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@ -0,0 +1,94 @@
{
"402000111_0": "セレナの苦悩",
"402000111_1": "「戦艦マーナガルム、安定高度に達しました」",
"402000111_2": "「そう、ご苦労様」",
"402000111_3": "「それで、目的地はいかがいたしますか?」",
"402000111_4": "「もう、焦らないの。\\n もう少しゆっくりしましょ」",
"402000111_5": "「そう言われましても、前回の世界蛇降臨後から、\\n この戦艦マーナガルムに籠ったままでは……」",
"402000111_6": "「士気に関わる、といったところかしら?」",
"402000111_7": "「……有り体に申し上げますれば」",
"402000111_8": "「はあ……組織ってのも面倒なものね」",
"402000111_9": "「目指す先は世界蛇による破滅である以上、\\n 焦らなくても、迎える結末は同じ」",
"402000111_10": "「それでも死に急ぎたいなんて、面白い者たちね」",
"402000111_11": "「組織のために命を捧げる。\\n 彼らにはそれが使命であり、そして救いと考えているのです」",
"402000111_12": "「難儀なこと。\\n まあ、わたしの役に立ってくれるなら、なんでもいいけど」",
"402000111_13": "「……石屋、あなたは?」",
"402000111_14": "「私の望みは、ベアトリーチェ様の本懐を叶えることにあります」",
"402000111_15": "「私の本懐、ね……。\\n せっかくならいろいろ楽しみながら遂げたいわ」",
"402000111_16": "「……」",
"402000111_17": "「響といったかしら? あの子に埋め込んだ、\\n 悪意の種も無駄になっちゃったわね」",
"402000111_18": "「上手くいけば、かなり面白い見世物ができたのに」",
"402000111_19": "「……装者に興味がおありですか?」",
"402000111_20": "「間違えないで。わたしが興味があるのはあの子だけ、\\n 有象無象の装者ごときに、関心などないわ」",
"402000111_21": "「申し訳ございません」",
"402000111_22": "「まあ、いいわ。\\n ……それで、次の目的地を決めてほしいんだっけ」",
"402000111_23": "「はい、各地に散った同士より、世界蛇の成長に\\n 最適な並行世界の情報が集まっております」",
"402000111_24": "「それらの世界でなら、十分な成果が得られましょう。\\n リストの方を用意いたしましょうか」",
"402000111_25": "「いらないわ。だってそんなの面白くないじゃない。\\n ……それより、またライブをしたいわね」",
"402000111_26": "「ライブ……ですか?」",
"402000111_27": "「そう。ライブ」",
"402000111_28": "「そんなものを行わなくても、世界蛇降臨に必要な分の\\n エネルギーは、十分マーナガルムにも――」",
"402000111_29": "「あるから何?\\n まったく、あなたは未だにわかってないのね……」",
"402000111_30": "「……申し訳ございません」",
"402000111_31": "「ただの悲哀じゃない、ライブという最高の熱狂から、\\n 最悪の絶望へと堕ちていく人の姿――」",
"402000111_32": "「そして、絶望の化身として一切の希望を許さず、\\n 世界ごと食らいつくす世界蛇――」",
"402000111_33": "「そんな終末の光景を、特等席で眺めるのがいいのよ。\\n ただ世界が滅ぶだけの様子なんて、もう見飽きてるわ」",
"402000111_34": "「そういうものですか……」",
"402000111_35": "「そういうものなのよ。\\n あなたも私に仕えるなら、それくらいわかるようになりなさい」",
"402000111_36": "「善処いたします」",
"402000111_37": "「ところで、スクルドについてはどうお考えでしょうか?」",
"402000111_38": "「あれこそ諦めの悪い集団だから、今頃並行世界を回って、\\n 新しいミョルニルを探してるんじゃない」",
"402000111_39": "「見つかったところで、あの程度の威力なら脅威にならないけど」",
"402000111_40": "「『パズル』に手を出す可能性もあるのではないでしょうか?」",
"402000111_41": "「ああ、それもあるかもしれない」",
"402000111_42": "「でも、あの人間嫌いで有名なドヴェルグを\\n 誑し込めるものかしらね」",
"402000111_43": "「……不可能でございましょうな」",
"402000111_44": "「しかし、念には念を、万全を期すために、\\n ここは妨害の人員を送り込むことも――」",
"402000111_45": "「そうね。でも放置でいいわ。\\n そうなったらそうなったで、楽しそうだし」",
"402000111_46": "「……わかりました」",
"402000111_47": "「不満?」",
"402000111_48": "「いえ……そのようなことは」",
"402000111_49": "「なんでも効率と結果だけを追い求めればいいものじゃないわ。\\n あなたも過程を楽しみなさい」",
"402000111_50": "「はい……」",
"402000111_51": "「どうやらトラブルの様です。\\n 対処に向かいます」",
"402000111_52": "「ええ、お願い」",
"402000111_53": "「……わたし自身も、もっと過程を楽しまないとね。\\n フフ、またあの子にも会いたいわ……」",
"402000111_54": "「……スクルドの監視に当たっていたメンバーからの\\n 連絡が途絶えた、ですか」",
"402000111_55": "「はい。恐らくはスクルド側の手練れによるものかと」",
"402000111_56": "「やはり、ミョルニルを失っても変わらず我々の障害となるか……」",
"402000111_57": "「わかりました。それではこちらも腕利きを用意して、\\n 新たにスクルドの動向を監視してください」",
"402000111_58": "「はッ、報告の頻度はいかがいたしましょう?」",
"402000111_59": "「3時間ごとの定時報告と、動きがあった際の連絡の徹底を。\\n また、報告は全て私のところへお願いします」",
"402000111_60": "「……ベアトリーチェ様にはお伝えしなくて\\n よろしいのでしょうか」",
"402000111_61": "「その判断は私が行います。いいですね?」",
"402000111_62": "「はッ、失礼いたしましたッ!\\n それでは即時手配を行いますッ」",
"402000111_63": "(ベアトリーチェ様は放置でいいとおっしゃられましたが、\\n やはりスクルドについては、なんらかの対応は必要……",
"402000111_64": "(それに再び我らの障害となる可能性を摘むなら、\\n ミョルニルを失っている、今が好機でしょう",
"402000111_65": "「そう、ベアトリーチェ様のための権謀術数こそ、私の役割。\\n 邪魔なスクルドと、再びの邂逅といきましょうか……」",
"402000111_66": "「……考えてみれば、これも過程を楽しむことになるのかも\\n しれませんね」",
"402000111_67": "「……」",
"402000111_68": "「……」",
"402000111_69": "「2人とも動こうとしないデスね……」",
"402000111_70": "「先に動くと不利になるって考えてるんだと思う」",
"402000111_71": "「アタシなら先手必勝って攻めまくるデスけど」",
"402000111_72": "「2人とも慎重に考えて行動するタイプだし、\\n まず攻撃を防いで、隙を作ろうとしてるはず」",
"402000111_73": "「おお……達人同士の戦いみたいデスねッ!」",
"402000111_74": "「うん、一瞬で勝負がつくかも……」",
"402000111_75": "(マリア姉さんに、半端な攻撃は通用しない……。\\n 下手に攻撃すれば、弾かれて反撃を受けちゃう",
"402000111_76": "(何か、隙を作る方法を考えないと……。\\n マリア姉さんは隙が無いから……あれ",
"402000111_77": "(セレナ、最近よく訓練を頼んでくるけど、\\n 悩みでもあるのかしら……",
"402000111_78": "(頑張っているセレナを応援したいけど、\\n 今はわたしが相手役なのよね……",
"402000111_79": "(手加減はセレナに失礼だけど、かといってセレナを\\n 傷つけたくはないし……ああ、もうッ",
"402000111_80": "「……マリア、集中できてなさそうデスよ。\\n いつの間にやら隙だらけデス」",
"402000111_81": "「みたいだね……。\\n これはセレナ有利かも」",
"402000111_82": "「<size=40>――マリアッ!</size>」",
"402000111_83": "「ひゃいッ!? ど、どうしたのマムッ!?」",
"402000111_84": "「集中なさい。これではセレナの訓練になりません」",
"402000111_85": "「わ、わかったわ……」",
"402000111_86": "「セレナ、ごめんなさい。\\n ちょっと気持ちを入れ直すわ」",
"402000111_87": "「ううん、気にしないで」",
"402000111_88": "「それにしても、どうして仕掛けてこなかったの?\\n わたし、隙だらけだったでしょ」",
"402000111_89": "「うん……でも、訓練で不意を突いて勝っても、意味がないから。\\n わたしは、強いマリア姉さんと訓練したいの」",
"402000111_90": "「セレナ……。\\n わかったわ、本気で行くわよッ」",
"402000111_91": "「うん、お願いッ!」"
}

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@ -0,0 +1,31 @@
{
"402000112_0": "「はあ――ッ!」",
"402000112_1": "「くッ、やああ――ッ!」",
"402000112_2": "「2人とも白熱してきたデスッ!\\n 見てるこっちも、つい熱くなってくるデスねッ」",
"402000112_3": "「うん、そうだね。\\n わたしたちももっと応援しよう」",
"402000112_4": "「もちろんデスッ!」",
"402000112_5": "「……あ、でもこういう場合って、\\n どっちを応援すればいいんだろう」",
"402000112_6": "「そんなのその場のノリで、両方応援すればいいデスよッ!\\n マリア、そこデスッ セレナ、ナイスガードッ」",
"402000112_7": "「そっか。セレナそこだよッ! マリアも頑張ってッ!」",
"402000112_8": "「はあッ、はあッ……」",
"402000112_9": "「……」",
"402000112_10": "(息が切れてきた……。姉さんはまだ大丈夫みたいだから、\\n 体力が残っているうちに、突破口を開かないと……",
"402000112_11": "(……もう少しね。\\n あとは、セレナが何をしてくるか――",
"402000112_12": "「やああああ――ッ!!」",
"402000112_13": "「セレナが一気に突っ込んだデスッ!」",
"402000112_14": "「これは捨て身の攻撃ッ!?」",
"402000112_15": "「セレナ頑張るデスッ! そこはラッシュデスよッ!」",
"402000112_16": "(苦しい……でも、ここで決めなきゃ――)",
"402000112_17": "「えいッ! やあッ! それッ!!」",
"402000112_18": "「マリア、もう少しッ!\\n セレナのラッシュを防いだら、反撃ッ」",
"402000112_19": "(もちろん、わかっているッ!\\n でもこのラッシュ……なかなかに捌きにくいッ",
"402000112_20": "「ここは出し惜しみなしデスッ!\\n セレナ、ここは殺界デスッ トドメをッ」",
"402000112_21": "「<size=40>え、ええッ!?</size>」",
"402000112_22": "(殺界ってなんだろう……ど、どうすれば?)",
"402000112_23": "「マリアッ! 回避コマンドをッ!」",
"402000112_24": "<size=40>回避コマンドって何ッ!?</size>",
"402000112_25": "「行くデスよ、<size=40>デストローイッ!</size>」",
"402000112_26": "「それはさせないッ!! <size=40>キャンセルッ!</size>」",
"402000112_27": "「<size=40>あなたたち、どんな応援しているのよッ!</size>」",
"402000112_28": "「アハハ……」"
}

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@ -0,0 +1,39 @@
{
"402000121_0": "「……ついこの前遊んだゲームと\\n 混同してしまったデス」",
"402000121_1": "「うん……わたしも……」",
"402000121_2": "「もう、あなたたちは……。\\n こっちは真面目に訓練しているんだから」",
"402000121_3": "「面目ないデス」",
"402000121_4": "「ごめんなさい……」",
"402000121_5": "「それで、マム、\\n さっきの戦いのデータだけど――」",
"402000121_6": "「ええ。\\n きちんと取れていますよ」",
"402000121_7": "「セレナは全般的に、受けに回る回数が多すぎますね」",
"402000121_8": "「でも最後のラッシュはすごかったデスよ?」",
"402000121_9": "「ええ。しかしあれは苦し紛れ。\\n ロウソクの炎が燃え尽きる前の、一瞬の輝きと同じです」",
"402000121_10": "「体力が尽きる前に、なんとか状況を打開しようと\\n 無理をしただけでしょう」",
"402000121_11": "「……はい」",
"402000121_12": "「どうしてあなたの方が消耗していたかわかりますか?」",
"402000121_13": "「わたしとマリア姉さんとじゃ、体力の差があって……」",
"402000121_14": "「当然それもあるでしょう。\\n ですが、それだけではありません」",
"402000121_15": "「え?」",
"402000121_16": "「もっと単純なことです」",
"402000121_17": "「単純な……?」",
"402000121_18": "「動きの効率です。攻撃や防御、そして回避、戦いにおける\\n 全ての動きの効率に差があるのです」",
"402000121_19": "「……わたしは、マリア姉さんに比べて、無駄な動きが多い……」",
"402000121_20": "「その通りです」",
"402000121_21": "「……。\\n やっぱり、わたしじゃまだまだ全然ダメなんですね……」",
"402000121_22": "「セレナ、あなたはちゃんと成長しているわ。\\n こうして戦ったわたしにはわかる」",
"402000121_23": "「最後のラッシュだって、もう少し続いていたら、\\n 防御が間に合わなくなっていたかもしれない」",
"402000121_24": "「だから、焦らずに力をつけていけばいいのよ」",
"402000121_25": "「姉さん……。\\n でもわたしは、もっとみんなの力になりたい……」",
"402000121_26": "「フォローされるだけじゃなくて、\\n みんなの助けになりたい……」",
"402000121_27": "「セレナの優しさは、わたしたちの力になってるよ」",
"402000121_28": "「……うん」",
"402000121_29": "(……やっぱり浮かない顔ね。\\n あまり思い詰めないといいんだけど……",
"402000121_30": "(セレナは聖遺物に対し、先天的な適性を持つ第一種適合者。\\n 当然、ギアとの適合率は第二種であるマリアたちよりも高い",
"402000121_31": "(戦いにおける経験の差があるとはいえ、\\n 同じ条件ならばむしろ優位でもおかしくない",
"402000121_32": "(しかし、セレナはマリアと自身を比べすぎて、己を過小評価して\\n しまっている。これでは力を十全に発揮するのも難しい",
"402000121_33": "(マリアとの動きの効率の差……、\\n それは戦いの経験の差であり、心の余裕の差でもある",
"402000121_34": "(特に後者が、今のセレナに負担をかけているように思える)",
"402000121_35": "(自分を信じること……それさえできたなら、きっと……。\\n しかし、言葉でそれは伝わらない……",
"402000121_36": "「……そろそろ、訓練を再開しましょう」"
}

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@ -0,0 +1,37 @@
{
"402000122_0": "「失礼する」",
"402000122_1": "「お久しぶりね」",
"402000122_2": "「ようやく実現できたね。君たちとの会合を。\\n 歓迎するよ」",
"402000122_3": "「ところで、このホテルだが盗聴の危険性は――」",
"402000122_4": "「不要だよ、その心配は。\\n しておいたからね、人払いを」",
"402000122_5": "「ここは守られている。我々の魔術的な結界で。\\n だから不可能なのさ。盗聴も、盗撮も」",
"402000122_6": "「……それを聞いて安心した。\\n では、会談といこうか」",
"402000122_7": "「もう、堅苦しいわね。\\n ただのお茶会みたいなものじゃない」",
"402000122_8": "「同意するよ。その意見に。\\n 嫌いだからね。堅苦しいのは」",
"402000122_9": "「……自分で言うのもなんだが、二課のトップと\\n 錬金術師協会のトップが会うのに、お茶会もないだろう……」",
"402000122_10": "(それに、協力関係にあるとはいえ、相手は錬金術師。\\n この場所も相手の懐の中……警戒は必要だ",
"402000122_11": "「さて、早速だけど入ろうか。本題に。\\n あるんだよ、質問が。君たちにね……」",
"402000122_12": "「あら、何かしら?」",
"402000122_13": "「巨大な蛇についてさ。空に現れた」",
"402000122_14": "「……」",
"402000122_15": "(……やっぱり。\\n まあ、あんなに目立つ物、見逃すはずないわよね",
"402000122_16": "「知ってるはずだよ、君たちは」",
"402000122_17": "「どうして私たちが知っていると?」",
"402000122_18": "「いなかっただろう。君たちの装者は、あの場にね。\\n どこに行っていたのかな、あれほどの緊急事態に」",
"402000122_19": "「…………」",
"402000122_20": "「簡単だよ、その答えは。\\n 行っていたんだろう 原因である並行世界へ」",
"402000122_21": "(そこまで予想済み、ね。\\n まあ、こちらの手札は知られているものね",
"402000122_22": "(なら、せめてこちらの情報を少しでも\\n 高く買ってもらいましょうか♪",
"402000122_23": "「……ああ、その通りだ。\\n あれは――」",
"402000122_24": "「弦十郎くん、ストップ。こちらの機密情報を\\n タダで聞こうだなんて、虫がよすぎると思わない」",
"402000122_25": "「足りなかったかな。先日のガングニールでは」",
"402000122_26": "「あれは私個人へのプレゼントでしょ?\\n 二課としてはなんにも貰ってないしね」",
"402000122_27": "「いや、アレは――ッ!?」",
"402000122_28": "「<size=25>もう、余計なこと言おうとしないのッ!</size>」",
"402000122_29": "「な、なんでもない……」",
"402000122_30": "「フッ、そうだったね。確かに。\\n プレゼントとして贈ったんだ。君個人へのね」",
"402000122_31": "「いいとも、約束しよう。更なる対価、更なる協力を」",
"402000122_32": "(……まだ返せていないわけだしね。彼女たちへの借りも)",
"402000122_33": "「ありがと。\\n それじゃ話していいわよ」",
"402000122_34": "「……あ、ああ。では俺から。\\n 先日発生した、あの『世界蛇』にまつわる事件だが――」"
}

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@ -0,0 +1,117 @@
{
"402000211_0": "世界蛇とギャラルホルン",
"402000211_1": "「いやー、さっきのパフェおいしかったねーッ!」",
"402000211_2": "「うん、あの値段だけのことはあったよね。\\n フルーツが甘くて、クリームはフワフワで……」",
"402000211_3": "「わたし、あれならもう2、3杯は食べられたかも」",
"402000211_4": "「そんなに食べたら流石に晩御飯が食べられなくなっちゃうよ。\\n でも、その気持ちはわかるなぁ……」",
"402000211_5": "「だよねッ、だよねッ!\\n 次は季節限定のやつも食べてみたい――」",
"402000211_6": "「どうも、おふたりさん」",
"402000211_7": "「あ、こんにちは。\\n ん…… って、ええええッ」",
"402000211_8": "「ミ、ミーナさんッ!?」",
"402000211_9": "「久しぶり……というほどでもないかな。\\n 元気そうだね」",
"402000211_10": "「立ち話もなんだし、どこかに入らない?」",
"402000211_11": "「あ、それならわたしたちの部屋に来ませんか?\\n 部屋なら周りの耳目も気にしなくて済みますし……」",
"402000211_12": "「学生寮なんですけど、許可をもらえば入れると思います」",
"402000211_13": "「そう? いきなり迷惑じゃないかしら」",
"402000211_14": "「そんなことないですッ!」",
"402000211_15": "「ミーナさんにはいろいろと助けてもらいましたから」",
"402000211_16": "「わかった。それじゃ行きましょう」",
"402000211_17": "「お邪魔します。ここが君たちの部屋か。\\n 結構片付いてるね」",
"402000211_18": "「はいッ!\\n ……といっても、片付けてるのは大体未来ですけど」",
"402000211_19": "「そんなことないよ。\\n 響だって手伝ってくれてるじゃない」",
"402000211_20": "「アハハ……でも、散らかすのもわたしだし……」",
"402000211_21": "「フフ、君たちは本当に仲がいいんだね」",
"402000211_22": "「それだけは自信がありますッ!」",
"402000211_23": "「長い付き合いなので」",
"402000211_24": "「あ、ちょっと待っててくださいね。\\n お茶の準備をしますから」",
"402000211_25": "「はい、どうぞ」",
"402000211_26": "「ありがと」",
"402000211_27": "「ところで、ミーナさんはどうしてこちらに?\\n 観光……ってわけじゃないですよね」",
"402000211_28": "「ええ、それなんだけど。スクルドの方で方針が固まったから、\\n 装者のみんなにも協力してもらいたいと思って」",
"402000211_29": "「はい、もちろんOKですッ!」",
"402000211_30": "「ちょっと待って。\\n そんな大事なこと、わたしたちで決めちゃダメでしょッ」",
"402000211_31": "「ちゃんと弦十郎さんに話を通さないと」",
"402000211_32": "「そ、そうだよね」",
"402000211_33": "「君たちの所属って確か――」",
"402000211_34": "「ええと、S.O.N.G.っていう組織です」",
"402000211_35": "「紹介してもらえないかな。\\n 正式に協力をお願いしたいから」",
"402000211_36": "「わかりました」",
"402000211_37": "(あれ? ミーナさん、全然お茶を飲んでない……。\\n もしかして、口に合わなかったのかな",
"402000211_38": "「君がミーナくんか。話は聞いている。\\n よろしく頼む」",
"402000211_39": "「あなたがS.O.N.G.の司令さんね。\\n よろしく」",
"402000211_40": "「早速だけど、わたしたちスクルドの作戦に装者の協力を\\n お願いしたいの」",
"402000211_41": "「もちろんだ。事は一世界にとどまる問題ではない。\\n できうる限りの協力を約束しよう」",
"402000211_42": "「ありがと。S.O.N.G.の協力、感謝するわ」",
"402000211_43": "「ああ。それで協力するにあたって――」",
"402000211_44": "「ごめんなさい……。\\n ちょっと待ってくれるかしら」",
"402000211_45": "「ユリウス、どうかした?」",
"402000211_46": "「ミーナ、今どこにいる?」",
"402000211_47": "「装者たちが所属している組織に来ているわ。\\n ちょうど今、協力をお願いして了解してもらったところ」",
"402000211_48": "「……そうか。ならそっちの話が終わったら、\\n 戻ってくれ。懸案事項が溜まっている」",
"402000211_49": "「わかったわ」",
"402000211_50": "「君の仲間か?」",
"402000211_51": "「ええ、後で紹介するわ」",
"402000211_52": "「そうか。それで、先ほどの話の続きだが――」",
"402000211_53": "「こちらで保持している世界蛇の情報は限られている。\\n できれば詳細な情報を開示してもらいたい」",
"402000211_54": "「もちろんよ。\\n 少し待ってくれるかしら」",
"402000211_55": "「データの送り先は?」",
"402000211_56": "「こちらにお願いします」",
"402000211_57": "「わかったわ。……はい、完了っと」",
"402000211_58": "「確認しますね」",
"402000211_59": "「ああ、頼む」",
"402000211_60": "「俺たちも」",
"402000211_61": "「ええ」",
"402000211_62": "「これが世界蛇……」",
"402000211_63": "「デカすぎるだろッ! 現れただけで都市が崩壊するぞ」",
"402000211_64": "「でも、以前出現した影の大きさを重ねると、間違いなさそう」",
"402000211_65": "「全て事実よ。世界蛇の本体は世界を食らい尽くす\\n つの頭を持つ巨大な蛇』」",
"402000211_66": "「先日は、身体の一部しか現出していなかったけど、\\n 全体が降臨すれば、その世界は瞬く間に食らい尽くされるわ」",
"402000211_67": "「あの時、ちょっとだけ顔みたいなものが見えたけど、\\n 近づくことすらできなかった……」",
"402000211_68": "「それが、9つもある……」",
"402000211_69": "「とんでもないな……」",
"402000211_70": "「ああ。エクスドライブの力でも通じず、\\n 彼女たちの力で押し返すのがやっとだったというのに……」",
"402000211_71": "「それに……ギャラルホルンがまさか、\\n 世界蛇本体の外殻から作られた物だっただなんて……」",
"402000211_72": "「元来並行世界とは、混じることのない可能性の世界。\\n それを繋ぐことなんて、普通は不可能」",
"402000211_73": "「けれど、世界蛇は例外的に、\\n その『可能性を殺す』ために作られた物なの」",
"402000211_74": "「だから、世界蛇の外殻を利用したギャラルホルンは、\\n 可能性の世界を繋ぐことができるってわけ」",
"402000211_75": "「可能性の観測と干渉……。\\n しかし、どうしてそんな物が……」",
"402000211_76": "「確か前に、ミーナさんは、ギャラルホルンには、\\n 世界蛇を倒してほしいという願いが込められているって……」",
"402000211_77": "「ええ、そうよ。\\n ギャラルホルンが作られた目的は、世界蛇を倒すため」",
"402000211_78": "「並行世界を移動し、世界を食らう世界蛇に対抗するため、\\n わたしたちスクルドの先祖たちが作った物」",
"402000211_79": "「ミーナさんの先祖が?」",
"402000211_80": "「ええ、だけど……、世界蛇の強大な力の前に、\\n 倒すことは叶わず、多くの者の命が奪われた」",
"402000211_81": "「そこで、スクルドの先祖たちは、\\n ギャラルホルンを他の並行世界へ送ったのよ」",
"402000211_82": "「世界蛇の存在を知らせるため、そして、何処かの世界に、\\n 世界蛇を倒してくれる者がいると願って」",
"402000211_83": "「そうだったんですね……」",
"402000211_84": "「なるほど、全てが、あの世界蛇に通じていたというわけか……」",
"402000211_85": "「わたしたちスクルドの悲願は、当然、あの世界蛇を倒すこと。\\n 世界蛇を倒し、自らの手で『未来』を切り拓くことなの」",
"402000211_86": "「それで、『スクルド』なんですね」",
"402000211_87": "「そういうこと。\\n だから、あなたたちにもその戦いに協力してほしいの」",
"402000211_88": "「もちろんですッ! 一緒に世界蛇を倒しましょうッ!」",
"402000211_89": "「響ったら、また先走っちゃって」",
"402000211_90": "「あッ! ご、ごめんなさい、師匠……」",
"402000211_91": "「なに、謝る必要なんてない。\\n 俺の――、いや、S.O.N.G.としての答えも同じだ」",
"402000211_92": "「……このデータを見て、より協力の必要性も高まった」",
"402000211_93": "「並行世界の全てを巻き込む特異災害……」",
"402000211_94": "「特異災害なら、S.O.N.G.にお任せデスよッ!」",
"402000211_95": "「うん、わたしたちシンフォギア装者の役目」",
"402000211_96": "「ありがとう」",
"402000211_97": "「あなたたちがギャラルホルンを受け取ったのは、\\n もしかしたら運命的なものかもしれないわね」",
"402000211_98": "「運命……」",
"402000211_99": "「続けてで悪いが、\\n ウロボロスという組織についても教えてほしい」",
"402000211_100": "「世界蛇の降臨を企む組織なのだろう?」",
"402000211_101": "「ええ。ウロボロスも、スクルドと同じように\\n 並行世界を移動する手段を持った組織よ」",
"402000211_102": "「ただ、その目的は、並行世界に世界蛇を降臨させて、\\n 食わせ、世界蛇を成長させること」",
"402000211_103": "「1つ疑問なんですが、\\n 世界蛇は、操れるものなんですか」",
"402000211_104": "「普通は不可能よ。\\n あんな怪物、人間に操ることなんでできるわけがない」",
"402000211_105": "「でも、アイツだけは例外――」",
"402000211_106": "「ウロボロスを束ね、\\n 世界蛇の巫女として存在するベアトリーチェならね」",
"402000211_107": "(ベルちゃん……)",
"402000211_108": "「あたしも見たけど、おっかねえガキだったな」",
"402000211_109": "「見た目は少女の姿をしているけど、\\n その正体は、内にフィーネを宿した悪魔よ」",
"402000211_110": "「装者たちから報告を受けた際は、\\n 何かの間違いかとも思ったが、本当なんだな……」",
"402000211_111": "「ええ、全て事実よ」",
"402000211_112": "(再び、俺たちの前に立ちはだかるか……)",
"402000211_113": "「先ほど送ったデータに、ウロボロスの情報も載せているわ。\\n 詳しくは、それを見てちょうだい」",
"402000211_114": "「はい、ありがとうございます」"
}

View file

@ -0,0 +1,71 @@
{
"402000221_0": "「今、スクルドでは新たなミョルニルの捜索を行っているの」",
"402000221_1": "「ミョルニル……あの時の聖遺物かッ!!」",
"402000221_2": "「ええ、そう。\\n 世界蛇と戦うには、まずあれが無いと始まらないわ」",
"402000221_3": "「そんなに重要なのか?\\n 確かにあの時の威力はすごかったけど……」",
"402000221_4": "「それでも、世界蛇を押し返すしかできなかった……」",
"402000221_5": "「それでも、よ。\\n そもそも、ミョルニルとは――」",
"402000221_6": "「その昔、世界蛇の開発者たちが、その暴走を恐れ、\\n 保険のために弱点として設定した唯一の聖遺物」",
"402000221_7": "「言わば『世界蛇を殺す』ための聖遺物よ」",
"402000221_8": "「なるほど……、それで世界蛇に対して有効なんですね」",
"402000221_9": "「そう、だから、ミョルニルは絶対に必要なの」",
"402000221_10": "「世界蛇の本体は強大になりすぎて、ミョルニル単体での討伐は\\n 難しいけど、それでも世界蛇の眷属には絶大な効果があるわ」",
"402000221_11": "「ガンドやカオスビースト辺りにもね」",
"402000221_12": "「ガンド……って、カルマノイズのことですよね。\\n カオスビーストって……」",
"402000221_13": "「それはあなたも会った、ギャラルホルンの空間内に巣くう\\n あの怪物のことよ」",
"402000221_14": "「あの空間を利用する者を無差別に襲ったり、\\n 時折、その空間から、外へと出現することもあるの」",
"402000221_15": "「ギャラルホルンのあの強いアラートは、\\n それが原因ということでしょうか」",
"402000221_16": "「装者たちの報告と照らし合わせてみても、\\n 間違いないだろうな」",
"402000221_17": "「わたしたちスクルドでは、それをカオスビーストと呼んでいるの」",
"402000221_18": "「とにかく、それらと戦うためにもミョルニルは必要よ。\\n だから、新たなミョルニルを探すのが急務なの」",
"402000221_19": "「新たなミョルニルを探す……?\\n でも、どうやって」",
"402000221_20": "「ミョルニルは、ガングニールやイチイバルなどと同じく、\\n 神話にも登場する有名な武器――」",
"402000221_21": "「そして、これまで接触した並行世界には、ボクたちの世界\\n にある聖遺物と同じものが現存しているケースもありました」",
"402000221_22": "「それはつまり――」",
"402000221_23": "「並行世界のどこかに、別のミョルニルが現存する世界が\\n あるかもしれない、ということね」",
"402000221_24": "「はい、その可能性は高いと思います」",
"402000221_25": "「そういうこと。\\n 理解が早くて助かるわ」",
"402000221_26": "「だから、あなたたち装者にも手伝ってほしいの」",
"402000221_27": "「なるほど。理解した」",
"402000221_28": "「……念のため聞くけど、この世界でミョルニルという聖遺物が\\n 発見されたことはないかしら」",
"402000221_29": "「少なくともS.O.N.G.やその前身の特異災害対策機動部二課で\\n そういった聖遺物についての発見報告は無いな」",
"402000221_30": "「F.I.S.にもないと思うわ。\\n マムから聞いた覚えも無いし……」",
"402000221_31": "「あとは大戦時のドイツ辺りが情報を持っていた可能性もあるが、\\n そちらは調べるのは難しいからな……」",
"402000221_32": "「いえ、ミョルニルはかなり強力な聖遺物だから、\\n 秘匿するにも限界があると思うわ」",
"402000221_33": "「どこかで発見、起動したことがあるなら、噂くらいは\\n 聞こえてきてもおかしくない。それも無いということは……」",
"402000221_34": "「発見されていない可能性が高い、ということか」",
"402000221_35": "「そう考えていいと思うわ」",
"402000221_36": "「なあ、並行世界を探すって、あたしらはどうすればいいんだ?\\n 知ってる世界を回ればいいのか」",
"402000221_37": "「欲しいのは聖遺物の情報よ。伝手のある世界じゃないと\\n 情報を得るのも難しいだろうし、そうしてくれればいいわ」",
"402000221_38": "「……直接聖遺物について聞ける相手がいる世界となると、\\n そう多くはないわね」",
"402000221_39": "「伝手のある世界……。\\n 奏さんのところとか、セレナのところとかデスかね」",
"402000221_40": "「あとはドクターのいる世界とか……」",
"402000221_41": "「そっちはクリス先輩にお任せするデス」",
"402000221_42": "「あたしかよッ!?」",
"402000221_43": "「あとは、もう1人の響がいる世界……」",
"402000221_44": "「とにかく、二課かそれに相当する組織のある世界だろう」",
"402000221_45": "「こちらでもあちこちの世界に人を送っているけど、今のところ\\n めぼしい情報は無いの。だから、お願いするわ」",
"402000221_46": "「あの、少しいいでしょうか?」",
"402000221_47": "「何かしら?」",
"402000221_48": "「今、あちこちの世界に人を送っていると言っていましたが、\\n これは、装者以外も並行世界へ渡れるということですか」",
"402000221_49": "「ええ、もちろんそうよ。\\n わたしも装者ってわけじゃないもの」",
"402000221_50": "「なッ!?\\n 装者でなくとも、ギャラルホルンの空間を通れるというのか」",
"402000221_51": "「それはどんな方法なんですか?」",
"402000221_52": "「わたしたちはギャラルホルンじゃなくて、別の物を使って\\n 世界を渡っているの」",
"402000221_53": "「この『デュプリケイター』という装置でね」",
"402000221_54": "「デュプリケイター……?」",
"402000221_55": "「デュプリケイターはカオスビーストの体から採取した鉱石を\\n 核として、ゲート移動の機能を持たせた道具なの」",
"402000221_56": "「これを使えば、ギャラルホルンの空間……つまり並行の可能性を\\n 繋ぐ通路に、出入りすることが可能」",
"402000221_57": "「まあ、いくつか条件はあるんだけどね。\\n でも、装者でなくとも移動は可能よ」",
"402000221_58": "「そんなものが……。\\n あの、それを借りることはできないでしょうか」",
"402000221_59": "「……ごめんなさい。それはできないわ」",
"402000221_60": "「デュプリケイターは、先祖たちが時間を掛けて作り、\\n 数を増やしてきた大切な物」",
"402000221_61": "「そのために犠牲になった者の数も少なくない……」",
"402000221_62": "「それに、スクルドの中ですら不足している状況なの」",
"402000221_63": "「だから、協力相手とはいえ、\\n 他の組織に貸し出すことはできないわ」",
"402000221_64": "「そうですか……」",
"402000221_65": "「気分を悪くしたら、ごめんなさい」",
"402000221_66": "「無い物ねだりをしても仕方ない。\\n 俺たちは俺たちにできることをやるべきだろう」",
"402000221_67": "「はい」",
"402000221_68": "「ではより具体的に、探す世界の選定と、\\n 担当する装者について決めて行こう」"
}

View file

@ -0,0 +1,30 @@
{
"402000222_0": "「悪いね。\\n こっちに来て早々、手伝ってもらっちゃってさ」",
"402000222_1": "「全然。奏にはいつも助けられてるから」",
"402000222_2": "「そうかな?\\n なら、お互い様ってことで」",
"402000222_3": "「フフ……そうだね」",
"402000222_4": "「それで、急にこっちに来たのは、そっちで何かあったのか?\\n あの蛇関連のこととか」",
"402000222_5": "「うん……詳しくは二課に戻ってから話すよ」",
"402000222_6": "「2人ともご苦労さん」",
"402000222_7": "「お疲れ様。さっすが、息ピッタリだったわね」",
"402000222_8": "「はい」",
"402000222_9": "「ハハ、まあね」",
"402000222_10": "「それで、急にこちらに来た用件を聞いてもいいか?」",
"402000222_11": "「はい、実は――」",
"402000222_12": "「――という形で、スクルドという組織と協力する事になり、\\n 今、各並行世界を回って、ミョルニルを探しているんです」",
"402000222_13": "「『ミョルニル』ね……」",
"402000222_14": "「古ノルド語で『粉砕するもの』を意味する、\\n 北欧神話に出てくる雷神トールの武器よね」",
"402000222_15": "「はい。こちらでその聖遺物が見つかった、\\n という記録はありませんか」",
"402000222_16": "「うーん……。少なくとも私の知る限りではないわね。\\n 弦十郎くんはどう」",
"402000222_17": "「……俺も今まで目にしたことも、聞いたこともないな。\\n 聖遺物関連については立場上、かなり耳が早い方ではあるが……」",
"402000222_18": "「だが、他国についてはわからない。可能な範囲で問い合わせてみよう」",
"402000222_19": "「ご協力感謝します」",
"402000222_20": "「なるほど。それでその『ミョルニル』という聖遺物を\\n 探しているのですね」",
"402000222_21": "「ええ。マムは聞いたことはないかしら?」",
"402000222_22": "「そうですね……。少なくとも起動済みの完全聖遺物の中に\\n ミョルニルというものはなかったと思います」",
"402000222_23": "「そう……」",
"402000222_24": "「起動していないものの中にあったりしないのかな?」",
"402000222_25": "「どうでしょう……未研究で不活性状態の聖遺物まではわかりません。\\n ひとまずリストと照合してみましょう」",
"402000222_26": "「あとは、私から本国のF.I.S.研究所にも確認を取ってみます。\\n 可能性は低いですが、向こうに情報があるかもしれません」",
"402000222_27": "「ありがとう、マム」"
}

View file

@ -0,0 +1,47 @@
{
"402000231_0": "「おっさん」",
"402000231_1": "「クリスくんか。どうした?」",
"402000231_2": "「ああ、こっちでちょっと動きがあって、\\n 世界蛇のことで相談に来たんだ」",
"402000231_3": "「世界蛇の……そうか。\\n わかった。了子くんを呼び出すから、ちょっと待ってくれ」",
"402000231_4": "「出ないな、気づいていないのか」",
"402000231_5": "「どこにいるんだ?」",
"402000231_6": "「研究室にいるはずなんだが、\\n 最近はこうして籠っていることが多くてな」",
"402000231_7": "「なんでも、世界蛇の一件の後から気になることがあるらしい」",
"402000231_8": "「手伝えるなら手伝いたいものだが、\\n 俺は研究方面ではほとんど力になれないからな」",
"402000231_9": "「呼びに行けないのか?」",
"402000231_10": "「行けなくもないが、鬼気迫るといった様子でな……。\\n なるべく邪魔はしたくないと思っている」",
"402000231_11": "「そっか。ならおっさんだけでも――」",
"402000231_12": "「気づいたようだ。ちょっと待っていてくれ」",
"402000231_13": "「一体なんの用?\\n どうでもいい用件なら、即切るわよ」",
"402000231_14": "「ああ。それなんだが、クリスくんが来ている。\\n なんでも世界蛇に関係することで相談があるらしい」",
"402000231_15": "「……そういうことは早く言いなさい。\\n すぐそちらに行くわ」",
"402000231_16": "「来てくれるようだ。\\n ところでウェル博士はどうする」",
"402000231_17": "「必要なら彼にも連絡をしてみるが――」",
"402000231_18": "「今はいい。\\n もし必要なら後で知らせておいてくれ」",
"402000231_19": "「わかった」",
"402000231_20": "「待たせたかしら?」",
"402000231_21": "「いや、忙しそうなところ悪いな」",
"402000231_22": "「構わないわ。\\n 世界蛇のことで来たんでしょ。話して頂戴」",
"402000231_23": "「ああ、それじゃ、早速だけど、\\n この前、こっちにスクルドっていう組織のやつが来て――」",
"402000231_24": "「――ってことで、ミョルニルってやつを探すのを\\n 手伝うことになったんだ。知らないか」",
"402000231_25": "「ミョルニルか……いや、聞いたことはないな」",
"402000231_26": "「……ミョルニル。それは『世界蛇を殺す』聖遺物なのね?」",
"402000231_27": "「そうらしい。とは言え、今の世界蛇は強大になりすぎて、\\n それでも、容易にはいかなそうだけどな」",
"402000231_28": "「…………」",
"402000231_29": "(目的と効果の乖離……。世界蛇側の変化、もしくは聖遺物側の\\n ポテンシャルが引き出されていないのか……",
"402000231_30": "(しかし対抗として作られた物なら、それ相応の効果や特性も\\n 付与されているはず。必要としているのはそれが理由……",
"402000231_31": "「なあ、どうかしたか?」",
"402000231_32": "「どうって?」",
"402000231_33": "「考え込むってことは、もしかして知ってるのか?」",
"402000231_34": "「知らないわ。ミョルニルという聖遺物は、\\n この世界の私の記憶には無いから」",
"402000231_35": "「そうか……」",
"402000231_36": "(世界を食らう蛇とそれに対抗するための聖遺物。\\n それは一体なんのための物なのか……",
"402000231_37": "(私の記憶に無いものだらけ……、\\n ……心から不快ね",
"402000231_38": "(敵にいるフィーネ。それは私とは違う。\\n いえ、並行の世界にいる私、その誰とも恐らく違う……",
"402000231_39": "「こういうのも、自分に腹が立つって言うのかしらね……」",
"402000231_40": "「……どうかしたのか?」",
"402000231_41": "「なんでもないわ。それより、あなたはすぐ帰るの?」",
"402000231_42": "「ああ。とりあえず収穫はなかったって報告もあるし、\\n そのつもりだけど」",
"402000231_43": "「ちょっと待ってなさい。渡す物があるわ」",
"402000231_44": "「渡す物……?」"
}

View file

@ -0,0 +1,28 @@
{
"402000311_0": "ミョルニルの捜索",
"402000311_1": "「マムに本国の方も調べてもらったんだけど、\\n 引っかかるものは無かったみたい」",
"402000311_2": "「こちらもだ。二課以外の組織にも当たってもらったが、\\n それらしき情報は返ってこなかった」",
"402000311_3": "「……あたしの方も似たようなもんだ」",
"402000311_4": "「難航しているな……」",
"402000311_5": "「スクルドでも多くの並行世界を調べているけど、\\n 手がかりは皆無。そう簡単には見つからないと思うわ」",
"402000311_6": "「捜索範囲を広げて、二課相当の組織が無い世界も\\n 調査するべきかもしれません」",
"402000311_7": "「もしくは、既に調べた世界も含め、時間を取って\\n なるべく詳細に情報をさらうか……」",
"402000311_8": "「しかしそうなると、人手が足りないのが悩みどころだな」",
"402000311_9": "「そちらについてですが、向こうの二課より、捜索の協力の\\n 申し出がありました。追って、奏を派遣してくれるそうです」",
"402000311_10": "「わたしの方も、捜索の協力のためにセレナを派遣しましょうと\\n マムから提案があったわ」",
"402000311_11": "「それはありがたい申し出だな」",
"402000311_12": "「あの、少しだけいいでしょうか……?」",
"402000311_13": "「……ええ。何かしら?」",
"402000311_14": "「ミョルニルが必要というのは理解していますが、\\n それ以外に世界蛇に対抗する方法は無いのでしょうか」",
"402000311_15": "「…………」",
"402000311_16": "「世界蛇に勝つために、例え少ない可能性でも、方法があるなら\\n 挑戦するべきだと思うんです」",
"402000311_17": "「……残念だけど、ミョルニル以上に有効な手立ては無いわ。\\n わたしたちも、もちろん理解はしているんだけど」",
"402000311_18": "「世界蛇には、並の聖遺物では歯が立たない。\\n 唯一対抗できるものが、ミョルニルなの」",
"402000311_19": "「そうですか……。それでは、見つかるかはわかりませんが、\\n ボクの方でも探してみます」",
"402000311_20": "「え、探す……?」",
"402000311_21": "「はい、世界蛇に対抗する方法を、ですッ!」",
"402000311_22": "「難しいことはわかっています。それでも、\\n できることがあるなら、全部やっておきたいんです」",
"402000311_23": "「だから、もしスクルドの方で何かわかったら、\\n 教えてください。一緒に、世界蛇を倒すためにッ」",
"402000311_24": "「……ええ、わかったわ」",
"402000311_25": "(一緒に……か。ごめんなさいね……)"
}

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@ -0,0 +1,31 @@
{
"402000312_0": "「どうですか?」",
"402000312_1": "「そうだね……。\\n 特に問題があるようには思えないけど――」",
"402000312_2": "「でも、わたしじゃ全然歯が立ちませんでした……」",
"402000312_3": "「そりゃあたしにも意地があるしね」",
"402000312_4": "「それより、いきなり稽古をつけてくれなんて、どうしたんだい?」",
"402000312_5": "「こっちも身体を動かしたかったし、即OKしておいてなんだけど\\n よくよく考えたら、どうしてあたしなんだろうって思ってさ」",
"402000312_6": "「前に、訓練で姉さんたち3人を相手にして、互角に戦っていた\\n 姿を見たんです。だから、そんなふうに強くなりたいって……」",
"402000312_7": "「参ったね。でも、あっちは本気じゃなかっただろ。\\n デュオレリックの力もあったし、たまたまだよ」",
"402000312_8": "「それでも、わたしじゃ姉さんたち3人と渡り合うなんて\\n できません……」",
"402000312_9": "「だから、もっと強くなって戦えるようになりたいんです」",
"402000312_10": "(……なんか、こっちの翼と再会した直後の、\\n 自分を思い出すね……",
"402000312_11": "「……焦りはよくないよ。\\n むやみやたらに力を求めたって、上手くいかないもんだ」",
"402000312_12": "「……マムにも、姉さんにもそう言われます」",
"402000312_13": "「でも、姉さんは同じアガートラームなのに、\\n あんなに強くて……」",
"402000312_14": "「……1つ話をしようか。昔、バカな装者がいてさ、\\n 力が欲しくて、他人のギアを使おうとしたんだ」",
"402000312_15": "「え……?」",
"402000312_16": "「同じ聖遺物からできているギアだから、自分にも使える。\\n 同じ条件なら、自分も同じ力が出せるはずってね」",
"402000312_17": "「…………」",
"402000312_18": "(同じ聖遺物……。\\n わたしと姉さんのアガートラームじゃないとするなら――",
"402000312_19": "(立花さんと天羽さんのガングニール……?)",
"402000312_20": "(それじゃ、これは天羽さん自身の――)",
"402000312_21": "「……けれど、失敗した。\\n その装者はなにより、本来の持ち主と比べて心が弱かった」",
"402000312_22": "「弱い心では力の制御が追いつかなくて、破壊衝動に負けて暴走。\\n そこまで失敗して、やっと自分の弱さに気づけたのさ……」",
"402000312_23": "「本当に足りなかったのは、ギアじゃない。\\n 自分の弱さを直視する勇気だったんだ」",
"402000312_24": "「そのバカに比べたら、あんたは強いよ。\\n 弱さを自覚して、強くなろうとしている」",
"402000312_25": "「それに、あんたは、あたしと違って時限式じゃない。\\n 才能も資質も、きっとあたし以上にいいものを持っている」",
"402000312_26": "「だから大丈夫。焦って道を踏み外しちゃダメだ。\\n 身体以上に心を強くしていくことが大事なんだよ」",
"402000312_27": "「心を、強くする……。\\n わかりました。ありがとうございますッ」",
"402000312_28": "「頑張れ。\\n あたしならいつでも訓練に付き合うからさ」"
}

View file

@ -0,0 +1,24 @@
{
"402000321_0": "「シャロンちゃん元気かな。\\n 早く会いたいなー」",
"402000321_1": "「そうだな。いい子にしているといいが」",
"402000321_2": "「大丈夫だろ。\\n 頼りになる人もついてるしな」",
"402000321_3": "「二課に急ぎましょうッ!\\n 早く早くッ」",
"402000321_4": "「そんなに慌てなくてもあいつは逃げないだろ。\\n 落ち着けって」",
"402000321_5": "「ええー、でもクリスちゃんだって、\\n 早く会いたいんじゃないの」",
"402000321_6": "「そ、それはまあ……。\\n でも、そんなに焦るようなことじゃ――」",
"402000321_7": "「……いや、焦るべき状況のようだ」",
"402000321_8": "「先輩まで何を言って――」",
"402000321_9": "「あれを見ろッ!」",
"402000321_10": "「アレって確か、オートマシンでしたっけッ!?」",
"402000321_11": "「Imyuteus amenohabakiri tron――」",
"402000321_12": "「数が多い、油断するなッ!\\n 固まって迎撃を――」",
"402000321_13": "「……なんか、わたしたちスルーされてる?」",
"402000321_14": "「アイツら、どこに向かってるんだ?」",
"402000321_15": "「わからない……。\\n ひとまず追いかけてみよう」",
"402000321_16": "「あ、あれッ! ノイズがッ!」",
"402000321_17": "「オートマシンがノイズと戦闘しているッ!?」",
"402000321_18": "「なんだこれ、どうなってんだ……?」",
"402000321_19": "「どうしますか……?」",
"402000321_20": "「オートマシンのことは、一旦保留にしよう。\\n 今は先にイズの対処を行うッ」",
"402000321_21": "「ああ、了解だッ!」"
}

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@ -0,0 +1,50 @@
{
"402000322_0": "「はあああああ――ッ!」",
"402000322_1": "「これでノイズは全て倒した。\\n オートマシンは――」",
"402000322_2": "「止まったな……。これ、どういうことだ?」",
"402000322_3": "「危険は無い、と判断していいものか……」",
"402000322_4": "「装者のみなさんですね。\\n 風鳴司令より、ご案内するように言付かっております」",
"402000322_5": "「二課の方ですか?\\n あのオートマシンについて伺ってもよろしいでしょうか」",
"402000322_6": "「あれはもう敵ではなく、二課の指揮下にあります」",
"402000322_7": "「え? でもオートマシンはシャロンちゃんたちじゃないと――。\\n まさか、聖遺物を使わせてるんじゃ――ッ」",
"402000322_8": "「詳しくは司令にお尋ねになってください。\\n お送りしますので、車へどうぞ」",
"402000322_9": "「……どうやら、是が非でも\\n 話を聞かせてもらう必要があるみたいだな」",
"402000322_10": "「風鳴司令、装者の皆様方をお連れしました」",
"402000322_11": "「ご苦労だった。通常業務に戻ってくれ」",
"402000322_12": "「了解しました。失礼します」",
"402000322_13": "「やはり君たちだったか。\\n 検知された反応からそうだとは思っていたが」",
"402000322_14": "「……お久しぶりです」",
"402000322_15": "「ああ、\\n ……何か言いたそうな顔だな」",
"402000322_16": "「聞かせてくださいッ!\\n あのオートマシンは――」",
"402000322_17": "「うわわッ!?」",
"402000322_18": "「お姉ちゃんッ!!」",
"402000322_19": "「シャロンちゃんッ! よかったーッ!\\n 元気にしてた」",
"402000322_20": "「うんッ!\\n またお姉ちゃんたちが来てくれて嬉しいッ」",
"402000322_21": "「……どうみても、元気だな」",
"402000322_22": "「ああ、もしやオートマシンとは無関係なのか……?」",
"402000322_23": "「なるほど。先ほどの厳しい表情はオートマシンの制御を\\n この子たちにさせていると思った、といったところか」",
"402000322_24": "「はい……」",
"402000322_25": "「結論から言うが、それは勘違いだ。\\n 融合症例が進む危険があるのに、そんなことはさせられん」",
"402000322_26": "「じゃあ、あれはどうやって動かしてるんだ?」",
"402000322_27": "「オズワルドの残した研究データの1つの成果だ。\\n 制御にヤントラ・サルヴァスパを使わずに、運用している」",
"402000322_28": "「そんなことができるんですか?」",
"402000322_29": "「オートマシンは元々ヴィマーナに付属したガーディアンだ。\\n ヤントラ・サルヴァスパが無ければ使えないという物ではない」",
"402000322_30": "「オズワルドの研究データによると、オートマシン同士は\\n 電気信号に似たネットワークによって制御されており――」",
"402000322_31": "「研究を進める中で、それに干渉する方法も見つけていたようだ」",
"402000322_32": "「それならどうしてシャロンちゃんたちを……」",
"402000322_33": "「干渉が可能とはいえ、完全な制御まではできなかったようだ」",
"402000322_34": "「今の我々の状況が正にそうだが、ごく単純な命令の付与が\\n 精一杯で、遠隔での制御や複数の命令付与はできない」",
"402000322_35": "「1つの命令が終了すればその場で機能を停止し、休眠状態と\\n なってしまう。これでは計画に使えないと判断したんだろう」",
"402000322_36": "「そのため、あの一件でオズワルドはシャロンとその姉妹に\\n 制御させていたようだ」",
"402000322_37": "「それにしたって、オートマシンはヴィマーナと\\n 一緒に沈んだんじゃないのか」",
"402000322_38": "「ああ、大半はそうだ。しかしヴィマーナの外で活動させていた\\n 機体も多くあったようで、それらを回収して利用している」",
"402000322_39": "「ちょうどつい先日から特異災害対策の1つとして、\\n 実戦投入されたところだ」",
"402000322_40": "「人を襲っていたオートマシンが、\\n 今度はイズから人を護ってるんですねッ」",
"402000322_41": "「その通りだ。しかしオートマシンにはシンフォギアのように\\n 位相差障壁を調律する機能などは付いていない」",
"402000322_42": "「先ほどは君たちの協力もあって助かったが、それこそ普段は\\n 物量戦による対処が精一杯だ」",
"402000322_43": "「損耗率も激しい上に、元が先史文明期の機械では修理も難しい。\\n だから騙し騙し使っているような状況だ」",
"402000322_44": "「……わたしたちが使えば、もっとちゃんと動かせるのに」",
"402000322_45": "「それは却下だ。如何なる理由があろうと、\\n 大人が子供を犠牲にするなど、絶対に許されないことだ」",
"402000322_46": "「心配性だなぁ……」",
"402000322_47": "「それが大人というものだ」"
}

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@ -0,0 +1,116 @@
{
"402000331_0": "「ところで君たちはどうしてこちらに?」",
"402000331_1": "「はい、それが少々厄介な事態が起きていまして……」",
"402000331_2": "「厄介な事態……?」",
"402000331_3": "「これから話すことは、荒唐無稽に思えるかもしれませんが、\\n 全て事実です」",
"402000331_4": "「また、内容が内容だけに、日本政府や米国政府との共有も\\n 難しいかと思われます」",
"402000331_5": "「……情報の共有は、最小限の人数までとすることを、\\n 約束していただけますでしょうか」",
"402000331_6": "「……どうやらよほどのことらしいな」",
"402000331_7": "「ああ。聞いたらある意味、戻れない類の話だ」",
"402000331_8": "「……わかった。\\n 私の責任において、最小限に留めると約束しよう」",
"402000331_9": "「どちらにしても君たちのことを知る者は多くない。\\n 並行世界などというものは、表向きにできる話ではないからな」",
"402000331_10": "「ありがとうございます。それではお話しします。\\n 並行世界全てを巻き込む、脅威について――」",
"402000331_11": "「――以上です。\\n それで今、わたしたちは世界蛇に対抗するために動いています」",
"402000331_12": "「……なんとも、確かにとんでもない話だ」",
"402000331_13": "「響お姉ちゃん……」",
"402000331_14": "「大丈夫。みんなは、わたしたちが護るから」",
"402000331_15": "「その世界蛇と呼ばれる脅威は、\\n いつかこの世界にも来る可能性がある、ということだな」",
"402000331_16": "「はい。\\n ですが、あの蛇は順に並行世界を食らっています」",
"402000331_17": "「順番がくればあたしらの世界もこっちの世界もガブリ、だ」",
"402000331_18": "「カルマノイズがその尖兵ではないかという推測もあります。\\n 実際、アレは世界蛇から産み落とされたモなので……」",
"402000331_19": "「……そうか。だとすると、可能性の上では\\n 明日それが現れても不思議はない、ということか」",
"402000331_20": "「日本政府……いや、仮に世界中の国が協力しても、\\n 対処できるようなものではなさそうだ」",
"402000331_21": "「……勝算はあるのか?」",
"402000331_22": "「わかりません……でも、必ず勝ちますッ!\\n 勝ってみせますッ」",
"402000331_23": "「実際にアレを目の当りにしたら、ちょっとばかし不安だけど、\\n それでも、やるしかないならやるだけだッ」",
"402000331_24": "「わたしも同じです。\\n 護るために、戦う以外の道が無いのならそれを貫くまでです」",
"402000331_25": "「…………」",
"402000331_26": "「世界蛇への対抗手段として、今わたしたちはとある聖遺物を\\n 探しています。今回こちらに来たのもそれが目的です」",
"402000331_27": "「とある聖遺物?」",
"402000331_28": "「はい。先ほどの話にも出てきた、世界蛇を退けた雷撃を\\n 生み出した聖遺物『ミョルニル』です」",
"402000331_29": "「――ッ!?」",
"402000331_30": "「シャロンちゃん……?」",
"402000331_31": "「神の雷を生み出す槌、か……。\\n まさかその名を君たちの口から聞くことになるとは……」",
"402000331_32": "「何か知っているのですかッ!?」",
"402000331_33": "「ただ神話を知ってるとかじゃないよなッ!?」",
"402000331_34": "「……ああ、知っている。\\n この目で見たことがあるからな……」",
"402000331_35": "「詳しい話を聞かせてもらえますか?」",
"402000331_36": "「……わかった。事態が事態だ。\\n そういうことならば、話しておくべきだろう」",
"402000331_37": "「『ミョルニル』は、米国政府保有の聖遺物だ。\\n 過去、その起動実験が行われたことがある」",
"402000331_38": "「その実験には、当時F.I.S.の研究員だったオズワルド、\\n 日本政府からの協力員の私、そして――」",
"402000331_39": "「オズワルドの妻で、この世界唯一の装者だったティナも\\n 立ち会っていた」",
"402000331_40": "「ティナさんって、確か……」",
"402000331_41": "「お母さん……」",
"402000331_42": "「そうだな。シャロンの母親でもある。\\n ちょうど君が生まれたばかりの頃だ……」",
"402000331_43": "「もうすぐ、もうすぐだッ! このミョルニルさえ起動すれば、\\n 特異災害など恐れるに足りんッ」",
"402000331_44": "「このデータは間違いないのか?\\n 起動時の予想出力がとんでもない数値になっているが……」",
"402000331_45": "「ああ。私も何度も計算しなおしたさ。しかし、間違いない。\\n この聖遺物にはとんでもない可能性があるってことだッ」",
"402000331_46": "「もう、この人ったら興奮しっぱなしで……」",
"402000331_47": "「ティナ、君も休まなくていいのか?\\n 先日出産を終えたばかりだろう」",
"402000331_48": "「ええ。でも、この人の夢がもうすぐ叶うかもしれないんです。\\n そのためなら、私が唄わないと」",
"402000331_49": "「……ああ、私の夢だ。\\n だがそれは、君の夢でもある」",
"402000331_50": "「え……?」",
"402000331_51": "「唯一の装者として、ただ1人ノイズと戦う……。\\n だが君は思っていたはずだ。普通の人として暮らしたいと……」",
"402000331_52": "「――ッ!?」",
"402000331_53": "「この実験が上手くいけば、理論上ではあるが、\\n 特異災害を瞬時に消滅させるだけの威力も期待できる」",
"402000331_54": "「そうすれば、もう君だけが戦う必要なんてない。\\n 娘と平和に暮らしていくことだって――」",
"402000331_55": "「あなた……」",
"402000331_56": "「オズワルド……お前、そのために今まで――」",
"402000331_57": "「ああ、そうだ。ティナを自由にしてやりたい、ずっと\\n そう思って研究に打ち込んできた」",
"402000331_58": "「誰か1人――いや、ティナが世界の犠牲になるなんて許せない。\\n だから私は、特異災害を装者に頼らず、打倒したいんだ」",
"402000331_59": "「そうして、我々は起動実験を開始した。\\n ミョルニルはティナの歌声で無事起動した。しかし――」",
"402000331_60": "「ミョルニルのエネルギー反応が増大していますッ!\\n このままでは――暴発しますッ」",
"402000331_61": "「制御装置はッ!?」",
"402000331_62": "「ダメですッ! まったく制御を受け付けませんッ!」",
"402000331_63": "「もう少し、もう少しだというのに――ッ!!」",
"402000331_64": "「オズワルドッ! これ以上は危険だッ!\\n 実験中止の判断をッ」",
"402000331_65": "「だが――」",
"402000331_66": "「オズワルドッ!!」",
"402000331_67": "「クッ――実験中止だッ!\\n ミョルニルの再封印を――」",
"402000331_68": "「ダ、ダメですッ!\\n ミョルニルが一切の制御を受け付けませんッ」",
"402000331_69": "「もう暴発は時間の問題ですッ!!\\n もし暴発すれば、付近一帯が焦土に――」",
"402000331_70": "「――仕方ない、全員待避だッ!\\n 急いで研究所から離れろッ」",
"402000331_71": "「…………」",
"402000331_72": "「ミョルニルは制御を受け付けなかった。\\n 無尽蔵にエネルギーを吸収し、暴発は時間の問題だった」",
"402000331_73": "「だが、退避しようとする私たちの背後で、歌が聴こえた――」",
"402000331_74": "「~~♪ ~~♪」",
"402000331_75": "「この歌はッ!?\\n まさか……ティナッ」",
"402000331_76": "「ティナ、何をしているッ!\\n 君も待避するんだッ」",
"402000331_77": "「ごめんなさい、あなた。\\n でも、このままじゃみんなが――」",
"402000331_78": "「わたしの絶唱なら、完全には無理でもミョルニルの暴発を\\n 少しは相殺できるかもしれない……だからッ」",
"402000331_79": "「何を言っているッ!?\\n どうして君ばかりがそうして――ッ」",
"402000331_80": "「八紘、オズワルドをお願い。\\n 私はなんとかしてみるから――」",
"402000331_81": "「……ティナ、死ぬなよッ!\\n ――オズワルドッ 今はここを離れるんだッ」",
"402000331_82": "「ありがとう。死ぬつもりなんてないわ。\\n だって可愛い娘と放っておけない旦那がいるんだもの」",
"402000331_83": "「<size=40>ティナ――――ッ!!</size>」",
"402000331_84": "「オズワルドッ! 行くぞッ!」",
"402000331_85": "「ティナの絶唱によって、ミョルニルの暴発は抑えられ、\\n 結果として我々は助かり――」",
"402000331_86": "「ティナ本人も絶唱のダメージを受けたが、\\n なんとか一命は取り留めた」",
"402000331_87": "「――しかし後日、そのダメージが抜けきらないまま、\\n ティナはイズとの戦いに出て、命を落とした……」",
"402000331_88": "「戦える者が、代わりの装者がいないが故に、\\n ティナは戦いに出るしかなかった……」",
"402000331_89": "「…………」",
"402000331_90": "「シャロンちゃん……」",
"402000331_91": "「……大丈夫。\\n もう知っている話だから……」",
"402000331_92": "「……その後、ミョルニルはどうなったんですか?」",
"402000331_93": "「他の研究者によって、制御についてはその後も試みられたが、\\n 成功はしなかったようだ」",
"402000331_94": "「そしてその後は、厳重に米国政府によって保管されていた。\\n ――今までは」",
"402000331_95": "「……今まではって、どういうことだ?」",
"402000331_96": "「それは――いや、情報の出し惜しみをしている場合ではないな」",
"402000331_97": "「つい先日、新たにミョルニルの制御実験を行う旨と、\\n その立ち会いについての打診があった」",
"402000331_98": "「過去にそんな事故があったというのに、なぜッ!?」",
"402000331_99": "「オズワルドが行ったヴィマーナの起動、\\n さらにはデモンストレーションによる力の誇示」",
"402000331_100": "「それが引き金となり、今や世界規模で、\\n 聖遺物に対しての関心が高まってしまったからだ」",
"402000331_101": "「まだ、表立っての動きは見られないが、\\n 複数の国で、不穏な動きが報告されている」",
"402000331_102": "「あんな恐ろしい力を見て、\\n それを、利用したいだなんて、どうして……」",
"402000331_103": "「……それが、人間ってやつなんだよ」",
"402000331_104": "「しかし、だからとて、制御できる保証は無いのでは?」",
"402000331_105": "「オートマシンを手に入れたことも大きな要因の1つだ」",
"402000331_106": "「もしもの場合でも、それを盾として人的被害は抑えられると\\n いった考えなのだろう」",
"402000331_107": "「わたしたちなら――いえ、きっと、ミーナさんならミョルニルを\\n 制御する方法を知ってるはずですッ だから――」",
"402000331_108": "「……私の一存ではどうにもできない。あれは米国政府の\\n 資産であり、日本政府のものでも、二課のものでもない」",
"402000331_109": "「それに、もし米国政府がミョルニルを正しく制御し、\\n この世界の安寧のために運用できるというのならば――」",
"402000331_110": "「この世界に生きる者として、例え君たちが相手でも\\n 渡すことには同意できない」",
"402000331_111": "「んなこと言って、世界蛇が来たらどうするんだよッ!」",
"402000331_112": "「脅威については理解している……。\\n ――だから、私からつ提案をさせてくれ」",
"402000331_113": "「提案……?」"
}

View file

@ -0,0 +1,45 @@
{
"402000411_0": "迷宮ミレニアムパズル",
"402000411_1": "「紹介するわ。\\n スクルドで副官をしているユリウスよ」",
"402000411_2": "「よろしく」",
"402000411_3": "「ああ、こちらこそ」",
"402000411_4": "「それで、ユリウス。\\n 何か問題でも」",
"402000411_5": "「『ミレニアムパズル』に向かった班が消息不明になった」",
"402000411_6": "「本当なの……?」",
"402000411_7": "「来るはずだった定時連絡が届いていない。\\n 少なくとも、何かあったのは間違いない……」",
"402000411_8": "「……横からすまない、\\n その『ミレニアムパズル』というのは……」",
"402000411_9": "「……ミーナ、構わないな?」",
"402000411_10": "「……いいわ」",
"402000411_11": "「ミレニアムパズルはギャラルホルン空間内に存在する、\\n 特殊迷宮だ。精霊の住処とも言われている」",
"402000411_12": "「精霊って……そんなものがいるんですか?」",
"402000411_13": "「存在する。ミレニアムパズルそのものが、\\n 精霊が作った物だと言われているのが証拠だ」",
"402000411_14": "「どうして精霊に会いに……?」",
"402000411_15": "「世界蛇に対抗できる可能性があるからだ。ミレニアムパズルを\\n 踏破すれば、精霊が力を貸してくれるという言い伝えがある」",
"402000411_16": "「精霊の名はドヴェルグ」",
"402000411_17": "「ミレニアムパズルを含め、一部の聖遺物は、\\n その昔、ドヴェルグが作ったと言われている」",
"402000411_18": "「聖遺物を作ったって……」",
"402000411_19": "「聖遺物は、過去に作られ、\\n 残された物という意味を持つから――」",
"402000411_20": "「正確には『超常的な力を秘めた道具』を作った、\\n というのが正しいわ」",
"402000411_21": "「あ、なるほど」",
"402000411_22": "「ところでデスけど、ドヴェルグって、\\n 何処かで聞いた気がするデス」",
"402000411_23": "「エルフナインと初めて出会った時、\\n エルフナインが持ってた物が確か――」",
"402000411_24": "「ドヴェルグ=ダインの遺産」",
"402000411_25": "「はい、以前ボクがイグナイトのために使った、\\n 魔剣ダインスレイフの欠片です」",
"402000411_26": "「そのドヴェルグがミレニアムパズルに住んでいる、\\n ということでしょうか」",
"402000411_27": "「正確には同じ種族、だろうな。\\n ドヴェルグというのは種族名とされている」",
"402000411_28": "「じゃあその精霊に会いに行った仲間が消息不明なんデスか?」",
"402000411_29": "「……そういうことだ」",
"402000411_30": "「それは、心配ですね……」",
"402000411_31": "「何か、思い当たる節はないのかい?」",
"402000411_32": "「……場所がギャラルホルンの空間だけに、\\n 考えられることは、カオスビーストの攻撃を受けたか……」",
"402000411_33": "「あとは……ウロボロスか」",
"402000411_34": "「その可能性もあるわね……。\\n いいわ、すぐに後を追いましょう」",
"402000411_35": "「わたしとユリウスを中心に、\\n スクルドからパズルに向かう人員を――」",
"402000411_36": "「風鳴翼、以下2名帰還いたしました」",
"402000411_37": "「――見つかりましたよッ! ミョルニルッ!」",
"402000411_38": "「<size=40>本当なのッ!?</size>」",
"402000411_39": "「ああ。あたしらが行ったことのある並行世界にあった。\\n 簡単に借りられるかどうかは別だけどな」",
"402000411_40": "「まさかこんなに早く見つかるとは……」",
"402000411_41": "「あれ? 何かあったんですか?\\n なんか暗い……」",
"402000411_42": "「あのね――」"
}

View file

@ -0,0 +1,130 @@
{
"402000421_0": "「なるほど……。\\n ミーナさんたちの方でそんなことが……」",
"402000421_1": "(どうすれば……。仲間は心配だけど、ミョルニルの入手は\\n 最優先事項。いつまでも武器を失ったままでは戦えない……",
"402000421_2": "(だからといって、わたしがミョルニルの入手に動けば、\\n 大事な仲間を見捨てることにも――",
"402000421_3": "「…………」",
"402000421_4": "(でも、ミョルニルの制御はわたしじゃないと行えない。\\n ううん、そもそもミョルニルの情報が正しいかどうかも――",
"402000421_5": "「……相談がある。我々と協力関係を結んだということは、\\n 装者の戦力についての貸与も期待していいのか」",
"402000421_6": "「ああ。もちろんそれも含んでいる。\\n 要請があれば、検討しよう」",
"402000421_7": "「ならばミレニアムパズルの調査に当たって、\\n 装者の協力を頼みたい」",
"402000421_8": "「……え?」",
"402000421_9": "「……ミレニアムパズルについてわかっているだけの情報の開示、\\n それに、現在予想される危険なども教えてくれるか」",
"402000421_10": "「もちろんだ。\\n ……ミーナ、ミレニアムパズルはこっちで担当する」",
"402000421_11": "「そんな……。\\n 何が起きているのかもわからないのに……」",
"402000421_12": "「だからこそだ。\\n ミーナはなによりミョルニル入手を優先してくれ」",
"402000421_13": "「こっちは俺と協力者でなんとかする。\\n 装者が護衛なら、戦力は足りるだろう」",
"402000421_14": "「戦力的にはそうだけど、でも――」",
"402000421_15": "「でも、はなしだ。戦力として足りているのなら、\\n 作戦に支障はないはず」",
"402000421_16": "「…………」",
"402000421_17": "「詳しいデータは後程転送する。\\n 交換条件として、複数名の装者の協力を願いたい」",
"402000421_18": "「いいだろう。連絡については?」",
"402000421_19": "「出発まではこちらの世界に滞在している。\\n 端末で呼び出してくれればいい」",
"402000421_20": "「わかった」",
"402000421_21": "「では、ひと足先に失礼する。\\n ミョルニルの方は頼んだぞ」",
"402000421_22": "「……ええ」",
"402000421_23": "「……さて、話が途中になっていたな。\\n 翼、お前たちの入手したミョルニルの情報について話してくれ」",
"402000421_24": "「はい、ミョルニルですが、以前報告した『シャロン』という\\n 少女のいる世界、そこの米国政府が保有しているようです」",
"402000421_25": "「聞いたところじゃ、昔、起動実験をして、起動自体は\\n 成功したらしい。ただ、制御については失敗して――」",
"402000421_26": "「事故が起きたらしいです。\\n それで、シャロンちゃんのお母さんが――」",
"402000421_27": "「……それは今はいいだろ。\\n とにかく、制御できずに米国政府で封印していたらしい」",
"402000421_28": "「ですが、最近になって再び制御の実験を行う計画があるとのことです」",
"402000421_29": "「無駄なことを……、\\n ただの研究員に、ミョルニルの制御なんてできるわけないのに」",
"402000421_30": "「そうなんですか?」",
"402000421_31": "「……ええ。あれに秘められた力は、とてつもなく強大。\\n 下手に触れれば、間違いなく暴走するわ」",
"402000421_32": "「向こうのお父様――いえ、風鳴八紘司令が言うには、\\n ミョルニルについての貸与は認められないとのことです」",
"402000421_33": "「ものが米国政府の保有ではな……。\\n 高度に政治的な問題も絡んでしまう……」",
"402000421_34": "「ただ、世界蛇の問題についても理解を示してくれています。\\n そのため、先方からとある提案を受けました」",
"402000421_35": "「提案?」",
"402000421_36": "「はい。ミョルニル制御実験に立会い、まずは現物の確認、\\n しかる後、もし制御に失敗した場合については――」",
"402000421_37": "「条件付きにはなるだろうが、こちらに渡せるよう、\\n 取り計らってくれるってさ」",
"402000421_38": "「……そうか。ご苦労だった」",
"402000421_39": "「……その世界はどこ?」",
"402000421_40": "「ミーナさん?」",
"402000421_41": "「……わたしがすぐに行って、回収してくる」",
"402000421_42": "「なッ!?」",
"402000421_43": "「正気かッ!?」",
"402000421_44": "「正気に決まってるでしょ。\\n それさえあれば、わたしは――」",
"402000421_45": "「いや、悪いがそれは我々が看過できない」",
"402000421_46": "「なぜ?」",
"402000421_47": "「聖遺物を無理矢理奪えば、国際問題に発展する。\\n それが戦争の引き金になる可能性もある」",
"402000421_48": "「……自分がよければすべてよし、という考えは嫌いでな」",
"402000421_49": "「例え並行世界だろうと、戦火の種を作るようなことは\\n 容認できない。これは君たちにも約束してほしい」",
"402000421_50": "「………わかったわ」",
"402000421_51": "「よし、それでは我々は『ミョルニルの確保』と\\n 『ミレニアムパズルの調査』の作戦について検討しよう」",
"402000421_52": "「詳しいデータを受け取り次第だが、恐らく双方の作戦に装者の\\n 参加が必須だろう」",
"402000421_53": "「お前たちはいつでも出られるよう、準備を進めてくれ」",
"402000421_54": "「了解ッ!」",
"402000421_55": "「2人の協力もありがたく受けさせてもらう」",
"402000421_56": "「ああ、任せてくれ」",
"402000421_57": "「わたしにできることなら、なんでもお手伝いします」",
"402000421_58": "「……どうだ、エルフナインくん?」",
"402000421_59": "「はい……。ユリウスさんから受け取った、ミレニアムパズルの\\n 情報について、確認が完了しました」",
"402000421_60": "「どうやらスクルドとしては、今まで何度か人員を派遣して\\n いたようです」",
"402000421_61": "(以前、ボクがミーナさんに世界蛇の対抗手段について\\n 尋ねた時、この事は教えてくれませんでした――",
"402000421_62": "(……やはり、ボクたちはまだ信用されていない、\\n ということでしょうか",
"402000421_63": "「ただ、今回については今までと異なり、ミョルニルを失った\\n ことで、スクルドでも腕利きによる調査を行ったとあります」",
"402000421_64": "「しかし、定時に入るはずの連絡が無く、なんらかのトラブルに\\n 巻き込まれた可能性がある、とあります。聞いた通りですね」",
"402000421_65": "「そうだな。しかし、スクルドは並行世界間での通信技術を\\n 保有しているのか」",
"402000421_66": "「詳しくはわかりませんが、それはなさそうです」",
"402000421_67": "「記録を見る限り、リアルタイムで通信を行っているのではなく、\\n 特定の並行世界にて、連絡員と落ち合っているようなので」",
"402000421_68": "「そうなると、ますます何が起きたかはわからない、\\n ということか」",
"402000421_69": "「はい。可能性としては、ウロボロスによる襲撃、ガンドもしくは\\n カオスビーストとの遭遇が考えられるとあります」",
"402000421_70": "「ガンドはカルマノイズのことだったな……」",
"402000421_71": "「はい、そして、カオスビーストとは、\\n ギャラルホルンの空間内に存在する、特殊な怪物のようです」",
"402000421_72": "「以前、装者より報告のあった巨大な怪物だな。\\n ギャラルホルンの強いアラートの原因でもある……」",
"402000421_73": "「それが待ち構えているとなれば、接触は避けられまい。\\n ……できる限りの情報を、装者へ伝えよう」",
"402000421_74": "「――状況については以上だ」",
"402000421_75": "「カオスビースト……あの怪物が」",
"402000421_76": "「とっくにあたしらも遭遇してたんだな。\\n そりゃ、あんなのに会ったら――」",
"402000421_77": "「ああ。スクルドの腕利きとやらも、無事では済まないだろう」",
"402000421_78": "「カルマノイズだけでも大変なのに、\\n 世界蛇にカオスビーストね……」",
"402000421_79": "「次から次へと、敵だらけデス……」",
"402000421_80": "「うん……」",
"402000421_81": "「さて、状況について共有したところで、作戦行動の話だ。\\n 今回はつの班に分かれてもらう」",
"402000421_82": "「ミョルニル班と、ミレニアムパズル班と、\\n あとつはなんですか」",
"402000421_83": "「並行世界側との連絡員兼、もしもの時の増援部隊だ。\\n 通信などの連絡が使えない以上、考慮しておきたい」",
"402000421_84": "「ミョルニルについては、向こうの世界に慣れている、響くん、\\n 翼、クリスくんの名。それと君に同行してもらう」",
"402000421_85": "「……ええ、そうさせてもらうわ」",
"402000421_86": "「ミレニアムパズルの側については、マリアくん、調くん、\\n 切歌くんの名、こちらはユリウス氏が同行する」",
"402000421_87": "「そのユリウスさんの姿が見えませんけど……」",
"402000421_88": "「作戦開始時に合流するそうだ。\\n 向こうは向こうで準備があるらしくてな」",
"402000421_89": "「残りの3名は、先ほど話した\\n 連絡員兼増援部隊として、待機してもらいたい」",
"402000421_90": "「はい……」",
"402000421_91": "(前に無茶しすぎちゃったし、仕方ないか……)",
"402000421_92": "「増援部隊……」",
"402000421_93": "(やっぱり、わたしじゃ力が足りないから……)",
"402000421_94": "「…………」",
"402000421_95": "「グループ分けについては以上だ。\\n 何か意見がある者は」",
"402000421_96": "「――なあ、ちょっといいかな?」",
"402000421_97": "「構わない」",
"402000421_98": "「ミレニアムパズルの方だけど、敵の妨害も予想されるんだろ?\\n それなら、装者の数は少しでも多い方がよくないか」",
"402000421_99": "「……一理あるな」",
"402000421_100": "「こちらとしても、可能ならお願いしたいわ。\\n 不測の事態が起こりやすいのは、そちらの方だから」",
"402000421_101": "「了解した。ではあと1人……。\\n そうだな――」",
"402000421_102": "「あたしは、この子を推すよ」",
"402000421_103": "「えッ!?」",
"402000421_104": "「そっちのメンバーとうまく連携とれるのは、\\n この子をおいて他にいないだろ」",
"402000421_105": "「確かに、マリアくんたちとの連携を考えれば、君が適任だろう。\\n よろしく頼めるか」",
"402000421_106": "「は、はいッ! もちろんです」",
"402000421_107": "「セレナと一緒デースッ!」",
"402000421_108": "「うん」",
"402000421_109": "「一緒に頑張りましょう」",
"402000421_110": "「……うん、姉さん」",
"402000421_111": "「それと、増援の方だけど、翼と組ませちゃくれないかい?」",
"402000421_112": "「え?」",
"402000421_113": "「奏……?」",
"402000421_114": "「こっちの人数が少なくなった分、よりやりやすい相手と\\n 組んだ方がいいかなってね」",
"402000421_115": "「……翼、お前はどうだ?」",
"402000421_116": "「そうですね……。\\n わたしは奏の提案に賛成します」",
"402000421_117": "「ならば未来くんと翼は交代としよう。\\n 未来くんもそれでいいかな」",
"402000421_118": "「はいッ!」",
"402000421_119": "「未来、一緒に頑張ろうねッ!」",
"402000421_120": "「うんッ!」",
"402000421_121": "「他は無いな?\\n では、スクルド側の人員と合流次第、作戦を開始とするッ」",
"402000421_122": "「あの、奏さんッ!」",
"402000421_123": "「どうしたんだ、2人揃って」",
"402000421_124": "「さっきのグループ分けなんですけど」",
"402000421_125": "「あれは、わたしたちのために……?」",
"402000421_126": "「……さあね、どうだったかな。\\n そんなことより、人とも頑張りな」",
"402000421_127": "「あの、ありがとうございます」"
}

View file

@ -0,0 +1,39 @@
{
"402000422_0": "「さて、連携の確認はこれくらいにしましょうか」",
"402000422_1": "「そうだね」",
"402000422_2": "「気合い十分デースッ!」",
"402000422_3": "「…………」",
"402000422_4": "(やっぱり、どうしてもわたしだけ、\\n 姉さんたちの足を引っ張ってる……",
"402000422_5": "(姉さんのように強固な盾にもなれず、月読さんや暁さんのように\\n 一糸乱れぬ連携もできず、中途半端なわたし……",
"402000422_6": "(……わたしは、もっと頑張らないといけないんだ)",
"402000422_7": "「姉さん、まだ時間あるかな?」",
"402000422_8": "「ええ。大丈夫だと思うけど……」",
"402000422_9": "「もう少し、訓練を続けさせてほしいの」",
"402000422_10": "「……いいわ。もう少し続けましょう」",
"402000422_11": "「おお、セレナも気合い十分デスね」",
"402000422_12": "「うん、わたしたちも負けてられないね」",
"402000422_13": "「…………」",
"402000422_14": "(ミョルニルは話を聞く限り、本物に思える。でも、貸して\\n もらうなんて、まどろっこしいことをしている時間は――",
"402000422_15": "(……もし、ミレニアムパズルの方にベアトリーチェたち\\n ウロボロスが罠を張っていたら――",
"402000422_16": "(今、スクルド内で戦闘能力があるのは数人だけ……\\n デュプリケイターの数も足りない……",
"402000422_17": "(……今までにもこういうことはあったのに、\\n ミョルニルが無いだけで、こんなに不安になるなんて",
"402000422_18": "(もっと、スクルドに戦力があれば――)",
"402000422_19": "「……大丈夫ですか?」",
"402000422_20": "「……え?」",
"402000422_21": "「不安そうに見えましたから」",
"402000422_22": "「……仲間が心配なの。もし、ウロボロスが\\n ミレニアムパズルの方に罠を張っていたらと思うと――」",
"402000422_23": "「嫌な予感が……不安が頭を離れなくて……」",
"402000422_24": "「それでしたら、えっと……なんとかって装置を1つ師匠に\\n 貸すのはどうですか」",
"402000422_25": "「……デュプリケイターのこと? どうして?」",
"402000422_26": "「師匠に向こうの援護に行ってもらえば、\\n 安心できるかなって思いまして」",
"402000422_27": "「どういうこと?\\n ただの人間じゃウロボロスと渡り合うなんて――」",
"402000422_28": "「……あのおっさんはただの人間、って言っていいのか?」",
"402000422_29": "「アハハ……」",
"402000422_30": "「とにかく、聖遺物の力も使えない人物じゃ話にならないわ」",
"402000422_31": "「聖遺物とかギアが無くても、強い人は強いんですよ」",
"402000422_32": "「……よくわからないわ。どちらにしても、デュプリケイターの\\n 余りは無いから、貸すことはできないけど……」",
"402000422_33": "「そうですか……」",
"402000422_34": "「おっさんの場合、司令なんだから、\\n そんなほいほい現場になんて行けないだろ」",
"402000422_35": "「わたしもそう思うな」",
"402000422_36": "「確かにそうだよね……」"
}

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@ -0,0 +1,82 @@
{
"402000511_0": "希望を手にするために",
"402000511_1": "「話には聞いていましたけど、本当に生身のままで\\n 並行世界に行けるんですね……」",
"402000511_2": "「ええ、このデュプリケイターがあればね」",
"402000511_3": "「便利なもんがあるんだな……」",
"402000511_4": "「それより、どこに行けばいいの?\\n なるべく急ぎましょう」",
"402000511_5": "「あ、そうでした。\\n まずは二課に行かないと」",
"402000511_6": "「場所はやっぱり、リディアンの地下なの?」",
"402000511_7": "「ああ。その辺だ」",
"402000511_8": "「こんにちはー」",
"402000511_9": "「失礼します」",
"402000511_10": "「君たちか。待っていたぞ」",
"402000511_11": "「こっちは同じ装者の仲間で、\\n こっちが世界蛇対策で協力してる組織のやつだ」",
"402000511_12": "「小日向未来です。よろしくお願いします」",
"402000511_13": "「わたしは、ミーナ。\\n 世界蛇に対抗するため、スクルドという組織を率いているわ」",
"402000511_14": "「特異災害対策機動部二課、司令の風鳴八紘だ。\\n こちらこそ、よろしく頼む」",
"402000511_15": "「……ところで、君は装者ではないのか?\\n 確か並行世界を渡れるのは、装者だけと聞いていたが……」",
"402000511_16": "「わたしたちの組織では、\\n 装者でなくとも並行世界を移動できる手段をもっているの」",
"402000511_17": "「装者以外にも並行世界を渡る術があるのか……ッ!?」",
"402000511_18": "「そうよ、けれど簡単にはできないわ。\\n 特殊な鉱石を利用した装置が無いと不可能だから」",
"402000511_19": "「……それは、表向きは無理としておいた方がよさそうだな。\\n 全く、上に報告できないことばかり増えていくな……」",
"402000511_20": "「アハハ、すみません……」",
"402000511_21": "「気にしないでくれ。君たちには恩もある。\\n それに、毒を食らわば皿まで、だ」",
"402000511_22": "「それより、ミョルニルの件だけど……」",
"402000511_23": "「ああ、それについてだが、ひとまず米国政府からの研究要請に\\n 返答を出しておいた」",
"402000511_24": "「責任者として私、それに数名の護衛と研究者を同行させると\\n 連絡してある」",
"402000511_25": "「護衛と研究者……って、わたしたちのことですよね?」",
"402000511_26": "「そうだ。どちらでも構わないが、\\n できるだけそれらしく振舞ってくれると助かる」",
"402000511_27": "「それならわたしは研究者ね。\\n ミョルニルについては多分、一番詳しいだろうから」",
"402000511_28": "「あたしは護衛かな。研究者なんてガラじゃないしな」",
"402000511_29": "「響はどうする?」",
"402000511_30": "「わたしも護衛で。\\n 研究者ってなんだか頭痛くなりそうだし」",
"402000511_31": "「響がそうなら、わたしも同じでお願いします」",
"402000511_32": "「わかった。\\n ではそのように、臨時に二課の職員として登録しておこう」",
"402000511_33": "「出発は?\\n 今、ミョルニルは米国にあるのよね」",
"402000511_34": "「先方からの返事を待ってからになる。\\n そう長い時間はかからないと思うが――」",
"402000511_35": "「……わかったわ」",
"402000511_36": "「ところで、シャロンちゃんは?」",
"402000511_37": "「あの子ならメディカルチェック中だ」",
"402000511_38": "「何かあったのかッ!?」",
"402000511_39": "「まさか、融合症例が――」",
"402000511_40": "「いや、ただの定期健診的なものだ。\\n 現状は融合症例の進行は確認されていない」",
"402000511_41": "「恐らく、少ししたら戻るだろう」",
"402000511_42": "「はー、よかったぁ……」",
"402000511_43": "「さて、以前使ってもらっていた部屋を空けてある。\\n 返事がくるまでは、自由に使ってくれて構わない」",
"402000511_44": "「二課の施設も、必要であれば、使ってくれ。\\n 何かあったら私の名前を出してくれればいい」",
"402000511_45": "「はい、わかりましたッ!」",
"402000511_46": "「待たせた」",
"402000511_47": "「そっちの準備は、もういいのですか?」",
"402000511_48": "「ああ。こちらは俺と仲間が数名同行する」",
"402000511_49": "「よろしくお願いします」",
"402000511_50": "「状況次第ではあるが、こちらに戦闘力は期待しないでくれ」",
"402000511_51": "「自分の身くらいは護れる者を厳選はしているが、\\n ガンドやカオスビーストと渡り合うのは難しい」",
"402000511_52": "「そっちはアタシたちにお任せデスッ!」",
"402000511_53": "「はい、こちらで対処します」",
"402000511_54": "「期待させてもらう。では進もう」",
"402000511_55": "「こっちだ。あまり俺から離れないようにしてくれ」",
"402000511_56": "「あの、もしここで迷子になったらどうなるんでしょうか?」",
"402000511_57": "「そのまま遭難し、どこかの並行世界へと落ちる」",
"402000511_58": "「運よくギャラルホルンの出入り口があれば、\\n 帰ってこられるかもしれないが――」",
"402000511_59": "「無ければ、自力での帰還は不可能と思った方がいい」",
"402000511_60": "「それにもし、\\n まともじゃない世界に落ちれば、一巻の終わりだ」",
"402000511_61": "「まともじゃないって……、\\n そんな危険な並行世界があるんデスか」",
"402000511_62": "「ああ。破滅の可能性が顕現した世界がそうだな。\\n 既に世界蛇に滅ぼされた世界もそうだ」",
"402000511_63": "「人を始めとしたありとあらゆる生き物が死滅し、\\n 不毛の大地のみが残った世界なら、両の指では足りない」",
"402000511_64": "「そんなにあるんだ……」",
"402000511_65": "「先に言っておくが、もしお前たちが遭難しても、\\n こちらは目的を優先する」",
"402000511_66": "「目的を達成できたなら、救援を行うのもやぶさかではないが、\\n それまでは自力で生き抜くんだな」",
"402000511_67": "「それが嫌なら離れないことだ」",
"402000511_68": "「<size=25>……なんか、言い方にトゲを感じるデスね</size>」",
"402000511_69": "「<size=25>……わたしたち、あんまりよく思われてないのかな?</size>」",
"402000511_70": "「ところで、その目的についてですけれど、\\n ミレニアムパズルの調査、ということでいいんですよね」",
"402000511_71": "「ああ。先日調査に送り込んだ者たちの消息を調べるという\\n ものもあるが、それは随行のメンバーに任せてある」",
"402000511_72": "「我々としてなによりも優先すべきは、\\n ミレニアムパズルそのものの調査と攻略だ」",
"402000511_73": "「あの、仲間の人は心配ではないんですか……?」",
"402000511_74": "「俺が心配しても結果は変わらない。\\n 何者かに襲われたのか、囚われたのか、殺されたのか……」",
"402000511_75": "「状況の確定は次の手を打つ上で大事なことだが、\\n それに囚われて足を止めるのは愚策だ」",
"402000511_76": "「……きっと無事ですよ」",
"402000511_77": "「根拠の無い楽観など、なんの意味も無いな。\\n それより早く足を進めるべきだろう」",
"402000511_78": "「<size=25>……やっぱりなんか感じ悪いデス</size>」",
"402000511_79": "「<size=25>……うん、わたしちょっと苦手かも</size>」"
}

View file

@ -0,0 +1,44 @@
{
"402000512_0": "「疲れたよ……」",
"402000512_1": "「訓練なのに、お前ちょっと気合い入れすぎだろ……」",
"402000512_2": "「何事も本気でやらないとねッ!」",
"402000512_3": "「相手する方の身にもなれっての」",
"402000512_4": "「それじゃクリス、交代しようか?」",
"402000512_5": "「ああ」",
"402000512_6": "「ミーナさんも訓練に参加しませんか?」",
"402000512_7": "「やめとくわ。今も戦う手段が無いわけじゃないけど、\\n 自分自身を護るので精一杯だから」",
"402000512_8": "「ミョルニルがあったら、戦ってみてもいいんだけどね……」",
"402000512_9": "「お姉ちゃんッ! お帰りなさいッ!」",
"402000512_10": "「シャロンちゃん、ただいまッ!!」",
"402000512_11": "「あなたがシャロンちゃん?\\n わたし、小日向未来っていうの。よろしくね」",
"402000512_12": "「うん、未来お姉ちゃんッ!\\n よろしくお願いしますッ」",
"402000512_13": "「――ッ!?」",
"402000512_14": "「シャロンちゃん、いい子だね。\\n お菓子食べる ね、撫でてもいいかな」",
"402000512_15": "「未来が一瞬で骨抜きに……」",
"402000512_16": "「……あの、こっちのお姉ちゃんは?」",
"402000512_17": "「ミーナよ」",
"402000512_18": "「ミーナお姉ちゃん?」",
"402000512_19": "「ええ」",
"402000512_20": "「なあ、ところでメディカルチェックはどうだったんだ?」",
"402000512_21": "「うん。それが……あんまり……」",
"402000512_22": "「あんまりって……何があったんだ?」",
"402000512_23": "「…………」",
"402000512_24": "「シャロンちゃん……。話してみて?」",
"402000512_25": "「……あのね」",
"402000512_26": "「うん」",
"402000512_27": "「背が全然伸びてなかったの……」",
"402000512_28": "「背かよッ!?」",
"402000512_29": "「早く大きくなりたいのに……」",
"402000512_30": "「大丈夫。きっとすぐに、ぐんぐん伸びるから」",
"402000512_31": "「わたしや響だって、シャロンちゃんくらいの年齢の時は\\n 同じくらい小さかったんだから」",
"402000512_32": "「そうなの……?」",
"402000512_33": "「そうそう、きっとすぐに師匠くらい大きくなるからッ!」",
"402000512_34": "「ししょー……?」",
"402000512_35": "「とーっても大きくて、強い人だよッ!」",
"402000512_36": "「わたし、ししょーになるッ!」",
"402000512_37": "「おい、変な目標与えんなッ!\\n 本当にあんなとんでもないのになったら、どうするんだよッ」",
"402000512_38": "「なろうとしても、なれるものじゃないと思うけど……」",
"402000512_39": "「…………」",
"402000512_40": "(返事待ち……。まさかこっちに来て足止めだなんて……)",
"402000512_41": "(ミレニアムパズルの方は大丈夫かしら……)"
}

View file

@ -0,0 +1,33 @@
{
"402000521_0": "「……こっちだ」",
"402000521_1": "「わッ!? 急に曲がらないでほしいデスッ!」",
"402000521_2": "「離れすぎると、危険なんですよね?」",
"402000521_3": "「そうだが……そこまで神経質にならなくても、\\n 多少くらいなら離れても問題ない」",
"402000521_4": "「えっと、どのくらいなら……?」",
"402000521_5": "「……5メートルくらいだ」",
"402000521_6": "「さっきのアタシ、結構ギリギリだったデスよッ!?」",
"402000521_7": "「ギリギリでも無事だったのだからいいだろう。\\n ……次はこっちだな」",
"402000521_8": "「また急にッ!?\\n 少しは協調性を持ってほしいデス……」",
"402000521_9": "「まあまあ。\\n それより、こうして見ると、この空間って不思議ですね」",
"402000521_10": "「ギャラルホルンで並行世界に行く時は一本道だもんね……」",
"402000521_11": "「確かにそうデスね。\\n こうやって移動するのはなんだか不思議な感じデス」",
"402000521_12": "「うん……」",
"402000521_13": "「並行の可能性……どんなものがあるんでしょう?」",
"402000521_14": "「アタシが世界を救う並行世界もきっとあるはずデスよ」",
"402000521_15": "「……今までもある意味、救ってきているような……?」",
"402000521_16": "「3人とも、あんまり遅れないようにね」",
"402000521_17": "「はッ!? 気づいたら5メートルも距離がッ!?\\n おいていかれるデスッ」",
"402000521_18": "「急ごうッ!」",
"402000521_19": "「は、はい」",
"402000521_20": "(装者とその可能性……)",
"402000521_21": "(ミーナが装者たちにどんな希望を見たのか、\\n 俺は俺のやり方で見極めさせてもらう",
"402000521_22": "「あなたたち、あんまり遅れるようなら、\\n 首に縄を付けるわよ」",
"402000521_23": "「き、気をつけるデスッ!」",
"402000521_24": "「犬みたいに繋がれるのはちょっと……」",
"402000521_25": "「わたしもそれは……」",
"402000521_26": "「だったら、ちゃんと付いてきなさい」",
"402000521_27": "(……今のところは、希望どころか不安しか感じないが……)",
"402000521_28": "「……これは――ッ!?」",
"402000521_29": "「どうかしましたか?」",
"402000521_30": "「厄介な敵が、現れたか……」"
}

View file

@ -0,0 +1,31 @@
{
"402000531_0": "「この化物はッ!?」",
"402000531_1": "「カオスビースト……」",
"402000531_2": "「どうするデスかッ! 倒すなら――」",
"402000531_3": "「いや、ここで無理に戦えば被害も大きくなる。\\n 牽制しつつ、退こう」",
"402000531_4": "「突っ込んできましたッ!?」",
"402000531_5": "「くッ、わたしがッ!!」",
"402000531_6": "「大人しく――」",
"402000531_7": "「――してるデスッ!」",
"402000531_8": "(やっぱりみんな……すごい。\\n わたしも、役に立たないと――",
"402000531_9": "「――こっちだ。急げッ!」",
"402000531_10": "「え? わわッ……」",
"402000531_11": "「どうやら、うまく逃れられたようだな」",
"402000531_12": "「そうみたいですね」",
"402000531_13": "「もう大丈夫だろう。先へ進もう」",
"402000531_14": "「進んだら、またさっきの奴と出会っちゃうんじゃないデスか?」",
"402000531_15": "「道は1つではない。カオスビーストがいたルートを\\n 避ければ、もう会うことはないだろう」",
"402000531_16": "「でも、追ってきたりする可能性は?」",
"402000531_17": "「ゼロではないが、既にかなり距離をとっている。\\n このまま維持すれば、追ってくることはないだろう」",
"402000531_18": "「距離を維持って言われても……」",
"402000531_19": "「この空間の中じゃ、距離も何も全くわからないデスよ……」",
"402000531_20": "「…………」",
"402000531_21": "(全然、役に立てなかった。わたしも装者なのに……)",
"402000531_22": "「……セレナ?」",
"402000531_23": "「え……? あ、姉さん……」",
"402000531_24": "「どうしたの? 負傷……じゃないわよね」",
"402000531_25": "「うん、大丈夫。\\n 怪我とかはしてないよ」",
"402000531_26": "「それならいいけど……。\\n 何かあったらすぐに言うのよ」",
"402000531_27": "「ありがとう、姉さん」",
"402000531_28": "「無駄に時間を食ってしまった、先を急ぐぞ」"
}

View file

@ -0,0 +1,38 @@
{
"402000611_0": "思わぬ足止め",
"402000611_1": "「この部屋、前のままだ」",
"402000611_2": "「みたいだな。\\n わざわざ残してくれたのか……」",
"402000611_3": "「懐かしいね。\\n シャロンちゃんと一緒に勉強したテーブルもそのままだよ」",
"402000611_4": "「……あたしと先輩には全然懐かなかったんだよな」",
"402000611_5": "「そうだっけ?」",
"402000611_6": "「……そういえば、お前だけはすぐ懐かれてたな」",
"402000611_7": "「わたしたちは、しばらくここで暮らすとして、\\n シャロンちゃんもこの部屋に泊まるの」",
"402000611_8": "「どうだろうな。\\n あいつはあいつで今住んでるところもあるだろうし」",
"402000611_9": "「シャロンちゃんと一緒だったらいいな……」",
"402000611_10": "「わたしも、もっとお話ししたいな」",
"402000611_11": "「あいつと仲良くしたい気持ちはわかるけど、\\n 目的を忘れるなよ」",
"402000611_12": "「もちろんわかってるよ」",
"402000611_13": "「……わたしはこっちの部屋を使わせてもらうわ。\\n 先に少し休むから」",
"402000611_14": "「えッ、あ、わかりましたッ!」",
"402000611_15": "「……米国政府からの連絡が届いたら教えて」",
"402000611_16": "「そんなにすぐ連絡来るのかな?」",
"402000611_17": "「部屋まで用意したくらいだ。\\n 数日は覚悟したほうがいいかもな」",
"402000611_18": "「ミーナさん、\\n やっぱり仲間のことが心配だよね」",
"402000611_19": "「多分、そうだろうな」",
"402000611_20": "「……早くミョルニルをゲットして、\\n 向こうの手伝いに行こうッ」",
"402000611_21": ".5",
"402000611_22": "「連絡は、まだないみたいね」",
"402000611_23": "「はい、まだ何も……」",
"402000611_24": "(……こんなところで、こんなに時間を食うだなんて)",
"402000611_25": "(米国にあるというのはわかっている。\\n いっそ強奪に行くという手も――",
"402000611_26": "(――いいえ、ダメね。物が聖遺物である以上、\\n 研究所の場所も秘匿されているはず",
"402000611_27": "(この世界に馴染みのないわたしが、\\n 米国中から人でそれを見つけ出すのはほぼ不可能",
"402000611_28": "「……待つしかないのが、もどかしいわね」",
"402000611_29": "「ミーナさん……」",
"402000611_30": "「ミーナお姉ちゃんもこっちで一緒にお話ししよう?」",
"402000611_31": "「遠慮するわ。\\n ……そんなことをする気分にはなれないの」",
"402000611_32": "「……ちょっと出てくるから。\\n 連絡があったら端末で知らせて」",
"402000611_33": "「……よくない状況だな。\\n あいつ、気が焦って視野が狭くなってる」",
"402000611_34": "「わたしたちに、何かできることはないのかな?」",
"402000611_35": "「そうだね……」"
}

View file

@ -0,0 +1,64 @@
{
"402000612_0": "「響ッ! そっちに行ったよッ!」",
"402000612_1": "「任せてッ!\\n はあああああ――ッ」",
"402000612_2": "「逃がすかッ! ふっ飛べッ!」",
"402000612_3": "「フォローありがとうッ!」",
"402000612_4": "「ああッ!」",
"402000612_5": "「……それより、どうもこれが横にいるのは慣れないな」",
"402000612_6": "「オートマシンだっけ?\\n 味方としては心強いと思うんだけど……」",
"402000612_7": "「前は散々こいつらに苦労させられたからな……」",
"402000612_8": "「大変だったよね……」",
"402000612_9": "「そうなんだ……」",
"402000612_10": "「……さてと。ノイズは倒したし、戻るか」",
"402000612_11": "「ただいま戻りました」",
"402000612_12": "「響お姉ちゃんッ! ミーナお姉ちゃんが――ッ!」",
"402000612_13": "「――今のこの状況を理解しているのッ!?」",
"402000612_14": "「わかっている……だが、今は待ってくれとしか言えない」",
"402000612_15": "「ウロボロスはいつ動き出すかわからない、\\n いえ、もう動いているのかもしれない」",
"402000612_16": "「ミョルニルが無い今、こちらにはウロボロスや世界蛇を\\n 止める手立ても無いの」",
"402000612_17": "「ここで無為な時間を過ごしている間にも、\\n どこかで犠牲が出てるのよ……」",
"402000612_18": "「悪いが、こちらにも事情がある。\\n 理解してくれ」",
"402000612_19": "「それに、強引な手で進めてしまえば、\\n より時間を取られる可能性もある」",
"402000612_20": "「でも――ッ!!」",
"402000612_21": "「ミーナさん、落ち着いてくださいッ!」",
"402000612_22": "「ここで無理を言っても仕方ないだろ」",
"402000612_23": "「…………」",
"402000612_24": "「……米国も一枚岩ではないのだ。恐らくだが、私たちの参加に\\n ついて、向こうでも賛否が分かれているのだろう」",
"402000612_25": "「向こうから招いておいて? 随分と失礼な話じゃない」",
"402000612_26": "「ミーナさん……」",
"402000612_27": "「……ああ。だが君も組織に属する者なら、こういったことが\\n 起こり得るということも理解しているはずだ」",
"402000612_28": "「……そうね。言い過ぎたわ」",
"402000612_29": "「調整にはまだ時間がかかる。しかし、必ず受け入れさせる。\\n すまないが、今は堪えてくれ」",
"402000612_30": "「…………。\\n ちょっと頭を冷やしてくるわ」",
"402000612_31": "「あの……ごめんなさい」",
"402000612_32": "「謝る必要はない。待たせているのはこちらの問題だ。\\n それに、彼女の立場からすれば、その焦りもわかる」",
"402000612_33": "「ありがとうございます。\\n ちょっとミーナさんの様子を見てきますね」",
"402000612_34": "「あ、それならわたしも」",
"402000612_35": "「……はあ」",
"402000612_36": "(こちらの協力者と揉めてもなんのメリットも無い……。\\n わかっていたつもりなんだけど……",
"402000612_37": "(……みんなは無事かしら)",
"402000612_38": "「ミーナさんッ!」",
"402000612_39": "「あなたたち。ごめんなさい、\\n ちょっと冷静さを欠いていたわ……」",
"402000612_40": "「ミョルニルまでもう少しだって思うと、どうしてもね……」",
"402000612_41": "「……あの、でも譲ってもらえるかどうかはまだ――」",
"402000612_42": "「その時は、どんな手を使っても手に入れてみせる」",
"402000612_43": "「そ、それはダメですよッ!」",
"402000612_44": "「どうして? ミョルニルが無いことで、\\n 多くの並行世界が世界蛇の餌となってもいいの」",
"402000612_45": "「そうは言いませんけど……。もし簡単には譲って\\n もらえなくても、二課の人たちならきっと――」",
"402000612_46": "「……どうかしらね。米国政府との交渉の遅滞具合では、\\n 期待できるとは思えないわ」",
"402000612_47": "「ましてや、なんの力も無い一般人じゃない」",
"402000612_48": "「力が無いなんてことはないですよ。\\n わたしたちも含めて、みんな、支えられてるんです」",
"402000612_49": "「戦える人も戦えない人も、そうして仲間同士支え合っています。\\n ミーナさんの組織だって――」",
"402000612_50": "「もちろん、わたしたちも支え合っているわ。\\n 世界蛇を倒すという、ただつの目的のために」",
"402000612_51": "「その目的のため、それぞれが力と役割、\\n そして覚悟を持って、組織に参加している」",
"402000612_52": "「力も、大した役割も持たない、\\n 並行世界のたかが一組織と一緒にしないで」",
"402000612_53": "「ミーナさん……」",
"402000612_54": "「わたしは、やっぱりそれは違うと思います」",
"402000612_55": "「……何が違うの?」",
"402000612_56": "「上手くは言えませんけど、力があるとか無いとかじゃなくて、\\n みんなと繋がっているから、わたしたちは戦えるんです」",
"402000612_57": "「…………」",
"402000612_58": "「……その繋がった仲間が、危ないかもしれないの。\\n なのに、わたしはこんなところで足止めばかり――ッ」",
"402000612_59": "「きっと、大丈夫です。\\n だって、わたしたちの仲間もついてます」",
"402000612_60": "「そうです。頼りになるみんなが一緒ですから」",
"402000612_61": "「そうだと、いいわね……本当に」"
}

View file

@ -0,0 +1,42 @@
{
"402000621_0": "「司令、政府から通信が入っています。\\n どうやらまたあの件のようですが……」",
"402000621_1": "「ヴィマーナの件か……。\\n 返事は後でするとだけ伝えてくれ」",
"402000621_2": "「わかりました」",
"402000621_3": "「なんか、あんたも大変みたいだな」",
"402000621_4": "「いや、そうでもない。\\n 君たちのおかげで、イズによる被害の心配はいらないからな」",
"402000621_5": "「ならいいんだけど。\\n それより、さっきヴィマーナって聞こえてきたけど……」",
"402000621_6": "「……実は、日本政府から再三、ヴィマーナのサルベージの\\n 協力要請がきている」",
"402000621_7": "「サルベージって……あれをかッ!?」",
"402000621_8": "「そうだ。今度はあれを使えないか検討したいらしい」",
"402000621_9": "「使うってのは穏やかじゃないな。\\n まさか、またこいつに制御させるつもりじゃ――」",
"402000621_10": "「……」",
"402000621_11": "「……恐らくそのつもりだろう。\\n だが、私はそれを認めるつもりはない」",
"402000621_12": "「オートマシンとは訳が違う。あれを動かすとなれば、\\n 間違いなくヤントラ・サルヴァスパでの制御が必要となる」",
"402000621_13": "「それは、融合症例の侵攻に繋がる。\\n 流石にそれは認められん」",
"402000621_14": "「……あいつのためにも、頼んだ」",
"402000621_15": "「ああ、もちろんだ」",
"402000621_16": "「話を戻すけど、向こうで待つわけにはいかないのか?\\n あいつ、こっちで待機って状況に焦れてるみたいだし……」",
"402000621_17": "「それでは危険が伴ってしまう」",
"402000621_18": "「……そこまでなのか? 向こうの状況は」",
"402000621_19": "「ああ。こちらに共同研究を打診してきた者は、私も知る人物\\n なのだが、これは政府筋の人間で研究者ではないのだ」",
"402000621_20": "「その者個人は信用できる」",
"402000621_21": "「良識もあり、オズワルドの件の処理でも、この子らの身柄を\\n こちらに預けるよう、動いてくれた人物だからな」",
"402000621_22": "「だが、研究者はそうではない。元々はNEXTのメンバーで、\\n オズワルドに心酔していた者も多い」",
"402000621_23": "「そういった者たちからすれば、\\n 我々は尊敬する人物を陥れた、敵にしか見えないだろう」",
"402000621_24": "「そりゃ、そうだろうな……」",
"402000621_25": "「また、政府内でも反対意見が出ているとも聞いている。\\n 日本政府にこれ以上、借りを作りたくないそうだ」",
"402000621_26": "「だから危険なのか……」",
"402000621_27": "「そういうことだ」",
"402000621_28": "「でもそうなると、共同研究の打診自体無かったことに\\n なったりはしないのか」",
"402000621_29": "「そんなことにはさせない」",
"402000621_30": "「結局のところ、米国政府もミョルニルを持て余しているのは\\n 間違いない」",
"402000621_31": "「制御の可能性、成果を求めている以上、こちらの協力は\\n 願ってもいないチャンスでもあるはずだ」",
"402000621_32": "「それに、米国政府内での力関係は賛成派の方がはるかに上だ。\\n 反対派側も、大半はただのポーズだろう。ただ――」",
"402000621_33": "「ただ――なんだよ?」",
"402000621_34": "「いや、反対派の一部がどうも欧州方面のどこかと密かに\\n 繋がっている可能性もあるらしい」",
"402000621_35": "「今までになかった技術の流入などが見られているとのことだ。\\n 聖遺物に関することは、最重要機密だというのに……」",
"402000621_36": "「今回のミョルニルの封印解除と、再制御実験に関しても、\\n そういった者たちの暗躍があるのかもしれない」",
"402000621_37": "「米国も、だいぶキナ臭いってことか……」",
"402000621_38": "「なんであれ、共同研究を白紙になどさせない、\\n それについては、安心してくれていい」",
"402000621_39": "「ああ、わかったよ」"
}

View file

@ -0,0 +1,62 @@
{
"402000622_0": "「すごいすごいッ!\\n お姉ちゃん、カッコいいッ」",
"402000622_1": "「エヘヘー、そう褒められると照れるなぁー」",
"402000622_2": "「――よそ見厳禁だッ!」",
"402000622_3": "「いたたたッ!? いきなりは卑怯だよ……」",
"402000622_4": "「訓練の最中に、よそ見してる方が悪いんだよ」",
"402000622_5": "「わたしも、今のは響の自業自得だと思うなあ……」",
"402000622_6": "「未来まで……」",
"402000622_7": "「ごめんなさい……。\\n わたしが声をかけたから……」",
"402000622_8": "「違う違うッ! シャロンちゃんが悪いんじゃないよ。\\n わたしが気を抜いていたのが悪いんだし……あれ」",
"402000622_9": "「なんだ、わかってるじゃないか」",
"402000622_10": "「訓練は真面目にやらないと」",
"402000622_11": "「ごめんなさい……」",
"402000622_12": "「……」",
"402000622_13": "「君たち、ここにいたか。\\n 先ほど、待ち望んでいた連絡が届いたぞ」",
"402000622_14": "「<size=40>米国からのッ!?</size>」",
"402000622_15": "「そうだ。向こうでの受け入れ態勢が整ったらしい。\\n 到着次第、研究所まで案内してくれるそうだ」",
"402000622_16": "「よかった、これでやっとミョルニルの確認に行けますね」",
"402000622_17": "「すぐにでも発ちましょう」",
"402000622_18": "「ああ、そのつもりだ。今、急ぎ航空機の手配を進めている。\\n 恐らくは明日の便になるだろう」",
"402000622_19": "「すまないが、本日中に準備を整えておいてほしい」",
"402000622_20": "「わかったわ」",
"402000622_21": "「細かい買い物くらいは向こうでもできるんだろ?」",
"402000622_22": "「いや、それがわからない。\\n 研究所の場所は極秘らしく、現状では知らされていないからな」",
"402000622_23": "「人里離れた山奥や、最悪地図にない人工島などの可能性もある。\\n 当然、研究員が困らない程度の物資はあるとは思うが……」",
"402000622_24": "「何があるかもわからないし、\\n 下手すりゃ売ってもらえるかも怪しいな……」",
"402000622_25": "「ああ。しかし、まがりなりにもこちらは客人の扱いだ。\\n 流石に食事と寝る場所に困ることはないだろう」",
"402000622_26": "「生活用品とかは\\n 念のため用意しておいた方がよさそうですね」",
"402000622_27": "「そうしてくれ。\\n 請求書はこちらに回してくれて構わない」",
"402000622_28": "「じゃ、早速買い物に行くか」",
"402000622_29": "「とにかく、明日すぐに発てるように準備を進めましょう」",
"402000622_30": "「……」",
"402000622_31": "「八紘おじちゃん……」",
"402000622_32": "「……どうした?」",
"402000622_33": "「わたしも……、一緒に連れて行ってほしいの」",
"402000622_34": "「なんだと?」",
"402000622_35": "「シャロンちゃんッ!?」",
"402000622_36": "「遊びではないんだ。許可できない。\\n 響くんたちと一緒にいたいという理由で――」",
"402000622_37": "「ううん。違うの。お姉ちゃんたちの傍にいたいのは確かだけど、\\n 今回付いて行きたいのはそれが理由じゃなくて――」",
"402000622_38": "「お母さんが、最期に関わった聖遺物のことだから――」",
"402000622_39": "「…………」",
"402000622_40": "「いや、ミョルニルの制御には危険が伴う。\\n ティナの忘れ形見である君まで危険にさらすわけには――」",
"402000622_41": "「……制御については大丈夫だと思うわ」",
"402000622_42": "「どういうことだ?」",
"402000622_43": "「言ったでしょう。わたしはミョルニルを制御できるの。\\n わたしにやらせてくれるなら、危険なことは起きないわ」",
"402000622_44": "「そんなに来たいというなら、\\n 同行させてもいいんじゃないかしら」",
"402000622_45": "(この子が無理に付いてきてトラブルになったり、\\n 向こうへ渡る日取りが延期になっても困るもの……",
"402000622_46": "「ミーナお姉ちゃん……ありがとうッ!」",
"402000622_47": "「…………」",
"402000622_48": "「わたしたちからもお願いしますッ!\\n シャロンちゃんの気持ちを尊重してあげたいんですッ」",
"402000622_49": "「制御の危険はこいつが言った通りなら問題ないだろうし、\\n 絶対に護る」",
"402000622_50": "「お願いしますッ!」",
"402000622_51": "「君たちまで……。\\n まったく、仕方がないな……」",
"402000622_52": "「わかった。それでは日本と米国、両政府に確認してみよう。\\n だが、もし許可が下りなかった場合は諦めてくれ」",
"402000622_53": "「さっきも言ったが遊びではない。事が聖遺物にも絡む以上、\\n 私の一存で君を連れて行くことは不可能だ」",
"402000622_54": "「うん。ダメだった時は、諦める」",
"402000622_55": "「……君はやはりティナの娘だな。\\n いざとなったら意志の強いところなんか、ソックリだ」",
"402000622_56": "「……そうなの?」",
"402000622_57": "「ああ。さて、君たち。\\n 買い物ならこの子も一緒に連れて行ってやってくれ」",
"402000622_58": "「許可が下りるかはまだわからないが、どちらにせよ、\\n 今のうちに準備については、進めておいた方がいいだろう」",
"402000622_59": "「はい、わかりましたッ!」"
}

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@ -0,0 +1,104 @@
{
"402000711_0": "森の中の研究所",
"402000711_1": "「到着しました。降車ください」",
"402000711_2": "「木がたくさん……」",
"402000711_3": "「うん。すごい森の中。\\n こんなところに研究所があるんだ」",
"402000711_4": "「不便そうだけど、隠れて研究するには都合がよさそうね」",
"402000711_5": "「こりゃ、いろいろ買い込んできて正解だったな」",
"402000711_6": "「うん……」",
"402000711_7": "「聖遺物の実験を行う場所だ。\\n こういった場所でないと厳しいのだろう」",
"402000711_8": "「ようこそ、日本政府の方々。\\n 歓迎いたします」",
"402000711_9": "「ああ。研究所の責任者に取り次いでもらえるか?」",
"402000711_10": "「もちろん。ではこちらへ。\\n ご案内させていただきます」",
"402000711_11": "「……ようこそお越しくださいました。\\n 私がここの所長のジャイルズです」",
"402000711_12": "「初めてお目にかかる。私が特異災害対策機動部二課の――」",
"402000711_13": "「風鳴八紘司令ですね。存じてます。\\n 他の者は護衛と、研究者で間違いないですかな」",
"402000711_14": "「……どうも、そうは見えないのですがね。\\n まるで修学旅行の学生と引率の教師だ」",
"402000711_15": "「そちらがどう思うかは勝手だが、\\n 彼女たちは優秀な護衛と研究者たちである」",
"402000711_16": "「そうですか。まあどちらでも構いませんが。\\n ……しかし、その子供は――」",
"402000711_17": "「――ッ!?」",
"402000711_18": "「やはり、前所長の……」",
"402000711_19": "「そうだが、何か?」",
"402000711_20": "「……いえ、日本政府が保護しているとなれば、\\n 前所長も安心でしょうね」",
"402000711_21": "「……それより、ミョルニルは?\\n ここで制御の実験をしているんでしょう」",
"402000711_22": "「ええ、やっていますよ」",
"402000711_23": "「それならば我々にも現物を確認させてもらおうか。\\n 共同研究員としての立場からも、状況を見せていただきたい」",
"402000711_24": "「それはお断りします。これは我が国の最重要機密。\\n 軽々に他国の研究員を入れるわけにはいかないのでね」",
"402000711_25": "「なッ……」",
"402000711_26": "「……それはどういう意味だか計りかねるが。\\n 我々は貴国に招かれて、研究のためにやってきたのだ」",
"402000711_27": "「言葉通りと捉えていただいて構いません。\\n 文句があるなら、政府経由で苦情でもなんでも出せばいい」",
"402000711_28": "「この研究所は私の城、ここでは私がルールです。\\n この研究は、私たちのみで達成することに意義がある」",
"402000711_29": "「ミョルニルの実験は我々で行う。\\n あなたたちの出番はありません」",
"402000711_30": "「先ほども言ったが、我々は、米国政府に招かれて来ている。\\n 一研究員であるあなたの意見など関係ない」",
"402000711_31": "「こちらも言っているでしょう?\\n ここでは私がルールだと」",
"402000711_32": "「ちょっと、横暴すぎないかしら。\\n わたしたちは――」",
"402000711_33": "「いや、もういい」",
"402000711_34": "「でもッ!」",
"402000711_35": "「どうやら、\\n 我々が持ってきたミョルニルのデータも不要だったようだな」",
"402000711_36": "「――ッ!?\\n ミョルニルのデータだと」",
"402000711_37": "「私が過去にミョルニルの起動実験に立ち会った際に計測した物だ。\\n 提供すると伝えたはずだが……」",
"402000711_38": "「まあ、今となっては関係ないか。\\n お前たちには不要らしいからな」",
"402000711_39": "「ま、まてッ!」",
"402000711_40": "(……はったりか? いや、奴が過去にミョルニルの起動実験に\\n 立ち会ったのは事実……",
"402000711_41": "(我々には無い情報を持っている可能性は十分にあり得る……)",
"402000711_42": "「くッ! ……わかりました。案内しましょう」",
"402000711_43": "「やったッ!」",
"402000711_44": "「響、静かに」",
"402000711_45": "「あ……」",
"402000711_46": "「初めからそう言えばいいものを。\\n 無駄な時間を過ごしたな」",
"402000711_47": "「……さあ、データをこちらに渡してください」",
"402000711_48": "「案内が先だ。先ほどの対応を見るに、\\n こちらも慎重にならざるを得ないからな」",
"402000711_49": "「わかりました。案内してあげなさい」",
"402000711_50": "「は、はい……」",
"402000711_51": "「やるな、おっさんッ!」",
"402000711_52": "「おじちゃんはすごいんだよッ!」",
"402000711_53": "「うんッ!」",
"402000711_54": "「…………」",
"402000711_55": "「あの……、こちらへどうぞ」",
"402000711_56": "「なんだか、怪しそうなものが沢山……」",
"402000711_57": "「ちょっと待って、あれッ!」",
"402000711_58": "「どうしたの、未来……?\\n って、えッ」",
"402000711_59": "「こ、このカプセルは、まさか……ッ!」",
"402000711_60": "「あの、こちらの研究所は我が国の機密を扱っておりますので、\\n あまりあちこちを見たり、触ることはお控えください」",
"402000711_61": "「わッ、すみませんッ!」",
"402000711_62": "「いえ……こちらです」",
"402000711_63": "「…………」",
"402000711_64": "「こちらで少しお待ちください。\\n 今、ミョルニルの準備をしておりますので」",
"402000711_65": "「わかった」",
"402000711_66": "「それでは失礼いたします」",
"402000711_67": "「まさか、この研究所では、アルカ・ノイズを作ってるの……?」",
"402000711_68": "「さあな、どっかで手に入れたものを\\n 研究しているのかもしれないけど……」",
"402000711_69": "「アルカ・ノイズというのは、先ほど見ていたカプセルか。\\n アレはどういった代物なんだ」",
"402000711_70": "「……人造のノイズです。\\n 普通のイズと違って、人間が操作できるんです」",
"402000711_71": "「……噂には聞いていたが、アレがそうなのか」",
"402000711_72": "「どこの世界でも、辿る道は同じね……」",
"402000711_73": "「ああ、そうらしいな」",
"402000711_74": "「君たちはアレが使われているのを見たことがあるのか?」",
"402000711_75": "「はい。わたしたちの世界や、他の世界でも何度か」",
"402000711_76": "「ほとんどは戦争の道具として利用されてる。\\n それでもたらされた被害は計り知れない……」",
"402000711_77": "「酷い……」",
"402000711_78": "「ノイズの恣意的利用とは。\\n それは、確かに恐ろしいことだな……」",
"402000711_79": "「……こっちも、お姉ちゃんたちが見てきた世界と\\n 同じようになっちゃうのかな」",
"402000711_80": "「そんなことは断じてさせん……と言いたいところだが、\\n 米国政府が手を染めているとなるとな……」",
"402000711_81": "「しかし、研究の発端は一体……?\\n 元々の米国にそんな技術者はいなかったはずなんだが……」",
"402000711_82": "「錬金術師が入り込んでるのかもしれない」",
"402000711_83": "「錬金術師、だと……?」",
"402000711_84": "「あたしらの知る世界では、\\n アルカ・イズは錬金術師が作り出した物だった」",
"402000711_85": "「こっちでもその可能性は高いんじゃないか?」",
"402000711_86": "「……錬金術師か。\\n わかった。調べてみよう」",
"402000711_87": "「……欧州方面との繋がりの噂、人造ノイズの技術、\\n そして、欧州で生まれた錬金術――」",
"402000711_88": "「どうやら状況が線で繋がってきたな」",
"402000711_89": "「お待たせしました。\\n 準備が整いましたので、こちらにどうぞ」",
"402000711_90": "「――ッ!?」",
"402000711_91": "「あれが……ミョルニル?」",
"402000711_92": "「離れすぎていてよく見えないけど……」",
"402000711_93": "「もう少し近くでは見られないのか?」",
"402000711_94": "「それは……」",
"402000711_95": "「先ほど実験をしたばかりのため、\\n これ以上近くに寄るのは危険です」",
"402000711_96": "「安全が確認されたら、近くまで案内いたしますよ」",
"402000711_97": "「確かに、なんだか電気を帯びていて危険そう……」",
"402000711_98": "「データを渡していただいても?」",
"402000711_99": "「……まあ、いいだろう」",
"402000711_100": "「確かに、では、私はこれで。\\n 何かあれば、部下にお伝えください」",
"402000711_101": "「わかった」"
}

View file

@ -0,0 +1,82 @@
{
"402000721_0": "「結局、ミョルニルには近づけずじまいか……」",
"402000721_1": "「……実験の直後で不安定だから、しょうがないのかな?」",
"402000721_2": "「うん……」",
"402000721_3": "「果たしてそうかしらね」",
"402000721_4": "「ん? なんか思い当たるのか?」",
"402000721_5": "「最初のやり取りといい、\\n わたしたちのことを邪魔と思っている連中よ」",
"402000721_6": "「なんらかの仕掛けで、不安定に見せかけて、\\n わたしたちを近づけないようにしている可能性も考えられるわ」",
"402000721_7": "「確かにそうですね」",
"402000721_8": "「この宿の場所だって、\\n どの辺にあるのかも一切わからないし」",
"402000721_9": "「車の外、ずっと真っ暗だったね……」",
"402000721_10": "「フルスモークで中からも外が見えないって、\\n 交通違反じゃないのかよ、ったく……」",
"402000721_11": "「ところで、ミョルニルを見た感想は?」",
"402000721_12": "「……恐らく間違いないと思う。\\n だけど、正確に判断するには、もっと近づかないと……」",
"402000721_13": "「ミョルニルが落ち着いたら見せるって言ってたけど……」",
"402000721_14": "「ああ、全く信用ならないな」",
"402000721_15": "「その件は私に任せてくれ」",
"402000721_16": "「既に、米国政府の協力者に連絡し、動いてもらっている。\\n しばらくすれば、なんらかの動きがあるはずだ」",
"402000721_17": "「1つ聞かせてくれるかしら?」",
"402000721_18": "「私に? なんだ?」",
"402000721_19": "「あの研究員に渡していた、ミョルニルのデータ。\\n アレはなんなの」",
"402000721_20": "「話した通り、\\n ミョルニルの起動に関するデータだ」",
"402000721_21": "「そんなの渡しちまっていいのか?」",
"402000721_22": "「構わない。既に向こうも握っている情報だろう」",
"402000721_23": "「え? どういうことですか?」",
"402000721_24": "「研究所側の対応を予見して、\\n 念のため交渉材料として用意していた物だ」",
"402000721_25": "「米国側が周知している内容に手を加え、\\n 一見新事実が隠されているように偽装している」",
"402000721_26": "「時間を掛けねばわからないが、\\n とはいえ、時間を掛けても新たに得られる情報は無い」",
"402000721_27": "「それって、もしバレたら……」",
"402000721_28": "「単に、私の提供したデータをあざ笑う程度だろう。\\n 日本の保持しているデータは、所詮この程度か、と」",
"402000721_29": "「こ、これが大人の交渉……」",
"402000721_30": "「マジで、よく淡々とそんなことができるよな」",
"402000721_31": "「なるほど、少し安心したわ。\\n あんな奴らに情報なんて提供するべきじゃないから」",
"402000721_32": "「私からも1つ聞きたいのだが?」",
"402000721_33": "「何かしら?」",
"402000721_34": "「あの研究員たちが実際にミョルニルの\\n 制御を成功させる確率はどれくらいある」",
"402000721_35": "「あれがわたしの知っているミョルニルそのものだとしたらゼロね。\\n どう転んでも、人の手におえるような代物じゃないわ」",
"402000721_36": "「制御に失敗すれば、再び甚大な被害が出る」",
"402000721_37": "「……わかった。\\n なんとしても接触できるように手を尽くそう」",
"402000721_38": "「おはよう、お姉ちゃんッ!」",
"402000721_39": "「う……むにゃ……あと5分……」",
"402000721_40": "「響、そろそろ起きないと……」",
"402000721_41": "「起きてる……だいじょう……くー……」",
"402000721_42": "「いいから、とっとと起きろッ!」",
"402000721_43": "「痛ーッ!」",
"402000721_44": "「ひどいよクリスちゃん……」",
"402000721_45": "「目が覚めただろう?」",
"402000721_46": "「響、もうすぐ司令から連絡が来る時間だよ」",
"402000721_47": "「響お姉ちゃん、早く準備しよう?」",
"402000721_48": "「時間だ、準備はできているか?」",
"402000721_49": "「はいッ!!」",
"402000721_50": "「バッチリですッ!」",
"402000721_51": "「一番遅かったくせに、返事だけはいいよな……」",
"402000721_52": "「時間が惜しいわ。\\n すぐに研究所に向かいましょう」",
"402000721_53": "「降りてくださいッ! 急いでッ!」",
"402000721_54": "「なんだ、どうしたんだ?」",
"402000721_55": "「とにかく、外に出てみよう」",
"402000721_56": "「あれ、なんでこんな場所に……?」",
"402000721_57": "「おいッ! あれッ!\\n オートマシンが――」",
"402000721_58": "「ってことは――ッ!?」",
"402000721_59": "「この先に、ノイズが出たんですッ!\\n 向こうにヘリを呼んでいますッ 急いでッ」",
"402000721_60": "「やっぱり……ノイズッ!」",
"402000721_61": "「……」",
"402000721_62": "「……お姉ちゃん、怖いよ」",
"402000721_63": "「大丈夫、お姉ちゃんたちが全部、やっつけてあげるから。\\n ……わたしたちに、やらせてもらえますか」",
"402000721_64": "「……わかった。人命には代えられないだろう。\\n 頼む」",
"402000721_65": "「はいッ!」",
"402000721_66": "「Balwisyall Nescell gungnir tron――」",
"402000721_67": "「お姉ちゃん……がんばってッ!」",
"402000721_68": "「ありがとうッ!\\n 行ってくるねッ」",
"402000721_69": "「彼女たちだけで大丈夫なのですか?」",
"402000721_70": "「避難は我々だけでいい。\\n 彼女らは事態の鎮静化に向かった」",
"402000721_71": "「……少し待ってくれ」",
"402000721_72": "「……私だ。先ほど、特異災害と遭遇した。\\n これより対処を行う」",
"402000721_73": "「……ああ、メディアの対応についての通達を。\\n 事は日本政府の機密にも関わる」",
"402000721_74": "「……そうだ。オートマシンも退かせていい。\\n 彼女たちの邪魔にならないようにしてくれ」",
"402000721_75": "「用は済んだ。行こう」",
"402000721_76": "「は、はあ……」",
"402000721_77": "(頼んだぞ、装者たち……)",
"402000721_78": "(たかがノイズで右往左往……でもそれが普通。\\n そう、普通ではあの蛇に対処などできない",
"402000721_79": "(……そしてそれは、ミョルニルも同じ。\\n 普通じゃ制御なんてできるはずがない。そう、普通じゃ……"
}

View file

@ -0,0 +1,47 @@
{
"402000722_0": "「やっと着いたー」",
"402000722_1": "「お姉ちゃんたち、お帰りなさいッ!」",
"402000722_2": "「戻ったのね」",
"402000722_3": "「疲労の色が濃いが、それだけ激しい戦いだったのか?\\n 君たちが今更イズに遅れを取るとも思えないが」",
"402000722_4": "「ノイズは別にいいんだよ。\\n けど、その後どこに行けばいいのか……」",
"402000722_5": "「自分たちで探そうとして迷っちゃって。\\n 運転手さんが見つけてくれなかったら、どうなっていたことか」",
"402000722_6": "「お前があの辺の森が怪しいとか言うから……」",
"402000722_7": "「クリスちゃんだって、それっぽいなって言ってたよね」",
"402000722_8": "「2人ともだよ。\\n 気づいたら走っていっちゃうし……」",
"402000722_9": "「ともあれ、無事でなによりだ」",
"402000722_10": "「こっちは……相変わらずみたいだな」",
"402000722_11": "「依然として、ミョルニルは不安定な状態。\\n だから、接近するのはまだ待ってほしい、だそうよ」",
"402000722_12": "「偉そうに言っていたわりに、\\n 結局、なんの成果も得られてないのが笑えるけどね」",
"402000722_13": "「おいッ! お前……今、なんと言ったッ!」",
"402000722_14": "「やめろって……。\\n 一応は政府の客人だぞ」",
"402000722_15": "「くッ……見てるだけの役立たずのくせに偉そうに……」",
"402000722_16": "(……わたしを役立たずにしているのは、\\n そっちの所長さんなんだけど",
"402000722_17": "「昨日にも増して、ピリピリしてますね……」",
"402000722_18": "「あの、もしかして――」",
"402000722_19": "「いや、彼女のせいではない。どうも先ほどまでなんらかの\\n 実験を行っていたが、その結果が芳しくないようだ」",
"402000722_20": "「彼らは彼らで米国政府から成果を求められ続けている。\\n 焦りもあるのだろう」",
"402000722_21": "(……どうやらうまくいっているようだな)",
"402000722_22": "「早速だが、もしかしたら思ったよりも早いうちに、\\n 何か動きがあるかもしれない」",
"402000722_23": "「そうなのか?」",
"402000722_24": "「わたしたちのいない間に、何かあったんですか?」",
"402000722_25": "「いや、その逆だ。研究所では、恐らくなんの成果も\\n あがっていない。それが問題なのだ」",
"402000722_26": "「我々の訪米を受け入れたということは、少なくとも\\n この国の上層部は焦れている」",
"402000722_27": "「しかし、我々を冷遇していながらこれでは、\\n 面子が立たないだろうからな」",
"402000722_28": "「彼らも焦っているはずだ。あとどれだけ試せる手があるのか\\n 次第だが、時間の問題だろう」",
"402000722_29": "「流石に、奴らも聖遺物が不安定だからという理由で、\\n 我々を止めておけるわけないと感じているはずだ」",
"402000722_30": "「……それは、すぐなの?」",
"402000722_31": "「短くて数日、長くても1週間程度、だろうな。\\n 今日のあの様子から察するにだが」",
"402000722_32": "「数日って……。\\n そんなに待てないわ」",
"402000722_33": "「ここまで来て、目の前にミョルニルがある。\\n わたしが確認すれば一瞬で済む話よ」",
"402000722_34": "「待てないって……何をするつもりですかッ!?」",
"402000722_35": "「わたしが近づいてミョルニルに触れる。\\n 妨害してきたとしても、研究者など敵にはならないわ」",
"402000722_36": "「君の立場では焦る気持ちもわかる。\\n だが、先方の態度が態度とはいえ、短慮を起こせば問題になる」",
"402000722_37": "「そうなれば、より時間を取られる可能性も考えられる。\\n 今は、堪え時だ」",
"402000722_38": "「…………」",
"402000722_39": "「あたしもそう思う。\\n ここは米国だし、下手に動かないほうがいい」",
"402000722_40": "「ミーナさん……、\\n 無理矢理なんて、よくないと思います」",
"402000722_41": "「ミーナお姉ちゃん……」",
"402000722_42": "「……仕方ないわね。なら、もう少しだけ待つわ。\\n わたしも、無理に事を荒立てたいわけじゃないから……」",
"402000722_43": "(まだ、大丈夫なはず。\\n 何かあったなら、誰かこっちに来るはずだから……",
"402000722_44": "(……そうよね、ユリウス……)"
}

View file

@ -0,0 +1,26 @@
{
"402000731_0": "「くそッ! ダメか、\\n 成果報告の延期を打診したが、聞く耳持たずだ」",
"402000731_1": "「この催促、上層部がしびれを切らしたにしても不自然です。\\n 一体なぜ急に」",
"402000731_2": "「タイミング的に、恐らく風鳴八紘……あいつの仕業だろう。\\n 上層部へ抗議でも入れたか……」",
"402000731_3": "「ですが、上層部へはこちらからも根回しをしていたはずです」",
"402000731_4": "「その上を取られたようだ。\\n どうやら、米国でもかなり顔がきく男らしいな……」",
"402000731_5": "「奴から渡されたデータも、\\n 結局、今の我々に有益な情報は無かった……」",
"402000731_6": "「この催促内容だと、\\n 次の報告で確かな成果が提示できなければ……」",
"402000731_7": "「わかっているッ!\\n 下手をすれば、研究権限ごとやつらに移りかねない」",
"402000731_8": "(この短期間でこれほどのことを……、\\n 風鳴八紘……全く、恐ろしい男だ",
"402000731_9": "「それで……現状の成果はどうだ?」",
"402000731_10": "「予定していた制御方法の内、既に8割ほどが失敗。\\n 残り割も、このままでは失敗の可能性が高いかと……」",
"402000731_11": "「まさか、ミョルニルの制御がここまで難しいとはな……。\\n ここまでは何つ、いい結果が出ていない……」",
"402000731_12": "「せめて何某かの可能性が見えれば、違う手法を試すことも\\n できるのですが……」",
"402000731_13": "「現状では雲をつかむような話ではないでしょうか」",
"402000731_14": "「……私たちならば、と思っていたが、\\n 前所長のオズワルドが諦めたのも頷けるということか……」",
"402000731_15": "「彼は米国でこの分野においては、優秀な人材でしたから。\\n 実際、起動まではこぎつけていたわけですし」",
"402000731_16": "「そうだな。しかし、それは失敗の理由にはならない。\\n 我々は失敗するわけにはいかないのだ」",
"402000731_17": "「……どうしますか?\\n もう時間も無く、誤魔化しも不可能となりました」",
"402000731_18": "「仕方ない、あの手を使う他ないだろう」",
"402000731_19": "「……奴らを利用するのですね?」",
"402000731_20": "「そうだ。幸いなことに、人質を取るまでもなく、\\n ターゲットも同行している。ならばこの機を活かすべきだろう」",
"402000731_21": "「了解しました」",
"402000731_22": "「全ては我らが祖国のために、だ」",
"402000731_23": "「我らが祖国のために」"
}

View file

@ -0,0 +1,48 @@
{
"402000811_0": "ミョルニルの制御",
"402000811_1": "「今日もまた見学みたいね……」",
"402000811_2": "「はい……。\\n でもなんだか今日は、あんまりピリピリしてないような」",
"402000811_3": "「もしかして、実験が上手くいってるとか?」",
"402000811_4": "「さあな。\\n ただ、昨日までとは雰囲気が少し違う感じはするな」",
"402000811_5": "「あんまりいい感じはしないよ……?」",
"402000811_6": "「うん、楽しそうには見えないよね」",
"402000811_7": "(……そろそろか、奴らも限界だろう)",
"402000811_8": "「なんだッ!? この警報はッ!」",
"402000811_9": "「みなさん、少しよろしいですか?」",
"402000811_10": "「今の警報に関連することか」",
"402000811_11": "「はい、どうやら街の方にノイズが出たようです」",
"402000811_12": "「つきましては、申し訳ないのですが、装者のみなさんの\\n お力をお借りできないかと」",
"402000811_13": "「どうも、かなりの数が現れたらしいので……」",
"402000811_14": "(前回のノイズ対処で、こちらの護衛が装者であることは\\n 知られているか……当然だな",
"402000811_15": "「……行ってくれるか?」",
"402000811_16": "「もちろんですッ!」",
"402000811_17": "「ああ。ここでぼーっとしてるよりはマシだしな」",
"402000811_18": "「任せてください」",
"402000811_19": "「頼んだ。\\n それで、イズの場所は」",
"402000811_20": "「はい、その場所までは我々がお送りします」",
"402000811_21": "「ご協力、ありがとうございます」",
"402000811_22": "「行ってきますねッ!」",
"402000811_23": "「ミーナさん、あとはお願いします」",
"402000811_24": "「……ええ」",
"402000811_25": "「お姉ちゃんたち、気をつけてッ!」",
"402000811_26": "「いい子で待ってろよな」",
"402000811_27": "「まさか、昨日の今日でノイズが出現するとはな」",
"402000811_28": "「お姉ちゃんたち、大丈夫かな……」",
"402000811_29": "「あの子たちは強いわ。\\n 心配しなくても大丈夫」",
"402000811_30": "「<size=25 >……少しいいか?</size>」",
"402000811_31": "「<size=25 >どうしたの、小声で? 聞かれてはまずいこと?</size>」",
"402000811_32": "「<size=25 >ああ</size>」",
"402000811_33": "「この先ですッ!\\n ここまでしかお送りできず、すみません」",
"402000811_34": "「ありがとうございます。\\n あとはわたしたちに任せてください」",
"402000811_35": "「Rei shen shou jing rei zizzl――」",
"402000811_36": "「行こうッ!」",
"402000811_37": "「ああッ!」",
"402000811_38": "「あ、あれって……?」",
"402000811_39": "「アルカ・ノイズだよねッ!?」",
"402000811_40": "「……チッ、どうなってんだッ!?」",
"402000811_41": "「わからないけど……」",
"402000811_42": "「はあ――ッ!」",
"402000811_43": "「今はみんなを助けないとッ!」",
"402000811_44": "「そうだなッ! やることは一緒だッ!」",
"402000811_45": "「うん、やろうッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,51 @@
{
"402000812_0": "「これで、最後――ッ!」",
"402000812_1": "(アルカ・ノイズ……つまり、誰かが召喚したってことだ。\\n 目的はなんだ……",
"402000812_2": "「どうしたの、クリスちゃん?」",
"402000812_3": "「……ああ、なんでアルカ・ノイズが召喚されたのか、\\n 考えてたんだ」",
"402000812_4": "「重要施設があるわけでもない、\\n こんな場所になんの目的でアルカ・イズなんて……」",
"402000812_5": "「……確かに不思議だよね。\\n 召喚したのが誰なのかもわからないし……」",
"402000812_6": "「反政府組織とかそういうのかな?\\n 混乱させるのが目的とか……」",
"402000812_7": "「かもしれないな」",
"402000812_8": "「みなさんッ!」",
"402000812_9": "「あ、研究員の人たち」",
"402000812_10": "「お送りします、車にどうぞ」",
"402000812_11": "「ありがとうございますッ!」",
"402000812_12": "「お世話になります」",
"402000812_13": "「…………」",
"402000812_14": "「どうしたの? 早く戻ろう?」",
"402000812_15": "「……ああ」",
"402000812_16": "「それにしても、装者の力がここまで圧倒的なものだとは」",
"402000812_17": "「そうですね。あれだけの数のアルカ・ノイズを\\n ものともしないとは思いませんでしたよ」",
"402000812_18": "「――ッ!? まさかッ!」",
"402000812_19": "「Killiter Ich――」",
"402000812_20": "「次は当てます。シンフォギアは纏わせませんよ」",
"402000812_21": "「え? え?」",
"402000812_22": "「どういうこと……?」",
"402000812_23": "「くそッ! ギアを解除するんじゃなかったッ!」",
"402000812_24": "「こいつら、出現から対処まで、ずっとノイズと言っていたはず\\n なのに、実際はアルカ・イズだと知っていた」",
"402000812_25": "「アレはお前らが召喚したアルカ・ノイズなんだろッ!」",
"402000812_26": "「なかなか目ざといですね。ええ、正解です。\\n ……お前のせいだぞ」",
"402000812_27": "「悪いな。でも、結局こうするんだ。同じことだろ?」",
"402000812_28": "「死にたくなければ、そのギアのペンダントをこちらに渡して、\\n 大人しくしてください」",
"402000812_29": "「くッ……」",
"402000812_30": "(この距離じゃ、隙をついてギアを纏うことはできない……)",
"402000812_31": "「……仕方ないか」",
"402000812_32": "「では車に。\\n 警戒しなくても、無事研究所までお送りしますよ」",
"402000812_33": "「お前たちは人質だからな」",
"402000812_34": "(人質……どういうことだ?)",
"402000812_35": "「ッ!?」",
"402000812_36": "「……これはなんの真似だ?」",
"402000812_37": "「こちらはもう、なりふり構っていられないのですよ。\\n 成果が必要なのでね」",
"402000812_38": "「ならば銃など使わず、我々の研究者を参加させればいいだろう。\\n それとも、国際問題にしたいのか」",
"402000812_39": "「そんなこと、ミョルニルと共に祖国に戻る、我々には関係ない」",
"402000812_40": "「祖国だと……? 貴様、米国の者ではないのか?」",
"402000812_41": "「今は米国の人間ですよ。\\n 最も、経歴はほぼデタラメなので、身分証の上ではね」",
"402000812_42": "「……やはり、ドイツの回し者だったか」",
"402000812_43": "「流石は風鳴八紘。我々のこともご存じのようだ」",
"402000812_44": "「ああ、欧州連合内で怪しい動きがあるのは知っている」",
"402000812_45": "「さらに米国の研究機関に研究員を潜り込ませられるほど、\\n 聖遺物研究に優れた国となれば、自ずと絞られる」",
"402000812_46": "「……それで、お前たちは私たちに銃を突きつけ、\\n 何をさせようというのだ」",
"402000812_47": "「あれの制御のために、そこのお嬢ちゃんを借りるんですよ。\\n あらゆる機械装置を制御できる力を持つという、その子をね」",
"402000812_48": "「――ッ!?」"
}

View file

@ -0,0 +1,127 @@
{
"402000821_0": "「無駄だ。ヤントラ・サルヴァスパにそこまでの力はない。\\n あれは機械装置と認識したものにしか反応しないのだからな」",
"402000821_1": "「それに、護衛が戻ればお前たちに勝機はない。\\n こんなことが上手くいくと思っているのか」",
"402000821_2": "「ハハハ、やってみなければわからないだろう。\\n それに――」",
"402000821_3": "「所長、装者を連れてきました」",
"402000821_4": "「ご苦労。\\n 護衛が戻ったら、なんだったかな」",
"402000821_5": "「すみません……」",
"402000821_6": "「ごめんなさい」",
"402000821_7": "「ノイズもこいつらの嘘だった。\\n アルカ・イズを使ってやがったんだ……」",
"402000821_8": "「あなたたちまで捕まっていたなんて……」",
"402000821_9": "「いや、無事なようでなによりだ」",
"402000821_10": "「それで、こいつらは何をする気なんだ?」",
"402000821_11": "「シャロンにミョルニルを制御させようとしている」",
"402000821_12": "「そんなッ!?」",
"402000821_13": "「その通り。さあ、希望が潰えたところで、\\n その子を渡してもらおう」",
"402000821_14": "「嫌……」",
"402000821_15": "「シャロンちゃんは、渡しませんッ!」",
"402000821_16": "「邪魔をするなら、\\n お前たちにも痛い目を見てもらうことになる」",
"402000821_17": "「装者も希少なものではあるが、3名もいるなら、\\n 名くらいは失っても、問題はないだろうからな……」",
"402000821_18": "「ッ!?」",
"402000821_19": "「酷い……」",
"402000821_20": "「腐ってやがるな……」",
"402000821_21": "「なんとでも言うがいい。さあ、どうする?\\n その子を渡さないなら、血が流れることになるぞ」",
"402000821_22": "「そう、不要な者から死んでもらうこともできる。\\n ちょうどそこの研究員とかな……」",
"402000821_23": "「わかった。ミョルニルの制御方法を教えよう」",
"402000821_24": "「なんだと、どういうことだッ!?」",
"402000821_25": "「私たちはミョルニルの制御方法を知っている、\\n そう言ったのだ」",
"402000821_26": "「まさかッ!?\\n ……貴様、知っていて今まで黙っていたのか」",
"402000821_27": "「協力を拒んだのはそちらだろう」",
"402000821_28": "「だが、我々に渡したあのデータの中には――」",
"402000821_29": "「あのデータの中の情報は、ほんの一部に過ぎない」",
"402000821_30": "「それを信用しろと言うのか?」",
"402000821_31": "「なら、結果を見て判断したらどうだ?\\n 時間が無いのだろう」",
"402000821_32": "「ぐッ……、まあいい。\\n では、その方法を教えてもらおうか」",
"402000821_33": "「君、教えてやるといい」",
"402000821_34": "「…………」",
"402000821_35": "「女? 貴様、制御方法を知っているのか?」",
"402000821_36": "「ええ、知っているわ。\\n もちろんヤントラ・サルヴァスパなんて必要ない」",
"402000821_37": "「もし嘘ならば、その身を滅ぼすことになるぞ」",
"402000821_38": "「嘘かどうかは試させればいいでしょ。\\n わたしをミョルニルのところに連れて行きなさい」",
"402000821_39": "「<size=25 >なあ、いいのか?\\n 奴らに制御方法を教えちまって</size>」",
"402000821_40": "「<size=25 >多少危険は伴うかもしれないが、仕方ない</size>」",
"402000821_41": "「<size=25 >とは言え、みすみす奴らにミョルニルを渡すつもりもない</size>」",
"402000821_42": "「さあ、どう制御するんだ。\\n やって見せてもらおうか」",
"402000821_43": "「……いいわ。見てなさい」",
"402000821_44": "「言っておくが、ミョルニルを暴走させようとしても無駄だ」",
"402000821_45": "「不用意に触れれば確かに雷をまき散らす代物だが、\\n それは向こうで見ている仲間のところまでは届かない」",
"402000821_46": "「混乱に乗じて、などという浅はかなことを考えているなら、\\n やめておくんだな。余計なことをすれば、人質を殺す」",
"402000821_47": "「黙って見てなさい」",
"402000821_48": "(これは……間違いなくミョルニルだわ。\\n わたしの知ってるものと同じ――",
"402000821_49": "(ミョルニル……、\\n また、わたしに力を貸して",
"402000821_50": "「…………」",
"402000821_51": "「まさか……信じられん……。\\n おいッ」",
"402000821_52": "「た、確かに安定していますッ!\\n 完全に制御されている模様ッ」",
"402000821_53": "「……言ったでしょ。制御できるって」",
"402000821_54": "「どうやって制御したッ! 教えろッ!」",
"402000821_55": "「…………」",
"402000821_56": "(蹴散らすのは訳ないわね……。ミョルニルの力なら、\\n こんな建物、簡単に吹き飛ばせる",
"402000821_57": "(でも、人質がいるのならうかつに動けないわ。\\n それに、あの人との約束もある",
"402000821_58": "「まさか、昨日の今日でノイズが出現するとはな」",
"402000821_59": "「お姉ちゃんたち、大丈夫かな……」",
"402000821_60": "「あの子たちは強いわ。\\n 心配しなくても大丈夫」",
"402000821_61": "「……少しいいか?」",
"402000821_62": "「どうしたの、小声で? 聞かれてはまずいこと?」",
"402000821_63": "「ああ」",
"402000821_64": "「1つ確認したいのだが、\\n 君はミョルニルを制御する術を知っているのだな」",
"402000821_65": "「ええ、知っているわ」",
"402000821_66": "「即答か……、\\n ならば手を貸してほしい」",
"402000821_67": "「論点が見えないわ」",
"402000821_68": "「まだ推測の域ではあるが、しびれを切らした研究員たちが、\\n 強引な手段に打って出る可能性が高い」",
"402000821_69": "「まさか……、わたしたちは仮にもお客でしょう?」",
"402000821_70": "「米国にとってはな。\\n だが、この研究所には、米国以外の手が加わっているようなのだ」",
"402000821_71": "「米国以外の……?\\n まさか、他国の者がミョルニルを奪おうとッ」",
"402000821_72": "「先ほども言ったが、まだ確証は得られていない。\\n だが、用心に越したことはないだろう」",
"402000821_73": "「それじゃ、装者は……?」",
"402000821_74": "「わからん。\\n だが、そのために我々から引き離したとも考えられる」",
"402000821_75": "「……どうするの?」",
"402000821_76": "「確実なのは、今の奴らは、\\n ミョルニルの制御のためならなんだってするということだ」",
"402000821_77": "「そこで、機を見て、君をミョルニルに接触させる」",
"402000821_78": "「それができれば苦労はしないんだけど」",
"402000821_79": "「私がそうさせる。\\n だから君は、ミョルニルを使用し、奴らの隙を作ってくれ」",
"402000821_80": "「ミョルニルがあれば、それくらい訳ないわ。\\n だけど、いいの ミョルニルを奪って逃げることになるけど」",
"402000821_81": "「奴らが米国の人間ではなく、\\n ミョルニルを奪うために入り込んでいる者たちだとしたら――」",
"402000821_82": "「ミョルニルが制御できれば、我々は用済み。\\n 生かして帰すことはしないだろう」",
"402000821_83": "「優先すべきは、君も含め我々が無事にミョルニルを手にし、\\n 日本へ帰ることだ」",
"402000821_84": "「だが、くれぐれも気を付けてくれ、\\n 君のことを信用していないわけでは無いが、物が物だからな」",
"402000821_85": "「……わかったわ」",
"402000821_86": "(……確証はない、なんて言っていたけど、\\n まさかここまで本当になるなんてね。大した男だわ",
"402000821_87": "(それじゃ、隙を作るついでに、このお馬鹿さんたちに、\\n 自分たちのしたことの責任を取ってもらうとしましょうか",
"402000821_88": "「聞いているのかッ!? 人質がどうなってもいいのかッ!」",
"402000821_89": "「聞いているわ。……この腕輪の効果よ。\\n これをはめてミョルニルを手に取れば、自然と制御されるわ」",
"402000821_90": "「そうか……それは制御のための聖遺物かッ!\\n まさかそんな物があったとはなッ」",
"402000821_91": "「そこに腕輪とミョルニルを置いて下がれ。\\n 断れば――」",
"402000821_92": "「断らないわよ。\\n ……これでいいんでしょ」",
"402000821_93": "「そうだ……フフ、これでついにミョルニルが我が手に――」",
"402000821_94": "「…………」",
"402000821_95": "「……ッ!?」",
"402000821_96": "「響、どうかした?」",
"402000821_97": "「う、うん……、\\n なんか今、ミーナさんが笑ったような……」",
"402000821_98": "「……なに?」",
"402000821_99": "「<size=25 >いいか君たち。恐らくもうすぐ隙ができる。\\n その隙を突いて、ギアを取り返すんだ</size>」",
"402000821_100": "「<size=25 >え? 隙って――</size>」",
"402000821_101": "「<size=25 >確かに、あいつら今、ミョルニルに集中してる。\\n 取り返すなら今だッ</size>」",
"402000821_102": "「<size=25 >うん、やろうッ!</size>」",
"402000821_103": "「さあ、ミョルニルよ。我が力となれッ!」",
"402000821_104": "「なんだか……さっきと様子が違う?\\n 雷がどんどん強くなって――」",
"402000821_105": "「な、なぜだッ!? 全く制御ができないッ!?\\n これは――」",
"402000821_106": "「…………」",
"402000821_107": "「貴様、これはどういうことだッ!?」",
"402000821_108": "「そんな腕輪1つで、\\n ミョルニルの制御ができるわけないでしょう」",
"402000821_109": "「なッ!? 騙したのかッ!?\\n だが、それならどうやって制御を……ぐあッ」",
"402000821_110": "「バ、バカなッ!? ミョルニルが手に吸い付いて――。\\n い、雷がッ うわああああああ――ッ」",
"402000821_111": "「師匠譲りの当て身ッ!\\n おおおお――ッ」",
"402000821_112": "「うぐッ!? そんな……」",
"402000821_113": "「貴様ッ! 抵抗するとは――」",
"402000821_114": "「今だッ! くらえッ!」",
"402000821_115": "「お姉ちゃんッ! ペンダントッ!」",
"402000821_116": "「ありがとう、シャロンちゃんッ!」",
"402000821_117": "「なッ!? くそッ!\\n どいつもこいつも――ッ」",
"402000821_118": "「Killiter Ichaival tron――」",
"402000821_119": "「し、しまったッ!? シンフォギアをッ!\\n くそッ」",
"402000821_120": "「今のあたしに、そんなもんが効くかッ!\\n ――眠っとけッ」",
"402000821_121": "「がッ……」",
"402000821_122": "「どうやら、うまくいったようだな」",
"402000821_123": "「ああ」",
"402000821_124": "「ねえ、それよりあれ……」"
}

View file

@ -0,0 +1,46 @@
{
"402000831_0": "「おおおおおおおお、があああああああ――ッ!!」",
"402000831_1": "「……思ったより耐えてるわね」",
"402000831_2": "(これはかなりの規模の爆発になるかも……)",
"402000831_3": "「ミーナさんッ!」",
"402000831_4": "「無事みたいね、よかった。\\n それより急いで脱出しましょう」",
"402000831_5": "「待て、このままでは大規模な爆発が起きる。\\n ミョルニルを制御して止めることはできないのかッ?」",
"402000831_6": "「あの研究員が持っている以上、近づくのは危険よ。\\n 今は一刻も早くここを離れるのが先決」",
"402000831_7": "「無事に日本へ帰るんでしょう?」",
"402000831_8": "「ぐッ! やむをえんか……、\\n 早くここから離れるぞッ」",
"402000831_9": "「まさか、またこのような事態になるとは……」",
"402000831_10": "「またって……もしかして、\\n シャロンちゃんのお母さんの時と……」",
"402000831_11": "「…………」",
"402000831_12": "「……ああ、そうだ。あの時はティナが命を懸けて、\\n 爆発の規模を抑えてくれたが……」",
"402000831_13": "「くッ! みすみすこんな事態を招いてしまうとはッ!」",
"402000831_14": "「ミョルニルを手に入れるためよ。\\n あなたが気に病む必要はないわ」",
"402000831_15": "「……あの、腕輪でミョルニルを制御できるはずだったんじゃ……」",
"402000831_16": "「腕輪は嘘よ。だから、制御なんてできるわけない。\\n わたしは違う方法で制御していたの」",
"402000831_17": "「嘘ついたんですかッ!? あの状況でッ!?」",
"402000831_18": "「肝が据わってるな……」",
"402000831_19": "「ミーナさん……」",
"402000831_20": "「まあね。それより気を付けて」",
"402000831_21": "「もうそろそろ、ミョルニルの暴走による、\\n エネルギーの爆発が起きるから」",
"402000831_22": "「それが収まったら、回収しましょう」",
"402000831_23": "「君は全てわかっていて、こうしたというんだな……」",
"402000831_24": "「ええ、相手は銃でこちらを脅してきた連中よ。\\n 相応の対応をさせてもらったまで」",
"402000831_25": "「…………」",
"402000831_26": "「ミーナさん……上手く言えないですけど、\\n こんな方法、わたしは間違ってると思いますッ」",
"402000831_27": "「――だからッ!」",
"402000831_28": "「何をする気ッ!?\\n 今戻れば、ミョルニルの暴走に巻き込まれるわよッ」",
"402000831_29": "「わたしは、1人でも多くの人を助けますッ!!」",
"402000831_30": "「正気なのッ!? 相手は敵なのよッ!?」",
"402000831_31": "「響、わたしもッ!」",
"402000831_32": "「ま、そうだよな。あたしも手伝う」",
"402000831_33": "「未来、クリスちゃん……ありがとうッ!」",
"402000831_34": "「お姉ちゃんたち、気をつけてッ!」",
"402000831_35": "「何やってるのッ!? あんな奴らなんてどうなっても\\n 構わないじゃないッ 装者の方が何十倍も大事で――」",
"402000831_36": "「命に貴賎はない」",
"402000831_37": "「――ッ!?」",
"402000831_38": "「彼女らは、それをわかっているのだろう……」",
"402000831_39": "「おいッ! 研究所の方でアルカ・ノイズがッ!?」",
"402000831_40": "「でも、誰が……?」",
"402000831_41": "「さあな。混乱して誰かがカプセルを割ったか、\\n 荒れ狂ったミョルニルの雷に巻き込まれたか――」",
"402000831_42": "「どちらにしても、アレもなんとかしないとッ!」",
"402000831_43": "「そうだね。みんなを助けようッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,17 @@
{
"402000832_0": "「あ、ありがとうッ!」",
"402000832_1": "「早く逃げてくださいッ!」",
"402000832_2": "「くそッ! あとどれくらいいるんだよッ!」",
"402000832_3": "「わからないッ!\\n それより、だんだんと雷の音が大きくなってきてる……」",
"402000832_4": "「爆発が近いってことかッ!」",
"402000832_5": "「まだ、助けられる人がいるはずッ!」",
"402000832_6": "「――あなたたちッ!」",
"402000832_7": "「ミーナさんッ!? わたしたちを追ってッ!?」",
"402000832_8": "「早く逃げてッ! もう猶予がないわッ!\\n このままだとみんな巻き込まれるッ」",
"402000832_9": "「でも、まだ中に人が――」",
"402000832_10": "「助けるだけ無駄よッ!\\n 徒歩じゃ逃げても爆発の範囲からは出られないッ」",
"402000832_11": "「それより、\\n この規模……さっきの場所も安全じゃないわッ」",
"402000832_12": "「そんな――ッ!?」",
"402000832_13": "「ちッ! あいつら拾って、少しでもここから離れるぞッ!\\n こいつにつかまれッ」",
"402000832_14": "「そうか、ミサイルならッ!」"
}

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@ -0,0 +1,39 @@
{
"402000911_0": "荒れ狂う雷",
"402000911_1": "「……酷いもんだ」",
"402000911_2": "「なんにも無くなっちゃったね……」",
"402000911_3": "「助かったのは……わたしたち、だけ……?」",
"402000911_4": "「――ッ! 助けられなかった……ッ!!」",
"402000911_5": "「お姉ちゃん……」",
"402000911_6": "「……いや、君たちは私やこの子を助けてくれた。\\n 感謝している」",
"402000911_7": "「でもッ! あの場所には多くの人がいたのにッ!\\n それを助けるために、わたしたちは――ッ」",
"402000911_8": "「……どうして嘆くの?\\n あの場所にいたのは、みんな敵なのに……」",
"402000911_9": "「敵だからといって、\\n それは、手を伸ばさない理由にはなりませんッ」",
"402000911_10": "「響……」",
"402000911_11": "「……そうだな」",
"402000911_12": "(こいつは、いつもそうなんだよな。\\n だから、あたしも――",
"402000911_13": "「……理解できないわ」",
"402000911_14": "「敵がいなくなって、味方も無事。\\n 目的のミョルニルも回収できる、何が問題」",
"402000911_15": "「そんなわけないッ! ……そんなわけ、ありません。\\n 人が、たくさん亡くなったのにッ」",
"402000911_16": "「こんなやり方、ダメです……。\\n 間違ってます……」",
"402000911_17": "「…………」",
"402000911_18": "(……こうしないと、ミョルニルの入手にもっと時間が\\n かかったかもしれないし、装者たちも危なかった",
"402000911_19": "(目的は、無事に達成された。\\n なのに、それをこの子は否定する",
"402000911_20": "(……さっきあの男に、命に貴賎はないと言われた。\\n だけど、それは正解じゃない……",
"402000911_21": "(世界蛇を放置すれば、全てが死に絶え、世界が滅ぶ。\\n だからこそ、世界蛇を倒せる可能性を持った者が生き残るべき",
"402000911_22": "(……命に貴賎がなくても、明確に優先順位は存在する。\\n 生き残るべき命はある。そうしてわたしたちは仲間の死を――",
"402000911_23": "(――あの人の死を、乗り越えてきたのだから……)",
"402000911_24": "「……わたしは、間違っているとは思わないわ」",
"402000911_25": "「ミーナさんがどう思おうと、\\n わたしは間違ってると思います……」",
"402000911_26": "「響……ミーナさん……」",
"402000911_27": "「……なんにしても、先にミョルニルを確保した方がいいだろ。\\n もう雷も収まって――」",
"402000911_28": "「なんだッ!?」",
"402000911_29": "「雷が……それに、アルカ・ノイズもッ!?」",
"402000911_30": "「さっきの爆発で残りのカプセルが割れたのかッ!?\\n ちくしょう、また逆戻りかよッ」",
"402000911_31": "「…………」",
"402000911_32": "「アイツは――ッ!?\\n くッ……ミョルニルが所持者をガードしたのッ」",
"402000911_33": "「……今度こそ、助けるんだッ!」",
"402000911_34": "「2人は、下がっててくれ」",
"402000911_35": "「ああ、わかった」",
"402000911_36": "「お姉ちゃんたち、気を付けて」"
}

View file

@ -0,0 +1,39 @@
{
"402000921_0": "「…………」",
"402000921_1": "「やめてくださいッ!\\n わたしたちは、助けに――」",
"402000921_2": "「アイツ、意識が無いんじゃないかッ!?」",
"402000921_3": "「だとしたら、どうしてこんな攻撃が――ッ!?」",
"402000921_4": "「きっと今は防衛本能だけで、近づく者を攻撃してるんだわ。\\n 状況から見て、意識がないのは間違いない」",
"402000921_5": "「でも、見たところ、身体もボロボロ。\\n 倒れるのは時間の問題ね」",
"402000921_6": "「まともに制御できてるわけじゃない以上、使えば使うほど\\n ダメージがその身体にも返ってくるはず」",
"402000921_7": "「だから、今手を出さなくても、放っておけば――」",
"402000921_8": "「そんなこと、できませんッ!\\n ――もうこれ以上、誰も犠牲になんてさせないッ」",
"402000921_9": "「おおおおお――ッ!!」",
"402000921_10": "「響ッ!?」",
"402000921_11": "「ちッ、少しは後先考えろってのッ!」",
"402000921_12": "「…………」",
"402000921_13": "「ぐッ!」",
"402000921_14": "「――やらせるかッ!」",
"402000921_15": "「――わたしたちが、響の道をッ!」",
"402000921_16": "「2人とも、ありがとうッ!」",
"402000921_17": "「あとは、わたしがミョルニルを――ッ!!」",
"402000921_18": "「やめなさいッ!\\n 聖遺物を纏って、ミョルニルに触れたら――ッ」",
"402000921_19": "「え……あ……」",
"402000921_20": "「グ……アアア……」",
"402000921_21": "「ガアアアアアアアアアアアッ!!!」",
"402000921_22": "「やっぱり……聖遺物同士の反発がッ!?」",
"402000921_23": "「響ッ! 心を強く持ってッ!」",
"402000921_24": "「気合いで抑えこめッ! お前の取り柄だろッ!」",
"402000921_25": "「無茶よッ!」",
"402000921_26": "「でも、わたしは、\\n あの時、アイギスを制御できました」",
"402000921_27": "「アイギスの盾とミョルニルでは、\\n 聖遺物に秘められたエネルギー量の桁が違う」",
"402000921_28": "「聖遺物同士の反発もより強力な可能性が高い。\\n アイギスの盾と同じように制御できるとは思えないわッ」",
"402000921_29": "「ガアアアアアアアアアアアッ!!!」",
"402000921_30": "「そんな……」",
"402000921_31": "「響を……止めなきゃッ!」",
"402000921_32": "「ああ。制御が無理なら、アレを弾き飛ばせばいい」",
"402000921_33": "「何を言ってるのッ!? さっきまでとは違う。\\n あの子は暴走状態でミョルニルを振るってるのよッ」",
"402000921_34": "「装者の力にミョルニルの雷撃……、\\n 対抗できるようなものじゃないわッ」",
"402000921_35": "「だからって、放っておくわけにいくかッ!\\n 無茶でもなんでもやるしかないッ」",
"402000921_36": "「響……今助けるからねッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,47 @@
{
"402000931_0": "「ガアアアアアアアアアアアッ!!!」",
"402000931_1": "「くそッ、近づくこともできねーのかよッ!!」",
"402000931_2": "「響ッ! お願いッ!\\n わたしの声を聞いてッ」",
"402000931_3": "「ガアアアアアアアアアアアッ!!!」",
"402000931_4": "「お前の声でも届かないか……」",
"402000931_5": "「うん……」",
"402000931_6": "「気絶させられればいいんだけど、\\n 半端な攻撃じゃ、あの雷で相殺されちまう……」",
"402000931_7": "「かと言って、大技叩き込んだら、\\n あいつが大怪我だ」",
"402000931_8": "「なんとか、響からミョルニルを奪い取れれば……」",
"402000931_9": "「そっちは期待薄だな……」",
"402000931_10": "「……いえ、できるかもしれないわ」",
"402000931_11": "「本当ですかッ!?」",
"402000931_12": "「ほんの少しでいいから、あの子の動きを止めて。\\n そうしたら、わたしがあの子からミョルニルを奪い取るから」",
"402000931_13": "「そんなことが可能なのか……?」",
"402000931_14": "「試したことはないわ。\\n でも、わたしもあの子を助けたいと思ってるから」",
"402000931_15": "「――ミョルニルは、わたしに任せて」",
"402000931_16": "「お願いします。わたしたちは響の動きを――」",
"402000931_17": "「ああ、どんな手を使っても、止めて――ん?\\n ……そうか、あれがあったッ」",
"402000931_18": "「クリス?」",
"402000931_19": "「相手が相手だ。\\n こっちもデュオレリックで対抗すりゃいいッ」",
"402000931_20": "「それ……ネフシュタンの権杖ッ!?\\n どうしてッ」",
"402000931_21": "「フィーネに会った時に持たされたんだよ」",
"402000931_22": "「これはッ! ネフシュタンの権杖ッ!?」",
"402000931_23": "「念のため持って行きなさい」",
"402000931_24": "「……いいのか?」",
"402000931_25": "「本来であれば、聖遺物を安易に貸すことはできないのだけど……」",
"402000931_26": "「今回は特別よ」",
"402000931_27": "「特別……?」",
"402000931_28": "「敵は、全ての並行世界を滅ぼす可能性を秘めた相手――」",
"402000931_29": "「それに関連したミョルニルという聖遺物、\\n 一筋縄でいくとは思えないわ」",
"402000931_30": "「あなたたちがこの先の任務で失敗すれば、\\n それは、私たちの世界が滅ぶ可能性も高まるということ」",
"402000931_31": "「それを防げるのならなんだってするわ」",
"402000931_32": "「……わかった。助かるよ」",
"402000931_33": "「とは言え、少々驚いたぞ。\\n まさか、君から聖遺物を貸すと言ってくるとはな」",
"402000931_34": "「RN式を奪われた時は、あれほど怒りをあらわにした君が」",
"402000931_35": "「だから特別と言っているでしょう?\\n RN式の時とは、状況が全く違うわ」",
"402000931_36": "「ああ、この世界を救えるのなら、なんだってする\\n と言う君の考えには俺も賛同する」",
"402000931_37": "「いいこと、終わったら、必ずあなたが返しに来るのよ」",
"402000931_38": "「ああ」",
"402000931_39": "(フィーネの予感的中だな……)",
"402000931_40": "「複数の聖遺物には複数の聖遺物で対抗、ね。\\n それなら、あなたもこれを使いなさい」",
"402000931_41": "「アイギスの盾……、\\n でも、それじゃミーナさんがッ」",
"402000931_42": "「わたしは大丈夫。\\n それに、この方が成功率が上がるわ」",
"402000931_43": "「……こいつを纏ったからには、\\n さっきまでのようにはいかねーぞッ」",
"402000931_44": "「わたしたちが、響を止めてみせるッ!」"
}

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@ -0,0 +1,17 @@
{
"402000932_0": "「お姉ちゃん……」",
"402000932_1": "「これは……この場にいるのも危険か。\\n シャロン、もう少し下がるぞ」",
"402000932_2": "(響お姉ちゃんが苦しんでる……、\\n なのにわたしは……",
"402000932_3": "「どうした?\\n ここは危険だ、さあ、行くぞ」",
"402000932_4": "「……ううん。\\n わたしも、お姉ちゃんを――ッ」",
"402000932_5": "「なッ!? 待つんだッ!」",
"402000932_6": "「ガアアアアアアアアアアアッ!!!」",
"402000932_7": "「ちくしょうッ!\\n あと一歩が届かないのかよッ」",
"402000932_8": "「少しでいいのッ! なんとか動きをッ!」",
"402000932_9": "「わかってるッ! もう少しだけ待っとけッ!」",
"402000932_10": "「もう一度ッ! クリス、合わせてッ!」",
"402000932_11": "「一度といわず何度でもやってやるッ!」",
"402000932_12": "「――ッ!? 待ってッ!?\\n シャロンちゃんが――」",
"402000932_13": "「おいッ!? なんでこっちに――ッ!」",
"402000932_14": "「――わたしも、お姉ちゃんを助けるッ!!」"
}

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@ -0,0 +1,42 @@
{
"402001011_0": "希望の雷",
"402001011_1": "「――わたしも、お姉ちゃんを助けるッ!!」",
"402001011_2": "「助けるって……」",
"402001011_3": "「シャロンちゃん……?」",
"402001011_4": "「ガアアアアアアアアアアアッ!!!」",
"402001011_5": "「――ッ!?\\n 雷がシャロンちゃんにッ」",
"402001011_6": "「――させるかッ!」",
"402001011_7": "「響ッ! やめてッ!」",
"402001011_8": "「……ッ、ダメ……防ぎきれないッ!?\\n シャロンちゃん――ッ」",
"402001011_9": "「――ッ!?」",
"402001011_10": "「おおおおおおおッ!」",
"402001011_11": "「おっさんッ!?」",
"402001011_12": "「そんな――ッ!?」",
"402001011_13": "「おじちゃんッ!」",
"402001011_14": "「だ、大丈夫だ……。\\n この程度、傷の内にもはいらん」",
"402001011_15": "「それより、戻るんだ。\\n ……その力は使ってはダメだ」",
"402001011_16": "「――ッ!? でも――」",
"402001011_17": "「君は安全に、幸せに生きる権利がある。\\n きっとティナもそれを望んで――」",
"402001011_18": "「……それでも、お母さんが望まなくても――」",
"402001011_19": "「大好きなお姉ちゃんが、お母さんの残した物で\\n 傷つく姿なんて――見たくないからッ」",
"402001011_20": "「まさか……ヤントラ・サルヴァスパをッ!?」",
"402001011_21": "「どうして……」",
"402001011_22": "(どうして、装者でもないこの2人は――、\\n ミョルニルの前に立てるの",
"402001011_23": "(戦う手段も覚悟もない、一般人のはずなのに……\\n どうして自分より、他人を救おうなんて――",
"402001011_24": "「それは誰かを慈しむ心、護ろうとする魂の輝き。\\n 歌は生命そのものなんだよ……」",
"402001011_25": "(誰かを慈しむ心、護ろうとする魂の輝き……)",
"402001011_26": "(そんな……だって)",
"402001011_27": "(もし、誰もがこの輝きを持っているというのなら……\\n わたしたちが今まで切り捨て、見捨ててきたものは――",
"402001011_28": "「お姉ちゃんに届けえええええッ!!」",
"402001011_29": "「――響お姉ちゃんッ!!」",
"402001011_30": "「ガッ!? グゥ……ア……」",
"402001011_31": "「動きが鈍ったッ!?」",
"402001011_32": "「そうかッ! あいつ、ヤントラ・サルヴァスパの力で、\\n あのバカのギアを押さえつけてるんだッ」",
"402001011_33": "「シャロンちゃんにそんなことがッ!?」",
"402001011_34": "「前に、あいつの力であたしらのギアが変化したんだ。\\n それはつまり――」",
"402001011_35": "「ヤントラ・サルヴァスパは、\\n シンフォギアを一種の機械装置と認識している……」",
"402001011_36": "「そういうことだッ!」",
"402001011_37": "「シャロンちゃん、響を助けようと必死で……」",
"402001011_38": "「クリス、わたしたちもッ!」",
"402001011_39": "「ああ、一気に行くぞッ!!」"
}

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@ -0,0 +1,56 @@
{
"402001012_0": "「これでどうだッ!」",
"402001012_1": "「グゥゥゥ……アアアアアッ!」",
"402001012_2": "「――ッ!? 痛い……でもッ!」",
"402001012_3": "「このくらいで、倒れてられるかッ!!」",
"402001012_4": "「ミーナさんッ! お願いッ!」",
"402001012_5": "「どうして……こんな……」",
"402001012_6": "「おいッ! ボサッとしてんなッ!\\n そいつの頑張りを無駄にする気かッ」",
"402001012_7": "「……お姉……ちゃん……ッ!」",
"402001012_8": "「ッ!?」",
"402001012_9": "「ごめんなさいッ!\\n そのまま、押さえていて――ッ」",
"402001012_10": "(ミョルニル……わたしに応えてッ!)",
"402001012_11": "「……あ…………」",
"402001012_12": "「…………」",
"402001012_13": "「響ッ!\\n ……よかった、気を失ってるだけみたい」",
"402001012_14": "「だな。手間かけさせやがって……」",
"402001012_15": "「よかっ……たぁ…………」",
"402001012_16": "「全くお前は……いや、違うな。\\n よく頑張った」",
"402001012_17": "「シャロンちゃんのおかげだよ」",
"402001012_18": "「大したもんだ」",
"402001012_19": "「エヘヘ……」",
"402001012_20": "「…………」",
"402001012_21": "(……わたしが、スクルドが、今までやってきたことは……)",
"402001012_22": "(……本当に、正しかったの……?)",
"402001012_23": "「ん……。ここは――」",
"402001012_24": "「響……目が覚めたんだ、よかった。\\n 大丈夫 どこかおかしいところは無い」",
"402001012_25": "「うん、多分大丈夫……」",
"402001012_26": "「……わたし、どうなってたの?\\n ミョルニルを掴んだ瞬間、一気に意識が遠くなって――」",
"402001012_27": "「それに、シャロンちゃんの声が少し聞こえた気がする……」",
"402001012_28": "「あのね、響は聖遺物同士の反発で暴走状態になっていたの」",
"402001012_29": "「暴走……わたしが?」",
"402001012_30": "「うん、順を追って話すね。\\n 響がミョルニルに触れた後――」",
"402001012_31": "「――それで、元に戻った響を連れて、戻ってきたの」",
"402001012_32": "「ごめん、未来。クリスちゃん……。\\n 迷惑かけちゃって……」",
"402001012_33": "「いいの」",
"402001012_34": "「仲間だろ。気にするな」",
"402001012_35": "「ありがとう……。 それで、シャロンちゃんは?\\n まさか――ッ」",
"402001012_36": "「響、静かにして。\\n 大丈夫だから。ほら、そこ……」",
"402001012_37": "「……すぅ、すぅ……。\\n ん……お姉ちゃん…………」",
"402001012_38": "「よかった……。\\n 無事だったんだね……」",
"402001012_39": "「さっき声が聞こえたって言ってたよな?」",
"402001012_40": "「うん……うっすらとだけど。\\n でも、なんにもできなかった……」",
"402001012_41": "「……多分、こいつがヤントラ・サルヴァスパの力を使って、\\n お前を押さえつけた時、声が届いたんだろうな……」",
"402001012_42": "「わたしを助けようと力を……、\\n ごめんね……ありがとう…シャロンちゃん」",
"402001012_43": "「あ、そうだ。ミーナさんは?」",
"402001012_44": "「隣の部屋で休んでる。\\n あと、八紘さんは怪我の治療に行ってるよ」",
"402001012_45": "「あ、どうぞ」",
"402001012_46": "「……目が覚めたのね。声が聞こえたから、その――」",
"402001012_47": "「ミーナさん……、わたし……」",
"402001012_48": "「……今は、余計なことは考えずにゆっくり休みなさい」",
"402001012_49": "「……はい、そうします」",
"402001012_50": "「響……」",
"402001012_51": "「それじゃ、何かあったら呼んでちょうだい」",
"402001012_52": "「ミーナさん、あんまり顔色よくなかったね……」",
"402001012_53": "「いろいろ、思うところもあるんだろ……」"
}

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@ -0,0 +1,48 @@
{
"402001021_0": "「……シャロンのメディカルチェックの結果だが、\\n 幸いにして、今のところは大きな侵食は起こっていないようだ」",
"402001021_1": "「よかったねッ!\\n シャロンちゃん」",
"402001021_2": "「うんッ!」",
"402001021_3": "「経過はこれからも観察するが、恐らくは大丈夫だろう。\\n ……もちろん、続けて使えば融合が進む危険はあるが」",
"402001021_4": "「ごめんなさい……」",
"402001021_5": "「いや、責めているわけではない。だが、君に何かあれば、\\n 悲しむ人がいるのだということを忘れるな」",
"402001021_6": "「はい……」",
"402001021_7": "「…………」",
"402001021_8": "「なあ、ミョルニルのことだけど――」",
"402001021_9": "「ああ、それの処遇についてだが――」",
"402001021_10": "「先の事件をみても、やはりミョルニルについては\\n 危険が大きすぎる。よって本来は封印が妥当だろう」",
"402001021_11": "「そんなッ! あれが無いと、わたしたちは――ッ!」",
"402001021_12": "「待ってくれ。まだ話は終わっていない。\\n あくまで本来は、だ」",
"402001021_13": "「制御の望みが低く、無理をすれば多大な被害が出る。\\n しかし、その力は絶大で、ドイツのスパイにも狙われていた」",
"402001021_14": "「聖遺物研究所までその手が潜入していることを考えれば、\\n 米国上層部にも多くのスパイが入り込んでいるのだろう」",
"402001021_15": "「……この状況で封印措置を行ったとしても、\\n いつ持ち出され、今回のような事件が起こるとも限らない」",
"402001021_16": "「米国内の協力者と非公式に協議した結果、ミョルニルについては\\n 研究所の爆発で行方不明になった、とすることになった」",
"402001021_17": "「それじゃ――」",
"402001021_18": "「ああ、回収したミョルニルは、君たちに預けたい。\\n いつか、我々の世界が正しくあの力を使えるようになる日まで」",
"402001021_19": "「なあ、口を挟んで悪いけど、\\n ミョルニルは米国にとって、重要な聖遺物なんだろ」",
"402001021_20": "「爆発で行方不明なんて言っても、\\n それじゃ、生き残ったあんたが疑われるんじゃないのか……」",
"402001021_21": "「ああ。だが、研究所がドイツのスパイに乗っ取られていたこと、\\n その生き残りがいたことが幸いした」",
"402001021_22": "「生き残りって、響がミョルニルを奪って助けた――」",
"402001021_23": "「あの所長さん……?」",
"402001021_24": "「そうだ。今、米国では彼の背後を洗っている。\\n 米国に巣くうスパイを、一網打尽にする予定だそうだ」",
"402001021_25": "「そのため、ドイツ本国に揺さぶりをかけるカードの1つとして、\\n ミョルニルの行方不明を使うと聞いている」",
"402001021_26": "「『貴国はスパイを利用して、我が国から奪ったミョルニルを\\n どこへやったのか』とな……」",
"402001021_27": "「盗みに失敗した泥棒に、盗んだお宝を返せって迫るのかッ!\\n そりゃ、皮肉が効いてるなッ」",
"402001021_28": "「実際、研究所の大多数がスパイか篭絡された職員だった。\\n その施設で事故があり、聖遺物が行方不明となれば――」",
"402001021_29": "「……普通ならそのスパイの人を疑いますね」",
"402001021_30": "「そういうことだ。彼らは彼らで、自分たちの起こしたことの\\n 責任を取ってもらう」",
"402001021_31": "「まさに自業自得だな」",
"402001021_32": "「それと、状況がどうあれ、\\n 米国側は客人である我々を危険にさらしたという事実もある」",
"402001021_33": "「この件については、我々日本側のカードとして、\\n しばらくは、有効利用させてもらうつもりだ」",
"402001021_34": "「ミョルニルも手に入り、米国に対しても有利に立てるってか、\\n なんだかいいことずくめだな」",
"402001021_35": "「……ミョルニルの事故については、残念だがな」",
"402001021_36": "「とは言え、所長を助けられたこと含め、\\n 全て君たちのおかげだ、本当に感謝している」",
"402001021_37": "「エヘヘ……どういたしましてッ!」",
"402001021_38": "「話した通りだ。このミョルニルは、君たちに託す」",
"402001021_39": "「……」",
"402001021_40": "「君たちなら、その力を平和のために使ってくれると信じている」",
"402001021_41": "「ミョルニルを起動したシャロンの母親、ティナも平和のために\\n 使われることを願っていた。ならば、それが正しいのだろう」",
"402001021_42": "「ミーナお姉ちゃん……。\\n お母さんの聖遺物を、よろしくお願いします」",
"402001021_43": "(……平和のために……か)",
"402001021_44": "「ええ、わかったわ。\\n 必ず、ミョルニルを平和のために役立ててみせる」",
"402001021_45": "「ああ、頼んだ」"
}

View file

@ -0,0 +1,112 @@
{
"402001031_0": "「着いたな。ここがミレニアムパズルだ」",
"402001031_1": "「これは、扉……?」",
"402001031_2": "「威圧感がすごい……」",
"402001031_3": "「ものすごい重そうデス」",
"402001031_4": "「あの、それでこの中に入るんですか……?\\n どうやって扉を開ければ……」",
"402001031_5": "「……それが問題だ。消息を絶った先遣隊が、\\n 扉を開けた可能性も期待していたんだが――」",
"402001031_6": "「どうやら、ここまでたどり着いていなかったらしい」",
"402001031_7": "「……そうなんですか?」",
"402001031_8": "「ああ、仲間の痕跡が全く見当たらない。この開かずの扉に\\n 挑戦するための装備も持たせていたが――」",
"402001031_9": "「それが使われた形跡が無い。\\n ということは、ここまで来れていないということだ」",
"402001031_10": "「それなら、どこに……?」",
"402001031_11": "「……さあな。先ほどのカオスビーストにやられたか、\\n 逃れてどこかの世界に落ちたか――」",
"402001031_12": "「とにかく、そっちの捜索は我々の仲間が担当する。\\n それより、まずはどうやってミレニアムパズル内に入るかだ」",
"402001031_13": "「その前に、もう一度この場所について聞いてもいいですか?\\n 一体どういう場所なのか……」",
"402001031_14": "「……いいだろう。\\n この扉の先にある迷宮、それがミレニアムパズルだ」",
"402001031_15": "「以前も話したが、ミレニアムパズルは精霊ドヴェルグの住む\\n 迷宮とされ、これを解いた者に力を貸すと言われている」",
"402001031_16": "「言い伝えなんですよね。\\n 実際に攻略した者はいないのでしょうか」",
"402001031_17": "「わからない。\\n だが、我々が観測を始めてからは、誰もいないはずだ」",
"402001031_18": "「それでは眉唾物じゃ……」",
"402001031_19": "「かもしれない。だが、話が伝わっていることと、\\n 実際にこれが目の前にある以上、信憑性はあると見ている」",
"402001031_20": "「言い伝えにはミレニアムパズル内に関する情報もあったが、\\n 曰く『どんな者でも迷わされる、強大な迷宮』とあった」",
"402001031_21": "「大迷宮デスねッ! それは面白そうデスッ!」",
"402001031_22": "「なんだか宝物とかもありそう……」",
"402001031_23": "「みんなで迷宮に挑戦ですね」",
"402001031_24": "「何か少しでも、\\n 扉を開けるヒントのようなものはないのですか」",
"402001031_25": "「現状では無い。\\n 過去に破壊を試みたこともあるが、それも叶わなかった」",
"402001031_26": "「先遣隊に持たせていた道具に予備は?\\n 少なくとも可能性があるから、持たせていたのですよね」",
"402001031_27": "「ああ。もちろんだ。\\n だが、残念ながら予備は無い」",
"402001031_28": "「先遣隊の装備が残されていることも期待したが……」",
"402001031_29": "「何も無さそうですね」",
"402001031_30": "「だったら、アタシたちで徹底的に調べるデスッ!\\n これでも謎解きは得意デスからッ」",
"402001031_31": "「切ちゃん、それってゲームの話じゃ……」",
"402001031_32": "「わたしも頑張りますッ!\\n 前に、遺跡を探検した経験もありますからッ」",
"402001031_33": "「さあ、行くデスよッ!\\n 迷宮のお宝は、アタシたちの物デスッ」",
"402001031_34": "「あ、切ちゃん待ってッ!」",
"402001031_35": "「わたしも行きますッ!」",
"402001031_36": "「ところで、先ほど行方不明者は、\\n 仲間が探すとおっしゃっていましたが、その仲間はどこに」",
"402001031_37": "「ああ、もう合流してもおかしくない時間なのだが、\\n 何かあったのか……」",
"402001031_38": "「まさか、その人たちもッ!?」",
"402001031_39": "「――いや、ちょうど来たようだ」",
"402001031_40": "「ただいま到着しました」",
"402001031_41": "「遅くなりすみません」",
"402001031_42": "「いや、よく来てくれた」",
"402001031_43": "「実は、ここに来る途中で、先遣隊を発見し、\\n 救助していたため時間がかかってしまいました」",
"402001031_44": "「なんだとッ!? 先遣隊は無事だったのか?」",
"402001031_45": "「はい。カオスビーストと接触したようで、\\n 怪我を負っていましたが、全員無事です」",
"402001031_46": "「ただ、調査用の装備は、破壊されてしまったようです」",
"402001031_47": "「そうか……、いや、とにかく無事でなによりだ」",
"402001031_48": "「怪我をした者たちですが、他のメンバーに連れられて帰還し、\\n 治療を受けている頃かと思います」",
"402001031_49": "「わかった。報告、ご苦労」",
"402001031_50": "「いえ、それで、我々はいかがいたしましょう?」",
"402001031_51": "「装備が無いことが悔やまれるが……、\\n とりあえず、扉の調査を進めてくれ」",
"402001031_52": "「わかりました」",
"402001031_53": "「無事でよかったですね」",
"402001031_54": "「ああ」",
"402001031_55": "「では、わたしもあの子たちと一緒に調べてみます」",
"402001031_56": "「頼んだ」",
"402001031_57": "「――というわけで、\\n 行方不明だった先遣隊の人たちは無事よ」",
"402001031_58": "「それを聞いて安心しました」",
"402001031_59": "「うん、よかった」",
"402001031_60": "「これで心置きなく調べられるデスッ!」",
"402001031_61": "「それで、扉はどんな感じなの?」",
"402001031_62": "「うーん、押してもビクともしないデス」",
"402001031_63": "「引くのかも?」",
"402001031_64": "「そう見せかけてのスライドの可能性もありますよ」",
"402001031_65": "「ん――ッ! ……縦横斜め動かないデス」",
"402001031_66": "「そんな簡単に開いたら、\\n スクルドの人たちがとっくに開けているでしょう」",
"402001031_67": "「あ、それなら呼びかけてみたらどうですか?\\n <size=40>――ごめんくださーいッ!</size>」",
"402001031_68": "「……」",
"402001031_69": "「反応ないね」",
"402001031_70": "(さて……扉付近は、\\n 我々があらかた調査したが何も得られなかった",
"402001031_71": "(となれば、扉から離れた位置に、\\n 何かヒントが隠されている可能性もある……",
"402001031_72": "(だが、この辺りも機器には何も反応は無い、\\n ならば、さらに範囲を広げるか……",
"402001031_73": "(それにしても……)",
"402001031_74": "「……大丈夫なのか、あの装者たち……」",
"402001031_75": "「どこかにパスワードとか入れるところはないデスか?」",
"402001031_76": "「見たところ無さそうだね」",
"402001031_77": "「あ、このくぼみッ!\\n 何かはめ込むとかじゃないですか」",
"402001031_78": "「そうかしら?\\n ただの綻びに見えるけど……」",
"402001031_79": "「アイテムが必要とかだと、開くのは結構絶望的かも……」",
"402001031_80": "「……どうしましょう?」",
"402001031_81": "「もうこの際、歌でも唄ってみるデスッ!」",
"402001031_82": "「どうして……?」",
"402001031_83": "「アタシたちの歌を聴きに、\\n 中の人が扉を開けてくれるかもしれないデス」",
"402001031_84": "「……いくらなんでも、\\n あんな方法でこの扉が開くはずはないだろう」",
"402001031_85": "「~~♪ ~~♪」",
"402001031_86": "「…………」",
"402001031_87": "「<size=40>届くデスッ! アタシたちの歌ッ!</size>」",
"402001031_88": "「反応ありませんね……」",
"402001031_89": "「あなたたち、なんだか楽しそうね……」",
"402001031_90": "「アハハ……。あ、でも楽しそうに宴会をしていたら、扉が開いた、\\n みたいなお話もあったような……」",
"402001031_91": "「天岩戸の故事ね。太陽神が洞窟に籠ったのを、天岩戸の前で\\n 宴会をして誘い出したって話よ」",
"402001031_92": "「前に調神社の宮司さんから聞いたよね」",
"402001031_93": "「あ、そうです。思い出しました。\\n そのお話みたいに出てくればいいのに」",
"402001031_94": "「それなら実際に宴会でもやってみるデスか?\\n でもご飯の準備とかないデスよね……」",
"402001031_95": "「クッキーくらいならあるよ。はい」",
"402001031_96": "「おいしいデスッ! 流石調の手作りデースッ!」",
"402001031_97": "「フフ、流石は調ね」",
"402001031_98": "「本当、おいしいです。\\n 今度作り方を教えてくれませんか」",
"402001031_99": "「うん、いいよ」",
"402001031_100": "「……遠足……か……?」",
"402001031_101": "「……はあ、やはりこんな者たちに期待など――」",
"402001031_102": "「――ッ!?」",
"402001031_103": "「おおッ!? 扉が開き始めたデスよッ!!」",
"402001031_104": "「な、何が起きたッ!?」",
"402001031_105": "「本当だ……どうしてだろう?」",
"402001031_106": "「調のクッキーが食べたくなったんデスよ、きっと」",
"402001031_107": "「そうなのかな……?」",
"402001031_108": "「わたしたちの歌が届いたのかもしれません」",
"402001031_109": "「理由はわからないけど……。\\n でも、結果的に開いたんだから、よしとしましょう」"
}

View file

@ -0,0 +1,28 @@
{
"402001111_0": "突入、ミレニアムパズル",
"402001111_1": "「……まさか、扉が開くとは……」",
"402001111_2": "「でも、どうして開いたんでしょうか?」",
"402001111_3": "「いろいろな偶然が重なったんじゃないかしら?」",
"402001111_4": "「……一体、何故? 納得できん……」",
"402001111_5": "「戸惑う気持ちはわからなくもないですが、\\n 一旦、何故開いたかはおいておきませんか」",
"402001111_6": "「…………」",
"402001111_7": "「……確かに今はこの幸運を活かす時だな。\\n 門のことは忘れよう……」",
"402001111_8": "「それにしても、ここがミレニアムパズルの中なんですね」",
"402001111_9": "「すごく広そう……、\\n でも、あんまり迷路っぽくはないような……」",
"402001111_10": "「なんとも不思議空間デス」",
"402001111_11": "「見た目はどうあれ、どんな者も迷わせると言わしめた迷宮だ。\\n 何が出てくるかわからない。警戒を怠るなよ」",
"402001111_12": "「わかりました。では、気を引き締めて進みましょう。\\n あなたたちも、油断しないようにね」",
"402001111_13": "「うん、マリア姉さん。気をつけるよ」",
"402001111_14": "「わかった」",
"402001111_15": "「了解デスッ!」",
"402001111_16": "「…………」",
"402001111_17": "「……門が開くなんて、いつぶりだろうか。\\n でも、全員知らない顔だ……」",
"402001111_18": "(誰か訪ねて来てくれたのかと思ったのに……)",
"402001111_19": "「……来るわけないか。\\n だってあれからもう何百年も――」",
"402001111_20": "(そうだ。友達もみんな、もういなくなってる……。\\n オレはどうせ人ぼっちだ……",
"402001111_21": "「それにしても、まさか門が反応するなんて……。\\n オレを戦いに巻き込みに来たんじゃないのか」",
"402001111_22": "「確かに、嫌なにおいはあんまりしない……。\\n こいつら、一体なんなんだ……」",
"402001111_23": "「…………」",
"402001111_24": "「……まぁ、いいさ。\\n それでもここに辿り着くなんて絶対不可能」",
"402001111_25": "「せいぜい、パズルに弄ばれるがいい」"
}

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@ -0,0 +1,30 @@
{
"402001121_0": "「大分進んできたと思うけど……」",
"402001121_1": "「……これ、本当に進んでるんデスかね?」",
"402001121_2": "「もうかなりの距離歩いてますよね……」",
"402001121_3": "「うん。同じところをぐるぐる回ってるような……」",
"402001121_4": "「……その疑念は正しい」",
"402001121_5": "「何か見つけたデスか?」",
"402001121_6": "「後ろを振り返ってみろ」",
"402001121_7": "「……何も無いですけど」",
"402001121_8": "「入ってきた扉が遠くに見えます……」",
"402001121_9": "「そんな、これだけの距離を歩いたのに、\\n 何故まだ入り口の扉が見えるのッ」",
"402001121_10": "「……そうじゃない。\\n 我々が進んでいないんだ」",
"402001121_11": "「扉との距離に気づいた後、足元にコインを1枚置いて\\n 進んでみたんだが、先ほどそれが前方から現れた」",
"402001121_12": "「つまりこの道――いや、我々の方かもしれないが、\\n ループさせられているのだろう」",
"402001121_13": "「そんなことが起こり得るのですか……?」",
"402001121_14": "「何が起きても不思議じゃない。\\n 俺たちのいる場所はそういうところだ」",
"402001121_15": "「……それでは、どうしましょうか?\\n このまま無作為に進むわけにもいきませんし」",
"402001121_16": "「何かループから抜け出す方法はないのでしょうか?」",
"402001121_17": "「こちらも言い伝え以上の情報はない。\\n 手探りで進むしかないだろうな」",
"402001121_18": "「ミレニアムパズルは入った者の頭脳や力、全てを試すと\\n 言われている。これもなんらかの試練の可能性もあるが……」",
"402001121_19": "「そうだとしても、取っ掛かりが見つからないと厳しいですね。\\n 系統としては、頭脳を試されているのでしょうか」",
"402001121_20": "「どうやら、試されるのは頭脳ではなかったようだ」",
"402001121_21": "「何か来ますッ!」",
"402001121_22": "「まさかネフィリムッ!? どうしてッ!?」",
"402001121_23": "「こんな所にネフィリムが現れるなんて――ッ!」",
"402001121_24": "「とにかく、戦うしかない」",
"402001121_25": "「向こうもやる気みたいデスよッ!」",
"402001121_26": "「注意して戦うわよッ!」",
"402001121_27": "「うんッ!」"
}

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@ -0,0 +1,27 @@
{
"402001122_0": "「幾度わたしたちの前に現れたとしてもッ!」",
"402001122_1": "「もう怖がったりしませんッ!」",
"402001122_2": "「今よッ! 2人共ッ!」",
"402001122_3": "「うんッ!」",
"402001122_4": "「ぶった切ってやるデスッ!」",
"402001122_5": "「ネフィリムが、消えた……?」",
"402001122_6": "「今度はなんなのッ!?」",
"402001122_7": "「…………」",
"402001122_8": "「……さっきの光はなんだったのかしら」",
"402001122_9": "「特に他の敵とかも出てこないね?」",
"402001122_10": "「やっぱり頭脳を試されるデスか……?\\n また歩き回らされるのは、ゴメンデス……」",
"402001122_11": "「そうでもないらしい。\\n 先ほどの床のコインが消えている」",
"402001122_12": "「あッ! 遠くにあった入口の扉も見えなくなってます」",
"402001122_13": "「どういうことなのかしら。\\n なんらかの仕掛けが動いて――」",
"402001122_14": "「もしかして敵をやっつけたから、\\n 次のステージに飛ばされたって感じデスかね」",
"402001122_15": "「わたしもそう思う。\\n あの白い光は、わたしたちが転送された時のものかも」",
"402001122_16": "「そうかもしれませんね」",
"402001122_17": "「そうなると、やっぱり今のは力を試されたってことかしら」",
"402001122_18": "「恐らくな」",
"402001122_19": "「でも、どうしてネフィリムだったんだろう……」",
"402001122_20": "「なんでだろうね」",
"402001122_21": "「なんにしても、こうして先に進めたんだから、\\n この調子でどんどん行くデスよ」",
"402001122_22": "「うん、頑張ろう」",
"402001122_23": "「そうですね。次の試練も乗り越えましょう」",
"402001122_24": "「さて、この調子で進ませてくれればいいんだけれど……」"
}

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@ -0,0 +1,46 @@
{
"402001131_0": "「こっちが奥……なのかな?」",
"402001131_1": "「わからないけど障害物が無い限り、進んでみましょう。\\n さっきと同じなら、どこかで試練に行き当たるはず」",
"402001131_2": "「…………」",
"402001131_3": "「罠とか大丈夫デスかね……?\\n 迷宮といったら罠は付き物デスし」",
"402001131_4": "「どうなんでしょう……?」",
"402001131_5": "「……そういうのはもうお腹一杯よ」",
"402001131_6": "「待って、また奥から何か来る……ッ!」",
"402001131_7": "「なんデスか、あれは――ッ!?」",
"402001131_8": "「ファントムシスターズの時の改造されたネフィリムッ!」",
"402001131_9": "「くッ――、\\n 行くわよ、みんなッ」",
"402001131_10": "「行くデスよッ!」",
"402001131_11": "「はあ――ッ!」",
"402001131_12": "「このネフィリム、速い……」",
"402001131_13": "「ネフィリムなのに飛ぶとか卑怯デスッ!」",
"402001131_14": "「マリア姉さんッ!\\n 戦ったことのあるわたしたちがッ」",
"402001131_15": "「ええッ、一度勝っている相手に負けたりなんてしないわッ!」",
"402001131_16": "(一度勝っている、か……。\\n そういえば先ほどの敵も、知っていたようだった……",
"402001131_17": "「外しませんッ!」",
"402001131_18": "「そこよッ!」",
"402001131_19": "「調、アタシたちでマリアたちを援護するデスッ!」",
"402001131_20": "「うん、切ちゃんッ!」",
"402001131_21": "「それじゃ行くデ――」",
"402001131_22": "「……少し待て」",
"402001131_23": "「なんデスかッ!? こんな状況でッ!」",
"402001131_24": "「教えてくれ。先ほどの敵、それに今回の敵。\\n あれらはお前たちが今までに倒してきた過去の敵なのか」",
"402001131_25": "「そうです……」",
"402001131_26": "「それがどうしたんデスか?」",
"402001131_27": "「やはり既知の敵か……」",
"402001131_28": "(そうなると、こちらの記憶を読み取って、敵を生成している?\\n しかし、どういった条件でその選定が――",
"402001131_29": "「何かわかったんですか?」",
"402001131_30": "「いや、推論はいくつかあるが、確証はない」",
"402001131_31": "「まどろっこしいデスね……」",
"402001131_32": "「ちょっとッ!\\n 人ともいつまで話しているのッ」",
"402001131_33": "「そういえば戦いの最中だったデスッ!?」",
"402001131_34": "「ごめんマリアッ!」",
"402001131_35": "(記憶の敵――。しかしなぜか俺の記憶からの敵は\\n 出現していない",
"402001131_36": "「あッ! 危ないッ!」",
"402001131_37": "(何者か――いや、この迷宮の主であるドヴェルグが\\n 恣意的に装者たち共通の敵を選んでいる",
"402001131_38": "「敵が――ッ! させないッ!」",
"402001131_39": "(……いや、今出現している敵については、様子を見るに、\\n 名中名しか遭遇していないようだ。ならば――",
"402001131_40": "「もう、なんでもいいから下がるデスッ!\\n カバーするのも大変なんデスよッ」",
"402001131_41": "「もう少し、下がってください……」",
"402001131_42": "「……ああ、それもそうだな」",
"402001131_43": "「――今のうちに、一気に片付けるわよッ!」"
}

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@ -0,0 +1,44 @@
{
"402001132_0": "「落ちなさいッ! はあ――ッ!」",
"402001132_1": "「いただきデスッ!」",
"402001132_2": "「もう1体もッ!」",
"402001132_3": "(わたしも、姉さんやみんなの力にッ!)",
"402001132_4": "「そんな、外れたッ!?」",
"402001132_5": "「シュルシャガナの広範囲攻撃ならッ!」",
"402001132_6": "「まだ足りないッ! セレナも追撃をッ!」",
"402001132_7": "「は、はいッ!」",
"402001132_8": "「――セレナッ!」",
"402001132_9": "「――大丈夫? 怪我はない?」",
"402001132_10": "「うん……ごめんなさい」",
"402001132_11": "「気にしなくていいわ。\\n 調ッ そっちに行ったわよッ」",
"402001132_12": "「これでッ!」",
"402001132_13": "「妙なネフィリムで驚いたけど、なんとかなったね」",
"402001132_14": "「誰がこんなの作ったデス。\\n 趣味悪すぎデスよ……」",
"402001132_15": "「わたしもそう思うわ」",
"402001132_16": "「…………」",
"402001132_17": "「……セレナ、どうかした?」",
"402001132_18": "「……ううん、なんでもない」",
"402001132_19": "(姉さんに護ってもらえることは、嬉しい。\\n でも……",
"402001132_20": "(庇ってもらうばかりのわたしじゃ、不甲斐なくて……ッ!)",
"402001132_21": "「あいつ……、\\n まるで昔のオレみたいだ……」",
"402001132_22": "「助けられて、気に掛けられて嬉しい気持ちと、\\n 助けられる自分が不甲斐なくて悔しい気持ち……」",
"402001132_23": "「そんな複雑な気持ちで、\\n それでも周りのやつに心配かけたくなくて、笑ってる……」",
"402001132_24": "(半人前の自分が不甲斐ない、仲間の役に立ちたい……)",
"402001132_25": "(仲間といられるのは嬉しい、大事にされてるのもわかってる、\\n だけど――",
"402001132_26": "「……そうだよな。自分だって、仲間を助けたいんだよな。\\n 助けられる一方じゃなくて……」",
"402001132_27": "(……昔、仲間たちの中で一番未熟で若かったオレを、\\n ちょうどあんな風に周りが気遣ってくれてた……",
"402001132_28": "(役に立ちたいというオレを、みんなは急がなくていい。\\n いつか一人前になったら、助けてくれればいいさと言った",
"402001132_29": "(それなら、早く一人前になろうと思って、\\n 認められたくて頑張った。けれど――",
"402001132_30": "(オレが一人前になって、恩を返そうと思った時には、\\n みんな争いに巻き込まれて、もう誰もいなくなってた――",
"402001132_31": "(……永遠なんてない。\\n 急がないと、焦らないと、手遅れになることだってある……",
"402001132_32": "「こいつも、オレと同じように1人に……、\\n それとも……」",
"402001132_33": "「あ、また光が――」",
"402001132_34": "「もう1つ先に進めたってことでしょうか……」",
"402001132_35": "「こうして現れる敵を倒していけばいいということみたいね」",
"402001132_36": "「それならなんとかなるデスかね……」",
"402001132_37": "「油断はできないけど、こういうのならわかりやすい」",
"402001132_38": "「ミレニアムパズルがこんなに単純なわけはないだろう。\\n あまり気を緩めるな」",
"402001132_39": "「もっと強い敵や、難しい問題が出てくるかもしれないですね」",
"402001132_40": "「まあ、来る前から悩んでも仕方ないわ。\\n 先に進みましょう」",
"402001132_41": "「そうだな。進めば自ずとわかるだろう」"
}

View file

@ -0,0 +1,45 @@
{
"402001141_0": "「痛ッ!? うう、また見えない壁デスよ……。\\n どうしてアタシばっかり……」",
"402001141_1": "「大丈夫? 切ちゃん……」",
"402001141_2": "「今度は進めないようになっているんですね……」",
"402001141_3": "「見えないから正確には言えないけど、この感じだと\\n ぐるっと囲まれているのかもしれないわね」",
"402001141_4": "「ああ、その可能性は高い。\\n そして、それが意味するのは――」",
"402001141_5": "「新たな試練が始まっている?」",
"402001141_6": "「そうだ」",
"402001141_7": "「移動できない、それでいて敵の姿も無いということは\\n その可能性が高そうですね」",
"402001141_8": "「さっきまでと違うのは、規則的に積まれていた箱が、\\n 乱雑しているところかしら……」",
"402001141_9": "「それに、カラフルな色の箱もあるわね」",
"402001141_10": "「明らかに怪しい箱デス」",
"402001141_11": "「もしかして、何かヒントが隠されているのかも?」",
"402001141_12": "「――箱を動かせ」",
"402001141_13": "「えッ!?」",
"402001141_14": "「誰か今、わたしに何か言いましたか?」",
"402001141_15": "「わたしは何も言ってないけど」",
"402001141_16": "「アタシも言ってないデス」",
"402001141_17": "「わたしもよ」",
"402001141_18": "「気のせいじゃないのか?」",
"402001141_19": "「あの、でも確かに今、誰かの声が……?\\n 『箱を動かせ』って……」",
"402001141_20": "「この色のついた箱のこと? 重そうだけど……動くの?」",
"402001141_21": "「うん……こんな重そうなの、わたしたちじゃ――」",
"402001141_22": "「あれッ!?」",
"402001141_23": "「セッ、セレナが力持ちにッ!?」",
"402001141_24": "「これすごく軽い……少し押したら簡単に動くみたい」",
"402001141_25": "「どうやら箱を動かすことが解答に繋がっているようだな。\\n あとはどう動かすものなのか――」",
"402001141_26": "「切ちゃん、もしかしたらこの箱の色――」",
"402001141_27": "「そうデスッ! 前に調とプレイしたブロックパズルゲームで\\n 見たことあるやつデスッ」",
"402001141_28": "「うん、確かめてみよう」",
"402001141_29": "「合点承知デースッ!」",
"402001141_30": "「ゲームね……。それだとどうなるの?」",
"402001141_31": "「ちょっと待つデス。これをこうして――」",
"402001141_32": "「同じ色の箱を並べると――」",
"402001141_33": "「消えたッ!? そういうことなのねッ!」",
"402001141_34": "「すると、ここにある、色の付いた箱を全て消せということか」",
"402001141_35": "「どんどん消しまくるデスよッ!」",
"402001141_36": "「――この緑を消せば、最後のはずですけど……よし、と」",
"402001141_37": "「やりましたッ! これで突破ですねッ!」",
"402001141_38": "「アタシと調なら当たり前デスッ!」",
"402001141_39": "「ひらめきが、迷宮を上回った」",
"402001141_40": "「フフ、そうね。\\n でも最初のセレナのアドバイスがあったからでしょ」",
"402001141_41": "「アタシたちみんなの勝利デスね」",
"402001141_42": "(あの声……なんだったんだろう?)"
}

View file

@ -0,0 +1,38 @@
{
"402001211_0": "装者の可能性",
"402001211_1": "「……オレは、なんであんなこと」",
"402001211_2": "(……昔のオレに似ていたから?\\n だけど、あいつは人間だぞ",
"402001211_3": "「そうだ……ミレニアムパズルは人間なんかに\\n 解かせちゃいけないものだ」",
"402001211_4": "「あいつらがなんのためにここに来たかは知らないけど、\\n どうせロクな目的じゃない」",
"402001211_5": "「なのに――、どうしてオレは……」",
"402001211_6": "(箱を動かすことにすら気づかなかった連中だ)",
"402001211_7": "(あのまま放っておけば、そのうち音を上げて\\n ミレニアムパズルから出て行ったかもしれないのに……",
"402001211_8": "「……どうして人間なんかに、\\n 声なんて掛けてしまったんだ……」",
"402001211_9": "(……戦闘能力については間違いない。\\n 多くの世界の装者を見てきたが、明らかに群を抜いている",
"402001211_10": "(……ではミーナはそこに希望を見たのか?)",
"402001211_11": "「――ここはネフィリムの見本市デスかッ!」",
"402001211_12": "「それに獣型とか鳥型とか、\\n 分裂するのとか……いろいろありすぎ」",
"402001211_13": "「でも、見たことがある相手なので、なんとかッ!」",
"402001211_14": "「そうね。\\n 完全体が出てこないだけまだマシだわ」",
"402001211_15": "「そういうこと言うと出てくるからダメデスよッ!」",
"402001211_16": "「迂闊な発言は命取り……」",
"402001211_17": "「そ、そういうものなのッ!?\\n 気をつけるわ……」",
"402001211_18": "(言動、行動からみても、他の世界で見た装者のように\\n 洗脳教育などによる自由意志の剥奪はみられない",
"402001211_19": "(戦闘能力が高いのはそれが原因だろう。\\n 意志の力というものは、それだけの違いを生む",
"402001211_20": "(我々ですら戦うことの厳しいガンドや、カオスビースト\\n 相手にも互角以上の立ち回りを演じられるのは大きい",
"402001211_21": "(そう、単純に戦力としてみるなら、かなりのものだ……)",
"402001211_22": "(更にはあのデュオレリック。\\n 複数の聖遺物を纏った装者の新たなる可能性――",
"402001211_23": "(つまりは、その力はまだ成長途中ということもうかがえる。\\n ――そこに希望を見出したのかもしれない",
"402001211_24": "「小さいネフィリムなら、たとえ数が多くたってッ!」",
"402001211_25": "「3人同時の包囲攻撃で――ッ!」",
"402001211_26": "「ズッタズタにしてやるデスッ!」",
"402001211_27": "(いや――それでも理屈は通らない)",
"402001211_28": "(将来的にデュオレリック以上の力を発現するとしても、\\n それがミョルニルに届くものなのか……",
"402001211_29": "(力があるのは間違いない。\\n だが、それは世界蛇本体には通じないレベルだ",
"402001211_30": "(あの時、あの状況で、\\n ミョルニルを犠牲にして、助けるほどのものではない",
"402001211_31": "(ならば、このミレニアムパズルの扉を開けたような、\\n 不確定要素か……",
"402001211_32": "(理屈ではない、何かを感じたとでもいうのだろうか……)",
"402001211_33": "(しかし、それでもミョルニルを捨てるという行動とは\\n とても結びつかない……",
"402001211_34": "「一体ミーナは、\\n 何を感じてあの者たちを助けたのか……」",
"402001211_35": "「まだ、わからないな……」"
}

View file

@ -0,0 +1,68 @@
{
"402001212_0": "「終わりですッ!」",
"402001212_1": "「これでまた次のステージに……」",
"402001212_2": "「次はどんなとこデスか?」",
"402001212_3": "「今度は敵はいないみたい……、\\n でも……ううッ」",
"402001212_4": "「ものすごく大量の箱、ですね……」",
"402001212_5": "「これを全部消せっていうの……ッ!?」",
"402001212_6": "「数えきれないぐらいあるよ……」",
"402001212_7": "「しかも何色あるデスかッ!?\\n ええっと、あのすごく遠いところにあるオレンジは――」",
"402001212_8": "「まず紫を消して、水色を消して、それから黄色を……。\\n どこかに退かせるには…… え……」",
"402001212_9": "「待って、黄色を動かしたらもう動かずに詰んでしまうわ。\\n だから、青をまず消さないといけないみたいね……」",
"402001212_10": "「でも、青はすごく遠いところにあるよ?\\n 持っていくには、ええと、ええと……」",
"402001212_11": "「どっちに動かしても青は詰んじゃうデスよッ!\\n だから先に……あれ、あれ」",
"402001212_12": "「わからない……複雑すぎる……」",
"402001212_13": "「落ち着いて考えましょう」",
"402001212_14": "「……ふむ」",
"402001212_15": "「これは意図的に詰みが生じ易いように配置してある。\\n 計画的に動かねばどうにもならないだろう」",
"402001212_16": "「計画的にと言われても、難しいです……」",
"402001212_17": "(……少なくともミーナは装者の頭脳を買って助けたわけでは\\n なさそうだ。ならば、それを期待しても仕方ないだろう",
"402001212_18": "「……概ね把握した。俺が指示しよう。\\n お前たちは俺の指示通りに動いてもらいたい」",
"402001212_19": "「これが解けるんデスかッ!?」",
"402001212_20": "「造作もない」",
"402001212_21": "「驚きです……」",
"402001212_22": "「こんなに複雑そうなのに……」",
"402001212_23": "「助かります。\\n それでは、指示をお願いできますか」",
"402001212_24": "「赤を手前に。\\n 次に白を左に退けて、空いた場所に奥の青を通す」",
"402001212_25": "「まず赤を、こうですね」",
"402001212_26": "「白を手前に退かせて――」",
"402001212_27": "「あれ、次はなんデスか?」",
"402001212_28": "「奥の青を空いた場所に通す、だ」",
"402001212_29": "「青を空いたところに運んで……?」",
"402001212_30": "「次はあの、左のほうの緑だ。\\n それをつ左に」",
"402001212_31": "「これを動かしておくことにどんな意味が――?」",
"402001212_32": "「次にそこだ。そう、その紫を右奥まで押せ。\\n 先ほどの青の隣までだ」",
"402001212_33": "「長考する様子が全くありませんが、\\n もしかして、最後まで計算できているのですか」",
"402001212_34": "「当然だ。こういったものは逆算して解法を導き出すものだと\\n 相場が決まっているからな」",
"402001212_35": "「ちなみに、あとどれくらい動かすんですか……?」",
"402001212_36": "「残り387手順だ。\\n 間違えると手数が増えることになるから、気をつけろ」",
"402001212_37": "「……おい、言った傍から間違えるな」",
"402001212_38": "「アタシデスかッ!?」",
"402001212_39": "「……そうだ。紫は青の隣までと言っただろう。\\n 通り過ぎてどうする」",
"402001212_40": "「お前たちに計算能力は期待していない。とにかく俺の指示を\\n 間違えないように遂行することだけを考えるんだ」",
"402001212_41": "「……ちょっと悔しいけど、何も言い返せない」",
"402001212_42": "「適材適所よ。仕方ないわ」",
"402001212_43": "「ここにマムとかフィーネとかを連れてこれたなら、\\n ギャフンと言わせられるデスか」",
"402001212_44": "「……そこまで対抗しなくても」",
"402001212_45": "「……そう言えば以前、ベアトリーチェとの戦いの際に\\n その名前を口にしていたな」",
"402001212_46": "「まさかお前たちの知る並行の可能性には、\\n 先史文明期の巫女が仲間となっている世界が存在するのか」",
"402001212_47": "「存在します。一度は敵対していましたけど、\\n 今はわたしたちに協力してくれています」",
"402001212_48": "「わたしたちに、というより向こうの風鳴司令にって\\n 感じですけど……」",
"402001212_49": "「大人な関係デスからね」",
"402001212_50": "「フィーネが味方につく――。\\n まさかそんな可能性があるとはな……」",
"402001212_51": "「フッ……どんなもんデスかッ!\\n 絆もまた、アタシたちの力なんデスッ」",
"402001212_52": "「微妙に説得力がある……のかな?」",
"402001212_53": "(フィーネ……ベアトリーチェとも同化している、\\n 先史文明期の巫女――",
"402001212_54": "(これが仲間……つまり我々世界蛇を倒す側についている。\\n これは、どういうことなのか……",
"402001212_55": "(フィーネは転生体。\\n 本来は転生時に人格まで乗っ取ると聞いたことがある",
"402001212_56": "(しかし、ベアトリーチェはベアトリーチェとしたまま。\\n また、この者たちの知るフィーネも差異がある",
"402001212_57": "(……転生先の影響を受けることがあるということか?\\n いや、最初は敵対していたと、この者たちも言っていた……",
"402001212_58": "(俺の知る並行世界のいくつかでは、フィーネはフィーネとして、\\n バラルの呪詛を解くために活動していた",
"402001212_59": "(そこにベアトリーチェやこの者たちと協力関係を結んだような\\n 例外は存在しない……",
"402001212_60": "(考えてみれば、この者たち……装者からしてイレギュラーだ。\\n 他の世界とは戦力だけでなく、装者の在り方も違う",
"402001212_61": "(我々とは大きく異なる可能性……\\n もしかしたら、ミーナはそれを感じとって――",
"402001212_62": "「すみません、考えているところ悪いんですが、\\n 次の指示をお願いできますか」",
"402001212_63": "「どこを動かすか教えてください」",
"402001212_64": "「……こっちも指示をお願いします」",
"402001212_65": "「……ああ、そうだったな。\\n 次は――」"
}

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@ -0,0 +1,61 @@
{
"402001221_0": "「青を通す道ができただろう。\\n そのまま道なりに押せば消える」",
"402001221_1": "「これを押して行って……」",
"402001221_2": "「消えましたッ!」",
"402001221_3": "「箱もかなり減って、もうゴールは見えたわね」",
"402001221_4": "「うん、かなり時間は掛かったけど」",
"402001221_5": "「ふうー……見た目よりは軽いデスけど、\\n こう多いと結構疲れるデス」",
"402001221_6": "「そうですね。\\n ……あっちこっち運ばないといけないですし」",
"402001221_7": "「ふう。一体何個消したんだろう」",
"402001221_8": "「1000個ぐらいはあった気がするデス……」",
"402001221_9": "「流石にそんなになかったと思いますが……?」",
"402001221_10": "「とはいえ、この……黄色を消せば、\\n 残りは緑と青の色のみだ」",
"402001221_11": "「さあ、緑を運んで――」",
"402001221_12": "「ちょっと待ってください、\\n 少しだけ休憩をさせてくれませんか」",
"402001221_13": "「次にまた敵が出てこないとも限らないですし、\\n 万全の態勢で、クリアしたほうがいいと思います」",
"402001221_14": "「……わかった。休憩にしよう」",
"402001221_15": "「ありがとうございます」",
"402001221_16": "「次はもっと楽なのがいいデスよ」",
"402001221_17": "「そうはいかないかもしれないわね。\\n こういうものは、後になるほど厳しくなるものよ」",
"402001221_18": "「確かにそれはお約束……」",
"402001221_19": "「あまり考えたくないデスけど、とにかく今は休憩するデスよ」",
"402001221_20": "「……それにしても、\\n わたしの聞いた声はなんだったんでしょう」",
"402001221_21": "「なんて聞こえたんだっけ?」",
"402001221_22": "「えっと『箱を動かせ』って言ってました」",
"402001221_23": "「アタシたちにはなんにも聞こえなかったデスよ?」",
"402001221_24": "「しかし、聞き間違いが偶然にも鍵となるのは考えにくい」",
"402001221_25": "「それもそうですね……とすると、\\n 誰かがヒントをくれたのでしょうか」",
"402001221_26": "「それこそ、ここに住むドヴェルグくらいしか思い当たらないな。\\n しかし、侵入者を阻むべく作られたパズルでヒントなど……」",
"402001221_27": "「謎デス……。\\n ところでこの試練ってどのぐらい続くんデスか」",
"402001221_28": "「まだ、全然序盤だったりして……」",
"402001221_29": "「それは……流石に身体が持たなそうね……」",
"402001221_30": "「力に頭脳に……他にも種類があるのかな?」",
"402001221_31": "「なんだろう……技術?」",
"402001221_32": "(ミレニアムパズルは神話となるまでの長い間、\\n 人の侵入を拒んできた……",
"402001221_33": "(だが、我々はこうして今、中にいる。\\n この幸運をなんとしても活かさねばならない",
"402001221_34": "(力と知恵は試されたが……。\\n ミレニアムパズルは、他に何を求めるのか",
"402001221_35": "(……前回の戦いでミョルニルを失ったのが痛い。\\n 今ウロボロスが動けば、対抗手段が無い……",
"402001221_36": "(ミーナが首尾よくミョルニルを再入手してくれて\\n いればいいのだが……",
"402001221_37": "「次はまたまたネフィリムデスかね」",
"402001221_38": "「何も来なければいいな」",
"402001221_39": "「箱はともかく、こうやって試練のステージをクリアするのは、\\n 自分がゲームの中に入ったみたいでちょっと面白いデスね」",
"402001221_40": "「うん、同じこと思ってた」",
"402001221_41": "「セレナはどうデス?」",
"402001221_42": "「えッ!? あ、はい。わたしも楽しいですよ」",
"402001221_43": "(でも、わたしは戦闘であんまり役に立ててない……。\\n 力不足でカバーされてばかり……",
"402001221_44": "(せっかく、天羽さんがわたしの背中を押してくれたのに……)",
"402001221_45": "「……セレナ。大丈夫?」",
"402001221_46": "「……うん、大丈夫だよ」",
"402001221_47": "「言いたいことは言葉に出した方がいいわ。\\n わたしでいいなら、いつでも聞いてあげる」",
"402001221_48": "「マリア姉さん……」",
"402001221_49": "「……うん、その時はお願い。\\n まだ、もう少し自分で考えたいから……」",
"402001221_50": "「わかったわ」",
"402001221_51": "「……そろそろ休憩もいいかしらね。\\n パズルを再開しましょうか」",
"402001221_52": "「今度はなんだろう……」",
"402001221_53": "「と思ったら、なんか囲まれてるデスよッ!」",
"402001221_54": "「今度は再び力の試練のようだな。\\n ……俺は下がっていよう」",
"402001221_55": "「休憩して正解だったわね。\\n ……おかげで万全の状態で戦えるッ」",
"402001221_56": "「わたしも頑張ります」",
"402001221_57": "「セレナ、その意気」",
"402001221_58": "「みんなでパズルをクリアするデスッ!」"
}

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@ -0,0 +1,61 @@
{
"402001222_0": "「これはもう、乗り越えた過去よッ!\\n 今のわたしたちの敵じゃないッ」",
"402001222_1": "「さて、次ね……これは?」",
"402001222_2": "「箱がいっぱい積み上げられて、壁みたいになってる」",
"402001222_3": "「ふぬぬぬ……ッ!\\n 今度は押しても動かないデス」",
"402001222_4": "「また違ったものを試されるようだな」",
"402001222_5": "「箱を消すのじゃなかったら、何をすれば?\\n あッ、こっち、箱と箱の隙間に入れそうな道がありますよ」",
"402001222_6": "「中は?」",
"402001222_7": "「……なるほど、そういうこと。\\n 今度はストレートに迷路ってわけね……」",
"402001222_8": "「これこそ迷宮デスねッ!」",
"402001222_9": "「そのまんまだね」",
"402001222_10": "「とりあえず進んでみましょう」",
"402001222_11": "「か……完全に迷ったデス。\\n どっちに行っても行き止まりとループデスよッ」",
"402001222_12": "「目印に置けるものももう無い」",
"402001222_13": "「壁も床も攻撃しても傷がつかないし。\\n 目印がつけられない……」",
"402001222_14": "「ああッ、また行き止まりです……。\\n あれ 最初はどっち向きに入ったんでしたっけ……」",
"402001222_15": "「確か向こうのはずだが」",
"402001222_16": "「こちらだった気が……、\\n 流石に方向感覚も自信もなくなってきますね」",
"402001222_17": "「周りの景色がずっと箱箱箱でなんの変化もないから、\\n 何がなんだがわからないデスよ……」",
"402001222_18": "「うん……分岐も多かったし、最初の入口に戻るのも\\n 厳しいかも……」",
"402001222_19": "「また行き止まりですね……」",
"402001222_20": "「この迷路、本当に出口はあるんでしょうねッ!?\\n 壊せるものなら、壁を壊して進みたいわ」",
"402001222_21": "「マッピング機能が欲しい……」",
"402001222_22": "「記録手段の1つでもあればよかったんだろうが、\\n あいにくとそういった持ち合わせはないな」",
"402001222_23": "「こちらもです。\\n ……総当たりで調べるしかなさそうですね」",
"402001222_24": "「――はッ!!」",
"402001222_25": "「どうしたの、切ちゃん」",
"402001222_26": "「総当たりで思い出したデスッ!\\n こうして、左手で壁に触って――」",
"402001222_27": "「このままずっと左手を壁につけて歩けば、いつか必ず\\n ゴールにたどり着けるという法則があるんデスよッ」",
"402001222_28": "「この前ゲームをしていてアタシが見つけた、\\n 究極の必勝法デスッ」",
"402001222_29": "「ああ、左手法ね。割と有名な方法よ」",
"402001222_30": "「なんデスとッ!?」",
"402001222_31": "「非常に一般的な、広く知られた迷路攻略法だな」",
"402001222_32": "「わたしも何かの本で読んだ気がします」",
"402001222_33": "「そ、そんな……ッ!?\\n ア、アタシが発見した法則のはずだったデス……ッ」",
"402001222_34": "「切ちゃん、ドンマイ……」",
"402001222_35": "「まあでも、取っ掛かりとしてわかりやすいし、\\n 試してみましょうか」",
"402001222_36": "「アタシのヒラメキは、一体なんだったんデスか……ッ!」",
"402001222_37": "「もうずいぶん歩いたけど……ゴールは……」",
"402001222_38": "「信じるデス……これは究極の必勝法なんデス」",
"402001222_39": "「あッ、あの場所――」",
"402001222_40": "「きっとゴールデスッ!」",
"402001222_41": "「出口……\\n じゃなくて、最初の地点まで戻ってきちゃいました……」",
"402001222_42": "「つまり、ゴールは外周には無いってことね。\\n そうなると、調べるのはかなり面倒になりそうね……」",
"402001222_43": "「ど、ど、どういうことデスかッ!?」",
"402001222_44": "「左手法は外壁をたどってゴールを目指す方法だから、外周に\\n ゴールが無いと、たどり着けないんだよ」",
"402001222_45": "「他にもフロアが複数に渡っている場合や、なんらかの転送装置、\\n 位置を変える仕掛けがあった場合も、その方法では無理だ」",
"402001222_46": "「そんな……アタシの、究極の必勝法が……」",
"402001222_47": "「ええっと、でも……、外周にゴールが無いことまでは\\n わかりましたから」",
"402001222_48": "「そ、そうデスッ!\\n これでゴールに近づいたデスよッ」",
"402001222_49": "「切ちゃん、復活早い。\\n でも、セレナの言う通りだと思う」",
"402001222_50": "「とにかく、ゴールは迷宮の内側なんだから、\\n 次はなるべく中心へ向かうよう、進路を取ってみましょう」",
"402001222_51": "「…………長いわね」",
"402001222_52": "「そうデスね……。\\n 足が鉄棒になりそうデス」",
"402001222_53": "「本当は足が棒が正しいけど、\\n そっちの方がしっくりくるくらい歩いたよね……」",
"402001222_54": "「――あ、あれッ!?」",
"402001222_55": "「行き止まり……あ、でも地面に何か……?」",
"402001222_56": "「印があるデスッ! もしかして――」",
"402001222_57": "「きっとゴールよッ! お願い……そうであってッ!」",
"402001222_58": "「ふむ、そのようだな」"
}

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@ -0,0 +1,14 @@
{
"402001231_0": "「……やっとゴールできたか。よかった」",
"402001231_1": "(……よかった? どうして?)",
"402001231_2": "「……いいはずなんてない。\\n クリアされたら……あいつらと会うことに……」",
"402001231_3": "(会う……? 人間と……?)",
"402001231_4": "「何を考えているんだ、オレは……」",
"402001231_5": "(人の役に立てるのが嬉しくて、仲間たちと人のためになる物――\\n 今では聖遺物と呼ばれているそれを作った",
"402001231_6": "(なのに、あいつらは裏切った……)",
"402001231_7": "(嘘をついて、騙して、オレたちの作った物の力を\\n 独り占めするために、オレたちの仲間を……ッ",
"402001231_8": "「人間は、嘘つきだ。\\n だから、きっとあいつらだって……同じ」",
"402001231_9": "(あいつらから漂うにおいも、きっと同じようになる。\\n いつかは、あの醜悪なにおいを発するようになって――",
"402001231_10": "「だから、オレは人間なんて、信じない……」",
"402001231_11": "(でも……昔のオレに似ている、\\n こいつだけは、もしかしたら――"
}

View file

@ -0,0 +1,25 @@
{
"402001311_0": "迷宮からの試練",
"402001311_1": "「石屋」",
"402001311_2": "「石屋ったら。\\n わたしが呼んだら早く来なさい」",
"402001311_3": "「ベアトリーチェ様。\\n 現在、石屋様は所用で不在にしております」",
"402001311_4": "「あら、そう」",
"402001311_5": "(放置でいいと言ったはずだけど……、\\n まったく、仕事熱心ね",
"402001311_6": "(でも、\\n これはこれで、面白いわ",
"402001311_7": "「それなら、戻ってくる時のお土産に\\n 期待してることにするわ」",
"402001311_8": "「はッ。石屋様ならば、必ずやベアトリーチェ様の\\n ご期待に沿うものを持って戻るかと思います」",
"402001311_9": "「……ええ、そうかもね」",
"402001311_10": "(私を退屈させないだけの土産、楽しみにしてるわ……)",
"402001311_11": "「……とても、やつらにパズルを攻略できるとは思えませんが」",
"402001311_12": "「私もそう思います。なによりもドヴェルグは大の人間嫌い、\\n 力を貸すなんてことはあり得ません」",
"402001311_13": "「でしたら、我々が赴く意味はないのでは?」",
"402001311_14": "「ミョルニルを失ったスクルドはどうと言うことはありません。\\n ですが――」",
"402001311_15": "「あの装者たち、特にガングニールの少女は、我々にはわからない\\n 不確定要素を孕んでいるように感じるんですよ」",
"402001311_16": "「特にベアトリーチェ様のお気に入りである、あの少女ですか?」",
"402001311_17": "「ええ、ベアトリーチェ様はそれを楽しんでおられるが、\\n 不確定要素は、無いに越したことはありません」",
"402001311_18": "「了解しました。\\n 我々がそれを取り除いてみせましょう」",
"402001311_19": "「――カオスビースト。\\n こんなところに巣を張っていたんですね……」",
"402001311_20": "「偶然ではありますが、我々には好都合。\\n さあ、急ぎましょう」",
"402001311_21": "「はい。世界蛇の加護のある我々は、カオスビーストからは\\n 敵視されませんからね」",
"402001311_22": "(さて、敵はパズルにたどり着いているでしょうか……)"
}

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@ -0,0 +1,24 @@
{
"402001312_0": "「やあッ!」",
"402001312_1": "「――ごめんなさい、まだ浅いッ!」",
"402001312_2": "「平気デスッ!\\n すでに狙いは喉元――ッ」",
"402001312_3": "「ありがとうございますッ!」",
"402001312_4": "「礼には及ばないデスよッ!」",
"402001312_5": "「だんだんとパターン化してきたわね。\\n 戦闘と、迷宮と、パズルと……」",
"402001312_6": "「ああ。しかし、複雑化、強力化もしてきている。\\n これらを全てクリアしていくのは骨が折れるな」",
"402001312_7": "「場所が変わりましたね。\\n 次はどんな試練でしょう……」",
"402001312_8": "「……あ、あれ……?\\n みんな、どこに……」",
"402001312_9": "「そんな、どうして……、\\n さっきまでみんな一緒にいたのに……ッ」",
"402001312_10": "「まさか、今度は別々の場所に飛ばされた?\\n もしもユリウスさんの所に強敵が現れたら……」",
"402001312_11": "(ううん、違う。わたしが不安なんだ……。\\n 本当に人で大丈夫なのかな……",
"402001312_12": "「あッ、マリア姉さんッ!\\n よかった……」",
"402001312_13": "「…………」",
"402001312_14": "「これは……」",
"402001312_15": "(――分断された、というわけね。\\n 翼なら兵法の常套とでも言うかしら",
"402001312_16": "(こんなステージもあることぐらい、\\n 想定していなかったわけじゃない",
"402001312_17": "(今のみんななら、余程のことでも無い限り\\n 心配は無いと思うけれど……急ぎましょうか",
"402001312_18": "(クリアした後、合流できるならいいんだけれど)",
"402001312_19": "「……さて、わたしは何を試されるというの」",
"402001312_20": "「セレナ、よかった。\\n あなたも一緒だったのね」",
"402001312_21": "「…………」"
}

View file

@ -0,0 +1,48 @@
{
"402001321_0": "「こ、これは強敵デス……」",
"402001321_1": "「うん……どうしよう」",
"402001321_2": "「あっちもこっちも箱だらけデスよッ!」",
"402001321_3": "「ここに来てまたパズル地獄……」",
"402001321_4": "「パズルがラスボスなんて聞いたことないデスよッ!」",
"402001321_5": "「しかもユリウスさんもいない……。\\n マリアも、セレナも」",
"402001321_6": "「はあ……。\\n これ、どうするデスか……」",
"402001321_7": "「どうしよう……」",
"402001321_8": "「…………うーん」",
"402001321_9": "「…………うーん」",
"402001321_10": "「ずっと考え込んでたって仕方ないデスね」",
"402001321_11": "「そうだね。\\n やるだけやってみよう」",
"402001321_12": "「よーし、いっちょやったるデスッ!\\n まずはこの青から消すデス」",
"402001321_13": "「さっきまでのできっと勘を掴んでるはず……ッ!\\n じゃあ白を退けて――」",
"402001321_14": "「次はこっちの青デス」",
"402001321_15": "「それ動かしたら赤が動かせなくなって……あれ?」",
"402001321_16": "「あれ、じゃあ緑デス?」",
"402001321_17": "「緑を消そうと思うと、ずっと向こうから\\n 持ってこないといけないよ」",
"402001321_18": "「あれ? あれ?\\n ど、どうしたらいいデスか――ッ」",
"402001321_19": "「……長い戦いが始まりそう」",
"402001321_20": "「はあ――ッ!」",
"402001321_21": "「うく――ッ!\\n 姉さん、どうしてッ」",
"402001321_22": "「この程度ッ!?\\n 手応えがないッ」",
"402001321_23": "「くうう……ッ!」",
"402001321_24": "「マリア姉さんッ、どうしちゃったのッ!?\\n わたしだよッ」",
"402001321_25": "「もちろんわかっているわ。\\n セレナだからこそ……」",
"402001321_26": "「そう、あなただから確実にこの手で倒すのよ。\\n さあ、わたしの剣で仕留めてあげる……ッ」",
"402001321_27": "「そんな、姉さん、どうして……ッ!」",
"402001321_28": "「逃げ場などないッ!」",
"402001321_29": "「きゃあ……ッ!」",
"402001321_30": "「はぁ、はぁ……ッ!\\n マリア姉さん、どうしちゃったのッ」",
"402001321_31": "「どうもしないわ。\\n さあ、セレナ。わたしと戦いなさい」",
"402001321_32": "「姉さん、誰かに操られてるのッ!?\\n ど、どうしたら……」",
"402001321_33": "「操る? 何を言ってるのかしら。\\n 諦めるというのならそれでもいいけれど」",
"402001321_34": "「それならッ、すぐに殺してあげるわッ!」",
"402001321_35": "「ぐ、ううう……ッ!\\n 姉、さん……」",
"402001321_36": "「……それは本物じゃない」",
"402001321_37": "「えッ!?」",
"402001321_38": "(――またあの時の声――ッ!?)",
"402001321_39": "「お前の一番苦手な敵、戦いたくない相手が現れる、\\n 心の試練だ」",
"402001321_40": "「待ってくださいッ、だったらわたしは……ッ!」",
"402001321_41": "「…………」",
"402001321_42": "(一番苦手な、戦いたくない相手……。\\n 姉さんが敵になるなんて……",
"402001321_43": "「何をごちゃごちゃと言っているの。\\n 諦めたんでしょう」",
"402001321_44": "「早く、あなたを斬らせて頂戴……?」",
"402001321_45": "「そんな……マリア姉さんと戦うだなんて……」"
}

View file

@ -0,0 +1,37 @@
{
"402001331_0": "「やあ――ッ!」",
"402001331_1": "「どうしてッ!?」",
"402001331_2": "「どうしてって、\\n それはわたしがマリア姉さんに勝ちたいからだよ……」",
"402001331_3": "「な、何を言ってるのッ!?」",
"402001331_4": "「これならッ!」",
"402001331_5": "「く――ッ!\\n 一体どうしたというの、セレナ……ッ」",
"402001331_6": "「マリア姉さん、ここでわたしが殺してあげる」",
"402001331_7": "「……ッ!」",
"402001331_8": "「――そう、そういうことなの。\\n やっとわかったわ」",
"402001331_9": "「わかった? 何が?」",
"402001331_10": "「セレナがそんなことを言うはずがないッ!\\n あなたは偽物よッ」",
"402001331_11": "「本当に?\\n 人間なんて、本心では何を考えているか――」",
"402001331_12": "「わからないんだよッ!」",
"402001331_13": "「わかるわッ! あなたは偽物――ッ!」",
"402001331_14": "「…………ふうん」",
"402001331_15": "「互いの心を信じられるからこそ、絆は生まれるのよ。\\n ましてや、セレナはわたしのたった人の妹」",
"402001331_16": "「あの子は例え敵に対しても『殺す』なんて言葉は使わない。\\n 人を、生き物を慈しむ優しい子だからッ」",
"402001331_17": "「もう気づいちゃうなんて。\\n すごいね、マリア姉さん」",
"402001331_18": "「偽物くらいでわたしをなんとかしようだなんて、\\n 甘いわね」",
"402001331_19": "「まったく……舐められたものだわッ!」",
"402001331_20": "「うく――ッ!」",
"402001331_21": "「偽物だとわかればッ!」",
"402001331_22": "「あう……ッ! 痛いよ、姉さん……ッ!」",
"402001331_23": "「く――ッ!」",
"402001331_24": "(――剣筋が鈍るッ!)",
"402001331_25": "「手加減してくれるなんて、やっぱり姉さんは優しいな」",
"402001331_26": "「この……ッ!\\n その声でそれ以上、喋るのをやめなさい……ッ」",
"402001331_27": "「フフ、優しいけれど……、\\n 甘すぎるよッ」",
"402001331_28": "「ぐう……ッ!」",
"402001331_29": "「怖いよ、マリア姉さん。\\n 剣先をこっちに向けないで……」",
"402001331_30": "「偽物がどの口で……ッ!」",
"402001331_31": "「ね?\\n このまま……抵抗しないでッ」",
"402001331_32": "「ぐ――ッ!」",
"402001331_33": "(頭では偽物だとわかっていても、できない――ッ!\\n セレナの姿を切るだなんて……ッ",
"402001331_34": "「とんだ敵を用意してくれたものね……ッ!」"
}

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@ -0,0 +1,97 @@
{
"402001332_0": "「セレナを真似るのをやめなさいッ!」",
"402001332_1": "「あぐ……ッ!」",
"402001332_2": "「今度こそ、仕留めてあげるわッ!」",
"402001332_3": "「きゃッ!?\\n ……なんて」",
"402001332_4": "「また躊躇ってくれたんだね。\\n 本当に優しい姉さん、だから大好きだよ」",
"402001332_5": "「黙りなさい……ッ!」",
"402001332_6": "(どうしてもセレナへの攻撃を躊躇ってしまう……ッ!)",
"402001332_7": "(言葉はある程度聞き流せる。\\n だけど、あの怯える表情が……ッ",
"402001332_8": "「姉さん、そろそろ諦めよう?」",
"402001332_9": "「はあ――ッ」",
"402001332_10": "「くうッ!」",
"402001332_11": "「それともわたしを殺すの?\\n そんなこと、できないよね」",
"402001332_12": "「…………」",
"402001332_13": "(会話をしてはダメ。ペースに飲まれてしまう)",
"402001332_14": "(……よしッ!\\n 姿形が問題というのならッ",
"402001332_15": "「……目を瞑って、諦めてくれたのかな?\\n だったら」",
"402001332_16": "(翼なら、心眼とか使いそうだけど、\\n 流石にいきなりは無理……",
"402001332_17": "(だったら――ッ!)",
"402001332_18": "「これで、トドメ――ッ!」",
"402001332_19": "「どう? 可愛い妹からの攻撃は?」",
"402001332_20": "「最悪の気分よッ!\\n でも、これで見ずにお前を攻撃できるッ」",
"402001332_21": "「な……ッ!?」",
"402001332_22": "「はあ――ッ!!」",
"402001332_23": "「きゃあッ!?」",
"402001332_24": "「……まさか、位置を確認するために、\\n わざと攻撃を受けたの」",
"402001332_25": "「覚悟さえあれば、一撃ぐらい耐えられる」",
"402001332_26": "「く……」",
"402001332_27": "「はぁ、はぁ……。\\n 偽物とわかっていても、気持ちのいい勝利じゃないわね」",
"402001332_28": "「酷い試練を仕掛けてくれる……」",
"402001332_29": "「でも、わたしの前にセレナが現れたということは……」",
"402001332_30": "「偽物と知ったところでッ!」",
"402001332_31": "「く――ッ!」",
"402001332_32": "「あなたでは勝てない。\\n それは知ってるんでしょう」",
"402001332_33": "「そんなこと、ありませんッ!」",
"402001332_34": "「うぐ――ッ!\\n やってくれるじゃない」",
"402001332_35": "(強さは本物の姉さんには全く及ばない……と、思う)",
"402001332_36": "(でも、やっぱり姉さんの姿に攻撃するのは、\\n どうしても……ッ",
"402001332_37": "「今度はこちらの番よッ!」",
"402001332_38": "(偽物なのに……でもッ!\\n 姉さんの声で、姉さんの姿でこられると……",
"402001332_39": "「躊躇ってばかりいたら、負けるぞ」",
"402001332_40": "「……ッ! またこの声――」",
"402001332_41": "「何を言っているの?\\n あなたの相手はわたしよッ」",
"402001332_42": "「でも……ッ!」",
"402001332_43": "「わたしに話しかけてくる――あなたは誰なんですかッ!?」",
"402001332_44": "「そんなことはどうでもいいだろ。\\n それより、集中しろ。強くなりたいんじゃないのか」",
"402001332_45": "「強くなりたいです……でも」",
"402001332_46": "「隙だらけよッ!」",
"402001332_47": "「あうッ!?\\n で、でも……マリア姉さんを傷つけるための力なんて――」",
"402001332_48": "「おいッ! こんなところで倒れるのかッ!」",
"402001332_49": "「これなら――ッ!」",
"402001332_50": "「ああああ……ッ!!」",
"402001332_51": "「他愛もないわね。\\n トドメといきましょうか……」",
"402001332_52": "「立てッ! そのままじゃ本当に死ぬぞッ!」",
"402001332_53": "(やっぱり、できないよ……。\\n ごめんなさい、姉さん。みんな……",
"402001332_54": "「次こそ青を動かせると思う」",
"402001332_55": "「試しに押して行ってみるデス」",
"402001332_56": "「あッ、やっぱりダメッ!」",
"402001332_57": "「えッ? あ、赤が詰んでしまいそうデスッ!」",
"402001332_58": "「やっぱり青を戻して……」",
"402001332_59": "「先に赤を退けたら……?」",
"402001332_60": "「切ちゃん、ダメッ!\\n その前に黄色を動かさないと――」",
"402001332_61": "「あッ、あッ! 詰みに入ってしまったデスッ!!」",
"402001332_62": "「これじゃあ、もう――」",
"402001332_63": "「……あれ?」",
"402001332_64": "「全部の配置が戻ってる」",
"402001332_65": "「再チャレンジできるってことデスかね……」",
"402001332_66": "「消せるものがなくなって詰んだら、元に戻るのかな」",
"402001332_67": "「ゲームオーバーにならないのはありがたいデスけど、\\n また最初からなんデスね……」",
"402001332_68": "「うん……それこそセーブとか欲しい……」",
"402001332_69": "「……あ、このままだと、また詰みだね」",
"402001332_70": "「デデデッ!?\\n もう回デスッ」",
"402001332_71": "「あれ? 完全に詰んでないのに戻った……?」",
"402001332_72": "「デスよね。まだ消せるところがあったデス……」",
"402001332_73": "「そうだよね。\\n あ、もしかしたら――」",
"402001332_74": "「何か思いついたデスか?」",
"402001332_75": "「うん、あのね。もしかしたらなんだけど――」",
"402001332_76": "「戻ったッ! 調の推理、大当たりデスッ!」",
"402001332_77": "「これならなんとかなるかも……」",
"402001332_78": "「やっぱりやり直しの条件は詰みだったデスね」",
"402001332_79": "「うん、でも消せなくなるのが条件じゃなくて、どう進めても\\n クリアの方法がなくなると、リスタートになる」",
"402001332_80": "「ってことは――」",
"402001332_81": "「戻される前まではクリアの可能性があるってこと」",
"402001332_82": "「だから、毎回同じ手順で進めて、戻されたらその直前に\\n 消すのを違うものにすれば――」",
"402001332_83": "「少しずつでもクリアに近づけるデスねッ!」",
"402001332_84": "「頑張ろう、切ちゃん」",
"402001332_85": "「オッケーデースッ!」",
"402001332_86": "「くッ……今のは間違いだったデスかッ!」",
"402001332_87": "「また最初からだね……」",
"402001332_88": "「失敗……」",
"402001332_89": "「諦めたらそこで終了デスよッ!」",
"402001332_90": "「……ついに、ここまで来たデス……」",
"402001332_91": "「うん。これを……消せばッ!」",
"402001332_92": "「あと1つデスッ!」",
"402001332_93": "「もう数えるのも嫌になるぐらい戻されたけど、やっとッ!」",
"402001332_94": "「アタシと調の2人の力で、クリアデースッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,26 @@
{
"402001341_0": "「終わった……、調、アタシたち勝ったんデスねッ!」",
"402001341_1": "「恐ろしい戦いだったね……ッ!」",
"402001341_2": "「お疲れ様。随分と苦労したみたいね」",
"402001341_3": "「よほどの強敵だったとみえるが」",
"402001341_4": "「アタシたちの敵は、あの箱のパズルだったデスよ、\\n それもこれまでにないくらい超広範囲の……」",
"402001341_5": "「本当に強敵だった」",
"402001341_6": "「それは、よく解けたわね」",
"402001341_7": "「アタシたちの頭脳が勝ったんデス……ッ!」",
"402001341_8": "「マリアの所はどうだったの?」",
"402001341_9": "「わたしは1人だったわ……。セレナの偽物が出てきたの」",
"402001341_10": "「……それは、酷い」",
"402001341_11": "「そちらはどうだったんデスか?」",
"402001341_12": "「……俺も似たようなものだ」",
"402001341_13": "「無事でよかったです」",
"402001341_14": "「……どうやら、セレナも1人で飛ばされたみたいね」",
"402001341_15": "「うん、わたしたちは見てないから、\\n 間違いなくそうだと思う」",
"402001341_16": "「……そろそろ、来てもいい頃デスよね?」",
"402001341_17": "「すでにそれなりの時間は経過していたからな。\\n ここはパズルフロアだったが、後手まで解いてある」",
"402001341_18": "「遅れてきてよかったデス……」",
"402001341_19": "「うん……もう1回あれはやりたくないよね……」",
"402001341_20": "「合流できるか不安だったけど、この分なら待てば\\n セレナとも合流できそうね」",
"402001341_21": "「でも、セレナもパズルをやってるなら、\\n 時間が掛かるかもデスよ……」",
"402001341_22": "「そうね……」",
"402001341_23": "(恐らく、セレナの相手は……)"
}

View file

@ -0,0 +1,49 @@
{
"402001411_0": "精霊ドヴェルグ",
"402001411_1": "「……ん……」",
"402001411_2": "「……あれ? ここは……どこ?」",
"402001411_3": "「さっきまで、ミレニアムパズルで戦っていたはずなのに」",
"402001411_4": "「まさか……天国なのかな?\\n わたし、あのまま――」",
"402001411_5": "「天国なんかじゃない、\\n オレがここに運んだんだ」",
"402001411_6": "「え、あなたが……?\\n って、あれ 頭の中に声が……」",
"402001411_7": "「そうだ。お前の心に話しかけてる」",
"402001411_8": "「あ……、何度かわたしを助けてくれた声と同じ……。\\n あなただったんですね」",
"402001411_9": "「ああ」",
"402001411_10": "「あなたは……、\\n もしかして、精霊ドヴェルグ……さん」",
"402001411_11": "「そうだ」",
"402001411_12": "「……セレナ、遅いわね」",
"402001411_13": "「心配なのはわかるけど、まだ5分も経ってないよ?」",
"402001411_14": "「そうは言ってもあなたたちが来るまでにも、\\n かなり待ってたし――」",
"402001411_15": "「落ち着くデスよ。\\n アタシたちだってセレナのことは心配デス」",
"402001411_16": "「だけど……ッ!」",
"402001411_17": "「試練に失敗した可能性も考えられるが――」",
"402001411_18": "「失敗したらどうなるんですかッ!?\\n セレナは……ッ」",
"402001411_19": "「落ち着け、可能性を言っただけだ。\\n それに、オレに聞かれてもわからない」",
"402001411_20": "「言い出しておいて、それは無責任ではないですか?」",
"402001411_21": "「まあ、推測でいいなら言えるが」",
"402001411_22": "「その推測を教えてください」",
"402001411_23": "「……結局のところ、可能性は2つしかない」",
"402001411_24": "「このミレニアムパズルの外へと出されるか、\\n それとも死んでしまうか……」",
"402001411_25": "「……」",
"402001411_26": "「これに関してだが、恐らく可能性として高いのは、\\n 外へとはじき出される方だと思われる」",
"402001411_27": "「……理由は、なんですか?」",
"402001411_28": "「このミレニアムパズル自体が知られているためだ」",
"402001411_29": "「もし、誰も戻ってきた者がいないなら、言い伝えが残っている\\n ことそのものがおかしい」",
"402001411_30": "「もちろん、クリアした者が伝えたという可能性もあるが、\\n それにしては情報が少なすぎる」",
"402001411_31": "「少なくとも観測を開始してから扉すら開いたことがない。\\n だが、迷宮という話、ドヴェルグがいるという話はあった」",
"402001411_32": "「中途半端な情報だけがある……これは攻略失敗した誰かが、\\n 戻ってから伝えたものではないかと考えられる」",
"402001411_33": "「……では、セレナは無事ということなんですね?」",
"402001411_34": "「あくまで推測だがな」",
"402001411_35": "「それなら、このままミレニアムパズルを進んで、\\n ドヴェルグって精霊に聞いてみればいい」",
"402001411_36": "「そうデス。\\n どこ行ったかぐらいは教えてくれるデスよ」",
"402001411_37": "「……そうね。\\n 奥で待つという手もあるんだから」",
"402001411_38": "「きっとセレナも後から追いついてくるデス」",
"402001411_39": "「難しい試練で時間が掛かってるだけだと思う」",
"402001411_40": "「それを願いましょう。\\n それじゃパズルを終えて先に進んで――」",
"402001411_41": "「えッ!?」",
"402001411_42": "「なんにもしてないのに飛ばされたデスッ!?」",
"402001411_43": "「まだパズルを消してなかったのに……」",
"402001411_44": "「見ろ、背後に入口の扉がある」",
"402001411_45": "「スタートに戻されたッ!?」",
"402001411_46": "「一体どうなっているのよッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,84 @@
{
"402001421_0": "「ここに来るまで、何度かヒントをくれて\\n ありがとうございます」",
"402001421_1": "「そんな気はなかったんだが……」",
"402001421_2": "「それに、ここに連れて来てくれたんですよね。\\n 助けてくれたんですか」",
"402001421_3": "「……ああ、そうだ」",
"402001421_4": "「あのままだと、ミレニアムパズル内でお前は命を落とす\\n 可能性があった」",
"402001421_5": "「……はい、もう少しでやられそうでした」",
"402001421_6": "「……違う。ここでの死は死にならない。\\n 殺すための仕掛けじゃないんだ、ミレニアムパズルは……」",
"402001421_7": "「……え? そうなんですか?」",
"402001421_8": "「あのまま負けたとしても、心が折れていなければ、\\n 再挑戦もできる」",
"402001421_9": "「心を試す試練。だから、心の強さが重要だった。\\n だけど、お前の心は折れかけていた……」",
"402001421_10": "「…………」",
"402001421_11": "「折れた心で試練に負けたら、もうダメだ。\\n 普通ならパズルの外に出されるだけだが――」",
"402001421_12": "「心が完全に折れていたなら、\\n そのまま心が死んでしまうこともある」",
"402001421_13": "「心の死は肉体の死に繋がってしまう。\\n お前はそうなりかけていた。だから――」",
"402001421_14": "「ここに連れて来たんだ」",
"402001421_15": "「……ありがとうございます」",
"402001421_16": "「偽物だって教えてもらったのに、\\n どうしても姉さんとは戦えなくて……」",
"402001421_17": "「…………」",
"402001421_18": "「ドヴェルグさん、力を貸してくれませんか。\\n 今、わたしたちは強大な敵と戦うために――」",
"402001421_19": "「もう、そういうことはしたくない」",
"402001421_20": "「人間とも関わりたくない。\\n オレはずっとここで、人で生きてきたんだ」",
"402001421_21": "「じゃあ、どうしてわたしを助けてくれたんですか?」",
"402001421_22": "「……それは」",
"402001421_23": "「多分、お前と話してみたかったんだ……」",
"402001421_24": "「わたしとですか?」",
"402001421_25": "「ああ。こうして目の前にいればわかる、\\n お前からは『優しい』においがする」",
"402001421_26": "「戦いに向くような性格じゃない。\\n なにより周りの者を大切にして、人のためにつくす」",
"402001421_27": "「…………」",
"402001421_28": "「偽物とわかっていても傷つけることを躊躇ような、\\n そんなお前なのに、どうして戦ってるんだ……」",
"402001421_29": "「わたしは、みんなを護りたいんです」",
"402001421_30": "「人間は護る価値なんてない」",
"402001421_31": "「戦いを好む者、人を憎む者、蔑む者、\\n 我欲にまみれた者、そんな人間で世界は溢れている……」",
"402001421_32": "「そいつらからは、たまらなく嫌なにおいがする。\\n 人間の世界はどこもかしこも嫌なにおいだらけだ……」",
"402001421_33": "「そんなやつら、みんないなくなってしまえばいい」",
"402001421_34": "「人間は、そんな人ばかりじゃ……」",
"402001421_35": "「いいや、人はほとんどそんなやつらばっかりだ」",
"402001421_36": "「……最初にお前たちがくぐってきたあの扉、\\n どうして開いたか知っているか」",
"402001421_37": "「わかりません……」",
"402001421_38": "「あれは扉の前に立つ者の心に反応するんだ」",
"402001421_39": "「ここに来たやつらは、みんな邪な心でミレニアムパズルに\\n 侵入しようとしていた」",
"402001421_40": "「戦いのため、欲のため、そうした心の持ち主の前では、\\n 扉は開かない」",
"402001421_41": "「扉は心に欲がなく、純粋に楽しむ心を持っている者の\\n 前でだけ、開くんだ」",
"402001421_42": "「今までずっと扉が開かなかったのは、そのせいですか?」",
"402001421_43": "「そうだ。全員ではないにせよ、\\n 確かにお前たちの心は違ったんだ」",
"402001421_44": "「なあ、今までどれくらいの人間がやってきて、\\n あの扉が開かずに帰ってったと思う」",
"402001421_45": "「…………」",
"402001421_46": "「最後に開いたのは数百年前。\\n その時は、数少ないオレの古い友人が訪ねて来た時だ」",
"402001421_47": "「それから、数えるのもバカらしくなるくらい、\\n 多くの人間がやってきたけど」",
"402001421_48": "「一度も扉は反応しなかった。\\n それどころか、友人以外で扉が開いたのはお前たちが初めてだ」",
"402001421_49": "「本当に心が綺麗なやつが人間にもいるなら、\\n どうして扉は開かなかったんだ」",
"402001421_50": "「これまで、どうしてたったの1人も\\n 扉を開けられるやつがいなかったんだよ……」",
"402001421_51": "「……ただ、オレに会いたいって純粋な願いなら、\\n 扉は開いたはずなのに……」",
"402001421_52": "「……それは…………」",
"402001421_53": "「別にお前を責めるつもりはないんだ」",
"402001421_54": "「お前は違う。\\n だから扉が開いたのもわかってる」",
"402001421_55": "「……なあ、お前。\\n このままここに住むつもりはないか」",
"402001421_56": "「え……?」",
"402001421_57": "「ここはミレニアムパズル。どんな空間だって作れるし、\\n 望みのままの世界にすることもできるんだ」",
"402001421_58": "「争いだってない。\\n ここなら、お前ももう、無理して戦わなくていいんだ」",
"402001421_59": "「人間のことなんてもう放っておいて、\\n ここで静かに――」",
"402001421_60": "「ドヴェルグさん……。\\n あなたは……人なんですね」",
"402001421_61": "「……ああ、そうだよ。\\n オレがドヴェルグの最後の人だ……」",
"402001421_62": "「他の方は……?」",
"402001421_63": "「みんな、いなくなった。\\n ほとんどは、人間の争いに巻き込まれて……」",
"402001421_64": "「……オレ、1人でいるのに疲れたんだ」",
"402001421_65": "「だけど、邪な者の心のにおいは、オレにとっては毒にも等しい」",
"402001421_66": "「もう、汚れた人間世界でドヴェルグは生きられない」",
"402001421_67": "「ドヴェルグさん……」",
"402001421_68": "「だから、お願いだ。\\n ここで一緒に――ッ」",
"402001421_69": "「そんな……どうしてッ!?\\n うッ、ぐううううう……ッ」",
"402001421_70": "「ドヴェルグさんッ!? \\n どうしたんですかッ」",
"402001421_71": "「なんだ……このにおい……。\\n 邪な何者かが、ミレニアムパズル内にッ」",
"402001421_72": "「入口の、あたりだ……ッ!\\n 今、映像を――」",
"402001421_73": "「――姉さんッ!」",
"402001421_74": "「お前は――ッ!」",
"402001421_75": "「ほう、これはこれは、お揃いで歓待ですか」",
"402001421_76": "「ウロボロスッ!」",
"402001421_77": "「どうして姉さんたちが……それに、入口って……。\\n 邪な心の人たちは入れないはずじゃ――」",
"402001421_78": "「オレのせいだ……」",
"402001421_79": "「え……?」",
"402001421_80": "「……お前の仲間たちに外に出てもらおうと思って、入口に飛ば\\n して扉を開けたんだ……そうしたら、偶然コイツらが――」",
"402001421_81": "「そんな――。マリア姉さんッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,43 @@
{
"402001431_0": "「まさかここにやってくるなんて……ッ!」",
"402001431_1": "「アタシたちを追ってきたデスかッ!」",
"402001431_2": "「どうしてここが……ッ!」",
"402001431_3": "「どうして、とは異なことを。\\n むしろ必然でしょう」",
"402001431_4": "「このミレニアムパズルを解けば、\\n 世界蛇への対抗策を得ることができるのですから」",
"402001431_5": "「武器を失ったあなたたちが、新たな武器を求める、\\n そこに疑問はありませんよ」",
"402001431_6": "「我々の仲間をどうした。\\n 入口で待機していたはずだ」",
"402001431_7": "「邪魔者には消えてもらいましたよ」",
"402001431_8": "「まさか、全員――ッ!」",
"402001431_9": "「ええ、逃す理由もありませんし」",
"402001431_10": "(くッ……戦える手段が乏しい状況で、\\n ウロボロスと遭遇したのが運のツキか……",
"402001431_11": "「お得意の黒いノイズでも使ったのかしら?」",
"402001431_12": "「ガンドを使うまでもありませんよ。\\n 相手は戦う手段を持たない、ただの人間ごときですしね」",
"402001431_13": "「装者であるあなたたちがいたなら、\\n もう少し苦戦したかもしれませんが……」",
"402001431_14": "(……ッ!)",
"402001431_15": "「それより、まさかミレニアムパズルの扉を開けるとは、\\n これだけは心底予想外でした」",
"402001431_16": "「しかし、こうして入り口付近にいるところを見ると、\\n まだ攻略はできていないようですね」",
"402001431_17": "(攻略できていないのは確かだけど、わたしたちが進んでから\\n 戻されたことは把握していないようね。それに――",
"402001431_18": "(……セレナは外には出ていない。それもわかった)",
"402001431_19": "「このまま放置して、ドヴェルグと接触されても厄介です。\\n あなたたちにもこの場で消えてもらいましょう」",
"402001431_20": "「それから、じっくりとこのミレニアムパズル内を\\n 探索させてもらいますよ」",
"402001431_21": "「そんなこと、させるものかデスッ!」",
"402001431_22": "「気をつけろッ、そいつらは並の敵ではないぞッ!」",
"402001431_23": "「それでも、負けないッ!」",
"402001431_24": "「調ッ! 切歌ッ!」",
"402001431_25": "「どうしたデスか?」",
"402001431_26": "「何?」",
"402001431_27": "「わたしたちでこいつを止めるわよッ!\\n アガートラームを信じなさいッ」",
"402001431_28": "「アガートラームを……」",
"402001431_29": "「信じる……?」",
"402001431_30": "「ええ。白銀の輝きが、きっとわたしたちの希望になるッ!」",
"402001431_31": "(アガートラーム……マリアとセレナの聖遺物。\\n それが、希望になる……そうかッ つまり――",
"402001431_32": "(セレナはまだミレニアムパズルに挑んでるデスッ!\\n コイツらをアタシたちが止めれば、セレナがきっと――",
"402001431_33": "「うん、わかったッ!」",
"402001431_34": "「アタシたちの希望……消させやしないデスッ!」",
"402001431_35": "「邪魔をするというならいいでしょう。\\n では、その希望とやらを絶望に変えてあげます」",
"402001431_36": "「お前たち、相手をしてあげなさい」",
"402001431_37": "「なッ、姿が変わった……ッ!?」",
"402001431_38": "「デデデッ!? 一体全体、何が何やらデスッ!」",
"402001431_39": "「まるでカルマノイズみたいな瘴気が……ッ!」",
"402001431_40": "「見せてやろう、スクルドの矮小な力とは違う、\\n 我々ウロボロスの力を」"
}

View file

@ -0,0 +1,69 @@
{
"402001432_0": "「白銀の輝き、アガートラームが希望……」",
"402001432_1": "(姉さんたちは、わたしを信じてくれてる。\\n わたしのことを希望だって――",
"402001432_2": "(戻らなきゃ。戻って、みんなを助け――)",
"402001432_3": "「あ、あれは……世界蛇の眷属なのか……?\\n うくッ……はあ、はあ……」",
"402001432_4": "「ドヴェルグさんッ! 大丈夫ですかッ!?\\n しっかりしてくださいッ」",
"402001432_5": "「嫌なにおいが、ここまで漂ってきて……、\\n 息が、できない――」",
"402001432_6": "「しっかりしてくださいッ!\\n ドヴェルグさん」",
"402001432_7": "「う、く……うぅ……」",
"402001432_8": "「え――ッ!?」",
"402001432_9": "(……ッ! これは、ドヴェルグさんの記憶――ッ!\\n わたしの中に流れ込んでくる……",
"402001432_10": "「ダメだッ! それを見るな……ッ!」",
"402001432_11": "(――そうだったんだ。だから、ドヴェルグさんは1人に……)",
"402001432_12": "「油断してた……あんな醜いものを、見せたくなかった……」",
"402001432_13": "「ごめんなさい……」",
"402001432_14": "「あなたは……あなたたちは、\\n 人間が大好きでみんなの役に立ちたいと思っていたのに……」",
"402001432_15": "「人間は、それを争いの道具にして、\\n 最後にはあなたたちを――」",
"402001432_16": "「…………」",
"402001432_17": "「ごめんなさい……。\\n どんなに謝っても許されないことだと思います……」",
"402001432_18": "「力を貸してくれなんてもう言いません。\\n ううん、言えません……」",
"402001432_19": "「見たなら、わかるだろう。\\n 世界蛇も、オレたちが作ったんだ……」",
"402001432_20": "「でもッ! あれは戦いを終わらせるためだって\\n あなたたちを騙した人間が――」",
"402001432_21": "「そうだッ! だからオレは、例え世界蛇が、\\n 並行世界を滅ぼして回ろうと知ったことじゃないッ」",
"402001432_22": "「自業自得なんだよッ! 人間はッ!\\n 滅んでしまえばいいッ あんな醜い生き物ッ」",
"402001432_23": "「世界蛇と人間に、なんの違いがあるって言うんだッ!」",
"402001432_24": "「返してくれ……オレの仲間たちを返せよッ!」",
"402001432_25": "「わたし、あなたに何もしてあげられない……」",
"402001432_26": "「くッ……」",
"402001432_27": "「……オレ自身も世界蛇と変わらないのかもしれない。\\n 憎悪にまみれて、人間を滅ぼしたいと願っている……」",
"402001432_28": "「……一番醜いのは、オレ自身……」",
"402001432_29": "「醜くなんてありませんッ!\\n あなたは、とっても優しい方です……」",
"402001432_30": "「優しいからこそ、こんなにも深く、\\n 傷ついてしまったのだと思います……」",
"402001432_31": "「本当に、ごめんなさい……」",
"402001432_32": "「お前……オレの為に、涙を……ッ!」",
"402001432_33": "「だって、こんなの悲しすぎます……」",
"402001432_34": "「あなたはただ優しい世界にしたかっただけなのに、\\n あんなことになって、責任を感じて、たった人で……」",
"402001432_35": "「……いい、におい……、\\n やっぱり、お前は優しい心のにおいがする」",
"402001432_36": "「……なあ、1つだけでいい。\\n 頼みがあるんだ……」",
"402001432_37": "「……はい。わかっています」",
"402001432_38": "(先ほど、記憶に触れた時に感じた想い。\\n きっとそれが――",
"402001432_39": "「ドヴェルグさん、\\n いいえ、『ヴェイグ』さん」",
"402001432_40": "「あなたに付けられた名前はヴェイグ。\\n 誰よりも優しく、そして強い者を意味する言葉――」",
"402001432_41": "「ありがとう、ヴェイグさん」",
"402001432_42": "「ああ……そうだ。\\n ずっと、その言葉を聞きたかったんだ……」",
"402001432_43": "「一人前になったオレの名前を、誰かが呼んでくれる。\\n そして、オレにお礼の言葉をくれる」",
"402001432_44": "「ずっと……ずっと、それだけが欲しかったのに……。\\n なのに――ッ う、ううう…………」",
"402001432_45": "「ヴェイグさん……ありがとうございます」",
"402001432_46": "「みっともないところを見せてしまったな」",
"402001432_47": "「そんなことありません。\\n それより、少しでも力になれたなら、よかったです」",
"402001432_48": "「なあ、ミレニアムパズルの言い伝えは知ってるだろ?」",
"402001432_49": "「え?」",
"402001432_50": "「攻略できれば、ドヴェルグが力を貸すって言い伝えだ」",
"402001432_51": "「……それは……」",
"402001432_52": "「お前に力を貸してやる。\\n オレに何をしてほしい」",
"402001432_53": "「わたしは――」",
"402001432_54": "(世界蛇と戦うのに協力してほしい……、\\n でもそれは、再びヴェイグさんを争いに巻き込むことに……",
"402001432_55": "「…………」",
"402001432_56": "(マリア姉さん、みなさん……、ごめんなさい……)",
"402001432_57": "「……それなら、わたしを姉さんのところへ\\n 送ってくれませんか」",
"402001432_58": "「ッ!? お前、戦うつもりかッ!?」",
"402001432_59": "「はい。わたしは、今戦わなきゃいけないんです……」",
"402001432_60": "「オレは、お前にあんなのと戦ってほしくない……」",
"402001432_61": "「アレは世界蛇の眷属、\\n あんなのと戦ったら、無事じゃすまないぞッ」",
"402001432_62": "「……まだ半人前のわたしじゃ、力になれないかもしれません」",
"402001432_63": "「だったらッ!」",
"402001432_64": "「あなたの言う通り、わたしとヴェイグさんは似てますね」",
"402001432_65": "「――ッ!?」",
"402001432_66": "「わたしはわたしの仲間のために、今戦わないといけないんです。\\n きっと、戦わなければ後悔しますから……」"
}

View file

@ -0,0 +1,26 @@
{
"402001441_0": "「装者ごときがッ!」",
"402001441_1": "「くう――ッ!\\n パズル攻略で蓄積した疲労が、ここにきて……」",
"402001441_2": "「それでもッ!」",
"402001441_3": "「アタシたちのコンビネーションでッ!」",
"402001441_4": "「はあ――ッ!」",
"402001441_5": "「なッ、必殺だったのに防がれたデスッ!?」",
"402001441_6": "「そんな……ッ!」",
"402001441_7": "「いいえッ、まだよッ!」",
"402001441_8": "「ぐッ! 何――ッ!?」",
"402001441_9": "「だったら……もう一発デスッ!\\n やあ――ッ」",
"402001441_10": "「今度は外さないッ!\\n は――ッ」",
"402001441_11": "「驚きましたね。以前その手並みは拝見しましたが、\\n まさかガンド化した者まで退けるとは……」",
"402001441_12": "「ガンド化……ッ!?」",
"402001441_13": "「そうだッ! 奴らウロボロスはガンドの力をその身に宿し、\\n 力とすることができるんだッ」",
"402001441_14": "「ええ、その通りです。しかし、少しだけ違う。\\n ガンドの力を宿しているのではありません……」",
"402001441_15": "「ガンドの力を我が物にしているのです。\\n そう、ガンドよりも弱いなどと思われては困ります」",
"402001441_16": "「く……ッ! させるか――ッ!」",
"402001441_17": "「ここからは私も参戦させてもらいますよ。\\n まずは――」",
"402001441_18": "「ぐああ――ッ!」",
"402001441_19": "「――ッ!?」",
"402001441_20": "「さて、次はあなたたちですね」",
"402001441_21": "「こいつ、他の相手よりずっと瘴気が濃い……ッ!」",
"402001441_22": "「ヤバさがビンビン伝わってくるデスよ……ッ!」",
"402001441_23": "「ベアトリーチェ様の意思、我らウロボロスを阻むものは、\\n 残らず消えていただきますよ――ッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,50 @@
{
"402001442_0": "「甘いッ!」",
"402001442_1": "「くう……ッ!」",
"402001442_2": "「ううう……ッ!」",
"402001442_3": "「2人がかりでも、防ぐのがやっとなんて――ッ!」",
"402001442_4": "「さっきまで普通のおじさんだったデスよ……ッ!」",
"402001442_5": "「いえ、倒れないだけでもかなりのものですよ。\\n やはりあなた方は、装者としては破格の存在だ」",
"402001442_6": "「このッ、余裕を見せつけて――ッ!」",
"402001442_7": "「いいえ、そのような迂闊なことはしませんよ」",
"402001442_8": "「隙がないッ!?」",
"402001442_9": "「あなた方は、ある意味スクルドよりも厄介な存在。\\n そう、評価しておりますから」",
"402001442_10": "「なッ、動けない者に狙いを――ッ!」",
"402001442_11": "「先に邪魔なスクルドを消して差しあげます」",
"402001442_12": "「くッ――」",
"402001442_13": "「させない――ぐううううッ!?」",
"402001442_14": "「調ッ!」",
"402001442_15": "「――まずは1人、片付きました」",
"402001442_16": "「調ッ! しっかりするデスッ!」",
"402001442_17": "「ごめんね、切ちゃん。\\n ……身体が動かない」",
"402001442_18": "「あとはアタシに任せるデスッ!\\n 調の分もアイツに仕返ししてやるデスッ」",
"402001442_19": "「うん、でも、気を付けて……」",
"402001442_20": "「よくもアタシの大事な調を……ッ!\\n ――なます斬りにしてやるデスッ」",
"402001442_21": "「切歌ッ! 無茶は――」",
"402001442_22": "「はああああああ――ッ!!」",
"402001442_23": "「警戒すべき連携を絶ち、誘い込む――」",
"402001442_24": "「はあ――ッ!」",
"402001442_25": "「がッ!? ううう……ッ!」",
"402001442_26": "「切歌ッ!」",
"402001442_27": "「これで2人まで無力化しました。\\n すでに見た通り、あなた人の力では限界――」",
"402001442_28": "「限界などないッ!」",
"402001442_29": "「――やぶれかぶれですか?」",
"402001442_30": "「く……ッ!」",
"402001442_31": "(油断でもしてくれればまだやりようがあるものの、\\n 徹底して淡々と……ッ",
"402001442_32": "「そろそろ終わりにしましょうかッ!」",
"402001442_33": "「こんな大振りのッ!」",
"402001442_34": "「当然フェイントですよッ!」",
"402001442_35": "「あぐ……ッ!?\\n まさか……ッ」",
"402001442_36": "「……これで全員ですね。\\n まずはあなたから、トドメを刺していきましょう」",
"402001442_37": "「うう……。このままでは……ッ!」",
"402001442_38": "「あの場所に戻れば、お前も殺されてしまう」",
"402001442_39": "「お前より強い者たちでも勝てない相手だぞッ!?\\n お前が加わったところで結果は変わらない」",
"402001442_40": "「それでも、行くのか……?」",
"402001442_41": "「はい。それでも、です」",
"402001442_42": "「どうして、なんのために――」",
"402001442_43": "「人は誰かを傷つけるだけじゃない、\\n 護ることだってできるんです……」",
"402001442_44": "「わたしはみんなを護りたいんです。\\n 護るためにこのギアを纏ったのだから――」",
"402001442_45": "「敵わないと知っていても……?」",
"402001442_46": "「はい。たとえわたしの力が及ばなくても、\\n 今、わたしにできることは全てしたいんですッ」",
"402001442_47": "「……わかった。お前をあの場所に送ってやる」"
}

View file

@ -0,0 +1,48 @@
{
"402001511_0": "ミレニアムパズルの支配者",
"402001511_1": "「合図したら一歩を踏み出せ。\\n そしたら……あの場所に着くから」",
"402001511_2": "「はい、ありがとうございます」",
"402001511_3": "「元の場所へ送るだけだ。\\n 礼を言うようなことじゃない……」",
"402001511_4": "「お礼は、そのことじゃないんです」",
"402001511_5": "「……?」",
"402001511_6": "「人間を嫌っているはずのヴェイグさんが、\\n わたしを救ってくれたことです」",
"402001511_7": "「箱の時も、その後も、ヴェイグさんのおかげで、\\n わたしは助かりました」",
"402001511_8": "「だから、そのことも改めてお礼を言っておきたかったんです。\\n ありがとうございました」",
"402001511_9": "「…………」",
"402001511_10": "「あの、また会いに来てもいいですか?」",
"402001511_11": "「何……?」",
"402001511_12": "「次はただのお友達として」",
"402001511_13": "「…………ッ!」",
"402001511_14": "「……好きにしろ」",
"402001511_15": "「はい、それでは――」",
"402001511_16": "「…………」",
"402001511_17": "(……アイツには勝てない)",
"402001511_18": "(あいつ……セレナ――は間違いなく死ぬ。\\n また会いに来るなんて絶対に無理だ",
"402001511_19": "(次なんてない。これっきり。\\n せっかく、わかり合えても、これでまた――",
"402001511_20": "(オレは1人ぼっちだ……)",
"402001511_21": "「まだ抵抗する力があったとは驚きました。\\n しかし、ここまででしょうか」",
"402001511_22": "「うく……まだ……ッ!」",
"402001511_23": "「うう、もうボロボロで……」",
"402001511_24": "「切ちゃん……」",
"402001511_25": "(希望から絶望への変化。\\n ベアトリーチェ様の言う楽しみ……",
"402001511_26": "(……やはり、よくわかりませんね)",
"402001511_27": "「そろそろ終わりですね。\\n 今度こそ、人ずつ確実にトドメを刺しましょう」",
"402001511_28": "「まずはあなたから――」",
"402001511_29": "(……覚悟を決めるしかない。\\n ここで終わるのは不本意だけれど、きっとみんなが……",
"402001511_30": "(……いいえッ! なにを弱気になっているのッ!?\\n わたしは、セレナを信じている……だからッ",
"402001511_31": "「――ああああああッ!!\\n はあ、はあ……」",
"402001511_32": "「……驚きましたよ。\\n まだ、立ち上がる力が残っていたとは……」",
"402001511_33": "「お生憎さま。まだ希望は残っているのよ。\\n だから、こんなところで倒れてなんていられないッ」",
"402001511_34": "「マリア……。\\n ……マリアが立ち上がるなら――」",
"402001511_35": "「――アタシたちだって、立ち上がってみせるデスッ!!」",
"402001511_36": "「はああああああッ!!」",
"402001511_37": "「……調、切歌。まだいけるわね?」",
"402001511_38": "「うん」",
"402001511_39": "「もちろんデスッ!」",
"402001511_40": "「……どんなに足掻いても無駄だというのに、\\n まったく不合理ですね……」",
"402001511_41": "「いいでしょう。\\n それなら、跡形も無く全員吹き飛ばして――」",
"402001511_42": "「そんなこと、させませんッ!!」",
"402001511_43": "「新手……一体どこから……?」",
"402001511_44": "「セレナッ!?」",
"402001511_45": "「マリア姉さん、月読さん、暁さん……。\\n わたしも、戦います――」"
}

View file

@ -0,0 +1,46 @@
{
"402001521_0": "「届いて――ッ!」",
"402001521_1": "「どんな手段で現れたのかはわかりませんが――」",
"402001521_2": "「今更1人装者が増えたところで、何も変わりませんッ!」",
"402001521_3": "「ぐ――ッ!」",
"402001521_4": "「すぐに排除してあげますよッ!」",
"402001521_5": "「きゃああ――ッ!」",
"402001521_6": "「はあ、はあ……ま、まだですッ!」",
"402001521_7": "「セレナ……逃げなさい」",
"402001521_8": "「……それは、できないよ……ッ!」",
"402001521_9": "「……凄まじい精神力ですね。\\n とうに限界は越えているでしょうに……」",
"402001521_10": "「称賛に値します。\\n 私は本心から、あなた方を讃えますよ」",
"402001521_11": "「その精神力に敬意を評して全員まとめて――」",
"402001521_12": "「息の根を止めてあげましょう……ッ!」",
"402001521_13": "(……諦めないッ! わたしは、もう絶対にッ!\\n だから――護ってみせるッ",
"402001521_14": "「やらせません……わたしがいる限りッ!」",
"402001521_15": "「その意気やよし、ですね。\\n しかし、精神力だけではこの攻撃は防げませんよッ」",
"402001521_16": "「セレナ――ッ!」",
"402001521_17": "「さあ、命を散らしなさいッ!」",
"402001521_18": "「……なッ!? 攻撃が、弾かれたッ!?」",
"402001521_19": "「え……?」",
"402001521_20": "「人間は信用できない。\\n だけど、お前のことは信用してやる」",
"402001521_21": "「ヴェイグさんッ!?\\n もしかして、またわたしを助けてくれたんですか」",
"402001521_22": "「……友達、だからな」",
"402001521_23": "「これは……ッ!」",
"402001521_24": "「『グレイプニル』」",
"402001521_25": "「このミレニアムパズルを生成、制御できる道具。\\n そして、かつて世界蛇を閉じ込めておいた檻でもある」",
"402001521_26": "「これをお前に託す」",
"402001521_27": "「どうしてわたしに……?」",
"402001521_28": "「考えている暇は無いぞ。\\n 仲間を助けたいんだろう」",
"402001521_29": "「――ッ!?」",
"402001521_30": "「うッ、くうう……ッ!」",
"402001521_31": "「なんだッ!? 何が起きたッ!」",
"402001521_32": "「セレナ……、一体……」",
"402001521_33": "「これって……まるで……」",
"402001521_34": "「そうデスッ! 聖遺物の同士の反発ッ!\\n デュオレリックの時と同じデスッ」",
"402001521_35": "「どうして、急にッ!?」",
"402001521_36": "「うッ、ああああ……ッ!」",
"402001521_37": "「力が反発し合っているのか……」",
"402001521_38": "「くッ! 大丈夫……ですッ!\\n このくらい――」",
"402001521_39": "「力を受け入れろ。お前の中にはオレがいる。\\n この反動は、オレが制御してやる」",
"402001521_40": "「は、はいッ!」",
"402001521_41": "「今更何をしようと、無駄なことですッ!」",
"402001521_42": "(力を……受け入れる――ッ!)",
"402001521_43": "「はああああ――ッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,29 @@
{
"402001531_0": "「な、なんですッ!? この光は――」",
"402001531_1": "「アガートラームとグレイプニル……、\\n つの聖遺物の力がわたしの中に漲っている――ッ」",
"402001531_2": "「ああ。今この瞬間から、\\n ミレニアムパズルの全てはお前のものだッ」",
"402001531_3": "「ギアが新しい姿にッ!」",
"402001531_4": "「なんだか、セレナからとてつもない力を感じるデスッ!」",
"402001531_5": "「どういうことなの? セレナに一体何があったの?」",
"402001531_6": "「まだそんな力を隠しているとは、\\n ――ですが、状況は何も変わりませんッ」",
"402001531_7": "「はああッ!」",
"402001531_8": "「なんだとッ!?」",
"402001531_9": "「ぐああッ!」",
"402001531_10": "「お手玉みたいにブロックを操ってるデスよッ!」",
"402001531_11": "「ミレニアムパズルが、全部セレナの力にッ!」",
"402001531_12": "「まさか、信じられない……、\\n あの少女が、ミレニアムパズルを解いたのか」",
"402001531_13": "「それでは、セレナはドヴェルグに――」",
"402001531_14": "「ありえませんッ!」",
"402001531_15": "「永きに渡って扉を閉ざしてきた精霊が\\n 人間と心を通わせるなど、ありうるはずが――ッ」",
"402001531_16": "「ヴェイグさんが、わたしに力を貸してくれている……。\\n グレイプニルの全ての力を委ねてくれているのがわかる」",
"402001531_17": "「今のわたしならッ、周囲に広がるこの空間、\\n 全てを思いのままに扱えますッ」",
"402001531_18": "「そんなことが……まさか本当に\\n ミレニアムパズルが解かれた……」",
"402001531_19": "「いや、完全掌握などできるはずがないッ、\\n ドヴェルグが人間に力を貸すなどありえないッ」",
"402001531_20": "「……あなたにはきっとわかりません」",
"402001531_21": "「なにッ!?」",
"402001531_22": "「人だから、ドヴェルグだから、そんなことは関係ないんです」",
"402001531_23": "「わたしとあの方は今、護りたいという想いの為に\\n 等しく力を尽くしているんですッ」",
"402001531_24": "「ならば想いだけでは届かぬものなど数限りなくあること、\\n ここで証明してあげましょうッ」",
"402001531_25": "「見せてやれッ!\\n お前の優しさが勝ち取った力をッ」",
"402001531_26": "「はいッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,64 @@
{
"402001532_0": "「あなたには解けませんッ!」",
"402001532_1": "「く……ッ! だが純粋な力ならば――」",
"402001532_2": "「な……ッ!? うぐッ!\\n 壁、そのものが……ッ」",
"402001532_3": "「侵入者を拒んできた力、今度は護るためにッ!」",
"402001532_4": "「遅いッ!」",
"402001532_5": "「空間の位置がッ!?」",
"402001532_6": "「ぐは……ッ!」",
"402001532_7": "「避けてるのに当たってるッ!」",
"402001532_8": "「セレナカッコいいデスッ!」",
"402001532_9": "「こんな……ッ!」",
"402001532_10": "「この空間の中では、\\n わたしは絶対に負けませんッ」",
"402001532_11": "「馬鹿な……ッ!」",
"402001532_12": "「く――ッ! 攻撃の一切が届かない……」",
"402001532_13": "「これが、セレナの力……ッ!」",
"402001532_14": "「はぁ、はぁ……ッ! どうやら、ミレニアムパズルを\\n 掌握していると認めざるを得ないようですね……」",
"402001532_15": "「この場での戦いは無謀と判断しました。\\n 撤退しますよ」",
"402001532_16": "「はッ!」",
"402001532_17": "「やりたい放題好き放題して逃げるデスかッ!」",
"402001532_18": "「追わなくていいわ」",
"402001532_19": "「でも……」",
"402001532_20": "「よかった……みんなを、護れて……」",
"402001532_21": "「セレナッ!」",
"402001532_22": "「大丈夫、ちょっと……疲れただけだから」",
"402001532_23": "「おかげで助かったデス」",
"402001532_24": "「一時はもうダメかと思った」",
"402001532_25": "「わたし1人の力じゃありません。\\n あの方が力を貸してくれたから――」",
"402001532_26": "「……あの方っていうのは、精霊ドヴェルグのこと?」",
"402001532_27": "「はい」",
"402001532_28": "「結局何がどうなってこうなったか教えてほしいデス」",
"402001532_29": "「うん、事の次第を教えてほしい」",
"402001532_30": "「えーと、順を追って話すと……」",
"402001532_31": "「ミレニアムパズルの中心にて、ドヴェルグと邂逅、\\n さらには、グレイプニルまで……」",
"402001532_32": "「未だに信じられない……。長い年月、決して\\n 解かれることのなかったミレニアムパズルを解くとは……」",
"402001532_33": "「セレナ、本当によく頑張ったわね」",
"402001532_34": "「あなたの優しさが、ここにいるみんなを救ったのよ」",
"402001532_35": "「……うん。姉さんたちの力になれて、わたしも嬉しい」",
"402001532_36": "「それで、\\n そのドヴェルグさんはどこにいるんデスか」",
"402001532_37": "「セレナの話だと、人間を嫌ってるみたいだし、\\n ここには出てこないんじゃないかな」",
"402001532_38": "「そ、そうデスか……、\\n それは残念デス……」",
"402001532_39": "「…………」",
"402001532_40": "「――ッ!?」",
"402001532_41": "「もしかして、この子が、ドヴェルグッ!?」",
"402001532_42": "「はい、えーと、ドヴェルグは種族名になるので、\\n 名前は、ヴェイグさんです」",
"402001532_43": "「……モフモフデス」",
"402001532_44": "「うん……モフモフだね」",
"402001532_45": "「……オレに触ろうとするなッ!」",
"402001532_46": "「いいか、オレが力を貸すのは、\\n こいつ――、セレナにだけだッ」",
"402001532_47": "「いきなり現れて消えた……?」",
"402001532_48": "「グレイプニルと一緒に、わたしの中にいるみたい」",
"402001532_49": "「……あのモフモフに触ってみたかった」",
"402001532_50": "「セレナはモフモフしたデスか?\\n 触り心地はどうだったデスッ」",
"402001532_51": "「もう、それどころじゃないでしょう」",
"402001532_52": "「それより、今はセレナの中にいるのよね?」",
"402001532_53": "「うん」",
"402001532_54": "「それじゃ、ヴェイグさん、だったわよね。\\n セレナを、助けてくれてありがとうございました」",
"402001532_55": "「ありがとうデースッ!」",
"402001532_56": "「ありがとう」",
"402001532_57": "「…………」",
"402001532_58": "(我々スクルドだけではあの男の攻撃を退けられなかった。\\n グレイプニルも手に入れることはできなかっただろう",
"402001532_59": "(そして、この装者たちの粘りがなければ、グレイプニルも\\n 間に合わず、我々は全滅していた……",
"402001532_60": "「仲間を、希望を信じる力……か」",
"402001532_61": "(それが、この装者たちの可能性の根源なのかもしれない……。\\n そしてそれは、我々の想像を超えた何かを引き寄せる……"
}

View file

@ -0,0 +1,39 @@
{
"402001541_0": "「両チームとも、よく無事に戻ってくれた。\\n 報告も聞いている。ご苦労だった」",
"402001541_1": "「どちらも目的は果たすことができてなによりだ。\\n そうだろう」",
"402001541_2": "「ええ。\\n 無事、新たなミョルニルを手にすることができたわ」",
"402001541_3": "「こちらも、ミレニアムパズル最奥で、\\n セレナがドヴェルグに接触し、グレイプニルを手にしたわ」",
"402001541_4": "「そりゃよかった。\\n あのデカブツとまたやり合う準備ができてきたじゃないか」",
"402001541_5": "「グレイプニルは、\\n ドヴェルグ族のヴェイグさんが貸してくれている状態です」",
"402001541_6": "「ともかく、協力を取り付けることはできたということ?」",
"402001541_7": "「そう言っていいと思うわ。\\n 協力するのは、セレナにだけという条件付きだけど」",
"402001541_8": "「それで、その精霊は」",
"402001541_9": "「ヴェイグさん、ヴェイグさん……だめですか?」",
"402001541_10": "「……えっと、すみません。\\n 今は話したくないと言っています……」",
"402001541_11": "「まあ仕方ない。\\n セレナくんとは自由に話せる状態なのか」",
"402001541_12": "「はい、そうみたいです」",
"402001541_13": "「その精霊は、現在どういった状態で\\n 存在しているんでしょうか」",
"402001541_14": "「確か、セレナの中に小さなミレニアムパズルを作って、\\n その中に住んでるんだっけ」",
"402001541_15": "「はい、そうです」",
"402001541_16": "「なるほど……そんなこともできるんですね」",
"402001541_17": "「それじゃ、グレイプニルもそこに?」",
"402001541_18": "「セレナが使いたいと願えば出てくるデスよ」",
"402001541_19": "「便利なようなややこしいような感じだな」",
"402001541_20": "「でも、絶対取られたりしないのはいいのかも?」",
"402001541_21": "「うっかり置き忘れたりもしないしねッ!」",
"402001541_22": "「それはうっかりの度合いを越えていないかしら……」",
"402001541_23": "「いや、そういったリスクに備えることは肝要だ」",
"402001541_24": "「いずれにせよ、両聖遺物を\\n 戦力として得られたことは喜ばしいことだ」",
"402001541_25": "「これ以上、世界を食らうような災厄を\\n 放ってはおけないわ」",
"402001541_26": "「歌で世界に希望を与えるなんて嘘ついたこと、\\n 絶対に後悔させてやる」",
"402001541_27": "「本当にフィーネなら、負けられない」",
"402001541_28": "「これ以上、人を犠牲になんてさせない。\\n 大切な人を失う悲しみは、誰にも背負わせたくないもんな」",
"402001541_29": "「護りたい想いにアイギスの盾が応えてくれたのなら、\\n わたしは世界を護りたい」",
"402001541_30": "「やられっぱなしのアタシたちじゃないデス。\\n 今度こそギッタンギッタンデスよッ」",
"402001541_31": "「いつかきっと、争いが無くなる日のために」",
"402001541_32": "「いかなる敵とて打ち払い、\\n 歌を人々の心に届けるために」",
"402001541_33": "「きっとあの世界蛇をやっつけて、\\n ベルちゃんを止めるんだ……ッ」",
"402001541_34": "「あの強大な世界蛇と戦うための準備が整ってきている。\\n 相手は強大無比なれど、負けるわけにはいかない」",
"402001541_35": "「今度こそ、総力をもってあの蛇を倒すんだッ!」",
"402001541_36": "「<size=40>はいッ!</size>」"
}

View file

@ -0,0 +1,57 @@
{
"402001551_0": "「……あの、お姉ちゃん」",
"402001551_1": "「シャロン?」",
"402001551_2": "「どうしたの? 深刻な顔をして」",
"402001551_3": "「あのね、みんなにお願いがあって来たの――」",
"402001551_4": "「…………」",
"402001551_5": "(この場所はいつも寂しい)",
"402001551_6": "(すべてが失われ、世界のすべてに不毛の荒野が広がる。\\n 残ったのはこの墓標たちだけ――",
"402001551_7": "(今まで、どれだけの戦いを繰り返してきただろう)",
"402001551_8": "「だけど、この手には再びミョルニルがある」",
"402001551_9": "「…………」",
"402001551_10": "(ミョルニルを手に入れるために、\\n 多くの者が犠牲になった",
"402001551_11": "(わたしは、わかっていてミョルニルを暴発させた。\\n そしてそれを、あの子は間違っていると否定した……",
"402001551_12": "「敵がいなくなって、味方も無事。\\n 目的のミョルニルも回収できる、何が問題」",
"402001551_13": "「そんなわけないッ! ……そんなわけ、ありません。\\n 人が、たくさん亡くなったのにッ」",
"402001551_14": "「こんなやり方、ダメです……。\\n 間違ってます……」",
"402001551_15": "(確かにあそこには普通の研究員もいたのかもしれない。\\n でも、あそこは敵地で、わたしたちは囚われていた",
"402001551_16": "(他に選択肢は無かった。犠牲の少ない方法を\\n 選ぶことができたと思っているわ",
"402001551_17": "(だけど――)",
"402001551_18": "「わたしが、切り捨ててきたもの……か」",
"402001551_19": "(……ううん、考えたらダメ。\\n 考えすぎれば……歩みが止まる",
"402001551_20": "「間違っているのかもしれない。\\n それでも、わたしは止まれないし、止まらない……」",
"402001551_21": "(わたしの唯一絶対の目的は、ベアトリーチェを討ち、\\n 世界蛇を破壊することなのだから",
"402001551_22": "「…………」",
"402001551_23": "「やはりここにいたか」",
"402001551_24": "「ユリウス」",
"402001551_25": "「……また、墓を増やす必要があるな」",
"402001551_26": "「…………」",
"402001551_27": "「通信で簡単な報告はしたが、\\n ミレニアムパズル探索においての被害を改めて報告する」",
"402001551_28": "「……ええ、お願い」",
"402001551_29": "「まず、先に向かった者たちだが、こちらは無事発見できた。\\n カオスビーストと遭遇し、離脱していた」",
"402001551_30": "「それはよかった……」",
"402001551_31": "「しかし、カオスビーストとの戦闘による損傷も大きく、\\n 当分前線への復帰は厳しいだろう」",
"402001551_32": "「それでも、助かっただけマシね。\\n ……後から向かった仲間たちは」",
"402001551_33": "「ミレニアムパズルの入口に待機させていた者たちは、\\n ウロボロスのメンバーと遭遇――」",
"402001551_34": "「全員……奴らに殺された」",
"402001551_35": "「…………そう」",
"402001551_36": "「迂闊だった。\\n まさか、ウロボロスがあんなに早く動くとは……」",
"402001551_37": "「……あなたたちの犠牲は忘れない、\\n 必ず世界蛇を倒してみせる」",
"402001551_38": "「もちろんだ。それこそが我々スクルドの悲願なのだから」",
"402001551_39": "「それともう1つ――」",
"402001551_40": "「何?」",
"402001551_41": "「ミレニアムパズルでの戦いにおいて、\\n この目で装者の可能性を見た」",
"402001551_42": "「……それで?\\n ミョルニルを失った時の説教なら、もう聞き飽きたわよ」",
"402001551_43": "「いや。彼女らを救うために、ミョルニルを賭けた\\n ミーナの判断は正しかった、そう思える」",
"402001551_44": "「え……?」",
"402001551_45": "「では、先に行ってるぞ」",
"402001551_46": "「…………」",
"402001551_47": "(あのユリウスが装者たちを認めるなんて。\\n わたしの直感は、正しかったのかな",
"402001551_48": "(……だけど、同時に恐ろしさもある)",
"402001551_49": "(装者という存在の持つ影響力――、\\n もしかしたら、わたし自身も変わって",
"402001551_50": "(変えられてしまっているのだろうか……?)",
"402001551_51": "「……いいえ」",
"402001551_52": "「わたしは変わっていない。変わるつもりもない」",
"402001551_53": "「ただ、有用な駒だから、それを大事にしているだけ。\\n 何よりも優先すべきは世界蛇を倒すこと」",
"402001551_54": "「そのために必要ならどんな犠牲でも払う。\\n その覚悟だけは、決して変わらない」"
}