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louis 2018-12-27 11:20:51 -05:00
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{
"320000111_0": "調神社の異変",
"320000111_1": "「新年、あけましておめでとうございます(デース)」",
"320000111_2": "「こうして4人でお正月を迎えられるなんて……」",
"320000111_3": "「おせちの準備もバッチリ」",
"320000111_4": "「調、調ッ!\\n この黄色いのはなんデスかッ」",
"320000111_5": "「月読さん、この黒いのって苦かったりしませんか……?」",
"320000111_6": "「切ちゃんが指差してるのは栗きんとん。\\n セレナ、それは黒豆。甘く煮てあるから大丈夫」",
"320000111_7": "「さあ、みんなで調の作ってくれた\\n おせちをいただきましょう」",
"320000111_8": "「いただきまーす(デス)」",
"320000111_9": "「アタシは数の子というものからいくデスッ!\\n ……おおッ、プチプチするデス」",
"320000111_10": "「あ、本当だ、甘い。\\n 姉さん、この黒豆おいしいよ。食べてみて」",
"320000111_11": "「ええ、いただくわ。\\n ……流石、調ね。見事な味付けだわ」",
"320000111_12": "「よかった……」",
"320000111_13": "「ほら切歌、もっとバランスよく食べなさい。\\n セレナ、あなたも。甘いのばかりじゃダメよ」",
"320000111_14": "「――こちら現場です。\\n 見ての通り、周囲はお正月の参拝で大盛況です」",
"320000111_15": "「……すごい人の数」",
"320000111_16": "「そういえば、クリス先輩たちも\\n 初詣に行くとか言ってたデスね」",
"320000111_17": "「うん。クラスのお友達と集まって行くって」",
"320000111_18": "「初詣……って、何をするんだろう……?」",
"320000111_19": "「お賽銭を神さまに渡して、便宜を図ってもらうデスよ」",
"320000111_20": "「う、うーん……。間違ってないけど、ちょっと違うような……」",
"320000111_21": "「なんだか後ろ暗い取引みたいですね……」",
"320000111_22": "「参拝をして、その年が良い年になるように祈るのよ。\\n 今年も良いことがありますように、ってね」",
"320000111_23": "「今年1年、良いことがありますように、かぁ……」",
"320000111_24": "「……行ってみたいの?」",
"320000111_25": "「うん……。ダメ、かな?」",
"320000111_26": "「全然ダメじゃないデスよッ!\\n みんなで初詣へ出かけるデース」",
"320000111_27": "「そうだね。あ、それなら――」",
"320000111_28": "「さ、行きましょうか」",
"320000111_29": "「ここに来るのも久しぶりデスね」",
"320000111_30": "「うん……。宮司さん元気かな?」",
"320000111_31": "「えッ!? 調(しらべ)神社って、\\n 月読さんと同じ名前ですね」",
"320000111_32": "「違うデスよ。これはなんとッ!\\n 調つき神社って読むデスッ」",
"320000111_33": "「調(つき)神社……。そうなんですね。\\n ここってどんな神社なんですか」",
"320000111_34": "「前に、少しお世話になったことがあるの。\\n 色々と厄介なことがあって」",
"320000111_35": "「フフ、ここはウサギさんがたくさんいるのよ。\\n きっとセレナも気に入るわ」",
"320000111_36": "「えッ、どこどこッ!?」",
"320000111_37": "「えっと、まずそこの入り口の所に狛兎が――。あれ?」",
"320000111_38": "「ウサギが家出したデスかッ!?」",
"320000111_39": "「置物が家出はしないと思うけど……。でも変ね。\\n 前はここに狛兎がいたのに……」",
"320000111_40": "「……あ、境内の方にはあるみたいだよ」",
"320000111_41": "「そう。清掃か何かにでも出しているのかしら。\\n まあいいわ、それじゃそっちに行ってみましょう」",
"320000111_42": "「わぁ……。本当にウサギさんがいる。\\n 可愛いな」",
"320000111_43": "「でしょう?」",
"320000111_44": "(フフ、セレナも喜んでる……。\\n はしゃぐセレナも可愛いわね",
"320000111_45": "「おおー、流石の人出デスね……」",
"320000111_46": "「お正月だけあって、みんな参拝にきてるみたい」",
"320000111_47": "「時期が時期だからね。\\n さあ、まずは参拝を済ませましょうか」"
}

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@ -0,0 +1,73 @@
{
"320000121_0": "「…………」",
"320000121_1": "「おお……。調、カッコいいデス」",
"320000121_2": "「二礼二拍手一礼ね。\\n そんな作法、よく知っているわね、調」",
"320000121_3": "「この前来た時、宮司さんに教わって、\\n それから自分でも調べてみたんだ」",
"320000121_4": "「調、調ッ! アタシにも教えてほしいデスッ!」",
"320000121_5": "「わたしも教えてほしいです」",
"320000121_6": "「フフ、それじゃみんなで調に教わりましょうか」",
"320000121_7": "「う、うん。えっと、最初はこうして2回礼をして――」",
"320000121_8": "「こうデスか?\\n あ、お賽銭はいつ入れればいいんデスかね」",
"320000121_9": "「あの、お願いっていつするんでしょう……?」",
"320000121_10": "「お賽銭は最初に。\\n お願いは最後の一礼の時に――」",
"320000121_11": "「ほうほう。このご時世、お若いのに正式な参拝のやり方を\\n 心得ているとは……」",
"320000121_12": "「あなたたちを見ていると、生き別れになった娘夫婦の孫を\\n 思い出しますな」",
"320000121_13": "「そ、そうなんですか? 生き別れのお孫さんが……」",
"320000121_14": "「セレナ、これは違うデスよ」",
"320000121_15": "「うん、また神社ジョーク……」",
"320000121_16": "「……しかも前は事故で亡くなったって言ってたわよね」",
"320000121_17": "「え? え?」",
"320000121_18": "「おお、これはみなさんでしたか。相変わらずお元気そうで\\n 何よりです。ところで、こちらのお嬢さんは……」",
"320000121_19": "「……わたしの妹なんです。\\n 普段はちょっと遠くに住んでいるんですけどね」",
"320000121_20": "「<size=20>本当は、遠いどころの騒ぎじゃないデスけど……</size>」",
"320000121_21": "「<size=20>うん……</size>」",
"320000121_22": "「セレナって言います。\\n よろしくお願いします」",
"320000121_23": "「おお、これはご丁寧に。せっかくです。\\n 少し家の方でおもてなしをさせてもらえませんかな」",
"320000121_24": "「え? でも……」",
"320000121_25": "「いえ、わたしたちはお参りに来ただけなので、\\n そんなおもてなしを受けることなんて……」",
"320000121_26": "「実は、これでも<ruby=てんがいこどく>天涯孤独</ruby>の身でしてな。\\n 神社のこともあり、毎日寂しさで枕を濡らしているのです」",
"320000121_27": "「孤独な老人につかの間の団らんを味わせるボランティアと\\n 思って、少しだけでも寄っていってもらえませんかな……」",
"320000121_28": "「天涯孤独……?」",
"320000121_29": "「結局孫はいるのかいないのかどちらなんデスかね……?」",
"320000121_30": "「マリア姉さん……。少しくらいなら……」",
"320000121_31": "「……もう、仕方ないわね。\\n それじゃ、少しだけ寄らせてもらいましょうか」",
"320000121_32": "「おお、それはそれは。では、こちらへどうぞ。\\n すぐにお茶とカヌレを用意しますからな」",
"320000121_33": "「そこは和菓子じゃなくてカヌレなんだ……」",
"320000121_34": "「おいしければなんでもいいデスッ!」",
"320000121_35": "「うわぁぁ……。おいしいね、マリア姉さん」",
"320000121_36": "「喜んでいただけて何よりですぞ。\\n これでもフランス料理には少々自信がありましてな」",
"320000121_37": "「日本の宮司さんがどうしてフランス料理に\\n 明るいのかしらね……」",
"320000121_38": "「それは企業秘密ということで」",
"320000121_39": "「企業関係ないデス」",
"320000121_40": "「でも、おいしいのは確か」",
"320000121_41": "「確かに、前のキッシュもおいしかったデスッ!」",
"320000121_42": "「おお、それならこの次はそれもご用意しましょう」",
"320000121_43": "「それにしても、流石に盛況していますね。\\n お正月はいつも」",
"320000121_44": "「ええ。おかげさまで儲かっておりますよ」",
"320000121_45": "「生々しいデス……」",
"320000121_46": "「ですが、少々困ったことも……」",
"320000121_47": "「困ったこと?」",
"320000121_48": "「ええ。実は色々とよくないことがありましてな。\\n もう連日働きづめです」",
"320000121_49": "「大丈夫ですか……?」",
"320000121_50": "「ありがとう、大丈夫ですよ。こんな風にお茶とお菓子を\\n 食べつつ、団らんを楽しむのが一番の休息ですから」",
"320000121_51": "「実は神社での盗難に加え、お正月のアルバイトをお願いして\\n いた巫女さんたちが一斉に謎の体調不良を訴え出ましてな」",
"320000121_52": "「盗難……? 警察には?」",
"320000121_53": "「もちろん届けましたが、一体狛兎なんてものをどうやって盗んだのか、\\n まったく見当もつきませんでねぇ」",
"320000121_54": "「狛兎……って、あの入口のやつデスかッ!?」",
"320000121_55": "「ええ。そうなんですよ。気づいたら忽然と。\\n 由緒正しい狛兎でして、ずっと大事に磨いてきたんですが……」",
"320000121_56": "「かわいそう……」",
"320000121_57": "「……おっと、神社が盗みやら不幸やらなんて縁起でも\\n ないですな。参拝客にはぜひ内緒でお願いします」",
"320000121_58": "「わたしたちも参拝客だけど……」",
"320000121_59": "「それはそれで。\\n いや、あなたたちはもう他人とも思えませんので」",
"320000121_60": "「狛兎が盗難ね……。確かにあんな重いもの盗むなんて――」",
"320000121_61": "「――今のッ!?」",
"320000121_62": "「境内の方デスッ!」",
"320000121_63": "「なんか変なのがいるデスよッ!」",
"320000121_64": "「みんなを助けないとッ!」",
"320000121_65": "「宮司さん、あなたは参拝客の避難をお願いッ!」",
"320000121_66": "「わ、わかりました」",
"320000121_67": "「マリア、S.O.N.G.には知らせたよッ!」",
"320000121_68": "「ありがとう。わたしたちはあれをなんとかしましょう」",
"320000121_69": "「うん」",
"320000121_70": "「Various shul shagana tron――」"
}

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@ -0,0 +1,27 @@
{
"320000131_0": "「状況はッ!」",
"320000131_1": "「調神社だけでなく、周辺の神社群でも\\n 同様の事態が起きているようですッ」",
"320000131_2": "「アガートラーム、シュルシャガナ、イガリマ戦闘開始ッ!\\n ガングニール、イチイバル、天羽々斬も交戦中ッ」",
"320000131_3": "「むう……。何が起こっているというんだッ!」",
"320000131_4": "「敵はノイズやアルカ・ノイズではないのだな?」",
"320000131_5": "「はい、ノイズの反応はありません。\\n 映像解析でも過去に同様の敵についての記録はありません」",
"320000131_6": "「未知の敵……」",
"320000131_7": "「だが、ノイズやアルカ・ノイズでないなら、こちらにも\\n やりようはあるッ」",
"320000131_8": "「装者はそのまま敵の対処、迎撃を続行ッ!\\n 敵の戦闘能力に注意しながら、分散しての迎撃を行わせろッ」",
"320000131_9": "「了解。こちらで情報のサポートをします」",
"320000131_10": "「続けて自衛隊に協力要請を出せッ!\\n 民間人の退避と、各神社周辺の封鎖を進めるんだッ」",
"320000131_11": "「了解しましたッ!\\n 急ぎ基地に連絡を入れますッ」",
"320000131_12": "「なんとかこれで迎撃までの時間が稼げればいいが……」",
"320000131_13": "「マリアさんたちから救援要請ッ! 苦戦していますッ!\\n 響ちゃんたちもッ」",
"320000131_14": "「なんだとッ!」",
"320000131_15": "「デースッ!」",
"320000131_16": "「なんだか、すごく戦いにくい感じがします……」",
"320000131_17": "「……閉鎖空間で戦った時に似てる気がする。\\n 上手く調律できなくて、攻撃が当たりにくい感じ……」",
"320000131_18": "「だとすれば、取れる手段はそれ相応の大火力で一点突破かしら」",
"320000131_19": "「うん。でも――」",
"320000131_20": "「避難が間に合ってないデスッ!\\n 下手な攻撃をすると、参拝客に当たっちゃうデスよッ」",
"320000131_21": "「……そうね。まったく、やりにくい相手だわ……」",
"320000131_22": "「姉さんッ!\\n 敵が参拝客の方にッ」",
"320000131_23": "「――させないッ!」",
"320000131_24": "「調ッ! 1人で突出しては――」"
}

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@ -0,0 +1,24 @@
{
"320000132_0": "「はあ――ッ!」",
"320000132_1": "「参拝客は逃がせたけど……」",
"320000132_2": "「調ッ! 今行くデスッ!」",
"320000132_3": "「くッ! 邪魔をしないでッ!」",
"320000132_4": "「月読さんッ!」",
"320000132_5": "「みんなが来るまで、\\n なんとかやってみせるッ」",
"320000132_6": "「はあああッ!」",
"320000132_7": "「――そんなッ!?」",
"320000132_8": "「調―――ッ!!」",
"320000132_9": "「……え、今のは……?」",
"320000132_10": "「…………」",
"320000132_11": "「……ウサギ?」",
"320000132_12": "「ウサギが調を助けたデスッ!?\\n なんの恩返しデスかッ」",
"320000132_13": "「義理堅いウサギさんなんですかね?」",
"320000132_14": "「うーん……。\\n ウサギに恩を売った覚えはないけれど……」",
"320000132_15": "「とにかく詮索は後よッ!\\n 避難も済んだみたいだし、一気に片づけましょうッ」",
"320000132_16": "「状況終了。なんとか被害は最小限に抑えられましたね」",
"320000132_17": "「自衛隊の動きが早かったのも、助かりました」",
"320000132_18": "「ああ、そうだな。\\n しかし、事件の全容は全くわかっていない……」",
"320000132_19": "「エルフナインくん」",
"320000132_20": "「はい。情報を収集して、事態の分析につとめます」",
"320000132_21": "「頼む。これで終わりとは思えない。\\n 各自、十分に警戒してくれ」"
}

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@ -0,0 +1,98 @@
{
"320000211_0": "2羽のウサギ",
"320000211_1": "「……よしよし」",
"320000211_2": "「……」",
"320000211_3": "「おおッ、すごく調に懐いてるデス。\\n まったく離れないデスよ」",
"320000211_4": "「こうして見ていると、普通のウサギさんですよね。\\n ……モフモフしてて可愛いですッ」",
"320000211_5": "「ええ。でもさっき調を護った不思議な力……。\\n 見た目通りの動物でないのは確かね」",
"320000211_6": "「超常的な生き物だし、危険があるかもしれないわ。\\n 一度、S.O.N.G.で検査をした方が――」",
"320000211_7": "「調ッ! アタシも撫でたいデスッ!」",
"320000211_8": "「わたしもお願いします」",
"320000211_9": "「わ〜、思った通りフワフワです……ッ!」",
"320000211_10": "「……あなたたち、不用意に触れたら\\n 危ないかもしれないでしょッ」",
"320000211_11": "「そんなことないよ。ほら、姉さんも。\\n フワフワしててすごく手触りもいいよ」",
"320000211_12": "「……そ、そんなに? それなら、少しだけ……」",
"320000211_13": "「――これはッ!?」",
"320000211_14": "「…………?」",
"320000211_15": "「た、確かにフワフワ、モコモコで癖になるッ!?」",
"320000211_16": "「マリアもすっかり虜デスね」",
"320000211_17": "「みなさん、よかった。無事だったのですね」",
"320000211_18": "「あ、宮司さん」",
"320000211_19": "「そっちも無事で何よりデス」",
"320000211_20": "「ありがとうございました。\\n みなさんのおかげで、参拝客の被害もほとんどありませんでした」",
"320000211_21": "「そうですか。それはよかったです」",
"320000211_22": "「しかし、そのウサギは……?」",
"320000211_23": "「…………」",
"320000211_24": "「さっき、戦いの時に不思議な力でわたしを助けてくれたんです」",
"320000211_25": "「見た目通りの動物ではないので、\\n こちらで保護しようかと」",
"320000211_26": "「ええ、それがいいかと思います」",
"320000211_27": "「ありがとうございます。\\n では、一度この子たちを連れてS.O.N.G.の方へ――」",
"320000211_28": "「……ッ!」",
"320000211_29": "「あッ!?」",
"320000211_30": "「ウサギがマリアから逃げたデスッ!」",
"320000211_31": "「ど、どうしてなのッ!?」",
"320000211_32": "「それならわたしが……」",
"320000211_33": "「あれ?」",
"320000211_34": "「動きませんね……? 神社にいたいのかな?」",
"320000211_35": "「入口の方に連れていこうとすると逃げるみたい。\\n どうしてだろう」",
"320000211_36": "「わかりませんが、この調神社は神の使いとして\\n ウサギを祀っております」",
"320000211_37": "「このウサギたちは、神社を守るために神様が\\n 使わしてくれたのかも知れませんな……」",
"320000211_38": "「この神社を守るために、神社から出たくないってことデスか」",
"320000211_39": "「でも、それじゃあ調べてもらうこともできないですね……」",
"320000211_40": "「仕方ないわ。\\n とりあえずS.O.N.G.に連絡して指示を仰ぎましょう」",
"320000211_41": "「……はい、わかりました」",
"320000211_42": "「とりあえず、このウサギについては保留ってことになったわ。\\n 下手に動かしたほうが危ないかもって判断みたい」",
"320000211_43": "「それとわたしたちだけど――。あの、宮司さん」",
"320000211_44": "「はい、なんでしょう?」",
"320000211_45": "「さっきの魔物の件ですが、ここだけじゃなくて、周辺の神社群で\\n 同じようなことが起きていたみたいなんです」",
"320000211_46": "「なんとッ!\\n それは由々しき事態ですな……」",
"320000211_47": "「ええ。それで、異変が収まるまで、民間人の神社参拝は\\n 控えてもらえないでしょうか」",
"320000211_48": "「……致し方ないでしょうね。\\n 危険に巻き込むわけにはいきません」",
"320000211_49": "「ありがとうございます。それと、できれば宮司さんも\\n その間は避難してもらいたいんですが……」",
"320000211_50": "「すみませんが、それはお断りします。\\n この神社を守るのが私の役目ですからな」",
"320000211_51": "「……神社本庁からの要請があっても、ですか?」",
"320000211_52": "「ええ。どちらにしても老い先短いこの身です。\\n 誰に言われようと、曲げるつもりはありません」",
"320000211_53": "「……仕方ないですね。どちらにしても、当分は警戒が必要ですし、\\n わたしたちがなるべくここに来るようにします」",
"320000211_54": "「……申し訳ありませんな」",
"320000211_55": "「いえ、大切な場所を守りたいという気持ちは、\\n わからないでもないですから」",
"320000211_56": "「それじゃ当分神社に通うデスか?」",
"320000211_57": "「ええ、そうしましょう」",
"320000211_58": "「それならまたウサギに会えるデースッ!」",
"320000211_59": "「うん、そうだね」",
"320000211_60": "「わあー……。わたし、ご飯をあげてみたいですッ!」",
"320000211_61": "「もう、あなたたちは……」",
"320000211_62": "「ご飯といえば、お茶も途中になりましたし、\\n そろそろ夕方、せっかくなら夕食もどうですかな」",
"320000211_63": "「えッ?」",
"320000211_64": "「大したお礼もできませんが、この神社を守ってくれたお礼に\\n ぜひ。自慢のキッシュをご馳走しますぞ」",
"320000211_65": "「おおッ!\\n またあれが食べられるんデスかッ」",
"320000211_66": "「宮司さんのキッシュ、確かにおいしかったよね」",
"320000211_67": "「そんなにおいしいんですか?」",
"320000211_68": "「ええ。\\n ……それならごちそうになります」",
"320000211_69": "「みなさん気に入っていただけていたようで、\\n これは宮司冥利につきますな」",
"320000211_70": "「宮司はお料理がメインのお仕事じゃないと思う……」",
"320000211_71": "「……。これは……」",
"320000211_72": "「何かわかったのか?」",
"320000211_73": "「はい、先ほどの敵ですが、\\n これの出現数に大きな差異があったようです」",
"320000211_74": "「周辺カメラからの映像と自衛隊撮影の各神社の様子、更に\\n 聞き込みなども合わせて分布について確認できたのですが――」",
"320000211_75": "「敵の出現数について、装者が迎撃に当たった場所が\\n 突出して多いようなんです」",
"320000211_76": "「……敵が装者を狙った、ということか?」",
"320000211_77": "「いえ、まだそこまでは。各部のカメラ映像などから見る限り、\\n 当初の出現数はほぼ同じだったようなのですが」",
"320000211_78": "「時間が経つにつれて、マリアさんたちのいた調神社に\\n 特に敵が集中して出現していたようです」",
"320000211_79": "「同じように他の装者たちが迎撃した神社も周囲と比べると、\\n 時間単位の出現数の増加が見られたみたいですね」",
"320000211_80": "「迎撃が遅れた神社は、出現数が増加しなかったので、\\n 被害が少なくて済んだようですが……」",
"320000211_81": "「なぜ、そういった状況になったのか、ということか」",
"320000211_82": "「何者かの作為でしょうか?」",
"320000211_83": "「装者に戦力を集中したってことは、それだけ装者を\\n 排除したかったということでしょうか」",
"320000211_84": "「……いや、それでは理屈が通らない」",
"320000211_85": "「ボクもそう思います。そもそもあの敵が神社群から出現した\\n 理由はなんなのか……。それ次第ではないでしょうか」",
"320000211_86": "「ああ。装者の妨害はイレギュラーだった。しかし、出現後\\n すぐに迎撃が行われた神社はたったつに過ぎない」",
"320000211_87": "「なんらかの目的があったとして、妨害のある2つよりも他を\\n 優先する方が理にはかなっている」",
"320000211_88": "「もちろん、妨害のあった2つの神社が、偶然より重要度の高い\\n 場所だった可能性もなくはないが……」",
"320000211_89": "「けれど、それでは最初の出現数と理屈が合いません」",
"320000211_90": "「そういうことだ。むしろこの前の戦況は、砂糖に群がるアリの\\n ような、思考ではなく本能的な反応を感じる」",
"320000211_91": "「敵が装者に群がった、ということか……」",
"320000211_92": "「はい。何者かの思考が介在したというより、思考ではない、\\n 本能的、自動的な反応ではないでしょうか」",
"320000211_93": "「黒幕や操っている者がいないと、まだ決まったわけではないが、\\n なんらかの事故や不測の事態がきっかけという可能性もある」",
"320000211_94": "「些細な情報も見逃さず、続けて情報の収集に努めてくれ」",
"320000211_95": "「了解」"
}

View file

@ -0,0 +1,43 @@
{
"320000221_0": "「Balwisyall Nescell gungnir tron――」",
"320000221_1": "「響ちゃん、その神社周辺の掃討をお願いッ!」",
"320000221_2": "「了解ですッ! はあ――ッ!」",
"320000221_3": "「立花も着いたか。雪音も既に戦闘に入っている。\\n ……わたしも、後れを取るわけにはいくまいッ」",
"320000221_4": "「――せいッ!」",
"320000221_5": "(……それにしても、この違和感はなんだ?\\n 前回に比べ、数が少なすぎる……",
"320000221_6": "(それに、敵の出現に意図が見えない。統制もなく、\\n ただ暴れるだけ。対処に難はなく助かるが――",
"320000221_7": "「――ッ!?\\n ……このタフさだけは、どうもな」",
"320000221_8": "「あたしの前に立ったことを、後悔しやがれッ!」",
"320000221_9": "「チッ、相変わらず攻撃が効きやしねぇ……」",
"320000221_10": "(それにしても、どうなってんだよ。あたしらの方は、\\n それぞれ数体のみの出現なのに、あいつらの方は――",
"320000221_11": "「……さっさと倒して、援護に行った方が吉か。\\n あそこに何があるんだろうな……」",
"320000221_12": "「団体さんのお出ましデスッ!」",
"320000221_13": "「調と切歌は10時の方向ッ!\\n 人で囲みを破ってッ」",
"320000221_14": "「了解」",
"320000221_15": "「了解デースッ!」",
"320000221_16": "「セレナはわたしと2人の援護ッ!\\n 囲みが破れたらそこから脱出して一度体制を立て直すわよッ」",
"320000221_17": "「うん。わかった」",
"320000221_18": "「こいつを、食らえデスッ!」",
"320000221_19": "「はあ――ッ!」",
"320000221_20": "「今よッ!\\n 包囲を抜けるわッ」",
"320000221_21": "「うんッ!\\n え、あ――ッ」",
"320000221_22": "「――ッ!? ウサギさんッ!」",
"320000221_23": "「あ、ありがとう。\\n ウサギさん。月読さん」",
"320000221_24": "「それより、早くッ!」",
"320000221_25": "「はいッ!」",
"320000221_26": "「囲まれた状態からは脱したものの、\\n なんでこんなに敵だらけなんデスかッ」",
"320000221_27": "「ウサギさんたちもいるから、\\n 助かってはいるけど……」",
"320000221_28": "「厳しい状況ですよね……」",
"320000221_29": "「大技が使える分、数を減らすことができているはずなのに……、\\n 次から次へと増えるのはどうしてなのかしら」",
"320000221_30": "S.O.N.G.によるとここに敵が集まっているって\\n 話だけど……。まさかあのウサギを狙って",
"320000221_31": "(いえ、違うわね……。敵の動きを見ても、ウサギを狙って\\n いるようには見えない。ならどうして――",
"320000221_32": "「はあ――ッ!」",
"320000221_33": "「……あれ?」",
"320000221_34": "「どうしたの、調?」",
"320000221_35": "「あの敵を倒すと、黒い霧みたいになるよね?」",
"320000221_36": "「ええ、そうね」",
"320000221_37": "「……気のせいかもしれないけど、その霧が地面に染み込み\\n ながら、向こうへ流れていったような……」",
"320000221_38": "「向こう……って、敵が多い方向デスよ?」",
"320000221_39": "「どういうことでしょう……?」",
"320000221_40": "「……確認しましょう。\\n 全員で一気に畳み掛けるわよッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,16 @@
{
"320000232_0": "「行くわよッ!\\n はああああ――ッ」",
"320000232_1": "「デストローイッ!」",
"320000232_2": "「はあ――ッ!」",
"320000232_3": "「アガートラームッ!」",
"320000232_4": "「これでどうッ!?」",
"320000232_5": "「霧が……。調の言う通り地面に吸い込まれるデスッ!」",
"320000232_6": "「向こうに何が……?」",
"320000232_7": "「確かめるわよッ!」",
"320000232_8": "「うん、行こうッ!」",
"320000232_9": "「これ……ッ!?」",
"320000232_10": "「どうやら、魔物はここから現れていた……、\\n いえ、循環していたのかもしれないわ」",
"320000232_11": "「倒した魔物が復活してたってことデスかッ!?」",
"320000232_12": "「姉さん、これって……」",
"320000232_13": "「『要石』よ。文字通り、この国の龍脈の要……」"
}

View file

@ -0,0 +1,17 @@
{
"320000241_0": "「要石……だとぉッ!?」",
"320000241_1": "「ええ、倒した敵は恐らくだけど龍脈に戻り、\\n 要石から魔物として出現していたのかもしれない」",
"320000241_2": "「……今は落ち着いたけど、またいつ現れるかわからないわ」",
"320000241_3": "「わかった。すぐに調査部を動かす。\\n マリアくんたちは引き続き調神社の警護に当たってくれ」",
"320000241_4": "「まさかここで龍脈とは……」",
"320000241_5": "「場所の照合、完了しました。\\n 敵の発見報告と要石のある神社は確かにリンクしています」",
"320000241_6": "「……ですが、関東近辺以外での魔物の出現報告はありません。\\n 私たちが気づいていないだけでしょうか……」",
"320000241_7": "「確かに、地方にはカメラネットワークの足りない場所も\\n あるが……どうだろうな」",
"320000241_8": "「ッ!? ちょっと待ってくださいッ!」",
"320000241_9": "「どうした?」",
"320000241_10": "「ここと……ここ、それにこの場所――ッ! やっぱりッ!」",
"320000241_11": "「オリオン座ですッ!」",
"320000241_12": "「敵が出現したのは以前、パヴァリア光明結社との戦いの時、\\n 要石を発動させた範囲内の神社なんですッ」",
"320000241_13": "「『神いずる門』として龍脈を操作された氷川神社群にだけ、\\n あの敵が現れているんですッ」",
"320000241_14": "「あの時の……だとッ!? くッ、すぐに神社本庁にも確認を\\n 取るんだッ 龍脈の監視状況についても問い合わせろッ」"
}

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@ -0,0 +1,19 @@
{
"320000242_0": "「調査部からの報告書、それに神社本庁からの回答が届いた。\\n やはり……龍脈の異常が見られるとのことだ」",
"320000242_1": "「それは、人為的なものってことですか?\\n まさかまた錬金術師とか……」",
"320000242_2": "「いえ、それらしき報告はあがっていません。\\n それより、この現象について気になることが」",
"320000242_3": "「装者のみなさん、特に複数の神社の討伐に当たった響さん、\\n 翼さん、クリスさんの名になりますが――」",
"320000242_4": "「『だんだんと敵が弱くなっているように感じる』と報告が\\n あったんです」",
"320000242_5": "「弱くなっている?\\n マリアくんたちからはそんな報告はなかったが……」",
"320000242_6": "「はい。それでこちらでも詳しく各神社と今回の異変について\\n 調べてみたところ――」",
"320000242_7": "「被害の多さ、それに弱く感じたという敵の出現した神社の\\n 位置、龍脈の乱れの収まり、これらが一致したんです」",
"320000242_8": "「それは……まさか敵が暴れ、被害が出た場所ほど龍脈が\\n 正常化しているということかッ」",
"320000242_9": "「そんな……」",
"320000242_10": "「はい、そうです。そして龍脈の乱れの少ない場所ほど、\\n 敵の数、質ともに弱いものと思われます」",
"320000242_11": "「それじゃあ、まさかこれは龍脈による自浄作用……」",
"320000242_12": "「龍脈の操作と遮断によるストレスが、\\n 敵という形になって噴出した……」",
"320000242_13": "「被害が出なくては終わらない、ということかッ!?\\n そんなもの、容認できるわけないだろうッ」",
"320000242_14": "「問題はそれだけで済みません。\\n マリアさんたちが重点的に守っていた調神社ですが」",
"320000242_15": "「……ここについては当初とは比べ物にならないほど、\\n 龍脈の乱れが大きくなっているようです」",
"320000242_16": "「なん……だとッ!? 守ったことで、より大きな異変の\\n 原因を作ってしまったというのかッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,41 @@
{
"320000251_0": "「――という報告が入ったわ」",
"320000251_1": "「そんなのってないデスよッ! ここ何日も、アタシたちは\\n この調神社を必死に守ってきたデスよッ」",
"320000251_2": "「わたしたちが戦ったことで、\\n より事態が深刻になるだなんて……」",
"320000251_3": "「でも、今更守るのをやめたりしたら――」",
"320000251_4": "「――周辺に大きな被害が出るでしょうね。\\n あの数の敵が街中に溢れることになるわ」",
"320000251_5": "「そんなのダメデスよッ!\\n やっぱり守らないと――」",
"320000251_6": "「でも、このままだと、いつかわたしたちでも\\n 抑えられなくなるかもしれない……」",
"320000251_7": "「そうね。今でもかなりギリギリ……。\\n 翼たちも含めて、全員で対処したとしても、いつかは――」",
"320000251_8": "「そんな……」",
"320000251_9": "「それじゃどうすればいいんデスか……」",
"320000251_10": "「さあ、みなさん。キッシュが焼きあがりましたぞ。\\n 今日のレシピも自信作です」",
"320000251_11": "「……おや、暗い雰囲気ですが、何かありましたかな?」",
"320000251_12": "「……宮司さんも当事者ですものね。\\n 今の状況についてお話します――」",
"320000251_13": "「……なるほど、そういった状況でしたか」",
"320000251_14": "「はい。だから、ごめんなさい……」",
"320000251_15": "「……頭を上げてください。\\n あなたたちは何も悪くありません」",
"320000251_16": "「みなさんが守ってくれたおかげで、私も生きておりますし、\\n こうして調神社も健在。何を謝ることがありましょうか」",
"320000251_17": "「けれど、あの魔物が増えているのは、\\n わたしたちが――」",
"320000251_18": "「そんなことはありません。ここまで被害が無いのは紛れもなく\\n みなさんのおかげです」",
"320000251_19": "「例え早くこの異変が収まるとしても、被害が出るということは\\n 誰かが悲しむということ。それを是としてはいけません」",
"320000251_20": "「今現在、あなたたちの頑張りで被害が出ていないこと。\\n これが大事なのです」",
"320000251_21": "「……ありがとう」",
"320000251_22": "「いいえ、私こそ本当にありがとうございます」",
"320000251_23": "「でも、何か方法を見つけないと、このままだと\\n いつかあの魔物を抑えられなくなるデスよ……」",
"320000251_24": "「それなんですが……。少々待っていていただけますかな?」",
"320000251_25": "「なんだろう……?」",
"320000251_26": "「お待たせしました。\\n これを見ていただけますかな」",
"320000251_27": "「これは……。かなり古い本ですね?」",
"320000251_28": "「はい、この神社に伝わる、古文書の類ですよ」",
"320000251_29": "「み、ミミズが並んでて読めないデス……」",
"320000251_30": "「……なんて書いてあるんだろう?」",
"320000251_31": "「……ま、マリアなら――」",
"320000251_32": "「ええッ!? わ、わたしだってこんなに達筆な文字、\\n 読んだことないわよッ」",
"320000251_33": "「おお、これは失礼いたしました。\\n では、僭越ながら内容について説明いたしましょう」",
"320000251_34": "「この書は龍脈について書かれた物でしてね」",
"320000251_35": "「龍脈ッ!?」",
"320000251_36": "「ええ。『龍の気、乱れし刻、穢れ出現す。穢れ鎮まらざれば、\\n 大きな凶となり、災禍の魔、大地を穢す』とあります」",
"320000251_37": "「そ、それって――」",
"320000251_38": "「龍脈の乱れ、魔物のような敵、まさに今の事態に合致している、\\n そうは思いませんかな」"
}

View file

@ -0,0 +1,62 @@
{
"320000311_0": "龍脈の乱れ",
"320000311_1": "「よし、全員揃ったな。 ブリーフィングを始めるぞ」",
"320000311_2": "「内容は今現在問題になっている、神社群に現れる、\\n 『災禍の魔物』についての話だ」",
"320000311_3": "「災禍の魔物……ですか?」",
"320000311_4": "「ああ。今まではただ敵と呼称していたが、マリアくんたち\\n から受け取った情報を元に、そう呼称することとした」",
"320000311_5": "「マリアさんたちが調神社から借りてきてくれた古文書に、\\n 今回の異変と思われる内容の記述が見つかったんです」",
"320000311_6": "「曰く、『龍の気、乱れし刻、穢れ出現す。穢れ鎮まらざれば、\\n 大きな凶となり、災禍の魔、大地を穢す』」",
"320000311_7": "「なるほど……」",
"320000311_8": "「……な、なるほど?」",
"320000311_9": "「わからないなら、わからないって言った方がいいよ、響」",
"320000311_10": "「えっと、全然わかりません……」",
"320000311_11": "「龍の気、これはそのまま龍脈を\\n 表しています。それが乱れる、つまりは龍脈の乱れ」",
"320000311_12": "「氷川神社群については、先のパヴァリア光明結社との戦いで、\\n 龍脈を操作され、地上のオリオン座として利用されました」",
"320000311_13": "「それを防ぐために、要石による龍脈遮断を行ったのですが、\\n 龍脈とは大地を流れる大きな力です」",
"320000311_14": "「これに干渉すること、それがそのまま龍脈の乱れになります」",
"320000311_15": "「イメージとしては、溝を掘って川の流れを変えたり、\\n 川をせき止めたりしたようなものです」",
"320000311_16": "「わかったような、わからないような……」",
"320000311_17": "「お前、もう少し理解する努力をしろよな……」",
"320000311_18": "「えっと、続けますね。次に穢れですが、これは恐らく、\\n 神社周辺での気の乱れによる不幸や病気だと思われます」",
"320000311_19": "「実際に調神社でも、原因不明の体調不良に巫女さんが\\n 見舞われたりといったこともあったようです」",
"320000311_20": "「これが進行すると、次に大きな凶である災禍の魔というものが\\n 発生します。これがあの敵ということでしょう」",
"320000311_21": "「あ、だから災禍の魔物って呼び方になったんだ」",
"320000311_22": "「おお、確かにそうデスね」",
"320000311_23": "「もう、切ちゃん……」",
"320000311_24": "「響……」",
"320000311_25": "「そして最後の大地を穢す、についてですが、これは災禍の\\n 魔物が蓄積することで、何かが起きるということかと思います」",
"320000311_26": "「何かって、なんだ?」",
"320000311_27": "「それはわかりません。けれど、今までの状況を見る限りでは、\\n あまり良いことではないと思われます……」",
"320000311_28": "「……そうでしょうね」",
"320000311_29": "「でも、結局、魔物ってなんなんですか?\\n 穢れとか、気の乱れとか、なんだかふわふわしてるというか……」",
"320000311_30": "「魔物に関しては、\\n 神社に祀られているモが大きく影響していると考えている」",
"320000311_31": "「祀られているモノ……?」",
"320000311_32": "「神社では、多くの人々が参拝し、祈りをささげています。\\n 特に災厄が起きた場合にそれを収めるようになど」",
"320000311_33": "「つまり、神社に祀られているモノには、\\n 多くの人の『想い』が込められているんです」",
"320000311_34": "「人の強い想い……、それって――」",
"320000311_35": "「え? なになに?」",
"320000311_36": "「哲学兵装……」",
"320000311_37": "「はい、\\n 今回の穢れというのは、哲学兵装の呪いと同じモです」",
"320000311_38": "「それが、パヴァリア光明結社の戦いの影響を受けて、\\n 気が乱れ、出現した」",
"320000311_39": "「はい」",
"320000311_40": "「なるほど……」",
"320000311_41": "「これで、災禍の魔物については理解してくれたと思う。\\n 次に対策についてだが――」",
"320000311_42": "「基本的に普通に倒したのでは、数は減らないようだ。\\n それどころか、浄化できずにより穢れとして蓄積する」",
"320000311_43": "「実際に毎回魔物を迎撃していた、調神社周辺のみ、他とは\\n 比べ物にならない数の災禍の魔物が確認されています」",
"320000311_44": "「逆に迎撃が間にあわず、被害のあった場所については、\\n 穢れが浄化されたのか、魔物の出現も落ち着いている」",
"320000311_45": "「あの……。でもそれじゃ……」",
"320000311_46": "「そうだ。被害を容認する、これが1つめの解決法だ」",
"320000311_47": "「そんなことしたら、被害がッ!」",
"320000311_48": "「ああ、護るべき人々をむざむざ魔物の餌食にするなど、\\n 許されることではない」",
"320000311_49": "「そうだ。だからこの解決法は選べない。\\n だが、古文書には他の解決法についても記載があった」",
"320000311_50": "「それが、『巫女神楽』だ」",
"320000311_51": "「巫女神楽デスか?」",
"320000311_52": "「ああ、八乙女舞とも云うが、要は神に捧げる舞のことだ。\\n 古文書によれば、巫女神楽で災禍の魔物は鎮められるらしい」",
"320000311_53": "「ですが、災禍の魔物の性質を考えると、普通の人が\\n 舞を行おうとしても、襲われる危険が高いです」",
"320000311_54": "「そういうことだ。だから、この手についても実際は難しい」",
"320000311_55": "「だが、巫女神楽で鎮まるということは、捧げ物や祓い串など、\\n 神社関連の道具や作法で鎮める方法が他にもあるかもしれん」",
"320000311_56": "「状況的に見れば、古文書の内容は現状と一致しています。\\n なので、効果を見込める可能性は高いです」",
"320000311_57": "「ああ。そこで俺たちは神社本庁とも協力して、\\n 『鎮める』ことを目的とした道具や作法を調べようと思う」",
"320000311_58": "「その間、お前たちは引き続き神社のガードを続けてくれ。\\n やはり被害については容認できないからな」",
"320000311_59": "「わかりましたッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,28 @@
{
"320000321_0": "「相変わらずすごい数ね……」",
"320000321_1": "「うん……やっぱり倒しても、龍脈に戻っていってるみたい」",
"320000321_2": "「巫女神楽ができれば、なんとかなるのかな?」",
"320000321_3": "「古文書の通りならそのはずデスよね」",
"320000321_4": "「ええ。でも無い物ねだりをしても仕方ないわ。\\n 今はわたしたちにできることを――」",
"320000321_5": "「無い物ねだりではありませんぞ」",
"320000321_6": "「宮司さんッ!?」",
"320000321_7": "「ちょ……危ないデスよッ!」",
"320000321_8": "「下がってください、災禍の魔物が……」",
"320000321_9": "「ええ、だから来たのですよ。あれが古文書にある災禍の\\n 魔であるなら、それを鎮めるのは私の役目です」",
"320000321_10": "「……私もこの調神社の宮司として、見ているばかりは\\n できないのですよ」",
"320000321_11": "「……私がなんとか鎮めてみます」",
"320000321_12": "「掛けまくも畏き伊邪那岐の大神\\n 筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原に――」",
"320000321_13": "「禊祓給ひし時に、生り坐せる祓へ戸の大神たち、\\n 諸々の禍事・罪・穢れあらむをば――」",
"320000321_14": "「祓へ給ひ清め給へと、白すことを聞こし召せと、\\n 恐み恐みも白す……」",
"320000321_15": "「見るデスよッ!\\n 霧が、地面に戻らずに消えていくデスッ」",
"320000321_16": "「これが、鎮めの力……。\\n 今のうちになるべく多くの災禍の魔物を倒しましょうッ」",
"320000321_17": "「うん、姉さん」",
"320000321_18": "「宮司さん、すごい……」",
"320000321_19": "「――ッ!?\\n マズいわッ 魔物が――ッ」",
"320000321_20": "「恐み恐み――なッ!?」",
"320000321_21": "「くッ……霧がまたッ!」",
"320000321_22": "「今はどちらにしても倒すしかないよ」",
"320000321_23": "「そうデスよ、マリアッ!」",
"320000321_24": "「マリア姉さん」",
"320000321_25": "「わかってるわ。今は祝詞や舞が有効ってわかっただけでも\\n 収穫よ。さあ、一気に決めましょうッ」"
}

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@ -0,0 +1,37 @@
{
"320000332_0": "「切ちゃん、大丈夫?」",
"320000332_1": "「全然大丈夫……とは言えないデスね。\\n 流石に生傷が絶えないデス……」",
"320000332_2": "「うん……今日の戦いも大変だったもんね」",
"320000332_3": "「龍脈の乱れが拡大している、ということかしら。\\n わたしたちが戦ってしまうからでもあるんだけれど……」",
"320000332_4": "「でも、宮司さんの祝詞と舞は有効だったよね?」",
"320000332_5": "「ええ。おかげで、鎮めるという手段が間違いないことは\\n 確認できたわ。でも――」",
"320000332_6": "「……うん。やっぱり普通の人にあの場で舞をしてもらうのは\\n 危険すぎる。今回だってウサギさんたちが庇わなかったら――」",
"320000332_7": "「そうね。わたしたちがガードするにしても、ここまで\\n 敵の数が増えてしまっては、無理があるわ」",
"320000332_8": "「せっかく可能性が見えたんデスが……」",
"320000332_9": "「難しいですね……」",
"320000332_10": "「みなさん、先ほどはすみません。\\n いや、お恥ずかしいところを」",
"320000332_11": "「あ、宮司さん……」",
"320000332_12": "「……この子たちにも迷惑をかけてしまいましたな」",
"320000332_13": "「…………」",
"320000332_14": "「ですが、お願いです。\\n 次も私にやらせていただけませんか」",
"320000332_15": "「えッ!?」",
"320000332_16": "「それは流石に無理デスよッ!」",
"320000332_17": "「確かに無茶かもしれません。\\n ですが、私は宮司としてこの調神社を守りたいのです」",
"320000332_18": "「この神社を守るのが私の使命。\\n ならば、私が体を張らなければご先祖様にも顔向けできません」",
"320000332_19": "「でも……それは……」",
"320000332_20": "「古文書の通り、祝詞や舞は有効だったのでしょう?\\n 誰かがそれを行い、鎮める必要があるのではないですかな」",
"320000332_21": "「それはそうデスけど、やっぱり無茶デスよ。\\n 戦いながら舞ができるくらいじゃないと、とても――」",
"320000332_22": "「戦いながら……舞を……?」",
"320000332_23": "「調?」",
"320000332_24": "「……そうだッ! もしかしたら――」",
"320000332_25": "「何かいい方法を思いついたんですか?」",
"320000332_26": "「うん。……宮司さん、わたしたちに舞を教えてください」",
"320000332_27": "「一朝一夕では難しいのはわかっています」",
"320000332_28": "「だけど、災禍の魔物を鎮める神楽舞について、\\n 少しでも理解することができたなら――」",
"320000332_29": "「心象変化ね?」",
"320000332_30": "「うん。舞について理解して、鎮めるためのギアを\\n 発現させることができたなら――」",
"320000332_31": "「まさに、舞いながら戦えるってことデスかッ!」",
"320000332_32": "「すごいです、月読さん」",
"320000332_33": "「どこまで効果がでるかはわからないけどね。\\n ……宮司さん、お願いできますか」",
"320000332_34": "「わかりました。この老骨でよろしければ、\\n みなさんに神楽舞を伝授いたしましょう」"
}

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@ -0,0 +1,19 @@
{
"320000341_0": "「……♪」",
"320000341_1": "「よしよし……」",
"320000341_2": "「今日もフワフワデース……。\\n もう中毒になってるデスよ」",
"320000341_3": "「それにしても、やっぱり調に一番懐いてるデスね。\\n 気づくといつも調の傍にいるデス」",
"320000341_4": "「うーん、ツインテールがウサギみたいだからかな?」",
"320000341_5": "「どうデスかね?」",
"320000341_6": "「こう見ると普通のウサギみたいデスけど、\\n 普通のエサも水も全く食べないデスよね……」",
"320000341_7": "「うん。\\n でもどうして宮司さんのキッシュだけは食べるんだろう……」",
"320000341_8": "「キッシュばっかりなんて贅沢なウサギデス……」",
"320000341_9": "「そうだね」",
"320000341_10": "「フランス出身のウサギなんデスかね?\\n もしくは、すごくグルメなウサギとか」",
"320000341_11": "「出身とかあるのかなぁ……?\\n グルメ……もどうなんだろう」",
"320000341_12": "「謎は深まるばかりデース……」",
"320000341_13": "「でも、何度もわたしたちのことを護ってくれているし、\\n きっと悪いものとか危険なものじゃないよ」",
"320000341_14": "「同感デース」",
"320000341_15": "「……いつもありがとう」",
"320000341_16": "「……♪」"
}

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@ -0,0 +1,108 @@
{
"320000411_0": "巫女修業",
"320000411_1": "「疲れているところ、すまないな」",
"320000411_2": "「いえ、それより本題は何でしょうか?」",
"320000411_3": "「ああ、かねてからの災禍の魔物の件について、\\n 意見の交換をと思ってな」",
"320000411_4": "「前回の古文書のこともありましたし、\\n みなさんにも改めて聞き取りをした方がいいと思ったんです」",
"320000411_5": "「調神社については、敵の数と宮司さんが避難していないという\\n 状況もあるので、今回は警備の方を優先してもらいました」",
"320000411_6": "「そういうことだ。悪いが付き合ってくれ」",
"320000411_7": "「まずは各自の防衛状況と人的被害について\\n 改めて報告してくれるか」",
"320000411_8": "「えっと、わたしの担当神社は鳥居の一部が欠けたのと、\\n 近所のおじいちゃんが驚いて転んだくらいです」",
"320000411_9": "「鳥居は災禍の魔物が破壊したのか?」",
"320000411_10": "「えーと、その……い、勢いあまってッ!」",
"320000411_11": "「壊したのは響くんの方だったか……。\\n 未来くんはどうだ」",
"320000411_12": "「わたしも同じようなところです。\\n 建物に被害はでていませんが、偶然からのけが人が少し」",
"320000411_13": "「そうか……クリスくんは?」",
"320000411_14": "「けが人は出てない」",
"320000411_15": "「それは何よりだ。神社の方はどうだ?」",
"320000411_16": "「……ちょっと穴が開いた」",
"320000411_17": "「そ、そうか……本当にちょっとなのか?」",
"320000411_18": "「……数は多いけど、ひとつひとつの穴は小さいから、\\n ちょっとでいいんだよッ」",
"320000411_19": "(それは蜂の巣っていうんじゃ……)",
"320000411_20": "「つ、翼はどうだ?」",
"320000411_21": "「防衛対象の建物、人的被害共にほぼありません。\\n ただ――」",
"320000411_22": "「ただ?」",
"320000411_23": "「交戦中に電線を切断してしまいまして、\\n 付近一帯が停電になりました……」",
"320000411_24": "「……ま、まあ仕方ないだろう」",
"320000411_25": "「人的被害についてはおかげで軽微と言っていいだろう。\\n 建物も修繕すれば済む範囲……だとは思う」",
"320000411_26": "「それで、敵の数についてだが、やはり増えているか?」",
"320000411_27": "「……はい。戦えば戦うほど、敵の数は増えるようです」",
"320000411_28": "「なあ、このままだといつか無理が出るんじゃないか?」",
"320000411_29": "「確かに、だんだんと1人じゃ\\n さばききれなくなってきてる……」",
"320000411_30": "「……最悪、一時的にでも一部の土地の放棄も\\n 視野に入れるべきかもしれんな」",
"320000411_31": "「そんなのダメですッ!\\n 無理でもなんでもわたしたちが守りますッ」",
"320000411_32": "「よく言った立花。防人が守るべき場所を、人を捨てては、\\n なんの意味もない。放棄など、わたしも容認できません」",
"320000411_33": "「ああ、ここまで守ったんだ。放棄ってのはあたしも反対だ」",
"320000411_34": "「わたしも反対です。\\n 最後まで守り抜きたいです」",
"320000411_35": "「……お前たちの気持ちはわかった。\\n ならば、状況打開の一手が完成するまで、続けて防衛を頼む」",
"320000411_36": "「状況打開の一手?」",
"320000411_37": "「そんなもんあるのかよッ!?」",
"320000411_38": "「ああ、上手くいくかは半々だが、期待はできる」",
"320000411_39": "「つい先日の戦闘にて、宮司さんの協力により一部の災禍の魔物の\\n 浄化に成功したんです。それをもっと大規模化するために――」",
"320000411_40": "「マリアさんたちが『巫女型ギア』の心象訓練に入りました」",
"320000411_41": "「さて、それでは舞についてのお勉強を始めましょうか」",
"320000411_42": "「お願いします」",
"320000411_43": "「お願いするデース」",
"320000411_44": "「天照大神が岩戸に篭もってしまったのを、楽しい宴会で\\n おびき出したってお話なんですけれど」",
"320000411_45": "「ごめんなさい。不勉強です……」",
"320000411_46": "「いえいえ、そんなことはないですよ。舞の起源はその岩戸隠れの時、\\n アメウズメが舞った舞と言われています」",
"320000411_47": "(知らなかった……)",
"320000411_48": "(アメノ……なんちゃらって翼さんが持ってそうな名前デース……)",
"320000411_49": "「つまり舞とは、神に捧げられるものなのです。\\n 神への感謝、尊敬、そういった心が無くては、舞足りえません」",
"320000411_50": "「これは常に忘れないようにしてください」",
"320000411_51": "「感謝と尊敬の気持ち……」",
"320000411_52": "「さて、次に具体的に舞に使うものがあるのですが、\\n それについては知っておりますかな」",
"320000411_53": "「なんかこう、鈴がたくさんついた棒とかデスッ!」",
"320000411_54": "「正解ですぞ」",
"320000411_55": "「やったデスッ!」",
"320000411_56": "「扇とか……?」",
"320000411_57": "「えっと、ギザギザの紙のついたハタキみたいな……」",
"320000411_58": "「確か、植物なんかも無かったかしら?」",
"320000411_59": "「みなさん、正解です。\\n 他にも剣や弓といった武器的なものもありますな」",
"320000411_60": "「剣……」",
"320000411_61": "「なんか親近感がわくね、姉さん」",
"320000411_62": "「剣舞というものもありますからな」",
"320000411_63": "「か、鎌は無いデスかッ!」",
"320000411_64": "「鋸……」",
"320000411_65": "「流石に鎌や鋸を使った舞は私も知りませんな……」",
"320000411_66": "「これが格差社会というものデスか……」",
"320000411_67": "「わたしたちは日陰者なんだね、切ちゃん……」",
"320000411_68": "「……コホン。採物とは舞の際に持つ物のことを指し、\\n これは神の依り代とする意味があります」",
"320000411_69": "「何でなければいけない、というわけではないですが、\\n 舞の種類によっておおむね決まっているのが普通です」",
"320000411_70": "「色々あるデスね……」",
"320000411_71": "「さて、退屈な話はこれくらいにして、\\n 実技の方に参りましょうか」",
"320000411_72": "「……と、こんな感じです。\\n 足の運びからまず覚えるようにしてください」",
"320000411_73": "「……え、違う、こっちじゃなくて――」",
"320000411_74": "「ああッ!」",
"320000411_75": "「マリア姉さん、大丈夫?」",
"320000411_76": "「ええ……これは予想以上に難しいわね」",
"320000411_77": "「わたしもやってみる」",
"320000411_78": "「えっと、こうして……次にこっち――」",
"320000411_79": "「きゃッ!」",
"320000411_80": "「セレナッ!?」",
"320000411_81": "「だ、大丈夫……。確かに難しいね……」",
"320000411_82": "「次はアタシデスッ!\\n この華麗なステップを――」",
"320000411_83": "「わッ!」",
"320000411_84": "「痛いデス……」",
"320000411_85": "「もう、背伸びして無理するからよ?\\n さて、最後は調ね」",
"320000411_86": "「うん……自信はないけど……」",
"320000411_87": "「えっと、こっち……それからこうして――」",
"320000411_88": "「流石、調ッ! いい調子デスよッ!」",
"320000411_89": "「うん、ありがとう、切ちゃ――」",
"320000411_90": "「わッ!?」",
"320000411_91": "「どうやら集中が途切れてしまったようですな」",
"320000411_92": "「ごめんなさいデース……」",
"320000411_93": "「ううん、切ちゃんは悪くないよ」",
"320000411_94": "「足の運びだけでもこんなに難しいなんて……」",
"320000411_95": "「うん。巫女さんって大変なんだね」",
"320000411_96": "「最初はみんなそんなものですよ。\\n さて、練習を続けましょうか」",
"320000411_97": "「わあッ!?」",
"320000411_98": "「えッ!?」",
"320000411_99": "「――きゃッ!」",
"320000411_100": "「く――ッ!」",
"320000411_101": "「いやはや、こうしてみなさんが一生懸命、舞の練習を\\n している姿を見ていると、娘のことを思い出しますな」",
"320000411_102": "「宮司さんの娘さんも巫女さんなんですか?」",
"320000411_103": "「ええ。巫女修業は、\\n 娘も大変苦労していましたなー」",
"320000411_104": "「さて、今日はこれぐらいにしましょうか」",
"320000411_105": "「ありがとうございました(デース)……」"
}

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@ -0,0 +1,30 @@
{
"320000421_0": "「さあ、今日も練習を始めるとしましょう」",
"320000421_1": "「少し休憩しましょうか。\\n だんだんと形になってはきています。あと少しですぞ」",
"320000421_2": "「ずっと同じこと言われている気がするデスよ……」",
"320000421_3": "「くッ……自分がこんなに不器用だったなんてッ!」",
"320000421_4": "「あと少しなんですけど……うーん……」",
"320000421_5": "「みなさんなかなかの上達ぶりですが、\\n あなたは特に筋がいいですな」",
"320000421_6": "「え、そうですか?」",
"320000421_7": "「はい。この短期間に、転ばなくなっただけでもすごいことです。\\n ただ、足の運びに集中して、気持ちがまだ足りていませんな」",
"320000421_8": "「気持ち……?」",
"320000421_9": "「最初に教えた、神様への感謝と尊敬の気持ちです。\\n これがあることで、舞は舞たりえるのですよ」",
"320000421_10": "「……精進します」",
"320000421_11": "「期待しておりますぞ。あなたは10年に一度の\\n スペシャルなセンスの持ち主かもしれませんからな」",
"320000421_12": "「横文字で言われるとすごく胡散臭く感じる……」",
"320000421_13": "「そこは特別な才能を感じるとかでいいでしょうに……」",
"320000421_14": "「なんにしても、さっすが調デスッ!」",
"320000421_15": "「やっぱり月読さんはすごいです」",
"320000421_16": "「前にちょっと神社に興味があって、いろいろ調べてたから……。\\n みんなより、ちょっとだけ詳しいだけだよ」",
"320000421_17": "「神職に興味を持ってくださって、嬉しいですよ。\\n さて、もう少し練習を――」",
"320000421_18": "「――ッ!?」",
"320000421_19": "「あッ! ウサギたちがッ!」",
"320000421_20": "「境内の方へ行ったデスッ!\\n これは――」",
"320000421_21": "「ええ、おそらくは災禍の魔物よッ!\\n 急ぎましょうッ」",
"320000421_22": "「そうだね、みんなで行こう」",
"320000421_23": "「む、ならば私も――」",
"320000421_24": "「宮司さんは、お留守番。……わたしたちに舞を教えてくれる\\n 人がケガをしたり、いなくなったら困るから」",
"320000421_25": "「……しかしですな」",
"320000421_26": "「ダメと言ったらダメデスッ!」",
"320000421_27": "「……仕方ありません。\\n しかし、みなさんを応援くらいはさせていただきます」"
}

View file

@ -0,0 +1,25 @@
{
"320000441_0": "「出てきた分は、大体倒したね……」",
"320000441_1": "「ええ。でも龍脈に戻ってしまった以上、また現れる\\n でしょうけど……」",
"320000441_2": "「早く、心象訓練を成功させないとデス」",
"320000441_3": "「……」",
"320000441_4": "(舞の練習も少しずつ形にはなってきたけど、まだギアの\\n 心象変化を起こすほどにはなっていない……",
"320000441_5": "(……もっと頑張らないと)",
"320000441_6": "「マリア姉さんッ!\\n ウサギさんたちの様子がおかしいの」",
"320000441_7": "「ウサギたちの……?」",
"320000441_8": "「なんか怖い顔して向こうを睨んで……?」",
"320000441_9": "「向こうって、要石の方……?\\n まさか、さらに魔物が出ているんじゃ……」",
"320000441_10": "「じ、地震……?」",
"320000441_11": "「みんな、気を引き締めてッ!\\n ……何か来るわッ」",
"320000441_12": "「やっぱり災禍の魔物……でも、今までのより――」",
"320000441_13": "「大分育ってるデスッ!\\n まさか兄貴分の登場デスかッ」",
"320000441_14": "「見かけだけ大きくてもッ!」",
"320000441_15": "「嘘……全然効いてない……?」",
"320000441_16": "「――一斉攻撃よッ!\\n みんな、タイミングを合わせてッ」",
"320000441_17": "「うん、姉さん」",
"320000441_18": "「了解デスッ!」",
"320000441_19": "「う、うんッ!」",
"320000441_20": "「これでも効かないのッ!?」",
"320000441_21": "「どうしよう……」",
"320000441_22": "「とにかく注意をひきつけつつ、弱点を探しましょうッ!\\n 無理はしないで、足止めに徹するわよッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,21 @@
{
"320000442_0": "「はあ、はあ……。もう、日が沈むデス……」",
"320000442_1": "「参ったわね……」",
"320000442_2": "「こいつを……倒せない……」",
"320000442_3": "「流石に、体力が厳しくなってきました……」",
"320000442_4": "(あの子が来るのを待ってS2CAを試すしか……。\\n いえ、もしそれで失敗したら、足止めすら不能になる……",
"320000442_5": "(ウサギたちのおかげで、わたしたちのダメージはそう深くない。\\n なら、やれるところまで連携攻撃を――",
"320000442_6": "「マリアッ! アイツが消えるデスッ!」",
"320000442_7": "「え――ッ!?」",
"320000442_8": "「消えた……」",
"320000442_9": "「何だったんでしょうか……」",
"320000442_10": "「…………」",
"320000442_11": "「……それはきっと、夜になったからではないでしょうか」",
"320000442_12": "「どういうことですか?」",
"320000442_13": "「神道では、夕方の時間帯を『<ruby=おおまがとき>大禍時</ruby>』と云います。\\n これは『<ruby=おうまがとき>逢魔ヶ時</ruby>』とも書くのです」",
"320000442_14": "「古神道において、この時間は魔と遭遇する時間、日が落ち、\\n 常世から常夜に切り替わる合間の時間とされています」",
"320000442_15": "「<ruby=おうまがとき>逢魔ヶ時</ruby>であるからこそ、あの大きな災禍の魔物が実体化し、\\n それが過ぎたことで、消え去ったのでしょう」",
"320000442_16": "「それじゃ、また夕方になったら出てくるデスかッ!?」",
"320000442_17": "「そこまではわかりません。\\n ですが、その可能性もあるでしょうな」",
"320000442_18": "「……舞の訓練を急ぎましょう。わたしたちが早く『鎮め』を\\n 行えるようにならないと、大変なことになるわ」"
}

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@ -0,0 +1,64 @@
{
"320000511_0": "魔を鎮める力",
"320000511_1": "「次は右足を外側に……そこでターンです」",
"320000511_2": "「……こうですねッ!」",
"320000511_3": "「足運びはバタバタさせずに、ゆっくり静かにするのです」",
"320000511_4": "「わかったデスッ!」",
"320000511_5": "「……今日はこれくらいにしておきますか?」",
"320000511_6": "「いえ、もう少しお願いしますッ!」",
"320000511_7": "「わかりました。\\n みなさんの熱意に私も全力で応えましょう」",
"320000511_8": "「よろしくお願いしますッ!」",
"320000511_9": "「調だけじゃなくて、やっとわたしたちも\\n 転ばずに済むようにはなったわね」",
"320000511_10": "「でも、まだ何か足りない気がするデスよ」",
"320000511_11": "「そうですね。ギアの変化も起こせてませんし……」",
"320000511_12": "「うん……ちゃんと真似てるつもりなんだけど、\\n どこが違うんだろう……」",
"320000511_13": "「とにかく練習あるのみ、よ。ギアの変化については舞の動きを\\n マスターしてから考えましょう」",
"320000511_14": "「それではもう一度、最初からやってみてもらえますか?」",
"320000511_15": "「はい」",
"320000511_16": "(……足の運びは、これで合っているはず)",
"320000511_17": "「…………」",
"320000511_18": "(次はこうして――)",
"320000511_19": "「…………」",
"320000511_20": "「ウサギさんたちがッ!?」",
"320000511_21": "(えッ!? 足にまとわりついて――避けないとッ!)",
"320000511_22": "「わあ……」",
"320000511_23": "「さっきまでと、全然違うわね……」",
"320000511_24": "「……どうやら、掴めたようですな」",
"320000511_25": "「調ッ! さっきのすごかったデスよッ!\\n ものすごく、綺麗だったデスッ」",
"320000511_26": "「え? さっきのって……」",
"320000511_27": "「今の舞よ。ウサギが乱入した時、\\n すごくゆったりとした足運びで――」",
"320000511_28": "「わたしも、思わず見とれちゃいました」",
"320000511_29": "「え……? あの時は確か――」",
"320000511_30": "「こんな感じだったような……」",
"320000511_31": "「そうそう、それデス」",
"320000511_32": "「すばらしい足運びです。\\n もう動きについては教えることはありません」",
"320000511_33": "「……そうなんだ」",
"320000511_34": "(ウサギさん……もしかしてこれを教えるために?)",
"320000511_35": "「…………」",
"320000511_36": "「どう? 調。いけそうかしら?」",
"320000511_37": "「うん……多分だけど、そんな気がする」",
"320000511_38": "「ウサギさんのおかげだよね。\\n ……ありがとう」",
"320000511_39": "「……♪」",
"320000511_40": "「なんだか喜んでいるように見えるデスね」",
"320000511_41": "「やっぱり可愛いです……。\\n 月読さん、あんなに懐かれて、いいなぁ……」",
"320000511_42": "「仕方ないデス。ツインテールの差デスよ」",
"320000511_43": "「マリア姉さん、わたしもツインテールにしたら、\\n もっとウサギさんに懐いてもらえるかな」",
"320000511_44": "「セレナがツインテールに……?」",
"320000511_45": "(――想像した時点でもう可愛すぎるッ!)",
"320000511_46": "「試してみようかなぁ……」",
"320000511_47": "「――ッ!」",
"320000511_48": "「あッ!?」",
"320000511_49": "「また出たデスかッ!」",
"320000511_50": "「やっぱり……調ッ!」",
"320000511_51": "「うん……やってみるッ!」",
"320000511_52": "(舞の心得……神様への感謝と尊敬の心で……)",
"320000511_53": "「高天原に神留り坐す……。\\n Various shul shagana tron――」",
"320000511_54": "「できた……」",
"320000511_55": "「調ッ! そのギアで――ッ!」",
"320000511_56": "「うん、任せてッ! はあ――ッ!」",
"320000511_57": "(祓え給い、清め給え、\\n 神ながら守り給い、幸え給え――ッ",
"320000511_58": "「やったデスッ!\\n 霧が龍脈に戻らずに消えたデスッ」",
"320000511_59": "「やった……。\\n これならきっと……いけるッ」",
"320000511_60": "「調はそのまま敵をなぎ払ってッ!\\n わたしたちもいくわよッ トドメは調にッ」",
"320000511_61": "「はいッ! 月読さんを援護しますッ!」"
}

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@ -0,0 +1,23 @@
{
"320000521_0": "「はあ――ッ!」",
"320000521_1": "「えい――ッ!」",
"320000521_2": "「月読さんッ!」",
"320000521_3": "「うんッ! 任せてッ!」",
"320000521_4": "「その調子よッ!\\n ――切歌、合わせてッ 敵を集めるわよッ」",
"320000521_5": "「了解デースッ! デストローイッ!」",
"320000521_6": "「もう、わたしたちが倒しちゃダメなのよッ!」",
"320000521_7": "「そうだったデスッ! 危なかったデース」",
"320000521_8": "「切歌は向こうをッ!\\n わたしはこっちをやるわッ」",
"320000521_9": "「はああああ――ッ!」",
"320000521_10": "「デ―――スッ!」",
"320000521_11": "「調ッ!」",
"320000521_12": "「行ったデスッ!」",
"320000521_13": "「これで――全部ッ!\\n はああああああッ」",
"320000521_14": "「……やったわね。\\n あとは、わたしたちも調に続きましょう」",
"320000521_15": "「はいデス」",
"320000521_16": "「うん」",
"320000521_17": "「調さんの心象変化、確認しました」",
"320000521_18": "「調神社周辺の監視カメラの映像、回しますッ!」",
"320000521_19": "「やった……災禍の魔物が消えていってるッ!」",
"320000521_20": "「ああ、見えてきたぞ。光明がッ!」"
}

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@ -0,0 +1,14 @@
{
"320000531_0": "「聞こえるかッ!\\n たった今、調くんが心象変化に成功したッ」",
"320000531_1": "「効果についても予想通り……いや、予想以上だッ!\\n これで災禍の魔物を鎮めることができるぞッ」",
"320000531_2": "「やったッ! 調ちゃん、流石ッ!」",
"320000531_3": "「やったんだな、月読……。\\n ならば、わたしたちも――」",
"320000531_4": "「あいつらが心象変化したギアで鎮めに来るまで――」",
"320000531_5": "「うん、もう少しだけ、頑張れるッ!」",
"320000531_6": "「その調子だッ!\\n 今は苦しくとも、必ず光は差すッ」",
"320000531_7": "「はいッ!」",
"320000531_8": "「一気に活気付きましたねッ!」",
"320000531_9": "「それだけ苦しい状況だったということだ。終わりの見えない\\n 戦いを終わらせられる可能性が出たのだからな」",
"320000531_10": "「あとはマリアさんたちが続いて巫女型ギアを習得できれば――」",
"320000531_11": "「ああ。戦況は一気にひっくり返るぞッ!」"
}

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@ -0,0 +1,30 @@
{
"320000541_0": "「よし、始めてくれ」",
"320000541_1": "「Various shul shagana tron――」",
"320000541_2": "「Zeios igalima raizen tron――」",
"320000541_3": "「Seilien coffin airget-lamh tron――」",
"320000541_4": "「Seilien coffin airget-lamh tron――」",
"320000541_5": "「おお~ッ! それが巫女型ギアなんだ~ッ!」",
"320000541_6": "「そいつでなら、あれをブッ倒せるってわけだな」",
"320000541_7": "「確かに神秘的な雰囲気があるかも……」",
"320000541_8": "「……ああ、そうだな。\\n ――ん なあ、マリア……」",
"320000541_9": "「……何かしら」",
"320000541_10": "「いや……マリアのそれも巫女型ギア、なのか?\\n なんだか少し他の人とは違うように見えるが……」",
"320000541_11": "「自分でもなぜかわからないけど、こういうイメージが\\n 浮かんでしまったのよ……」",
"320000541_12": "「マリア姉さん、似合ってるから大丈夫だよ」",
"320000541_13": "「平安時代の貴族みたいデース。\\n 麻呂ギアと呼べばいいデスかね」",
"320000541_14": "「やめてちょうだい……」",
"320000541_15": "「心象変化はあくまで装者の心情がベースとなって起きる変化\\n ですので、マリアさんの中でのイメージに影響されたのかと」",
"320000541_16": "「……そうなのか?」",
"320000541_17": "「わからないわよッ!」",
"320000541_18": "「よーし、雑談はそれくらいにしておけ。\\n どうだ、エルフナインくん」",
"320000541_19": "「計測したところでは、一番最初に発現した、\\n 調さんのギアの出力が最も高いようです」",
"320000541_20": "「これは恐らくですが、災禍の魔物を鎮める力も、調さんの\\n 巫女型ギアが一番高いのではないかと思われます」",
"320000541_21": "「フッフッ……どんなもんかデスかッ!\\n 神楽舞の練習でも、調が一番上手いデスからねッ」",
"320000541_22": "「なんでお前が偉そうなんだよ……」",
"320000541_23": "「見た目だけならマリアが一番派手だというのに……」",
"320000541_24": "「悪かったわねッ!」",
"320000541_25": "「とにかく、これで反撃の準備は整った。巫女型ギアを発現した\\n 装者名を中心に、災禍の魔物の対処を進める」",
"320000541_26": "「終わりの見えなかった迎撃から、反撃に移る時だ。\\n あと少し、みんな気合いを入れろッ」",
"320000541_27": "「はいッ!」"
}

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@ -0,0 +1,60 @@
{
"320000611_0": "夕暮れに舞う巫女",
"320000611_1": "「ごはんですよー。どうぞ」",
"320000611_2": "「…………♪」",
"320000611_3": "「食べてるデスね」",
"320000611_4": "「そうだね。このウサギさんたち、\\n やっぱり宮司さんのキッシュだけは食べるみたい」",
"320000611_5": "「キッシュがおいしいのは確かデスけど、\\n 飽きたりしないんデスかね」",
"320000611_6": "「癖になっているのかもしれませんね」",
"320000611_7": "「すごく助けられてるし、もっとたくさんあげよう」",
"320000611_8": "「このウサギさんは、できるウサギさんデース」",
"320000611_9": "「それに可愛いですし、フワフワが……」",
"320000611_10": "「ずっと撫でていたい……」",
"320000611_11": "「1日に1回は触らないと、我慢できなくなりそうデース……」",
"320000611_12": "「この子たちって、この神社の守り神か何かなんでしょうか?\\n 前に宮司さんが言ってましたけど……」",
"320000611_13": "「どうなんデスかね?\\n すごい力があるのは確かデスけど」",
"320000611_14": "「この神社はウサギが神使だから、そうかも……」",
"320000611_15": "「えッ!?\\n ウサギが紳士なんデスかッ」",
"320000611_16": "「うん、そうだよ。\\n だからあちこちにウサギの像とかあるんだし」",
"320000611_17": "「紳士だとあちこちに像が建てられるんデスね……」",
"320000611_18": "「……?」",
"320000611_19": "「……あれ? でもこのウサギさんたち、片方はメスデスよ。\\n なのに紳士なんデスか」",
"320000611_20": "「神使にオスメスは関係ないよ?」",
"320000611_21": "「ええええッ!? そうなんデスかッ!?\\n 紳士は性別の枠まで超えるんデスね……」",
"320000611_22": "「なんだか、噛み合ってるようで噛み合ってない気がします……」",
"320000611_23": "「あ、像といえば入り口の狛兎って、どうなったんだろう?」",
"320000611_24": "「そういえばそうデスね。……このウサギさんたちが元は\\n 狛兎だったりして。なんたってジェントルマンデスし」",
"320000611_25": "「なんでジェントルマン……?\\n でも、いなくなってた狛兎も羽だったよね……」",
"320000611_26": "「数も合うデスね」",
"320000611_27": "「……狛兎が本物のウサギになって、神社を守ってる?」",
"320000611_28": "「まさかとは思うデスけど……」",
"320000611_29": "「もしかして、哲学兵装なのかも……」",
"320000611_30": "「なるほどデスッ!\\n 今回の異常も哲学兵装の呪いって言ってたデスし」",
"320000611_31": "「うん……」",
"320000611_32": "「でも、そうしたら、\\n なんでこのウサギさんたちだけ、敵にならないんデスかね」",
"320000611_33": "「きっと、良い想いが沢山込められた哲学兵装なんですよッ!」",
"320000611_34": "「良い想い……、そういえば、このウサギさんたちからは、\\n なんだかとても懐かしい感じがする……」",
"320000611_35": "「そうデスか? アタシは何も感じないデスけど」",
"320000611_36": "「わたしも特には……、\\n でも、可愛いから、なんでもいいですッ」",
"320000611_37": "「そうデスね。可愛いは正義デース」",
"320000611_38": "「……そうだね」",
"320000611_39": "「あ、宮司さん。少しいいですか?」",
"320000611_40": "「おや、どうなされましたかな?」",
"320000611_41": "「あの、盗難にあった狛兎って、\\n 何か謂れのあるものだったんですか」",
"320000611_42": "「いえ、特別謂れがある、といったわけではありません。\\n ただ、この調神社ではウサギは神の使いとされてましてな」",
"320000611_43": "「神社建立から、多くの像が作られましたが、あの狛兎は\\n 一番古くから伝わっていたものなのですよ」",
"320000611_44": "「……娘夫婦が暮らしていた頃は、毎日のように磨いてくれて\\n おりましてね。この神社の守り神だから、大事にしたいと」",
"320000611_45": "「守り神……」",
"320000611_46": "(もしかして、本当に狛兎があのウサギさんたちに?\\n 守り神、という認識が哲学として定義されたんじゃ――",
"320000611_47": "「しかし、やはり言い伝えは正しかったですな。まさかこの神社の\\n ピンチに、本当に神の使いのウサギが現れるとは」",
"320000611_48": "「おお、そうだ。今日も供物としてキッシュを焼かなければ」",
"320000611_49": "「それにしても、神の使いまで虜にするとは、\\n 私のキッシュも罪作りですな」",
"320000611_50": "「はあ……」",
"320000611_51": "「時に、よかったら今度、\\n 私の特訓を受けてみるつもりはありませんか」",
"320000611_52": "「特訓って……巫女修行とかですか?」",
"320000611_53": "「違いますよ。私のフレンチの技術です。\\n 特にキッシュの焼き方を重点的に」",
"320000611_54": "「聞けば、あなたはなかなかの料理の腕をお持ちだとか。\\n ならば、是非ともそちらも伝授したいと思いましてな」",
"320000611_55": "「私のキッシュを会得すれば、あのウサギたちもきっと\\n 食べてくれますぞ」",
"320000611_56": "「……うん、それなら教えてほしい」",
"320000611_57": "「それはよかった。\\n では後ほど。楽しみにしていますよ」"
}

View file

@ -0,0 +1,30 @@
{
"320000621_0": "「ふう、大体は片付いたかな」",
"320000621_1": "「デスね。この巫女型ギアのおかげで、敵の数も減ってきたし、\\n この分なら災禍の魔物が出なくなる日も近いかもデース」",
"320000621_2": "「うん」",
"320000621_3": "「あ、マリアから通信だ」",
"320000621_4": "「調、そっちはどう?」",
"320000621_5": "「片付いたよ。そんなに数も多くなかった」",
"320000621_6": "「そう。わたしとセレナの方も終わったわ。\\n あとは翼たちのところだけど、そこは次になりそうね」",
"320000621_7": "「うん。でもわたしたちのギアで倒した場所は、\\n 敵の数も減るから」",
"320000621_8": "「そうね。状況次第では2人チームじゃなくて4人バラバラで\\n 動いてもいいかも――」",
"320000621_9": "「マリアくん、調くん聞こえるかッ!?\\n セレナくんと切歌くんもいるな」",
"320000621_10": "「――はい」",
"320000621_11": "「厄介なのが現れた。前に調神社で一度現れた、\\n 大型の災禍の魔物だ」",
"320000621_12": "「あの時の――ッ!?」",
"320000621_13": "「ああ、今、翼とクリスくんで対処している。\\n だが通常ギアでの対処は難しい。急いで援護に向かってくれ」",
"320000621_14": "「わかったわ」",
"320000621_15": "「調、向こうで合流しましょう」",
"320000621_16": "「うん。それじゃまた後で」",
"320000621_17": "「切ちゃん」",
"320000621_18": "「聞こえてたデス。\\n アイツにリベンジのチャンスデスねッ」",
"320000621_19": "「うん、翼さんとクリス先輩を助けに行こうッ!」",
"320000621_20": "「これでも食らっとけ――ッ!」",
"320000621_21": "「せい――ッ!」",
"320000621_22": "「やはりわたしたちの攻撃では、\\n 奴には痛痒を与えられないらしい」",
"320000621_23": "「話には聞いてたけど、実際に攻撃が通じないって\\n どんなイカサマだッ」",
"320000621_24": "「嘆いても仕方あるまい。\\n 少なくとも前回は、<ruby=おうまがとき>逢魔ヶ時</ruby>を過ぎたら消えたらしいからな」",
"320000621_25": "「それまでアイツの暇つぶしに付き合えってか?」",
"320000621_26": "「いや、今はあの時になかった巫女型ギアもある。\\n マリアたちが到着すれば、なんとかなるかもしれない」",
"320000621_27": "「となるとあたしらの役割は前座ってところか。\\n 仕方ない、真打が来るまでに場をあっためといてやるッ」"
}

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@ -0,0 +1,50 @@
{
"320000631_0": "「雪音、大丈夫か……」",
"320000631_1": "「ああ、まだなんとか……」",
"320000631_2": "「また来るぞッ!」",
"320000631_3": "「チッ、好き勝手しやがってッ!」",
"320000631_4": "「はあ、はあ……。\\n なかなか、精神的にもくるものがあるな」",
"320000631_5": "「ああ……。なにしろ一方的に攻撃される側だからな」",
"320000631_6": "「はああああ――ッ!」",
"320000631_7": "「やあ――ッ!」",
"320000631_8": "「2人とも、無事みたいね」",
"320000631_9": "「遅れてすみません」",
"320000631_10": "「来てくれたか。助かった」",
"320000631_11": "「はあ――ッ!」",
"320000631_12": "「デ―――スッ!」",
"320000631_13": "「お、こっちも来たな」",
"320000631_14": "「クリス先輩ッ! 無事デスか?」",
"320000631_15": "「見ての通りだ。あとは任せていいんだな?」",
"320000631_16": "「はい、わたしたちに任せてください」",
"320000631_17": "「わかった。じゃあ、あとは頼む。\\n 援護が必要な場合は言ってくれ」",
"320000631_18": "「……油断しないようにな」",
"320000631_19": "「さあ、調、切歌、セレナも。\\n アイツにこの前の借りを返しましょうか」",
"320000631_20": "「うん、頑張るね」",
"320000631_21": "「この前とは一味違うデス」",
"320000631_22": "「そうだね」",
"320000631_23": "「……」",
"320000631_24": "「ええッ!?\\n ウサギさんたちが来てるデスよ」",
"320000631_25": "「どうして……ここは調神社じゃないのに」",
"320000631_26": "「わたしたち……ううん、月読さんが心配で\\n 付いてきちゃったんでしょうか」",
"320000631_27": "「いいじゃない。\\n なんにしても加勢してくれるなら心強いわ」",
"320000631_28": "「そうだね。……よろしくね?」",
"320000631_29": "「…………」",
"320000631_30": "「……何か調に訴えてるような感じがするデスね」",
"320000631_31": "「なんだろう……」",
"320000631_32": "「来るわよッ!」",
"320000631_33": "「えッ!?」",
"320000631_34": "「……ッ!!」",
"320000631_35": "「すごい……え?」",
"320000631_36": "「……」",
"320000631_37": "「撫でてほしい……とかじゃないですよね?」",
"320000631_38": "「……もしかして。マリア、切ちゃん、セレナッ!\\n 少しだけ時間を稼いでッ」",
"320000631_39": "「……わかったわッ!」",
"320000631_40": "「……」",
"320000631_41": "「……舞えって言ってくれてるんだよね?\\n やってみる」",
"320000631_42": "「高天原に神留坐す、神漏岐神漏美の命以て、\\n 皇親神伊邪那岐乃大神――」",
"320000631_43": "「調が神楽舞を……?」",
"320000631_44": "「見てください、災禍の魔物の動きが――」",
"320000631_45": "「動きが鈍くなってる……調の神楽舞の効果なのッ!?」",
"320000631_46": "「――禊祓ひ給ふ時に、生坐せる、祓戸の大神等――」",
"320000631_47": "「動きの止まった今がチャンスよッ!\\n 調の神楽舞が効いている間に仕掛けましょうッ」"
}

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@ -0,0 +1,30 @@
{
"320000632_0": "「いけるわッ! 一気にトドメよッ!\\n 攻撃を集中――ッ」",
"320000632_1": "「いくデス―――ッ!」",
"320000632_2": "「え―――いッ!」",
"320000632_3": "「――天津神、地津神、八百万神等共に、\\n 聞こし食せと、畏み畏みも白すッ」",
"320000632_4": "「はああああ――ッ!!」",
"320000632_5": "「他の魔物と同じね。\\n 霧が空に消えていく……」",
"320000632_6": "「やりましたね」",
"320000632_7": "「さっすが調デスッ!\\n もう怖いものなしデスよッ」",
"320000632_8": "「うん……あなたたちも、ありがとう――って、あれ?」",
"320000632_9": "「調?どうしたんデスか?」",
"320000632_10": "「うん、ウサギさんたちがいなくなってる。\\n さっきまでいたのに……」",
"320000632_11": "「きっと調神社に戻ったんですよ。\\n あとでたっくさん、撫でてあげましょうね」",
"320000632_12": "「うん、そうしよう」",
"320000632_13": "「これで、魔物の出現が落ち着くといいが……」",
"320000632_14": "「そうですね。けれど、また大物が出ても巫女型ギアなら\\n 対処できるとわかりましたし、心配要らないのでは」",
"320000632_15": "「そうやって油断するのはよくないわよ。\\n まだ完全に解決したわけじゃないんだから……」",
"320000632_16": "「そうだな。だが、今は今日の勝利を喜ぼう」",
"320000632_17": "「はいッ!」",
"320000632_18": "「…………」",
"320000632_19": "「エルフナインちゃん?」",
"320000632_20": "「え、ああ、すみません」",
"320000632_21": "「何か気になることでもあるのか?」",
"320000632_22": "「……その、あの災禍の魔物を倒した後の霧が気になって」",
"320000632_23": "「霧? 浄化されて消えただけじゃないのかい?」",
"320000632_24": "「そうかもしれません。だけど、そうじゃないのかも……。\\n すみません、漠然とした感覚なのですが、引っかかって……」",
"320000632_25": "「気にしないでください。多分、前の天のオリオン座のことも\\n あって、ボクが気にしすぎなだけだと思いますから」",
"320000632_26": "「……いや、そういった感覚は大事にしたほうがいい。\\n 調査部にも調べさせよう」",
"320000632_27": "「何もないなら、それに越したことはない。\\n だが、何かあってからでは遅いからな……」"
}

View file

@ -0,0 +1,83 @@
{
"320000711_0": "みんなで巫女修業",
"320000711_1": "「これはこれは……満員御礼ですね。\\n けっこうけっこう」",
"320000711_2": "「すみません、こんな大人数で……」",
"320000711_3": "「巫女さんの修行、よろしくお願いしますッ!」",
"320000711_4": "「いやはや、こうして娘さんがたくさん集まっているのを見ると、\\n 亡くなった孫娘の誕生会を思い出しますな」",
"320000711_5": "「だからあんたの孫は一体何歳なんだよ……」",
"320000711_6": "「あーッ! ウサギがいるッ!」",
"320000711_7": "「本当だ。不思議なウサギってあの子たちかな?」",
"320000711_8": "「わたしたちの仲間です」",
"320000711_9": "「そうなんデスよ。何度もアタシたちを護ってくれた、\\n 大事な戦友なのデス」",
"320000711_10": "「すっごくフワフワなんですよ」",
"320000711_11": "「本当ッ!? 触らせて触らせてッ!」",
"320000711_12": "「お、おおおお―――、こ、これはすごい……」",
"320000711_13": "「え、そんなに……? ちょ、ちょっといいかな……?」",
"320000711_14": "「これは本当に、すごいね……」",
"320000711_15": "「ああ〜、このままずっと撫で続けていたい……」",
"320000711_16": "「それにすごく大人しいね。なんだか落ち着いてるみたい」",
"320000711_17": "「……な、なあ。そんなに手触りいいのか?」",
"320000711_18": "「フワフワ、モコモコで最高だよー。\\n 顔をうずめてぐりぐりしたいくらい」",
"320000711_19": "「うん。なんだか癖になりそう……」",
"320000711_20": "「そ、そうなのか……」",
"320000711_21": "「ほら、そろそろ行くぞ。\\n 今日はウサギを愛でにきたわけではないのだからな」",
"320000711_22": "「そうよ。また後にしておきなさい。\\n 心象訓練の、舞の修行のために集まったんだから」",
"320000711_23": "「わかりました。\\n うう、名残惜しいけどまた後でね、ウサギちゃんッ」",
"320000711_24": "「そうだね。行こう、響」",
"320000711_25": "「アタシたちも行くデス」",
"320000711_26": "「うん」",
"320000711_27": "「そうですね」",
"320000711_28": "「…………」",
"320000711_29": "「…………」",
"320000711_30": "「……?」",
"320000711_31": "「……ほら、来い来い。撫でてやるから……な?」",
"320000711_32": "「……♪」",
"320000711_33": "「よ、よし、あと少し――」",
"320000711_34": "「クリスちゃ~んッ! もう始まるよーッ!」",
"320000711_35": "「……ッ!!」",
"320000711_36": "「……くッ! この、バカーッ!」",
"320000711_37": "「ええええッ!?\\n わたし何かしたッ」",
"320000711_38": "「ここでこう……なかなか難しいものだな」",
"320000711_39": "「わたし、足がこんがらがりそうです。\\n 震脚とかならできるのに……」",
"320000711_40": "「それをやったら、床が抜けちゃうんじゃないかな……」",
"320000711_41": "「うわッ!?」",
"320000711_42": "「あーもうッ! なんなんだよこれはッ!\\n こんなのできるかッ」",
"320000711_43": "「クリス先輩、根性デスよッ!」",
"320000711_44": "「最初はみんな転びますから」",
"320000711_45": "「ったく、本当にできるようになるのかよ……」",
"320000711_46": "「アタシでもできたから大丈夫デスッ!」",
"320000711_47": "「それはなかなかの説得力だな……」",
"320000711_48": "「みなさん、よかったら見本を見せてあげて\\n もらえませんか」",
"320000711_49": "「分かりました。それじゃ順番に見せましょうか」",
"320000711_50": "「……こんな感じです」",
"320000711_51": "「はあ……」",
"320000711_52": "「みんな上手だったけど、調ちゃんは別格だね……」",
"320000711_53": "「そうだな……」",
"320000711_54": "「ああ、こう言ってはなんだが、素人目にはまるで本職にも\\n 引けを取らないように見えた」",
"320000711_55": "「そ、そんなことないです……」",
"320000711_56": "「どんなもんかデスッ!」",
"320000711_57": "「だから、なんでお前が偉そうにしてるんだよ……」",
"320000711_58": "「しかし、これは一朝一夕では無理そうだな」",
"320000711_59": "「そうね。わたしたちも数日かかったわ」",
"320000711_60": "「特訓あるのみですッ!」",
"320000711_61": "「うん、そうだね」",
"320000711_62": "「特訓……それなら合宿をしてはどうですか?\\n 部屋は空いてますし、寝具なんかも揃っていますよ」",
"320000711_63": "「え? い、いえ。そこまでお世話になるわけには……」",
"320000711_64": "「最近は離れの方を使う機会もほとんどないのです。\\n 娘夫婦がいた頃は、よく開けていたのですが……」",
"320000711_65": "「1人寂しく過ごすにはこの神社は広すぎましてね……。\\n 老い先短い老人の頼み、聞いてもらえませんかな……」",
"320000711_66": "「かなり長生きしそうに見えるけどな……」",
"320000711_67": "「うう……わかりましたッ!\\n わたしたちでよければッ」",
"320000711_68": "「おお、ありがとうございますッ!\\n ……おじいちゃんと呼んでくれてもいいんですよ」",
"320000711_69": "「はいッ! おじいちゃんッ!」",
"320000711_70": "「もう、響ったら……」",
"320000711_71": "「……なあ、この神社で合宿ってことは、\\n あのウサギたちの世話とかもするんだよな」",
"320000711_72": "「え? うん、そうじゃないかな。\\n あのウサギちゃんたち、この神社にいついてるみたいだし」",
"320000711_73": "「そ、そうかッ! そうだよなッ!\\n まあ、それなら仕方ないよなッ」",
"320000711_74": "「なんで嬉しそうなの?」",
"320000711_75": "「そ、そんなことないってのッ!\\n 面倒だけど、仕方ないからウサギたちの世話はあたしが――」",
"320000711_76": "「あ、ウサギちゃんたちの世話ならわたしやりたいッ!\\n もっと撫でたいッ」",
"320000711_77": "「うるせぇッ! ここはあたしに譲っとけッ!\\n お前はさっき散々撫でてただろッ」",
"320000711_78": "「ちょっと待つデスよッ! それはアタシたちの役目デスッ!\\n 例え先輩たちといえども、譲れないデスッ」",
"320000711_79": "「それなら、当番制にしたらどうかな?」",
"320000711_80": "「……なんだか目的が変わっているような気もするが。\\n わかりました。お世話になります」"
}

View file

@ -0,0 +1,58 @@
{
"320000721_0": "「さて、始めますぞ」",
"320000721_1": "「よろしくお願いします」",
"320000721_2": "「みなさんは舞の練習中ですし、差し入れとして\\n キッシュ作りから始めましょうか」",
"320000721_3": "「ウサギたちにもご飯を用意しませんとな」",
"320000721_4": "「楽しみデースッ!」",
"320000721_5": "「では、作り始めましょうか」",
"320000721_6": "「はい」",
"320000721_7": "「まずはこれを。\\n これがこの家に伝わる秘伝のキッシュの作り方です」",
"320000721_8": "「すごい細かく書いてある……」",
"320000721_9": "「……秘伝なのに教えてもらってもいいんデスか?」",
"320000721_10": "「いいのです。むしろ秘伝だからこそ、誰かにこの味を継いで、\\n 伝えていってほしいんです」",
"320000721_11": "「おお、歴史の重みを感じるデース……」",
"320000721_12": "「そうでしょう、そうでしょう。\\n なにしろこれでも、年の重みがありますからな」",
"320000721_13": "「流石デースッ!」",
"320000721_14": "「……あれ? 50年?」",
"320000721_15": "「調、どうしたデスか?」",
"320000721_16": "「……このキッシュのレシピって誰が作ったんですか?」",
"320000721_17": "「もちろん私ですぞ。\\n これでも若い頃は料理にハマっていましてな」",
"320000721_18": "「前言撤回デース……。\\n なんの歴史も無かったデス……」",
"320000721_19": "「これで出来上がりです。\\n どうです 上手く焼きあがりましたか」",
"320000721_20": "「あ、ウサギたちが来たデスッ!」",
"320000721_21": "「本当だ。これ、食べるかなー……?」",
"320000721_22": "「ちょっとあげてみるデスよ」",
"320000721_23": "「……プイ」",
"320000721_24": "「……ダメみたいデス」",
"320000721_25": "「やっぱり……。\\n 宮司さんのとちょっと違う気がしてた……」",
"320000721_26": "「どれどれ……ふむ、そうですな。\\n パイ生地が少しだけ固かったようですね」",
"320000721_27": "「……それだけかな?」",
"320000721_28": "「さあ、どうでしょうな。こうして1つずつ直すことで、\\n 覚えていくんですよ」",
"320000721_29": "「むー……」",
"320000721_30": "「ということは失敗作デスねッ!\\n アタシが食べるデースッ」",
"320000721_31": "「今度はどうだろう?」",
"320000721_32": "「…………」",
"320000721_33": "「ダメみたいデスね。こんなにおいしいのに……」",
"320000721_34": "「何事も修練ですぞ。\\n さあ、もう一度やってみましょうか」",
"320000721_35": "「少し違う……」",
"320000721_36": "「いただくデースッ!」",
"320000721_37": "「隠し味が少し主張していますな。\\n もう少し加減が必要です」",
"320000721_38": "「食べるデースッ!」",
"320000721_39": "「どうだろう……?」",
"320000721_40": "「…………プイ」",
"320000721_41": "「上手くいかない……」",
"320000721_42": "「う……ま、まだまだデスッ!」",
"320000721_43": "「もう一味……?」",
"320000721_44": "「ば、バッチコイ、デース……」",
"320000721_45": "「切ちゃん、またお願い……」",
"320000721_46": "「し、調のためなら……まだ、やれるデス……」",
"320000721_47": "「…………できたッ!」",
"320000721_48": "「……モグモグ」",
"320000721_49": "「食べてくれたッ!」",
"320000721_50": "「よく、頑張りましたな。\\n 免許皆伝ですぞ」",
"320000721_51": "「ありがとうございます。\\n 切ちゃん、やったよッ」",
"320000721_52": "「……うぷッ! よ、よかったデース……」",
"320000721_53": "「き、切ちゃんそのお腹……ッ!?」",
"320000721_54": "「もう、思い残すことは……ない、デス……。\\n キッシュ……ご馳走、さまデース……」",
"320000721_55": "「切ちゃんッ!?」"
}

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@ -0,0 +1,25 @@
{
"320000731_0": "「かなり少なくなったね」",
"320000731_1": "「そうデスね。この分だと、もう何日かで全部いなくなるかもデス」",
"320000731_2": "「なんだよ、それじゃあたしらが心象訓練やる意味あんのか?」",
"320000731_3": "「ないということもないだろう。\\n ギアの可能性を引き出すことに繋がる」",
"320000731_4": "「それに、今後同じような特性を備えた敵が現れないとも\\n 限らないからな」",
"320000731_5": "「……確かに、足止めメインってのは\\n どうも性に合わないな」",
"320000731_6": "「そうは言っても、これも大事な役目だぞ」",
"320000731_7": "「わかってるって」",
"320000731_8": "「わたしたちも巫女型ギアに変わればいいんだよッ!」",
"320000731_9": "「それが簡単にいかないから言ってるんだ」",
"320000731_10": "「それにしても、本当にこのウサギ、\\n 不思議な力があるんだね……」",
"320000731_11": "「そうなんデス。何度も護ってくれたデス」",
"320000731_12": "「この子がいなかったら、危ないこともありました」",
"320000731_13": "「……♪」",
"320000731_14": "「よしよし……」",
"320000731_15": "「やっぱり調ちゃんに一番懐いてるね……」",
"320000731_16": "「最初からこうだったデスよ。\\n ウサギさんたちは調の魅力にメロメロデス」",
"320000731_17": "「……ッ!」",
"320000731_18": "「どうやら新手が出てきたみたいね」",
"320000731_19": "「わかるのか?」",
"320000731_20": "「わたしじゃなくてあの子たちがね。\\n 災禍の魔物が出ると、誰よりも早く反応するの」",
"320000731_21": "「そんな能力もあるのか……」",
"320000731_22": "「とにかく、まだ終わってないわ。\\n 急ぎましょう」"
}

View file

@ -0,0 +1,59 @@
{
"320000732_0": "「さあ、みなさんどうぞ。\\n たくさん焼きましたので」",
"320000732_1": "「いただきまーすッ! はぐッ! はぐッ!\\n ん―――ッ おいしいーッ」",
"320000732_2": "「本当……こんなに美味しいの初めて食べた……」",
"320000732_3": "「相変わらずおいしい……。\\n 自分でも不思議だけど、全く飽きないわ」",
"320000732_4": "「うん。\\n なんだか逆に、食べないと調子崩しそう」",
"320000732_5": "「ふぉんなもんか? んぐっ……はあ。\\n 確かにうまいけどよ」",
"320000732_6": "「わたしたちは2回目だな。あの時はあまり味わう余裕も\\n なかったが……。ん、おいしいな」",
"320000732_7": "「それが実はですな……。\\n 今日のキッシュの半分は私が作ったものではないのです」",
"320000732_8": "「半分は月読さんが手伝ってくれましてな。\\n どうですか」",
"320000732_9": "「どれがどっちかわからないけど、とにかくおいしいですッ!」",
"320000732_10": "「そうなの?それなら今度からは調に頼めば、このキッシュを\\n いつでも食べられるのね」",
"320000732_11": "「よかったね、マリア姉さん」",
"320000732_12": "「流石は月読だな。\\n ここまで完璧に同じ味に仕上げられるとは……」",
"320000732_13": "「宮司さんが教えてくれたから……」",
"320000732_14": "「何を言いますか。\\n それでも日でここまで完成するとは脱帽ですぞ」",
"320000732_15": "「はあ……おいしいーッ!\\n おかわりありますかッ」",
"320000732_16": "「……あの、今度わたしも教えてもらえませんか?\\n 焼けるようになりたいなって……」",
"320000732_17": "「もちろん構いませんよ。ただキッシュに関してはもう月読さんも\\n 完璧ですからな。そちらに教わるのもいいかもしれません」",
"320000732_18": "「そ、そんなことないです」",
"320000732_19": "「……なあ、ところでさっきから気になってるんだけどよ」",
"320000732_20": "「……なんデスか?」",
"320000732_21": "「どうしてお前だけそんな離れたところで、\\n 違うもん食べてるんだよ ついでに、えらく質素だな」",
"320000732_22": "「これは調が用意してくれた和食御膳デス。\\n ……あげないデスよ」",
"320000732_23": "「いや、欲しいとかそういうことじゃなくてな……。\\n お前、キッシュ嫌いなのか」",
"320000732_24": "「大好きデスッ!\\n 調の作ったものは最高のごちそうデスッ」",
"320000732_25": "「いや、それならなんで……」",
"320000732_26": "「それでも限度ってものがあるデスよ……。\\n 今日日は、アタシの体がもう受け付けないのデス……」",
"320000732_27": "「切ちゃん……ごめんね?」",
"320000732_28": "「調は悪くないデスッ! でも……でも、今日だけは\\n 違うものを食べさせてほしいデス……」",
"320000732_29": "「みなさんが1部屋では狭いですからな。\\n こちらの部屋も使ってください」",
"320000732_30": "「ありがとうデースッ!」",
"320000732_31": "「あれ? この着物って……、巫女服?」",
"320000732_32": "「あ、これは失礼、片付けの途中でしたな。\\n 今すぐどかすので、しばしお待ちを」",
"320000732_33": "「あ、待ってくださいッ!」",
"320000732_34": "「ん? どうかしましたかな」",
"320000732_35": "「どうしたデスか、調?」",
"320000732_36": "「あ、いえ、この巫女服……、\\n なんだかとても懐かしくて、安心する気が……」",
"320000732_37": "「…………」",
"320000732_38": "「確かに綺麗な巫女服デスけど、\\n 特に変わった感じはしないデスよ」",
"320000732_39": "「この巫女服は、昔、娘が着ていた物です。\\n 今はもう、着る者はいなくなってしまいましたが……」",
"320000732_40": "「そうなんだ……、\\n あ、すみません、引き留めてしまって」",
"320000732_41": "「…………」",
"320000732_42": "「宮司さん? どうしました?」",
"320000732_43": "「いやいや。少し考え事をしておりました」",
"320000732_44": "「ではみなさん、ごゆっくり。お休みなさい」",
"320000732_45": "「……調、そんなにあの巫女服が気にいったの?」",
"320000732_46": "「そう、なのかな……?」",
"320000732_47": "「それなら、お願いして着させてもらったらどうデス?」",
"320000732_48": "「ううん、大事な物みたいだから、やめとく」",
"320000732_49": "「娘さんが着ていたとか言ってましたね」",
"320000732_50": "「ええ、本人は、神社ジョークとか言ってたけど、\\n 昔、娘夫婦と孫がいたのは本当なんじゃないかしら」",
"320000732_51": "「何かあったんデスかね……」",
"320000732_52": "「あったのかもね。\\n でも、わたしたちが聞くことじゃないわ」",
"320000732_53": "「うん、そうだね……。\\n でも、どんな人たちだったのかな」",
"320000732_54": "「……きっといい人たちだったんじゃないでしょうか」",
"320000732_55": "「ええ、そうね」",
"320000732_56": "「うん」"
}

View file

@ -0,0 +1,22 @@
{
"320000741_0": "「…………」",
"320000741_1": "「エルフナインくん、どうだ?」",
"320000741_2": "「……はい、やっぱり少し違う気がするんです」",
"320000741_3": "「違う?」",
"320000741_4": "「災禍の魔物の消え方です。\\n 確かに一見霧散しているように見えます。しかし――」",
"320000741_5": "「少々不鮮明ではあるんですが、最初に宮司さんによる\\n 祝詞と舞で鎮めたと思われる魔物の消失がこれです」",
"320000741_6": "「……その場で霧散しているな」",
"320000741_7": "「それに対して、今、装者のみなさんが巫女型ギアの\\n 攻撃による鎮めで倒した魔物の消失がこちらです」",
"320000741_8": "「霧に変わった後……霧散しながら、\\n かすかに空へ引かれている……」",
"320000741_9": "「はい、そう見えるんです。指向性があるということは、\\n どこかにそれが集まっているのではと……」",
"320000741_10": "「この前の懸念から、改めて調査部も動かしたが、今のところは\\n 順調に龍脈の乱れは改善しているように見える」",
"320000741_11": "「それが龍脈以外のどこかに集まっている可能性か……」",
"320000741_12": "「大地と天のオリオン座の鏡写し。今回の異変の原因が龍脈の\\n 操作にあるなら、天のオリオン座も警戒が必要かも知れません」",
"320000741_13": "「ただ、あれは儀式や準備なしでこちらから干渉できるような\\n ものではないので、見るしかできないのが歯がゆいですけど」",
"320000741_14": "「それでも、何かあったときはすぐに動けるはずだ。\\n 俺の方でも注意しておこう」",
"320000741_15": "「ありがとうございます」",
"320000741_16": "「……ボクたちは災禍を鎮めることについて、\\n 専門家ではありません」",
"320000741_17": "「もっとボクがそういった方面の知識もつけていれば……。\\n 今更ながら、悔やまれます……」",
"320000741_18": "「……なんでも1人でやろうとするんじゃない。1人ではできない\\n ことをやるために、S.O.N.G.が――俺たちがあるんだ」",
"320000741_19": "「……はい」"
}

View file

@ -0,0 +1,80 @@
{
"320000811_0": "災禍",
"320000811_1": "「さて、今日の修行ですが、せっかくですから精神修養を\\n メインに行いましょうか」",
"320000811_2": "「舞の動きを学ぶことも大事ですが、舞とは神様に捧げるもの、\\n 未熟な精神では正しい舞にはなりませんからな」",
"320000811_3": "「それはいいですね。わたしたちも参加できますし」",
"320000811_4": "「うん」",
"320000811_5": "「はいッ! 特訓の提案があるデスッ!」",
"320000811_6": "「おや、いい案がおありですかな?」",
"320000811_7": "「みんなで座って、板でバチンッ! ってやるのをやってみたいデスッ!」",
"320000811_8": "「坐禅の警策のことか? あれは禅宗のお寺特有のものだぞ。\\n 神社とは関係ないものだが……」",
"320000811_9": "「……お寺と神社って何が違うデスか?」",
"320000811_10": "「そういえば、何が違うんだろう……?」",
"320000811_11": "「お寺は仏教、神社は神道になりますな。\\n 崇め奉るものが違うのですよ」",
"320000811_12": "「それじゃあ、あれはできないデスか……」",
"320000811_13": "「仕方ないですよ、暁さん……」",
"320000811_14": "「そうだよ。流石に神社なのに座禅なんて――」",
"320000811_15": "「いえ、やってみましょう」",
"320000811_16": "「――いいんですかッ!?」",
"320000811_17": "「宮司さん、話がわかるデースッ!」",
"320000811_18": "「神社で精神修養となれば、本来は瞑想になりますが、\\n 形の問題をのぞけば座禅も瞑想も同じようなものです」",
"320000811_19": "「雑念を捨て、精神を穏やかに保つ。\\n そして集中が乱れた際は、再集中の区切りとして警策で叩く」",
"320000811_20": "「……しかしここは神社。警策は流石においてありませんでな。\\n 代わりに、こんなものではどうですかな」",
"320000811_21": "「な、なんデスとッ!?\\n それはお笑い御用達の――ッ」",
"320000811_22": "「ハリセン……どうしてそんなものが」",
"320000811_23": "「いや、以前に社務所に置く商品の検討をしていたことが\\n ありましてな。その時サンプルで作ったのですよ」",
"320000811_24": "「何を作ろうとしていたのよ……」",
"320000811_25": "「いやあ、それにしてもこれが役に立つ日が来るとは。\\n 私も興奮を禁じえませんぞ」",
"320000811_26": "「それでは1人が警策役ということでいかがですか?\\n 流石に私がみなさんを叩くのは、気がひけますので」",
"320000811_27": "「はいはいッ!\\n ならアタシがやるデスッ」",
"320000811_28": "「……ちゃんと真面目にやるのよ?」",
"320000811_29": "「もちろんデスッ!」",
"320000811_30": "「……」",
"320000811_31": "「……」",
"320000811_32": "「……プッ! ククッ……」",
"320000811_33": "「<size=40>デ―――スッ!</size>」",
"320000811_34": "「<size=40>あいたぁッ!</size>」",
"320000811_35": "「うう、こういう沈黙苦手なんだよね……」",
"320000811_36": "「問答無用デース……」",
"320000811_37": "「……」",
"320000811_38": "「……」",
"320000811_39": "「…………?」",
"320000811_40": "「…………ひゃッ!?」",
"320000811_41": "「<size=40>クリス先輩アウトデースッ!</size>」",
"320000811_42": "「今のはあたしは悪くないだろッ!\\n このウサギたちが足に当たって――」",
"320000811_43": "「何ごとも集中デース。\\n 集中していれば、気にならないはずデス」",
"320000811_44": "「<size=40>マリア、動いたデスッ!</size>」",
"320000811_45": "「あ、セレナ。服に蜘蛛が付いてるデスよ。\\n <size=40>――隙ありデスッ!!</size>」",
"320000811_46": "「ふぅ~~~」",
"320000811_47": "「――動いたッ!\\n <size=40>未来さんもアウトデースッ!</size>」",
"320000811_48": "「ぐッ、例え調と言えど、ここは手を抜くわけにはいかないデスッ!\\n <size=40>許すデス、調ッ!</size>」",
"320000811_49": "「いたッ!」",
"320000811_50": "「そして、翼さんもなんだかちょっと動いた気がするので\\n <size=40>アウトデスッ!</size>」",
"320000811_51": "「<size=40>な、なぜだッ!?</size>」",
"320000811_52": "「はい、これくらいにしましょうか。\\n もうすぐお昼の時間になりますからな」",
"320000811_53": "「ああ、楽しかったデース……。\\n こんな修行なら毎日やりたいデスね」",
"320000811_54": "「……」",
"320000811_55": "「……」",
"320000811_56": "「さて、お昼はなんデスかね~」",
"320000811_57": "「おい、ちょっと待てよ。まだ終わってないだろ?」",
"320000811_58": "「……へ?」",
"320000811_59": "「そうね。全員で精神修養を行う予定だったわよね。\\n ……人、まだやってないわよ」",
"320000811_60": "「え? で、でも……」",
"320000811_61": "「うん、やっぱりみんなでやらないとねッ!」",
"320000811_62": "「ああ、平等にやるべきだろう」",
"320000811_63": "「そうですよね。\\n 瞑想側はやったので、わたしそっちをやってみたいです」",
"320000811_64": "「ま、まさか――ッ!?」",
"320000811_65": "「宮司さん、ハリセンって他にもありますか?」",
"320000811_66": "「人数分ならちゃんと用意してありますよ」",
"320000811_67": "「デデデデースッ!? なんであるデスかッ!?」",
"320000811_68": "「それじゃ、始めましょうか。\\n 大丈夫、ちゃんと瞑想していれば、叩いたりしないわ。ねぇ」",
"320000811_69": "「そうだよッ!\\n 切歌ちゃんが集中してれば大丈夫ッ」",
"320000811_70": "「そうだな。\\n でも、瞑想中にウサギたちが来たりするかもな」",
"320000811_71": "「虫さんとか付いたりもあるかもしれません」",
"320000811_72": "「耳に息を吹きかけられたりとかも、ね?」",
"320000811_73": "「そ、それでも……動かなければいいだけデスッ!」",
"320000811_74": "「そうだな。だが、本人が動いていないと思っていても、\\n 叩く側が動いたと思えばアウトになるからな」",
"320000811_75": "「ハッ!? デ、デースッ!!\\n どうやっても叩かれるってことデスかッ」",
"320000811_76": "「切ちゃん……自業自得」",
"320000811_77": "「<size=40>ご、ごめんなさいデースッ!</size>」"
}

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@ -0,0 +1,15 @@
{
"320000812_0": "「はあ――ッ!」",
"320000812_1": "「おいッ!\\n トドメはあいつらにやらせないと――」",
"320000812_2": "「あ……そうだった」",
"320000812_3": "「え……あれ? く、クリスちゃんッ!」",
"320000812_4": "「どうしたんだよ?」",
"320000812_5": "「今、倒した災禍の魔物の霧が空に――。\\n なんか調ちゃんたちが倒したみたいに消えたよッ」",
"320000812_6": "「はあ……? 見間違いじゃないのか?」",
"320000812_7": "「もしかして、わたしにも巫女の力が目覚めたのかもッ!?」",
"320000812_8": "「それならギアが変化してないとおかしいだろ……」",
"320000812_9": "「響、本当に? 見間違いじゃないの?」",
"320000812_10": "「そう言われると……自信なくなってきた」",
"320000812_11": "「立花、まだ敵は残っている。\\n 呆けている場合ではないぞ」",
"320000812_12": "「わ、わかりましたッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,30 @@
{
"320000821_0": "「今響くんが倒した敵を確認したかッ!」",
"320000821_1": "「はいッ! 確かに空に霧散していますッ!」",
"320000821_2": "「これは一体……?」",
"320000821_3": "「わかりません……ですが、魔物を鎮められていないのは\\n 間違いないと思います」",
"320000821_4": "「そ、それじゃ今まで倒した敵も――ッ!?」",
"320000821_5": "「どうしたッ!」",
"320000821_6": "「か、各神社周辺に設置されたカメラから、\\n 一斉に大型の災禍の魔物の姿がッ」",
"320000821_7": "「あんなやつが、何体も……」",
"320000821_8": "「くッ……急ぎ装者を向かわせろッ!」",
"320000821_9": "「ですがッ! 鎮めが効かないのでは――」",
"320000821_10": "「それでも、あんな魔物を暴れさせるわけにはいかないッ!」",
"320000821_11": "「わかりましたッ!」",
"320000821_12": "「すぐに手分けして回ってほしいのッ!\\n 大型の災禍の魔物が大量に――ッ」",
"320000821_13": "「わ、わかりましたッ!」",
"320000821_14": "「これは一体どういうことなの……。\\n 巫女型ギアで鎮めが出来ていたんじゃなかったのッ」",
"320000821_15": "「やっぱり付け焼刃じゃダメだったのかな……?」",
"320000821_16": "「今は議論している場合ではない。少なくとも、その巫女型ギアが\\n 災禍の魔物を倒すのに有効なのは確かだ」",
"320000821_17": "「……そうね、ごめんなさい」",
"320000821_18": "「で、どうするよ?\\n 全員バラバラに行くか」",
"320000821_19": "「いや、それは危険も大きい。\\n 最低名で組んで戦うようにしよう」",
"320000821_20": "「巫女型ギアのありなしで組むのか?」",
"320000821_21": "「それはやめておきましょう。\\n このギアが有効だからこそ、戦力分散のしすぎは避けたいわ」",
"320000821_22": "「調、切歌。あなたたち2人とわたしとセレナの2人。\\n このチームに分かれましょう」",
"320000821_23": "「わたしたち2チームは遊撃を担当するわ。\\n 大型の災禍の魔物が複数いるようだし」",
"320000821_24": "「ではこちらはわたしと雪音、立花と小日向で行こう。\\n わたしたちには巫女型ギアがない。したがって時間稼ぎだな」",
"320000821_25": "「また足止めかよ。ま、仕方ないか……」",
"320000821_26": "「アタシたちがすぐ倒しに行くデスッ!」",
"320000821_27": "「ここまで来て被害なんて出させません……」"
}

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@ -0,0 +1,31 @@
{
"320000831_0": "「――ッ!!」",
"320000831_1": "「体制が崩れたッ!\\n 切ちゃんッ、同時にッ」",
"320000831_2": "「了解デスッ!\\n この一撃で仕留めるデスッ」",
"320000831_3": "「はあ――ッ!」",
"320000831_4": "「デ―――スッ!」",
"320000831_5": "「やったデスッ!」",
"320000831_6": "「うん、ウサギさんのおかげですぐに倒せたね。\\n 次の場所に急ごうッ」",
"320000831_7": "「……この神社のことはお願いね」",
"320000831_8": "「……………」",
"320000831_9": "「チッ、後輩どもはまだかよッ!」",
"320000831_10": "「仕方あるまい。\\n これだけあちこちで一気呵成に敵から攻められては……」",
"320000831_11": "「それにしても、こんなことならもっと真面目に\\n 心象訓練やっとけばよかったな……」",
"320000831_12": "「なんだ、雪音は真面目にやっていなかったか?」",
"320000831_13": "「やってはいたけど、こんなに早く本当に必要になるなんて\\n 思ってなかったからな……」",
"320000831_14": "「それは同感だ」",
"320000831_15": "「来るぞ、わたしたちの役目はわかってるなッ!」",
"320000831_16": "「足止めだろう? わかってるって。\\n どうせこっちの攻撃は効かないしな」",
"320000831_17": "「ああ。歯がゆくはあるが、これが最上の方法である以上、\\n 月読と暁、もしくはマリアとセレナを待つ以外にあるまい」",
"320000831_18": "「さて、どっちが先に来ることやら……。\\n それまでなんとか時間を稼ぐとするか」",
"320000831_19": "「――その必要はないデスッ!」",
"320000831_20": "「到着しましたッ!」",
"320000831_21": "「2人とも、早かったな」",
"320000831_22": "「そっちはもう倒してきたのかよ?」",
"320000831_23": "「アタシと調にかかれば、余裕デースッ!」",
"320000831_24": "「ウサギさんの協力もあったので、早く片付きました」",
"320000831_25": "「そうか。ならばこの大型の敵を頼む。\\n わたしと雪音は一緒に現れた小物の方をなんとかしよう」",
"320000831_26": "「わかりました」",
"320000831_27": "「了解デスッ!」",
"320000831_28": "「ハッ、2人ともいい返事じゃねーか。\\n それじゃ、戦闘開始だッ」"
}

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@ -0,0 +1,24 @@
{
"320000841_0": "「きゃあああッ!」",
"320000841_1": "「未来、大丈夫ッ!?」",
"320000841_2": "「う、うん。なんとか……。\\n でも、こんなのどうしたら……」",
"320000841_3": "「とにかく注意を引いて、攻撃を躱すしかないよ。\\n わたしが前に出るから、未来は援護をお願い」",
"320000841_4": "「ううん、わたしも一緒に前に出るよ。\\n この相手に遠距離じゃ援護にもならないし」",
"320000841_5": "「でも……」",
"320000841_6": "「大丈夫。幸い攻撃の威力はそこまでじゃないから」",
"320000841_7": "「わかった。でも絶対無理はしないでねッ!」",
"320000841_8": "「はあ――ッ!」",
"320000841_9": "「わわッ!?」",
"320000841_10": "「――響ッ!」",
"320000841_11": "「あ、ありがとう。危なかった……」",
"320000841_12": "「間に合ってよかった。\\n でも、ちょっと厳しくなってきたね」",
"320000841_13": "「うん。\\n でも、それも調ちゃんたちが来るまでの辛抱だからッ」",
"320000841_14": "「そうだね。――あッ!」",
"320000841_15": "「――デストローイッ!」",
"320000841_16": "「切歌ちゃんッ!」",
"320000841_17": "「後はわたしたちがッ!」",
"320000841_18": "「調ちゃんもッ!」",
"320000841_19": "「この大型の災禍の魔物は引き受けます。\\n おふたりは、小型の相手をお願いします」",
"320000841_20": "「わかったよッ! 未来ッ!」",
"320000841_21": "「うん。調ちゃんたちも気を付けてッ!」"
}

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@ -0,0 +1,31 @@
{
"320000851_0": "「あとは、この先で最後――ッ!」",
"320000851_1": "「もうひと暴れしてやるデス」",
"320000851_2": "「到着――って、あれ?」",
"320000851_3": "「敵がいないデスね」",
"320000851_4": "「調に切歌? もう他の場所を片付けてきたの?」",
"320000851_5": "「流石、おふたりです。\\n わたしたちは、今さっきここの魔物を倒したところです」",
"320000851_6": "「よかった。それじゃこれで全部なのかな?」",
"320000851_7": "「そうみたいデスね」",
"320000851_8": "「……ところで、以前に戦った大型の災禍の魔物よりも\\n 弱く感じなかった」",
"320000851_9": "「どうだろう……確かに簡単に倒せたような気はするけど」",
"320000851_10": "「向こうの攻撃はあんまり威力がなかったかも……」",
"320000851_11": "「きっと出がらしなんデスよ」",
"320000851_12": "「出がらし、ね。その中身が他の小型の災禍の魔物なら\\n いいんでしょうけど……」",
"320000851_13": "「とにかく敵は倒したし、みんなで神社に戻るデスよ。\\n ウサギさんたちも待ってるデス」",
"320000851_14": "「そうだね」",
"320000851_15": "「――ッ!?\\n あれッ 調神社の方ッ」」",
"320000851_16": "「……何が起きてるのッ!?」",
"320000851_17": "「お前たち、どうしたッ!?」",
"320000851_18": "「調神社の上に、なんか真っ黒いのが集まってるデスよッ!」",
"320000851_19": "「なんだとッ!?」",
"320000851_20": "「モニター、回しますッ!」",
"320000851_21": "「なんだ……あれ……」",
"320000851_22": "「やっぱり……大地じゃなく、天のオリオンッ!\\n 龍脈の穢れがそちらに呼応して……ッ」",
"320000851_23": "「こちらでも確認したッ! 何が来るかわからんッ!\\n 十分注意しつつ、現場に急いでくれッ」",
"320000851_24": "「了解ッ!」",
"320000851_25": "「霧が――災禍の魔物にッ!」",
"320000851_26": "「お、大きい……」",
"320000851_27": "「特大サイズデスよッ!?」",
"320000851_28": "「調神社には、宮司さんとウサギさんたちが――。\\n 急いで戻ろうッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,28 @@
{
"320000911_0": "決戦、調神社",
"320000911_1": "「……なんと」",
"320000911_2": "「……ッ!」",
"320000911_3": "「強大すぎる災禍……これは、わたし程度では\\n 歯が立ちそうにありませんな……」",
"320000911_4": "「…………」",
"320000911_5": "「……それでも、わたしはこの調神社を守りたい。\\n 諦めるには、思い出が多すぎますからね……」",
"320000911_6": "「……ッ!」",
"320000911_7": "「手伝ってくれますか、ありがとう。\\n ……昔からこの神社を見守ってくれて、感謝しております」",
"320000911_8": "「高天原に神留り坐す、皇親神漏岐、神漏美の命以て\\n 八百萬神等を神集へに集へ賜ひ、神議に議り賜ひて――」",
"320000911_9": "「我が皇御孫命は、豊葦原瑞穂國を、\\n 安國と平らけく知ろし食せと事依し奉りき――」",
"320000911_10": "「……ッ!」",
"320000911_11": "「――此く依さし奉りし國中に、荒振る神等をば、\\n 神問はしに問はし賜ひ、神掃ひに掃ひ賜ひて、語問ひし――」",
"320000911_12": "「……ッ!」",
"320000911_13": "(長くは持ちませんな。その前に私の祝詞が届いてくれれば\\n いいのですが……",
"320000911_14": "「――宮司さんッ!」",
"320000911_15": "「…………」",
"320000911_16": "「気を失ってるデス……」",
"320000911_17": "「……」",
"320000911_18": "「ウサギさんも怪我してる……」",
"320000911_19": "「……この災禍の魔物の仕業ね」",
"320000911_20": "「みんなッ! あの大きいのは――」",
"320000911_21": "「なんという……これも災禍の魔物なのか……?」",
"320000911_22": "「宮司もウサギもこいつにやられたのかッ!?」",
"320000911_23": "「ひどい……」",
"320000911_24": "「ええ。許せないわ」",
"320000911_25": "「この魔物は……わたしたちで倒すッ!」"
}

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@ -0,0 +1,90 @@
{
"320000921_0": "「わたしたちの攻撃も効いてない……?」",
"320000921_1": "「巫女型ギアなのに、鎮められないデスかッ!?」",
"320000921_2": "「くッ……このままだと……」",
"320000921_3": "「そんな……どうしてこんなに……」",
"320000921_4": "「今までの数倍……いや、それ以上かッ!」",
"320000921_5": "「どっから出てきてるんだよ、こいつらはッ!?」",
"320000921_6": "「もしかして、天のオリオン座が関係してッ!?」",
"320000921_7": "「そんな……ッ!」",
"320000921_8": "「みなさん、聞こえますか?」",
"320000921_9": "「エルフナインちゃんッ!」",
"320000921_10": "「恐らくですが、今まで祓えた、鎮められたと思っていたのは、\\n 違ったんです。龍脈へは戻らなかっただけで、残っていた」",
"320000921_11": "「それが大地のオリオン同様に門として開かれた天のオリオン座に\\n 繋がり、集積して大きな災いになってしまったと考えられます」",
"320000921_12": "「でも、それじゃどうしたらいいデスかッ!\\n 鎮めることもダメなんじゃ――」",
"320000921_13": "「……いえ。鎮めることはできるんです。\\n 本職の神職の人なら……」",
"320000921_14": "「宮司さん?」",
"320000921_15": "「はい。あの人が最初に祝詞と舞で鎮めた魔物は、\\n 他とは消え方に差異がありました」",
"320000921_16": "「あれだけが、正しく鎮めることができた例なんだと思います。\\n 心象変化したギアでは、完全ではなかったということです……」",
"320000921_17": "「関係ない」",
"320000921_18": "「……調?」",
"320000921_19": "「祓うとか、鎮めるとかなんて関係ない。……宮司さんを、\\n ウサギさんたちを、この神社を傷つけたアイツが許せないッ」",
"320000921_20": "「わたしが絶対に倒すんだッ!」",
"320000921_21": "「調ッ! くッ、切歌、セレナッ!\\n 調を援護してッ」",
"320000921_22": "「りょ、了解デスッ!」",
"320000921_23": "「月読さん、無茶はしないでくださいッ!」",
"320000921_24": "「立花ッ、小日向ッ、雪音ッ!\\n わたしたちも迎撃するぞッ」",
"320000921_25": "「はいッ!」",
"320000921_26": "「は、はいッ!」",
"320000921_27": "「ああッ!」",
"320000921_28": "「エルフナイン、さっきの話だけど、\\n わたしたちのギアじゃ無理なのね」",
"320000921_29": "「はい、恐らくは……。何が足りないのかはわかりませんが、\\n 本職の舞による鎮めとは何かが違うんだと思います……」",
"320000921_30": "「そ、そんなことはありません……」",
"320000921_31": "「宮司さんッ!?」",
"320000921_32": "「いやはや、みっともない姿をお見せしてしまいましたね……。\\n 年は取りたくないものですな」",
"320000921_33": "「あの子を……月読さんを呼んでいただけますかな。あの子なら\\n きっと、あの荒ぶる神にも心を届かせることができます」",
"320000921_34": "(許さない……絶対にッ!\\n 優しい宮司さんを、あの子たちを――ッ",
"320000921_35": "(この場所を、荒らす奴は絶対にッ!)",
"320000921_36": "「調ッ! 出すぎデスッ!\\n 無茶しすぎデスよッ」",
"320000921_37": "「落ち着いてください、月読さん」",
"320000921_38": "「――許さないんだからッ!!」",
"320000921_39": "「まだまだッ!」",
"320000921_40": "「――調ッ! 宮司さんが目を覚ましたわッ!」",
"320000921_41": "「え……?」",
"320000921_42": "「はああああッ!」",
"320000921_43": "「……調、宮司さんのところへ。\\n 話があるそうよ。わたしが抑えている間に早くッ」",
"320000921_44": "「う、うんッ!」",
"320000921_45": "「……こんなボロボロで失礼しますよ」",
"320000921_46": "「宮司さん……大丈夫ですか?\\n わたしがもう少し早く戻ってこれたら……」",
"320000921_47": "「そんなことはありません。その子たちもいましたからな。\\n おかげで命を拾うことができました」",
"320000921_48": "「…………」",
"320000921_49": "「宮司さんも、ウサギさんも、神社もこんなにして……。\\n やっぱり許せない……」",
"320000921_50": "「待っていてください。あんなのすぐ倒して、\\n 病院に連れていきますから――」",
"320000921_51": "「それではダメなのですよ」",
"320000921_52": "「え……?」",
"320000921_53": "「思い出してください。舞とはなんのためにあったのか。\\n 間違った心では、災禍を鎮めることなどできません」",
"320000921_54": "「災禍とはすなわち神からの試練のひとつ。魔と呼ばれようとも、\\n 総じて神につながるものです」",
"320000921_55": "「……大事なことは、感謝と尊敬です」",
"320000921_56": "「感謝と、尊敬……?」",
"320000921_57": "「その気持ちさえあれば、きっとあなたの心は届きます。\\n 怒りでも、悲しみでもなく、感謝を込めて災禍に抗うのです」",
"320000921_58": "「やってみます……」",
"320000921_59": "「素直ですな。あなたを見ていると、行方不明の孫娘を\\n 思い出します。私の言葉もよく聞く、素直な子でした」",
"320000921_60": "「こんな時まで神社ジョーク……?」",
"320000921_61": "「フフ、緊張は取れましたかな?\\n あとは、お願いしますぞ」",
"320000921_62": "「調、宮司さんは?」",
"320000921_63": "「安全なところまで下がってもらったよ」",
"320000921_64": "「それで、何か秘策でも貰えたの?」",
"320000921_65": "「あれだけデカいのに、攻撃が効かないなんて反則デスよ」",
"320000921_66": "「わたしたちの巫女型ギアが全く通用しないなんて……」",
"320000921_67": "「……気持ちを教えて貰った。\\n 感謝と尊敬の気持ちさえあれば、届くからって……」",
"320000921_68": "「……それだけ?」",
"320000921_69": "「うん。でもやってみる」",
"320000921_70": "「……いいわ。なら、調に任せましょう」",
"320000921_71": "「ありがとう……」",
"320000921_72": "「その子たちもいるしね。\\n 調を信じてるみたい」",
"320000921_73": "「…………」",
"320000921_74": "「あれ? いつの間に……」",
"320000921_75": "「…………」",
"320000921_76": "「な、なんだかウサギさんたちが光りだしたデスよッ!?」",
"320000921_77": "「きれい……」",
"320000921_78": "「これは――ッ!?」",
"320000921_79": "(何だろう、温かくて懐かしくて……この子たちの力?\\n わたしに流れ込んでくる……",
"320000921_80": "「し、調まで光りだしたデスッ!」",
"320000921_81": "「切ちゃん、大丈夫だよ。\\n この子たちが、力を貸してくれたみたい」",
"320000921_82": "「…………」",
"320000921_83": "「ありがとう。後は任せてね。\\n セレナ、この子たちをお願い」",
"320000921_84": "「わ、わかりました」",
"320000921_85": "「調……?」",
"320000921_86": "「心配しないで、切ちゃん。\\n あの大きな災禍は、わたしがなんとかするから」",
"320000921_87": "「みんなも、この神社も、全部護ってみせるッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,25 @@
{
"320000932_0": "「やったデス、調ッ!」",
"320000932_1": "「後はとどめよッ!」",
"320000932_2": "「…………」",
"320000932_3": "「どうしたんだ、月読は……。\\n なぜ動かない……」",
"320000932_4": "(大事なのは、感謝と、尊敬の心――)",
"320000932_5": "「神楽舞……?」",
"320000932_6": "「きれい……」",
"320000932_7": "「高天原に神留坐す――」",
"320000932_8": "(この神社に来れたこと、宮司さんに、ウサギさんに会えたこと、\\n みんなで楽しい時間を過ごせたこと――",
"320000932_9": "(全て神様のお導きです。だから、あなたへの感謝を尊敬を、\\n この舞と祝詞に込めて――",
"320000932_10": "「――筑紫の日向の橘の、小門の阿波岐原に――」",
"320000932_11": "「なあ……あれ、災禍の魔物が薄く……?」",
"320000932_12": "(ありがとうございます。でも、この神社は、わたしにとって\\n 大事な場所なんです。だから――",
"320000932_13": "「――祓へ給ひ、清め給ふと、申す事の由を――」",
"320000932_14": "(この場所を、壊さないでください。どうか、お帰りください。\\n この舞を、感謝の心を、捧げますので――",
"320000932_15": "「――天津神、地津神、八百万神等共に、\\n 聞こし食せと、畏み畏みも白す……」",
"320000932_16": "「消えた……デス」",
"320000932_17": "「やったッ! やりましたよッ!」",
"320000932_18": "「ええ、よくやったわ、調」",
"320000932_19": "「ううん、みんなのおかげだよ」",
"320000932_20": "「それと……、あれ?」",
"320000932_21": "「どうしたんデス?」",
"320000932_22": "「ウサギさん、どこに行ったんだろう?」"
}

View file

@ -0,0 +1,77 @@
{
"320001011_0": "孫娘の帰る場所",
"320001011_1": "「到着デース。\\n おお、狛兎も変わってないデスね」",
"320001011_2": "「それにしても不思議なこともあるものね」",
"320001011_3": "「うん……気づいたらあのウサギさんたちがいなくなってて、\\n 代わりにこの狛兎さんたちが戻ってたなんて……」",
"320001011_4": "「やっぱりこの子たちがあのウサギさんたちだったのかな?」",
"320001011_5": "「きっとそうデスよッ!」",
"320001011_6": "「……でも、もう少しあの子たちを撫でたかったです」",
"320001011_7": "「あの手触りは魔性のモフモフデスよ……。\\n とても忘れられないデス」",
"320001011_8": "「そういえばクリス先輩も悔しがってたね?」",
"320001011_9": "「『あたしだけほとんど撫でてねーじゃねーかッ!』って\\n 怒ってたデス。それで今日は未来さんがペットショップに……」",
"320001011_10": "「そうだったんだ……」",
"320001011_11": "「さて、それじゃ掃除を始めましょうか。宮司さんの怪我が\\n よくなるまで、しっかりとお手伝いしなくちゃね」",
"320001011_12": "(……ありがとう。何度も護ったり、助けてくれて。\\n 今日もきれいに磨かせて貰うね",
"320001011_13": "「うーんやっぱり硬いデスね。\\n 手触りは前の方がよかったデス……」",
"320001011_14": "「仕方ないよ、切ちゃん。でも、こうして撫でると、\\n 少し狛兎さんも気持ちよさそうに見えない」",
"320001011_15": "「おおッ!? 確かにそんな気もするデスね。\\n ならもっと撫でるデス。うりうり」",
"320001011_16": "「フフ、ほどほどにしてあげてね」",
"320001011_17": "「みなさん、キッシュが焼けましたよ。\\n 今日のキッシュも自信作です」",
"320001011_18": "「あ、はい。もう少し磨いたら行きます」",
"320001011_19": "「――ッ!?」",
"320001011_20": "「……どうかしましたか?」",
"320001011_21": "「……いえ、なんでもありません。\\n それでは落ち着いたらお昼にしましょう」",
"320001011_22": "「はい」",
"320001011_23": "「それにしても、ケガがまだ治ってないのに、\\n お料理なんて負担になりませんか」",
"320001011_24": "「いえいえ。むしろ何かしてないと退屈で退屈で。\\n それに、もっとキッシュのレシピも開拓しなければ」",
"320001011_25": "「わあ、もっとおいしくできるんですか?」",
"320001011_26": "「料理の道は険しいですからな。探求に終わりはないのですよ」",
"320001011_27": "「言っていることが完全に料理人デース……」",
"320001011_28": "「それに、せっかくこの私の料理を継いでくれる人材も\\n できたことですしな」",
"320001011_29": "「フフ、調が宮司さんのレシピを覚えてくれるなら、\\n わたしたちもおいしいお料理が食べられるわね」",
"320001011_30": "「いいことデースッ!」",
"320001011_31": "「あの、宮司さん、\\n 何かわたしにも手伝えることはありませんか」",
"320001011_32": "「え?」",
"320001011_33": "「わたしも、この神社やウサギさんにとてもお世話になりましたし、\\n 何かお手伝いをしたいのですが」",
"320001011_34": "「そうですなー……、\\n それでは、料理と配膳の手伝いをお願いできますかな」",
"320001011_35": "「はい、任せてください。\\n それじゃ、わたし、先に行って準備してますね」",
"320001011_36": "「アタシは、早くお昼にありつくために、もっと調を手伝うデスよッ!」",
"320001011_37": "「本当に元気なお嬢さん方ですな」",
"320001011_38": "「あの、少しお時間よろしいでしょうか?」",
"320001011_39": "「おお、どうしましたか?\\n 心配せずとも、食後にはフィナンシェを焼きますが――」",
"320001011_40": "「いえ、それはそれで嬉しいことなんですけど、そうじゃなくて。\\n 少しだけ聞きたいことが」",
"320001011_41": "「なんでしょう?」",
"320001011_42": "「宮司さんの、ご家族についてなんですが……」",
"320001011_43": "「娘夫婦と孫のことですかな?」",
"320001011_44": "「ええ。……神社ジョークじゃなくて、\\n 本当は何があったのか聞いてもいいでしょうか」",
"320001011_45": "「……そうですね。\\n もう、あの事故から年以上経ちますか……」",
"320001011_46": "「事故……?」",
"320001011_47": "「ええ。旅行中に起きた、ひどい事故でした。\\n 多くの人が亡くなり、その中に娘夫婦の名前もありました」",
"320001011_48": "「――ッ!?」",
"320001011_49": "「どうして娘夫婦がこんなことにと、随分神様を恨みも\\n しました。ですが、ほんの小さな希望が残っていたんです」",
"320001011_50": "「それが、孫娘でした。一緒にいたはずの孫娘の名前だけ、\\n 亡くなった者のリストになかったんですよ」",
"320001011_51": "「……生きていたんですか?」",
"320001011_52": "「わかりません。状況が状況なだけに、\\n 正式には行方不明となっていました」",
"320001011_53": "「ただ、変わり果てた姿で対面した娘夫婦は、2人で何かを\\n 庇ったまま、亡くなったような姿だったのです」",
"320001011_54": "「そんなの、孫娘以外にありえません。だから、きっと\\n 生きていると信じて捜したのですが――」",
"320001011_55": "「見つからなかったんですね……」",
"320001011_56": "「ええ、そうです。ですが、きっと生きているはずです。\\n だから、私はこの神社を、孫娘の帰る場所を残したかった」",
"320001011_57": "「……ごめんなさい。辛い話を――」",
"320001011_58": "「いいえ、そんなことはありません。……最近思うんですよ。\\n 孫娘はきっと生きていて、幸せに過ごしていると」",
"320001011_59": "「あれから、どんな人生を歩んでいるかはわかりません。\\n もしかしたら辛いこともあったかもしれない」",
"320001011_60": "「ですが、今は良い人たちに巡り合い、\\n 心から笑って過ごしている、そう感じるんです」",
"320001011_61": "「……あ、ここにも汚れがある。\\n 切ちゃん、洗剤取ってくれる」",
"320001011_62": "「了解デース」",
"320001011_63": "(……事故で両親を。それに10数年前……)",
"320001011_64": "「……きっと、そうかもしれませんね。\\n でも、実際にその子が現れたらどうするんですか」",
"320001011_65": "「どうもしません。\\n 孫娘が幸せなら、それだけで満足です」",
"320001011_66": "「ただ……」",
"320001011_67": "「もし機会があれば、料理でもしながらゆっくり語らいたい、\\n といったくらいですかな。叶っているといいのですが」",
"320001011_68": "「どうでしょうか。\\n ……もしかすると、叶っているのかもしれませんね」",
"320001011_69": "「あの、宮司さん。\\n ひとつお願いがあるんですけど」",
"320001011_70": "「おや、どうかしましたかな」",
"320001011_71": "「焼けたキッシュを、ウサギさんにもあげていいですか?」",
"320001011_72": "「フフ、もちろん良いですとも」",
"320001011_73": "「ありがとございます」",
"320001011_74": "「ウサギさん、あとでおいしいキッシュを持ってくるね」"
}

View file

@ -0,0 +1,42 @@
{
"320001111_0": "幸せな食卓",
"320001111_1": "「みんな、ただいまッ!」",
"320001111_2": "「お帰りなさい、マリア姉さん」",
"320001111_3": "「マリア、お帰りデス」",
"320001111_4": "「お帰りなさい」",
"320001111_5": "「やっと帰ってこれたわ……」",
"320001111_6": "「大変だったみたいデスね。\\n お疲れ様デス……」",
"320001111_7": "「……ありがとう。でも終わったからもういいわ」",
"320001111_8": "「さて、今日のご飯は何かしら?\\n もう調のお料理が恋しくて恋しくて――」",
"320001111_9": "「今日はフランス料理づくしだよ、姉さん。\\n すごく美味しそうだよね」",
"320001111_10": "「あ……」",
"320001111_11": "「ん、どうかした?」",
"320001111_12": "「……マリア、フランスの方でお仕事だったんだよね?」",
"320001111_13": "「ええ、そうよ」",
"320001111_14": "「ごめんなさい。\\n せっかく帰ってきたんだから日本食の方がよかったよね……」",
"320001111_15": "「フフ、何言ってるの、そんなの関係ないわ。\\n わたしは調の料理が食べたかったんだから」",
"320001111_16": "「でも、フランス料理は食べ飽きてるんじゃ……」",
"320001111_17": "「確かにそうね。\\n でも、調の料理を食べ飽きるなんてありえないわ」",
"320001111_18": "「本当?」",
"320001111_19": "「ええ、もちろんよ。\\n だから、変な気を使わないで」",
"320001111_20": "「うん、よかった」",
"320001111_21": "「姉さん、このお料理ってなんだろう?」",
"320001111_22": "「スーパ・ロワニョンね。\\n 玉ねぎをブイヨンで煮込んだ、つまりオニオンスープよ」",
"320001111_23": "「そうなんだ……おいしいー」",
"320001111_24": "「それにしても、調。フランス料理の腕前を上げたわね。\\n 向こうでも通用しそうだわ」",
"320001111_25": "「それはそうデスよ。調は、あの宮司さんのフランス料理を\\n どんどん覚えてるデスから」",
"320001111_26": "「最近の調のフランス料理の腕前は、\\n まさにウナギの滝登りデスッ」",
"320001111_27": "「それはまた、ワイルドなウナギね……」",
"320001111_28": "「切ちゃん、それを言うなら、うなぎ上りだよ」",
"320001111_29": "「おお、滝は登らないデスか……」",
"320001111_30": "「姉さん、ほら。キッシュもあるんだよ?」",
"320001111_31": "「あら、いいわね。\\n ……うん、おいしいわ」",
"320001111_32": "「このキッシュは絶品だから」",
"320001111_33": "「やっぱり、家族そろっての食事はいいもんデスねー」",
"320001111_34": "「こんな幸せな時間が、ずっと続いてほしいデスよ」",
"320001111_35": "「そうだね」",
"320001111_36": "「……ねえ、調。\\n 宮司さんにお料理教わるの、楽しい」",
"320001111_37": "「うん。新しい料理もたくさん教えてもらえるし、\\n それ以外にも、いろいろお話もできるし」",
"320001111_38": "「そう、それはよかったわね。\\n これからもたくさん、お料理教えてもらいなさいな」",
"320001111_39": "「うんッ!」"
}