data: update everything

and add keys so i don't have to deal with old shit later
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louis 2018-10-20 23:56:30 -04:00
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@ -0,0 +1,80 @@
{
"316000111_0": "響と少女",
"316000111_1": "「どうしよう。どっちも良い色だから迷っちゃうな……」",
"316000111_2": "「未来はそっちのフリルのスカートの方が似合うんじゃないかな」",
"316000111_3": "「そうかな? でも、デザインがちょっと可愛すぎる気もして」",
"316000111_4": "「そんなことないよ。絶対に似合うってッ!\\n わたしが保証するよ」",
"316000111_5": "「そこまで言うなら、こっちにしようかな」",
"316000111_6": "「うんッ!」",
"316000111_7": "「新しい服も買えたし、人気の限定ランチも並ばずに\\n 食べられたし。今日は最高だね」",
"316000111_8": "「フフ……そうだね」",
"316000111_9": "「あれ……?」",
"316000111_10": "「どうしたの、響」",
"316000111_11": "「うん、あの子。\\n なんか、ふらふらって――」",
"316000111_12": "「あ、響」",
"316000111_13": "「ねえ、大丈夫?」",
"316000111_14": "「……」",
"316000111_15": "「具合悪いの? お家の人は――?」",
"316000111_16": "「……ッ!」",
"316000111_17": "「えッ!?」",
"316000111_18": "「大変ッ!」",
"316000111_19": "「貧血? 熱中症かな? 意識はッ!?」",
"316000111_20": "「熱はないみたい。\\n でも息が荒いし、顔も真っ青だ……」",
"316000111_21": "「お姉ちゃんの声、聞こえるかな?」",
"316000111_22": "「……(こく)」",
"316000111_23": "「意識はあるみたい」",
"316000111_24": "「とにかく救急車を呼ぶね」",
"316000111_25": "「うん、お願いッ!」",
"316000111_26": "「もう大丈夫だよ。\\n 今、お医者さん呼んでるからねッ」",
"316000111_27": "「…………」",
"316000111_28": "「なあに?」",
"316000111_29": "「助け、て……」",
"316000111_30": "「大丈夫、絶対お姉ちゃんが助けてあげるからッ!」",
"316000111_31": "「救急車、すぐ来てくれるって」",
"316000111_32": "「ありがとう、未来」",
"316000111_33": "「この子、1人なのかな?\\n 外国の子みたいだけど……」",
"316000111_34": "「どうなんだろう……?」",
"316000111_35": "「ああ、こんなところにッ!」",
"316000111_36": "「この子のお母さんですか?」",
"316000111_37": "「はい、そうです。すみません、ご迷惑を」",
"316000111_38": "「そんな、迷惑だなんて。\\n ただ偶然通りすがっただけですから」",
"316000111_39": "「でも、どうしてこの子、1人で?」",
"316000111_40": "「この子ったら急に家を抜け出してしまって……、\\n 慌てて探してたんです」",
"316000111_41": "「家を……?」",
"316000111_42": "「ありがとうございました。代わります」",
"316000111_43": "「あ……そうですね。\\n お母さんの方が安心出来ると思います」",
"316000111_44": "「今、救急車が向かってますから」",
"316000111_45": "「何から何までお世話に……」",
"316000111_46": "「何かご病気……とかですか?」",
"316000111_47": "「いえ、あの……特に持病はなかったんですけど。\\n ただ、最近……」",
"316000111_48": "「最近?」",
"316000111_49": "「この子、頻繁に夢でうなされてるみたいで、\\n どうも元気が無くて……」",
"316000111_50": "「夢……?」",
"316000111_51": "「患者さんはどちらに?」",
"316000111_52": "「こっちですッ! さあ、お母さん」",
"316000111_53": "「はい。どうもありがとうございました。\\n では――」",
"316000111_54": "「すぐ良くなるといいね」",
"316000111_55": "「うん。そうだね……」",
"316000111_56": "「あ、本部からだ」",
"316000111_57": "「はい、こちら響です」",
"316000111_58": "「ギャラルホルンのアラートが鳴った。\\n 至急本部へ集合してくれ」",
"316000111_59": "「了解しましたッ!」",
"316000111_60": "「ごめんね、未来。\\n デートの途中なのに、また……」",
"316000111_61": "「いいよ。\\n それより気をつけてね、響」",
"316000111_62": "「うん、ありがとう。\\n 行ってくるね」",
"316000111_63": "「……………」",
"316000111_64": "「――ッ!?」",
"316000111_65": "「……ッ、……ハァ……」",
"316000111_66": "「ッ!?」",
"316000111_67": "「…………ッ!」",
"316000111_68": "「ぁ…………ぅ……ッ!?」",
"316000111_69": "「はあああああ――ッ!!」",
"316000111_70": "「もう大丈夫だよッ!」",
"316000111_71": "「…………」",
"316000111_72": "「あれ……君。さっきの――」",
"316000111_73": "「立花ッ! まだ敵は残っているぞッ!\\n 作戦中に呆けるなッ」",
"316000111_74": "「あ、はいッ! すみませんッ!」",
"316000111_75": "「全く、うじゃうじゃとッ! 団体でお出ましかよ……ッ!」",
"316000111_76": "「要救助者が背後にいる以上、\\n 戦線を後退させるわけにはいかない。行けるな」",
"316000111_77": "「勿論ですッ! 任せてくださいッ!」"
}

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@ -0,0 +1,40 @@
{
"316000121_0": "「これで全部かな?」",
"316000121_1": "「そのようだな」",
"316000121_2": "「まったく。\\n 到着早々、イズに出くわすなんて……」",
"316000121_3": "「だが偶然わたしたちがこの場に来なければ、この子が危なかった。\\n 助けられてよかった」",
"316000121_4": "「……」",
"316000121_5": "「君、名前は? どこの子だ?」",
"316000121_6": "「……ッ!」",
"316000121_7": "「えッ!?」",
"316000121_8": "「ど、どうしたの?」",
"316000121_9": "「先輩の顔がおっかなかったんじゃないのか?」",
"316000121_10": "「わたしの顔が……? そ、そうなのかッ!?」",
"316000121_11": "「冗談だって。そんな真に受けなくても」",
"316000121_12": "「そのバカが真っ先に庇ってくれたから、懐いたんだろ」",
"316000121_13": "「そ……そういうものか……」",
"316000121_14": "(この子、やっぱり、\\n わたしたちの世界で見たあの子にそっくりだ",
"316000121_15": "(偶然なのかな……?)",
"316000121_16": "「どうしたんだ、ぼーっとして?」",
"316000121_17": "「え? ううん、なんでもない」",
"316000121_18": "「……」",
"316000121_19": "「もう大丈夫だよ。\\n お姉ちゃんたちが護ってあげるからね」",
"316000121_20": "「どうしてこんなところにいたの? 1人?」",
"316000121_21": "「……」",
"316000121_22": "「まだ怖いのかな……?」",
"316000121_23": "「もしかしたら……話せないんじゃないか?」",
"316000121_24": "「え? そうなの? それじゃあ、どうしよう……」",
"316000121_25": "「ゆっくり話してる時間は無さそうだ。\\n 次が来たぞッ」",
"316000121_26": "「あれは……まさか、カルマノイズか?」",
"316000121_27": "「ちッ。駆けつけ三杯にしちゃヘビーすぎんだろッ!」",
"316000121_28": "「でも、わたしたち3人なら大丈夫――ッ!?」",
"316000121_29": "「えッ、ちょっとッ!?」",
"316000121_30": "「……」",
"316000121_31": "「そんな風にギュッとされたら戦えないよッ!?」",
"316000121_32": "「……」",
"316000121_33": "「ど、どうしようッ!?」",
"316000121_34": "「仕方ない。いいからそのまま離れてろ」",
"316000121_35": "「一般人が、カルマノイズに近づけば、あの瘴気の影響を受ける。\\n 雪音の言う通り、立花はその子と離れていてくれ」",
"316000121_36": "「……この場はなんとかわたしと雪音で処理する」",
"316000121_37": "「……了解ですッ!」"
}

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@ -0,0 +1,32 @@
{
"316000122_0": "「はあ――ッ!」",
"316000122_1": "「はあああああ――ッ!!」",
"316000122_2": "「相も変わらず面倒なッ!」",
"316000122_3": "「やっぱ単発の攻撃じゃ、まともに効かないか」",
"316000122_4": "「2人ともッ!」",
"316000122_5": "「やっぱり、わたしも行かないと……」",
"316000122_6": "「…………」",
"316000122_7": "「……ごめんね。このままじゃ、みんなが危ないの。\\n お姉ちゃんたちも、君も」",
"316000122_8": "「…………」",
"316000122_9": "「怖いのは、お姉ちゃんもよくわかるよ」",
"316000122_10": "「昔、わたしも、君みたいに、\\n イズに襲われそうになったことがあるから……」",
"316000122_11": "「…………」",
"316000122_12": "「……あのね、どんな時も頑張れるようになる、\\n 魔法の言葉を教えてあげるッ」",
"316000122_13": "「……?」",
"316000122_14": "「『へいき、へっちゃら』って唱えるの。\\n そうしたら、大丈夫」",
"316000122_15": "「…………」",
"316000122_16": "「声に出さなくてもいいから、思ってみて。\\n 『へいき、へっちゃら』って」",
"316000122_17": "「……(こくり)」",
"316000122_18": "「……ありがとう。それじゃ、行ってくるね。\\n すぐ戻ってくるからッ」",
"316000122_19": "「お待たせしましたッ!」",
"316000122_20": "「立花ッ!? あの子はどうした?」",
"316000122_21": "「離れたところで待ってくれています」",
"316000122_22": "「それじゃあ、とっとと片付けるぞ」",
"316000122_23": "「うんッ!」",
"316000122_24": "「ああ。相手がカルマイズならば、S2CAで――」",
"316000122_25": "「はいッ! 行きます――ッ!」",
"316000122_26": "「――って、ちょっと待てッ!」",
"316000122_27": "「消えた……逃げられたか……」",
"316000122_28": "「ったく、空気読まない敵だな……」",
"316000122_29": "「なんにしても、一度あの子のところに戻ろう」"
}

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@ -0,0 +1,60 @@
{
"316000131_0": "「…………」",
"316000131_1": "「お嬢ちゃん、どこから来たの?」",
"316000131_2": "「…………」",
"316000131_3": "「お名前は?」",
"316000131_4": "「…………」",
"316000131_5": "「まいったな。\\n 何も喋ってくれないか」",
"316000131_6": "「喋れないの?」",
"316000131_7": "「…………(こくり)」",
"316000131_8": "「そっか……」",
"316000131_9": "「弱ったな……。どこの誰かもわからないのでは、\\n どこに連れて行ったら良いものか」",
"316000131_10": "「それにあの服装……。\\n どこかの病院か施設から抜けてきたんじゃないのか」",
"316000131_11": "「……確かに、そんな風な服装ではあるな……」",
"316000131_12": "「ともかく、ずっと森の中というわけにもいかないだろう。\\n とりあえず、街まで出るとしよう」",
"316000131_13": "「あ、はい。そうですね」",
"316000131_14": "「さ、お姉ちゃんたちと行こうか?」",
"316000131_15": "「…………」",
"316000131_16": "「手を上げろッ!」",
"316000131_17": "「ええッ! だ、誰ッ!?」",
"316000131_18": "「どこの組織の者だ?」",
"316000131_19": "「それはこちらの台詞だ」",
"316000131_20": "「いきなり銃をつきつけてくるなんて、穏やかじゃないな」",
"316000131_21": "「ん? 女と子供だけ……だと。\\n それにその変わった格好……」",
"316000131_22": "「他に仲間はいるのか?」",
"316000131_23": "「いませんッ! わたしたちだけですッ!」",
"316000131_24": "「まさか、この子たちがノイズを……?」",
"316000131_25": "「…………」",
"316000131_26": "「……待て。\\n 皆、銃を下ろせ」",
"316000131_27": "「司令、ですが……」",
"316000131_28": "「良い。\\n どうやら、その者たちは敵ではないようだ」",
"316000131_29": "「その、声は……」",
"316000131_30": "「……むッ?」",
"316000131_31": "「お、お父様……ッ!?」",
"316000131_32": "「翼さんの、お父さん……?」",
"316000131_33": "「我々は特異災害対策機動部だ」",
"316000131_34": "「悪いが、今ここで何があったのか説明してもらいたい」",
"316000131_35": "「そして君たちが、一体何者なのかも」",
"316000131_36": "<size=25>「随分と他人行儀だな」</size>",
"316000131_37": "<size=25>「わたしたちの世界とは違う事情ですかね……?」</size>",
"316000131_38": "「わたしたちは――」",
"316000131_39": "「うわぁ――ッ!?」",
"316000131_40": "「どうしたッ!?」",
"316000131_41": "「司令、新手が――」",
"316000131_42": "「あれは……まさかッ!」",
"316000131_43": "「……オートマシンッ!?」",
"316000131_44": "「オートマシン?」",
"316000131_45": "「見たこともない敵だな」",
"316000131_46": "「気をつけろ、突っ込んでくるぞッ!\\n ――立花ッ」",
"316000131_47": "「ええッ!? な、なんでわたしッ!?」",
"316000131_48": "「……ッ!?」",
"316000131_49": "「掴まってッ!!」",
"316000131_50": "「ちょッ! 追って来たッ!?」",
"316000131_51": "「なに?」",
"316000131_52": "「まさか、狙いはその少女かッ!?」",
"316000131_53": "「ええーッ! なんでッ!?」",
"316000131_54": "「そんなことわかるかよッ! 今はとにかく迎撃するぞッ!」",
"316000131_55": "「う……うんッ!」",
"316000131_56": "「ここで待っててね、すぐ終わりにするからッ!」",
"316000131_57": "「…………」"
}

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@ -0,0 +1,66 @@
{
"316000132_0": "「なんとかなったが……」",
"316000132_1": "「なんなんだ、この敵は?」",
"316000132_2": "(オートマシンを倒せるとは……)",
"316000132_3": "「場所を移そう。すまないが、ついて来てくれ」",
"316000132_4": "「は、はいッ!」",
"316000132_5": "<size=25>「ここは、ほとんど昔の二課と変わらないね」</size>",
"316000132_6": "<size=25>「施設の見た目だけはな」</size>",
"316000132_7": "「――という事情で、わたしたちはこの並行世界に発生した\\n 異常の原因を究明するためにやって来たのです」",
"316000132_8": "「……なるほど、な」",
"316000132_9": "「にわかには信じがたいが……、\\n 実際に目の前で見たことを否定しても始まらないだろう」",
"316000132_10": "「ご理解頂けて助かります」",
"316000132_11": "「しかし、先程の物がシンフォギア・システムか。\\n 諸君の世界では我々日本が完成させたとはな」",
"316000132_12": "「こちらの世界では違うのですか?」",
"316000132_13": "「我々の世界では、F.I.S.が完成にこぎ着けた」",
"316000132_14": "「そもそも、そちらの櫻井理論にあたるものが\\n 米国の研究者によって提唱され、開発された代物だからな」",
"316000132_15": "「それじゃ、ここには装者は誰もいないんですか?」",
"316000132_16": "「うむ。現在、装者と呼ばれる存在はいない」",
"316000132_17": "「だが、それは日本だけに限らない。\\n 今や、世界のどこにもな」",
"316000132_18": "「どういうことですか?」",
"316000132_19": "「かつて米国にてシンフォギアの実戦投入があったが、さしたる\\n 戦果を上げぬまま、黒いイズによって討たれてしまったのだ」",
"316000132_20": "「以来、シンフォギアの有用性に疑問が呈され、\\n 後継の開発も中止されたと聞く」",
"316000132_21": "「装者が……カルマノイズに?」",
"316000132_22": "「おい。その装者って、もしかして――?」",
"316000132_23": "「もしかしてマリアさんたちじゃ……。\\n その人たちの名前を聞いてもいいですか」",
"316000132_24": "「ティナ・ウィートリーという名前だ。\\n もう、何年も昔のことだがね」",
"316000132_25": "「そうなんですか……」",
"316000132_26": "「よかった……って言っちゃいけないですよね、この場合」",
"316000132_27": "「まあ、気持ちはわかるけど、人が1人死んでるわけだしな……」",
"316000132_28": "「あのカルマノイズ――、\\n いえ、黒いイズは何体ぐらい確認されているのですか」",
"316000132_29": "「これまでで、複数個所での同時発生は報告が無いから、\\n おそらく体だろう」",
"316000132_30": "「それじゃあ、\\n 現状はさっき出会った体だけってことですね」",
"316000132_31": "「だったら、今度出現したら速攻でS2CA使って倒せば解決だな」",
"316000132_32": "「……だが、この世界には他にも脅威がある」",
"316000132_33": "「……。あのオートマシンというのはなんですか?」",
"316000132_34": "「先ほど戦い、なんとか退けたものの、厄介な敵でした」",
"316000132_35": "「わたしたちもノイズやカルマノイズ――。\\n あの黒いイズとは戦ってきましたけど――」",
"316000132_36": "「あんなロボットみたいなのは見たことなかったな」",
"316000132_37": "「初めてあれが観測されたのは数年前、\\n 米国でのことだった」",
"316000132_38": "「それ以後、徐々に目撃例が増え、\\n その活動域も年々、各国に広がっている」",
"316000132_39": "「これまではどのように対処を?」",
"316000132_40": "「幸いノイズのようにこちらの物理攻撃が\\n 全く効かないわけでない」",
"316000132_41": "「奴らには位相差障壁がないってことか」",
"316000132_42": "「ああ。だが銃弾も通さぬ程の強度と一糸乱れぬ軍隊の如き動きも\\n 相俟って、ある意味イズ以上の、人類の難敵と言えるだろう」",
"316000132_43": "「みなさん、ギアも無しに\\n あれと戦ってるんですか……」",
"316000132_44": "「戦っていると言えれば、だがね」",
"316000132_45": "「オートマシンが特定個人を\\n 狙うようなことはあるのでしょうか」",
"316000132_46": "「いや、今のところそういった前例は無いが……」",
"316000132_47": "「質問の意図を聞かせてもらっても?」",
"316000132_48": "「はい。先ほどの戦闘中、オートマシンが\\n あの少女を狙っていたように思えました」",
"316000132_49": "「その理由に、何か心あたりがおありなのでは、と……」",
"316000132_50": "「……いや、特には思い当たらないな」",
"316000132_51": "「そうですか……」",
"316000132_52": "「ともあれ、偶然の出会いとはいえ、今日は助かった。\\n 君らも疲れたことだろう」",
"316000132_53": "「こちらで宿泊所を手配している。\\n 逗留中はそちらを自由に使ってくれ」",
"316000132_54": "「はい。お言葉に甘えさせて頂きます」",
"316000132_55": "「ところで、あの子は……?」",
"316000132_56": "「今のところ身元もわからず、\\n 君からも離れたがらないのでな……」",
"316000132_57": "「できればしばらくの間、\\n 君が一緒にいてやってくれるとありがたいのだが」",
"316000132_58": "「分かりましたッ! 任せてください」",
"316000132_59": "「おいおい。\\n 子供のお守りなんて簡単に引き受けて大丈夫か」",
"316000132_60": "「へいき、へっちゃら、だよ?」",
"316000132_61": "「まーたそれかよ……」",
"316000132_62": "(それにしても、一体、\\n この世界では何が起きているというのだ",
"316000132_63": "(推測するにも如何せん情報が足りなすぎる。\\n しばらくは情報を集めるしかないか……"
}

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@ -0,0 +1,100 @@
{
"316000211_0": "閉ざされた心",
"316000211_1": "「ずいぶん念入りに検査してる。\\n 何をそんなに調べて……」",
"316000211_2": "「…………」",
"316000211_3": "「……ぁ……ッ!」",
"316000211_4": "「…………ッ!?」",
"316000211_5": "「……すごく、うなされてる」",
"316000211_6": "(こんな病院の検査服みたいなのを着て、\\n 小さい子が森の中を人で、何してたんだろう",
"316000211_7": "(森も周辺の街にも、\\n 親御さんらしい人はいなかったっていうし……",
"316000211_8": "「君は一体、どこから来たの?」",
"316000211_9": "(わたしたちの世界で未来と助けた、\\n あの女の子にもそっくりだし……",
"316000211_10": "「あ……そういえば」",
"316000211_11": "「あの時の子も、最近、夢でうなされてるって、\\n お母さんが言ってたっけ――」",
"316000211_12": "(並行世界側の出来事と、わたしたちの世界の出来事――)",
"316000211_13": "(関係ないようで、どこかで繋がってる時もあるって……)",
"316000211_14": "(もう1人のわたしの時も、そんなことがあったっけ……)",
"316000211_15": "(あの時は、未来が助けてくれたんだよね……)",
"316000211_16": "(この子の症状が、わたしたちの世界のあの子にも\\n 影響してるのかどうかは、わからないけど……",
"316000211_17": "(でも……約束したんだ。あの子に。\\n 絶対に助けるって",
"316000211_18": "(だから――君たちのこと、絶対、助けるからねッ!)",
"316000211_19": "「あ。検査、終わったのかな?」",
"316000211_20": "「メディカルチェックの結果が送られてきたみたいね」",
"316000211_21": "「へー。どれどれ?」",
"316000211_22": "「女の子のデータをじろじろ見ないの」",
"316000211_23": "「そんな理不尽な。\\n あくまで仕事だよ」",
"316000211_24": "「もう、仕方ないわね」",
"316000211_25": "「やれやれ……って――。\\n こ、これはッ」",
"316000211_26": "「……えッ……まさかッ!?」",
"316000211_27": "「騒がしいな。何かあったのか?」",
"316000211_28": "「司令ッ! あの子の検査結果なんですが。\\n これを――」",
"316000211_29": "「なんだとッ――これはッ!?」",
"316000211_30": "「ふわぁ~。よく寝た」",
"316000211_31": "「……あれ、あのバカは?」",
"316000211_32": "「なんでもあの子のメディカルチェックがあるとかで、\\n 朝早くから二課へ付き添いにいったようだ」",
"316000211_33": "「メディカルチェック? 何かあるのか?」",
"316000211_34": "「わからないから調べているのだろう」",
"316000211_35": "「そっか。で、身元の方は?」",
"316000211_36": "「二課が身辺調査を行ったようだが、\\n この国の戸籍にも渡航情報にも該当するものはないようだ」",
"316000211_37": "「そんな正体不明の子供がどうしてあんなところに、\\n あんな格好でいたんだろうな」",
"316000211_38": "「さあな。オートマシンに狙われている理由にも\\n 関係するのかもしれないが……」",
"316000211_39": "「何もわからないってか。\\n 本人に聞けばいいんじゃないのか」",
"316000211_40": "「それができれば早いのだがな……」",
"316000211_41": "「やっぱり、喋れないのか……」",
"316000211_42": "「そのようだ。\\n こちらの言葉は理解できているようなのだが……」",
"316000211_43": "「そっか……」",
"316000211_44": "「とりあえず、あのチビのことはひとまず置いとくとしてもだ。\\n これから先、こっちでどうする」",
"316000211_45": "「この世界に現実的な脅威としてカルマノイズ、\\n それにあのオートマシンが確認できている」",
"316000211_46": "「ギャラルホルンのアラートはカルマノイズの存在に\\n 起因していると思われるが――」",
"316000211_47": "「それだけではなく、オートマシンの存在も\\n 影響しているのかもしれないな」",
"316000211_48": "「とにかく今はまだ判断材料が不足しすぎている」",
"316000211_49": "「当面はこちらの二課に協力してもらいつつ、情報を集めなくてはな」",
"316000211_50": "「ま、結局、それしかないか……」",
"316000211_51": "「お? 噂をすれば」",
"316000211_52": "「どうした、立花?」",
"316000211_53": "「す、すみません、2人とも。\\n 至急二課に来てくださいッ」",
"316000211_54": "「なんだかよくわからないが――」",
"316000211_55": "「急いだ方が良さそうだな」",
"316000211_56": "「あ、2人ともッ!」",
"316000211_57": "「何があった?」",
"316000211_58": "「あの子のメディカルチェックの結果が出たんですけど……。\\n えっと、そのッ、とにかく大変なんですッ」",
"316000211_59": "「落ち着いて話せ」",
"316000211_60": "「そ、それが落ち着いてなんかッ!」",
"316000211_61": "「何があったのですか?」",
"316000211_62": "「それがだ……。\\n あの少女の体内から、聖遺物の反応が確認できたのだ」",
"316000211_63": "「なんですって?」",
"316000211_64": "「おい、それって、まさか……」",
"316000211_65": "「聖遺物との……融合症例……?」",
"316000211_66": "「……そうみたいなんです」",
"316000211_67": "「反応のパターンをデータベースに照合したところ、\\n 該当する聖遺物があった」",
"316000211_68": "「それは、一体……?」",
"316000211_69": "「ヤントラ・サルヴァスパだ」",
"316000211_70": "「かなり前に研究のため、\\n F.I.S.へ、貸与した物なのだが……」",
"316000211_71": "「それって、どこかで聞いたような……?」",
"316000211_72": "「深淵の竜宮に保管されていた聖遺物だ」",
"316000211_73": "「わたしたちの世界では、チフォージュ・シャトーを\\n 完成させる鍵としてキャロルに狙われた」",
"316000211_74": "「確か、あらゆる機械を制御できるっていう聖遺物だよな」",
"316000211_75": "「そうでしたね……」",
"316000211_76": "「しかし、我々日本が発見した際、\\n 風化が激しくとても使用できる代物ではなかった」",
"316000211_77": "「貸与後の研究については?」",
"316000211_78": "「F.I.S.側の機密のため内容は一切知らされてなかったが……。\\n まさかこんな研究を行っていたとは……」",
"316000211_79": "「それじゃ、あの子は……」",
"316000211_80": "「うむ。十中八九、F.I.S.の被験者だろう」",
"316000211_81": "「人体実験かよ……胸くそ悪いな」",
"316000211_82": "「そのような境遇の子供が、\\n なぜ人であの森の中を彷徨っていたんでしょうか」",
"316000211_83": "「そこまではわからん」",
"316000211_84": "「あの子はこの後、どうするんですか?」",
"316000211_85": "「状況がわからぬ以上、F.I.S.に送り返す訳にもいかない。\\n 当面は我々で保護するしかあるまいな」",
"316000211_86": "「ノイズにカルマノイズ、オートマシン、そしてその子の謎……。\\n 現在の二課には対応しなければならないことが多すぎます」",
"316000211_87": "「微力ながら、わたしたちもしばしこちらに留まり、\\n お力になれればと思いますが、如何でしょう」",
"316000211_88": "「そうしてもらえるなら、こちらとしてもありがたい」",
"316000211_89": "「あのチビもこいつに懐いてるみたいだしな」",
"316000211_90": "「うん……」",
"316000211_91": "F.I.S.の被検体……聖遺物の融合症例……)",
"316000211_92": "(助けてあげなきゃ、絶対に)",
"316000211_93": "「ノイズの反応を検知ッ!」",
"316000211_94": "「早速お出ましか」",
"316000211_95": "「ここは、わたしたちが」",
"316000211_96": "「すまない、頼んだぞ」",
"316000211_97": "「はい」"
}

View file

@ -0,0 +1,38 @@
{
"316000212_0": "「ただいまーッ!」",
"316000212_1": "「やれやれ……手伝うって言ったそばから現れるとか、\\n いくらなんでも空気読みすぎだろ」",
"316000212_2": "「だが、この世界には装者がいないのだ。\\n いられる間はできるだけ力にならなければな」",
"316000212_3": "「あれ……あの子は?」",
"316000212_4": "「なんだ、いないのか?」",
"316000212_5": "「たたた大変ッ! どこか行っちゃったのかもッ!\\n 出かけないように言ったんだけど――」",
"316000212_6": "「落ち着け。玄関の鍵は閉まっていた。\\n 部屋の中にいるんじゃないのか」",
"316000212_7": "「窓から出られる身長でもないしな」",
"316000212_8": "「そっか……鍵を持ってないなら\\n 玄関の鍵を閉めて出られないですもんね」",
"316000212_9": "「そういうことだ」",
"316000212_10": "「おーい。帰ってきたよー」",
"316000212_11": "「かくれんぼしてないで出ておいで~?」",
"316000212_12": "「…………」",
"316000212_13": "「あ、いたいた」",
"316000212_14": "「…………」",
"316000212_15": "「ただいま」",
"316000212_16": "「どうしたの、そんなところで」",
"316000212_17": "「…………」",
"316000212_18": "「…………」",
"316000212_19": "「……チッ!」",
"316000212_20": "「え、クリスちゃん?」",
"316000212_21": "「……ッ!?」",
"316000212_22": "「んなとこいないで、こっちこいって」",
"316000212_23": "「そいつと一緒にいてやれ」",
"316000212_24": "「え? クリス……ちゃん?」",
"316000212_25": "「そいつ、自分がどこにいればいいのか分からないんだよ」",
"316000212_26": "「…………」",
"316000212_27": "「部屋のものに勝手に触っていいのかも、\\n 何が許されて、何が許されないのかも……」",
"316000212_28": "「だから、隅でじっとしてるだけなんだ……」",
"316000212_29": "「雪音……?」",
"316000212_30": "「……ッ。ちょっと出てくる」",
"316000212_31": "「クリスちゃん……」",
"316000212_32": "「…………」",
"316000212_33": "「雪音の様子を見てくる。後は頼む」",
"316000212_34": "「あ、はい。お願いします」",
"316000212_35": "(そっか。クリスちゃんも、昔、似た様な……)"
}

View file

@ -0,0 +1,68 @@
{
"316000221_0": "「……」",
"316000221_1": "「雪音――ッ!」",
"316000221_2": "「なんだ、先輩か」",
"316000221_3": "「……大丈夫か?」",
"316000221_4": "「……ああ」",
"316000221_5": "「ただ、少しだけ昔のことを思い出しただけだ……」",
"316000221_6": "「似てるのか、昔の己自身と……」",
"316000221_7": "「ああ、ロクな記憶じゃないけど」",
"316000221_8": "「そうか……」",
"316000221_9": "「あたしはあんな風に、話せなかったわけじゃないけどな」",
"316000221_10": "「多分、あいつもあたしと同じような目に……」",
"316000221_11": "「…………」",
"316000221_12": "「あの頃のあたしは、近くの大人の顔色ばっかり窺って。\\n どうしたら怒られないかってばっかり考えてた」",
"316000221_13": "「部屋の隅に縮こまって、ただ息を殺して、\\n 誰の邪魔にもならないようにって……」",
"316000221_14": "「……そうか」",
"316000221_15": "「あの少女……助けてやりたいな」",
"316000221_16": "「ああ、そうだな……」",
"316000221_17": "「では、立花の所へ戻ろう」",
"316000221_18": "「なあ、先輩の方はどうなんだ?」",
"316000221_19": "「わたし……?」",
"316000221_20": "「親父さんのことだよ。\\n 並行世界とは言え、気にならないのか」",
"316000221_21": "「こっちの世界の先輩が今どうしているのか、とか」",
"316000221_22": "「……あまり話したくないようだ」",
"316000221_23": "「それでいいのか?」",
"316000221_24": "「わたしたちの世界とは事情が違うんだ、\\n 聞かれたくないこともあるだろう」",
"316000221_25": "「まあ、先輩がそれでいいなら……」",
"316000221_26": "(日本にはシンフォギア装者はいないと言っていた。\\n それはつまり……そういうことなのだろう",
"316000221_27": "「静かになっちゃったね」",
"316000221_28": "「…………」",
"316000221_29": "「テレビでも見よっか?」",
"316000221_30": "「……(ふるふる)」",
"316000221_31": "「それじゃお菓子食べる? これ美味しいよ?」",
"316000221_32": "「……(ふるふる)」",
"316000221_33": "「なら他に何か欲しいものとかある?」",
"316000221_34": "「……(ふるふる)」",
"316000221_35": "「……そっか」",
"316000221_36": "「何かやりたいこととか、欲しい物とか思いついたら、\\n その時は教えてね」",
"316000221_37": "「…………」",
"316000221_38": "「じゃあ、しばらくこうしてよっか」",
"316000221_39": "「……(こくり)」",
"316000221_40": "(融合症例……被検体……)",
"316000221_41": "(それってつまり、この子に無理矢理、\\n 聖遺物を埋め込んだってことだよね……",
"316000221_42": "(あんな辛い想い……。\\n こんな小さい子にさせるわけにはいかないよ",
"316000221_43": "「…………?」",
"316000221_44": "「ああ、なんでもないよ。ちょっと考えごとをね。\\n アハハハ……」",
"316000221_45": "(いけない。わたしが怖い顔してたら、\\n この子が余計に怖がっちゃうよね",
"316000221_46": "「二課からの通信?」",
"316000221_47": "「はい、こちら立花響です」",
"316000221_48": "「近郊にオートマシンが出現したようだ。\\n ……対応をお願いできないだろうか」",
"316000221_49": "「はいッ! もちろんですッ!」",
"316000221_50": "「助かる。そちらにヘリを向かわせている。\\n 合流でき次第、それに乗ってくれ」",
"316000221_51": "「分かりましたッ!」",
"316000221_52": "「立花、連絡は入ってるな?」",
"316000221_53": "「はい、今さっきッ!」",
"316000221_54": "「ならさっさと行くぞッ!」",
"316000221_55": "「うんッ!」",
"316000221_56": "「…………ッ!」",
"316000221_57": "「あ……」",
"316000221_58": "「大丈夫。ここにいれば全然怖くないから。\\n 安心して。ね」",
"316000221_59": "「……(ふるふる)」",
"316000221_60": "「すぐにちゃんと戻ってくるから」",
"316000221_61": "「…………(こくり)」",
"316000221_62": "「……ありがとう」",
"316000221_63": "「それじゃ、ちょっとだけ行ってくるね」",
"316000221_64": "「急げッ! 外に迎えのヘリが来てるぞッ!」",
"316000221_65": "「はいッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,57 @@
{
"316000222_0": "「はぁ――――ッ!」",
"316000222_1": "「どういうことだ、刃が通らない――?」",
"316000222_2": "「弾も殆ど装甲で弾かれる。\\n 前より堅くなってないか」",
"316000222_3": "「やっぱり……この前より強いッ!」",
"316000222_4": "「しかし、幸いにして動きは単調だ」",
"316000222_5": "「小手先の技が効かぬというなら――」",
"316000222_6": "「ああ――。\\n でっかいのを発お見舞いするだけだッ」",
"316000222_7": "「はッ。どんなもんだ」",
"316000222_8": "「なんとか片付いたようだな」",
"316000222_9": "「だけど、まさかこの後も\\n 更に強くなるんじゃないだろうな」",
"316000222_10": "「……可能性としてはあり得るな」",
"316000222_11": "「何者かが適宜強化改良しているのか。\\n 自律的に強化されるのか……なんにしても難敵だな」",
"316000222_12": "「それじゃ、どうやって戦えば」",
"316000222_13": "「わたしたちの手に負えなくなる前に、\\n 敵の正体を突き止めるしかないだろうな」",
"316000222_14": "「敵の正体……」",
"316000222_15": "「二課で聞いた話だと、かなり前から出現しているようだ。\\n 容易にはいかないだろうが……」",
"316000222_16": "「ともあれ本部に撤収しよう」",
"316000222_17": "「あのチビも待ってるだろ。\\n 早く引き上げるぞ」",
"316000222_18": "「うん。そうだね」",
"316000222_19": "「あのオートマシンに対抗できるとは、\\n 流石はシンフォギア装者だな」",
"316000222_20": "「何はともあれ、我々の世界のために\\n 身を賭して戦ってくれたこと、心より感謝する」",
"316000222_21": "「いえ、そんな。\\n わたしたちは……当然のことをしたまでで……」",
"316000222_22": "「それはいいんだけど」",
"316000222_23": "「これまでノイズやオートマシンが出た時はどうしていたんだ?」",
"316000222_24": "「あ。それはわたしも気になってました」",
"316000222_25": "「以前話したように、米国でシンフォギアの運用が行われたことは\\n あるが……現状、それ以外ではイズに有効な手段は無い」",
"316000222_26": "「そしてオートマシンに対しても同様だ」",
"316000222_27": "「それじゃ、やっぱり……」",
"316000222_28": "「ああ……今の我々にできることは避難誘導と、\\n その為の時間稼ぎくらいに過ぎん」",
"316000222_29": "「まあ、あんな化け物相手に\\n 通常兵器だけじゃ、そうなるだろうな……」",
"316000222_30": "「だからこそ、君たちの力は非常に助かる」",
"316000222_31": "「今の我々には――ということは、\\n 将来的にはなんらかの対策の目算があるのでしょうか」",
"316000222_32": "「……ある、とまだ現段階では断定できないが、\\n 可能性はある」",
"316000222_33": "「それは一体?」",
"316000222_34": "「それについては機密事項だ。\\n すまないが聞かないでほしい」",
"316000222_35": "「おいおい。こっちは命張って協力してるのにか?」",
"316000222_36": "「雪音ッ!」",
"316000222_37": "「……わかったよ」",
"316000222_38": "「失礼しました」",
"316000222_39": "「いや、こちらこそすまない。\\n 協力してもらっていながら開示できぬこと、許してほしい」",
"316000222_40": "(ったく、親子揃って石頭だな。\\n 世界は違うけど、なに親子で堅っ苦しいことやってんだか",
"316000222_41": "「そうだ、チビの所に行く前に、一度S.O.N.G.に戻るか。\\n 今の状況を伝えといた方が良いだろうし」",
"316000222_42": "「……うん。融合症例のことも話したいし」",
"316000222_43": "「よし、先輩もそれで良いか?」",
"316000222_44": "「……そうだな、それが良いだろう」",
"316000222_45": "「すみません、あの子のことをお願いしても良いですか?\\n なるべく早く戻るようにするので」",
"316000222_46": "「ああ、構わない」",
"316000222_47": "「ありがとうございます。\\n それでは失礼しますッ」",
"316000222_48": "「…………」",
"316000222_49": "「それでは、わたしもこれで」",
"316000222_50": "「ああ。ご苦労だった」",
"316000222_51": "(お父様のあの顔……。\\n 何か、もっと重要なことを隠している",
"316000222_52": "(いや、考えすぎか……)",
"316000222_53": "「あれの完成はもうすぐ…<speed=0.5>…</speed>か」",
"316000222_54": "「信じていいんだな、オズワルド……」"
}

View file

@ -0,0 +1,80 @@
{
"316000311_0": "コミュニケーション",
"316000311_1": "「融合症例……まさか響くん以外にもそんなことがあるとはな」",
"316000311_2": "「珍しく塞ぎ込んでるから何かと思ったけど……なるほどね」",
"316000311_3": "「それで、その子はどうしたんデスか?」",
"316000311_4": "「向こうの二課で、詳しく検査しながら、\\n 今はわたしたちと一緒に過ごしてるんだ」",
"316000311_5": "「検査か……、嫌なことされなきゃいいけどな……」",
"316000311_6": "「並行世界とはいえ、お父様のやることだ。\\n そんなことはないだろう」",
"316000311_7": "「そうだな。ならまあ、いいんだけどさ……」",
"316000311_8": "「でも……あの子のこと。\\n どうすればいいんだろう」",
"316000311_9": "「どう、とは?」",
"316000311_10": "「融合症例のことです」",
"316000311_11": "「わたしの時は、未来の神獣鏡のおかげで助かりました」",
"316000311_12": "「ああ、そうだったな」",
"316000311_13": "「あの時のわたしと同じように、\\n 助けてあげたりはできないのかなって……」",
"316000311_14": "「以前の響さんの時とは、大きく事情が異なるので、\\n 難しいかもしれません」",
"316000311_15": "「事情が異なる? 同じ融合症例だろ?」",
"316000311_16": "「同じであっても、経緯や要因が異なるので、\\n 一概に、対処方法も同じ、とはならないかと思います」",
"316000311_17": "「そう、なんだ……」",
"316000311_18": "「だけど、試す価値はあるんじゃないのか?」",
"316000311_19": "「あいつにとって、\\n 身体に聖遺物が埋まってて、いいことなんてないだろ」",
"316000311_20": "「もし聖遺物自体が、既に身体機能を維持する\\n 必須要素の一部となってしまっていたら――」",
"316000311_21": "「……下手に取り除けば命にかかわるかもしれない、\\n そういうことね」",
"316000311_22": "「それじゃ、治してあげることはできないのかな……」",
"316000311_23": "「くそ……」",
"316000311_24": "「あ、すみませんッ!\\n あくまで可能性のつです」",
"316000311_25": "「ただ、今は、侵食の進行速度に注意を払いながら、\\n 治療方法を探すしかないかと思います」",
"316000311_26": "「…………」",
"316000311_27": "「そう落ち込むな、響くん」",
"316000311_28": "「師匠……」",
"316000311_29": "「今、その少女にとっての一番の理解者は、\\n おそらく響くんだ」",
"316000311_30": "「少女を救いたいと思うのならば、そんな顔をせず、\\n 必ず治ると信じて、笑って少女に接してあげるのが大切だろう」",
"316000311_31": "「治ると信じて……」",
"316000311_32": "「確かに、立花がそんな顔をしていたら、\\n 余計にあの子を不安にさせてしまうな」",
"316000311_33": "「…………」",
"316000311_34": "「わかりました。\\n わたし、絶対に治るって信じますッ」",
"316000311_35": "「だから今は、あの子に笑顔になってもらうために、\\n わたしに出来ることをしようと思います」",
"316000311_36": "「それでこそ、響くんだ」",
"316000311_37": "「それじゃ、お前たち、\\n また、近い内に向こうの世界に渡ってもらうことになるからな」",
"316000311_38": "「それまで各自、英気を養っておいてくれ」",
"316000311_39": "「了解しました」",
"316000311_40": "「はいッ、師匠ッ!」",
"316000311_41": "「――っていうわけでさ」",
"316000311_42": "「その子、何を聞いても、じっと俯いたままで」",
"316000311_43": "「わたし、何をしてあげたらいいのかもわからなくて……」",
"316000311_44": "「そうなんだ……」",
"316000311_45": "「せめて、あの子が何を考えてるのかが\\n わかるといいんだけどね……」",
"316000311_46": "「はあ……ホント、どうすればいいんだろう……」",
"316000311_47": "「それなら、筆談とかしてみたらどうかな?」",
"316000311_48": "「筆談って……あの、文字でお話するやつ?」",
"316000311_49": "「うん、そう。\\n 声が出せなくても、文字ならいけるかもしれないよ」",
"316000311_50": "「なるほど。そっかー」",
"316000311_51": "「あ……でも。あの子、外国の子みたいだけど、\\n 日本語、書けるかな」",
"316000311_52": "「まだ小さいし。なんかずっと施設に閉じ込められてた\\n みたいなんだよね。そもそも文字が書けないかも……」",
"316000311_53": "「もう、響ってば。\\n 普段は大胆なのに、変なところで臆病なんだから」",
"316000311_54": "「未来……?」",
"316000311_55": "「もし文字が書けなかったとしても、それを教えることで\\n コミュニケーションをとることが出来るんじゃないの」",
"316000311_56": "「そう、かな……」",
"316000311_57": "「駄目で元々でしょ?」",
"316000311_58": "「始める前から手を伸ばすのを諦めるなんて、響らしくない」",
"316000311_59": "「うん……そうだね。やってみるよ」",
"316000311_60": "「それでこそ響だよ」",
"316000311_61": "「ありがとうね、未来」",
"316000311_62": "「いやー、やっぱり未来は頼りになるなー」",
"316000311_63": "「フフ……響の役に立てたなら、わたしも嬉しいな」",
"316000311_64": "「でも……そうか。あの時の響と同じ症状なんだね」",
"316000311_65": "「うん……」",
"316000311_66": "「それは、心配だね……」",
"316000311_67": "「そうなんだよね」",
"316000311_68": "「それに、今も寂しがってないかな。\\n あの子、他の人にはあまり懐いてないから」",
"316000311_69": "「フフ……なんだか響、\\n お姉さんっていうか、お母さんみたい」",
"316000311_70": "「え? 本当に?」",
"316000311_71": "「うん。特に今のは初めてのお泊まり保育に子供を出して\\n オロオロしてる子離れできないお母さん、って感じかな」",
"316000311_72": "「え、なにその例え。すごい具体的」",
"316000311_73": "「とにかく。\\n 心配するのはいいけど、ここで心配しすぎても意味ないよ」",
"316000311_74": "「弦十郎さんにも、ちゃんと休むように言われたんでしょ?」",
"316000311_75": "「あ……うん」",
"316000311_76": "「また向こうに行くまでの間に、\\n 身体も心もちゃんと休めておかないと駄目なんだからね」",
"316000311_77": "「そうだね……。\\n ありがとう、未来」"
}

View file

@ -0,0 +1,97 @@
{
"316000312_0": "「ふう……これくらいにしましょうか」",
"316000312_1": "「急に訓練に付き合わせてしまって悪かった」",
"316000312_2": "「じっと部屋で待機しているというのも、性にあわなくて」",
"316000312_3": "「いいのよ。わたしも最近、腕が鈍ってた気がしてたから\\n ちょうどよかったわ」",
"316000312_4": "「ならいいが」",
"316000312_5": "「それにしても。\\n 今回の並行世界にも、装者がいないのね……」",
"316000312_6": "「ああ。そうらしい。\\n 過去に人だけはいたらしいが、カルマイズに……」",
"316000312_7": "「シンフォギア技術が発達した世界で、これだけの人数の装者が\\n 揃うということは、それだけ低い確率ということなのかしらね」",
"316000312_8": "「かもしれないな……」",
"316000312_9": "「それに立花がいなければ、きっとわたしたちも、\\n こうして手を取り合うことも無かったのかもしれないな」",
"316000312_10": "「フッ……本当にね。そう考えると、\\n わたしたちの置かれたこの状況は奇跡なのかもしれないわ」",
"316000312_11": "「ああ……そうだな」",
"316000312_12": "「ところで、マリアもF.I.S.にいたのだろう?\\n ティナ・ウィートリーという名に聞き覚えはないか」",
"316000312_13": "「向こうのF.I.S.が生んだ、最初で最後の装者らしいのだが」",
"316000312_14": "「いいえ、聞いたことないわね」",
"316000312_15": "「そうか……ひょっとしたらと思ったが」",
"316000312_16": "「例のオートマシンという敵の名前も、今回が初耳よ」",
"316000312_17": "「やはり、こちらと向こうとでは、\\n 随分と辿ってきた歴史が違うようだな」",
"316000312_18": "「向こうの世界では、こちらの世界でいう櫻井理論自体が\\n 米国で提唱・開発されたと言ったかしら」",
"316000312_19": "「ああ。そう言っていたな」",
"316000312_20": "「シンフォギアの成り立ちが異なるということは――」",
"316000312_21": "「米国の方針、\\n ひいてはF.I.S.のあり方さえ異なるのかもしれないわ」",
"316000312_22": "「なるほど……」",
"316000312_23": "「だとするとF.I.S.という組織そのものにも、\\n 充分注意したほうがいいかもしれないわね」",
"316000312_24": "「F.I.S.に?」",
"316000312_25": "「聖遺物を扱い人工的に融合症例を作り出すといった、\\n 非人道的な行為を行っている可能性があるなら、尚更ね……」",
"316000312_26": "「そう……だな」",
"316000312_27": "(あの時の、お父様の動揺……。\\n あれは確かに人体実験など承知していないという反応だった",
"316000312_28": "(お父様があの少女を利用するようなことはないと言える。\\n だが、F.I.S.――米国からの圧力があればどうなるか……)",
"316000312_29": "「参考になった。向こうに渡ったときには注意するとしよう」",
"316000312_30": "「どういたしまして」",
"316000312_31": "「おいおい、まだ買うのかよ?」",
"316000312_32": "「今日は1日、お買い物に付き合ってくれる約束デスッ!」",
"316000312_33": "「うん。まだまだ、あちこち回らないと……」",
"316000312_34": "(やれやれ。我ながら余計な約束してたもんだ……)",
"316000312_35": "(ま、楽しんでんならいいんだけどよ)",
"316000312_36": "「…………」",
"316000312_37": "(あいつも、こいつらみたいに\\n わかりやすけりゃいいんだけどな……",
"316000312_38": "「クリス先輩ッ! 次はあっちの店デスよッ!」",
"316000312_39": "「お、おう」",
"316000312_40": "「考えごとですか?」",
"316000312_41": "「ん?」",
"316000312_42": "「いや、なんでもねーよ」",
"316000312_43": "「しっかし、まだ買うのか?\\n お前らだけじゃ持ちきれないだろ」",
"316000312_44": "「まだまだいけるデスよッ!」",
"316000312_45": "「うん、荷物持ちは慣れてます」",
"316000312_46": "「仕方ないな……。\\n ほら、あたしも持ってやるから、半分ずつよこせ」",
"316000312_47": "「え、いいんデスか?」",
"316000312_48": "「見てらんないからな」",
"316000312_49": "「すみません。クリス先輩」",
"316000312_50": "「いいって」",
"316000312_51": "「だけど、一度にこんなに買う必要あるのか?」",
"316000312_52": "「それはデスね。\\n 今日は久々の商店街一斉サービスデーだからデスッ」",
"316000312_53": "「消耗用品とか食料品も一式買い込んでおこうかと」",
"316000312_54": "「浮いたお金で調のおニューの服も買うデスよ」",
"316000312_55": "「ううん、次は切ちゃんの番」",
"316000312_56": "「あれ、そうデスか?」",
"316000312_57": "「買い物終盤かと思ってたけど、\\n まだ序盤だったってことはよくわかった」",
"316000312_58": "「それじゃあ、一度どこかで休もうか」",
"316000312_59": "「賛成デースッ!\\n お買い物と言う名の戦いはまだまだこれからデスからね」",
"316000312_60": "「クリス先輩も、いいですか?」",
"316000312_61": "「ああ、あたしも賛成だ」",
"316000312_62": "「休憩するなら、お楽しみのアレデスね」",
"316000312_63": "「うん」",
"316000312_64": "「なんだ? なんかあるのか?」",
"316000312_65": "「サービス券を150枚集めると商店街の食べ物屋さんで\\n どこでも使える1500円分のお食事券になるデスよッ」",
"316000312_66": "「さっきの買い物でクレープ3人分、ちょうど溜まったんです」",
"316000312_67": "「お、おう……そ、そうか……」",
"316000312_68": "(こいつら、たかがクレープになんつー涙ぐましい努力を……)",
"316000312_69": "「クリス先輩に、\\n あそこのクレープを食べてもらいたかったんデスよッ」",
"316000312_70": "「気にいってくれると思います」",
"316000312_71": "「お前ら、もしかして、このためにあたしを……」",
"316000312_72": "「はい、切ちゃん。サービス券」",
"316000312_73": "「はいデス」",
"316000312_74": "「――あれ? これで全部?\\n なんか予定より少なくないデスか」",
"316000312_75": "「え……家を出る時、今までのサービス券持って来てって\\n 言ったでしょ」",
"316000312_76": "「え……あッ…<speed=0.5>…</speed>あ~~~~~~ッ!?」",
"316000312_77": "「わ、忘れてたデス……」",
"316000312_78": "「おいおい」",
"316000312_79": "「どうしよう……。取りに帰る?」",
"316000312_80": "「それしかないデスッ!」",
"316000312_81": "「あのクレープを食べずして、\\n クリス先輩を帰すわけには、いかないデスからッ」",
"316000312_82": "「うん、そうだね」",
"316000312_83": "「と言うわけで、クリス先輩、\\n ちょっとだけ待っててほしいデス」",
"316000312_84": "(はあ……、ったく、しょうがねーな)",
"316000312_85": "「あーもう、まどろっこしいッ!\\n このままクレープ食いに行くぞッ」",
"316000312_86": "「え。でも、サービス券が……」",
"316000312_87": "「そんくらいあたしが奢ってやるッ!」",
"316000312_88": "「なななななんデスとーッ!?」",
"316000312_89": "「そんな……、買い物につき合ってもらって、\\n そのうえ奢ってもらうなんて……」",
"316000312_90": "「後輩は先輩の言うことを聞くもんだ。\\n ほら、行くぞッ」",
"316000312_91": "「ほ、本当にいいんデスかッ!?\\n ありがとうデースッ」",
"316000312_92": "「ありがとうございます。クリス先輩」",
"316000312_93": "(いや、お礼を言うのはあたしの方だな……。\\n おかげで、少し気が楽になった",
"316000312_94": "(まったく、先輩想いの後輩だ)"
}

View file

@ -0,0 +1,74 @@
{
"316000322_0": "「並行世界に戻ってきて早々、またノイズかよ……」",
"316000322_1": "「でも、今回は普通のノイズだけだったね」",
"316000322_2": "「だが油断は禁物だ」",
"316000322_3": "「いつカルマノイズが出るかわからない。\\n それにあの、オートマシンとやらもな」",
"316000322_4": "「ああ、わかってるって」",
"316000322_5": "「あれはちょっと厄介だもんね。\\n 出てこなくてよかった」",
"316000322_6": "「まあな」",
"316000322_7": "「不意の遭遇は避けたいところだな」",
"316000322_8": "「それにしても、あのオートマシンって、\\n 一体何なんでしょう」",
"316000322_9": "「あの強度や性能からして、なんらかの聖遺物、\\n もしくはそれに付随する物だとは思うが……」",
"316000322_10": "「けどあんなの、あたしらの世界じゃ見たことないよな……」",
"316000322_11": "「少なくとも、わたしたちの記憶にはないよね……」",
"316000322_12": "「そうだな。マリアにも確認したが、米国にいたころを含め\\n 心当たりは無いようだった」",
"316000322_13": "「この世界特有の物ってことなのかな……?」",
"316000322_14": "「この世界にだけ奴が現れる理由があるってことか」",
"316000322_15": "「そうだな。そこに何か、\\n わたしたちの未だ知らぬ秘密が隠されているのだろう」",
"316000322_16": "「なあ、あのオートマシンって、機械っぽいだろ?」",
"316000322_17": "「うん、マシンって言うくらいだからね」",
"316000322_18": "「そんで、あのチビの中にある聖遺物は、\\n あらゆる機械を操作する聖遺物だよな」",
"316000322_19": "「え?」",
"316000322_20": "「そして、そのチビが狙われてるかもしれない。\\n ……これは偶然か」",
"316000322_21": "「まだ確証はないが、\\n なんらかの繋がりがあるのかもしれないな」",
"316000322_22": "「まあ、今ここで悩んでも仕方ないか。\\n あのチビも待ってるだろうし、早く行くぞ」",
"316000322_23": "「う、うん、そうだね」",
"316000322_24": "「ああ、そうだな。あの子もお待ちかねだろう」",
"316000322_25": "「待ってるのはそこのバカのことだけだろうけどな」",
"316000322_26": "「あ、なに。クリスちゃん、妬いてるの?」",
"316000322_27": "「バ、バカ言うなッ!」",
"316000322_28": "「ただいまー」",
"316000322_29": "「…………ッ!」",
"316000322_30": "「お前、本当に懐かれてるよな……」",
"316000322_31": "「お帰りなさい、みなさん」",
"316000322_32": "「あ、友里さん。\\n わたしたちがいない間、ありがとうございました」",
"316000322_33": "「いいえ。仕事に戻るから、後はよろしくね」",
"316000322_34": "「はい、任せて下さい。我に秘策ありですからッ!」",
"316000322_35": "「そうなの? よくわからないけど、それじゃ」",
"316000322_36": "「秘策とはなんだ?」",
"316000322_37": "「どうせろくでもないこと考えてるんだろ?」",
"316000322_38": "「失礼なッ! わたしだって\\n いつも変なことだけ考えてるわけじゃないよッ」",
"316000322_39": "「概ね否定はしないのだな……」",
"316000322_40": "「ヘヘ。今日はね、お土産があるんだよ」",
"316000322_41": "「……?」",
"316000322_42": "「じゃじゃーんッ!」",
"316000322_43": "「……ッ!?」",
"316000322_44": "「なんだそれ?」",
"316000322_45": "「落書き帳か何かか?」",
"316000322_46": "「これをこう開いて……。こっちをこう持って」",
"316000322_47": "「……??」",
"316000322_48": "「これでお姉ちゃんと一緒にお勉強しようッ!」",
"316000322_49": "「べ、勉強……だとッ!?」",
"316000322_50": "「お、お前ッ、熱でもあんのかッ!?」",
"316000322_51": "「そんな。酷いよ、2人とも……」",
"316000322_52": "「こうやってね、こう書くと、アになるんだよ。アー」",
"316000322_53": "「…………」",
"316000322_54": "「こいつが勉強なんて言うから何ごとかと思った……」",
"316000322_55": "「ああ、それこそ天変地異の前触れかと……」",
"316000322_56": "「そこまで言います?」",
"316000322_57": "「悪い、つい調子に乗った。\\n せいぜい月食レベルというべきだったな」",
"316000322_58": "「充分レアだな」",
"316000322_59": "「もう。邪魔するならあっち行ってください」",
"316000322_60": "「すまない。だだ、どういう風の吹き回しだ?」",
"316000322_61": "「こうして、この子が文字を覚えたら、\\n きっと色々話せると思うんですッ」",
"316000322_62": "「どうせ、誰かさんの入れ知恵だろ?」",
"316000322_63": "「アハハ、確かにそうなんだけどね」",
"316000322_64": "「だが、妙案かもしれないな」",
"316000322_65": "「会話でのコミュニケーションが取れない以上、\\n なんらかの方法は必要だ」",
"316000322_66": "「なら、みんなで教えりゃ早いだろ」",
"316000322_67": "「うむ。立花だけでは、なんというか。\\n 少々不安があるな」",
"316000322_68": "「どれどれ、あたしに貸してみ」",
"316000322_69": "「……ッ!!」",
"316000322_70": "「……当分は、立花に任せる他無いようだな」",
"316000322_71": "「……みたいだな」"
}

View file

@ -0,0 +1,77 @@
{
"316000411_0": "ヤントラ・サルヴァスパ",
"316000411_1": "「……来たか」",
"316000411_2": "「……問題なし」",
"316000411_3": "「……どうぞ、お降りください」",
"316000411_4": "「ご苦労」",
"316000411_5": "「よく来たな、オズワルド」",
"316000411_6": "「久方ぶりだな、八紘」",
"316000411_7": "「見ぬ間に随分と老けたものだな」",
"316000411_8": "「それはお互い様だ」",
"316000411_9": "「F.I.S.……いや、NEXTでの研究はどうだ」",
"316000411_10": "「ああ、やっと目処が立ったところだ」",
"316000411_11": "「あとひとつ……鍵さえ手に入れば、それで――」",
"316000411_12": "「鍵……?」",
"316000411_13": "「ああ、だがこれが難しい」",
"316000411_14": "「鍵を完成させることが、当面の目標だな」",
"316000411_15": "「研究で多忙なお前がわざわざ日本に来たのは、\\n なにも旧交を温めるためだけではあるまい」",
"316000411_16": "「そんなところだ。\\n だが込み入った話を街中でするのはどうかと思うがね」",
"316000411_17": "「すまんな。\\n では本部へ案内しよう」",
"316000411_18": "「これが、ヒ・ビ・キ<speed=1>。</speed>ヒー<speed=0.5>、</speed>ビー<speed=0.5>、</speed>キ」",
"316000411_19": "「……?」",
"316000411_20": "「わたしの名前。わかる、名前って?」",
"316000411_21": "「わたしを、わたしだよって、伝えるための言葉」",
"316000411_22": "「……(こくり)」",
"316000411_23": "「…………」",
"316000411_24": "「な、なんだ?」",
"316000411_25": "「あっちのお姉ちゃんの名前?」",
"316000411_26": "「あの人はね――」",
"316000411_27": "「ツ・バ・サ<speed=1>。</speed>ツー<speed=0.5>、</speed>バー<speed=0.5>、</speed>サ」",
"316000411_28": "「すっごく強くてかっこいいんだよ?」",
"316000411_29": "「……なんだか照れるな」",
"316000411_30": "「…………」",
"316000411_31": "「あっちのお姉ちゃんは――」",
"316000411_32": "「ク・リ・ス<speed=1>。</speed>クー<speed=0.5>、</speed>リー<speed=0.5>、</speed>ス。\\n クリスちゃんッ」",
"316000411_33": "「………?」",
"316000411_34": "「ああ、ちゃんっていうのはね。\\n えーっと、可愛い子って意味かな」",
"316000411_35": "「おいッ! 可愛いとか言うなッ!」",
"316000411_36": "「………ッ!?」",
"316000411_37": "「アハハ……。\\n たまにこんな風に怖い顔するけど、とっても優しいんだよ」",
"316000411_38": "「っとに恥ずかしげもなく……。\\n 背中がムズ痒くなってくるだろうが」",
"316000411_39": "「それじゃ、今度は。\\n あなたの名前、教えてくれるかな」",
"316000411_40": "「………?」",
"316000411_41": "「そう、名前。\\n あなたがあなただよって、言葉」",
"316000411_42": "「…………」",
"316000411_43": "「えーと、なになに?\\n S……h……わあ、英語書けるんだ」",
"316000411_44": "「…………(こく)」",
"316000411_45": "「a……r……o……n」",
"316000411_46": "「……え、えーと、ハロ……?」",
"316000411_47": "「全然違うだろ……。\\n 『Sharon』……シャロンって読むんじゃないか」",
"316000411_48": "「……(こく)」",
"316000411_49": "「シャロンちゃんッ!?」",
"316000411_50": "「そっか、シャロンちゃんっていうのかー……」",
"316000411_51": "「よろしくね、シャロンちゃんッ!」",
"316000411_52": "「………ッ!?」",
"316000411_53": "「おっ買い物~ッ♪ おっ買い物~ッ♪\\n シャロンちゃんとおっ買い物ッ♪」",
"316000411_54": "「…………」",
"316000411_55": "(いけない。歩幅を考えて歩かないと)",
"316000411_56": "「…………」",
"316000411_57": "「ごめんね、シャロンちゃん。\\n 歩くの速かったね」",
"316000411_58": "「離れないように手、繋ごっか」",
"316000411_59": "「…………」",
"316000411_60": "「……(こくり)」",
"316000411_61": "「フフ……」",
"316000411_62": "(かっわいいなー)",
"316000411_63": "(未来の話じゃないけど、\\n なんかお母さんにでもなったみたいな気持ち",
"316000411_64": "(これが母性ってやつなのかな?\\n なんだか目覚めちゃいそう",
"316000411_65": "「……ッ!?」",
"316000411_66": "「シャロンちゃん? どうしたの――」",
"316000411_67": "「なッ!? オートマシンッ!?」",
"316000411_68": "「なんで、こんなところにッ!」",
"316000411_69": "「…………」",
"316000411_70": "(ホントにシャロンちゃんを狙ってッ!?)",
"316000411_71": "「大丈夫。\\n お姉ちゃんが絶対に護ってあげるからッ」",
"316000411_72": "「Balwisyall Nescell gungnir tron――」",
"316000411_73": "「………ッ!?」",
"316000411_74": "「シャロンちゃんには絶対にッ!\\n 本触れさせないッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,24 @@
{
"316000421_0": "「く――ッ! やっぱり装甲が堅いッ!」",
"316000421_1": "「立花ッ! 今そちらに向かっているッ!」",
"316000421_2": "「あたしらが着くまでなんとか持ち堪えろッ!」",
"316000421_3": "「うん、わかったッ!」",
"316000421_4": "「ぐあ――ッ!!」",
"316000421_5": "「ぐッ……」",
"316000421_6": "「――ッ!?」",
"316000421_7": "「だ、大丈夫だよ、シャロンちゃん……」",
"316000421_8": "「こんなの……へいき、へっちゃら、だからッ!」",
"316000421_9": "「はあああああ――ッ!」",
"316000421_10": "「やった――?」",
"316000421_11": "「そんな……あれが、効いてないなんて……」",
"316000421_12": "「く――ッ!」",
"316000421_13": "「――ッ!!」",
"316000421_14": "「ダメ……シャロンちゃん……」",
"316000421_15": "「来ちゃダメ――ッ!!」",
"316000421_16": "「なに、この光――」",
"316000421_17": "「わたしの……ギア、が……?」",
"316000421_18": "「これは……どうして、急に?」",
"316000421_19": "「それに、この溢れる力は――ッ?」",
"316000421_20": "(今は考えてる場合じゃない)",
"316000421_21": "「今度こそ、倒してみせる――ッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,67 @@
{
"316000422_0": "「はあああああ――ッ!!」",
"316000422_1": "「はぁ、はぁ、はぁ……」",
"316000422_2": "(今度こそ、倒せた……?)",
"316000422_3": "(それも、あの堅い装甲を一撃で貫いて……)",
"316000422_4": "(このギアの力は……?)",
"316000422_5": "(確か、シャロンちゃんが――)",
"316000422_6": "「そうだッ! シャロンちゃん、無事ッ!?」",
"316000422_7": "「――ッ!」",
"316000422_8": "「うん、怖かったよね。\\n でも、もう大丈夫だから」",
"316000422_9": "「立花ッ!」",
"316000422_10": "「無事かッ!?」",
"316000422_11": "「あ、2人とも……うん、なんとか」",
"316000422_12": "「チビも怪我無いか?」",
"316000422_13": "「うん、大丈夫みたい」",
"316000422_14": "「……(こくり)」",
"316000422_15": "「それにしても、そのギアは……?」",
"316000422_16": "「わかりません。\\n 急にシャロンちゃんの身体が光って、そしたら……」",
"316000422_17": "「この子の力だというのか……」",
"316000422_18": "「ともあれ後の処理は任せて二課に戻ろう。\\n 話はそちらで聞かせてもらう」",
"316000422_19": "「は、はい。そうですね」",
"316000422_20": "「ふう。今日は疲れちゃったねー」",
"316000422_21": "「…………」",
"316000422_22": "「また今度、お買い物の続き行こうね」",
"316000422_23": "「……(こくん)」",
"316000422_24": "「…………ッ!」",
"316000422_25": "「どうしたの?」",
"316000422_26": "「(ふるふる)」",
"316000422_27": "「先に行くのを嫌がっているのか?」",
"316000422_28": "「どうしたんだ、急に」",
"316000422_29": "「震えてる……怖いの?」",
"316000422_30": "「……仕方ない。\\n わたしと雪音だけで報告に行くとしよう」",
"316000422_31": "「先に部屋に戻ってろ。\\n チビのこと頼んだぞ」",
"316000422_32": "「うん……」",
"316000422_33": "「…………」",
"316000422_34": "「失礼します」",
"316000422_35": "「ああ、今日もご苦労だった」",
"316000422_36": "「ほう……これはこれは」",
"316000422_37": "「こちらの方は?」",
"316000422_38": "「彼はF.I.S.の米国特殊研究機関、\\n NEXTの所長のオズワルド氏だ」",
"316000422_39": "「オズワルドです。\\n 以後、お見知りおきを、お嬢さんがた」",
"316000422_40": "「風鳴翼です」",
"316000422_41": "「ほう? 確か君は八紘のお嬢さんじゃないか。\\n 確かこんな小さい頃の写真を見せてもらったことがあるよ」",
"316000422_42": "「……そうですか」",
"316000422_43": "(それはこの世界のわたしなのだろうが……説明すると面倒だな)",
"316000422_44": "「なるほど、彼女らが日本政府の機密ということか。\\n 全く、隠しごとが上手いな、相変わらず」",
"316000422_45": "「そんなことはないさ」",
"316000422_46": "「いやいや、自分の娘を鍛え上げていたとは。\\n やはり君とは昔から感性が似ているな」",
"316000422_47": "「それよりも、そろそろ用件を聞きたいのだが」",
"316000422_48": "「ああ、そうそう。忘れていたよ」",
"316000422_49": "「人を探しているんだが知らないか。\\n このくらいの少女だ。私の娘なんだが……」",
"316000422_50": "(娘だと?)",
"316000422_51": "「それなら――」",
"316000422_52": "「知らねーな、他をあたれよ、おっさん」",
"316000422_53": "(雪音?)",
"316000422_54": "「品のないお嬢さんだ。\\n もっと言葉遣いに気を付けた方が良い」",
"316000422_55": "「あんたには関係ねーだろ」",
"316000422_56": "「ふむ。もっともだ」",
"316000422_57": "「八紘、君は知らないかね?」",
"316000422_58": "「自身の娘が行方不明ということなら駆け込む先は警察だろう。\\n どうして私に聞くんだ」",
"316000422_59": "「……確かにそうだな」",
"316000422_60": "「いや、忘れてくれ」",
"316000422_61": "「わざわざ尋ねて来ておいて、用件はそれだけかね?」",
"316000422_62": "「まあ今日の所は、かな。\\n 近くまた寄らせてもらうかもしれないがね」",
"316000422_63": "「アポイントは早めに取ってもらいたいものだな。\\n こう見えて、こちらもそれなりに多忙でね」",
"316000422_64": "「覚えておくとしよう」"
}

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@ -0,0 +1,31 @@
{
"316000431_0": "「戻ったぞ」",
"316000431_1": "「あの子は大丈夫か?」",
"316000431_2": "「う、うん。\\n さっきよりは大分落ち着いたけど」",
"316000431_3": "「…………」",
"316000431_4": "「まだ顔色が悪いな……」",
"316000431_5": "「やっぱりな……」",
"316000431_6": "「やっぱりって?」",
"316000431_7": "「なあ先輩、これでもあのおっさんにこいつを渡すのか?」",
"316000431_8": "「まさか……。\\n この子が父親に恐怖を感じていた、とは……」",
"316000431_9": "「そんなの、こいつに会った時からわかってたろ」",
"316000431_10": "「父親かなんだかしらないが。\\n こいつの身体を実験道具にしたF.I.S.の人間だぞ」",
"316000431_11": "「先ほどのあの者が元凶――か。\\n 確かに娘が行方不明だというのに他人事のようだった……」",
"316000431_12": "「あの者って……それに父親って、どういうことですか?」",
"316000431_13": "「ああ、さきほど二課に来客があったんだ」",
"316000431_14": "「F.I.S.のNEXTという組織の所長がな――。\\n 名前は確か、オズワルドと言ったか」",
"316000431_15": "「どうやらこの子の父親で、彼女を探していると」",
"316000431_16": "「………ッ!!」",
"316000431_17": "「シャロンちゃん……?」",
"316000431_18": "「見ろ。名前を聞いただけでこの怯えようだ」",
"316000431_19": "「ああ、つまりはこの子の様子はその者が\\n 原因だということだな……」",
"316000431_20": "「だが、まさか我が子を実験台になど……。\\n 信じたくはなかったが……」",
"316000431_21": "「シャロンちゃんの……お父さんが……?」",
"316000431_22": "<size=40>「酷い……そんなの、許せないッ!」</size>",
"316000431_23": "「ッ!?」",
"316000431_24": "「あ。ごめんね、大丈夫だから」",
"316000431_25": "(わたし馬鹿だ。またシャロンちゃんを怖がらせて……)",
"316000431_26": "「大丈夫……わたしたちは、シャロンちゃんの味方だよ」",
"316000431_27": "「だからそんな怖がらないで。ね?」",
"316000431_28": "「…………」"
}

View file

@ -0,0 +1,25 @@
{
"316000432_0": "「……ふむ」",
"316000432_1": "(シャロンという少女の聖遺物が発動し、\\n 立花くんのギアが変化した――",
"316000432_2": "(『ヤントラ・サルヴァスパ』は、\\n あらゆる機械装置を操作できるという聖遺物",
"316000432_3": "(シンフォギアを一種の機械と認識したために起きた\\n 変化と言うことか……",
"316000432_4": "(その力が、かの暴威なるオートマシンをすら凌駕するとはな)",
"316000432_5": "(そのこと自体は、我々にとって\\n 暗闇の中に射した一筋の光明ではあると言えよう",
"316000432_6": "(しかし、まさか使用することは出来ないと思っていた\\n 『ヤントラ・サルヴァスパ』を、このような形で……",
"316000432_7": "(それに……オズワルドの言っていた鍵とはなんなのか)",
"316000432_8": "(そして、オートマシンは何故にあの少女を狙ったのか……)",
"316000432_9": "(――まさかッ!?\\n いや、まだそうと決まったわけではない……」",
"316000432_10": "「オズワルド……。\\n お前は一体何を識り、何を隠しているというのだ」",
"316000432_11": "「頼むから、友人として、私を幻滅させないでくれ」",
"316000432_12": "「フフ……」",
"316000432_13": "「なるほど、これは予想外の反応を見せたものだ」",
"316000432_14": "「シャロンの脱走という災禍がもたらした奇貨、\\n セレンディピティとでも言うべきか」",
"316000432_15": "「装者。それに、あのシンフォギア……」",
"316000432_16": "「これは想定以上の収穫を得ることができるやもしれん」",
"316000432_17": "「そうだ、もっともっと……鍵となるまで、熟するがいい」",
"316000432_18": "「仮初めの揺籃に包まれつつ、な……」",
"316000432_19": "「……ッ、……ハァ……」",
"316000432_20": "「――ッ、……ぅぅ」",
"316000432_21": "「……ぅ……」",
"316000432_22": "「……ッ、…………ぅ……ぁ……ッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,136 @@
{
"316000511_0": "諸刃の力",
"316000511_1": "「…………」",
"316000511_2": "「わあ、すごいね、シャロンちゃん。\\n もうこんなに文字、書けるようになったんだ」",
"316000511_3": "「…………」",
"316000511_4": "「ふんふん、なるほどー」",
"316000511_5": "「…………」",
"316000511_6": "「へーッ! 姉妹もいるんだ。え、そんなにたくさん?」",
"316000511_7": "「賑やかそうでいいなぁ。\\n わたし、人っ子だったから、そういうの憧れるなー」",
"316000511_8": "「…………」",
"316000511_9": "「どうだ、調子は?」",
"316000511_10": "「うん。もう大分、文字でお話しできるようになったよ」",
"316000511_11": "「ま、元々こっちが話してる言葉もわかってそうだったし、\\n 文字が書けるようになって良かったな」",
"316000511_12": "「わたしの教え方が上手いからってことは?」",
"316000511_13": "「そりゃないな、そいつが優秀なだけだ」",
"316000511_14": "「そんなー……」",
"316000511_15": "「それで、何か分かったのか?」",
"316000511_16": "「うん。シャロンちゃんね、米国にいた時、\\n ずっとお父さんの研究をお手伝いしてたんだって」",
"316000511_17": "「手伝い、ねえ……」",
"316000511_18": "「うん。それからね、姉妹もたくさんいるんだって」",
"316000511_19": "「……まだ他にもいるのか」",
"316000511_20": "「そいつは……心配だな」",
"316000511_21": "「…………」",
"316000511_22": "「シャロンちゃん、クリスちゃんのことも\\n あんまり怖がらなくなったみたいだね」",
"316000511_23": "「そうか? 大して変わってないだろ?」",
"316000511_24": "「連絡? 翼さんからだ。なんだろ」",
"316000511_25": "「はい、こちら響です」",
"316000511_26": "「すまない、立花。すぐに二課まで来てくれないか?」",
"316000511_27": "「えーっと……」",
"316000511_28": "「シャロンのことについて聞きたいことがあるそうだ。\\n 手短に済ます、とは言っているが」",
"316000511_29": "「わかりました、すぐに行きます」",
"316000511_30": "「ごめんね、シャロンちゃん」",
"316000511_31": "「少し出かけるけど、クリスちゃんと\\n 良い子にお留守番しててくれるかな」",
"316000511_32": "「…………」",
"316000511_33": "「お、おい。あたしに子守なんか無理だぞ?」",
"316000511_34": "「クリスちゃんなら絶対に大丈夫ッ! お願いッ!」",
"316000511_35": "「それじゃ、\\n すぐ帰ってくるからッ」",
"316000511_36": "「ちょっと待て――」",
"316000511_37": "「行っちまった」",
"316000511_38": "「すぐ帰るって言ってもな……」",
"316000511_39": "「…………」",
"316000511_40": "「やれやれ。仕方ない、大人しく待ってるとするか」",
"316000511_41": "「なッ……なに服掴んでんだッ!\\n あのバカと間違えてないか」",
"316000511_42": "「…………」",
"316000511_43": "「あ、あたしでいいのかよ」",
"316000511_44": "「……(こく)」",
"316000511_45": "「なんだよ。しょうがないなあ……」",
"316000511_46": "「留守中、何かやりたいことあるか?」",
"316000511_47": "「……(ふるふる)」",
"316000511_48": "「じゃあ文字の練習の続き、一緒にやるか。\\n 英語でもいいぞ」",
"316000511_49": "「……(こく)」",
"316000511_50": "「今戻った」",
"316000511_51": "「ただいま~」",
"316000511_52": "「留守中、手間を掛けた」",
"316000511_53": "「なに。大人しいもんだって」",
"316000511_54": "「どうやら、仲良く出来ていたようだな」",
"316000511_55": "「……」",
"316000511_56": "「べ、別に仲良くってわけじゃ……。\\n ただのお守りだろ、お守り」",
"316000511_57": "「ただいまー、\\n ごめんね、遅くなって」",
"316000511_58": "「……ッ!!」",
"316000511_59": "「なあに、シャロンちゃん」",
"316000511_60": "「なんだよ。帰ってきたらそっちがいいのかよ」",
"316000511_61": "「フフ。やはり立花には勝てないか」",
"316000511_62": "「で、親父さんの話ってのはなんだったんだ?」",
"316000511_63": "「主に、シャロンの融合症例について、\\n 経験者としての立花からの意見聴取だった」",
"316000511_64": "「二課としても、治療の糸口を見つけたいようだな」",
"316000511_65": "「でも、わたしが覚えていることだけだと\\n あまり参考にならなくて」",
"316000511_66": "「一度、S.O.N.G.へ戻って聞いてくるのはどうだろうか?」",
"316000511_67": "「この前聞いた感じじゃ、望みは薄いんじゃないのか?」",
"316000511_68": "「すぐに治すことは難しいかもしれない。\\n しかし、何かヒントぐらいは得られるのではないだろうか」",
"316000511_69": "「ヒントか……、\\n 確かにそれなら何かつかめるかもしれないな」",
"316000511_70": "「なんにしても、このまま指をくわえて見てるよりはいいか」",
"316000511_71": "「では、一旦わたしたちの世界に戻るとしよう」",
"316000511_72": "「でも、シャロンちゃんを1人にするのは……」",
"316000511_73": "「オートマシンやカルマノイズもだけど、\\n お父さんのこともあるし……」",
"316000511_74": "「そうだな……」",
"316000511_75": "「では、その子の面倒は、一旦わたしと雪音が引き受ける。\\n 立花は戻って、何かヒントが無いか聞いてきてくれないか」",
"316000511_76": "「え? わたしですかッ!?」",
"316000511_77": "「今回は、過去に同じようなことを経験している立花の意見が\\n 一番、参考になると思う」",
"316000511_78": "「……まあ、あたしたちは周りで見てただけだしな」",
"316000511_79": "「でも、それじゃシャロンちゃんが……」",
"316000511_80": "「…………」",
"316000511_81": "「他ならぬシャロンのためだ。\\n ずっと傍にいてやることだけが愛情ではないぞ」",
"316000511_82": "「先輩が言うと説得力があるな」",
"316000511_83": "「茶化すな、雪音」",
"316000511_84": "「……これもシャロンちゃんのためなんですよね」",
"316000511_85": "「そういうことだ。早速行ってくれるか?」",
"316000511_86": "「……わかりました」",
"316000511_87": "「…………」",
"316000511_88": "「シャロンちゃん……」",
"316000511_89": "「ごめんね。少しだけ行ってくるからね」",
"316000511_90": "「……(こく)」",
"316000511_91": "「そんな顔すんな。お前のいない間は、\\n あたしと先輩でちゃんと見てるから」",
"316000511_92": "「本当、お願いだよ? シャロンちゃんのこと……」",
"316000511_93": "「わかってる」",
"316000511_94": "「着替えの手伝いとか、歯磨きも大丈夫だよね?」",
"316000511_95": "「……ああ、そのくらい、任せとけ」",
"316000511_96": "「あ、それに寝てるときにお腹を出す癖が――」",
"316000511_97": "「いいからさっさと行ってこいッ!」",
"316000511_98": "「はいッ! それじゃあ行ってきますッ!」",
"316000511_99": "「やれやれ。子離れできない母親かよ」",
"316000511_100": "「情に厚い立花らしいといえばらしいが、な」",
"316000511_101": "「そうか? ちょっと行きすぎじゃないか?」",
"316000511_102": "「まあ、少々な」",
"316000511_103": "「……」",
"316000511_104": "「別にあいつのこと悪く言ってるわけじゃないって。\\n そんな顔するなよ」",
"316000511_105": "「そうだな。\\n 少しばかり頑張りすぎじゃないかと心配してるだけだ」",
"316000511_106": "「……」",
"316000511_107": "「ともかく、あいつが戻ってくるまでの間、よろしくな」",
"316000511_108": "「…………(こく)」",
"316000511_109": "「…………」",
"316000511_110": "「やっぱり、あのバカがいないと元気がないか」",
"316000511_111": "「その様だな。\\n だが、いずれ慣れてもらうしかあるまい」",
"316000511_112": "「立花もわたしたちも、\\n ずっとこの世界にいるわけにはいかないのだからな」",
"316000511_113": "「まあ……そうだな」",
"316000511_114": "「じっとしてても仕方ない。トランプでもやるか?」",
"316000511_115": "「わかるか、トランプ。ポーカーとかブリッジとか」",
"316000511_116": "「……(こく)」",
"316000511_117": "「よっしゃ、それなら話が早い。早速やるぞ」",
"316000511_118": "「……(こくこく)」",
"316000511_119": "「くッ。またお前の勝ちか。\\n 強いじゃねーか」",
"316000511_120": "「…………」",
"316000511_121": "「こういうの、たまには姉ちゃんや妹たちともやってたのか?」",
"316000511_122": "「……(こく)」",
"316000511_123": "「そっか。またすぐ会えるといいな」",
"316000511_124": "「…………」",
"316000511_125": "「む? 二課からの通信か」",
"316000511_126": "「はい、こちら風鳴翼です」",
"316000511_127": "「近隣の工場地帯にオートマシンが現れた。\\n 出撃してもらえるだろうか」",
"316000511_128": "「承知しました。ただちに向かいます」",
"316000511_129": "「立花がいない間に本当に来るとはな。\\n 残っていて正解ではあったが……」",
"316000511_130": "「じゃあ、ちょっと行ってくる。\\n トランプの続きは帰ったらだ」",
"316000511_131": "「……(こく)」",
"316000511_132": "「それからあたしらが帰ってくるまで\\n 絶対にここから出るなよ。わかったな」",
"316000511_133": "「…………」"
}

View file

@ -0,0 +1,22 @@
{
"316000521_0": "「はああああ――ッ!」",
"316000521_1": "「くッ! やっぱり銃弾程度じゃ弾かれるか」",
"316000521_2": "「それなら、こいつで――どうだッ!!」",
"316000521_3": "「くッ!? これもダメかッ!」",
"316000521_4": "「おい、こいつら、戦う度に堅くなってやがるッ!」",
"316000521_5": "「ああ、最早わたしの斬撃もほとんど歯が立たない……」",
"316000521_6": "「ここはイグナイトで一気に片をつけるしかないだろ――」",
"316000521_7": "「ああ、そうだな――」",
"316000521_8": "「いくぞ。イグナイトモジュール、ばッ――」",
"316000521_9": "「むッ!? 待て、雪音ッ!」",
"316000521_10": "「なんだよ?」",
"316000521_11": "「あれを見ろッ!」",
"316000521_12": "「あれは……カルマノイズッ!」",
"316000521_13": "「ああ……奴がいる以上、イグナイトを使うわけにはいかない」",
"316000521_14": "「なんでこんなタイミングで」",
"316000521_15": "「まさしく前門の狼、後門の虎だな」",
"316000521_16": "「さて、どうしたもんか……」",
"316000521_17": "「奴らを放置しては、まだ避難の終わっていない\\n 工場地帯でどれだけの被害が出るか分からない」",
"316000521_18": "「なんとかしてカルマノイズを撃退し、しかる後に\\n イグナイトでオートマシンに対するしかないだろう」",
"316000521_19": "「それしかないよな……、\\n よっしゃ、やってやるッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,27 @@
{
"316000531_0": "「はぁぁぁ――ッ!」",
"316000531_1": "「くそッ……カルマノイズだけでも倒しきれりゃ、\\n なんとでもなるってのに……」",
"316000531_2": "「奴の高速修復に攻撃量が追いついていないということか」",
"316000531_3": "「やむを得ん。できるだけ現在地に釘付けし、\\n せめて周辺の避難完了までの時間を稼ぐとしよう」",
"316000531_4": "「ああ」",
"316000531_5": "「むッ!? 雪音ッ、あそこッ!」",
"316000531_6": "「今度はなんだ?」",
"316000531_7": "「…………ッ!」",
"316000531_8": "「って、チビッ!?\\n なんだってこんなところにッ」",
"316000531_9": "「わたしたちを追って来たのか?」",
"316000531_10": "「バカッ、こっちにくるなッ!」",
"316000531_11": "「シャロンが狙われたッ!?」",
"316000531_12": "「ちくしょう――ッ!!」",
"316000531_13": "「間に合え――ッ!」",
"316000531_14": "「――――ッ!!」",
"316000531_15": "「な、なんだこの光はッ!」",
"316000531_16": "「これは、先日の立花が言っていた――ッ!?」",
"316000531_17": "「こいつは、確か――」",
"316000531_18": "「ヤントラ・サルヴァスパの――ッ!?」",
"316000531_19": "「お前がやったのか?」",
"316000531_20": "「…………」",
"316000531_21": "「話は後だ、雪音ッ!」",
"316000531_22": "「ああ、そうだったなッ!」",
"316000531_23": "「このギアならば、\\n オートマシンの装甲をも貫通できるかもしれないッ」",
"316000531_24": "「ああ。これなら――ッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,60 @@
{
"316000532_0": "「お前で最後だ――ッ!」",
"316000532_1": "「やったかッ!?」",
"316000532_2": "「ああッ!」",
"316000532_3": "「君たちのおかげで、周辺住民の避難は完了した」",
"316000532_4": "「そいつは良かったッ!」",
"316000532_5": "「ならば後はカルマノイズのみッ!」",
"316000532_6": "「このギアって、カルマノイズにも通用するのか?」",
"316000532_7": "「わからない、しかし、やってみる価値はある」",
"316000532_8": "「む……退いたか」",
"316000532_9": "「なら、最初から出てくるなって」",
"316000532_10": "「おっと、\\n それよりも――だ」",
"316000532_11": "「…………」",
"316000532_12": "「ったく。あれ程部屋を出るなっていっただろう?」",
"316000532_13": "「……ッ!?」",
"316000532_14": "「本当に無茶しやがって……冷や冷やした」",
"316000532_15": "「まさか、あのバカ、\\n 文字だけじゃなくて、無茶まで教え込んだのか」",
"316000532_16": "「…………」",
"316000532_17": "「けど、ありがとうな」",
"316000532_18": "「…………?」",
"316000532_19": "「その通りだ。シャロンのおかげで助かった」",
"316000532_20": "「このギアでなければ\\n オートマシンは倒しきれなかった」",
"316000532_21": "「そういうことだ」",
"316000532_22": "「…………」",
"316000532_23": "「それじゃ、部屋に帰るとするか。\\n トランプも途中だったしな」",
"316000532_24": "「……(こく)」",
"316000532_25": "「言っとくけど今回のあたしの手札はかなり良いからな。\\n 覚悟しとけよ」",
"316000532_26": "「……(ふるふる)」",
"316000532_27": "「お。こいつ、生意気な」",
"316000532_28": "「フフ……」",
"316000532_29": "「――なるほど、な。事情は理解した」",
"316000532_30": "「今聞いた情報を元に、こちらでも調べてみるとしよう」",
"316000532_31": "「だが、提供する情報は極力絞らせてもらう」",
"316000532_32": "「え?」",
"316000532_33": "「いくらシンフォギア・システムのある世界とは言え、\\n こちらの情報で、技術レベルが上がっては問題だからな」",
"316000532_34": "「はい」",
"316000532_35": "「実は、響さんたちから融合症例の子のことを聞いた後、\\n S.O.N.G.の方でも少し調べてみたんです」",
"316000532_36": "「そうだったんだ」",
"316000532_37": "「並行世界という問題はありますが、その子を助けたいという\\n 気持ちは、ボクたちS.O.N.G.も同じですから」",
"316000532_38": "「出来る限り、お手伝いさせてください」",
"316000532_39": "「うん、ありがとうッ!」",
"316000532_40": "「では、情報をまとめるまでの間、響くんはしばし休んでくれ」",
"316000532_41": "「いえ、師匠。すぐに戻ります」",
"316000532_42": "「む?」",
"316000532_43": "「もう、戻ってたならちゃんと連絡してよね」",
"316000532_44": "「未来? どうしてここに?」",
"316000532_45": "「友里さんから連絡もらったの。\\n 響が戻って来たって。今日は帰れるんでしょ」",
"316000532_46": "「えっと、それが。\\n 向こうに戻らないと、シャロンちゃんが……」",
"316000532_47": "「あちらには翼もクリスくんもいるのだ。\\n そこまで急ぐことはあるまい」",
"316000532_48": "「でも――」",
"316000532_49": "「響はなんでも1人で背負い込みすぎ。\\n 仲間を信じて任せるのも大事だよ」",
"316000532_50": "「未来……」",
"316000532_51": "「未来くんの言う通りだ」",
"316000532_52": "「今日のところはこちらで休んで、\\n 明日、再び並行世界へ向かってくれればいい」",
"316000532_53": "「でも……」",
"316000532_54": "「でもじゃないの」",
"316000532_55": "「こちらもまだ時間がかかるので、\\n そうして頂けると助かります」",
"316000532_56": "「だって。\\n ほら、帰るよ、響」",
"316000532_57": "「う、うん……」"
}

View file

@ -0,0 +1,24 @@
{
"316000541_0": "「……でね。未来が教えてくれた通り、\\n 筆談したら色々お話し出来たんだ」",
"316000541_1": "「そうなんだ。よかったね、響」",
"316000541_2": "「うん。ありがとう、未来」",
"316000541_3": "「でね、シャロンちゃん、\\n お姉ちゃんや妹がたくさんいるんだって」",
"316000541_4": "「シャロンちゃんの姉妹ならみんな可愛いだろうなあ」",
"316000541_5": "「フフ……響ったら、すっかり骨抜きだね」",
"316000541_6": "「うん。妹がいたらこんな感じかなー、って感じでさ」",
"316000541_7": "「ずっと1人っ子だったから、なんだかとっても嬉しいんだ」",
"316000541_8": "「もう。響にはわたしだっているじゃない」",
"316000541_9": "「シャロンちゃんはシャロンちゃん、未来は未来、だよ」",
"316000541_10": "「どう違うの?」",
"316000541_11": "「だって未来は、お姉さんでも妹っていう感じでもないし」",
"316000541_12": "「なら、どんな感じ?」",
"316000541_13": "「決まってるでしょ?」",
"316000541_14": "「一番の親友? いや、もはや家族と言うべきか……、\\n もしくは、それ以上の――」",
"316000541_15": "「もう、響ったら……恥ずかしいよ」",
"316000541_16": "「だって本当のことだもん」",
"316000541_17": "(でも、響がそんなに可愛がってる子なら、\\n わたしも一度、会ってみたいな……",
"316000541_18": "(わたしもシンフォギアを纏えるのに、\\n 正式な装者じゃない……",
"316000541_19": "(正式な装者になれれば、\\n もっと響の手伝いができるのに……",
"316000541_20": "「……。\\n さて、そろそろご飯にしようか」",
"316000541_21": "「やったーッ! 未来のご飯ッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,57 @@
{
"316000542_0": "「ヤントラ・サルヴァスパから力を得たギアで、\\n オートマシンに対抗できる様になったのはいいが――」",
"316000542_1": "「今度は数で押してくるとはなッ!」",
"316000542_2": "「キリが無いな。一体どこから現れているんだ?」",
"316000542_3": "「二課が突き止めてくれればいいんだけどな」",
"316000542_4": "「そうだな……。\\n それまでは泥縄でも現れる端から潰していくしかないが」",
"316000542_5": "「ほんとに、骨が折れる」",
"316000542_6": "「装者がわたしたち2人きりなんだ。仕方あるまい」",
"316000542_7": "「あのバカ、いい加減戻って来いって」",
"316000542_8": "「む。噂をすれば、だ――」",
"316000542_9": "「はあああ――ッ!!」",
"316000542_10": "「やっぱり堅いッ!?」",
"316000542_11": "「よく戻ったな」",
"316000542_12": "「はい、ただいま戻りましたッ!」",
"316000542_13": "「ったく。おせーぞ」",
"316000542_14": "「……ッ!」",
"316000542_15": "「シャロンちゃんッ! 今帰ったよッ!」",
"316000542_16": "「あれ。でも、どうしてシャロンちゃんもここに?」",
"316000542_17": "「オートマシンが出現したと聞いて、どうしてもついてくると\\n 言ってな……危険だと言ったんだが」",
"316000542_18": "「もしかして、\\n それで翼さんとクリスちゃんもそのギアになれたんですねッ」",
"316000542_19": "「それもこれもこの子のおかげだ」",
"316000542_20": "「そういうことだ」",
"316000542_21": "「…………」",
"316000542_22": "「そっか。ありがとうね、シャロンちゃん」",
"316000542_23": "「……(こく)」",
"316000542_24": "「――ッ!」",
"316000542_25": "「あ、わたしのギアも、またッ!?」",
"316000542_26": "「このギアが3人揃えば怖い物なしだ」",
"316000542_27": "「ああ。一気に殲滅する。行くぞ、立花ッ!」",
"316000542_28": "「はいッ!!」",
"316000542_29": "「殲滅完了、っと」",
"316000542_30": "「毎回こうだと良いんだがな」",
"316000542_31": "「これもシャロンちゃんのおかげだね」",
"316000542_32": "「……シャロンちゃん?」",
"316000542_33": "「…………」",
"316000542_34": "「なんか、顔色が――」",
"316000542_35": "「――ッ!?」",
"316000542_36": "「シャロンちゃん、どうかした――ッ?」",
"316000542_37": "「シャロンちゃんッ!」",
"316000542_38": "「おいッ! しっかりしろッ!」",
"316000542_39": "「待たせた。メディカルチェックの結果が出た」",
"316000542_40": "「シャロンちゃんの容態、どうなんですか?」",
"316000542_41": "「状況は想像以上に深刻だった」",
"316000542_42": "「そんなッ!?」",
"316000542_43": "「具体的にはどの程度なのですか?」",
"316000542_44": "「全身に聖遺物の侵食が増大し、\\n 既に重要器官にまで及びだしているそうだ」",
"316000542_45": "「立花くんから先ほど貰った情報と比較しても、\\n かなり危険な症状だ」",
"316000542_46": "「そんな……」",
"316000542_47": "「でも前回のメディカルチェックじゃ、\\n そこまでじゃなかったんだろ」",
"316000542_48": "「ああ。ここ数日で急速に進んだと見るのが妥当だろう」",
"316000542_49": "「でも……、どうして急に……」",
"316000542_50": "「……まさかッ!?」",
"316000542_51": "「何か心当たりがあるのか?」",
"316000542_52": "「わたしたちのギアを変化させたあの力……」",
"316000542_53": "「――ッ!?\\n あの力が、侵食を加速させたってことかよッ」",
"316000542_54": "「それじゃあ、\\n わたしたちを助けるために……」"
}

View file

@ -0,0 +1,66 @@
{
"316000611_0": "それでも力になりたい",
"316000611_1": "「…………」",
"316000611_2": "「…………」",
"316000611_3": "「…………」",
"316000611_4": "「シャロンちゃん……まだ目が覚めないのかな……」",
"316000611_5": "「――ッ!」",
"316000611_6": "「すまない、立花。わたしたちがシャロンに頼ったばっかりに、\\n 彼女の侵食を悪化させることになるとは……」",
"316000611_7": "「あたしもだ」",
"316000611_8": "「あいつのこと任されてたのに逆に助けられて。\\n 挙げ句、あいつをこんな風にしちまって……」",
"316000611_9": "「ううん。\\n 元はといえば、わたしのギアを変化させたりしたから……」",
"316000611_10": "「…………」",
"316000611_11": "「…………」",
"316000611_12": "「…………」",
"316000611_13": "「今は、今後どうするかを話すべきだろうな」",
"316000611_14": "「これ以上はシャロンちゃんの身体がもたないよ」",
"316000611_15": "「ああ。力を使わせないようにするべきだ……」",
"316000611_16": "「カルマイズならばS2CAトライバーストで対応可能だろう。\\n 問題はオートマシンだが……」",
"316000611_17": "「カルマノイズがいなけりゃイグナイトが使えるのにな……」",
"316000611_18": "「けど、オートマシンってどんどん強くなってるんだよね?」",
"316000611_19": "「そうだな。手に負えなくなる前に根本的な対処を\\n 取らねば手詰まりになるだろう」",
"316000611_20": "「…………」",
"316000611_21": "「シャロンちゃんッ!」",
"316000611_22": "「大丈夫? 苦しくない?」",
"316000611_23": "「……(こく)」",
"316000611_24": "「立花。ここで騒いでも迷惑だ。\\n 部屋に戻るとしよう」",
"316000611_25": "「ああ。こいつも、ちゃんとした部屋で休ませてやらないとな」",
"316000611_26": "「は、はい。そうですね」",
"316000611_27": "「じゃあ、帰ろうか」",
"316000611_28": "「……(こく)」",
"316000611_29": "「シャロンちゃん……病気の原因が、聖遺物だって分かる?」",
"316000611_30": "「……(こく)」",
"316000611_31": "「シャロンの力のおかげで何度も助けられた。\\n それは心から感謝している」",
"316000611_32": "「でも、その力が、\\n シャロンちゃんの病気の進行を早めているかもしれないの」",
"316000611_33": "「だから、\\n わたしたちはもうシャロンちゃんに度と聖遺物の――」",
"316000611_34": "「ヤントラ・サルヴァスパの力は使わないでほしい」",
"316000611_35": "「……(ふるふる)」",
"316000611_36": "「いやって……」",
"316000611_37": "「お前……死ぬかもしれないんだぞッ!」",
"316000611_38": "「――ッ!?」",
"316000611_39": "「雪音ッ!」",
"316000611_40": "「……ごめん。怒鳴っちまって」",
"316000611_41": "「だが、わたしも同意見だ。\\n みんな、シャロンを心配してるんだ……」",
"316000611_42": "「…………」",
"316000611_43": "「シャロンちゃん。\\n もし言いたいことがあるなら、書いてみて。ね」",
"316000611_44": "「……(こく)」",
"316000611_45": "『わたし……やくたたず?』",
"316000611_46": "「シャロンちゃん……」",
"316000611_47": "「そんなことないッ!」",
"316000611_48": "「役立たずなんかじゃ、ない……」",
"316000611_49": "「シャロンちゃんから、わたしたちは\\n ちゃんとたくさんのものを貰ってるよ」",
"316000611_50": "「シャロンちゃんが傍にいると、\\n とても温かい気持ちになる」",
"316000611_51": "「それがあるから、わたしたちは戦えるんだ」",
"316000611_52": "「…………」",
"316000611_53": "(誰かの役に立つか立たないかだけでしか\\n 己の価値を計れぬとは……不憫な子だ",
"316000611_54": "「二課からの緊急通信だ」",
"316000611_55": "「……はい。分かりました、ただちに出動します」",
"316000611_56": "「雪音、立花。ノイズが出現したそうだ」",
"316000611_57": "「ノイズ? こんな時に……ッ!」",
"316000611_58": "「同感だが、対応しないわけにもいくまい」",
"316000611_59": "「ごめんね、シャロンちゃん。\\n 大事な話の最中なのに……」",
"316000611_60": "「…………」",
"316000611_61": "「今度こそちゃんと待っててくれ。いいな?」",
"316000611_62": "「行ってくるね、シャロンちゃん」",
"316000611_63": "「…………」"
}

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@ -0,0 +1,18 @@
{
"316000621_0": "「ノイズ……ふん、そんな雑魚に興味は無い」",
"316000621_1": "「だが、そろそろ――」",
"316000621_2": "「ハッ、七面鳥撃ちだなッ!」",
"316000621_3": "「おっと――ッ!?」",
"316000621_4": "「油断大敵だぞ、雪音ッ!」",
"316000621_5": "「悪いッ!」",
"316000621_6": "「はああああ――ッ!!」",
"316000621_7": "「掃討完了、か?」",
"316000621_8": "「たぶんな」",
"316000621_9": "「いや、待て――ッ!」",
"316000621_10": "「あれって――カルマノイズッ!?」",
"316000621_11": "「この間の奴かッ!?」",
"316000621_12": "「貴様に付き合うのも飽きてきた。\\n そろそろ終幕としようッ」",
"316000621_13": "「ああ……今度こそ、叩き潰してやるッ!」",
"316000621_14": "「絶対に負けない。負けてやるものか」",
"316000621_15": "「シャロンちゃんが待ってるんだから――ッ!」"
}

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@ -0,0 +1,40 @@
{
"316000631_0": "「はあああ――ッ!!」",
"316000631_1": "「大分手応えを感じるようになってきましたッ!」",
"316000631_2": "「わたしたちも、大分奴との戦いに慣れてきたからな」",
"316000631_3": "「このまま押し切れる気もするが……」",
"316000631_4": "「また、逃げられてはやっかいだ」",
"316000631_5": "「だったら、アレで決めるしかないだろッ!」",
"316000631_6": "「奴の足場を崩したか」",
"316000631_7": "「今だッ!」",
"316000631_8": "「うん、S2CAでッ」",
"316000631_9": "「応ッ!」",
"316000631_10": "「<size=40>S2CA――トライバーストッ</size>」",
"316000631_11": "「な――ッ!?」",
"316000631_12": "「なんだ、このエネルギー反応は……ッ!?」",
"316000631_13": "「くッ! この力、まさか――」",
"316000631_14": "「八紘め。こんな奥の手を――ッ!?」",
"316000631_15": "「<size=40>S2CA――トライバーストッ</size>」",
"316000631_16": "「わたしたち、一振りの刃と化して――」",
"316000631_17": "「ぶちかませぇぇぇ――ッ!」",
"316000631_18": "「はああああああ――ッ!!」",
"316000631_19": "「な――ッ!?」",
"316000631_20": "「そんな……バカな……」",
"316000631_21": "「オートマシンがカルマノイズを庇っただとッ!?」",
"316000631_22": "「一体、どういうことッ!?」",
"316000631_23": "「くッ。またもや逃げられた」",
"316000631_24": "「クソ、折角追い詰めたってのによ」",
"316000631_25": "「うう……ッ!」",
"316000631_26": "「おい、大丈夫かッ!?」",
"316000631_27": "「だ、大丈夫……ちょっと疲れただけだからッ!」",
"316000631_28": "「S2CAの反動だろう……。マリアがいない現状では、\\n その負荷は立花に集中しているはずだ」",
"316000631_29": "「無理してんじゃねー。\\n ったく、もっと先輩を頼れよな」",
"316000631_30": "「同感だ。だが、今はもう少しだけ、戦えるか、立花?」",
"316000631_31": "「いけますッ!」",
"316000631_32": "「なるべくフォローはする。\\n しかし、この状況では死力を尽くす以外に無い……」",
"316000631_33": "「まさか、こんなにオートマシンが出てくるなんて……」",
"316000631_34": "「絶体絶命、か。\\n だが、なんとしても活路を切り開かねば……」",
"316000631_35": "「あのチビの力に頼るわけにはいかない。\\n あたしたちでなんとかするぞッ」",
"316000631_36": "「ああ……その通りだ」",
"316000631_37": "「シャロンちゃんのためにもッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,90 @@
{
"316000632_0": "「あああ――ッ!?」",
"316000632_1": "「く――ッ!」",
"316000632_2": "「くそお――ッ!」",
"316000632_3": "「……2人とも……大丈夫か?」",
"316000632_4": "「ああ、なんとかな……」",
"316000632_5": "「はい。まだ、やれます……」",
"316000632_6": "(強がっているが、2人とも消耗が激しい……。\\n 特に立花はS2CAの反動もある……",
"316000632_7": "(なんとか退路だけでも切り開かねば……)",
"316000632_8": "「2人ともついてこいッ!」",
"316000632_9": "「先輩ッ!?」",
"316000632_10": "「翼さんッ!」",
"316000632_11": "「はあ――ッ!!」",
"316000632_12": "「せい――ッ!!」",
"316000632_13": "(関節に当たった……? 牽制程度のつもりだったものが?)",
"316000632_14": "「翼さん、あぶないッ!」",
"316000632_15": "「?」",
"316000632_16": "「は――ッ!」",
"316000632_17": "(気のせいか?\\n 急にオートマシンの攻撃がゆるくなったような……",
"316000632_18": "(かといって、包囲を解くつもりはないようだ)",
"316000632_19": "(こちらをいたぶっているのか……?)",
"316000632_20": "(いや。感情を持つ生物ならともかく、\\n 機械兵器が人間をなぶる理由などあるまい",
"316000632_21": "(もしや裏に、何者かの意図が――)",
"316000632_22": "「――ッ!!」",
"316000632_23": "「あれは――シャロンちゃんッ!?」",
"316000632_24": "「馬鹿野郎ッ! あいつ、また力をッ!?」",
"316000632_25": "「シャロンちゃんッ? どうしてッ!?」",
"316000632_26": "「話している暇はないッ! この機を逃すなッ!」",
"316000632_27": "「ああッ! 一刻も早く倒しきれッ!」",
"316000632_28": "「う……うんッ!!」",
"316000632_29": "「はあああああ――ッ!!」",
"316000632_30": "「……ッ! ……ッ!」",
"316000632_31": "「――ッ!」",
"316000632_32": "「シャロンちゃんッ!」",
"316000632_33": "「また発作が起きてしまったようだ。\\n すぐ二課へ連れて行くぞ」",
"316000632_34": "「は……はいッ!」",
"316000632_35": "「シャロンちゃん、助かりますよね?」",
"316000632_36": "「予断を許さない状況だ。\\n 正直、今の我々の技術力では手の施しようがない」",
"316000632_37": "「そ……そんなッ!?」",
"316000632_38": "「このまま発作が治まらねば、命の危険が……」",
"316000632_39": "「何か打てる手はないのか……」",
"316000632_40": "「クソッ……あたしらが不甲斐ないばっかりに……」",
"316000632_41": "「……司令」",
"316000632_42": "「なんだ?」",
"316000632_43": "「その……オズワルド氏が面会を求めています」",
"316000632_44": "「……今取り込み中だ。また後で連絡すると――」",
"316000632_45": "「失礼するよ、八紘」",
"316000632_46": "「事前にアポイントをとってくれと言ったはずだが?」",
"316000632_47": "「なに。不誠実はお互い様だろう?」",
"316000632_48": "「どういう意味だ」",
"316000632_49": "「落とし物を返してもらいに来たのだよ」",
"316000632_50": "「落とし物だとッ!?」",
"316000632_51": "「よせ、雪音ッ!」",
"316000632_52": "「私の娘を君らが匿っているのは承知していた」",
"316000632_53": "「なかなか便利だっただろう、あれは?」",
"316000632_54": "「だが、君らは説明書もなしに使って道具を壊す口かね?\\n 大分危険な状態に陥っているようだが」",
"316000632_55": "「テメェッ! 知ってて泳がせていたのかッ!?」",
"316000632_56": "「そういうのを日本では逆ギレというのだったな。\\n まったく、不条理なことだ」",
"316000632_57": "「わざわざ煽るな、オズワルド」",
"316000632_58": "「これは失敬」",
"316000632_59": "「ではNEXT所長として特異災害対策機動部二課司令、\\n 風鳴八紘氏に正式に要求する。シャロンを返して頂きたい」",
"316000632_60": "「嫌だと言ったら?」",
"316000632_61": "「政治的問題に発展せざるを得ない――と忠告しておこう」",
"316000632_62": "「それは脅しか?」",
"316000632_63": "「解釈は任せよう」",
"316000632_64": "「だが、あの子は父親である私が連れ帰る。\\n これ以上の正当性はあるまい」",
"316000632_65": "「どの面下げて父親だッ!」",
"316000632_66": "「選択肢はないはずだ。\\n あの子の使い方を熟知しているのは私だけだ」",
"316000632_67": "「このまま融合が進めば、あの子は命を落とすだろう。\\n それも遠い話ではない。全ては君らの責任だ」",
"316000632_68": "「そ、それは……」",
"316000632_69": "「私だけがあの発作を抑える薬を処方できる。\\n 私だけがあの子を救えるのだ」",
"316000632_70": "「シャロンちゃん……」",
"316000632_71": "「……もはや、異論はないな?」",
"316000632_72": "(この人なんかにシャロンちゃんを渡したくない)",
"316000632_73": "(きっとこの人は、またシャロンちゃんに\\n 酷いことをするに違いない",
"316000632_74": "(でも……)",
"316000632_75": "(でも、渡さないとシャロンちゃんが\\n 死んじゃうかもしれない……",
"316000632_76": "(今こうしている間にも、あの苦しみをシャロンちゃんは\\n 味わってるんだ……",
"316000632_77": "「……わかった。少女を引き渡そう」",
"316000632_78": "「――ッ!!」",
"316000632_79": "「お、おいッ!?」",
"316000632_80": "「……少女の命を第一と考えるなら、\\n 彼の言う通り、我々に選択の余地はない」",
"316000632_81": "「ですがッ!」",
"316000632_82": "「すまない」",
"316000632_83": "「だが、約束しろオズワルド。その子を必ず救うと」",
"316000632_84": "「言われるまでもないことだ。\\n 私の大事な愛娘なのだからね」",
"316000632_85": "「あ……、くッ……」",
"316000632_86": "(シャロンちゃん……ごめん。\\n 助けてあげられなくて……",
"316000632_87": "(ごめんね……)"
}

View file

@ -0,0 +1,79 @@
{
"316000711_0": "シャロンのいない部屋",
"316000711_1": "「体調はどうだ?\\n 少しはラクになっただろう」",
"316000711_2": "「…………」",
"316000711_3": "「応急処置レベルの薬だが、帰るまでは持つだろう」",
"316000711_4": "「いつでも出発できます」",
"316000711_5": "「ご苦労。先発したまえ。私も後を追う」",
"316000711_6": "「了解しました」",
"316000711_7": "「手回しのいいことだ」",
"316000711_8": "「なに。そろそろ潮時だとわかっていたのでね」",
"316000711_9": "「全て把握していながら、なぜ今まで泳がせていた?」",
"316000711_10": "「かわいい子には旅をさせよ――と、日本では言うのだろう?」",
"316000711_11": "「煙に巻くな」",
"316000711_12": "「フ……決まっているだろう。\\n 計画に必要だったからさ」",
"316000711_13": "「なんだと?」",
"316000711_14": "「おかげですべての材料が揃った。\\n これで始めることができる」",
"316000711_15": "「あの子が鍵だったのか……」",
"316000711_16": "「そうだ」",
"316000711_17": "「ヤントラ・サルヴァスパの力を引き出し、\\n それと同化することで、あらゆる機械を自在に操らせる……」",
"316000711_18": "「そう、ヴィマーナにはその力が必要だった」",
"316000711_19": "「だが、そのために自身の娘を実験体にするとは……」",
"316000711_20": "「我々の放棄したシンフォギアを秘密裏に模倣完成させ、\\n 娘を装者に仕立て上げていた君が言えた義理かね」",
"316000711_21": "「それは……違う」",
"316000711_22": "「何が違うというのだ?」",
"316000711_23": "「…………」",
"316000711_24": "「否定できまい。\\n 結局、君も私も同じ穴の狢ということだよ」",
"316000711_25": "「あれが己の娘であるかどうかなど関係ない。\\n 実現すべき理想のために役立つかどうか――それだけが重要だ」",
"316000711_26": "「あれも、人類の発展の礎になれると喜んでいるだろうさ」",
"316000711_27": "「オズワルド……お前は……」",
"316000711_28": "「そこで指をくわえてみているがいい」",
"316000711_29": "「私がこの世界を変革する、その時をな」",
"316000711_30": "「……ただいま……」",
"316000711_31": "「おかえりなさい、響」",
"316000711_32": "「響、怪我してるの?」",
"316000711_33": "「少しだけね……。\\n でも、検査してもらって大丈夫だって」",
"316000711_34": "「そう。よかった」",
"316000711_35": "「…………」",
"316000711_36": "「……どうしたの?」",
"316000711_37": "「……うん。ちょっと、ね……」",
"316000711_38": "「ねえ、響……、聞かせて」",
"316000711_39": "「うん……」",
"316000711_40": "「シャロンちゃん、お父さんのところに帰ったんだ」",
"316000711_41": "「……そうなんだ」",
"316000711_42": "「良かった……っていう感じの顔じゃないよね」",
"316000711_43": "「うん……」",
"316000711_44": "「だって……だってさ」",
"316000711_45": "「そのお父さんがシャロンちゃんを実験台にした組織の\\n 責任者なんだよ」",
"316000711_46": "「そんなのってないよッ! 酷すぎるッ!」",
"316000711_47": "「うん……そうだね……」",
"316000711_48": "「それなのにわたし……」",
"316000711_49": "「結局わたしには、何もできなくて。\\n それが悔しくて……悲しくて……」",
"316000711_50": "「シャロンちゃんに、お別れは言えたの?」",
"316000711_51": "「シャロンちゃん、あの後目を覚ましたんだけど。\\n お父さんの姿を見たら、ただ黙ってお父さんの方に……」",
"316000711_52": "「怖がってなかった?」",
"316000711_53": "「ううん……でも……」",
"316000711_54": "「でも?」",
"316000711_55": "「なんかシャロンちゃん、諦めたような顔、してたかも……」",
"316000711_56": "「……それで、響はどうしたいの?」",
"316000711_57": "「わからないんだ……」",
"316000711_58": "「そっか……」",
"316000711_59": "「…………」",
"316000711_60": "「響、あのね」",
"316000711_61": "「うん?」",
"316000711_62": "「わたしは、響は響がしたいように、すればいいと思う」",
"316000711_63": "「響はいつも誰かのために拳を振るってるんだから、\\n 響が思う通りにするのが一番いいことだとわたしは思うよ」",
"316000711_64": "「わたしの、したいこと……」",
"316000711_65": "「うん」",
"316000711_66": "「顔……」",
"316000711_67": "「?」",
"316000711_68": "「シャロンちゃんの顔……」",
"316000711_69": "「わたし、シャロンちゃんが笑ったところ、まだ見てない」",
"316000711_70": "「シャロンちゃんのこと、笑顔にさせてあげたい」",
"316000711_71": "「ありがとう、未来。\\n おかげで自分が何をしたいのかわかったよ」",
"316000711_72": "「どうすればシャロンちゃんのこと、\\n 笑顔にできるかまだわからないけど……」",
"316000711_73": "「わたし、行ってくるねッ!」",
"316000711_74": "「あ、響ッ!?」",
"316000711_75": "「もう……本当に、思い込んだらまっしぐらなんだから」",
"316000711_76": "「でも……それが響らしい」"
}

View file

@ -0,0 +1,22 @@
{
"316000712_0": "「はああああああ――――ッ!」",
"316000712_1": "「ふう……」",
"316000712_2": "(ちッ……どれだけ暴れても、すっきりしねえ……)",
"316000712_3": "「フッ、先客がいたか」",
"316000712_4": "「雪音もか……」",
"316000712_5": "「ああ。そっちも訓練か?」",
"316000712_6": "「訓練という名を借りた、ただの憂さ晴らしだ。\\n 雪音もそうなんだろう」",
"316000712_7": "「まあな……」",
"316000712_8": "「わたしたちは、どうするべきだったんだろうな」",
"316000712_9": "「どうもこうもあるか。\\n あいつは自分からついていったんだ……」",
"316000712_10": "「体のこともある。あれが最善とは思わないが、\\n しかし……」",
"316000712_11": "「わかってる。\\n 他に選択肢がなかったっていうんだろ」",
"316000712_12": "「あのバカですらわかってる。\\n 今更、いちいち言われるまでもない……」",
"316000712_13": "「だが立花の気持ちを思うと、やりきれないな」",
"316000712_14": "「あのバカ、猫かわいがりしてたしな」",
"316000712_15": "「すぐに別れなきゃいけないってわかってるのに。\\n っとに、脇甘すぎるんだよ」",
"316000712_16": "「だが立花だけではないだろう。\\n 雪音、お前も……」",
"316000712_17": "「あたしは別に、そんなんじゃない」",
"316000712_18": "「とにかく、さっさとカルマノイズをぶっ倒す。\\n それだけだ」",
"316000712_19": "「ああ……そうだな」"
}

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@ -0,0 +1,42 @@
{
"316000721_0": "「……ただいま」",
"316000721_1": "「いるわけないってわかってんだろ」",
"316000721_2": "「うん。でも、つい……ね」",
"316000721_3": "(書きかけの練習ノートと鉛筆……)",
"316000721_4": "(シャロンちゃんにって買った、コップと食器……)",
"316000721_5": "「何をうろうろしているんだ?」",
"316000721_6": "「大人しく座ってろって」",
"316000721_7": "「クリスちゃん。翼さん」",
"316000721_8": "「どうした?」",
"316000721_9": "「なんだ?」",
"316000721_10": "「わたしはシャロンちゃんと会いたい、\\n もう一度ここに連れてきたい」",
"316000721_11": "「今更そんなこと言っても、仕方ないだろ」",
"316000721_12": "「ううん、仕方なくなんてない」",
"316000721_13": "「シャロンちゃん本人から、\\n まだどうしたいか聞いてないからッ」",
"316000721_14": "「あたしたちじゃ、あいつを治せないんだぞ」",
"316000721_15": "「わかってるッ! だけど……」",
"316000721_16": "「相手は彼女の親権者であり、かつNEXTという組織の責任者だ。\\n それも米国を後ろ盾にした、な」",
"316000721_17": "「それがどれ程容易ならぬことか、立花だってわかるだろう?」",
"316000721_18": "「それもわかってます」",
"316000721_19": "「でも……娘1人笑顔にできない父親なんて。\\n 組織なんて。国なんて――」",
"316000721_20": "「そんなの、絶対間違ってますよッ!」",
"316000721_21": "「この世界で誰もシャロンちゃんの幸せを考えてくれないなら、\\n わたしだけでも味方になってあげたいんですッ」",
"316000721_22": "「……ッ!」",
"316000721_23": "「立花……」",
"316000721_24": "「お前はこの世界の人間じゃないんだ。\\n ずっと面倒見られるわけじゃない」",
"316000721_25": "「犬猫拾うのとワケが違うんだぞ?」",
"316000721_26": "「そんなことわかってるよッ!」",
"316000721_27": "「それでもわたしは、あの子が笑って生きられる道を、\\n 一緒に探してあげたい」",
"316000721_28": "「たとえ、ずっと一緒にいることができなくても」",
"316000721_29": "「傍にいてあげることだけが愛情じゃないって、\\n 翼さんも言ったじゃないですか」",
"316000721_30": "「ああ……そうだったな」",
"316000721_31": "「ほんとにお前ってやつは……。\\n 無茶を通せば道理が引っ込むと思ってるだろ」",
"316000721_32": "「本当にな。\\n だが……それも立花らしい」",
"316000721_33": "「五体と魂に絡みつく道理としがらみを振りほどいて、\\n それでも尚、相手にその手を差し伸ばせる、その心――」",
"316000721_34": "「わたしたちが、それに今まで、どれ程救われてきたか」",
"316000721_35": "「それは……そうだけどよ」",
"316000721_36": "「二課からの緊急通信だ。\\n またイズが現れたらしい」",
"316000721_37": "「ったく。性懲りもなく……」",
"316000721_38": "「立花、この話はまた後だ。\\n 今は装者としての務めを果たそう」",
"316000721_39": "「はいッ!」"
}

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@ -0,0 +1,10 @@
{
"316000731_0": "「はああ――ッ!!」",
"316000731_1": "「くたばりやがれ――ッ!!」",
"316000731_2": "「おおおおお――ッ!」",
"316000731_3": "「終わりましたかッ?」",
"316000731_4": "「いや……真打ち登場のようだ」",
"316000731_5": "「何をするにしても、まずはこいつを片付けて、\\n こっちの世界の脅威を取り除いてからだ」",
"316000731_6": "「ああ、カルマノイズを倒せるのはわたしたちだけだ――」",
"316000731_7": "「いざ参るッ!」"
}

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@ -0,0 +1,19 @@
{
"316000741_0": "「よし、大分動きが鈍ってきたな」",
"316000741_1": "「今度こそ、トドメだッ!」",
"316000741_2": "「はいッ!」",
"316000741_3": "「S2CAッ トライ――ッ」",
"316000741_4": "「待て。あれは――ッ!?」",
"316000741_5": "「またオートマシン?」",
"316000741_6": "「やはり……このオートマシンの操り手は、\\n カルマイズを護っているようだ」",
"316000741_7": "「はッ!? なんだってッ?」",
"316000741_8": "「操り手って、誰かが操ってるんですかッ!?」",
"316000741_9": "「ああ、前回に続いてだからな、その可能性は高い」",
"316000741_10": "「だが、今わかっているのは、カルマノイズを倒すには、\\n 先にオートマシンを片付ける必要があるということだけだ」",
"316000741_11": "「だけど、オートマシンを倒したら、\\n またカルマイズが逃げ出すんじゃないのか」",
"316000741_12": "「いや、カルマノイズがオートマシンと行動を同じくしている\\n 可能性は低いだろう」",
"316000741_13": "「とはいえ、オートマシンに手を取られ過ぎれば、結果として\\n カルマイズが消える可能性もある……」",
"316000741_14": "「ブリッツクリークか、面白いッ!\\n やってやろうじゃねーかッ」",
"316000741_15": "「ああ、一気呵成にオートマシンを倒し、即座にS2CAを発動、\\n そのままカルマイズを葬り去る。行けるな、立花ッ」",
"316000741_16": "「はい、やりましょうッ!」"
}

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@ -0,0 +1,33 @@
{
"316000742_0": "「相変わらず堅いが――ッ!」",
"316000742_1": "「3人がかりなら、まだなんとかッ!」",
"316000742_2": "「わたしたちはシャロンちゃんを迎えに行くんだから――。\\n 邪魔をするなーッ」",
"316000742_3": "「はああああああ――ッ!!」",
"316000742_4": "「1体、1体集中して攻撃すればなんとかなるッ!」",
"316000742_5": "「カルマノイズの様子は?」",
"316000742_6": "「大丈夫だ。まだいやがる」",
"316000742_7": "「よし。残りのオートマシンを仕留めたら、\\n 打ち合わせ通りにいくぞ」",
"316000742_8": "「はいッ! わかってますッ!」",
"316000742_9": "「なんだ、こんな時に?」",
"316000742_10": "「すぐに退避するんだッ! ヴィマーナが動くッ!」",
"316000742_11": "「ヴィマーナッ?」",
"316000742_12": "「それは一体?」",
"316000742_13": "「いいから早く退避をッ!」",
"316000742_14": "「なんかヤバそうだぞ」",
"316000742_15": "「やむを得まい。離脱するッ!」",
"316000742_16": "「でも、もう少しでカルマノイズを――」",
"316000742_17": "「いいから来い、このバカッ!」",
"316000742_18": "「なんだこれはッ! 空から光がッ!」",
"316000742_19": "「この光はヤバいぞッ!」",
"316000742_20": "「うわあああ――ッ!?」",
"316000742_21": "「くうぅ――――ッ!?」",
"316000742_22": "「あああああ――ッ!?」",
"316000742_23": "「うう…………」",
"316000742_24": "「痛ってー……」",
"316000742_25": "「何が……起きたの……?」",
"316000742_26": "「何かが着弾したんだ。しかし、この威力――」",
"316000742_27": "「おい、カルマノイズもオートマシンも……、\\n 消えちまった」",
"316000742_28": "「翼さん、クリスちゃんッ! あれッ!」",
"316000742_29": "「なんだ、あれは……」",
"316000742_30": "「空を飛ぶ……戦艦……?」"
}

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@ -0,0 +1,83 @@
{
"316000811_0": "人類の希望を乗せた船",
"316000811_1": "「あの巨大な戦艦は一体なんですかッ!?」",
"316000811_2": "「ヴィマーナだ。\\n 聖遺物をベースに、異端技術によって組み上げられた兵器」",
"316000811_3": "「知っていたのかよッ!?」",
"316000811_4": "「ああ」",
"316000811_5": "「あれはかつてF.I.S.が発見した物で、\\n 幾度となく起動実験を繰り返されてきた」",
"316000811_6": "「しかし、結局起動には至らず、F.I.S.は起動計画を放棄した」",
"316000811_7": "「それを、オズワルド率いるNEXTが継いで、\\n 研究を続けていたものだ」",
"316000811_8": "「聖遺物を元にした巨大兵器――。\\n チフォージュ・シャトーみたいなもんか」",
"316000811_9": "「そのようだな」",
"316000811_10": "「あれは起動すれば、シンフォギア・システムをも凌駕する、\\n 人類の切り札たり得る代物のはずだった……」",
"316000811_11": "「でも、あんな……街ごと吹き飛ばす兵器なんてッ!」",
"316000811_12": "「立花の言う通りです。避難が完了していなければ、\\n どれほどの犠牲者が出ていたか知れません」",
"316000811_13": "「確かにあれは人間には強力すぎる力――劇薬に違いない」",
"316000811_14": "「だが結果、黒いノイズの撃破に成功、\\n オートマシンに対しても有効であると示された」",
"316000811_15": "「ですが――」",
"316000811_16": "「私たちには、この手段しかなかったのだ……」",
"316000811_17": "「かつてF.I.S.の開発したシンフォギアは不完全な代物の上、\\n 唯一の適合者もイズの前に敢えなく敗れた……」",
"316000811_18": "「ノイズに対抗するには、\\n 我々は別の力にすがるしかなかったのだ」",
"316000811_19": "「例えそのために、1人の少女を犠牲にしたとしても……」",
"316000811_20": "「少女って……」",
"316000811_21": "「まさか……シャロンちゃんッ!?」",
"316000811_22": "「なんだとッ!?」",
"316000811_23": "「どういうことだ……おいッ!」",
"316000811_24": "「彼女は、ヴィマーナを起動する鍵だと、\\n オズワルドはそう言っていた」",
"316000811_25": "「それって、どういう……?」",
"316000811_26": "「そうか、ヤントラ・サルヴァスパかッ!?」",
"316000811_27": "「その通りだ。あらゆる機械を制御しうる、\\n ヤントラ・サルヴァスパ――」",
"316000811_28": "「その力を引き出して、ヴィマーナを操艦しているはずだ」",
"316000811_29": "「ですが、そんなことをしたら……」",
"316000811_30": "「ああ……遠からず、あの少女は――」",
"316000811_31": "「そんなッ!? シャロンちゃんが……」",
"316000811_32": "「薬は発作を抑えるが、\\n 侵食そのものを止めるものではない……」",
"316000811_33": "「力を使えば使うほど、聖遺物は、\\n 彼女の人たる部分を侵食していくだろう」",
"316000811_34": "「黙ってやらせてたっていうのかッ!?」",
"316000811_35": "「まさか、このような形で鍵を生み出そうとするとは、\\n 私も思っていなかった」",
"316000811_36": "「――いや。それはただの言い訳だな。\\n 己の手を汚さなかったというだけに過ぎん」",
"316000811_37": "「…………」",
"316000811_38": "「あれがどれ程忌まわしい所業の産物だとしても、\\n 一瞬、この世界を照らす光明と思ってしまったのは事実だ」",
"316000811_39": "「なんだとッ?」",
"316000811_40": "「これまでノイズやオートマシンの前に、為す術もなく\\n 死を迎えた数多の市民や局員の最後を想えば、な……」",
"316000811_41": "「これ以上の数多の犠牲と少女1人の命とを天秤に掛ける――。\\n 二課を率いる者としては、その数の論理を否定はできぬ……」",
"316000811_42": "「――ッ!」",
"316000811_43": "「オズワルドが言っていたよ。\\n 我々は同じ穴の狢だ、とな」",
"316000811_44": "「そんな……」",
"316000811_45": "「くそったれがッ!」",
"316000811_46": "「シャロン……ちゃん……」",
"316000811_47": "「――で。どうする?」",
"316000811_48": "「どうするって……」",
"316000811_49": "「チビのことだよ」",
"316000811_50": "「言っただろ?\\n ここに連れ戻して、笑わせてやるって」",
"316000811_51": "「まだそう思ってるのか?」",
"316000811_52": "「わたし、は……」",
"316000811_53": "「わたし、やっぱり、シャロンちゃんを見捨てられないよ……」",
"316000811_54": "「それはわたしも同じ想いだ。だが――」",
"316000811_55": "「だが?」",
"316000811_56": "「あれはノイズやオートマシンへの\\n 対抗手段を持たない、この世界の唯一の希望――」",
"316000811_57": "「それをわたしたちが情にほだされ、\\n 奪ってもいいものだろうか……」",
"316000811_58": "「シャロン、ちゃん……」",
"316000811_59": "(わたし、どうしたら……)",
"316000811_60": "「立花……」",
"316000811_61": "「…………」",
"316000811_62": "(シャロンちゃんのノート……)",
"316000811_63": "「…………」",
"316000811_64": "『ヒビキおねえちゃん。クリスおねえちゃん』",
"316000811_65": "『ツバサおねえちゃん。いつもありがと』",
"316000811_66": "「シャロンちゃん……」",
"316000811_67": "『みんながよくしてくれて、ほんとうに、うれしいです』",
"316000811_68": "「あのチビ……」",
"316000811_69": "『ずっと、ここにいたい』",
"316000811_70": "『でも、たぶん、そろそろ、おわかれです』",
"316000811_71": "「そこまで悟って……?」",
"316000811_72": "「…………ッ!?」",
"316000811_73": "『わたしはだいじょうぶです。へいき、へっちゃらだから』",
"316000811_74": "「――ッ!!」",
"316000811_75": "「こんなの……へいきなはずないッ!\\n へいきでいいわけないよッ」",
"316000811_76": "「……そうだな」",
"316000811_77": "「あんないい子が、兵器の犠牲になどなっていいはずがない。\\n そんなこと、許せるはずがない」",
"316000811_78": "「ああ、助けてやろうじゃねーか」",
"316000811_79": "「待ってて、シャロンちゃん」",
"316000811_80": "「必ず、お姉ちゃんたちが助けに行くからね」"
}

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@ -0,0 +1,63 @@
{
"316000812_0": "「くう――ッ!?」",
"316000812_1": "「さらに強くなってるッ!?」",
"316000812_2": "「クソッ、性能向上は天井知らずかよッ!」",
"316000812_3": "(この手応えは――?)",
"316000812_4": "「くッ!?」",
"316000812_5": "「ちい――ッ!?」",
"316000812_6": "(これは――ッ?)",
"316000812_7": "「――くッ! 一度距離を取って立て直すぞッ!」",
"316000812_8": "「おい、大丈夫かッ!?」",
"316000812_9": "「なんとか……でも、どうしよう?」",
"316000812_10": "「毎回毎回、こう強化されちゃ、手に負えないぞ」",
"316000812_11": "「しかし装甲強度や火力そのものは、\\n 前回までとそう大差はなさそうだ」",
"316000812_12": "「なら、なんでここまで手こずるんだ?」",
"316000812_13": "「以前とは行動パターンが異なるようだ」",
"316000812_14": "「それって、動きが速くなってるってことですか?」",
"316000812_15": "「それだって性能向上には違いないだろ」",
"316000812_16": "「いや……そういう感じではないな」",
"316000812_17": "「これまでは手控えていたのが、今では本気でこちらを\\n 倒しに来ているような――そんな感覚が近い」",
"316000812_18": "「今まで手加減してたってのか?」",
"316000812_19": "「ああ。機械相手だから殺気の有無こそ感じられないが、\\n 攻撃が急所を的確に狙うようになってきたように思える」",
"316000812_20": "「なんでそんなことを……?」",
"316000812_21": "(そう、なぜそんなことを?)",
"316000812_22": "(オートマシンの――。\\n いや、それを操る者の意図は、なんなのだ",
"316000812_23": "(オートマシンを何度もわたしたちの前に出現させ、\\n そしてまたカルマイズを護るかのように振る舞っていた",
"316000812_24": "(そんなことをして、一体誰が何の得をする?)",
"316000812_25": "(わたしたちを窮地に追い込むため?\\n だが、そうまでしても仕留めようとはせずにいた理由とは",
"316000812_26": "「<size=40>――まさかッ!?</size>」",
"316000812_27": "「急に後ろで大声出すなってッ!」",
"316000812_28": "「どうしたんですかッ!?」",
"316000812_29": "「これまで、オートマシンはシャロンに\\n 聖遺物の力を使わせるために出現していたのではないか」",
"316000812_30": "「なんだってッ!?」",
"316000812_31": "「そう考えればマンションの近郊でばかりに\\n 出現していたのも納得がいく」",
"316000812_32": "「前に雪音も言っていただろ、これは偶然か、と」",
"316000812_33": "「確かに言ったけど、それじゃ……」",
"316000812_34": "「ああ、それが正しければ首謀者は――」",
"316000812_35": "「まさか――」",
"316000812_36": "「くう――ッ!」",
"316000812_37": "「立花ッ!?」",
"316000812_38": "「くッ! あっちいけッ!!」",
"316000812_39": "「あ、ありがとう、クリスちゃんッ!」",
"316000812_40": "「今は誰が黒幕かなんて考えても仕方ないだろッ!」",
"316000812_41": "「目の前のこいつらを倒せなけりゃ、\\n こっちがやられるだけだッ」",
"316000812_42": "「ああ。確かにな……」",
"316000812_43": "「だが、この数を切り崩すのは容易ではないな」",
"316000812_44": "「珍しいな、先輩が弱音か?」",
"316000812_45": "「客観的に分析しただけだ」",
"316000812_46": "「そんな計算なんて、覆してみせますッ!」",
"316000812_47": "「ああ……人間は機械の計算を凌駕する可能性を\\n 秘めているということ、証明してみせようッ」",
"316000812_48": "「ったく。結局はいつもの根性論かよッ!」",
"316000812_49": "「こんなのに負けてたら、シャロンちゃんを\\n 助けることなんてできやしない……」",
"316000812_50": "「絶対に勝ってみせるッ!!」",
"316000812_51": "「え――ッ? な、なんでッ?」",
"316000812_52": "「ギアが、勝手に――」",
"316000812_53": "「変化した、だと――?」",
"316000812_54": "「まさか……近くにシャロンちゃんがッ!?」",
"316000812_55": "「見ろッ! 上空に、ヴィマーナがッ!」",
"316000812_56": "「あんな巨大な船が、いつの間に頭の上にッ!?」",
"316000812_57": "「ワープしてきたとでもいうのか」",
"316000812_58": "「ッ!? 気をつけろ、撃ってくるぞッ!!」",
"316000812_59": "「ちッ!」",
"316000812_60": "「うわあああ――ッ!?」"
}

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@ -0,0 +1,82 @@
{
"316000821_0": "「くッ! またかよ……」",
"316000821_1": "「大丈夫か?」",
"316000821_2": "「あ、ああ……」",
"316000821_3": "「しかし、相変わらずなんという威力だ……」",
"316000821_4": "「わたしたちなら逃げ切れると踏んで放っているのか?\\n それとも……」",
"316000821_5": "「あのバカは?\\n 今ので吹き飛んだのか」",
"316000821_6": "「いや、立花に限ってそれは――」",
"316000821_7": "「まさかッ!?」",
"316000821_8": "「くう――ッ!」",
"316000821_9": "「あ、あのバカッ、何やってんだッ!?」",
"316000821_10": "「変化したギアの腕に乗って、\\n ヴィマーナに――」",
"316000821_11": "「後先考えずに、荒技すぎるだろッ!」",
"316000821_12": "「だって――シャロンちゃんに会わないとッ!」",
"316000821_13": "「ったく。\\n ああなったら、もう止められやしないか――」",
"316000821_14": "「ああ……ここからではわたしたちには手の出しようもない。\\n ひとまず急いで二課に戻ろう」",
"316000821_15": "「そうだな」",
"316000821_16": "(あたしらが行くまで無茶すんなよ)",
"316000821_17": "「これがヴィマーナの中……」",
"316000821_18": "「ぼうっとしてる場合じゃない。\\n シャロンちゃんを探さないとッ」",
"316000821_19": "「この部屋は……S.O.N.G.の格納庫みたいな……」",
"316000821_20": "「オートマシンッ!?」",
"316000821_21": "「こんなに沢山……眠ってるみたいに……」",
"316000821_22": "「まるで最初からここに置いてあったような――」",
"316000821_23": "「まさかッ!?」",
"316000821_24": "「こちら響ッ! 聞こえますかッ!?」",
"316000821_25": "「なんだと、それは本当かッ!?」",
"316000821_26": "「……わかった、また何かわかったら連絡をくれ」",
"316000821_27": "「ただいま戻りました」",
"316000821_28": "「今の通信、まさか?」",
"316000821_29": "「ああ、立花くんからだ」",
"316000821_30": "「何があったんだ?」",
"316000821_31": "「ヴィマーナの中に、稼働前のオートマシンが\\n 大量に格納されていたそうだ」",
"316000821_32": "「やはり……」",
"316000821_33": "「それってまさか……。\\n オートマシンはヴィマーナから送り込まれてたってことか」",
"316000821_34": "「再確認ですが、ヴィマーナは、\\n オズワルド氏とNEXTが起動させたのですね」",
"316000821_35": "「ああ……恐らくは、そのはずだ」",
"316000821_36": "「だとすれば、答えは明白です」",
"316000821_37": "「すべて、オズワルドの自作自演だと……?」",
"316000821_38": "「はい」",
"316000821_39": "「自作自演? なんだってそんなことする必要が?」",
"316000821_40": "「途中廃棄されたヴィマーナ計画の存続の為、だろうな」",
"316000821_41": "「人類の脅威を自ら演出することで、ヴィマーナの存在を\\n 正当化させるため――といったところでしょうか」",
"316000821_42": "「マッチポンプかよッ!\\n そのために何人死んだんだッ」",
"316000821_43": "「しかし、あの少女がこちらの庇護下にある時にも\\n オートマシンは来襲した。それは何故だ」",
"316000821_44": "「確かに現状では全ての疑問が解消できたわけではなく、\\n 断定とまではいかないかもしれません」",
"316000821_45": "「……古いご友人を信じたい気持ちもわかります」",
"316000821_46": "「ですが……現況を省みれば、彼の関与は明白です」",
"316000821_47": "「ここしばらくの近隣でのオートマシンの襲撃多発も、\\n 彼の意図があったものだと思われます」",
"316000821_48": "「意図だと?」",
"316000821_49": "「はい」",
"316000821_50": "「ヴィマーナ起動に足るまでヤントラ・サルヴァスパを励起\\n させるべく、シャロンに力を使わせようとしていた――」",
"316000821_51": "「そう考えれば、今までのオートマシンの出現の偏重も、\\n 不可解な行動も、辻褄が合います」",
"316000821_52": "「あの少女は、装者である立花くんに懐いていた……」",
"316000821_53": "「無理やりではなく、\\n 自ら力を使わせるように仕向けたと」",
"316000821_54": "「しかし、オズワルドが、自らの娘を――」",
"316000821_55": "「おかげですべての材料が揃った。\\n これで始めることができる」",
"316000821_56": "「まさか……あの子が鍵だったのか……?」",
"316000821_57": "「そうだ」",
"316000821_58": "「ヤントラ・サルヴァスパの力を引き出し、\\n それと同化することで、あらゆる機械を自在に操らせる……」",
"316000821_59": "「そう、ヴィマーナにはその力が必要だった」",
"316000821_60": "「あたしらまで利用されてたっていうのかよ?」",
"316000821_61": "「そういえば、\\n オートマシンがカルマイズを護ったのはなんでだ」",
"316000821_62": "「あの黒いのノイズは、我々の世界における最大の脅威だった。\\n それを倒せる力となれば、政界の者なら彼に賛同するだろう」",
"316000821_63": "「つまりそれも自演のためってわけか……、\\n カルマイズをぶっ倒して力を示すための」",
"316000821_64": "「ああ、そういう筋書きだろう」",
"316000821_65": "(オズワルド……、\\n 私は、そうは考えたくなかった……",
"316000821_66": "「今まさに1人の少女が、偽りの大義名分のために\\n 犠牲になろうとしているのです」",
"316000821_67": "「それを黙って見ているなど、防人の――、\\n 風鳴の血を引く者としてありえませんッ」",
"316000821_68": "「翼……」",
"316000821_69": "(弦……お前がここにいれば、\\n 同じことを言うのだろうな……",
"316000821_70": "「……そうだな。それこそが風鳴の者――、\\n 防人たる者の矜持であったな」",
"316000821_71": "「はい……」",
"316000821_72": "「2人とも、至急ヴィマーナへ向かってくれッ!\\n 足はこちらで手配する」",
"316000821_73": "「それではッ!?」",
"316000821_74": "「うむ」",
"316000821_75": "「特異災害対策機動部二課司令としてS.O.N.G.の装者諸君に、\\n 正式にシャロンの救出作戦の遂行を要請するッ」",
"316000821_76": "「謹んで受諾いたしますッ!」",
"316000821_77": "「ったく。これだから石頭親子は、いちいち手間がかかる」",
"316000821_78": "「そんなもん、頼まれなくたってやってやるッ!」",
"316000821_79": "「待ってろよ、\\n 今すぐ飛んで行くからなッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,10 @@
{
"316000831_0": "「この部屋もオートマシンでいっぱいだ……」",
"316000831_1": "「え……なに、この音?」",
"316000831_2": "「わわわわわッ!? オートマシンが起動したッ!?」",
"316000831_3": "「あぶなッ!?」",
"316000831_4": "「行く手を塞ぐつもり?」",
"316000831_5": "「だけど、こんなところでグズグズしてられないよ」",
"316000831_6": "「たとえ1人だって負けるものか。\\n 必ず、シャロンちゃんの元まで辿り着いてみせる」",
"316000831_7": "「だってこのギアが――。\\n シャロンちゃんからのなんだからッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,33 @@
{
"316000841_0": "「はああああ――ッ!!」",
"316000841_1": "(力が漲ってくる。\\n まるでシャロンちゃんがわたしを護ってるみたい",
"316000841_2": "(だけどこの力は、使わせちゃいけない力……)",
"316000841_3": "(早くシャロンちゃんの所に行かないと)",
"316000841_4": "「残りは――ッ?」",
"316000841_5": "「――あと2機ッ!!」",
"316000841_6": "「えッ!?」",
"316000841_7": "「待たせた」",
"316000841_8": "「1人でずいぶん派手にやってたみたいだな」",
"316000841_9": "「2人ともッ!?」",
"316000841_10": "「まったく、立花の無鉄砲さには\\n いつも冷や冷やさせられるぞ」",
"316000841_11": "「ごめんなさい。\\n シャロンちゃんのことを思ったら、つい身体が……」",
"316000841_12": "「だからって先走るなっての。\\n 一緒に助けるって言っただろうが」",
"316000841_13": "「その想いはわたしたちとて同じだ。\\n いや――今や、二課もな」",
"316000841_14": "「それって……?」",
"316000841_15": "「ああ。正式な要請をもらった」",
"316000841_16": "「シャロンを救出し、オズワルドを拘束。\\n 多少強引な方法でもよい、とのことだ」",
"316000841_17": "「それ、本当……ですか?」",
"316000841_18": "「馬鹿面すんな。\\n こんなこと嘘ついてどうするよ」",
"316000841_19": "「さあ、行くぞッ、立花ッ!\\n わたしたちの手でシャロンを助け出すッ」",
"316000841_20": "「――はいッ! 行きましょうッ!!」",
"316000841_21": "「何故だ?」",
"316000841_22": "「何故……装者どもがこのヴィマーナに……?」",
"316000841_23": "「ヴィマーナのシールドが作動してるはず」",
"316000841_24": "「それに、あのシンフォギアの形状――」",
"316000841_25": "「あれはヤントラ・サルヴァスパの干渉による変異?」",
"316000841_26": "「そうか……<speed=0.5>。</speed>\\n 貴様があいつらに手を貸しているのか、シャロンッ」",
"316000841_27": "「…………」",
"316000841_28": "「道具は道具らしく、我が意に従っていればいいものを……」",
"316000841_29": "「……いいだろう」",
"316000841_30": "「ならば……その意思すらも奪い取ってしまえばいい……」"
}

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@ -0,0 +1,17 @@
{
"316000842_0": "「どうやらここが最深部みたいだな」",
"316000842_1": "「ああ、恐らく管制室といったところか」",
"316000842_2": "「シャロンちゃんッ!」",
"316000842_3": "「シャロンちゃん、どこッ!?」",
"316000842_4": "「まさかここまで辿り着くとは、な……」",
"316000842_5": "「その声はッ!」",
"316000842_6": "「なるほど、我々の開発したシンフォギアとは\\n 数段性能が違うようだ」",
"316000842_7": "「あなたは――」",
"316000842_8": "「オズワルドッ!!」",
"316000842_9": "「よく来たな、装者の諸君」",
"316000842_10": "「ここまで来たと言うことは、\\n もはや隠し事は意味をなさないな」",
"316000842_11": "「ああ、お前がやってきたことは全てわかってるんだよ」",
"316000842_12": "「シャロンちゃんを返してッ!」",
"316000842_13": "「私の方が父親であると言うのに、返せとは、な」",
"316000842_14": "「フッ、まあいい、仮にも娘の友人だ。\\n 不本意ではあるが、盛大に歓迎するとしよう」"
}

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@ -0,0 +1,14 @@
{
"316000911_0": "機械仕掛けの奇跡",
"316000911_1": "(…………)",
"316000911_2": "「シャロンちゃんッ!」",
"316000911_3": "(…………呼んで……る?)",
"316000911_4": "「シャロンちゃん、どこッ!?」",
"316000911_5": "(…………だ……れ?)",
"316000911_6": "(誰だろう、この声……)",
"316000911_7": "(すごく心、落ち着いて、いつまでも聞いていたいような……)",
"316000911_8": "(思い出せない……)",
"316000911_9": "(そんな、昔のことじゃ、ないはずなのに……)",
"316000911_10": "(どうしてわたしは、ここにいるんだっけ?)",
"316000911_11": "(たしか、わたしは――)"
}

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@ -0,0 +1,62 @@
{
"316000921_0": "(ああ……そうだった……)",
"316000921_1": "(あの日、お父さんの研究所が、黒いノイズに襲われたんだ)",
"316000921_2": "(わたしは、お姉ちゃんと妹たちと一緒に、\\n その混乱にまぎれて研究所を逃げ出した",
"316000921_3": "(だけど、研究所の大人たちは、わたしたちを捕まえようと――)",
"316000921_4": "「こっちよッ! 早く」",
"316000921_5": "「はあ、はあ、はあ……」",
"316000921_6": "「……他の姉妹たちとも離れ離れになっちゃった」",
"316000921_7": "「みんな、捕まっちゃうの……?」",
"316000921_8": "「…………」",
"316000921_9": "「いい、この物陰に隠れて、絶対に出てこないで」",
"316000921_10": "「……?」",
"316000921_11": "「わたしはみんなを探してくるから」",
"316000921_12": "「――ッ!?」",
"316000921_13": "「もし、しばらくしても戻らなかったら、\\n ここから向こうの方角へ走って」",
"316000921_14": "「港があるって研究員たちが言っていた。\\n 運が良ければ船に乗れるかもしれない」",
"316000921_15": "「みんなも一緒がいい」",
"316000921_16": "「……大丈夫、みんな一緒よ」",
"316000921_17": "そうして、お姉ちゃんは、1人、研究所の方へ向かい――",
"316000921_18": "(結局、戻ってくることはなかった)",
"316000921_19": "(わたしもみんなを助けに行きたかったけど、\\n 怖くて体が動かなかった",
"316000921_20": "(もし捕まったらまた痛いことをされるから、\\n 多分、いっぱい罰も受ける",
"316000921_21": "(痛いのはもうイヤ、苦しいのはもうイヤ)",
"316000921_22": "(体の震えも、涙も止まらない……)",
"316000921_23": "(ただ静かにして、時々聞こえる悲鳴が、\\n みんなのでないことを祈ることしか出来なかった",
"316000921_24": "(周りが静かになって、\\n わたしは言われた通り、港へ向かった",
"316000921_25": "(そこで、偶然泊まっていた船に飛び乗った)",
"316000921_26": "(何日かして港について、陸に上がって)",
"316000921_27": "(人目を避けて森の中を歩いていたら、ノイズが現れて――)",
"316000921_28": "(誰かに助けてほしくて、\\n 叫ぼうとしたら、声が出なくなっていた",
"316000921_29": "(必死に逃げたけど、囲まれて)",
"316000921_30": "(ああ……これでもう終わりなんだって、そう思った)",
"316000921_31": "「ぁ…………ぅ……ッ!?」",
"316000921_32": "「はあああああ――ッ!!」",
"316000921_33": "「もう大丈夫だよッ!」",
"316000921_34": "「…………」",
"316000921_35": "「あれ……君。さっきの――」",
"316000921_36": "(そうだ、◆◆が助けてくれたんだ――)",
"316000921_37": "(太陽のように温かい人)",
"316000921_38": "(きっとこの人はかみさまなんだ、って。そう思った……)",
"316000921_39": "(基地で身体を調べられた後、部屋に連れていかれた)",
"316000921_40": "(少しの間、◆◆たちも一緒だったけど、いなくなってしまった)",
"316000921_41": "(また、1人になって、心細くて……)",
"316000921_42": "(研究所に戻されるんじゃないかって、すごく怖くて……)",
"316000921_43": "(そう思って、あの時のように、じっとうずくまっていた)",
"316000921_44": "(みんなと離れ離れになったあの日のことを思い出して、\\n 息が苦しくなった",
"316000921_45": "(心が、ぎゅっとしめつけられるように痛んだ)",
"316000921_46": "「おーい。帰ってきたよー」",
"316000921_47": "「かくれんぼしてないで出ておいで~?」",
"316000921_48": "「…………」",
"316000921_49": "「あ、いたいた」",
"316000921_50": "「…………」",
"316000921_51": "「ただいま」",
"316000921_52": "「どうしたの、そんなところで」",
"316000921_53": "(帰ってきてくれて嬉しかった)",
"316000921_54": "(それからもたまにいなくなることもあったけど)",
"316000921_55": "(みんな、わたしのことを大切にしてくれた)",
"316000921_56": "(◆◆は、わたしに、文字も教えてくれた)",
"316000921_57": "(『シャロン』って、わたしを呼んでくれる)",
"316000921_58": "(頑張るとほめてくれた)",
"316000921_59": "(◆◆の傍は温かくて、ずっとそこにいたいと思った……)"
}

View file

@ -0,0 +1,59 @@
{
"316000931_0": "「おっ買い物~ッ♪ おっ買い物~ッ♪\\n シャロンちゃんとおっ買い物ッ♪」",
"316000931_1": "「…………」",
"316000931_2": "「…………」",
"316000931_3": "「ごめんね、シャロンちゃん。\\n 歩くの速かったね」",
"316000931_4": "「離れないように手、繋ごっか」",
"316000931_5": "「…………」",
"316000931_6": "「……(こくり)」",
"316000931_7": "「フフ……」",
"316000931_8": "(こんなに自由にお外を歩くのは、生まれて初めてで、\\n とても気持ちがいいけど……",
"316000931_9": "(何よりも、◆◆と手を繋いで歩くことが嬉しかった)",
"316000931_10": "(でも、あの怖い機械が追いかけてきて)",
"316000931_11": "「……ッ!?」",
"316000931_12": "「シャロンちゃん? どうしたの――」",
"316000931_13": "「なッ!? オートマシンッ!?」",
"316000931_14": "「なんで、こんなところにッ!」",
"316000931_15": "「…………」",
"316000931_16": "「大丈夫。\\n お姉ちゃんが絶対に護ってあげるからッ」",
"316000931_17": "「Balwisyall Nescell gungnir tron――」",
"316000931_18": "「………ッ!?」",
"316000931_19": "「シャロンちゃんには絶対にッ!\\n 本触れさせないッ」",
"316000931_20": "(◆◆はわたしを護ろうと戦ってくれた……)",
"316000931_21": "(けれど、◆◆があの機械に攻撃されて、苦しそうだった)",
"316000931_22": "「ぐあ――ッ!!」",
"316000931_23": "「ぐッ……」",
"316000931_24": "「――ッ!?」",
"316000931_25": "「だ、大丈夫だよ、シャロンちゃん……」",
"316000931_26": "「こんなの……へいき、へっちゃら、だからッ!」",
"316000931_27": "(◆◆を助けたかった)",
"316000931_28": "(わたしに何かできることはないかって思った)",
"316000931_29": "(そう、必死で◆◆を助けたいと願うと、不思議なことが起きた)",
"316000931_30": "「なに、この光――」",
"316000931_31": "「わたしの……ギア、が……?」",
"316000931_32": "「これは……どうして、急に?」",
"316000931_33": "「それに、この溢れる力は――ッ?」",
"316000931_34": "(◆◆にわたしの中にある何かの力が流れ込んで、\\n 姿が変わり、あの機械を倒してくれた",
"316000931_35": "(わたしは、◆◆の役に立てたことが嬉しかった)",
"316000931_36": "(わたしはここにいていいのかな、って)",
"316000931_37": "(少しだけ、そう思えるようになった)",
"316000931_38": "(だけど……)",
"316000931_39": "「ふう。今日は疲れちゃったねー」",
"316000931_40": "「…………」",
"316000931_41": "「また今度、お買い物の続き行こうね」",
"316000931_42": "「……(こくん)」",
"316000931_43": "「…………ッ!」",
"316000931_44": "「どうしたの?」",
"316000931_45": "「(ふるふる)」",
"316000931_46": "「先に行くのを嫌がっているのか?」",
"316000931_47": "「どうしたんだ、急に」",
"316000931_48": "「震えてる……怖いの?」",
"316000931_49": "(お父さんがわたしを連れ戻しに来た)",
"316000931_50": "(また研究所に戻るのが怖かった)",
"316000931_51": "(◆◆の傍から引き離されるのが怖くて、\\n お父さんの気配を感じて、逃げ出した",
"316000931_52": "「先に部屋に戻ってろ。\\n チビのこと頼んだぞ」",
"316000931_53": "「うん……」",
"316000931_54": "「…………」",
"316000931_55": "(でも、みんなはわたしをお父さんに引き渡さないでくれた)",
"316000931_56": "(……このままわたし、ここにいていいのかな?)"
}

View file

@ -0,0 +1,48 @@
{
"316000932_0": "「はあああ――ッ!」",
"316000932_1": "「くそッ……カルマノイズだけでも倒しきれないってッ!」",
"316000932_2": "「奴の高速修復に攻撃量が追いついていないということか」",
"316000932_3": "「イグナイトさえ使えれば……」",
"316000932_4": "(またあの機械がやってきてた……)",
"316000932_5": "(◆◆の大事な、お友達が苦しんでいた)",
"316000932_6": "(だから、また助けたいと願った)",
"316000932_7": "「…………ッ!」",
"316000932_8": "「って、チビッ!?\\n なんだってこんなところにッ」",
"316000932_9": "「わたしたちを追って来たのか?」",
"316000932_10": "「バカッ、こっちにくるなッ!」",
"316000932_11": "「シャロンが狙われたッ!?」",
"316000932_12": "「ちくしょう――ッ!!」",
"316000932_13": "「間に合え――ッ!」",
"316000932_14": "「――――ッ!!」",
"316000932_15": "「な、なんだこの光はッ!」",
"316000932_16": "「これは、先日の立花が言っていた――ッ!?」",
"316000932_17": "「こいつは、確か――」",
"316000932_18": "「ヤントラ・サルヴァスパの――ッ!?」",
"316000932_19": "「このギアならば、\\n オートマシンの装甲をも貫通できるかもしれないッ」",
"316000932_20": "「ああ。これなら――ッ!」",
"316000932_21": "(手伝うことが出来て、わたしなんかがみんなの助けになれて、\\n 本当に嬉しかった",
"316000932_22": "(……力を使った後は、時々、胸が痛くて、苦しくなったけど、\\n 気にならなかった",
"316000932_23": "(だって、研究所でいやいや力を使わされてた時とは、\\n ぜんぜん違ったから……",
"316000932_24": "(でも――それなのに)",
"316000932_25": "「シャロンちゃん……病気の原因が、聖遺物だって分かる?」",
"316000932_26": "「……(こく)」",
"316000932_27": "「君の力のおかげで何度も助けられた。\\n それは心から感謝している」",
"316000932_28": "「でも、その力が、\\n シャロンちゃんの病気の進行を早めているかもしれないの」",
"316000932_29": "「だから、\\n わたしたちはもうシャロンちゃんに度と聖遺物の――」",
"316000932_30": "「ヤントラ・サルヴァスパの力は使わないでほしい」",
"316000932_31": "「……(ふるふる)」",
"316000932_32": "「いやって……」",
"316000932_33": "(力を、使ったらダメだと言われた)",
"316000932_34": "(わたしは◆◆たちを助けたいのに、力になりたいのに、\\n ダメだって……",
"316000932_35": "(体のことなんてどうでもいい。\\n 苦しくなったって構わない",
"316000932_36": "(役立たずにはなりたくない……)",
"316000932_37": "(その気持ちを、ノートに書いて伝えた)",
"316000932_38": "(そしたら――)",
"316000932_39": "「そんなことないッ!」",
"316000932_40": "「役立たずなんかじゃ、ない……」",
"316000932_41": "「シャロンちゃんから、わたしたちは\\n ちゃんとたくさんのものを貰ってるよ」",
"316000932_42": "「シャロンちゃんが傍にいると、\\n とても温かい気持ちになる」",
"316000932_43": "「それがあるから、わたしたちは戦えるんだ」",
"316000932_44": "(◆◆はわたしがいるだけで、\\n 温かい気持ちを受け取ってると言ってくれた",
"316000932_45": "(でも、そんなの。わたしのほうがもっとたくさんたくさん、\\n 数え切れないほど貰ってるのに……"
}

View file

@ -0,0 +1,95 @@
{
"316000941_0": "(わたしは、お父さんのところに戻った)",
"316000941_1": "(胸の痛みを思い出したから)",
"316000941_2": "(これ以上◆◆に悲しい顔をさせたくなかった)",
"316000941_3": "(それに、わたしはもう充分だから――)",
"316000941_4": "(だから代わりに、わたしはわたしを助けてくれてた\\n お姉ちゃんや妹たちを、◆◆みたいに助けたかったから……",
"316000941_5": "(◆◆に教わった文字で、お父さんにお願いした)",
"316000941_6": "(『もう誰にも、お姉ちゃんにも、妹にも酷いことしないで』\\n ――って",
"316000941_7": "「なるほどな。それがお前の望みか」",
"316000941_8": "「臆病だったお前が、少し見ぬ間に成長したものだ。\\n 父として嬉しく思うぞ」",
"316000941_9": "「安心しなさい。\\n 私はお前の父親だ。お前が願う通りにしよう」",
"316000941_10": "「だが、その代わりに――」",
"316000941_11": "(お父さんは約束してくれた)",
"316000941_12": "(全部、わたしがやるなら、\\n お姉ちゃんや妹たちには、もう痛いことはしないって",
"316000941_13": "(そうだった……)",
"316000941_14": "(だからわたしは、今、こうして――)",
"316000941_15": "「シャロンちゃんを返せッ!」",
"316000941_16": "「それは聞けない相談だ。それに、もう遅い……見えるかね?\\n このヴィマーナの鍵となった愛しき娘の姿がッ」",
"316000941_17": "「まさか……その中に……ッ!?」",
"316000941_18": "「戦艦に食わせたとでも言うのかよッ!」",
"316000941_19": "「外道が……ッ!」",
"316000941_20": "「素晴らしいと思わないか? 人と聖遺物の融合体。\\n シンフォギアのような不確かで不完全な物ではない」",
"316000941_21": "「この子はヴィマーナの頭脳にして心臓。聖遺物と一体となり、\\n 人類の希望として永遠の命を得るのだッ」",
"316000941_22": "「貴様……自らの娘をなんだと思っているッ!」",
"316000941_23": "「大事な大事な娘さ。そう、ヴィマーナを動かすのに必要な、\\n 何よりも大事なパーツ……道具だからな」",
"316000941_24": "「シャロンちゃんは道具じゃないッ!」",
"316000941_25": "「道具だよ、私の言うことだけを聞く、便利な……」",
"316000941_26": "「シャロンちゃんッ! 聞こえるッ!?\\n すぐにそんなところから出してあげるから――ッ」",
"316000941_27": "「呼びかけても無駄だ。\\n 既に処置は完了したからな」",
"316000941_28": "「何をしやがったッ!?」",
"316000941_29": "「大したことはしていない。ただ、君らへの執着が邪魔だった、\\n だからその記憶に蓋をし、洗脳を施しただけだ」",
"316000941_30": "「もう、シャロンには私の声しか届かない」",
"316000941_31": "「貴様は……どこまでッ!」",
"316000941_32": "「さて、戯れはこれくらいにしておこうか。\\n シャロン、侵入者を排除しろ」",
"316000941_33": "「ちッ! 囲まれたッ!」",
"316000941_34": "「あれだけ倒してきたのに、まだこれ程残っているというのか?」",
"316000941_35": "「いくら倒そうともキリなどあるものか」",
"316000941_36": "「これらはガーディアン――このヴィマーナを守護するために、\\n ヴィマーナが生み出す子機なのだからな」",
"316000941_37": "「オートマシンが……ヴィマーナの一部だとッ!?」",
"316000941_38": "「しかしオートマシンは、シャロンがヴィマーナを\\n 再起動する前から出現していたはず」",
"316000941_39": "「日本にはことわざがあるだろう。\\n 馬鹿と鋏は使いよう――だったかな」",
"316000941_40": "「何が言いたい?」",
"316000941_41": "「なに……出来損ないの被検体どもも、\\n ガーディアンを起動する程度の役には立ったということさ」",
"316000941_42": "「まさか……シャロンちゃんの姉妹を使ってッ!?」",
"316000941_43": "「適合係数の低い失敗作を有効利用したまでだ。\\n 何を憤ることがある」",
"316000941_44": "「人を物みたいに……許せないッ!」",
"316000941_45": "「いや……失敗作とは言え、充分役に立ったな」",
"316000941_46": "「あいつらを助けるために、\\n シャロンが我が意に再び従ったのだから」",
"316000941_47": "「そんな……」",
"316000941_48": "「人質に使ったのかッ!?」",
"316000941_49": "「人聞きの悪い。全てシャロンが望んだこと」",
"316000941_50": "「そう、私は娘の望みを叶えてやったにすぎんよ」",
"316000941_51": "「その口で娘などと軽々しく言うなッ!」",
"316000941_52": "「親と子というものは、\\n そんな関係であるべきものではないッ」",
"316000941_53": "「八紘の娘ごときが、賢しげに。\\n 我ら親子の在り方に口を挟むなッ」",
"316000941_54": "「あれも、人類の希望となれることを喜んでいたさ」",
"316000941_55": "「人類の……希望? これが?」",
"316000941_56": "「そうだとも――ヴィマーナは遂に起動した」",
"316000941_57": "「これで、人類は新たなるステージへと進むのだッ!」",
"316000941_58": "「オズワルド……お前という男は……」",
"316000941_59": "「やはり、あのことがお前を変えてしまったというのか……?」",
"316000941_60": "「シャロンちゃんをそんなことの犠牲にはさせない……絶対に」",
"316000941_61": "「貴様らごときがさえずろうと、最早どうにもならぬ」",
"316000941_62": "「それよりも自分の身を心配したらどうかね?」",
"316000941_63": "「八紘との旧交に免じ、今下船するならば命だけは助けてやろう」",
"316000941_64": "「嫌ですッ!\\n シャロンちゃんのこと、もう諦めないって決めたんだッ」",
"316000941_65": "「ならばここで死ぬがいいッ!」",
"316000941_66": "「くッ!」",
"316000941_67": "「露払いはわたしたちに任せろ」",
"316000941_68": "「ああ。お前はチビのところへ行け」",
"316000941_69": "「翼さん……クリスちゃん……」",
"316000941_70": "「無尽蔵に湧くというオートマシンを、\\n 全員で倒し続けても埒はあかない」",
"316000941_71": "「それにシャロンを救い出せば、\\n このヴィマーナも機能を停止するはずだ」",
"316000941_72": "「オートマシンの生産機能もな」",
"316000941_73": "「あ、そうか……」",
"316000941_74": "「分かったら早く行けって」",
"316000941_75": "「あの泣き虫のチビを、しっかり連れ戻してこいよ」",
"316000941_76": "「……うんッ! 必ず、助けるからッ!」",
"316000941_77": "「さあ、雪音。一暴れするとしようか」",
"316000941_78": "「こちとらストレス溜まってたところだ。\\n 撃って撃って撃ちまくってやるッ」",
"316000941_79": "「では――共に参るぞッ!!」",
"316000941_80": "「あぁッ!」",
"316000941_81": "「…………」",
"316000941_82": "「シャロンちゃんッ!」",
"316000941_83": "「そうはさせんよッ!」",
"316000941_84": "「一体何を――ッ!?」",
"316000941_85": "「壁の機械が変形して――ッ!?」",
"316000941_86": "「コアを守護するための非常装置だ。\\n これで手も足も出まいッ」",
"316000941_87": "「シャロンちゃんが……あの中にッ!」",
"316000941_88": "「さあ、倒せるものなら、倒してみるんだなッ!」",
"316000941_89": "「くッ……」",
"316000941_90": "(この中にシャロンちゃんがいるなら、\\n 下手なところは攻撃できない……",
"316000941_91": "「フッ、かかってこないのかね?\\n ならば、こちらから行くとしようか」",
"316000941_92": "「マスターガーディアンよッ! 侵入者を排除せよッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,49 @@
{
"316000951_0": "「ぐう――ッ!?」",
"316000951_1": "「シャロン、ちゃん……」",
"316000951_2": "「ごめんね、シャロンちゃんが苦しんでる時、\\n 助けてあげられなくて」",
"316000951_3": "「あの時、連れていかれるシャロンちゃんを止められなくて」",
"316000951_4": "「でも……今度こそ、助ける……から、ね……」",
"316000951_5": "<size=40>「だから、一緒に帰ろうッ!」</size>",
"316000951_6": "(……帰る、あの人のところへ)",
"316000951_7": "(……お日様のように温かい、あの場所へ――)",
"316000951_8": "(帰りたい、帰りたいよ……)",
"316000951_9": "「くうッ……」",
"316000951_10": "(どうすればシャロンちゃんを傷つけずに倒せるの?)",
"316000951_11": "「ハハハッ! そこまでか?」",
"316000951_12": "「シンフォギアなどやはりその程度ッ!」",
"316000951_13": "「そうだ。だからこそ、あれは犠牲になったのだ……」",
"316000951_14": "「そんな不確かなものに――。\\n 人類の未来を委ねるわけにはいかぬッ」",
"316000951_15": "「この私とヴィマーナこそが、\\n 人類を導く救世主と、その御座に相応しいのだッ」",
"316000951_16": "「シャロンちゃん……聞こえる?」",
"316000951_17": "「無駄だ、届かないと言っているだろう?\\n 命乞いでもするつもりか」",
"316000951_18": "「そんなことない。\\n シャロンちゃんはわたしを忘れてなんかいない……」",
"316000951_19": "「だって、シャロンちゃんの意志をわたしは知ってるから」",
"316000951_20": "「戯言を……」",
"316000951_21": "「わたしたちの力になってくれる、このギアがシャロンちゃんの\\n 意志、わたしたちに助けを求めてる声なんだッ」",
"316000951_22": "「わたしは、もう一度シャロンちゃんと話したい。\\n あの部屋で一緒に過ごしたいッ」",
"316000951_23": "「だから……そんな機械なんかに、シャロンちゃんを\\n 大切にしない人なんかに、絶対渡したりしないッ」",
"316000951_24": "「フン……満足したか?\\n ならば、そろそろ幕引きといこう」",
"316000951_25": "(わたしと一緒に……)",
"316000951_26": "(わたしも、わたしも一緒にいたい……)",
"316000951_27": "(だから――ッ!!)",
"316000951_28": "「――だから、聞かせてッ!」",
"316000951_29": "<size=40>「どうすればシャロンちゃんは笑顔になれるのかッ!」</size>",
"316000951_30": "<size=40>「助けてッ! 響お姉ちゃんッ!」</size>",
"316000951_31": "「シャロンちゃん、聞こえたよッ!」",
"316000951_32": "「待ってて、すぐにそんなところから出してあげるッ!」",
"316000951_33": "「馬鹿なッ! 自力で洗脳から脱しただとッ!?」",
"316000951_34": "「いや、だからといってどうだというのだッ!」",
"316000951_35": "「そいつを、お前は倒せまいッ!」",
"316000951_36": "「なにせ、下手をすればシャロンの命を\\n その手で奪うことになるのだからなッ」",
"316000951_37": "「く――ッ!」",
"316000951_38": "「恐れるなッ! 手を差し伸べることをッ!」",
"316000951_39": "「立花ならやれる。\\n 今まで数多の奇跡を起こしてきた、立花のそのギアならばッ」",
"316000951_40": "「お前のギアが、大切なもんを傷付けるはずないだろッ!\\n 行けッ 自分の力を信じろッ」",
"316000951_41": "「翼さん、クリスちゃん」",
"316000951_42": "「シャロンちゃん……。\\n 今、助けてあげるからね……」",
"316000951_43": "「はああああ――――ッ!」",
"316000951_44": "「馬鹿なッ! シャロンがどうなってもいいというのかッ!?」",
"316000951_45": "「――わたしはッ! この手で助けるんだッ!!」",
"316000951_46": "「聴こえる、響お姉ちゃんの歌が――」"
}

View file

@ -0,0 +1,44 @@
{
"316000952_0": "「あ――ッ!」",
"316000952_1": "「シャロンちゃんッ!!」",
"316000952_2": "「大丈夫ッ!? 怪我は無いッ!?」",
"316000952_3": "「待たせちゃってごめんね」",
"316000952_4": "「響……お姉ちゃん……」",
"316000952_5": "「そんな可愛い声してたんだね、シャロンちゃん」",
"316000952_6": "「あ……」",
"316000952_7": "「ありがとう」",
"316000952_8": "「よかった……」",
"316000952_9": "「やっと見れたよ。\\n シャロンちゃんの笑顔」",
"316000952_10": "「みんな、響お姉ちゃんのおかげだよ」",
"316000952_11": "「感動の再会もいいけど、そろそろ脱出するぞ」",
"316000952_12": "「あ……」",
"316000952_13": "「2人とも、無事だったんだ。よかった……」",
"316000952_14": "「ああ。マスターガーディアンが倒れ、シャロンが\\n 解放されたせいか、オートマシンも一斉に停止してな」",
"316000952_15": "「あッ!! シャロンちゃん、\\n お話しできるようになったんですよ」",
"316000952_16": "「あ、あの……」",
"316000952_17": "「クリスお姉ちゃん、翼お姉ちゃん……ありがとう」",
"316000952_18": "「ああ……シャロンこそ、無事でなによりだ」",
"316000952_19": "「そのバカがどうしてもって言うから少しばかり手伝っただけだ。\\n 礼を言われることじゃないっての」",
"316000952_20": "「フフ……クリスちゃん、照れてる」",
"316000952_21": "「う、うるせーぞ、バカッ!」",
"316000952_22": "「フフ……」",
"316000952_23": "「さて、ゆっくり喜びを噛みしめたいところだが、\\n これ以上の時間はなさそうだ」",
"316000952_24": "「え?」",
"316000952_25": "「こちらの目論見通りヴィマーナは機能を停止したわけだが。\\n どうやら、そのおかげで落下し始めてるみたいでな」",
"316000952_26": "「ええええッ!?」",
"316000952_27": "「驚くな。当然だろう」",
"316000952_28": "「ヴィマーナが沈むだと……?」",
"316000952_29": "「私の偉業が……人類の新たな未来が、\\n こんなことで失われるというのかッ」",
"316000952_30": "「馬鹿な……こんなはずでは……これでは、彼女の――」",
"316000952_31": "「オズワルド氏。あなたにも同行していただきます」",
"316000952_32": "「あなたには、この一連の騒動について、\\n 全て説明していただかねばなりません」",
"316000952_33": "「あり得ない……何かの間違いだ……」",
"316000952_34": "「ほら、行くぞ」",
"316000952_35": "「…………」",
"316000952_36": "「…………」",
"316000952_37": "「お父さん……」",
"316000952_38": "「いつか……ちゃんと話し合えるといいね」",
"316000952_39": "「……うん」",
"316000952_40": "「それじゃ、わたしたちも脱出するよ、シャロンちゃん」",
"316000952_41": "「うん、響お姉ちゃんッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,168 @@
{
"316001011_0": "花咲く笑顔",
"316001011_1": "「…………」",
"316001011_2": "「風鳴司令、何か?」",
"316001011_3": "「彼と少し話をさせてくれ」",
"316001011_4": "「ですが、この男は一刻も早く本国に移送するように命令が――」",
"316001011_5": "「時間は取らせん。頼む」",
"316001011_6": "「はッ……」",
"316001011_7": "「オズワルド……」",
"316001011_8": "「敗残者を笑いに来たのか? 良い趣味だな」",
"316001011_9": "「冗談はいい。どうしてこんなことを?」",
"316001011_10": "「私に理由を問うのか? お前ならば知っているはずだろう」",
"316001011_11": "「ああ……そうだな。\\n だが、他にやりようはなかったのか」",
"316001011_12": "「お前は、私の判断が間違いだったというのか?」",
"316001011_13": "「お前たちのおかげでヴィマーナを失い、全て潰えたと思ったが、\\n それは誤りだと気づいたよ」",
"316001011_14": "「結果はどうあれ、これで世界の変革は始まる。\\n 私はやり遂げたのだ」",
"316001011_15": "「例え一時でも聖遺物の可能性を示せたのだから、\\n 私は満足しているよ」",
"316001011_16": "「オズワルド…………」",
"316001011_17": "「これ以上話すことはない」",
"316001011_18": "「よろしいでしょうか」",
"316001011_19": "「……ああ。すまなかった」",
"316001011_20": "「またな、八紘。かつての我が友よ」",
"316001011_21": "「ああ……、オズワルド」",
"316001011_22": "「オズワルド……」",
"316001011_23": "「確かにお前は昔から頭脳明晰だがそれ以上に野心家で……。\\n 私はそこに惹かれつつも、内心で危惧を抱いていた」",
"316001011_24": "「シンフォギア装者――」",
"316001011_25": "「彼女の死が無ければ、\\n お前がこんな道を選ぶことは……なかったはずだ」",
"316001011_26": "「その後、オズワルド氏はどうなったのですか?」",
"316001011_27": "「彼の身柄が米政府に引き渡されたのは知っているな」",
"316001011_28": "「はい、そこまでは」",
"316001011_29": "「その後、私は国連に呼びかけてNEXTとその上部組織F.I.S.、\\n そして米政府に対する査察を要求し、実施しているところだ」",
"316001011_30": "「米政府……ですか?」",
"316001011_31": "「どうしてそんなところまで?」",
"316001011_32": "「今回の件、いくら特殊研究機関NEXTの所長とはいえ、\\n オズワルドの単独でなし得ることではない」",
"316001011_33": "「異端技術で建造された船体を維持、研究するだけでも、\\n 莫大な予算と人手と資材が必要だ」",
"316001011_34": "「つまりF.I.S.や米国政府が全く知らないわけがないってことか」",
"316001011_35": "「その通りだ」",
"316001011_36": "「それで、査察の結果はどうなったんですか?」",
"316001011_37": "「結局のところ、米国側は全ての責任をオズワルドだけに被せ、\\n 知らぬ存ぜぬで通す腹の様だ」",
"316001011_38": "「蜥蜴の尻尾切りということですか」",
"316001011_39": "「そんな……」",
"316001011_40": "「米国もF.I.S.も、ヴィマーナの強大すぎる力を知るや否や、\\n 関係資料の隠滅や関係者の口封じに動いていたようだ」",
"316001011_41": "「老獪もすぎると醜悪ですね……」",
"316001011_42": "「それじゃ、シャロンちゃんのお父さんは……」",
"316001011_43": "「国家に無断で私的研究に膨大な国家予算を投じ、\\n かつ非人道的研究を行った咎で、米国から提訴されるだろう」",
"316001011_44": "「はッ。政治家どものやりそうなことだ」",
"316001011_45": "「我々も、出来るだけの手は尽くすつもりだ」",
"316001011_46": "「確かに彼は償うべき罪は大きい。\\n だが全ての咎を負わせて闇に葬ることだけは許してはならん」",
"316001011_47": "「他ならぬ、シャロンのためにもな」",
"316001011_48": "「……お願いします」",
"316001011_49": "「ところで、ヴィマーナはその後どうなったんですか?」",
"316001011_50": "「あのまま海へと墜落、そのまま沈んだため、\\n サルベージはまず無理だろう」",
"316001011_51": "「それでよかったのかもな。\\n そもそも、あんなもんに頼ったのが間違いだったんだ」",
"316001011_52": "「ああ……そうだな」",
"316001011_53": "「ですが、それでは今後のノイズ対策は……」",
"316001011_54": "「シンフォギア・システムの研究を進めるつもりだ」",
"316001011_55": "「オズワルドは、欠陥品などと言っていたが、君たちを見て、\\n シンフォギアには無限の可能性があるとわかった」",
"316001011_56": "「無論、F.I.S.のような非人道的な方法ではなく、\\n 我々は我々のやり方でな」",
"316001011_57": "「そうか」",
"316001011_58": "「だとしても、当分先のことになるだろうがね。\\n 今後、時間をかけて探っていくことになるだろう」",
"316001011_59": "「1日も早くそうなることを祈っています」",
"316001011_60": "「シャロンちゃんの姉妹たちは、どうなりました?」",
"316001011_61": "「オズワルドの娘たち――研究のために養子にされた子らも、\\n もれなくヤントラ・サルヴァスパを移植されていたそうだ」",
"316001011_62": "「分かってはいたが……」",
"316001011_63": "「改めてそう聞かされると、身につまされるものがあるな……」",
"316001011_64": "「それじゃ、融合症例を……」",
"316001011_65": "「ああ」",
"316001011_66": "「今後は我々の関連医療機関で引き取り、発作を抑える薬を\\n 処方しつつ、地道な治療を進めていくことになる」",
"316001011_67": "「ですが、よく米国が許しましたね?」",
"316001011_68": "「被害者たちを米政府の管理下にはおけぬと\\n 国連人権委員会から勧告させ、承諾させた」",
"316001011_69": "「今回の件、全てオズワルドの暴走という体を取っても、\\n 彼らの監督責任までは免れないからな」",
"316001011_70": "「無論、彼女たちの治療と生活にかかる費用は\\n 全て米国に出させるがね」",
"316001011_71": "「なかなかやるじゃねえか」",
"316001011_72": "「今度こそ彼女たちを大人たちの道具にはさせないと、\\n 君たちにかけて誓おう」",
"316001011_73": "「それが、今まで何もしてこなかった我々の、せめてもの償いだ」",
"316001011_74": "「……ありがとうございます」",
"316001011_75": "「お姉ちゃんたち、遅いよッ!」",
"316001011_76": "「あ、シャロンちゃん。ごめんごめんッ!」",
"316001011_77": "「もう、早く行こうよッ!」",
"316001011_78": "「うん、ちょっと待ってね」",
"316001011_79": "「もうそんな時間だったか。\\n では、難しい話はこれまでにしておこう」",
"316001011_80": "「用意ならば出来ている。大いに楽しんでくれ」",
"316001011_81": "「やったッ!」",
"316001011_82": "「よおし、それじゃ行こうか」",
"316001011_83": "「うんッ! 翼お姉ちゃんもクリスお姉ちゃんも早くねッ!」",
"316001011_84": "「ああ。すぐ行く」",
"316001011_85": "「わかったって」",
"316001011_86": "「それじゃ……」",
"316001011_87": "「かんぱーいッ!!」",
"316001011_88": "「シャロンちゃんの二課歓迎パーティ、開けてよかったね」",
"316001011_89": "「シャロンの姉妹たちも後から日本に来るならば、\\n 彼女たちが到着してからの方がよかったのだが……」",
"316001011_90": "「あたしらがいつまでもいられないからな。\\n 悪い」",
"316001011_91": "「ううん。みんなが来たら、\\n その時はまたパーティするよ」",
"316001011_92": "「今日はこの部屋の家族でパーティできて、うれしい」",
"316001011_93": "「家族……か。\\n うん、そうだね。わたしたち、家族だよね」",
"316001011_94": "「ああ。光栄だ」",
"316001011_95": "「そういうの、いちいち口に出すなよ。\\n 恥ずかしいだろ」",
"316001011_96": "「だが否定しないということは、\\n まんざらでもないのだろう」",
"316001011_97": "「だからいちいち突っ込むなっての……」",
"316001011_98": "「ハハハッ!」",
"316001011_99": "「それよりごちそう、いっぱいだよッ!」",
"316001011_100": "「ほらほら、早く食べようよッ!」",
"316001011_101": "「シャロンはそんなに食いしん坊だったのか?」",
"316001011_102": "「だってこんな色んなごちそう、初めて見たから」",
"316001011_103": "「なんだか、月読や暁たちと話が合いそうだな」",
"316001011_104": "「まあ、こいつもF.I.S.関係者だし。\\n 従姉妹みたいなもんだろ」",
"316001011_105": "「美味しいッ! すごく美味しいよ、響お姉ちゃんッ!」",
"316001011_106": "「食べさせてあげる。\\n あーんして」",
"316001011_107": "「ハハ……なんだか照れちゃうなあ」",
"316001011_108": "「よく言うよ。\\n 家じゃあいつにいつもやってもらってるんだろ」",
"316001011_109": "「えッ!? い、いつもなんかじゃないよ。\\n たまにだって」",
"316001011_110": "「たまにはしているのだな……」",
"316001011_111": "「なら、わたしの方がいっぱいいっぱいしてあげるッ!」",
"316001011_112": "「アハハ……参ったなー」",
"316001011_113": "「食べてくれないの?」",
"316001011_114": "「食べる食べるッ! シャロンちゃんがくれるお料理なら\\n いっくらでも食べちゃうからッ」",
"316001011_115": "「よかったー」",
"316001011_116": "「珍しい光景だな。いつも人を振り回してばかりの立花が、\\n 終始、振り回されっぱなしとは」",
"316001011_117": "「あのチビ、急に元気になりやがって。\\n まるで別人だろ」",
"316001011_118": "「だが、あれこそが本来の彼女なのだろう」",
"316001011_119": "「あの輝く笑顔を取り戻せたことを、\\n わたしたちの誇りとしようじゃないか」",
"316001011_120": "「ああ……そうだな」",
"316001011_121": "「翼さんもクリスちゃんも、\\n そんなところでなにヒソヒソ話してるの」",
"316001011_122": "「こっち来て一緒にトランプやろうよ」",
"316001011_123": "「そうだな。\\n わたしたちもシャロンを見習ってもっと楽しむとするか」",
"316001011_124": "「だな。今日は夜通し、バカ騒ぎとしゃれ込むか」",
"316001011_125": "「おい、チビ。この間の負け、全部返してやるからなッ!」",
"316001011_126": "「チビなんていうクリスお姉ちゃんには負けてあげないよーだ」",
"316001011_127": "「お? 言ったな、こいつッ! 吠え面かかせてやるからなッ!」",
"316001011_128": "「アハハハッ!」",
"316001011_129": "「本当に今日、帰らないと駄目?」",
"316001011_130": "「しつこいな。何度目だ」",
"316001011_131": "「だってッ!\\n もう少しこっちにいても……」",
"316001011_132": "「並行世界の住人のわたしたちが、用もないのにいつまでも\\n こちらの世界にはいるわけにはいかないからな」",
"316001011_133": "「そういうことだ」",
"316001011_134": "「で、でも……」",
"316001011_135": "「響お姉ちゃん、帰らないとダメだよ」",
"316001011_136": "「シャロンちゃん……」",
"316001011_137": "「お姉ちゃんには、お姉ちゃんの世界を護る\\n 大切な役目があるんでしょ」",
"316001011_138": "「それは、分かってるけど……」",
"316001011_139": "「でも……シャロンちゃん、大丈夫なの?」",
"316001011_140": "「……うん。わたしなら、もう大丈夫だよ」",
"316001011_141": "「だって、響お姉ちゃんたちが、\\n わたしの居場所を作ってくれたから」",
"316001011_142": "「八紘おじさんたちも、\\n お姉ちゃんと妹たちを助け出してくれたから」",
"316001011_143": "「だから、もう大丈夫だよ。\\n 心配しないで」",
"316001011_144": "「そっか……うん。なら、よかった」",
"316001011_145": "「本当に、よかったよー……」",
"316001011_146": "「おい、泣くなって」",
"316001011_147": "「な、泣いてなんかないよッ!」",
"316001011_148": "「フフ……」",
"316001011_149": "「それじゃ……わたしたち、行くね、シャロンちゃん」",
"316001011_150": "「短い間だったが、楽しかった」",
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"316001011_153": "「次に会う時は、きっとチビじゃないよ」",
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"316001011_158": "「シャロンちゃん……」",
"316001011_159": "「うん。きっとシャロンちゃんならなれるよ」",
"316001011_160": "「わたしなんかよりも、もっともっと、強い人に」",
"316001011_161": "「ただ強いだけじゃなくて、\\n お姉ちゃんみたいに優しくて温かい人に――ね」",
"316001011_162": "「だから、それまで少しの間、お別れ……」",
"316001011_163": "「うん。またね、シャロンちゃん」",
"316001011_164": "「いつかまた絶対に、会いに来るから」",
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"316001111_0": "世界はそういう風にできている",
"316001111_1": "「司令、また政府側から会議への出席を求められています」",
"316001111_2": "「ここのところひっきりなしだな」",
"316001111_3": "「仕方のないことだ」",
"316001111_4": "「ヴィマーナの残した爪痕の収拾もあるが……」",
"316001111_5": "「ヴィマーナの出現によって、聖遺物への関心が高まり、\\n 研究を開始した国も少なくない」",
"316001111_6": "「政府のヤツらも、目の色が変わってきているからな」",
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"316001111_9": "(聖遺物による技術革新……。\\n オズワルドの想い描いた世界に一歩近づいたのかもしれないな",
"316001111_10": "(弦が聞いたら、何を言うか……)",
"316001111_11": "「ですけど、シンフォギア・システムの研究に国が\\n 動いてくれているのはありがたいことですね」",
"316001111_12": "「司令がうまく言いくるめたみたいよ」",
"316001111_13": "「……流石だ」",
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"316001111_23": "「ところで司令、会議の方は?\\n 日程は、来週の頭ときていますが」",
"316001111_24": "「ああ、無論出席する」",
"316001111_25": "「承知しました」",
"316001111_26": "「……そういえば、司令。\\n 今日、午後から米国へ行くと聞いていますが、私用ですか」",
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"316001111_28": "「お母さんって、シャロンちゃんの?」",
"316001111_29": "「亡くなったF.I.S.のシンフォギア装者ですね。\\n そういえば、司令、毎年お墓参りに行っていましたね」",
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