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argoneus 2020-05-15 23:14:04 +02:00
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@ -0,0 +1,95 @@
{
"332000111_0": "呪いの館",
"332000111_1": "「疲れたねー。今日の練習」",
"332000111_2": "「ホントホント。\\n 同じとこ何度もやり直しさせてさ」",
"332000111_3": "「わたし、また音外して怒られちゃった」",
"332000111_4": "「次の発表会の選考、残れるかな……」",
"332000111_5": "「気にしてもしゃーないって。\\n なるようになれよ」",
"332000111_6": "「うん……そうだね」",
"332000111_7": "「そんじゃ、ストレス発散にタピって帰るとしよっかー」",
"332000111_8": "「ま、別にストレスなくてもタピるけどね~♪」",
"332000111_9": "「それな」",
"332000111_10": "「フフ……」",
"332000111_11": "「今日こそ品切れ続きの新作フレーバーを――\\n って……あれ」",
"332000111_12": "「ん? どうしたの?」",
"332000111_13": "「あんなとこ、あんな建物あったっけ?」",
"332000111_14": "「どうだったっけ?」",
"332000111_15": "「ぜんぜん記憶にないんだよねえ?」",
"332000111_16": "「それにしても、なんか妙な雰囲気あるね……」",
"332000111_17": "「うん。確かに、ヤバいの出そう……」",
"332000111_18": "「も、もうッ! そういうのいいってば」",
"332000111_19": "「それより、早く行かないと新作フレーバー、\\n また売り切れちゃうよ」",
"332000111_20": "「あ、忘れるとこだった」",
"332000111_21": "「そうね。早く行こ」",
"332000111_22": "「はあ、憂鬱だなあ……」",
"332000111_23": "「もう、響の自業自得だよ」",
"332000111_24": "「だって、まさかこんなに難しいものだとは\\n 思わなかったんだもん……」",
"332000111_25": "「ひょっとして、これで単位落として留年なんてことに?\\n そうしたら未来と一緒に卒業できないッ」",
"332000111_26": "「その可能性は、捨てきれないかなー」",
"332000111_27": "「や、やっぱり……」",
"332000111_28": "「フフ、大丈夫だよ。\\n 難しいところは、手伝ってあげるから」",
"332000111_29": "「うん……」",
"332000111_30": "「おっはようさんデースッ!」",
"332000111_31": "「おはようございます」",
"332000111_32": "「あ、2人共。\\n おはよう……」",
"332000111_33": "「れれ? 珍しく元気ないデスね」",
"332000111_34": "「『珍しく』は流石に失礼だよ、切ちゃん」",
"332000111_35": "「なんだ、朝っぱらからお通夜みたいな顔して?」",
"332000111_36": "「うん、ちょっとね……」",
"332000111_37": "「2人と一緒に来たの?」",
"332000111_38": "「おう。結局、こいつらに夜中まで付き合わされてな」",
"332000111_39": "「ああ、そうだったんだ」",
"332000111_40": "「夜中までって?」",
"332000111_41": "「昨夜、クリス先輩の家で映画を観てたデスよ」",
"332000111_42": "「え。何それ、楽しそうッ!?\\n なんで呼んでくれないの」",
"332000111_43": "「一応、そっちにも声かけたんだけどな」",
"332000111_44": "「わたしが断ったの。\\n 響、昨夜は課題の続きやる予定だったでしょ」",
"332000111_45": "「そ、それはそうだけど……」",
"332000111_46": "「課題、ですか?」",
"332000111_47": "「うん。家庭科の課題で人形を作るってのがあってさ」",
"332000111_48": "「ににッ!?」",
"332000111_49": "「でも、授業時間に終わらなくて。\\n 家で続きやってても、ゼンゼン終わる気しないんだよね……」",
"332000111_50": "「昨夜も、ハサミと針で何度自分の指を傷つけたか……、\\n あいたたた……」",
"332000111_51": "「ん? 切歌ちゃん?\\n どうしたの、急に青い顔して」",
"332000111_52": "「ににに……人形デスと~~ッ!?」",
"332000111_53": "「うわあッ!? なになにッ!?」",
"332000111_54": "「そ、その人形って……、\\n まさか血の涙を流したりしないデスよね」",
"332000111_55": "「どうどう。\\n 大丈夫だから」",
"332000111_56": "「血の涙って。\\n いくらわたしだって、そこまで不器用じゃないってば」",
"332000111_57": "「いや、返り血とかじゃなくてデスね、\\n 人形が目から血をだらだらと流すデスよッ」",
"332000111_58": "「ブルブルッ! ああ、思い出しても恐ろしいデスッ!」",
"332000111_59": "「えーと、どういうこと?」",
"332000111_60": "「昨夜観たホラー映画の影響だな。\\n その内容が、まあ、なんつーか……」",
"332000111_61": "「ちょうど、呪いの人形が出てくるやつで……」",
"332000111_62": "「おおお、また全身に鳥肌が立ってきたデスよー。\\n 血塗れの凶悪な顔がッ、顔がッ 洋館の窓からニタリとッ」",
"332000111_63": "「ったく。自分が一番見たがってたクセに。\\n オーバーなんだよ、たかが映画くらいで」",
"332000111_64": "「そう言うクリス先輩も、鑑賞している間、\\n ずっとわたしの腕にしがみついていましたよね」",
"332000111_65": "「片方の腕は切ちゃんにしがみつかれていたから、\\n おかげで両腕がまだ赤いままです」",
"332000111_66": "「そ、それは、お前も怖いだろうと思ってだな……、\\n 先輩の優しい気づかいだよッ」",
"332000111_67": "「でも、どうしてそんな怖そうな映画を観ようとしたの?」",
"332000111_68": "「だって、ぱっと見、面白そうだったデスし……」",
"332000111_69": "「一応、あたしもその気持ちはわかる」",
"332000111_70": "「で、その人形っていうのは――?」",
"332000111_71": "「大丈夫だよ。\\n 人形って言っても、こういうのだから」",
"332000111_72": "「え?」",
"332000111_73": "「あ、可愛い」",
"332000111_74": "「はあー、安心したデス。\\n こういうのならモーマンタイデスよッ」",
"332000111_75": "「でしょ?」",
"332000111_76": "「へー、けっこう上手くできてるな」",
"332000111_77": "「これって、未来さん?」",
"332000111_78": "「うん。自分の姿の人形を作るって課題なの」",
"332000111_79": "「やっぱり」",
"332000111_80": "「ふーん。あたしらん時は別の課題だったな」",
"332000111_81": "「で、響さんのはどんなデス?」",
"332000111_82": "「今、こんなだけど……」",
"332000111_83": "「うわあ。まだほとんど素材のままデスッ!?」",
"332000111_84": "「流石に予想外……」",
"332000111_85": "「同じ時間使って、どうすればこんな差が出るんだよ?」",
"332000111_86": "「それが……上手に切れなかったり、縫おうとして\\n 生地を破いちゃったり、何度も最初からやり直ししたから……」",
"332000111_87": "「どうせ馬鹿力で適当やってたんだろ?」",
"332000111_88": "「それは……否定できない……」",
"332000111_89": "「大丈夫だよ。最初よりすっごくよくなってるから。\\n 裁断し直しは終わったから、あとは丁寧に縫っていくだけだし」",
"332000111_90": "「うう……。未来は優しいなあ」",
"332000111_91": "「よしよし」",
"332000111_92": "「あー、もうッ! 熱っ苦しいんだよッ!\\n そういうのは家でやれッ」"
}

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@ -0,0 +1,60 @@
{
"332000121_0": "「そうそう。\\n で、生地の端同士を丁寧に縫って……」",
"332000121_1": "「うん……。\\n でもここって、どのくらい内側を縫えばいいの」",
"332000121_2": "「その部品は縫い代を大きめに取ってるから、\\n そんなにギリギリじゃなくて大丈夫だよ」",
"332000121_3": "「ただ、表返した時に輪郭がデコボコにならないように、\\n 針を小まめに入れて柔らかいカーブを意識できるといいかな」",
"332000121_4": "「あ。もちろん、できる範囲でね?」",
"332000121_5": "「うん、できるだけ……ね。\\n よいしょ……っと」",
"332000121_6": "「わちゃッ? だいぶズレちゃった……」",
"332000121_7": "「針の刺した位置がちょっと悪いなと思ったら、\\n 慌てずにいったん抜いて、位置を調整して刺し直せばいいから」",
"332000121_8": "「えーっと、刺し直して……この辺、かな?」",
"332000121_9": "「そうそう、いい調子。\\n じゃあ針を反対側まで通して、糸をたぐって……」",
"332000121_10": "「ぐいーっと」",
"332000121_11": "「そこの部品、生地が柔らかめだから糸を強く引きすぎないでね。\\n 皺になったり、目が広がって縫い目の穴が大きくなっちゃうから」",
"332000121_12": "「そういうところで、毎回失敗しちゃうんだよね……」",
"332000121_13": "「焦らなくていいから、今度こそゆっくり丁寧にやろう」",
"332000121_14": "「ふう……ありがと。\\n 未来のおかげでちょっとだけ慣れてきたかも」",
"332000121_15": "「どういたしまして」",
"332000121_16": "「おー、やってるね。おふたりさん?」",
"332000121_17": "「どう? 完成しそう?」",
"332000121_18": "「まだまだ……やっと本格的にパーツを縫い始めたくらい」",
"332000121_19": "「それは……前途多難みたいですわね」",
"332000121_20": "「授業ん時に最初から助けを求めてれば良かったのにねえ」",
"332000121_21": "「だって、未来の作業の邪魔しちゃ悪いし、\\n 自分人でなんとかなるかなって思ったんだけどね……」",
"332000121_22": "「ビッキー、こういうの大ざっぱそうだからなあ」",
"332000121_23": "「自覚してるからわざわざ言わなくていいよ。\\n とほほ……」",
"332000121_24": "「あいたあッ! また刺したッ!」",
"332000121_25": "「気をつけてッ!\\n 縫いながらよそ見しないで、喋る時はいったん手を止めて。ね」",
"332000121_26": "「う、うん。そうだね。ゴメンゴメン」",
"332000121_27": "「ちょっと根詰めすぎたかもね。\\n 少し休もうか」",
"332000121_28": "「うん、そうだね。\\n あー疲れた」",
"332000121_29": "「お疲れさん。\\n はい、飲み物」",
"332000121_30": "「あ、ありがと」",
"332000121_31": "「ぷはー。生き返ったよッ!」",
"332000121_32": "「よかったですわ」",
"332000121_33": "「ヒナの教え方がいいせいか、\\n ずいぶんと人形らしい形になってきたじゃん」",
"332000121_34": "「授業の時はホラーアニメの怪物みたいな形だったもんねえ。\\n 名状しがたいナニか的な」",
"332000121_35": "「ホラーって、さ、流石に言い過ぎだってば」",
"332000121_36": "「いや、だいぶそんな感じだったけど」",
"332000121_37": "「あ……そうだ、人形っていえばさ。\\n 切歌ちゃんが怖い人形が出る映画を見たんだって」",
"332000121_38": "「へー。なんの映画だろ?」",
"332000121_39": "「題名までは聞かなかったなあ……なんか洋館から血塗れの人形の\\n 顔がこっちを覗いてニタアッ って言ってたけど」",
"332000121_40": "「洋館で呪いの人形、ですか……。\\n それだけでは幾らでもありそうですね」",
"332000121_41": "「展開もテンプレート過ぎるしね」",
"332000121_42": "「洋館っていえばさ、リアルに洋館の噂は聞いた?」",
"332000121_43": "「洋館の噂?」",
"332000121_44": "「そう。なんと一晩で出現した、呪いの館の話」",
"332000121_45": "「え、何それ?」",
"332000121_46": "「それまで何もなかった土地に突如として現れた洋館から、\\n 夜な夜な叫び声が聞こえてくるんだって」",
"332000121_47": "「またまた。そんなのあるわけないじゃん」",
"332000121_48": "「それが実際に行った人の話なんだってば」",
"332000121_49": "「知り合いに聞いたの?」",
"332000121_50": "「いやまあ、人づてに聞いたんだけどね」",
"332000121_51": "「ともかく、住民の姿も気配もない洋館の中に入ると、\\n そこには恐ろしい顔の人形がいて、侵入者に襲いかかって――」",
"332000121_52": "「<size=40>デデデデ――スッ!!</size>」",
"332000121_53": "「わああああ――――ッ!?」",
"332000121_54": "「アタシは何も聞いてないデースッ!!」",
"332000121_55": "「あ、切歌ちゃんッ?」",
"332000121_56": "「びっくりしたあ……いつの間に来てたんだろ?」",
"332000121_57": "「まるでアニメみたいな逃げ方だったねえ……」"
}

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@ -0,0 +1,49 @@
{
"332000122_0": "「よし、今日のところはこのくらいにしておくか」",
"332000122_1": "「お疲れ様です」",
"332000122_2": "「ヘトヘトな上にお腹ペコペコデスよ……」",
"332000122_3": "「それじゃお先に失礼しますッ!」",
"332000122_4": "「あ、待ってッ!\\n 帰り支度がまだ済んでないからッ」",
"332000122_5": "「あ、ゴメンゴメン」",
"332000122_6": "「なんだよ、そんな慌てて」",
"332000122_7": "「実は、例の課題がまだ終わってなくて……」",
"332000122_8": "「ああ、人形のやつな」",
"332000122_9": "「ブルルッ! に、人形怖いデス……」",
"332000122_10": "「切ちゃん、どうどう」",
"332000122_11": "「まだやってんのか、それ……」",
"332000122_12": "「お、なんだ?」",
"332000122_13": "「装者のみなさんに通達です。\\n 訓練が終了次第、発令所へ集合してください」",
"332000122_14": "「……だとさ」",
"332000122_15": "「なんで急いでる時に限って……」",
"332000122_16": "「仕方ないじゃない。\\n 早く行って済まそう」",
"332000122_17": "「うん、そうだね……」",
"332000122_18": "「海外派遣……ですか?」",
"332000122_19": "「ああ。まだ、本決まりの話ではないんだがな」",
"332000122_20": "「近々、行ってもらうことになるかもしれん」",
"332000122_21": "「一体全体、どういう状況なんだ?」",
"332000122_22": "「実は、国外の関係機関から気になる情報が入ってな」",
"332000122_23": "「気になる情報……ですか?」",
"332000122_24": "「実はアフリカの紛争地帯で、\\n アルカ・イズが使われた可能性があるようなんだ」",
"332000122_25": "「紛争地帯で……?」",
"332000122_26": "「それって、またパヴァリア光明結社の残党デス?」",
"332000122_27": "「あるいはな」",
"332000122_28": "「そうじゃない可能性も?」",
"332000122_29": "「ええ。結社崩壊後、アルカ・ノイズは急速に\\n 各地の非合法組織に拡散しているようですから……」",
"332000122_30": "「今回の件が、結社残党に直接繋がりがあるかまでは、\\n まだわからないの」",
"332000122_31": "「お手軽に銃器の横流し感覚かよ。まったく……」",
"332000122_32": "「少数の銃器の横流し程度なら、\\n まだ可愛いもんだけどね」",
"332000122_33": "「アルカ・ノイズの組織ぐるみの運用となれば、話は変わってくる」",
"332000122_34": "「どいつもこいつも……。あんな物使ってまで国を荒らして。\\n ろくでもない連中ばかりだな……」",
"332000122_35": "「話はわかった。\\n こっちはいつでも行けるぞ」",
"332000122_36": "「逸るな。まだ関係機関が調査中の段階だ」",
"332000122_37": "「そうか」",
"332000122_38": "「だが調査の結果次第では、\\n 我々S.O.N.G.に協力要請が来るかもしれん」",
"332000122_39": "「今後の状況次第とはなるが、いつ招集がかかってもいいように、\\n 常に留意しておいてくれ」",
"332000122_40": "「了解です」",
"332000122_41": "「ん……?」",
"332000122_42": "「どうしたの?」",
"332000122_43": "「関係機関からのメールみたいだけど……」",
"332000122_44": "「これは……」",
"332000122_45": "「すぐ司令に報せた方がよさそうだ」",
"332000122_46": "「わかった。すぐ呼び出すわ」"
}

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@ -0,0 +1,20 @@
{
"332000131_0": "「よし……っと」",
"332000131_1": "「うん、綺麗に仕上がってる」",
"332000131_2": "「ここの曲線、頑張ったね。\\n ほら、すっごく綺麗に――」",
"332000131_3": "「って、響?」",
"332000131_4": "「すー……。すー……」",
"332000131_5": "「寝ちゃったの?」",
"332000131_6": "「静かだから、すごく集中してるんだなって思ってたら……」",
"332000131_7": "「そんなところで寝てたら風邪引いちゃうよ?」",
"332000131_8": "「ほら起きて」",
"332000131_9": "「むにゃむにゃ……お腹……ペコペコだよ……」",
"332000131_10": "「お夕飯、あれだけ食べたでしょ?\\n もう、寝ぼけちゃって……」",
"332000131_11": "「はあ、仕方ないなぁ……」",
"332000131_12": "(でも昨夜も部品の裁断し直しで遅かったし、\\n 夕方の訓練も一生懸命やってたもんね",
"332000131_13": "(響は、いつもなんにでも、全力投球)",
"332000131_14": "(無理に起こすのも可哀想だし、\\n 課題の続きは明日に回すしかないかな……",
"332000131_15": "「でも、このままじゃ風邪引いちゃいそう」",
"332000131_16": "「終わったら一緒に出かける約束、楽しみにしてるからね」",
"332000131_17": "「お休み、響」"
}

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@ -0,0 +1,70 @@
{
"332000211_0": "広がる噂",
"332000211_1": "「あとは、顔のパーツを布用接着剤で貼り付けて……と」",
"332000211_2": "「やったーッ! 終わったーッ!」",
"332000211_3": "「お、マジでマジで?」",
"332000211_4": "「お疲れ様です」",
"332000211_5": "「どれどれ?\\n おお、意外とちゃんとできてるじゃん」",
"332000211_6": "「あれホントだ。\\n ビッキーにしちゃ、ちょっと綺麗すぎな気も」",
"332000211_7": "「綺麗すぎって。\\n なんか褒められた気がしない……」",
"332000211_8": "「いやほら、美人過ぎる○○みたいな?」",
"332000211_9": "「それくらい、とても可愛らしいってことですわ」",
"332000211_10": "「エヘヘ。ありがと」",
"332000211_11": "「ふーん。しかし、ヒナも過保護だねぇ」",
"332000211_12": "「そ、そんなことないよ。\\n 口は少し出したけど……、作ったのはちゃんと響だよ」",
"332000211_13": "「え、ホントに?」",
"332000211_14": "「うん」",
"332000211_15": "「完成したのは未来が丁寧に教えてくれたからだよ」",
"332000211_16": "「ううん。響が頑張ったからだって」",
"332000211_17": "「エヘヘ」",
"332000211_18": "「何はともあれ、お疲れサンってことで。\\n じゃあ久々にぱーっと繰り出しますかッ」",
"332000211_19": "「お、いいねえッ!」",
"332000211_20": "「うん、行こう行こうッ!」",
"332000211_21": "「あ、や、未来と約束が……」",
"332000211_22": "「いいよ、また今度にしよう。\\n せっかくみんな盛り上がってるんだし」",
"332000211_23": "「わかった。\\n それじゃ、行こっか」",
"332000211_24": "「あー、食べた食べた」",
"332000211_25": "「流石にお好み焼きからクレープとタピオカミルクティーの\\n コンボはやり過ぎでしたわね……」",
"332000211_26": "「確かに別腹が2つ要るかも……」",
"332000211_27": "「アニメだったら次のシーンで体重計に乗って\\n 青い顔してるところだね」",
"332000211_28": "「あー。裸で体重計に乗って、ギョッ!? って顔するヤツでしょ」",
"332000211_29": "「それそれ。しかも人数分リピートで。\\n 良い尺稼ぎになるよ コスパ最高ッ」",
"332000211_30": "「なんの話?」",
"332000211_31": "「でも、ちゃんと運動して消費しないと現実になりそうですわね……」",
"332000211_32": "「痩せられない。現実は非情である、ってね」",
"332000211_33": "「洒落になってないって、それ」",
"332000211_34": "「わ、わたしは最近買い食いしてなかったから大丈夫かな……?」",
"332000211_35": "「急にたくさん食べ過ぎるのも逆によくないみたいだけど」",
"332000211_36": "「未来まで不安になること言わないでッ!」",
"332000211_37": "「あ、そういえば話は変わるけど、確かこの辺だったよね?」",
"332000211_38": "「この辺って……何が?」",
"332000211_39": "「あー、噂の洋館ね」",
"332000211_40": "「いやあ、流石に羊羹はもう入んないって」",
"332000211_41": "「その羊羹じゃないですわ」",
"332000211_42": "「お約束のボケありがとう」",
"332000211_43": "「この間、話したでしょ。\\n いきなり現れた謎の洋館って」",
"332000211_44": "「ああ……そういえばしてたかも?」",
"332000211_45": "「はい、忘れてるね」",
"332000211_46": "「ビッキーらしいよ」",
"332000211_47": "「でも、本当にそんなものが?」",
"332000211_48": "「まあね。ほら、ちょうど見えてきた」",
"332000211_49": "「……ごくッ。確かに、雰囲気あるね……」",
"332000211_50": "「でしょでしょ?\\n 肝試しとかしたら盛り上がりそうじゃん」",
"332000211_51": "「勝手に入るのはダメですよ。\\n 私有地なんですから」",
"332000211_52": "「不法侵入で逮捕は流石にねー」",
"332000211_53": "「ちぇー。\\n でもでも一晩で出現するなんて、まるでアニメみたい」",
"332000211_54": "「羽柴秀吉の一夜城みたいですわね」",
"332000211_55": "「まさか本当に一晩で現れたわけじゃないし。\\n いつの間に建てたんだろ」",
"332000211_56": "「見た感じ、建物自体が結構古びてるみたいだけど……」",
"332000211_57": "「樹か他の建物の陰で、ずっと隠れてたのかな?」",
"332000211_58": "「周りの樹を切り倒したり、家を取り壊したから\\n 見えるようになったってこと」",
"332000211_59": "「そうそう」",
"332000211_60": "「うーん。館の周りを見ても、そんな風でもないんだよね……」",
"332000211_61": "「確かに……」",
"332000211_62": "「近頃は古民家の移築とかも流行っていますから、\\n そういうのではありませんか」",
"332000211_63": "「リノベーションだっけ?\\n 確かにから建てるよりは早そうだけど……」",
"332000211_64": "「移築して使わないのも変かな?」",
"332000211_65": "「確かにそうですねえ……」",
"332000211_66": "「ともあれ、あまり他所様の事情を詮索するのは失礼ですわ。\\n そろそろ行きましょう」",
"332000211_67": "「ん……ま、そうだね。\\n 行こっか」"
}

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@ -0,0 +1,43 @@
{
"332000212_0": "「すいません、遅くなりましたー」",
"332000212_1": "「翼さんとマリアさんは、別任務だから、\\n これで全員集合ですね」",
"332000212_2": "「ああ、みんなご苦労」",
"332000212_3": "「全員招集ってことは。\\n この間の件、動きがあったのか」",
"332000212_4": "「その通りだ。\\n 先刻、現地から調査報告が届いた」",
"332000212_5": "「やはり反政府組織の一部がアルカ・ノイズを秘密裏に入手し、\\n 使用していることが確認されたらしい」",
"332000212_6": "「やっぱりかよ……クソったれ」",
"332000212_7": "「そこで正式に国連から協力要請がS.O.N.G.にあったため、\\n 装者を派遣、事態の鎮圧にあたることとする」",
"332000212_8": "「全員で行くデスか?」",
"332000212_9": "「いや、今回は少人数での派遣を考えている」",
"332000212_10": "「どうしてですか?」",
"332000212_11": "「想定されるアルカ・ノイズの数がそう多くないことや、\\n 内戦への介入は最小限に留めたいという、国連の意向もあるのだ」",
"332000212_12": "「政治ってやつかよ。\\n 相変わらずだな」",
"332000212_13": "「そう言うな。領分を越えれば独善となりかねん。\\n 我々のような特異な力を持つ組織は、特に己を律する必要がある」",
"332000212_14": "「ああ……わかってるって」",
"332000212_15": "「それで、誰が派遣されるんですか?」",
"332000212_16": "「ああ。今回は響くんとクリスくんに行ってもらいたい」",
"332000212_17": "「戦力面、連携面のことを加味しての人選だ」",
"332000212_18": "「わかりました」",
"332000212_19": "「あたしも了解だ」",
"332000212_20": "「留守中の翼さんとマリアさんが現在欧州にいるため、\\n 必要な場合は直接増援に向かってもらうプランも検討中です」",
"332000212_21": "「欧州からアフリカなら、日本から増援を出すより早いからね」",
"332000212_22": "「なるほどデス」",
"332000212_23": "「なら、万が一の場合はそっちに頼るとするか」",
"332000212_24": "「作戦期間はどのくらいの予定なんですか?」",
"332000212_25": "「1週間から10日程度を想定している」",
"332000212_26": "「結構長いですね……」",
"332000212_27": "「明日出立するので、2人は準備を進めておくように」",
"332000212_28": "「ああ、わかった」",
"332000212_29": "「了解です」",
"332000212_30": "「その間、わたしたちは?」",
"332000212_31": "「お留守番デスか?」",
"332000212_32": "「実は残留組にも任務が入るかもしれん」",
"332000212_33": "「そうなんデス?」",
"332000212_34": "「どういった任務ですか?」",
"332000212_35": "「先日S.O.N.G.に調査依頼のメールが届いてな。\\n その内容を基に現在調査部を動かしているところだ」",
"332000212_36": "「装者が必要になる事態かどうかはまだわからないものの、\\n 超常の存在が介在している可能性がある」",
"332000212_37": "「超常……って、ノイズとは限らないってことですか?」",
"332000212_38": "「それも含めて現在調査中だ。\\n 数日中には報告がまとまるだろう」",
"332000212_39": "「以上だ。各自準備を始めてくれ」",
"332000212_40": "「了解です」"
}

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@ -0,0 +1,63 @@
{
"332000221_0": "「よい、しょっと……ッ!」",
"332000221_1": "「響、そんなふうに乱暴に突っ込んだら入りきらないよ。\\n ちゃんと畳んで」",
"332000221_2": "「アハハ……つい面倒で」",
"332000221_3": "「こうして、こうすれば……ほら、綺麗に入るでしょ?」",
"332000221_4": "「いやあ、さすが未来。\\n 今すぐいいお嫁さんになれるね」",
"332000221_5": "「もう、からかわないで」",
"332000221_6": "「え~、からかってないよ。\\n 本気だってば」",
"332000221_7": "「もう、響ったら……」",
"332000221_8": "「とにかく。行きはいいけど、使った着替えは自分で畳んで\\n 仕舞わないと入りきらなくなるから、ちゃんとしてね」",
"332000221_9": "「うう、極力頑張ります……」",
"332000221_10": "「しっかりしてね。\\n あと、必要そうな物は無い」",
"332000221_11": "「行き先はアフリカだし、日焼け止めとかも必要かなぁ?」",
"332000221_12": "「そうだね、念のためあった方がいいと思う」",
"332000221_13": "「海に行った時の残りがあったかな……?\\n じゃなきゃ、薬局行ってこないと」",
"332000221_14": "「あったあったッ! 中身も結構残ってるみたい」",
"332000221_15": "「じゃあビニール袋に入れて、液漏れしないようにして……と」",
"332000221_16": "「ソツがないねえ」",
"332000221_17": "「これくらい普通だよ。大げさだなあ」",
"332000221_18": "「あ、そうだ未来。\\n 約束のこと覚えてる」",
"332000221_19": "「約束?」",
"332000221_20": "「課題終わったら一緒に遊びに出かけようって」",
"332000221_21": "「ああ、うん。もちろん」",
"332000221_22": "「戻ったら今度こそ行こうね」",
"332000221_23": "「フフ、楽しみにしてる」",
"332000221_24": "「うん、よし完璧ッ! ありがとう、未来」",
"332000221_25": "「どういたしまして」",
"332000221_26": "「それじゃ、あとは荷物を本部に預けに行って……って。\\n あッ」",
"332000221_27": "「どうしたの? 忘れ物?」",
"332000221_28": "「ううん、そうじゃなくて」",
"332000221_29": "「これ、借りて行ってもいいかな?」",
"332000221_30": "「わたしが課題で作った人形?」",
"332000221_31": "「うん、そう。\\n だって、そうすれば向こうでも未来と一緒だから……」",
"332000221_32": "「響……」",
"332000221_33": "「そういうことなら、喜んで。\\n 貸すとかじゃなくて、ずっと持っててくれてもいいよ」",
"332000221_34": "「本当にッ!?\\n エヘヘ、やったね」",
"332000221_35": "「その代わり……、\\n わたしにも響の作った人形、貰えないかな」",
"332000221_36": "「もちろん、喜んで。\\n こんなんだけど……持っててくれるかな」",
"332000221_37": "「うん。\\n 響だと思って、大事にするよ」",
"332000221_38": "「エヘヘ……」",
"332000221_39": "「気をつけて行ってきてね、響」",
"332000221_40": "「うん、ありがとう」",
"332000221_41": "「…………」",
"332000221_42": "「どうかした?」",
"332000221_43": "「ちょっとね、不安なんだ」",
"332000221_44": "「不安って……何が?」",
"332000221_45": "「師匠が、こっちでも\\n 任務があるかもしれないって言ってたでしょ」",
"332000221_46": "「今回は、何かあってもすぐには助けに戻ってこれないから……」",
"332000221_47": "「それに、翼さんやマリアさんもヨーロッパにいるし……」",
"332000221_48": "「響……」",
"332000221_49": "「大丈夫だよ。\\n わたしもシンフォギア装者なんだし」",
"332000221_50": "「響が不在の間は、わたしがこの街を絶対に護るからッ!」",
"332000221_51": "「わたしだけじゃない、調ちゃんや切歌ちゃんもいるしね」",
"332000221_52": "「未来……」",
"332000221_53": "「それに、まだ任務になるかもわからないし。\\n 心配しないで」",
"332000221_54": "「う、うん……」",
"332000221_55": "「もう、心配しすぎ。そんなに頼りないかな?」",
"332000221_56": "「そんなことは、ないけど……。\\n いつ何が起こるかわからないし」",
"332000221_57": "「それを言ったら、響たちだってそうでしょ?」",
"332000221_58": "「それは……そうだけど……」",
"332000221_59": "「わたしたちの心配よりも、\\n まずは自分の任務をきちんとね」",
"332000221_60": "「……うん、わかったよ」"
}

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@ -0,0 +1,63 @@
{
"332000222_0": "「やああ――ッ!!」",
"332000222_1": "「はああ――ッ!!」",
"332000222_2": "「前衛は切り崩したデスッ!」",
"332000222_3": "「奥の大物は頼みますッ!」",
"332000222_4": "「任せてッ!」",
"332000222_5": "「やああ――ッ!!」",
"332000222_6": "「……ふう」",
"332000222_7": "「やったデスッ!」",
"332000222_8": "「やっぱりわたしたちの組み合わせだと\\n このパターンが番、ですね」",
"332000222_9": "「うん、そう思う」",
"332000222_10": "「それじゃ、今日はこのくらいにしておこうか」",
"332000222_11": "「はい」",
"332000222_12": "「お疲れ様デス」",
"332000222_13": "(帰りに夕飯のお買い物をして……って。\\n そうか、響いないんだっけ",
"332000222_14": "「あの、どうかしました?」",
"332000222_15": "「あ、え、何が?」",
"332000222_16": "「ぼーっとしてたデスよ。\\n 何か考え事デス」",
"332000222_17": "「もしかして、響さんのことですか?」",
"332000222_18": "「あ……うん、そうかな」",
"332000222_19": "「もう、向こうに着いた頃デスかね?」",
"332000222_20": "「経路にもよるけど、もう少しかかるかも」",
"332000222_21": "「結構遠いデスよね」",
"332000222_22": "「うん。そうだね……」",
"332000222_23": "「あ、それこの前の」",
"332000222_24": "「響さんの人形デス?」",
"332000222_25": "「あれ? でも自分で自分を作る課題じゃ……」",
"332000222_26": "「うん。だからこれは、響が作った人形」",
"332000222_27": "「お守り代わりに、お互いの人形を交換したの」",
"332000222_28": "「交換っこデスか。\\n なんだか、羨ましいデス」",
"332000222_29": "「うん、素敵です」",
"332000222_30": "「切ちゃん。\\n わたしたちも、来年同じ課題があったらそうしよう」",
"332000222_31": "「デスデスッ!」",
"332000222_32": "「フフ。いつも仲が良いね、2人とも」",
"332000222_33": "「当然デスッ!」",
"332000222_34": "「でも、未来さんと響さんには負けるかもしれません」",
"332000222_35": "「そ、そんなことないって」",
"332000222_36": "「人形といえば話が変わるデスが。\\n あの噂、聞いてるデスよね」",
"332000222_37": "「ど、どうしたの、急に怖い顔して。\\n 噂って」",
"332000222_38": "「最近学園で話題の、謎の洋館についてデスよ」",
"332000222_39": "「あ、うん。\\n この間、みんなで前を通ったけど……」",
"332000222_40": "「それと人形と、どう話が繋がるの?」",
"332000222_41": "「実はあそこは、呪いの人形が棲みついた幽霊屋敷で、\\n 捕らわれた人もみんな人形にされちゃうらしいデス」",
"332000222_42": "「呪いの、人形……?\\n あ、確かに人形が襲ってくるとか言ってたかも」",
"332000222_43": "「一度入ったら二度と戻って来られないなんて噂も……。\\n なんとも恐ろしすぎる話デスッ」",
"332000222_44": "「そんなに怖いなら、最初から話さなければいいのに」",
"332000222_45": "「それはそれデス。\\n 怖い物見たさ、聞きたさ、喋りたさってやつデスよ」",
"332000222_46": "「三猿みたい」",
"332000222_47": "「あの館にそんな噂が……?」",
"332000222_48": "「デスデス」",
"332000222_49": "「でも、その話ちょっと変じゃないかな?」",
"332000222_50": "「変?」",
"332000222_51": "「だって、誰も戻って来られないはずなのに、\\n どうして館の詳細が噂になって伝わってるのかな」",
"332000222_52": "「言われてみればそうデスね……」",
"332000222_53": "「噂話なんて、得てしてそんなもの」",
"332000222_54": "「調は、ドライデスね……」",
"332000222_55": "「そうかな?」",
"332000222_56": "「それより、ずいぶん調べてるけど、\\n まさか見に行ったりしないよね、切ちゃん」",
"332000222_57": "「いやあ流石にアタシでもそこまでしないデスよ。\\n アハハハハ……」",
"332000222_58": "「怪しい……」",
"332000222_59": "「人の家に勝手に入っちゃダメだよ?」",
"332000222_60": "「わかってるデスよ。\\n あんな恐ろしい場所、頼まれたって行かないデスッ」"
}

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@ -0,0 +1,27 @@
{
"332000231_0": "「ねえ……やっぱ勝手に入るのマズくない?」",
"332000231_1": "「なに、ビビってんの?」",
"332000231_2": "「こういうの信じちゃう系? 意外すぎ」",
"332000231_3": "「大丈夫だって。\\n なんか出てきたら護ってやるって」",
"332000231_4": "「そ、そういうんじゃなくてさッ!」",
"332000231_5": "「不法侵入でしょ、こういうの」",
"332000231_6": "「こんな空き家入ったって、訴えられやしないって」",
"332000231_7": "「そうそう。\\n ほら、鍵だって掛かってねーし」",
"332000231_8": "「え。開いてるの?」",
"332000231_9": "「お邪魔しまーす、と」",
"332000231_10": "「ちょっとッ!? マジで入るわけ?」",
"332000231_11": "「大丈夫大丈夫って」",
"332000231_12": "「あれ? 意外に綺麗だね。\\n あんまり埃っぽくない」",
"332000231_13": "「掃除とか入ってんのかなあ?」",
"332000231_14": "「……の割りに、誰か生活してるようには見えねーけど」",
"332000231_15": "「ひッ!?」",
"332000231_16": "「どした?」",
"332000231_17": "「そこ……誰か椅子に座ってる」",
"332000231_18": "「え、マジで……?」",
"332000231_19": "「いや、ただの人形っしょ」",
"332000231_20": "「なんだよ、焦らせんなって」",
"332000231_21": "「人形……? 本当だ」",
"332000231_22": "「あれ、でもその人形。\\n さっき覗いた別の部屋にあったような……」",
"332000231_23": "「人形が動いたとか?\\n まーたまた。そんなわけないっしょ――」",
"332000231_24": "「ぎゃあ――――ッ!!」"
}

View file

@ -0,0 +1,44 @@
{
"332000311_0": "調査開始",
"332000311_1": "「失礼します」",
"332000311_2": "「お待たせしました」",
"332000311_3": "「ああ、ご苦労」",
"332000311_4": "「話ってなんデスか?」",
"332000311_5": "「なんだか、重苦しい空気……」",
"332000311_6": "「先日話していた調査任務について、進展があってな」",
"332000311_7": "「わたしたちが呼ばれるということは……」",
"332000311_8": "「進展と言っても、いい方じゃない、と」",
"332000311_9": "「ご明察だ。\\n 本格的な対応が必要という事態になった」",
"332000311_10": "「あの……そもそも、今回の調査対象というのは、\\n 一体なんなんですか」",
"332000311_11": "「君たちも耳にしているかもしれないな。\\n 最近この街の近郊に出現したという、謎の洋館についてだ」",
"332000311_12": "「謎の洋館って、あの……」",
"332000311_13": "「の、呪いの人形の館デスかッ!?」",
"332000311_14": "「やはり、既に聞いていたか」",
"332000311_15": "「はい。最近、学園ではこの噂で持ちきりですから」",
"332000311_16": "「それで、わたしたちの出番ということは……」",
"332000311_17": "「いよいよ本物ということデス?」",
"332000311_18": "「ああ。調査を進めたところ、件の館で数グループ、\\n 実際に行方不明者が出ていたことが判明してな」",
"332000311_19": "「そこで先日、調査部の人間が捜索と調査を兼ねて\\n 直接洋館内へと入ったのだが……」",
"332000311_20": "「だが、ってことは……」",
"332000311_21": "「直後に連絡が途絶し、そのまま戻ってこなかった」",
"332000311_22": "「ミイラ取りがミイラに……」",
"332000311_23": "「入ったら誰も出てこられないって噂は……」",
"332000311_24": "「本当だったデスよッ! だから言ったデスッ!!」",
"332000311_25": "「原因は分かってるんですか?」",
"332000311_26": "「いや。今の所、手がかりも無い状況だ」",
"332000311_27": "「調査部が潜入した際、ボクたちもモニタリングしていましたが、\\n イズやそれに類似する反応は一切検知されませんでした」",
"332000311_28": "「では、今回の元凶はアルカ・ノイズとかではない、と……」",
"332000311_29": "「恐らくはな。\\n だが、何か超常の類いと遭遇した可能性は少なくないと見ている」",
"332000311_30": "「はい、状況から見て、\\n 人間に害をなす存在がいる可能性は高いと思われます」",
"332000311_31": "「館に棲みついた人形の仕業デスってばッ!」",
"332000311_32": "「そういう噂だけど、\\n でもその噂の出所がわからないんだよね……」",
"332000311_33": "「学園を中心に噂も集めているんだけど、\\n 直接の目撃報告は見つからないの……」",
"332000311_34": "(板場さんも人づてに聞いただけって言ってたっけ……)",
"332000311_35": "「噂なんてそういうものじゃないでしょうか?」",
"332000311_36": "「確かに尾ひれが付いてるだけの可能性もあると思うけど、\\n 実際に被害が出てるとなると無視できないね……」",
"332000311_37": "「そうだな。既に民間人に行方不明者が多数出ている以上、\\n 早急な捜索と原因解明が必要だ」",
"332000311_38": "「館内では未知の敵との交戦も予想されるため、\\n 次回は調査員ではなく、装者の派遣に踏み切ることになった」",
"332000311_39": "「って、いうことは。\\n 行くのはやっぱり……」",
"332000311_40": "「今はわたしたちしかいないよね?」",
"332000311_41": "「やっぱりデスッ!?」"
}

View file

@ -0,0 +1,74 @@
{
"332000321_0": "「おお……不気味デス、不気味すぎるデス……。\\n アタシには既に呪われてますって看板が見えるデスよ」",
"332000321_1": "「昼に調べるんじゃダメだったのかな?」",
"332000321_2": "「怪現象は、ほぼ夜に確認されてるんだって」",
"332000321_3": "「行方不明者も昼間の調査では見つからなかったみたいだし」",
"332000321_4": "「だからって敵さんのお目覚めタイムに突入って、\\n 危ないデスよッ」",
"332000321_5": "「切ちゃん、ちょっと落ち着いて」",
"332000321_6": "「幽霊っぽいのだったら、前もアレクサンドリア号事件で\\n 戦ったでしょ、それに、吸血鬼だって倒してるのに」",
"332000321_7": "「そ、それとこれとは別デスよッ!」",
"332000321_8": "「2人とも、静かに。\\n 入るよ」",
"332000321_9": "「聞いてた通り、入り口に鍵はかかってないみたい」",
"332000321_10": "「き、気をつけるデスよ……」",
"332000321_11": "「覗き込んだ途端、いきなり頭からガブ~ッ!\\n ってされるかもしれないデス」",
"332000321_12": "「目の前で首から上が無くなったら、\\n 一生もんのトラウマデスッ」",
"332000321_13": "「切ちゃん、流石にちょっとうるさいよ」",
"332000321_14": "「大丈夫だよ。でも、何かあったら援護お願いね」",
"332000321_15": "「うう、そ、そう言われたら逃げられないデス……」",
"332000321_16": "「流石は猪突猛進な響さんの手綱を取る未来さん。\\n とても参考になります」",
"332000321_17": "「なんの参考デス?」",
"332000321_18": "「なんでもない」",
"332000321_19": "「じゃあ、先に進むよ」",
"332000321_20": "「中は意外と普通。\\n ……と思ったけど」",
"332000321_21": "「何これ……?」",
"332000321_22": "「この辺、あちこちの壁に『タスケテ』とか『コナイデ』とか\\n 書いてあるデスよッ」",
"332000321_23": "「これって犠牲者の……?」",
"332000321_24": "「襲われてる時にそんなこと書く暇あるかな……?」",
"332000321_25": "「もう逃げられないと悟ったからこそ、残された時間で\\n 必死に書き残すデスッ ホラー物ではお約束デスよッ」",
"332000321_26": "「お約束、か……」",
"332000321_27": "「とにかく、誰かいないか、探してみよう?」",
"332000321_28": "「は、はいデス……」",
"332000321_29": "「灯はついてるのに、人の気配はありませんね……」",
"332000321_30": "「でも、あちこちの部屋に、怪しい人形が置いてあるよ」",
"332000321_31": "「に、人形……」",
"332000321_32": "「ま、周りから、何やら怪しい物音も聞こえてくるデス」",
"332000321_33": "「流石にこれは、わたしでも気持ち悪い……」",
"332000321_34": "「うん、そうだね……」",
"332000321_35": "「あわわわわわわ……」",
"332000321_36": "「切ちゃん、大丈夫。\\n わたしがいるから」",
"332000321_37": "「調の手、あったかいデス、\\n なんか、ほっとしたデスよ」",
"332000321_38": "「ううん、それはお互い様」",
"332000321_39": "(響……)",
"332000321_40": "(大丈夫。わたしには、\\n 今もこうして響がついてくれてるんだから……",
"332000321_41": "「ここからどうしましょう?」",
"332000321_42": "「館に入ってから\\n 本部との通信も上手く繋がらないデスけど……」",
"332000321_43": "「まだ何も手がかりを見つけてないし。\\n もう少しだけ奥を調べに行ってみよう」",
"332000321_44": "「そうですね」",
"332000321_45": "「うう、あまり気乗りしないデスが……。\\n 任務だから仕方ないデス」",
"332000321_46": "「でもこの廊下、どこまで続いてるんだろう……。\\n すごく長い」",
"332000321_47": "「ッ!?」",
"332000321_48": "「あなたは……誰?」",
"332000321_49": "「あ、待ってッ!」",
"332000321_50": "「どうしたデスか、いきなり?」",
"332000321_51": "「今、女の子がいたのッ!」",
"332000321_52": "「いいッ!? げ、幻覚とかじゃなくデス?」",
"332000321_53": "「わたしも見た。ちらっとだけだけど」",
"332000321_54": "「もしかして、行方不明になっている民間人かもッ!」",
"332000321_55": "「だったら、どうして奥に逃げるデスッ!?」",
"332000321_56": "「わたしたちもオバケだと勘違いした?」",
"332000321_57": "「わからない。\\n でも、とにかく追いかけようッ」",
"332000321_58": "「このあたりで見えなくなった気が……」",
"332000321_59": "「……でも、あるのは人形だけデス」",
"332000321_60": "「うん、人の気配はしないね」",
"332000321_61": "「それじゃ、他の部屋を探してみようか?」",
"332000321_62": "「了解デスッ!\\n ……それにしても、この人形たち、不気味デスね」",
"332000321_63": "「いつ襲いかかってくるかわかったものじゃ――」",
"332000321_64": "「デデデッ!?」",
"332000321_65": "「切ちゃん、危ないッ!!」",
"332000321_66": "「ほ、ホントに襲って来たデスよッ!?」",
"332000321_67": "「じゃあ、呪いの人形という噂は本当に?」",
"332000321_68": "「だから最初からそう言ってるデスッ!」",
"332000321_69": "「ともかく、今は倒すしかなさそうッ!」",
"332000321_70": "「うん……行こう、2人ともッ!」",
"332000321_71": "「Rei shen shou jing rei zizzl――」"
}

View file

@ -0,0 +1,45 @@
{
"332000322_0": "「きょ、凶悪な人形たちだったデス……」",
"332000322_1": "「なんとか倒せたけど……手強かったね。\\n 数も多いし」",
"332000322_2": "「まさか、この館にある人形は全部……?」",
"332000322_3": "「じょ、冗談はよしてほしいデスよッ!」",
"332000322_4": "「でも、その可能性は高いんじゃ……」",
"332000322_5": "「他の人形は……まだ動いてないみたいデス」",
"332000322_6": "「一度戻って、状況を報告したほうがいいかもしれませんね」",
"332000322_7": "「その前に、できれば、\\n さっきの女の子を見つけ出したいけど……」",
"332000322_8": "「でも、この館の中、かなり広そうですよ」",
"332000322_9": "「確かに、外で見たより全然広い気がするね」",
"332000322_10": "「入ってからけっこういい時間、経ってるデス……」",
"332000322_11": "「それから、無線が繋がらない問題もあります」",
"332000322_12": "「うん……敵の情報を本部に直接知らせる必要もあるし……」",
"332000322_13": "「それじゃ、いったん戻って、弦十郎さんたちに判断を仰ごうか」",
"332000322_14": "「それがいいデスッ!」",
"332000322_15": "「そうと決まればこんな不気味なトコ、\\n さっさとオサラバするデスよッ」",
"332000322_16": "「切ちゃん、1人で先に行かないでッ!」",
"332000322_17": "「なるほどな」",
"332000322_18": "「命を持っているかのように襲ってくる人形、か……」",
"332000322_19": "「まるでホラー映画そのものね」",
"332000322_20": "「みなさんからお聞きした形態から推測すると、\\n オートスコアラーとも違う原理・構造の産物のようです」",
"332000322_21": "「うん。関節人形というよりは、ぬいぐるみみたいだった」",
"332000322_22": "「襲ってきたのはほんの一部だったデスけど、\\n 館のあちこちの部屋に似た様な人形がいっぱいあったデスよ」",
"332000322_23": "「人形もだけど、途中で見かけた謎の女の子ってのが気になるね」",
"332000322_24": "「やっぱり、探して保護してくるべきだったでしょうか?」",
"332000322_25": "「いや、見失って行方がわからなくなったのでは仕方ない。\\n むしろ、報告に戻ってきてくれたのはいい判断だった」",
"332000322_26": "「よかった……」",
"332000322_27": "「しかし館内の敵の総戦力が読めない以上、\\n 装者名のみでこれ以上深入りするのは危険か……」",
"332000322_28": "「とりあえず、ご苦労だったな。\\n お前たちのおかげで内部の状況が少しだけだがわかった」",
"332000322_29": "「これからどうするデス?」",
"332000322_30": "「ひとまず洋館周辺は立ち入り禁止措置を取り、\\n 厳重監視を継続しつつ、調査を少しずつ進めることにしよう」",
"332000322_31": "「その間、わたしたちは、どうすれば……?」",
"332000322_32": "「状況に変化があるまで、しばらくは待機していてくれ」",
"332000322_33": "「了解しました」",
"332000322_34": "「その間に他のみんなが帰ってくるといいデスけど……」",
"332000322_35": "「向こうも作戦を開始して間もないから、\\n すぐには難しそうだね」",
"332000322_36": "「うう、そうデスか……」",
"332000322_37": "「大丈夫だよッ!\\n みんながいない間、わたしたちでしっかり留守を護ろう」",
"332000322_38": "「おおッ! なんかちょっと今の、響さんっぽかったデスよ」",
"332000322_39": "「え、本当に?」",
"332000322_40": "「はい、そんな感じがしました」",
"332000322_41": "「そ、そうかなー……」",
"332000322_42": "(……響、わたし頑張るからね)"
}

View file

@ -0,0 +1,47 @@
{
"332000331_0": "「おっはよー」",
"332000331_1": "「って。あれ、ビッキー、今日も休み?」",
"332000331_2": "「あ、おはよう。\\n うん、そうなんだ」",
"332000331_3": "「それは寂しいですわね」",
"332000331_4": "「しかし、ずいぶんと長引くねえ、風邪」",
"332000331_5": "「う、うん……」",
"332000331_6": "「大変ですわね」",
"332000331_7": "「熱はそこまで酷くないんだけど、喉に来ちゃって……」",
"332000331_8": "「そうじゃなくて。\\n 小日向さんの、そういうフォローのことですわ」",
"332000331_9": "「どうせまた面倒ごとなんでしょ? 任務とかで」",
"332000331_10": "「えっと、その……ごめんなさい」",
"332000331_11": "「詳しい話なんかしなくても別にいいからさ。\\n 首突っ込もうってんじゃないし」",
"332000331_12": "「ただ、わたしたちの前くらいは、\\n そういう建前抜きで、気を休めてほしいですわ」",
"332000331_13": "「あたしら、何度あんたらの世話になってると思ってるのさ。\\n 水くさいっての」",
"332000331_14": "「うん……ありがとう」",
"332000331_15": "「あら、そのお人形は……立花さんの?」",
"332000331_16": "「どうしてヒナが持ってんの?」",
"332000331_17": "「かーッ! 野暮だねえッ!\\n みなまで言わせるなって」",
"332000331_18": "「それ、なんのキャラの真似?」",
"332000331_19": "「お守りの交換はいいですけど。お留守番のご褒美とか\\n たまにはあってもいいんじゃないでしょうか」",
"332000331_20": "「そうだよねえ。\\n お土産とか頼んだらダメなのかな」",
"332000331_21": "「流石にそれは、無理だと思う……」",
"332000331_22": "「それに……。\\n わたしは響が無事に帰って来てくれればそれで十分だから」",
"332000331_23": "「はいはい、ごちそうさまでした」",
"332000331_24": "「フフ、でも、無事に帰ってくるのが一番ですわ」",
"332000331_25": "「そうだね」",
"332000331_26": "「あ、そういえば、最近、噂とかってどう?」",
"332000331_27": "「噂って?」",
"332000331_28": "「ああ、例の呪いの洋館のこと?」",
"332000331_29": "「うん、それ」",
"332000331_30": "「なんでも、リディアンの生徒も行方不明になってるらしいよ?」",
"332000331_31": "「肝試しに行くって言って、そのまま帰ってないんだって」",
"332000331_32": "「心配ですわよね……」",
"332000331_33": "「無事でいればいいんだけど……」",
"332000331_34": "「そうなんだ、リディアンの生徒まで……」",
"332000331_35": "「急にどうしたの、ヒナ?」",
"332000331_36": "「う、うん。その……ね。\\n あの洋館にはあまり近付かない方がいいよ」",
"332000331_37": "「え、なになに? ガチなヤツなの?」",
"332000331_38": "「うん……詳しくは言えないけど……」",
"332000331_39": "「まじかーッ。本当にアニメっぽくなってきたねー」",
"332000331_40": "「そういうことならあたしらも、\\n 周りの友達に近付くなって、それとなく広めておくよ」",
"332000331_41": "「ですわね。\\n 犠牲者が増えたら大変ですし」",
"332000331_42": "「うん……そうしてくれると助かるかな……」",
"332000331_43": "S.O.N.G.で封鎖してるはずなのに、被害が広がってるなんて)",
"332000331_44": "(早くわたしたちでなんとかしないと……)"
}

View file

@ -0,0 +1,68 @@
{
"332000411_0": "行方不明者の捜索",
"332000411_1": "「結局、また来ることになっちゃったデスね」",
"332000411_2": "「うん、でもまさか、\\n わたしたちの同級生まで行方不明になるなんて……」",
"332000411_3": "「わたしたちで必ず助けよう」",
"332000411_4": "「もちろんデスよッ!」",
"332000411_5": "「アタシたちの友達に手を出したこと、思い知らせてやるデスッ!」",
"332000411_6": "「うん、わたしも怒ったッ!」",
"332000411_7": "「さあ、行くデスよ、2人ともッ!」",
"332000411_8": "「――とは意気込んだものの」",
"332000411_9": "「うわあ……。\\n 相変わらずおどろおどろしい雰囲気が充満してるデス」",
"332000411_10": "「人形も、あちこちの部屋にたくさん置いてあるね」",
"332000411_11": "「あ、あの椅子に座った人形、見覚えあるデス」",
"332000411_12": "「うん。確かに……」",
"332000411_13": "「でも今のトコ、人形たち、襲ってこないデスね?」",
"332000411_14": "「みたいだね……」",
"332000411_15": "「どうしましょう?」",
"332000411_16": "「まずは前回折り返した所まで進んでみよう?」",
"332000411_17": "「了解デス」",
"332000411_18": "「前に進んだのはこの辺くらいまでだったデスかね……?」",
"332000411_19": "「だと思うけど、なんか違う気もする……」",
"332000411_20": "「人形の配置とかが変わってるデス?」",
"332000411_21": "「……ううん。そうじゃない」",
"332000411_22": "「え?」",
"332000411_23": "「どうも、建物の内部そのものの形が変わってるみたい」",
"332000411_24": "「な、なんデスとッ!?」",
"332000411_25": "「わたしが報告書で提出した館の間取りとは\\n 廊下と部屋の位置関係が変わってるの」",
"332000411_26": "「例えば、前回は最初の十字路までに2部屋あったんだけど……」",
"332000411_27": "「……今回は4部屋もあるデスね」",
"332000411_28": "「数え間違い、ではないですよね……」",
"332000411_29": "「間違いないと思う。それに部屋の中も――」",
"332000411_30": "「この辺りの部屋までは、\\n 全部中を確認してたはずだけど……」",
"332000411_31": "「でも、こんな絵は見覚えない……」",
"332000411_32": "「うん、それに部屋の形も微妙に違う気がするし。\\n 例えば、あんなところに柱は無かったよね」",
"332000411_33": "「確かにそんな気が……」",
"332000411_34": "「でもこっちの暖炉とか窓には見覚えある気がするデス」",
"332000411_35": "「見覚えないものと見覚えあるものが入り交じってる?」",
"332000411_36": "「これって、一体どういうことデス?」",
"332000411_37": "「洋館の中が組み変わってる?」",
"332000411_38": "「たぶん……でも、問題はそれだけじゃないかも」",
"332000411_39": "「なんデス?」",
"332000411_40": "「前回から気にはなってたんだけど……」",
"332000411_41": "「外から見た時の洋館全体の幅と、この廊下とそこから伸びる\\n 部屋の幅自体が、合ってない気がするの」",
"332000411_42": "「たぶん、奥行きも似た様なものじゃないかな」",
"332000411_43": "「確かに、廊下をいくら進んでも、壁に行き当たらなかった。\\n 外から見たらそこまで大きな建物じゃなかったのに」",
"332000411_44": "「つまり外観よりも、内部が何倍も広い空間になってるみたい」",
"332000411_45": "「どういうことデスッ!?」",
"332000411_46": "「たぶん、この館そのものに、\\n なんらかの超常の力が働いているんじゃないかな」",
"332000411_47": "「この不気味な雰囲気に、前回襲ってきた人形。\\n その可能性は高そうデスね」",
"332000411_48": "「もう一度、最初から調べなおしますか?」",
"332000411_49": "「うん、それがいいと思う」",
"332000411_50": "「最初からデスか……」",
"332000411_51": "「見落としがあったらいけないものね」",
"332000411_52": "「仕方ないデス。\\n これも大切な友達のため、頑張るデスよッ」",
"332000411_53": "「この部屋にも行方不明者はいなそうデス……」",
"332000411_54": "「相変わらず、人形はたくさん飾ってあるけど」",
"332000411_55": "「今回は、まだ襲ってこないデスね」",
"332000411_56": "「あの動ける人形は、あまり数が無いのかな?」",
"332000411_57": "「だといいんだけど……」",
"332000411_58": "「おおかた、この間のアタシたちの強さを思い知って\\n 人形の奴らビビってるデスよッ」",
"332000411_59": "「切ちゃん、後ろ後ろッ!!」",
"332000411_60": "「ヘッ!?」",
"332000411_61": "「おわあッ!?」",
"332000411_62": "「に、人形の振りして不意打ちしてくるとは卑怯デスよッ!?」",
"332000411_63": "「今のは切ちゃんが油断しすぎだよ」",
"332000411_64": "「気をつけてッ!\\n 体だけじゃなくて他の人形も動き出した」",
"332000411_65": "「びっくりさせたお返しに\\n 片っ端から切り刻んでやるデスッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,46 @@
{
"332000421_0": "「やっと全部片付いたデスね……」",
"332000421_1": "「2人とも怪我は無い?」",
"332000421_2": "「大丈夫です」",
"332000421_3": "「よかった。でも、結構時間を使っちゃったね。\\n 早く先に進もう」",
"332000421_4": "「了解デスッ!」",
"332000421_5": "「しかし、どこもかしこも似た様な形してるから、\\n どこまで進んだかわからなくなってくるデスね……」",
"332000421_6": "「確かに」",
"332000421_7": "「わたしは曲がり角と部屋の数くらいは、\\n だいたい覚えてるけど……」",
"332000421_8": "「何か心配ごとでも?」",
"332000421_9": "「館の構造が変えられるなら、\\n わたしたちが戻るまでに変わってる可能性もあるかなって……」",
"332000421_10": "「それじゃ迷子になるデスよッ!?」",
"332000421_11": "「かもしれない、って話だけど。\\n できるだけ早く行方不明者を探して脱出したほうがいいと思う」",
"332000421_12": "「わたしもそう思います」",
"332000421_13": "「わかったデス。どんどん進むデスよッ!」",
"332000421_14": "「この部屋は……と」",
"332000421_15": "「……やっぱり、行方不明者はいないね」",
"332000421_16": "「うん……」",
"332000421_17": "「あれ?」",
"332000421_18": "「どうしたの切ちゃん?」",
"332000421_19": "「この椅子に座った人形、\\n 入り口近くの部屋でも見た気がするデス」",
"332000421_20": "「ひょっとして同じ部屋に戻ってきちゃったデスか?」",
"332000421_21": "「それはないはずだけど……」",
"332000421_22": "「この人形、わたしも何度か見た気がする。\\n 入り口近くだけじゃなくて他の部屋でも」",
"332000421_23": "「じゃあ、沢山あるんデスかね?」",
"332000421_24": "「あ、下手に触らない方が……」",
"332000421_25": "「大丈夫デスよ。\\n なんともない普通の人形デス」",
"332000421_26": "「わたしにも見せて」",
"332000421_27": "「はいデス」",
"332000421_28": "「……確かに、普通の人形だね」",
"332000421_29": "「でも、大量生産品じゃなさそうな作りをしてる?\\n 商品のタグもついてないし」",
"332000421_30": "「これ以上この部屋にいても仕方ないし、先へ進もう」",
"332000421_31": "「はい」",
"332000421_32": "「進んでも進んでも奥が見えないデスね……」",
"332000421_33": "「まるで廊下が無限ループしてるみたい」",
"332000421_34": "「あー、ゲームだとよくあるパターンデスね。\\n 迷いの森とか」",
"332000421_35": "「後ろに戻るとすぐ入り口に戻ってる、みたいな」",
"332000421_36": "「流石にそれはないと思うけど……」",
"332000421_37": "「どれどれ……」",
"332000421_38": "「少し戻ってみても、流石に入り口には戻らないデスね」",
"332000421_39": "「よかった」",
"332000421_40": "「逆に言えば、外に出るには来た道を戻らないとね」",
"332000421_41": "「この長い通路を……、それもなかなか面倒デスね……」",
"332000421_42": "「早く一番奥まで辿り着けばいいのに」",
"332000421_43": "「そうだね……。\\n とりあえず、もう少しだけ進んでみよう」"
}

View file

@ -0,0 +1,66 @@
{
"332000422_0": "「げんなりする程広いデスよ……」",
"332000422_1": "「うん」",
"332000422_2": "(わたしたちが進むほど、\\n 館が奥に広がってるとかじゃないといいんだけど……",
"332000422_3": "「次はこの部屋だね」",
"332000422_4": "「面倒デスけど、部屋を無視して\\n ガンガン進むわけにもいかないデスしね……」",
"332000422_5": "「うん。万が一、行方不明者を見落としたらいけないもの」",
"332000422_6": "「誰もいない……」",
"332000422_7": "「ここも外れデスか……」",
"332000422_8": "(結構な人数が館の中で消えてるはずなのに、\\n これだけ探しても誰人見当たらない……",
"332000422_9": "(それだけ館が広いってこと?)",
"332000422_10": "「わわ、危ないデスッ!」",
"332000422_11": "「えッ!?」",
"332000422_12": "「きゃあッ!?」",
"332000422_13": "「大丈夫ですかッ!?」",
"332000422_14": "「あ、ありがとう」",
"332000422_15": "「どうしたんデス?」",
"332000422_16": "「ごめんなさい、ちょっと考えごとをしてて……」",
"332000422_17": "「とりあえず、無事でよかったです」",
"332000422_18": "「それじゃ、襲ってくる人形たちを、\\n バラバラにしてやるデスッ」",
"332000422_19": "「はあ……次から次へとしつこかったデス……」",
"332000422_20": "「うん……また結構、時間を使っちゃったね……」",
"332000422_21": "(時間もだけど、体力的にもこれ以上は厳しいかな……?)",
"332000422_22": "(それにしても、いなくなった人たちは一体どこに?)",
"332000422_23": "(何か見落としてることがあるのかな?)",
"332000422_24": "(せめて、あの時の女の子だけでも、見つけられたらいいのに……)",
"332000422_25": "「どうしました?」",
"332000422_26": "「また考えごとは危ないデスよ」",
"332000422_27": "「あ、そうだね。ごめんなさい」",
"332000422_28": "「このあと、どうしましょう?」",
"332000422_29": "「うん……残念だけど、今日はこの辺で切り上げようか」",
"332000422_30": "「デスけど、クラスの友達が……」",
"332000422_31": "「まだ、見つかってない」",
"332000422_32": "「2人が友達を心配する気持ちは、よくわかる」",
"332000422_33": "「でも、今無理してわたしたちがやられたら、\\n それこそ助け出せる人が誰もいなくなっちゃうもの」",
"332000422_34": "「それは……」",
"332000422_35": "「そうデスけど……」",
"332000422_36": "「……わかりました。戻りましょう」",
"332000422_37": "「うん」",
"332000422_38": "「行方不明の人たちは、わたしたちで絶対助けよう」",
"332000422_39": "「はい」",
"332000422_40": "「もちろんデスッ!」",
"332000422_41": "「来た道を戻るだけでも、結構時間かかるデスね……」",
"332000422_42": "「うん。廊下長すぎ……」",
"332000422_43": "「でも、見たところ、\\n 建物や部屋の構造は来た時と変わってなさそうだね」",
"332000422_44": "「それはよかったデス」",
"332000422_45": "「……?」",
"332000422_46": "「どうかしましたか?」",
"332000422_47": "「確か、この辺の部屋だったはずなんだけど」",
"332000422_48": "「何がデス?」",
"332000422_49": "「2人が調べてた、椅子に座った人形が見当たらないの」",
"332000422_50": "「そういえば……」",
"332000422_51": "「確かにこの部屋だった気がするデスけど……」",
"332000422_52": "「もう行きすぎたのかな?」",
"332000422_53": "「…………」",
"332000422_54": "「ごめんなさい。早く戻ろう」",
"332000422_55": "「ふう……やっと出て来られたデスね……」",
"332000422_56": "「だけど、何も調査が進まなかった……」",
"332000422_57": "「そうだね……」",
"332000422_58": "「でも次は絶対、友達を助けて帰るデスよッ!」",
"332000422_59": "「うん、そうだね」",
"332000422_60": "(入り口の方でも、あの椅子に座った人形は見なかった……。\\n 一体どうして なんだか、気になる……",
"332000422_61": "「どうしたんデス?」",
"332000422_62": "「帰りましょう」",
"332000422_63": "「あ、うん」"
}

View file

@ -0,0 +1,47 @@
{
"332000431_0": "「はあ……疲れた……」",
"332000431_1": "「1人だと、やっぱり寂しいな……」",
"332000431_2": "「館の調査も全然進まなかったし、どうしよう……」",
"332000431_3": "「なんて、弱音を吐いてちゃダメだよね」",
"332000431_4": "「わたしがもっとしっかりしなきゃ。響のかわりに」",
"332000431_5": "「……響。どうしてるかな……?」",
"332000431_6": "「あ、響からだッ!」",
"332000431_7": "「響ッ!」",
"332000431_8": "「あ、よかった。まだ起きてた?」",
"332000431_9": "「さっき本部に電話したら、作戦から戻ったばかりって聞いたから、\\n まだ起きてるかなって」",
"332000431_10": "「うん、さっき戻って、お風呂入ってご飯食べてたとこ」",
"332000431_11": "「聞いたよ。任務入っちゃったんだって?」",
"332000431_12": "「うん、前にみんなで見た洋館で、\\n 本当に行方不明者が出ちゃって……」",
"332000431_13": "「ええーッ!? あの洋館でッ!?」",
"332000431_14": "「うん。2回調査に入ったんだけど、誰も見つからなくて」",
"332000431_15": "「そうか……大変そうだね……。\\n わたしも助けに行ければいいんだけど……」",
"332000431_16": "「大丈夫だよ。こっちは任せてッ!\\n 絶対に行方不明者全員助け出すからッ」",
"332000431_17": "「でも、危険なんじゃ……」",
"332000431_18": "「危険だからって、困っている人を放ってはおけないでしょ?」",
"332000431_19": "「それは、そうだけど……」",
"332000431_20": "「わたしだって、シンフォギア装者なんだから」",
"332000431_21": "「それに、\\n 困っている人は何がなんでも絶対に助ける響の親友なんだよ」",
"332000431_22": "「未来……」",
"332000431_23": "「心配しないで。\\n 調ちゃんや切歌ちゃんもいるし」",
"332000431_24": "「へいき、へっちゃらだよ」",
"332000431_25": "「わかった、でも、気をつけてね」",
"332000431_26": "「うん」",
"332000431_27": "「それで、響の方は大丈夫なの?」",
"332000431_28": "「こっちは大丈夫だよ。クリスちゃんたちもいるし、\\n そしてなにより、わたしには未来がついててくれるからね」",
"332000431_29": "「あ……わたしの人形」",
"332000431_30": "「うん、肌身離さず大事にしてるよ」",
"332000431_31": "「大事にしすぎてクリスちゃんに突っ込まれたけど」",
"332000431_32": "「『いい歳こいてお人形ゴッコかよッ?』って」",
"332000431_33": "「あ、今の似てる。クリスが言いそう」",
"332000431_34": "「わたしも同じことで板場さんたちにからかわれたよ」",
"332000431_35": "「あ、板場さんって言えばね、\\n たまには出張のお土産がほしいとかって言ってたけど」",
"332000431_36": "「お土産かあ……。\\n アフリカが舞台のアニメって何かあったっけ」",
"332000431_37": "「そこは無理にアニメに絡ませなくてもいいんじゃ……」",
"332000431_38": "「アハハ。そうだね。\\n 時間があったら何か考えてみるよ」",
"332000431_39": "「あ、そっち、もう遅い時間だよね。\\n そろそろ切るよ」",
"332000431_40": "「あ……そうだね」",
"332000431_41": "「それじゃ、またかけるからッ!\\n おやすみッ」",
"332000431_42": "「うん。おやすみ」",
"332000431_43": "「ありがとう、響。\\n 少し元気出たよ」",
"332000431_44": "(……大丈夫、響の留守は、わたしが護るから)"
}

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@ -0,0 +1,29 @@
{
"332000511_0": "進行する異変",
"332000511_1": "「ん……」",
"332000511_2": "「今、何時……?」",
"332000511_3": "「もうこんな時間……学院に行かないと……」",
"332000511_4": "「着替えよし……」",
"332000511_5": "「朝ご飯の準備を……」",
"332000511_6": "「うッ……」",
"332000511_7": "「うん……もう朝、デスか……?」",
"332000511_8": "「あ、おはよう……」",
"332000511_9": "「なんだか、顔色悪いデスよ?」",
"332000511_10": "「うん……ちょっと夢見が悪くて、しっかり寝れなかったの」",
"332000511_11": "「え。調もデスか?」",
"332000511_12": "「切ちゃんも?」",
"332000511_13": "「デス……。\\n どんな夢、見たデス」",
"332000511_14": "「それが、よく覚えてなくて……」",
"332000511_15": "「アタシもデス」",
"332000511_16": "「2人同時にって、偶然……?」",
"332000511_17": "「あの子たちのこと、心配で見た夢デス?」",
"332000511_18": "「それもあるとは思うんだけど……」",
"332000511_19": "「なんか、そういうのじゃなかった気が……」",
"332000511_20": "「もっと怖いような、締め付けられるような……、\\n もやもやとした気持ちが渦巻いてるような……」",
"332000511_21": "「じゃあ、この前見た映画がよくなかったデスかね……?」",
"332000511_22": "「わたしはそんなに内容気にならなかったけど……」",
"332000511_23": "「あ、いけない」",
"332000511_24": "「早くご飯食べて出発しないと遅刻しちゃうよ」",
"332000511_25": "「おっと、そうデスね。準備手伝うデスよッ!」",
"332000511_26": "「うん、お願い」"
}

View file

@ -0,0 +1,58 @@
{
"332000512_0": "「ぶっとぶデスよッ!」",
"332000512_1": "「……ッ!?」",
"332000512_2": "「し、しまったッ! は、外れたデスッ!」",
"332000512_3": "「くうッ!」",
"332000512_4": "「こなくそデスッ!」",
"332000512_5": "「あ、焦らせるんじゃないデスよ」",
"332000512_6": "「……あッ!?」",
"332000512_7": "「後ろよく見てッ!」",
"332000512_8": "「え? し、しまったデスッ!」",
"332000512_9": "(ダメ、反応が遅れて援護が間に合わないッ!)",
"332000512_10": "「未来さんッ!?」",
"332000512_11": "「2人とも大丈夫ッ?」",
"332000512_12": "「た、助かったデス……」",
"332000512_13": "「ありがとうございます」",
"332000512_14": "「どうしたの? 調子でも悪い?」",
"332000512_15": "「実はちょっと……」",
"332000512_16": "「2人とも、昨夜あまり眠れなくて……」",
"332000512_17": "「眠れないって、何かあったの?\\n また、怖い映画を観たとか」",
"332000512_18": "「そういうんじゃないデス」",
"332000512_19": "「お布団で寝てはいるんですけど、寝苦しいというか、\\n 何か変な夢をずっと見てる感じで休まらなかったというか……」",
"332000512_20": "「お友達のことが心配で?」",
"332000512_21": "「それも、あるかもしれないデスけど、よくわかんないデス」",
"332000512_22": "「なんか、もやもやしたものが、胸の中にあるみたいで……」",
"332000512_23": "「そうだったんだ……」",
"332000512_24": "「それなら、今日の訓練はおしまいにしよう?」",
"332000512_25": "「え。でも……」",
"332000512_26": "「まだ全然、予定の時間終わってないデスよ」",
"332000512_27": "「調子が悪い時に無理して訓練しても、\\n 身体を壊すだけで何も身にならないもの」",
"332000512_28": "「弦十郎さんにはわたしから伝えるから、\\n メディカルルームに行って、ちゃんと調べてもらって。ね」",
"332000512_29": "「もしかすると、まだ自覚症状が出てないだけで、\\n 風邪の引き始めかもしれないし」",
"332000512_30": "「そう……デスね」",
"332000512_31": "「それじゃ、お言葉に甘えてそうさせてもらいます」",
"332000512_32": "「検査はどうだった?」",
"332000512_33": "「あ、はい」",
"332000512_34": "「一通り検査が終わって、これから結果を聞くところデス」",
"332000512_35": "「お待たせしました」",
"332000512_36": "「あ、未来さんもいらしていたんですね」",
"332000512_37": "「お疲れ様」",
"332000512_38": "「それで、どうだったデス?」",
"332000512_39": "「はい。おふたりの検査結果ですが……」",
"332000512_40": "「各種バイタルも正常値ですし……。\\n 単純に、寝不足からくる体力消耗の問題かと思われます」",
"332000512_41": "「そう……」",
"332000512_42": "「その寝不足の原因が知りたかったんデスけど……」",
"332000512_43": "「環境の問題じゃないとすると、\\n 心因性の問題かもしれませんが……」",
"332000512_44": "「寝不足の原因究明に、ダイレクト・フィードバックシステムを\\n 使うのは、流石にハイリスク過ぎますし……」",
"332000512_45": "「あ、いやそこまでする必要はないデスよッ!」",
"332000512_46": "「ごめんね、なんだか大袈裟なことにしちゃって」",
"332000512_47": "「いえ、変な病気じゃないとわかって、よかったです」",
"332000512_48": "「出撃直後だったから、興奮してたのかもしれないね……」",
"332000512_49": "「とにかく、今はゆっくり身体を休めることをお勧めします」",
"332000512_50": "「念のために、身体に負担のない\\n 軽めの睡眠導入剤をお出ししておきますか」",
"332000512_51": "「うーん、お薬はとりあえずやめておくデスよ」",
"332000512_52": "「もし、また寝られないようなら考える」",
"332000512_53": "「弦十郎さんも今日はもういいって言ってるから、\\n 早く帰って、ゆっくり休んで」",
"332000512_54": "「わかったデス」",
"332000512_55": "「そうさせていただきます」"
}

View file

@ -0,0 +1,84 @@
{
"332000521_0": "「で。あの後、ビッキーから連絡あった?」",
"332000521_1": "「うん。向こうで頑張ってるみたい」",
"332000521_2": "「あ、板場さんが言ってたお土産の件、考えてくれるって」",
"332000521_3": "「お、本当に? なんだか催促したみたいで悪いねえ」",
"332000521_4": "「『なんだか』どころか、\\n これ以上なくはっきりと催促していましたわよ」",
"332000521_5": "「ま、元気にやってるようでなによりかな」",
"332000521_6": "「うん、そうだね」",
"332000521_7": "「おや、あそこにいるのは――」",
"332000521_8": "「あ、調ちゃんと切歌ちゃん」",
"332000521_9": "「どうも……」",
"332000521_10": "「どうしたの、2人とも」",
"332000521_11": "「昨夜、ゆっくり暖まって早めにお布団に入ったデスけど……」",
"332000521_12": "「またほとんど寝られなかったんです……」",
"332000521_13": "「どんな夢を見たか覚えてる?」",
"332000521_14": "「怖い夢を見た気がするデスけど、\\n 内容はやっぱりゼンゼン覚えていないんデスよ……」",
"332000521_15": "「わたしも」",
"332000521_16": "「それは大変だねえ」",
"332000521_17": "「眠れないなら、あれこれ快眠法を試すしかないかね」",
"332000521_18": "「確か、寝る前に暖かいミルクを飲むと、\\n セロトニンが分泌されてリラックスして眠れるそうですよ」",
"332000521_19": "「それはもう昨夜やったんですけど……」",
"332000521_20": "「あら……」",
"332000521_21": "「他に何かあったっけ?」",
"332000521_22": "「ちょっくらネットで調べてみるか」",
"332000521_23": "「えーとなになに。\\n 部屋を暗くして早く寝る」",
"332000521_24": "「一昨日は遅かったデスけど……」",
"332000521_25": "「昨夜はすごく早く寝たし、照明もちゃんと落としてました」",
"332000521_26": "「起きたらすぐ日を浴びる」",
"332000521_27": "「やってなかったら遅刻ですわよね……」",
"332000521_28": "「朝食をちゃんと食べる」",
"332000521_29": "「自慢じゃないデスが、遅刻してでも抜いたことはないデス」",
"332000521_30": "「本当に自慢になってないよ……」",
"332000521_31": "「カフェインとお酒は避ける」",
"332000521_32": "「どっちも呑まないデス」",
"332000521_33": "「お酒は最初からアウトだしねえ」",
"332000521_34": "「好きなアロマを焚く」",
"332000521_35": "「アロマなんていらないデス。調の優しい香りさえ嗅げれば\\n いつでもリラックスデスよッ」",
"332000521_36": "「こんなところで恥ずかしいよ」",
"332000521_37": "「場所を選べばいいのかしら?」",
"332000521_38": "「流石はあんたたちの後輩だねえ……」",
"332000521_39": "「わ、わたしたちは流石にそこまでは……」",
"332000521_40": "「うーん。当たり障りないのはこの位かな。\\n あとは、直球だと眠剤とか」",
"332000521_41": "「お、お薬は最後の手段デスッ!」",
"332000521_42": "「うんうん」",
"332000521_43": "「まあ、気持ちはわかるけど。\\n 眠れなくて衰弱するよりはいいと思うけどね」",
"332000521_44": "「そうデスけど……」",
"332000521_45": "「その辺は今度、エルフナインちゃんとも相談するから」",
"332000521_46": "「まあ、外野があれこれ言うことじゃないけどね」",
"332000521_47": "「そもそも、いつからそんなことになったわけ?\\n その辺のヒントはないの」",
"332000521_48": "「おとといの晩、あの館の調査に行った後からデス」",
"332000521_49": "「あ、言っちゃダメッ!」",
"332000521_50": "「え? あ、しまったデスッ!」",
"332000521_51": "「い、今のは聞かなかったことにしてほしいデスよ~ッ」",
"332000521_52": "「えーと……」",
"332000521_53": "「なるほど、そういうことだったんですね」",
"332000521_54": "「あのー……このことは……」",
"332000521_55": "「昨日今日の付き合いじゃないし、わかってるって」",
"332000521_56": "「そうそう、むしろちょっと納得しちゃったよ」",
"332000521_57": "「しかし、館の調査の後からか……」",
"332000521_58": "「その調査の時に何かあったとかでしょうか?」",
"332000521_59": "「それなら、やっぱ呪いじゃないかなあ」",
"332000521_60": "「の、呪いデスとッ!?」",
"332000521_61": "「でも、わたしはなんともないし……」",
"332000521_62": "「ヒナが大丈夫で、2人だけがなった理由かあ……」",
"332000521_63": "「何か、2人だけフラグ立てちゃったとか」",
"332000521_64": "「館の噂だと、人形とか椅子とか仮面とか、\\n フラグになりそうな物はあれこれあるっしょ」",
"332000521_65": "「仮面は無かったかな……?」",
"332000521_66": "「家具や飾りが色々あっていちいち覚えてないデスね」",
"332000521_67": "「やっぱり、人形が原因……?」",
"332000521_68": "「呪いの定番だよね。藁人形とかもあるわけだし」",
"332000521_69": "「それは……確かに」",
"332000521_70": "「でも、人を呪うためだけに人型っぽくしたものなんかじゃなくて、\\n ちゃんと作った人形は違うと思う……」",
"332000521_71": "「だって、そこには、持ち主――人を想う気持ちが、\\n 必ず込められてるはずだから」",
"332000521_72": "「ヒナはピュアだねえ」",
"332000521_73": "「でも……わたしもそう思いたいですわ」",
"332000521_74": "「とにかく、呪いとかそういうのは当分お腹いっぱいデスよ」",
"332000521_75": "「おっとヤバッ!」",
"332000521_76": "「午後の授業が始まってしまいますわ」",
"332000521_77": "「参考にならなくて悪かったね」",
"332000521_78": "「いえ、ありがとうございました」",
"332000521_79": "「ありがとうデス」",
"332000521_80": "「それじゃあ、後でね、2人とも」",
"332000521_81": "「はいデス」"
}

View file

@ -0,0 +1,107 @@
{
"332000531_0": "「今夜の調査についてだが。\\n これまでの情報を元に少々捜索支援を考えてみた」",
"332000531_1": "「本当ですか?」",
"332000531_2": "「本当は館内での通信障害に対応できればよかったのですが、\\n それにはもう少し時間が掛かりそうです」",
"332000531_3": "「ああ。通信さえ確保できれば、\\n こちらからもバックアップできるのだがな……」",
"332000531_4": "「その代わりに、今回はちょっとした機能を\\n みなさんのギアの端末に組み込んでみました」",
"332000531_5": "「これで多少でも捜索効率が上がればいいのですが」",
"332000531_6": "「…………」",
"332000531_7": "「流石、エルフナイン……」",
"332000531_8": "「どんな機能なの?」",
"332000531_9": "「生体探知機能です。\\n 正確には、生体磁気的な波長を検知し、報せる機能ですね」",
"332000531_10": "「的な、って。\\n 何か問題があるの」",
"332000531_11": "「微弱な波長を拾うために感度を高めに設定しているので\\n 植物などの本当に微弱な反応も拾ってしまうかもしれません」",
"332000531_12": "「まあその位は仕方ないよね」",
"332000531_13": "「植物も生体といえば生体だし……」",
"332000531_14": "「それから、生体磁気に類似した波長の磁気を\\n 誤検出してしまう可能性もあります」",
"332000531_15": "「そんなのあるデス……?」",
"332000531_16": "「元々、生体磁気の非接点型・非シールド型の検出方法では、\\n より大きな地磁気や都市磁気を別の波長で中和するのですが――」",
"332000531_17": "「その中和波と環境電磁波の干渉の結果、\\n 偶然生体磁気に似た波長を取る可能性が、低確率ながらあります」",
"332000531_18": "「あとの可能性は、残留生命磁気ですが……」",
"332000531_19": "「それはなんデス?」",
"332000531_20": "「霊体のことです。\\n 簡単に言えば、ゆうれ――」",
"332000531_21": "「ストップデスッ!\\n 十分わかったから大丈夫デス」",
"332000531_22": "「そうですか」",
"332000531_23": "「とりあえず、少しくらい問題があっても、\\n 何も無いよりずっとよさそう」",
"332000531_24": "「まあ確かにそうデスね……」",
"332000531_25": "「うん、毎回造りが変わってしまう館の中を、1部屋1部屋\\n シラミ潰しに探してると、時間がかかっちゃうもの」",
"332000531_26": "「敵との遭遇も増えたら体力も削られちゃうし」",
"332000531_27": "「デスデス」",
"332000531_28": "「説明が長くなったが、この機能を駆使して\\n 今度こそ行方不明者の捜索、救助を成功させてほしい」",
"332000531_29": "「……了解デス」",
"332000531_30": "「……わかり、ました」",
"332000531_31": "「…………」",
"332000531_32": "「では、予定通り、今から2時間後に出撃を――」",
"332000531_33": "「あの、その前にご相談があります」",
"332000531_34": "「ん? どうした?」",
"332000531_35": "「今回は、わたし1人で行かせてくれないでしょうか?」",
"332000531_36": "「何?」",
"332000531_37": "「未来さん、もしかして、わたしたちのこと……」",
"332000531_38": "「調ちゃんも切歌ちゃんも、この2日間、\\n 十分に休息が取れずに体力も判断力も低下していると思います」",
"332000531_39": "「だから……」",
"332000531_40": "「そんな無茶デスよッ!」",
"332000531_41": "「単独行動か……いや、しかし……」",
"332000531_42": "「アタシたちなら大丈夫デスッ!\\n 授業中に少し寝て回復したデスからッ」",
"332000531_43": "「うん、わたしも大丈夫です」",
"332000531_44": "「それは大丈夫なのか……?」",
"332000531_45": "「同級生たちが捕らわれてるのに\\n 居残りなんかで我慢できないデスよッ」",
"332000531_46": "「足手纏いにはなりません。だからッ!」",
"332000531_47": "「2人とも……」",
"332000531_48": "「未来くんの言うこともわかるが、\\n かといって単独行動も許可し難い……」",
"332000531_49": "「だが一方で、人質の救助限界時間も勘案すると、\\n 明日に引き延ばすのも避けたいところだ」",
"332000531_50": "「そこで、こういうのはどうだろう?」",
"332000531_51": "「未来くん主体で行動してもらい、2人にサポートをさせる。\\n そしてどちらかに少しでも無理があるようなら即撤退というのは」",
"332000531_52": "「ア、アタシたちはそれでいいデスッ!」",
"332000531_53": "「でも……」",
"332000531_54": "「お願いしますッ!」",
"332000531_55": "「それじゃ……本当に無理しちゃダメだからね?」",
"332000531_56": "「わかってるデスッ!」",
"332000531_57": "「約束します」",
"332000531_58": "「そうと決まれば早いほうがいいだろう」",
"332000531_59": "「作戦開始時間を昨夜より繰り上げて30分後に開始する」",
"332000531_60": "「各員はそれまでに準備を整えて待機してくれ」",
"332000531_61": "「了解デスッ!」",
"332000531_62": "「それじゃ、わたしが先頭で進むから。\\n 人は後ろから援護をお願いね」",
"332000531_63": "「はい」",
"332000531_64": "「バッチリ援護するデスよッ!」",
"332000531_65": "「相変わらず人の気配は無いね」",
"332000531_66": "「生体反応はどうかな?」",
"332000531_67": "「……いえ、今のところわたしたちの反応以外は何も」",
"332000531_68": "「まさか壊れてないデスよね……?」",
"332000531_69": "「使用し始めたばかりで、流石にそれはないと思うけど」",
"332000531_70": "「エルフナインちゃんが作ってくれたんだもの。\\n きっと大丈夫だよ」",
"332000531_71": "「そ、そうデスよね」",
"332000531_72": "「結構、奥まで来たデスね」",
"332000531_73": "「うん。前の2回より進んだと思う」",
"332000531_74": "「敵の襲撃も無し、生体反応も無し……か……」",
"332000531_75": "(ここまで来ても、何も反応が無いなんて……。\\n やっぱり、建物に迷わされてたりするのかな……",
"332000531_76": "「待ってくださいッ!」",
"332000531_77": "「どうしたの?」",
"332000531_78": "「10mくらい前方に、微かな生体反応ッ!」",
"332000531_79": "「本当デスッ!」",
"332000531_80": "「警戒しながら行こう」",
"332000531_81": "「了解」",
"332000531_82": "「あッ! あの子は――」",
"332000531_83": "「あの時に見た子ッ!」",
"332000531_84": "「あ、待ってッ!」",
"332000531_85": "「なんで奥に逃げるデスかッ!」",
"332000531_86": "「わたしたちはあなたを助けに――」",
"332000531_87": "「十字路デスッ! どっち行ったデスかッ!?」",
"332000531_88": "「ごめんなさい、暗くて見えなかった」",
"332000531_89": "「生体反応で確認しますッ!」",
"332000531_90": "「お願いッ!」",
"332000531_91": "「え……?」",
"332000531_92": "「どうしたデスッ?」",
"332000531_93": "「半径30m内に反応無し……? どうして?」",
"332000531_94": "「どんだけ脚速いんデスか、あの子ッ!」",
"332000531_95": "「さっきの反応もすごく小さかったけど……。\\n あっという間に消えるなんて」",
"332000531_96": "「何者デスか、あの子……。\\n ま、まさか、本物の幽霊デスッ」",
"332000531_97": "(わからない……、\\n でも、もしかすると……あの子は……",
"332000531_98": "「反応が弱すぎて壁越しで検知できないのかも?」",
"332000531_99": "「近くの部屋を探してみるデスッ!」",
"332000531_100": "「う、うん。そうだね……」",
"332000531_101": "「この部屋にはいなさそう。反対側の部屋に行ってみよう」",
"332000531_102": "「待ってください、人形が動き出しましたッ!」",
"332000531_103": "「こ、こっちの人形も動き出したよッ!」",
"332000531_104": "「反対側の部屋からもッ! 囲まれたデスッ!?」"
}

View file

@ -0,0 +1,68 @@
{
"332000532_0": "「はぁ、はぁ、はぁ……」",
"332000532_1": "「うぅ……」",
"332000532_2": "「2人とも、大丈夫ッ!?」",
"332000532_3": "「フォローしてもらったおかげでなんとか無事デスけど……」",
"332000532_4": "「やっぱり、いつも通りに戦うのは、難しいです……」",
"332000532_5": "「万全の状態じゃないし、無理もないよ」",
"332000532_6": "「面目ないデス……」",
"332000532_7": "「気にしないで」",
"332000532_8": "(これ以上の捜索は厳しそう……)",
"332000532_9": "(行方不明者とあの女の子が気がかりだけど……。\\n 今、無茶をしたら取り返しのつかない事態になる可能性もある",
"332000532_10": "「……やっぱり、今日はここまでにして、\\n S.O.N.G.に戻ろう」",
"332000532_11": "「はい……」",
"332000532_12": "「了解デス……」",
"332000532_13": "「そんなことがあったんだ……大変だったね」",
"332000532_14": "「2人の気持ちもわかるけど、\\n 今の状態だと危険だから……」",
"332000532_15": "「うん、2人に何かあったら、それこそ大変だもんね」",
"332000532_16": "「まあ、わたしもよく無理して叱られるから、\\n 人のことは言えないけど」",
"332000532_17": "「なんか、いつもこんな風に心配させちゃってるんだなあ\\n ……って、しみじみ感じるよ」",
"332000532_18": "「心配はするけど、響は、必ず帰って来てくれるって信じてるもの」",
"332000532_19": "「も、もちろんだよッ!」",
"332000532_20": "「最初の頃は、すごく不安だったけどね」",
"332000532_21": "「そ、その節はご心配をおかけしました、はい……」",
"332000532_22": "「で、2人の様子は?」",
"332000532_23": "「今日はエルフナインちゃんにお薬もらったって言ってたから、\\n もう眠ってると思うけど……」",
"332000532_24": "「ならいいけど。\\n でも、原因がわからないのは怖いね……」",
"332000532_25": "「うん……」",
"332000532_26": "「あのね」",
"332000532_27": "「ん?」",
"332000532_28": "「館の中で見かけたっていう女の子。\\n もしかすると、幽霊なのかも……」",
"332000532_29": "「ゆ、幽霊ッ!?\\n でも、呪いの館ならありえそう……」",
"332000532_30": "「もしかして、足が無かったとか?」",
"332000532_31": "「足はあったと思うんだけど……」",
"332000532_32": "「生体反応もすごく弱くて、追いかけてもすぐ消えちゃって……。\\n 生きてる人間じゃないみたい」",
"332000532_33": "「それに、館に捕らわれた被害者だったら、\\n 何日もの間、自由に館の中を動き回れないと思うし……」",
"332000532_34": "「……それじゃ、原因はもしかして、その幽霊?」",
"332000532_35": "「まだ、わからないけど、でも、そうなのかも……」",
"332000532_36": "「ねえ。わたし、どうすればいいのかな?」",
"332000532_37": "「どうって?」",
"332000532_38": "「その子が原因で、沢山の人たちが閉じ込められてるなら、\\n 倒さないといけない相手ってことだよね」",
"332000532_39": "「それはわかってるんだけど……。\\n 本当にそれでいいのかなって」",
"332000532_40": "「それに、わたしたちを狙っているのなら、\\n その子も、もっとわかりやすい形で襲ってこないかな」",
"332000532_41": "「単にわたしが、そうであってほしいって\\n そう思ってるだけなのかもしれないけど……」",
"332000532_42": "「あの子が幽霊なのかもって考えた時、響だったら、\\n どうするのかなって、ちょっと思ったの」",
"332000532_43": "「わたしだったらかー……」",
"332000532_44": "「わたしは直接会ってないから、\\n 実際のところはわからないけど」",
"332000532_45": "「でも、もしその子が何かに困ってるなら、助けたいかな」",
"332000532_46": "「助け、たい……?」",
"332000532_47": "「うん、もしその子が原因だとしても、\\n その行動には何か理由があると思うんだ」",
"332000532_48": "「だから話を聞いて、困っているなら一緒に悩んで、\\n そして助けたい」",
"332000532_49": "「人間でも幽霊でも人形だって関係ない、困ってて、\\n 誰かに助けてほしい気持ちは、よくわかるから」",
"332000532_50": "「響……」",
"332000532_51": "「これまで戦ってきた人たちにも、\\n みんなそれぞれ、色んな理由があったから……」",
"332000532_52": "「手が届いた人たちもいれば、\\n 間に合わなかった人たちもいるけど……」",
"332000532_53": "「そうだよね。それが響だよねッ!」",
"332000532_54": "(そう、相手が誰であれ、困っていれば必ず手を差し伸べる。\\n それが、わたしの大好きな響――だものね",
"332000532_55": "「ありがとう。\\n わたし頑張るッ」",
"332000532_56": "「うんッ!」",
"332000532_57": "「それじゃ、遅いからこれくらいにするね?」",
"332000532_58": "「あ、その前に」",
"332000532_59": "「どうかしたの?」",
"332000532_60": "「うん、ちょっと、明日からの任務の都合で、\\n これから当分連絡が取れなくなりそうなんだ」",
"332000532_61": "「そうなんだ……仕方ないね」",
"332000532_62": "「交換してもらった人形、未来だと思って頑張るから」",
"332000532_63": "「わたしもだよ。\\n 響がずっと一緒にいてくれるから、頑張れる」",
"332000532_64": "「うん……じゃあ、またね」",
"332000532_65": "「お休み、響」"
}

View file

@ -0,0 +1,46 @@
{
"332000541_0": "「……」",
"332000541_1": "「……」",
"332000541_2": "「……あれ?」",
"332000541_3": "「……ん?」",
"332000541_4": "「ここは……あの館の前デス?」",
"332000541_5": "「わたしたち、どうしてこんなところに……?」",
"332000541_6": "「ま、ままままさか、幽霊に呼ばれて……?」",
"332000541_7": "「わからない……」",
"332000541_8": "「ひっ、ひとりでに館の扉が開いたデスッ!?」",
"332000541_9": "「誰かいるのかも」",
"332000541_10": "「……ほら、誰か出てくる」",
"332000541_11": "「あれは、あの時の子デスッ!」",
"332000541_12": "「入れって、ことデス……?」",
"332000541_13": "「多分、そうだと思う」",
"332000541_14": "「とてつもなく入りたくないデスが……」",
"332000541_15": "「でも、今ならもしかしたら何か手がかりが見つかるかも」",
"332000541_16": "「あの子が呼んでるデスもんね……」",
"332000541_17": "「切ちゃん、とにかくギアを纏おう」",
"332000541_18": "「了解デスッ!」",
"332000541_19": "「Various shul shagana tron――」",
"332000541_20": "「怖くない、怖くないデスよッ!\\n 大切な友達を助けるためデスッ」",
"332000541_21": "「待って、S.O.N.G.から通信が――」",
"332000541_22": "「あ、ギアの反応を検知したんデスね」",
"332000541_23": "「はい、こちら切歌デス」",
"332000541_24": "「そこで何している、2人ともッ!」",
"332000541_25": "「アタシたちもよくわからないデス」",
"332000541_26": "「気づいたら館の前に立っていて……。\\n 館の入り口からあの子が現れました」",
"332000541_27": "「例の少女か?」",
"332000541_28": "「はい」",
"332000541_29": "「館内を自由に行動しているとなると、\\n 未来くんの言う通り、やはりただ者ではないのか……」",
"332000541_30": "「それは捕まえて聞いてみればわかることデスよッ!」",
"332000541_31": "「これから洋館に突入、追跡します」",
"332000541_32": "「馬鹿者ッ!\\n 無理がたたって撤退したばかりなのを忘れたかッ」",
"332000541_33": "「エルフナインにもらったお薬飲んでよく寝たから、\\n もう体調は問題ないデスよッ」",
"332000541_34": "「それに、もしかしたら他の人たちも同じように\\n 深夜に呼ばれて洋館に来たのかも……」",
"332000541_35": "「被害者と同一条件ならば、手がかりに至れると?」",
"332000541_36": "「可能性はあると思います」",
"332000541_37": "「一理ある。が、しかし……」",
"332000541_38": "「グズグズしてたらチャンスを逃すデスッ!」",
"332000541_39": "「已むを得ん、突入を許可するッ!」",
"332000541_40": "「ただしギアは決して解かぬことッ!\\n 危険を感じたらすぐに脱出することッ いいなッ」",
"332000541_41": "「わかったデスッ!」",
"332000541_42": "「行こうッ!」",
"332000541_43": "「今度こそ友達を助けるデスッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,76 @@
{
"332000611_0": "操られた2人",
"332000611_1": "「調ちゃんたちが、消息を絶ったんですか?」",
"332000611_2": "「ああ……数時間前、館に再突入して以降、\\n 脱出する気配が無い状況だ。通信も繋がらん」",
"332000611_3": "「でも、どうして2人だけで館に?」",
"332000611_4": "「それが、最後の通信では本人たちにもわからんと言っていてな……」",
"332000611_5": "「突入前の交信の際、おふたりの端末から遠隔回収できたログを\\n 解析したところ、自宅から現地まで移動した形跡があります」",
"332000611_6": "「ということは、少なくとも強制空間転送とか、\\n そういった類いのものではないみたいだね」",
"332000611_7": "「それでも、本人たちには移動した記憶が無かった……」",
"332000611_8": "「つまり無意識ながら、自発的に行動したということです。\\n まるで夢遊病みたいに」",
"332000611_9": "「暗示か何かのようなものでしょうか……」",
"332000611_10": "「わかりません……」",
"332000611_11": "「それで、2人の状況はどうなってるんですか?」",
"332000611_12": "「ギアの反応や端末から発信されるバイタルサインは\\n 今も確認できているから、無事なことだけは確かだね」",
"332000611_13": "「ただ、依然、こちらからの通信は阻害されているようで、\\n 応答が無い状況よ」",
"332000611_14": "「発信位置も突入後しばらくしてほとんど動かなくなって、\\n 館から脱出する気配は無い……」",
"332000611_15": "「もっとも、外部から見た座標と、館内部の空間座標が\\n 正確に紐付いているかは保証の限りではないけどね」",
"332000611_16": "「せめて通信障害対策が\\n 昨日の段階で間に合っていれば……」",
"332000611_17": "「どうしてボクはこう、いつも1歩遅いんだ」",
"332000611_18": "「エルフナインくんが責任を感じる必要はない」",
"332000611_19": "「全てはそんな状況下にも関わらず、新しい局面を前に\\n 藁をも掴む思いで突入許可を出してしまった俺の判断ミスだ」",
"332000611_20": "「事態悪化の責は、全て俺にある」",
"332000611_21": "「でも……」",
"332000611_22": "「悔やんでばかりもいられない。\\n 今は今後の対策を考えよう」",
"332000611_23": "「ギアの反応……ということは、\\n ギア自体は解除されていないということですよね」",
"332000611_24": "「それは間違いないと思う」",
"332000611_25": "「意識を失えばギアは自動解除されるはずだから、\\n 少なくとも活動は続けていると思うんだけど……」",
"332000611_26": "「ギアを着たままなんらかの手段で拘束されている可能性も\\n なくはないけどね。あまり考えたくはないけど」",
"332000611_27": "「なら、わたしがすぐに助けに向かいますッ!」",
"332000611_28": "「ダメだッ!」",
"332000611_29": "「迂闊に入れば、またぞろミイラ取りがミイラになりかねん」",
"332000611_30": "「でも……それじゃ2人が……」",
"332000611_31": "「司令。やっぱり、現在アフリカで活動中の\\n 装者を呼び戻した方がいいのでは……」",
"332000611_32": "「今2人は、反政府組織がアフリカ奥地に築いた拠点への\\n 極秘奇襲作戦を遂行中のはずだ」",
"332000611_33": "「作戦が完了するまで、あと数日は無線封鎖状態が続く」",
"332000611_34": "「そういえば、響も昨夜そんなことを……」",
"332000611_35": "「無線封鎖が解けて即呼び戻すとしても、\\n 更にそこから日本まで、日はかかりそうですね……」",
"332000611_36": "「友里、無線封鎖解除次第、最速ピックアップするための\\n 移動手段の手配は進めておいてくれ」",
"332000611_37": "「了解しましたッ!」",
"332000611_38": "「緒川、欧州の翼たちの状況はどうだ?」",
"332000611_39": "「実は欧州でも昨夜からちょっとしたアクシデントが発生中でして。\\n 今すぐに呼び戻すのは難しそうです」",
"332000611_40": "「そうか……。\\n だが、そちらも帰還を見据えた調整を進めてみてくれ」",
"332000611_41": "「了解です」",
"332000611_42": "「いずれかの装者グループが帰還するまでは、\\n これまでの情報解析と館外部からのモニタリングを継続し――」",
"332000611_43": "「待ってくださいッ!\\n それでは手遅れになる可能性がありますッ」",
"332000611_44": "「このまま2人を放っては置けません」",
"332000611_45": "「2人がどういった状況にあるかわからないなら、\\n 尚更早く助けたいです」",
"332000611_46": "「気持ちはよくわかるが、\\n これ以上のリスクを冒すわけには……」",
"332000611_47": "「気持ちだけの問題じゃありません」",
"332000611_48": "「2人がギアで活動可能な今のうちに館の中で合流できれば、\\n その分脱出や奪還の成功確率は上がるんじゃないでしょうか」",
"332000611_49": "「少なくとも、2人が力尽きてから救助するよりは、\\n 数段勝算が高いはず……」",
"332000611_50": "「つまりこの状況では、時間が経てば経つほど\\n 勝算が低くなるんじゃないでしょうか」",
"332000611_51": "「君の言う通りだが……、しかし……」",
"332000611_52": "「エルフナインくん、\\n 館内の通信障害への対策は終わったんだな」",
"332000611_53": "「あ、はいッ!」",
"332000611_54": "「過去3回の突入の際、ギアに残されたログから\\n 環境中に展開される複数の干渉波を確認しました」",
"332000611_55": "「そちらの干渉波をリアルタイムで分析・迂回するための\\n 特殊通信プロトコルの構築が、先程完成したところです」",
"332000611_56": "「未来くんへのギアへの反映は?」",
"332000611_57": "「テストも含めて、30分もあれば十分です」",
"332000611_58": "「そうか」",
"332000611_59": "「あの、それじゃ……」",
"332000611_60": "「確かに、調くんや切歌くんが完全に行動不能になる前に\\n 救助できれば、それに越したことはないからな」",
"332000611_61": "「だが作戦行動中は必ず通信回線は開いたまま、\\n モニタリング用の遠隔カメラも装備してもらう」",
"332000611_62": "「そしてなにより、手に余る事態に直面したら\\n 無理をせず即時撤退すること」",
"332000611_63": "「これだけは必ず守ってくれ」",
"332000611_64": "「はい、もちろんですッ!」",
"332000611_65": "「それでは、日没と共に作戦を決行するッ!」",
"332000611_66": "「はいッ!」",
"332000611_67": "「では早速、装置の準備を開始しますッ!」",
"332000611_68": "「日没までにはまだ時間がある。\\n まずは、これまでの状況を整理しておこう」",
"332000611_69": "「状況の整理……ですか?」",
"332000611_70": "「ああ。調くんと切歌くんの身に何が起きたのか」",
"332000611_71": "「これまでの経緯や、突入前の通信で残された情報から\\n できるだけ原因を探っておきたい」",
"332000611_72": "「それによって未来くんの安全と、切歌くんたちの奪還確率を\\n 少しでも上げておかねばならん」",
"332000611_73": "「確かに、それによって必要な準備も\\n 変わってくるかもしれませんね」"
}

View file

@ -0,0 +1,76 @@
{
"332000621_0": "「まずは、本作戦開始前後の状況からだが……、\\n どんな些細なことでも構わん、知っていることを教えてくれ」",
"332000621_1": "「はい、ええと……館の作戦が開始する前だと……、\\n クリスとホラー映画のビデオを見て切歌ちゃんが怖がってました」",
"332000621_2": "「でも、響とクリスが出発した翌日に、3人で行った訓練では、\\n 特に変わった感じはなかったです」",
"332000621_3": "「その後、調査部の人が呪いの館から戻らなくなり、\\n わたしたち人で最初の調査に行くことになりました」",
"332000621_4": "「ふむ……やはり何か問題があったとするなら、\\n 作戦開始後のようだな」",
"332000621_5": "「関係があるかどうかはわかりませんが、\\n 作戦初日は、館の中であの女の子の姿を見かけました」",
"332000621_6": "「ああ。報告ではすぐに姿を消したとあるが」",
"332000621_7": "「直接の接触はなかったんですね?」",
"332000621_8": "「はい、一切ありません。\\n こちらが近付く前に奥へ走って行っちゃったから……」",
"332000621_9": "「見失って、近くの部屋を探している時に、\\n 人形たちに襲われた、と……」",
"332000621_10": "「はい。館の中で最初の交戦が、その時です。\\n そしてこの日は、交戦後すぐに撤退しました」",
"332000621_11": "「ここまで聞いた限りでは、\\n 問題となる行動は見受けられませんね」",
"332000621_12": "「では、二度目の任務で何か異変は?」",
"332000621_13": "「いえ、特には……」",
"332000621_14": "「館の構造が前回と変わっていることと、\\n 館の外観と内部の広さに矛盾があることに気づいて……」",
"332000621_15": "「この日は前回よりも人形との交戦が多くて、切り上げました」",
"332000621_16": "「例の少女との遭遇はあったんでしょうか?」",
"332000621_17": "「いえ……確か、この日はありませんでした」",
"332000621_18": "「訓練中に2人が体調不良を訴えたのは、その次の日か」",
"332000621_19": "「はい、そうです」",
"332000621_20": "「訓練中に集中できていなかったので理由を尋ねたところ、\\n 変な夢を見たせいで寝苦しくて、睡眠不足だと言ってました」",
"332000621_21": "「念のためメディカルチェックも行ったのですが、\\n この段階では身体的な変調は見受けられなかったです」",
"332000621_22": "「その日は検査の後、すぐに帰宅させたんだったな?」",
"332000621_23": "「はい。でも次の日の昼、友達といたときに2人が来て、\\n やっぱり寝付けなかったと言ってました」",
"332000621_24": "「2日続けてまともに眠れなかったことになるのね。\\n 一体何が原因でそんなことに……」",
"332000621_25": "「そう言えば、板場さんが呪いじゃないかって、言ってました。\\n もちろん、冗談交じりでしたけど」",
"332000621_26": "「呪い、ですか」",
"332000621_27": "「気になることでも?」",
"332000621_28": "「寝不足が夢や精神的なことに起因しているなら……、\\n なんらかの呪いを受けたという可能性も考えられますね」",
"332000621_29": "「精神に働きかけて、\\n 本人の意思に関係なく行動を操ることも――」",
"332000621_30": "「呪いならば可能だということか」",
"332000621_31": "「ただし本当に呪われたとすると、\\n きっかけがあるはずですが……」",
"332000621_32": "「きっかけ?」",
"332000621_33": "「はい。呪術とは超自然的な作用を有すると信じられる呪文や所作、\\n もしくはなんらかの物を媒介にして他者に危害を加えるものです」",
"332000621_34": "「今回の場合、被害を受けた『他者』――つまり被害者は\\n 行方不明となった人々であり、調さんと切歌さんも含まれます」",
"332000621_35": "「呪術というものも突き詰めれば、錬金術と同じく体系化した技術の\\n つです。触媒やきっかけ無くして発現するものではありません」",
"332000621_36": "「普通に考えれば、館に入ったことがその呪いのきっかけとも\\n 取れるが……」",
"332000621_37": "「はい。しかし未来さんが無事なことを考えると、入っただけで\\n 呪われたというのは考えにくいです」",
"332000621_38": "「きっと被害者たちに共通する、他のきっかけがあるのでは\\n ないでしょうか」",
"332000621_39": "「呪いのきっかけ――引き金となる何かが館内にあり、\\n それと気づかずに発動させてしまった――」",
"332000621_40": "「といったところではないでしょうか」",
"332000621_41": "「異変は1回目ではなく2回目の調査の晩から起きています。\\n 引き金があったとしたら、その時の調査が最も怪しいですね」",
"332000621_42": "「館内で調さんと切歌さんに共通し、未来さんには当てはまらない、\\n そういった何かはありませんでしたか」",
"332000621_43": "「わたしにだけ当てはまらない何か……?」",
"332000621_44": "「<ruby=シェンショウジン>神獣鏡</ruby>の特性で、その呪いを跳ね除けた可能性はどうかしら?」",
"332000621_45": "「可能性はあります。ですが、呪いというものは発動条件を\\n 整えるのが難しい分、それが揃えば強力な力を発揮するんです」",
"332000621_46": "「仮に<ruby=シェンショウジン>神獣鏡</ruby>がそれを跳ね除けたとしても、未来さんがなんの\\n ストレスも感じていない、といったことは考えにくいですね」",
"332000621_47": "「問題は、<ruby=シェンショウジン>神獣鏡</ruby>の特性で呪いから逃れられたのならば、\\n 未来くんに限っては今後も心配は無いが――」",
"332000621_48": "「もしそうでないなら、未来さんも館での行動次第では\\n 同様に呪われてしまう可能性があるということですね」",
"332000621_49": "「ああ。それだけは絶対に避けねばならん」",
"332000621_50": "「よし、では、状況整理はここまでにしよう」",
"332000621_51": "「エルフナインくんは通信関係の対策を進めてくれ」",
"332000621_52": "「わかりました。すぐ取りかかります」",
"332000621_53": "「未来くんは任務まで十分に身体を休めておいてくれ」",
"332000621_54": "「はい、了解しました」",
"332000621_55": "「聞こえるか?」",
"332000621_56": "「はい、通信状態は良好です」",
"332000621_57": "「そちらは館内の画像確認できていますか?」",
"332000621_58": "「ばっちりモニターできているよ」",
"332000621_59": "「ギアからの情報フィードバックも良好。\\n 戦闘管制はまかせておいてね」",
"332000621_60": "「はい、心強いです」",
"332000621_61": "「周辺の情報も、生体反応を含めモニタリングしています。\\n 未来さんはご自身で知覚できる状況に集中してください」",
"332000621_62": "「うん、わかった」",
"332000621_63": "「よし。それでは慎重に進んでくれ」",
"332000621_64": "「今回は未来くん1人、増援も見込めん。\\n 無駄な戦闘は極力回避の方向で行く。いいな」",
"332000621_65": "「了解しましたッ!」",
"332000621_66": "「見て取れる範囲に異常はありません」",
"332000621_67": "「まわりに部屋が幾つかありますが、中は調べますか?」",
"332000621_68": "「周囲に生体反応ありません」",
"332000621_69": "「イガリマとシュルシャガナの反応も、\\n 恐らく、まだかなり遠いかと」",
"332000621_70": "「もっともこれは、館の外部座標と内部空間座標の\\n 相対性が保持されているという前提の推定ですが……」",
"332000621_71": "「その前提で考えるしかあるまい。\\n 生体反応の無い部屋は無視してギアの反応の方角へ誘導してくれ」",
"332000621_72": "「はい。ではそのまま直進してください」",
"332000621_73": "「了解しました」"
}

View file

@ -0,0 +1,31 @@
{
"332000631_0": "「はああ――ッ!」",
"332000631_1": "「敵の沈黙を確認ッ!」",
"332000631_2": "「流石に、全部の戦闘を回避とはいかないね」",
"332000631_3": "「それでも、先日よりはだいぶ少なく済んでます」",
"332000631_4": "「2人のギアの反応との推定相対座標もだいぶ近付いているわ。\\n もう少し頑張って」",
"332000631_5": "「はいッ!」",
"332000631_6": "「あれ?」",
"332000631_7": "「どうした?」",
"332000631_8": "「今通り過ぎた部屋……。\\n ちょっと入ってみてもいいですか」",
"332000631_9": "「くれぐれも慎重にな」",
"332000631_10": "「はい」",
"332000631_11": "「やっぱり、あの時の人形とそっくり……」",
"332000631_12": "「その人形がどうかしたのか?」",
"332000631_13": "「はい。確か前に、館内で同じ人形を\\n 何度か見た気がするって――」",
"332000631_14": "「未来さんッ!\\n 部屋の入り口方向に微弱な生体反応がありますッ」",
"332000631_15": "「えッ!?」",
"332000631_16": "「あの時の女の子ッ!?」",
"332000631_17": "「待って、話をさせてッ!」",
"332000631_18": "「気をつけてッ! 部屋のすぐ外に別の反応が――」",
"332000631_19": "「これは――ッ!?\\n シュルシャガナとイガリマですッ」",
"332000631_20": "「なんだとッ!?」",
"332000631_21": "「えッ!?」",
"332000631_22": "「どうして2人が……それに、その格好は?」",
"332000631_23": "「このギアの変化は――まさか心象変化?」",
"332000631_24": "「これ以上は進ませないデス」",
"332000631_25": "「敵は排除する」",
"332000631_26": "「待って2人ともッ!?」",
"332000631_27": "「問答無用」",
"332000631_28": "「バラバラのスプラッターにしてやるデスッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,36 @@
{
"332000632_0": "「くう――ッ!」",
"332000632_1": "「どうして、2人とも――」",
"332000632_2": "「バラバラにするデス。\\n でないと、アタシは……」",
"332000632_3": "「邪魔者は排除する。\\n 排除、排除……」",
"332000632_4": "「ブツブツ、ブツブツ……」",
"332000632_5": "「ブツブツ、ブツブツ……」",
"332000632_6": "「2人とも、何を言ってるの?」",
"332000632_7": "「ブツブツ、ブツブツ……」",
"332000632_8": "「ブツブツ、ブツブツ……」",
"332000632_9": "(わたしの声が届いてない?\\n もしかして、何かに操られてる",
"332000632_10": "「一旦撤退するんだッ!」",
"332000632_11": "「でも、折角2人を見つけたのに……」",
"332000632_12": "「状況からして、2人はなんらかの手段で\\n 敵側に取り込まれたと思われる」",
"332000632_13": "「だが、なればこそ、すぐ命を落とすこともないだろう」",
"332000632_14": "「今は態勢を立て直し、\\n 人を確実に救う方策を考える時間が必要だ」",
"332000632_15": "「そんな……」",
"332000632_16": "「気をつけてッ! 仕掛けて来るわッ!」",
"332000632_17": "「やああ――ッ!」",
"332000632_18": "「たああ――ッ!」",
"332000632_19": "「くッ!? やめて、調ちゃん、切歌ちゃんッ!!」",
"332000632_20": "「今のまま交戦を続けては削り切られるだけだッ!」",
"332000632_21": "「君がそこで倒れたら誰が2人を救うというんだッ!?」",
"332000632_22": "「――わかりました。\\n 撤退しますッ」",
"332000632_23": "「出口までのナビは任せてくれッ!」",
"332000632_24": "「はい、お願いしますッ!」",
"332000632_25": "「はぁ、はぁ、はぁ……」",
"332000632_26": "「大丈夫かッ!?」",
"332000632_27": "「なんとか、振り切れたみたいです……」",
"332000632_28": "「ギアの反応、館の入り口から奥へ戻っていくようです」",
"332000632_29": "「そのまま、S.O.N.G.へ帰投してくれ」",
"332000632_30": "「…………」",
"332000632_31": "「……わかりました。\\n 直ちに帰投します」",
"332000632_32": "(わたしに、もっと力があれば……、\\n ごめんね、人共……",
"332000632_33": "(でも、必ずわたしが助けるから、\\n 調ちゃん、切歌ちゃん……もう少しだけ、待っててね"
}

View file

@ -0,0 +1,43 @@
{
"332000641_0": "「ご苦労だったな。無事に戻ってくれて良かった」",
"332000641_1": "「すみません、結局、2人を助け出せませんでした」",
"332000641_2": "「いや、今回の調査のおかげで、\\n 館の内部の状況が我々にもかなり正確に掴めてきたぞ」",
"332000641_3": "「それに2人の無事が確認できたのも大収穫ですよ」",
"332000641_4": "「うん……でも、2人はどうしちゃったのかな……?」",
"332000641_5": "「状況を見たところでは、\\n なんらかの精神支配を受けているものと思われます」",
"332000641_6": "「精神支配……洗脳とか、暗示とか?\\n それも呪いによるものなの」",
"332000641_7": "「恐らくそうだと思います。現段階の材料では、\\n 別の精神体による憑依の可能性もないとは言いませんが……」",
"332000641_8": "「喋ってる感じは、本人っぽかったけど……」",
"332000641_9": "「そうだ。途中から2人が何かブツブツ呟いてたけど、\\n 聞こえましたか」",
"332000641_10": "「残念だが、こちらでも音声は拾えなかった」",
"332000641_11": "「幸い画像記録は残っているので、\\n 口の動きの画像解析を試してみます」",
"332000641_12": "「ああ、頼む」",
"332000641_13": "「さて、では、どうやって2人を助けるか、だが……」",
"332000641_14": "「やはり一番大事なのは、\\n おふたりをこの状況に追い込んだ原因の解明ですね……」",
"332000641_15": "「呪いのきっかけ、ですね」",
"332000641_16": "「はい。<ruby=シェンショウジン>神獣鏡</ruby>の力が未来さんを護っているからではない、\\n という仮定の上に立脚しますが」",
"332000641_17": "「2日目の調査でわたしだけがやらないで、\\n 人がやってたこと……」",
"332000641_18": "「あ、そういえば……」",
"332000641_19": "「何か思いだしたか?」",
"332000641_20": "「はい。今回、あの女の子が現れる前に見た人形……。\\n 切歌ちゃんも調ちゃんも、あの人形に触れていました」",
"332000641_21": "「ああ、確かに映像にも残っているな」",
"332000641_22": "「襲ってきた人形とは別の種類ですね」",
"332000641_23": "「ええ、それに、何か特別な感じがします」",
"332000641_24": "「確か2回目の調査の時でした。館の調査中にあの人形を何度も\\n 別の場所で見かけたのが気になるって言って、調べたんです」",
"332000641_25": "「調べた?」",
"332000641_26": "「はい、切歌ちゃんが手に取って……。\\n なんの変哲も無い人形だって言って……」",
"332000641_27": "「確かその後、調ちゃんも……」",
"332000641_28": "「でも2人が調べた後、行きには何度か見かけたのに、\\n 帰り道では全然見かけなくなってて――」",
"332000641_29": "「なるほど、\\n 確か、人が悪夢を見始めたのはその晩からだったな」",
"332000641_30": "「はい、そうです」",
"332000641_31": "「未来さんは、その人形に触ったことは?」",
"332000641_32": "「ううん、わたしは触ってないよ」",
"332000641_33": "「そうですか……。\\n わかりました、心当たりを探ってみます」",
"332000641_34": "「何かわかったの? 2人を救う方法が?」",
"332000641_35": "「それについては、いったん調べてみたいことがあります。\\n その結果を待ってもらえますか」",
"332000641_36": "「……うん」",
"332000641_37": "「未来くんも出撃で疲労が溜まっていることだろう。\\n 後のことは我々に任せて、今の内に休んでおいてくれ」",
"332000641_38": "「……わかりました」",
"332000641_39": "「お願い、エルフナインちゃん」",
"332000641_40": "「はい、任せてください」"
}

View file

@ -0,0 +1,85 @@
{
"332000711_0": "アナベル人形",
"332000711_1": "「お疲れ様です……」",
"332000711_2": "「はい、お疲れ様」",
"332000711_3": "「昨夜は十分休めたか?」",
"332000711_4": "「ぐっすりとはいきませんでしたが……、\\n ある程度は休めました」",
"332000711_5": "「状況が状況だからな……仕方ないか。\\n 体調は問題ないか」",
"332000711_6": "「はい、それは大丈夫です。\\n 夢でうなされたりもありませんでした」",
"332000711_7": "「そうか、なら呪いの心配はなさそうだな」",
"332000711_8": "「はい」",
"332000711_9": "「あの……、人形の調査はどうかな?」",
"332000711_10": "「はい、概ね正体は判明しました」",
"332000711_11": "「本当ッ!?」",
"332000711_12": "「では、彼女のためにも、もう一度説明を頼む」",
"332000711_13": "「はい」",
"332000711_14": "「ではまず、呪いの元凶であると思われる\\n あの人形についてですが――」",
"332000711_15": "「2人が触れた、椅子に座った人形だね」",
"332000711_16": "「はい、それです」",
"332000711_17": "「画面、お願いします」",
"332000711_18": "「了解」",
"332000711_19": "「これは『アナベル人形』と呼ばれる、\\n 持ち主を、遠からず死に至らしめるといわれた呪いの人形です」",
"332000711_20": "「アナベル人形……」",
"332000711_21": "「そして、このアナベル人形は、\\n 過去に、深淵の竜宮で封印されていた物なんです」",
"332000711_22": "「深淵の竜宮……? どこかで聞いたことが――」",
"332000711_23": "「国連と連携の元、日本政府主導で、\\n 異端技術に関連する危険物や未解析品を封印していた特別区だ」",
"332000711_24": "「しかし、海底にあったその極秘施設は、魔法少女事変において、\\n オートスコアラーの襲撃に見舞われ破壊されてしまった」",
"332000711_25": "「それにより、封印されていた多くの物は、行方不明に。\\n アナベル人形も、その行方不明になった物のつです」",
"332000711_26": "「多くの収蔵品と共に、\\n 今も海底で眠っているものと思われたのだが……」",
"332000711_27": "「それが、偶然どこかに流れ着いていたってことですか?」",
"332000711_28": "「恐らくはな……」",
"332000711_29": "「いえ、偶然とは限りません。精神を操る呪いの核である人形です。\\n それこそ、人ではない生き物にも作用したのかもしれません」",
"332000711_30": "「魚を操って陸に運ばせたって?\\n そりゃ冗談みたいな話だ……」",
"332000711_31": "「けれど、深淵の竜宮からこの街への距離を考えると、\\n あり得なくはないのよね……」",
"332000711_32": "「でも、ただの人形が、どうしてそんな力を……?」",
"332000711_33": "「未来さんは、アレキサンドリア号事件を覚えていますか?」",
"332000711_34": "「うん、ギリシャエジプト展の展示物を運んできた船……」",
"332000711_35": "「そうです。あの時のファラオの仮面の様に、\\n 哲学兵装化したのではないかと思われます」",
"332000711_36": "「ファラオの仮面って、確かツタンカーメンの呪いだよね?\\n あの時、みんなで調べた……」",
"332000711_37": "「はい。発掘調査隊がファラオの呪いで次々と死んだという\\n 伝説ですが、現実ではそんなことはありませんでした」",
"332000711_38": "「ですが、多くの人々がその噂を信じることで、\\n その概念がファラオの仮面に呪いの力を付与したんです」",
"332000711_39": "「いわゆる哲学兵装と呼ばれるものの、典型的な成立過程です」",
"332000711_40": "(噂の力が、なんでもない物に呪いを与える……)",
"332000711_41": "「それで、呪いにかかる条件はわかったのですか?」",
"332000711_42": "「はい。未来さんの証言、それに保管されていた記録などからも、\\n やはり、アナベル人形に直接接触することだと思われます」",
"332000711_43": "「じゃあ、調査の時、未来ちゃんも人形に触っていたら……」",
"332000711_44": "「同じように呪われていたのかもしれないってことか」",
"332000711_45": "「恐らくは」",
"332000711_46": "(あの時、あの女の子が現れなかったら……)",
"332000711_47": "「……そういえば、女の子は?\\n 人形とどんな関係があるの なんであの館の中に」",
"332000711_48": "「女の子と言うのは、こちらの写真の子、ですか?」",
"332000711_49": "「――ッ!?\\n はいッ この写真の子ですッ」",
"332000711_50": "「やはり、そうでしたか……」",
"332000711_51": "「あの、この子は?」",
"332000711_52": "「実はこの写真の少女が、\\n か月前に行方不明になっていることがわかりました」",
"332000711_53": "「それは館の噂が流れ始めた時期と符号します」",
"332000711_54": "「調査部がご家族に接触して聴取したところ、\\n この少女がアナベル人形の現在の持ち主のようなのです」",
"332000711_55": "「この子が、持ち主……?」",
"332000711_56": "「彼女が今、どういう精神――いえ、身体も含めて、\\n どういった状態に置かれているかは、正直わからないです」",
"332000711_57": "「調さんと切歌さんと同様に呪われ――もしくは操られて、\\n 自我と行動の自由を失っている状況なのかもしれません」",
"332000711_58": "「人形に、操られて……」",
"332000711_59": "「だが、少々解せんな」",
"332000711_60": "「アナベル人形とは、持ち主の命を奪う哲学兵装なのだろう?」",
"332000711_61": "「はい。ライブラリの資料にも、そう記載されていました」",
"332000711_62": "「持ち主に恐怖を与え、危機に陥れ、\\n 最後にはその命を奪うという性質を持っていたとのことです」",
"332000711_63": "「つまり本来は、今回の様に、\\n 呪いの対象者を操る力はないはずだな」",
"332000711_64": "「はい、ボクもそこに違和感を覚えています」",
"332000711_65": "「人を操ったり、ましてギアを変化させたりなど、調さんや\\n 切歌さんに起きた様な現象については、全く記録がありません」",
"332000711_66": "「持ち主の少女についてもそうです」",
"332000711_67": "「行方不明になって1ヶ月、つまり呪われてからも、\\n 同等の時間が経過しているはずです」",
"332000711_68": "「それだけ時間があれば呪い殺されていてもおかしくありません。\\n ですが、未だに彼女は生きています」",
"332000711_69": "「人形それ自身に何か目的意識があるのか……。\\n それとも、なんらかの別の力や意思が働いている可能性も……」",
"332000711_70": "「行方不明の女の子が生きていてくれたこと自体は\\n 喜ぶべきことなのですが……」",
"332000711_71": "「ああ。しかし原因がわからないままでは、思わぬ陥穽に嵌まり\\n また憂き目を見ぬとも限らない。慎重にあたらなくては……」",
"332000711_72": "「そうですね……」",
"332000711_73": "「だがその一方で、今の話からは1つの希望も見いだせる」",
"332000711_74": "「希望……?」",
"332000711_75": "「最初に呪われた少女が無事ならば、他の行方不明者も、\\n なんらかの形で生存している公算が高い」",
"332000711_76": "「精神的な影響などは助け出してみなければわからないが、\\n それでも行方不明者が無事である可能性が高まったのは僥倖だ」",
"332000711_77": "「あ、そうか。そうですねッ!」",
"332000711_78": "「状況から見て、アナベル人形の再封印は難しいので、\\n 破壊するのが妥当だと思います」",
"332000711_79": "「ですが、その前に行方不明者を探し出し、\\n 保護する必要がありますね」",
"332000711_80": "「ああ、そうだな」",
"332000711_81": "「そこで未来くんには、今晩、再調査に入ってもらいたい。\\n 行けるか」",
"332000711_82": "「はい、もちろんです」"
}

View file

@ -0,0 +1,20 @@
{
"332000721_0": "(人の想いが集まり呪われてしまったアナベル人形……)",
"332000721_1": "(そのことを、アナベル人形は……どう思うのだろう?)",
"332000721_2": "(わたしが、課題で自分の人形を作ったときは、\\n ただただ、夢中だったな……",
"332000721_3": "(響の手伝いをしてる時は、響を助けるためって思った)",
"332000721_4": "(響が喜んでくれるように、できるだけ良い物にしてあげたいって、\\n そう思いながら、手伝ってたっけ……",
"332000721_5": "(課題のためって作ったわたしの人形も、響があんなに喜んで\\n くれたから、頑張って作ってよかったって、そう思えた",
"332000721_6": "(きっと、アナベル人形も\\n 誰かに喜んでもらうために作られたんじゃないかな",
"332000721_7": "(それが……、原因はわからないけど、\\n 人の想いによって呪いの力を持ってしまった……",
"332000721_8": "(人に害を与える存在に……)",
"332000721_9": "(でも、だからって、破壊しちゃっていいのかな?)",
"332000721_10": "(もちろん、調ちゃんや切歌ちゃん、\\n 行方不明者の人たちは絶対に助けたいッ",
"332000721_11": "(だけど……)",
"332000721_12": "(こんなとき、響なら、\\n 迷わずみんな助けちゃうんだろうなー……",
"332000721_13": "(でも、わたしには、響のような手を繋ぐ力はない……)",
"332000721_14": "(無理やりなんとかしようとして、\\n 取り返しのつかないことになるわけにもいかない",
"332000721_15": "(やっぱり、破壊するしかないのかな……)",
"332000721_16": "「……ねえ、響。\\n わたし、どうしたらいいと思う……」",
"332000721_17": "「響の声が聞きたいよ……」"
}

View file

@ -0,0 +1,87 @@
{
"332000731_0": "「敵性存在を排除ッ!」",
"332000731_1": "「やれやれ……まさか出会い頭とはな」",
"332000731_2": "「怪我は無いか?」",
"332000731_3": "「はい、問題ありません」",
"332000731_4": "「見た感じ、近くに他の敵はいないみたいです」",
"332000731_5": "「周囲にギア、生体反応ともにありません」",
"332000731_6": "「それでは奥に進みます」",
"332000731_7": "「みなさん、またバックアップをお願いできますか」",
"332000731_8": "「各種のモニタリングはまかせておいて」",
"332000731_9": "「遠隔映像もばっちりクリアだよ」",
"332000731_10": "「行方不明者たちはあの少女と同様、\\n なんらかの力で護られている可能性が高いと思われる」",
"332000731_11": "「焦らず、とにかく慎重に行動してくれ」",
"332000731_12": "「わかりました」",
"332000731_13": "「未来さん、先程お渡ししたカプセルは持っていますか?」",
"332000731_14": "「うん、ちゃんと持ってるよ」",
"332000731_15": "「出撃にはこちらを持っていってください」",
"332000731_16": "「これは?」",
"332000731_17": "「囚われたおふたりへの対策です」",
"332000731_18": "「調ちゃんたちの?」",
"332000731_19": "「はい」",
"332000731_20": "「おふたりは今、なんらかの力により精神支配、\\n もしくは洗脳状態下にあると思われます」",
"332000731_21": "「それを撃ち破る手段として、これを飲ませてみてほしいんです」",
"332000731_22": "「この薬は……?」",
"332000731_23": "「一種の気付け薬、のようなものでしょうか」",
"332000731_24": "「気付け薬って……気を失った人に嗅がせたり、\\n 気を失いそうな人の意識をしっかりさせる」",
"332000731_25": "「はい、そうです」",
"332000731_26": "「実は先日、未来さんとの戦闘時のおふたりの様子と、\\n つぶやいていた口の動きを画像解析してみたのですが――」",
"332000731_27": "「おふたりの発言は、まるで寝言のように\\n 支離滅裂なことを口にしていたんです」",
"332000731_28": "「寝言?」",
"332000731_29": "「一見、目の前の事態に対処している様にも見えましたが、\\n 口走る内容は、対象も時系列もおかしなものばかり」",
"332000731_30": "「過去にあったと思われる出来事に、全く突拍子もない\\n 絵空事のようなことも含まれていたんです」",
"332000731_31": "「一方で、シュルシャガナ、イガリマのギアから発信されたバイタル\\n サインを確認したところ、脳波がンレム睡眠状態にありました」",
"332000731_32": "「え……それじゃ、調ちゃんたちは\\n 寝たまま戦ってたってことッ」",
"332000731_33": "「はい。恐らくおふたりは目を開けたまま、夢遊病のような状態で\\n 活動している――させられているのだと思われます」",
"332000731_34": "「最初に調さんたちが受けた影響も夢に関するもので、\\n 直接的な精神支配や洗脳などの痕跡はありませんでした」",
"332000731_35": "「仮説ではありますが、アナベル人形は対象が睡眠に近い状態で\\n なければ、操れないものと推察されます」",
"332000731_36": "「ですので、大きなショックを与えて覚醒――\\n つまり起こすことができれば、正気に戻るかもしれません」",
"332000731_37": "「でも、それじゃどうして戦ってても起きないのかな?」",
"332000731_38": "「調さんたちの状態は深い睡眠状態に近いので、\\n 外的刺激への感度が下がっているんです」",
"332000731_39": "「それこそ大怪我でもしない限り、単純な痛みなどの刺激で\\n 覚醒させるのは難しいかと思われます」",
"332000731_40": "「それで、この薬なの?\\n でも大きなショックって、中身は危険なものじゃないよね……」",
"332000731_41": "「大丈夫ですよ。これはバーズ・アイ・ペッパーを原料に、\\n 精製した粉末を詰めたものです」",
"332000731_42": "「食用に使われるスパイスの一種でもありますから、\\n このくらいの量なら人体に害もありません。安心してください」",
"332000731_43": "「わかった」",
"332000731_44": "(ペッパーってことはコショウみたいなものかな?)",
"332000731_45": "「一度はAnti_LiNKERを使用し、強制的に調さんたちがギアを\\n 纏えない状況にすることも検討したのですが――」",
"332000731_46": "「自由意志でギアを纏っているわけではない以上、\\n おふたりがどういった行動にでるかわかりません」",
"332000731_47": "「不測の事態を招いて、おふたりを危険に晒す可能性もあります。\\n ですので、未来さんにはその分苦労をかけてしまいますが――」",
"332000731_48": "「うん、大丈夫。わたしに任せて。\\n 人共、きっと助けてみせるから」",
"332000731_49": "「お願いします。\\n あとは、これも持っていってください」",
"332000731_50": "「これは?」",
"332000731_51": "「通信障害に対応した小型携帯無線機兼、遠隔カメラです」",
"332000731_52": "「切歌さんたちのギアの通信機は未対応ですけど、\\n 正気に戻った後の作戦行動には必要でしょうから」",
"332000731_53": "「わかった。必ず渡すね」",
"332000731_54": "「おふたりをお願いします」",
"332000731_55": "「……無事、3階まで到達しました」",
"332000731_56": "「イガリマ、シュルシャガナの反応、近付いています」",
"332000731_57": "「反応と映像を照合すると……そこの角を右だね」",
"332000731_58": "「了解です」",
"332000731_59": "「あれは……?」",
"332000731_60": "「今、通り過ぎた部屋の中に、\\n アナベル人形らしきものが見えました」",
"332000731_61": "「そうか。\\n だが、今は人の奪還が優先だ」",
"332000731_62": "「アナベル人形には決して触らず進んでくれ」",
"332000731_63": "「はい、わかりました」",
"332000731_64": "「ギアの反応、至近に迫っています。\\n 館内座標換算で推定」",
"332000731_65": "「ッ!」",
"332000731_66": "「2人はどこですか?」",
"332000731_67": "「ええと……その左側の扉の部屋みたいだね」",
"332000731_68": "「了解、部屋に突入します」",
"332000731_69": "「くれぐれも注意しろッ!」",
"332000731_70": "「はいッ!」",
"332000731_71": "「調ちゃん、切歌ちゃん……」",
"332000731_72": "「ブツブツブツブツ……」",
"332000731_73": "「ブツブツブツブツ……」",
"332000731_74": "(普通に起きているように見えるけど……)",
"332000731_75": "「調やマリア、マムの暮らせる世界を作るデス……」",
"332000731_76": "「そう、マムを傷つけることは、許さない……」",
"332000731_77": "(もしかして、昔の辛かった時代の夢を見てるの……?)",
"332000731_78": "「2人とも、目を覚ましてッ!」",
"332000731_79": "「アタシが、フィーネになってでも必ず――」",
"332000731_80": "「切ちゃんをいじめることも、絶対に――」",
"332000731_81": "(声が届いてないッ!?)",
"332000731_82": "「邪魔する奴は――」",
"332000731_83": "「絶対に、許さないッ!」",
"332000731_84": "(やっぱり戦わないとダメなのッ!?)"
}

View file

@ -0,0 +1,59 @@
{
"332000732_0": "「やあああ――ッ!!」",
"332000732_1": "「くうッ!?」",
"332000732_2": "(なんとか、2人の口にカプセルを入れないと……)",
"332000732_3": "「ちょこまかとすばしっこいやつデスねッ!」",
"332000732_4": "「きゃッ!」",
"332000732_5": "「夢を見ているはずなのに、的確に攻撃を仕掛けてくる……」",
"332000732_6": "(なんとかチャンスを……)",
"332000732_7": "「――ッ!」",
"332000732_8": "「追い詰めたデス……」",
"332000732_9": "(下手に反撃もできないし。このままじゃ……)",
"332000732_10": "「切ちゃん、\\n お部屋で暴れたらせっかく作ったご飯にほこりが入るッ」",
"332000732_11": "「ご飯デスッ!?」",
"332000732_12": "(えッ? 止まった?)",
"332000732_13": "「ご飯どこデスッ!」",
"332000732_14": "「もしかして、今2人とも、\\n ご飯を食べる夢を見てる」",
"332000732_15": "「恐らく、そうだと思われます」",
"332000732_16": "「そうかッ! もしかしたら、\\n 人の夢に乗る形でなら――」",
"332000732_17": "「うん、試してみるッ!」",
"332000732_18": "「調ちゃんッ! 切歌ちゃんッ!\\n 早くご飯を食べないと、冷めちゃうよッ」",
"332000732_19": "「ご飯……、ご飯は冷める前に食べる……」",
"332000732_20": "「ご飯ッ! 食べるデスッ!」",
"332000732_21": "「うまくいったッ!」",
"332000732_22": "「未来さん、今のうちにッ!」",
"332000732_23": "「うん、わかってるッ!」",
"332000732_24": "「口を開けたところに――ッ!」",
"332000732_25": "「ンぐッ! モグモグモグ……」",
"332000732_26": "「<size=40>うえッ!</size>」",
"332000732_27": "「ゲホゴホゲホゴホッ!?」",
"332000732_28": "「ト、トマトが爆発したデスッ!?」",
"332000732_29": "「<size=40>辛い辛い辛いッ!?</size>」",
"332000732_30": "「<size=40>ペッペッペッペッ!</size>」",
"332000732_31": "「脳に刺激が抜ける……うう……ッ!」",
"332000732_32": "「み、水ッ!? 水は無いデスかッ!?\\n って、しゃべるだけでも口がファイヤーしてるデスよッ」",
"332000732_33": "「切ちゃん、落ち着いて。\\n ゆっくり深呼吸……熱くて痛いッ」",
"332000732_34": "「息するだけで痛いなんて、どんな拷問デスッ!?」",
"332000732_35": "「まだ口がヒリヒリしてる……」",
"332000732_36": "「溶岩でも食べたみたいだったデスよ……」",
"332000732_37": "「2人とも、わたしのことがわかる?」",
"332000732_38": "「もちろんデスよ」",
"332000732_39": "「あれ? いつの間に未来さんも来たんですか?\\n 確か切ちゃんと人で館に入ったような……」",
"332000732_40": "「あのね、2人が館に入った日から、もう何日か経ってるの」",
"332000732_41": "「デデデッ!?\\n アタシたち、一体どうなっていたデスか」",
"332000732_42": "「全然覚えてない……」",
"332000732_43": "「って、あれ? この格好は……?」",
"332000732_44": "「見たことないギアの形デス」",
"332000732_45": "「2人はさっきまであの人形に操られてたみたいなの。\\n だから、目を覚まさせるためにカプセルを食べさせて――」",
"332000732_46": "「さっきの拷問器具デスね……」",
"332000732_47": "「辛くて痛くて熱かった……」",
"332000732_48": "「ごめんね。でも、正気に戻ってくれてよかった」",
"332000732_49": "「それでね――」",
"332000732_50": "「えッ!?」",
"332000732_51": "(床が、崩れて――ッ!?)",
"332000732_52": "(そうだ、通信機――ッ!)",
"332000732_53": "「2人とも、これをッ!」",
"332000732_54": "「えッ? 今何か飛んできて――」",
"332000732_55": "「なんデスッ!?」",
"332000732_56": "「キャア――――ッ!?」"
}

View file

@ -0,0 +1,15 @@
{
"332000741_0": "「未来さんッ!?」",
"332000741_1": "「穴に落ちたデスッ!?」",
"332000741_2": "「助けにいこう、切ちゃんッ!」",
"332000741_3": "「もちろんデスッ!」",
"332000741_4": "「あッ!? 待ってッ!!」",
"332000741_5": "「ふぎゃッ!?」",
"332000741_6": "「あいたたたッ!\\n あ、穴が消えたデス……」",
"332000741_7": "「あの穴、床が崩れて開いた穴じゃなかったの……?」",
"332000741_8": "「つうッ……。\\n 口の中はヒリヒリしてるし、踏んだり蹴ったりデス……」",
"332000741_9": "「切ちゃん、周りを見てッ!」",
"332000741_10": "「この人形は――」",
"332000741_11": "「ちゃっちゃとこいつらを倒して\\n 未来さんを探しに行くデスよッ」",
"332000741_12": "「うんッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,19 @@
{
"332000742_0": "「いたた……」",
"332000742_1": "「ずいぶん下まで落ちたみたい……?」",
"332000742_2": "「どうして急にあんな穴が……」",
"332000742_3": "(ギアを着てたおかげで怪我は無さそうだけど……)",
"332000742_4": "「本部、聞こえますか? 本部ッ!」",
"332000742_5": "「ダメ、通信も繋がらない……」",
"332000742_6": "「すごく暗い……もしかして地下なのかな?」",
"332000742_7": "「どうにかして、通信できるところまで戻らないと……」",
"332000742_8": "(響……わたしに、力をちょうだい……)",
"332000742_9": "「……あれ?」",
"332000742_10": "「響の人形が無いッ!?」",
"332000742_11": "「そんな……落としちゃったの?」",
"332000742_12": "(もしかして、落ちた時の衝撃で……?)",
"332000742_13": "「……でも、それならきっとこの近くに落ちてるはず」",
"332000742_14": "「この辺かな……、あったッ!?」",
"332000742_15": "「ッ!? いや違う、あれは――」",
"332000742_16": "「アナベル人形ッ!?」"
}

View file

@ -0,0 +1,31 @@
{
"332000751_0": "「ふう。片付いたデスね」",
"332000751_1": "「あれ? しゃがんで何してるデス?」",
"332000751_2": "「さっき未来さんが投げてくれたの、小型の通信機みたい」",
"332000751_3": "「なんデスとッ!?」",
"332000751_4": "「わざわざ持って来てくれたということは――」",
"332000751_5": "「これで本部と連絡が取れるってことデスねッ!」",
"332000751_6": "「本部、聞こえますか?\\n こちら調です」",
"332000751_7": "「調くんかッ! 切歌くんはッ!?」",
"332000751_8": "「アタシもいるデス」",
"332000751_9": "「2人とも無事か。正気に戻ったんだな」",
"332000751_10": "「一体どうなったか教えてほしいデス」",
"332000751_11": "「その前に、先ほど未来くんからの通信と映像が突然途絶えた。\\n 何があった」",
"332000751_12": "「急に落下し始めたと思ったら、\\n すぐに画面がブラックアウトしたんだ」",
"332000751_13": "「それが、未来さんの足下に急に穴ができて……」",
"332000751_14": "「落ちてった後、その穴が塞がったデスよッ!」",
"332000751_15": "「それでは、未来くんは行方不明に……?」",
"332000751_16": "「わたしたちを助けに来てくれたのに……ごめんなさい」",
"332000751_17": "「面目ないデス……」",
"332000751_18": "「いや、君たちのせいではない。\\n 未来くんのことは心配ではあるが……」",
"332000751_19": "「ところで、君たちはどこまでのことを覚えている?」",
"332000751_20": "「え? ええと……そういえば――」",
"332000751_21": "「確か、夜中に館の前で気づいて、\\n 調と人で中に入ったデスよね」",
"332000751_22": "「うん、それから、\\n 館の中に入って、あの女の子を追いかけて走って――」",
"332000751_23": "「捕まえたって思ったら――」",
"332000751_24": "「そうだ、あの子が、あの人形の姿に変わったデスッ!」",
"332000751_25": "「うん、あの椅子に座ってた人形ッ!」",
"332000751_26": "「少女がアナベル人形に、だと?」",
"332000751_27": "「もしかして……あの少女は、アナベル人形と同一の存在\\n なのかもしれません……」",
"332000751_28": "「なんだとッ!?」"
}

View file

@ -0,0 +1,51 @@
{
"332000811_0": "嘆きのドールハウス",
"332000811_1": "「アナベル人形ッ!?」",
"332000811_2": "(触っちゃダメッ!!)",
"332000811_3": "「あ、危なかった……」",
"332000811_4": "「触ってたら、今度はわたしが呪われてたよ……」",
"332000811_5": "「えッ? 人形が――」",
"332000811_6": "「人形が……あの子に……?」",
"332000811_7": "(もしかして人形とあの子は、同一の存在……)",
"332000811_8": "(でも……なら、どうして?\\n あの時、わたしは人形を触ろうとして……",
"332000811_9": "(そのままだったら、\\n 呪いをかけることだってできたはずなのに……",
"332000811_10": "「…………」",
"332000811_11": "「ッ!?」",
"332000811_12": "(何か仕掛けてくる?)",
"332000811_13": "(え……しゃがんだ? 何かを拾って――)",
"332000811_14": "「…………」",
"332000811_15": "「あッ、それは――」",
"332000811_16": "「響の人形……?」",
"332000811_17": "「見つけて……くれたの?」",
"332000811_18": "「…………」",
"332000811_19": "(渡そうとしてくれてる。だけど――この子がアナベル人形なら、\\n 罠なのかもしれない……",
"332000811_20": "(受け取ろうと触ったら、わたしに呪いを……)",
"332000811_21": "「…………」",
"332000811_22": "「あ……ッ」",
"332000811_23": "(悲しそうな顔……傷つけちゃった……?)",
"332000811_24": "(こんな時、響なら……)",
"332000811_25": "「…………」",
"332000811_26": "(……きっと、響なら躊躇わないはず)",
"332000811_27": "「……ッ!」",
"332000811_28": "「……ありがとう。\\n これ、わたしの大事なものなの」",
"332000811_29": "「映像、繋がりましたか?」",
"332000811_30": "「OK、バッチリだよ」",
"332000811_31": "「しかし、さっきの穴は一体なんだったんデス?」",
"332000811_32": "「なんらかの特殊な仕掛けか、館の主の罠ではないでしょうか」",
"332000811_33": "「未来さんが落ちた途端に閉じたことから、\\n 個別に狙ったものだと思われます」",
"332000811_34": "「どうして……?」",
"332000811_35": "「理由はわかりませんが、\\n アナベル人形に狙われているのだと思われます」",
"332000811_36": "「それなら早く助けないとッ!」",
"332000811_37": "「こんな床くらいッ!\\n イガリマの鎌にかかれば豆腐も同然デスよッ」",
"332000811_38": "「はあ――ッ!!」",
"332000811_39": "「なッ!? この床、とんでもなく硬いデスよッ!!」",
"332000811_40": "「ほとんど傷も付いてない……」",
"332000811_41": "「でも、何度も繰り返せば――」",
"332000811_42": "「いえ、それよりもこちらでマッピングしていたデータがあります」",
"332000811_43": "「わたしたちがナビゲーションするわ」",
"332000811_44": "「下の階に進むなら、その方が早いと思う」",
"332000811_45": "「わかりました」",
"332000811_46": "「よろしくお願いするデスッ!」",
"332000811_47": "「――ッ!?\\n 切ちゃん、気をつけてッ」",
"332000811_48": "「人形どものお出ましデスッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,51 @@
{
"332000821_0": "「邪魔するなデースッ!」",
"332000821_1": "「どんどん進むデスよッ!」",
"332000821_2": "「そこを左に曲がった先に階段があるはずよ」",
"332000821_3": "「了解です」",
"332000821_4": "「あ、あったデスッ!」",
"332000821_5": "「降りよう、切ちゃんッ!」",
"332000821_6": "「下の階もほぼ見た目が同じデスね……」",
"332000821_7": "「今度は、先程の落とし穴のあった部屋の座標へ\\n 誘導するわ」",
"332000821_8": "「お願いします」",
"332000821_9": "「敵は……いなそうデスね」",
"332000821_10": "「その部屋が、ちょうど落とし穴のあった部屋の下のはずよ」",
"332000821_11": "「でも、やっぱり天井にも床にも穴は無いデスね……」",
"332000821_12": "「未来さんの姿も……。もっと下まで落ちたのかな?」",
"332000821_13": "「かもしれません。もしくは、見た目は落とし穴でしたが、\\n 一種の転送装置のようなものだったのかも……」",
"332000821_14": "「ああ。単純に床を突き抜けて下の階に貫通しただけなら、\\n 落下したその瞬間に映像が途切れるとも思えんしな……」",
"332000821_15": "「それじゃどこに行ったのかわからないデスよッ!?」",
"332000821_16": "「……<ruby=シェンショウジン>神獣鏡</ruby>の反応はどうだ?」",
"332000821_17": "「館内からかろうじて反応があります。\\n 正確な場所まではわかりませんが…‥」",
"332000821_18": "「少なくとも館内のどこかにはいるということか。\\n 已むを得ん、更に下の階へ捜索を進めよう」",
"332000821_19": "「了解しました」",
"332000821_20": "「さっきの階段、まだ下に繋がってたデス」",
"332000821_21": "「うん、戻ろう」",
"332000821_22": "「階段まで戻ってきたよ」",
"332000821_23": "「じゃあ降りるデスよ――って」",
"332000821_24": "「ええッ!?」",
"332000821_25": "「どうしたッ!?」",
"332000821_26": "「階段が……ずっと下の方まで……?」",
"332000821_27": "「アタシたちは何階にいたデスかッ!?」",
"332000821_28": "「今の階で2階だったはずだけど」",
"332000821_29": "「この建物、地下何階まであるんだろう……」",
"332000821_30": "「この短時間で増築したってことデスかッ!?」",
"332000821_31": "「まさかそんなはずは……」",
"332000821_32": "「未来ちゃんが階段を使った時に地下なんて……」",
"332000821_33": "「でも、ものすごい下まで続いてるデスよ……」",
"332000821_34": "「うん……どこまであるのかわからないくらい……」",
"332000821_35": "「まさか、館がリアルタイムに構造を変えているのかッ!?」",
"332000821_36": "「……可能性はあります。\\n そうやって誘い込んだ者を惑わせていたのかも……」",
"332000821_37": "「とにかく、行き違いにならないように\\n 呼びかけながら下り続けてみるデスッ」",
"332000821_38": "「うん、そうだね。とにかく先へ進もうッ!」",
"332000821_39": "「2人とも、警戒は怠るなッ!\\n どこから何が出てくるかわからないからな」",
"332000821_40": "「了解(デス)ッ!」",
"332000821_41": "「はあ、はあ、はあ……何階下ったデスか?」",
"332000821_42": "「わからないけど、たぶん10階分くらいは」",
"332000821_43": "「あの、未来さんのギアの反応はどうですか?」",
"332000821_44": "「さっきと変わっていないわね……」",
"332000821_45": "「この階段、ひょっとして無限ループしてたりしないデス?」",
"332000821_46": "「違うと思いたいけど……どうだろう」",
"332000821_47": "「ッ! お客さんみたい」",
"332000821_48": "「団体さんでお越しデスッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,47 @@
{
"332000831_0": "「<size=40>未来さんッ!</size>」",
"332000831_1": "「<size=40>いたら返事してほしいデスッ!</size>」",
"332000831_2": "「<size=20>――ッ!</size>」",
"332000831_3": "「ちょっと待ってッ!」",
"332000831_4": "「どうしたデス?」",
"332000831_5": "「しッ! 今、何か聞こえた……」",
"332000831_6": "「<size=20>……調ちゃんッ! 切歌ちゃんッ!</size>」",
"332000831_7": "「この声は――」",
"332000831_8": "「上の方からデスッ!」",
"332000831_9": "「<size=20>2人ともッ! 聞こえるッ!?</size>」",
"332000831_10": "「聞こえるデスよッ!」",
"332000831_11": "「今そっちに行くデスから、\\n 待っててくださいデスッ」",
"332000831_12": "「いたッ!」",
"332000831_13": "「よかった、2人とも無事だったんだ」",
"332000831_14": "「そちらも無事でよかったデス」",
"332000831_15": "「心配しました」",
"332000831_16": "「ごめんね、ありがとう」",
"332000831_17": "「あッ!?\\n それよりも、行方不明の人たちの場所がわかったのッ」",
"332000831_18": "「なんデスとッ!?」",
"332000831_19": "「本当ですか?」",
"332000831_20": "「うん。だから、みんなを助けに行こう」",
"332000831_21": "「もちろんデスッ!」",
"332000831_22": "「こちらの映像も回復した。無事合流できてなによりだ」",
"332000831_23": "「ご心配おかけしました」",
"332000831_24": "「無事ならよかったよ。それより、\\n 行方不明の人たちがいたのかい」",
"332000831_25": "「こちらで確認できない間に、何があったの?」",
"332000831_26": "「それは……後でお話しします。\\n 今は被害者の人たちの救出を優先させてください」",
"332000831_27": "「もちろんだ。頼んだぞ」",
"332000831_28": "「ありがとうございます。\\n ……急ごう、人とも」",
"332000831_29": "「はいッ!」",
"332000831_30": "「了解デスッ!」",
"332000831_31": "「えーと、ここは確か……こっちで」",
"332000831_32": "「はあ、はあ、はあ……」",
"332000831_33": "「こんな複雑怪奇な館の中を、\\n まるで知ってるみたいに……」",
"332000831_34": "「確かにそうデスね……」",
"332000831_35": "「……まさか、呪われて敵に操られてたりしないデスよね?」",
"332000831_36": "「それはない、とは思うけど……」",
"332000831_37": "「どうしたの、2人とも?」",
"332000831_38": "「いえ……」",
"332000831_39": "「行方不明の人たちの居場所って、まだ先デスか?」",
"332000831_40": "「うん、もう少し先のはずだよ」",
"332000831_41": "(……受け答えは普通デスよね)",
"332000831_42": "(うん。さっき聞いたわたしたちみたいに、\\n 夢遊病みたいな感じではなさそう",
"332000831_43": "「2人とも、危ないッ!」",
"332000831_44": "「くッ! 本当にキリがないデスね……」"
}

View file

@ -0,0 +1,42 @@
{
"332000841_0": "「……ちょっと待って」",
"332000841_1": "「もしかして――」",
"332000841_2": "「うん。また敵がいる……」",
"332000841_3": "「……見張りデス?」",
"332000841_4": "「倒しますか?」",
"332000841_5": "「ううん、きりがないから、\\n できればやり過ごしたいかな。少し様子を見よう」",
"332000841_6": "「……行ったみたい。もう大丈夫だね」",
"332000841_7": "「あの……、ところで、行方不明者の場所や、\\n 館の構造について、どうして知ってるんですか」",
"332000841_8": "「アタシも気になるデス」",
"332000841_9": "「それは、あの子に聞いたの」",
"332000841_10": "「あの子って……まさか」",
"332000841_11": "「あの時の、女の子デス?」",
"332000841_12": "「うん、そう」",
"332000841_13": "「ちょっと、待つデスよッ! あの女の子は人形で――」",
"332000841_14": "「アナベル人形と同一存在なんだよね。\\n それも知ってるよ」",
"332000841_15": "「え、知ってるんですか……?」",
"332000841_16": "「知ってて話を信じてるって、わけがわからないデスよ……」",
"332000841_17": "「あの子は、大丈夫だよ。\\n ……とにかく今は、わたしを信じてくれないかな」",
"332000841_18": "「…………」",
"332000841_19": "「……わかりました」",
"332000841_20": "「あとで詳しく教えてほしいデスッ!」",
"332000841_21": "「うん、もちろんだよ」",
"332000841_22": "「確かあの子の話だと、ここに捕らえられてるって……」",
"332000841_23": "「でも、誰も見当たりません」",
"332000841_24": "「そんなッ!? この場所であってるはず――」",
"332000841_25": "「やっぱり騙されてたデスよッ!」",
"332000841_26": "「あの時の女の子ッ! ううん、呪いの人形ッ!」",
"332000841_27": "「よくも操ってくれたデスッ!」",
"332000841_28": "「おかえしはさせてもらうから」",
"332000841_29": "「あなたは……」",
"332000841_30": "「……」",
"332000841_31": "「……あの子じゃ……ない……」",
"332000841_32": "「戦いましょうッ!」",
"332000841_33": "「一気に倒すデスよッ!」",
"332000841_34": "「……でも――」",
"332000841_35": "「なッ! 姿が変わっていくデスッ!?」",
"332000841_36": "「しかも、まだ変形してる――?」",
"332000841_37": "「なんか凶悪そうに変わったデスよッ!?」",
"332000841_38": "「まさに、呪いの人形……」",
"332000841_39": "「何が相手でも、向こうがやる気なら、\\n 受けて立つだけデスよッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,72 @@
{
"332000842_0": "「トドメデ――スッ!」",
"332000842_1": "「待ってッ!」",
"332000842_2": "「あの人形の中には、\\n か月前に行方不明になった女の子がいるのッ」",
"332000842_3": "「どういうことデスッ?」",
"332000842_4": "「アナベル人形を見つけて拾った女の子――\\n その子が、あの人形の核として捕えられてるの」",
"332000842_5": "「それで未来さん、さっきから攻撃を控えて……」",
"332000842_6": "「あの子って、幽霊とかじゃなかったデスか?」",
"332000842_7": "「うん……だから、あれを攻撃したら、女の子が――」",
"332000842_8": "「それじゃ、どうすれば――ッ!?」",
"332000842_9": "「気をつけて、2人ともッ!」",
"332000842_10": "「くッ!?」",
"332000842_11": "「わわッ!?」",
"332000842_12": "「あ、危なかったデス……」",
"332000842_13": "「サンキューデス、調ッ!」",
"332000842_14": "「みなさん、気をつけてください。\\n あの人形に触れられたら、また操られるかもしれません」",
"332000842_15": "「わかってる。近寄らせないようにしないとね」",
"332000842_16": "「核が生身の女の子だって言うなら、\\n 周りから削って削って削りまくるデスッ」",
"332000842_17": "「はああ――ッ!」",
"332000842_18": "「やああ――ッ!」",
"332000842_19": "「ピンピンしてるデスッ!?」",
"332000842_20": "「これは……なかなか削り切れない」",
"332000842_21": "「いくらなんでもタフ過ぎるデスよッ!」",
"332000842_22": "「何か有効な対処法は無いんですか?」",
"332000842_23": "「敵の特性を分析中ッ! もう少し待ってくれッ!」",
"332000842_24": "「このままじゃ、体力と集中力が……」",
"332000842_25": "「あの階段マラソンも効いてるデスよ」",
"332000842_26": "「2人とも、危ないッ!」",
"332000842_27": "「えッ!?」",
"332000842_28": "「ありがとうございます……」",
"332000842_29": "「近づかれてたの、全然気づかなかったデスよ……」",
"332000842_30": "「待つデスよッ! 今の未来さんの攻撃……効いてるデスッ!?」",
"332000842_31": "「えッ!?」",
"332000842_32": "「そうか、<ruby=シェンショウジン>神獣鏡</ruby>の力ッ!」",
"332000842_33": "「<ruby=シェンショウジン>神獣鏡</ruby>の……?」",
"332000842_34": "「<ruby=シェンショウジン>神獣鏡</ruby>は強力な凶祓いの力を持つ聖遺物――」",
"332000842_35": "「その力を使えば、呪いの元であるアナベル人形だけを消滅させ、\\n 核となった少女を助けられるかもしれませんッ」",
"332000842_36": "「そんな方法が……?」",
"332000842_37": "「やったデスッ!」",
"332000842_38": "「うん、これでアナベル人形だけを、破壊できる」",
"332000842_39": "(わたしの、<ruby=シェンショウジン>神獣鏡</ruby>の力で、女の子を助けられる……)",
"332000842_40": "(アナベル人形を消滅させて、女の子を――)",
"332000842_41": "(でも、それじゃ、アナベル人形は……?)",
"332000842_42": "「核である少女を格納している胴体周辺を、\\n <ruby=シェンショウジン>神獣鏡</ruby>の光で貫いて、融合の結束を弱めてくださいッ!」",
"332000842_43": "「アタシたちが隙を作るデスッ!」",
"332000842_44": "「切ちゃんとわたしが囮になります」",
"332000842_45": "「……うん」",
"332000842_46": "「はああ――ッ!」",
"332000842_47": "「やああ――ッ!」",
"332000842_48": "「今デスッ!」",
"332000842_49": "「くッ……」",
"332000842_50": "「やああ――ッ!」",
"332000842_51": "「やったデスかッ!?」",
"332000842_52": "「見て、切ちゃんッ! 中からあの女の子――」",
"332000842_53": "「分離したデスよッ!」",
"332000842_54": "「今ですッ!\\n 人形本体を<ruby=シェンショウジン>神獣鏡</ruby>の力で消滅させてくださいッ!」",
"332000842_55": "「消滅……」",
"332000842_56": "(あの人形を、本当に消滅させていいの――?)",
"332000842_57": "「どうしたんですかッ!?」",
"332000842_58": "「なんでためらってるデスッ!」",
"332000842_59": "「……ッ!」",
"332000842_60": "「あ、女の子が――」",
"332000842_61": "「またアナベル人形に取り込まれていくデスッ!」",
"332000842_62": "「アナベル人形が女の子の姿に戻っちゃったデスよッ!」",
"332000842_63": "「また融合しちゃったよッ!?」",
"332000842_64": "「あ、逃げる気デスッ!」",
"332000842_65": "「追わないとッ!」",
"332000842_66": "「未来さんッ!」",
"332000842_67": "「……ごめんなさい」",
"332000842_68": "「……?」",
"332000842_69": "「一体どうしちゃったデスか……」"
}

View file

@ -0,0 +1,56 @@
{
"332000911_0": "手を繋ぐ力",
"332000911_1": "「どうして攻撃の手を止めたんですか?」",
"332000911_2": "「あの人形に、トドメを刺せたはずデスよ?」",
"332000911_3": "「…………」",
"332000911_4": "「まさか……未来さん、\\n 本当に呪われてるデスか」",
"332000911_5": "「そんなはず……ないですよね?」",
"332000911_6": "「…………」",
"332000911_7": "「未来さん、どうして攻撃を中断したのか、教えてください」",
"332000911_8": "「2人が操られていた時のようなバイタルの乱れは\\n ありませんし、敵の操作を受けているとも思えません」",
"332000911_9": "「何か理由があって攻撃をためらったんですよね?」",
"332000911_10": "「それは……」",
"332000911_11": "「話してもらえるか?」",
"332000911_12": "「君には君の考えがあるのだろう。だが、話さなければそれは\\n 伝わらない。だから聞かせてくれ」",
"332000911_13": "「……はい」",
"332000911_14": "「落とし穴に落ちたあと、\\n 気がついたらとても暗い部屋にいて……」",
"332000911_15": "「そこで、大事にしていた響の人形が無いことに気づいたんです」",
"332000911_16": "「それを必死に探していたら、\\n 目の前に、アナベル人形があって」",
"332000911_17": "「突然、そのアナベル人形が\\n あの女の子の姿に変わったんです」",
"332000911_18": "「女の子は、わたしに何かを差し出してきて――」",
"332000911_19": "「はじめは、\\n わたしを呪おうとしているのかと思ったんですが……」",
"332000911_20": "「女の子の手には、わたしが無くした響の人形があって、\\n 多分拾ってくれたんだと思います」",
"332000911_21": "「わたしは、戸惑いながらも、\\n 女の子から人形を受け取りました」",
"332000911_22": "「その時、響の人形ごしに触れて見えたんです。\\n あの少女――ううん、アナベル人形の、心が――」",
"332000911_23": "「……ありがとう。\\n これ、大事なものなの」",
"332000911_24": "「…………」",
"332000911_25": "「ッ!?」",
"332000911_26": "『だれも呪いたくない……』",
"332000911_27": "『わたしは、ただ、ご主人さまの傍にいたいだけ……』",
"332000911_28": "『だれも傷つけたくないのに……どうして……』",
"332000911_29": "『こんなことなら、ずっと、眠っていればよかった……』",
"332000911_30": "『ごめんなさい……ごめんなさい……』",
"332000911_31": "(今のは……?)",
"332000911_32": "(この子の……、ううん、違う。\\n これは人形の記憶……",
"332000911_33": "「……そうだったんだ」",
"332000911_34": "「あなた自身が、アナベル人形、そのものなんだ」",
"332000911_35": "「そして、あなたはあの女の子の姿を借りて、\\n 今まで――みんなを助けようと……」",
"332000911_36": "「……(こく)」",
"332000911_37": "「…………」",
"332000911_38": "「どうしてそんな変化が起こったのかはわかりません。\\n 持ち主の女の子を取り込んだせいなのかも……」",
"332000911_39": "「だけどとにかく、あの人形自身も人の傍にいたいって、\\n 望んでたんです。殺すんじゃなくて、ただ傍にって……」",
"332000911_40": "「けれど哲学兵装化した概念は、それこそ呪いのままで……」",
"332000911_41": "「だから、自身に呪われた人が殺されないように、\\n 哲学兵装化した呪いから、被害者たちを隠してたって……」",
"332000911_42": "「まさか、アナベル人形が人を助けようとしていたとは……」",
"332000911_43": "「人形の意志が……哲学兵装とは別の意識になるだなんて……」",
"332000911_44": "「えーと、結局はどういうことなんデス?」",
"332000911_45": "「あの人形の中には女の子と融合したいい人形と、\\n 悪い人形の意識があるってことみたい」",
"332000911_46": "「いい人形っていうのは、元のアナベル人形で――」",
"332000911_47": "「悪い人形っていうのは、\\n 人の認識のせいで呪いを帯びてしまった部分のこと」",
"332000911_48": "「うん、だからわたし……、\\n とっさにあの人形を破壊できなくて……」",
"332000911_49": "「哲学兵装化した呪いだけを倒せるなら、そうしたいんです。\\n でも、さっきの方法では……」",
"332000911_50": "「……なるほど、そういうことか」",
"332000911_51": "「……確かに、先ほどの戦いで未来さんが最後の一撃を放てば、\\n アナベル人形は破壊されていたでしょう」",
"332000911_52": "「呪いの意識と、人形本来の意識は時折入れ替わるみたいで、\\n あの子自身はわたしのことも、助けてくれたんです」",
"332000911_53": "「……だから、わたしは、女の子だけじゃなく、\\n アナベル人形も助けたい」"
}

View file

@ -0,0 +1,56 @@
{
"332000921_0": "「それで、あの女の子、\\n いえ、アナベル人形を信じたんですね」",
"332000921_1": "「納得したデス……」",
"332000921_2": "「……うん」",
"332000921_3": "「でも、それならどうして、\\n あの部屋の奥に行方不明者がいないんでしょうか」",
"332000921_4": "「待っていたのは、呪いの人形の方だったな……」",
"332000921_5": "「やっぱり、騙されたデス?」",
"332000921_6": "「そんなことはないと思う。ただ――」",
"332000921_7": "「恐らくは、呪いの意識の方に気づかれたのでしょう」",
"332000921_8": "「どういうこと?」",
"332000921_9": "「人形本来の――言い換えればいい人形の意識は、\\n 呪いの人形の所業を知覚していました」",
"332000921_10": "「一方で、呪いの人形は当初こそ、自分の中から分離した\\n いい人形の意識を認識していなかったのかもしれません」",
"332000921_11": "「ですが――館に誘い込んだ人間を呪い殺す前に、\\n ことごとくその対象が消えてしまっている」",
"332000921_12": "「けれど再三、人間たちが――つまりみなさんのことですが、\\n 行方不明者を捜しに館にやって来る」",
"332000921_13": "「この矛盾はどう説明すればいいのか?」",
"332000921_14": "「行方不明者を取りあげたのは外部の人間ではなく、\\n 館内部の何者かによるものと推測できるはず」",
"332000921_15": "「そこから、己の中に潜在する別の意識を疑い、\\n 自覚し始めたのかもしれません」",
"332000921_16": "「アナベル人形自身の行動がバレたってことデス……?」",
"332000921_17": "「それで、わたしたちが救出に向かった部屋に先回りを――」",
"332000921_18": "「はい、館の組成の変化なども\\n 恐らくは呪いの人形の方の妨害と思われます」",
"332000921_19": "「待て。それでは、行方不明者たちは――」",
"332000921_20": "「今の部屋にいなかったのは、いい方の意識が単純に移動させた\\n ためかもしれませんが、既にその存在も知られてしまっています」",
"332000921_21": "「悪い人形の意識に見つかれば、今度こそ行方不明者たちの\\n 命が奪われてしまうかもしれません……」",
"332000921_22": "「大変ッ! 早く追いかけないとッ!」",
"332000921_23": "「早く、人形を倒してみんなを助けるデスよッ!」",
"332000921_24": "「わたしは……」",
"332000921_25": "「……未来さん」",
"332000921_26": "「わたしは……やっぱり、あの女の子も、アナベル人形も助けたい」",
"332000921_27": "「人形の、本当の心も……」",
"332000921_28": "「でも……」",
"332000921_29": "「ねえ。あの子とアナベル人形、\\n 両方とも助ける方法って、無いのかな」",
"332000921_30": "「りょ、両方助けるって……」",
"332000921_31": "「そんなこと……」",
"332000921_32": "「エルフナインちゃんは何かいい案は無い?」",
"332000921_33": "「……それは、難しいと思います」",
"332000921_34": "「奇跡的に意識が分離したとはいえ、\\n アナベル人形の本体はひとつ」",
"332000921_35": "「そして本体こそが触媒となり、哲学兵装化しています」",
"332000921_36": "「呪いの器となってしまった人形本体を破壊せずに、\\n 呪いだけを消し去るなんて、そんな方法は……」",
"332000921_37": "「そんな……あの子は人の傍にいたいだけなのに……」",
"332000921_38": "「……君の人形本来の意識も救いたい、そう思う気持ちは\\n 理解するが、人命には代えられない」",
"332000921_39": "「…………」",
"332000921_40": "「ここで倒さなければ、救えるはずの命を見捨てることになる。\\n それは到底容認できない」",
"332000921_41": "「……はい。でもそれなら、被害者たちを救った後で、\\n あの呪いだけを倒す方法を――」",
"332000921_42": "「そうして対処を遅らせた結果、新たな行方不明者が出たら\\n どうする」",
"332000921_43": "「あの少女も、いつまで無事でいられるかわからない」",
"332000921_44": "「……それは……」",
"332000921_45": "「この期に及んでは、行方不明者を呪いから解き放ち、新たな\\n 被害者を出さないために、本体を破壊する以外に道は無い」",
"332000921_46": "「選択の責は俺が負う。アナベル人形を破壊し、\\n 少女と行方不明者たちを救い出すんだ」",
"332000921_47": "「了解(デス)……」",
"332000921_48": "「……わかりました」",
"332000921_49": "「それで、アナベル人形はどっちに?」",
"332000921_50": "「部屋の奥の扉から、通路へ逃げたようです」",
"332000921_51": "「追いかけよう」",
"332000921_52": "「今度こそ、ケリをつけるデスッ!」",
"332000921_53": "(わたしは、あの子を――)"
}

View file

@ -0,0 +1,37 @@
{
"332000931_0": "「そこをどくデスよッ!」",
"332000931_1": "「やあ――ッ!」",
"332000931_2": "「奥へ進めば進むほど、敵の数が多くなる」",
"332000931_3": "「こっちが向かってるのは知られてるから当然デス。\\n 真っ正面から倒して進むしかないデスよ」",
"332000931_4": "「…………」",
"332000931_5": "「……まだ迷ってるんですか?」",
"332000931_6": "「心配かけてごめんね。大丈夫だよ」",
"332000931_7": "「いえ……」",
"332000931_8": "「微弱ながら、前方に生体反応を多数検知ッ!」",
"332000931_9": "「恐らく、行方不明者が集められている部屋が\\n あるのではないかと思われます」",
"332000931_10": "「よかった。\\n そんなに遠くへは行ってなくて」",
"332000931_11": "「流石に、あれだけの人数の行方不明者全員は、\\n まとめて移動できなかったのかもしれません」",
"332000931_12": "「確かに、この複雑な迷路の中、\\n 自由自在に移動されていたら捕捉できなかったろうしね」",
"332000931_13": "「じゃあ、殴り込むデスよッ!」",
"332000931_14": "「デ――スッ!」",
"332000931_15": "「広い部屋……ここに行方不明者が?」",
"332000931_16": "「いた、あそこデスッ!」",
"332000931_17": "「……ッ」",
"332000931_18": "「…………」",
"332000931_19": "「今度こそ逃がさないデスよッ!」",
"332000931_20": "「みんなを返してもらう」",
"332000931_21": "「――ッ!!」",
"332000931_22": "「また、あの形にッ!?」",
"332000931_23": "「3人とも、わかっていると思うが、直接接触は厳禁だッ!\\n 距離を取って遠隔攻撃で対処しろッ」",
"332000931_24": "「了解デスッ!」",
"332000931_25": "「各自散開してアナベル人形の変形体を包囲、\\n 十字砲火で攻めたてろッ」",
"332000931_26": "「了解。わたしが左斜め後ろ、切ちゃんが右斜め後ろに。\\n 未来さんは核が捉えやすい正面をお願いできますか」",
"332000931_27": "「うん、わかった」",
"332000931_28": "「えッ!?」",
"332000931_29": "「未来さんの方向だけ、\\n やたらと小さい人形で固めてるデスッ」",
"332000931_30": "「どうやら、先の戦いの経験から、\\n <ruby=シェンショウジン>神獣鏡</ruby>の力をかなり警戒している様ですね……」",
"332000931_31": "「だったら、先にその邪魔な人形を全部切り刻んで\\n 丸裸にしてやるデスよッ」",
"332000931_32": "「それしかなさそう」",
"332000931_33": "「やろう、切ちゃん」",
"332000931_34": "「合点承知デスッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,119 @@
{
"332000941_0": "「やあ――ッ!」",
"332000941_1": "「小さい人形が邪魔を――」",
"332000941_2": "「大丈夫ですッ!\\n あと少しで……削りきれますッ」",
"332000941_3": "「こっちも、もうちょいで終わるデスよッ!」",
"332000941_4": "「どんなもんデスかッ!」",
"332000941_5": "「切ちゃん、油断しないでッ!」",
"332000941_6": "「おわああッ!?」",
"332000941_7": "「コイツ、アタシたちには遠慮なく近づいてくるデスッ!」",
"332000941_8": "「気をつけて。触れたら呪われるから」",
"332000941_9": "「わかってるデス。\\n あの痛辛いのはもうカンベンデスよ」",
"332000941_10": "「でも――これで丸裸になったデスッ!」",
"332000941_11": "「また、わたしたちが牽制します」",
"332000941_12": "「その隙にトドメをお願いするデスッ!」",
"332000941_13": "「……うん。わかった」",
"332000941_14": "「はああ――ッ!」",
"332000941_15": "「やああ――ッ!」",
"332000941_16": "(今ッ!)",
"332000941_17": "「やああ――ッ!」",
"332000941_18": "「効いてるッ!」",
"332000941_19": "「少女の身体がアナベル人形の変形体から\\n 分離を開始しましたッ」",
"332000941_20": "「身柄を保護しろッ!」",
"332000941_21": "「了解デスッ!」",
"332000941_22": "「はあ――ッ!」",
"332000941_23": "「切り離したデスよ、調ッ!」",
"332000941_24": "「任せて」",
"332000941_25": "「ふう……」",
"332000941_26": "「ナイスキャッチデスッ!」",
"332000941_27": "「保護した少女を戦闘圏外に退避させろッ!」",
"332000941_28": "「了解です」",
"332000941_29": "「あとはあいつを倒すだけデスね」",
"332000941_30": "「凶祓いの力を有する<ruby=シェンショウジン>神獣鏡</ruby>の力なら、\\n きっといけるはずです」",
"332000941_31": "「……」",
"332000941_32": "「……まだ、迷ってるデスか?」",
"332000941_33": "「……ッ」",
"332000941_34": "「お待たせ。あの子はもう大丈夫」",
"332000941_35": "「……どうしたの?」",
"332000941_36": "「……まだ迷ってるみたいなんデス」",
"332000941_37": "「未来さん……捕まっている人たちを、助けましょう」",
"332000941_38": "「わかってる。それはわかってるよ。\\n でも――」",
"332000941_39": "「アナベル人形の変形体、エネルギー反応増大ッ!」",
"332000941_40": "「いかんッ! 回避だッ!!」",
"332000941_41": "「え――ッ!?」",
"332000941_42": "「きゃああ――ッ!!」",
"332000941_43": "「うう……」",
"332000941_44": "「つうぅ……」",
"332000941_45": "「なんなんだ、この力は?」",
"332000941_46": "「核となっていた少女を失って、呪いの力が暴走している?」",
"332000941_47": "「の、呪いの波動だけで、この威力……?」",
"332000941_48": "「な、なんデスか、この馬鹿げた力は……」",
"332000941_49": "「……最早猶予はないッ!」",
"332000941_50": "「これ以上、呪いの力の暴走を許せば、\\n 近くにいるはずの要救助者にも被害が及びかねん」",
"332000941_51": "「一刻も早くアナベル人形を消滅させるんだッ!」",
"332000941_52": "「そ、その通りデスよ」",
"332000941_53": "「未来さんの気持ちもわかります。でも……」",
"332000941_54": "「…………」",
"332000941_55": "(響――)",
"332000941_56": "(わたしは、どうしたら……)",
"332000941_57": "(やっぱり、アナベル人形を消滅させるしかないのかな……)",
"332000941_58": "「でも、もしその子が何かに困ってるなら、助けたいかな」",
"332000941_59": "「助け、たい……?」",
"332000941_60": "「うん、もしその子が原因だとしても、\\n その行動には何か理由があると思うんだ」",
"332000941_61": "「だから話を聞いて、困っているなら一緒に悩んで、\\n そして助けたい」",
"332000941_62": "「人間でも幽霊でも人形だって関係ない、困ってて、\\n 誰かに助けてほしい気持ちは、よくわかるから」",
"332000941_63": "『だれも呪いたくない……』",
"332000941_64": "『わたしは、ただ、ご主人さまの傍にいたいだけ……』",
"332000941_65": "『だれも傷つけたくないのに……どうして……』",
"332000941_66": "『こんなことなら、ずっと、眠っていればよかった……』",
"332000941_67": "『ごめんなさい……ごめんなさい……』",
"332000941_68": "(わたしは知ってしまった。\\n アナベル人形が助けを求めているのを――",
"332000941_69": "「そうだよね。\\n 響なら、何も迷うことなんてないよね……」",
"332000941_70": "「未来さん……?」",
"332000941_71": "「みんなの言うことが正しいのは、わかるよ」",
"332000941_72": "「なら――」",
"332000941_73": "「――だとしても。\\n わたしは、諦めたくない」",
"332000941_74": "「未来さん?」",
"332000941_75": "「この子は、人が人を想う気持ちから生まれてきたの」",
"332000941_76": "「人間が……持ち主が大好きで、ずっと一緒にいたかった」",
"332000941_77": "「それなのに、持ち主が亡くなって。\\n その上、無責任な人たちの噂で呪いの人形なんかにされたの」",
"332000941_78": "「自分のせいじゃないのに、人に蔑まれ、呪われて……。\\n まるであの頃の響みたいに――」",
"332000941_79": "「そ、それは……」",
"332000941_80": "「この人形の想いも、ずっと長い間、苦しんできた」",
"332000941_81": "「望んでない力を与えられて、その力で人を呪い殺してしまって、\\n 余計に人間から遠ざけられて、封印されて……」",
"332000941_82": "「でもそんなの、このアナベル人形のせいじゃない」",
"332000941_83": "「だから、わたしたちが助けないとッ!」",
"332000941_84": "「無茶苦茶デスよッ!」",
"332000941_85": "「そんな、響さんみたいなこと――」",
"332000941_86": "「そう。響だったら、きっと諦めない。\\n 届かなくても、失敗しても、手を伸ばし続けるッ」",
"332000941_87": "「だから、わたしも――手を伸ばすのッ!」",
"332000941_88": "「――あなたを、救うためにッ!」",
"332000941_89": "『助けて』",
"332000941_90": "「うん、聞こえたよ」",
"332000941_91": "(暗闇の中でずっと助けを求めていた、あなたの声)",
"332000941_92": "「今度こそ絶対に助けるッ!」",
"332000941_93": "(響の時は、寄り添うことだけで精一杯だったけど)",
"332000941_94": "「約束したんだ。響の代わりに、みんなを護るって」",
"332000941_95": "(立ち上がった響が、これまでずっと、そうしてきたように)",
"332000941_96": "「この街も、みんなも。\\n そして――あなたの心も」",
"332000941_97": "(全部、諦めたくない)",
"332000941_98": "「わたし1人の力じゃ、無理かもしれないけれど」",
"332000941_99": "(今わかったよ)",
"332000941_100": "「響なら、きっと――」",
"332000941_101": "(この子と心を繋いでくれたのは、響の人形だったんだね)",
"332000941_102": "「だから……少しだけ力を貸して」",
"332000941_103": "「わたしに、響みたいな力を――」",
"332000941_104": "(わたしは、響と一緒の方向を向いて走りたい。\\n 響が帰ってきたときに、胸を張ってお帰りって言いたいッ",
"332000941_105": "(この子を見捨てたら、\\n ――わたしは響を笑顔で迎えられなくなるからッ",
"332000941_106": "「<size=40>繋ぐこの手を、あの子に届かせるために――ッ!!</size>」",
"332000941_107": "「ま、まぶしいデスッ!」",
"332000941_108": "「この光は――ッ!?」",
"332000941_109": "「これは――心象変化ッ!?」",
"332000941_110": "「だが、一体何にッ!?」",
"332000941_111": "「あ、あの腕の形は――?」",
"332000941_112": "「まるで、ガングニールデスッ!?」",
"332000941_113": "「感じる、響の力を――」",
"332000941_114": "「胸に、拳に、力と勇気が溢れてくるッ!」",
"332000941_115": "「この力があれば、\\n あの子と手を繋ぐことができるッ」",
"332000941_116": "「待っていて、\\n 必ず、あなたを助けてあげるからッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,57 @@
{
"332000942_0": "「やああ――ッ!!」",
"332000942_1": "「あの姿は、まるで――」",
"332000942_2": "「響さんの……、\\n ガングニールそのものデスッ」",
"332000942_3": "「あのギアは、響さんの繋ぐ特性を模倣し\\n 発現した、まさに、ミラーリングギアですッ」",
"332000942_4": "「ミラーリングギア、だとッ!?」",
"332000942_5": "「でも、いくらガングニールを真似しても――」",
"332000942_6": "「直接触れたら、呪われちゃうデスよッ!!」",
"332000942_7": "「呪われないッ!」",
"332000942_8": "「この手は誰かと繋ぐためにある、響の手――」",
"332000942_9": "「わたしの知ってる響の手は、\\n 誰よりも優しくて、強くて、温かいあの手は――」",
"332000942_10": "「誰かと誰かを隔てる呪いなんかに負けるはずないッ!」",
"332000942_11": "「届いて――ッ!!」",
"332000942_12": "「くうう――ッ!?」",
"332000942_13": "「呪いが包み込んで――ッ!」",
"332000942_14": "「未来さん――ッ!」",
"332000942_15": "「こ、この、くらい……ッ!」",
"332000942_16": "「へいき……へっちゃら……だから……ッ!!」",
"332000942_17": "「呪いの波動をかき分けてるデスッ!?」",
"332000942_18": "「それでも前へと進むって……本当に響さんみたいにッ!?」",
"332000942_19": "「痛いね、苦しいね、寂しいね……」",
"332000942_20": "「ずっとこんな呪いを、悲しみを、\\n 背負わせられていたんだね……」",
"332000942_21": "「人間って、残酷だよね。\\n 平気で、誰かを傷つける」",
"332000942_22": "「よく知りもしないで、人のことを決めつけて。\\n 蔑んで、嘲笑って、怒って、踏みつけにする」",
"332000942_23": "「そんな人たちの想いが、\\n ずっと、あなたを傷つけてきたんだよね……」",
"332000942_24": "「でも……それだけが人間じゃない」",
"332000942_25": "「ううん……とっくに知ってるよね。\\n 人が人を想う気持ちから生まれた、あなたなら」",
"332000942_26": "「切ちゃん、あれッ!」",
"332000942_27": "「アナベル人形が……」",
"332000942_28": "「ずっと寂しい想いをさせて、ごめんね……」",
"332000942_29": "「でも、もう大丈夫だよ」",
"332000942_30": "「もう誰も、あなたを暗闇の中になんか置き去りにしない」",
"332000942_31": "「もう誰にも、あなたに呪わせたりなんかしない」",
"332000942_32": "「わたしが、ずっと一緒にいてあげるから」",
"332000942_33": "「だから――。\\n この手を、掴んで――ッ」",
"332000942_34": "『……ありがとう……』",
"332000942_35": "「……あれ。ここは……?」",
"332000942_36": "「どうして、わたしたち、こんなところに?」",
"332000942_37": "「みんな、無事かッ!?」",
"332000942_38": "「大丈夫デス。\\n でも、なんだか見覚えのない場所にいるデスよ」",
"332000942_39": "「……座標は変わっていないみたい。\\n 館だけが綺麗さっぱりなくなっているわね……」",
"332000942_40": "「ど、どういうことデスかッ!?」",
"332000942_41": "「アナベル人形が倒れたことで、あの館が消滅したって\\n ことじゃないかな……」",
"332000942_42": "「そうだ、行方不明の人たちは……?」",
"332000942_43": "「すぐ近くに生体反応を検知。\\n 大丈夫、無事みたいよ」",
"332000942_44": "「よかった……」",
"332000942_45": "「すぐに救助隊を向かわせる。\\n それまで現場を確保しておいてくれ」",
"332000942_46": "「了解です」",
"332000942_47": "「ところで、未来さんは……」",
"332000942_48": "「ここだよ」",
"332000942_49": "「あ、無事でよかったデス」",
"332000942_50": "「うん。2人も」",
"332000942_51": "「ところで、その抱き締めてる人形は――」",
"332000942_52": "「まさか――」",
"332000942_53": "「うん、アナベル人形だよ」",
"332000942_54": "「でも……もう、きっと大丈夫」"
}

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@ -0,0 +1,53 @@
{
"332001011_0": "新しい居場所",
"332001011_1": "「そうか、彼女の見舞いに行ってきたのか」",
"332001011_2": "「はい。ちょうど眠っていて、挨拶はできなかったですけど」",
"332001011_3": "「それに、何人かお友達もお見舞いに来ていたみたいだったので、\\n わたしは、早めに切り上げてきました」",
"332001011_4": "「体調も順調に回復に向かっているので、\\n もう少ししたら退院できるそうです」",
"332001011_5": "「それはなによりだな」",
"332001011_6": "「リディアンの生徒も、他の保護された人たちも、\\n 後遺症などはなく順調に回復してきているみたいよ」",
"332001011_7": "「よかった」",
"332001011_8": "「アナベル人形に触れた人たちは、ずっと夢を見ている様な\\n 状況だったから、事件の前後はほぼ覚えていない様だね」",
"332001011_9": "「発端となった女の子が初めて意識を取り戻した際、\\n 僕も事情聴取に立ち会いましたが――」",
"332001011_10": "「やはり彼女も、人形を拾った後の記憶が無く、\\n 気づいたら病院のベッドで寝ていたと話していました」",
"332001011_11": "「そうなんですね……」",
"332001011_12": "「アタシたちも、最初にアナベル人形に触って以降は、\\n 何が夢で何が本当か、微妙に区別がつかなかったデスよね」",
"332001011_13": "「うん。なんか、色んな夢を見てた気がする……」",
"332001011_14": "「調の作ったご飯を食べる夢とか……」",
"332001011_15": "「アハハ……ところで、アナベル人形は?」",
"332001011_16": "「<ruby=シェンショウジン>神獣鏡</ruby>の浄化の光で呪いの力を祓われ、\\n 今はもう普通の人形と変わらないようです」",
"332001011_17": "「ひととおり調査しましたが、哲学兵装としての力も\\n その他超常的な力などの影響も、一切見受けられません」",
"332001011_18": "「そうなんだ。よかった……」",
"332001011_19": "「もちろん今後同じように誰かの手――あるいは意思によって、\\n 再び哲学兵装化する可能性はゼロではありませんが……」",
"332001011_20": "「それじゃ、これからどうするの?」",
"332001011_21": "「物自体としてはもうほぼ普通の人形ですので、\\n そこまで厳重な封印措置は必要ないでしょう」",
"332001011_22": "「だが物が物だからな。大勢の人の目に付いたり、巷の噂に\\n 上らないように、最低限の注意を払う必要はある」",
"332001011_23": "「念のため、今回の事件の噂がこれ以上広範にわたらないように、\\n 情報管制で対応します」",
"332001011_24": "「ああ、頼んだ」",
"332001011_25": "「それで、あの人形その物は……?」",
"332001011_26": "「検討中だが、恐らくはS.O.N.G.保有の\\n 保管庫に置くことになるだろう」",
"332001011_27": "「安全の観点からも、それが妥当だと思います。\\n 一度哲学兵装化した物でもありますから」",
"332001011_28": "「最低限とはいえ、所在の明確化と適切な管理は必要だからな」",
"332001011_29": "「そう……ですか……」",
"332001011_30": "「どうかしたか?」",
"332001011_31": "「あの、それなら――」",
"332001011_32": "「ただいま、っと」",
"332001011_33": "「……どこがいいかな……?」",
"332001011_34": "「そうだ、あそこにしよう」",
"332001011_35": "「うん、ここなら部屋中が見渡せるもんね」",
"332001011_36": "「それじゃ、椅子を置いて……と」",
"332001011_37": "「はい、ここに座って」",
"332001011_38": "「今日からここが、あなたの家だから。\\n 気に入ってくれるといいんだけど」",
"332001011_39": "(保管庫なんかで埃を被るよりは、きっといいよね?)",
"332001011_40": "「あの時、約束したんだもの。\\n あなたを二度と暗がりに置き去りにしないって」",
"332001011_41": "(誰もいない、暗いところに閉じ込めたら、\\n きっとこの子は寂しがる――",
"332001011_42": "(――そう思ったら、自然に弦十郎さんにお願いしてたんだよね)",
"332001011_43": "(わたしたちの部屋を、この子の保管場所にさせてくださいって)",
"332001011_44": "「置き場所を知らせておくことと、定期的な報告義務はあるけど、\\n それくらいなら、なんでもないしね」",
"332001011_45": "「……この子は、あなたの新しいお友達」",
"332001011_46": "「あの時、あなたが拾ってくれた、\\n ……わたしの大切な人のお人形」",
"332001011_47": "「仲良くしてあげて」",
"332001011_48": "「もうすぐ本物の響も帰ってくるから。\\n そうしたら、紹介するね」",
"332001011_49": "「きっとあなたも好きになってくれると思う」",
"332001011_50": "「だって響は、あなたを助ける力をわたしにくれた人だから。\\n わたしの大好きなお日様なんだから……」"
}

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@ -0,0 +1,40 @@
{
"332001111_0": "響の帰宅",
"332001111_1": "「ただいまー」",
"332001111_2": "「あ、帰ってきたッ!」",
"332001111_3": "「お帰りなさい。\\n みんな怪我は無かった」",
"332001111_4": "「うん、まあなんとかね。\\n でも、ホント疲れたよー」",
"332001111_5": "「そうなんだ。\\n しばらくはゆっくり休む」",
"332001111_6": "「うん、そうさせてもらおうかな」",
"332001111_7": "「ぎゅーッ」",
"332001111_8": "「ちょ、ちょっと響?」",
"332001111_9": "「エヘヘ……本物の未来だー」",
"332001111_10": "「もう、甘えん坊なんだから」",
"332001111_11": "「あー、癒やされるなあ……」",
"332001111_12": "「って。あれ……なんだろ?」",
"332001111_13": "「どうしたの?」",
"332001111_14": "「そこの棚の上、見覚えのない人形が増えてるような」",
"332001111_15": "「ああ、あの子ね」",
"332001111_16": "「S.O.N.G.で聞いたかもだけど、\\n 響が出かけていた間にあった事件の人形なの」",
"332001111_17": "「ああ、報告の時に聞いたかも。\\n なんか、こっちも大変だったみたいだね」",
"332001111_18": "「うん、ちょっとね……」",
"332001111_19": "「でも、そっかあ。\\n あの子がその人形なんだ」",
"332001111_20": "「見たところ、普通に可愛い人形なのに」",
"332001111_21": "「そのままだと暗い倉庫に戻されちゃうっていうから、\\n うちで預からせてもらったんだけど……」",
"332001111_22": "「ごめんね、響に相談もなく勝手に決めちゃって」",
"332001111_23": "「未来が決めたなら全然OKだよッ!\\n どちらにしても、一昨日まで連絡取れなかったし」",
"332001111_24": "「えーと……アナグマ人形だったっけ?\\n あれ でも人間型だし……」",
"332001111_25": "「アナベル人形だよ。\\n でも、何か新しい名前を付けてあげた方がいいかも」",
"332001111_26": "「そっか。それじゃ後で考えようッ!\\n わたしは立花響。とりあえずよろしくねッ」",
"332001111_27": "「響……その、アナベル人形のこと聞いたんだよね……?」",
"332001111_28": "「うん、聞いたけど……? 握手したらダメだった?\\n あ、手を洗ってなかったから 手、汚れてたらゴメンねー」",
"332001111_29": "(それなら触れた人たちが呪われたって話も聞いたはずなのに……)",
"332001111_30": "「……やっぱり、響はすごいなぁ」",
"332001111_31": "「え、何が?」",
"332001111_32": "「フフ……そういうところだよ」",
"332001111_33": "「ん? どういう意味?」",
"332001111_34": "「ううん、なんでもない」",
"332001111_35": "「それじゃ、ご飯の支度しようか」",
"332001111_36": "「うんッ!\\n 未来のご飯、ずーっと食べたかったんだ」",
"332001111_37": "「フフ……今日はうんとご馳走作るね。\\n 響の帰宅祝いと、新しい家族の歓迎会なんだから」"
}