壊衝動となってしまうの」",
"304000851_6": "「つまりは、カルマノイズの前で使ったら暴走しちまうって\\n ことだ。だから、これは使えないんだ」",
"304000851_7": "「口惜しいな……力があっても振るえないとは……」",
"304000851_8": "「確かにな。これが自由に使えりゃ、カルマノイズだって\\n ものの数じゃねーのに……」",
"304000851_9": "「そうなのか?」",
"304000851_10": "「そこまでとは言わないけれど……格段に戦いやすくは\\n なるでしょうね」",
"304000851_11": "「……」",
"304000851_12": "「どうしたんだよ、黙り込んで……」",
"304000851_13": "「それなら、その力で今度はわたしと戦ってほしい」",
"304000851_14": "「……本気なの?\\n 訓練とはいえ、怪我じゃすまないかも知れないわよ」",
"304000851_15": "「構わない。わたしは防人として、剣として不甲斐ないままでは \\n いられないんだ。もっと強くならなくては……」",
"304000851_16": "「いいわ、それならやりましょうか」",
"304000851_17": "「ありがたい。雪音も頼む」",
"304000851_18": "「いいのか? 2人がかりじゃさすがに……」",
"304000851_19": "「それくらいの方がいい。\\n 高いハードルがあればこそ、人は飛ぼうと努力する」",
"304000851_20": "「わたしは二課唯一の装者として、この世界の守護の剣として、\\n もっと強くなって見せるッ」",
"304000851_21": "「ったく、どうなっても知らねーからなッ!」"
}

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@ -0,0 +1,18 @@
{
"304000852_0": "「また、ここにいたんだ……」",
"304000852_1": "「…………」",
"304000852_2": "「森、好きなの?」",
"304000852_3": "「…………」",
"304000852_4": "「……あのね。響にお願いがあるの」",
"304000852_5": "「……お願い?」",
"304000852_6": "「うん、この前のカルマノイズ……あれを倒すために、\\n 響と一緒に戦いたいの」",
"304000852_7": "「……戦ってる」",
"304000852_8": "「違うよ……この前みたいにバラバラじゃなくて、\\n 力を合わせて戦いたいの」",
"304000852_9": "「わたしたちだけの力じゃ、あのカルマノイズは倒せない。\\n だから、響にも協力して欲しくて」",
"304000852_10": "「協力……わたしが?」",
"304000852_11": "「うん、みんなで協力すればきっと――」",
"304000852_12": "「……それなら、わたしを倒して引っ張っていけば?」",
"304000852_13": "「……え? 響……?」",
"304000852_14": "「Balwisyall Nescell gungnir tron」",
"304000852_15": "「わたしは、誰とも協力しない。\\n 協力させたいなら、力でわたしをねじ伏せればいい――」"
}

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@ -0,0 +1,35 @@
{
"304000911_0": "地中からの脅威",
"304000911_1": "「……この場所なら多少暴れても問題ない。\\n 言う事を聞かせたいなら……力で示せばいい」",
"304000911_2": "「わたしの拳……当たったら痛いじゃすまないけどね」",
"304000911_3": "「響……違うよ……」",
"304000911_4": "「……なッ!?」",
"304000911_5": "「この拳は、響の拳は誰かを傷つけるものじゃない。\\n そんな悲しい事を言わないで……」",
"304000911_6": "「――ッ!」",
"304000911_7": "「戦って従わせるつもりが無いなら、\\n わたしはわたしで好きにやるだけ……」",
"304000911_8": "「響……」",
"304000911_9": "「どうしたッ!?」",
"304000911_10": "「ノイズの反応ですッ!\\n このパターンは……ッ」",
"304000911_11": "「カルマノイズ……だとッ!?\\n すぐに装者を向かわせて――」",
"304000911_12": "「ま、待ってください。\\n 別の場所からも高質量のエネルギー反応ですッ」",
"304000911_13": "「なんだとぉッ!?」",
"304000911_14": "「パターン出ましたッ!\\n えッ 嘘……」",
"304000911_15": "「カルマノイズが……2体、だとッ!?」",
"304000911_16": "「1つ目の反応は永田町付近。\\n 要人の避難が間に合っていない、最優先で対処を頼む」",
"304000911_17": "「了解です。それで、もう一方は……?」",
"304000911_18": "「そちらは幸い人の少ない郊外だ。避難誘導は我々が。\\n 君たちは、永田町のカルマイズを撃退してから向かってくれ」",
"304000911_19": "「郊外……? どういうこと……?」",
"304000911_20": "「なあ、カルマノイズってのはフォニックゲインの高い場所に\\n 出るんじゃなかったのか……」",
"304000911_21": "「……必ずしもそうとは限らないってことね」",
"304000911_22": "「とにかく、急ぎましょうッ!」",
"304000911_23": "「ああッ!」",
"304000911_24": "「――こいつッ!?」",
"304000911_25": "「そんな……どうしてッ!?」",
"304000911_26": "「ノイズなんて……全部撃ち砕いてやるッ!」",
"304000911_27": "「Balwisyall Nescell gungnir tron」",
"304000911_28": "「響ッ! 1人でなんて無茶だよッ!\\n 逃げなきゃ――」",
"304000911_29": "「……戦う気が無いなら、1人で逃げればいい。\\n ――わたしは、逃げないッ」",
"304000911_30": "「響……それならッ!」",
"304000911_31": "「Rei shen shou jing rei zizzl」",
"304000911_32": "「わたしは響を1人になんてしないッ!\\n 絶対に、護るんだッ」"
}

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@ -0,0 +1,38 @@
{
"304000912_0": "「はぁ――ッ!」",
"304000912_1": "「倒した……?」",
"304000912_2": "「響ッ! 油断しちゃダメッ!」",
"304000912_3": "「――なッ!? く……ッ!」",
"304000912_4": "「響ぃッ!」",
"304000912_5": "「……まだ、負けてない」",
"304000912_6": "(響の動きが鈍い……どうして?)",
"304000912_7": "(――そうかッ! カルマノイズの『呪い』が\\n 破壊衝動が響を苦しめてるんだッ",
"304000912_8": "「こっちにッ! わたしが響の盾に――ッ!」",
"304000912_9": "「――ッ!?」",
"304000912_10": "「響ッ!? どうしてカルマノイズの方に――ッ!?」",
"304000912_11": "「おかあさん……どこ……?」",
"304000912_12": "「え……そんなッ!?\\n こんなところに子供だなんてッ」",
"304000912_13": "(助けなきゃ……でも、わたしの位置からじゃ――)",
"304000912_14": "「おおおおおおお――ッ!\\n がッ……ぐううううッ」",
"304000912_15": "(響……あの子を庇って――。\\n そうか、やっぱり……",
"304000912_16": "(それなら、わたしはわたしに出来る事をしなきゃッ!)",
"304000912_17": "「大丈夫? ほら、手を出して?」",
"304000912_18": "「おかあさん……どこ?」",
"304000912_19": "「すぐ見つけてあげるから、\\n お姉ちゃんにしっかり掴まっててね――」",
"304000912_20": "「響ッ!\\n この子は大丈夫だからッ」",
"304000912_21": "「……」",
"304000912_22": "「いたッ!」",
"304000912_23": "「おかあさんッ!」",
"304000912_24": "「この子のお母さんですかッ!?\\n すぐにこの子を連れてここから離れてくださいッ」",
"304000912_25": "「ああ、良かったッ! ありがとうございますッ!」",
"304000912_26": "(これで大丈夫。今度は急いで響のところへ――)",
"304000912_27": "「――響ッ!」",
"304000912_28": "「――はぁッ!」",
"304000912_29": "(響だったら、きっとッ!)",
"304000912_30": "「――ここッ!」",
"304000912_31": "「……やっぱりッ!」",
"304000912_32": "「わたしの動きに、合わせた……?\\n どうやったの」",
"304000912_33": "「それより、まずはあれを何とかしないと」",
"304000912_34": "「……だけど」",
"304000912_35": "「……大丈夫だよ。\\n わたしも一緒に戦う、戦えるからッ」"
}

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@ -0,0 +1,15 @@
{
"304000921_0": "「ちッ……これならどうだああッ!!」",
"304000921_1": "「――なッ!? あの威力でもダメなのか……」",
"304000921_2": "「カルマノイズの再生……。\\n 全く、本当に厄介極まりないわねッ」",
"304000921_3": "「ああ……ったく、しつけーのとあたっちまったッ!」",
"304000921_4": "「絶え間なく押し寄せるノイズに、あのカルマノイズ……。\\n 一筋縄ではいかなそうだな……」",
"304000921_5": "「ええ、本当に。もう少し遠慮して欲しいところね」",
"304000921_6": "「……それに、早くここを片付けて向こうへ行かないと」",
"304000921_7": "「そうだな……」",
"304000921_8": "「本部からの連絡で、もう一方は、立花響と小日向が\\n 戦っていると言っていたが……」",
"304000921_9": "「たった2人じゃ、こちらより更に厳しいはず」",
"304000921_10": "「この相手と2人でか……それは、ぞっとしないな」",
"304000921_11": "「ま、先輩としちゃ、\\n 苦戦してる後輩を早く助けてやらねーとなッ」",
"304000921_12": "「――ならば一気に仕掛けるのみッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,32 @@
{
"304000922_0": "「ああああッ!\\n こいつ、いつになったら倒れるんだよッ」",
"304000922_1": "「威力が足りてない……こっちは既に\\n 体力が底をつきそうなのに……本当、不公平だわ」",
"304000922_2": "「……2人とも、いいだろうか?」",
"304000922_3": "「どうした?」",
"304000922_4": "「何か考えでもあるの?」",
"304000922_5": "「ああ……わたしに、任せて欲しい。\\n 少しでいい、時間を稼いでくれ」",
"304000922_6": "「この場を何とかできるってんなら、\\n 時間でも何でも稼いでやるよッ」",
"304000922_7": "「おらあああああああッ!\\n くらいなッ」",
"304000922_8": "「無茶は、許さないわよ?」",
"304000922_9": "「……ああ」",
"304000922_10": "「なら、任せたわッ!\\n はあああああ――ッ」",
"304000922_11": "「カルマノイズは生半可な攻撃では\\n 再生してしまう……ならばッ」",
"304000922_12": "「――聴くがいい。これが防人の歌だッ!」",
"304000922_13": "「Gatrandis babel ziggurat edenal\\n Emustolronzen fine el baral zizzl――」",
"304000922_14": "「な――ッ!?\\n 絶唱……おいッ そんなもん使ったら――」",
"304000922_15": "「翼ッ! やめなさいッ!\\n それこそ無茶よッ」",
"304000922_16": "(すまない……2人とも)",
"304000922_17": "(――しかし、この時、この場所で無理を通さずして、\\n 何が防人かッ",
"304000922_18": "「Gatrandis babel ziggurat edenal\\n Emustolronzen fine el zizzl」",
"304000922_19": "「はあああああああああ――ッッ!!!」",
"304000922_20": "「はあ、はあ、はあ……」",
"304000922_21": "「翼ッ! なんて無茶を……ッ」",
"304000922_22": "「カルマ、ノイズは……?」",
"304000922_23": "「ああ、今の一撃で跡形もなくなったッ!」",
"304000922_24": "「そう……か……」",
"304000922_25": "「翼ッ! しっかりしてッ!」",
"304000922_26": "「おいッ! 大丈夫かッ!」",
"304000922_27": "「すぐに本部に連絡して、翼を――ッ!?」",
"304000922_28": "「おいおいッ!? 今度はなんだよ、地震ッ!?\\n かなりでかいのが――ッ」",
"304000922_29": "「注意してッ!\\n ――何か来るわッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,19 @@
{
"304000931_0": "(……戦いやすい。さっきとは違う。\\n それは――",
"304000931_1": "「ええええいッ!」",
"304000931_2": "(まるでわたしが次にどうするか分かるみたいに、\\n 合わせてくれるから……",
"304000931_3": "「――おおおおおおッ!」",
"304000931_4": "「次は――こっちッ!」",
"304000931_5": "(誰かと一緒に戦う……そっか、こんなの初めてかもしれない)",
"304000931_6": "「……未来」",
"304000931_7": "「響? わたしの事、呼んだ?」",
"304000931_8": "「……呼んでない」",
"304000931_9": "「そう?\\n あ、さっきの女の子、響にもありがとうって」",
"304000931_10": "「ありがとう……?」",
"304000931_11": "「うん、響に感謝してた」",
"304000931_12": "(どうして、わたしはあんな行動をとったんだろう……。\\n 誰かを助けるだなんて……",
"304000931_13": "「響、まだ気を抜いちゃだめだよッ!」",
"304000931_14": "「……わかってる」",
"304000931_15": "(そっか、思い出した……。昔は、いつもこうやって隣に\\n 幼馴染の友達がいたんだった……",
"304000931_16": "(小日向未来……ずっと忘れていた名前……)"
}

View file

@ -0,0 +1,12 @@
{
"304000932_0": "(いける――響とわたしならッ!)",
"304000932_1": "「やあああああッ!」",
"304000932_2": "(響なら、次は右から攻めるはず――。\\n それなら、わたしは――ッ",
"304000932_3": "「はああああッ!」",
"304000932_4": "(やっぱりッ!\\n 響の事なら……なんだってわかるんだからッ",
"304000932_5": "「これなら……勝てるッ!」",
"304000932_6": "「行って響ッ!\\n わたしが響の援護を――」",
"304000932_7": "「――おおおおおッ!」",
"304000932_8": "「わたしが、響を助けるからッ!」",
"304000932_9": "「――ッ!?\\n たす、ける…… わたしを……」"
}

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@ -0,0 +1,12 @@
{
"304000941_0": "「永田町地下『記憶の遺跡』より高エネルギー反応ッ!」",
"304000941_1": "「急速に地表へ向かって浮上していますッ!」",
"304000941_2": "「なんだとッ!? まさかッ!\\n このエネルギー反応は……くッ 何故こんな時にッ」",
"304000941_3": "「聞こえるかッ!\\n すぐにその場を離れるんだッ」",
"304000941_4": "「一体何が――ッ!?」",
"304000941_5": "「おい、おっさんッ! 何か知ってるなら早く言えッ!\\n 何が起きてるんだッ」",
"304000941_6": "「説明している時間は無い――\\n くッ、もう間に合わんかッ」",
"304000941_7": "「来るわッ!」",
"304000941_8": "「なんだよ……この化物はッ!」",
"304000941_9": "「ゴライアス……記憶の遺跡に保管されていた、\\n 自立機動型の完全聖遺物だッ」"
}

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@ -0,0 +1,26 @@
{
"304000952_0": "「な――ッ!」",
"304000952_1": "「うぐッ!?」",
"304000952_2": "「――ぐあッ!?」",
"304000952_3": "「……ちっくしょう。\\n カルマイズと戦った後じゃなければ――」",
"304000952_4": "「いえ、この敵はカルマノイズ以上よ……。\\n まさか、更に厄介な相手が出てくるだなんてね……」",
"304000952_5": "「ったく、こんな物騒なもん、保管なんてしやがって……。\\n どこのどいつだっての……」",
"304000952_6": "「そうね……責任者を見つけて、問い詰めたいわ……」",
"304000952_7": "(もはや体力もほとんど残ってない……\\n このままでは――",
"304000952_8": "「って……おいッ!?\\n いなくなっちまった……」",
"304000952_9": "「助かった、みたいね……」",
"304000952_10": "「響……ねぇッ!\\n どうしたのッ」",
"304000952_11": "「助ける……、わたしを……助けるって言った?」",
"304000952_12": "「わたしが本当に助けて欲しかった時には、\\n 助けてくれなかったくせにッ」",
"304000952_13": "「結局、お前も同じだッ! また、わたしに嘘をつくッ!」",
"304000952_14": "「響ッ! カルマノイズがッ!\\n ――避けてッ 響ぃッ」",
"304000952_15": "「がッ……ぐ、ああああああああッ!」",
"304000952_16": "「助けなんて……助けなんてええええッ!!」",
"304000952_17": "「響ッ、響ぃッ!\\n そんな……暴走ッ」",
"304000952_18": "「――ガアアアアアアアアアッ!」",
"304000952_19": "(今の……響がカルマ化したノイズを吸収した……?)",
"304000952_20": "「――アアアアアアアアッッ!!」",
"304000952_21": "「響ッ!\\n 正気に戻ってッ お願いッ」",
"304000952_22": "「――ガアアアアアアアアアッ!」",
"304000952_23": "「響……今、助けるからッ!」"
}

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@ -0,0 +1,27 @@
{
"304001011_0": "救うための戦い",
"304001011_1": "「よく寝てるデスね……」",
"304001011_2": "「こうして手を握ってるのが効いてるのかな?」",
"304001011_3": "「さっきまで、結構うなされてたデス」",
"304001011_4": "「あっちは……大丈夫かな?」",
"304001011_5": "「大丈夫に決まっている。マリアも雪音もついているのだからな」",
"304001011_6": "「うん、そうデスね」",
"304001011_7": "「……はい」",
"304001011_8": "「ッ!? あああああああ――ッ!」",
"304001011_9": "「きゃあッ!?」",
"304001011_10": "「わッ!? どうしたデスかッ!?」",
"304001011_11": "「うううッ――ああああああ――ッ!?」",
"304001011_12": "「錯乱しているのかッ?」",
"304001011_13": "「怪我をさせてはいけないッ、押えつけるんだッ!」",
"304001011_14": "「は……はいデスッ!」",
"304001011_15": "「……しっかりしてくださいッ!」",
"304001011_16": "「――ガアアアアアアアアアッ!」",
"304001011_17": "「響ッ! 正気に戻ってッ!」",
"304001011_18": "「くう…………ッ!!」",
"304001011_19": "「ガアアアアアアアア――ッ!!」",
"304001011_20": "(カルマノイズの呪いを吸収してそんな姿に……)",
"304001011_21": "「ぐるるる……ぐああああああッ!!」",
"304001011_22": "「響ッ、意識をしっかり持ってッ!」",
"304001011_23": "「オオオオオ……アガァァァァァッ!!」",
"304001011_24": "「響……絶対、助けるからッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,29 @@
{
"304001012_0": "「くう――――ッ!」",
"304001012_1": "「はぁ、はぁ、はぁ……」",
"304001012_2": "(とにかく、大人しくさせないと……)",
"304001012_3": "(ギアの力に振り回されてるのなら……\\n ギア自体を無効化するか、意識を奪えれば……",
"304001012_4": "(上手くできるかな……)",
"304001012_5": "(ううん……できるかじゃない。\\n 響の為に、やるしかないッ",
"304001012_6": "「響ぃ――ッ!」",
"304001012_7": "「オオオオオオオオ――ッ!!」",
"304001012_8": "「くう……ッ!? あ……」",
"304001012_9": "(失敗、した……動きが速すぎて当たらない……\\n このままじゃ――ッ",
"304001012_10": "「グ……ッ」",
"304001012_11": "(……攻撃してこない?\\n ――とにかく、今がチャンスッ",
"304001012_12": "「たああああ――ッ!」",
"304001012_13": "「ガアッ!?」",
"304001012_14": "「…………」",
"304001012_15": "「よかった、響……元に戻ったのね」",
"304001012_16": "「うううッ……」",
"304001012_17": "「響……しっかりしてッ!」",
"304001012_18": "「――ッ! あ……、う…………」",
"304001012_19": "「……」",
"304001012_20": "「……お、治まったデス?」",
"304001012_21": "「そうみたい。呼吸も落ち着いてるし……」",
"304001012_22": "「……ああ、そのようだ。\\n しかし、まさかこんな状態になるとは……」",
"304001012_23": "「心配デス……」",
"304001012_24": "「うん、心配だね……」",
"304001012_25": "(この様子……尋常ではない)",
"304001012_26": "(立花の不調は、向こうの立花と精神がリンクしてしまった事が\\n 原因とは聞いたが……一体向こうでは何が起きている"
}

View file

@ -0,0 +1,95 @@
{
"304001021_0": "「それで、翼の容態は……」",
"304001021_1": "「幸い、一命は取り留めたが……絶唱の反動により、\\n 心身に深刻なダメージを受けてしまった」",
"304001021_2": "「当面は入院が必要だろう」",
"304001021_3": "「くッ……あたしらがついていながら……」",
"304001021_4": "「君たちがついていたからこそ、これですんだと言うべきだろう」",
"304001021_5": "「翼1人では、カルマノイズを倒したところで、\\n その後現れた奴にとどめを刺されていたに違いあるまい」",
"304001021_6": "「…………」",
"304001021_7": "「後から現れた、あの化け物……。\\n あれは一体なに」",
"304001021_8": "「……あれはゴライアスと言って、永田町地下『記憶の遺跡』で\\n 保管されていた、自立稼働型の完全聖遺物だ」",
"304001021_9": "「ゴライアス……? 旧約聖書の『第一サムエル記』にある、\\n 英雄ダビデと戦い倒された巨人、ゴリアテのこと」",
"304001021_10": "「そうだ。米国より研究のために譲り受けて、\\n 先日永田町に移送した代物だったのだが……」",
"304001021_11": "「そういえば……わたしたちが来たばかりの時、\\n そのような事を言ってたような……」",
"304001021_12": "「ああ。\\n 奴は幼体の状態で記憶の遺跡に保管されていたのだが……」",
"304001021_13": "「君たちとカルマノイズの戦いで高まったフォニックゲインを\\n 受けて活性化、成体へと進化してしまったようだ」",
"304001021_14": "「まさか地表での戦いのフォニックゲインが、記憶の遺跡内部に\\n 保管されていた、ゴライアスにまで影響を及ぼすとはな……」",
"304001021_15": "「あれは翼の絶唱で極限まで高まったフォニックゲインが\\n 影響した結果かもしれない。さすがに計算外の出来事だわ」",
"304001021_16": "「いや……あらゆる局面を想定しなければならない立場だと\\n いうのに、このザマだ……」",
"304001021_17": "「うだうだ後悔してても始まらないだろ。\\n それより、これからどうするかじゃねーのか」",
"304001021_18": "「そうだったな……すまない」",
"304001021_19": "(翼が倒れたことで、見た目以上に動揺してるみたいね……)",
"304001021_20": "(おっさんも人間ってこったな……)",
"304001021_21": "「とにかく、だ。ゴライアスは、起動してしまった。我々はこの\\n 新たな脅威にも、対処しなくてはならない」",
"304001021_22": "「ゴライアスは自立稼働型のため、いつまた現れるかわからない。\\n しかし翼は絶唱を使った影響で当分は絶対安静だ……」",
"304001021_23": "「この世界の者ではない君たちに、こんな危険な事を頼むのは\\n 非常に気がひけるが……頼む、力を貸してほしい」",
"304001021_24": "「水くさいこと言うなって。\\n 元々そのつもりだッ」",
"304001021_25": "「ええ。わたしたちはそのために来たのだから」",
"304001021_26": "「……わたしも、出来るだけのことをしたいと思ってます」",
"304001021_27": "「それに、翼が倒れた責任の一端はわたしたちにあるわ。\\n ……だから、わたしたちにやらせて欲しい」",
"304001021_28": "「3人とも……ありがとう、恩に着る」",
"304001021_29": "「それで、あの完全聖遺物について分かっている事を、\\n 教えてもらえるかしら」",
"304001021_30": "「ゴライアスは、伝説では朝夕に現れてイスラエル軍を蹂躙し、\\n 夜の訪れと共に、その力が弱まったという」",
"304001021_31": "「今までの研究でも、朝と夕方に活発化するが、夜になると\\n 休眠に近い状態となるのが確認されている」",
"304001021_32": "「この性質を突く事が出来ればあるいは……」",
"304001021_33": "「要するに、夜には弱るって事か。\\n ならその時を狙って仕掛けりゃいい」",
"304001021_34": "「問題は、相手がそうさせてくれるか、ね」",
"304001021_35": "「……ああ、その通りだ」",
"304001021_36": "「どういうことだ?」",
"304001021_37": "「日没を迎えると、この前みたいに地中へと逃げられる\\n 可能性が高いということよ」",
"304001021_38": "「いつ現れて、いつ消えるかは向こうに主導権がある。\\n 都合よく、逃げずに夜までいてくれるとは思えないわ」",
"304001021_39": "「チッ……それじゃ意味ないってことかよ」",
"304001021_40": "「どこかで有効活用できるかもわからん。\\n 一応、念頭に置いておいてくれ」",
"304001021_41": "「了解」",
"304001021_42": "「あの……響の具合は……?」",
"304001021_43": "「彼女については、暴走の後遺症も、目立った外傷も、\\n 特には見受けられなかったとの報告だ」",
"304001021_44": "「……よかった……」",
"304001021_45": "「だが、精密検査を行う前に意識を取り戻し、\\n 気付いた時には、もぬけの空でな……」",
"304001021_46": "「え……?\\n それじゃ、もうここにはいないんですか」",
"304001021_47": "「すまん。スタッフが目を離したわずかな隙に、\\n そのまま出て行ってしまったようだ」",
"304001021_48": "「響……」",
"304001021_49": "「ともあれ。2体のカルマノイズの撃退には成功したものの、\\n 新たにゴライアスという問題も増えてしまったのが現状だ」",
"304001021_50": "「カルマノイズにしても、新たな個体が現れないとは言い切れ\\n ない。君たちには当分は不自由を強いてしまうが――」",
"304001021_51": "「さっきも言ったろ。あたしらに任せとけっての」",
"304001021_52": "「ああ、頼りにさせてもらう。すまないが何かあった時、すぐに\\n 動けるよう待機していて欲しい」",
"304001021_53": "「……だが、事は我々の世界の問題だ。君たちに頼るだけでは\\n なく、我々二課も出来る限りの事はするつもりだ」",
"304001021_54": "「さしあたって……これは直接的には関係ある話ではないの\\n だが……小日向未来くんについて、報告が上がって来た」",
"304001021_55": "「えっ? わたし……ですか?」",
"304001021_56": "「いや、こちらの世界の彼女についての報告だ」",
"304001021_57": "「こっちのわたし……」",
"304001021_58": "「……生きてるのか?」",
"304001021_59": "「ああ。健在だ」",
"304001021_60": "「響くんと関係があると君たちに聞いた後、彼女の過去について\\n 調べ直し、その名前を発見した」",
"304001021_61": "「小日向未来くん……響くんの同級生であり、ライブ事変の以前、\\n 響くんがリディアンに進学する前の幼馴染とのことだ」",
"304001021_62": "「リディアンに進学する前って……」",
"304001021_63": "「こちらの小日向未来くんは、\\n リディアンには進学していない」",
"304001021_64": "「ライブ事変の直後、両親の都合で転校していた……」",
"304001021_65": "「あいつの傍にいないのは、そういう事かよ」",
"304001021_66": "「ああ。響くんがリディアンに進学したことも、もちろん装者と\\n なった事も知るはずがない」",
"304001021_67": "「……恐らくは響くんがライブ事変後に味わった、謂れのない\\n 中傷や、それに起因する地獄のような日々についても」",
"304001021_68": "「響……だから『誰も助けてくれない』だなんて……」",
"304001021_69": "「それで、今の居場所はわかったんですか?」",
"304001021_70": "「ああ、なんとか見つけ出すことに成功した。\\n ただ、まだこちらから接触はしていない」",
"304001021_71": "「なんでだよ?\\n あいつのこと教えてやればいいんじゃないか」",
"304001021_72": "「幼馴染……とは言ってもな。離れてもう、かなりたっている。\\n こちらの事情に巻き込むのはどうだろうか……」",
"304001021_73": "「それに……さすがにこれだけの年月がたっていては、\\n 響くんの事を忘れている可能性も――」",
"304001021_74": "「いえ、そんな事は絶対ありません」",
"304001021_75": "「未来くん……?」",
"304001021_76": "「わたしが響を忘れる事なんてないです」",
"304001021_77": "「……そうか、すまなかったな」",
"304001021_78": "「ひとまず、彼女のことは機関の監視下においておく。\\n どうするかは響くんの状況を見つつ、また改めて考えよう」",
"304001021_79": "「……わかりました」",
"304001021_80": "「それで。待機って言われたけど、どうする?」",
"304001021_81": "「こっちでの日課でもあるし、少し訓練をしようかしら」",
"304001021_82": "「わたしもお願いします。\\n もっと<ruby=シェンショウジン>神獣鏡</ruby>を上手く使えるようにならないと……」",
"304001021_83": "「響がまた暴走したら止められるように……。\\n ううん、暴走しなくて済むように、護れるくらいに」",
"304001021_84": "「……あんまり気負いすぎんなよ」",
"304001021_85": "「……うん、分かってる。無茶はしない」",
"304001021_86": "(響と約束したんだもの……)",
"304001021_87": "「そうか。わかってるんなら、いいけどよ……。\\n ま、そういうことならあたしも手伝ってやらぁ」",
"304001021_88": "「ありがとう。やっぱりクリスは優しいね」",
"304001021_89": "「や、優しいとかそんなんじゃねーッ!\\n あ、あたしはただ……」",
"304001021_90": "「はいはい。\\n いいから、早くトレーニングルームへ行きましょう」",
"304001021_91": "「はい」",
"304001021_92": "「ま、待てってッ!\\n あああッ、本当にそんなんじゃないからなッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,13 @@
{
"304001022_0": "「ふう……この辺でひと休みしましょうか」",
"304001022_1": "「そうだな。なあ、大丈夫か?\\n かなりハードにやってたけど……」",
"304001022_2": "「大丈夫。それより、もっと頑張らないと……。\\n もう少しだけ付き合ってもらえるかな」",
"304001022_3": "「こんだけやってまだやる気なのかよ……。\\n 仕方ねーな。とにかくいったん休むぞ」",
"304001022_4": "「うん」",
"304001022_5": "「ところで、さっきの話だけどさ……。\\n やっぱり、こっちにもお前がいたんだな」",
"304001022_6": "「うん……そうみたいだね。\\n でも今の響の傍にはいられてないんだよね……」",
"304001022_7": "「親の仕事の都合じゃ、仕方ないでしょう」",
"304001022_8": "「だけど、きっと会いたいって思ってるはずです……」",
"304001022_9": "「だから、響にもそれを分かって欲しい」",
"304001022_10": "「響は、独りなんかじゃないんだって……」"
}

View file

@ -0,0 +1,30 @@
{
"304001031_0": "「待機もしばらく続きそうだし。\\n 少し身の周りの物、揃えておかないと……」",
"304001031_1": "「あれは……響?」",
"304001031_2": "「ひび――」",
"304001031_3": "「……あっ」",
"304001031_4": "(どうしたんだろう。急に歩く向きを変えて……)",
"304001031_5": "「……どうしたの?」",
"304001031_6": "「ああ、この場所にいきたいんだけどねぇ、\\n 道がよく分からないんだよ……あんた、わかるかい」",
"304001031_7": "(道に迷ったお婆さんに話しかけてる……?)",
"304001031_8": "「……ここなら、こっち」",
"304001031_9": "「わかるのかい? そりゃ助かるねぇ……」",
"304001031_10": "「ところであんたは学生さんかい?\\n 実は孫もおなじくらいでねぇ……」",
"304001031_11": "「そうなんだ……」",
"304001031_12": "(荷物を持ってあげて。お婆さんの歩幅に合わせて<speed=0.5>……</speed>\\n ――人助け、してるんだ……",
"304001031_13": "(うん、やっぱり……響は響だよ)",
"304001031_14": "「ありがとうねぇ。おかげ様で助かったよ、親切なお嬢ちゃん」",
"304001031_15": "「いいから。気をつけて」",
"304001031_16": "「それじゃあねぇ……」",
"304001031_17": "「お疲れ様。はい、飲み物」",
"304001031_18": "「……いつからいたの?」",
"304001031_19": "「お婆さん、感謝してたね」",
"304001031_20": "「……関係ない。\\n あんなところでウロウロされたら邪魔だっただけ」",
"304001031_21": "「それより、何の用? 用がないなら……」",
"304001031_22": "「ひゃぁぁぁッ!? 化け物――ッ!!」",
"304001031_23": "「今の声は……さっきのお婆さんッ!?」",
"304001031_24": "「未来くんッ! 君のすぐ傍でノイズの反応を検知したッ!\\n すまないが急行してくれッ」",
"304001031_25": "「ノイズが?」",
"304001031_26": "「ち……ッ!」",
"304001031_27": "「……あ、待って響ッ! わたしも行くッ!」"
}

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@ -0,0 +1,13 @@
{
"304001041_0": "「さっきのお婆さんは……?」",
"304001041_1": "「――ッ!? これ、は……」",
"304001041_2": "「さっきの……お婆さんの風呂敷……そんな……ッ」",
"304001041_3": "「ううッ……お前らあああああッ!」",
"304001041_4": "「落ち着いて、響ッ!」",
"304001041_5": "「うるさいッ! わたしに指図するなぁッ!」",
"304001041_6": "「大丈夫ッ!?」",
"304001041_7": "「無事かッ?」",
"304001041_8": "「ふたりともッ! 響がッ!」",
"304001041_9": "「わかったわ。フォローに入るわよッ!」",
"304001041_10": "「はいッ!」"
}

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@ -0,0 +1,22 @@
{
"304001042_0": "「…………」",
"304001042_1": "(あれは、お婆さんの、風呂敷……)",
"304001042_2": "「あれあれ。さっきのお嬢さんじゃないかい」",
"304001042_3": "「え……ッ!?」",
"304001042_4": "「さっきはびっくりしたよ。あの、ノイズとかいうんだっけ?\\n お化けが出てきてね。もう、腰抜かすかと思ったよ」",
"304001042_5": "「……そっか」",
"304001042_6": "「通りがかりの人に手を引いて助けられなかったら、\\n あたしゃ今頃どうなってたかねぇ……」",
"304001042_7": "「……助け、られた……?」",
"304001042_8": "「お嬢ちゃん、あんたも無事でよかったよ」",
"304001042_9": "「はい、これ……」",
"304001042_10": "「ああ、わたしの荷物。拾ってくれたのかい?\\n ありがとうねえ」",
"304001042_11": "「それじゃ……」",
"304001042_12": "「気をつけて帰るんだよぉ」",
"304001042_13": "「……良かった、本当に。でも――」",
"304001042_14": "(あのおばあさんは助けられた、助けてくれる人がいた。\\n ――なのにッ",
"304001042_15": "「どうして……どうしてわたしには――ッ!」",
"304001042_16": "「…………気持ち悪い」",
"304001042_17": "「なんなの……この、胸のむかつきは……」",
"304001042_18": "(お婆さんに荷物を返す時……響、少しだけ笑ってた……)",
"304001042_19": "(やっぱり、響は……)"
}

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@ -0,0 +1,30 @@
{
"304001051_0": "「待機となってから数日。普通のノイズこそ現れたけど、\\n カルマ化したイズが現れる気配は一向にないわね……」",
"304001051_1": "「あのでかいのも出てこないしな……。\\n ったく、モグラじゃねーんだぞ……」",
"304001051_2": "「ゴライアスね。……ねえ、思ったんだけど。\\n わたしたちの世界にゴライアスはいるのかしら」",
"304001051_3": "「どういう事ですか?」",
"304001051_4": "「並行世界はどこかで違う可能性が選択された世界。\\n だから類似する点は多い」",
"304001051_5": "「こちらのゴライアスは起動してしまって、捕捉が出来ない。\\n けれど、わたしたちの世界にもいるなら――」",
"304001051_6": "「休眠状態のそれを調べて捕捉する方法も見つけられる……?」",
"304001051_7": "「いい考えじゃねーか。\\n このまま待ち続けてるより、よっぽど性に合ってるッ」",
"304001051_8": "「……いるかどうかはわからないけどね。\\n 聖遺物関連は並行世界とも特に差異が大きいみたいだし」",
"304001051_9": "「なんにしても、一度戻ってS.O.N.G.で聞けばわかるだろ」",
"304001051_10": "「……思ったんですけど、ゴライアスの件は、ギャラルホルンの\\n アラートとは関係ないんでしょうか」",
"304001051_11": "「脅威といえば脅威だけど、どうなのかしらね。\\n こればっかりはわからないわ」",
"304001051_12": "「でも関係ないとするなら、もしかしたらアラートも収まって\\n いるかもしれないわね」",
"304001051_13": "「そっか。原因がカルマノイズで、もうそれは全部倒したかも\\n 知れないし……」",
"304001051_14": "「そういうこと。まあアラートが収まっていたとしても、\\n すべきことがある以上、このまま放置はできないけどね」",
"304001051_15": "「はい……。響の事もありますし」",
"304001051_16": "「向こうのあいつの様子も知っておきたいしな。\\n 案外、もうけろっとしてるかもしれねーし」",
"304001051_17": "「そうだといいんだけど。\\n ……さて、それじゃ風鳴司令に話して、戻るとしましょうか」",
"304001051_18": "(どこにいても、響は響だってわかったから。\\n だから、きっと……大丈夫",
"304001051_19": "「デェェェスッ!!」",
"304001051_20": "「はぁ、はぁ、はぁ……」",
"304001051_21": "「大丈夫か、暁……?」",
"304001051_22": "「あんまり大丈夫じゃないデスよ。\\n 一体この大群はなんなんデスか……」",
"304001051_23": "「しかも、ここのところ毎日……。\\n 昼も夜もお構いなし……」",
"304001051_24": "「ギャラルホルンのアラートが強くなっている。\\n そうエルフナインは言っていたが……」",
"304001051_25": "(だとすると、より脅威が増している、そういうことなのか?)",
"304001051_26": "「――また来るデスッ!」",
"304001051_27": "「……考えている場合では無いな。\\n 今は、このイズの群れを切り伏せるのみッ」"
}

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@ -0,0 +1,10 @@
{
"304001052_0": "「もう、くたくたデス……」",
"304001052_1": "「でも、わたしたちがやらなきゃ……」",
"304001052_2": "(状況は厳しい……が、現有戦力は我々だけだ)",
"304001052_3": "(なんとか乗り越えなければ……)",
"304001052_4": "「小日向たちもじきに目的を遂げて戻ってくる。\\n そうすれば立花だって目覚めるはずだ」",
"304001052_5": "「それまでなんとしても持ちこたえるぞ。\\n いいな、人ともッ」",
"304001052_6": "「はいッ!」",
"304001052_7": "「……はいデスッ!」"
}

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@ -0,0 +1,25 @@
{
"304001111_0": "侵食",
"304001111_1": "(……胸が苦しい、熱い……)",
"304001111_2": "(痛いよ……誰か……)",
"304001111_3": "(……違う、誰かなんていないんだ……。\\n どんなに近くにいても、みんないなくなる……",
"304001111_4": "「響、響ってば……」",
"304001111_5": "「……え?」",
"304001111_6": "「ほら、朝ごはん食べながら寝るなんて器用なんだか\\n 不器用なんだか……もう、学校に遅れるよ」",
"304001111_7": "「学校? リディアン?\\n どうしてあなたが制服を着て……」",
"304001111_8": "「もう、寝ぼけてるの?\\n 一緒に入学したんだから当たり前でしょ」",
"304001111_9": "「はい鞄。準備しておいたから。\\n それ食べたらリディアンまで駆け足だからね」",
"304001111_10": "「食べ終わった?\\n それじゃ、一緒に行こう」",
"304001111_11": "「――ッ!? はぁ、はぁ……。\\n また、夢……」",
"304001111_12": "(なんで……並行世界から来たとか言ってた、\\n あの子に会ったから どうしてこんな夢を……何度も",
"304001111_13": "「……だからって、関係ない。\\n どうせ、わたしは独りなんだから……」",
"304001111_14": "「まただ……これは何? 石……金属……?」",
"304001111_15": "「……」",
"304001111_16": "(胸から剥がれ落ちる石……段々、増えてる気がする。\\n 胸の痛みに比例して……",
"304001111_17": "「…………」",
"304001111_18": "「これだけのノイズが現れるとは……。\\n 向こうの人は大丈夫だろうか……」",
"304001111_19": "「今は向こうの心配よりこっちの心配デス……。\\n かなりキツくなって来てるデスよ……」",
"304001111_20": "「それでも……やるしかないよ。\\n 切ちゃん、頑張ろう」",
"304001111_21": "「もちろんデス……けど、いっそエクスドライブなら\\n ただのイズなんて一掃出来るのに……」",
"304001111_22": "「無いものねだりをしても仕方ない。\\n わたしたちに出来るのは、ただ自らの全力を尽くすのみだッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,16 @@
{
"304001121_0": "「げ、現場周辺に更にエネルギー反応ッ!\\n イズ、出現しますッ」",
"304001121_1": "「装者のバイタル低下ッ!\\n これ以上の戦闘は……」",
"304001121_2": "「ぬうう……仕方ないッ!\\n 現場周辺を完全に封鎖し、装者を一時離脱させ――」",
"304001121_3": "「――離脱はしませんッ!」",
"304001121_4": "「――翼ッ!?」",
"304001121_5": "「これだけのノイズ……ここでわたしたちが退けば、\\n 果たしてどれだけの被害になるか……」",
"304001121_6": "「立花があんな状態で、マリアたちも並行世界で戦っている\\n 今、この場を死守することこそがわたしたちの務めッ」",
"304001121_7": "「そう、デス……。\\n マリアだって頑張ってるデス……」",
"304001121_8": "「わたしたちは、こっちを任されたんだから……。\\n やりきってみせるッ」",
"304001121_9": "「……わかった。だが、無茶をしすぎるなよッ!\\n すぐに救援を送るッ」",
"304001121_10": "「2人とも、よく言った……さあ、やるぞッ!」",
"304001121_11": "「はぁ、はぁ……りょ、了解デス……ッ」",
"304001121_12": "「……まだ、戦えるッ!」",
"304001121_13": "「そうだ……。\\n ――残った力を振り絞れッ」"
}

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@ -0,0 +1,13 @@
{
"304001122_0": "「はぁはぁはぁ……どうデス……」",
"304001122_1": "「倒しきった……?」",
"304001122_2": "「一帯のノイズの反応は完全に消滅した」",
"304001122_3": "「苦しい戦い、よくやってくれたッ!」",
"304001122_4": "「了解しました。直ちに、帰投します……」",
"304001122_5": "「いや、迎えのヘリを出した。その場で待機していてくれ」",
"304001122_6": "「了解……」",
"304001122_7": "「待機もなにも、もう、動けないデス……」",
"304001122_8": "「このまま眠りたい……」",
"304001122_9": "(まるでソロモンの杖が起動していたかのような大量発生……)",
"304001122_10": "「一体、どうなって……」"
}

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@ -0,0 +1,74 @@
{
"304001131_0": "「良く戻ってきたな、3人とも」",
"304001131_1": "「ご無事でなによりです」",
"304001131_2": "「それより、こっちはどんな状況?」",
"304001131_3": "「なあ……やけに空気がピリピリしてねーか?」",
"304001131_4": "「翼さんたちもいませんし……」",
"304001131_5": "「実は、先日からこちらでノイズの大量発生が起こっていてな……。\\n 連戦で人とも倒れてしまい、今は静養中だ」",
"304001131_6": "「そんな……大丈夫なんですかッ!?」",
"304001131_7": "「心配はいらない。怪我ではなく蓄積した疲労によるものだ。\\n 人とも日ゆっくり休めば、回復するだろう」",
"304001131_8": "「……良かった」",
"304001131_9": "「やれやれ。ちょうどいい時に戻ってきたってわけだ」",
"304001131_10": "「ええ、危なかったわね……」",
"304001131_11": "「それでその……響の容態は?」",
"304001131_12": "「たびたび発作が起きて暴れ出すような状況です。\\n 酷いときには鎮静剤を投与して抑えています」",
"304001131_13": "「そんな……」",
"304001131_14": "「……あの、わたし様子を見てきますッ!」",
"304001131_15": "「行っちゃったわね……。\\n ……あの子の事は任せましょう」",
"304001131_16": "「それで、ギャラルホルンのアラートは?」",
"304001131_17": "「依然、収まっていない。\\n いや、むしろ酷くなっているようだ……」",
"304001131_18": "「酷くなってるって……カルマノイズを2体倒したんだぞッ!\\n なんでそんなことになってんだよッ」",
"304001131_19": "「状況から見て、カルマノイズよりも、より大きな脅威が\\n 発生したから、ということかもしれないわね……」",
"304001131_20": "「ちッ……やっぱりあのデカブツも関係あるってことか」",
"304001131_21": "「デカブツ……?\\n 向こうで何があったんだ……」",
"304001131_22": "「それはこれから説明するわ。\\n 完全聖遺物、ゴライアス……この名前に聞き覚えは」",
"304001131_23": "「響……寝てるの……?」",
"304001131_24": "(やつれてる……わたしが向こうへ行く前より、ずっと……)",
"304001131_25": "(手……わたしの大好きな響の手……)",
"304001131_26": "「絶対、助けるから……。\\n だから――もう少しだけ、待ってて……」",
"304001131_27": "「完全聖遺物、ゴライアスか……。\\n そんなものが現れていたとはな……」",
"304001131_28": "「知ってるのかッ!?\\n 勿体つけずに教えてくれッ」",
"304001131_29": "「いや、すまない。聞いた事は無い……」",
"304001131_30": "「向こうでは確か米国から預かったと言っていたわ。\\n 米国政府が隠匿している可能性があるのかしら」",
"304001131_31": "「それはゼロでは無いが……あったとしても我々にすんなりと、\\n 情報を提供するとは思えない」",
"304001131_32": "「それじゃ、無駄足じゃねーか……」",
"304001131_33": "「待ってください。\\n 今ある情報だけでも、打開策は検討できると思います」",
"304001131_34": "「エルフナイン?」",
"304001131_35": "「夜になると撤退する……この性質ですが、ゴライアスは何を\\n もって夜になった、と判別しているのでしょうか」",
"304001131_36": "「何をって……そりゃ日が沈んだらだろ?」",
"304001131_37": "「日が沈む、目で見て判断しているということでしょうか?」",
"304001131_38": "「光量の変化とかではないの?\\n 感覚器官として目といわれてもピンとこないし……」",
"304001131_39": "「はい、恐らくはそうでしょう。そして地中で一定時間休眠に\\n 入る……そうしたサイクルで活動していると推察されます」",
"304001131_40": "「光量によって昼夜を判別しているのなら、騙せるかもしれません」",
"304001131_41": "「……やってみる価値はありそうね」",
"304001131_42": "「面白れぇ。だけど、そんな光なんてどう準備すりゃ\\n いいんだ」",
"304001131_43": "「それは、向こうの二課に頼めばいい。\\n 二課なら、それくらいの融通は利かせられるはずだ」",
"304001131_44": "「そうね。……なら、行けるかもしれないわ」",
"304001131_45": "「よしッ! なら早速向こうに戻って、あのデカブツを――」",
"304001131_46": "「待って。そうしたらこちらはどうするの?\\n ……少なくとも翼たちが回復するまで待つべきだわ」",
"304001131_47": "「そうだった……」",
"304001131_48": "「……そうだな、そうしてもらえると助かる。\\n 翼たちも日もすれば目覚めるはずだ」",
"304001131_49": "「そんな気遣いは無用です……」",
"304001131_50": "「翼ッ!?」",
"304001131_51": "「起きてきて大丈夫なのか?」",
"304001131_52": "「大丈夫なわけないです。長時間の戦闘による極度の疲労と\\n 体へのダメージ、こんな短時間では回復しません……ッ」",
"304001131_53": "「ただの疲労など……立花の戦いに比べたら、何のこともない」",
"304001131_54": "「戦友の留守を護る約束は、必ず果たしてみせる」",
"304001131_55": "「そう言ったって、まだあいつらも目を覚ましてないんだろ?\\n そんな状況じゃ――」",
"304001131_56": "「いや、月読も暁も同意見だ。まだ動くのは辛い様子なので置いて\\n きたが、既に目は覚ましている。……立花を心配していた」",
"304001131_57": "「並行世界の問題の解決が、立花の復調に繋がるのなら、\\n 何よりも優先してくれ。頼む……」",
"304001131_58": "「……あの子、そこまで酷いの?」",
"304001131_59": "「……ああ、あんな姿は……見ていられない」",
"304001131_60": "「……響さんの発作は、段々と間隔が短く、そして激しくなって\\n きています」",
"304001131_61": "「それに比例して体力も低下、このままの状態が続いてしまうと、\\n 遠からず命の危険にも……」",
"304001131_62": "「マジかよ……」",
"304001131_63": "「わかったわ。すぐに向こうへ戻りましょう」",
"304001131_64": "「……ああ。そうだな」",
"304001131_65": "「フン――――ッ!」",
"304001131_66": "「りゃぁ――――ッ!」",
"304001131_67": "「はぁ、はぁ、はぁ……」",
"304001131_68": "「この地響きは……何か来るッ!?」",
"304001131_69": "「くッ……」",
"304001131_70": "「あんたが何かなんて知らないけれど……」",
"304001131_71": "「わたしの前に現れるなら……お前も倒すッ!」"
}

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@ -0,0 +1,36 @@
{
"304001132_0": "「ゴライアスと思われる反応を検知ッ!\\n そんな……ッ」",
"304001132_1": "「どうしたッ!?」",
"304001132_2": "「現場にガングニールの反応ッ!\\n 響ちゃんが……人で戦っていますッ」",
"304001132_3": "「なんだとッ!? 無茶な……ッ!\\n 翼はッ」",
"304001132_4": "「まだ絶唱の後遺症で動ける状況では……」",
"304001132_5": "「くッ……出来る限りのサポートだけでもするんだッ!\\n 急げッ」",
"304001132_6": "「りょ、了解ッ!」",
"304001132_7": "「くッ……強い……ッ!」",
"304001132_8": "(正面から打ち合うには力が違いすぎる。\\n 一発でもまともにもらったら、たぶんひとたまりもない……",
"304001132_9": "(もっと、もっと……力があればッ)",
"304001132_10": "「ぐッ? な、なに……熱い……」",
"304001132_11": "(体中が沸騰しそうに……でもッ!)",
"304001132_12": "「――はあああああッ!」",
"304001132_13": "「力が……湧き出てくるッ!」",
"304001132_14": "「これなら、戦える。\\n わたし独りでも――倒せるッ」",
"304001132_15": "「おおおお――ッ、く……なッ!?」",
"304001132_16": "「――なッ、た、助けてくれッ!?」",
"304001132_17": "(逃げ遅れた人ッ!? こんな時に――)",
"304001132_18": "(くッ……助け/殺さなきゃ……)",
"304001132_19": "「――えッ!? あれ……?」",
"304001132_20": "(人なんだから、助けなきゃ。\\n 人なんだから、殺さなきゃ",
"304001132_21": "「なに……これ? 何かが、わたしの中から……?」",
"304001132_22": "(身体の奥で……何かもやもやした渦が……\\n グルグルって……気持ち、悪い……",
"304001132_23": "「くッ――、おおおおおッ!」",
"304001132_24": "「逃げてッ! 死にたくなければ走ってッ!」",
"304001132_25": "「あ、ああ……わあああああああッ」",
"304001132_26": "(違う……わたしは殺したいなんて思ってない……\\n なんなの、一体何が――",
"304001132_27": "(……あの時の……黒い、ノイズ……?)",
"304001132_28": "「なッ!? しま――ッ!」",
"304001132_29": "「ぐ……かはッ……」",
"304001132_30": "(動け、ない……ダメージが……)",
"304001132_31": "「……」",
"304001132_32": "(……こんなところで、終わっちゃうの?)",
"304001132_33": "「去って行った……どうして……?」"
}

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@ -0,0 +1,72 @@
{
"304001211_0": "嘆く心",
"304001211_1": "「もう、人助けもほどほどにしなきゃだめだよ?」",
"304001211_2": "(え、人助け……?)",
"304001211_3": "「ごめん未来~、だって偶然、迷子の子猫を見つけ\\n ちゃったんだから、仕方ないよ」",
"304001211_4": "「だからって、授業サボっていいわけ\\n じゃないでしょ 一度用務員さんに預けるとか……」",
"304001211_5": "「でも、あ~んなに可愛い子猫だよッ!?\\n 飼い主だってきっと心配してただろうし」",
"304001211_6": "「連絡入れるとか方法もあったでしょ?\\n もう、せっかくみんなで買い物行くはずだったのに……」",
"304001211_7": "「うう、ごめん。補習が無ければ~」",
"304001211_8": "「原因を作ったのは自分なんだから反省すること」",
"304001211_9": "「はーい、でも未来はやっぱり優しいな~。\\n こうして補習にも付き合ってくれるし」",
"304001211_10": "(誰か分からないけど、こんなに近くに誰かが……\\n 未来がいてくれてるんだ……。わたしとは大違い……",
"304001211_11": "「響は見てないと心配だから」",
"304001211_12": "「え~ッ、酷いよ~。もう未来ったら……」",
"304001211_13": "「フフ、ごめんなさい」",
"304001211_14": "(……そんな……わた、し……?\\n 違う……こんなの、こんなの全部――ッ",
"304001211_15": "「立花さん、これ午前の授業のノートです。\\n よかったらどうぞ」",
"304001211_16": "「えッ!? 本当にッ! ありがとうッ!」",
"304001211_17": "「全く、毎日毎日遅刻してくるんだから、\\n 本当にアニメの主人公みたいだよね」",
"304001211_18": "「まあまあ、ビッキーもいろいろと大変だから」",
"304001211_19": "「そうですよ。わたしたちに出来ることがあれば、\\n 微力ながらお手伝いしますわ」",
"304001211_20": "「いや~、持つべきものは友、だね~ッ!」",
"304001211_21": "(これが……わた、し……?\\n 知らない、こんなの……",
"304001211_22": "「ぐッ……がッ、くぅぅぅ……はぁ、はぁ、はぁ……」",
"304001211_23": "「酷い、目覚め……」",
"304001211_24": "(あれは、向こうの世界のわたし……?)",
"304001211_25": "(どうしてあんなに違うの? どうして笑っていられるの?\\n どうして、わたしには誰も――ッ",
"304001211_26": "「――ッ!? あ……」",
"304001211_27": "「胸から石が……何なの? わたしの中から……?」",
"304001211_28": "(なんなの、これ……意味がわからないよ……)",
"304001211_29": "「それに……胸のこの熱さ……」",
"304001211_30": "(あの化け物と戦った時、熱くなって……戻らない……)",
"304001211_31": "「おかしいよ……何もかも……」",
"304001211_32": "(あの黒いノイズの感じは今はしない……だけど、\\n まだ残ってる気がする……",
"304001211_33": "「自分の身体なのに訳がわからないことばかり……」",
"304001211_34": "「誰か、教えてよ……誰か、助けてよ……うぅ……」",
"304001211_35": "(独りは、怖いよ……)",
"304001211_36": "「うぅ……う、うあああああああ……ッ!」",
"304001211_37": "「……」",
"304001211_38": "(助けなんて……無い……そうだ)",
"304001211_39": "(今までだってそうだった……何を、今さら……)",
"304001211_40": "「どうせみんないなくなる。わたし、だって……」",
"304001211_41": "「もう戻ってきたのか」",
"304001211_42": "「……ああ」",
"304001211_43": "「その様子だと、向こうの様子もあまり良くないようだな」",
"304001211_44": "「原因不明のノイズの大量発生と、立花響の重篤化……。\\n こちらの異変を一刻も早く解消する必要が出てきたわ」",
"304001211_45": "「なるほどな……」",
"304001211_46": "「こちらの様子はどう?」",
"304001211_47": "「昨日、響くんがノイズを相手にしていたところ、\\n 再びゴライアスが急襲してきた」",
"304001211_48": "「響が? 無事なんですか?」",
"304001211_49": "「ああ。途中でゴライアスが撤退したため、事なきを得た」",
"304001211_50": "「時間切れということ?」",
"304001211_51": "「ああ。また地面に潜って撤退していった」",
"304001211_52": "「ゴライアスを倒さない限り異変は収束しないのかしら……」",
"304001211_53": "「それと、あいつのこともどうにかしないとな……」",
"304001211_54": "「うん……」",
"304001211_55": "「ところで風鳴司令。\\n ゴライアス対策のことで相談があるのだけど」",
"304001211_56": "「なんだ?」",
"304001211_57": "「なるほど、ゴライアスの撤退を防ぐためにそんな手を……」",
"304001211_58": "「ああ。準備できるのか?」",
"304001211_59": "「フッ……任せておけ。そういうことなら、俺たち二課の\\n 腕の見せ所だ」",
"304001211_60": "「お願いするわ」",
"304001211_61": "「市街地にてノイズの反応多数検知ッ!」",
"304001211_62": "「戻ってきてもらって早々で悪いが、出撃してもらえるか?」",
"304001211_63": "「ええ、もちろんよ」",
"304001211_64": "「派手に暴れてあのデカブツも引きずりだしてやるッ!」",
"304001211_65": "「うん……行こうッ!」",
"304001211_66": "「待ってくださいッ!\\n イズの反応が……凄い速さで減っていきますッ」",
"304001211_67": "「なんだとッ!?」",
"304001211_68": "「波形パターンの照合完了ッ! これは……」",
"304001211_69": "「ガングニール……響くんかッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,52 @@
{
"304001212_0": "「はぁ、はぁ、はぁ……」",
"304001212_1": "「響ッ!」",
"304001212_2": "「全部お前が倒しちまったのか?」",
"304001212_3": "(かなりの規模の反応だったのを、彼女1人で……)",
"304001212_4": "「はぁ、はぁ……。\\n 見れば分かるでしょ」",
"304001212_5": "「大丈夫、怪我はない?」",
"304001212_6": "「熱ッ!?」",
"304001212_7": "「どうしたッ!?」",
"304001212_8": "「すごい熱……」",
"304001212_9": "「熱だと……まさかッ!?」",
"304001212_10": "「もしかして……ガングニールの……侵食ッ!?」",
"304001212_11": "「触らないでッ!」",
"304001212_12": "「待ってッ!」",
"304001212_13": "「わたしと一緒に二課に来てッ!\\n 身体、ちゃんと診てもらわないとダメッ」",
"304001212_14": "「関係ない……放っておいて……」",
"304001212_15": "「あいつの異常は、これが原因だったのかよ……」",
"304001212_16": "「融合症例ね……。\\n まさかこちらでも同じ事になるなんて……」",
"304001212_17": "「なんとかしないと……」",
"304001212_18": "「ガングニールの、侵食……?\\n それがこの熱さと関係あるの……」",
"304001212_19": "(侵食されたら、どうなるの……?)",
"304001212_20": "(分からないのは怖い……でも知ってしまったら、\\n 知ってそれがどうしようもないと分かってしまったら……",
"304001212_21": "(もっと、怖いよ……)",
"304001212_22": "「誰ッ!?」",
"304001212_23": "「ここにいたんだ」",
"304001212_24": "「また、あなたなの……」",
"304001212_25": "(なんでわたし、ほっとしてるんだろう……)",
"304001212_26": "「何してたの?」",
"304001212_27": "「別に……ただ星を見てただけ」",
"304001212_28": "(こっちの響も星を見るのが好きなのかな?)",
"304001212_29": "「だったら、星が綺麗に見える場所を知ってるんだ。\\n 今度一緒に行こう」",
"304001212_30": "「……ちょっと、見てみたいかも」",
"304001212_31": "「うん、なら約束しよう。きっと一緒に行くって」",
"304001212_32": "「…………」",
"304001212_33": "(約束……一緒に……?\\n しても、いいのかな……",
"304001212_34": "「グッ……ああああッ!?」",
"304001212_35": "「熱い……ぐうううッ!?」",
"304001212_36": "「響ッ! ――えッ!?」",
"304001212_37": "(殺さなきゃ……)",
"304001212_38": "「黒い……霧……? これは――」",
"304001212_39": "(あの、カルマノイズと戦ったときに見た――)",
"304001212_40": "(殺さなきゃ……)",
"304001212_41": "「響ッ! しっかりして、響ッ!」",
"304001212_42": "「――ッ! 黙れええええええッ!」",
"304001212_43": "「ッ!? ひ、響……?」",
"304001212_44": "「あ……<speed=0.5>。</speed>\\n ……何でもない、とにかくわたしは行くから」",
"304001212_45": "「待って、響ッ!」",
"304001212_46": "「わたしに構わないでッ!」",
"304001212_47": "「そのままガングニールを使うと命に関わるかもしれないの。\\n だから……ちゃんと調べてもらおう それに、今の――」",
"304001212_48": "「うるさいッ!」",
"304001212_49": "「響……」"
}

View file

@ -0,0 +1,60 @@
{
"304001221_0": "「あの発熱の様子……やっぱり\\n ガングニールとの融合、だよな……」",
"304001221_1": "「……うん。あの頃の響もあんなふうに異常な熱を……」",
"304001221_2": "「融合症例……わたしたちと戦ってたときに\\n 起こっていた症状よね。資料では見たけど……」",
"304001221_3": "「そういや、そんな時期だったっけな」",
"304001221_4": "「響を助けるには、どうすればいいんだろう……」",
"304001221_5": "「融合を進ませないには、とにかく戦わせないことだろ」",
"304001221_6": "「それと……。あなたのギアね」",
"304001221_7": "「<ruby=シェンショウジン>神獣鏡</ruby>……」",
"304001221_8": "「元の世界の響を助けているという事実を考えれば、\\n <ruby=シェンショウジン>神獣鏡</ruby>の力でギアを消滅させれば助かるはずよ」",
"304001221_9": "「……それなんですけど、もしかしたら響は……元の世界の\\n 響とは違う症状かもしれません」",
"304001221_10": "「……どういうこと? 何かあったの?」",
"304001221_11": "「響の体から、あのカルマノイズのような黒い霧が\\n 噴き出すのを見ました」",
"304001221_12": "「は? なんだよそりゃッ!」",
"304001221_13": "「……詳しく聞かせて」",
"304001221_14": "「……多分、原因は前に倒したカルマノイズなんですけど――」",
"304001221_15": "「……そんなことがあったの。\\n 暴走した立花響が、カルマイズを吸収とはね……」",
"304001221_16": "「最初は見間違いかと思ったんですけど、この前、響から\\n あの黒い霧が出ているのを見て、そうじゃなかったって……」",
"304001221_17": "「くそッ!\\n 何であいつばっかりこんな目にあってんだよ……」",
"304001221_18": "「彼女の体がどうなっているのかは分からないけど、それが\\n 本当だとしたら、<ruby=シェンショウジン>神獣鏡</ruby>での攻撃がどう作用するか……」",
"304001221_19": "「もしカルマノイズとも融合してしまっているとしたら、\\n 下手をすれば彼女の体ごと消滅させかねないわね」",
"304001221_20": "「そんな……それじゃ響をどうやって――ッ!」",
"304001221_21": "「落ち着きなさい。とにかくまずはメディカルチェックを受けさせて、\\n 状態を把握することが先決よ」",
"304001221_22": "「……そんな悠長な事言ってられるのかよ?」",
"304001221_23": "「こちらの彼女の症状がガングニールの侵食なら、極力使わない\\n ようにさせれば進行は遅くなるはず……でしょう」",
"304001221_24": "「……はい、前の時はそう聞きました」",
"304001221_25": "「なら、メディカルチェックを行ってからでも遅くは無いわ」",
"304001221_26": "「問題はどうやってあいつを引っ張ってくるかだな……。\\n 力づくで抵抗されても厄介だし……」",
"304001221_27": "「それこそギアを纏われたら本末転倒よ。\\n 穏便に説得して連れてくるしかないでしょうね」",
"304001221_28": "「……そうなると、やっぱりお前に頼むしかないよな」",
"304001221_29": "「うん……わかってる。わたしに任せて欲しい」",
"304001221_30": "「ああ、頼むな……」",
"304001221_31": "「あと1つの問題は、アラートの原因ね」",
"304001221_32": "「恐らくはあのゴライアスを倒せば異変は収まるんじゃないかと\\n 思っていたんだけれど――」",
"304001221_33": "(……立花響がカルマノイズを吸収した、という事なら、あの子\\n そのものにギャラルホルンが反応している可能性もある",
"304001221_34": "(……最悪のケースへの覚悟も必要かもしれない。\\n 言えないわね、この子たちには……",
"304001221_35": "「もしかしたら他にもまだカルマノイズやその他の原因がある\\n 可能性もあるわ。下手な決めうちは避けたほうがいいわね」",
"304001221_36": "「あんなのがゴロゴロいたらそれこそ世界の危機だけどよ、\\n ま、とにかく倒してみればわかるだろ」",
"304001221_37": "「何にしても次に出てきたときが勝負だし、ぶっ倒してさっさと\\n あいつのことに集中できるようにしないとな」",
"304001221_38": "「そうね……」",
"304001221_39": "「噂をすれば早速おでましか?」",
"304001221_40": "「ノイズの反応を検知した。\\n 転送したポイントに急行してもらえるか」",
"304001221_41": "「了解です」",
"304001221_42": "「ったく。どこから湧いて出てくるんだか」",
"304001221_43": "「本当ね……」",
"304001221_44": "「さあ、始めるわよ、2人とも」",
"304001221_45": "「今度は何だ?」",
"304001221_46": "「今しがた、別のポイントでもノイズの反応を検知した。\\n すまないが、誰かそちらの方にも――」",
"304001221_47": "「なんだとッ?」",
"304001221_48": "「おい、どうした?」",
"304001221_49": "「響くんが1人でそちらに向かったという情報が入った」",
"304001221_50": "「響が?」",
"304001221_51": "「あのバカ……ギア使ったら危ねーのにッ!」",
"304001221_52": "「――わたし、行きますッ! この場はお願いしますッ!」",
"304001221_53": "「わかったわ。……向こうはお願いね」",
"304001221_54": "「あいつのこと、頼んだぞ」",
"304001221_55": "「うんッ!」",
"304001221_56": "「さあてと……。それじゃおっぱじめるかッ!」",
"304001221_57": "「ええ。早く片付けて、わたしたちも向こうへ行くわよッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,10 @@
{
"304001231_0": "「……いた、響ッ!」",
"304001231_1": "「はぁはぁはぁ……くうッ……」",
"304001231_2": "「なんでそんなに無茶するのッ!?」",
"304001231_3": "「あなたには関係ない。\\n これは……わたしの戦いだから……」",
"304001231_4": "「ダメ、響ッ!\\n それ以上ガングニールの力を使ったら侵食が――]",
"304001231_5": "「邪魔をしないでッ!」",
"304001231_6": "「このおぉぉ――――――ッ!!」",
"304001231_7": "「響――――ッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,22 @@
{
"304001241_0": "「はぁぁぁ――――――ッ!!」",
"304001241_1": "「はぁはぁ……終わった――くッ!」",
"304001241_2": "「響ぃ――――ッ!」",
"304001241_3": "「その石はッ!?」",
"304001241_4": "「やっぱり……ガングニールの侵食……」",
"304001241_5": "「お願い、もうギアを使わないでッ、わたしが響を――」",
"304001241_6": "「助けるなんて嘘はいらないッ!\\n 誰も、わたしを助けてくれないッ」",
"304001241_7": "「あなただって自分の世界の響が大事だから、\\n そのついででわたしに関わっているだけでしょッ」",
"304001241_8": "(そうだ、夢で見たあの光景――わたしがどんなに望んでも、\\n どんなに欲しくても手に入らないあの日常――ッ",
"304001241_9": "「もうこれ以上、わたしに構わないでッ!」",
"304001241_10": "(手に入らないのに、わかってるのに……\\n ――期待なんてさせないでッ",
"304001241_11": "「わたしが響を放って置けるはずないでしょッ!」",
"304001241_12": "「わたしは……あなたの響じゃない」",
"304001241_13": "(あんなふうに笑えない、あんなふうに暮らせない。\\n ――だって、わたしには誰もいないんだからッ",
"304001241_14": "「関係ないッ、響は響だからッ!」",
"304001241_15": "「なら、あなたの響じゃないって証明してあげる……」",
"304001241_16": "(そうだ、手に入らないなら、いっそ――)",
"304001241_17": "「響……」",
"304001241_18": "(あの、黒い霧が見える……\\n あれは――響の感情に反応してるの それなら――",
"304001241_19": "「なら、わたしは……響を止めるッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,26 @@
{
"304001251_0": "「アームドギアがあるくらいで調子に乗らないでッ!」",
"304001251_1": "「響はどうしてアームドギアを持っていないのか、\\n 考えたことは無いのッ」",
"304001251_2": "「それがどうしたッ! わたしはアームドギアなんかなくても、\\n この手で何でも砕ける……壊せるんだッ」",
"304001251_3": "「違うよ、響のその手は――」",
"304001251_4": "「そう、こうやって――ッ!\\n 立ち塞がる何もかもを、砕くために――ッ」",
"304001251_5": "(そう、壊すんだッ! 目の前のこいつを――ッ!)",
"304001251_6": "「な――ッ!?」",
"304001251_7": "「ノイズがッ!?」",
"304001251_8": "「響ッ、危ない――ッ!」",
"304001251_9": "「くうッ!?」",
"304001251_10": "(――今ッ! これでこいつを殺し――ッ!?)",
"304001251_11": "「――違うッ! 止まれええええええええッ!」",
"304001251_12": "「きゃあああ――――ッ!!」",
"304001251_13": "「うぅ……違う、違う……。\\n わたしは、こんなことがしたかったんじゃ……」",
"304001251_14": "「ひび、き……だいじょうぶ、だった……?」",
"304001251_15": "「人の心配してる場合じゃないでしょッ!?」",
"304001251_16": "「よかった、響に……けが、なくて……」",
"304001251_17": "「――ッ!」",
"304001251_18": "(違う、どうしてわたしは――)",
"304001251_19": "(こんな事したくないのに、どうして殺せるだなんて、\\n そんな恐ろしい事を――",
"304001251_20": "「ごめん……未来、ごめんなさい……」",
"304001251_21": "「性懲りもなく湧いて出て……」",
"304001251_22": "「未来には指1本触れさせない……。\\n みんな、この拳でバラバラに砕いてやるッ」",
"304001251_23": "「おおおお――――――ッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,19 @@
{
"304001252_0": "「はぁ、はぁ、はぁ……」",
"304001252_1": "「未来ッ!」",
"304001252_2": "「しっかりして、未来ッ!」",
"304001252_3": "「響……やっと名前、呼んでくれたね……」",
"304001252_4": "「そんなことより、怪我は?」",
"304001252_5": "「わたしは、大丈夫……」",
"304001252_6": "「でも、それより響が心配だよ」",
"304001252_7": "「なにを……?」",
"304001252_8": "「ガングニールの侵食は……\\n ギアを使えば使うほど、進むの……」",
"304001252_9": "「なんでそんなこと、あなたが……」",
"304001252_10": "「もう1人の響がそうだったから、よく知ってるの……」",
"304001252_11": "「あの時、どれだけ響が悩んでいたかも……。\\n 今、あなたがどれだけ苦しんでいるのかも……」",
"304001252_12": "「だから、響にはちゃんとメディカルチェックを受けて……。\\n 無理をしないで欲しいって思ってる」",
"304001252_13": "「…………」",
"304001252_14": "「お願い、わたしの言葉を聞いてくれないかな」",
"304001252_15": "「……ずるいよ」",
"304001252_16": "「助けられて、そんな風にまで言われたら、\\n 逆らえないじゃない……」"
}

View file

@ -0,0 +1,53 @@
{
"304001311_0": "装者になった理由",
"304001311_1": "「検査はこれでおしまい?」",
"304001311_2": "「うん……そうみたい。結果は何日か後だって」",
"304001311_3": "「こんな検査、必要ないのに……」",
"304001311_4": "「ううん、ちゃんとしないとダメだよ」",
"304001311_5": "「そっちの世界のわたしみたいになるかもって?」",
"304001311_6": "「……そうならないように、だよ」",
"304001311_7": "「とにかく。検査も終わったし、これからどうしようか」",
"304001311_8": "「どうしようって、帰るんじゃないの」",
"304001311_9": "「帰るのは後。\\n せっかくなんだから、一緒に出かけよう」",
"304001311_10": "「あ、ちょっと……」",
"304001311_11": "「……わかった」",
"304001311_12": "「あれ? トレーニングルームに誰かいるみたい」",
"304001311_13": "「……」",
"304001311_14": "「あ……翼さんッ! もう大丈夫なんですか?」",
"304001311_15": "「ああ、小日向か」",
"304001311_16": "「まだ本格的な戦闘行為は無理だが……\\n 少しずつリハビリをしているところだ」",
"304001311_17": "「まだ早いと思うんだけどね。ぜんぜん人の言うこと\\n 聞かない頑固頭は、こっちの剣も同じってわけ」",
"304001311_18": "「誰が頑固頭だ、人聞きの悪い。\\n そもそもわたしはわたしだ。似ているもなにもないだろう」",
"304001311_19": "「はいはい。仰る通りよ」",
"304001311_20": "「……」",
"304001311_21": "「そこにいるのは……立花か。\\n やっと来てくれたようだな」",
"304001311_22": "「え……」",
"304001311_23": "「二課の事で何か分からない事があれば、\\n 遠慮なく聞いてくれ」",
"304001311_24": "「……わかった」",
"304001311_25": "「それじゃ、わたしたちはそろそろ行きますね」",
"304001311_26": "「どこへ行くの?」",
"304001311_27": "「街へデートに行くんです」",
"304001311_28": "「なッ……デート、だとッ!?」",
"304001311_29": "「あらそうなの。\\n 気をつけて行ってらっしゃい」",
"304001311_30": "「雪解けかしらね。いい傾向だわ」",
"304001311_31": "「デートとは……驚いた。\\n 人仲良く出かけるなどと……」",
"304001311_32": "「あら、デートが羨ましいなら、わたしたちも行きましょうか?」",
"304001311_33": "「そ、そんな気遣いは無用だッ!\\n う、羨ましいわけではない……本当だぞッ」",
"304001311_34": "(なにこの剣……やっぱり、可愛すぎじゃないッ!)",
"304001311_35": "「はいはい。わかったわ。\\n それじゃ今度買い物にでも行きましょう」",
"304001311_36": "「ど、どういうことだッ!?\\n 気遣いは無用だと言ったはず――」",
"304001311_37": "「わたしが行きたいのよ。それで、こっちの事には詳しくないから、\\n あなたに案内して欲しいの。いいでしょう」",
"304001311_38": "「そ、そういうことなら、やぶさかでもないが……」",
"304001311_39": "「なら決まりね。落ち着いたら行きましょう」",
"304001311_40": "「あ、ああ……」",
"304001311_41": "「それにしても、良かったわ。\\n こっちの立花響があの子を受け入れてくれて」",
"304001311_42": "「あの立花が、ああして誰かと手を取り合うだなんてな……。\\n さっき見た光景がまだ信じられない」",
"304001311_43": "「あら? その割には分からない事があれば聞いてくれだなんて、\\n しっかり先輩してたじゃない」",
"304001311_44": "「わたしも同じ装者として、仲間としてやっていけたらいい、\\n そう思ったら、自然に言葉が出てきたんだ」",
"304001311_45": "「……わたしも、仲間が欲しかったのかもしれない」",
"304001311_46": "「立花ほどではないにしろ、\\n 独りの寂しさは、わたしも知っているつもりだ……」",
"304001311_47": "(ほんともう、この剣ったら。\\n 素直に直接そう言えばいいのにね",
"304001311_48": "(まあ、でも。歩み寄れたのはいい傾向だわ)",
"304001311_49": "「……さて、もう少しリハビリに付き合ってくれ。\\n これ以上、わたしも戦列を離れているわけにはいかないからな」",
"304001311_50": "「いいわ、始めましょうか」"
}

View file

@ -0,0 +1,20 @@
{
"304001312_0": "「ここのお好み焼き、美味しいんだよ」",
"304001312_1": "「ほら、食べて食べて」",
"304001312_2": "「う、うん……」",
"304001312_3": "「……ッ!?」",
"304001312_4": "「ま……まあ、それなりに」",
"304001312_5": "「もう、素直に美味しいって言えばいいのに……」",
"304001312_6": "「うん、やっぱりお好み焼きはおばちゃんのが最高だよね」",
"304001312_7": "「あら? お嬢ちゃんに来てもらったことあったかしらね?」",
"304001312_8": "「あ……えーと、前にちょっとだけ来たことがあるんです」",
"304001312_9": "「あら、そうだったの。\\n お客さんの顔、覚えてる方なんだけど、ごめんなさいね」",
"304001312_10": "(そうだった。この世界のわたしは、来たことないんだよね。\\n リディアンにも進学してないわけだし……",
"304001312_11": "「今後ともご贔屓にね」",
"304001312_12": "「ええ、もちろんです」",
"304001312_13": "「……」",
"304001312_14": "「さーて。それじゃ、たくさん焼いて、一緒に食べよう」",
"304001312_15": "「おばちゃん、海鮮ミックスとトマトチーズも追加で」",
"304001312_16": "「はいはい。ちょっと待ってね」",
"304001312_17": "(……おいし)"
}

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@ -0,0 +1,52 @@
{
"304001321_0": "「はぁ……たくさん食べたね」",
"304001321_1": "「いくらなんでも、頼みすぎだと思うけど……」",
"304001321_2": "「いつもだったら足りないくらいなんだけどね。\\n ついつい、いつもの調子で頼んじゃった」",
"304001321_3": "「いちいち向こうのわたしと一緒にしないで」",
"304001321_4": "「うん……わかってる。\\n 目の前のあなたは、全く別の、もう人の響なんだもんね」",
"304001321_5": "「わかってるなら……いいけど」",
"304001321_6": "「…………」",
"304001321_7": "「……ねえ、向こうのわたしって、どんな人?」",
"304001321_8": "「どうって……。\\n うーんとね……ご飯を美味しそうに食べる人、かな」",
"304001321_9": "「なにそれ。それだけ?」",
"304001321_10": "「あとは寝坊ばかりして教室でも居眠りして立たされたり……」",
"304001321_11": "「宿題ためこんで『助けて~』なんて泣きついて来たり……」",
"304001321_12": "「それって、ただの駄目な人じゃ……」",
"304001321_13": "(でも、夢で見た通りなんだ……やっぱり)",
"304001321_14": "「はは……それだけだったら、ね」",
"304001321_15": "「でも、いいところも、たくさんあるよ」",
"304001321_16": "「困った人には手を差し伸べずにはいられなくって……。\\n ああ、これは、あなたも同じだけど」",
"304001321_17": "「わたしは、そんなんじゃ……」",
"304001321_18": "「人を助けたって……頼ったって……裏切られるだけだ」",
"304001321_19": "「ううん、そんなことないよ。\\n 少なくとも、わたしの知ってる響は、そんな風に考えない」",
"304001321_20": "「響はね……例えそれで自分が傷ついても苦しんでも、\\n 絶対に諦めないし、投げ出したりしないの」",
"304001321_21": "「こっちがね、もういいって……諦めて……って言っても。\\n 絶対に、諦めてくれないんだ……」",
"304001321_22": "「…………」",
"304001321_23": "「それでね……。\\n どんな苦しいときにも、決まって笑って、こう言うの」",
"304001321_24": "「『へいき、へっちゃらだよ』って……」",
"304001321_25": "「その言葉……どこかで……」",
"304001321_26": "「『どうしようもないことを、どうにかやり過ごす魔法の言葉』\\n なんだって」",
"304001321_27": "「そんなの……ないよ。魔法の言葉なんて……」",
"304001321_28": "「そうかも知れない。でも、響が信じてるから、わたしも信じてる」",
"304001321_29": "「響はね、苦しいときでもくじけず、諦めず、うなだれない。\\n そうしてわたしを、みんなを明るく照らし続けてくれてるの……」",
"304001321_30": "(わたしは……苦しいことから目を背けてばかりだ……)",
"304001321_31": "「わたしのことを、陽だまりだって言ってくれるけど……」",
"304001321_32": "「わたしにとっての響は、お日様だよ。\\n お日様が無くっちゃ、陽だまりも……わたしもいられない」",
"304001321_33": "「……わたしの一番の親友だよ」",
"304001321_34": "「一番の……親友……」",
"304001321_35": "(わたしには、そんな人なんて……)",
"304001321_36": "(羨ましい、妬ましい……\\n 壊して、やりたい――",
"304001321_37": "「――ッ!」",
"304001321_38": "(違う、そんな事思ってない……絶対にッ!)",
"304001321_39": "「どうしたの、響――」",
"304001321_40": "「なんでもない……大丈夫」",
"304001321_41": "「はい、こちら小日向です」",
"304001321_42": "「外出中すまんな。市内にノイズが出現したようだ。\\n 至急、現場へ向かってもらえるだろうか」",
"304001321_43": "「了解しました」",
"304001321_44": "「ごめんね、響。わたし、ちょっと行ってくるから」",
"304001321_45": "「わたしも行く」",
"304001321_46": "「ううん。検査の結果もまだ出てないんだもの。\\n 今回は大事をとって、響は戦わないで待ってて」",
"304001321_47": "「でも……」",
"304001321_48": "「お願い。わたしたちに任せて。ね?」",
"304001321_49": "「……わかった」"
}

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@ -0,0 +1,28 @@
{
"304001322_0": "「待っててくれたんだ。響」",
"304001322_1": "「別に、そういうわけじゃ……」",
"304001322_2": "「場合によっては、わたしも戦わないといけないかもって……。\\n だから、念のため残ってただけ」",
"304001322_3": "「そっか。心配してくれたんだね。ありがとう」",
"304001322_4": "「勝手な解釈しないで。\\n わたしはただ、イズが許せないだけで……」",
"304001322_5": "「それでもいいの。\\n それじゃ、途中まで一緒に帰ろうか」",
"304001322_6": "「一緒に? なんで」",
"304001322_7": "「だって、デートの途中だったんだし」",
"304001322_8": "「……好きにすれば」",
"304001322_9": "「うん、好きにする」",
"304001322_10": "「それじゃ、クリス、マリアさん。また後でね」",
"304001322_11": "「おう。あたしらは二課に寄ってから帰る」",
"304001322_12": "「気をつけてね」",
"304001322_13": "「驚いたな。黙って乱入して黙って帰ってったあいつが、\\n 戦いもせず、わざわざ終わるまで待ってるだなんてよ……」",
"304001322_14": "「メディカルチェックも素直に受けてくれたし。\\n あの子の心がやっと通じたのよ、きっと」",
"304001322_15": "「なあ……あいつの中の負の感情がなくなれば、\\n あたしらの世界のあいつも、助かるんだよな……」",
"304001322_16": "「ええ、そのはずよ。\\n ……あの様子なら、上手くいくかも知れないわね」",
"304001322_17": "「ああ……そう願いたいよな」",
"304001322_18": "「わたし、は……」",
"304001322_19": "(あの子と繋いだ、手……さっきまでは温かかったのに……)",
"304001322_20": "「今は、冷たい……寒い……」",
"304001322_21": "「く――ッ!」",
"304001322_22": "「違う。わたしを、助けてくれるわけじゃない……」",
"304001322_23": "(わたしは、ただのついで。\\n あの温かさは、わたしのじゃない……",
"304001322_24": "「この手のぬくもりだって、もうすぐ消えちゃうのに……」",
"304001322_25": "「こんなの……辛いだけだ……ッ!」"
}

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@ -0,0 +1,77 @@
{
"304001331_0": "「お呼びですか?」",
"304001331_1": "「ああ。実は、先日の響くんのメディカルチェックの\\n 結果が出たんだが……」",
"304001331_2": "「響くんに知らせるより先に、君たちの耳にも\\n 予め入れておいたほうがいいと思ってな……」",
"304001331_3": "「その調子だと、いい結果じゃなかったみたいだな」",
"304001331_4": "「うむ……」",
"304001331_5": "「聞かせてちょうだい」",
"304001331_6": "「検査の結果、彼女の身体は、体内に食い込んだガングニールの\\n 破片によって、著しい侵食を受けていることがわかった」",
"304001331_7": "「…………」",
"304001331_8": "「聖遺物の欠片は活性化のたびに増殖を繰り返し、\\n 体細胞や神経系と融合、侵食を続けているそうだ」",
"304001331_9": "(――未来、いるかな)",
"304001331_10": "(辛いだけなのに、でも、離れられない……)",
"304001331_11": "(……もう、独りには戻りたくないよ……)",
"304001331_12": "「響くんの容態だが――」",
"304001331_13": "(わたしの、話……?)",
"304001331_14": "「このままの状態が続けば遠からず死に至るだろう――。\\n というのが、うちのメディカルスタッフの見解だ」",
"304001331_15": "(――ッ!? やっぱり……)",
"304001331_16": "「いえ、そんなことありません」",
"304001331_17": "「気持ちはわかるが……」",
"304001331_18": "「ガングニールの侵食なら経験済みだからな」",
"304001331_19": "「彼女のあの異常……融合症例と、こちらでは呼んでいるんだけど。\\n あれはわたしたちの世界でも起きて、解決済みのことなの」",
"304001331_20": "「なにッ、本当かッ!?」",
"304001331_21": "「ああ。そのために必要なのが、おっさんから託してもらった\\n <ruby=シェンショウジン>神獣鏡</ruby>のギアなのさ」",
"304001331_22": "「未来くんの<ruby=シェンショウジン>神獣鏡</ruby>のギアが……?」",
"304001331_23": "「はい。<ruby=シェンショウジン>神獣鏡</ruby>の持つ、聖遺物の力の中和・分解の力を使って、\\n 響の身体を蝕んでいたガングニールその物を消し去るんです」",
"304001331_24": "(わたし……助かるの? 未来が助けてくれるの?)",
"304001331_25": "「ギアを消し去るだと……?\\n <ruby=シェンショウジン>神獣鏡</ruby>はそれほどまでの力を秘めているのか」",
"304001331_26": "「一度は上手くいきました。だから今度もきっと……」",
"304001331_27": "「その前に、メディカルチェックの結果について\\n もう少し聞かせてもらえるかしら」",
"304001331_28": "「……もう少し、とは?」",
"304001331_29": "「これは彼女には秘密にしておいて欲しいんだけど、彼女の中で\\n ガングニールの侵食とは別の影響が出ている可能性があるの」",
"304001331_30": "「別の影響……だと?」",
"304001331_31": "「あの黒いのを吸収したらしい。暴走した時に……」",
"304001331_32": "「黒いの……カルマノイズをかッ!?」",
"304001331_33": "(――ッ、やっぱり……あれはあのノイズの――)",
"304001331_34": "「はい、だから不用意に<ruby=シェンショウジン>神獣鏡</ruby>を使うことが出来なくて――」",
"304001331_35": "「待て……そうか。やっと合点がいった……。\\n 実は、メディカルチェックで不可解な数値が見つかっている」",
"304001331_36": "「機器の故障か、誤作動を疑っていたが……そういうことなら、\\n 違うだろうな……」",
"304001331_37": "「……彼女の体内に、謎のエネルギー反応があった。\\n ガングニールとは別種のものだ」",
"304001331_38": "(……)",
"304001331_39": "「それは揺らぎのように強くなったり弱くなったりしている。\\n だが、確実にイズと同種のものだ」",
"304001331_40": "「あんなものが体内にあることなど考えられない。\\n 人にとって、あのエネルギーは猛毒だ」",
"304001331_41": "「だが、そうなるとガングニールの侵食が取り込んだカルマノイズの\\n エネルギーに対抗しているのだろう」",
"304001331_42": "「彼女はガングニールと融合する事によって助かっている、と?」",
"304001331_43": "「断定は出来んが……そうでもなければ説明が付かない」",
"304001331_44": "「おい待てッ! それじゃギアを消し去ったら――ッ!」",
"304001331_45": "「あのエネルギーを、生身の人間が受け止めることは不可能だ。\\n おそらく、ギアが消えると同時に……」",
"304001331_46": "「そんな――ッ」",
"304001331_47": "「はは……やっぱりそうだ、何も変わらない。\\n 結局、誰も助けてなんてくれないんだから」",
"304001331_48": "「響……いつからそこに」",
"304001331_49": "「やっぱり、わたしは――ッ」",
"304001331_50": "「響ッ! 待って、話が――」",
"304001331_51": "「はぁ、はぁ、はぁ……」",
"304001331_52": "「やっぱり、そうだったんだ……」",
"304001331_53": "(この胸の痛みも、異常なくらいに上がる体温も……\\n ずっと、おかしいと思ってた……",
"304001331_54": "(身体の中からぽろぽろ零れる変な石も……きっともう、\\n まともな人間じゃなくなってるんだって、わかってたけど……",
"304001331_55": "「そっか……わたし、やっぱり、死ぬんだ……」",
"304001331_56": "「独りぼっちのままで……」",
"304001331_57": "「なんで……」",
"304001331_58": "「こんなところで、ただ死ぬなら、どうして――ッ!」",
"304001331_59": "「どうして、あの時、生き残っちゃったの?」",
"304001331_60": "「生き残りさえしなかったら、\\n こんな想い、しなくて済んだのに……」",
"304001331_61": "「ずっと苦しかった、辛かった、寂しかった。\\n それなのに、誰も助けてくれない……」",
"304001331_62": "「友達も、家族も、みんなわたしの前から、いなくなって……」",
"304001331_63": "「その上、人間じゃない化け物になって死んでいくなんて……。\\n やだよ……いったいわたしが何をしたっていうの」",
"304001331_64": "「ああああああ――ッ!」",
"304001331_65": "「くうッ……ううッ……うわあああああッ!!」",
"304001331_66": "「連絡用に二課から持たされてた端末が……」",
"304001331_67": "「ノイズがまた、出たんだ……」",
"304001331_68": "(そうだよ。どうせ、死ぬんだもの……)",
"304001331_69": "「それなら……戦おう」",
"304001331_70": "「わたしの世界を壊したノイズを。\\n 匹でも多く、道連れにしてやるッ」",
"304001331_71": "「いたッ!」",
"304001331_72": "「まだいたんだ……そうなんだ……。\\n ――ははッ、ははははッ」",
"304001331_73": "「お前のせいだ……わたしがこんな風になったのも、\\n 何もかも全部ッ」",
"304001331_74": "「――殺してやるッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,51 @@
{
"304001341_0": "「おおおおおッ!」",
"304001341_1": "「響ッ!」",
"304001341_2": "「カルマノイズを1人で圧倒してるだなんて……」",
"304001341_3": "「半融合状態になったガングニールが、\\n 異常活性しているというの……」",
"304001341_4": "「待ってろ、今加勢するッ!」",
"304001341_5": "「手を出すなッ!」",
"304001341_6": "「は? なんでだよッ!?」",
"304001341_7": "「どうせ、わたしは死ぬんだッ!」",
"304001341_8": "「それなら……\\n こいつらに全部叩きつけて、道連れにしてやるッ」",
"304001341_9": "「バカなこと言ってんじゃねーッ!」",
"304001341_10": "「――響はわたしが絶対に助けるッ!」",
"304001341_11": "「無責任なこと言うなッ!\\n 口だけならなんとでも言えるッ」",
"304001341_12": "「わたしなら……わたしのギアなら、あなたを救えるッ!」",
"304001341_13": "「嘘だッ! ギアを消せば、どちらにしてもわたしは死ぬッ!」",
"304001341_14": "「……絶対に死なせないッ!\\n だって、わたしのギアは、そのためのモなんだから」",
"304001341_15": "「わたしは、響を救うために、装者になったんだからッ!」",
"304001341_16": "(信じたい……信じたいよ……でも……)",
"304001341_17": "「ぐッ……」",
"304001341_18": "「響ッ!?」",
"304001341_19": "「はあ……はあ……はあ……。\\n ……まだ戦える」",
"304001341_20": "(もう、あまり時間がない……)",
"304001341_21": "「すぐにメディカルルームへ連れていきたいところだけど……」",
"304001341_22": "「とっととアイツをぶっ倒すぞッ!\\n 幸い手負いだから、一気に畳みかければ倒せる」",
"304001341_23": "「響は――」",
"304001341_24": "「やれる……このくらい、どうってことないッ!」",
"304001341_25": "「山盛りくれてやらぁッ! 食らいやがれ――ッ!」",
"304001341_26": "「はあぁぁ――――ッ!」",
"304001341_27": "「そこ――ッ!」",
"304001341_28": "「効いてるわッ! あと一押し――」",
"304001341_29": "「おおおお――ッ!! 消えてなくなれぇぇぇッ!!」",
"304001341_30": "「やったかッ!?」",
"304001341_31": "「カルマノイズが消えていくわッ!」",
"304001341_32": "「違う、これは――ッ!!」",
"304001341_33": "「ああああ――ッ!?」",
"304001341_34": "「あの時と同じ……カルマノイズを吸収してる――?」",
"304001341_35": "「なんですってッ!?」",
"304001341_36": "「ぐあああああッ!」",
"304001341_37": "「響ぃ――――ッ!」",
"304001341_38": "「――ガアアアアアアアアッ!!」",
"304001341_39": "「暴走したッ!?」",
"304001341_40": "「カルマノイズの負の波動を吸収したせいだというの……?」",
"304001341_41": "「こんな時になんだよ、おっさんッ!\\n こっちは立て込んでるんだってのッ」",
"304001341_42": "「響くんのフォニックゲインが危険水域にまで高まっているッ!\\n このままだと恐らく――」",
"304001341_43": "「ああ、なるほど。そういうことかよ……。\\n くそッ なんてタイミングだッ」",
"304001341_44": "「半ば必然とはいえ、最悪のタイミングよね……」",
"304001341_45": "「暴走したあいつとこの化け物、同時に相手しろってか?\\n 冗談きついっての」",
"304001341_46": "(わたしも絶対諦めないよ、響。\\n どんなに苦しくたって、辛くたって。諦めたりしない……",
"304001341_47": "「へいき、へっちゃら……だよね。\\n 響……」",
"304001341_48": "「だから……絶対に救ってみせるッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,53 @@
{
"304001351_0": "「響ッ、目を覚まして、響ぃ――ッ!」",
"304001351_1": "「くそ……全然届いてないみたいだぞ。\\n なんとかする方法はないのか、おっさんッ」",
"304001351_2": "「カルマノイズの呪いを吸収して負の感情が増大している上、\\n ガングニールとの融合進行が暴走状態を助長しているようだ」",
"304001351_3": "「相乗効果で響くんの身体への負荷は計り知れん……。\\n このままだと確実に――」",
"304001351_4": "「そんなこと聞いてるんじゃねえッ!\\n あいつを助ける方法はないのかっていう話だッ」",
"304001351_5": "「もうこうなったら\\n <ruby=シェンショウジン>神獣鏡</ruby>でギアを完全消滅させるしかないでしょう」",
"304001351_6": "「それをしたら今度は呪いで死ぬんだろーがッ!」",
"304001351_7": "「ああ……やっぱり、そうだ……\\n この真っ暗な場所が、わたしの居場所……」",
"304001351_8": "「結局わたしは独り、誰も助けてなんてくれない……」",
"304001351_9": "「だから……全部……ぶっ壊してやるッ!」",
"304001351_10": "「――ドケエエェェェッ!」",
"304001351_11": "「きゃあ――――――ッ!?」",
"304001351_12": "「くそぉ――――――ッ!?」",
"304001351_13": "「ちくしょうッ!\\n あいつ、街中の方に――ッ」",
"304001351_14": "「みんな、大丈夫ッ!?」",
"304001351_15": "「いいから、あのバカを追えッ!」",
"304001351_16": "「でも、あの怪物もいるのに……」",
"304001351_17": "「あたしらに任せとけッ!\\n あいつを助けられるのはお前だけなんだからよッ」",
"304001351_18": "「ええ……わたしたちでなんとかするわ」",
"304001351_19": "「2人の言う通りだ」",
"304001351_20": "「翼さん……大丈夫なんですかッ!?」",
"304001351_21": "「ああ、心配ならば無用だ」",
"304001351_22": "「それよりこの場は3人もいれば充分。\\n お前はあいつを……立花を救ってやってくれ」",
"304001351_23": "「……わかりました。絶対に助けますッ!」",
"304001351_24": "「頼んだぞ、小日向……」",
"304001351_25": "「ったく。病み上がりなのに無茶しすぎだ」",
"304001351_26": "「防人の剣たるこの身……\\n これしきで折れるほど、柔な鍛え方はしていない」",
"304001351_27": "「怪我抜きでもキツイ状況だがな」",
"304001351_28": "「日が沈むまでもう少し、それまで耐えるんだッ!\\n ……準備は出来ているッ」",
"304001351_29": "「準備……?」",
"304001351_30": "「こちらの秘策よ。上手くいってくれれば、チャンスはある。\\n ……日没まで耐えられれば、の話だけどね」",
"304001351_31": "「なるほど。ならば、それまで身命を賭してこの場を\\n 護り抜くとしよう……」",
"304001351_32": "「1人で命賭けてるんじゃねーよ。\\n この場にいるのは人なんだからな」",
"304001351_33": "「そうね。3本の矢はまとめると決して折れないっていうの、\\n あなたたちの国の逸話だったかしら」",
"304001351_34": "「毛利の3矢の教えだな。よく知っている」",
"304001351_35": "「だが、この状況としてはなかなか良い例えだ。\\n 我ら本の矢――決して折れるまいぞッ」",
"304001351_36": "「でりゃぁぁぁ――ッ!!」",
"304001351_37": "「来たッ! 今よ――ッ!」",
"304001351_38": "「おっさんッ!」",
"304001351_39": "「任せておけッ! 総員、作戦開始だッ!」",
"304001351_40": "「ゴライアスの動きが止まったッ!\\n これが秘策か――ッ」",
"304001351_41": "「ええ……どうやら、日のある時間帯と認識したみたいね」",
"304001351_42": "「ゴライアスのエネルギー量が徐々に低下していっている。\\n うまくいったぞッ」",
"304001351_43": "「だが、所詮は人工的な光だ。いつ認識が正されるかわからん」",
"304001351_44": "「ああ、わかってるッ!」",
"304001351_45": "「例え一瞬だろうと、\\n この最大のチャンスを逃すわけには行かないッ」",
"304001351_46": "「イグナイトモジュール――抜剣ッ!」",
"304001351_47": "「イグナイトモジュール――抜剣ッ!」",
"304001351_48": "「それは……前に見た――ッ!」",
"304001351_49": "「カルマノイズのいないこの場なら……イグナイトで戦えるッ!」",
"304001351_50": "「ああ、手加減抜きだッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,24 @@
{
"304001352_0": "「や……やったのね……?」",
"304001352_1": "「はぁ、はぁ……手こずらせやがって……」",
"304001352_2": "「だが、なんとか撃破に成功したようだな……」",
"304001352_3": "「ええ……。\\n 倒したゴライアスの処理は二課に任せるとして……」",
"304001352_4": "「ああ、こんなところで休んでる暇はねー、\\n 早く、あいつを助けに……くッ……」",
"304001352_5": "「大丈夫か……足元が定まっていないぞ……」",
"304001352_6": "「そんなのお前も一緒だろ……」",
"304001352_7": "「……向こうの様子は?」",
"304001352_8": "「かなりまずい状況だ」",
"304001352_9": "「暴走状態の響くんはカルマノイズの呪いと聖遺物融合の\\n 相乗効果でとてつもないエネルギーを帯びている状態だ」",
"304001352_10": "「通常の人間では、近付いただけで命を落としかねん」",
"304001352_11": "「このまま市街地へと到達されたら、\\n 多くの犠牲者が出てしまう可能性がある」",
"304001352_12": "「小日向はどうしているのです?」",
"304001352_13": "「頑張って追跡しているが……、\\n 暴走状態の響くんを捕捉することは困難なようだ……」",
"304001352_14": "「未来くんがギアを破壊することができぬのなら――\\n その時は倒すしか、その足を止める方法はあるまい」",
"304001352_15": "「それであのバカが助かるのかよッ!」",
"304001352_16": "「それは……」",
"304001352_17": "「その時は……わたしが……やる。刺し違えてでも……」",
"304001352_18": "「翼……」",
"304001352_19": "「それがこの世界の装者の役目というものだ」",
"304001352_20": "「待ってッ! あの子は今も助けようと必死になってる」",
"304001352_21": "「あの子が諦めない限り、\\n わたしたちも諦めたりはしないッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,105 @@
{
"304001411_0": "翳り裂く閃光",
"304001411_1": "「響、すごい熱……。\\n こんなに遠くからでも、わかるくらい……」",
"304001411_2": "「止められないにしても、街へ出しちゃ駄目……」",
"304001411_3": "「響には、誰も傷つけさせたりはしないッ!」",
"304001411_4": "「はああああ――ッ!」",
"304001411_5": "「ガアアアアッ!?」",
"304001411_6": "「響、お願い止まってッ!」",
"304001411_7": "「ウるサい……ウるサいウるサいッ!\\n ダれモ、タスケテくレない……ダレモッ」",
"304001411_8": "「殺ス……壊ス……。\\n 拳ハ、そ為のモなンダ――ッ」",
"304001411_9": "(くう――ッ! 早いッ!)",
"304001411_10": "<ruby=シェンショウジン>神獣鏡</ruby>の力を収束させないと、ギアは分解できない……)",
"304001411_11": "(どうにかして、響の動きを止めないと……)",
"304001411_12": "(でも、どうすれば……?)",
"304001411_13": "(響の意識を……記憶を、一瞬でも取り戻させれば……)",
"304001411_14": "「星が綺麗に見える場所を知ってるんだ。\\n 今度一緒に行こう」",
"304001411_15": "「……ちょっと、見てみたいかも」",
"304001411_16": "「うん、なら約束しよう。きっと一緒に行くって」",
"304001411_17": "(こっちの響は、あの場所を知らない……。\\n だけど、精神が同調しているのなら――",
"304001411_18": "「こっちだよ、響ッ!」",
"304001411_19": "「ガアアアアアアアア――ッ!!」",
"304001411_20": "「――ッ!?」",
"304001411_21": "(響の動きがとまった……?)",
"304001411_22": "「グゥゥゥ……」",
"304001411_23": "「この間、約束したよね。\\n 星が綺麗に見える場所に、一緒に行こうって……」",
"304001411_24": "「この場所はね……わたしにとって、思い出の場所なんだ」",
"304001411_25": "(約束……思い出……?)",
"304001411_26": "「グ……ガアアアアアアアッ!?」",
"304001411_27": "「お願い響ッ! 帰って来てッ!\\n あなたは、そんな暗いところにいちゃいけない」",
"304001411_28": "「グアアアアアアア――ッ!!\\n ……はぁ、はぁ……」",
"304001411_29": "「……チガウッ! そんな思い出、ワタシにはないッ!\\n ヤクソクだって……」",
"304001411_30": "「響……。わたしの声聞こえる?」",
"304001411_31": "「クダラナイ……。\\n コンナトコロで、星を見たって、ナニもなりはしない」",
"304001411_32": "「そんな事ないッ!\\n 約束があるんだ……響は独りじゃないッ」",
"304001411_33": "「ヤクソク……ワカラナイ……」",
"304001411_34": "「約束って、1人じゃできないんだよ?」",
"304001411_35": "「…………」",
"304001411_36": "「小さな約束が降り積もって、大切な思い出が出来ていくの。\\n 辛い時でも心の中で輝き続ける、星になるの」",
"304001411_37": "「だから……響。\\n わかって。あなたはもう独りじゃないって」",
"304001411_38": "「翼さんだって、弦十郎さんだって、響のことを心配してる。\\n あなたの想いに、不安に、寄り添ってくれる人たちがいる」",
"304001411_39": "「約束を結ぶことから……心と心の繋がりから、目を背けないで」",
"304001411_40": "「全てを諦めないで。\\n 握った拳でまわりの物、全てを壊すような真似はやめて」",
"304001411_41": "「響の拳は、こんなことをするための物なんかじゃ\\n ないんだから……」",
"304001411_42": "「……ダマレッ! 勝手な気持ちを押し付けるナッ!\\n ワタシは、ワタシの拳はゼンブ、ゼンブ壊すタメの力――ッ」",
"304001411_43": "「違うよッ! いつだって響は、困っている人を助けずには\\n いられない優しい子なんだから……」",
"304001411_44": "「自分の気持ちに素直になってッ!\\n 本当の心をごまかさないでッ」",
"304001411_45": "「アンタにワタシの気持ちの何がワカルッ!\\n アンタだってワタシをタスケテくれなかったじゃないかッ」",
"304001411_46": "「ワタシを見捨てたアンタなんかに……ナニガッ!」",
"304001411_47": "「響、自分の両手を見てみてッ!」",
"304001411_48": "「武器を持たないあなたのその両手が、\\n 誰よりも人と手を繋ぎたいと想っている証拠……」",
"304001411_49": "「その手こそが、立花響のアームドギアなんだからッ!」",
"304001411_50": "「コノ手が……ワタシの……<speed=1>、</speed>アームドギア……?」",
"304001411_51": "「それにね――\\n もうつ、響は間違ってるよ……」",
"304001411_52": "「……そうなるとガングニールの侵食が取り込んだカルマノイズの\\n エネルギーに対抗しているのだろう」",
"304001411_53": "「彼女はガングニールと融合する事によって助かっている、と?」",
"304001411_54": "「断定は出来んが……そうでもなければ説明が付かない」",
"304001411_55": "「おい待てッ! それじゃギアを消し去ったら――ッ!」",
"304001411_56": "「あのエネルギーを、生身の人間が受け止めることは不可能だ。\\n おそらく、ギアが消えると同時に……」",
"304001411_57": "(大丈夫。わたしは信じてる。\\n <ruby=シェンショウジン>神獣鏡</ruby>を……わたしの歌を……必ず、響を救えるって)",
"304001411_58": "(だから、なにがあっても――)",
"304001411_59": "「小日向未来は、絶対に響を見捨てたりなんかしないッ!\\n 絶対にッ」",
"304001411_60": "(響……わたしに、力を貸して……)",
"304001411_61": "「Gatrandis babel ziggurat edenal\\n Emustolronzen fine el baral zizzl――」",
"304001411_62": "「ソレハ……絶唱……」",
"304001411_63": "(――ッ!?)",
"304001411_64": "(それは唄っちゃだめだッ! そんなの唄ったら……)",
"304001411_65": "(……なんで、\\n わたしなんかのために……",
"304001411_66": "(どうせ誰も助けてくれない……。\\n みんな一緒、わたしのことなんて誰も……、なのに……",
"304001411_67": "(――違う)",
"304001411_68": "(小日向未来は……)",
"304001411_69": "(いっつもわたしのことを想って、傍にいて、助けてくれる人)",
"304001411_70": "(そして、わたしも未来のことが……大好きだった)",
"304001411_71": "(どうして、そんな当たり前のことを、\\n 忘れていたんだろう……",
"304001411_72": "(助けなきゃ……)",
"304001411_73": "<size=40>(未来を、助けないとッ!)</size>",
"304001411_74": "「Gatrandis babel ziggurat edenal\\n Emustolronzen fine el baral zizzl――」",
"304001411_75": "「あの2人はどこへ――?」",
"304001411_76": "「確かにこっちのはず……急がないとッ!」",
"304001411_77": "「待てッ! これは、小日向と立花の歌……。\\n まさか……絶唱ッ」",
"304001411_78": "「なんだ、この光は?\\n 一体なにが起きて――ッ」",
"304001411_79": "「あれは、まさか、S2CAッ」",
"304001411_80": "「どうなってんだッ!\\n あのバカがいないのに、なんでS2CAがッ」",
"304001411_81": "「おそらく、あの子の差し出した手を、\\n やっと、立花響が握ったんだと思うわ」",
"304001411_82": "「わたしたちの知ってる立花響も、\\n こちらの立花響も本質的には同じだったってこと」",
"304001411_83": "「誰よりも人と手を繋ぎたいと思っている子だもの」",
"304001411_84": "「まさか、この光を、あいつが……?」",
"304001411_85": "「これ……この力……」",
"304001411_86": "(感じる……温かくて力強い力……。\\n これは……わたしの、響への、想いの力……",
"304001411_87": "「グ……ガアアアアアアアッ!\\n ヤメロ……ソ光で、ワタシを照らすなッ」",
"304001411_88": "「響……わたしに教えて……。\\n あなたの本当の望みを、願いをッ」",
"304001411_89": "「グゥゥ……」",
"304001411_90": "「わたしは、響のためなら何だって出来る……。\\n 何だって叶えてあげるんだからッ」",
"304001411_91": "「望みナンテナイッ! ワタシをヒトリにして……」",
"304001411_92": "(違うッ! 独りはもう嫌だッ!\\n 暗いところに独りでいるのは嫌ッ",
"304001411_93": "「ドウセ誰もタスケテくれない。\\n ダッタラ初めからヒトリがいい……」",
"304001411_94": "(……望んだって無駄、\\n 助けを求めても誰も助けてはくれない……",
"304001411_95": "(そんなことはわかってるッ<speed=1></speed>\\n でも……<speed=1>、</speed>この人なら、わたしを救ってくれる気がする)",
"304001411_96": "(だから、もう一回だけ……)",
"304001411_97": "「お願い…………<speed=1>。</speed>\\n わたしを<speed=1.5>、</speed>助けて…………」",
"304001411_98": "「響……、やっと答えてくれた。\\n やっと聞けた。響の本当の声」",
"304001411_99": "「うん、助けるよ。約束」",
"304001411_100": "「グッ、が、ガアアアアアアッ!」",
"304001411_101": "「響……<speed=1>、</speed>\\n ――あなたの手を離したりはしないッ」",
"304001411_102": "<size=40>「絶対に絶対ッ!」</size>"
}

View file

@ -0,0 +1,17 @@
{
"304001412_0": "「わたしの想い……みんなの想い……」",
"304001412_1": "「あなたを大切に思う、みんなの気持ち――届いてッ!!」",
"304001412_2": "「響の心を蝕む闇を、振り払って――ッ!」",
"304001412_3": "「あああああああ――ッ!?」",
"304001412_4": "「痛く<speed=0.5>、</speed>……ない……<speed=1></speed>\\n なんなの<speed=0.5>、</speed>……この<speed=0.5>、</speed>光は……」",
"304001412_5": "(ああ……<speed=1>、</speed>温かい……<speed=1.5>、</speed>まるで……)",
"304001412_6": "<size=40>「響ぃ――――――ッ!」</size>",
"304001412_7": "(未来が……わたしに、手を延ばして――)",
"304001412_8": "<size=40>「未来……未来――――ッ!」</size>",
"304001412_9": "(……もう1人のわたしが言ったこと、今ならわかる)",
"304001412_10": "(そうだよ……未来は、わたしにとっての――)",
"304001412_11": "「未、来……ごめん……ね……」",
"304001412_12": "「へいき、へっちゃら<speed=0.5>、</speed>だったでしょ?」",
"304001412_13": "「うん……ありが<speed=1>、</speed>と……」",
"304001412_14": "「おかえりなさい、響……」"
}

View file

@ -0,0 +1,91 @@
{
"304001511_0": "わたしのいるべき場所",
"304001511_1": "「終わったんだよな……?」",
"304001511_2": "「ええ、そのはずよ。向こうのあの子も助けたし、\\n カルマイズやゴライアスも倒したしね」",
"304001511_3": "「あの、わたし響の様子を見に行って――」",
"304001511_4": "「お帰りなさい。みなさん」",
"304001511_5": "「お疲れさん、よく無事に帰って来てくれた」",
"304001511_6": "「なんだよ。2人してまた首を長くして待ってたのか?」",
"304001511_7": "「いえ、ギャラルホルンのアラートが治まったので、\\n そろそろ戻ってくる頃だと思っていました」",
"304001511_8": "「そう……無事、アラートも止まったのね。よかったわ」",
"304001511_9": "「あれで止まってくれなきゃもうお手上げだ」",
"304001511_10": "「今回も厳しい戦いだったようだな……。\\n ご苦労だった、人とも。ゆっくり休んでくれ」",
"304001511_11": "「あの、それより響の容態は――?」",
"304001511_12": "「それは、本人に聞いて貰った方が早いな」",
"304001511_13": "「え……?」",
"304001511_14": "<size=40>「お帰り、未来ッ!」</size>",
"304001511_15": "「響……」",
"304001511_16": "<size=40>「響ぃ――――――ッ!!」</size>",
"304001511_17": "「未来、良かった~。無事に帰ってきてくれて」",
"304001511_18": "「響こそ……元気になって……本当に良かった……」",
"304001511_19": "「アラートが治まったのとほぼ同時に意識を取り戻して、\\n 今までの衰弱が嘘の様に、見る間に回復していきました」",
"304001511_20": "「響、もうどこも痛くない?」",
"304001511_21": "「うん、もうだいじょう……うッ<speed=0.5>、</speed>……いたたたッ!」",
"304001511_22": "「響ッ!? そ、そんな……」",
"304001511_23": "「く、苦しい……」",
"304001511_24": "「お、おいッ! どういうことだ?\\n もう治まったんじゃなかったのかッ」",
"304001511_25": "「落ち着いてください。\\n おそらく食べすぎによる腹痛かと思います」",
"304001511_26": "「食べすぎ……?」",
"304001511_27": "「全く、いくら体調が良くなったからとは言え、\\n あんなに一気に食べるやつがあるか」",
"304001511_28": "「だって、お腹が空きすぎて……。\\n あれは、お腹と背中が回はくっつくレベルですよ」",
"304001511_29": "「う、吐きそう……」",
"304001511_30": "「このバカッ! 紛らわしいことしてんじゃねーッ!」",
"304001511_31": "「いたッ! もう、わたしまだ病人なんだから、\\n もっと労わってよ」",
"304001511_32": "「もう、響ったら……」",
"304001511_33": "「はあ……、驚くくらいいつも通りね。\\n あんなに苦労したのが嘘みたい」",
"304001511_34": "「この様子なら、向こうの響くんも無事助けられたようだな」",
"304001511_35": "「はい。もう、大丈夫です」",
"304001511_36": "「身体の侵食のことだけじゃなくて、心も……」",
"304001511_37": "「独りじゃないって、伝えられましたから……<speed=1>。</speed>\\n それに――」",
"304001511_38": "「まさか侵食部分だけが綺麗に無くなるなんてことが\\n あるとはな……今回は驚かされることばかりだ」",
"304001511_39": "「立花のメディカルチェックの結果ですか?」",
"304001511_40": "「ああ、あの未来くんの光は、響くんの体組織と\\n 融合しかけていた侵食部分を全て消し去った」",
"304001511_41": "「もちろん、カルマノイズの物と思われるエネルギーについても\\n 同様だ。綺麗さっぱり全て無くなっている」",
"304001511_42": "「ですが、ガングニールの破片も全て除去されてしまったから、\\n 彼女はもう、ギアを纏うことは出来ませんね」",
"304001511_43": "「ああ、だが、彼女の命に比べればそれは些細なことだ。\\n まあ、戦力が減るのは少々残念ではあるがな」",
"304001511_44": "「そういえば、了子くんも、もうすぐ戻って来るそうだな」",
"304001511_45": "「はい、了子さんの作った<ruby=シェンショウジン>神獣鏡</ruby>のペンダント、\\n まさか使える適合者が現れたなんて言ったら、きっと驚きますよ」",
"304001511_46": "「エクスドライブモードの発動を見損ねたことも。\\n どれだけ悔しがるか」",
"304001511_47": "「はは。違いない。\\n まあ彼女には観測データだけで我慢してもらうとしよう」",
"304001511_48": "「でも……あの状態の響ちゃんを本当に救っちゃうなんて、\\n まさに、奇跡ですね」",
"304001511_49": "「まあ、な。\\n だが……本当の奇跡は、そんなことじゃないさ」",
"304001511_50": "「この世に絶望し、自分と世界全てを否定しようとした\\n 人の少女の心を救った力こそが、奇跡と呼ぶに相応しい」",
"304001511_51": "「……ええ、そうかもしれませんね」",
"304001511_52": "「まあ、なんにしろ……響くんなら、もう心配ないさ」",
"304001511_53": "「他者と手を取り合い、心を繋ぐ勇気を取り戻した\\n 今の響くんなら、きっとな」",
"304001511_54": "「ところで、肝心の立花は今どこに?\\n 検査が終わったと聞いていたのですが……」",
"304001511_55": "「それが検査が終わったらそのまま帰ってしまったみたいで……」",
"304001511_56": "「まったく、あいつは、いくら装者でなくなったとはいえ、\\n やってもらいたいことが沢山あると言うのに……」",
"304001511_57": "「今回のことで、少しは協力的になってくれるかと\\n 期待したんだが……」",
"304001511_58": "「なーに、今度は意外と早くそうなるかもしれんぞ?」",
"304001511_59": "(この手……)",
"304001511_60": "「この手は壊すためのものじゃない……だよね、未来……」",
"304001511_61": "(誰かと手を繋ぐ事……この手は、誰かに繋がってる……)",
"304001511_62": "「わたしは、独りじゃないんだ……。\\n 一度繋がれたあの手は、離れても繋がってる……」",
"304001511_63": "(だから、大丈夫。\\n もうわたしは、へいき、へっちゃらだよ……",
"304001511_64": "「……そう言えば、ここから帰ったんだっけ」",
"304001511_65": "「また、会えるかな……」",
"304001511_66": "(無理……かな。\\n 向こうの世界での暮らしがあるんだから",
"304001511_67": "(でも、いつかきっと、また会える日が――)",
"304001511_68": "「響……」",
"304001511_69": "「え……?」",
"304001511_70": "「未来……?」",
"304001511_71": "「なんだ、まだこっちにいたの?」",
"304001511_72": "「響……響ッ<speed=1></speed> ずっと、会いたかった……」",
"304001511_73": "「こないだ別れたばかりで、そんな大げさな……」",
"304001511_74": "(……あれ<speed=1></speed> 何か……違う?)",
"304001511_75": "「ごめんね……あの後、響にお別れも言えずに引っ越しちゃって」",
"304001511_76": "「えッ……もしかして――」",
"304001511_77": "「手紙も送ったけど、全然返事無くて……。\\n 何度か会いにも来たんだけど、響どこにもいなくて……」",
"304001511_78": "(この子は……ううん、この未来は――)",
"304001511_79": "「どうして、未来が……?」",
"304001511_80": "「あのね、特異災害対策機動部の人が来てね……」",
"304001511_81": "「あの人たちが……」",
"304001511_82": "「ごめんね。\\n 響が一番辛い時に傍にいてあげられなくて、わたし――」",
"304001511_83": "「でも……やっと会えたよ……響……」",
"304001511_84": "(未来……<speed=1>、</speed>温かい……)",
"304001511_85": "(ああ……そうだ。\\n わたし、あの時、思い出したんだ……",
"304001511_86": "(未来は、ずっとわたしの陽だまりだったんだって……)",
"304001511_87": "「そうだよ。やっと、見つけた」",
"304001511_88": "「わたしのいるべき場所はここだったんだ……」"
}