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@ -0,0 +1,62 @@
{
"392000111_0": "APPLEに迫る脅威",
"392000111_1": "「く……ッ!\\n どこまでもしつこいッ」",
"392000111_2": "「ゾ、ゾゾ……ゾゾゾ……」",
"392000111_3": "「でも、これで仕留めるッ!」",
"392000111_4": "「はあ、はあ……」",
"392000111_5": "「て、敵の気配はひとまずなくなった……",
"392000111_6": " 今ならここを……ッ!」",
"392000111_7": "「姉さん、大丈夫……ッ!?」",
"392000111_8": "「わ、わたしなら平気……」",
"392000111_9": "「それよりも、この通路は制圧したわ。\\n 今のうちに早くみんなをこっちへ……ッ」",
"392000111_10": "「そ、それが……」",
"392000111_11": "「――ッ!?\\n まさか、何かあったの……ッ」",
"392000111_12": "「う、うぅぅ……」",
"392000111_13": "「ナツミッ!?",
"392000111_14": " どうしたのッ!? 怪我をッ!?」",
"392000111_15": "「ハハ、騒ぐほどのことじゃないっス。\\n けど、ドジ踏んじゃったっスよ……」",
"392000111_16": "「ご、ごめんなさいッ!\\n 私が逃げ遅れたばっかりに……ッ」",
"392000111_17": "「ヒメジマ班長は、\\n 私を助けようとして……ッ」",
"392000111_18": "「傷自体はただの擦り傷っスから、\\n 命に別状はないっスよ」",
"392000111_19": "「けど、神経性の毒かなんかにヤラれたみたいで、\\n 身体がシビれて動けないっス……」",
"392000111_20": "「そんな……ッ!」",
"392000111_21": "「アハハ、やっぱガラにもないことは\\n するもんじゃないっスねぇ……」",
"392000111_22": "「笑ってる場合じゃないでしょうッ!?\\n もしまた、奴らの襲撃を受けたら……ッ」",
"392000111_23": "「…………」",
"392000111_24": "「姉さん、『あの』世界の人たちに\\n 助けを求められないかな」",
"392000111_25": "「――ッ!\\n ……並行世界にッ」",
"392000111_26": "「けど、エアーキャリアーは今、動かせない……」",
"392000111_27": "「ハハハ……面目ないっス。\\n 元はと言えば自分が蒔いた種っスからね……」",
"392000111_28": "「けど……大丈夫っスよ。\\n まさにこんなときのために、これを作ったんスから……」",
"392000111_29": "「その装置は……?」",
"392000111_30": "「並行世界の壁を、ぶっ壊すッ!\\n 聖遺物に頼らない、科学のチカラの結晶っスッ」",
"392000111_31": "「名付けて、デュプリケイターフェイクッ!」",
"392000111_32": "「フェ、フェイク……?」",
"392000111_33": "「まあ、名前はデュプリケイターもどきでも\\n でもでもなんでもいいっスよ」",
"392000111_34": "「幸いにも、この場所は……\\n この装置を使う条件が揃ってるっス」",
"392000111_35": "「……?」",
"392000111_36": "「あ〜……すみません、頭が、ぼんやりして、きて……\\n とにかく、この装置を使えば並行世界に……」",
"392000111_37": "「けど、今のところ跳躍できるのはせいぜい1回分……\\n いや、往復分てところっス」",
"392000111_38": "「……前にも、似たような\\n 不良品を作っていた気がするけど」",
"392000111_39": "「ああ、あれは……」",
"392000111_40": "「冗談よ。\\n 往復分あれば十分……」",
"392000111_41": "「……」",
"392000111_42": "「……ナツミッ!?」",
"392000111_43": "「気を失っただけみたいです。",
"392000111_44": " けれど、大丈夫だなんて、とても言える状況じゃない……」",
"392000111_45": "「ここはわたしがなんとかします。\\n 姉さんは一刻も早く助けを……ッ」",
"392000111_46": "「本気で言ってるのッ!?\\n いつまた奴らが襲ってくるかわからないのよッ」",
"392000111_47": "「いくらなんでも、セレナ1人じゃ……ッ!」",
"392000111_48": "「大丈夫ですッ!\\n 俺たちだって、まだ戦えますッ」",
"392000111_49": "「絶対に誰も死なせませんから、\\n 隊長は早くッ」",
"392000111_50": "「み、みんな……ッ!」",
"392000111_51": "「ゾ、ゾゾ……ゾゾゾ……」",
"392000111_52": "「――ッ!?\\n マズい、奴らに気取られた……ッ」",
"392000111_53": "「戦える者は陣形を整えてくださいッ!\\n 脅威を突破しますッ」",
"392000111_54": "「おおッ!」",
"392000111_55": "「セレナ、みんな……ッ!?」",
"392000111_56": "「護ってみせるッ!\\n みんなを、家族を……ッ」",
"392000111_57": "「だから、姉さん……\\n 行ってくださいッ」",
"392000111_58": "「…………」",
"392000111_59": "「セレナ、みんな……ッ!\\n 必ず……必ず助けを呼んで戻ってくるからッ」"
}

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@ -0,0 +1,55 @@
{
"392000121_0": "「ふわぁぁ~、平和デスねぇ……」",
"392000121_1": "「いいんですか?\\n そんなにダラけちゃってて……」",
"392000121_2": "「なぁに言ってるデスか。セレナだって、\\n あんまりにも暇でこっちに遊びに来たんデスよね」",
"392000121_3": "「あ、遊びに来たんじゃないですッ!",
"392000121_4": " わたしは、自分の世界の状況を定期報告に……」",
"392000121_5": "「とか言って、こっちの世界のマリアがいなくて\\n ザンネンムネン、て顔デスよ」",
"392000121_6": "「う……確かにマリア姉さんには逢いたかったですが、\\n 任務で出かけてるなら仕方ないですし」",
"392000121_7": "「行先は……南米でしたっけ?\\n アマゾン奥地のジャングルだとか……」",
"392000121_8": "「そうデス。ジャングルの奥地……",
"392000121_9": " そこは人知の及ばぬ、暗黒の世界ッ!」",
"392000121_10": "「巨大なワニ、うごめく猛獣、怪鳥……\\n だが、そこで最も恐るべきモたちは……ッ」",
"392000121_11": "「『昆虫』たちなのであるッ!\\n ドドーン、バババァァァーンッ」",
"392000121_12": "「…………」",
"392000121_13": "「なんですか、それ?」",
"392000121_14": "「いやあ、実はデスね、\\n 昨日面白いテレビ番組を見たデスよ」",
"392000121_15": "「大地球探検隊シリーズッ!\\n 昨日はジャングルに住む虫の特集だったデス」",
"392000121_16": "「ムシ……? って、アレですか? \\n チョウチョとか、ハチとかカブトムシとか……」",
"392000121_17": "「そうそう、その虫デス。\\n これがホントにドラマチックで、感動的だったデスよ」",
"392000121_18": "「う~ん……? 虫の世界でドラマとか感動とか、\\n いまひとつ想像がつかないですけど……」",
"392000121_19": "「アタシも最初はそう思ってたデス。\\n けど例えば、たった匹の標的を倒すために……」",
"392000121_20": "「何百万もの仲間が団結して戦ったり。\\n 人間の軍隊よりもすごい統率力なんデスッ」",
"392000121_21": "「あとは、巨象も倒す猛毒とか、\\n ミサイルもはね返す鋼鉄の重装甲とか……」",
"392000121_22": "「ミサイルまで……ッ!?",
"392000121_23": " それはすごいですねッ!?」",
"392000121_24": "「あッ……ええと、まあ、ミサイルは言いすぎだったデス。\\n ちょっと興奮しちゃったデス」",
"392000121_25": "「でも、虫がすごいのはほんとデスよ。",
"392000121_26": " もし今より、虫がほんの少し進化したら……」",
"392000121_27": "「進化したら……?」",
"392000121_28": "(――カサササッ)",
"392000121_29": "「…………」",
"392000121_30": "「……?\\n 暁さん、どうかしました」",
"392000121_31": "「い、今そこの機械のかげで……\\n チラリと黒いモが……」",
"392000121_32": "「黒いモノ……?」",
"392000121_33": "「き、きっと気のせいデスッ!\\n 見てないデス、アタシは何も見なかったデースッ」",
"392000121_34": "「ここは清潔極まりないS.O.N.G.本部デスよッ!\\n よもや、あのおぞましい生物兵器が……」",
"392000121_35": "「カサカサ――」",
"392000121_36": "「ひぃぃいいッ!\\n で、でたああぁぁぁぁぁッ」",
"392000121_37": "「ま、まさか……虫、というか……\\n 名前すらも口にしたくない、黒いアレ……ッ」",
"392000121_38": "「そう、それデスッ! アレデスッ!\\n 全人類の敵……世界を覆う暗黒の使徒ッ」",
"392000121_39": "「奴らは切羽詰まると\\n 人間に飛び掛かってくるデスからねッ」",
"392000121_40": "「向こうが攻撃してくる前に、\\n ギアの力で徹底的な殲滅をぉぉぉぉ……」",
"392000121_41": "「ギ、ギアはやりすぎですよ、\\n 暁さんッ」",
"392000121_42": "「――ッ!?」",
"392000121_43": "「空間がッ!?\\n 何かが、転移してくる……ッ」",
"392000121_44": "「な、なんということデスかッ!\\n 奴らはついに空間跳躍能力まで獲得を……ッ」",
"392000121_45": "「えええッ!?\\n そんなことってあるんですかッ」",
"392000121_46": "「…………」",
"392000121_47": "「――ッ!?」",
"392000121_48": "「よかった、\\n ちゃんと起動した……ッ」",
"392000121_49": "「けど、開発中に説明されていた通り、\\n 酷い負荷だわ……」",
"392000121_50": "「あ、あなたは……」",
"392000121_51": "「あなたは、セレナ……ッ!?\\n それに……」",
"392000121_52": "「リ、リトル・マリア……?」"
}

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@ -0,0 +1,43 @@
{
"392000131_0": "「APPLEが遭難を……」",
"392000131_1": "「ええ、エアーキャリアーにちょっとした不具合が起きたの。\\n それで、やむなく不時着することになったのだけれど……」",
"392000131_2": "「不時着できた並行世界の座標は、\\n 絶海の孤島のような場所で……」",
"392000131_3": "「負傷者もいるため身動きが取れず、\\n こちらの世界に救援を求めに来たということか」",
"392000131_4": "「ええ」",
"392000131_5": "(……まあ、運悪くとは言いつつも、\\n ここに助けを求められる地点だったのは幸いか",
"392000131_6": "(『デュプリケイターフェイク』の起動条件……\\n ナツミたちが研究中に報告してくれたことは、まだ共有できない",
"392000131_7": "「ふむ……なるほど、事情はだいたいわかった。\\n そういうことであれば、装者の出動を許可しよう」",
"392000131_8": "「……ッ!",
"392000131_9": " 恩に着るわッ!」",
"392000131_10": "「ただ、生憎今は大半の装者が出払っていてな。\\n すぐに動ける装者が切歌くんしか……」",
"392000131_11": "「でしたら、わたしが行きますッ!」",
"392000131_12": "「――ッ!?」",
"392000131_13": "「でもデスね、\\n セレナがここから更に別の並行世界に行くとなると……」",
"392000131_14": "「大丈夫です。\\n ちゃんとマムに許可はもらってきますからッ」",
"392000131_15": "「並行世界を越えて救援を求めるような事態なんですよね?\\n だったら、戦える人間が多い方がいいはずですッ」",
"392000131_16": "「すぐ戻ってきますから。\\n マリアさん、待っててくださいねッ」",
"392000131_17": "「あ、ちょっと待――ッ!」",
"392000131_18": "「って、行っちゃったデス……」",
"392000131_19": "「……並行世界の同一人物とはいえ、\\n 『姉』のピンチには居ても立ってもいられないか」",
"392000131_20": "「……ありがとう、セレナ……。",
"392000131_21": " ううん、これは後で直接言わなきゃね」",
"392000131_22": "「そうデスねッ!」",
"392000131_23": "「……それで、アタシは何をすればいいデスか?」",
"392000131_24": "「怪我してる人たちをエアーキャリアーまで\\n 運ぶだけ……じゃないデスよね」",
"392000131_25": "「ええ、……不時着した島には、\\n 放棄された古い研究所のようなものがあって……」",
"392000131_26": "「そこで食料や水を探しているうちに、",
"392000131_27": " ……襲われてしまったのよ」",
"392000131_28": "「脅威の出現ということか……。\\n ギャラルホルンのアラートは鳴ってないが……」",
"392000131_29": "「つまりその相手というのは、\\n イズやアルカ・イズではないということだな」",
"392000131_30": "「え、ええ……」",
"392000131_31": "「……歯切れが悪いな。だが、必要な情報だ、教えてくれ。\\n APPLEはいったい何に襲われたんだ」",
"392000131_32": "「リトル・マリアが口ごもるほどの相手……\\n これは恐ろしいデスよッ」",
"392000131_33": "「地底からやってきた爬虫人類とか……",
"392000131_34": " それとも、地球侵略をもくろむ悪の異星人ッ!?」",
"392000131_35": "「けど、安心するデスよッ!\\n アタシが行くからには力になるデスからッ」",
"392000131_36": "「……ありがとう」",
"392000131_37": "「爬虫人類、異星人……そのどちらでもないわ。\\n その研究所に住み着いていたのは……」",
"392000131_38": "「…………」",
"392000131_39": "「昆虫の群れだったの」",
"392000131_40": "「コンチュ、ウ……?\\n それはつまり……虫、ってことデスか……」"
}

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@ -0,0 +1,40 @@
{
"392000211_0": "未知の島",
"392000211_1": "「ここが、\\n エアーキャリアーの不時着した島……」",
"392000211_2": "「研究施設って言ってたデスが……建物全体が\\n ジャングルに飲み込まれてるみたいデスよッ」",
"392000211_3": "「エネルギー残量、ゼロ……\\n ナツミが言ってた通り、往復分が限界のようね」",
"392000211_4": "(わたしの消耗も、かなり大きい……)",
"392000211_5": "「ん?\\n その装置はなんデスか」",
"392000211_6": "「ああ、これ?\\n デュプリケイターフェイクよ」",
"392000211_7": "「<ruby=フェイク>偽物</ruby>……?」",
"392000211_8": "「詳しい話は追々するわ。",
"392000211_9": " 今は、一刻も早くみんなと合流しないと……」",
"392000211_10": "「わたし1人じゃどうしようもなくても、\\n あなたたちがいるなら多少の無茶もできる……ッ」",
"392000211_11": "「ままま、待つデスよッ!",
"392000211_12": " 焦る気持ちはわかるデスけど……」",
"392000211_13": "「情報が少なすぎるデス。\\n 虫と戦うにしても、なんの虫とか……」",
"392000211_14": "「マリアさんたちが苦戦するほどの虫なんですよね?\\n いったい、なんの大群なんですか」",
"392000211_15": "「問題は虫の種類じゃなくて、\\n 大きさなのよ」",
"392000211_16": "「大きさ……?\\n まさか、巨大化でもしている……とかですか」",
"392000211_17": "「ええ、まさにその通りよ」",
"392000211_18": "「なんとッ!」",
"392000211_19": "「ムムム……なるほど。\\n 確かにそれはマズいかもデスね……」",
"392000211_20": "「え、えっと……虫が巨大化しただけで、\\n そんなに恐ろしいものになるんですか」",
"392000211_21": "「恐ろしいとかそういうレベルじゃないデス。\\n テレビでも言ってたデスよ」",
"392000211_22": "「たとえばカブトムシなんてのは、自分の体重の\\n 何十倍もの大きさのものを投げ飛ばすデス」",
"392000211_23": "「もしカブトムシが、人間ぐらいの大きさまで\\n 巨大化したとしたら……」",
"392000211_24": "「したら……?」",
"392000211_25": "「大型トラックも粉砕してしまうような、\\n 超パワーのモンスターになるデスよ」",
"392000211_26": "「そ、そんなに……ッ!?」",
"392000211_27": "「――ッ!?」",
"392000211_28": "「マリアさん、\\n どうかしたんですか……」",
"392000211_29": "「何かが、近づいてくる……ッ」",
"392000211_30": "「この気配……鳥デスか?\\n いや、それにしてはなんというか……」",
"392000211_31": "「バサバサというかヴヴヴというかゾゾゾというか、\\n 絶妙に不愉快な感じの羽ばたき音が……」",
"392000211_32": "「キシャアアアアッ!」",
"392000211_33": "「<size=40>ぎぃぃぃやああああぁぁぁぁッ!</size>」",
"392000211_34": "「な、なにこれ……これが、虫ッ!?\\n こんなに大きいなんてッ」",
"392000211_35": "「に、人間……いや、\\n それ以上の大きさデスよぉッ」",
"392000211_36": "「あんなトンボ、テレビでだって\\n 見たことないデスッ」",
"392000211_37": "「クッ!\\n 人とも、来るわよッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,19 @@
{
"392000212_0": "「はあ、はあ……\\n なんとか、凌げた……」",
"392000212_1": "「お、大きい……",
"392000212_2": " いや、大きいなんてもんじゃなかったデスよぉッ!」",
"392000212_3": "「あんなトンボが存在するなんて……\\n 人間の倍ぐらいはあったんじゃ……」",
"392000212_4": "「み、見たデスか、さっきのトンボの口ッ!?\\n なんかギチギチ動いてたデスよッ」",
"392000212_5": "「まるで、重工業用のカッターみたいでしたね。\\n あんなので噛みつかれたりしたら……」",
"392000212_6": "「生身の人間なんて木っ端ミジンコデスよッ!\\n 頭からバリバリムシャムシャ……ひいいぃッ」",
"392000212_7": "「……ぞっとしないわね」",
"392000212_8": "「これでわかったでしょう?\\n あれがこの島の脅威……」",
"392000212_9": "「研究所の内部には、さっきみたいな\\n 巨大な昆虫たちが大量に住み着いているのよ」",
"392000212_10": "「な、なるほど……確かにこれは、\\n 今まで戦ってきた相手と一味も二味も違うデス」",
"392000212_11": "「まずそもそも見た目が恐ろしいデスからね。\\n 一種の精神攻撃デスよアレは……」",
"392000212_12": "「それに、あのスピード……\\n <ruby=はね>翅</ruby>もまるで金属のようでした……」",
"392000212_13": "「ええ。だからこそ、負傷者を抱えたまま頑張っている仲間を\\n 一刻も早く見つけなくてはならない……ッ」",
"392000212_14": "「これ以上、説明に時間を使うわけにはいかないわ。\\n 中に踏み込みましょうッ」",
"392000212_15": "「わかりました、行きましょうッ!」",
"392000212_16": "「合点デスッ!」"
}

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@ -0,0 +1,57 @@
{
"392000221_0": "「この研究所、だいぶ古いですね。\\n 人が離れてからどれぐらい経ってるんだろう……」",
"392000221_1": "(けど、なんだろう?\\n どこか見覚えがあるような……ないような……",
"392000221_2": "「少なくとも数十年か……\\n あるいは、百年以上経ってるかもしれないわね」",
"392000221_3": "「……それにしても、そこかしこに気配がある。\\n 警戒しつつ進みましょう」",
"392000221_4": "「了解デスッ!」",
"392000221_5": "「……それにしても不気味デス。\\n 不時着するにしても、もっと良いところがなかったデスか……」",
"392000221_6": "「不時着だって言ってるでしょ。\\n 場所を選んでいる余裕があるわけないじゃない……」",
"392000221_7": "「それに、ある意味じゃラッキーだったのよ」",
"392000221_8": "「あの『フェイク』は、\\n 出発地点と着地地点が同じ座標じゃないと起動しないから」",
"392000221_9": "「……え?」",
"392000221_10": "「同じ座標……デスか?」",
"392000221_11": "「……ごめんなさい、本来は並行世界を渡る前に話すべきだった。\\n けど、時間を使いたくなくて……」",
"392000221_12": "「幸い、『緊急用だ』と渡されていたものもあったしね。\\n こちらは使わずに済んだのは幸いよ」",
"392000221_13": "「まあ、ともかく……」",
"392000221_14": "「この場所は、どこの並行世界かはわからなくても……\\n あなたの世界ではS.O.N.G.がある地点ということよ」",
"392000221_15": "「本当に、よく停泊している港にいてくれてよかった」",
"392000221_16": "「どええッ!?」",
"392000221_17": "「しッ!\\n 声を抑えてッ」",
"392000221_18": "「ご、ごめんなさいデスッ!\\n でも、S.O.N.G.本部は今や海上に……」",
"392000221_19": "「……わかってる。ちょっとした賭けではあったし、\\n 詳しいことはわたしにもわからないわ」",
"392000221_20": "「この並行世界の対超常組織が『かつて』あった場所なのか、\\n もしかしたら海上に浮かぶ人工島なのかも」",
"392000221_21": "(『フェイク』でこじ開けたゲートを使って行き来したのに、\\n 出口が変わっていたから……これはあながち遠くない予想かも",
"392000221_22": "「まあ……」",
"392000221_23": "「仔細はわからなくても、うちの科学班長が『使える』と言った。\\n だからわたしは、『同じ座標』のS.O.N.G.に跳んだのよ」",
"392000221_24": "「はへぇ……さすがAPPLEの艦長さんデス。\\n 信頼してるデスね、その人のこと」",
"392000221_25": "「……フ。\\n そう、ね」",
"392000221_26": "「気が利かないし勝手だし、いい加減なやつだけど",
"392000221_27": " APPLEの家族を……ナツミを失いたくないの」",
"392000221_28": "「もしかして、負傷者って……」",
"392000221_29": "「……」",
"392000221_30": "「名前は聞いたことあったデスが、『フェイク』を\\n 作ってしまうなんてナツミさんはすごい科学者なんデスねぇ」",
"392000221_31": "「だったら、ド根性だってあるはずデスッ!\\n ちっとやそっとじゃへこたれないはずデスよッ」",
"392000221_32": "「……ありがと。\\n その通りね」",
"392000221_33": "「ただ、今回の『フェイク』に関していえば\\n ナツミだけの研究でもないんだけど……」",
"392000221_34": "「おおう APPLEにはナツミさんの他にも\\n 優秀な科学者の人がいるデスか」",
"392000221_35": "「ええ、まあ……」",
"392000221_36": "「……2人とも、待ってください。\\n 何か近づいてきます……ッ」",
"392000221_37": "「ッ!?\\n 人とも、隠れて……ッ」",
"392000221_38": "「――――」",
"392000221_39": "「ひッ……!」",
"392000221_40": "「<size=25>シーッ!\\n 大きな声を出さないでッ</size>」",
"392000221_41": "「<size=25>ごごご、ごめんデスッ!",
"392000221_42": " でもあれ、アトラスオオカブトってやつデスよッ!</size>」",
"392000221_43": "「<size=25>昨日のテレビで見たデスッ!\\n カブトムシの中でも、獰猛で攻撃的で……</size>」",
"392000221_44": "「<size=25>けど、あの大きさは非常識デスッ!\\n なんデスかアレ……戦車デスかぁッ</size>」",
"392000221_45": "「<size=25>マリアさん、どうしますか?</size>」",
"392000221_46": "「<size=25>このまま隠れてやり過ごすか、\\n それとも力を合わせて強行突破するか……</size>」",
"392000221_47": "「…………」",
"392000221_48": "「あのカブトムシがいる辺りに、\\n みんなが隠れていたのよ……」",
"392000221_49": "「え……ッ!?」",
"392000221_50": "「それって……APPLEの人たちと合流するには、\\n あのオオカブトをどうにかしないと……」",
"392000221_51": "「…………」",
"392000221_52": "「やり過ごしてる時間はないわ。\\n 人とも、強行突破よッ」",
"392000221_53": "「わ、わかりました……ッ!」",
"392000221_54": "「せ、戦車サイズになったからって、\\n アタシたちが怖がると思わないことデースッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,38 @@
{
"392000222_0": "「キシャアアァァァ……ッ!」",
"392000222_1": "「はぁ、はぁ……ようやく、倒せたッ!\\n 本当に、なんて硬さ……ッ」",
"392000222_2": "「この巨体……ツノを大砲にすれば、\\n 本当に戦車そのものですね」",
"392000222_3": "「少し前に、そういう映画を\\n 見た気がするデスよ」",
"392000222_4": "「巨大な虫たちが支配する星で、\\n 人間が戦いを挑む、みたいな……」",
"392000222_5": "「2人とも……見て、このドアプレート」",
"392000222_6": "「『カブトムシ亜科改造実験室』……?",
"392000222_7": " これって……ッ!」",
"392000222_8": "「この巨大昆虫たちは改造実験で……\\n 人間の手で生み出されたもの……」",
"392000222_9": "「人為的に造られた、改造昆虫……」",
"392000222_10": "「でも、虫なんて巨大化させて\\n いったいなんの得があるデスか」",
"392000222_11": "「と、得?",
"392000222_12": " うーん……あッ!」",
"392000222_13": "「暁さんが見たという番組では、\\n 人間も真っ青な軍事力と言っていたんですよね」",
"392000222_14": "「なら、それこそ、\\n 戦車や戦闘機を運用するように……」",
"392000222_15": "「虫の大群による機動部隊……デスか。\\n 映画でもそんな感じだったデスよ」",
"392000222_16": "「けど、操縦はどうするデスか?\\n やっぱり人間が乗って動かすんデスかね」",
"392000222_17": "「うーん……虫の習性を利用するとか?\\n でも、ヒトが統率するのは難しい気がしますね……」",
"392000222_18": "「……あッ!?\\n こ、これを見てくださいデスッ」",
"392000222_19": "「――ッ!?\\n これは……血痕ッ」",
"392000222_20": "「えッ……!?」",
"392000222_21": "「これは……\\n 人間の血ッ」",
"392000222_22": "「そんな、この辺りに隠れていたみんながいない……ッ!\\n わたしがいない間に何があったの……ッ」",
"392000222_23": "「落ち着いてください、マリアさんッ!\\n 怪我はされているようですが、命にかかわる出血量ではありませんッ」",
"392000222_24": "「デスデス、これぐらいの量ならかすり傷デスッ!\\n きっと、さっきのカブトムシから逃げるために移動したデスよ」",
"392000222_25": "「……だと、いいんだけど……」",
"392000222_26": "「そうに決まってるデスッ!」",
"392000222_27": "「マリアさん、悪い方に考えるのはやめましょう。\\n きっとみなさんどこかに隠れています」",
"392000222_28": "「来る途中に話してくれましたけど……」",
"392000222_29": "「……?」",
"392000222_30": "「マリアさんの妹であるもう1人の<ruby=セレナ>わたし</ruby>も、マリアさんが\\n 戻るまで、絶対にみんなを護るって言ったんでしょう」",
"392000222_31": "「それなら、絶対に大丈夫ですッ!」",
"392000222_32": "「――ッ!」",
"392000222_33": "「そう、そうね……\\n あなたの言う通りだわ」",
"392000222_34": "「こんなところでオロオロしてる場合じゃない。\\n 探しましょうッ」",
"392000222_35": "(セレナ、ナツミ、みんな……\\n もう少しだけ持ち堪えていて。すぐに行くから……ッ"
}

View file

@ -0,0 +1,18 @@
{
"392000311_0": "『戦車』との戦い",
"392000311_1": "「しばらく進んできたデスが……ちょっと待つデス。\\n この独特の、甘ったるい匂いは……」",
"392000311_2": "「――――」",
"392000311_3": "「ムムム……\\n まーた『戦車』が通せんぼしてるデスよ」",
"392000311_4": "「マリアさん、強行突破しますか?」",
"392000311_5": "「そうね……あまり派手に戦って、\\n 他の虫たちを呼び寄せなければいいけど……」",
"392000311_6": "「でも、待ってる時間もないし……」",
"392000311_7": "「そういうことなら、\\n アタシにちょっと秘策があるデスよ」",
"392000311_8": "「秘策……?」",
"392000311_9": "「昨日の番組のおかげで、カブトムシ対策はバッチリデスッ!\\n ここは、カブトムシの弱点を突いてやるデスよ」",
"392000311_10": "「そんなことができるのッ!?」",
"392000311_11": "「フッフッフ……カブトムシ博士のアタシに任せるデス。\\n まずは協力して、敵の足を止めるデスよッ」",
"392000311_12": "「は、博士……?",
"392000311_13": " でも、わかりましたッ!」",
"392000311_14": "「そういうことなら……\\n 一気にキメるッ」",
"392000311_15": "「さあ、行くデスよぉッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,34 @@
{
"392000312_0": "「キシャアアアァァッ!」",
"392000312_1": "「な、なんてタフネス……ッ!?」",
"392000312_2": "「でも、徐々に動きが遅くなってるわッ!\\n あと一撃くらわせば……ッ」",
"392000312_3": "「はあああぁぁぁッ!」",
"392000312_4": "「ググ……ッ!?」",
"392000312_5": "「動きが、止まった……ッ!?」",
"392000312_6": "「今よ、秘策とやらをッ!」",
"392000312_7": "「2人とも、伏せるデスッ!\\n でやああぁぁぁッ」",
"392000312_8": "「グギ……ゾゾゾ……ッ!」",
"392000312_9": "「カ、カブトムシを……\\n ひっくり返したッ」",
"392000312_10": "「どんなもんデスッ!」",
"392000312_11": "「暁さん、まだ油断は……ッ!",
"392000312_12": " ……って、カブトムシが、じたばたして……?」",
"392000312_13": "「フフーン♪ カブトムシはひっくり返ってしまうと、\\n 自力では元に戻れないデスよ」",
"392000312_14": "「いくら重装甲の戦車でも、\\n 動けなければただの置き物デスッ」",
"392000312_15": "「カブトムシの弱点ってこのことだったのね。\\n なかなかやるじゃない」",
"392000312_16": "「これなら、これ以上の戦闘も避けられる……」",
"392000312_17": "「フッフッフ。カブトムシ博士……\\n いえ、昆虫博士と呼んでくれても構わないデスよッ」",
"392000312_18": "(……ギチギチギチギチ……)",
"392000312_19": "「――でも、あのひっくり返った\\n カブトムシの姿って……なんていうか、その……」",
"392000312_20": "「色味とか、お腹の感じとか……\\n なんか……似てるっていうか……その、アレに……」",
"392000312_21": "「――ッ!? ダ、ダメデスよッ!\\n それ以上言っちゃダメデスッ」",
"392000312_22": "「アレって、もしかしてアレのこと……?」",
"392000312_23": "「や、やめてくださいデスよーッ!\\n 名前を口にするのもおぞましい行為デスッ」",
"392000312_24": "「で、でも……万が一の事態に備えて、\\n 心の準備だけはしておくべきじゃないかしら」",
"392000312_25": "「もしもアレが巨大化して、\\n しかも大群で現れたりしたら……ッ」",
"392000312_26": "「…………」",
"392000312_27": "「…………」",
"392000312_28": "「ご、ごめんなさい。\\n わたしが悪かったわ……」",
"392000312_29": "「ちょ、ちょっと想像してしまいました……」",
"392000312_30": "「一瞬、意識が遠のきかけたデスよ……」",
"392000312_31": "「こ……こんな妄想に囚われてる場合じゃないわよねッ!\\n 先を急ぎましょうッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,27 @@
{
"392000321_0": "一方、セレナ[Another]たちは――",
"392000321_1": "「…………」",
"392000321_2": "「あ……副隊長、お帰りなさいッ!",
"392000321_3": " 通路の様子はどうでしたか?」",
"392000321_4": "「ダメですね……とにかく虫の数が多くて。\\n 倒しても倒してもキリがないんです」",
"392000321_5": "「怪盗型ギアを使っても、知覚機能がヒトと違うのか、\\n すぐに気取られてしまって」",
"392000321_6": "「とても負傷者を連れて\\n 突破できるような状況では……」",
"392000321_7": "「そう、ですか……」",
"392000321_8": "「やっぱり、隊長が戻ってくるまで\\n ここで隠れてるしかないのか……」",
"392000321_9": "「けど、水も尽きています。\\n このままじゃ、班長の治療だってままならない……ッ」",
"392000321_10": "「う、うぅぅ……」",
"392000321_11": "「ッ!?",
"392000321_12": " ナツミさん……ッ!」",
"392000321_13": "「ヒメジマ班長……ッ!\\n 無理に身体を動かさないでくださいッ」",
"392000321_14": "「だ、大丈夫っス。\\n こんなの、全然平気っスから……」",
"392000321_15": "「幸か不幸か、神経毒による麻痺の作用か、\\n 痛みはあまり感じないっスからね……」",
"392000321_16": "「頑張って……必ず姉さんが、\\n 助けを連れて戻ってきてくれますからッ」",
"392000321_17": "「ま、任せてくださいっス。\\n ちょっと呼吸がしづらいっスが、耐えてみせるっスよ……」",
"392000321_18": "(強がっているけど、すごい熱……\\n 意識を保っているのだってやっとのはず……",
"392000321_19": "「フン、今のAPPLEでは\\n その女だけが科学者ではあるまい」",
"392000321_20": "「無理せず楽になって構わんぞ」",
"392000321_21": "「――ッ!?」",
"392000321_22": "「…………はぁ、はぁ……\\n ……ハハ、口が悪いっスねえ……」",
"392000321_23": "「な、なんてことを言うのッ!\\n わきまえなさい、エジソン……ッ」",
"392000321_24": "「フン……」"
}

View file

@ -0,0 +1,51 @@
{
"392000411_0": "それぞれの協力関係",
"392000411_1": "「…………」",
"392000411_2": "「ナツミさん以外にも科学者はいるですって?\\n よくもそんなことが言えましたね……ッ」",
"392000411_3": "「あなたの命を救ったのは誰だと思ってるのッ!?\\n 言葉を慎みなさいッ」",
"392000411_4": "「……相も変わらずキャンキャンとよく吠える。\\n 私は事実を言ったまでだ」",
"392000411_5": "「ンッハハ……まだまだ知りたいことや作りたいモノがあるんで、\\n 長いお暇は必要ないっスねえ」",
"392000411_6": "「それに、あんまり自分のことを……\\n このナツミ・ヒメジマを、邪険にするもんじゃないっスよぉ」",
"392000411_7": "「自分に死なれたら、\\n あんたのメンテナンスは誰がやるっスか……」",
"392000411_8": "「ぐ……ッ」",
"392000411_9": "「……?」",
"392000411_10": "「私は世界最高の科学者だッ!\\n いざとなれば、自分のボディぐらい……」",
"392000411_11": "「『制約』も解除できないのに?」",
"392000411_12": "「ぐ……ッ!」",
"392000411_13": "「『制約』……?」",
"392000411_14": "「この男をうちで回収しようと決めたときに、\\n ちょっとした枷……『制約』を施してやったっスよ」",
"392000411_15": "「なんせ、この男は全身サイボーグっスからねぇ。\\n ボディはいくらでも替えが効くっス」",
"392000411_16": "「だから、首だけになったこの男を拾って\\n 新しいボディで復活させたときに……」",
"392000411_17": "「もし自分たちを裏切るようなマネをすれば、頭にえげつない\\n 『痛覚そのもの』が流れる仕組みをちょちょい……っと」",
"392000411_18": "「ベタに電流ビリビリも考えたんスけどねえ。\\n 残念ながら生身である脳は痛みを感じない器官なんで」",
"392000411_19": "「それなら『痛覚をそのまま』って考えっス」",
"392000411_20": "「サイボーグになってからどれだけか知らないっスけど、\\n 痛みを感じるのは久々なんじゃないっスか〜」",
"392000411_21": "「き、貴様……ッ!」",
"392000411_22": "「あ、なんならちょっと試してみるっスか?\\n フッフッフ、大丈夫っスよ、死ぬほどの痛みじゃないはずっス」",
"392000411_23": "「――ッ!?\\n や、やめろ……ッ」",
"392000411_24": "「……なーんて、ね。\\n とまあ、こういうワケなので……」",
"392000411_25": "「自分が死んだら、\\n その仕掛けは自動的に起動するっス」",
"392000411_26": "「そうなれば、この男は未来永劫『制約』という\\n 十字架を背負わなければならないっス」",
"392000411_27": "「いわば、アタシとは一蓮托生……",
"392000411_28": " う、うぐ……ゲホッ!」",
"392000411_29": "「は、話はわかりましたから。\\n あまり無理しないで……」",
"392000411_30": "「ハハ……め、面目ないっス」",
"392000411_31": "「チッ……」",
"392000411_32": "「……事情はどうあれ、エジソン。\\n わたしはあなたを完全に信用してるわけじゃありません」",
"392000411_33": "「妙な動きを見せれば、……ナツミさんの温情ある『<ruby=いたみ>制約</ruby>』とは\\n 比べ物にならない一撃を、容赦なくお見舞いします」",
"392000411_34": "「よく覚えておきなさい」",
"392000411_35": "「フン、好きにしろ。\\n 私とて、慣れあうつもりなどさらさらない」",
"392000411_36": "「……テスラができなかったことをする。\\n 今の私が生きる目的は、それだけだ」",
"392000411_37": "「…………」",
"392000411_38": "「副隊長、大変ですッ!\\n 向こうの通路から、トンボの群れが……ッ」",
"392000411_39": "「わかりました、すぐに場所を移動しましょう。\\n 負傷者の中で他に歩けない人は」",
"392000411_40": "「大丈夫ですッ!\\n ヒメジマ班長は私が……」",
"392000411_41": "「じ、自分も大丈夫っス。\\n ほら、エジソン」",
"392000411_42": "「……あん?\\n なんのマネだ」",
"392000411_43": "「あらら、まだご自分のお立場を\\n ご理解なされていないようっスねぇ……」",
"392000411_44": "「天才の名が泣くっスよ?\\n そういうことなら遠慮なく『制約』を……」",
"392000411_45": "「ま、待て……わかったッ!",
"392000411_46": " 私が貴様を運べばいいんだろうッ!?」",
"392000411_47": "「わかればよろしいっス。\\n 地獄の果てまで道連れっスよぉー」",
"392000411_48": "「ぐ、ぐぬぬ……\\n 覚えておれッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,34 @@
{
"392000421_0": "「マリアさんッ!\\n これを見てくださいッ」",
"392000421_1": "「そこのデスクに置いてあったんですが……\\n たぶん、ここの研究論文だと思うんです」",
"392000421_2": "「研究論文……?」",
"392000421_3": "「『昆虫食による食糧難回避の可能性』……",
"392000421_4": " これって……ッ!」",
"392000421_5": "「はい。ここは昆虫を巨大化させて、\\n 軍事的な目的に使うわけではなく……」",
"392000421_6": "「食糧にする方法を研究していたんじゃないかと」",
"392000421_7": "「うえぇ、虫を食べるデスか?\\n それはちょっと、かなり勇気がいるデスが……」",
"392000421_8": "「それは、わたしも同じです……。",
"392000421_9": " でも、昆虫食はわたしたちの世界でも研究されていることですし」",
"392000421_10": "「栄養価が高く、完全食になり得るって。\\n 見た目のイメージで嫌がる人も多いですけど」",
"392000421_11": "「あー……言われてみれば聞いたことある気がするデスよ。\\n たしか、調がフンパツして佃煮を買ってきてくれたときデス」",
"392000421_12": "「ハチの子とか、あとほら……\\n バッタみたいな、大量に飛んでくるヤツ……」",
"392000421_13": "「イナゴ……?」",
"392000421_14": "「そう、それデスッ!\\n それをこう、甘辛く煮つけて……エビみたいなパリパリさだとか」",
"392000421_15": "「それだけ聞くと、\\n なんだか普通に食べられちゃいそうな気がしますね……」",
"392000421_16": "「……一通り目は通せたわ」",
"392000421_17": "「どうやらこの世界では、\\n 食糧危機がかなり深刻だったようね」",
"392000421_18": "「それを救うために、国家的プロジェクトとして\\n この研究所が建てられたって書いてある」",
"392000421_19": "「虫の軍隊を作るとか、\\n そういう物騒な研究所じゃなかったデスか」",
"392000421_20": "「けど、そんな研究なら\\n なんで誰もいなくなってしまったデスか」",
"392000421_21": "「途中で放棄されてしまった研究……\\n ということなんでしょうか」",
"392000421_22": "「あるいは、\\n 研究中になんらかの事故が起こった、とか……」",
"392000421_23": "「ここがすでに廃墟になってしまっている以上、\\n 考えても仕方のないことだけど……」",
"392000421_24": "「もしも人々を救うために頑張っていた研究が、\\n 結果的に自分たちを滅ぼしたんだとしたら……」",
"392000421_25": "「それはやっぱり、不幸なことよ」",
"392000421_26": "「そうですね……」",
"392000421_27": "「――ッ!?\\n な、なんデスかッ」",
"392000421_28": "「この、地響きのような揺れは……ッ!」",
"392000421_29": "「――なッ!?\\n か、壁を突き破って……ッ」",
"392000421_30": "「またぞろ戦車部隊のお着きデスかッ!?」",
"392000421_31": "「くッ、何度だってひっくり返してやるデスよッ!\\n 覚悟するデスッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,36 @@
{
"392000422_0": "「どっせぇえええいッ!\\n 下からッ すくいあげるようにッ」",
"392000422_1": "「仕上げの一撃デースッ!」",
"392000422_2": "「マリアさん、わたしたちもッ!」",
"392000422_3": "「ええ、合わせるわよッ!」",
"392000422_4": "「2人とも、下からデスよッ!」",
"392000422_5": "「カブトムシの下に身体を潜り込ませて、\\n ドーンでシュババーッと攻撃するデスッ」",
"392000422_6": "「わかりましたッ!」",
"392000422_7": "「今のでわかったのッ!?",
"392000422_8": " ええい、ままよッ!!」",
"392000422_9": "「はぁぁぁぁぁぁッ!!」",
"392000422_10": "「や、やった……ッ!」",
"392000422_11": "「お見事デースッ!」",
"392000422_12": "「はあ、はあ……\\n わたしたちだからこそできた戦法ですね」",
"392000422_13": "「そうね……虫の下に潜り込むなんて戦い方、\\n 身体が大きかったらできないものね」",
"392000422_14": "「……ふぅ。\\n 一息つくのはまだ早いわね。周囲の調査を続けましょう」",
"392000422_15": "「了解デスッ!」",
"392000422_16": "「ムゥ……それにしても、カブトムシは単独行動で\\n 群れないって番組では言ってたはずデスが……」",
"392000422_17": "「なんでこんなに\\n ウジャウジャ出てくるデスかッ」",
"392000422_18": "「それは……普通の昆虫としての話なんじゃないかしら?\\n ここの虫たちは改造昆虫ってわけだから……」",
"392000422_19": "「そうですね。研究の過程で、群れで行動するように\\n 習性を改造された、なんて可能性もあるんじゃないでしょうか」",
"392000422_20": "「食糧を効率よく増やすため……とか」",
"392000422_21": "「なるほどデス。……けど、それにしたって、",
"392000422_22": " 改造できちゃうくらい虫に詳しい誰かさんたちが」",
"392000422_23": "「巨大化させただけで脅威になる虫を\\n 群れにしてしまうとは……まったく嘆かわしいデスッ」",
"392000422_24": "「アタシが番組を見て感じたような虫へ……いいえ、虫さんへの\\n リスペクトを忘れないでいてほしいものデス」",
"392000422_25": "「ま、まあまあ。\\n わたしのこれも、想像に過ぎませんから……」",
"392000422_26": "「それに、もしかしたら管理をしっかりするために、\\n 統率された行動をインプットしたのかも」",
"392000422_27": "「ムムム……統率された行動、デスか。\\n それこそ軍隊を作るみたいになってくるデスね……」",
"392000422_28": "「……どうやらその推理は\\n 当たらずも遠からずね」",
"392000422_29": "「え……?」",
"392000422_30": "「見て。この論文の続きに、\\n ここの研究員の手記が書いてあるわ」",
"392000422_31": "「手記……?」",
"392000422_32": "「ッ!?",
"392000422_33": " こ、これは……ッ!」"
}

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@ -0,0 +1,76 @@
{
"392000511_0": "失われた研究",
"392000511_1": "××年×月×日――",
"392000511_2": "オオスズメバチの巨大化に成功。",
"392000511_3": "幼虫はこれまでのどの虫よりも栄養価が高い。",
"392000511_4": "また、女王蜂をコントロールすることで",
"392000511_5": "容易にコロニーを形成することも可能だ。",
"392000511_6": "これは、画期的な成果である。",
"392000511_7": "食糧難に対する劇的なアプローチが期待される。",
"392000511_8": "「なるほど、ハチの養殖デスか。\\n ナントカヨーホージョーので見たことあるデスよ」",
"392000511_9": "「わたしたちの世界でも普通にありますよね。\\n ローヤルゼリーとかハチミツとか」",
"392000511_10": "「ハチミツならアタシも大好きデスッ!」",
"392000511_11": "「それはミツバチの話でしょ?\\n ここに書かれているのはスズメバチよ」",
"392000511_12": "「スズメさんだと何か問題があるデスか?」",
"392000511_13": "「問題があるというか、そもそも種類が……",
"392000511_14": " いえ、とりあえず続きを読みましょう」",
"392000511_15": "――だが、問題もある。",
"392000511_16": "オオスズメバチの持つ毒性と攻撃性だ。",
"392000511_17": "オオスズメバチは防衛本能が非常に強く、",
"392000511_18": "ひとたび敵を認識すれば集団行動を開始する。",
"392000511_19": "また、巨大化により毒性も強化されており、",
"392000511_20": "皮膚からの浸透や経口摂取をしただけで人間を行動不能に陥らせる。",
"392000511_21": "そのオオスズメバチの特性を理解した上で、",
"392000511_22": "所長が恐ろしいことを提案した。",
"392000511_23": "いわく、この巨大スズメバチの研究を",
"392000511_24": "軍事転用できないか、と――",
"392000511_25": "「ぐ、軍事転用……ッ!?」",
"392000511_26": "「スズメバチの軍隊……ッ!?",
"392000511_27": " やっぱり、同じこと考えてたデスかッ!」",
"392000511_28": "さらに、所長はオオスズメバチの研究を",
"392000511_29": "他の虫にも応用できないかと言いだした。",
"392000511_30": "高い統率力をカブトムシに刷り込めば、",
"392000511_31": "戦象にも勝る無敵の装甲陸戦隊となるだろう。",
"392000511_32": "トンボならば滑走路不要の飛行戦隊に。",
"392000511_33": "いや、それだけではない。",
"392000511_34": "無限に増える機動制圧隊として、",
"392000511_35": "人間ならば多くの者が嫌うであろう、ゴキ……",
"392000511_36": "「ひ、ひぃぃぃい……ッ!?\\n な、なんてこと考えるデスかッ」",
"392000511_37": "「全身が怖気立ったデスよッ!\\n とてもこれ以上つきあいきれないデスッ」",
"392000511_38": "「ま、待って。さすがにアレの研究は\\n 構想段階で排除されたって書いてあるわ」",
"392000511_39": "「ほ、ほんとデスかッ!?",
"392000511_40": " 世界が救われたデスッ!」",
"392000511_41": "空一面を覆う巨大化した黒き物体……",
"392000511_42": "考えただけでも身の毛がよだつ。",
"392000511_43": "そもそも我々がここにいるのはなんのためだ?",
"392000511_44": "食糧危機から人類を救うためではないか。",
"392000511_45": "軍事転用などありえない。",
"392000511_46": "所長は狂気の妄想に憑かれてしまったのだ。",
"392000511_47": "所長の妄想を止めねばなるまい。",
"392000511_48": "たとえ、どんな手を使ったとしても――",
"392000511_49": "「ああ、よかったデス……\\n これを書いた人の良心に感謝デスよ」",
"392000511_50": "「でも、結局今ここに人はおらず、\\n 軍隊化した虫たちが我が物顔で歩いてるわ」",
"392000511_51": "「人類の危機を救うための研究が、\\n どこでどう間違ってしまったのか……」",
"392000511_52": "「……」",
"392000511_53": "「続きはどんなことが書いてあるデスか?\\n かなりの分量があるデスけど……」",
"392000511_54": "「ざっとめくってみても、\\n あとは備忘録といった内容かしら……」",
"392000511_55": "「どのみち、全部を落ち着いて読む時間はないわ。\\n 先を急ぎましょう」",
"392000511_56": "「デスデス。こんなに字ばっかり読んでると\\n アタマが頭痛でアイタタタになってくるデスよ……」",
"392000511_57": "「あの……こっちの方、空気の流れを感じますッ!\\n もしかしたら大きな空間に繋がっているのかも……」",
"392000511_58": "「あッ……\\n 手記の頁が風に飛んで……ッ」",
"392000511_59": "(でも、集め直している余裕はない……\\n 行かなきゃッ",
"392000511_60": "××年×月×日――",
"392000511_61": "こんなことになろうとは。",
"392000511_62": "虫たちは完全に人間を敵とみなしている。",
"392000511_63": "軍事転用どころではない。",
"392000511_64": "奴らは最初から、完成された軍隊だったのだ。",
"392000511_65": "毒性、攻撃性、増殖の速度、",
"392000511_66": "そして、機械のように冷たい統率力……",
"392000511_67": "とても人間の手に負える相手ではない。",
"392000511_68": "もはや一刻の猶予も許されない。",
"392000511_69": "ただちに研究所を放棄し、島を封鎖せねば。",
"392000511_70": "だが、本国からの救助部隊は一向に現れない。",
"392000511_71": "我々は見捨てられたのだろうか?",
"392000511_72": "神よ、我らを許し給え。",
"392000511_73": "自然の摂理に背いた、罪深き我らを――"
}

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@ -0,0 +1,49 @@
{
"392000521_0": "「はあ、はぁ……ぜぇ、ぜぇ……」",
"392000521_1": "「こんなに苦しそうなのに、\\n 何もしてあげられないなんて……」",
"392000521_2": "「だ、大丈夫っス。\\n 息苦しいだけで、痛みはないっスから」",
"392000521_3": "「馬鹿め、そこが問題なのだ。\\n 貴様を蝕んでいるのは神経毒の一種だろう」",
"392000521_4": "「放っておけば、やがて呼吸不全を起こし、\\n 苦しみ抜いて死に至る」",
"392000521_5": "「そ、そんな……ッ!?」",
"392000521_6": "「じ、自分の血を採取して……\\n 抗毒素を作ることはできないっスか……」",
"392000521_7": "「抗毒素か。\\n できなくはないだろうが……」",
"392000521_8": "「抗毒……? それはつまり、解毒剤ということですよね?\\n そんなものが作れるんですか」",
"392000521_9": "「フン、私を誰だと思っている。\\n 天下のトーマス・エジソンだぞ」",
"392000521_10": "「機械工学はもちろん、生物学、免疫学、\\n 全てに精通していなければ自らをサイボーグ化するなどと……」",
"392000521_11": "「あなたの自慢なんてどうでもいいッ!\\n 解毒剤が作れるのなら、早く作ってッ」",
"392000521_12": "「チッ……話は最後まで聞け。\\n この女の血液だけでは、量が足りぬのだ」",
"392000521_13": "「純粋な毒そのもののサンプルがなければ、\\n 抗毒素は生成できんぞ」",
"392000521_14": "「毒そのものの、サンプル……」",
"392000521_15": "「経皮吸収だけでそれだけの症状だ。\\n 元々の毒素からは変容している可能性が高い」",
"392000521_16": "「オリジナルの毒。\\n それがなければ、机上の空論だ」",
"392000521_17": "「…………」",
"392000521_18": "「わかりました。\\n 毒のサンプルは、わたしがなんとしても手に入れます」",
"392000521_19": "「それまで……エジソン、\\n 他のみんなは、あなたが護ってください」",
"392000521_20": "「な……ッ!?」",
"392000521_21": "「『制約』はあっても、この一帯にあるものを使えば、\\n あなたが簡易的な武器を用意することは容易いはず」",
"392000521_22": "「……正気か? 一度は貴様らを殺そうとした相手に、\\n 武器を作って持つ許可を与えると」",
"392000521_23": "「ヘヘヘ……そうっスね。自分たちを護るためなら、\\n 『制約』スイッチは入れないでおいてあげるっスよ」",
"392000521_24": "「…………加えて、もう一度聞きます。\\n 解毒剤は必ず作れるんですね」",
"392000521_25": "「……」",
"392000521_26": "「答えてくださいッ!」",
"392000521_27": "「フフ、そこに関してだけは……\\n この男は信用していいと思うっスよ」",
"392000521_28": "「人間性はともかく、\\n 科学者としては超一流っスからねぇ」",
"392000521_29": "「フン……」",
"392000521_30": "「…………」",
"392000521_31": "「エジソン。わたしは……\\n 正直言ってまだ、あなたを信用するなんてできません」",
"392000521_32": "「だけど、仲間が……わたしの家族が、\\n あなたを信じるというのならッ」",
"392000521_33": "「わたしは、その言葉を信じますッ!!」",
"392000521_34": "「――ッ!?\\n 馬鹿な、仲間など……ッ」",
"392000521_35": "「…………」",
"392000521_36": "「仲間など、弱者が語る幻想だ……」",
"392000521_37": "「その弱者の『制約』に\\n 命を握られてるのはどこの誰っスかねぇ……」",
"392000521_38": "「あんまりカッコいいことは\\n 言わない方がいいっス、よ……ゲホッ カハッ……」",
"392000521_39": "「う、うるさいッ!\\n 黙れッ……」",
"392000521_40": "「お願いします、エジソン。\\n わたしが戻るまで、必ずみんなを護ってくださいッ」",
"392000521_41": "「…………」",
"392000521_42": "「フン……」",
"392000521_43": "(毒のサンプル……なんとか『奴ら』が\\n 単独行動してるときを狙えれば……",
"392000521_44": "「キシャアアアァァ!」",
"392000521_45": "「カブトムシ……ッ!」",
"392000521_46": "「ごめんなさい、わたしの獲物はあなたじゃないの。\\n そこは通してもらいますよッ」"
}

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@ -0,0 +1,16 @@
{
"392000522_0": "「2人とも、止まってください。\\n この匂いは……ッ」",
"392000522_1": "「ムムム、また戦車デスね。\\n そこのカドを曲がった辺りデスか」",
"392000522_2": "「この気配……\\n どうやら、そうみたいね」",
"392000522_3": "「……今は動いていないみたいだけど、反撃されると厄介だわ。\\n こっそり近づいて、奇襲で仕留めましょう」",
"392000522_4": "「合点デスッ!」",
"392000522_5": "「<size=25>身を低くして……\\n そろり、そろり……</size>」",
"392000522_6": "「<size=25>2人とも、いいわね?\\n 仕掛けるわよッ</size>」",
"392000522_7": "「<size=25>はいッ!</size>」",
"392000522_8": "「きゃあああッ!?」",
"392000522_9": "「――ッ!\\n セ、セレナ……ッ」",
"392000522_10": "「姉さん……ッ!?」",
"392000522_11": "「セレナ先生ッ!」",
"392000522_12": "「暁さん……\\n それに、あなたは……ッ」",
"392000522_13": "「お久しぶりですッ!\\n 無事で、よかった……ッ」"
}

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@ -0,0 +1,40 @@
{
"392000531_0": "「セレナ……本当に無事でよかったッ!」",
"392000531_1": "「姉さんこそ……ッ!\\n 必ず戻ってきてくれるって信じてたッ」",
"392000531_2": "「けど、どうしてもう1人のわたしまでここに……?\\n S.O.N.G.のある並行世界には、確か……」",
"392000531_3": "「あの世界には、定期報告のためにたまに伺うんです。\\n そこにマリアさんが現れて……」",
"392000531_4": "「それで、みなさんのピンチを聞いて、\\n 居ても立ってもいられなくって……」",
"392000531_5": "「他のみんなが別の任務で出払ってたのデス。\\n 緊急出動できたのがアタシとセレナだけだったデスよ」",
"392000531_6": "「そうですか、それで……。",
"392000531_7": " 本当にありがとう」",
"392000531_8": "「それで、セレナ。\\n あれから、こちらの状況は……」",
"392000531_9": "「ええ、そのことなんですけど……」",
"392000531_10": "「毒のサンプル……?」",
"392000531_11": "「はい。それさえ手に入れば、\\n エジソンは解毒剤を作ることができるって……」",
"392000531_12": "「エジソン……?\\n はて、どこかで聞いたことあるような……」",
"392000531_13": "「もしかして、少し前の報告書にあった、\\n ウロボロスの残党に与していた人ですか……ッ」",
"392000531_14": "「あーッ! 思い出したデスッ!\\n 全身サイボーグの、悪の科学者ッ」",
"392000531_15": "「……およ? でも確かあの人って、\\n 最後は大爆発したって書いてあった気がするデスが……」",
"392000531_16": "「そうだったんだけどね。\\n 頭だけになったエジソンをナツミが発見して……」",
"392000531_17": "「『稀代の天才の頭脳を失うのは人類の損失っス』とか言って、\\n 新しいボディを作って、すっかり復活させちゃったのよね」",
"392000531_18": "「えええッ!?\\n そ、そんなことができるデスかッ」",
"392000531_19": "「科学のチカラって、すごい……」",
"392000531_20": "「不死身のサイボーグおじさんデスね。\\n そのうち合体とか変形とかもできちゃいそうデス……」",
"392000531_21": "「ナツミさんも、\\n そこまではしないと思いますけど……」",
"392000531_22": "「まあ、それで……あなたはたった1人で\\n 毒を採取しようとしてた、ってわけね」",
"392000531_23": "「は、はい」",
"392000531_24": "「まったく、無茶しすぎよ。",
"392000531_25": " けど、今までよく頑張ったわね」",
"392000531_26": "「わたしたちが来たからには、\\n もう虫たちの好きにはさせないわ」",
"392000531_27": "「そうデスッ!\\n ここから先は人…いや、百人力デスッ」",
"392000531_28": "「うぇぇッ!? 奥の扉がガンガン揺れてるデスッ!\\n 言ってるそばから敵襲デスかッ」",
"392000531_29": "「ヴヴ……ヴヴヴ……」",
"392000531_30": "「この音……ッ!」",
"392000531_31": "「構えてくださいッ!\\n 奴らはカブトムシより数段厄介な相手ですッ」",
"392000531_32": "「あの戦車たちよりも……ッ!?」",
"392000531_33": "「わたしたちが出会った中で、最も攻撃的で\\n 最も統率された戦闘マシーンたち……」",
"392000531_34": "「そして、わたしが手に入れるべき\\n 『毒』を持つ虫……ッ」",
"392000531_35": "「い、今にも扉が破られそうデスッ!」",
"392000531_36": "「みんな、構えてッ!」",
"392000531_37": "「『奴ら』が……\\n 来るわッ」"
}

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@ -0,0 +1,34 @@
{
"392000611_0": "命ある戦闘マシーン",
"392000611_1": "「うぇぇッ!? 奥の扉がガンガン揺れてるデスッ!\\n 言ってるそばから敵襲デスかッ」",
"392000611_2": "「ヴヴ……ヴヴヴ……」",
"392000611_3": "「この音……ッ!」",
"392000611_4": "「構えてくださいッ!\\n 奴らはカブトムシより数段厄介な相手ですッ」",
"392000611_5": "「あの戦車たちよりも……ッ!?」",
"392000611_6": "「わたしたちが出会った中で、最も攻撃的で\\n 最も統率された戦闘マシーンたち……」",
"392000611_7": "「そして、わたしが手に入れるべき\\n 『毒』を持つ虫……ッ」",
"392000611_8": "「い、今にも扉が破られそうデスッ!」",
"392000611_9": "「みんな、構えてッ!」",
"392000611_10": "「『奴ら』が……\\n 来るわッ」",
"392000611_11": "「ヴヴ……ヴヴヴヴッ!」",
"392000611_12": "「ハチだーーーーーッ!?」",
"392000611_13": "「あの手記の中にあった、\\n オオスズメバチの軍隊……ッ」",
"392000611_14": "「す、すごい威圧感デスが……ッ!",
"392000611_15": " ハチがなんぼのもんデスッ!」",
"392000611_16": "「1回だけなら刺されてもセーフだって、\\n 聞いたことあるデスよッ」",
"392000611_17": "「――ッ!? ダメですッ!\\n 回でも毒は受けないでくださいッ」",
"392000611_18": "「デデデッ!?",
"392000611_19": " アナーキーナントカはアテにならないデスかッ!?」",
"392000611_20": "「アナフィラキシーショックのこと?\\n あれも回目が安全という意味じゃないわッ」",
"392000611_21": "「ええ、それに巨大化したことで、\\n 毒性も攻撃性も、何倍にも増幅されているんです」",
"392000611_22": "「散布された神経毒を吸ったり、毒液に触れただけでも、\\n うちの隊員みたいに身動きできなくなりますッ」",
"392000611_23": "「な、なんたることデスかッ!?\\n もうテレビ番組の情報は信じないデスよッ」",
"392000611_24": "「ヴヴヴヴ……ッ!」",
"392000611_25": "「あ、あのハチたち……\\n わたしたちを、威嚇してる……」",
"392000611_26": "「ターゲット・ロックオンってとこデスかッ!」",
"392000611_27": "「ナツミさんが待ってるんですッ!\\n なんとか、奴らから毒を採取しないと……ッ」",
"392000611_28": "「それは奴らを倒せばどうにでもなるッ!\\n そうでしょう、セレナッ」",
"392000611_29": "「ッ!?",
"392000611_30": " は、はい……ッ!」",
"392000611_31": "「まずは奴らを全力で叩くッ!\\n みんな、行くわよッ」"
}

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@ -0,0 +1,23 @@
{
"392000612_0": "「ヴヴヴ……ヴヴッ!」",
"392000612_1": "「な、なんて数なの……ッ!?」",
"392000612_2": "「こ、これじゃあ\\n 倒しても倒してもキリがないデスよッ」",
"392000612_3": "「くッ!\\n ここは一旦退いて態勢を……ッ」",
"392000612_4": "「――ッ!?",
"392000612_5": " セレナさん、危ないッ!」",
"392000612_6": "「えッ……!?」",
"392000612_7": "「きゃああああッ!」",
"392000612_8": "「わたしの妹に、\\n 何してくれようとしてんのよッ」",
"392000612_9": "「――ッ!」",
"392000612_10": "「はあ、はあ……ッ!\\n 人とも、怪我はないッ」",
"392000612_11": "「「はいッ!\\n  わたしは大丈夫ですッ」」",
"392000612_12": "「だけど、これは……?\\n 毒じゃないみたいだけど、なんだか変な臭いをかけられた……」",
"392000612_13": "「臭い……?」",
"392000612_14": "「ああッ! み、見るデスよッ!\\n オカワリがどんどこやってくるデスッ それに……」",
"392000612_15": "「ヴ……ブブブブッ!」",
"392000612_16": "「――ッ!?\\n スズメバチの……様子が変わったッ」",
"392000612_17": "「さっきまでと動きが違うデスッ!\\n な、なんデスかアレッ」",
"392000612_18": "「バラバラだったハチたちの動きが、\\n 幾何学的に統率されてゆく……ッ」",
"392000612_19": "「とにかく、ここは一旦退きましょうッ!」",
"392000612_20": "「わ、わかったわ……ッ!」"
}

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@ -0,0 +1,46 @@
{
"392000621_0": "「はあ、はあ……どう?\\n 奴らはまだ追ってきてる」",
"392000621_1": "「ええ、部屋の外は\\n スズメバチの群れでいっぱいです」",
"392000621_2": "「そう……参ったわね。\\n いつまでも逃げてばかりじゃいられないし……」",
"392000621_3": "「……もしかしてですけど、\\n 奴らがここまで執拗に追ってくるのは……」",
"392000621_4": "「さっきつけられた、\\n この変な臭いのせいじゃないでしょうか」",
"392000621_5": "「そういえば、確かに……\\n あのときからハチたちの様子が変わったわね」",
"392000621_6": "「ハッ!! 思い出したデスッ!\\n 確か、ハチにはそういう習性があるデスよ」",
"392000621_7": "「本気モードになるための儀式みたいな……",
"392000621_8": " えーと、確か、ケーホウフェロモンとかいう……」",
"392000621_9": "「警報フェロモン……ッ!?\\n なるほど、それなら説明がつく……」",
"392000621_10": "「攻撃対象に目印をつけて、\\n それを目掛けてどこまでも追ってくる……」",
"392000621_11": "「そう、それデスッ!\\n あの動きは、戦いのダンスってやつデスよッ」",
"392000621_12": "「…………」",
"392000621_13": "「あの、だとしたら……\\n わたしたちで、オトリになれないでしょうか」",
"392000621_14": "「――ッ!?",
"392000621_15": " そうか、それなら……」",
"392000621_16": "「さっき臭いをつけられたのは、\\n わたしと……セレナさん、そしてマリアさんの人」",
"392000621_17": "「暁さんはフェロモンをつけられてません。\\n だったら、人で奴らを引きつけてる隙に……」",
"392000621_18": "「暁さんに毒のサンプルを回収してもらって、\\n ナツミさんたちと合流する……」",
"392000621_19": "「…………わたしの妹って、きっとどの並行世界でも、\\n 思い切りが良すぎることがあるんじゃないかしら」",
"392000621_20": "「作戦としては、\\n 正しいかもしれないけど……」",
"392000621_21": "「万が一、この子まで警報フェロモンを受ければ\\n 集中砲火を浴びることに……」",
"392000621_22": "「アタシのことなら心配いらないデス。\\n 要は、臭いさえつけられなければいいってことデスよね」",
"392000621_23": "「それなら、全力ダッシュデスッ!\\n 必ず毒を届けるデスよッ」",
"392000621_24": "「あとはわたしたちが、本気になったスズメバチの大群を相手に\\n どこまで持ちこたえられるか……」",
"392000621_25": "「そこに関しては踏ん張るしかないわね。\\n いつものことよ」",
"392000621_26": "「……うん。並行世界から駆けつけてくれた<ruby=セレナ>わたし</ruby>だっている。\\n やってやれないことはないッ」",
"392000621_27": "「うんッ!!",
"392000621_28": " ……あッ、じゃなくて、ハイッ!」",
"392000621_29": "「フフ、気にしないで。\\n 『セレナ』同士、遠慮なんかなしですよ」",
"392000621_30": "「……ッ!\\n うんッ」",
"392000621_31": "「こうなったらアタシも、\\n 一世一代の単騎駆けを見せてやるデスッ」",
"392000621_32": "「みんな、準備はいいわね?\\n せーので一斉に部屋を飛び出――」",
"392000621_33": "「待って、姉さん。\\n 外の様子がおかしい……ッ」",
"392000621_34": "「え……ッ!?」",
"392000621_35": "「ブブ……ブブブブッ!」",
"392000621_36": "「ゾゾゾ……\\n ゾゾゾゾッ」",
"392000621_37": "「な、何事デスかッ!?\\n ハチとトンボが戦ってるデスよッ」",
"392000621_38": "「まさか、\\n 虫たちの縄張り争い……ッ」",
"392000621_39": "「理由はなんだっていいわ。\\n わたしたちにとっては、これはチャンスよッ」",
"392000621_40": "「そうですね、この混乱を利用して、\\n 暁さんはその隙に……ッ」",
"392000621_41": "「任せるデスよッ!」",
"392000621_42": "「覚悟はいいわね、突っ込むわよッ!」",
"392000621_43": "「<size=40>うおおおおぉぉぉぉッ!</size>」"
}

View file

@ -0,0 +1,31 @@
{
"392000622_0": "「その<ruby=はね>翅</ruby>、落とすッ!」",
"392000622_1": "「このまま、攻撃を引き付ける……ッ!」",
"392000622_2": "「――ッ!!",
"392000622_3": " 後ろッ!」",
"392000622_4": "「――ッ!?」",
"392000622_5": "「うぐッ……!」",
"392000622_6": "「――ッ!?」",
"392000622_7": "「てやあああぁぁぁッ!」",
"392000622_8": "「大丈夫ッ!?」",
"392000622_9": "「だ、大丈夫ですッ!\\n トンボの攻撃だから、毒は受けてませんッ」",
"392000622_10": "「ごめんなさいッ!\\n わたしがもっと気をつけていれば……ッ」",
"392000622_11": "「大丈夫。\\n 遠慮はなしって言ったはずでしょ」",
"392000622_12": "「……ッ!",
"392000622_13": " うん……ッ! 護ってくれて、ありがとう……ッ」",
"392000622_14": "「毒のサンプルはッ!?」",
"392000622_15": "「バッチリ回収したデスよッ!\\n スズメバチの毒針ッ」",
"392000622_16": "「あとは、あんたの進路の確保ね。",
"392000622_17": " 2人とも、行くわよッ!」",
"392000622_18": "「はいッ!」",
"392000622_19": "「でやあああぁぁぁッ!」",
"392000622_20": "「今よッ!」",
"392000622_21": "「行ってください、暁さん……ッ!」",
"392000622_22": "「うおおおぉぉぉッ!\\n 我こそは、アカツキキリカァァァッ」",
"392000622_23": "「死にたくなくば、\\n 道を開けるデスよおおぉぉぉぉッ」",
"392000622_24": "「頼んだわよ……ッ!」",
"392000622_25": "「ブブ……ブブブブッ!」",
"392000622_26": "「ゾゾゾ……ゾゾゾゾッ!」",
"392000622_27": "「どこからでもかかってきなさいッ!」",
"392000622_28": "「ここから先は、一歩も通しませんよッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,58 @@
{
"392000711_0": "エジソンという男",
"392000711_1": "「はあ、はあ……ッ!」",
"392000711_2": "「ムッ!?\\n き、貴様はあのときの……ッ」",
"392000711_3": "「ようやく見つけたデスよッ!」",
"392000711_4": "「見た感じ……あなたが、\\n 不死身のサイボーグおじさんデスね」",
"392000711_5": "「……ッ!?",
"392000711_6": " ……そうか、貴様は並行世界の……」",
"392000711_7": "「ああ、並行世界のアタシと会ったことがあるデスね。\\n アタシはまた別の暁切歌デースッ」",
"392000711_8": "「セレナ先生たちに頼まれて、\\n 毒のサンプルをお届けにきたデスよッ」",
"392000711_9": "「こ、これは……\\n スズメバチの毒針ッ」",
"392000711_10": "「よかった、副隊長と\\n 無事に合流できたんですねッ」",
"392000711_11": "「あ、ありがとうございますッ!\\n これでヒメジマ班長を助けられる……ッ」",
"392000711_12": "「う、うぅ……\\n 少し……ほ……ほっとしたっスね……」",
"392000711_13": "「……間一髪で命拾いしたな。\\n まったく、悪運の強い女だ」",
"392000711_14": "「な、なぁに言ってる、っス、かぁ……\\n 命拾いしたのはアンタも同じ――ゲホゲホッ」",
"392000711_15": "「フン……黙っていろ。",
"392000711_16": " おい小娘、毒針をよこせ。抗毒素の生成を始める」",
"392000711_17": "「はいデスッ!」",
"392000711_18": "「さてと、無事にミッションも完了したデスし、\\n アタシはセレナたちの援護に戻るデスよッ」",
"392000711_19": "「隊長と副隊長は、\\n 無事なんですかッ」",
"392000711_20": "「無事デスッ! けど、ハチとトンボの大群に襲われて\\n 今エラいことになってるデス」",
"392000711_21": "「え、えええッ!?」",
"392000711_22": "「なんせベラボウな数デスからね。",
"392000711_23": " みんなの昆虫博士であるこのアタシが戻って――」",
"392000711_24": "「……待て。\\n 奴らと戦うのなら、これを持っていけ」",
"392000711_25": "「……??\\n なんデスか、これ」",
"392000711_26": "「……待っている間、暇だったのでな。作ってみた。\\n そいつをギアに組み込んでみろ」",
"392000711_27": "「えーと……こうデスか?」",
"392000711_28": "「ッ!?\\n アタシのギアが……ッ」",
"392000711_29": "「何か、聖遺物を使ったデスかッ!?」",
"392000711_30": "「聖遺物ではない、科学技術だ。",
"392000711_31": " 聖遺物同士による反発を抑え込むのを待っている暇はなかろう?」",
"392000711_32": "「それは、奴らに対抗するための特効装備……\\n いわば、『インセクトギア』ッ」",
"392000711_33": "「インセクトギア……ッ!?」",
"392000711_34": "「そのギアには、スズメバチをも殺す\\n ミツバチの因子が組み込んである」",
"392000711_35": "「おそらく、スズメバチが暴走したときに\\n ここの者たちが研究していたのだろう、データは豊潤だった」",
"392000711_36": "「もっとも、ここの研究員たちは\\n ギアの存在などは知らなかっただろうがな」",
"392000711_37": "「そ、それを元に、この短時間で\\n 完成させてしまったデスか……ッ」",
"392000711_38": "「……私を誰だと思っている。\\n 不可能を可能にする、天下の発明王ッ」",
"392000711_39": "「トーマス・エジソンがこの私の名だッ!」",
"392000711_40": "「……」",
"392000711_41": "「ま、またカッコいいこと言っちゃって……ケホッ!\\n 不死身のサイボーグおじさんがお似合いっスよ」",
"392000711_42": "「そ、その呼び方はやめろッ!」",
"392000711_43": "「……なんだか不思議デス。\\n 報告書で知った話と、印象が全然違うデスよ」",
"392000711_44": "「元は悪の科学者で、全身サイボーグ?\\n もっと怖い人だと思ってたデスよ」",
"392000711_45": "「…………」",
"392000711_46": "「人道を逸れたことへの謝罪はすまい。……テスラを超えたい。\\n あれは、紛うことなく私の……悲願だったのだから」",
"392000711_47": "「だが、それでも……\\n あのクソ生意気な若造や、そこの女に言われるまでもない……ッ」",
"392000711_48": "「私は、見失ったわけではない。\\n 科学への純粋な志は――愛は。あのときも、今も……」",
"392000711_49": "「要するに、今は改心して\\n APPLEの仲間になったってことで……ゲホゴホガホッ」",
"392000711_50": "「な、仲間になった覚えなどないッ!",
"392000711_51": " 貴様はもう黙っていろッ!」",
"392000711_52": "「……フフフッ! このインセクトギア、\\n ありがたく使わせてもらうデスよッ」",
"392000711_53": "「……ッ」",
"392000711_54": "「この私の技術が組み込んであるのだ。\\n 負けることは許さんぞッ」",
"392000711_55": "「合点デスッ!」"
}

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@ -0,0 +1,40 @@
{
"392000712_0": "「まだまだッ!」",
"392000712_1": "「ブブ……ブブブブッ!」",
"392000712_2": "「きゃあああッ!」",
"392000712_3": "「セレナッ!?",
"392000712_4": " クッ、てあああぁぁぁッ!」",
"392000712_5": "「セレナさん、しっかりしてッ!」",
"392000712_6": "「う、うぐぅ……ッ!」",
"392000712_7": "「こいつら、セレナだけに狙いを絞って\\n 攻撃してきてるの……ッ」",
"392000712_8": "「き、きっと……わたしのダメージ状態を見て、\\n 各個撃破を狙ってるんだと……っぐ」",
"392000712_9": "「セレナッ!?",
"392000712_10": " む、虫がそこまで戦況を考えてるなんて……ッ!」",
"392000712_11": "「こ、これが……この研究所を滅ぼした、\\n 獲物を仕留める昆虫の本能だとでもいうの……ッ」",
"392000712_12": "「だとしても……負けてやる道理はないッ!",
"392000712_13": " うおおおぉぉぉッ!」",
"392000712_14": "「ブブ……ブブブブッ!」",
"392000712_15": "「く――疾いッ!?」",
"392000712_16": "「姉さん……よけてッ!」",
"392000712_17": "「うおおおりゃああぁぁぁッ!」",
"392000712_18": "「へへーん、どんなもんデースッ!」",
"392000712_19": "「暁さんッ!\\n 戻ってきてくれたんですねッ」",
"392000712_20": "「もちろんデースッ!",
"392000712_21": " 毒針お届けの任務も、バッチリ完了したデスよッ!」",
"392000712_22": "「でも、その姿は……?」",
"392000712_23": "「ああ、コレはデスね……\\n いわば、インセクトギアッ ――だ、そうデスッ」",
"392000712_24": "「インセクトギア……?」",
"392000712_25": "「不死身のサイボーグおじさんが\\n 作ってくれたデスよ」",
"392000712_26": "「え……ええッ!?\\n エジソンが……ですか」",
"392000712_27": "「デスデス。\\n 聞いてたより悪い人じゃなかったデスよ」",
"392000712_28": "「むしろちょっと\\n 面白い感じのおじさんだったように思うデス」",
"392000712_29": "「お、面白いッ!?",
"392000712_30": " あのエジソンが……ッ!?」",
"392000712_31": "「あれを面白いとは……大物ね」",
"392000712_32": "(いえ……そうか。\\n この子はエジソンが暴虐を振るおうとしたところを見ていない",
"392000712_33": "(だからこそ、もしかしたら色眼鏡なしに\\n 今のエジソンを見れているのかも……",
"392000712_34": "「ブブ……ブブブブッ!」",
"392000712_35": "「ああッ!\\n スズメバチの新手が……ッ」",
"392000712_36": "「クッ、考えるのも、積もる話もあとねッ!\\n ここは撤退ッ みんなと合流しましょうッ」",
"392000712_37": "「はい……ッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,49 @@
{
"392000721_0": "「姉さん、この部屋ですッ!」",
"392000721_1": "「みんな、無事ねッ!?」",
"392000721_2": "「隊長……ッ!?」",
"392000721_3": "「よかった、皆さんもご無事で……ッ!」",
"392000721_4": "「ナツミは……ッ!?」",
"392000721_5": "「――――」",
"392000721_6": "「――ッ!?",
"392000721_7": " ナ、ナツミ……ナツミ、しっかりしてッ!」",
"392000721_8": "「エジソンッ!\\n ナツミさんに何をしたのッ」",
"392000721_9": "「…………」",
"392000721_10": "「エジソン……\\n あなた、まさかッ」",
"392000721_11": "「ちょ、ちょーっと、\\n ちょっとその殺気を引っ込めるデスッ」",
"392000721_12": "「あ、あれ? 伝わってなかったデスかッ!?",
"392000721_13": " 新しいギアにしてくれたのもこの人デスッ!」",
"392000721_14": "「全然、敵対するような感じじゃ……ッ!」",
"392000721_15": "「で、でもッ!\\n ナツミさんが、こんなぐったり……」",
"392000721_16": "「はぁ……安心しろ。\\n 抗毒素が効いて眠っているだけだ」",
"392000721_17": "「――ッ!?\\n ほんとなの……」",
"392000721_18": "「ほ、本当ですッ! 私たちも、ちゃんと見てました……。\\n ヒメジマ班長は助かったんですよッ」",
"392000721_19": "「……すぅ……\\n …………すぅ……」",
"392000721_20": "「……本当だ。\\n なんて穏やかな寝息……よかった、ナツミ、本当に……」",
"392000721_21": "「……」",
"392000721_22": "「まったく、本当に腹立たしい。\\n 今さら貴様らを陥れてなんの意味がある」",
"392000721_23": "「幾重にも、私の矜持を\\n 打ち砕いてきた相手にさらに抗って……」",
"392000721_24": "「恥の上塗りでもしろというのか?」",
"392000721_25": "「…………ごめんなさい」",
"392000721_26": "「そして……ありがとうございます。\\n わたしたちの仲間を助けてくれて」",
"392000721_27": "「……。",
"392000721_28": " フン……」",
"392000721_29": "「水を差すようで申し訳ないんですが……\\n それで、これからどうしましょう」",
"392000721_30": "「わたしたちは\\n 警報フェロモンを浴びてしまっています」",
"392000721_31": "「さっきは凌げたけれど、ここにいても、\\n いずれ奴らが嗅ぎつけて襲ってきます……」",
"392000721_32": "「そうね……4人で防衛したとしても、\\n あの数じゃジリ貧になるのは目に見えてる」",
"392000721_33": "「誰かがオトリになって引きつけたとしても、\\n トンボやカブトムシだっているし……」",
"392000721_34": "「それにアイツら、なんだか\\n どんどん凶暴になってきてる気がするデスよ」",
"392000721_35": "「まったく、そのような場当たり的な思考で\\n よくも今まで生き残ってこれたものだ」",
"392000721_36": "「んなッ!?」",
"392000721_37": "「先程までならともかく、\\n 今は装者が人も揃っているんだぞ」",
"392000721_38": "「これだけの戦力があれば、少なくとも\\n スズメバチの元凶を断つことは可能だろうが」",
"392000721_39": "「スズメバチの、元凶……?」",
"392000721_40": "「考えてみろ、奴らの習性を。\\n 奴らが最も恐れていることはなんだ」",
"392000721_41": "「奴らが、恐れてること……」",
"392000721_42": "「え、えーと……\\n なんデスか」",
"392000721_43": "「ま――\\n まだわからんのかッ」",
"392000721_44": "「奴らの『女王蜂』を\\n 倒すべきだろうと言っておるのだッ」",
"392000721_45": "「あ……ッ!」",
"392000721_46": "「そうか……女王蜂をッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,86 @@
{
"392000811_0": "健全な人間関係の成立",
"392000811_1": "「スズメバチは女王蜂を頂点とした、\\n 高い統率力を誇る軍隊のような生き物だ」",
"392000811_2": "「奴らの戦い、行動原理は\\n 全てが『女王』を護るためのもの……」",
"392000811_3": "「奴らにとって女王蜂とは、\\n まさに『神』にも等しい存在なのだ」",
"392000811_4": "「神に率いられた、軍隊……」",
"392000811_5": "「じゃあ、さっきスズメバチたちが\\n トンボと戦っていたのは……」",
"392000811_6": "「それも女王を護るためだ。\\n 人間にしろ、他の虫たちにしろ……」",
"392000811_7": "「奴らからしてみれば、神の存在を脅かす\\n 危険な侵略者、というわけだ」",
"392000811_8": "「し、侵略者ぁッ!?\\n アタシたちがデスかッ」",
"392000811_9": "「そんなのヒドい思い違いデスよッ!\\n アタシたちはただ、無事に帰りたいだけで……」",
"392000811_10": "「それを連中にどうやって伝える?\\n 白旗を挙げたとて、その意味が通じる相手だとは思えんな」",
"392000811_11": "「それは……」",
"392000811_12": "「『神』を戴く相手に説得は通じぬ。\\n 人間と同じだ」",
"392000811_13": "「…………」",
"392000811_14": "「わたしたちに、『神殺し』をやれと?」",
"392000811_15": "「神殺しか……フ、そうだな。\\n 我々の生き残る道はそれしかあるまい」",
"392000811_16": "「…………」",
"392000811_17": "「皮肉なものですね。\\n 食糧難を解決するための研究だったはずなのに……」",
"392000811_18": "「ほんと……どこでどう間違えて、\\n 失敗してしまったのかしら……」",
"392000811_19": "「失敗……?\\n 『失敗』とまでは言い切れんだろう」",
"392000811_20": "「彼らのやり方では上手くいかなかった。\\n それがわかっただけでも『成功』ではないか」",
"392000811_21": "「え……?」",
"392000811_22": "「発明とは、1%のアイデアと\\n の努力によって成る」",
"392000811_23": "「私なら、昆虫の巨大化などという\\n 面白いアイデアは捨てんぞ」",
"392000811_24": "「現に、ここの連中が遺した研究を元に、\\n 私はコレを開発したのだからな」",
"392000811_25": "「――ッ!?",
"392000811_26": " それは……ッ!」",
"392000811_27": "「さっきアタシのギアに組み込んでくれた……ッ!」",
"392000811_28": "「そう、追加で完成したインセクトギアは2つ」",
"392000811_29": "「アトラスオオカブトの持つ装甲と、\\n チョウトンボの機動力だ」",
"392000811_30": "「いずれもスズメバチどもへの特効装備……\\n 『神殺しの剣』として期待できるだろう」",
"392000811_31": "「神殺しの剣……ッ!?\\n そんなものを、これだけの短時間で……」",
"392000811_32": "「さすがは元・悪のマッド科学者デスッ!」",
"392000811_33": "「誰がマッドだ、言葉を慎め」",
"392000811_34": "「いやあ、誰がどう見てもマッドっスよ」",
"392000811_35": "「――ッ!?」",
"392000811_36": "「ナツミ……ッ!?",
"392000811_37": " よかった、気がついたのねッ!」",
"392000811_38": "「し、心配かけて申し訳ないっス。\\n まだちょっとぼんやりしてるっスけど……」",
"392000811_39": "「自分のことはさておき、\\n その男の技術力だけは確かっスからねぇ」",
"392000811_40": "「科学者ならば誰もが知る名、\\n トーマス・エジソン」",
"392000811_41": "「……それは、きっとどの並行世界でだって、\\n 『発明王』の名前っす。不屈の、ね」",
"392000811_42": "「ナツミさん……」",
"392000811_43": "「フン……技術力だけは、か」",
"392000811_44": "「おや、人間性まで信じろとでも?\\n ンフフ、信じてほしくなっちゃいました」",
"392000811_45": "「気持ち悪いことを<ruby=のたま>宣</ruby>うな。\\n 貴様らと慣れあうなど、想像しただけで……」",
"392000811_46": "「――フッ」",
"392000811_47": "「つべこべうるさいわね。\\n 問題は、このギアが使い物になるかでしょッ」",
"392000811_48": "「ナツミが……わたしの家族が信じるあんたの技術……\\n 神殺しの剣、頼りにさせてもらうわよッ」",
"392000811_49": "「姉さん……ッ!」",
"392000811_50": "「そうだ、それでいい。\\n それでこそ健全な人間関係というものだ」",
"392000811_51": "「これが健全……デスか?\\n なんというか、よっぽど今まで友達に恵まれなかったデスね……」",
"392000811_52": "「そう、ある意味では哀れな男なんスよ。\\n 人を信じることに臆病すぎちゃって……」",
"392000811_53": "「慎重と言ってもらおうか」",
"392000811_54": "「フフ、ものは言いようっスね」",
"392000811_55": "「チッ……」",
"392000811_56": "「で、残り1つの新ギアは\\n どっちのセレナが装着するデスか」",
"392000811_57": "「それはやっぱり、\\n マリアさんと息の合ってる……」",
"392000811_58": "「……いいえ。\\n これはあなたが使うべきだと思う」",
"392000811_59": "「――ッ!?」",
"392000811_60": "「わたしは、さっきの戦いでのダメージが\\n まだ残ってます……」",
"392000811_61": "「こんな状態だと、いざというときに\\n みんなの足を引っ張ってしまうかもしれない」",
"392000811_62": "「でも、それだと……ッ」",
"392000811_63": "「そうよ、あなただって\\n 警報フェロモンを受けてるのよッ」",
"392000811_64": "「もしまた集中攻撃を受けたら……ッ!」",
"392000811_65": "「大丈夫、ナツミさんが動けるようになれば、\\n わたしたちもここから移動できます」",
"392000811_66": "「それに……\\n こちらには、エジソンもいますから」",
"392000811_67": "「な……ッ!?」",
"392000811_68": "「『制約』のためにナツミさんを護らなければならないという\\n 理由があれば、あなたも一緒に戦ってくれるでしょう」",
"392000811_69": "「…………」",
"392000811_70": "「沈黙をもってイエスと認めるっス。\\n 大丈夫、この男はまだまだやってくれるっスよ」",
"392000811_71": "「フン……」",
"392000811_72": "「わたしが脱出のしんがりを務めるから、\\n その間に、女王蜂を……ッ」",
"392000811_73": "「セレナさん……」",
"392000811_74": "「わかった、副隊長の覚悟を信じるわ。\\n みんなのこと、頼んだわよッ」",
"392000811_75": "「はいッ!」",
"392000811_76": "「セレナ、あなたはわたしたちと一緒に\\n 女王蜂と戦ってくれるわね」",
"392000811_77": "「もちろんですッ!」",
"392000811_78": "「もう1人の<ruby=わたし>セレナ</ruby>の分まで、\\n わたしがマリアさんを支えてみせますッ」",
"392000811_79": "「ええ。\\n ありがとう、セレナ……」",
"392000811_80": "「み、皆さん大変ですッ!\\n スズメバチの軍団がすぐそこまで……ッ」",
"392000811_81": "「来たわね……ッ!\\n さあ人とも、行くわよッ……」",
"392000811_82": "「はいッ!\\n 終わらせて……みんなで帰りましょうッ」",
"392000811_83": "「さぁ、蹴散らすデースッ!」"
}

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@ -0,0 +1,30 @@
{
"392000821_0": "「隊長ッ!\\n 逆方向の通路を確認してきましたッ」",
"392000821_1": "「ハチもトンボもいませんッ!\\n 今なら向こう側から脱出できそうですッ」",
"392000821_2": "「ありがとう。",
"392000821_3": " 動くなら、今がチャンスということね」",
"392000821_4": "「行きましょう、マリアさん。\\n 時間が経てば経つほど不利になります」",
"392000821_5": "「そうね。\\n ハチたちの増援もすぐに来るだろうし……」",
"392000821_6": "「エジソン、あなたが隊員たちを率いて\\n 脱出までの先頭を切る、いいわね」",
"392000821_7": "「…………」",
"392000821_8": "「えーと、その沈黙は……」",
"392000821_9": "「わかっている、皆まで言うな」",
"392000821_10": "「行くぞ…………」",
"392000821_11": "「<size=25>ナツミ</size>」",
"392000821_12": "「――ッ!?」",
"392000821_13": "「お、おう……っス」",
"392000821_14": "「セレナ、ナツミたちをお願いね」",
"392000821_15": "「わかっています。\\n 後続の虫たちはできる限り引きつけるわ」",
"392000821_16": "「ナツミさん、わたしのことは気にしないで\\n エアーキャリアーまで一気に走り抜けてくださいね」",
"392000821_17": "「副隊長たちがやられるわけないっス。\\n 自分たちも信じてるっスよ」",
"392000821_18": "「あとは、わたしたちが\\n 女王蜂さえ仕留められれば……ッ」",
"392000821_19": "「どうやって探すデスか?\\n きっと巣の中は迷路みたいデスよ」",
"392000821_20": "「そんなの、決まってるでしょ」",
"392000821_21": "「スズメバチが来る方に突き進むのよ。\\n 全ての虫を叩き伏せながらね」",
"392000821_22": "「アハハ……",
"392000821_23": " それは実に単純明快デスッ!」",
"392000821_24": "「きっとその一番奥に、女王蜂はいるッ!」",
"392000821_25": "「女王蜂を見つけるのが先か、\\n わたしたちが力尽きるのが先か……ッ」",
"392000821_26": "「決まってるでしょッ!\\n 勝つのは、わたしたちよッ」",
"392000821_27": "「必ず勝って……\\n 生きてここから脱出してみせるッ」"
}

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@ -0,0 +1,31 @@
{
"392000911_0": "生存戦争からの離脱",
"392000911_1": "「ブブ……ブブブブッ!」",
"392000911_2": "「ぐ……くぅぅッ!",
"392000911_3": " よくもまぁ、飽きもせず次々と……ッ!」",
"392000911_4": "「この……ッ!",
"392000911_5": " なめるなぁッ!」",
"392000911_6": "「はあ、はあ……ッ!」",
"392000911_7": "「マリアさん、大丈夫ですか……ッ!?」",
"392000911_8": "「へ、平気よ。\\n エジソンのギアのおかげね」",
"392000911_9": "「けど、これじゃあキリがないデスッ!」",
"392000911_10": "「警報フェロモンも浴びまくって、\\n もうギアがベトベトになってるデスよッ」",
"392000911_11": "「それでも、確実に\\n 巣の中心には近づいているはずよ」",
"392000911_12": "「その証拠に、通路内の雰囲気が変わった……」",
"392000911_13": "「ええ、それに……奥の方から、\\n 凄まじいプレッシャーのようなものを感じます」",
"392000911_14": "「きっとこの奥に、女王蜂が……ッ!」",
"392000911_15": "「ブブブブ……ッ!」",
"392000911_16": "「な、なんかすごそうな群れが来たデスよッ!\\n 女王様の親衛隊デスかッ」",
"392000911_17": "「まるで、メビウスの輪を描くような……\\n 独特の陣形……いえ、ステップ」",
"392000911_18": "「大量の警報フェロモンに誘われて、\\n いよいよ向こうも本気のバトルモードってことね」",
"392000911_19": "「さしずめ、コイツらは女王様の祝福を受けた\\n <ruby=テンプルナイツ>神殿騎士団</ruby>ってとこかしら」",
"392000911_20": "「<ruby=テンプルナイツ>神殿騎士団</ruby>……」",
"392000911_21": "「テンプラナイツがなんぼのもんデスッ!\\n 腕がギュンギュン鳴るデスよッ」",
"392000911_22": "「…………」",
"392000911_23": "「彼らはただ、本能のままに女王蜂を……\\n 『神』を護っているだけなのかもしれない……」",
"392000911_24": "「だけど、わたしたちにも護るべきものがあるッ!\\n ここで退くわけにはいかないのッ」",
"392000911_25": "「負けるわけにはいかないッ!\\n たとえ相手が、なんであろうとッ……」",
"392000911_26": "「ミツバチだって、仲間が集まれば\\n スズメバチも倒すことができるデスッ」",
"392000911_27": "「そうね……ミツバチにできて、\\n 人間にできないわけがないものねッ」",
"392000911_28": "「アタシたちの絆の強さ……\\n スズメバチどもに教えてやるデスよッ」"
}

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@ -0,0 +1,36 @@
{
"392000912_0": "「はあああぁぁぁッ!」",
"392000912_1": "「――ッ!",
"392000912_2": " か、かわされた……ッ!?」",
"392000912_3": "「ぐ……くぅぅッ!」",
"392000912_4": "「マリアさん……ッ!」",
"392000912_5": "「こ、こいつら……違うッ!\\n さっきまでのハチたちと、スピードもパワーもッ」",
"392000912_6": "「さすがはテンプラナイツといったところデスかッ!」",
"392000912_7": "「けど、アタシたちにだって\\n インセクトギアの力があるデスよッ」",
"392000912_8": "「ええ、3人で呼吸を合わせれば……ッ!」",
"392000912_9": "「セレナ、切歌ッ!\\n 同時に突っ込むわよッ」",
"392000912_10": "「はいッ!」",
"392000912_11": "「デースッ!」",
"392000912_12": "「<size=40>であああぁぁぁぁッ……!</size>」",
"392000912_13": "「はあ、はあ……ッ!」",
"392000912_14": "「ど、どんなもんデースッ!」",
"392000912_15": "「――ッ!? 見てくださいッ!\\n あ、あそこ……ッ」",
"392000912_16": "「あ、あれは……ッ!」",
"392000912_17": "「――――」",
"392000912_18": "「アイツが、女王様デスかッ!?」",
"392000912_19": "「お、大きい……ッ!",
"392000912_20": " そして、なんて禍々しさ……ッ!」",
"392000912_21": "「あ、あれが……\\n スズメバチたちの頂点に君臨する、『神』……ッ」",
"392000912_22": "「――――」",
"392000912_23": "「さすが神さまデス。\\n す、すごい威圧感デスよ……」",
"392000912_24": "「こうやって向かい合ってるだけで、\\n プレッシャーに飲み込まれそう……ッ」",
"392000912_25": "「――ッ!?",
"392000912_26": " 待って……何か来るわッ!」",
"392000912_27": "「え……ッ!?」",
"392000912_28": "「ゾゾ、ゾゾゾ……」",
"392000912_29": "「キシャアァァァッ……!」",
"392000912_30": "「あ、あああ……そ、そんなッ!」",
"392000912_31": "「な、なんでトンボとカブトムシまで\\n 集まってきてるデスかッ」",
"392000912_32": "「目の前には女王蜂……\\n 後ろにはトンボとカブト……ッ」",
"392000912_33": "「いったいどうすれば……ッ!?」"
}

View file

@ -0,0 +1,36 @@
{
"392000921_0": "「ブブ……ブブブブッ!」",
"392000921_1": "「ゾ、ゾゾ……ゾゾゾゾッ!」",
"392000921_2": "「キシャアアァァァッ!」",
"392000921_3": "「どうするデスかッ!?\\n か、完全に囲まれたデスよッ」",
"392000921_4": "「そんな……トンボやカブトムシまでが、\\n 女王蜂を護ってるってことッ」",
"392000921_5": "「敵対してるはずの虫たちが、\\n どうしてッ……」",
"392000921_6": "「い、いえ……違うッ!\\n こいつらの狙いは、まさか……ッ」",
"392000921_7": "「ああ……な、なんてことッ!?」",
"392000921_8": "「女王蜂を護ってるんじゃない……\\n 奴らはハチたちを喰らいに来たのよッ」",
"392000921_9": "「スズメバチの勢力が弱まったのを察知して、\\n エサを獲りにきた……ッ」",
"392000921_10": "「ア、アタシたちが巣に攻め込むのを\\n 狙ってたデスかッ」",
"392000921_11": "「ハチとトンボが……\\n お互いを喰らいあって……ッ」",
"392000921_12": "「こ、これが自然界の生存本能……\\n 弱肉強食の闘い……ッ」",
"392000921_13": "「なんて凄惨な光景なの……ッ!」",
"392000921_14": "「ブブ……ブブブブッ!」",
"392000921_15": "「――――」",
"392000921_16": "「じょ、女王様……\\n なんかすごい怒ってるデスよッ」",
"392000921_17": "「わかります。\\n まるで、怒りのオーラに包まれてるみたい……」",
"392000921_18": "「女王蜂にとっては、ハチたちは家族……\\n いえ、子供たちですものね……」",
"392000921_19": "「あれは……\\n 子供たちを殺された母親の怒り……」",
"392000921_20": "「――――」",
"392000921_21": "「…………」",
"392000921_22": "「戦いましょう、わたしたちもッ!」",
"392000921_23": "「た、戦うっていっても……\\n どの勢力とですかッ」",
"392000921_24": "「全てよッ!」",
"392000921_25": "「ぜ、全部と戦うデスかぁッ!?」",
"392000921_26": "「トンボを倒し、カブトムシを倒し……\\n そして女王蜂を……スズメバチの『神』を討つッ」",
"392000921_27": "「わたしたち人間も、\\n この生存闘争の真っただ中に……ッ」",
"392000921_28": "「そうよ……人間も虫も関係ない。\\n ただ生きるために戦い、そして勝つッ」",
"392000921_29": "「わたしたちがここから脱出する方法は、\\n それしかないわッ」",
"392000921_30": "「ただ生きるための、戦い……ッ!」",
"392000921_31": "「――――」",
"392000921_32": "「負けないデスよ、女王様ッ!\\n アタシたちだって生き残りたいデスッ」",
"392000921_33": "「見せてあげるわ。\\n 人間の……生きることへの執念の強さをッ」"
}

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@ -0,0 +1,50 @@
{
"392000922_0": "「とりゃあああぁぁぁッ!\\n 畳み掛けるデスよぉぉおおッ」",
"392000922_1": "「許してくれとは言わないデスよ、\\n 女王様……ッ」",
"392000922_2": "「たとえあなたが、スズメバチたちの\\n 『神』なんだとしてもッ……」",
"392000922_3": "「はあああぁぁぁッ!」",
"392000922_4": "「生きることへの本能はッ!\\n 人間の命の強さは……『神』にも負けないッ」",
"392000922_5": "「でああああぁぁぁぁッ!」",
"392000922_6": "「――ッ!?」",
"392000922_7": "「や、やった……ッ!?\\n 女王蜂が、落ちて……ッ」",
"392000922_8": "「今よ、2人とも走ってッ!」",
"392000922_9": "「が、合点デスッ!」",
"392000922_10": "「はあ、はあ……ッ!",
"392000922_11": " ……あッ!?」",
"392000922_12": "「マリアさんッ!?」",
"392000922_13": "(く……こんなときに、疲労で足を取られた……ッ!",
"392000922_14": " いいえ、まさかこれは『フェイク』を使った反動……ッ!?)",
"392000922_15": "「ゾゾ……ゾゾゾゾッ!」",
"392000922_16": "「ト、トンボたちの待ち伏せ……ッ!?」",
"392000922_17": "「ブブブブ……ッ!」",
"392000922_18": "「ああッ!?\\n すごい数のスズメバチも追いかけてきてるデスよッ」",
"392000922_19": "「あ、あれほどやっつけたのに……ッ!」",
"392000922_20": "「クッ、ここまで来ながら……ッ!\\n あんたたち、先に行きなさいッ」",
"392000922_21": "「何言ってるデスかッ! そんなに足元フラフラの\\n リトル・マリアを置いていけるはずないデスッ」",
"392000922_22": "「……ィーン……ガガガ……ッ\\n キューン……ッ」",
"392000922_23": "「きゃああッ!?",
"392000922_24": " な、なんですか、この爆音ッ!?」",
"392000922_25": "「と、島内にあった放送用のスピーカーデスかッ!?\\n どうして動いて……」",
"392000922_26": "「貴様らのことだ、足らぬ頭でこの放送がなんであるかと\\n 考えていることだろうッ だが、今は捨て置けッ」",
"392000922_27": "「えッ!?\\n この声って……」",
"392000922_28": "「私の科学は――誰にも劣らないッ!\\n そして、その力は……ッ」",
"392000922_29": "「ニコラ・テスラが成し得なかったことを成すためのッ!\\n 何者をも……助くる力だッッ」",
"392000922_30": "「エジソン……ッ!?」",
"392000922_31": "「隊長、島のどこかで聞いてるっスよねッ!\\n 自分とエジソンの即興共同開発、ぶちかますっスッ」",
"392000922_32": "「狙いはハチ、チョウ、トンボッ! ちゃーんと狙いますけど、\\n 隊長たちは間違っても打たれないでくださいっスよ〜ッ」",
"392000922_33": "「ハハ……\\n あいつってば、もう……」",
"392000922_34": "「そ、空が光って……ッ!?\\n ううん、上空に皮膜のようなものが……ッ」",
"392000922_35": "「膜の中、\\n 稲妻がバリバリと……ッ」",
"392000922_36": "「伏せるがいい、そして刮目せよッ!\\n 私の科学で、虫どもを一掃してくれるッ」",
"392000922_37": "「ゾゾ……ゾッ!?」",
"392000922_38": "「こ、これは……電撃ッ!?\\n まるで雨みたいにッ」",
"392000922_39": "「む、虫たちがどんどん焼かれていくデス……ッ!」",
"392000922_40": "「ブ……ブブブブッ!」",
"392000922_41": "「あッ……\\n スズメバチの残党が森の奥へ……ッ」",
"392000922_42": "「追うデスかッ!?」",
"392000922_43": "「いえ、その必要はないと思います。\\n ハチたちは、飽くまで女王蜂を護るために戦っていた……」",
"392000922_44": "「……そうね。\\n トンボもカブトムシも、自分たちのテリトリーを護るために……」",
"392000922_45": "「本能に準じた戦いであったなら、\\n これ以上わたしたちを追ってくることはないはず」",
"392000922_46": "「エアーキャリアーが不時着したポイントまで、\\n この狂乱に紛れて走るわよッ」",
"392000922_47": "「了解(デス)ッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,73 @@
{
"392001011_0": "MICRO MACRO LiNK",
"392001011_1": "「いやぁ、助かったデス。\\n もう少し遅かったら危なかったデスよ」",
"392001011_2": "「本当に、ありがとうございました」",
"392001011_3": "「なーに言ってるっスかぁ。\\n お礼を言うのはこっちの方っスよッ」",
"392001011_4": "「研究施設の設備をあり合わせで改造した高電圧放射装置……\\n 名付けてナツソン砲もぶちかませたわけっスし」",
"392001011_5": "「あのものすごい電撃の雨は、\\n ナツミさんとエジソンさんのおかげだったんですね……」",
"392001011_6": "(すごいのは技術だけではなく、\\n ネーミングセンスもだったデスか……",
"392001011_7": "「本当に、助かりました。\\n ありがとうございました……ッ」",
"392001011_8": "「もう……だからそれは、こちらこそって話よ。\\n 改めて、APPLEの隊長として礼を言うわ」",
"392001011_9": "「副隊長としても、同じくです」",
"392001011_10": "「あなたたちが来てくれなければ、\\n みんな今ごろどうなっていたことか……」",
"392001011_11": "「家族はみんな一緒が一番デスッ!\\n 全員ご無事で何よりなのデスよ」",
"392001011_12": "「はい。\\n わたしもそう思います」",
"392001011_13": "「そういえば……あの巨大昆虫の研究所、\\n これからどうするんですか」",
"392001011_14": "「そうだな……島に近づきさえしなければ、\\n 放っておいても問題なかろう」",
"392001011_15": "「え、何もしないデスかッ!?\\n もしあの虫たちが島から出てきたら……」",
"392001011_16": "「そうではない。逆に介入した方が\\n この世界の人間にとって脅威となり得ると言っている」",
"392001011_17": "「この島は、虫たちの絶妙なパワーバランスで\\n ある種の箱庭的存在となっていたのだ」",
"392001011_18": "「もし仮に新たな『神』が……スズメバチの女王が誕生したとしても、\\n 我々が来る以前の状態に戻るだけだ」",
"392001011_19": "「それに、島の周りは海しかない、\\n まさに絶海の孤島っスからね」",
"392001011_20": "「虫たちが、自力で島から出てくることも\\n ないと思うっスよ」",
"392001011_21": "「要するに\\n 触らぬ神になんとやら、デスか」",
"392001011_22": "「もちろん、あんな研究所があった世界です。\\n 対超常、あるいは研究する機関があるようなら……」",
"392001011_23": "「そこに警告は出しておきます。",
"392001011_24": " でも、それは最初にこの世界を訪れたわたしたちの仕事ですから」",
"392001011_25": "「じゃあ、一件落着ってことですか……?」",
"392001011_26": "「そういうこと。",
"392001011_27": " 2人には足を向けて寝られないわね」",
"392001011_28": "「い、いえいえ、そんなッ!」",
"392001011_29": "「わたしはみなさんを助けることができて\\n 本当に嬉しかったですし……」",
"392001011_30": "「それに、もう1人のわたしとも、\\n 前より仲良くなれた気がするから。むしろ、嬉しいんです」",
"392001011_31": "「フフ。\\n ええ、わたしもです」",
"392001011_32": "「また会いましょう、リトル・セレナ」",
"392001011_33": "「はいッ!」",
"392001011_34": "「じゃあ、名残惜しいっスけど、\\n デュプリケイターを起動させるっスか」",
"392001011_35": "「ありゃ?\\n 今回は『フェイク』の方じゃないデスか」",
"392001011_36": "「ああ、あれはまだ試作品っスからね。\\n ていうか、そもそも今回のコトの発端は……」",
"392001011_37": "「『フェイク』のエネルギー充填のために、\\n エジソンが……」",
"392001011_38": "「はあぁッ!?\\n 私のせいだと言いたいのかッ」",
"392001011_39": "「落雷や核分裂にも匹敵するエネルギーを\\n 確保するために――」",
"392001011_40": "「エアーキャリアーの動力を使おうと\\n 言い出したのは貴様ではないかッ」",
"392001011_41": "「へ……?」",
"392001011_42": "「不時着するまでエネルギーを\\n 使いきろうとは誰も言ってないっス」",
"392001011_43": "「き、貴様ッ!」",
"392001011_44": "「ちょ、ちょっと待ってくださいッ!」",
"392001011_45": "「つまり、今回の不時着の原因になった\\n 新装備の開発実験というのは……」",
"392001011_46": "「『デュプリケイターフェイク』のこと\\n だったのッ……」",
"392001011_47": "「そうっスよ。\\n あれ、言ってなかったっスか」",
"392001011_48": "「呆れた。それで並行世界へ助けを求めようと言ったとき、\\n 都合よく『フェイク』を持っていたわけね」",
"392001011_49": "「まあまあ、いいじゃないっスか。限られた条件下とはいえ、\\n 使い物になることは十分わかったわけっスから」",
"392001011_50": "「そう、聖遺物に頼らず、科学の力だけで\\n 並行世界の跳躍を可能としたのだ」",
"392001011_51": "「それを証明できただけでも、\\n 今回の実験は大成功と言えよう」",
"392001011_52": "「次は使用者への負荷削減と、\\n エネルギー消費量を抑えるのが改善点っスね」",
"392001011_53": "「ああ。\\n 装者ではなくとも並行世界を渡ることを可能にする道具……」",
"392001011_54": "「それを私の――\\n いいや、科学の力でッ」",
"392001011_55": "「ナツミよ、……これは私の仮説なのだが、\\n 古より語られる『霊界』のような存在は、もしや……」",
"392001011_56": "「ああ、なるほどっス。\\n 多く語られてきたものには聖遺物ではなくとも理由がある……」",
"392001011_57": "「並行世界のうちのどこかを、\\n そう捉えた人たちがいてもおかしくないっスね」",
"392001011_58": "「そうだ。優れた科学と魔法の区別がつかないように。\\n であれば、アプローチを変えて――」",
"392001011_59": "「驚いた……科学の話になると、\\n 途端に人とも前向きで意見が合うんですね……」",
"392001011_60": "「ハッ……!?」",
"392001011_61": "「その分だと、頭への電撃ビリビリ? も……",
"392001011_62": " すぐにいらなくなりそうデスねッ!」",
"392001011_63": "「さすがに、いきなりそこまで優しくはしてやれないけどね」",
"392001011_64": "「フン、好きなだけ警戒しておけ。",
"392001011_65": " ……それが無駄な労力だったと悟るまでな」",
"392001011_66": "「フフ。\\n ええ、そうさせてもらいます」",
"392001011_67": "「それじゃあ、まずは2人を送らないと。",
"392001011_68": " また会いましょう」",
"392001011_69": "「ええ、みなさんもお元気で」",
"392001011_70": "「またデスよーッ!」"
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"392001111_0": "世界を覆う暗黒の使徒",
"392001111_1": "「というわけで……虫たちとの苛烈な野生バトルの末に、\\n 無事、この世界に帰ってこれたデスよ」",
"392001111_2": "「わたしたちがいない間に、\\n そんな大変なことになってたんだ……」",
"392001111_3": "「大変も大変。\\n いやぁ、あんなに虫が恐ろしいものだとは思わなかったデス」",
"392001111_4": "「この部屋で調のご飯を食べる。",
"392001111_5": " アタシは今、心の底から平和を実感してるデス」",
"392001111_6": "「フフ、切ちゃんってば。\\n 大げさなんだから」",
"392001111_7": "「いやいや、調はあのドデカい\\n 虫たちを見てないからそう言えるデスよ」",
"392001111_8": "「自然の驚異というか、\\n 人間のちっぽけさを思い知らされたデス」",
"392001111_9": "「それと同時に、その自然すらも、\\n どうにか人のためにならないかと考える、科学の貪欲さも……」",
"392001111_10": "「自然の驚異に、科学の貪欲さか……」",
"392001111_11": "「わたしたち人間も、自然の一部であることには\\n 変わりないんだもんね」",
"392001111_12": "「デスデース。\\n 虫たちにも命や本能があって……」",
"392001111_13": "「アタシたち人間と同じように、\\n 生きるために必死に戦ってたデスよ」",
"392001111_14": "「けど、あの世界の人たちはきっと、かつて\\n 飢えている人たちを助けるためにあの研究をしてたデス……」",
"392001111_15": "「人間だけが特別な存在じゃない。\\n だからこそ、食べることに……」",
"392001111_16": "「命をいただくことに、\\n 感謝しないといけないね」",
"392001111_17": "「食べることに感謝……",
"392001111_18": " うんうん、そうデスよッ! その通りデスッ!」",
"392001111_19": "「じゃあ、日々のご飯に感謝しながら、\\n 一緒にいただきますしよっか」",
"392001111_20": "「デスデースッ!」",
"392001111_21": "(――カサカサッ!)",
"392001111_22": "「へ……?」",
"392001111_23": "「カサ……カサカサ……」",
"392001111_24": "「<size=40>ぎゃあああああッ!</size>」",
"392001111_25": "「え……?",
"392001111_26": " ウソッ!? まさか、今のはッ!?」",
"392001111_27": "「ま、また出たデスッ!\\n 全人類の敵……世界を覆う暗黒の使徒ッ」",
"392001111_28": "「アレだけは……、\\n 絶対に、許せないッ」",
"392001111_29": "「同感デスよッ!\\n デストロイデースッ」",
"392001111_30": "「……って、なんか前にも\\n こんなことがあったような気が……」",
"392001111_31": "「切ちゃん、そっち行ったよッ!」",
"392001111_32": "「えええッ!?」",
"392001111_33": "「ぎえええぇぇぇッ!\\n なんで奴らはいつも最後に飛ぶデスかぁぁッ」"
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