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@ -1,3 +1,94 @@
{
"402000111_0": "セレナの苦悩"
"402000111_0": "セレナの苦悩",
"402000111_1": "「戦艦マーナガルム、安定高度に達しました」",
"402000111_2": "「そう、ご苦労様」",
"402000111_3": "「それで、目的地はいかがいたしますか?」",
"402000111_4": "「もう、焦らないの。\\n もう少しゆっくりしましょ」",
"402000111_5": "「そう言われましても、前回の世界蛇降臨後から、\\n この戦艦マーナガルムに籠ったままでは……」",
"402000111_6": "「士気に関わる、といったところかしら?」",
"402000111_7": "「……有り体に申し上げますれば」",
"402000111_8": "「はあ……組織ってのも面倒なものね」",
"402000111_9": "「目指す先は世界蛇による破滅である以上、\\n 焦らなくても、迎える結末は同じ」",
"402000111_10": "「それでも死に急ぎたいなんて、面白い者たちね」",
"402000111_11": "「組織のために命を捧げる。\\n 彼らにはそれが使命であり、そして救いと考えているのです」",
"402000111_12": "「難儀なこと。\\n まあ、わたしの役に立ってくれるなら、なんでもいいけど」",
"402000111_13": "「……石屋、あなたは?」",
"402000111_14": "「私の望みは、ベアトリーチェ様の本懐を叶えることにあります」",
"402000111_15": "「私の本懐、ね……。\\n せっかくならいろいろ楽しみながら遂げたいわ」",
"402000111_16": "「……」",
"402000111_17": "「響といったかしら? あの子に埋め込んだ、\\n 悪意の種も無駄になっちゃったわね」",
"402000111_18": "「上手くいけば、かなり面白い見世物ができたのに」",
"402000111_19": "「……装者に興味がおありですか?」",
"402000111_20": "「間違えないで。わたしが興味があるのはあの子だけ、\\n 有象無象の装者ごときに、関心などないわ」",
"402000111_21": "「申し訳ございません」",
"402000111_22": "「まあ、いいわ。\\n ……それで、次の目的地を決めてほしいんだっけ」",
"402000111_23": "「はい、各地に散った同士より、世界蛇の成長に\\n 最適な並行世界の情報が集まっております」",
"402000111_24": "「それらの世界でなら、十分な成果が得られましょう。\\n リストの方を用意いたしましょうか」",
"402000111_25": "「いらないわ。だってそんなの面白くないじゃない。\\n ……それより、またライブをしたいわね」",
"402000111_26": "「ライブ……ですか?」",
"402000111_27": "「そう。ライブ」",
"402000111_28": "「そんなものを行わなくても、世界蛇降臨に必要な分の\\n エネルギーは、十分マーナガルムにも――」",
"402000111_29": "「あるから何?\\n まったく、あなたは未だにわかってないのね……」",
"402000111_30": "「……申し訳ございません」",
"402000111_31": "「ただの悲哀じゃない、ライブという最高の熱狂から、\\n 最悪の絶望へと堕ちていく人の姿――」",
"402000111_32": "「そして、絶望の化身として一切の希望を許さず、\\n 世界ごと食らいつくす世界蛇――」",
"402000111_33": "「そんな終末の光景を、特等席で眺めるのがいいのよ。\\n ただ世界が滅ぶだけの様子なんて、もう見飽きてるわ」",
"402000111_34": "「そういうものですか……」",
"402000111_35": "「そういうものなのよ。\\n あなたも私に仕えるなら、それくらいわかるようになりなさい」",
"402000111_36": "「善処いたします」",
"402000111_37": "「ところで、スクルドについてはどうお考えでしょうか?」",
"402000111_38": "「あれこそ諦めの悪い集団だから、今頃並行世界を回って、\\n 新しいミョルニルを探してるんじゃない」",
"402000111_39": "「見つかったところで、あの程度の威力なら脅威にならないけど」",
"402000111_40": "「『パズル』に手を出す可能性もあるのではないでしょうか?」",
"402000111_41": "「ああ、それもあるかもしれない」",
"402000111_42": "「でも、あの人間嫌いで有名なドヴェルグを\\n 誑し込めるものかしらね」",
"402000111_43": "「……不可能でございましょうな」",
"402000111_44": "「しかし、念には念を、万全を期すために、\\n ここは妨害の人員を送り込むことも――」",
"402000111_45": "「そうね。でも放置でいいわ。\\n そうなったらそうなったで、楽しそうだし」",
"402000111_46": "「……わかりました」",
"402000111_47": "「不満?」",
"402000111_48": "「いえ……そのようなことは」",
"402000111_49": "「なんでも効率と結果だけを追い求めればいいものじゃないわ。\\n あなたも過程を楽しみなさい」",
"402000111_50": "「はい……」",
"402000111_51": "「どうやらトラブルの様です。\\n 対処に向かいます」",
"402000111_52": "「ええ、お願い」",
"402000111_53": "「……わたし自身も、もっと過程を楽しまないとね。\\n フフ、またあの子にも会いたいわ……」",
"402000111_54": "「……スクルドの監視に当たっていたメンバーからの\\n 連絡が途絶えた、ですか」",
"402000111_55": "「はい。恐らくはスクルド側の手練れによるものかと」",
"402000111_56": "「やはり、ミョルニルを失っても変わらず我々の障害となるか……」",
"402000111_57": "「わかりました。それではこちらも腕利きを用意して、\\n 新たにスクルドの動向を監視してください」",
"402000111_58": "「はッ、報告の頻度はいかがいたしましょう?」",
"402000111_59": "「3時間ごとの定時報告と、動きがあった際の連絡の徹底を。\\n また、報告は全て私のところへお願いします」",
"402000111_60": "「……ベアトリーチェ様にはお伝えしなくて\\n よろしいのでしょうか」",
"402000111_61": "「その判断は私が行います。いいですね?」",
"402000111_62": "「はッ、失礼いたしましたッ!\\n それでは即時手配を行いますッ」",
"402000111_63": "(ベアトリーチェ様は放置でいいとおっしゃられましたが、\\n やはりスクルドについては、なんらかの対応は必要……",
"402000111_64": "(それに再び我らの障害となる可能性を摘むなら、\\n ミョルニルを失っている、今が好機でしょう",
"402000111_65": "「そう、ベアトリーチェ様のための権謀術数こそ、私の役割。\\n 邪魔なスクルドと、再びの邂逅といきましょうか……」",
"402000111_66": "「……考えてみれば、これも過程を楽しむことになるのかも\\n しれませんね」",
"402000111_67": "「……」",
"402000111_68": "「……」",
"402000111_69": "「2人とも動こうとしないデスね……」",
"402000111_70": "「先に動くと不利になるって考えてるんだと思う」",
"402000111_71": "「アタシなら先手必勝って攻めまくるデスけど」",
"402000111_72": "「2人とも慎重に考えて行動するタイプだし、\\n まず攻撃を防いで、隙を作ろうとしてるはず」",
"402000111_73": "「おお……達人同士の戦いみたいデスねッ!」",
"402000111_74": "「うん、一瞬で勝負がつくかも……」",
"402000111_75": "(マリア姉さんに、半端な攻撃は通用しない……。\\n 下手に攻撃すれば、弾かれて反撃を受けちゃう",
"402000111_76": "(何か、隙を作る方法を考えないと……。\\n マリア姉さんは隙が無いから……あれ",
"402000111_77": "(セレナ、最近よく訓練を頼んでくるけど、\\n 悩みでもあるのかしら……",
"402000111_78": "(頑張っているセレナを応援したいけど、\\n 今はわたしが相手役なのよね……",
"402000111_79": "(手加減はセレナに失礼だけど、かといってセレナを\\n 傷つけたくはないし……ああ、もうッ",
"402000111_80": "「……マリア、集中できてなさそうデスよ。\\n いつの間にやら隙だらけデス」",
"402000111_81": "「みたいだね……。\\n これはセレナ有利かも」",
"402000111_82": "<size=40>「――マリアッ!」</size>",
"402000111_83": "「ひゃいッ!? ど、どうしたのマムッ!?」",
"402000111_84": "「集中なさい。これではセレナの訓練になりません」",
"402000111_85": "「わ、わかったわ……」",
"402000111_86": "「セレナ、ごめんなさい。\\n ちょっと気持ちを入れ直すわ」",
"402000111_87": "「ううん、気にしないで」",
"402000111_88": "「それにしても、どうして仕掛けてこなかったの?\\n わたし、隙だらけだったでしょ」",
"402000111_89": "「うん……でも、訓練で不意を突いて勝っても、意味がないから。\\n わたしは、強いマリア姉さんと訓練したいの」",
"402000111_90": "「セレナ……。\\n わかったわ、本気で行くわよッ」",
"402000111_91": "「うん、お願いッ!」"
}

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@ -1 +1,31 @@
{}
{
"402000112_0": "「はあ――ッ!」",
"402000112_1": "「くッ、やああ――ッ!」",
"402000112_2": "「2人とも白熱してきたデスッ!\\n 見てるこっちも、つい熱くなってくるデスねッ」",
"402000112_3": "「うん、そうだね。\\n わたしたちももっと応援しよう」",
"402000112_4": "「もちろんデスッ!」",
"402000112_5": "「……あ、でもこういう場合って、\\n どっちを応援すればいいんだろう」",
"402000112_6": "「そんなのその場のノリで、両方応援すればいいデスよッ!\\n マリア、そこデスッ セレナ、ナイスガードッ」",
"402000112_7": "「そっか。セレナそこだよッ! マリアも頑張ってッ!」",
"402000112_8": "「はあッ、はあッ……」",
"402000112_9": "「……」",
"402000112_10": "(息が切れてきた……。姉さんはまだ大丈夫みたいだから、\\n 体力が残っているうちに、突破口を開かないと……",
"402000112_11": "(……もう少しね。\\n あとは、セレナが何をしてくるか――",
"402000112_12": "「やああああ――ッ!!」",
"402000112_13": "「セレナが一気に突っ込んだデスッ!」",
"402000112_14": "「これは捨て身の攻撃ッ!?」",
"402000112_15": "「セレナ頑張るデスッ! そこはラッシュデスよッ!」",
"402000112_16": "(苦しい……でも、ここで決めなきゃ――)",
"402000112_17": "「えいッ! やあッ! それッ!!」",
"402000112_18": "「マリア、もう少しッ!\\n セレナのラッシュを防いだら、反撃ッ」",
"402000112_19": "(もちろん、わかってるッ!\\n でもこのラッシュ……なかなかに捌きにくいッ",
"402000112_20": "「ここは出し惜しみなしデスッ!\\n セレナ、ここは殺界デスッ トドメをッ」",
"402000112_21": "「<size=40>え、ええッ!?</size>」",
"402000112_22": "(殺界ってなんだろう……ど、どうすれば?)",
"402000112_23": "「マリアッ! 回避コマンドをッ!」",
"402000112_24": "<size=40>回避コマンドって何ッ!?</size>」",
"402000112_25": "「行くデスよ、<size=40>デストローイッ!</size>」",
"402000112_26": "「それはさせないッ!! <size=40>キャンセルッ!</size>」",
"402000112_27": "「<size=40>あなたたち、どんな応援してるのよッ!</size>」",
"402000112_28": "「アハハ……」"
}

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@ -1 +1,39 @@
{}
{
"402000121_0": "「……ついこの前遊んだゲームと\\n 混同してしまったデス」",
"402000121_1": "「うん……わたしも……」",
"402000121_2": "「もう、あなたたちは……。\\n こっちは真面目に訓練しているんだから」",
"402000121_3": "「面目ないデス」",
"402000121_4": "「ごめんなさい……」",
"402000121_5": "「それで、マム、\\n さっきの戦いのデータだけど――」",
"402000121_6": "「ええ。\\n きちんと取れていますよ」",
"402000121_7": "「セレナは全般的に、受けに回る回数が多すぎますね」",
"402000121_8": "「でも最後のラッシュはすごかったデスよ?」",
"402000121_9": "「ええ。しかしあれは苦し紛れ。\\n ロウソクの炎が燃え尽きる前の、一瞬の輝きと同じです」",
"402000121_10": "「体力が尽きる前に、なんとか状況を打開しようと\\n 無理をしただけでしょう」",
"402000121_11": "「……はい」",
"402000121_12": "「どうしてあなたの方が消耗していたかわかりますか?」",
"402000121_13": "「わたしとマリア姉さんとじゃ、体力の差があって……」",
"402000121_14": "「当然それもあるでしょう。\\n ですが、それだけではありません」",
"402000121_15": "「え?」",
"402000121_16": "「もっと単純なことです」",
"402000121_17": "「単純な……?」",
"402000121_18": "「動きの効率です。攻撃や防御、そして回避、戦いにおける\\n 全ての動きの効率に差があるのです」",
"402000121_19": "「……わたしは、マリア姉さんに比べて、無駄な動きが多い……」",
"402000121_20": "「その通りです」",
"402000121_21": "「……。\\n やっぱり、わたしじゃまだまだ全然ダメなんですね……」",
"402000121_22": "「セレナ、あなたはちゃんと成長しているわ。\\n こうして戦ったわたしにはわかる」",
"402000121_23": "「最後のラッシュだって、もう少し続いていたら、\\n 防御が間に合わなくなっていたかもしれない」",
"402000121_24": "「だから、焦らずに力をつけていけばいいのよ」",
"402000121_25": "「姉さん……。\\n でもわたしは、もっとみんなの力になりたい……」",
"402000121_26": "「フォローされるだけじゃなくて、\\n みんなの助けになりたい……」",
"402000121_27": "「セレナの優しさは、わたしたちの力になってるよ」",
"402000121_28": "「……うん」",
"402000121_29": "(……やっぱり浮かない顔ね。\\n あまり思い詰めないといいんだけど……",
"402000121_30": "(セレナは聖遺物に対し、先天的な適性を持つ第一種適合者。\\n 当然、ギアとの適合率は第二種であるマリアたちよりも高い",
"402000121_31": "(戦いにおける経験の差があるとはいえ、\\n 同じ条件ならばむしろ優位でもおかしくない",
"402000121_32": "(しかし、セレナはマリアと自身を比べすぎて、己を過小評価して\\n しまっている。これでは力を十全に発揮するのも難しい",
"402000121_33": "(マリアとの動きの効率の差……、\\n それは戦いの経験の差であり、心の余裕の差でもある",
"402000121_34": "(特に後者が、今のセレナに負担をかけているように思える)",
"402000121_35": "(自分を信じること……それさえできたなら、きっと……。\\n しかし、言葉でそれは伝わらない……",
"402000121_36": "「……そろそろ、訓練を再開しましょう」"
}

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@ -1 +1,37 @@
{}
{
"402000122_0": "「失礼する」",
"402000122_1": "「お久しぶりね」",
"402000122_2": "「ようやく実現できたね。君たちとの会合を。\\n 歓迎するよ」",
"402000122_3": "「ところで、このホテルだが盗聴の危険性は――」",
"402000122_4": "「不要だよ、その心配は。\\n しておいたからね、人払いを」",
"402000122_5": "「ここは守られている。我々の魔術的な結界で。\\n だから不可能なのさ。盗聴も、盗撮も」",
"402000122_6": "「……それを聞いて安心した。\\n では、会談といこうか」",
"402000122_7": "「もう、堅苦しいわね。\\n ただのお茶会みたいなものじゃない」",
"402000122_8": "「同意するよ。その意見に。\\n 嫌いだからね。堅苦しいのは」",
"402000122_9": "「……自分で言うのもなんだが、二課のトップと\\n 錬金術師協会のトップが会うのに、お茶会もないだろう……」",
"402000122_10": "(それに、協力関係にあるとはいえ、相手は錬金術師。\\n この場所も相手の懐の中……警戒は必要だ",
"402000122_11": "「さて、早速だけど入ろうか。本題に。\\n あるんだよ、質問が。君たちにね……」",
"402000122_12": "「あら、なにかしら?」",
"402000122_13": "「巨大な蛇についてさ。空に現れた」",
"402000122_14": "「……」",
"402000122_15": "(……やっぱり。\\n まあ、あんなに目立つ物、見逃すはずないわよね",
"402000122_16": "「知ってるはずだよ、君たちは」",
"402000122_17": "「どうして私たちが知っていると?」",
"402000122_18": "「いなかっただろう。君たちの装者は、あの場にね。\\n どこに行っていたのかな、あれほどの緊急事態に」",
"402000122_19": "「…………」",
"402000122_20": "「簡単だよ、その答えは。\\n 行っていたんだろう 原因である並行世界へ」",
"402000122_21": "(そこまで予想済み、ね。\\n まあ、こちらの手札は知られているものね",
"402000122_22": "(なら、せめてこちらの情報を少しでも\\n 高く買ってもらいましょうか♪",
"402000122_23": "「……ああ、その通りだ。\\n あれは――」",
"402000122_24": "「弦十郎くん、ストップ。こちらの機密情報を\\n タダで聞こうだなんて、虫がよすぎると思わない」",
"402000122_25": "「足りなかったかな。先日のガングニールでは」",
"402000122_26": "「あれは私個人へのプレゼントでしょ?\\n 二課としてはなんにも貰ってないしね」",
"402000122_27": "「いや、アレは――ッ!?」",
"402000122_28": "「<size=25>もう、余計なこと言おうとしないのッ!</size>」",
"402000122_29": "「な、なんでもない……」",
"402000122_30": "「フッ、そうだったね。確かに。\\n プレゼントとして贈ったんだ。君個人へのね」",
"402000122_31": "「いいとも、約束しよう。更なる対価、更なる協力を」",
"402000122_32": "(……まだ返せていないわけだしね。彼女たちへの借りも)",
"402000122_33": "「ありがと。\\n それじゃ話していいわよ」",
"402000122_34": "「……あ、ああ。では俺から。\\n 先日発生した、あの『世界蛇』にまつわる事件だが――」"
}

View file

@ -1,3 +1,117 @@
{
"402000211_0": "世界蛇とギャラルホルン"
"402000211_0": "世界蛇とギャラルホルン",
"402000211_1": "「いやー、さっきのパフェおいしかったねーッ!」",
"402000211_2": "「うん、あの値段だけのことはあったよね。\\n フルーツが甘くて、クリームはフワフワで……」",
"402000211_3": "「わたし、あれならもう2、3杯は食べられたかも」",
"402000211_4": "「そんなに食べたら流石に晩御飯が食べられなくなっちゃうよ。\\n でも、その気持ちはわかるなぁ……」",
"402000211_5": "「だよねッ、だよねッ!\\n 次は季節限定のやつも食べてみたい――」",
"402000211_6": "「どうも、おふたりさん」",
"402000211_7": "「あ、こんにちは。\\n ん…… って、ええええッ」",
"402000211_8": "「ミ、ミーナさんッ!?」",
"402000211_9": "「久しぶり……というほどでもないかな。\\n 元気そうだね」",
"402000211_10": "「立ち話もなんだし、どこかに入らない?」",
"402000211_11": "「あ、それならわたしたちの部屋に来ませんか?\\n 部屋なら周りの耳目も気にしなくて済みますし……」",
"402000211_12": "「学生寮なんですけど、許可をもらえば入れると思います」",
"402000211_13": "「そう? いきなり迷惑じゃないかしら」",
"402000211_14": "「そんなことないですッ!」",
"402000211_15": "「ミーナさんにはいろいろと助けてもらいましたから」",
"402000211_16": "「わかった。それじゃ行きましょう」",
"402000211_17": "「お邪魔します。ここが君たちの部屋か。\\n 結構片付いてるね」",
"402000211_18": "「はいッ!\\n ……といっても、片付けてるのは大体未来ですけど」",
"402000211_19": "「そんなことないよ。\\n 響だって手伝ってくれてるじゃない」",
"402000211_20": "「アハハ……でも、散らかすのもわたしだし……」",
"402000211_21": "「フフ、君たちは本当に仲がいいんだね」",
"402000211_22": "「それだけは自信がありますッ!」",
"402000211_23": "「長い付き合いなので」",
"402000211_24": "「あ、ちょっと待っててくださいね。\\n お茶の準備をしますから」",
"402000211_25": "「はい、どうぞ」",
"402000211_26": "「ありがと」",
"402000211_27": "「ところで、ミーナさんはどうしてこちらに?\\n 観光……ってわけじゃないですよね」",
"402000211_28": "「ええ、それなんだけど。スクルドの方で方針が固まったから、\\n 装者のみんなにも協力してもらいたいと思って」",
"402000211_29": "「はい、もちろんOKですッ!」",
"402000211_30": "「ちょっと待って。\\n そんな大事なこと、わたしたちで決めちゃダメでしょッ」",
"402000211_31": "「ちゃんと弦十郎さんに話を通さないと」",
"402000211_32": "「そ、そうだよね」",
"402000211_33": "「君たちの所属って確か――」",
"402000211_34": "「ええと、S.O.N.G.っていう組織です」",
"402000211_35": "「紹介してもらえないかな。\\n 正式に協力をお願いしたいから」",
"402000211_36": "「わかりました」",
"402000211_37": "(あれ? ミーナさん、全然お茶を飲んでない……。\\n もしかして、口に合わなかったのかな",
"402000211_38": "「君がミーナくんか。話は聞いている。\\n よろしく頼む」",
"402000211_39": "「あなたがS.O.N.G.の司令さんね。\\n よろしく」",
"402000211_40": "「早速だけど、わたしたちスクルドの作戦に装者の協力を\\n お願いしたいの」",
"402000211_41": "「もちろんだ。事は一世界にとどまる問題ではない。\\n できうる限りの協力を約束しよう」",
"402000211_42": "「ありがと。S.O.N.G.の協力、感謝するわ」",
"402000211_43": "「ああ。それで協力するにあたって――」",
"402000211_44": "「ごめんなさい……。\\n ちょっと待ってくれるかしら」",
"402000211_45": "「ユリウス、どうかした?」",
"402000211_46": "「ミーナ、今どこにいる?」",
"402000211_47": "「装者たちが所属している組織に来てるわ。\\n ちょうど今、協力をお願いして了解してもらったところ」",
"402000211_48": "「……そうか。ならそっちの話が終わったら、\\n 戻ってくれ。懸案事項が溜まっている」",
"402000211_49": "「わかったわ」",
"402000211_50": "「君の仲間か?」",
"402000211_51": "「ええ、後で紹介するわ」",
"402000211_52": "「そうか。それで、先ほどの話の続きだが――」",
"402000211_53": "「こちらで保持している世界蛇の情報は限られている。\\n できれば詳細な情報を開示してもらいたい」",
"402000211_54": "「もちろんよ。\\n 少し待ってくれるかしら」",
"402000211_55": "「データの送り先は?」",
"402000211_56": "「こちらにお願いします」",
"402000211_57": "「わかったわ。……はい、完了っと」",
"402000211_58": "「確認しますね」",
"402000211_59": "「ああ、頼む」",
"402000211_60": "「俺たちも」",
"402000211_61": "「ええ」",
"402000211_62": "「これが世界蛇……」",
"402000211_63": "「デカすぎるだろッ! 現れただけで都市が崩壊するぞ」",
"402000211_64": "「でも、以前出現した影の大きさを重ねると、間違いなさそう」",
"402000211_65": "「全て事実よ。世界蛇の本体は世界を食らい尽くす\\n つの頭を持つ巨大な竜』」",
"402000211_66": "「先日は、身体の一部しか現出していなかったけど、\\n 全体が降臨すれば、その世界は瞬く間に食らい尽くされるわ」",
"402000211_67": "「あの時、ちょっとだけ顔みたいなものが見えたけど、\\n 近づくことすらできなかった……」",
"402000211_68": "「それが、9つもある……」",
"402000211_69": "「とんでもないな……」",
"402000211_70": "「ああ。エクスドライブの力でも通じず、\\n 彼女たちの力で押し返すのがやっとだったというのに……」",
"402000211_71": "「それに……ギャラルホルンがまさか、\\n 世界蛇本体の外殻から作られた物だっただなんて……」",
"402000211_72": "「元来並行世界とは、混じることのない可能性の世界。\\n それを繋ぐことなんて、普通は不可能」",
"402000211_73": "「けれど、世界蛇は例外的に、\\n その『可能性を殺す』ために作られた物なの」",
"402000211_74": "「だから、世界蛇の外殻を利用したギャラルホルンは、\\n 可能性の世界を繋ぐことができるってわけ」",
"402000211_75": "「可能性の観測と干渉……。\\n しかし、どうしてそんな物が……」",
"402000211_76": "「確か前に、ミーナさんは、ギャラルホルンには、\\n 世界蛇を倒してほしいという願いが込められているって……」",
"402000211_77": "「ええ、そうよ。\\n ギャラルホルンが作られた目的は、世界蛇を倒すため」",
"402000211_78": "「並行世界を移動し、世界を食らう世界蛇に対抗するため、\\n わたしたちスクルドの先祖たちが作った物」",
"402000211_79": "「ミーナさんの先祖が?」",
"402000211_80": "「ええ、だけど……、世界蛇の強大な力の前に、\\n 倒すことは叶わず、多くの者の命が奪われた」",
"402000211_81": "「そこで、スクルドの先祖たちは、\\n ギャラルホルンを他の並行世界へ送ったのよ」",
"402000211_82": "「世界蛇の存在を知らせるため、そして、何処かの世界に、\\n 世界蛇を倒してくれる者がいると願って」",
"402000211_83": "「そうだったんですね……」",
"402000211_84": "「なるほど、全てが、あの世界蛇に通じていたというわけか……」",
"402000211_85": "「わたしたちスクルドの悲願は、当然、あの世界蛇を倒すこと。\\n 世界蛇を倒し、自らの手で『未来』を切り拓くことなの」",
"402000211_86": "「それで、『スクルド』なんですね」",
"402000211_87": "「そういうこと。\\n だから、あなたたちにもその戦いに協力してほしいの」",
"402000211_88": "「もちろんですッ! 一緒に世界蛇を倒しましょうッ!」",
"402000211_89": "「響ったら、また先走っちゃって」",
"402000211_90": "「あッ! ご、ごめんなさい、師匠……」",
"402000211_91": "「なに、謝る必要なんてない。\\n 俺の――、いや、S.O.N.G.としての答えも同じだ」",
"402000211_92": "「……このデータを見て、より協力の必要性も高まった」",
"402000211_93": "「並行世界の全てを巻き込む特異災害……」",
"402000211_94": "「特異災害なら、S.O.N.G.にお任せデスよッ!」",
"402000211_95": "「うん、わたしたちシンフォギア装者の役目」",
"402000211_96": "「ありがとう」",
"402000211_97": "「あなたたちがギャラルホルンを受け取ったのは、\\n もしかしたら運命的なものかもしれないわね」",
"402000211_98": "「運命……」",
"402000211_99": "「続けてで悪いが、\\n ウロボロスという組織についても教えてほしい」",
"402000211_100": "「世界蛇の降臨を企む組織なのだろう?」",
"402000211_101": "「ええ。ウロボロスも、スクルドと同じように\\n 並行世界を移動する手段を持った組織よ」",
"402000211_102": "「ただ、その目的は、並行世界に世界蛇を降臨させて、\\n 食わせ、世界蛇を成長させること」",
"402000211_103": "「1つ疑問なんですが、\\n 世界蛇は、操れるものなんですか」",
"402000211_104": "「普通は不可能よ。\\n あんな怪物、人間に操ることなんでできるわけがない」",
"402000211_105": "「でも、アイツだけは例外――」",
"402000211_106": "「ウロボロスを束ね、\\n 世界蛇の巫女として存在するベアトリーチェならね」",
"402000211_107": "(ベルちゃん……)",
"402000211_108": "「あたしも見たけど、おっかねえガキだったな」",
"402000211_109": "「見た目は少女の姿をしているけど、\\n その正体は、内にフィーネを宿した悪魔よ」",
"402000211_110": "「装者たちから報告を受けた際は、\\n 何かの間違いかとも思ったが、本当なんだな……」",
"402000211_111": "「ええ、全て事実よ」",
"402000211_112": "(再び、俺たちの前に立ちはだかるか……)",
"402000211_113": "「先ほど送ったデータに、ウロボロスの情報も載せているわ。\\n 詳しくは、それを見てちょうだい」",
"402000211_114": "「はい、ありがとうございます」"
}

View file

@ -1 +1,71 @@
{}
{
"402000221_0": "「今、スクルドでは新たなミョルニルの捜索を行っているの」",
"402000221_1": "「ミョルニル……あの時の聖遺物かッ!!」",
"402000221_2": "「ええ、そう。\\n 世界蛇と戦うには、まずあれが無いと始まらないわ」",
"402000221_3": "「そんなに重要なのか?\\n 確かにあの時の威力はすごかったけど……」",
"402000221_4": "「それでも、世界蛇を押し返すしかできなかった……」",
"402000221_5": "「それでも、よ。\\n そもそも、ミョルニルとは――」",
"402000221_6": "「その昔、世界蛇の開発者たちが、その暴走を恐れ、\\n 保険のために弱点として設定した唯一の聖遺物」",
"402000221_7": "「言わば『世界蛇を殺す』ための聖遺物よ」",
"402000221_8": "「なるほど……、それで世界蛇に対して有効なんですね」",
"402000221_9": "「そう、だから、ミョルニルは絶対に必要なの」",
"402000221_10": "「世界蛇の本体は強大になりすぎて、ミョルニル単体での討伐は\\n 難しいけど、それでも世界蛇の眷属には絶大な効果があるわ」",
"402000221_11": "「ガンドやカオスビースト辺りにもね」",
"402000221_12": "「ガンド……って、カルマノイズのことですよね。\\n カオスビーストって……」",
"402000221_13": "「それはあなたも会った、ギャラルホルンの空間内に巣くう\\n あの怪物のことよ」",
"402000221_14": "「あの空間を利用する者を無差別に襲ったり、\\n 時折、その空間から、外へと出現することもあるの」",
"402000221_15": "「ギャラルホルンのあの強いアラートは、\\n それが原因ということでしょうか」",
"402000221_16": "「装者たちの報告と照らし合わせてみても、\\n 間違いないだろうな」",
"402000221_17": "「わたしたちスクルドでは、それをカオスビーストと呼んでいるの」",
"402000221_18": "「とにかく、それらと戦うためにもミョルニルは必要よ。\\n だから、新たなミョルニルを探すのが急務なの」",
"402000221_19": "「新たなミョルニルを探す……?\\n でも、どうやって」",
"402000221_20": "「ミョルニルは、ガングニールやイチイバルなどと同じく、\\n 神話にも登場する有名な武器――」",
"402000221_21": "「そして、これまで接触した並行世界には、ボクたちの世界\\n にある聖遺物と同じものが現存しているケースもありました」",
"402000221_22": "「それはつまり――」",
"402000221_23": "「並行世界のどこかに、別のミョルニルが現存する世界が\\n あるかもしれない、ということね」",
"402000221_24": "「はい、その可能性は高いと思います」",
"402000221_25": "「そういうこと。\\n 理解が早くて助かるわ」",
"402000221_26": "「だから、あなたたち装者にも手伝ってほしいの」",
"402000221_27": "「なるほど。理解した」",
"402000221_28": "「……念のため聞くけど、この世界でミョルニルという聖遺物が\\n 発見されたことはないかしら」",
"402000221_29": "「少なくともS.O.N.G.やその前身の特異災害対策機動部二課で\\n そういった聖遺物についての発見報告は無いな」",
"402000221_30": "「F.I.S.にもないと思うわ。\\n マムから聞いた覚えも無いし……」",
"402000221_31": "「後は大戦時のドイツ辺りが情報を持っていた可能性もあるが、\\n そちらは調べるのは難しいからな……」",
"402000221_32": "「いえ、ミョルニルはかなり強力な聖遺物だから、\\n 秘匿するにも限界があると思うわ」",
"402000221_33": "「どこかで発見、起動したことがあるなら、噂くらいは\\n 聞こえてきてもおかしくない。それも無いということは……」",
"402000221_34": "「発見されていない可能性が高い、ということか」",
"402000221_35": "「そう考えていいと思うわ」",
"402000221_36": "「なあ、並行世界を探すって、あたしらはどうすればいいんだ?\\n 知ってる世界を回ればいいのか」",
"402000221_37": "「欲しいのは聖遺物の情報よ。伝手のある世界じゃないと\\n 情報を得るのも難しいだろうし、そうしてくれればいいわ」",
"402000221_38": "「……直接聖遺物について聞ける相手がいる世界となると、\\n そう多くはないわね」",
"402000221_39": "「伝手のある世界……。\\n 奏さんのところとか、セレナのところとかデスかね」",
"402000221_40": "「後はドクターのいる世界とか……」",
"402000221_41": "「そっちはクリス先輩にお任せするデス」",
"402000221_42": "「あたしかよッ!?」",
"402000221_43": "「あとは、もう1人の響がいる世界……」",
"402000221_44": "「とにかく、二課かそれに相当する組織のある世界だろう」",
"402000221_45": "「こちらでもあちこちの世界に人を送っているけど、今のところ\\n めぼしい情報は無いの。だから、お願いするわ」",
"402000221_46": "「あの、少しいいでしょうか?」",
"402000221_47": "「何かしら?」",
"402000221_48": "「今、あちこちの世界に人を送っていると言っていましたが、\\n これは、装者以外も並行世界へ渡れるということですか」",
"402000221_49": "「ええ、もちろんそうよ。\\n わたしも装者ってわけじゃないもの」",
"402000221_50": "「なッ!?\\n 装者でなくとも、ギャラルホルンの空間を通れるというのか」",
"402000221_51": "「それはどんな方法なんですか?」",
"402000221_52": "「わたしたちはギャラルホルンじゃなくて、別の物を使って\\n 世界を渡っているの」",
"402000221_53": "「この『デュプリケイター』という装置でね」",
"402000221_54": "「デュプリケイター……?」",
"402000221_55": "「デュプリケイターはカオスビーストの体から採取した鉱石を\\n 核として、ゲート移動の機能を持たせた道具なの」",
"402000221_56": "「これを使えば、ギャラルホルンの空間……つまり並行の可能性を\\n 繋ぐ通路に、出入りすることが可能」",
"402000221_57": "「まあ、いくつか条件はあるんだけどね。\\n でも、装者でなくとも移動は可能よ」",
"402000221_58": "「そんなものが……。\\n あの、それを借りることはできないでしょうか」",
"402000221_59": "「……ごめんなさい。それはできないわ」",
"402000221_60": "「デュプリケイターは、先祖たちが時間を掛けて作り、\\n 数を増やしてきた大切な物」",
"402000221_61": "「そのために犠牲になった者の数も少なくない……」",
"402000221_62": "「それに、スクルドの中ですら不足している状況なの」",
"402000221_63": "「だから、協力相手とはいえ、\\n 他の組織に貸し出すことはできないわ」",
"402000221_64": "「そうですか……」",
"402000221_65": "「気分を悪くしたら、ごめんなさい」",
"402000221_66": "「無い物ねだりをしても仕方ない。\\n 俺たちは俺たちにできることをやるべきだろう」",
"402000221_67": "「はい」",
"402000221_68": "「ではより具体的に、探す世界の選定と、\\n 担当する装者について決めて行こう」"
}

View file

@ -1 +1,30 @@
{}
{
"402000222_0": "「悪いね。\\n こっちに来て早々、手伝ってもらっちゃってさ」",
"402000222_1": "「全然。奏にはいつも助けられてるから」",
"402000222_2": "「そうかな?\\n なら、お互い様ってことで」",
"402000222_3": "「フフ……そうだね」",
"402000222_4": "「それで、急にこっちに来たのは、そっちで何かあったのか?\\n あの蛇関連のこととか」",
"402000222_5": "「うん……詳しくは二課に戻ってから話すよ」",
"402000222_6": "「2人ともご苦労さん」",
"402000222_7": "「お疲れ様。さっすが、息ピッタリだったわね」",
"402000222_8": "「はい」",
"402000222_9": "「ハハ、まあね」",
"402000222_10": "「それで、急にこちらに来た用件を聞いてもいいか?」",
"402000222_11": "「はい、実は――」",
"402000222_12": "「――という形で、スクルドという組織と協力する事になり、\\n 今、各並行世界を回って、ミョルニルを探しているんです」",
"402000222_13": "「『ミョルニル』ね……」",
"402000222_14": "「古ノルド語で『粉砕するもの』を意味する、\\n 北欧神話に出てくる雷神トールの武器よね」",
"402000222_15": "「はい。こちらでその聖遺物が見つかった、\\n という記録はありませんか」",
"402000222_16": "「うーん……。少なくとも私の知る限りではないわね。\\n 弦十郎くんはどう」",
"402000222_17": "「……俺も今まで目にしたことも、聞いたこともないな。\\n 聖遺物関連については立場上、かなり耳が早い方ではあるが……」",
"402000222_18": "「だが、他国についてはわからない。可能な範囲で問い合わせてみよう」",
"402000222_19": "「ご協力感謝します」",
"402000222_20": "「なるほど。それでその『ミョルニル』という聖遺物を\\n 探しているのですね」",
"402000222_21": "「ええ。マムは聞いたことはないかしら?」",
"402000222_22": "「そうですね……。少なくとも起動済みの完全聖遺物の中に\\n ミョルニルというものはなかったと思います」",
"402000222_23": "「そう……」",
"402000222_24": "「起動していないものにあったりしないのかな?」",
"402000222_25": "「どうでしょう……未研究で不活性状態の聖遺物まではわかりません。\\n ひとまずリストと照合してみましょう」",
"402000222_26": "「後は、私から本国のF.I.S.研究所にも確認を取ってみます。\\n 可能性は低いですが、向こうに情報があるかもしれません」",
"402000222_27": "「ありがとう、マム」"
}

View file

@ -1 +1,47 @@
{}
{
"402000231_0": "「おっさん」",
"402000231_1": "「クリスくんか。どうした?」",
"402000231_2": "「ああ、こっちでちょっと動きがあって、\\n 世界蛇のことで相談に来たんだ」",
"402000231_3": "「世界蛇の……そうか。\\n わかった。了子くんを呼び出すから、ちょっと待ってくれ」",
"402000231_4": "「出ないな、気づいていないのか」",
"402000231_5": "「どこにいるんだ?」",
"402000231_6": "「研究室にいるはずなんだが、\\n 最近はこうして籠っていることが多くてな」",
"402000231_7": "「なんでも、世界蛇の一件の後から気になることがあるらしい」",
"402000231_8": "「手伝えるなら手伝いたいものだが、\\n 俺は研究方面ではほとんど力になれないからな」",
"402000231_9": "「呼びに行けないのか?」",
"402000231_10": "「行けなくもないが、鬼気迫るといった様子でな……。\\n なるべく邪魔はしたくないと思っている」",
"402000231_11": "「そっか。ならおっさんだけでも――」",
"402000231_12": "「気づいたようだ。ちょっと待っていてくれ」",
"402000231_13": "「一体なんの用?\\n どうでもいい用件なら、即切るわよ」",
"402000231_14": "「ああ。それなんだが、クリスくんが来ている。\\n なんでも世界蛇に関係することで相談があるらしい」",
"402000231_15": "「……そういうことは早く言いなさい。\\n すぐそちらに行くわ」",
"402000231_16": "「来てくれるようだ。\\n ところでウェル博士はどうする」",
"402000231_17": "「必要なら彼にも連絡をしてみるが――」",
"402000231_18": "「今はいい。\\n もし必要なら後で知らせておいてくれ」",
"402000231_19": "「わかった」",
"402000231_20": "「待たせたかしら?」",
"402000231_21": "「いや、忙しそうなところ悪いな」",
"402000231_22": "「構わないわ。\\n 世界蛇のことで来たんでしょ。話して頂戴」",
"402000231_23": "「ああ、それじゃ、早速だけど、\\n この前、こっちにスクルドっていう組織のやつが来て――」",
"402000231_24": "「――ってことで、そのミョルニルってのを探すのを\\n 手伝うことになったんだ。知らないか」",
"402000231_25": "「ミョルニルか……いや、聞いたことはないな」",
"402000231_26": "「……ミョルニル。それは『世界蛇を殺す』聖遺物なのね?」",
"402000231_27": "「そうらしい。とは言え、今の世界蛇は強大になりすぎて、\\n それでも、容易にはいかなそうだけどな」",
"402000231_28": "「…………」",
"402000231_29": "(目的と効果の乖離……。世界蛇側の変化、もしくは聖遺物側の\\n ポテンシャルが引き出されていないのか……",
"402000231_30": "(しかし対抗として作られた物なら、それ相応の効果や特性も\\n 付与されているはず。必要としているのはそれが理由……",
"402000231_31": "「なあ、どうかしたか?」",
"402000231_32": "「どうって?」",
"402000231_33": "「考え込むってことは、もしかして知ってるのか?」",
"402000231_34": "「知らないわ。ミョルニルという聖遺物は、\\n この世界の私の記憶には無いから」",
"402000231_35": "「そうか……」",
"402000231_36": "(世界を食らう蛇とそれに対抗するための聖遺物。\\n それは一体なんのための物なのか……",
"402000231_37": "(私の記憶に無いものだらけ……、\\n ……心から不快ね",
"402000231_38": "(敵にいるフィーネ。それは私とは違う。\\n いえ、並行の世界にいる私、その誰とも恐らく違う……",
"402000231_39": "「こういうのも、自分に腹が立つって言うのかしらね……」",
"402000231_40": "「……どうかしたのか?」",
"402000231_41": "「なんでもないわ。それより、あなたはすぐ帰るの?」",
"402000231_42": "「ああ。とりあえず収穫はなかったって報告もあるし、\\n そのつもりだけど」",
"402000231_43": "「ちょっと待ってなさい。渡す物があるわ」",
"402000231_44": "「渡す物……?」"
}

View file

@ -1,3 +1,28 @@
{
"402000311_0": "ミョルニルの捜索"
"402000311_0": "ミョルニルの捜索",
"402000311_1": "「マムに本国の方も調べてもらったんだけど、\\n 引っかかるものは無かったみたい」",
"402000311_2": "「こちらもだ。二課以外の組織にも当たってもらったが、\\n それらしき情報は返ってこなかった」",
"402000311_3": "「……あたしの方も似たようなもんだ」",
"402000311_4": "「難航しているな……」",
"402000311_5": "「スクルドでも多くの並行世界を調べているけど、\\n 手がかりは皆無。そう簡単には見つからないと思うわ」",
"402000311_6": "「捜索範囲を広げて、二課相当の組織が無い世界も\\n 調査するべきかもしれません」",
"402000311_7": "「もしくは、既に調べた世界も含め、時間を取って\\n なるべく詳細に情報をさらうか……」",
"402000311_8": "「しかしそうなると、人手が足りないのが悩みどころだな」",
"402000311_9": "「そちらについてですが、向こうの二課より、捜索の協力の\\n 申し出がありました。追って、奏を派遣してくれるそうです」",
"402000311_10": "「わたしの方も、捜索の協力のためにセレナを派遣しましょうと\\n マムから提案があったわ」",
"402000311_11": "「それはありがたい申し出だな」",
"402000311_12": "「あの、少しだけいいでしょうか……?」",
"402000311_13": "「……ええ。何かしら?」",
"402000311_14": "「ミョルニルが必要というのは理解していますが、\\n それ以外に世界蛇に対抗する方法は無いのでしょうか」",
"402000311_15": "「…………」",
"402000311_16": "「世界蛇に勝つために、例え少ない可能性でも、方法があるなら\\n 挑戦するべきだと思うんです」",
"402000311_17": "「……残念だけど、ミョルニル以上に有効な手立ては無いわ。\\n わたしたちも、もちろん理解はしているんだけど」",
"402000311_18": "「世界蛇には、並の聖遺物では歯が立たない。\\n 唯一対抗できるものが、ミョルニルなの」",
"402000311_19": "「そうですか……。それでは、見つかるかはわかりませんが、\\n ボクの方でも探してみます」",
"402000311_20": "「え、探す……?」",
"402000311_21": "「はい、世界蛇に対抗する方法を、ですッ!」",
"402000311_22": "「難しいことはわかっています。それでも、\\n できることがあるなら、全部やっておきたいんです」",
"402000311_23": "「だから、もしスクルドの方で何かわかったら、\\n 教えてください。一緒に、世界蛇を倒すためにッ」",
"402000311_24": "「……ええ、わかったわ」",
"402000311_25": "(一緒に……か。ごめんなさいね……)"
}

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@ -1 +1,31 @@
{}
{
"402000312_0": "「どうですか?」",
"402000312_1": "「そうだね……。\\n 特に問題があるようには思えないけど――」",
"402000312_2": "「でも、わたしじゃ全然歯が立ちませんでした……」",
"402000312_3": "「そりゃあたしにも意地があるしね」",
"402000312_4": "「それより、いきなり稽古をつけてくれなんて、どうしたんだい?」",
"402000312_5": "「こっちも身体を動かしたかったし、即OKしておいてなんだけど\\n よくよく考えたら、どうしてあたしなんだろうって思ってさ」",
"402000312_6": "「前に、訓練で姉さんたち3人を相手にして、互角に戦っていた\\n 姿を見たんです。だから、そんなふうに強くなりたいって……」",
"402000312_7": "「参ったね。でも、あっちは本気じゃなかっただろ。\\n デュオレリックの力もあったし、たまたまだよ」",
"402000312_8": "「それでも、わたしじゃ姉さんたち3人と渡り合うなんて\\n できません……」",
"402000312_9": "「だから、もっと強くなって戦えるようになりたいんです」",
"402000312_10": "(……なんか、こっちの翼と再会した直後の、\\n 自分を思い出すね……",
"402000312_11": "「……焦りはよくないよ。\\n むやみやたらに力を求めたって、上手くいかないもんだ」",
"402000312_12": "「……マムにも、姉さんにもそう言われます」",
"402000312_13": "「でも、姉さんは同じアガートラームなのに、\\n あんなに強くて……」",
"402000312_14": "「……1つ話をしようか。昔、バカな装者がいてさ、\\n 力が欲しくて、他人のギアを使おうとしたんだ」",
"402000312_15": "「え……?」",
"402000312_16": "「同じ聖遺物からできているギアだから、自分にも使える。\\n 同じ条件なら、自分も同じ力が出せるはずってね」",
"402000312_17": "「…………」",
"402000312_18": "(同じ聖遺物……。\\n わたしと姉さんのアガートラームじゃないとするなら――",
"402000312_19": "(立花さんと天羽さんのガングニール……?)",
"402000312_20": "(それじゃ、これは天羽さん自身の――)",
"402000312_21": "「……けれど、失敗した。\\n その装者は何より、本来の持ち主と比べて心が弱かった」",
"402000312_22": "「弱い心では力の制御が追いつかなくて、破壊衝動に負けて暴走。\\n そこまで失敗して、やっと自分の弱さに気づけたのさ……」",
"402000312_23": "「本当に足りなかったのは、ギアじゃない。\\n 自分の弱さを直視する勇気だったんだ」",
"402000312_24": "「そのバカに比べたら、あんたは強いよ。\\n 弱さを自覚して、強くなろうとしている」",
"402000312_25": "「それに、あんたは、あたしと違って時限式じゃない。\\n 才能も資質も、きっとあたし以上にいいものを持っている」",
"402000312_26": "「だから大丈夫。焦って道を踏み外しちゃダメだ。\\n 身体以上に心を強くしていくことが大事なんだよ」",
"402000312_27": "「心を、強くする……。\\n わかりました。ありがとうございますッ」",
"402000312_28": "「頑張れ。\\n あたしならいつでも訓練に付き合うからさ」"
}

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@ -1 +1,24 @@
{}
{
"402000321_0": "「シャロンちゃん元気かな。\\n 早く会いたいなー」",
"402000321_1": "「そうだな。いい子にしているといいが」",
"402000321_2": "「大丈夫だろ。\\n 頼りになる人もついてるしな」",
"402000321_3": "「二課に急ぎましょうッ!\\n 早く早くッ」",
"402000321_4": "「そんなに慌てなくてもあいつは逃げないだろ。\\n 落ち着けって」",
"402000321_5": "「ええー、でもクリスちゃんだって、\\n 早く会いたいんじゃないの」",
"402000321_6": "「そ、それはまあ……。\\n でも、そんなに焦るようなことじゃ――」",
"402000321_7": "「……いや、焦るべき状況のようだ」",
"402000321_8": "「先輩まで何を言って――」",
"402000321_9": "「あれを見ろッ!」",
"402000321_10": "「アレって確か、オートマシンでしたっけッ!?」",
"402000321_11": "「Imyuteus amenohabakiri tron――」",
"402000321_12": "「数が多い、油断するなッ!\\n 固まって迎撃を――」",
"402000321_13": "「……なんか、わたしたちスルーされてる?」",
"402000321_14": "「アイツら、どこに向かってるんだ?」",
"402000321_15": "「わからない……。\\n ひとまず追いかけてみよう」",
"402000321_16": "「あ、あれッ! ノイズがッ!」",
"402000321_17": "「オートマシンがノイズと戦闘しているッ!?」",
"402000321_18": "「なんだこれ、どうなってんだ……?」",
"402000321_19": "「どうしますか……?」",
"402000321_20": "「オートマシンのことは、一旦保留にしよう。\\n 今は先にイズの対処を行うッ」",
"402000321_21": "「ああ、了解だッ!」"
}

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@ -1 +1,50 @@
{}
{
"402000322_0": "「はあああああ――ッ!」",
"402000322_1": "「これでノイズは全て倒した。\\n オートマシンは――」",
"402000322_2": "「止まったな……。これ、どういうことだ?」",
"402000322_3": "「危険は無い、と判断していいものか……」",
"402000322_4": "「装者のみなさんですね。\\n 風鳴司令より、ご案内するように言付かっております」",
"402000322_5": "「二課の方ですか?\\n あのオートマシンについて伺ってもよろしいでしょうか」",
"402000322_6": "「あれはもう敵ではなく、二課の指揮下にあります」",
"402000322_7": "「え? でもオートマシンはシャロンちゃんたちじゃないと――。\\n まさか、聖遺物を使わせてるんじゃ――ッ」",
"402000322_8": "「詳しくは司令にお尋ねになってください。\\n お送りしますので、車へどうぞ」",
"402000322_9": "「……どうやら、是が非でも\\n 話を聞かせてもらう必要があるみたいだな」",
"402000322_10": "「風鳴司令、装者の皆様方をお連れしました」",
"402000322_11": "「ご苦労だった。通常業務に戻ってくれ」",
"402000322_12": "「了解しました。失礼します」",
"402000322_13": "「やはり君たちだったか。\\n 検知された反応からそうだとは思っていたが」",
"402000322_14": "「……お久しぶりです」",
"402000322_15": "「ああ、\\n ……何か言いたそうな顔だな」",
"402000322_16": "「聞かせてくださいッ!\\n あのオートマシンは――」",
"402000322_17": "「うわわッ!?」",
"402000322_18": "「お姉ちゃんッ!!」",
"402000322_19": "「シャロンちゃんッ! よかったーッ!\\n 元気にしてた」",
"402000322_20": "「うんッ!\\n またお姉ちゃんたちが来てくれて嬉しいッ」",
"402000322_21": "「……どうみても、元気だな」",
"402000322_22": "「ああ、もしやオートマシンとは無関係なのか……?」",
"402000322_23": "「なるほど。先ほどの厳しい表情はオートマシンの制御を\\n この子たちにさせていると思った、といったところか」",
"402000322_24": "「はい……」",
"402000322_25": "「結論から言うが、それは勘違いだ。\\n 融合症例が進む危険があるのに、そんなことはさせられん」",
"402000322_26": "「じゃあ、あれはどうやって動かしてるんだ?」",
"402000322_27": "「オズワルドの残した研究データの1つの成果だ。\\n 制御にヤントラ・サルヴァスパを使わずに、運用している」",
"402000322_28": "「そんなことができるんですか?」",
"402000322_29": "「オートマシンは元々ヴィマーナに付属したガーディアンだ。\\n ヤントラ・サルヴァスパが無ければ使えないという物ではない」",
"402000322_30": "「オズワルドの研究データによると、オートマシン同士は\\n 電気信号に似たネットワークによって制御されており――」",
"402000322_31": "「研究を進める中で、それに干渉する方法も見つけていたようだ」",
"402000322_32": "「それならどうしてシャロンちゃんたちを……」",
"402000322_33": "「干渉が可能とはいえ、完全な制御まではできなかったようだ」",
"402000322_34": "「今の我々の状況が正にそうだが、ごく単純な命令の付与が\\n 精一杯で、遠隔での制御や複数の命令付与はできない」",
"402000322_35": "「1つの命令が終了すればその場で機能を停止し、休眠状態と\\n なってしまう。これでは計画に使えないと判断したんだろう」",
"402000322_36": "「そのため、あの一件でオズワルドはシャロンとその姉妹に\\n 制御させていたようだ」",
"402000322_37": "「それにしたって、オートマシンはヴィマーナと\\n 一緒に沈んだんじゃないのか」",
"402000322_38": "「ああ、大半はそうだ。しかしヴィマーナの外で活動させていた\\n 機体も多くあったようで、それらを回収して利用している」",
"402000322_39": "「ちょうどつい先日から特異災害対策の1つとして、\\n 実戦投入されたところだ」",
"402000322_40": "「人を襲っていたオートマシンが、\\n 今度はイズから人を護ってるんですねッ」",
"402000322_41": "「その通りだ。しかしオートマシンにはシンフォギアのように\\n 位相差障壁を調律する機能などは付いていない」",
"402000322_42": "「先ほどは君たちの協力もあって助かったが、それこそ普段は\\n 物量戦による対処が精一杯だ」",
"402000322_43": "「損耗率も激しい上に、元が先史文明期の機械では修理も難しい。\\n だから騙し騙し使っているような状況だ」",
"402000322_44": "「……わたしたちが使えば、もっとちゃんと動かせるのに」",
"402000322_45": "「それは却下だ。如何なる理由があろうと、\\n 大人が子供を犠牲にするなど、絶対に許されないことだ」",
"402000322_46": "「心配性だなぁ……」",
"402000322_47": "「それが大人というものだ」"
}

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@ -1 +1,116 @@
{}
{
"402000331_0": "「ところで君たちはどうしてこちらに?」",
"402000331_1": "「はい、それが少々厄介な事態が起きていまして……」",
"402000331_2": "「厄介な事態……?」",
"402000331_3": "「これから話すことは、荒唐無稽に思えるかもしれませんが、\\n 全て事実です」",
"402000331_4": "「また、内容が内容だけに、日本政府や米国政府との共有も\\n 難しいかと思われます」",
"402000331_5": "「……情報の共有は、最小限の人数までとすることを、\\n 約束していただけますでしょうか」",
"402000331_6": "「……どうやらよほどのことらしいな」",
"402000331_7": "「ああ。聞いたらある意味、戻れない類の話だ」",
"402000331_8": "「……わかった。\\n 私の責任において、最小限に留めると約束しよう」",
"402000331_9": "「どちらにしても君たちのことを知る者は多くない。\\n 並行世界などというものは、表向きにできる話ではないからな」",
"402000331_10": "「ありがとうございます。それではお話しします。\\n 並行世界全てを巻き込む、脅威について――」",
"402000331_11": "「――以上です。\\n それで今、わたしたちは世界蛇に対抗するために動いています」",
"402000331_12": "「……なんとも、確かにとんでもない話だ」",
"402000331_13": "「響お姉ちゃん……」",
"402000331_14": "「大丈夫。みんなは、わたしたちが護るから」",
"402000331_15": "「その世界蛇と呼ばれる脅威は、\\n いつかこの世界にも来る可能性がある、ということだな」",
"402000331_16": "「はい。\\n ですが、あの蛇は順に並行世界を食らっています」",
"402000331_17": "「順番がくればあたしらの世界もこっちの世界もガブリ、だ」",
"402000331_18": "「カルマノイズがその尖兵ではないかという推測もあります。\\n 実際、アレは世界蛇から産み落とされたモなので……」",
"402000331_19": "「……そうか。だとすると、可能性の上では\\n 明日それが現れても不思議はない、ということか」",
"402000331_20": "「日本政府……いや、仮に世界中の国が協力しても、\\n 対処できるようなものではなさそうだ」",
"402000331_21": "「……勝算はあるのか?」",
"402000331_22": "「わかりません……でも、必ず勝ちますッ!\\n 勝ってみせますッ」",
"402000331_23": "「実際にアレを目の当りにしたら、ちょっとばかし不安だけど、\\n それでも、やるしかないならやるだけだッ」",
"402000331_24": "「わたしも同じです。\\n 護るために、戦う以外の道が無いのならそれを貫くまでです」",
"402000331_25": "「…………」",
"402000331_26": "「世界蛇への対抗手段として、今わたしたちはとある聖遺物を\\n 探しています。今回こちらに来たのもそれが目的です」",
"402000331_27": "「とある聖遺物?」",
"402000331_28": "「はい。先ほどの話にも出てきた、世界蛇を退けた雷撃を\\n 生み出した聖遺物『ミョルニル』です」",
"402000331_29": "「――ッ!?」",
"402000331_30": "「シャロンちゃん……?」",
"402000331_31": "「神の雷を生み出す槌、か……。\\n まさかその名を君たちの口から聞くことになるとは……」",
"402000331_32": "「何か知っているのですかッ!?」",
"402000331_33": "「ただ神話を知ってるとかじゃないよなッ!?」",
"402000331_34": "「……ああ、知っている。\\n この目で見たことがあるからな……」",
"402000331_35": "「詳しい話を聞かせてもらえますか?」",
"402000331_36": "「……わかった。事態が事態だ。\\n そういうことならば、話しておくべきだろう」",
"402000331_37": "「『ミョルニル』は、米国政府保有の聖遺物だ。\\n 過去、その起動実験が行われたことがある」",
"402000331_38": "「その実験には、当時F.I.S.の研究員だったオズワルド、\\n 日本政府からの協力員の私、そして――」",
"402000331_39": "「オズワルドの妻で、この世界唯一の装者だったティナも\\n 立ち会っていた」",
"402000331_40": "「ティナさんって、確か……」",
"402000331_41": "「お母さん……」",
"402000331_42": "「そうだな。シャロンの母親でもある。\\n ちょうど君が生まれたばかりの頃だ……」",
"402000331_43": "「もうすぐ、もうすぐだッ! このミョルニルさえ起動すれば、\\n 特異災害など恐れるに足りんッ」",
"402000331_44": "「このデータは間違いないのか?\\n 起動時の予想出力がとんでもない数値になっているが……」",
"402000331_45": "「ああ。私も何度も計算しなおしたさ。しかし、間違いない。\\n この聖遺物にはとんでもない可能性があるってことだッ」",
"402000331_46": "「もう、この人ったら興奮しっぱなしで……」",
"402000331_47": "「ティナ、君も休まなくていいのか?\\n 先日出産を終えたばかりだろう」",
"402000331_48": "「ええ。でも、この人の夢がもうすぐ叶うかもしれないんです。\\n そのためなら、私が唄わないと」",
"402000331_49": "「……ああ、私の夢だ。\\n だがそれは、君の夢でもある」",
"402000331_50": "「え……?」",
"402000331_51": "「唯一の装者として、ただ1人ノイズと戦う……。\\n だが君は思っていたはずだ。普通の人として暮らしたいと……」",
"402000331_52": "「――ッ!?」",
"402000331_53": "「この実験が上手くいけば、理論上ではあるが、\\n 特異災害を瞬時に消滅させるだけの威力も期待できる」",
"402000331_54": "「そうすれば、もう君だけが戦う必要なんてない。\\n 娘と平和に暮らしていくことだって――」",
"402000331_55": "「あなた……」",
"402000331_56": "「オズワルド……お前、そのために今まで――」",
"402000331_57": "「ああ、そうだ。ティナを自由にしてやりたい、ずっと\\n そう思って研究に打ち込んできた」",
"402000331_58": "「誰か1人――いや、ティナが世界の犠牲になるなんて許せない。\\n だから私は、特異災害を装者に頼らず、打倒したいんだ」",
"402000331_59": "「そうして、我々は起動実験を開始した。\\n ミョルニルはティナの歌声で無事起動した。しかし――」",
"402000331_60": "「ミョルニルのエネルギー反応が増大していますッ!\\n このままでは――暴発しますッ」",
"402000331_61": "「制御装置はッ!?」",
"402000331_62": "「ダメですッ! まったく制御を受け付けませんッ!」",
"402000331_63": "「もう少し、もう少しだというのに――ッ!!」",
"402000331_64": "「オズワルドッ! これ以上は危険だッ!\\n 実験中止の判断をッ」",
"402000331_65": "「だが――」",
"402000331_66": "「オズワルドッ!!」",
"402000331_67": "「クッ――実験中止だッ!\\n ミョルニルの再封印を――」",
"402000331_68": "「ダ、ダメですッ!\\n ミョルニルが一切の制御を受け付けませんッ」",
"402000331_69": "「もう暴発は時間の問題ですッ!!\\n もし暴発すれば、付近一帯が焦土に――」",
"402000331_70": "「――仕方ない、全員待避だッ!\\n 急いで研究所から離れろッ」",
"402000331_71": "「…………」",
"402000331_72": "「ミョルニルは制御を受け付けなかった。\\n 無尽蔵にエネルギーを吸収し、暴発は時間の問題だった」",
"402000331_73": "「だが、退避しようとする私たちの背後で、歌が聴こえた――」",
"402000331_74": "「~~♪ ~~♪」",
"402000331_75": "「この歌はッ!?\\n まさか……ティナッ」",
"402000331_76": "「ティナ、何をしているッ!\\n 君も待避するんだッ」",
"402000331_77": "「ごめんなさい、あなた。\\n でも、このままじゃみんなが――」",
"402000331_78": "「わたしの絶唱なら、完全には無理でもミョルニルの暴発を\\n 少しは相殺できるかもしれない……だからッ」",
"402000331_79": "「何を言っているッ!?\\n どうして君ばかりがそうして――ッ」",
"402000331_80": "「八紘、オズワルドをお願い。\\n 私はなんとかしてみるから――」",
"402000331_81": "「……ティナ、死ぬなよッ!\\n ――オズワルドッ 今はここを離れるんだッ」",
"402000331_82": "「ありがとう。死ぬつもりなんてないわ。\\n だって可愛い娘と放っておけない旦那がいるんだもの」",
"402000331_83": "「<size=40>ティナ――――ッ!!</size>」",
"402000331_84": "「オズワルドッ! 行くぞッ!」",
"402000331_85": "「ティナの絶唱によって、ミョルニルの暴発は抑えられ、\\n 結果として我々は助かり――」",
"402000331_86": "「ティナ本人も絶唱のダメージを受けたが、\\n なんとか一命は取り留めた」",
"402000331_87": "「――しかし後日、そのダメージが抜けきらないまま、\\n ティナはイズとの戦いに出て、命を落とした……」",
"402000331_88": "「戦える者が、代わりの装者がいないが故に、\\n ティナは戦いに出るしかなかった……」",
"402000331_89": "「…………」",
"402000331_90": "「シャロンちゃん……」",
"402000331_91": "「……大丈夫。\\n もう知っている話だから……」",
"402000331_92": "「……その後、ミョルニルはどうなったんですか?」",
"402000331_93": "「他の研究者によって、制御についてはその後も試みられたが、\\n 成功はしなかったようだ」",
"402000331_94": "「そしてその後は、厳重に米国政府によって保管されていた。\\n ――今までは」",
"402000331_95": "「……今まではって、どういうことだ?」",
"402000331_96": "「それは――いや、情報の出し惜しみをしている場合ではないな」",
"402000331_97": "「つい先日、新たにミョルニルの制御実験を行う旨と、\\n その立会いについての打診があった」",
"402000331_98": "「過去にそんな事故があったというのに、なぜッ!?」",
"402000331_99": "「オズワルドが行ったヴィマーナの起動、\\n さらにはデモンストレーションによる力の誇示」",
"402000331_100": "「それが引き金となり、今や世界規模で、\\n 聖遺物に対しての関心が高まってしまったからだ」",
"402000331_101": "「まだ、表立っての動きは見られないが、\\n 複数の国で、不穏な動きが報告されている」",
"402000331_102": "「あんな恐ろしい力を見て、\\n それを、利用したいだなんて、どうして……」",
"402000331_103": "「……それが、人間ってやつなんだよ」",
"402000331_104": "「しかし、だからとて、制御できる保証は無いのでは?」",
"402000331_105": "「オートマシンを手に入れたことも大きな要因の1つだ」",
"402000331_106": "「もしもの場合でも、それを盾として人的被害は抑えられると\\n いった考えなのだろう」",
"402000331_107": "「わたしたちなら――いえ、きっと、ミーナさんならミョルニルを\\n 制御する方法を知ってるはずですッ だから――」",
"402000331_108": "「……私の一存ではどうにもできない。あれは米国政府の\\n 資産であり、日本政府のものでも、二課のものでもない」",
"402000331_109": "「それに、もし米国政府がミョルニルを正しく制御し、\\n この世界の安寧のために運用できるというのならば――」",
"402000331_110": "「この世界に生きる者として、例え君たちが相手でも\\n 渡すことには同意できない」",
"402000331_111": "「んなこと言って、世界蛇が来たらどうするんだよッ!」",
"402000331_112": "「脅威については理解している……。\\n ――だから、私からつ提案をさせてくれ」",
"402000331_113": "「提案……?」"
}

View file

@ -1,3 +1,45 @@
{
"402000411_0": "迷宮ミレニアムパズル"
"402000411_0": "迷宮ミレニアムパズル",
"402000411_1": "「紹介するわ。\\n スクルドで副官をしているユリウスよ」",
"402000411_2": "「よろしく」",
"402000411_3": "「ああ、こちらこそ」",
"402000411_4": "「それで、ユリウス。\\n 何か問題でも」",
"402000411_5": "「『ミレニアムパズル』に向かった班が消息不明になった」",
"402000411_6": "「本当なの……?」",
"402000411_7": "「来るはずだった定時連絡が届いていない。\\n 少なくとも、何かあったのは間違いない……」",
"402000411_8": "「……横からすまない、\\n その『ミレニアムパズル』というのは……」",
"402000411_9": "「……ミーナ、構わないな?」",
"402000411_10": "「……いいわ」",
"402000411_11": "「ミレニアムパズルはギャラルホルン空間内に存在する、\\n 特殊迷宮だ。精霊の住処とも言われている」",
"402000411_12": "「精霊って……そんなものいるんですか?」",
"402000411_13": "「存在する。ミレニアムパズルそのものが、\\n 精霊が作った物だと言われているのが証拠だ」",
"402000411_14": "「どうして精霊に会いに……?」",
"402000411_15": "「世界蛇に対抗できる可能性があるからだ。ミレニアムパズルを\\n 踏破すれば、精霊が力を貸してくれるという言い伝えがある」",
"402000411_16": "「精霊の名はドヴェルグ」",
"402000411_17": "「ミレニアムパズルを含め、一部の聖遺物は、\\n その昔、ドヴェルグが作ったと言われている」",
"402000411_18": "「聖遺物を作ったって……」",
"402000411_19": "「聖遺物は、過去に作られ、\\n 残された物という意味を持つから――」",
"402000411_20": "「正確には『超常的な力を秘めた道具』を作った、\\n というのが正しいわ」",
"402000411_21": "「あ、なるほど」",
"402000411_22": "「ところでデスけど、ドヴェルグって、\\n 何処かで聞いた気がするデス」",
"402000411_23": "「エルフナインと初めて出会った時、\\n エルフナインが持ってた物が確か――」",
"402000411_24": "「ドヴェルグ=ダインの遺産」",
"402000411_25": "「はい、以前ボクがイグナイトのために使った、\\n 魔剣ダインスレイフの欠片です」",
"402000411_26": "「そのドヴェルグがミレニアムパズルに住んでいる、\\n ということでしょうか」",
"402000411_27": "「正確には同じ種族、だろうな。\\n ドヴェルグというのは種族名とされている」",
"402000411_28": "「じゃあその精霊に会いに行った仲間が消息不明なんデスか?」",
"402000411_29": "「……そういうことだ」",
"402000411_30": "「それは、心配ですね……」",
"402000411_31": "「何か、思い当たる節はないのかい?」",
"402000411_32": "「……場所がギャラルホルンの空間だけに、\\n 考えられることは、カオスビーストの攻撃を受けたか……」",
"402000411_33": "「あとは……ウロボロスか」",
"402000411_34": "「その可能性もあるわね……。\\n いいわ、すぐに後を追いましょう」",
"402000411_35": "「わたしとユリウスを中心に、\\n スクルドからパズルに向かう人員を――」",
"402000411_36": "「風鳴翼、以下2名帰還いたしました」",
"402000411_37": "「――見つかりましたよッ! ミョルニルッ!」",
"402000411_38": "「<size=40>本当なのッ!?</size>」",
"402000411_39": "「ああ。あたしらが行ったことのある並行世界にあった。\\n 簡単に借りられるかどうかは別だけどな」",
"402000411_40": "「まさかこんなに早く見つかるとは……」",
"402000411_41": "「あれ? 何かあったんですか?\\n なんか暗い……」",
"402000411_42": "「あのね――」"
}

View file

@ -1 +1,130 @@
{}
{
"402000421_0": "「なるほど……。\\n ミーナさんたちの方でそんなことが……」",
"402000421_1": "(どうすれば……。仲間は心配だけど、ミョルニルの入手は\\n 最優先事項。いつまでも武器を失ったままでは戦えない……",
"402000421_2": "(だからといって、わたしがミョルニルの入手に動けば、\\n 大事な仲間を見捨てることにも――",
"402000421_3": "「…………」",
"402000421_4": "(でも、ミョルニルの制御はわたしじゃないと行えない。\\n ううん、そもそもミョルニルの情報が正しいかどうかも――",
"402000421_5": "「……相談がある。我々と協力関係を結んだということは、\\n 装者の戦力についての貸与も期待していいのか」",
"402000421_6": "「ああ。もちろんそれも含んでいる。\\n 要請があれば、検討しよう」",
"402000421_7": "「ならばミレニアムパズルの調査に当たって、\\n 装者の協力を頼みたい」",
"402000421_8": "「……え?」",
"402000421_9": "「……ミレニアムパズルについてわかっているだけの情報の開示、\\n それに、現在予想される危険なども教えてくれるか」",
"402000421_10": "「もちろんだ。\\n ……ミーナ、ミレニアムパズルはこっちで担当する」",
"402000421_11": "「そんな……。\\n 何が起きているのかもわからないのに……」",
"402000421_12": "「だからこそだ。\\n ミーナはなによりミョルニル入手を優先してくれ」",
"402000421_13": "「こっちは俺と協力者でなんとかする。\\n 装者が護衛なら、戦力は足りるだろう」",
"402000421_14": "「戦力的にはそうだけど、でも――」",
"402000421_15": "「でも、はなしだ。戦力として足りているのなら、\\n 作戦に支障はないはず」",
"402000421_16": "「…………」",
"402000421_17": "「詳しいデータは後程転送する。\\n 交換条件として、複数名の装者の協力を願いたい」",
"402000421_18": "「いいだろう。連絡については?」",
"402000421_19": "「出発まではこちらの世界に滞在している。\\n 端末で呼び出してくれればいい」",
"402000421_20": "「わかった」",
"402000421_21": "「では、ひと足先に失礼する。\\n ミョルニルの方は頼んだぞ」",
"402000421_22": "「……ええ」",
"402000421_23": "「……さて、話が途中になっていたな。\\n 翼、お前たちの入手したミョルニルの情報について話してくれ」",
"402000421_24": "「はい、ミョルニルですが、以前報告した『シャロン』という\\n 少女のいる世界、そこの米国政府が保有しているようです」",
"402000421_25": "「聞いたところじゃ、昔、起動実験をして、起動自体は\\n 成功したらしい。ただ、制御については失敗して――」",
"402000421_26": "「事故が起きたらしいです。\\n それで、シャロンちゃんのお母さんが――」",
"402000421_27": "「……それは今はいいだろ。\\n とにかく、制御できずに米国政府で封印していたらしい」",
"402000421_28": "「ですが、最近になって再び制御の実験を行う計画があるとのことです」",
"402000421_29": "「無駄なことを……、\\n ただの研究員に、ミョルニルの制御なんてできるわけないのに」",
"402000421_30": "「そうなんですか?」",
"402000421_31": "「……ええ。あれに秘められた力は、とてつもなく強大。\\n 下手に触れれば、間違いなく暴走するわ」",
"402000421_32": "「向こうのお父様――いえ、風鳴八紘司令が言うには、\\n ミョルニルについての貸与は認められないとのことです」",
"402000421_33": "「ものが米国政府の保有ではな……。\\n 高度に政治的な問題も絡んでしまう……」",
"402000421_34": "「ただ、世界蛇の問題についても理解を示してくれています。\\n そのため、先方からとある提案を受けました」",
"402000421_35": "「提案?」",
"402000421_36": "「はい。ミョルニル制御実験に立会い、まずは現物の確認、\\n しかる後、もし制御に失敗した場合については――」",
"402000421_37": "「条件付きにはなるだろうが、こちらに渡せるよう、\\n 取り計らってくれるってさ」",
"402000421_38": "「……そうか。ご苦労だった」",
"402000421_39": "「……その世界はどこ?」",
"402000421_40": "「ミーナさん?」",
"402000421_41": "「……わたしがすぐに行って、回収してくる」",
"402000421_42": "「なッ!?」",
"402000421_43": "「正気かッ!?」",
"402000421_44": "「正気に決まってるでしょ。\\n それさえあれば、わたしは――」",
"402000421_45": "「いや、悪いがそれは我々が看過できない」",
"402000421_46": "「なぜ?」",
"402000421_47": "「聖遺物を無理矢理奪えば、国際問題に発展する。\\n それが戦争の引き金になる可能性もある」",
"402000421_48": "「……自分がよければすべてよし、という考えは嫌いでな」",
"402000421_49": "「例え並行世界だろうと、戦火の種を作るようなことは\\n 容認できない。これは君たちにも約束してほしい」",
"402000421_50": "「………わかったわ」",
"402000421_51": "「よし、それでは我々は『ミョルニルの確保』と\\n 『ミレニアムパズルの調査』の作戦について検討しよう」",
"402000421_52": "「詳しいデータを受け取り次第だが、恐らく双方の作戦に装者の\\n 参加が必須だろう」",
"402000421_53": "「お前たちはいつでも出られるよう、準備を進めてくれ」",
"402000421_54": "「了解ッ!」",
"402000421_55": "「2人の協力もありがたく受けさせてもらう」",
"402000421_56": "「ああ、任せてくれ」",
"402000421_57": "「わたしにできることなら、なんでもお手伝いします」",
"402000421_58": "「……どうだ、エルフナインくん?」",
"402000421_59": "「はい……。ユリウスさんから受け取った、ミレニアムパズルの\\n 情報について、確認が完了しました」",
"402000421_60": "「どうやらスクルドとしては、今まで何度か人員を派遣して\\n いたようです」",
"402000421_61": "(以前、ボクがミーナさんに世界蛇の対抗手段について\\n 尋ねた時、この事は教えてくれませんでした――",
"402000421_62": "(……やはり、ボクたちはまだ信用されていない、\\n ということでしょうか",
"402000421_63": "「ただ、今回については今までと異なり、ミョルニルを失った\\n ことで、スクルドでも腕利きによる調査を行ったとあります」",
"402000421_64": "「しかし、定時に入るはずの連絡が無く、なんらかのトラブルに\\n 巻き込まれた可能性がある、とあります。聞いた通りですね」",
"402000421_65": "「そうだな。しかし、スクルドは並行世界間での通信技術を\\n 保有しているのか」",
"402000421_66": "「詳しくはわかりませんが、それはなさそうです」",
"402000421_67": "「記録を見る限り、リアルタイムで通信を行っているのではなく、\\n 特定の並行世界にて、連絡員と落ち合っているようなので」",
"402000421_68": "「そうなると、ますます何が起きたかはわからない、\\n ということか」",
"402000421_69": "「はい。可能性としては、ウロボロスによる襲撃、ガンドもしくは\\n カオスビーストとの遭遇が考えられるとあります」",
"402000421_70": "「ガンドはカルマノイズのことだったな……」",
"402000421_71": "「はい、そして、カオスビーストとは、\\n ギャラルホルンの空間内に存在する、特殊な怪物のようです」",
"402000421_72": "「以前、装者より報告のあった巨大な怪物だな。\\n ギャラルホルンの強いアラートの原因でもある……」",
"402000421_73": "「それが待ち構えているとなれば、接触は避けられまい。\\n ……できる限りの情報を、装者へ伝えよう」",
"402000421_74": "「――状況については以上だ」",
"402000421_75": "「カオスビースト……あの怪物が」",
"402000421_76": "「とっくにあたしらも遭遇してたんだな。\\n そりゃ、あんなのに会ったら――」",
"402000421_77": "「ああ。スクルドの腕利きとやらも、無事では済まないだろう」",
"402000421_78": "「カルマノイズだけでも大変なのに、\\n 世界蛇にカオスビーストね……」",
"402000421_79": "「次から次へと、敵だらけデス……」",
"402000421_80": "「うん……」",
"402000421_81": "「さて、状況について共有したところで、作戦行動の話だ。\\n 今回はつの班に分かれてもらう」",
"402000421_82": "「ミョルニル班と、ミレニアムパズル班と、\\n あとつはなんですか」",
"402000421_83": "「並行世界側との連絡員兼、もしもの時の増援部隊だ。\\n 通信などの連絡が使えない以上、考慮しておきたい」",
"402000421_84": "「ミョルニルについては、向こうの世界に慣れている、響くん、\\n 翼、クリスくんの名。それと君に同行してもらう」",
"402000421_85": "「……ええ、そうさせてもらうわ」",
"402000421_86": "「ミレニアムパズルの側については、マリアくん、調くん、\\n 切歌くんの名、こちらはユリウス氏が同行する」",
"402000421_87": "「そのユリウスさんの姿が見えませんけど……」",
"402000421_88": "「作戦開始時に合流するそうだ。\\n 向こうは向こうで準備があるらしくてな」",
"402000421_89": "「残りの3名は、先ほど話した\\n 連絡員兼増援部隊として、待機してもらいたい」",
"402000421_90": "「はい……」",
"402000421_91": "(前に無茶しすぎちゃったし、仕方ないか……)",
"402000421_92": "「増援部隊……」",
"402000421_93": "(やっぱり、わたしじゃ力が足りないから……)",
"402000421_94": "「…………」",
"402000421_95": "「グループ分けについては以上だ。\\n 何か意見がある者は」",
"402000421_96": "「――なあ、ちょっといいかな?」",
"402000421_97": "「構わない」",
"402000421_98": "「ミレニアムパズルの方だけど、敵の妨害も予想されるんだろ?\\n それなら、装者の数は少しでも多い方がよくないか」",
"402000421_99": "「……一理あるな」",
"402000421_100": "「こちらとしても、可能ならお願いしたいわ。\\n 不測の事態が起こりやすいのは、そちらの方だから」",
"402000421_101": "「了解した。ではあと1人……。\\n そうだな――」",
"402000421_102": "「あたしは、この子を推すよ」",
"402000421_103": "「えッ!?」",
"402000421_104": "「そっちのメンバーとうまく連携とれるのは、\\n この子をおいて他にいないだろ」",
"402000421_105": "「確かに、マリアくんたちとの連携を考えれば、君が適任だろう。\\n よろしく頼めるか」",
"402000421_106": "「は、はいッ! もちろんです」",
"402000421_107": "「セレナと一緒デースッ!」",
"402000421_108": "「うん」",
"402000421_109": "「一緒に頑張りましょう」",
"402000421_110": "「……うん、姉さん」",
"402000421_111": "「それと、増援の方だけど、翼と組ませちゃくれないかい?」",
"402000421_112": "「え?」",
"402000421_113": "「奏……?」",
"402000421_114": "「こっちの人数が少なくなった分、よりやりやすい相手と\\n 組んだ方がいいかなってね」",
"402000421_115": "「……翼、お前はどうだ?」",
"402000421_116": "「そうですね……。\\n わたしは奏の提案に賛成します」",
"402000421_117": "「ならば未来くんと翼は交代としよう。\\n 未来くんもそれでいいかな」",
"402000421_118": "「はいッ!」",
"402000421_119": "「未来、一緒に頑張ろうねッ!」",
"402000421_120": "「うんッ!」",
"402000421_121": "「他は無いな?\\n では、スクルド側の人員と合流次第、作戦を開始とするッ」",
"402000421_122": "「あの、奏さんッ!」",
"402000421_123": "「どうしたんだ、2人揃って」",
"402000421_124": "「さっきのグループ分けなんですけど」",
"402000421_125": "「あれは、わたしたちのために……?」",
"402000421_126": "「……さあね、どうだったかな。\\n そんなことより、人とも頑張りな」",
"402000421_127": "「あの、ありがとうございます」"
}

View file

@ -1 +1,39 @@
{}
{
"402000422_0": "「さて、連携の確認はこれくらいにしましょうか」",
"402000422_1": "「そうだね」",
"402000422_2": "「気合十分デースッ!」",
"402000422_3": "「…………」",
"402000422_4": "(やっぱり、どうしてもわたしだけ、\\n 姉さんたちの足を引っ張ってる……",
"402000422_5": "(姉さんのように強固な盾にもなれず、月読さんや暁さんのように\\n 一糸乱れぬ連携もできず、中途半端なわたし……",
"402000422_6": "(……わたしは、もっと頑張らないといけないんだ)",
"402000422_7": "「姉さん、まだ時間あるかな?」",
"402000422_8": "「ええ。大丈夫だと思うけど……」",
"402000422_9": "「もう少し、訓練を続けさせてほしいの」",
"402000422_10": "「……いいわ。もう少し続けましょう」",
"402000422_11": "「おお、セレナも気合十分デスね」",
"402000422_12": "「うん、わたしたちも負けてられないね」",
"402000422_13": "「…………」",
"402000422_14": "(ミョルニルは話を聞く限り、本物に思える。でも、貸して\\n もらうなんて、まどろっこしいことをしている時間は――",
"402000422_15": "(……もし、ミレニアムパズルの方にベアトリーチェたち\\n ウロボロスが罠を張っていたら――",
"402000422_16": "(今、スクルド内で戦闘能力があるのは数人だけ……\\n デュプリケイターの数も足りない……",
"402000422_17": "(……今までにもこういうことはあったのに、\\n ミョルニルが無いだけで、こんなに不安になるなんて",
"402000422_18": "(もっと、スクルドに戦力があれば――)",
"402000422_19": "「……大丈夫ですか?」",
"402000422_20": "「……え?」",
"402000422_21": "「不安そうに見えましたから」",
"402000422_22": "「……仲間が心配なの。もし、ウロボロスが\\n ミレニアムパズルの方に罠を張っていたらと思うと――」",
"402000422_23": "「嫌な予感が……不安が頭を離れなくて……」",
"402000422_24": "「それでしたら、えっと……なんとかって装置を1つ師匠に\\n 貸すのはどうですか」",
"402000422_25": "「……デュプリケイターのこと? どうして?」",
"402000422_26": "「師匠に向こうの援護に行ってもらえば、\\n 安心できるかなって思いまして」",
"402000422_27": "「どういうこと?\\n ただの人間じゃウロボロスと渡り合うなんて――」",
"402000422_28": "「……あのおっさんはただの人間、って言っていいのか?」",
"402000422_29": "「アハハ……」",
"402000422_30": "「とにかく、聖遺物の力も使えない人物じゃ話にならないわ」",
"402000422_31": "「聖遺物とかギアがなくても、強い人は強いんですよ」",
"402000422_32": "「……よくわからないわ。どちらにしても、デュプリケイターの\\n 余りは無いから、貸すことはできないけど……」",
"402000422_33": "「そうですか……」",
"402000422_34": "「おっさんの場合、司令なんだから、\\n そんなほいほい現場になんて行けないだろ」",
"402000422_35": "「わたしもそう思うな」",
"402000422_36": "「確かにそうだよね……」"
}

View file

@ -1,3 +1,82 @@
{
"402000511_0": "希望を手にするために"
"402000511_0": "希望を手にするために",
"402000511_1": "「話には聞いていましたけど、本当に生身のままで\\n 並行世界に行けるんですね……」",
"402000511_2": "「ええ、このデュプリケイターがあればね」",
"402000511_3": "「便利なもんがあるんだな……」",
"402000511_4": "「それより、どこに行けばいいの?\\n なるべく急ぎましょう」",
"402000511_5": "「あ、そうでした。\\n まずは二課に行かないと」",
"402000511_6": "「場所はやっぱり、リディアンの地下なの?」",
"402000511_7": "「ああ。その辺だ」",
"402000511_8": "「こんにちはー」",
"402000511_9": "「失礼します」",
"402000511_10": "「君たちか。待っていたぞ」",
"402000511_11": "「こっちは同じ装者の仲間で、\\n こっちが世界蛇対策で協力してる組織のやつだ」",
"402000511_12": "「小日向未来です。よろしくお願いします」",
"402000511_13": "「わたしは、ミーナ。\\n 世界蛇に対抗するため、スクルドという組織を率いているわ」",
"402000511_14": "「特異災害対策機動部二課、司令の風鳴八紘だ。\\n こちらこそ、よろしく頼む」",
"402000511_15": "「……ところで、君は装者ではないのか?\\n 確か並行世界を渡れるのは、装者だけと聞いていたが……」",
"402000511_16": "「わたしたちの組織では、\\n 装者でなくとも並行世界を移動できる手段をもっているの」",
"402000511_17": "「装者以外にも並行世界を渡る術があるのか……ッ!?」",
"402000511_18": "「そうよ、けれど簡単にはできないわ。\\n 特殊な鉱石を利用した装置がないと不可能だから」",
"402000511_19": "「……それは、表向きは無理としておいた方がよさそうだな。\\n 全く、上に報告できないことばかり増えていくな……」",
"402000511_20": "「アハハ、すみません……」",
"402000511_21": "「気にしないでくれ。君たちには恩もある。\\n それに、毒を食らわば皿まで、だ」",
"402000511_22": "「それより、ミョルニルの件だけど……」",
"402000511_23": "「ああ、それについてだが、ひとまず米国政府からの研究要請に\\n 返答を出しておいた」",
"402000511_24": "「責任者として私、それに数名の護衛と研究者を同行させると\\n 連絡してある」",
"402000511_25": "「護衛と研究者……って、わたしたちのことですよね?」",
"402000511_26": "「そうだ。どちらでも構わないが、\\n できるだけそれらしく振舞ってくれると助かる」",
"402000511_27": "「それならわたしは研究者ね。\\n ミョルニルについては多分、一番詳しいだろうから」",
"402000511_28": "「あたしは護衛かな。研究者っぽくなんてガラじゃないしな」",
"402000511_29": "「響はどうする?」",
"402000511_30": "「わたしも護衛で。\\n 研究者ってなんだか頭痛くなりそうだし」",
"402000511_31": "「響がそうなら、わたしも同じでお願いします」",
"402000511_32": "「わかった。\\n ではそのように、臨時に二課の職員として登録しておこう」",
"402000511_33": "「出発は?\\n 今、ミョルニルは米国にあるのよね」",
"402000511_34": "「先方からの返事を待ってからになる。\\n そう長い時間はかからないと思うが――」",
"402000511_35": "「……わかったわ」",
"402000511_36": "「ところで、シャロンちゃんは?」",
"402000511_37": "「あの子ならメディカルチェック中だ」",
"402000511_38": "「何かあったのかッ!?」",
"402000511_39": "「まさか、融合症例が――」",
"402000511_40": "「いや、ただの定期健診的なものだ。\\n 現状は融合症例の進行は確認されていない」",
"402000511_41": "「恐らく、少ししたら戻るだろう」",
"402000511_42": "「はー、よかったぁ……」",
"402000511_43": "「さて、以前使ってもらっていた部屋を空けてある。\\n 返事がくるまでは、自由に使ってくれて構わない」",
"402000511_44": "「二課の施設も、必要であれば、使ってくれ。\\n 何かあったら私の名前を出してくれればいい」",
"402000511_45": "「はい、わかりましたッ!」",
"402000511_46": "「待たせた」",
"402000511_47": "「そっちの準備は、もういいんですか?」",
"402000511_48": "「ああ。こちらは俺と仲間が数名同行する」",
"402000511_49": "「よろしくお願いします」",
"402000511_50": "「状況次第ではあるが、こちらに戦闘力は期待しないでくれ」",
"402000511_51": "「自分の身くらいは護れる者を厳選はしているが、\\n ガンドやカオスビーストと渡り合うのは難しい」",
"402000511_52": "「そっちはアタシたちにお任せデスッ!」",
"402000511_53": "「はい、こちらで対処します」",
"402000511_54": "「期待させてもらう。では進もう」",
"402000511_55": "「こっちだ。あまり俺から離れないようにしてくれ」",
"402000511_56": "「あの、もしここで迷子になったらどうなるんでしょうか?」",
"402000511_57": "「そのまま遭難し、どこかの並行世界へと落ちる」",
"402000511_58": "「運よくギャラルホルンの出入り口があれば、\\n 帰ってこられるかもしれないが――」",
"402000511_59": "「無ければ、自力での帰還は不可能と思った方がいい」",
"402000511_60": "「それにもし、\\n まともじゃない世界に落ちれば、一巻の終わりだ」",
"402000511_61": "「まともじゃないって……、\\n そんな危険な並行世界があるんデスか」",
"402000511_62": "「ああ。破滅の可能性が顕現した世界がそうだな。\\n 既に世界蛇に滅ぼされた世界もそうだ」",
"402000511_63": "「人を始めとしたありとあらゆる生き物が死滅し、\\n 不毛の大地のみが残った世界なら、両の指では足りない」",
"402000511_64": "「そんなにあるんだ……」",
"402000511_65": "「先に言っておくが、もしお前たちが遭難しても、\\n こちらは目的を優先する」",
"402000511_66": "「目的を達成できたなら、救援を行うのもやぶさかではないが、\\n それまでは自力で生き抜くんだな」",
"402000511_67": "「それが嫌なら離れないことだ」",
"402000511_68": "「<size=25>……なんか、言い方にトゲを感じるデスね</size>」",
"402000511_69": "「<size=25>……わたしたち、あんまりよく思われてないのかな?</size>」",
"402000511_70": "「ところで、その目的についてですけれけど、\\n ミレニアムパズルの調査、ということでいいんですよね」",
"402000511_71": "「ああ。先日調査に送り込んだ者たちの消息を調べるという\\n ものもあるが、それは随行のメンバーに任せてある」",
"402000511_72": "「我々としてなによりも優先すべきは、\\n ミレニアムパズルそのものの調査と攻略だ」",
"402000511_73": "「あの、仲間の人は心配ではないんですか……?」",
"402000511_74": "「俺が心配しても結果は変わらない。\\n 何者かに襲われたのか、囚われたのか、殺されたのか……」",
"402000511_75": "「状況の確定は次の手を打つ上で大事なことだが、\\n それに囚われて足を止めるのは愚策だ」",
"402000511_76": "「……きっと無事ですよ」",
"402000511_77": "「根拠の無い楽観など、なんの意味も無いな。\\n それより早く足を進めるべきだろう」",
"402000511_78": "「<size=25>……やっぱりなんか感じ悪いデス</size>」",
"402000511_79": "「<size=25>……うん、わたしちょっと苦手かも</size>」"
}

View file

@ -1 +1,44 @@
{}
{
"402000512_0": "「疲れたよ……」",
"402000512_1": "「訓練なのに、お前ちょっと気合入れすぎだろ……」",
"402000512_2": "「何事も本気でやらないとねッ!」",
"402000512_3": "「相手する方の身にもなれっての」",
"402000512_4": "「それじゃクリス、交代しようか?」",
"402000512_5": "「ああ」",
"402000512_6": "「ミーナさんも訓練に参加しませんか?」",
"402000512_7": "「やめとくわ。今も戦う手段が無いわけじゃないけど、\\n 自分自身を護るので精一杯だから」",
"402000512_8": "「ミョルニルがあったら、戦ってみてもいいんだけどね……」",
"402000512_9": "「お姉ちゃんッ! お帰りなさいッ!」",
"402000512_10": "「シャロンちゃん、ただいまッ!!」",
"402000512_11": "「あなたがシャロンちゃん?\\n わたし、小日向未来っていうの。よろしくね」",
"402000512_12": "「うん、未来お姉ちゃんッ!\\n よろしくお願いしますッ」",
"402000512_13": "「――ッ!?」",
"402000512_14": "「シャロンちゃん、いい子だね。\\n お菓子食べる ね、撫でてもいいかな」",
"402000512_15": "「未来が一瞬で骨抜きに……」",
"402000512_16": "「……あの、こっちのお姉ちゃんは?」",
"402000512_17": "「ミーナよ」",
"402000512_18": "「ミーナお姉ちゃん?」",
"402000512_19": "「ええ」",
"402000512_20": "「なあ、ところでメディカルチェックはどうだったんだ?」",
"402000512_21": "「うん。それが……あんまり……」",
"402000512_22": "「あんまりって……何があったんだ?」",
"402000512_23": "「…………」",
"402000512_24": "「シャロンちゃん……。話してみて?」",
"402000512_25": "「……あのね」",
"402000512_26": "「うん」",
"402000512_27": "「背が全然伸びてなかったの……」",
"402000512_28": "「背かよッ!?」",
"402000512_29": "「早く大きくなりたいのに……」",
"402000512_30": "「大丈夫。きっとすぐに、ぐんぐん伸びるから」",
"402000512_31": "「わたしや響だって、シャロンちゃんくらいの年齢の時は\\n 同じくらい小さかったんだから」",
"402000512_32": "「そうなの……?」",
"402000512_33": "「そうそう、きっとすぐに師匠くらい大きくなるからッ!」",
"402000512_34": "「ししょー……?」",
"402000512_35": "「とーっても大きくて、強い人だよッ!」",
"402000512_36": "「わたし、ししょーになるッ!」",
"402000512_37": "「おい、変な目標与えんなッ!\\n 本当にあんなとんでもないのになったら、どうするんだよッ」",
"402000512_38": "「なろうとしても、なれるものじゃないと思うけど……」",
"402000512_39": "「…………」",
"402000512_40": "(返事待ち……。まさかこっちに来て足止めだなんて……)",
"402000512_41": "(ミレニアムパズルの方は大丈夫かしら……)"
}

View file

@ -1 +1,33 @@
{}
{
"402000521_0": "「……こっちだ」",
"402000521_1": "「わッ!? 急に曲がらないでほしいデスッ!」",
"402000521_2": "「離れすぎると、危険なんですよね?」",
"402000521_3": "「そうだが……そこまで神経質にならなくても、\\n 多少くらいなら離れても問題ない」",
"402000521_4": "「えっと、どのくらいなら……?」",
"402000521_5": "「……5メートルくらいだ」",
"402000521_6": "「さっきのアタシ、結構ギリギリだったデスよッ!?」",
"402000521_7": "「ギリギリでも無事だったのだからいいだろう。\\n ……次はこっちだな」",
"402000521_8": "「また急にッ!?\\n 少しは協調性を持ってほしいデス……」",
"402000521_9": "「まあまあ。\\n それより、こうして見ると、この空間って不思議ですね」",
"402000521_10": "「ギャラルホルンで並行世界に行く時は一本道だもんね……」",
"402000521_11": "「確かにそうデスね。\\n こうやって移動するのはなんだか不思議な感じデス」",
"402000521_12": "「うん……」",
"402000521_13": "「並行の可能性……どんなものがあるんでしょう?」",
"402000521_14": "「アタシが世界を救う並行世界もきっとあるはずデスよ」",
"402000521_15": "「……今までもある意味、救ってきているような……?」",
"402000521_16": "「3人とも、あんまり遅れないようにね」",
"402000521_17": "「はッ!? 気づいたら5メートルも距離がッ!?\\n おいていかれるデスッ」",
"402000521_18": "「急ごうッ!」",
"402000521_19": "「は、はい」",
"402000521_20": "(装者とその可能性……)",
"402000521_21": "(ミーナが装者たちにどんな希望を見たのか、\\n 俺は俺のやり方で見極めさせてもらう",
"402000521_22": "「あなたたち、あんまり遅れるようなら、\\n 首に縄を付けるわよ」",
"402000521_23": "「き、気をつけるデスッ!」",
"402000521_24": "「犬みたいに繋がれるのはちょっと……」",
"402000521_25": "「わたしもそれは……」",
"402000521_26": "「だったら、ちゃんと付いてきなさい」",
"402000521_27": "(……今のところは、希望どころか不安しか感じないが……)",
"402000521_28": "「……これは――ッ!?」",
"402000521_29": "「どうかしましたか?」",
"402000521_30": "「厄介な敵が、現れたか……」"
}

View file

@ -1 +1,31 @@
{}
{
"402000531_0": "「この化物はッ!?」",
"402000531_1": "「カオスビースト……」",
"402000531_2": "「どうするデスかッ! 倒すなら――」",
"402000531_3": "「いや、ここで無理に戦えば被害も大きくなる。\\n 牽制しつつ、退こう」",
"402000531_4": "「突っ込んできましたッ!?」",
"402000531_5": "「くッ、わたしがッ!!」",
"402000531_6": "「大人しく――」",
"402000531_7": "「――してるデスッ!」",
"402000531_8": "(やっぱりみんな……凄い。\\n わたしも、役に立たないと――",
"402000531_9": "「――こっちだ。急げッ!」",
"402000531_10": "「え? わわッ……」",
"402000531_11": "「どうやら、うまく逃れられたようだな」",
"402000531_12": "「そうみたいですね」",
"402000531_13": "「もう大丈夫だろう。先へ進もう」",
"402000531_14": "「進んだら、またさっきの奴と出会っちゃうんじゃないデスか?」",
"402000531_15": "「道は1つではない。カオスビーストがいたルートを\\n 避ければ、もう会うことはないだろう」",
"402000531_16": "「でも、追ってきたりする可能性は?」",
"402000531_17": "「ゼロではないが、既にかなり距離をとっている。\\n このまま維持すれば、追ってくることはないだろう」",
"402000531_18": "「距離を維持って言われても……」",
"402000531_19": "「この空間の中じゃ、距離も何も全くわからないデスよ……」",
"402000531_20": "「…………」",
"402000531_21": "(全然、役に立てなかった。わたしも装者なのに……)",
"402000531_22": "「……セレナ?」",
"402000531_23": "「え……? あ、姉さん……」",
"402000531_24": "「どうしたの? 負傷……じゃないわよね」",
"402000531_25": "「うん、大丈夫。\\n 怪我とかはしてないよ」",
"402000531_26": "「それならいいけど……。\\n 何かあったらすぐに言うのよ」",
"402000531_27": "「ありがとう、姉さん」",
"402000531_28": "「無駄に時間を食ってしまった、先を急ぐぞ」"
}