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{
"342000111_0": "絶望の光",
"342000111_1": "「残ったのはオレたち3人だけ、か。\\n ……まさか、こんな状況になるとはな」",
"342000111_2": "「みんな、いなくなっちゃいましたね……」",
"342000111_3": "「ああ。しかし、その犠牲がなければ、\\n 私たちも同じ運命をたどっていただろう」",
"342000111_4": "「……静かですね。\\n 風も少し冷たく感じます」",
"342000111_5": "「……どうせすぐに騒がしくなる。\\n 奴らは今もこちらに向かって来ているんだからな」",
"342000111_6": "「嵐の前の静けさ、といったところか……」",
"342000111_7": "「……見えてきたぞ」",
"342000111_8": "「地平線が、全部、白く染まって――」",
"342000111_9": "「……ここまでの数とは」",
"342000111_10": "「一騎当千でも足りぬ、一騎当万の働きが必要だろうよ」",
"342000111_11": "「……あれを全部、わたしたちが止めるんですよね」",
"342000111_12": "「ああ、そうだ。私たちがやらねばならない。\\n 私たちだけが、残されたのだから……」",
"342000111_13": "「……怖気づいたのか?\\n それなら邪魔にならない場所にでも、引っ込んでるんだな」",
"342000111_14": "「ううん、大丈夫。\\n ……ありがとう、キャロルちゃん」",
"342000111_15": "「フン……」",
"342000111_16": "「この戦い、どんな展開になると思う?」",
"342000111_17": "「……策を用意したとして、この戦力差だ。\\n 厳しい戦いになるのは間違いない」",
"342000111_18": "「……みんなで、頑張りましょう」",
"342000111_19": "「精神論か。\\n だが、それも必要なのかも知れない」",
"342000111_20": "「無様な戦いだけはできないからな。\\n 散っていった仲間たちのために……」",
"342000111_21": "(クリスちゃん、マリアさん、それに、奏さん……。\\n 見守っていてください……",
"342000111_22": "(ファラ、レイア、ガリィ、ミカ……。\\n お前たちの仇は、必ずこのオレが取ってやる――",
"342000111_23": "(カリオストロ、プレラーティ、局長……。\\n 私は抗う、最後のその一瞬まで――",
"342000111_24": "(そして、ジャネット――。\\n 私は必ず、もう一度お前の前に立ってみせる――"
}

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{
"342000121_0": "――3日前――",
"342000121_1": "――特異災害対策機動部二課――",
"342000121_2": "「――不明のアルカ・ノイズの反応だと?」",
"342000121_3": "「はい。欧州方面にてここ1週間で、\\n 複数回検知されているようです」",
"342000121_4": "「詳しい状況まではわかりませんが……」",
"342000121_5": "「……政府の方に正式な救援要請などは届いているのか?」",
"342000121_6": "「それは無いようです。\\n 寝た子を起こしたくないってところかもしれませんね……」",
"342000121_7": "「大方、聖遺物関連の施設の取り合いでもしてるんじゃない?\\n アルカ・イズを使って」",
"342000121_8": "「……ままならないものだな」",
"342000121_9": "「アルカ・ノイズの脅威を知らされていても、\\n 俺たちではそれが使われるのを防ぐことはできない……」",
"342000121_10": "「私たちはあくまで日本の組織だし、仕方ないわよ。\\n でも、向こうには錬金術師だっているじゃない」",
"342000121_11": "「ああ、欧州といえば彼らの本拠地だが……」",
"342000121_12": "「必要があれば連絡くれるでしょうし。\\n その時に助けてあげられれば、いいんじゃないかしら」",
"342000121_13": "「そうだな……」",
"342000121_14": "(――この胸騒ぎが、ただの杞憂であってくれればいいのだが)",
"342000121_15": "「任務だよ、君たちに。急ぎのね」",
"342000121_16": "「……それは、ここ1週間ほどで発生してる、\\n 協会への襲撃事件についてでしょうか」",
"342000121_17": "「早いね、耳が。\\n 調べていたのかな、何が起きているのかを」",
"342000121_18": "「相手はこちらに手を出してきている。\\n いつまでも好き勝手させるつもりはないワケダ」",
"342000121_19": "「そうね。\\n 丁重にお・も・て・な・し、してあげようかなって」",
"342000121_20": "「聞いているのかな、\\n 襲撃の現場で何があったのかをね」",
"342000121_21": "「かろうじて無事だった者の話なら聞きましたが……」",
"342000121_22": "「光がーッ! とか、消されるーッ! とか、\\n 叫んでるだけで、要領を得ないのよねー」",
"342000121_23": "「よほどの精神的ショックでも受けたワケダ」",
"342000121_24": "「消えたらしい、白い光と共に。\\n 襲われた協会の同胞たちは」",
"342000121_25": "「……焼却された、ということでしょうか?」",
"342000121_26": "「――違うな。\\n 検知されていないからね、一切の熱は」",
"342000121_27": "「現場ではアルカ・ノイズの反応もあったと聞いています。\\n ならば、それによって分解されたのでは」",
"342000121_28": "「その可能性も検討したさ。\\n しかし違っているんだよ、調べてみたところね」",
"342000121_29": "「もう、それじゃッ! わけわかんないじゃないッ!」",
"342000121_30": "「だから頼みたいんだ、君たちに」",
"342000121_31": "「了解しました。\\n では私たち名で正式に調査に当たります」",
"342000121_32": "「敵は短時間で協会の拠点を潰している。\\n 襲撃があってから、普通に向かったのでは間に合わないワケダ」",
"342000121_33": "「洗い出しているところだよ、次に狙われそうな拠点を――」",
"342000121_34": "「今の音はッ!? それに、この揺れ――」",
"342000121_35": "「もしかして、この錬金術師協会の本部が――」",
"342000121_36": "「襲撃を受けているとでもいうワケダッ!?」",
"342000121_37": "「さすがに予想外だったね、次の狙いがここだったとは」",
"342000121_38": "「2人とも、行くわよッ!」",
"342000121_39": "「この協会本部を襲うとは、いい度胸をしているワケダッ!」",
"342000121_40": "「心を込めて、お出迎えしてあげなくっちゃねッ!」"
}

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{
"342000131_0": "「まさか、もうこんなところにまで入り込まれていたなんて……」",
"342000131_1": "「ちょっとちょっとッ! ここまで素通りさせてきたのッ!?\\n もう、協会の警備はどうなっているのよッ」",
"342000131_2": "「この相手は一体なんなワケダッ!? 鎧の騎士……?」",
"342000131_3": "「……どうやら人ではないようね。\\n 全く手ごたえが無い」",
"342000131_4": "「あーしたちの攻撃に、なんの反応も示さないし、\\n すっごく不気味だわ」",
"342000131_5": "「恐らくは自動人形の1種と思われるワケダ。\\n しかし、そうなると生半可な攻撃では通用しない……」",
"342000131_6": "「……なら、鎧ごと粉々に砕けばいい。\\n 一気にやりましょう」",
"342000131_7": "「おっけー♪」",
"342000131_8": "「ラピスの輝きを見せてやるワケダッ!」",
"342000131_9": "「……さあ、ここからが本番よ」",
"342000131_10": "「まとめて片付けちゃうんだからッ!」",
"342000131_11": "「ファウストローブを纏った以上、\\n 自動人形などに後れを取ることなどないワケダッ」"
}

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@ -0,0 +1,37 @@
{
"342000141_0": "「……マズいわね」",
"342000141_1": "「何がなワケダ?」",
"342000141_2": "「私たちが大半を相手しているとはいえ、それでも全部じゃない。\\n こうしている間にも、被害は増えていってしまう」",
"342000141_3": "「確かに、ここには貴重な研究資料もたくさんあるワケダ」",
"342000141_4": "「それに協会の研究員たちもね。\\n 上司としては、部下の安全も考えてあげないと」",
"342000141_5": "「なんとか敵をもっと引きつけましょう。\\n そうすれば、みんなが退避する時間も稼げるわ」",
"342000141_6": "「つまり、派手にやっちゃえばいいのよね?」",
"342000141_7": "「ええ。ここを壊しすぎない程度ならね」",
"342000141_8": "「そういうことなら、遠慮なくやるワケダッ!」",
"342000141_9": "「あ、ずるーいッ! あーしの分も残しておいてよねッ!」",
"342000141_10": "「結構距離飛んだかな? 新記録かも」",
"342000141_11": "「随分と景気よく吹き飛ばしたワケダ」",
"342000141_12": "(……それにしても、先ほど聞いた光というのはなんなのだろうか?\\n この自動人形は関係ないのかしら……",
"342000141_13": "「ともあれ、今は数を減らさないと――」",
"342000141_14": "「今の光ッ!? 一体なんなワケダッ!?」",
"342000141_15": "「向こうの方よッ!」",
"342000141_16": "「くッ……行くわよッ!」",
"342000141_17": "「サ、サンジェルマン様ッ!」",
"342000141_18": "「何があった?」",
"342000141_19": "「あ、あの娘がッ!\\n 奴が光を発すると、同胞たちが消滅して――」",
"342000141_20": "「…………」",
"342000141_21": "「へえ……じゃあ、あんたが親玉ってこと?」",
"342000141_22": "「仲間をどうしてくれたワケダ?」",
"342000141_23": "「……安らかなる、神の御許へ送りました」",
"342000141_24": "「……お前は、まさか――」",
"342000141_25": "「…………」",
"342000141_26": "「ジャネットかッ!?」",
"342000141_27": "「そのような名の者ではありません」",
"342000141_28": "(どういうことだ……?\\n 他人の空似というには余りにも……",
"342000141_29": "「もしかして、知っている顔?」",
"342000141_30": "「ああ……いや――、\\n 彼女はあの時、確かに死んだはず……」",
"342000141_31": "「落ち着くワケダ。\\n 姿形が似てるからといって、知っている者とは限らないワケダ」",
"342000141_32": "「……ごめんなさい。そうね」",
"342000141_33": "「それにしても、わざわざ来てくれて手間が省けたわ。\\n ご褒美あげちゃおうかしら」",
"342000141_34": "「不要です。あなたたちのその命こそが、\\n 神への捧げものとなるのですから……」"
}

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{
"342000142_0": "「――でっかいの、行くわよッ!」",
"342000142_1": "「もうッ! なんなのよッ!\\n 人形なんかが邪魔してくれちゃってッ」",
"342000142_2": "「危なッ!? こっちの攻撃はあの人形に防がれちゃうし、\\n やりにくいわねッ」",
"342000142_3": "(……やはり、似ている。いや、あの剣筋は――)",
"342000142_4": "「カリオストロ、プレラーティ。\\n やはり、彼女は私の知る者かもしれない……」",
"342000142_5": "「つまり、殺すなというワケダ」",
"342000142_6": "「できれば……頼む」",
"342000142_7": "「仕方ないわね。\\n ……後で美味しいスイーツでも奢ってよね」",
"342000142_8": "「誤り無き正義を司る天主よ。\\n その忠実な僕にして、信託を与えし大天使聖ミカエルよ――」",
"342000142_9": "「ひいッ!?\\n あ、あの詠唱は、さっきの――ッ」",
"342000142_10": "「何かするつもりなワケダッ!?」",
"342000142_11": "「好きにはさせないわッ!」",
"342000142_12": "「またッ!? 盾に――ッ!」",
"342000142_13": "「其の右の手には、主の敵を討つ剣。\\n 其の左の手には、忠実なる人の魂を図る秤――」",
"342000142_14": "「あまたの天使を率い、全能なる天主の敵を討ち滅ぼした、\\n 最も偉大な神の戦士よ――」",
"342000142_15": "「何をするつもりだッ!」",
"342000142_16": "「マズい気がするワケダッ!\\n 度距離を――」",
"342000142_17": "「何をするつもりかは知らないけど、\\n 全部あーしが吹き飛ばしてあげるわッ」",
"342000142_18": "「――願わくは戦いにおいてわれらを護り、その祈りを阻む者、\\n 愛すべき御父に背きし者を誅滅する――裁きの、顕現をッ」",
"342000142_19": "「この、光は――ッ!?\\n きゃあああああ――ッ」",
"342000142_20": "「カリオストロッ!?」",
"342000142_21": "「カリオストロ……?\\n ――冗談はやめるワケダッ」",
"342000142_22": "「消えた……。\\n 本当に、消滅させられたというのか……ッ」",
"342000142_23": "「まただ……。\\n そんな……カリオストロ様まで――」",
"342000142_24": "「……彼女は神の御許へと召されました。\\n 次はあなたたちです」"
}

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@ -0,0 +1,62 @@
{
"342000211_0": "数百年ぶりの再会",
"342000211_1": "「よくも……よくも……。\\n カリオストロを――ッ」",
"342000211_2": "「プレラーティッ! 落ち着いてッ!」",
"342000211_3": "「サンジェルマンッ! わかってるのかッ!\\n カリオストロが……カリオストロがこいつに――ッ」",
"342000211_4": "「……わかっているわ。だからよ……ッ!」",
"342000211_5": "(……ジャネットかどうかは今は忘れる。それより、今の光。\\n ――カリオストロの犠牲を無駄にはできないッ",
"342000211_6": "(サンジェルマン……血が出るほど唇を噛んで耐えて――)",
"342000211_7": "「……すまなかった。\\n 少しは頭が冷えたワケダ……」",
"342000211_8": "「……ええ。先ほどの光、恐らく効果範囲はそう広くない。\\n 見たところでは半径メートルほど」",
"342000211_9": "「それ以上の距離を取って、あの自動人形の数を減らせば――」",
"342000211_10": "「なるほど、流石はサンジェルマンなワケダ」",
"342000211_11": "「……誤り無き正義を司る天主よ。\\n その忠実な僕にして、信託を与えし大天使聖ミカエルよ――」",
"342000211_12": "「ま、また詠唱をッ! もう嫌だ――ッ!」",
"342000211_13": "「どうするワケダッ!\\n あの詠唱――」",
"342000211_14": "「……」",
"342000211_15": "(この距離は、先ほどの詠唱では効果範囲外だったはず。\\n どうしてまた詠唱を――",
"342000211_16": "「其の右の手には、主の敵を討つ剣。\\n 其の左の手には、忠実なる人の魂を図る秤――」",
"342000211_17": "「――違うッ!? さっきよりも光が大きく――ッ!\\n プレラーティ、あれを止めるわッ」",
"342000211_18": "「承知なワケダッ!」",
"342000211_19": "「くッ! この自動人形が邪魔を――ッ!」",
"342000211_20": "「全方位囲まれたワケダッ!?」",
"342000211_21": "(この距離にいる私たちを足止めするということは――)",
"342000211_22": "「あまたの天使を率い、全能なる天主の敵を討ち滅ぼした、\\n 最も偉大な神の戦士よ――」",
"342000211_23": "「このままでは、詠唱が完了して――」",
"342000211_24": "(くッ! こうなれば、せめてプレラーティだけでも――)",
"342000211_25": "「私が血路を拓くッ! そこから離脱をッ!」",
"342000211_26": "「そんなことできないワケダ――」",
"342000211_27": "「願わくは戦いにおいてわれらを護り、その祈りを阻む者、\\n 愛すべき御父に背きし者を誅滅する――」",
"342000211_28": "(しまったッ! 詠唱が、完了して――)",
"342000211_29": "「裁きの、顕――」",
"342000211_30": "「――くッ!? いつの間に……」",
"342000211_31": "「看過できないからね、これ以上は」",
"342000211_32": "「――局長ッ!」",
"342000211_33": "「悪かったね、遅くなって。\\n けど、完了したよ、味方の退避はね」",
"342000211_34": "「しかし、見覚えのある顔じゃないか、相手をしているのは」",
"342000211_35": "「……ええ」",
"342000211_36": "「あなたがそちらのリーダーなのですか?」",
"342000211_37": "「どうするのかな? だとしたら」",
"342000211_38": "「知れたこと。神の御許へと送るだけです」",
"342000211_39": "「ジャネットッ! 何故だッ!」",
"342000211_40": "「……ッ、わたしは、そんな名前では――」",
"342000211_41": "「いえ、違う……?\\n いつか、そう呼ばれたことが……」",
"342000211_42": "「――隙だらけなワケダッ!」",
"342000211_43": "「ッ! そういうことかッ!\\n ――いるね、もう人ッ」",
"342000211_44": "「もう1人ッ!?」",
"342000211_45": "「制御していないね、彼女はあの自動人形を。\\n だとすればいるのさ、それをしている者が」",
"342000211_46": "「クク……気づきましたか。\\n 流石は錬金術師協会の長ですね……」",
"342000211_47": "「更に増援なワケダッ!?」",
"342000211_48": "「……見せないのかい、姿を。\\n 恥ずかしがり屋なのかな」",
"342000211_49": "「見せたいのはやまやまですが、\\n こちらはこちらで、残党狩りに忙しいのですよ……」",
"342000211_50": "「まさか、逃がした同胞たちを――ッ!」",
"342000211_51": "「……用意周到だね、思っていたよりも」",
"342000211_52": "「お褒めにあずかり、光栄の至り」",
"342000211_53": "「さて――我が聖女よ、聞こえますか?」",
"342000211_54": "「――ッ!?」",
"342000211_55": "「眼前の者たちは神の敵、耳を貸してはなりません。\\n 偉大なる神の代弁者として、鉄槌を下すのです」",
"342000211_56": "「――オルレアンの乙女よ」",
"342000211_57": "「……そう、ですね。この者たちは、邪悪なる者たち。\\n これ以上、惑わされるものですか」",
"342000211_58": "「オルレアンの乙女……やはりお前は……」",
"342000211_59": "「だが何故だ……何故ここに……、\\n どうしてこんなことを……ジャネット――」"
}

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@ -0,0 +1,44 @@
{
"342000212_0": "「オルレアンの乙女……、\\n 間違いないようだね、君はジャンヌ・ダルクで」",
"342000212_1": "「……ええ、それが何か?」",
"342000212_2": "「――オルレアンの乙女よ。聖女の輝きを」",
"342000212_3": "「……そうですね。\\n 全ての者を今度こそ神の御許に――」",
"342000212_4": "「誤り無き正義を司る天主よ――」",
"342000212_5": "「――ッ!? これは――」",
"342000212_6": "「あの光の詠唱です……ッ!」",
"342000212_7": "「さっさと止めないと、消されてしまうワケダッ!」",
"342000212_8": "(あの光……。\\n 未発動だったね、先ほどは",
"342000212_9": "(――ならば――)",
"342000212_10": "「くッ!? またしてもこちらを囲んで――ッ!?」",
"342000212_11": "「局長ッ!\\n まずは包囲を崩して離脱しましょうッ」",
"342000212_12": "「<size=25>……聞こえるかな、2人とも</size>」",
"342000212_13": "「<size=25>――ッ!? 何故小声で――</size>」",
"342000212_14": "「其の右の手には――」",
"342000212_15": "「<size=25>何かな? 聖女の輝きとやらの発動の言葉は?</size>」",
"342000212_16": "「<size=25>――悠長なことを聞いてる場合じゃないワケダッ!</size>」",
"342000212_17": "「<size=25>詠唱内容は確認しました。\\n 『裁きの顕現を』という言葉がトリガーです</size>」",
"342000212_18": "「<size=25>ただ、その効果範囲は恐らく可変……。\\n どこまで広げられるかは不明です</size>」",
"342000212_19": "「あまたの天使を――」",
"342000212_20": "「<size=25>――あれにはかなりのエネルギーが必要だね。\\n できないはずだよ、乱発は</size>」",
"342000212_21": "「<size=25>だから突いてみよう、一瞬の隙を。\\n 僕が道を拓くよ、術式の発動直前に</size>」",
"342000212_22": "「<size=25>効果範囲確定後に回避……間に合わなければ終わりですね</size>」",
"342000212_23": "「<size=25>本当にそれができるワケダ?</size>」",
"342000212_24": "「<size=25>……局長だよ、僕はね</size>」",
"342000212_25": "「<size=25>……了解しました</size>」",
"342000212_26": "「――その祈りを阻む者、愛すべき御父に背きし者を誅滅する」",
"342000212_27": "「裁きの――」",
"342000212_28": "「――ここだッ! 2人とも退避をッ!」",
"342000212_29": "「はいッ!」",
"342000212_30": "「――なッ!? これは――ッ!?」",
"342000212_31": "「クク……逃がすとお思いですか?」",
"342000212_32": "「ここでアルカ・ノイズが出てくるワケダ――ッ!?」",
"342000212_33": "(――隠し玉か。そうなると無いね。\\n アルカ・イズを倒し離脱する時間は――",
"342000212_34": "「ならばッ!」",
"342000212_35": "「――顕現をッ!」",
"342000212_36": "「――吹き飛ばせばいいッ! 敵ごとッ!」",
"342000212_37": "「――味方ごとなワケダッ!?」",
"342000212_38": "「局長ッ!? これでは局長が――ッ!」",
"342000212_39": "(――見極めよう、僕がこの光の正体を。\\n 今から躱すのは無理だからね",
"342000212_40": "(……熱源無し、衝撃無し、術式防御も効果無し。\\n どうやら無いね。この光を防ぐ手段は。そうか――",
"342000212_41": "「<size=40>聞けッ! この光は、『存在を消し去る光』――</size>」"
}

View file

@ -0,0 +1,43 @@
{
"342000221_0": "「局長まで、消えてしまったワケダ……」",
"342000221_1": "「『存在を消し去る光』……」",
"342000221_2": "(局長は確かにそう言った。\\n その言葉の意味は……",
"342000221_3": "「次は逃しませんよ」",
"342000221_4": "「――ッ! 今度こそ、その光は使わせないワケダッ!」",
"342000221_5": "「くッ……わたしの詠唱を邪魔するつもりですか……」",
"342000221_6": "「当然なワケダ。――サンジェルマンッ!」",
"342000221_7": "「わかってるわッ!\\n ――詠唱の隙など与えないッ」",
"342000221_8": "「この程度の攻撃で――ッ!?」",
"342000221_9": "「これは……。\\n いえ、この技……どこかで、見たことが……」",
"342000221_10": "「あれは……また混乱しているワケダ……?」",
"342000221_11": "「ジャネットッ!\\n ――今、目を覚まさせてやるッ」",
"342000221_12": "「――ッ!?\\n くッ……あなたは一体、誰なのです――ッ」",
"342000221_13": "「知っているはずだ、お前があのジャネットならッ!」",
"342000221_14": "「わたしが、知っている……あなたを……?\\n いえ、そんな……だけど、確かにどこかで――」",
"342000221_15": "「……思い出せ、私はサンジェルマン。\\n かつて、お前の友だったものだ……」",
"342000221_16": "「友……あなたが……」",
"342000221_17": "「そうだ、私とお前は友だった。\\n もしかしたら、お前は私を恨んでいるかもしれないが――」",
"342000221_18": "「恨み……? うッ……この頭痛は……」",
"342000221_19": "「教えてくれ。お前はどうしてここに……?\\n 私が許せないのならば、この身を差し出そうッ」",
"342000221_20": "「何を言っているワケダッ!?」",
"342000221_21": "「すまない、プレラーティ。\\n だが、私はジャネットに詫びねばならない……」",
"342000221_22": "「――私が、お前を殺したんだ」",
"342000221_23": "「あなたが……わたしを……?」",
"342000221_24": "(この相手は……何を言っているの?\\n でも、この声。どこか懐かしくて――",
"342000221_25": "「覚えているか、ジャネット。\\n あの――」",
"342000221_26": "「――聖女よ。惑わされてはなりません。\\n その者の言葉は、悪魔の囁き。耳を貸してはなりません」",
"342000221_27": "「――ッ!?\\n ……悪魔。そう、わたしを惑わすつもりですね」",
"342000221_28": "「違うッ! あの時、本当に私とお前は――」",
"342000221_29": "「黙りなさいッ!」",
"342000221_30": "「騎士人形たちよ、奴らの足を止めるのですッ!」",
"342000221_31": "「またあれを使うつもりなワケダッ!?」",
"342000221_32": "「ジャネットッ! 私の声を聞いてくれッ!\\n これは本当にお前の意志なのかッ」",
"342000221_33": "「――わたしの意志ではありません。\\n これは、神の意志です」",
"342000221_34": "「誤り無き正義を司る天主よ――」",
"342000221_35": "「今度こそ止めるワケダッ!」",
"342000221_36": "「ジャネット……」",
"342000221_37": "「サンジェルマンッ! 聞いているワケダッ!?\\n アイツは正気じゃないッ」",
"342000221_38": "「それではサンジェルマンが犠牲になる意味もないワケダッ!」",
"342000221_39": "「……すまない。そうだな。\\n 私が詫びねばならない相手は、ジャネットだ……」",
"342000221_40": "「誰かに操られたジャンヌ・ダルクではない……。\\n ならば、私はまだ、消えるわけにはいかないッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,24 @@
{
"342000232_0": "「最も偉大な神の戦士よ――」",
"342000232_1": "「このままでは詠唱を止められないワケダッ!」",
"342000232_2": "「――プレラーティ、ここは退くッ!」",
"342000232_3": "「了解したワケダッ!」",
"342000232_4": "(……まだ逃げられると思っているんですか?\\n 聖女の輝きはどこまでも――",
"342000232_5": "(あの光……さらに範囲を広げるのかッ!?)",
"342000232_6": "「嫌な予感をひしひしと感じるワケダッ!」",
"342000232_7": "「サンジェルマン様ッ! プレラーティ様ッ!」",
"342000232_8": "「ここは私たちが抑えますッ!\\n その間におふたりは離脱をッ」",
"342000232_9": "「局長が逃がしたはずなワケダッ!?\\n どうしてここにッ」",
"342000232_10": "「恥ずかしながら、戻ってまいりました……ッ!」",
"342000232_11": "「私たちが迫害されず、錬金術の研究を続けられるのは……、\\n 協会のおかげなんですッ」",
"342000232_12": "「世界中に散らばった多くの同胞のためにも、\\n ここは逃げ延びてくださいッ」",
"342000232_13": "「あなたたち……」",
"342000232_14": "「サンジェルマン……わたしたちが消えたら、\\n 錬金術師協会は終わりなワケダ」",
"342000232_15": "「……わかったわ。\\n プレラーティ、お願いッ」",
"342000232_16": "「任されたッ!\\n これで一気に離脱するワケダッ」",
"342000232_17": "(なッ!? あの武器がまるで車のように――ッ!?\\n 逃がしてなるものですかッ",
"342000232_18": "「――今ですッ!\\n ……後のこと、お願いしますッ」",
"342000232_19": "「ええ……わかったわ。必ず……」",
"342000232_20": "「――裁きの、顕現をッ!」",
"342000232_21": "「全力で、カッ飛ばすワケダ――ッ!!」"
}

View file

@ -0,0 +1,36 @@
{
"342000241_0": "「逃げられましたか……。\\n あと一瞬早ければ――」",
"342000241_1": "「うッ……くッ、身体が――」",
"342000241_2": "「どうやら、聖女の輝きを行使しすぎたようですね。\\n もはや残党に大した者はおりません。お退きください」",
"342000241_3": "「ええ、そうさせてもらいます。\\n ですが――」",
"342000241_4": "「わたしを殺したと言っていたあの者だけは、\\n 報いを受けさせなければなりません」",
"342000241_5": "「少し休んだら、追撃に出ます。\\n あの者の行方を追ってください」",
"342000241_6": "「……我が聖女の御心のままに」",
"342000241_7": "「サンジェルマン……わたしが必ず、\\n あなたを神の御許へと送ってあげます……」",
"342000241_8": "「なんとか逃げ切った……が、疲れたワケダ……」",
"342000241_9": "「助かったわ、プレラーティ」",
"342000241_10": "「わたしがサンジェルマンを助けるのは当然なワケダ。\\n それより、これからどうする」",
"342000241_11": "(そうだ……私はどうすればいい。\\n ジャネットへの贖罪もある。だが……",
"342000241_12": "「あの『存在を消し去る光』とやらに、カリオストロや局長、\\n そして多くの同胞が消されてしまった……」",
"342000241_13": "「放っておくわけにはいかないワケダ」",
"342000241_14": "「……ええ、そうかもしれないわね」",
"342000241_15": "「そうかもしれない、では困るワケダ」",
"342000241_16": "「……ごめんなさい、少し動揺してたみたい。\\n 放っておくことができないのはわかってる」",
"342000241_17": "「私たち錬金術師協会が完全に壊滅してしまえば、\\n 欧州の秩序も崩壊する。それに――」",
"342000241_18": "「まだ残る同胞の錬金術師たちの身も危ないワケダ」",
"342000241_19": "「ええ……2度と魔女狩りのようなことは起こさせない。\\n そのためには錬金術師協会の維持は必須……」",
"342000241_20": "「そういうワケダ。\\n だが、わたしたちだけでは返り討ちは必至……」",
"342000241_21": "「局長でも防げなかったあの聖女の輝きがある限り、\\n まともに挑んでも勝ち目は薄いわ」",
"342000241_22": "「それに、敵にはまだ姿を見せていない黒幕もいる……。\\n 集められるだけの戦力を集めなければ、勝てないでしょう」",
"342000241_23": "「残る錬金術師たちに招集をかけるワケダ?」",
"342000241_24": "「生半可な力ではあの騎士型の自動人形にも対抗できないわ。\\n せめて私たちと同じ程度の力がないと」",
"342000241_25": "「そういうことなら、心当たりのある錬金術師は1人だけ……。\\n できれば頼みたくはないワケダが……」",
"342000241_26": "「キャロルね。\\n ……そちらはあなたに任せるわ」",
"342000241_27": "「なッ!?」",
"342000241_28": "「私は日本で、特異災害対策機動部二課に協力を求めようと思う。\\n キャロルの協力があったとしても、恐らくまだ足りない」",
"342000241_29": "「欧州が混沌の渦に落ちるのは、日本政府としても望まないはず。\\n 二課と装者の協力があれば、態勢を立て直せるわ」",
"342000241_30": "「……仕方ないワケダ。\\n 合流場所は日本でいいのか」",
"342000241_31": "「そうしましょう」",
"342000241_32": "「ところで、ジャンヌ・ダルクの話はいつ聞けるワケダ?」",
"342000241_33": "「ええ……道すがら話すわ」"
}

View file

@ -0,0 +1,57 @@
{
"342000311_0": "チフォージュの主",
"342000311_1": "「退屈なんだゾ。\\n あたしもマスターの実験を手伝いたいんだゾ」",
"342000311_2": "「手伝いどころか、お前じゃ邪魔にしかならないだろ」",
"342000311_3": "「そんなことないんだゾッ!\\n あたしだって<ruby=や>殺</ruby>ればできる子なんだゾッ!」",
"342000311_4": "「あーあー、確かにそういうのは得意だよな。\\n 戦闘以外は能無しで、燃費最悪だけど」",
"342000311_5": "「うぅ~、暇なんだゾッ!\\n あたしも役割が欲しいんだゾッ」",
"342000311_6": "「残念だが、今は派手な戦いは無い……。\\n 地味な実験の手伝いだけだ……」",
"342000311_7": "「ミカの手では、細々とした作業には向きませんものね。\\n この前も試薬の入った試験管を握り潰してしまいましたし」",
"342000311_8": "「あうぅ……。\\n でもあたしだって何かしたいんだゾ……」",
"342000311_9": "「……それなら、新たに戦いを彩る、\\n 派手なポーズの研究でもしたらどうだ」",
"342000311_10": "「あら、いいですわね。\\n 私たちに相応しいポーズも考えてくださいな」",
"342000311_11": "「それならあたしにもできるんだゾッ!\\n カッコいいポーズを考えて、マスターを喜ばせるんだゾッ」",
"342000311_12": "「頑張って、ミカちゃん♪」",
"342000311_13": "「……そろそろ準備が終わったかと思って来てみれば、\\n お前たち、何をしている」",
"342000311_14": "「あ、マスターッ!\\n あたしの考えたポーズを見て欲しいんだゾッ」",
"342000311_15": "「なかなかにできがいいと思いませんか?」",
"342000311_16": "「派手に決まっているぞ、ミカ」",
"342000311_17": "「本当、脳筋のあんたにピッタリ」",
"342000311_18": "「……それで、実験の準備は終わっているのか?」",
"342000311_19": "「……申し訳ありません。あと少しお時間をください」",
"342000311_20": "「ミカの相手で地味に時間を取られていたようだ……」",
"342000311_21": "「あたしにできることは、元々これくらいだったんだゾ」",
"342000311_22": "「ガリィちゃん、わかっててサボってました。テヘ♪」",
"342000311_23": "「全くお前たちは……。さっさと準備を再開しろッ!\\n オレはその間に協会に連絡をしておく」",
"342000311_24": "「申し訳ありません。\\n 急いで準備を行いますわ」",
"342000311_25": "「派手に取り掛かるとしよう」",
"342000311_26": "「マスターのために頑張りまーす☆」",
"342000311_27": "「あたしも手伝うんだゾッ!」",
"342000311_28": "「それにしても、定例報告義務か。面倒な……」",
"342000311_29": "「……チッ、何故誰も出ない。\\n オレも暇ではないというのに……」",
"342000311_30": "「マスター、お客さんですよ」",
"342000311_31": "「客? 誰も呼んだ覚えなどないぞ?\\n 誰が――」",
"342000311_32": "「……」",
"342000311_33": "「お前か。なんだ、またこのチフォージュ・シャトーを\\n 返せとでも寝言を言いに来たのか」",
"342000311_34": "「キャロル……手を貸すワケダ」",
"342000311_35": "「どうしてオレがお前に手を貸さなければいけない?」",
"342000311_36": "「…………」",
"342000311_37": "「……何があった?」",
"342000311_38": "「<ruby=おそわ>襲撃</ruby>れた? それで協会本部はどう対応したんだ?」",
"342000311_39": "「本部は壊滅、カリオストロと局長は敵に消されたワケダ……」",
"342000311_40": "「なんだとッ!?」",
"342000311_41": "「詳しく話せ。\\n 消された、というのは殺されたということか」",
"342000311_42": "「わからない。敵が放った謎の光に接触すると同時に、\\n 完全に消えてしまったワケダ」",
"342000311_43": "「局長は消える直前、あれを『存在を消し去る光』\\n と言っていたワケダが……」",
"342000311_44": "「触れただけで相手を消す光か……」",
"342000311_45": "「サンジェルマンは二課の協力を得るために、日本に渡った。\\n キャロルも協力して欲しいワケダ」",
"342000311_46": "(その場にオレがいれば、\\n やすやすと本部を落とされたりはしなかったものを……",
"342000311_47": "「……オレも一応は協会の所属だしな。\\n そいつらを潰すというなら力を貸――」",
"342000311_48": "「――ッ!? マスター、招かれざる客のようです。\\n 防御結界が破壊されました……」",
"342000311_49": "「このチフォージュ・シャトーの防御が壊されただとッ!?」",
"342000311_50": "「フフ、初めて入った気がしませんね。\\n 私の城に実に似ている……」",
"342000311_51": "「この声――さっきのジャンヌの仲間なワケダッ!」",
"342000311_52": "「なんだとッ!?」",
"342000311_53": "「……久しいですね、プレラーティ」",
"342000311_54": "「お前は……ジル・ド・レェッ!?」"
}

View file

@ -0,0 +1,33 @@
{
"342000321_0": "「その姿のあなたと会うのは初めてですね。\\n ずいぶんと可愛らしい姿に変わったものです」",
"342000321_1": "「お前がジャンヌの仲間なワケダ……」",
"342000321_2": "「ええ、そうです。\\n 私こそが聖女の僕です」",
"342000321_3": "「……知り合いか?」",
"342000321_4": "「わたしがサンジェルマンに拾われる直前まで、\\n 組んでいた相手なワケダ」",
"342000321_5": "「風の噂で、わたしのように真の錬金術の道へ\\n 入ったとは聞いていたワケダが……」",
"342000321_6": "「多くの同胞を殺め、その研究を奪い、アカシックレコードに\\n アクセスを試みた罰で局長に封印されたはず――」",
"342000321_7": "「それが、どうしてここにいるワケダ?」",
"342000321_8": "「いくら強力な封印だといっても、完全などあり得ません。\\n もちろん、戻るのに要した時間は膨大ですがね」",
"342000321_9": "「今さら姿を現して、どうするつもりなワケダ?\\n 目的は、局長……錬金術師協会への復讐か」",
"342000321_10": "「いえ、そんなことではありません。\\n 私は錬金術師として、全てを知りたいだけなのです」",
"342000321_11": "「プレラーティ。\\n 昔のよしみです。私とまた組むつもりはありませんか」",
"342000321_12": "「な……ッ!? ふざけたことを言うワケダッ!」",
"342000321_13": "「本気ですよ。共に紛い物ではなく、本物の錬金術師となった今、\\n 私たちが組めば敵はありません」",
"342000321_14": "「わたしはサンジェルマンについていく。\\n お前と組むなど、願い下げなワケダ」",
"342000321_15": "「では、そちらのお嬢さんはどうです?\\n あなたもかなりの力を持っているとお見受けしましたが……」",
"342000321_16": "「寝言は寝て言うんだな。\\n 人の城に土足で上がりこむ礼儀知らずの分際で」",
"342000321_17": "「フフ、これは失礼。この城があまりに私の城に似ていましてね。\\n つい自分の城にいるような気になってしまいましたよ」",
"342000321_18": "「貴様の居城に似ているだと……?」",
"342000321_19": "「……当然なワケダ。このチフォージュ・シャトーは\\n コイツの城をモデルに製作したワケダからな」",
"342000321_20": "「いいできですよ、本当に。オリジナルには劣りますがね。\\n そうだ。せっかくですし、別荘として使ってあげます」",
"342000321_21": "「ふざけるなッ! この城はわたしのものなワケダッ!」",
"342000321_22": "「欲しいというなら、オレを殺して奪ってみるんだなッ!」",
"342000321_23": "「フフ、ならばそうしましょうか」",
"342000321_24": "「……なんだそれは? ふざけているのか?」",
"342000321_25": "「まずは小手調べといきましょう」",
"342000321_26": "「フン……オレが戦うまでもない。\\n おい、お前たちッ」",
"342000321_27": "「すでに戦闘準備はできています」",
"342000321_28": "「ええ、踊る準備は万端ですわ」",
"342000321_29": "「はーい。ガリィちゃん、いっきまーす♪」",
"342000321_30": "「まとめてあたしが相手してやるんだゾ」"
}

View file

@ -0,0 +1,14 @@
{
"342000331_0": "「派手に召喚したところで、所詮はアルカ・ノイズ」",
"342000331_1": "「私たちの敵ではありませんわ」",
"342000331_2": "「そういうことー♪」",
"342000331_3": "「これで終わりなんだゾッ!」",
"342000331_4": "「……それで、貴様も覚悟はできたか?」",
"342000331_5": "「フフ、なかなかに高性能な自動人形ですね。\\n アルカ・イズでは分が悪そうだ」",
"342000331_6": "「では……自動人形には自動人形でどうでしょう」",
"342000331_7": "「くッ……キャロル、気をつけるワケダ。\\n あれとラピスなしに戦うのは、危険なワケダ」",
"342000331_8": "「面白い……ならば、オレも参戦してやろう」",
"342000331_9": "「わたしも手伝うワケダッ!」",
"342000331_10": "「これはこれは……楽しい余興になりそうだ」",
"342000331_11": "「オレにとってのな。\\n そのガラクタ共を片付けたら、次は貴様の番だ」"
}

View file

@ -0,0 +1,31 @@
{
"342000332_0": "「……フン、唄うまでもない。所詮はガラクタ人形か」",
"342000332_1": "「少々数が足りなかったようですね。\\n ならば――」",
"342000332_2": "「どれだけ連れてきているワケダッ!?」",
"342000332_3": "「所詮は雑魚。どれだけいても同じことだ」",
"342000332_4": "「フフ、それはどうでしょう。\\n ――聞こえますか。聖女よ、私たちに祝福をッ」",
"342000332_5": "「――天軍の栄えある総帥、大天使聖ミカエルの名の下に、\\n われらが頭上に、戦いの祝福があらんことを――」",
"342000332_6": "「なんだ、今のは……?」",
"342000332_7": "「声だけ聞こえたワケダッ!」",
"342000332_8": "「なッ!? 速い――ッ!?」",
"342000332_9": "「マスターッ!」",
"342000332_10": "「不意打ちとは、やってくれますわねッ!」",
"342000332_11": "「防ぐですってッ!?」",
"342000332_12": "「――反対側がガラ空きなんだゾッ!」",
"342000332_13": "「よくやったッ!」",
"342000332_14": "「うう……」",
"342000332_15": "「……おい、どうした?」",
"342000332_16": "「とんでもなく、硬くなってるんだゾ……」",
"342000332_17": "「フフ、先ほどとは違うでしょう?」",
"342000332_18": "「少し強化したくらいで、このオレに勝てると思うなよ。\\n 格の違いを見せてやるッ」",
"342000332_19": "「……さあ、今度こそ観念してもらおうか」",
"342000332_20": "「素晴らしい。まさか誰1人欠けずに、\\n ジャンヌ様の祝福を受けた騎士人形を退けるとは……」",
"342000332_21": "「……こちらを甘く見過ぎなワケダ」",
"342000332_22": "「フフ、大分消耗しているように見えますが、\\n 限界が近いのでは」",
"342000332_23": "「試してみるか? 貴様の身体で――ッ!」",
"342000332_24": "「なッ!? 実体が無い……だとッ!?」",
"342000332_25": "「残念ながら、時間切れです」",
"342000332_26": "「あいにく、予定が詰まっていましてね。\\n そろそろお暇させていただきます」",
"342000332_27": "「貴様……ッ! オレたちをどこまで――ッ!」",
"342000332_28": "「フフ、次の機会があれば、私自身がお相手しましょう。\\n では失礼いたします。日本でジャンヌ様がお待ちなので……」"
}

View file

@ -0,0 +1,14 @@
{
"342000341_0": "「取り逃がしたか……ッ!」",
"342000341_1": "「最初から逃げるための手段を用意していたワケダ……ッ!」",
"342000341_2": "「あいつ、あたしより性格悪いんじゃない?」",
"342000341_3": "「なかなか強敵なんだゾ」",
"342000341_4": "「……マスター、どういたしますか?」",
"342000341_5": "「このままにするつもりは、ありませんよね?」",
"342000341_6": "「……ああ。奴は日本と言っていたな。\\n おい、サンジェルマンも日本にいるのか」",
"342000341_7": "「ああ、今頃は二課の協力を取り付けているはずなワケダ」",
"342000341_8": "「いいだろう、協力してやる。オレを<ruby=こけ>虚仮</ruby>にしたことを、\\n 奴に後悔させてやらねば気が済まん」",
"342000341_9": "「では、すぐ出発するワケダ」",
"342000341_10": "「ああ、オレのチフォージュ・シャトーなら\\n そう時間はかからない」",
"342000341_11": "「何度も言うが、これはわたしの――、\\n まあいい、今はそんなことを言いあっている場合ではないワケダ」"
}

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@ -0,0 +1,67 @@
{
"342000411_0": "二課との共同戦線",
"342000411_1": "「――なんだとッ!?\\n そんな事態が起こっていたというのかッ」",
"342000411_2": "「……ああ。\\n このままでは欧州は再び混沌にまみれるだろう」",
"342000411_3": "「つまり、ここ1週間のアルカ・ノイズの反応も――」",
"342000411_4": "「錬金術師協会の拠点が襲われたときのものだ」",
"342000411_5": "「むう……」",
"342000411_6": "「その襲ってきたという敵は、\\n 本当にあのジャンヌ・ダルクなの」",
"342000411_7": "「本部に現れたのは彼女で間違いない。\\n 私は本人とも親交があったからわかる」",
"342000411_8": "「ただ、何故蘇ったのかは不明だ。\\n 記憶や意思も何者かに操られているようで……」",
"342000411_9": "「ジャンヌ・ダルクって……、\\n 百年戦争で活躍したフランスの英雄ですよね」",
"342000411_10": "「ええ、その功績からオルレアンの乙女とも呼ばれているわ。\\n 最期は異端審問の末、火刑に処せられたけど……」",
"342000411_11": "「またとんでもない話ですね」",
"342000411_12": "「事情はわかった。\\n それで、俺たちの協力を求めに来た、ということだな」",
"342000411_13": "「その解釈で相違ない。協力してもらえるだろうか?」",
"342000411_14": "「もちろんだ。秘密裏なものとはいえ、君たちと我々は\\n 同盟関係だからな。できる限りのことはさせてもらおう」",
"342000411_15": "「そう言ってもらえると助かる」",
"342000411_16": "「なあ、それでそのジャンヌを操っていた、\\n もう人の敵ってのは……」",
"342000411_17": "「そちらについてはまだ――」",
"342000411_18": "「これは――プレラーティからか。\\n ――失礼」",
"342000411_19": "「サンジェルマン、そっちの様子はどうなワケダ」",
"342000411_20": "「今ちょうど協力を約束してもらったところだ」",
"342000411_21": "「それなら、二課にも聞いてもらいたいワケダ。\\n もう人の敵がわかった」",
"342000411_22": "「本当なの?\\n ……いいわ、周りにも聞こえるようにした」",
"342000411_23": "「ジャンヌを蘇らせた敵の名は、ジル・ド・レェ。\\n 奴は先ほど、チフォージュ・シャトーを襲撃してきたワケダ」",
"342000411_24": "「ジル・ド・レェって、あなたの昔の――」",
"342000411_25": "「そう、相棒だった。だが、危険な研究を行ったために、\\n 今まで局長に封印されていたワケダ」",
"342000411_26": "「その話は知っているわ。\\n それじゃ封印から抜け出したってこと」",
"342000411_27": "「そうらしい……。\\n そして恐らく、奴がジャンヌ・ダルクを蘇らせたワケダが」",
"342000411_28": "「人の知らぬ間に、\\n 随分と迷惑なことをしてくれる奴がいたもんだな」",
"342000411_29": "「キャロル? 無事だったのか?」",
"342000411_30": "「当たり前だ。\\n あの程度の者にオレが後れを取るものか」",
"342000411_31": "「あたしたちも無事なんだゾッ!」",
"342000411_32": "「……おい、今マスターが話してんだろ。\\n お前はでしゃばるなっての」",
"342000411_33": "「……派手に乱入も悪くない」",
"342000411_34": "「フフ、今回は二課とも共同戦線ですわね」",
"342000411_35": "「お前たちは……ッ!\\n いいから待機しておけッ」",
"342000411_36": "「……ジルはこちらを襲撃した後、ジャンヌと\\n 日本で合流するようなことを言って、姿を消したワケダ」",
"342000411_37": "「なんですって……? では、ジャネットは今、日本に?\\n まさか、私を追って――」",
"342000411_38": "「単純に、次の目的が二課なのかも知れないワケダが」",
"342000411_39": "「…………」",
"342000411_40": "「ともかく、わたしたちもそっちに急ぐワケダ」",
"342000411_41": "「あいつはオレの獲物だ。\\n 余計な手出しはするなよ」",
"342000411_42": "「……すまない。\\n こちらを戦場にするつもりはなかったのだが……」",
"342000411_43": "「いや。敵の最終目的がなんであれ、\\n 二課もその邪魔になるという判断かもしれん」",
"342000411_44": "「ま、ロクな目的じゃないでしょうし、遅かれ早かれ\\n 二課とも戦いになったでしょ。あなたのせいじゃないわよ」",
"342000411_45": "「そういうことだ。\\n だから、一緒に戦おう」",
"342000411_46": "「……ありがとう」",
"342000411_47": "「――敵についての情報は、現時点ではこれで全てだ。\\n あまり有用な情報はないかも知れないが」",
"342000411_48": "「いや、参考になった。感謝する。\\n しかし、聖女の輝きか……それへの対処は難題だな」",
"342000411_49": "「『存在を消し去る光』ね。\\n 流石にそれだけじゃ見当もつかないわね」",
"342000411_50": "「防御不能の一撃必殺……。\\n そりゃ確かに厄介だな」",
"342000411_51": "「緊急警報だとッ!? 何があったッ!」",
"342000411_52": "「市街地より、アルカ・ノイズの反応ですッ!」",
"342000411_53": "「モニター、出しますッ!」",
"342000411_54": "「――サンジェルマン、どこへ隠れたのですかッ!」",
"342000411_55": "「あなたが姿を現さないならば、\\n わたしは配下を動かし、ここを戦場と変えますッ」",
"342000411_56": "「また、彼女をかくまう者、協力する者は神の敵とみなし、\\n 全てわたしが断罪します……」",
"342000411_57": "「あの数のアルカ・ノイズと自動人形を暴れさせるだとッ!?\\n とんでもない被害がでるぞッ」",
"342000411_58": "「あの子の中には、まだ600年前の戦争の感覚が\\n 残っているのかも知れない……」",
"342000411_59": "「だから戦場に?\\n ――そんなことあたしがさせるかッ」",
"342000411_60": "「彼女の狙いは私だ。私が出よう。\\n それなら、最悪の場合でも私人の犠牲で――」",
"342000411_61": "「いや、今の目的が君だとしても、\\n あの様子では、いずれ戦うことになるだろう」",
"342000411_62": "「ならば、ここで全力で叩くべきだ。\\n 頼んだぞ、奏ッ」",
"342000411_63": "「ああ、もちろんだッ!」",
"342000411_64": "「感謝する……ッ!」"
}

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@ -0,0 +1,15 @@
{
"342000421_0": "「ようやく現れましたね」",
"342000421_1": "「ジャネット……」",
"342000421_2": "「あなたは、わたしを殺したと言いました。\\n つまり、あなたがあの処刑場へとわたしを送った……」",
"342000421_3": "「……ああ」",
"342000421_4": "「……ならば、あなたはわたしが倒さなくてはならない仇です。\\n この手で、神の御許――いえ、地獄へと叩き落としましょう」",
"342000421_5": "「それが、お前の望みなのか?」",
"342000421_6": "「望み……? ええ、そうです。あまねく不条理に断罪を。\\n この世の全てを、神の力で浄化して見せましょう」",
"342000421_7": "「その1歩として、かつてわたしの身に不条理を与えた者から、\\n 神罰を与えます……」",
"342000421_8": "「偉そうに言ってるけど、ただの復讐ってところだろ。\\n 何が神罰だよ」",
"342000421_9": "「……あなたも、サンジェルマンに与する者ですね」",
"342000421_10": "「だったらどうするんだ?」",
"342000421_11": "「決まっています。\\n ――罪を悔いて、逝きなさいッ」",
"342000421_12": "「わかりやすくていいねッ!\\n けど、黙ってやられてなんてやるもんかッ」"
}

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@ -0,0 +1,39 @@
{
"342000431_0": "「歌で戦うとは、驚きです。\\n しかし、そんなものは――」",
"342000431_1": "「――♪ ――♪」",
"342000431_2": "「……歌、そうだ。何か、引っかかって――」",
"342000431_3": "「――綺麗で、優しい歌だな」",
"342000431_4": "「くッ……歌、歌が――ッ!?」",
"342000431_5": "(これは、なんの記憶……? いえ、誰の……?\\n わからない、こんなの知らない――ッ",
"342000431_6": "「ジャネットッ!」",
"342000431_7": "「なんだか知らないが、一気に決めてやるッ!」",
"342000431_8": "「さあ、覚悟しな――ッ!」",
"342000431_9": "「――待ってくれッ!」",
"342000431_10": "「なッ!? どういうつもりだッ!?」",
"342000431_11": "「もしかしたら、ジャンヌは私の知るジャネットに――」",
"342000431_12": "「天使様も歌は――」",
"342000431_13": "「うう……なんなのです……。\\n わたしの知らない記憶が――」",
"342000431_14": "「聖女よ。お待たせいたしました」",
"342000431_15": "「お前はッ! ジル・ド・レェッ!」",
"342000431_16": "「ジル……わたしの記憶は――」",
"342000431_17": "「オルレアンの乙女よ。神々の意志を地上へ示す代弁者よ。\\n 神の敵に惑わされてはなりません」",
"342000431_18": "「神の、敵……」",
"342000431_19": "「ええ、そうです。あなたを惑わす者は全て神の敵です。\\n 全ては偽り。神の力を封じんとする悪魔の奸計に過ぎません」",
"342000431_20": "「心を強くお持ちください。\\n あなたはジャンヌ・ダルクなのですから……」",
"342000431_21": "「そう、わたしはジャンヌ・ダルク……。\\n 全ての不条理を、断罪する者……」",
"342000431_22": "「ジャネットッ! その言葉こそが偽りだッ!\\n ジャンヌは虚像ッ ジャネットとしての自分を思い出せッ」",
"342000431_23": "「……黙りなさい、悪魔の僕よ。\\n そうやってわたしを謀り、命を奪ったのでしょう」",
"342000431_24": "「ジル、あなたのおかげで助かりました。\\n ……神の敵を撃ち滅ぼす、わたしの軍勢をここへ」",
"342000431_25": "「我が聖女の御心のままに」",
"342000431_26": "「――天軍の栄えある総帥、大天使聖ミカエルの名の下に、\\n われらが頭上に、戦いの祝福があらんことを――」",
"342000431_27": "「くッ!? これは自動人形が――」",
"342000431_28": "「これこそが神の代弁者たる聖女の祝福を受けた、\\n わたしの部隊です」",
"342000431_29": "「ジル、それに騎士たちよ。そちらの者は任せました」",
"342000431_30": "「承りました、聖女よ。\\n ではあの者はこちらで片付けましょう」",
"342000431_31": "「……わたしは、この剣でわたしを惑わすこの悪魔の僕を、\\n 直接断罪します」",
"342000431_32": "「ジャネット……」",
"342000431_33": "「……覚悟を決めろ。\\n もうあんたの声はあいつに届いちゃいない」",
"342000431_34": "「迷いを抱えたまま戦える相手じゃないだろッ!」",
"342000431_35": "「……そうだな。すまない。\\n 彼女は私が止める……いや、倒すッ」",
"342000431_36": "「頼んだよ。雑魚はこっちで引き受けた。\\n ……ご指名みたいだしね」"
}

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@ -0,0 +1,114 @@
{
"342000432_0": "(何故だ……。何故、剣での勝負に持ち込む……?)",
"342000432_1": "「聖女の輝きを使わないのが不可解といった表情ですね」",
"342000432_2": "「――ああ、その通りだ。\\n 何故、使おうとしない……」",
"342000432_3": "「あなたに聖女の輝きは使いません。\\n あれは神の御許へと魂を導く技――」",
"342000432_4": "「わたしを誑かし、死刑台へと送ったあなたが……、\\n 神の御許へ行けるなどと思わないことですッ」",
"342000432_5": "(ジャネット、お前はそれほど私を恨んでいるのか……)",
"342000432_6": "「フフ、どうしました?\\n まだまだこちらの騎士人形は残っていますよ」",
"342000432_7": "「くそ……ッ!」",
"342000432_8": "(聖女の祝福……あれのせいで、さっきとは雲泥の差だ。\\n ならともかく、こう数が多いんじゃどうにも……",
"342000432_9": "(せめて、味方と連携できれば――)",
"342000432_10": "「あなたが倒れるのと、聖女の剣がサンジェルマンを貫くのと、\\n どちらが先になるのでしょうね」",
"342000432_11": "「……いえ、ここは敢えて同時を狙ってみましょうか」",
"342000432_12": "「まだ増えるのかよッ!?」",
"342000432_13": "「さあ、これでどこまで耐えられますかね?」",
"342000432_14": "(くッ……こちらにも来るか……。\\n そうなってしまえば、もはや離脱すら――",
"342000432_15": "「――全部まとめて、ブッ飛べええええッ!!」",
"342000432_16": "「この攻撃はッ!? もしかして――」",
"342000432_17": "「――わたしもいるわッ! くらいなさいッ!」",
"342000432_18": "「増援……? それも複数名……。\\n 隠し玉ですか――」",
"342000432_19": "「――今だッ! やってやれッ!」",
"342000432_20": "「いっけええええええッ!」",
"342000432_21": "「な――ッ!? もう1人いたのですかッ!?」",
"342000432_22": "「うくッ……この一撃、重い――」",
"342000432_23": "「サンジェルマンさんッ!」",
"342000432_24": "「わかっているッ! おおおおおお――ッ!」",
"342000432_25": "「まだ体勢が、しま――ッ!?」",
"342000432_26": "「――我が聖女ッ!?」",
"342000432_27": "(ジャネット……くッ!)",
"342000432_28": "(何故、直前で攻撃を躊躇って――ですが、好機ッ!)",
"342000432_29": "「――離れなさいッ!」",
"342000432_30": "「くッ……」",
"342000432_31": "(何をやっているんだ、私は……。\\n 躊躇わず剣を振りぬいていれば――ッ",
"342000432_32": "「サンジェルマンさんッ! 大丈夫ですかッ!」",
"342000432_33": "「――ああ、助かった」",
"342000432_34": "「事情はこっちの師匠から聞きましたッ!\\n わたしたちにもお手伝いさせてくださいッ」",
"342000432_35": "「……悪魔に与する者たちが、これほどいるとは。\\n 嘆かわしいことです」",
"342000432_36": "「どうしますか?」",
"342000432_37": "「何人増えようと関係ありません。\\n 神の敵を滅ぼしましょう」",
"342000432_38": "「わかりました。\\n それでは、微力ながら私も力をつくします」",
"342000432_39": "「ええ、頼みました」",
"342000432_40": "「それで、あなたがジャンヌ・ダルクね。\\n フランスの救国の英雄、オルレアンの乙女……」",
"342000432_41": "「そんな立派な人が、どうしてッ!」",
"342000432_42": "「本当に同一人物なのか?\\n それこそ偽物とかじゃねーのか」",
"342000432_43": "「それならよかったんだけどな……」",
"342000432_44": "「残念ながら本物だ。\\n だが、恐らくはアイツに記憶を――」",
"342000432_45": "「言いがかりはよしてもらいましょうか。\\n 私は聖女の忠実なる僕です」",
"342000432_46": "「……わたしの記憶は確かに完全ではありません。\\n ですが、全ての理不尽を断罪するという使命は忘れていません」",
"342000432_47": "「……あなたたちは神の代弁者たる、\\n わたしに敵対するというのですか」",
"342000432_48": "「あなたがわたしたちの仲間を害するというのなら、\\n わたしたちはあなたと戦うわ」",
"342000432_49": "「そういうことだ。神の代弁者だかなんだかしらねーが、\\n やるってんなら相手になってやらぁッ」",
"342000432_50": "「……戦いたいわけじゃありません。\\n だけど、みんなを護るために、わたしはあなたを止めますッ」",
"342000432_51": "「いいでしょう。\\n このわたしを止められるというのならば、止めてみなさいッ」",
"342000432_52": "「――騎士人形たちよッ!」",
"342000432_53": "「この自動人形たちはわたしたちがッ!」",
"342000432_54": "「ああ、露払いは任せときなッ!」",
"342000432_55": "「こちらの戦力は騎士人形だけではありませんよ」",
"342000432_56": "「一山いくらの雑魚なんざ、\\n あたし人でお釣りがくるんだよッ」",
"342000432_57": "「わたしもぉぉぉ――ッ!」",
"342000432_58": "「くッ!? 突っ込んできますかッ!?」",
"342000432_59": "「危ないところでした。全く油断なりませんね……。\\n ――聖女よッ」",
"342000432_60": "「……わかっています。\\n これ以上、わたしたちの邪魔はさせません」",
"342000432_61": "「まさか――ッ!?」",
"342000432_62": "「誤り無き正義を司る天主よ。\\n その忠実な僕にして、信託を与えし大天使聖ミカエルよ――」",
"342000432_63": "「あれはッ!? もしかしてあれが――」",
"342000432_64": "「『聖女の輝き』だッ! 詠唱を防ぐんだッ!」",
"342000432_65": "「あいつを攻撃すればいいんだろッ!\\n なら、こいつで――ッ」",
"342000432_66": "「そうはさせません」",
"342000432_67": "「聖女の祈りは神聖なもの。\\n なんびとたりとも、邪魔をすることは許されません」",
"342000432_68": "「其の右の手には、主の敵を討つ剣。\\n 其の左の手には、忠実なる人の魂を図る秤――」",
"342000432_69": "「くッ……固まっていては一網打尽にされるッ!\\n 散るんだッ」",
"342000432_70": "「遠距離がダメなら、直接攻撃をすればッ!\\n こんな壁なんてえええええ――ッ」",
"342000432_71": "「よくやったわッ! あとは――」",
"342000432_72": "「――あたしたちが決めるッ!」",
"342000432_73": "「あまたの天使を率い、全能なる天主の敵を討ち滅ぼした、\\n 最も偉大な神の戦士よ――」",
"342000432_74": "「そこまでだッ! あたしたちの攻撃を――」",
"342000432_75": "「――受けなさいッ!」",
"342000432_76": "「届いたッ!」",
"342000432_77": "「……いえ、一手遅かったですね」",
"342000432_78": "「な――ッ!? 敵が消え――」",
"342000432_79": "「ちょっとした小細工ですよ。術式によるガードと同時に、\\n 光を屈折させ、聖女のいる位置を誤認させただけです」",
"342000432_80": "「なんですってッ!?」",
"342000432_81": "「くッ……なら、もう1度――ッ!」",
"342000432_82": "「ダメだッ! 退避を――ッ!」",
"342000432_83": "「――願わくは戦いにおいてわれらを護り、その祈りを阻む者、\\n 愛すべき御父に背きし者を誅滅する――裁きの、顕現をッ」",
"342000432_84": "「きゃああああああッ!?」",
"342000432_85": "「なんなんだ、この光は――ッ!?」",
"342000432_86": "「マリアさん、奏さん――ッ!」",
"342000432_87": "「何が起きたッ!?」",
"342000432_88": "「局長やカリオストロの時と同じだ……。\\n あの光によって……」",
"342000432_89": "「消えちまったってのかよッ!?」",
"342000432_90": "「そんな……マリアさんッ! 奏さんッ!\\n 嘘、ですよね。こんな、簡単に……」",
"342000432_91": "「流石は我が聖女ですッ!\\n さあ、もう度その輝きをッ」",
"342000432_92": "「ええ。誤り無き正義を司る天主よ――」",
"342000432_93": "「続けてあれを――くッ! やはり逃げるしかッ!\\n 急いで退避するんだッ」",
"342000432_94": "「ちッ、ふざけやがって――ッ!」",
"342000432_95": "「そのような攻撃を、私が通すとでも?」",
"342000432_96": "「今だッ! これに紛れろッ!」",
"342000432_97": "「――いい手だッ! 今のうちに距離を離せッ!」",
"342000432_98": "「――全能なる天主の敵を討ち滅ぼした、\\n 最も偉大な神の戦士よ――」",
"342000432_99": "「……2人が……」",
"342000432_100": "「な――ッ!? 立花響ッ! 何故――ッ!」",
"342000432_101": "「クソッ! ボーッとしてんじゃねぇッ!」",
"342000432_102": "「――裁きの、顕現をッ!」",
"342000432_103": "「え……あ――ッ!?」",
"342000432_104": "「――このバカッ!」",
"342000432_105": "「――クリスちゃんッ!」",
"342000432_106": "「立花響――」",
"342000432_107": "「…………」",
"342000432_108": "「無事か……、\\n だが、もう人は……」",
"342000432_109": "「消え……ちゃったの……?」",
"342000432_110": "「クリス、ちゃん……わたしを、助けて……」",
"342000432_111": "「装者まで、3人も……」"
}

View file

@ -0,0 +1,24 @@
{
"342000511_0": "あの日の誓いを夢に見る",
"342000511_1": "「そんな……クリスちゃんまで……。\\n うわあああああ――ッ」",
"342000511_2": "「みんな……みんないなくなって……」",
"342000511_3": "「戦意喪失したようですね。\\n それなら、楽にしてあげましょう」",
"342000511_4": "「…………」",
"342000511_5": "「立花響――ッ!」",
"342000511_6": "「うぐッ……」",
"342000511_7": "「……もはや動けないようですね。\\n サンジェルマン、断罪の時です」",
"342000511_8": "「ジャネット……」",
"342000511_9": "「ですがその前に、あの装者も聖女の輝きによって、\\n 神の御許へと送ってあげましょう」",
"342000511_10": "「我が聖女よ。\\n そんなことをしなくても、息の根を止めてしまえば――」",
"342000511_11": "「せめてもの慈悲です。\\n 神の御許にて、仲間と共に罪を悔いなさい」",
"342000511_12": "「やめろッ! ジャネットッ!\\n 頼む……これ以上は……」",
"342000511_13": "「誤り無き正義を司る天主よ。\\n その忠実な僕にして、信託を与えし大天使聖ミカエルよ――」",
"342000511_14": "(私は何もできないのか……ッ! 二課を、装者を巻き込み、\\n いたずらに被害者を増やしただけで――ッ",
"342000511_15": "「――ここから先は、選手交代なワケダッ!」",
"342000511_16": "「くらえ、<ruby=アルカヘスト>四大元素</ruby>――ッ!」",
"342000511_17": "「なッ!? 詠唱が――」",
"342000511_18": "「次から次へと……まるで害虫ですね。あなたたちは」",
"342000511_19": "「害虫の親玉が何を言っている。\\n ワラワラと群れているのはそっちなワケダがッ」",
"342000511_20": "「プレラーティ……」",
"342000511_21": "「間に合った……とは言いがたい状況か……。\\n だが遅れた分、ここから挽回させて欲しいワケダッ」"
}

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@ -0,0 +1,91 @@
{
"342000522_0": "「おい、動けるか?」",
"342000522_1": "「……いや、すまない。少し時間が欲しい」",
"342000522_2": "「いいだろう。\\n そいつの具合はどうなんだ」",
"342000522_3": "「…………」",
"342000522_4": "「チッ、戦いはオレに任せて、そいつをなんとかしろ。\\n その時間くらいは稼いでやる」",
"342000522_5": "「立花響……お前の仲間が消えたことは私の責任だ。\\n だから、私を恨め」",
"342000522_6": "「え……? そんな、サンジェルマンさんのせいじゃ――」",
"342000522_7": "「奴らは私の敵だ。そして私を追って日本へと来た。\\n ……全ては私の責任だ」",
"342000522_8": "「私が二課に助けを求めなければ……、\\n いや、私が先に消されていれば、こうはならなかった」",
"342000522_9": "「消されていればだなんて……そんなッ!」",
"342000522_10": "「カリオストロも消された。だが、気持ちはわかるなどと\\n 陳腐なことを言うつもりはない」",
"342000522_11": "「沈むな。悲しみを怒りに変えろ。\\n その拳をぶつける先が欲しければ私がそれになる」",
"342000522_12": "「だから……命を粗末にするな」",
"342000522_13": "「サンジェルマンさん……」",
"342000522_14": "「まだお前には仲間が残っているだろう。\\n そいつらのためにも、ここで諦めることだけはしないでくれ」",
"342000522_15": "「…………」",
"342000522_16": "「Balwisyall Nescell gungnir tron――」",
"342000522_17": "「ありがとうございます、サンジェルマンさん。\\n もう、わたしは大丈夫です」",
"342000522_18": "「奏さん、マリアさん、クリスちゃん。\\n 人が消されたことの辛さも、悲しみもそのままだけど……」",
"342000522_19": "「誰かを恨んだり、怒りをぶつけるんじゃなくて、\\n わたしはわたしのまま、あの人たちを止めますッ」",
"342000522_20": "「そうか……、\\n お前はそういう強さを持っているんだったな」",
"342000522_21": "「ならば頼む。プレラーティとキャロルを助けてやってくれ。\\n 私も、動けるようになったらすぐに行く」",
"342000522_22": "「はいッ!」",
"342000522_23": "「どうやらあなたたちも、\\n 神の御許へと送らなくてはならないようですね」",
"342000522_24": "「ハッ、やれるものならな」",
"342000522_25": "「聖女よ。私が時間を」",
"342000522_26": "「ええ、頼みました」",
"342000522_27": "「そうはさせないワケダッ! キャロルッ!」",
"342000522_28": "「わかっているッ!\\n お前たち、雑魚の相手は任せたぞッ」",
"342000522_29": "「任されましたー」",
"342000522_30": "「同じ自動人形同士、派手に相手をしてやる」",
"342000522_31": "「同じ自動人形、といっても格が違いますけどね」",
"342000522_32": "「マスターに作られたあたしたちは無敵なんだゾッ!」",
"342000522_33": "「人形には人形……この前の意趣返しですか」",
"342000522_34": "「そして、お前の相手はわたしがするワケダッ!」",
"342000522_35": "「なるほど。\\n そして聖女にはあのキャロルという錬金術師ですか」",
"342000522_36": "「あれは混戦の中で使えるようなものではないワケダ。\\n ましてや、キャロルの相手をしながらでは――」",
"342000522_37": "「詳細はあいつに聞いた。力の集中と詠唱が無ければ\\n 使えない技など、恐れるに足りんッ」",
"342000522_38": "「く――ッ!」",
"342000522_39": "「まだまだ行くぞッ! オレの攻撃を受けながら、\\n 聖女の輝きとやらを使えるものならば、使ってみろッ」",
"342000522_40": "「……そうですね。\\n 使ってみろと言うのならば、使いましょう」",
"342000522_41": "「誤り無き正義を司る天主よ――」",
"342000522_42": "「なんのつもりだッ!\\n オレは黙って詠唱を許すようなお人よしではないぞッ」",
"342000522_43": "「――ッ!」",
"342000522_44": "(光が……消えていない?)",
"342000522_45": "「…………」",
"342000522_46": "「詠唱が進んでいるッ!?\\n くそッ 何が起きているッ」",
"342000522_47": "「祈りとは、言葉に出すものだけではありません。\\n 心の内だけでも、祈ることはできるのです」",
"342000522_48": "「真なる祈りは、言葉は無くとも届きます。\\n このように――」",
"342000522_49": "「それでも、詠唱の完成などさせるものかッ!\\n ――<ruby=アルカヘスト>四大元素</ruby>ッ!」",
"342000522_50": "「――どうだッ!」",
"342000522_51": "「……無駄です。この光は神の力。詠唱を終えたその瞬間から、\\n なんびとたりとも侵すことのできない、結界にもなるのです」",
"342000522_52": "「オレの攻撃を受けて……無傷だとッ!?」",
"342000522_53": "「マスターがッ!?」",
"342000522_54": "「――派手に窮地ッ!?」",
"342000522_55": "「くッ……あたしらで盾になるんだッ!」",
"342000522_56": "「マスターはやらせないゾッ!」",
"342000522_57": "「キャロルちゃんッ!\\n ダメだああああ――ッ」",
"342000522_58": "「お別れです。\\n ――裁きの、顕現をッ」",
"342000522_59": "「マスタ―――ッ!」",
"342000522_60": "「お前たちッ!?」",
"342000522_61": "「キャロルちゃんッ! 手を――ッ!」",
"342000522_62": "「――ッ! 立花響――ッ!」",
"342000522_63": "「避けましたか。\\n しかし、代わりにそちらの自動人形は片付きました」",
"342000522_64": "「…………」",
"342000522_65": "「貴様ァア――ッ!」",
"342000522_66": "「ダメだよキャロルちゃんッ!\\n さっきみたいな方法であれを使われたら、とても防げないッ」",
"342000522_67": "「――落ち着くワケダッ! キャロルッ!」",
"342000522_68": "(少し、無理をしすぎましたか……。\\n ですが、あと少し……",
"342000522_69": "「……残りはたった4名。\\n 多少無理をしても、あと度で事足ります」",
"342000522_70": "「いえ、これ以上はあなたの負担が大きすぎます。\\n ご自愛ください、聖女よ」",
"342000522_71": "「……このまま退け、というのですか?」",
"342000522_72": "「いえ、手土産くらいは貰っていきましょう。フフ……」",
"342000522_73": "「まさか――そうはさせないワケダッ!」",
"342000522_74": "「――騎士人形よッ!」",
"342000522_75": "「くッ!? この人形が……邪魔をするなッ!」",
"342000522_76": "「反応はよかったですよ、プレラーティ。\\n ですが、既にサンジェルマンは手の内です」",
"342000522_77": "「サンジェルマンッ!」",
"342000522_78": "「動けばこの者を殺します。\\n そちらの人もです」",
"342000522_79": "「……貴様……」",
"342000522_80": "「サンジェルマンさん……」",
"342000522_81": "「私に構うなッ! こいつを――」",
"342000522_82": "「うぐッ!?」",
"342000522_83": "「気絶させただけですよ。ご安心を。\\n ですが、トドメを刺すかどうかはあなたたち次第です」",
"342000522_84": "「その卑怯な性根は昔のままなワケダ……」",
"342000522_85": "「ええ、もちろん。私は私ですからね。\\n 警戒を怠ったあなたたちが悪い」",
"342000522_86": "「……その者を手土産に、ですか。\\n いいでしょう。度退きますよ、ジル」",
"342000522_87": "「はい。それでは失礼致しますよ」",
"342000522_88": "「サンジェルマン……」"
}

View file

@ -0,0 +1,71 @@
{
"342000531_0": "「くッ……」",
"342000531_1": "「大丈夫ですか? 聖女の輝きを使いすぎです。\\n 存在の選別は精神に強大な負荷がかかるというのに……」",
"342000531_2": "「ましてや無詠唱での使用となれば、余計に精神への負荷が\\n 増大します。……あまり無理をなさらないでください」",
"342000531_3": "「そうしなければならないほどの相手でした。\\n ですが、無理をしただけの成果もありました」",
"342000531_4": "「そうですね。装者複数名に高性能な自動人形4体、\\n 十分といっていい成果でしょう」",
"342000531_5": "「……少し疲れました。\\n 休むので、後のことを頼みます」",
"342000531_6": "「ええ、用済みの錬金術師はこちらで処理します。\\n 聖女に於かれましては、ゆっくりとお休みください」",
"342000531_7": "「……いえ、その者は生かしておいてください」",
"342000531_8": "「……何故ですか?\\n この者は我々の敵、悪魔の手先なのですよ」",
"342000531_9": "「この者はわたしを死刑台に送った大罪人です。\\n 簡単に死なせはしません」",
"342000531_10": "「では拷問にでもかけましょうか?」",
"342000531_11": "「いえ、その者は後でわたしが自ら裁きを下します。\\n それまでは、逃げられないよう閉じ込めておいてください」",
"342000531_12": "「……わかりました」",
"342000531_13": "(私は、夢を見ているのか。\\n これは……もう遠い昔の――",
"342000531_14": "「ジャネット、また祈っているのか?」",
"342000531_15": "「はい。\\n 年前、戦火によって失われた故郷のみんなのために……」",
"342000531_16": "「そうか……。すまなかったな。\\n もっと早く、私が気づいていれば助けられた者も……」",
"342000531_17": "「いえ、天使様がわたしを救ってくださったから、こうして\\n 亡くなった者のために、祈りを捧げることができるのです」",
"342000531_18": "「それにしても、やはり天使様はお年を取らないのですね?」",
"342000531_19": "「お前は、随分大きくなったな。\\n 出会ったときが歳だったから――もう歳か」",
"342000531_20": "「はい。身長だけは天使様に近づきました」",
"342000531_21": "「……その、天使というのはやめてもらえないだろうか。\\n 私は天使などではない。一介の錬金術師だ」",
"342000531_22": "「錬金術師って、そんなはずないじゃないですか。\\n あの時、瀕死のわたしを助けてくれたのは、神の御業です」",
"342000531_23": "「巷で錬金術師といったら、奇妙な研究をしている怪しい人たち\\n ですし、その人たちがあんな力を使えるはずはありません」",
"342000531_24": "「いや、私は巷の錬金術師とは違って、本当の錬金術を――」",
"342000531_25": "「フフ、わかっています。\\n 人間には正体を隠さなくてはならないんですよね」",
"342000531_26": "「天使様のことは、神に誓って誰にも話しません。\\n だから、ご安心ください」",
"342000531_27": "「本当に、天使という柄でもないんだがな……」",
"342000531_28": "(そうだ……ジャネットはずっと私を天使様と呼んでいた。\\n 何度違うと話しても、呼び方を変えてはくれなかったな……",
"342000531_29": "(……出会った頃から、\\n 思い込んだら一直線なところがあった……",
"342000531_30": "「~♪ ~♪」",
"342000531_31": "「歌声……これは、ジャネットか?」",
"342000531_32": "「~♪ ~♪ ――あ、天使様ッ!」",
"342000531_33": "「邪魔をしてしまったか。\\n しかし、綺麗で優しい歌声だった」",
"342000531_34": "「……ありがとうございます。\\n 拙い歌で、ちょっと恥ずかしいですけど……」",
"342000531_35": "「そんなことはないさ」",
"342000531_36": "「あの……天使様も歌はお好きなのですか?」",
"342000531_37": "「……そうだな。あまり意識したことはないが、\\n 好きなのかもしれない」",
"342000531_38": "「……母が元気だった頃に、よく唄ってくれたのを覚えている」",
"342000531_39": "「天使様のお母様が?\\n それはそれは、綺麗な歌声だったのでしょうね……」",
"342000531_40": "「……ああ。幼い私は、母の歌が大好きだった」",
"342000531_41": "「天使様は唄ったりはしないのでしょうか?」",
"342000531_42": "「いや……そんなことはない。\\n だが、人前で唄うような機会はほとんど無いな」",
"342000531_43": "「あの……もしよかったら、ご迷惑でなければなのですが、\\n いつか天使様のお歌を、聴かせていただけませんか」",
"342000531_44": "「私の歌など聴いても、楽しくはないだろう」",
"342000531_45": "「そんなことはありませんッ!\\n 大好きな歌を敬愛する天使様から、聴いてみたいのです」",
"342000531_46": "「……そこまでのものではないのだがな。\\n わかった。気が向いたら、その時は聴かせよう」",
"342000531_47": "「ありがとうございます。気が向いたら、ですね」",
"342000531_48": "「ああ、そうだ」",
"342000531_49": "「ではなるべく早く、天使様の気が向くよう祈っております」",
"342000531_50": "「……あまり期待するなよ」",
"342000531_51": "「いいえ、これ以上ないくらい、期待しておりますので」",
"342000531_52": "「お前は……全く」",
"342000531_53": "「……天使様、もう1つ聞きたいことがあるのです」",
"342000531_54": "「なんだ? 私で答えられることなら、答えよう」",
"342000531_55": "「イングランド王国との戦い……。\\n わたしたちは勝てるのでしょうか」",
"342000531_56": "「……次の戦いに限ってなら、恐らく負けるだろう」",
"342000531_57": "「そんな……」",
"342000531_58": "「最終的な戦いの勝敗まではわからない。\\n だが、オルレアンを舞台とする次の戦いについては、無理だ」",
"342000531_59": "「戦いは兵数ではない。敵に倍する兵力があったとしても、\\n 指揮官の能力や兵士の士気次第でどうとでも転ぶ」",
"342000531_60": "「…………」",
"342000531_61": "「フランス王国はスコットランド王国との連携が取れていない。\\n 数だけ揃っていても、これでは力の半分も出せないだろう」",
"342000531_62": "「対してイングランド王国側は、兵数こそ少ないが、\\n そういった不安要素はなく、その差が出る可能性が高い」",
"342000531_63": "「……わたしの故郷、ドンレミ村は1度戦火に見舞われました。\\n あれから年、なんとか復興し、人も戻ってきています」",
"342000531_64": "「わたしは、再び村が戦火に焼かれることを望みません。\\n しかし、次の戦いに負ければ、戦火はまた村へと迫るでしょう」",
"342000531_65": "「……そうかもしれないな」",
"342000531_66": "「天使様……わたしに指揮官を務める力はあるのでしょうか?」",
"342000531_67": "「ジャネット……何を考えている?」",
"342000531_68": "「護りたいのです。わたしの大切な場所を。\\n そのために、わたしにできることがあるならば――」"
}

View file

@ -0,0 +1,49 @@
{
"342000541_0": "(そしてジャネットは、ジャンヌ・ダルクとなった。\\n フランス王国の希望として、人々を導く英雄に――",
"342000541_1": "「……天使様、お久しぶりです」",
"342000541_2": "「ああ……活躍は聞いている」",
"342000541_3": "「はい……。天使様のお言葉のおかげで、\\n なんとか勝つことができています」",
"342000541_4": "「私は、何もしていない」",
"342000541_5": "「いいえ。戦いの本質を、わたしは天使様の言葉で学びました。\\n 指揮官としての自分を高め、兵たちを鼓舞する……」",
"342000541_6": "「兵士1人1人が死力を尽くし、それを束ねる指揮官が\\n 正しく指揮を行えば、どのような戦いでも勝機を見出せます」",
"342000541_7": "「だから、今のわたしが、フランス王国があるのは、\\n 天使様のおかげです」",
"342000541_8": "「そうか……。\\n だがジャネット、本当にこれでよかったのか」",
"342000541_9": "「敵を、人を殺すのが戦争だ。\\n 指揮官とは味方を生かすために、敵を殺す命令を下す者」",
"342000541_10": "「その<ruby=ごう>業</ruby>は、前線の兵士よりもよっぽど深い。\\n 命令つで、多くの命が失われる……」",
"342000541_11": "「……はい、そうですね」",
"342000541_12": "「……辛くないのか?」",
"342000541_13": "「辛くないといったら、嘘になります。\\n けれど、それでもわたしは、大切なものを護りたいのです」",
"342000541_14": "「自分の故郷を、祖国を、人々を護るために剣を取りました。\\n これは、わたし自身が決めたことです」",
"342000541_15": "「だから、天使様が気に病むことではありません。\\n この辛さも、何もかもわたし自身の選択が原因なのです」",
"342000541_16": "「……それでも、あの時、私はお前に戦いの才があると\\n 答えてしまったことを悔やんでいる」",
"342000541_17": "「あの時嘘をついていれば、お前はジャンヌ・ダルクではなく、\\n ジャネットのままでいられたのではないかと……」",
"342000541_18": "「天使様はお優しいのですね。\\n わたしのような者のことを心配してくださって……」",
"342000541_19": "「お前には、戦場よりも故郷の村の景色が合っている。\\n のどかな風景の中で、楽しげに唄っている姿が――」",
"342000541_20": "「わたしも、そう思います。けれど、わたしが戦場を去れば、\\n この故郷にまで戦火が及んでしまいます」",
"342000541_21": "「大切なものを失い、後悔したくないのです。\\n 護れる力がありながらそれを捨てたら、きっと後悔します」",
"342000541_22": "「……戦場では、何が起こるかわからない。\\n 私は、お前と会えるこの時間を楽しみにしている……」",
"342000541_23": "「光栄です、天使様」",
"342000541_24": "「お前という友を失いたくはない。\\n だが、私自身が力を振るうことは禁じられている……」",
"342000541_25": "「こうして少しの間、この場所でお前の話を聞いて、\\n 月並みな助言をするくらいしか、してやれることがない……」",
"342000541_26": "「それで十分です。\\n こうして、わたしの話に付き合ってくださるだけで……」",
"342000541_27": "「……何か、私にできることは無いか?\\n それでも私は、お前に何かしてやりたいと思っている」",
"342000541_28": "「……いつか、ずっと先になるかもしれませんが、\\n つだけ、お願いを聞いてもらえますか」",
"342000541_29": "「ああ、言って欲しい」",
"342000541_30": "「この長い戦いが終わったら、\\n わたしを天使様の従者にしていただけませんか」",
"342000541_31": "「私の従者に……?」",
"342000541_32": "「はい。故郷を護りきったその後は、天使様へのご恩を\\n お返しするために、この身を、命を使いたいのです」",
"342000541_33": "「私は天使ではない……。\\n 私に仕えても、天界へ昇ることは叶わない」",
"342000541_34": "「わたしがご恩を返したいのは、あなたにです。\\n だから、本当はあなたが何者でも構いません」",
"342000541_35": "「……私は人の世から外れた者だ。\\n もう、普通の暮らしをすることもできなくなるぞ」",
"342000541_36": "「既に、わたしに普通の暮らしなどというものはありません。\\n 護ることさえできたなら、村へと戻れなくても構いません」",
"342000541_37": "「文字すら満足に書けない、卑賤の身ではありますが、\\n どうか天使様の従者として、お仕えさせてください……」",
"342000541_38": "「……そうだな。それも悪くないかもしれない」",
"342000541_39": "「本当ですかッ!? 約束しましたよ?」",
"342000541_40": "「ああ、わかった。約束だ」",
"342000541_41": "「ただ、私についてくるのならば、\\n お前にも色々と覚えて貰わなければならないな」",
"342000541_42": "「もしかして、天使様のお力のことも教えてくれるのですか?\\n 何度お聞きしても、ダメだとおっしゃっていたのに……」",
"342000541_43": "「……お前が人の世にいるうちは教えられないが、\\n 私と共に来るのならば、必要だろう」",
"342000541_44": "「戦いが終わるその時が来たら、全て教えよう。\\n まずは、文字の読み書きからになるだろうが――」",
"342000541_45": "「――時間なら、いくらでもある。\\n だから、必ず生きて帰ってこい」",
"342000541_46": "「わかりました。絶対ですからねッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,62 @@
{
"342000611_0": "希望の光を求めて",
"342000611_1": "「そうか……奏にマリアくん、クリスくん、さらに、\\n オートスコアラーたちまでもが……」",
"342000611_2": "「……それに加えて、サンジェルマンが攫われたワケダ。\\n 残っていたのは、このラピスだけ……」",
"342000611_3": "「……」",
"342000611_4": "「……聖女の輝き、あれほどのものとはな。\\n あまりにも多くの犠牲が出てしまった……」",
"342000611_5": "「……みんな……うぅ……」",
"342000611_6": "「おい、お前たちもさっきの戦いは見ていたんだろう。\\n 少し聞きたいことがある」",
"342000611_7": "「ええ、何かしら?」",
"342000611_8": "「あの聖女の輝きについて、\\n 何かしらのエネルギーは検知できたか」",
"342000611_9": "「いえ、こちらの計器にはなんの反応も……」",
"342000611_10": "「熱や衝撃なんかも一切無かったわ」",
"342000611_11": "「……そうか。\\n 確か局長のやつは『存在を消し去る光』と言ったんだよな」",
"342000611_12": "「その通りなワケダ。\\n ついでに、あれは錬金術によるガードも不可能だったワケダが」",
"342000611_13": "「光以外の物理現象は無く、術的ガードも意味を成さない\\n 『存在を消し去る光』か……おぼろげだが、読めてきたぞ」",
"342000611_14": "「何かわかったワケダッ!?」",
"342000611_15": "「恐らく、あの光で消された者たちは生きている……、\\n いや、死んではいないといった方が正しいか」",
"342000611_16": "「本当にッ!? それじゃ、助けることが――」",
"342000611_17": "「焦るな。そう簡単ではない」",
"342000611_18": "「何故、彼女らが死んではいないと考えるのか、\\n 説明してもらえるか」",
"342000611_19": "「あの光がオレのオートスコアラーたちを\\n 消し去ったのは覚えているな」",
"342000611_20": "「もしあいつらが破壊されたりすれば、\\n オレはそれを感じることができる」",
"342000611_21": "「しかし、破壊された感覚はなかった。\\n 希薄ながら、あいつらの気配は今も感じている」",
"342000611_22": "「気配を感じるって、どこにいるのかわかるの?」",
"342000611_23": "「正確な場所がわかるわけではない。\\n ただ、この世界には存在していないことはわかる」",
"342000611_24": "「あの光の効果は一種の空間隔離に近いものなのだろう。\\n この世界からのな」",
"342000611_25": "「そうか、隔離ならば当然戻すこともできるワケダ」",
"342000611_26": "「推察に過ぎないものではあるが」",
"342000611_27": "「でも、取り戻せる可能性があるなら、\\n どんなことだってやってみせるよ」",
"342000611_28": "「ああ。オレもオレのものを必ず取り返す。\\n このまま終わらせるつもりなど無い」",
"342000611_29": "「しかし、具体的にはどうするワケダ?」",
"342000611_30": "「下手な戦い方をすれば、\\n わたしたちまで消されてしまうワケダが……」",
"342000611_31": "「あの光については有効な対策はない。\\n 極力、使わせないようにするしかないだろう」",
"342000611_32": "「それなら、ジルを先になんとかした方がいい。\\n サポートが効かない状況を作った方がいいワケダ」",
"342000611_33": "「ジル・ド・レェか……。\\n あの者についても教えてもらえるか」",
"342000611_34": "「それについてはわたしから話すワケダ」",
"342000611_35": "「アカシックレコードへのアクセス……。\\n またとんでもないことをしようとしてたのね」",
"342000611_36": "「……待て、そうなると、あのジャンヌ・ダルクは\\n アカシックレコードの記録から蘇らせたのではないか」",
"342000611_37": "「まさかッ!?\\n ――いや、十分にありえるワケダ……」",
"342000611_38": "「ジャンヌ・ダルクは確かに処刑されている。\\n いくら錬金術でも、死人を蘇らせることは不可能なワケダ」",
"342000611_39": "「だが、アカシックレコードに残る、ジャンヌ・ダルクの\\n データを引き出すことができたなら――」",
"342000611_40": "「肉体さえ用意すれば、\\n 本人のデータをダウンロードすることも可能なワケダが」",
"342000611_41": "「サンジェルマンはジャンヌ・ダルクの記憶について、\\n 疑問を呈していた。ジルならそれくらいやりかねないワケダ」",
"342000611_42": "「やはりアイツを先に倒す必要があるな。\\n しかし奴らは今どこにいるんだ」",
"342000611_43": "「それについては俺たちに任せてくれ。\\n 事は緊急事態だ。出来うる限りの伝手を動員してみよう」",
"342000611_44": "「頼んだワケダ」",
"342000611_45": "「いいだろう。見つけ次第オレにも知らせろ」",
"342000611_46": "「キャロルちゃん、どこへ?」",
"342000611_47": "「オレの城に戻る。奴はチフォージュ・シャトーを\\n 欲しがっていた。攻めてこないとも限らないからな」",
"342000611_48": "「わたしは連絡要員としてこっちに残るワケダ」",
"342000611_49": "「好きにしろ」",
"342000611_50": "「キャロルちゃん……」",
"342000611_51": "「キャロルはあれで団体行動が苦手なだけ――、\\n 向こうで何かあれば、わたしに連絡してくるはずなワケダ」",
"342000611_52": "「……そうですよね」",
"342000611_53": "「では響くんとプレラーティくんの部屋を用意しよう。\\n 施設は自由に使ってくれて構わない」",
"342000611_54": "「はい、ありがとうございます。\\n あ、でも一度戻って、S.O.N.G.にも報告してきます」",
"342000611_55": "「ああ、それがいいだろう」",
"342000611_56": "「こっちはラピスの調整のために、研究設備を借りたいワケダ」",
"342000611_57": "「あ、それなら私の研究室を使いなさいな。\\n 前に使ったこともあるし、その方がいいでしょう」",
"342000611_58": "「遠慮なく借りるワケダ」",
"342000611_59": "「さて、俺たち二課の役割は、敵の居場所を探すことだ。\\n 各員、全力で取り掛かれッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,49 @@
{
"342000621_0": "「……ここは、チフォージュ・シャトー?\\n いや、違う……」",
"342000621_1": "「ようやく目覚めましたか」",
"342000621_2": "「ジャネット……お前は、何故こんな場所に?」",
"342000621_3": "「こんな場所?\\n ここはわたしの拠点です。何故も何もありません」",
"342000621_4": "(そうだった、目の前の者はジャンヌだ……。\\n 昔の夢を見たせいか……",
"342000621_5": "(たとえ記憶を取り戻したとしても、\\n もうあの時のように私を呼んではくれないだろうな……",
"342000621_6": "「……なんですか。人の顔を見て」",
"342000621_7": "「……少し、感傷に浸っていただけだ。\\n それより、私をこんな場所に連れて来て、どうするつもりだ」",
"342000621_8": "(術式の無効化に拘束具。随分、念を入れているな。\\n すぐに殺すつもりはないということだろう……",
"342000621_9": "「あなたには、\\n わたしを死刑台へと送った報いを受けてもらいます」",
"342000621_10": "「報い? そのために攫ったというのか?」",
"342000621_11": "「ええ、そうです。あなたへの報いは絶望。\\n 全ての希望が失われる様を、そこで見届けるといいでしょう」",
"342000621_12": "「そうしてあなたが絶望した時、過去のわたしと同じように、\\n 浄化の炎で焼き尽くしてあげます」",
"342000621_13": "「全ての希望が失われる、か……。\\n なるほど、ということはまだ希望は残っているのだな」",
"342000621_14": "「装者1名に錬金術師が2名、たったそれだけの\\n 儚い希望に縋るつもりですか」",
"342000621_15": "(やはりか。不覚にも気絶されられてしまったが、どうやら\\n 立花響、プレラーティ、キャロルの名は無事なようだな",
"342000621_16": "「ああ、そのつもりだ」",
"342000621_17": "「……愚かですね」",
"342000621_18": "「そうだな。だが、私は彼女たちを信じている」",
"342000621_19": "「悪魔の手先が……信じるなどと口にしないでください」",
"342000621_20": "「……フフ。悪魔の手先、か」",
"342000621_21": "「何がおかしいのです」",
"342000621_22": "「いや、これでも昔は天使様と呼ばれたことも\\n あったのだがな……」",
"342000621_23": "「あなたのような者を天使と呼ぶなど、\\n 見る目のない者もいたものですね」",
"342000621_24": "「……お前は何を目的としてこんなことをしている」",
"342000621_25": "「あなたの質問に答える義理はありません」",
"342000621_26": "「そういうな。拘束されたこの状態では、話し相手もいない。\\n 退屈しのぎぐらいには付き合ってくれてもいいだろう」",
"342000621_27": "「いずれ死ぬとしても、\\n お前の目的くらいは知っておきたいのだ」",
"342000621_28": "「……わたしの目的は、全ての人を苦しみから解放することです」",
"342000621_29": "「苦しみからの解放……?」",
"342000621_30": "「神に背く者、信仰を捨てた者を聖女の輝きによって排除し、\\n 正しき者だけの世界を作るのです」",
"342000621_31": "「……異教徒や従わない者は殺す、ということか」",
"342000621_32": "「ええ、そう思っていただいて差し支えありません」",
"342000621_33": "「それで、正しき者などいなかったらどうする」",
"342000621_34": "「その時は全て消えてもらうだけです。\\n 正しき者がわたしだけならば、それも仕方がありません」",
"342000621_35": "「……お前は、本当にジャンヌ――いや、ジャネットなのか?」",
"342000621_36": "「どういう意味ですか?\\n 過去のわたしがそう呼ばれていたのは認識しています」",
"342000621_37": "「私の知るジャネットは、お前のように愚か者ではない」",
"342000621_38": "「わたしを……愚か者だとッ!?」",
"342000621_39": "「ああ。たまたま手に入れた力に酔い、気に入らない人間を\\n 消すなどと言い出す者を、愚かといわずになんと言う」",
"342000621_40": "「正しい者だけの世界、といえば聞こえはいいが、\\n その実、お前が勝手に人を選んでいるだけの世界だ」",
"342000621_41": "「……あなたにわたしの崇高な理想が\\n 理解できるとは思いません」",
"342000621_42": "「わたしは多くの戦いに参加し、地獄を、絶望を見てきました。\\n 人は、断罪されるべきです」",
"342000621_43": "「そうして、清らかな魂を持つ者だけを残すことこそが、\\n 真に人を苦しみから解放するのです」",
"342000621_44": "「……お前の言うとおりだ。私には、何1つ理解できない。\\n 愚か者が大言壮語を吐いているようにしか聞こえない」",
"342000621_45": "「――ッ!\\n ええ、あなたと話したわたしが愚かでした……ッ」",
"342000621_46": "(ジャネット……。\\n 私の知るお前は、もうお前の中にはいないのだろうか……"
}

View file

@ -0,0 +1,54 @@
{
"342000631_0": "「フフ、快適に過ごせていますか?\\n サンジェルマン……いえ、天使様、とでも言いましょうか」",
"342000631_1": "「何故お前がその呼び方を知っている……」",
"342000631_2": "「ジャンヌ様から聞いたのですよ。過去にね」",
"342000631_3": "「だとしても、お前にそう呼ばれる筋合いはない。\\n 虫唾が走る」",
"342000631_4": "「おや、嫌われたものですね。\\n 私はこんなにもあなたに感謝しているというのに」",
"342000631_5": "「感謝だと……? 何を言っている?」",
"342000631_6": "「あなたのおかげで、私は真の錬金術の存在を知り、\\n その知識を、研究を突き詰めることができました」",
"342000631_7": "「あなたが私とプレラーティの前に現れなければ、\\n 私は真なる錬金術を知ることなく、生涯を終えていたでしょう」",
"342000631_8": "「……突き詰めるとはお笑い種だな。\\n お前は多くの錬金術師を殺し、研究成果を奪っただけだ」",
"342000631_9": "「局長が温情で貴様を封印したというのに、\\n その卑しい性根は、何も変わらなかったらしいな」",
"342000631_10": "「ええ、変わる必要などありませんから。\\n しかし、あの封印には手を焼かされましたよ」",
"342000631_11": "「手を焼くどころではなかったはずだ。\\n 局長の施した封印はお前ごときに解けるようなものではない」",
"342000631_12": "「貴様を城ごと異空間へと放逐し、封印の要となる輝石は誰の\\n 目にも触れないよう、クルベラ洞窟の奥深くに封じたはず……」",
"342000631_13": "「誰かの協力無しに封印解除など、絶対に不可能だ」",
"342000631_14": "「……フ、その通りです。\\n ですが、運命は私に味方したのです」",
"342000631_15": "「運命だと……?」",
"342000631_16": "「ええ、運命です。私は過去、アカシックレコードにアクセスを\\n 試みた罪で、あの忌々しいアダムの手で封印されました」",
"342000631_17": "「ですが、私がアカシックレコードから\\n なんのデータを得ようとしていたのかは知っていますか」",
"342000631_18": "「データ……? まさか、ジャネットの――ッ!?」",
"342000631_19": "「その通りです。この城はそのために構築したもの。\\n 聖女ジャンヌ・ダルクを蘇らせるための複合型聖遺物です」",
"342000631_20": "「この城は私の城であり、聖女の城でもある。\\n ……聖女が、私を救ってくれたのです」",
"342000631_21": "「どういう意味だ。ジャンヌ・ダルクは死んだ。\\n お前は彼女を蘇らせる前に、封印されたはずだ」",
"342000631_22": "「ええ。ですが、彼女の子孫が偶然……、\\n いえ、必然として、私と邂逅したのです」",
"342000631_23": "「彼女は発掘隊として洞窟を訪れ、封印の輝石に触れました。\\n 聖女の血……それにこの城の聖遺物が反応したのですよ」",
"342000631_24": "「そうしてこちらとの繋がりを得て、\\n 封印から抜け出したのか……」",
"342000631_25": "「しかも私はこちらへ帰還すると同時に、\\n 聖女の素体まで手に入れることができました」",
"342000631_26": "「これを運命と言わずして、なんと言うのですッ!\\n まさに聖女の導きそのものでしょうッ」",
"342000631_27": "「素体……それでは今のジャネットは――ッ!?」",
"342000631_28": "「あれはホムンクルス体などではありません。\\n 正真正銘の人間の身体ですよ」",
"342000631_29": "「流石聖女の血筋だけあって、アカシックレコードから\\n 引き出したジャンヌ様のデータもすぐに馴染みました」",
"342000631_30": "「……子孫の身体を、容れ物にしたのかッ!」",
"342000631_31": "「偉大な先祖、ジャンヌ・ダルク本人となれたのですから、\\n 感謝して欲しいくらいですよ」",
"342000631_32": "「もっとも、私の望むジャンヌ様となっていただくために、\\n 人格や記憶については多少、いじらせてもらいましたが……」",
"342000631_33": "「しかし、ご安心を。\\n 見た目はしっかりと昔のジャンヌ様でしょう」",
"342000631_34": "「……外道め」",
"342000631_35": "「錬金術師など、誰も同じようなものでしょう?」",
"342000631_36": "「貴様のような者と一緒にするな」",
"342000631_37": "「フフ、嫌われたものですね」",
"342000631_38": "「ですが、あの忌々しいアダムも消しました。\\n 残る錬金術師もそう多くありません」",
"342000631_39": "「もうすぐ私に対抗できる者は残らずいなくなります。\\n そうなった時、私と聖女の望む世界がやってくるのですッ」",
"342000631_40": "「この先に昔ジルが研究を奪った、\\n 錬金術師のアジトがあるはずなワケダ」",
"342000631_41": "「日本にもそんなものがあったんですね……」",
"342000631_42": "「この国に入り込んでいる錬金術師は少ないが、\\n それでもひっそりと隠れ住んでいる者もいるワケダ」",
"342000631_43": "「ある程度強固な結界さえ張れば、\\n 人目につかないようにすることはできるからな」",
"342000631_44": "「あの人たちは、ここにいるんでしょうか……?」",
"342000631_45": "「わからない。しかし手がかりが掴めていない以上、\\n 知っているところを当たるしかないワケダ」",
"342000631_46": "「使われていないにしても、\\n なんらかの手がかりがある可能性もある」",
"342000631_47": "「……止まるワケダ。\\n ここから先は結界を解除しなくては入れない」",
"342000631_48": "「さあ、これで研究所への道が――」",
"342000631_49": "「アルカ・ノイズッ!?\\n どうしてこんなところにッ」",
"342000631_50": "「おい、どういうことだッ!?」",
"342000631_51": "「恐らくは罠……なワケダッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,28 @@
{
"342000632_0": "「まさか、アルカ・ノイズの罠が張られていたなんて……」",
"342000632_1": "「しかし、大した数ではなかったワケダ」",
"342000632_2": "「ああ、この程度でオレは止められん」",
"342000632_3": "「ところで、お前はどうしてファウストローブを\\n 使わないワケダ」",
"342000632_4": "「そういえば、キャロルちゃんそのままだったよね」",
"342000632_5": "「この程度の相手、ファウストローブを使うまでもない。\\n オレの力なら、このままでも十分だ」",
"342000632_6": "「……それは、遠まわしにわたしのことを貶しているワケダ?」",
"342000632_7": "「思い当たる節があるならそうかもな。\\n ともかく、今はその時ではない」",
"342000632_8": "「相変わらず生意気なワケダ……ッ」",
"342000632_9": "「え、えっと……あッ! アルカ・ノイズがいたってことは、\\n この先の研究所って、当たりかも知れないですよねッ」",
"342000632_10": "「確かに、ジルが封印された頃は、\\n まだアルカ・イズは作られてはいなかったワケダが」",
"342000632_11": "「つまり、最近になって奴が訪れたということか」",
"342000632_12": "「封印から抜け出したことを錬金術師協会に悟られないよう、\\n 欧州から離れて潜んでいた可能性もあるワケダ」",
"342000632_13": "「日本にこういう場所があるのは、\\n こっちの二課の人たちも知らないんですよね」",
"342000632_14": "「錬金術師のアジトは協会でも極秘事項。\\n 外部の者が知るのは難しいワケダ」",
"342000632_15": "「……おい、内部の者であるはずのオレですら、\\n こんな場所のアジトなど聞いたことがないぞ」",
"342000632_16": "「これでもわたしは協会の幹部。\\n 下っ端とは持っている情報の量も質も差があるワケダ」",
"342000632_17": "「このオレを下っ端だと……ッ!」",
"342000632_18": "「事実なワケダ。\\n 力があっても、年季が浅い以上、当然なワケダ」",
"342000632_19": "「術師としての年季はオレの方が上だッ!」",
"342000632_20": "「野良術師としての期間が長くても、意味などないワケダ」",
"342000632_21": "「貴様……ッ!」",
"342000632_22": "「そ、そこまでにしましょうよッ!\\n キャロルちゃんも落ち着いてッ」",
"342000632_23": "「……チッ……。いいだろう。\\n 局長のやつが戻ったら、全部吐かせてやる」",
"342000632_24": "「それなら好きにすればいいワケダ」",
"342000632_25": "(うう……2人とも、どうしてこんなに張り合うんだろう……)"
}

View file

@ -0,0 +1,36 @@
{
"342000641_0": "「……あの聖女の輝きとはなんなんだ?」",
"342000641_1": "「あれは錬金術ではないだろう。\\n 錬金術の一種ならば、局長の力で防げないはずはない」",
"342000641_2": "「フフ……あれこそが聖女の奇跡ですよ」",
"342000641_3": "「そんなものは存在しない。私はジャネットを――、\\n 生前のジャンヌ・ダルクを知っている」",
"342000641_4": "「彼女は卓越した指揮官ではあった。\\n だが、あんな超常的な力など持ってはいなかった……」",
"342000641_5": "(そう、そんなものは無かった。ただの人間だった。\\n ……そんな力があれば、処刑されることなどなかった",
"342000641_6": "「あれは彼女自身の能力ではない。\\n ならば、お前が与えたものだろう」",
"342000641_7": "「それはどうでしょうね。\\n 蘇った奇跡によって得た力だといったらどうします」",
"342000641_8": "「アカシックレコードにあるのは記録。それを引き出したところで\\n 存在しなかった力が発現するなどあり得ない」",
"342000641_9": "「細かいことはいいじゃないですか。\\n あれは聖女にこそ相応しい力なのですから」",
"342000641_10": "「神の敵を有無を言わさず消し去る力。\\n あの光がある限り、ジャンヌ・ダルクは無敵です」",
"342000641_11": "「まともに答えるつもりは無いか……」",
"342000641_12": "「これは心外な。誠意をもってお答えしているというのに」",
"342000641_13": "「……お前の操る自動人形はどうした。\\n 無から有は生み出せない。あんなものをどこで作った」",
"342000641_14": "「騎士人形のことですね。あれはジャンヌ様の復活に合わせ、\\n このチフォージュ城の力で量産したものです」",
"342000641_15": "「過去のフランス王国兵など問題にならない。\\n 死をも恐れぬ最強の軍団ですよ」",
"342000641_16": "「軍団だと……?」",
"342000641_17": "「そう、軍団です。総勢5万を超える……ね」",
"342000641_18": "「な――ッ!? そんな大量の自動人形を……」",
"342000641_19": "「今まであなたたちとの戦いに消費した騎士人形は、\\n その一部に過ぎません。端数を有効利用していただけのこと」",
"342000641_20": "「5万の軍勢が聖女の手足となり、\\n この世界に永遠の安寧をもたらすのです……」",
"342000641_21": "(5万の自動人形……。\\n そんなもの、誰が対処できるというんだ……",
"342000641_22": "「聖女を見捨てたフランス、敵だったイングランド、\\n やがてありとあらゆる国を滅ぼし、聖女に恭順させます」",
"342000641_23": "「世界を粛正し、世界を塗り替える……。\\n ――聖女を頂点とした、新しい世界の幕開けですッ」",
"342000641_24": "「それは違います。わたしは神の代弁者。\\n 世界を統べるのは神の意志です」",
"342000641_25": "「――ッ!?\\n 我が聖女よ、いらしていたのですか……」",
"342000641_26": "「それに、わたしが戦うのは粛清のためではなく、\\n 苦しみから人々を解放し、正しい者だけの世界とするためです」",
"342000641_27": "「……これは失礼いたしました」",
"342000641_28": "「本気なのか? しかし各国政府も馬鹿ではない。\\n 大陸ごと消滅させてでも、お前たちを消そうとするはずだ」",
"342000641_29": "「その前に相手を消し去ればいいだけのことです。\\n 聖女の輝きによって」",
"342000641_30": "「その通りです」",
"342000641_31": "「……ジャネット、それはお前が本当に望んでいることなのか?」",
"342000641_32": "(……違うはずだ。\\n 私の知るジャネットは絶対にそんなことは望まない……",
"342000641_33": "「ええ、わたしの唯一の望みです」"
}

View file

@ -0,0 +1,81 @@
{
"342000651_0": "「…………」",
"342000651_1": "「随分と口数が減りましたね。\\n ようやく自身の行いを悔いる気になりましたか」",
"342000651_2": "「悔いることなどいくらでもある。\\n だが、それはお前の言うような意味ではない……」",
"342000651_3": "「ジャネット、お前は本当に戦争を起こすつもりなのか?」",
"342000651_4": "「当然です。\\n 人々を苦しみから解放するための唯一の手段なのですから」",
"342000651_5": "「そうか……お前は私の知るジャンヌ・ダルクではないのだな。\\n やっと納得ができてきた……」",
"342000651_6": "「わたしは元々ジャンヌ・ダルクです」",
"342000651_7": "「違う。生前の――私の知るお前は、人を傷つけることに悩み、\\n それでも大事なものを護るために剣を取った高潔な人物だ」",
"342000651_8": "「人を殺す命令を出すという指揮官の罪から目をそらさず、\\n それを背負いつつも、護るべきものを護り通した……」",
"342000651_9": "「今のように護るべきものなど持たず、罪の重さも知らず、\\n 軽々しく戦争を起こそうとするジャンヌ・ダルクとは別人だ」",
"342000651_10": "「……わたしの名を、思想を愚弄するつもりですか?」",
"342000651_11": "「お前はジルの望んだジャンヌ・ダルクだ。私の知る、\\n 本物のジャネットやジャンヌとは別人だということだ」",
"342000651_12": "「わたしを……偽物だというのですかッ!?」",
"342000651_13": "「偽物とは言っていない。だが、お前は本物でもない。\\n だから、ジャンヌ・ダルクの名前に泥を塗るな」",
"342000651_14": "「――このッ!」",
"342000651_15": "「わたしを死刑台に送ったというあなたが、\\n わたしの何を知っているというのッ」",
"342000651_16": "「よく知っているさ。12歳の時に助けてから、\\n 処刑されるその時まで見守り続けたんだ……」",
"342000651_17": "「ジャネットの優しい気性も、歌が好きなことも、故郷のために\\n 震える手を隠し、剣を取った勇気も、全てこの目で見てきた」",
"342000651_18": "「震える手……? わたしの中には迷いなどどこにも――、\\n それに、歌が好き……」",
"342000651_19": "「ああ、よく唄っていた。\\n 故郷を望める、静かな丘の上で楽しそうに……」",
"342000651_20": "「歌なんて……知らない。そんな記憶、どこにも――。\\n それに故郷……故郷をわたしは大事にしていたの……」",
"342000651_21": "「……ジャネットが何より大事にしていたものだ。\\n 自身の育ったドンレミ村……」",
"342000651_22": "「ドンレミ村……バル公領にあったわたしの故郷……。\\n 知っているはずなのに知らない。故郷の風景がわからないッ」",
"342000651_23": "(……そうか。ジルは恐らく、\\n 彼女を彼女たらしめていた記憶をほとんど――",
"342000651_24": "(覚えているのは、あの日のことだけ――。\\n 幼い頃に、炎の中から救ってもらった、あの――",
"342000651_25": "「教えなさいッ! わたしの故郷は、どんな場所なのですッ!\\n わたしは何を想い、大切にしていたのですか……」",
"342000651_26": "「……お前は、故郷に広がるのどかな景色を、草を、花を、\\n 自然を、そしてそこに暮らす人々を愛していた」",
"342000651_27": "「村を一望できる丘で過ごすのが日課で、毎日歌を口ずさみながら\\n 楽しそうに丘に登ると、飽きもせず村の様子を眺めていた」",
"342000651_28": "「剣を取ってからも、時間があれば丘から故郷を見ていた」",
"342000651_29": "「まるで、護るべき景色をその目に刻み込むように……」",
"342000651_30": "「わたしが護っていた、護るべき景色……?」",
"342000651_31": "「思い出すんだ、あの光景を。\\n お前が真にジャンヌならば、忘れることなどできないはずだ」",
"342000651_32": "「私たちは何度もあの丘で、お前の故郷を見ながら語り合った。\\n それを思い出してくれ……」",
"342000651_33": "「わたしと……あなたが?」",
"342000651_34": "「――綺麗で、優しい歌だな」",
"342000651_35": "(あの声、あれは目の前のこの人の声……? そんなはずは――)",
"342000651_36": "「……約束を覚えているか。\\n お前と、お前が天使と呼んだ者との約束だ」",
"342000651_37": "「天使様との、約束……」",
"342000651_38": "「本当ですかッ!? 約束しましたよ?」",
"342000651_39": "「ああ、わかった。約束だ」",
"342000651_40": "(何か……そうだ、確かに約束した。\\n でも、一体何を…… 思い出せない……",
"342000651_41": "「大切な……大切な、約束がありました。\\n でも、それが思い出せないのですッ」",
"342000651_42": "「……知りたいなら、この手を取って欲しい。\\n お前との約束は、大事な記憶は、私が覚えている……」",
"342000651_43": "「あの時は助けられなかった。\\n だが、今度こそ私にお前を助けさせてくれ……」",
"342000651_44": "(この人は……誰……?\\n 本当にこの人がわたしを死刑台に送ったの……",
"342000651_45": "(この手を掴めば……わたしの不安は無くなるの……?)",
"342000651_46": "「あなたは――」",
"342000651_47": "「<size=40>――聖女よッ!</size>」",
"342000651_48": "「――ッ!? え……ジル……?」",
"342000651_49": "「騙されてはなりませんッ! そいつは悪魔の手先ッ!\\n 甘言にてあなたを惑わせる、魔女ですッ」",
"342000651_50": "「サンジェルマン……まさか聖女を篭絡しようとするとは。\\n やはりあなたと聖女を接触させるべきではなかった」",
"342000651_51": "「……計画変更です。あなたは、ここで死になさい」",
"342000651_52": "「待ちなさい、ジルッ! 勝手な真似は――ッ!」",
"342000651_53": "「あなたの言葉でも、それは聞けません。\\n この者はあなたに悪い影響を及ぼす可能性があります」",
"342000651_54": "「聖女の従者として、それを見過ごすことはできませんッ!」",
"342000651_55": "(そう、従者。ジルはわたしの……。\\n でも、従者…… 何かが引っかかって――",
"342000651_56": "「安心しなさい。苦痛などありませんッ!」",
"342000651_57": "「――ッ!? させないッ!」",
"342000651_58": "「くッ……既に拘束術式を解除していたかッ!?」",
"342000651_59": "「解けない封印はない。紛い物の錬金術師の術式などに\\n いつまでも囚われていたら、協会幹部の名が廃る」",
"342000651_60": "「――聖女よッ! 奴を消し去るのですッ!」",
"342000651_61": "「わ、わたしは……ッ!」",
"342000651_62": "(何故……この人を、消したくない……。\\n わからない、わたしはどうすればいいのッ",
"342000651_63": "「くッ……ならば囲んでしまえば――ッ!」",
"342000651_64": "「――ジャネットッ!」",
"342000651_65": "「――ッ!?」",
"342000651_66": "「……私はお前との約束を忘れていない。\\n ――だから、お前も思い出せッ」",
"342000651_67": "「約、束……。わたしは、何かを忘れて――」",
"342000651_68": "(記憶に綻びが出ているか……。\\n ……奴を追うより、聖女の処置が先ですね",
"342000651_69": "「――騎士人形たちよ、奴を追えッ!」",
"342000651_70": "「ジル……わたしの記憶は、どうして――。\\n 無くした中に大切なものがあったはずなのです……」",
"342000651_71": "「聖女よ、落ち着いてください。\\n あなたは混乱させられているのです……」",
"342000651_72": "「あの人は、誰なの? どうして心がザワつくの?\\n お願い、あの人を傷つけないで……」",
"342000651_73": "「わかりました。聖女の御心のままに。\\n あなたがあの方と再び会えるよう、全力を尽くしましょう」",
"342000651_74": "「追手もすぐに戻らせます。\\n だから、安心してお休みください……」",
"342000651_75": "「……ジル……お願い…………」",
"342000651_76": "「……やっと眠りましたか。しかしサンジェルマンめ……、\\n ここまで聖女の洗脳に綻びを与えるとは……」",
"342000651_77": "「奴を殺さずに捕らえていたのは失策でした。\\n 再びこのようなことが起きないよう、奴は殺しておかなくては」",
"342000651_78": "「聖女も、洗脳をかけなおす必要があるようですね。\\n この方の特別は私人でいい……」"
}

View file

@ -0,0 +1,11 @@
{
"342000652_0": "「……なんとか、離脱することができたか。\\n くッ――」",
"342000652_1": "(酷い眩暈と頭痛がする……。\\n ラピスなしであの自動人形の相手は少々無理をしすぎたか……",
"342000652_2": "「……しかし、再び捕まるわけにはいかない。\\n ひとまず、隠蔽術式を――」",
"342000652_3": "「う……ッ!? 身体から、力が抜けて――ッ!?」",
"342000652_4": "(だが、これで時間は稼げるはず……。\\n 失った体力と気力を少しでも回復しなくては……",
"342000652_5": "(ジャネット……?)",
"342000652_6": "(追ってきたのか……それとも……)",
"342000652_7": "(心配するな。私はまだ大丈夫だ……)",
"342000652_8": "「ジャネット……。\\n 今度こそ、私はお前を――……」"
}

View file

@ -0,0 +1,34 @@
{
"342000711_0": "そこに迫る危機",
"342000711_1": "「被告ジャンヌ・ダルクは教義に背く異端者であると判明したッ!\\n よって、このヴィユ・マルシェ広場にて火刑に処すッ」",
"342000711_2": "「あれが、オルレアンの乙女か……」",
"342000711_3": "「ああ、俺たちイングランドが負ける原因になった、\\n あの魔女だ……」",
"342000711_4": "「それでは刑を執行するッ!\\n ――火を放てッ」",
"342000711_5": "「…………」",
"342000711_6": "「――ッ! ジャネット……」",
"342000711_7": "(こんな……こんなことが許されていいのかッ!\\n まともな審議も行われず、誰も味方する者も無く……",
"342000711_8": "(祖国を、故郷を護ろうと剣を取り、人々の希望の象徴として\\n 戦った英雄が、敵国に送られ、異端審問で有罪などと……ッ",
"342000711_9": "「こんな理不尽、私は断じて――ッ!」",
"342000711_10": "「いけないよ、それは。サンジェルマン」",
"342000711_11": "「局長ッ! こんなことが許されていいのですかッ!\\n ジャネットはこんな死に方をするべき者じゃないッ」",
"342000711_12": "「わかるよ、気持ちは。\\n 許可できない、それでもね」",
"342000711_13": "「秘匿されねばならない、錬金術は。\\n 露見してしまう、ここで彼女を救うために力を使えば」",
"342000711_14": "「そんな理由で、私にジャネットを諦めろとッ!」",
"342000711_15": "「災いを呼ぶんだ、大きな力は。ジャンヌ・ダルクの比ではない。\\n 錬金術を巡っての争いが起きたらね」",
"342000711_16": "「それに、決めている、覚悟を。\\n 少なくとも彼女は」",
"342000711_17": "「ジャネットが……?」",
"342000711_18": "「……………………」",
"342000711_19": "「くッ……このままではジャネットがッ!」",
"342000711_20": "「言ったはずだよ、許可できないと」",
"342000711_21": "(身体が……動かないッ!?)",
"342000711_22": "「局長ッ!? くッ……私に術をッ!?」",
"342000711_23": "「恨むといい、憎しみの相手が欲しいなら。\\n それでも護らねばならない、この世界の秩序を」",
"342000711_24": "「せめて、祈ることくらいだ。できることはね。\\n 僕らが彼女に対して……」",
"342000711_25": "「ジャネット……ああ……あああああああ――ッ!」",
"342000711_26": "(ジャネットは、小さく何かをつぶやいただけで、\\n 苦しむ様子も見せず、静かに赤い炎に呑まれていった",
"342000711_27": "(一時は局長を恨みもした。しかし、違う。\\n ジャネットの死は、私の責任だった……",
"342000711_28": "(――あの日、彼女が私に指揮官の素質の有無を聞いてきた時、\\n 『それは無理だ』と、返すだけでよかった……",
"342000711_29": "(それだけで、彼女はドンレミ村の娘として、平凡ながら\\n 幸せな一生を送ることができたはずだった……",
"342000711_30": "(あの丘で、故郷を慈しみながら、\\n 大好きな歌を口ずさんでいられたはずだった……",
"342000711_31": "(彼女を殺したのは、私なのだ……)"
}

View file

@ -0,0 +1,17 @@
{
"342000721_0": "「研究所が見えてきたワケダ」",
"342000721_1": "「人の気配は無いな……。\\n もっとも、術で気配を断っている可能性もあるが」",
"342000721_2": "「森の奥に、こんな大きな建物が……」",
"342000721_3": "「術で入り口を隠しているから、こんな建物も作れるワケダ。\\n 早速、中を調べるワケダ」",
"342000721_4": "「待て。……どうやらお出迎えがあるようだぞ」",
"342000721_5": "「またアルカ・ノイズがッ!?」",
"342000721_6": "「チッ、この期に及んでただのアルカ・ノイズ……。\\n どうやらここはハズレらしいな」",
"342000721_7": "「え? わたしたちを狙ったものじゃないってことですか?」",
"342000721_8": "「罠にしては規模が小さすぎる。\\n 足止めにしても、わたしたち相手では力不足なワケダ」",
"342000721_9": "「もしここに潜んでいるなら、\\n この程度の妨害をする意味はないワケダ」",
"342000721_10": "「でもそれじゃ、研究所に手がかりは……」",
"342000721_11": "「ああ。可能性は高くはないが、ここまで来たんだ。\\n 調べられるだけ調べるべきだろう」",
"342000721_12": "「直接的なものではなくても、何かあるかもしれない。\\n まずはアルカ・イズを片付けるワケダ」",
"342000721_13": "「はいッ!」",
"342000721_14": "「Balwisyall Nescell gungnir tron――」"
}

View file

@ -0,0 +1,45 @@
{
"342000722_0": "「……予想通りだったな。\\n これだと、残っているデータも期待できなそうだ」",
"342000722_1": "「引越し業者でも使ったのかってくらい、\\n 物が無くなってるもんね……」",
"342000722_2": "「ここを出るときに、ほとんど処分したらしい。\\n 慎重なジルらしい行動なワケダ」",
"342000722_3": "「あれ? ここに何もないなら、\\n どうしてアルカ・イズの罠を……」",
"342000722_4": "「……ただの嫌がらせなワケダ。\\n 恐らくは協会の錬金術師相手の」",
"342000722_5": "「ええッ!? ただの嫌がらせって……」",
"342000722_6": "「愉快犯か。鬱陶しい……」",
"342000722_7": "「ジルはそういう性格をしているワケダ」",
"342000722_8": "「……ジャンヌ・ダルクの記録を見た形跡があるな。\\n 内容は一般的に知られているものとそう変わらないが……」",
"342000722_9": "「……あの、ちょっと聞いてもいいかな?」",
"342000722_10": "「ジャンヌ・ダルクってフランスの有名な人だよね?\\n なんだっけ、一年戦争とかで活躍した……」",
"342000722_11": "「一年ではなく、百年戦争――、\\n その時に活躍した英雄なワケダね」",
"342000722_12": "「あれ? そうだっけ? でも百年も戦ったってことは、\\n すっごい長生きだったってこと」",
"342000722_13": "「……戦争が休戦を挟みながら長く続いただけで、\\n ジャンヌ本人が開戦から終戦まで戦っていたわけではない」",
"342000722_14": "「確かジャンヌ・ダルク本人は16歳から戦いに出て、\\n 歳で処刑されたワケダ」",
"342000722_15": "「そうなんだ……あれ? でもどうして?\\n 英雄だったのに……」",
"342000722_16": "「祖国に裏切られ、敵国のイングランド王国に身柄を渡され、\\n 異端審問の末に火刑に処されたワケダ」",
"342000722_17": "「……火刑、か……」",
"342000722_18": "「そんな……酷いよ……」",
"342000722_19": "「実際、全てジャンヌを殺すために仕組まれたとしか思えない\\n 茶番劇だったワケダが……」",
"342000722_20": "「一時期、そのことでサンジェルマンも荒れていたと\\n 小耳に挟んだことがあるワケダ……」",
"342000722_21": "「サンジェルマンさんが?」",
"342000722_22": "「戦いの時の様子からもしやと思っていたが……。\\n あいつはジャンヌ・ダルク本人と親交があったのか」",
"342000722_23": "「子供の頃のジャンヌを救ったのが、\\n サンジェルマンだったワケダ」",
"342000722_24": "「それからジャンヌが騎士となって処刑されるまで、\\n ずっと親交はあったらしいワケダが……」",
"342000722_25": "「処刑の場にもいたと局長に聞いたことがあるワケダ。\\n 助けられずに悔やんでいたと」",
"342000722_26": "「……協会所属では、助けるなど不可能だろう。\\n そんなことは認められないはずだ」",
"342000722_27": "「でも、あのジャンヌさんは、サンジェルマンさんと\\n とても仲良かったようには――」",
"342000722_28": "「確かに。\\n 実際にどんな関係だったかまでは知らないワケダが」",
"342000722_29": "「あいつが何かしたのかもしれないな。\\n そのまま過去のジャンヌを蘇らせたとは限らない」",
"342000722_30": "「確かにジルなら……考えられるワケダ……」",
"342000722_31": "「そういえば、ジャンヌさんってあの人が蘇らせたんですよね。\\n それってこの研究所でやったのかな」",
"342000722_32": "「……いや、アカシックレコードへのアクセスなど、\\n この研究所の設備では不可能なワケダ」",
"342000722_33": "「恐らくは奴の根城、チフォージュ城で行ったはずなワケダ」",
"342000722_34": "「オレのチフォージュ・シャトーのモデルになった城だったか」",
"342000722_35": "「チフォージュ・シャトーは元々わたしのものなワケダ」",
"342000722_36": "「それなら、あの人たちはその城にいるんじゃ?」",
"342000722_37": "「もちろんその可能性が1番高いワケダが……、\\n ジルはあの城を空間の狭間に隠すことができるからな」",
"342000722_38": "「だが、城への出入りを行うゲートはどこかにあるはずだ」",
"342000722_39": "「だからそのゲートがあるかもしれない場所を探しているワケダ」",
"342000722_40": "「……二課からだ」",
"342000722_41": "「――はい、響です」",
"342000722_42": "「非常事態が発生した。\\n すぐにこちらに戻ってきてくれッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,31 @@
{
"342000731_0": "「どうやら、向こうに先手を取られたようだ……。\\n あの自動人形たちが、観測された」",
"342000731_1": "「どこに現れたんですかッ!?」",
"342000731_2": "「世界中に」",
"342000731_3": "「え……? 世界中って……」",
"342000731_4": "「確認できているだけで、欧州連合の主要国と米国、\\n それに中国やインドなどの聖遺物研究施設が襲われています」",
"342000731_5": "「それも、ほぼ同時刻に」",
"342000731_6": "「どれだけの自動人形を抱えているワケダ……」",
"342000731_7": "「推定だけど、数万ってところかしら?」",
"342000731_8": "「数万だと……」",
"342000731_9": "「聖遺物関連施設への同時襲撃……、\\n 奴らは世界そのものを乗っ取るつもりなのかもしれん」",
"342000731_10": "「世界征服って……荒唐無稽すぎませんかッ!?」",
"342000731_11": "「ところがそうも言えないのよね……。\\n 以前、アルモニカの件や世界蛇の件もあったでしょ」",
"342000731_12": "「あれ以来、聖遺物や超常の力なんかに対して、\\n どこの国も恐怖感を持ってしまっているのよ」",
"342000731_13": "「恐怖はたやすく人の心を挫く。\\n それは国であっても同じこと」",
"342000731_14": "「大量の自動人形……通常兵器では対処できない力に対面し、\\n 降伏を申し出る国があってもおかしくない……」",
"342000731_15": "「しかし、まさかここまでの数がいたというのは驚きなワケダ」",
"342000731_16": "「ど、どうしよう……、\\n 世界中回って倒すわけにもいかないし……」",
"342000731_17": "「到着するまで戦線は持たないでしょうね。\\n 近場に出たならいいんだけど――あら」",
"342000731_18": "「リディアン周辺に、自動人形が出現ッ!」",
"342000731_19": "「モニター、出しますッ!」",
"342000731_20": "「……こちらに向かってきている。やはり狙いはこの二課か」",
"342000731_21": "「わたしたちが出ますッ!」",
"342000731_22": "「ああ、頼んだ。二課を潰されるわけにはいかん。\\n 奴らの侵攻を食い止めてくれ」",
"342000731_23": "「……少し待つワケダ。\\n あの自動人形、もしかしたら――」",
"342000731_24": "「どうした? 何かあったのか?」",
"342000731_25": "「あの自動人形について、1体でいいから、\\n なるべく壊さずに確保して欲しいワケダ」",
"342000731_26": "「壊さずに? ……そういうことか。\\n ならばオレたちよりも、こいつの方が適任だな」",
"342000731_27": "「その通りなワケダ」",
"342000731_28": "「えっと……わたし?」"
}

View file

@ -0,0 +1,23 @@
{
"342000732_0": "「――1体確保するのを忘れないで欲しいワケダッ!」",
"342000732_1": "「う、うんッ! なんとかやってみるッ!」",
"342000732_2": "(全力で殴っちゃダメなんだよね……。\\n それなら、上手く加減して――",
"342000732_3": "「わわッ!? もしかしてやりすぎッ!?」",
"342000732_4": "「いや、そのくらいでちょうどいいワケダ」",
"342000732_5": "「あとは残りの雑魚どもを片付けるぞッ!」",
"342000732_6": "「どうして自動人形を捕まえたの?」",
"342000732_7": "「この人形は、自立自動思考ではなく、\\n 命令制御を受けて動くタイプの自動人形なワケダ」",
"342000732_8": "「つまり受信した情報を解析して、逆探知もできる」",
"342000732_9": "「そういうことなワケダ」",
"342000732_10": "「でも、それならどうしてわたしが適任だって……?」",
"342000732_11": "「錬金術による破壊では、術同士が干渉してしまい、\\n 受信した情報が失われる可能性がある」",
"342000732_12": "「その点、装者の力ならば、\\n 錬金術と干渉することはないワケダ」",
"342000732_13": "「さて、コイツを持ち帰って、早速解析を始めるワケダ」",
"342000732_14": "「待て。分解と解析はオレの領分だ。\\n オレがやる」",
"342000732_15": "「分解も解析も、錬金術師なら全員自分の領分なワケダ。\\n 任せるよりわたしがやった方が早いワケダ」",
"342000732_16": "「オレの方が早い。邪魔をするな」",
"342000732_17": "「邪魔をしているのはそちらなワケダ」",
"342000732_18": "「2人とも、今はそんなことしてる場合じゃないからッ!\\n 協力してサンジェルマンさんを助けに行かなきゃッ」",
"342000732_19": "「……そうだったワケダ」",
"342000732_20": "「チッ、仕方ない。戻ったらオレが術式のサポートをする。\\n これをチフォージュ・シャトーに運ぶぞ」"
}

View file

@ -0,0 +1,41 @@
{
"342000811_0": "世界の命運を握る3人",
"342000811_1": "「……解析が終わったワケダ」",
"342000811_2": "「それで、相手のゲートの場所はわかったんですかッ!?」",
"342000811_3": "「ああ……くそッ!\\n 奴らは今、欧州フランスにいる……」",
"342000811_4": "「まんまと一杯食わされたワケダ……ッ!」",
"342000811_5": "「一杯食わされたって……どうして?」",
"342000811_6": "「オレたちが日本に来たのは、\\n 奴が日本へ行くとわざわざ告げたからだ」",
"342000811_7": "「あれはキャロルとチフォージュ・シャトーを\\n 日本へ動かす布石でもあったのかも知れないワケダ……」",
"342000811_8": "「いずれにしろサンジェルマンとの合流は必要だったワケダが、\\n それならチフォージュ・シャトーを動かす必要はなかった」",
"342000811_9": "「奴がオレの城を狙っているようなことを言っていたから、\\n オレたちはチフォージュ・シャトーごと移動してきた」",
"342000811_10": "「再びあれを欧州に戻すには、大量のエネルギーが必要だ……」",
"342000811_11": "「往復で消費した残りのエネルギーでは、\\n 組み込んだ聖遺物の利用はできないだろう」",
"342000811_12": "「拠点としてだけなら使えるワケダが、\\n 戦力ダウンなのは間違いないワケダ……」",
"342000811_13": "「全ては奴にとって邪魔なものをまとめて遠ざけるための、\\n 方便だったということだッ」",
"342000811_14": "「それでも……行くしかないよッ!\\n サンジェルマンさんを助けて、あの人たちを止めないとッ」",
"342000811_15": "「わかっているワケダ。\\n わたしたちを嵌めた礼は、必ず返すワケダ……」",
"342000811_16": "「ああ、ここまで<ruby=こけ>虚仮</ruby>にされて、黙ってなどいられるかッ!」",
"342000811_17": "「それじゃ二課に連絡して、すぐに向こうへ向かいましょうッ!」",
"342000811_18": "「……身体が動く。どれくらい気を失っていたかはわからないが、\\n どうやら見つからずに済んだようだな……」",
"342000811_19": "「気を失う寸前に見たジャネットの姿は幻覚だったか……」",
"342000811_20": "(しかし……これからどうする。\\n 恐らく現在地はフランス東部の辺りだと思うが……",
"342000811_21": "(まずはプレラーティと連絡を取らなければ……)",
"342000811_22": "「待っていてくれ、ジャネット……」",
"342000811_23": "「――サンジェルマンッ!」",
"342000811_24": "「プレラーティなのッ!? 今どこに――」",
"342000811_25": "「フランスまでやってきているワケダ。\\n 連絡ができるということは、そっちも逃げ出せたワケダ」",
"342000811_26": "「ええ、なんとかね。この森に協会の施設があるのを思い出して、\\n 今はそこから連絡しているわ」",
"342000811_27": "「そこは最近になって造られたから、無事だったワケダ」",
"342000811_28": "「ただ、この施設から離れると、見つかる恐れがある。\\n この森まで来てもらえると助かるわ」",
"342000811_29": "「了解したワケダ。周辺に敵は?」",
"342000811_30": "「自動人形とアルカ・ノイズの姿がある。\\n ジャンヌやジルは恐らく城から出ていない」",
"342000811_31": "「それだけわかれば十分なワケダ。\\n キャロルと立花響も同行している。すぐに行くワケダ」",
"342000811_32": "「ええ、頼んだわ」",
"342000811_33": "「これで、どうにか合流はできそうね……」",
"342000811_34": "(でも、本当の問題は合流してから……。\\n ジャネットを救うには、ジルの洗脳を解かねばならない",
"342000811_35": "(ジャネットをあの男から離し、どうにか説得できれば……)",
"342000811_36": "(聖女の輝きを解明し、消えた局長やカリオストロ、\\n 装者たちを取り戻す手がかりを得られるかもしれない……",
"342000811_37": "(……ただ、彼女が正気を取り戻した時、\\n それまで犯した罪の意識にきっと苦しむことになる……",
"342000811_38": "「前途多難にもほどがあるわね……」"
}

View file

@ -0,0 +1,39 @@
{
"342000812_0": "「お前で最後だ。散るがいいッ!」",
"342000812_1": "「流石なワケダ。\\n サンジェルマンのいる施設はこの辺りだったワケダが……」",
"342000812_2": "「どこにあるのか、わからないんですか?」",
"342000812_3": "「それだけ秘匿性の高い場所ということなワケダ。\\n それにわたしも実際に行ったことはないから……」",
"342000812_4": "「えッ、そうだったんですか?\\n 早くしないと、他の敵にも見つかっちゃいますよッ」",
"342000812_5": "「確かこの辺りだった気がするワケダが……、\\n こうなったら、捜索範囲をもっと広げて――」",
"342000812_6": "「その必要はないわ、プレラーティ」",
"342000812_7": "「サンジェルマンッ!」",
"342000812_8": "「早速だけど、互いの情報を交換しましょう」",
"342000812_9": "「……それで、オートスコアラーたちの気配があるのは\\n 間違いないのか」",
"342000812_10": "「ああ、オレには感じることができる。\\n あいつらの存在は完全には失われていない」",
"342000812_11": "「……朗報だな。局長やカリオストロ、装者たち、\\n 他にも消された者たちを救う希望が見えてきた」",
"342000812_12": "「だが、それもあの聖女の輝きとかいうものが\\n なんなのかがわからなくては、手を打てない」",
"342000812_13": "「ああ。それについてだが、\\n 聖女の輝きは、ジルがジャンヌに与えたもののようだ」",
"342000812_14": "「だから、あの城にあると思われる、\\n ジルの研究データを確認することができれば――」",
"342000812_15": "「聖女の輝きについても情報があるかもしれないワケダ」",
"342000812_16": "「それと、これはただの希望だが、\\n ジャネットを私の知る彼女に戻すこともできるかもしれない」",
"342000812_17": "「捕らえられている間に話して確信したんだ。\\n 彼女はあの男によって記憶操作、もしくは洗脳を受けている」",
"342000812_18": "「それじゃあのジャンヌさんは、無理矢理戦わされて――」",
"342000812_19": "「ある意味そうだろう。そして奴はジャネットを利用し、\\n 自分に従わない世界中の人々を消し去るつもりよ」",
"342000812_20": "「そんな……それじゃ本当に、\\n こっちの師匠が言っていたように世界中に戦争を――」",
"342000812_21": "「そこまで読めているということは、\\n もう奴らは動き出してるということか」",
"342000812_22": "「既に欧州連合各国、米国、日本など、\\n あちこちで聖遺物研究施設が襲われているワケダ」",
"342000812_23": "「あの自動人形を使ってな……」",
"342000812_24": "「……一刻も早く止めなくてはならないわね。\\n 奴の城への道は掴んでる。すぐに戻りましょう」",
"342000812_25": "「待つワケダ。サンジェルマンは一度休む必要があるワケダ」",
"342000812_26": "「そんな暇はないだろ――」",
"342000812_27": "「くッ!」",
"342000812_28": "「言ったそばから……、\\n 決戦前に、消耗した状態では話にならないワケダが」",
"342000812_29": "「サンジェルマンが回復している間、\\n わたしもジルの居城に潜入して調べてくるワケダ」",
"342000812_30": "「……なんだとッ!?」",
"342000812_31": "「危険すぎますよッ! もし見つかったら――」",
"342000812_32": "「戦いに挑むにあたり、もっと情報が欲しいワケダが……、\\n これはあの城の内部を知っている、わたしが適任なワケダ」",
"342000812_33": "「失敗すれば、お前も消されるぞ。\\n それでもやるつもりか」",
"342000812_34": "「無論なワケダ。それに消される前に\\n 意地でもあの光の秘密にたどり着いてみせるワケダ」",
"342000812_35": "「……わかった。プレラーティ、頼んだ」",
"342000812_36": "「任されたワケダ」"
}

View file

@ -0,0 +1,64 @@
{
"342000821_0": "「……どうにかここまで来たが、敵の姿はない。\\n キャロルの陽動のおかげかも知れないワケダ」",
"342000821_1": "「しかし、どうやら昔見たときよりも広くなっているワケダ。\\n ジルの研究室が昔のままならいいワケダが……」",
"342000821_2": "「連絡してきたということは、もう見つけたのか?」",
"342000821_3": "「まだなワケダ。しかし、潜入は成功した。\\n これから研究室を調べにいくワケダ」",
"342000821_4": "「そうか、わかった」",
"342000821_5": "「サンジェルマンの具合は?」",
"342000821_6": "「予定通りチフォージュ・シャトーで休ませている。\\n 立花響を護衛につけてな」",
"342000821_7": "「安心したワケダ。\\n キャロルもある程度敵を引きつけたら、すぐに離脱するワケダ」",
"342000821_8": "「わかっている。今のオレの役割は、陽動だからな。\\n 深追いするつもりはない」",
"342000821_9": "「それでは先に進む。データにたどり着いたら連絡するワケダ」",
"342000821_10": "「……気をつけろよ」",
"342000821_11": "「ッ!? まさか、キャロルに心配されるとはな」",
"342000821_12": "「フン」",
"342000821_13": "「……この通路、覚えているワケダ。\\n 確かここがジルの研究室――あ、これは……」",
"342000821_14": "「間違いない、ジルの研究データにたどり着いたワケダが。\\n あとはこの中から必要な情報を確認できれば――」",
"342000821_15": "――10月11日。",
"342000821_16": "アカシックレコードへのアクセスに成功。",
"342000821_17": "やはり思ったとおりだった。",
"342000821_18": "アカシックレコードには、全ての存在の情報がある。",
"342000821_19": "そして、そこにはもちろん、ジャンヌ様の情報も……。",
"342000821_20": "このデータを引き出すことができれば、私の願いは成就する。",
"342000821_21": "手に入れたジャンヌ様の血族の肉体に、アカシックレコードにある",
"342000821_22": "データをダウンロードすれば、ジャンヌ様は復活される……。",
"342000821_23": "「ジルはやはり、聖女の復活を企んでいたワケダ……」",
"342000821_24": "――10月19日。",
"342000821_25": "再びアカシックレコードにアクセスを行った。",
"342000821_26": "アカシックレコードへのアクセスは予想以上のエネルギーを消費する。",
"342000821_27": "このチフォージュ城をもってしても、このままではジャンヌ様の",
"342000821_28": "復活を実現することは難しい。",
"342000821_29": "何か、エネルギーの調達手段が必要だ。",
"342000821_30": "錬金術師協会に見つからずに……。",
"342000821_31": "――11月2日。",
"342000821_32": "エネルギー調達手段が見つかった。",
"342000821_33": "その手段とは、ジャンヌ様の持つ剣にある。",
"342000821_34": "フィエルボワの剣と呼ばれるあの剣の正体は、",
"342000821_35": "大天使ミカエルの剣そのものだった。",
"342000821_36": "魂を選別し、次の世界へと導くといわれるミカエルの力。",
"342000821_37": "この剣に潜む強力な力を、解放できれば……、",
"342000821_38": "存在を選別して、私にとって都合のいい次の世界へと送り込む。",
"342000821_39": "そう、存在からエネルギーを搾り出すためだけの世界へ。",
"342000821_40": "「存在の選別……ッ!? ミカエルの剣の哲学兵装……、\\n これが聖女の輝きの正体だったワケダッ」",
"342000821_41": "「しかし、消した存在の力を燃料に、アカシックレコードへの\\n アクセスをするなど、悪辣にも程があるワケダ……」",
"342000821_42": "――日付不明。",
"342000821_43": "ついに、ミカエルの剣としての能力を解放した。",
"342000821_44": "これでジャンヌ様の復活計画を進めることができる。",
"342000821_45": "ただ、ジャンヌ様を蘇らせるには、より多く質の高い",
"342000821_46": "存在を燃料としなくてはならない。",
"342000821_47": "ならば、錬金術師が最適だろう……。",
"342000821_48": "彼らを贄として、ジャンヌ様を蘇らせる。",
"342000821_49": "聖女復活の日は近い。",
"342000821_50": "「協会アジトへの襲撃……。本当の目的はこれだったワケダ。\\n だから散発的な襲撃を繰り返していた……」",
"342000821_51": "ジャンヌ様を復活させることに成功した。",
"342000821_52": "だが、待ち望んだ聖女は、私の望む聖女ではなかった。",
"342000821_53": "ジャンヌ様は、常に私の望む聖女でなくてはならない。",
"342000821_54": "このままでは、せっかく手に入れた能力、",
"342000821_55": "そして聖女の復活が無駄に終わる。",
"342000821_56": "変えなくてはならない……、",
"342000821_57": "私の望む、聖女ジャンヌ・ダルクへと……。",
"342000821_58": "「……サンジェルマンの言っていた通りなワケダ。\\n あとは洗脳の方法がわかれば――ッ」",
"342000821_59": "「……まさか、こんなところまでネズミが入り込んでくるとは\\n 思いませんでしたよ」",
"342000821_60": "「ジル……くッ!?」",
"342000821_61": "「逃がしません……ッ!\\n 私の研究を覗き見たあなたは、必ず消し去りますッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,41 @@
{
"342000822_0": "「キャロル、聞いているか。\\n ジルに発見されてしまったワケダッ」",
"342000822_1": "「なんだとッ!?」",
"342000822_2": "「しかし、聖女の輝きの秘密、ジャンヌのこと。\\n わかったことを知らせるワケダッ」",
"342000822_3": "「……くッ、自動人形が邪魔すぎるワケダッ!」",
"342000822_4": "「城の外まであと少し……このまま突っ切るワケダッ!」",
"342000822_5": "「逃がさない、そう言いましたよ」",
"342000822_6": "「……出口に先回りしていたワケダ。\\n 大量の自動人形で周囲を囲んで……」",
"342000822_7": "「先回りはともかく、騎士人形については偶然ですよ」",
"342000822_8": "「ちょうどこれから、ジャンヌ様と共に、\\n この国を落としにいくところだったのでね」",
"342000822_9": "「どちらにしても、逃げられる隙は無いワケダ……」",
"342000822_10": "「いえ、あなた1人でこの数の騎士人形とこの私、\\n それにジャンヌ様を退けられるなら、逃げられますよ」",
"342000822_11": "「そうでしょう、ジャンヌ様?」",
"342000822_12": "「ええ、ジルの言うとおりです。\\n せいぜい足掻きなさい」",
"342000822_13": "「誤り無き正義を司る天主よ――」",
"342000822_14": "「キャロル……サンジェルマンのことを頼んだワケダ」",
"342000822_15": "「何をバカなことを言っているッ!\\n おい――」",
"342000822_16": "「くそッ!」",
"342000822_17": "「キャロルちゃんッ! プレラーティさんは……」",
"342000822_18": "「他のやつらと同じだ。\\n 聖女の輝きで存在を消去された……」",
"342000822_19": "「プレラーティ……」",
"342000822_20": "「だが、あいつはその代わりに貴重な情報をもたらしてくれた。\\n 今から聞いた話を伝える」",
"342000822_21": "「聖女の輝きは存在の選別という、\\n ミカエルの剣による哲学兵装か……」",
"342000822_22": "「ああ、そして消えた者たちは\\n 存在の持つエネルギーをあの男によって利用されている……」",
"342000822_23": "「それじゃ、その存在のエネルギーが無くなったら……」",
"342000822_24": "「取り戻せなくなる可能性もある……」",
"342000822_25": "「いつか、また奴はアカシックレコードにアクセスする。\\n そうなれば、消えた者たちの存在が消費されてしまう」",
"342000822_26": "「その前にジャネットを正気に戻し、\\n 次の世界へと送った者たちを戻させる必要がある」",
"342000822_27": "「できるんでしょうか……」",
"342000822_28": "「わからないが、今は他に方法などない」",
"342000822_29": "「彼女のこと……ジャネットのことは私に任せてくれないか」",
"342000822_30": "「……いいだろう。なら、あいつはお前がなんとかしろ。\\n あの男はオレとこいつで引き受ける」",
"342000822_31": "「みんなのこと、お願いします。サンジェルマンさん」",
"342000822_32": "「プレラーティが命がけで手に入れてくれた情報だ。\\n ジャネットのことは必ず……」",
"342000822_33": "「向こうには大量の兵隊もいる。\\n そのことも忘れるなよ……」",
"342000822_34": "「ああ、5万を超える数を揃えていると言っていた」",
"342000822_35": "「き、気合でッ! 頑張ればなんとかなるよッ!」",
"342000822_36": "「フ……頼もしいな。\\n だが、流石に無策で挑むのは難しい」",
"342000822_37": "「何か考えがあるのか?」",
"342000822_38": "「ああ。無いよりはマシ、という程度だが。\\n 協力してくれ、人とも」"
}

View file

@ -0,0 +1,25 @@
{
"342000831_0": "「我が聖女よ、号令を……」",
"342000831_1": "「ええ、神の使途たるジャンヌ・ダルクに仕える兵たちよッ!\\n 雌伏の時は過ぎました。これより、進軍を開始しますッ」",
"342000831_2": "「な、なんなんだよ、あれはッ!?」",
"342000831_3": "「鎧の騎士……の軍団?\\n と、とにかく警察――いや、軍に連絡をッ」",
"342000831_4": "「き、来た……」",
"342000831_5": "「一体何人いるんだ……。\\n どうしてこんなことに……」",
"342000831_6": "「臆するなッ! あんなものは見た目だけだッ!\\n 銃も持たぬ集団など、恐れるに足りん」",
"342000831_7": "「全員、構えッ! 撃て――ッ!!」",
"342000831_8": "「銃が効かないッ!? 鎧に弾かれているのかッ!?」",
"342000831_9": "「ならば迫撃砲をくれてやれッ!\\n 何体か倒れれば、足も止まるッ」",
"342000831_10": "「ダメですッ!\\n 対象、傷ひとつ付きませんッ」",
"342000831_11": "「なんだとッ!? ――くッ、とにかく攻撃を続けろッ!\\n このまま奴らを進ませるなッ」",
"342000831_12": "「軍人さんたちがッ!?」",
"342000831_13": "「彼らにも、二課経由で必要な情報は届いているはずだから、\\n そこまで無理はしていないだろうが、もう十分だ」",
"342000831_14": "「おかげで、オレたちの準備も整った」",
"342000831_15": "「いずれにしろオレたちでなければ、アレは倒せない」",
"342000831_16": "「……響くん、聞こえるか?」",
"342000831_17": "「あ、はいッ! 聞こえますッ!」",
"342000831_18": "「そちらの準備はどうなってる?\\n 軍の方もそろそろ限界だ」",
"342000831_19": "「ああ、もう大丈夫だ。準備はできている。\\n あとは巻き込まれないように、軍を退かせてくれ」",
"342000831_20": "「わかった。先方に伝えよう。\\n ……あとは君たちに託す。頼むぞ」",
"342000831_21": "「よし、それでは私たちも移動しよう」",
"342000831_22": "「奴らが所定の位置までたどり着いたら決戦だ。\\n まとめて叩き潰してくれるッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,43 @@
{
"342000841_0": "「地平線が、全部、白く染まって――」",
"342000841_1": "「……ここまでの数とは」",
"342000841_2": "「一騎当千でも足りぬ、一騎当万の働きが必要だろうよ」",
"342000841_3": "「……あれを全部、わたしたちが止めるんですよね」",
"342000841_4": "「ああ、そうだ。私たちがやらねばならない。\\n 私たちだけが、残されたのだから……」",
"342000841_5": "「……怖気づいたのか?\\n それなら邪魔にならない場所にでも、引っ込んでるんだな」",
"342000841_6": "「ううん、大丈夫。\\n ……ありがとう、キャロルちゃん」",
"342000841_7": "「フン……」",
"342000841_8": "「この戦い、どんな展開になると思う?」",
"342000841_9": "「……策を用意したとして、この戦力差だ。\\n 厳しい戦いになるのは間違いない」",
"342000841_10": "「……みんなで、頑張りましょう」",
"342000841_11": "「精神論か。\\n だが、それも必要なのかも知れない」",
"342000841_12": "「無様な戦いだけはできないからな。\\n 散っていった仲間たちのために……」",
"342000841_13": "(ジャネット……)",
"342000841_14": "(お前は今、何を想っているのだろうか……)",
"342000841_15": "「……2人とも。少し私の質問に答えてくれないか?」",
"342000841_16": "「えッ……はい。わたしで答えられることなら」",
"342000841_17": "「なんだ? 手短にしろ」",
"342000841_18": "「もし、お前たちにかつて手を取れず、\\n 助けられなかった友がいたとして……」",
"342000841_19": "「その友を救うには、どうしたらいいと思う?」",
"342000841_20": "「手を取れず、助けられなかった友……?」",
"342000841_21": "「ああ。イメージしにくければ、\\n 友ではなく、大切な者と置き換えてもらってもいい」",
"342000841_22": "(大切な者、そうだ――。\\n わたしは未来を、何度も失いそうになったことがある……",
"342000841_23": "(助けられなかった命、か……。\\n そんなもの、オレには人だけだ……パパ……",
"342000841_24": "「わたしは、手を伸ばします。失敗しても、後悔しても、\\n わたしには、それしかできないから……」",
"342000841_25": "「機会があるなら、何度だって。\\n 一度届かなくても、次は届くかもしれないから……」",
"342000841_26": "「手を伸ばす、か……。お前らしいな」",
"342000841_27": "「……大切な者を助けられなければ、一生後悔は続く」",
"342000841_28": "「だから、もし機会が与えられたなら、何を犠牲にしても助ける。\\n 迷う余地などない。そうだろう」",
"342000841_29": "「キャロル……お前は火刑に処された父親のことを、\\n 今でも悔やんでいるのだな……」",
"342000841_30": "「……当たり前だ。父を処刑した者への恨みも、\\n あの時の無力な自分への悔恨も、決して消えることはない」",
"342000841_31": "「目の前で大切な者の命が失われる……。\\n それに勝る後悔などないのだからな」",
"342000841_32": "「……ああ。それ以上に怖いことなど、ないな」",
"342000841_33": "「ありがとう、2人とも。\\n 私のやるべきことがわかった気がする」",
"342000841_34": "「さあ、決戦よ。行きましょう」",
"342000841_35": "「Balwisyall Nescell gungnir tron――」",
"342000841_36": "「はい、準備OKですッ!」",
"342000841_37": "「ならばオレも――」",
"342000841_38": "「キャロルちゃんッ!?」",
"342000841_39": "「力を温存していたのか……」",
"342000841_40": "「ああ、こんなこともあろうかとな……。\\n ――全力のオレならば、雑魚など物の数ではないッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,22 @@
{
"342000911_0": "聖なる誓いの合重奏",
"342000911_1": "「先遣隊を一気に潰して、そのままジルたちのところまで\\n 突っ切るッ 戦いの狼煙を上げろ、キャロルッ」",
"342000911_2": "「ああ、特大のをくれてやるッ!\\n ――<ruby=アルカヘスト>四大元素</ruby> ッ!」",
"342000911_3": "「よし、地下水脈に前線の一部を叩き落せたッ!\\n これで行軍に乱れが出るはず――」",
"342000911_4": "「敵、左右に分かれて地面の穴を迂回し始めましたッ!」",
"342000911_5": "「まだよ。もう少し敵が広がるまで……」",
"342000911_6": "「おいッ! まだ動かないのかッ!\\n このままでは完全に囲まれるぞッ」",
"342000911_7": "「――今だッ! 足場を――」",
"342000911_8": "「――任せろッ!」",
"342000911_9": "「やったッ! キャロルちゃんの錬金術で、\\n 穴のど真ん中に橋が架かったッ」",
"342000911_10": "「正面からぶち抜けッ! 立花響ッ!」",
"342000911_11": "「はいッ! 突貫しますッ!\\n はぁぁぁぁ――ッ」",
"342000911_12": "「後に続くぞッ! 分かれた自動人形が戻る前に、\\n あの人の元までたどり着くッ」",
"342000911_13": "「……どうやらサンジェルマンたちが現れたようですね。\\n どうしますか」",
"342000911_14": "「……どうもこうもありません。\\n わたしの前に立ち塞がるものは、全て神の敵です」",
"342000911_15": "(洗脳は上手く働いているようですね……。\\n あとは、サンジェルマンを片付けるだけです",
"342000911_16": "「失礼致しました。\\n それでは神の敵を撃滅しましょうか」",
"342000911_17": "「……敵をぶち抜けないッ!\\n かなりの距離、吹き飛ばしてきたのに……ッ」",
"342000911_18": "「いや、作戦通りだ。直接戦う数はかなり減らせた。\\n ここからは人で前へ進むッ」",
"342000911_19": "「ああ、一気に駆け抜けるぞッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,18 @@
{
"342000912_0": "「城が見えてきましたッ! あと少し――ッ!」",
"342000912_1": "「足を止めるなッ!\\n 正面の敵以外は無視して進むんだッ」",
"342000912_2": "「正面以外はオレがカバーしてやるッ!\\n 敵を貫く一条の槍となって、突き進めッ」",
"342000912_3": "「近づいて来ているのですか……?\\n こちらには万の自動人形がいるというのに……」",
"342000912_4": "(それも、まさか正面からこちらを貫こうなどと……。\\n 正気の作戦ではない。しかし、それ故に対処が――",
"342000912_5": "「……まだ、排除できないのですか?\\n 神の敵、いえ、あの者に自由を許すなど……ッ」",
"342000912_6": "「ジャンヌ様、あの者とは……?」",
"342000912_7": "「サンジェルマン……あの者の顔が頭をちらつく……、\\n やはり、わたし自らが倒さなければいけないようですッ」",
"342000912_8": "(なッ……。やはり奴の存在が、洗脳に影響を――)",
"342000912_9": "「聖女よ、どうか落ち着いてください。\\n もうすぐ、騎士たちによって彼の者たちは殲滅されます」",
"342000912_10": "「……いえ、それは無理でしょう。\\n あの者たちを止めるのは、騎士たちには荷が重い」",
"342000912_11": "「わたしが出ます。\\n ――聖女の輝きで、全て消し去りましょう」",
"342000912_12": "「ジャンヌ様ッ! くッ……」",
"342000912_13": "(……いや、聖女はサンジェルマンを消そうとしている。\\n ならば、洗脳自体はまだ有効なはず",
"342000912_14": "「聖女の輝きさえ当たれば、どうせ終わりです。\\n ならば、私はそれをサポートするだけでいい」",
"342000912_15": "「……いいでしょう。決着をつけましょうか。\\n サンジェルマン……ッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,41 @@
{
"342000921_0": "「誤り無き正義を司る天主よ。\\n その忠実な僕にして、信託を与えし大天使聖ミカエルよ――」",
"342000921_1": "「この詠唱……ッ!?」",
"342000921_2": "「奴の方からやってきただとッ!?\\n しかも聖女の輝きを使おうと――」",
"342000921_3": "「其の右の手には、主の敵を討つ剣。\\n 其の左の手には、忠実なる人の魂を図る秤――」",
"342000921_4": "「――囲まれたッ!?」",
"342000921_5": "「残念でしたね……クク」",
"342000921_6": "「あまたの天使を率い、全能なる天主の敵を討ち滅ぼした、\\n 最も偉大な神の戦士よ――」",
"342000921_7": "「さあ、もう詠唱が完了しますッ!\\n あなたたちが消えれば、もはや私たちに敵は無いッ」",
"342000921_8": "「――願わくは戦いにおいてわれらを護り、その祈りを阻む者、\\n 愛すべき御父に背きし者を誅滅する――裁きの、顕現をッ」",
"342000921_9": "「聖女の輝き――だが、それも想定内だッ!」",
"342000921_10": "「――おおおおおッ!」",
"342000921_11": "「地の元素よッ! 覆えッ!」",
"342000921_12": "「よし――これで私たちは、完全に土のドームの中だッ!」",
"342000921_13": "「これは……まさかッ!?」",
"342000921_14": "「大成功でしたねッ!」",
"342000921_15": "「ああ……防がせてもらったぞ」",
"342000921_16": "「何故……通じないのですッ!」",
"342000921_17": "「どうして聖女の力が――ッ!?」",
"342000921_18": "「それは、その力が哲学兵装だとわかったからだ」",
"342000921_19": "「単純な話だ。存在を選別する『光』である以上、\\n 私たちが光を認識しなければ、選別は行われない」",
"342000921_20": "「ソードブレイカーが剣と定義したものを壊すのと同じだ。\\n 見た目は剣でも、剣との認識が無ければ発動しない」",
"342000921_21": "「光が溢れる前に、土で覆って光を見えなくすれば――」",
"342000921_22": "「――光は認識されず、結果、聖女の輝きは効果を\\n 発揮できないということだ」",
"342000921_23": "「――ならば直接斬り結ぶだけですッ!」",
"342000921_24": "「サンジェルマンさんッ!\\n ジャンヌさんをお願いしますッ」",
"342000921_25": "「――わかっているッ!\\n ジャネットは私が――」",
"342000921_26": "「くッ……そうはさせませんッ! サンジェルマンは\\n 最優先で殺さねばッ 騎士人形たちよ――ッ」",
"342000921_27": "「――人形などに邪魔はさせんッ!」",
"342000921_28": "「何ッ!? ならば私が直接――」",
"342000921_29": "「――あなたの相手は、わたしの役目ですッ!」",
"342000921_30": "「このッ……全く邪魔な――ッ!」",
"342000921_31": "「ここは、わたしたちが死守しますッ!」",
"342000921_32": "「ああ。サンジェルマンとジャンヌの戦いには、手出しさせん。\\n 邪魔をしたかったら、先にオレたちを倒すんだな」",
"342000921_33": "「その姿……あなた、何者ですか?」",
"342000921_34": "「……この姿で会うのは初めてだったな。\\n オレの城に土足で上がり、<ruby=こけ>虚仮</ruby>にしてくれた礼に来てやったぞ」",
"342000921_35": "「その物言い、確かキャロル……ですか。\\n そうですか、その姿が本当の――」",
"342000921_36": "「力の解放に合わせて姿が変化しただけだ。\\n 本物も偽物もない」",
"342000921_37": "「だが、この姿のオレをこの前と同じだと思うなよ」",
"342000921_38": "「多少力が増した程度、どうということもありません。\\n 戦いは数、物量こそが正義。それをすぐにわからせてあげます」"
}

View file

@ -0,0 +1,38 @@
{
"342000931_0": "「ジャネットッ!\\n 約束通り、お前を救いに来たッ」",
"342000931_1": "「戯言をッ! そんな話をした覚えはありませんッ!」",
"342000931_2": "(やはり、ジャネットは再び洗脳を施されている……だがッ!)",
"342000931_3": "「思い出せ、お前自身をッ! 故郷の光景をッ!\\n お前はなんのために戦っているッ」",
"342000931_4": "「知れたことですッ!\\n 全ての人を苦しみから解放するためッ」",
"342000931_5": "「人の世は苦しみに満ちている……。\\n だからわたしが変えるのですッ」",
"342000931_6": "「苦しみに満ちてなどいないッ!\\n それをお前は知っているはずだッ」",
"342000931_7": "「知ったかぶりを……ッ!\\n あなたが何を知っているというのですッ」",
"342000931_8": "「ぐッ……。全て、知っているさ。\\n 私は、ずっとお前を見てきたんだ……あの火刑の瞬間も」",
"342000931_9": "「何故、避けずに……なんなのです……。\\n どうして、わたしをそんな目で――ッ」",
"342000931_10": "「――ッ!? どうした、太刀筋が鈍っているぞ……」",
"342000931_11": "「その目をやめなさいッ! あなたにそのような――、\\n 大切な者を見るような目を向けられる筋合いはありませんッ」",
"342000931_12": "「あるッ!\\n 私はお前を、ジャネットを大切に思っていた……」",
"342000931_13": "「あなたがわたしを処刑場に送ったはずッ!\\n そう言ったッ ならば、どうしてッ」",
"342000931_14": "「ああ。お前が処刑場へ進むことになったのは、\\n 確かに私の責任だ……」",
"342000931_15": "「ならば、あなたはわたしの敵でしょうッ!」",
"342000931_16": "「だから、思い出してくれ。あのときを。\\n 火刑に処される時、お前が何を思っていたのかを……」",
"342000931_17": "「あの日の、炎の……?」",
"342000931_18": "「あの日、最後の瞬間にお前が思ったことが私への恨みなら、\\n その刃を私は受け入れよう。ジャネットにはその権利がある」",
"342000931_19": "「――考えるまでもありませんッ!\\n あの炎の熱さを、わたしは覚えているッ」",
"342000931_20": "「だから、わたしは、わたしを死へと追いやった\\n あなたを許さないッ」",
"342000931_21": "「だから復讐をしたいのか?」",
"342000931_22": "「復讐ではありませんッ! これは神罰ですッ!\\n 受けなさい――ッ」",
"342000931_23": "「――ならば私は、お前に倒されるわけにはいかない」",
"342000931_24": "「私に刃を突き立てていいのは、ジャネットだけの権利だ。\\n お前に渡すわけにはいかない」",
"342000931_25": "「ジャネットはわたしの名前ですッ!\\n そのわたしの刃を受け入れないと言うのですかッ」",
"342000931_26": "「お前はジル・ド・レェに都合のいいことだけを吹き込まれた、\\n ジャンヌ・ダルクの紛い物だッ」",
"342000931_27": "「黙れッ! わたしこそがジャンヌ・ダルクッ!\\n 世界を救う聖女なのですッ」",
"342000931_28": "「ちいッ、厄介な……。\\n これほどまでの力を隠していましたかッ」",
"342000931_29": "「どうしたッ! 戦いは数ではなかったのかッ!?\\n この程度の力では、オレは倒せんぞッ」",
"342000931_30": "「みんなを返してもらいますッ!」",
"342000931_31": "「薄汚いネズミから聖女の輝きの情報を得ましたかッ!\\n 全く、さっさと駆除しておくべきでしたよッ」",
"342000931_32": "「ですが、この場さえ乗り切れば私たちの勝利ですッ!\\n 取り込んでいる存在を全てエネルギーにしてしまえばッ」",
"342000931_33": "「そんなこと、絶対にさせるもんかああああッ!」",
"342000931_34": "「うぐッ……馬鹿力めッ!」",
"342000931_35": "「オレのものを取り返すついでに、何もかも奪い取ってやるッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,59 @@
{
"342000932_0": "「思い出せ。ジャネットだった自分を。\\n 紛い物ではない、ジャンヌとしての記憶を」",
"342000932_1": "「まだそんなことを――ッ!」",
"342000932_2": "「でなければ、私はお前の刃を受け入れられない。\\n お前は、あの火刑の時、一体何を思っていた……」",
"342000932_3": "「そこまで知りたいなら、教えてあげますッ!\\n ――全てに絶望し、苦痛と苦悶の中で命を失ったのですッ」",
"342000932_4": "「……それは、本当にお前の記憶なのか?\\n 私の見た、あの日のお前はそうではなかった」",
"342000932_5": "「絶望ではない。お前は穏やかな表情を浮かべ、ただ静かに、\\n 度も苦悶の声など上げず、炎に呑まれていった……」",
"342000932_6": "「……違うッ! 違うはずですッ!\\n わたしは、死の運命を、受け入れてなど……」",
"342000932_7": "「私はお前が最後につぶやいた言葉がなんなのかを知りたい。\\n 何を思い、なんの言葉を残したのか……それを思い出してくれ」",
"342000932_8": "「最後の……言葉……そんなものッ!\\n 恨み言に決まっていますッ だってジルがそうだと――ッ」",
"342000932_9": "「あの処刑の日、ジルはその場にはいなかった」",
"342000932_10": "「…………え?\\n だってジルは、わたしの従者――」",
"342000932_11": "「お前には従者などいなかった。\\n 戦功を立てた後も、専属の従者などは持たなかった……」",
"342000932_12": "「従者が……いない……? では、ジルは……?\\n ジルは、子供のわたしを救い、それから従者に――」",
"342000932_13": "「……救われた時のことは覚えているのか。お前が12歳の時、\\n ドンレミ村が襲われ、村人たちが数多く死んだ日のことを」",
"342000932_14": "「あの日、イングランド王国兵が夜盗を装い、\\n ドンレミ村に現れた。そして、村を焼いた……」",
"342000932_15": "「……どうして、そのことを……。\\n それは村の者か、わたしを助けたジルしか――」",
"342000932_16": "「奴らは家へ押し入り、幼いお前を斬りつけ、火を放った。\\n お前は、怪我で動くことができなかった……」",
"342000932_17": "「その時、偶然近くにいた私は、お前の声を聞いた。\\n 助けて、という声を」",
"342000932_18": "「…………」",
"342000932_19": "「――自分ではなく、みんなを、大切な人たちを助けてと願う、\\n 小さな祈りを」",
"342000932_20": "「――ッ!?」",
"342000932_21": "「だから私はお前を助けた。死の淵にあるその瞬間でも、\\n 他人を思いやれる優しい心根の持ち主を、死なせたくなかった」",
"342000932_22": "(わたしの――祈り……。\\n それは、誰も――。知っている者、は……",
"342000932_23": "「それが、本当のお前だ。誰よりも優しく、\\n 宝石のような美しい心を持った、私の知るジャネットだ……」",
"342000932_24": "「……わたし、は……ジャネット……なの……?\\n ジャンヌじゃない……わからない……。あなたは……」",
"342000932_25": "「ジャネットは、お前がまだあの村で暮らしていた頃の呼び名だ。\\n 剣を取りジャンヌ・ダルクと呼ばれるようになったが……」",
"342000932_26": "「私だけはジャネットと呼び続けた」",
"342000932_27": "「そんな……わからない……何も……、\\n 思い出せない……ッ」",
"342000932_28": "「……約束を、覚えているか?」",
"342000932_29": "「約、束……?」",
"342000932_30": "(大事な、約束……。\\n そうだ、わたしは、誰かと――",
"342000932_31": "「私は、覚えている。\\n だから、お前にも思い出して欲しい」",
"342000932_32": "「……この手を、取ってくれないか。\\n 今度こそ、私はお前を救うと決めてきたんだ」",
"342000932_33": "(この、手……そうだ。\\n 幼いわたしを、救ってくれた――",
"342000932_34": "「天、使さ――」",
"342000932_35": "「――殺せッ!」",
"342000932_36": "「――ッ!? あ……」",
"342000932_37": "「……手を……取ってくれたな。\\n よかっ、た……」",
"342000932_38": "「サンジェルマンさんッ! 剣が刺さって――ッ!?」",
"342000932_39": "「わたし……が、刺し、た……?\\n 天使、様を……」",
"342000932_40": "「……ようやく、会えたな。ジャネット……。\\n 約束、思い出してくれ……たんだ、な……」",
"342000932_41": "「あ……ああああああ――ッ!!」",
"342000932_42": "「私の従者に……?」",
"342000932_43": "「……私は人の世から外れた者だ。\\n もう、普通の暮らしをすることもできなくなるぞ」",
"342000932_44": "「……そうだな。それも悪くないかもしれない」",
"342000932_45": "「ああ、わかった。約束だ」",
"342000932_46": "「ただ、私についてくるのならば、\\n お前にも色々と覚えて貰わなければならないな」",
"342000932_47": "「――時間なら、いくらでもある。\\n だから、必ず生きて帰ってこい」",
"342000932_48": "「天使様……天使様ああああああッ!!」",
"342000932_49": "(そうだ、わたしはあの火刑の日――)",
"342000932_50": "「それでは刑を執行するッ!\\n ――火を放てッ」",
"342000932_51": "(……わたしは多くの敵を殺してきました。\\n 戦いの最中とはいえ、その罪は償わねばなりません",
"342000932_52": "(だから、こうして終わりを迎えることは当然のことでしょう。\\n 最後に、天使様に心からの感謝とお詫びを――",
"342000932_53": "「天使様……あなたからお受けしたご恩を返せず、\\n 申し訳ございません……」",
"342000932_54": "「あなたと交わした約束を果たせず、\\n 申し訳ございません……」",
"342000932_55": "「ですが、あなたのおかげで、わたしは幸せのうちに、\\n こうして天へと向かうことができます……」",
"342000932_56": "「天の世界にて、もし再びお会いすることができたなら、\\n 今度こそ、わたしを天使様のお傍に――」"
}

View file

@ -0,0 +1,46 @@
{
"342000941_0": "「天使様……わたしはあなたを恨んでなどおりませんッ!\\n どうして恨むことなどできましょうッ」",
"342000941_1": "「あなたはわたしに全てを与えてくださいましたッ!\\n あなたのおかげで、わたしは幸せだったのですッ」",
"342000941_2": "「あの火刑の場でわたしが口にしたのは、ただあなたへの\\n 限りない感謝と敬愛の言葉ですッ」",
"342000941_3": "「なのにわたしは……わたしはなんということを――ッ!」",
"342000941_4": "「気にする、な……。\\n 思い……出して、くれて……ありが、とう……」",
"342000941_5": "「サンジェルマンさんッ! しっかりしてくださいッ!」",
"342000941_6": "「洗脳が完全に解けてしまったかッ!?\\n くそッ 聖女を回収しなければ――」",
"342000941_7": "「――貴様あああああッ!」",
"342000941_8": "「くッ!? 今はお前に構っている場合では――」",
"342000941_9": "「貴様に無くても、オレにはあるッ!\\n サンジェルマンの痛み……万倍にして返してやるッ」",
"342000941_10": "「天使様ッ! お願いですッ!\\n ――死なないでくださいッ」",
"342000941_11": "「サンジェルマンさんッ!\\n 気をしっかり持ってくださいッ」",
"342000941_12": "「……これは、私が望んだ、終わりでも……ある……。\\n ジャネットには、私を討つ、権利がある、んだ……」",
"342000941_13": "「そんなものはありませんッ!\\n わたしに天使様を傷つける権利など――ッ」",
"342000941_14": "「いや……私が、お前をジャンヌに、した……。\\n ジャンヌに、ならなければ……あの村で、幸せに……」",
"342000941_15": "「わたしは幸せでしたッ! 天使様がいてくださってッ!\\n 故郷も護れましたッ 全部あなたのおかげなんですッ」",
"342000941_16": "「……すまな、かった……。\\n 今度は、私が……約束を、守れ……――」",
"342000941_17": "「天使、様……目を……目を開けてくださいッ!\\n 天使様ッ」",
"342000941_18": "「そんな……サンジェルマンさん……」",
"342000941_19": "「……サンジェルマンが逝きましたか」",
"342000941_20": "「うるさいッ! 黙れッ!\\n 元凶の貴様だけは――ッ」",
"342000941_21": "「サンジェルマンさん……ッ」",
"342000941_22": "「…………」",
"342000941_23": "「絶対に、あなたを死なせは致しません。\\n 誤り無き正義を司る天主よ――」",
"342000941_24": "「この光ッ!? まさか、また聖女の輝きを――ッ!?」",
"342000941_25": "「そうですッ! 聖女よッ!\\n 全てを消し去ってしまえばいいのですッ」",
"342000941_26": "「――くッ、もろとも自決するつもりかッ!」",
"342000941_27": "「其の右の手には、主の敵を討つ剣。\\n 其の左の手には、忠実なる人の魂を図る秤――」",
"342000941_28": "「……違うよ、この光は――」",
"342000941_29": "「彼の者、忠実なる神の僕なれば、\\n その罪に赦しを、その魂に祝福を――」",
"342000941_30": "「すごく、優しい……」",
"342000941_31": "「――敬虔なるこの祈りを、聞き届けたまえ――」",
"342000941_32": "「これは……? サンジェルマンの傷が、無くなって――」",
"342000941_33": "「う……」",
"342000941_34": "「サンジェルマンさんッ!」",
"342000941_35": "「私は……何故……?\\n 助かったのか……」",
"342000941_36": "「この剣の、ミカエルの剣の力を使いました……。\\n 天使様の魂を呼び戻すために……」",
"342000941_37": "「ジャネット……お前ッ!? 姿が――ッ!?」",
"342000941_38": "「はい。少々、無理をしすぎてしまったようです。\\n でも、天使様を助けられてよかった……」",
"342000941_39": "「今度こそお傍に御仕えしたかったのですが、\\n それはまた、次の機会になってしまいそうです」",
"342000941_40": "「くッ……」",
"342000941_41": "「ジャネット……私は忘れない。\\n お前のことを、お前との約束を……」",
"342000941_42": "「ありがとうございます。\\n わたしも、今度は決して忘れたり致しません……」",
"342000941_43": "「……心だけでも、天使様のお傍に……」"
}

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@ -0,0 +1,65 @@
{
"342000951_0": "「どうやら失敗作でしたか。まあ構いません。\\n 再びアカシックレコードから蘇らせればいいのです」",
"342000951_1": "「……貴様は、死者の尊厳をなんだと思っている……」",
"342000951_2": "「なんとも思っていませんよ。死人は死人です。\\n 蘇った者は生者で、墓の下にいるのが死者、それだけです」",
"342000951_3": "「……もう二度と、貴様にジャネットの尊厳は穢させない」",
"342000951_4": "「威勢だけはいいですね。ですが、あなたはもう限界のはず。\\n お仲間の状況もどうでしょうかね」",
"342000951_5": "「……貴様……ッ!」",
"342000951_6": "「言ったでしょう。戦いは物量だと。\\n 結局のところ、あなたたちが倒したのは一部に過ぎません」",
"342000951_7": "「聖女がいなくなった今、あなたたちと遊ぶ意味も薄い。\\n あとは騎士人形たちに、なぶり殺しにされればいい」",
"342000951_8": "「私は城に戻って、\\n その様をゆっくり見学でもさせて貰います」",
"342000951_9": "「ここまで来て……ッ!」",
"342000951_10": "「逃がしてなるものかッ!」",
"342000951_11": "「無駄です。ジャンヌ様がいなくなったことで、\\n 騎士人形の制御は全て私に移りました」",
"342000951_12": "「さて、それではお別れです。\\n せいぜい足掻いて私を楽しませて――」",
"342000951_13": "「なッ!? 一体誰が――ッ!?」",
"342000951_14": "「がっつぽー♪」",
"342000951_15": "「ようやく戻って来れたワケダ」",
"342000951_16": "「カリオストロ、プレラーティッ!」",
"342000951_17": "「……面倒かけたわね。ごめんなさい」",
"342000951_18": "「やられた分は、キッチリやり返してやる」",
"342000951_19": "「ごめんな。ここからはあたしたちにもやらせてくれ」",
"342000951_20": "「マリアさんッ! クリスちゃんッ! 奏さんッ!」",
"342000951_21": "「ガリィちゃん、ただいま帰還しましたー♪」",
"342000951_22": "「不思議な体験でしたわね」",
"342000951_23": "「ピカッとしたら、シュインって消えたんだゾ」",
"342000951_24": "「派手な光で、地味に消されてしまった……」",
"342000951_25": "「お前たちッ!」",
"342000951_26": "「戻れたね、どうやら。\\n よくやってくれた、君たち」",
"342000951_27": "「引き受けよう、雑魚はこちらで。\\n 任せるよ、その男との決着は」",
"342000951_28": "「ありがとうございます。局長……」",
"342000951_29": "「なんだと……何故、お前たちがッ!?\\n まさかジャンヌ様が――ッ」",
"342000951_30": "「……そうだ。ジャネットは私だけではなく、全員を……。\\n 彼女は誰よりも優しいからな……」",
"342000951_31": "(……ありがとう、ジャネット……)",
"342000951_32": "(ジャネットの剣……)",
"342000951_33": "「それを拾ってどうするつもりですか。\\n その剣はジャンヌ様だけのもの。あなたなんかが手にしても――」",
"342000951_34": "「――私と共に行こう。ジャネット――」",
"342000951_35": "「聖女の、輝き……だとッ!?」",
"342000951_36": "(――天使様たちに、神の祝福があらんことを――)",
"342000951_37": "「これは――」",
"342000951_38": "「暖かい力が、溢れて――」",
"342000951_39": "「……ジャネット、力を貸してくれたのか」",
"342000951_40": "「聖女の力……祝福……ふざけるなあああッ!!\\n それは私にこそ相応しいものおおおッ」",
"342000951_41": "「聖女は私の、私だけのものッ!\\n その力もその想いもその祝福もおおおッ」",
"342000951_42": "「殺す殺す殺すッ! 皆殺しだッ!\\n 貴様ら全員、殺して殺して殺しつくしてやるうううッ」",
"342000951_43": "「まるで人間の皮を破るように……」",
"342000951_44": "「中から怪物が出てきやがった……」",
"342000951_45": "「なんか赤黒い煙を吐き出してますよ……ッ!」",
"342000951_46": "「散々、人を悪魔呼ばわりしていたが、\\n どうやらお前こそ悪魔だったようだな……」",
"342000951_47": "「その醜悪な欲望、ここで断ち斬ってやろうッ」",
"342000951_48": "「本当、醜いったらありゃしないわねー」",
"342000951_49": "「見苦しい嫉妬なワケダ」",
"342000951_50": "「ジャンヌさんの想い、確かに感じますッ!\\n 温かいこの力があれば、絶対に負けませんッ」",
"342000951_51": "「悪魔は天使に倒されるって、昔から決まってんだよッ!」",
"342000951_52": "「そんな姿で聖女の祝福を受けようだなんて、\\n 浅ましいにも程があるわね」",
"342000951_53": "「外見と中身がやっと一致したね。お似合いだよッ!」",
"342000951_54": "「――さあ、化物退治だッ! 行くぞ、お前たちッ!」",
"342000951_55": "「1番、ガリィちゃん、いっきまーすッ!」",
"342000951_56": "「派手に散るがいいッ!」",
"342000951_57": "「その醜いお顔を、整形してあげますわッ!」",
"342000951_58": "「トリはあたしなんだゾッ!」",
"342000951_59": "「見るに耐えないな、その姿は。\\n 美しくあってほしいね、せめて散り際くらいは」",
"342000951_60": "「ぐううううッ!? 黙れ黙れ黙れ黙れえええええッ!」",
"342000951_61": "「ジャネット……見ているか。",
"342000951_62": " ――これがお前から貰った力、祝福の輝きだッ!」"
}

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@ -0,0 +1,20 @@
{
"342000952_0": "「……私は、聖女、を……」",
"342000952_1": "「ジャネットはお前のものにはならない。\\n 彼女は、私の大切な友なのだからな……」",
"342000952_2": "「サン、ジェル……マンめえええ……――」",
"342000952_3": "「ジャネット……ありがとう」",
"342000952_4": "「温かくて、すごい力でしたね……」",
"342000952_5": "「ああ、力が溢れていた。疲労も何もかも無くなって……」",
"342000952_6": "「ジャネットが私たちに力を貸してくれたんだろう」",
"342000952_7": "「でも、あーしたちも絶好調じゃなかった?」",
"342000952_8": "「それは感じたワケダ」",
"342000952_9": "「聖女の力が、わたしたちにも影響していたのかしら……?」",
"342000952_10": "「でもギアに変化はなかっただろ?」",
"342000952_11": "「それはそうだね」",
"342000952_12": "「高揚したんだよ、戦意が。\\n 効果があるのさ、聖女の指揮にはね」",
"342000952_13": "「ジャンヌ・ダルクのものだよ、その剣は。間違いなく。\\n だから付与された、戦意が。哲学兵装として」",
"342000952_14": "「そうかも知れません。ですが、私は哲学兵装よりも、\\n ジャネット自身の想いが、力をくれたと思っています」",
"342000952_15": "「……そうだな」",
"342000952_16": "「わたしも、同じです。\\n あの温かさは、哲学兵装だけじゃ説明できないって思います」",
"342000952_17": "「面白いね。いいんじゃないかな、それで。\\n そう思うならね、君たちが」"
}

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@ -0,0 +1,61 @@
{
"342001011_0": "新たな友と共に",
"342001011_1": "「よかった、よかったよー。\\n 消えたままだったら、どうしようかと思って……」",
"342001011_2": "「もう、いきなりどうしたの?\\n 緊張の糸が切れちゃったのかしら」",
"342001011_3": "「ま、まあ……心配かけたな……」",
"342001011_4": "「終わりよければ全てよしって言うだろ?\\n ほら、鼻水出てるぞ」",
"342001011_5": "「うわッ!?\\n おいッ あたしに鼻水つけるなよッ」",
"342001011_6": "「うう、ごべん……」",
"342001011_7": "「いいからまずは鼻をかめッ!」",
"342001011_8": "「全く、お前たちが消えたせいで、\\n オレ手ずから動く羽目になってしまった……」",
"342001011_9": "「そんなこと言って……寂しかったんじゃないですか?」",
"342001011_10": "「マスターを1人にはしないんだゾッ!」",
"342001011_11": "「そうね。マスターの寂しさを紛らわせるのが\\n 私たちの役目ですものね」",
"342001011_12": "「地味に1人が苦手だからな。マスターは」",
"342001011_13": "「――勝手にオレを寂しがり屋にするなッ!」",
"342001011_14": "「あーし、今回はほとんどいいところナシだったわ……」",
"342001011_15": "「最初の襲撃で消されてそのままだったワケダ」",
"342001011_16": "「それもそうなんだけど、消された先の世界で、\\n 次に来たのが局長よッ なんなのよ、もうッ」",
"342001011_17": "「あー、局長と2人は同情するワケダ……」",
"342001011_18": "「大変だったわね……」",
"342001011_19": "「いいんじゃないかな、もう少し僕に優しくても。\\n あるんだよ、僕にも繊細なところが」",
"342001011_20": "「……ここは……」",
"342001011_21": "「――ッ!? あなたはッ!?」",
"342001011_22": "「倒れていたんだよ、僕たちの傍にね。\\n 戻ってきたんだろう、あの光によって」",
"342001011_23": "(この子、もしかして、並行世界の――)",
"342001011_24": "「あなた、もしかしてジャンヌ・ダルクの子孫?」",
"342001011_25": "「え……あ、はい。\\n 正確には、家系の、ですが……」",
"342001011_26": "「まさか、こんな偶然が……?」",
"342001011_27": "「あの……何か?」",
"342001011_28": "「……妹さんは元気?」",
"342001011_29": "「はい……元気ですけど……?\\n あの、妹の知り合いですか……」",
"342001011_30": "「フフ、少し縁があっただけよ。\\n こんな偶然もあるのね」",
"342001011_31": "「2人とも、ありがとう。\\n 改めて礼を言わせて欲しい」",
"342001011_32": "「そんなッ!?\\n わたしの方こそ、たくさん助けてもらいましたッ」",
"342001011_33": "「言葉だけの礼などいらん。\\n どうせならあの城をオレによこすとか、形で示せ」",
"342001011_34": "「流石に私の一存でそれはできない。\\n 局長にでも頼んでみたらどうだ」",
"342001011_35": "「……あいつがそれを許可するわけないだろう」",
"342001011_36": "「スライディング土下座で頼んだら、\\n 思わずいいって言っちゃうかも知れないよッ」",
"342001011_37": "「ふざけるなッ! 誰がそんなことをするかッ!」",
"342001011_38": "「キャロルのスライディング土下座……。\\n 度は見てみたいものだ」",
"342001011_39": "「貴様……感謝しているのか、ケンカを売っているのか、\\n どっちなんだッ」",
"342001011_40": "「感謝に決まってるでしょう。\\n あなたたちのおかげで、私は前に進めたのだから……」",
"342001011_41": "「一緒に戦えて、よかったですッ!」",
"342001011_42": "「オレはこんな面倒ごとは二度とごめんだッ!」",
"342001011_43": "「そうか? 悪くないチームだったと思うが。\\n いつかまたこの人で組もう」",
"342001011_44": "「だから、ごめんだと言っているッ!」",
"342001011_45": "「えー、キャロルちゃん、そんなこと言わないで、\\n また一緒に組もうよー」",
"342001011_46": "「オレに馴れ馴れしくするなッ!」",
"342001011_47": "(……ジャネットもそうだったが、\\n 自分は良い友との出会いに恵まれているな……本当に",
"342001011_48": "「なんか、さっき3人で組むとか聞こえたわよね……?\\n あーし、ちょっとジェラっちゃうかも……」",
"342001011_49": "「わたしも気持ちは同じなワケダ……」",
"342001011_50": "「あの子、とうとうキャロルとも仲良くなっちゃったわね」",
"342001011_51": "「あのバカは誰とでも仲良くなるからな」",
"342001011_52": "「それがあいつのすごいところだろ?」",
"342001011_53": "「今日は記念日ですねー。\\n マスターにお友達ができた記念ー♪」",
"342001011_54": "「ケーキを切るならあたしの出番だゾッ!」",
"342001011_55": "「感動で派手に涙が出そうだ……」",
"342001011_56": "「さっきの拒否は、きっと照れ隠しですわよ」",
"342001011_57": "「思わないかい? 美しいと。\\n 人と人との友情はね」",
"342001011_58": "「はあ……。その、はい……」"
}

View file

@ -0,0 +1,32 @@
{
"342001111_0": "約束の旅立ち",
"342001111_1": "「暑ーいッ!\\n もう、お肌が焼けちゃうじゃないッ」",
"342001111_2": "「赤道直下の島だから、当たり前なワケダ」",
"342001111_3": "「もう少し進めば、集落があるはずよ。\\n そこで少し休憩させてもらいましょう」",
"342001111_4": "「もう、相変わらず局長ったら、\\n なんでもかんでもあーしたちに押し付けて……」",
"342001111_5": "「だけど、いつものことでしょう?\\n こうしている時が、番落ち着く気がするわ」",
"342001111_6": "「確かにいつものことなワケダ」",
"342001111_7": "「ふーん、そんなこと言って、\\n キャロルとあの装者の子の人がよかったんじゃないのー」",
"342001111_8": "「いつまでふてくされてるワケダ」",
"342001111_9": "「サンジェルマンが、『私には、カリオストロと\\n プレラーティしかいないわッ』って泣いて謝るまで」",
"342001111_10": "「そんなことがあったら逆に心配するワケダ……」",
"342001111_11": "「泣いて謝るのは無理だけど、\\n 戻ったら何かで埋め合わせでもするわ」",
"342001111_12": "「本当ッ!?\\n あーし最近、欲しいバッグがあってー」",
"342001111_13": "「現金なワケダ……」",
"342001111_14": "「……あれ? サンジェルマン、そのコートの中――」",
"342001111_15": "「ああ、これのことか」",
"342001111_16": "「……ミカエルの剣なワケダッ!?」",
"342001111_17": "「ええ、そうよ」",
"342001111_18": "「それ、この前の事件の重要参考物だからって、\\n 厳重に保管されてなかった……」",
"342001111_19": "「しかも局長が直接管理していたワケダ……」",
"342001111_20": "「まあ、細かいことはいいでしょう」",
"342001111_21": "「優等生のサンジェルマンが……」",
"342001111_22": "「まさかそんな発言をするだなんて驚きなワケダ……」",
"342001111_23": "「……たまには、そんな気分の時もあるのよ」",
"342001111_24": "(約束……こんな形になってしまって、すまないな。\\n だが、これでも喜んでくれるだろうか……",
"342001111_25": "「天使様ッ!\\n 約束、守ってくれてありがとうございますッ」",
"342001111_26": "「ジャネット……」",
"342001111_27": "(幻影か、幻聴か……あるいは、ただの願望か……。\\n ……だけど、そんなことはどうでもいいことね",
"342001111_28": "「共に行こうか、ジャネット」",
"342001111_29": "「はいッ! 天使様ッ!」"
}