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@ -0,0 +1,146 @@
{
"502000111_0": "頭の燃えている、人?",
"502000111_1": "「『覚悟しろ、怪獣ッ!\\n おまえの悪行も、そこまでだッ』」",
"502000111_2": "「……おう。\\n あたしは怪獣じゃないけどな」",
"502000111_3": "「フフ。立花のそれは、\\n さきほどのヒーローの<ruby=なら>倣</ruby>いだな?」",
"502000111_4": "「その通りですともーッ!\\n ね、ね、今日のヒーローショーもすごかったですねッ」",
"502000111_5": "「ったく。買い物だけのつもりが、\\n 随分長いこと付き合っちまった。もう夕方じゃないか」",
"502000111_6": "「いやぁ、ヒーローショーをやってるって知ったら、\\n つい見たくなっちゃって」",
"502000111_7": "「まあ……\\n それなりに楽しめたのは事実だけどよ」",
"502000111_8": "「またまたぁ。クリスちゃん、ものすごーく熱中してたでしょ。",
"502000111_9": " がんばれー、そこだーッ! ……って」",
"502000111_10": "「バ……ッ! 熱中してるふりだ、ふりッ!\\n 白けた顔したやつがいると、盛り下がるだろッ」",
"502000111_11": "「ああいうのは、その……\\n ちゃんと楽しむのが礼儀なんだよッ」",
"502000111_12": "「恥じることなどないだろう、雪音。\\n あれは実に示唆に富んだ舞台だった」",
"502000111_13": "「我々とて、『ヒーロー』を知らぬわけでもない。",
"502000111_14": " あの高揚を思い起こさせてくれる舞台、興奮も当然のことッ」",
"502000111_15": "「いや、まぁ……。\\n 先輩もどえらい声出して応援してたのは、そういうことか」",
"502000111_16": "「『この仮面は、流れる涙を隠すため――。",
"502000111_17": " 変・身ッ!!』」",
"502000111_18": "「おまえはまだやってんのかよッ!」",
"502000111_19": "「エヘヘ……\\n だぁって、かっこよかったんだもんッ」",
"502000111_20": "「でも……変身するのもいいけど、\\n 大きくなるヒーローもいいですよね」",
"502000111_21": "「……そう言われると、あたしたちもバカみたいに\\n でかくなったことがあったな」",
"502000111_22": "「グリッドマン……そして新世紀中学生たちと出会った時の話だな。\\n あれはなかなかに、得難い経験だった」",
"502000111_23": "「ガウマさんのダイナゼノンも……\\n みんな、元気にしてるかな」",
"502000111_24": "「彼らがどこの世界にいるのかはわからない……\\n おいそれとは会えないのが寂しいところだな」",
"502000111_25": "「また会える機会があるとすれば、\\n どこかの世界に異変が生じたとき、か」",
"502000111_26": "「便りがないのが元気な証拠、ってわけだ」",
"502000111_27": "「うんうん。\\n イズも怪獣も、出ないに越したことないよね」",
"502000111_28": "「ところで……立花は、ゆっくりしていて大丈夫か?\\n この後、お父上に会いに行く予定と言っていたが……」",
"502000111_29": "「はい。\\n お父さんのアパートに遊びに行く予定です」",
"502000111_30": "「ああ、あの親父さんか。\\n せっかく仲直りできたんだから、大切にしろよ」",
"502000111_31": "「もっちろん。",
"502000111_32": " それじゃ、わたしはこの辺で失礼しまーすッ!」",
"502000111_33": "「ああ、気をつけて」",
"502000111_34": "「またな」",
"502000111_35": "「それで……\\n 最近、学校はどうだ」",
"502000111_36": "「楽しいよ。",
"502000111_37": " お恥ずかしながら……補習ばっかりではあるけど」",
"502000111_38": "「なんだ、勉強についていけてないのか?」",
"502000111_39": "「もしそうなら、俺のわかる範囲であれば、\\n いつだって力になるからなッ」",
"502000111_40": "「ありがとッ」",
"502000111_41": "「けど、ついていけてないっていうより、どうしても任務がね。\\n 今週末も、数学の補習なんだぁ……タハハ」",
"502000111_42": "「正義の味方も楽じゃないな。",
"502000111_43": " でもまぁ、ヒーローってのはいつの時代もそんなもんか」",
"502000111_44": "「へ?\\n どういうこと」",
"502000111_45": "「ほら、ヒーローってのは正体を隠すものだろ?\\n 俺もS.O.N.G.からは、響のことは口止めされてるし……」",
"502000111_46": "「ま、娘が正義のヒーローやってます、\\n なんて言っても、誰も信じちゃくれないだろうけどな」",
"502000111_47": "「アハハ。\\n 確かに、変な人だと思われちゃうかも」",
"502000111_48": "「まあ、わたしは相変わらず……\\n ヒーローなんて大げさなつもりはないけどさ」",
"502000111_49": "「……小さい頃から、響はそうだったもんな。\\n 相変わらず、胸にあるのは人助けか」",
"502000111_50": "「うんッ。\\n わたしがしてるのは、今も昔も、ただの人助けだよッ」",
"502000111_51": "「うちの娘は、本当に頼もしいな。",
"502000111_52": " けど、あんまり無茶はしないでくれよ?」",
"502000111_53": "「大丈夫だよ。\\n みんながいるもん」",
"502000111_54": "「……そうか。\\n これは父親として、俺も負けていられないな」",
"502000111_55": "「フフ……。\\n お父さんのほうは、最近はどうなの」",
"502000111_56": "「母さんたちとのことも、仕事のほうも……\\n ま、ぼちぼちってとこだなッ」",
"502000111_57": "「そっか。またみんなで出かける機会作りたいなら……\\n わたしも協力するからさッ」",
"502000111_58": "「ああ。そのときはよろしくな。",
"502000111_59": " ……そうだ、最近はもう1つハマってることがあって……」",
"502000111_60": "「……?」",
"502000111_61": "「おッ、その様子は父さんの趣味に興味津々かぁ?",
"502000111_62": " 待っててくれよ、ここにしまって……」",
"502000111_63": "「……じゃーんッ!\\n 見てくれ、父さんの力作をッ」",
"502000111_64": "「これって……パソコン?\\n ……それにしてはなんだか、ボロボロというかオンボロというか」",
"502000111_65": "「うッ……",
"502000111_66": " そこはまあ、ご愛嬌だッ」",
"502000111_67": "「なんてったって、自作だからな。中古の店からジャンクパーツを\\n 安値で買ってきて、どうにか形にしたんだ」",
"502000111_68": "「へぇ……ッ!\\n パソコンって、自分で作れるものなんだね」",
"502000111_69": "「お父さんにこんな得意技があるなんて、\\n 知らなかったよ」",
"502000111_70": "「フッフッフ。\\n そうだろう、そうだろうッ」",
"502000111_71": "「でも……なんだかこのパソコン、\\n グリッドマンと会った時のジャンクを思い出すなぁ」",
"502000111_72": "「……グリッドマン? その名前の感じ……\\n ヒーロー番組か何かの話か」",
"502000111_73": "「あッ!?",
"502000111_74": " え、えーっと、そういうわけじゃないんだけど……」",
"502000111_75": "(しまった……ッ! グリッドマンとのことは、人に話しちゃ\\n いけないんだった……ッ ど、どうにか誤魔化さないと……",
"502000111_76": "「――わかるぞ、響」",
"502000111_77": "「へ……ッ!?",
"502000111_78": " い、いや、グリッドマンっていうのは、その……ッ!」",
"502000111_79": "「いいよな、\\n 特撮ヒーローッ」",
"502000111_80": "「……。",
"502000111_81": " ……ええッ!?」",
"502000111_82": "「何を隠そう、\\n 俺も小さい頃は、そういう番組が好きでなー」",
"502000111_83": "(なんか勘違いしてるーッ!?",
"502000111_84": " けど、助かったッ!)",
"502000111_85": "「へ、へぇ〜……?\\n お父さん、ヒーロー好きだったんだ」",
"502000111_86": "「普通の中学生が、怪獣と戦うヒーローの手助けをしたりしてな。\\n ああいうの、憧れる時期があるよなぁ。うんうん……」",
"502000111_87": "「ヒーローも好きだけど、怪獣もまたいいんだよッ!\\n ただの悪者っていうだけじゃない。怪獣にはロマンがあるんだ」",
"502000111_88": "「ロマン……?\\n ……うーん、わたしにはちょっとわかんないかも」",
"502000111_89": "「そうか? 良いところは探してみればたくさんあるもんだぞ。\\n 怪獣は怖いだけじゃなくて、案外愛嬌があったりするしなッ」",
"502000111_90": "「うんうん、いいことを言うねぇ。\\n やはり怪獣は、遊び心があってこそだよねぇ」",
"502000111_91": "「お、あんたもイケるクチかいッ!?\\n そうなんだよ、悪役の中に見え隠れする悲哀と人間性とか……」",
"502000111_92": "「え? ……ん?\\n あれッ」",
"502000111_93": "「いやいや待って、お父さんッ!?\\n こ、こちらの方は、どなたで……」",
"502000111_94": "「ん?\\n どなたって……」",
"502000111_95": "「――どなたァッ!?」",
"502000111_96": "「えぇぇぇッ!?\\n お、お父さんの知り合いじゃないのッ」",
"502000111_97": "「いつの間にかお茶の間まで入り込んでるくらい、\\n 仲のいいお友達かとッ」",
"502000111_98": "「し、知らないよ、こんな人ッ! ――人ッ!?\\n 頭燃えてるけど、人なのかッ」",
"502000111_99": "「た、確かにッ!\\n こんなに頭が燃えてる人、そうそういないよねッ」",
"502000111_100": "「ハッハッハ!\\n なかなかどうして、ご新規さんの反応としては上々だなあ」",
"502000111_101": "「いや、呑気かッ!?",
"502000111_102": " ……だ、誰なんだ、あんた……ッ!?」",
"502000111_103": "「おぉっと、これは失敬」",
"502000111_104": "「私はアレクシス。\\n アレクシス・ケリヴという」",
"502000111_105": "「えっと……そのアレクシスさんは、どうしてここに……?\\n ていうか、いつの間にこの部屋に……」",
"502000111_106": "「うう〜ん。どう説明するべきかな。\\n 実はちょっと厄介な連中から逃げていたんだよねえ」",
"502000111_107": "「その道中、何やらおもしろそうな話が聞こえてきたものでね。\\n つい顔を出してしまったよ」",
"502000111_108": "「逃げていた……?",
"502000111_109": " もしかして、誰かに追われてるんですか?」",
"502000111_110": "「ひょ、ひょっとして……\\n 凶悪犯か何かなんじゃ……ッ」",
"502000111_111": "「だ、だとしたら……\\n 人には戦わせないぞッ 娘は、俺が護――ッ」",
"502000111_112": "「ああ、そんなに警戒しないでくれたまえよ!」",
"502000111_113": "「謎のナニカシラに追われていたからとりあえず逃げていた。\\n その程度に受け取ってもらって構わないよ」",
"502000111_114": "「そ、その程度って……」",
"502000111_115": "「いやぁ、なにぶん細かいことは、私にもわからないのさ。\\n どうにも記憶が混濁しているようでね」",
"502000111_116": "「き、記憶喪失ってことですか……?\\n それなら、病院とか……」",
"502000111_117": "「……ど、どうする、響?\\n とりあえず、警察に通報したほうが……」",
"502000111_118": "――",
"502000111_119": "「……おや」",
"502000111_120": "「どうかしましたか?」",
"502000111_121": "「うーむ、すまないね。\\n どうやら、ここが見つかってしまったらしい」",
"502000111_122": "「え――」",
"502000111_123": "「「え、えぇえぇぇッ!?」」",
"502000111_124": "「な、なんだこれは……ッ!?\\n 空間に穴が……ッ」",
"502000111_125": "「まさか、ギャラルホルンのゲート……ッ!?",
"502000111_126": " でも、いつもと何か違うような……」",
"502000111_127": "「……思ったよりしつこいな。\\n さて、どうするべきか――おや」",
"502000111_128": "「――ッ!?\\n こ、これは……穴に、引き寄せられてるッ」",
"502000111_129": "「う、うわあッ!?\\n この前買った茶碗が、穴の中に吸い込まれて、消えて……ッ」",
"502000111_130": "「追いきれないと見るや、\\n 捕らえにきたということかな。ふーむ、これはこれは……」",
"502000111_131": "「逃れられそうもないねぇ。\\n いやはやまったく、油断したなぁ」",
"502000111_132": "「く……ッ!\\n ひ、響ッ 掴まるんだッ」",
"502000111_133": "「この手を掴んで――",
"502000111_134": " うわッ!? と、戸棚が、こっちにッ!?」",
"502000111_135": "「お父さんッ、危ないッ!!」",
"502000111_136": "「響ッ!?」",
"502000111_137": "「ぐ……ダメだ……ッ!\\n 踏ん張り、きれない……ッ」",
"502000111_138": "「ひ、響ぃぃぃいッ!」",
"502000111_139": "「どうやら、巻き込んでしまったようだね。\\n すまないねぇ、そんなつもりはなかったのだけれど」",
"502000111_140": "「ア、アレクシスさんッ!?\\n どうしてそんなに平然としてるんですかッ」",
"502000111_141": "「そりゃあ、大したことでもないからさ。\\n それより、そろそろここを抜けるよ。着地に注意したまえ」",
"502000111_142": "「えッ!?\\n ちゃ、着地ッ」",
"502000111_143": "「わ、わぁああああああああ……ッ!」"
}

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@ -0,0 +1,71 @@
{
"502000121_0": "「わぁあああああああああああ……ッ!」",
"502000121_1": "「――あいたァッ!?」",
"502000121_2": "「おやおや。\\n これは見事なしりもちだね」",
"502000121_3": "「大丈夫かい?\\n ……ええーっと……君の名前はなんていうんだったかな」",
"502000121_4": "「あ……。\\n 響です。立花響ッ」",
"502000121_5": "「響……『ヒビキ』くんか。\\n ……はて。どこかで聞いたことがあるような、ないような」",
"502000121_6": "「まあ、些細なことは置いておこう。\\n ……どこかな、ここは」",
"502000121_7": "「……外?\\n さっきまでお父さんの家にいたのに……」",
"502000121_8": "「ふむ。\\n どこかの高架下のようだね」",
"502000121_9": "「おやおや、粗大ゴミが捨ててあるじゃないか。\\n よくないよねぇ、こういうの」",
"502000121_10": "「それはそうだと思いますけど……。",
"502000121_11": " と、とにかく、お父さんに連絡しないとッ!」",
"502000121_12": "「……って、スマホがないッ!?",
"502000121_13": " お父さんの家に置いてきちゃったんだ……」",
"502000121_14": "「巻き込んでしまってすまないねぇ。どうやら、\\n さきほどの空間の歪みは、別の場所と繋がっていたようだね」",
"502000121_15": "「空間の歪み……そっか。\\n わたし、アレクシスさんと一緒に吸い込まれちゃったんですね」",
"502000121_16": "「おそらくね。……しかし、妙に呑み込みが早いねぇ。\\n 普通の人は、もっと驚くものだと思うのだけど」",
"502000121_17": "「それはその……。",
"502000121_18": " い、一身上の都合でッ」",
"502000121_19": "「なるほどなるほど!\\n それなら仕方ないね」",
"502000121_20": "「うんうん。わかる、わかるよ。\\n 誰にだって人に話せない都合のはあるものさ」",
"502000121_21": "「そ、そうなんですよッ!\\n アハ、アハハハハ……」",
"502000121_22": "「あれ、でも……\\n この光景、前に見たことがあるような……」",
"502000121_23": "「……そうだッ! ガウマさんと初めて会った場所だッ!\\n っていうことはここは……ガウマさんの世界ッ」",
"502000121_24": "「世界? つまり……ここはさきほどまでとは別の世界、\\n つまり多元宇宙のつということか」",
"502000121_25": "「た、多元宇宙……?",
"502000121_26": " えっと、わたしたちは並行世界って呼んでるんですけど……」",
"502000121_27": "「なるほどね。\\n 言葉が違うだけで……まあ、似たようなものさ」",
"502000121_28": "「しかし……なんだか最近、そんな話を聞いた気もするなぁ。\\n あれはどこでだったかな どうにも思い出せないねぇ」",
"502000121_29": "「……記憶喪失っていう話でしたけど、不安じゃないんですか?\\n なんだかとっても暢気そうに見えますけど」",
"502000121_30": "「なに、永く生きていればそういうこともあるだろう。\\n これはこれで、なかなか楽しい状況だよ。ハハハ」",
"502000121_31": "「すっごいポジティブ……」",
"502000121_32": "「何事も前向きなのはいいことさ。そうだろう?\\n ふさぎ込んでいたってどうにもならないからね」",
"502000121_33": "「そ、それはまあ、\\n その通りだと思いますけど……ッ」",
"502000121_34": "「ともあれ!\\n 差し当たっては、情報収集が先決かな」",
"502000121_35": "「ここが君の知っている世界だというなら、\\n 誰か頼れる人がいるのかい」",
"502000121_36": "「あ、はい。もし、ここがわたしの知る世界なら、\\n ガウマさんっていう人がいると思うんですけど――」",
"502000121_37": "「な、何ッ!?\\n 地面が、揺れて……ッ」",
"502000121_38": "「何が起こっているのか、ここからでは確認できないね。\\n 周囲が見える場所へ行ってみようか」",
"502000121_39": "「はいッ!」",
"502000121_40": "「あれは、怪獣……ッ!?\\n やっぱりわたし、また、いつかの世界にッ」",
"502000121_41": "「なかなかおもしろい造形をしているね」",
"502000121_42": "「そんなこと言ってる場合じゃないですよッ!」",
"502000121_43": "「ガウマさん……ダイナゼノンもッ!\\n ――探さないとッ」",
"502000121_44": "「うん?\\n ダイナゼ」",
"502000121_45": "「怪獣と戦うためのメカですッ!」",
"502000121_46": "「なるほど、この世界には怪獣に対抗する力があるのかい?\\n 確かに、怪獣にはそれに応じた宿敵が必要だよね」",
"502000121_47": "「それか、あの時みたいに、\\n わたしが大きくなれれば……ッ」",
"502000121_48": "「けど、グリッドマンがいなくちゃ……ッ!」",
"502000121_49": "「……グリッドマン?",
"502000121_50": " …………」",
"502000121_51": "「怪獣が、移動を始めてるッ!\\n このままじゃ、街がッ」",
"502000121_52": "「――」",
"502000121_53": "「――ひび――き――」",
"502000121_54": "「――ッ!」",
"502000121_55": "「今のは……\\n 」",
"502000121_56": "「ん?\\n どうかしたのかい」",
"502000121_57": "「何か、声が聞こえたような……。\\n この、胸の奥に直接響いてくるこれは、まさか……」",
"502000121_58": "「グリッドマン?」",
"502000121_59": "「――グリッドマンなのッ!?\\n わたしに何か伝えようとしているの……」",
"502000121_60": "「はて……私には何も聞こえないなぁ。\\n そのグリッドマンとは、連絡を取る方法はないのかい」",
"502000121_61": "「……そうだッ! この世界にもジャンクがあれば、\\n グリッドマンと話せるかもッ」",
"502000121_62": "「……ふむ? 詳しいことを聞いている時間はなさそうだね。\\n それはこの世界にあるものなのかい」",
"502000121_63": "「わかりません。\\n でも、この街……」",
"502000121_64": "「知らない街なのに。\\n でも、わたしが住んでる街とも、よく似てる場所がある……」",
"502000121_65": "「まるで、2つの街が混ざり合ってるみたいに」",
"502000121_66": "「ここが並行世界――『可能性』の世界の1つなら、\\n もしかしたら、あそこならッ」",
"502000121_67": "「おや、どこへ行くんだい?」",
"502000121_68": "「ふらわーっていうお好み焼き屋さんですッ!\\n もしかしたら、そこにジャンクがあるかもッ」"
}

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@ -0,0 +1,49 @@
{
"502000131_0": "「――ッ!\\n あった、ふらわーッ」",
"502000131_1": "「これはなかなか趣のある店だね。\\n ここにそのジャンクとやらがあるのかい」",
"502000131_2": "「前にグリッドマンの力を借りた時は、この店にあったんですッ! \\n 今回も、きっとッ」",
"502000131_3": "「お店の人は、もう避難をした後かな?」",
"502000131_4": "「ジャンクは――",
"502000131_5": " ない……ッ!?」",
"502000131_6": "「その様子だと、\\n あては外れてしまったようだねぇ」",
"502000131_7": "「――ッまだです、\\n まだ、諦めないッ」",
"502000131_8": "「<size=40>グリッドマンッ!</size>」",
"502000131_9": "「いるんだよねッ! どこにいるのッ!?\\n 力を貸してッ グリッドマン……ッ」",
"502000131_10": "「くッ……\\n さっきの声も聞こえない……」",
"502000131_11": "(プライマル・アクセプターも、ダイナソルジャーもない……。\\n これじゃあ、怪獣と戦える大きさには……",
"502000131_12": "「ふむ……。\\n 打つ手なし、かな」",
"502000131_13": "「――だとしてもッ!!」",
"502000131_14": "「近くで見るとなかなかに壮観だねぇ。\\n それで、怪獣の足元までやってきて……どうするんだい」",
"502000131_15": "「街の人たちが逃げる時間を、稼ぎますッ!」",
"502000131_16": "「Balwisyall nescell gungnir tron――」",
"502000131_17": "「ほう! 変身できるのかい、響くんは!\\n おもしろい子だねぇ、君」",
"502000131_18": "「けど……あれと戦うには、\\n いささかスケールが違い過ぎるんじゃないかな」",
"502000131_19": "「それは……わかっていますッ!」",
"502000131_20": "「けど、街のそこかしこから聞こえてくる悲鳴を、\\n このまま放っておくなんて、できませんッ」",
"502000131_21": "「豪快だねぇ。\\n そういうことなら、私も力を貸すとしよう」",
"502000131_22": "「アレクシスさんは、逃げて――って、",
"502000131_23": " ええッ!? 力を貸す、って……」",
"502000131_24": "「この事態に響くんが巻き込まれたのは、私のせいだしね。\\n 責任を取らせてもらおうじゃないか」",
"502000131_25": "「このチカラはそもそもこういう使い道ではないんだが……\\n まあ、たまにはね」",
"502000131_26": "「アレクシスさん、何を……ッ!?」",
"502000131_27": "「まあ、見ていたまえ。\\n こうするのさ」",
"502000131_28": "「――インスタンス・アブリアクションッ!!」",
"502000131_29": "「え……ッ!?\\n こ、これは――ッ」",
"502000131_30": "「わたし、また、\\n 巨大化できてる……ッ」",
"502000131_31": "「私の力の一部を使って、怪獣に釣り合う大きさにしてみたよ。\\n いやぁ、調整がうまくいってよかった……おや」",
"502000131_32": "「――ッ!?\\n この力は……」",
"502000131_33": "「グリッドマンギアに……\\n 変身できたッ」",
"502000131_34": "「グリッドマンッ! 声は聞こえないけど……\\n やっぱり、近くにいてくれてるんだねッ」",
"502000131_35": "「ほう。\\n これはこれは」",
"502000131_36": "「ありがとう、アレクシスさん、グリッドマン……。",
"502000131_37": " これなら、怪獣とも戦えるッ!!」",
"502000131_38": "「危ないので、\\n アレクシスさんは離れていてくださいッ」",
"502000131_39": "「ああ、大丈夫だよ。\\n 自分の身くらいは自分で護れるからねぇ」",
"502000131_40": "「それよりも、今は君を見ているほうがおもしろそうだ」",
"502000131_41": "「え、ええッ!?」",
"502000131_42": "「ほら、響くん。\\n よそ見はよくないよ、怪獣がすぐそこに迫っている」",
"502000131_43": "「く……ッ! 本当ですねッ!?\\n アレクシスさん、怪我しないでくださいよッ」",
"502000131_44": "「心得たとも!」",
"502000131_45": "「それなら……」",
"502000131_46": "「――行きますッ!\\n これ以上、街を壊させないッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,13 @@
{
"502000132_0": "「少しでも長く……ッ!\\n 街の人たちが避難する時間を稼ぐんだッ」",
"502000132_1": "「いやー、強いねぇ響くんは。\\n 大したものだよ」",
"502000132_2": "「だけど、さすがにこれだけの数が相手だと\\n 分が悪いかな」",
"502000132_3": "「――ッ!\\n へいき、へっちゃらですッ」",
"502000132_4": "「感じるんですッ!\\n グリッドマンが、力を貸してくれてるってッ」",
"502000132_5": "「戦ってるのは、わたし1人じゃないッ!\\n だから、まだまだ頑張れますッ」",
"502000132_6": "「なるほど、グリッドマンの力か。\\n 確かにそれは、心強い味方だろうねぇ」",
"502000132_7": "「そういえば、さっきも……。\\n グリッドマンのこと、知ってるんですかッ」",
"502000132_8": "「ああ、知っているとも」",
"502000132_9": "「決して折れない心を持った響くんに、今の無尽蔵ともいえる\\n グリッドマンの力が合わされば、向かうところ敵なしだ」",
"502000132_10": "「何せ――\\n この世界そのものがグリッドマンなんだからね」"
}

View file

@ -0,0 +1,200 @@
{
"502000211_0": "戦友との再会",
"502000211_1": "響が空間の穴に呑まれた直後――",
"502000211_2": "「響が……消えたッ!?」",
"502000211_3": "「ど、どうしよう……いったい何が起きてるんだッ!?\\n 響は無事なのかッ」",
"502000211_4": "「こ、こういう時はどこに連絡すれば……警察?」",
"502000211_5": "「……いや、娘が空間の穴に吸い込まれたなんて、\\n 信じてもらえるか怪しいし……」",
"502000211_6": "「……そうだッ!\\n 響に電話すれば、現在地を確認できるかもッ」",
"502000211_7": "――ピピピピッ",
"502000211_8": "「え?\\n この音……」",
"502000211_9": "「――ッ! 響の端末ッ!",
"502000211_10": " この部屋に置いていっちゃったのか……ッ!」",
"502000211_11": "「これじゃあ、響と連絡が取れない……ッ!」",
"502000211_12": "「……いや、待てよ。\\n この端末を使えば――ッ」",
"502000211_13": "(響、今頃はお父さんのところか。",
"502000211_14": " ……響がいないと、お休みも暇だなぁ)",
"502000211_15": "「――ッ!?",
"502000211_16": " びっくりした、こんなときに電話なんて……」",
"502000211_17": "「――あれ?\\n これ、響からッ」",
"502000211_18": "「……もしもし、響?\\n いったいどうし――」",
"502000211_19": "「もしもしッ!?\\n 未来ちゃんッ」",
"502000211_20": "「えッ!?\\n も、もしかして、響のお父さんですか」",
"502000211_21": "「ああ、そうだッ!\\n でもそんなのはどうでもよくてッ」",
"502000211_22": "「響が……\\n 響が、消えちゃったんだッ」",
"502000211_23": "「――響がッ!?」",
"502000211_24": "「なるほど……。\\n 空間の歪みと、謎の人物か」",
"502000211_25": "「しっかし、頭が燃えてるってのはどういうことだ?\\n 人物……なのか」",
"502000211_26": "「きっと宇宙人デースッ!\\n 宇宙からの侵略者が、この星にやってきたデスよッ」",
"502000211_27": "「そんなわけ……。",
"502000211_28": " ……いやまあ、宇宙からのお客サマには前例があるけどよ……」",
"502000211_29": "「間違いないデスッ!\\n 怪奇ッ 頭ボーボー星人デスッ」",
"502000211_30": "「切ちゃん、\\n それはちょっとネーミングが安直すぎる気が……」",
"502000211_31": "「だーッ! どうでもいいことは傍に置いとけッ!\\n 今はあのバカがどこに行ったかだろッ」",
"502000211_32": "「その通りだ、みんな。\\n 立花のお父上に、聞けるだけのことを聞くべきだろう」",
"502000211_33": "「う……とはいえ、俺も話せることなんて少なくて……\\n あの怪しいやつが、何者なのかすら……」",
"502000211_34": "「その人物が立花……\\n 娘さんを連れ去ったのですか」",
"502000211_35": "「いや……確信はないけれど、そんな雰囲気でもなかったと思う。\\n 誰かに追われてるようなことを言っていた」",
"502000211_36": "「となると、\\n 響くんは何かしらの事件に巻き込まれたと見るべきか……」",
"502000211_37": "「響……無事でいて……」",
"502000211_38": "「パパさん。その燃えている男は、\\n 他に何か手がかりになることを言っていなかったかしら」",
"502000211_39": "「そう言われても、あっという間のことだったし……。\\n 他には、怪獣がどうとか――」",
"502000211_40": "「怪獣?」",
"502000211_41": "「あ、いや、気にしないでくれ。\\n それまで俺たちがしてた話に乗ってきただけだろうし……」",
"502000211_42": "「……いえ、そうでもないかもしれません。\\n 司令、これはもしや――」",
"502000211_43": "「……ああ。\\n あの事件との関連を考慮に入れるべきだろうな」",
"502000211_44": "「え?\\n いったいなんの話をしてるんだい……」",
"502000211_45": "「ごめんなさいね、パパさん。\\n 詳しく話すには、ちょっと込み入りすぎてるというか……」",
"502000211_46": "「フクザツカイキなのデスよ」",
"502000211_47": "「でも……だとしたら、\\n 彼らが動いているかも」",
"502000211_48": "「……なるほどな。\\n 新世紀中学生の連中か」",
"502000211_49": "「ちゅ、中学生……?",
"502000211_50": " ほんとになんの話をしてるんだッ!?」",
"502000211_51": "「でも、こっちから連絡する手段がないですよね。\\n どうすれば……」",
"502000211_52": "「可能性があるとすれば……わたしだ。\\n かつてグリッドナイトの力を宿したわたしなら、あるいは……」",
"502000211_53": "「強く呼びかければ、\\n 彼らにこの声……届くやもしれんッ」",
"502000211_54": "「ヒーローを呼ぶには……ってことか。",
"502000211_55": " トンデモではあるけど、やってみる価値はあるな」",
"502000211_56": "「き、君たちがなんの話をしてるのかはさっぱりだッ!",
"502000211_57": " けど、響を助ける力になるのならッ!」",
"502000211_58": "「頼む、その誰かを……\\n 呼んでくれッ」",
"502000211_59": "「ええ。",
"502000211_60": " で、あれば……ッ!」",
"502000211_61": "(――グリッドナイト、聞こえますか?\\n 力を貸してください。グリッドナイト……ッ",
"502000211_62": "(かつて、あなたが共に護ってくれた世界に……\\n わたしの友に、異変が起こっていますッ",
"502000211_63": "(どうか今一度、\\n あなたの力をお借りしたい……ッ",
"502000211_64": "「――さ……かざな……さ――」",
"502000211_65": "「…………ッ!",
"502000211_66": " 聞こえたッ!!」",
"502000211_67": "「どうした?」",
"502000211_68": "「かすかですが、グリッドナイトの声らしきものが\\n 聞こえました」",
"502000211_69": "「何……ッ!?」",
"502000211_70": "「わたしたちには何も聞こえなかったけど……\\n 間違いないの」",
"502000211_71": "「幾度も共に剣を振るった戦友の声だ。\\n 聞き間違えたりはしない」",
"502000211_72": "「そ、それで、\\n グリッドナイトはなんて言ってたデスかッ」",
"502000211_73": "「それが、声に霞がかかっているように不明瞭で……\\n はっきりとは聞き取れなかったのだ」",
"502000211_74": "「だが、続けて呼びかければきっと――」",
"502000211_75": "「な、なんだ、警報……ッ!?」",
"502000211_76": "「落ち着いて、パパさん。外部の異常を検知しただけ。\\n ここは安全よ」",
"502000211_77": "「状況はッ!?」",
"502000211_78": "「市街地に高密度のエネルギー反応ありッ!」",
"502000211_79": "「アルカ・ノイズか?」",
"502000211_80": "「いえッ、アルカ・ノイズの反応は検出されずッ!\\n 現場の映像、出ますッ」",
"502000211_81": "「デデデデッ!?」",
"502000211_82": "「あれって、もしかして……ッ!」",
"502000211_83": "「怪獣……ッ!\\n なんでこの世界にッ」",
"502000211_84": "「……どうやら、\\n 翼が聞いた声は気のせいではないようね」",
"502000211_85": "「ああ。この世界に怪獣が現れたのなら、\\n グリッドナイトがそれを追ってきている可能性が高い」",
"502000211_86": "「となれば、響くんの行方を追う手がかりにもなるな。\\n だが、まずは事態への対処が先決だ」",
"502000211_87": "「――装者たちは現場へ急行ッ!\\n 怪獣へ対処しつつ、可能ならば協力者との合流を目指せッ」",
"502000211_88": "「了解(デース)ッ!」",
"502000211_89": "「響は必ず連れ戻しますッ!\\n お父さんはここで待っていてくださいッ」",
"502000211_90": "「未来ちゃん……」",
"502000211_91": "「立花さん、事態が進展し次第、状況をお知らせします。\\n こちらへどうぞ」",
"502000211_92": "(響が……娘が危ない目に遭っているかもしれないのに、\\n 俺はまた見ていることしかできないのか……",
"502000211_93": "(……いやッ!\\n 俺はもう、家族から逃げないと決めたんだ――ッ",
"502000211_94": "「……立花さん?」",
"502000211_95": "「立花さん、どこへ……ッ!?」",
"502000211_96": "「――娘の友達に任せて、\\n 俺だけ安全な場所で指を咥えてなんていられるかッ」",
"502000211_97": "「まさか、街へ……ッ!?\\n そんな無茶なッ」",
"502000211_98": "「僕が追いますッ!」",
"502000211_99": "「ああ、任せたッ!!」",
"502000211_100": "「……俺たちも自分の役割を果たすぞ。\\n 警察と情報を共有し、避難誘導に当たれッ」",
"502000211_101": "「はいッ!!」",
"502000211_102": "「きゃああああああ……ッ!?」",
"502000211_103": "「――傷つけさせはしないッ!」",
"502000211_104": "「怪獣だとて、この程度の大きさならばッ!」",
"502000211_105": "「ここはまだ危険ですッ!\\n 誘導に従って非難をッ」",
"502000211_106": "「あ、ありがとうございます……ッ!」",
"502000211_107": "「結構な数ね。\\n あまり大きいのがいないだけマシだけど」",
"502000211_108": "「ああ。\\n 大物が出てくる前に、『彼ら』と合流したいところだが……」",
"502000211_109": "「おーいッ!」",
"502000211_110": "「くッ!\\n 止まってくださいッ」",
"502000211_111": "「あれは……\\n 立花のお父上ッ それに、緒川さんッ」",
"502000211_112": "「追いかけてきちゃったのッ!?\\n なんて無茶をッ」",
"502000211_113": "「う、うわぁッ!?」",
"502000211_114": "「――させないッ!!」",
"502000211_115": "「す、助太刀、する」",
"502000211_116": "「――ッ!?\\n この太刀筋は……ッ」",
"502000211_117": "「え……ッ!?」",
"502000211_118": "「あれは……ッ!」",
"502000211_119": "「キャリバーさんッ!!」",
"502000211_120": "「ひ、久しぶりだな。\\n ……そ、そちらも無事なようで、何よりだ」",
"502000211_121": "「――あッ!?\\n そ、そうか、俺は人に助けてもらったのか……」",
"502000211_122": "「気づいた時には怪獣がまっぷたつで、一瞬何が起こったのやらと。",
"502000211_123": " ……ありがとうッ!!」",
"502000211_124": "「僕1人では、庇うのが精一杯でした。\\n 助太刀、感謝いたします」",
"502000211_125": "「……(こくり)」",
"502000211_126": "「やはり、この世界に来られていたのですね。\\n グリッドマンやグリッドナイトもご一緒ですか」",
"502000211_127": "「いや……\\n グリッドマンたちは、い、いない」",
"502000211_128": "「…………?\\n それは、どういう……」",
"502000211_129": "「あー、ダメだダメだ。\\n キャリバーに聞いたって、らちが明かねぇよ」",
"502000211_130": "「みなさんッ!",
"502000211_131": " やはりこの世界に来ていたのですねッ!」",
"502000211_132": "「遅れてすまない」",
"502000211_133": "「いやー。\\n ほんと、怪獣に縁があるよね、君たち」",
"502000211_134": "「こっちの怪獣は全部倒したデースッ!",
"502000211_135": " ……って、な、なんだかわんさかいるデスよぉッ!?」",
"502000211_136": "「この雰囲気、もしかして……」",
"502000211_137": "「おまえらは……\\n 新世紀中学生ッ」",
"502000211_138": "「お初さんと久しぶりの顔ぶれが並ぶと、\\n なんつーか壮観だな」",
"502000211_139": "「この人たちが……」",
"502000211_140": "「どうもどうも。\\n 人呼んで『新世紀中学生』の人たちですよー」",
"502000211_141": "「ちゅう……学生……?」",
"502000211_142": "「……」",
"502000211_143": "「あ?\\n なんだ、文句あんのか」",
"502000211_144": "「い、いえいえ、別になんにもないデスよッ!?",
"502000211_145": " 人にはいろんな事情がありますデスからッ!!」",
"502000211_146": "「それで納得してもらえるなら何よりだね。",
"502000211_147": " ……その姿からすると、君たちもシンフォギア装者かな?」",
"502000211_148": "「……その中に混ざってるこのおっさんは誰なんだ?",
"502000211_149": " あぶねぇだろが、さっさと逃げろよ。しっしっ」",
"502000211_150": "「そ、そうはいかないッ!\\n 響が見つかるまでは、俺だって退くわけにはいかないんだッ」",
"502000211_151": "「あぁ?\\n ……その様子だと、こっちはこっちで面倒ごとかぁ」",
"502000211_152": "「面倒ごとというか、問題ごとというか……",
"502000211_153": " その方は、立花のお父上だ」",
"502000211_154": "「親父?\\n それがなんだってこんな場所まで出張ってんだよ」",
"502000211_155": "「ちょっと場違いかもね。",
"502000211_156": " このままだと怪我させちゃうかも?」",
"502000211_157": "「ああ。何はともあれ、\\n まずはこの状況を切り抜けるのが先だろうな」",
"502000211_158": "「怪獣が、まだこんなにッ!」",
"502000211_159": "「響のお父さんを安全な場所に逃がさなきゃッ!」",
"502000211_160": "「では、そちらは僕にお任せを」",
"502000211_161": "「うおぉっ!? びっくりした、気配がねえなアンタ!?",
"502000211_162": " 忍者か何かかよっ!?」",
"502000211_163": "「お好きに考えてくださって結構ですよ。\\n ……S.O.N.G.に所属しています、緒川と申します」",
"502000211_164": "「察するに、装者の皆さんから伺っていた、\\n グリッドマンと志を同じくする方々とお見受けします」",
"502000211_165": "「あー。\\n まあ、だいたいあってるかもな」",
"502000211_166": "「では、そちらの男性のことはお任せしよう」",
"502000211_167": "「了解しました、そちらもご武運を。",
"502000211_168": " ……では、失礼」",
"502000211_169": "「え?\\n 緒川さん、急に腰に手を回すなんて、何を……ッ」",
"502000211_170": "「――わ、」",
"502000211_171": "「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……ッ!?」",
"502000211_172": "「いやぁ。おもしろいお友達がいるねぇ、君たち。\\n もっと早くに紹介してよ」",
"502000211_173": "「……か、彼は、できる。\\n 身のこなしが、只者では、ない」",
"502000211_174": "「今回もこの前も、\\n そんな場合じゃないだろうがッ」",
"502000211_175": "「怒らない怒らない。\\n おかげで心置きなく戦えるから、なんだっていいさ」",
"502000211_176": "「そら……\\n お喋りしてないで、行くとしようかっ」",
"502000211_177": "「あいも変わらず、心強い戦力だ……ッ!",
"502000211_178": " しかし……グリッドナイトは一緒ではないのですか?」",
"502000211_179": "「ああ、彼とは別行動中だ。\\n だが、かわりと言ってはなんだが、こっちには新入りがいる」",
"502000211_180": "「新入り……?」",
"502000211_181": "「そろそろこちらに合流する手筈で……\\n ――む、来たか」",
"502000211_182": "「だりゃぁぁぁぁぁッ!!!\\n そんなところに怪獣のたむろするスペースは、ねえぞ」",
"502000211_183": "「――ッ!?\\n このゴツゴツデカデカの影は……まさかデスよッ」",
"502000211_184": "「お? 急いで来てみりゃぁ……\\n なんだなんだ、知った顔が結構あるじゃねぇか」",
"502000211_185": "「もしかして……」",
"502000211_186": "「ガウマ隊長(デース)ッ!?」",
"502000211_187": "「おう、久しぶりだな、お前ら。\\n だがまあ、今の俺はレックスだ」",
"502000211_188": "「へ……?」",
"502000211_189": "「再会の挨拶は後にしとけ」",
"502000211_190": "「ああ。出遅れた分、しっかり働くぜ。\\n こいつとなっ」",
"502000211_191": "「な、なんだ、こいつはッ!?\\n 新手の怪獣かッ」",
"502000211_192": "「ダイナレックスデースッ!\\n とっても強いんデスよッ」",
"502000211_193": "「それに、響さんと合体もするんです」",
"502000211_194": "「これが……?\\n 話には聞いていたけど、すごいのが出てきたわね……」",
"502000211_195": "「ま、まあ……",
"502000211_196": " なんにしろ、味方だってんなら歓迎だッ!」",
"502000211_197": "「ああ。\\n まずは怪獣を殲滅するぞッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,76 @@
{
"502000212_0": "「これでトドメ(デース)――ッ!!」",
"502000212_1": "「ふぅ……これで全部みたい」",
"502000212_2": "「どんなもんだデースッ!」",
"502000212_3": "「へぇ、やるじゃねぇか!\\n この前はお前たちが直接戦うところは見てなかったけどよ」",
"502000212_4": "「強ぇじゃねえか、2人とも!」",
"502000212_5": "「フッフーンッ!\\n そんなことあるデスよッ」",
"502000212_6": "「ガウマ隊長も、\\n 前より強くなってる気がします」",
"502000212_7": "「あー、えーとだな。まあ、細かいことは置いといて……",
"502000212_8": " 今の俺は――レックスだ」",
"502000212_9": "「え? ま、まさか……ッ!\\n 自分の名前がわからなくなっちゃったデスかッ」",
"502000212_10": "「ンなわけねぇだろ!",
"502000212_11": " ……お前たちと一緒に戦った後、いろいろあったんだよ」",
"502000212_12": "「いろいろ?\\n ひょっとして、結婚でもしたデスか」",
"502000212_13": "「け……っ!?」",
"502000212_14": "「切ちゃん。\\n お婿さんになったとしても、変わるのは苗字の方だよ」",
"502000212_15": "「ということは……『ガウマ』が苗字で、\\n 『隊長』が名前だったデスかッ」",
"502000212_16": "「違うと思う」",
"502000212_17": "「そ、そんなんじゃねぇよ。\\n まぁ、なんだ、その、だから……」",
"502000212_18": "「心機一転てとこだ!\\n 細かいことは気にするな」",
"502000212_19": "「俺たちが、\\n 人として大事にしなきゃいけないのは――」",
"502000212_20": "「約束とッ!」",
"502000212_21": "「愛と……",
"502000212_22": " あとは、結局なんだったんですか?」",
"502000212_23": "「……ハハッ!\\n それはまあ、おいおい教えてやるよ」",
"502000212_24": "「お、おぉーいッ!」",
"502000212_25": "「パパさん?」",
"502000212_26": "「ちょっとちょっと!?\\n どうして戻ってきちゃったの」",
"502000212_27": "「すみません。\\n ですが、どうしても気になることがあると……」",
"502000212_28": "「響の……娘の危機に、\\n 引っ込んでなんていられないんだッ」",
"502000212_29": "「こりゃ、どこかに監禁したって、\\n 死に物狂いで這い出してくるって顔だぞ……」",
"502000212_30": "「ええ。\\n 一緒に情報を共有したほうが早そうね」",
"502000212_31": "「あのッ!\\n 響がどこに行ったかには、心当たりありませんか」",
"502000212_32": "「それに、どうしてこの世界に怪獣が……」",
"502000212_33": "「だってさ、マックス」",
"502000212_34": "「ふむ……」",
"502000212_35": "「ん?\\n なんだよ、言いよどんで」",
"502000212_36": "「それについては、\\n 少々説明が難しい事情があってな」",
"502000212_37": "「まぁ、\\n ……不測の事態って言やぁその通りだしな」",
"502000212_38": "「単刀直入に言おう」",
"502000212_39": "「シンフォギア装者たちよ。\\n 君たちの助けを借りたいのだ」",
"502000212_40": "「我々の助けを……?」",
"502000212_41": "「ま、まずはグリッドナイトと連絡を取りたい」",
"502000212_42": "「――ッ!?",
"502000212_43": " みなさんは居場所を把握しておられないのですか?」",
"502000212_44": "「別行動してたんだけどよ。\\n ちょっと前から、連絡が取れないんだ」",
"502000212_45": "「でも、あなたたちが連絡を取れないのに、\\n わたしたちにそれができるとは思えないのだけど」",
"502000212_46": "「いや、そうとも限らない。なぜなら……\\n 我々以上に彼と強い縁を結んでいる者が、この世界にはいる」",
"502000212_47": "「それって、ひょっとして……」",
"502000212_48": "「確かに、グリッドナイトとは幾度も共に戦った仲。\\n 実際わたしは先刻、彼の声らしきものを聞いています」",
"502000212_49": "「ビンゴだな」",
"502000212_50": "「ですが、生憎わたしにもはっきり声が\\n 聞こえたわけでは……」",
"502000212_51": "「彼にも何かがあったというのですかッ!?」",
"502000212_52": "「まあまあ、落ち着いて。",
"502000212_53": " 君だけじゃ足りない……とくれば、ジャンクも必要だね」",
"502000212_54": "「ジャンク……",
"502000212_55": " あのボロっちいパソコンかッ!」",
"502000212_56": "「でも、この前見つけたジャンクは別の並行世界のものでしょう?\\n この世界にジャンクがあるとは限らないわ」",
"502000212_57": "「い、いや、ある」",
"502000212_58": "「――ッ!?\\n それは、どこにッ」",
"502000212_59": "「正確に、まったく同じものである必要はない。\\n だが、ジャンクと同じ役割を果たすものがあるはずだ」",
"502000212_60": "「同じ役割……\\n この前の世界なら、ジャンクはふらわーにあったけど……」",
"502000212_61": "「こっちのふらわーではそんなの、\\n 見たことないデス」",
"502000212_62": "「まずはジャンクを探さなきゃいけない、っていうことですか?\\n でも、どうやって……」",
"502000212_63": "「片っ端からリサイクルショップ巡りでもするってのか?\\n 気長がすぎんだろ」",
"502000212_64": "「ったりめぇだ。\\n そんな悠長なことしてられっかよ」",
"502000212_65": "「ジャンクは別々の世界同士を繋ぐ機能がある。\\n おそらく、ジャンクのそばでは異常事態が起こっているはずだ」",
"502000212_66": "「ジャンク……パソコン……\\n ……異常事態」",
"502000212_67": "「んだよ、おっさん、まだいたのかよ。\\n あぶねぇっつってんだろ」",
"502000212_68": "「それより教えてくれッ!\\n その、ジャンクって言うのはどういうものなんだ」",
"502000212_69": "「パソコン……ではあるのでしょうけど、レトロというか、\\n ガラクタの寄せ集めというか……」",
"502000212_70": "「理屈はわからないけど、\\n そいつがグリッドマンと会話する道具になるんだ」",
"502000212_71": "「ガラクタの寄せ集め……。\\n やっぱり、もしかして……ッ」",
"502000212_72": "「どうかしたデスか?」",
"502000212_73": "「そのジャンクとやら……\\n 心当たりがあるッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,112 @@
{
"502000221_0": "「ここだ、入ってくれ」",
"502000221_1": "「お邪魔します」",
"502000221_2": "「あんだよ、しけた部屋だな」",
"502000221_3": "「おい、そういうこと言っちゃダメだろ!\\n いい部屋じゃねぇか」",
"502000221_4": "「ガウ……じゃなくて、レックス隊長は橋下に住んでたデスからね。\\n あそこに比べたら、大抵はいい部屋デース」",
"502000221_5": "「住めば都だね」",
"502000221_6": "「おうち拝見が目的じゃねぇっての」",
"502000221_7": "「それで、目的の代物は……\\n あれね」",
"502000221_8": "「これが、ジャンク……?」",
"502000221_9": "「なんというか……趣深いデス」",
"502000221_10": "「いやボロいだけでしょ。",
"502000221_11": " けど……キャリバー」",
"502000221_12": "「…………あ、ああ」",
"502000221_13": "「えッ!? ちょ、ちょっと、いきなりパソコンのフタを\\n 開いて、何を……ッ」",
"502000221_14": "「グリッドマンと交信できるようにするには、\\n 微調整が必要だ」",
"502000221_15": "「いけそうか?」",
"502000221_16": "「も、問題ない。\\n ここを……こう、して。少し手を加えれば――」",
"502000221_17": "「起動したけど……\\n 真っ白で何も映ってないわ」",
"502000221_18": "「失敗したデスか?」",
"502000221_19": "「いや、その判断は早計だ。\\n ――風鳴翼。グリッドナイトに呼びかけてみてくれ」",
"502000221_20": "「はい」",
"502000221_21": "「グリッドナイト。聞こえますか、グリッドナイト。\\n どうか返事を。わたしたちに力を貸してくださいッ」",
"502000221_22": "「グリッドナイトッ!」",
"502000221_23": "「本当に出やがったッ!」",
"502000221_24": "「風鳴翼。\\n それに、お前たち――」",
"502000221_25": "「ようやく連絡が取れたな」",
"502000221_26": "「じょ、状況は?」",
"502000221_27": "「問題が起こった。\\n 増援が必要だ」",
"502000221_28": "「後回しにしてたけどよ、\\n あたしらにもそろそろ説明してくれないか」",
"502000221_29": "「ある世界に、危機が迫っている。\\n 俺はその危機を回避するため、いち早くその世界に渡った」",
"502000221_30": "「その世界は多元宇宙に存在するいくつかの世界が\\n 混ざり合って作り上げられた、『複合世界』だ」",
"502000221_31": "「その複合世界には今、崩壊の危機が迫っている。\\n そうなれば、混ざり合った全ての世界が連鎖崩壊する」",
"502000221_32": "「世界が混ざり合った……?」",
"502000221_33": "「ちんぷんかんぷんデスッ!」",
"502000221_34": "「簡単に言うと、いくつもの宇宙がまるごと消滅しちゃう\\n 大ピンチってこと」",
"502000221_35": "「そしてその影響は、この世界にも及ぼされる。\\n 既に怪獣が現れているのも、その兆候だ」",
"502000221_36": "「……さきほどのは、\\n 飽くまで前哨戦というわけね」",
"502000221_37": "「ああ。複合世界がぶっ壊れれば、この世界にも影響が出る。\\n 最悪消滅するかもな」",
"502000221_38": "「で、お前たちに力を貸してもらって、\\n 複合世界の崩壊を食い止めようってわけだ」",
"502000221_39": "「なるほど。\\n 我々の運命は、その世界と一蓮托生というわけですね」",
"502000221_40": "「そゆこと。\\n 俺らも立場柄、いろんな世界とやらに顔を出すけどよ」",
"502000221_41": "「多元宇宙……おまえらの言い方なら『並行世界』か。\\n それを渡る技術があるやつらは早々いないからな」",
"502000221_42": "「だから、君たちの技術や力を、\\n 俺たちのために貸してほしいんだけど……どうかな」",
"502000221_43": "「当然デースッ!」",
"502000221_44": "「何度も一緒に戦ってきた仲ではないですか。\\n 今更、遠慮など無用です」",
"502000221_45": "「並行世界全ての危機とあらば……\\n 司令に報告しておく必要があるわね」",
"502000221_46": "「恩に着る。\\n 君たちの力、再び頼らせてもらう」",
"502000221_47": "「しっかし、グリッドナイトやグリッドマンがいても\\n 戦力が足りないってのか」",
"502000221_48": "「グリッドマンは戦えない」",
"502000221_49": "「――ッ!?」",
"502000221_50": "「……少々事情が入り組んでいる。今は時間が惜しい。\\n いずれ説明しよう」",
"502000221_51": "(マックスさんが言葉を濁すなんて、珍しいわね。",
"502000221_52": " ……何があったの?)",
"502000221_53": "「あ、あのッ!\\n それで響は、この件にどう関わっているんですか」",
"502000221_54": "「俺はてっきり、ここに現れた頭の燃えている男が\\n 響を巻き込んだのかと思ったんだが……」",
"502000221_55": "「頭の燃えてる男だぁ!?」",
"502000221_56": "「――ッ!?\\n あ、ああ、そうだけど……ッ」",
"502000221_57": "「どーしてそれを先に言わねぇんだ、\\n おっさんッ」",
"502000221_58": "「えぇッ!?\\n そ、そんなこと言われても……」",
"502000221_59": "「どうどう。\\n おい、落ち着けって」",
"502000221_60": "「頭の燃えている男……そいつがここに現れ、\\n そして立花響を連れ去ったということですか」",
"502000221_61": "「連れ去った、とは少し違うとは思う……けど。",
"502000221_62": " 知っているんですか、あの男のことをッ!?」",
"502000221_63": "「名はアレクシス・ケリヴ。\\n ……何かと縁があるな」",
"502000221_64": "「あンの野郎、響を巻き込みやがって!\\n 今度こそ引導を渡してやる」",
"502000221_65": "「どうやら、あの子の失踪はそちらにとっても\\n 不測の事態のようね」",
"502000221_66": "「まあね。\\n 今回は後手に回っちゃったみたいだ」",
"502000221_67": "「だからこそ、ここからは可能な限り早い動きが必要になるわね。\\n それで、わたしたちがその複合世界へ渡る方法はあるの」",
"502000221_68": "「風鳴翼と俺には縁がある。\\n その繋がりをたどれば、ジャンクを通して世界を渡ることが可能だ」",
"502000221_69": "「だが、このジャンクのスペックでは……\\n 全員を連れていけるわけではない」",
"502000221_70": "「風鳴翼のほか、\\n シンフォギア装者からは、あと人が限度だろう」",
"502000221_71": "「……雪音クリス、それにマリア・カデンツァヴナ・イヴ。\\n 君たちは、以前我々と共に戦ったことがある」",
"502000221_72": "「2人のうち、どちらかに同行を願いたい」",
"502000221_73": "「あ、あのッ!」",
"502000221_74": "「アタシと調はダメデスか?\\n レックス隊長の力でなんとかなりませんか」",
"502000221_75": "「おまえら……",
"502000221_76": " その心意気だけはもらっておくぜ」",
"502000221_77": "「けど、わりぃな。\\n 俺はそういう器用なこと、できねぇんだ」",
"502000221_78": "「それに、こっちの世界にも怪獣はもう出てんだ。\\n どのみちこの世界にも戦力を残す必要はあるだろ」",
"502000221_79": "「――ッ!!」",
"502000221_80": "「その通りだ。\\n 事態が解決するまで、レックスたちにはこの世界の護りを任せたい」",
"502000221_81": "「そういうことなら、任せるデスよッ!\\n アタシと調とレックス隊長で、バッチリこの世界を護ったるデスッ」",
"502000221_82": "「くぅぅッ! 昂ってきたデスよッ!\\n ガウマ隊改め、レックス隊の結成デスねッ」",
"502000221_83": "「だな。\\n よろしく頼むぜ、人とも」",
"502000221_84": "「あの……ッ! わたしにもできることがあれば、\\n お手伝いさせてくださいッ」",
"502000221_85": "「条件を聞く分には……\\n わたしじゃ、複合世界に渡ることはできないから……」",
"502000221_86": "「なら、せめてできることをしたいんですッ!!」",
"502000221_87": "「あんた……\\n 名前は」",
"502000221_88": "「み、未来です。\\n 小日向未来」",
"502000221_89": "「そうか、良い名前だな!」",
"502000221_90": "「それじゃあ、あんたにはダイナソルジャーを\\n 動かしてもらいたい」",
"502000221_91": "「ダイナソルジャー……?」",
"502000221_92": "「前に、響に預けた機体だ。\\n やってくれっか」",
"502000221_93": "「響と同じ機体を、わたしが……」",
"502000221_94": "「……わかりましたッ!\\n わたし、ダイナソルジャーに乗りますッ」",
"502000221_95": "「おうっ、その意気だっ!」",
"502000221_96": "「なら……\\n わたしもこっちに残りましょう」",
"502000221_97": "「なら、あたしは向こうだな。",
"502000221_98": " あのバカのことは任せとけッ!」",
"502000221_99": "「響のこと、お願いね」",
"502000221_100": "「どうか、あの子を連れて帰って来てくれ……ッ!」",
"502000221_101": "「約束します。\\n 必ずや複合世界を救い、立花を連れ帰りますッ」",
"502000221_102": "「話はまとまったな。\\n これを受け取れ、風鳴翼」",
"502000221_103": "「これは……\\n プライマル・アクセプターッ」",
"502000221_104": "「使い方は覚えているな?」",
"502000221_105": "「無論ですッ!」",
"502000221_106": "「では、さっそく行くとしよう」",
"502000221_107": "「変身しろ、風鳴翼。\\n そうすれば、俺が誘導できる」",
"502000221_108": "「わかりました。\\n それでは……」",
"502000221_109": "「<size=40>――アクセス・フラッシュッ!</size>」"
}

View file

@ -0,0 +1,45 @@
{
"502000231_0": "「ここが複合世界か。\\n どこかの河原のようだが……」",
"502000231_1": "「見覚えのない場所だな」",
"502000231_2": "「この地鳴りは……ッ!」",
"502000231_3": "「怪獣かッ!」",
"502000231_4": "「方向は北か!?\\n 着いた早々、派手にやってやがる」",
"502000231_5": "「――というか」",
"502000231_6": "「あれは……ッ!」",
"502000231_7": "「あのバカッ!?」\\n「立花ッ」",
"502000231_8": "「既に戦っていたか。\\n しかし……」",
"502000231_9": "「あの姿……グリッドマンの力を使ってるな。\\n 合流できたのか」",
"502000231_10": "「か、加勢する」",
"502000231_11": "「ああ、疑問は後回しだッ!」",
"502000231_12": "「それじゃ、ひと仕事するとしようか」",
"502000231_13": "「倒しても倒しても、\\n 数が減らない……ッ」",
"502000231_14": "「だいぶ息が上がってきているねぇ。\\n 大丈夫かい」",
"502000231_15": "「――ッ、大丈夫ですッ!\\n まだまだ戦え……」",
"502000231_16": "「あッ!?」",
"502000231_17": "「ぐ……ッ!\\n 後ろにも怪獣が……ッ」",
"502000231_18": "「このままじゃあ……ッ!」",
"502000231_19": "「――お届け物だッ!」",
"502000231_20": "「――ッ!? た、助かったッ!?",
"502000231_21": " この攻撃って……」",
"502000231_22": "「よぉ。手が足りてないみたいだな。\\n 猫の手ほどの可愛げはないが――」",
"502000231_23": "「鉛弾でよければ貸してやるよッ!!」",
"502000231_24": "「クリスちゃんッ!」",
"502000231_25": "「バカッ!\\n 安心しすぎだッ」",
"502000231_26": "「――ッ!?」",
"502000231_27": "「――防人る刃、ここに在り」",
"502000231_28": "「つ――翼さんまでッ!?\\n 人とも、どうしてここにッ」",
"502000231_29": "「おまえを迎えに来たんだよッ。……まあ、とりあえず安心した。\\n グリッドマンとは合流できたみたいだな」",
"502000231_30": "「えっと、そういうわけじゃないんだけど……」",
"502000231_31": "「よう、元気そうだな」",
"502000231_32": "「ボラーちゃんッ!?」",
"502000231_33": "「だぁぁッ、ボラーちゃんって呼ぶんじゃねぇ!\\n ……って、このやりとりも久しぶりだな」",
"502000231_34": "「再会の挨拶をしたいところだが、\\n 今は怪獣を倒すのが先決だ」",
"502000231_35": "「マックスさんたちもッ!」",
"502000231_36": "「え、援護する」",
"502000231_37": "「どうする、おまえは休んでるか?\\n ……なんつっても、答えなんて決まってるだろうけど」",
"502000231_38": "「うん、一緒に戦うよッ!",
"502000231_39": " みんなが来てくれたから……疲れなんてどこか行っちゃったッ!」",
"502000231_40": "「へッ、相変わらず現金なやつ」",
"502000231_41": "「それじゃ、サクッと片付けちゃおうか」",
"502000231_42": "「もちろんッ!\\n ――ここからがわたしの、フルスロットルッッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,66 @@
{
"502000241_0": "「よし、掴んだッ!\\n この怪獣を、ぶん投げて……ッ」",
"502000241_1": "「ボラーちゃんッ!\\n 任せたよッ」",
"502000241_2": "「おう!」",
"502000241_3": "「最大火力、2倍乗せだッ!」",
"502000241_4": "「承知した!」",
"502000241_5": "「い、行くぞ、風鳴翼」",
"502000241_6": "「はいッ!\\n この戦場、わたしたち二振りの刃で切り拓きましょうッ」",
"502000241_7": "「みんな頑張るねぇ」",
"502000241_8": "「いや、お前も働けよ!」",
"502000241_9": "「やってるやってる!」",
"502000241_10": "「これはこれは、随分たくさんのお客様が来たものだ。\\n 壮観だねぇ」",
"502000241_11": "「ああ!? てめぇ、アレクシス・ケリヴ!\\n しれっと見物なんかしやがって」",
"502000241_12": "「おや?\\n 君は私を知っているのかな」",
"502000241_13": "「なんだ、その白々しいセリフは!\\n やっぱり生きてやがったな」",
"502000241_14": "「ボラーちゃん、\\n アレクシスさんを知ってるのッ」",
"502000241_15": "「知ってるも何も、あいつは俺たちの敵――ッ……",
"502000241_16": " ……いや、元敵か? 一応」",
"502000241_17": "「だぁぁ……\\n ともかく、油断していい奴じゃねぇんだよっ」",
"502000241_18": "「で、でも、わたしが戦えるようにしてくれたのは、\\n アレクシスさんだし……ッ」",
"502000241_19": "「……その話は後で詳しく聞くとして……」",
"502000241_20": "「ひとまず、\\n この場において怪獣を操っている様子はないようだ」",
"502000241_21": "「怪獣を、操る……?」",
"502000241_22": "「とはいえ、\\n 背中を見せたい相手ではないけどね」",
"502000241_23": "「ふーむ。信用がないなぁ、私は。不興を買ったなら\\n 謝りたいところだが、すまないねぇ。どうにも記憶が断片的で」",
"502000241_24": "「なんだそりゃ。\\n てめぇ、もっとマシな嘘つけよ」",
"502000241_25": "「う、嘘は言ってないように見える……」",
"502000241_26": "「純情か!?\\n あんな奴の言葉、信用できるかってーの」",
"502000241_27": "「ハッハッハ!\\n いやはやまったく、過去の私ときたら君たちに何をしたのやら」",
"502000241_28": "「しかし……それなら、この私に敵意がないことを、\\n 言葉ではなく行動で示そうかな」",
"502000241_29": "「あ?」",
"502000241_30": "「そこの赤い君。\\n 少々、手こずっているようだね」",
"502000241_31": "「赤いって……\\n あたしのことか」",
"502000241_32": "「響くんはグリッドマンの、\\n そちらの青い少女もグリッドナイトの後ろ盾があるようだ」",
"502000241_33": "「それなら――君には私から力をプレゼントしようじゃないか。\\n どうかな」",
"502000241_34": "「――ッ!",
"502000241_35": " なるほどな、あたしにも怪獣と渡り合う力を……ってか」",
"502000241_36": "「うっさんくせぇ……」",
"502000241_37": "「おまえらとの因縁はさておき、このバカが世話になったんだろ?",
"502000241_38": " なら……小指の爪の垢くらいには信用してもいい」",
"502000241_39": "「ちょっとちょっと、本気?」",
"502000241_40": "「ああ。どんな力だろうが、要はあたしの使い方次第だ。\\n こいつらの足手まといになるつもりは――ないッ」",
"502000241_41": "「決まりだね。",
"502000241_42": " それじゃあ――インスタンス・アブリアクション!」",
"502000241_43": "「おいッ、よせ……!」",
"502000241_44": "「あーららー……\\n 本当に変わっちゃったよ」",
"502000241_45": "「あの姿、まるで……」",
"502000241_46": "「アレクシス・ケリヴ!」",
"502000241_47": "「――――」",
"502000241_48": "「雪音……?」",
"502000241_49": "「クリスちゃん……?」",
"502000241_50": "「おい……まさか、お前……!」",
"502000241_51": "「ちょっとちょっと……\\n 乗っ取られたとか言わないよね」",
"502000241_52": "「…………」",
"502000241_53": "「……」",
"502000241_54": "「……なるほどな。",
"502000241_55": " こいつは……大した力だッ!」",
"502000241_56": "「なんともないならさっさと言えってーの!!\\n びっくりするわっ」",
"502000241_57": "「なんとも、ないのか?」",
"502000241_58": "「ったりめーだ。何を心配してたか知らないが、\\n あたしが簡単にいいようにされるタマだと思うなよッ」",
"502000241_59": "「だから言ったじゃないか。力を貸すって。\\n やれやれ、ひどいなぁ。信じてくれないなんて」",
"502000241_60": "「……」",
"502000241_61": "「何はともあれ――」",
"502000241_62": "「これで戦力は十全ッ!」",
"502000241_63": "「ああッ!\\n 大掃除としゃれこもうかッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,117 @@
{
"502000311_0": "お好み焼きと、それぞれの事情",
"502000311_1": "「では、互いの情報を共有し、\\n 今後の方針について話し合うとしよう」",
"502000311_2": "「それはいいんだけどよ……\\n なんでここなんだ」",
"502000311_3": "「この世界の<ruby=ふらわー>ここ</ruby>にはジャンクもなかったってのに」",
"502000311_4": "「それは……」",
"502000311_5": "「いやまあなんだ。みなまで言うな。\\n ここを猛プッシュしたのがこいつって時点で、予想はついてんだ」",
"502000311_6": "「クリスちゃん、腹ごしらえは大切だよ。\\n みんなもたくさん戦って、お腹すいてるでしょ」",
"502000311_7": "「それに、わたしたちの世界のふらわーと\\n 味が違うかもしれないし、確かめないとッ」",
"502000311_8": "「ほらなッ!?\\n やっぱりおまえが食べたいだけかッ」",
"502000311_9": "「相変わらずだなー、おまえ。\\n こんな時でも食い意地だけは忘れないって、ある種の才能だぜ」",
"502000311_10": "「アハハー。\\n これはお恥ずかしい……もぐもぐ」",
"502000311_11": "「別にいいんじゃない、他にあてもないし。\\n もぐもぐ」",
"502000311_12": "「腹が減っては戦はできぬと言う。\\n 合理的な判断だ。もぐもぐ」",
"502000311_13": "「――ッ!?\\n 普通に食べてる……いつの間にッ」",
"502000311_14": "「お口に合いますか、\\n キャリバーさん」",
"502000311_15": "「……あ、相変わらず、うまい(もぐもぐ)」",
"502000311_16": "「それはよかったです」",
"502000311_17": "「……なんか、馬鹿らしくなってきたな。\\n あたしも食べるか」",
"502000311_18": "「ハハハ、食事の場は楽しくしないとねぇ。\\n 君も眉間にしわを寄せてないで、食事を楽しもうじゃないか」",
"502000311_19": "「いや、あんたの存在が1番違和感あるんだよッ!!」",
"502000311_20": "「ああ。ふらわーのお好み焼きがどの世界でもうまいってのは\\n さておき、コイツについちゃ、俺も同感だ」",
"502000311_21": "「手を貸してくれたし、とりあえず敵意はないようだけどさ。\\n 仲良く食卓を囲む間柄でもないよね」",
"502000311_22": "「彼はみなさんにとって、厄介な存在のようですね……。\\n いったい、どのような間柄なのですか」",
"502000311_23": "「アレクシス・ケリヴによって引き起こされたある世界の崩壊を、\\n グリッドマンと共に食い止めたことがある」",
"502000311_24": "「一言でいえば……宿敵?」",
"502000311_25": "「なんと……ッ!?」",
"502000311_26": "「思いっ切り敵じゃねぇかッ!」",
"502000311_27": "「まぁな。けど、ただの敵とも言い切れないのが\\n めんどくせーんだよな」",
"502000311_28": "「きょ、共闘したことも、ある」",
"502000311_29": "「さっきはわたしを大きくして、\\n 怪獣と戦えるようにしてくれましたし……」",
"502000311_30": "「お前、こいつのせいでこの世界に飛ばされたの、\\n 忘れてねぇか」",
"502000311_31": "「あ……」",
"502000311_32": "「バカ。アホ。ノーテンキ」",
"502000311_33": "「そ、そこまで言わなくてもーッ!\\n 口が悪いよボラーちゃんッ」",
"502000311_34": "「まずはその事情について、\\n 説明がほしいところですが」",
"502000311_35": "「ふむ。ではその前に――\\n 店主さん、コーラのおかわりをいただけるかな」",
"502000311_36": "「はいよ。\\n ちょっと待っててね」",
"502000311_37": "「ここのお好み焼きは実に絶品ですね。\\n 外は香ばしく、中はフワフワ その秘訣は……」",
"502000311_38": "「ハハ、ありがとうねッ!\\n けど、そいつは秘密だよ。人で切り盛りして長いからね」",
"502000311_39": "「なるほど。\\n 秘伝の味ということですな。ハッハッハ」",
"502000311_40": "「馴染んでんじゃねーよ!」",
"502000311_41": "「ていうか、なんでおばちゃんもこいつに無反応なんだ?\\n 頭燃えてるのは普通じゃないぞ……」",
"502000311_42": "「確かに、怪獣が街で暴れた直後にしては、\\n 妙に落ち着いてるような……」",
"502000311_43": "「うん? 私に関しては簡単な話さ。\\n 軽い認識阻害をかけているからね」",
"502000311_44": "「どういうわけか、君たちには効かないようだが……。\\n その装備が悪さをしているのかな」",
"502000311_45": "「……それは悪さってより、\\n あたしたちにとってはありがたい結果だな……」",
"502000311_46": "「なるほど……では、怪獣は? この世界では、\\n 怪獣が現れるのは日常的なことなのでしょうか」",
"502000311_47": "「聞いてみましょう。",
"502000311_48": " おばちゃん、この街って、怪獣はよく出るんですか?」",
"502000311_49": "「そうねぇ。毎日ってほどじゃないけど、\\n ちょっと慣れちゃうくらいには出てくるわね」",
"502000311_50": "「――ッ!!」",
"502000311_51": "「だからあたしも、さっきまではシェルターに避難してて……",
"502000311_52": " けど、あんたたちが戦ってくれてたんだってね?」",
"502000311_53": "「今回みたいに、街の様子がおかしくなってるのも\\n 初めてだし……いつもと違うことはいくつかあるわね」",
"502000311_54": "「なんだか、知らない街がくっついちゃったみたいで、\\n 不便よねぇ」",
"502000311_55": "「……。",
"502000311_56": " あ、おばちゃん、豚玉追加でー」",
"502000311_57": "「はいよッ!」",
"502000311_58": "「よもや、複合された世界に取り込まれた影響が……?」",
"502000311_59": "「不便くらいで済んでるなら、\\n 現状、致命的なことにはなってねぇみたいだな」",
"502000311_60": "「だ、だが、この先もそうだとは限らない」",
"502000311_61": "「あんたたち、街の外から来たのかい?\\n 自衛隊の人か何か」",
"502000311_62": "「――そんなところです。\\n 急に大人数でおしかけて申し訳ありません」",
"502000311_63": "「気にしないでおくれよ。街を護ってくれたことだしね。\\n どうせ今は客もほとんど来ないから、好きに使っておくれ」",
"502000311_64": "「それじゃ、ごゆっくりッ!」",
"502000311_65": "「はいッ!\\n ありがとうございます、おばちゃんッ」",
"502000311_66": "「……」",
"502000311_67": "「それで結局のところ、立花をこの世界に引きずり込んだのは、\\n あなたなのですか」",
"502000311_68": "「引きずり込んだというか、巻き込んでしまった、\\n というのが正しいかな。私も追われる身の上でねぇ」",
"502000311_69": "「追われる……?\\n それは――」",
"502000311_70": "「いいや、こちらの皆々様とは別件だよ。\\n おそらくね」",
"502000311_71": "「そこ、こっちも事情を聞きたいところだね。",
"502000311_72": " あんた、今度は何したんだ?」",
"502000311_73": "「事情といっても、記憶がどうにも断片的でねぇ。\\n 追われていることは確かだけど、相手のことはさっぱりなんだ」",
"502000311_74": "「それもどこまで本当なのやら」",
"502000311_75": "「……で、結局こいつはなんなんだよ?」",
"502000311_76": "「それには、我々が動き始めた理由から説明したほうが\\n いいだろうな」",
"502000311_77": "「我々が最後に会った際、アレクシス・ケリヴは\\n 宇宙から消滅した……と思われた」",
"502000311_78": "「初っ端からとんでもねえ情報をぶち込んできたな……」",
"502000311_79": "「それに、煮え切らない言い方だな。\\n らしくない」",
"502000311_80": "「まあ、こんな感じで掴みどころがないのは元からの奴さ。\\n なんだかんだで、どこかで生きてる気はしてたよ」",
"502000311_81": "「本人は自らを、\\n 無限の命を持つ存在と語っていたしな」",
"502000311_82": "「おやおや。私はそこまで君たちに話したのかい?\\n それはそれは、思っていたより仲良しだったみたいだね」",
"502000311_83": "「バカ言え」",
"502000311_84": "「無限の命?",
"502000311_85": " それは……<ruby=しなず>不死</ruby>ということですか?」",
"502000311_86": "「まぁ、そんなトコ。",
"502000311_87": " 厄介な奴なんだよ。文字通り殺しても死なないだろうしな」",
"502000311_88": "「ふ、封印ならば可能だ。\\n 実際、そうしていた時期もあった」",
"502000311_89": "「そんなこんなで、すったもんだの後にアレクシスは生死不明。\\n 手がかりもないから、後回しにしてたんだけどよ」",
"502000311_90": "「そんなとき、ある世界で起こった異変が、\\n いかにもコイツが糸を引いてそうな感じがしてよー」",
"502000311_91": "「で、グリッドマン、そしてグリッドナイトと協力して\\n 追っていたっていうわけ」",
"502000311_92": "「その後、先行したグリッドマンからアレクシスを\\n 見つけたという一報があった」",
"502000311_93": "「そのときの報告では、\\n アレクシスに助けが必要な状態という話だったんだよね」",
"502000311_94": "「助けが必要? 前は敵だったんだろ?",
"502000311_95": " ……あ、でも共闘したとか言ってたか」",
"502000311_96": "「まあな。なんにしても、俺らがこいつを\\n 助けに動くことになるとはな」",
"502000311_97": "「敵が仲間に、か……」",
"502000311_98": "「それはなんとも、表現しづらい関係ですね。\\n ……わたしたちにも、覚えがあります」",
"502000311_99": "「だが……\\n グリッドマンとは間もなく連絡が途絶えた」",
"502000311_100": "「――ッ!?」",
"502000311_101": "「んで、グリッドマンと合流できないままじゃ俺らも戦力が\\n 足りないから、お前らの世界に向かったんだけどよ」",
"502000311_102": "「到着してみたら、立花響は行方不明だし、\\n アレクシス・ケリヴが現れたっていうし――」",
"502000311_103": "「なるほどねぇ、そういうことだったのかい。\\n 君たちが混乱していた理由が見えてきたよ」",
"502000311_104": "「てめぇ、いけしゃあしゃあと」",
"502000311_105": "「グリッドマンが行方不明……?\\n でも、グリッドマンは確かにわたしに力を貸してくれて……」",
"502000311_106": "「……そういえば、アレクシスさん、言ってましたよね。\\n 『この世界そのものがグリッドマンだ』って」",
"502000311_107": "「あれってどういう意味なんですか?」",
"502000311_108": "「…………ッ!」",
"502000311_109": "「えッ!? ええッ!?\\n み、みんな、いきなり怖い顔してどうしたんですかッ」",
"502000311_110": "「おやおや、これはこれは。\\n どうしたんだい、みんなして武器を突きつけて」",
"502000311_111": "「さっきのは、おかしな話だね」",
"502000311_112": "「やけに詳しいな。\\n グリッドマンの現状について」",
"502000311_113": "「…………」",
"502000311_114": "「てめぇ……。\\n やっぱり記憶喪失ってのは嘘だなッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,79 @@
{
"502000321_0": "「てめぇ……。\\n やっぱり記憶喪失ってのは嘘だなッ」",
"502000321_1": "「ボ、ボラーちゃんッ!\\n 落ち着いて……ッ」",
"502000321_2": "「待った待った。誤解だよ。疑り深いねぇ。\\n 断片的には記憶があると言っただろう」",
"502000321_3": "「他のことはいまいちさっぱりだけど、グリッドマンの存在と、\\n 彼がこの世界そのものになったことは覚えているんだよ」",
"502000321_4": "「調子のいいことばっか言いやがる」",
"502000321_5": "「グリッドマンが、この世界そのもの……?」",
"502000321_6": "「どういう意味だ? ヒトが世界になるなんて……。\\n いや、人間ではないんだろうけど」",
"502000321_7": "「グリッドマンは実体を持たない存在だ。\\n そのあり方は、あらゆるものに変わる可能性を秘めている」",
"502000321_8": "「実際この前なんか、\\n 宇宙になってたし」",
"502000321_9": "「何言ってるか、全然わからないんですけどッ!?」",
"502000321_10": "「ま、ともあれ、これでグリッドマンと連絡が取れない理由は\\n わかったね……」",
"502000321_11": "「世界そのものと、会話するのは難しい」",
"502000321_12": "「つまり、響。君は怪獣と戦うために、世界そのものとなった\\n グリッドマンから力を与えられていたことになる」",
"502000321_13": "「であれば、この世界そのものであるグリッドマンにとっても、\\n 怪獣は排除すべき異物ということだ」",
"502000321_14": "「響に力を貸した理由も、それで納得がいく」",
"502000321_15": "「けど、仮にコイツが違うとして……\\n 誰が怪獣を生み出してるかってのが、まだわからねえ」",
"502000321_16": "「もちろん、世界によっちゃ\\n 怪獣が自然発生することだってあるんだろうさ。だが……」",
"502000321_17": "「ああ。\\n この世界の怪獣は、おそらく人為的に動かされている」",
"502000321_18": "「私を追っているのも、\\n その何者かだと思うよ」",
"502000321_19": "「何者だろうねぇ、そのミスターXは……\\n 早いとこ出てきてくれると助かるんだけどなあ」",
"502000321_20": "「つまり、怪獣をこの世界に生み出した者こそが\\n グリッドマンの敵であり……」",
"502000321_21": "「アレクシスのおっさんに執着を持って動いている……\\n ってことか」",
"502000321_22": "「いやぁ、迷惑だよねぇ。\\n まったく、私になんの恨みがあるんだか」",
"502000321_23": "「いや……\\n てめぇに恨みがあるやつなんざ、ごまんといるんじゃねーの」",
"502000321_24": "「記憶がないとはいえ、\\n ここまで白々しい言葉もそうそうないよね」",
"502000321_25": "「身から出た錆、ということだな」",
"502000321_26": "「だ、誰が追っていても不思議はない」",
"502000321_27": "「ハハハ、これは参ったなぁ!\\n 私にはまったく信用がないらしい」",
"502000321_28": "「しかし、していないことをしたと思われるのは心外だから、\\n 響くんをかどわかしたという疑念だけは否定させてもらうよ」",
"502000321_29": "「そういえば……\\n アレクシスさんは、どうしてお父さんの部屋に現れたんですか」",
"502000321_30": "「グリッドマンに縁のある者に助けを求めようとしたら、\\n 響くんのところに出てしまってね」",
"502000321_31": "「そこで怪獣談議に花を咲かせていたところ、\\n 例の『敵』に察知されてしまったんだよ」",
"502000321_32": "「そうしてこの世界に引きずり込まれたんだが、\\n 響くんを巻き込んでしまったというわけさ。すまなかったねぇ」",
"502000321_33": "「じゃあ、お父さんが狙われたわけじゃなくて、わたしが……。",
"502000321_34": " ……よかった、お父さんを巻き込まなくて」",
"502000321_35": "「お父さん想いのいい娘だねぇ、響くんは」",
"502000321_36": "「しかし……なぜその『敵』はこの世界に\\n あなたを引き込んだのでしょうか」",
"502000321_37": "「ふむ……」",
"502000321_38": "「世界そのものになってるグリッドマンと何か関係がある、\\n と考えるべきだよな」",
"502000321_39": "「グリッドマンと連絡を取ることができれば、\\n それも明らかになるだろう」",
"502000321_40": "「そうすりゃ、この複合世界を崩壊に導こうとしている存在を\\n 炙り出すこともできるはずだ」",
"502000321_41": "「それがあたしたちの世界を護ることにもなる、ってわけだな」",
"502000321_42": "「しかし……こちらの世界にも、\\n グリッドマンとの通信に必要なジャンクがあるかどうか……」",
"502000321_43": "「こ、この世界とグリッドマンが同一の存在なら、\\n 何か手段を残している可能性がある」",
"502000321_44": "「どこにあるかもわからないジャンクを探すってのも\\n 骨が折れるな。何か手がかりはないのか」",
"502000321_45": "「それは――」",
"502000321_46": "「この音と振動……怪獣ッ!」",
"502000321_47": "「あれ、もう次がきたの?",
"502000321_48": " やる気満々だねぇ」",
"502000321_49": "「いっちょかましてやるか!",
"502000321_50": " ……けど、その前に」",
"502000321_51": "「うん? どうしたんだい、みんなして私に熱烈な視線をくれて。\\n 私の顔に何かついてるかい」",
"502000321_52": "「どうする?\\n ――し、縛るか」",
"502000321_53": "「剣呑だねぇ。私にも協力させてくれたっていいじゃないか。\\n そもそもあの怪獣は私を狙っているはずだろう」",
"502000321_54": "「だったら、私を連れて行ったほうが、\\n 街への被害も抑えられるんじゃないかな」",
"502000321_55": "「まずは釣り餌としてでも構わないよ。\\n 協力し合おうじゃないか」",
"502000321_56": "「わ、わたしも……\\n 協力できるなら、手を取り合えるなら、そうしたいです」",
"502000321_57": "「……」",
"502000321_58": "「かつての敵と手を取り合う展開なんて、\\n 熱くて大いに結構 どうだい、胸が熱くならないかい」",
"502000321_59": "「……くだらない問答をしている時間が惜しい。\\n ついてきたくば、来るがいい」",
"502000321_60": "「おい、マックス。\\n いいのかよ」",
"502000321_61": "「目の届く場所にいてくれたほうが、むしろ安心だ。\\n それに、彼の言うことにも一理ある」",
"502000321_62": "「チッ……わぁったよ。",
"502000321_63": " 俺はどんな奴でも一理くらいは<ruby=うそぶ>嘯</ruby>けるたぁ思うけどな」",
"502000321_64": "「決まりだね。\\n それじゃあ、怪獣退治としゃれこもうじゃないか」",
"502000321_65": "「おまえが仕切んな!」",
"502000321_66": "「きやがったな、\\n バカでかいのがッ」",
"502000321_67": "「こちらはいつでもいけますッ!」",
"502000321_68": "「我々は街への被害を抑えに回る。\\n 怪獣の相手は任せてもいいだろうか」",
"502000321_69": "「承知しました。\\n ご武運を」",
"502000321_70": "「それじゃあ、わたしたちもッ!」",
"502000321_71": "「ああ。\\n やるぞ、雪音」",
"502000321_72": "「なぁ、それほんとにあたしも言わなきゃダメか……?\\n あたしの力は、あのアレクシスってやつのだし……」",
"502000321_73": "「先のヒーローショーを見ていたのなら、雪音にもわかるだろう?\\n 変身の掛け声には、己が矜持を燃やす意味と、心意気が――」",
"502000321_74": "「だぁーーーッ! もう、わかったよッ!\\n 付き合ってやるッ」",
"502000321_75": "「うんッ!\\n じゃあ、いくよ……ッ」",
"502000321_76": "「「「<size=40>アクセス・フラッシュッッ!!!</size>」」」"
}

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@ -0,0 +1,20 @@
{
"502000322_0": "「怪獣が街を壊さないように戦わないとッ!」",
"502000322_1": "「…………ッ!\\n 手加減しながらの攻撃じゃあ、倒しきれない……ッ」",
"502000322_2": "「やたらめったらぶっ飛ばすわけにもいかないからな……。\\n でかいってのも、なかなか厄介なもんだッ」",
"502000322_3": "「マックスさん、そちらの状況はッ!?」",
"502000322_4": "「安全圏まで住民が避難するには、まだ時間がかかる。\\n もう少し持ちこたえてくれ」",
"502000322_5": "「承知しましたッ! ――逃げ遅れた人を1人でも\\n 巻き込んでしまったら、我々の負けだッ」",
"502000322_6": "「バカでかい怪獣を相手してんのに、足元にも\\n 気を払わなきゃいけないってことか……ッ」",
"502000322_7": "「それでも、護らなきゃッ!\\n 周りをよく見ないと――」",
"502000322_8": "「えッ!?\\n あれって、まさか……ッ」",
"502000322_9": "(…………ッ!",
"502000322_10": " 崩れた建物のガレキが……ッ!)",
"502000322_11": "「<size=40>間に合えぇえええええええええッ!</size>」",
"502000322_12": "「う、うわぁあああ……ッ!?」",
"502000322_13": "「よかった、間に合った……ッ!!」",
"502000322_14": "「た、助かった……?\\n 何かが、瓦礫を受け止めてくれて……」",
"502000322_15": "「――ッ!?」",
"502000322_16": "「な……君は、まさか、\\n どうして……」",
"502000322_17": "「……響ッ!?」"
}

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@ -0,0 +1,32 @@
{
"502000411_0": "『立花洸』の可能性",
"502000411_1": "「な……君は、まさか、\\n どうして……」",
"502000411_2": "「……響ッ!?」",
"502000411_3": "(やっぱり、お父さんだ……ッ!)",
"502000411_4": "(でも……わたしのお父さんとはちょっと様子が違う。\\n この並行世界のお父さんってことだよね",
"502000411_5": "「響……",
"502000411_6": " 響なんだろうッ!?」",
"502000411_7": "「ああ、なんてことだ……目が覚めていたのかッ!\\n またおまえに会えるなんて……ッ」",
"502000411_8": "「え……?」",
"502000411_9": "「おいッ!!\\n ボケっとしてる暇はないぞッ」",
"502000411_10": "「――ッ!\\n そうだ、怪獣はまだまだいる……ッ」",
"502000411_11": "「お父さ――ううん、とにかく、避難をッ!\\n ここは危険ですッ」",
"502000411_12": "「そ、それが……避難しようにも近くのシェルターが\\n 閉まっていて入れないんだ……ッ」",
"502000411_13": "「それより響、なんでおまえがこんなことをッ!?\\n 見上げるよりも大きくなって……どうして戦いなんてッ」",
"502000411_14": "(逃げ遅れ……ッ!\\n どうしよう、お父さんを護りながら怪獣と戦える……",
"502000411_15": "「立花、その人は……",
"502000411_16": " ――ッ!?」",
"502000411_17": "「……なるほど。よりによって、この世界のお父上か。\\n ならばその人の避難は任せた」",
"502000411_18": "「え?\\n でも……」",
"502000411_19": "「七面倒くさいことは言いっこなしだ。\\n どうせ気になって集中できないだろ」",
"502000411_20": "「翼さん、クリスちゃん……」",
"502000411_21": "「あたしらでこの場は引き受けるって言ってんだよ」",
"502000411_22": "「2人とも……ありがとうッ!」",
"502000411_23": "「あの……わたしの手に乗ってくださいッ!\\n 安全なところまで連れて行きますッ」",
"502000411_24": "「わ、わかった……ッ!\\n だけど響、この状況はいったい……」",
"502000411_25": "「話は後ッ!\\n 揺れるから、しっかり掴まってッ」",
"502000411_26": "「――ッ!?\\n う、うわああああぁぁッ」",
"502000411_27": "「おっと。\\n ここから先は通行止めだ」",
"502000411_28": "「無粋な横やりはやめてもらおうか」",
"502000411_29": "「ダンスの相手をご所望なら、あたしらが相手してやるッ!\\n ――来やがれッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,37 @@
{
"502000412_0": "「これで、決めさせてもらうッ!\\n ――グリッドナイト・サーキュラーッ」",
"502000412_1": "「……よし。\\n 今のでここらへんの怪獣は倒し終わったな」",
"502000412_2": "「ああ。\\n ひとまず、みんなと合流しよう」",
"502000412_3": "「2人とも、ご苦労だった。\\n 怪我はないか」",
"502000412_4": "「どうってことないさ、あの程度」",
"502000412_5": "「……ん?\\n 番やかましいやつはどこ行ったんだ」",
"502000412_6": "「立花は逃げ遅れた避難者を連れて行きました。\\n 偶然にも、この世界のお父上が逃げ遅れていたようで」",
"502000412_7": "「あー……? ああ、おまえたちの世界で会った、あのおっさんか。",
"502000412_8": " まあ、どんくさそうだったもんなぁ」",
"502000412_9": "「そうか……中断した話し合いを進めたいところだったが、\\n 合流が先だな」",
"502000412_10": "「だったら、あたしがあいつを迎えに行くよ。\\n 迷子になられても困るしな」",
"502000412_11": "「それじゃあ、私も一緒に響くんを迎えに――」",
"502000412_12": "「どさくさに紛れて勝手してんじゃねぇよ。\\n お前はこっちだ」",
"502000412_13": "「つれないねぇ。\\n 散歩に出られない犬の気持ちさ」",
"502000412_14": "「――。\\n では、我々はジャンクの手がかりを探しましょう」",
"502000412_15": "「ああ、そっちは任せた。\\n 落ち合う場所はふらわーでいいな」",
"502000412_16": "「それがいいだろう。\\n 雪音、くれぐれも気を付けるのだぞ」",
"502000412_17": "「心配すんな。\\n それじゃ、後でな」",
"502000412_18": "「そんじゃ、俺らはジャンクを探しに行くか」",
"502000412_19": "「そうはいっても、どうするの?\\n 中古のパソコンショップを手あたり次第ってのは勘弁だよ」",
"502000412_20": "「土地勘のない街でそれは、現実的ではないな」",
"502000412_21": "「さ、探しているうちに日が暮れる」",
"502000412_22": "「だな。……んー。他にあてもねぇし、\\n ふらわーのおばちゃんにでも聞き込みするか」",
"502000412_23": "「望みは薄そうだけどね」",
"502000412_24": "「だよな。どうしたもんかな……」",
"502000412_25": "「ふーむ、高架下にあったパソコンは、\\n どう見ても壊れていたしねぇ」",
"502000412_26": "「おい、余計な口挟んでんじゃねぇよ。\\n てめぇは黙って……」",
"502000412_27": "「ん?」",
"502000412_28": "「……今なんつった?」",
"502000412_29": "「高架下には家電や家具がいろいろと打ち捨てられていてねぇ。\\n いけないよねぇ、不法投棄は」",
"502000412_30": "「そこにあったのか、ジャンクが?」",
"502000412_31": "「ジャンクかどうかはさておき……あったよ。\\n 古くてオンボロの、『いかにも』なパソコンがね」",
"502000412_32": "「いやぁ、あれはなかなかの年代物だったなぁ。\\n リサイクルショップに持ち込むべきだったかもしれないね」",
"502000412_33": "「てっめぇ、なんでそれをすぐに言わねぇんだよ!」",
"502000412_34": "「い、急ごう。\\n 次の怪獣が現れる前に……ッ」"
}

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@ -0,0 +1,55 @@
{
"502000421_0": "「足元に気をつけて、それでも急いで、\\n 一直線に……ッ」",
"502000421_1": "「……」",
"502000421_2": "(シェルターは……あそこだッ!\\n よかった、このシェルターは、入り口もまだ開いてるッ",
"502000421_3": "(怪獣の被害もここまでは届いてないし、\\n ここならお父さんを下ろしても大丈夫そう",
"502000421_4": "「お父さ――じゃなかった。\\n ええと……降ろしますねッ」",
"502000421_5": "「あ、ああ……」",
"502000421_6": "「そ、それじゃあ、わたしはこれで……」",
"502000421_7": "「待ってくれッ! 響なんだろうッ!?\\n どうして俺を避けるんだッ」",
"502000421_8": "「――ッ!」",
"502000421_9": "「…………」",
"502000421_10": "「けど、よかった……。\\n 意識を取り戻していたんだな……」",
"502000421_11": "「……え?」",
"502000421_12": "「もう……\\n お前は目覚めないんじゃないかって……」",
"502000421_13": "「でも俺は、お前のそばに居続けることもできないくらい、\\n 弱くて……」",
"502000421_14": "(この世界の『<ruby=わたし>立花響</ruby>』のことを言っているみたいだけど……。\\n わたしとお父さんに、何があったの……",
"502000421_15": "「響……俺みたいにダメな父親が、\\n こんなこと言う権利はないかもしれないが……」",
"502000421_16": "(……わたしじゃ、この世界のわたしの代わりにはなれない。\\n ……でも……",
"502000421_17": "「……やっぱり、俺のこと……\\n 恨んでいるのか」",
"502000421_18": "「…………ッ!?」",
"502000421_19": "「そうだよな……お前があんなことになったのは、\\n 俺のせいみたいなものだ……」",
"502000421_20": "「父親と呼ばれる資格なんて、俺にはもう……」",
"502000421_21": "「…………」",
"502000421_22": "「響が、小さくなって……ッ!?",
"502000421_23": " ああ、やっぱり響だ。そうなんだろうッ!?」",
"502000421_24": "(こんな状態のお父さん、放っておけないよ……)",
"502000421_25": "「あ、あのね、お父さん。わたしは確かに響なんだけど、",
"502000421_26": " お父さんの知ってる響じゃないっていうか……」",
"502000421_27": "「どうした……何を言っているんだ?\\n どう見たって響じゃないかッ」",
"502000421_28": "「まさか……何か、障害が残っているのか?\\n 記憶喪失だったりとか……俺のこと、わかるか」",
"502000421_29": "「う、うん、えーっと、\\n それはわかるんだけど……ッ」",
"502000421_30": "「そうか……よかった。",
"502000421_31": " けど、どうしてあんな危ないことをしているんだ?」",
"502000421_32": "「響はもう、十分辛い目にあったじゃないかッ!\\n いったい誰が、響にあんなことをさせているんだッ」",
"502000421_33": "「お、落ち着いて、お父さん」",
"502000421_34": "(ど、どうしよう……全然話を聞いてくれない)",
"502000421_35": "「お前があのライブで事故にあって、目を覚まさなくなって……。\\n 俺は、生きる目的を一度見失った……」",
"502000421_36": "「ライブの事故……?",
"502000421_37": " もしかして、ノイズが出たの?」",
"502000421_38": "「ノイズ……? いや、響はライブ会場を襲った怪獣の被害に\\n 巻き込まれたんじゃないか。覚えていないのか……」",
"502000421_39": "(この世界では、\\n イズじゃなくて怪獣がライブ会場を襲ったんだ……",
"502000421_40": "「すまない……あの日、本当だったら俺が一緒にライブに\\n 行くはずだった……」",
"502000421_41": "「でも急な仕事が入って、俺がそれを優先したばっかりに、\\n 人でライブに行った響は逃げる途中で……」",
"502000421_42": "「それっきり、おまえは昏睡状態に……ッ!」",
"502000421_43": "「――ッ!」",
"502000421_44": "「いつ目覚めるとも知れない響を見ているのが辛くて、\\n 俺は……俺は……ッ」",
"502000421_45": "「でも……\\n やっと目が覚めたんだな……ッ」",
"502000421_46": "(……違う。わたしは、お父さんが待ってる『響』じゃない。\\n でも……",
"502000421_47": "「よかった……本当に、よかった……ッ!\\n 響が無事で、よかった……ッ」",
"502000421_48": "(こんな不安定な状態のお父さんに本当のことを言うなんて、\\n わたしには……",
"502000421_49": "「――いたいた。\\n ようやく見つけたぞ」",
"502000421_50": "「それにしたって、\\n 号泣する親父さんに、困り顔のバカが並んでるとは……」",
"502000421_51": "「こいつは、どんな状況だ?」",
"502000421_52": "「クリスちゃん……」"
}

View file

@ -0,0 +1,61 @@
{
"502000431_0": "「ぎゃあ!\\n なんかベタベタしたもんついたッ」",
"502000431_1": "「だからせーので持ち上げようって言ったのに。",
"502000431_2": " ほら、いくよー。あ、キャリバーはそっち持って」",
"502000431_3": "「しょ、承知した」",
"502000431_4": "「せー、のっ!!」",
"502000431_5": "「――あった!\\n 間違いない、こいつはジャンクだな」",
"502000431_6": "「あーあー。それにしたって\\n 他の世界よりも輪をかけてオンボロでいらっしゃるじゃねーの」",
"502000431_7": "「退けた冷蔵庫に潰されてなくてよかったよ」",
"502000431_8": "「さて、案内した場所には目撃した通りジャンクがあった……。\\n これで信用してくれたかな」",
"502000431_9": "「調子に乗んな」",
"502000431_10": "「悲しいなぁ、\\n 善意が報われないというのは」",
"502000431_11": "「しかし、このような野ざらしの状態で捨て置かれていた\\n パソコンが、果たして正常に機能するのでしょうか……」",
"502000431_12": "「た、多少手を加える必要はあるが、問題ない」",
"502000431_13": "「この場では電源がありませんね。\\n ふらわーまで運んで、コンセントを借りましょうか」",
"502000431_14": "「いや、大丈夫だ」",
"502000431_15": "「電源が入った……ッ!?\\n コードはどこにも繋がっていないのに……」",
"502000431_16": "「どういうことだ?」",
"502000431_17": "「ふむ……この複合世界はどうやら、\\n 細かいところが雑に作られているようだな」",
"502000431_18": "「街もめちゃくちゃに繋げられたみたいだし、\\n この世界の創造主はいろいろと適当なのかもね」",
"502000431_19": "「もしくは、力の扱いに慣れていないか……」",
"502000431_20": "「見てください、画面に何か映りそうですッ!」",
"502000431_21": "「――ようやくこちらでも話せる状態になったようだな」",
"502000431_22": "「グリッドナイトッ!」",
"502000431_23": "「久しぶりだな、風鳴翼。\\n よくここまでたどり着いてくれた」",
"502000431_24": "「そちらもご健勝のようで何よりです」",
"502000431_25": "「グリッドナイト、\\n まずは情報の共有だ」",
"502000431_26": "「――。",
"502000431_27": " 状況は理解した」",
"502000431_28": "「そちらはどうやら、\\n 不測の事態が起こったようだな」",
"502000431_29": "「てかよぉ。\\n 隣にいるのって、……もしかしてグリッドマン」",
"502000431_30": "「やたら解像度低いんだけど、\\n どうなってるの」",
"502000431_31": "「グリッドマンがアレクシス・ケリヴの気配を追っている途中、\\n 何者かの接触を受けたらしい」",
"502000431_32": "「その直後から、\\n こちらからの呼びかけに返事がなくなった」",
"502000431_33": "「……状況からして、\\n その接触者がこの事態の元凶だろう」",
"502000431_34": "「なんらかの方法でグリッドマンを支配下に置き、\\n グリッドマンの力で複合世界を作り――」",
"502000431_35": "「そのうえで、グリッドマンをこの世界そのものとして\\n 縛り付けた……といったところか」",
"502000431_36": "「奇想天外な話で、どうにも理解が及びません……」",
"502000431_37": "「それに、グリッドマンを支配下に置くほどの力を持つ者が、\\n そうそう現れるものなのでしょうか」",
"502000431_38": "「あいつも大概お人好しだからな。\\n つけこまれたとしたら、ありえないとは言えねーかもなー」",
"502000431_39": "「グリッドマンに直接聞ければいいんだけどね……」",
"502000431_40": "「おい、聞こえてるか?\\n 聞こえてたら、なんか反応しやがれってんだ」",
"502000431_41": "「け、蹴りを……\\n そんなに容赦のない扱いをしては……」",
"502000431_42": "「そうだよ。\\n グリッドマンもやめてくれと言っているし」",
"502000431_43": "「うるっせぇ! 翼はともかく、\\n おまえに注意される筋合いは……」",
"502000431_44": "「ん?」",
"502000431_45": "「グリッドマンがなんか言ってる……って?」",
"502000431_46": "「もしや……\\n グリッドマンの声が聞こえるのか」",
"502000431_47": "「聞こえるとも。……ふんふん、なるほどねぇ。\\n でも、生憎響くんは別行動をとっていてね」",
"502000431_48": "「まもなく戻ってくるとは思うよ」",
"502000431_49": "「……俺らを担いでるわけじゃねーだろうな?」",
"502000431_50": "「心外だなぁ。私とグリッドマンにはいろいろと因縁があるんだ。\\n こういうこともあるってことさ」",
"502000431_51": "「わたしにグリッドナイトの声が届いたように、ですか……」",
"502000431_52": "「そういうことさ」",
"502000431_53": "「もとより、立花響とは合流する予定だ。\\n 行動目標が変わったわけでもない」",
"502000431_54": "「ジャンクが思ったより早く見つかったわけですし……\\n 待つのではなく、こちらから出向きましょうか」",
"502000431_55": "「そうだな。\\n そうするとしよう」",
"502000431_56": "「なんだかんだでこいつの言う通りに動くことになんのかよ。\\n ……なーんか、釈然としねーんだよなぁ」",
"502000431_57": "「まあまあ、いいじゃないか。\\n 旅は道連れ、世は情けというだろう」",
"502000431_58": "「はっ。\\n お前の道連れになるのだけはごめんだね」"
}

View file

@ -0,0 +1,95 @@
{
"502000511_0": "娘のために",
"502000511_1": "その頃、響たちは――",
"502000511_2": "「その子は……響の友達か?」",
"502000511_3": "「あ、えっと、そうなんだけど……」",
"502000511_4": "「……はぁ。",
"502000511_5": " 遅いからちょっと心配して来てみれば、なるほどな」",
"502000511_6": "「その、クリスちゃん、これは……」",
"502000511_7": "「……ちょっと来い」",
"502000511_8": "「え?\\n ――わわッ」",
"502000511_9": "(で?\\n この世界の親父さんにあんな顔させて……何があった",
"502000511_10": "(え、ええっと……これには、海よりも深くて山よりも高い\\n 事情がございまして……",
"502000511_11": "(だから、\\n その事情を話せって",
"502000511_12": "(……この世界のわたし、ずっと昏睡状態らしいんだ。\\n お父さん、それを自分のせいだって思ってるみたいで……",
"502000511_13": "(……なるほどな。戻りが遅かったのは、\\n そんな親父さんを放っておけなかったってわけか",
"502000511_14": "(うん……)",
"502000511_15": "(だけど、わかってるだろ?)",
"502000511_16": "(あたしたちはこの世界の立花響や雪音クリスじゃない。\\n それに、いつまでもこの世界にいるわけにはいかないんだぞ",
"502000511_17": "(うん、わかってる。\\n わかってるよ……でも――ッ",
"502000511_18": "(……はぁ。まったく、このバカ……。\\n 仕方ない、しばらくは話を合わせてやるよ",
"502000511_19": "(まことに助かります……)",
"502000511_20": "「あー……待たせたな。\\n あたしは雪音クリス、こいつの友達だ」",
"502000511_21": "「ああ、そうなんだね。\\n 娘がお世話になってるみたいで……ありがとう」",
"502000511_22": "「……それにしても、君の顔、どこかで見たような……。\\n もしかして、さっき響と一緒に戦っていた……」",
"502000511_23": "「えッ!? あー……まあ、あれだけデカくなってりゃ\\n 隠しようがないか。けど、あれは、その……」",
"502000511_24": "「……いや、深くは聞かないよ。事情があるんだろう。\\n 君にも、響にも」",
"502000511_25": "「でも……それは、君たちが……。\\n 響がやらなきゃいけないことなのかい」",
"502000511_26": "「だって……\\n 相手は怪獣だろうッ」",
"502000511_27": "「――ッ!」",
"502000511_28": "「子供が命を懸けるなんて、そんなの馬鹿げてる。\\n そういうのは、大人の役割だ」",
"502000511_29": "「……戦い方を知りもしない俺なんかが、\\n 言えた義理じゃないかもしれないけど……」",
"502000511_30": "「どうか、\\n もう危ないことはしないでくれないか……」",
"502000511_31": "「……言いたいことはわかるよ。",
"502000511_32": " けど、あたしたちは――」",
"502000511_33": "「クリスちゃんと言ったね。\\n 君も、できれば無茶な真似はしないでほしい」",
"502000511_34": "「あ、あたしもか?」",
"502000511_35": "「そういうのは、大人に任せておけばいい。",
"502000511_36": " 君たちからしたら、頼りないかもしれないけど」",
"502000511_37": "(……なんか、\\n あたしらの世界の親父さんと雰囲気違うな……",
"502000511_38": "(経緯が違えば、内面も変わってくる。\\n ここはやっぱり、並行世界なんだな……",
"502000511_39": "(うん……)",
"502000511_40": "「……にしても親父さん、娘があんなバカデカくなってても、\\n その部分にはそんなに驚かないんだな」",
"502000511_41": "「それは……怪獣が暴れまわる世の中なんだ。\\n それと戦う巨人が現れることも、ない話じゃないだろう」",
"502000511_42": "「そういうもんか……?」",
"502000511_43": "「よりによって、その怪獣と戦っているのが、\\n 自分の娘だとは思わなかったけどね」",
"502000511_44": "「……親父さん。あんたの気持ちもわかるけど……\\n 今、この世界を護れるのは、こいつや、あたしたちだけだ」",
"502000511_45": "「悪いけど、こいつにはあたしと一緒に来てもらう」",
"502000511_46": "「それに……\\n こいつはあんたの娘の『響』じゃないんだよ」",
"502000511_47": "「ク、クリスちゃんッ!?」",
"502000511_48": "「……先延ばしにするべきじゃないだろ、\\n こういうのは」",
"502000511_49": "「ど……\\n どういうことだい」",
"502000511_50": "「信じられないかもしれないけど、\\n あたしたちは並行世界――別の世界から来たんだよ」",
"502000511_51": "「こいつは確かに立花響だけど、あんたの娘の『響』とは別人だ。",
"502000511_52": " あんたの娘さんは、おそらく、まだ……」",
"502000511_53": "「…………」",
"502000511_54": "「…………」",
"502000511_55": "「……戻るぞ。\\n みんながグリッドマンと連絡を取る手段を探してる」",
"502000511_56": "「うん……」",
"502000511_57": "「グリッドマンとアレクシス・ケリヴを引き合わせれば、\\n きっと何かわかるはずだ」",
"502000511_58": "「――ッ!?」",
"502000511_59": "「そうすれば、この世界で怪獣を暴れさせてる黒幕に\\n たどり着けるかもしれない」",
"502000511_60": "「うん……わかった。",
"502000511_61": " お父さん、あのね、わたし……」",
"502000511_62": "「待ってくれ、今……\\n アレクシス・ケリヴと言ったのか」",
"502000511_63": "「え?」",
"502000511_64": "「答えてくれッ! あの男を……\\n アレクシス・ケリヴを知っているのかッ」",
"502000511_65": "「な、なんだよ急に……ッ!?\\n なんで親父さんがあいつのことを……」",
"502000511_66": "「お、お父さん、落ち着いてッ!」",
"502000511_67": "「アレクシスさんは、わたしたちの仲間だよッ!\\n 協力して怪獣と戦ってるのッ」",
"502000511_68": "「…………ッ!\\n なんてことだ……ッ」",
"502000511_69": "「どうしたってんだよ?\\n 親父さん、あいつのこと知ってんのか」",
"502000511_70": "「響も、クリスちゃんも……すぐに奴から離れるんだ。\\n ……あいつに、あの男に関わってはいけない」",
"502000511_71": "「あいつは言葉巧みに人の心の弱みにつけこんで利用する、\\n 悪の権化のような男だッ」",
"502000511_72": "「行ってはいけないッ!\\n あいつに利用されるぞッ」",
"502000511_73": "「お父さん……?\\n いったい、アレクシスさんと何が……」",
"502000511_74": "「――お、いたいた」",
"502000511_75": "「よっ。",
"502000511_76": " ……なんだぁ? 2人して辛気臭い顔してんな」",
"502000511_77": "「それに、その後ろの人って……」",
"502000511_78": "「おまえら……なんでここに?\\n ふらわーで合流する手筈だったろ」",
"502000511_79": "「思ったよりもずっと早く、ジャンクが見つかったのでな。\\n こちらから迎えに行くことにしたのだ」",
"502000511_80": "「……何か問題でもあったか?」",
"502000511_81": "「いや、それが……」",
"502000511_82": "「やあやあ。\\n 響くん、クリスくん」",
"502000511_83": "「あ……ッ」",
"502000511_84": "「心配したんだよ?\\n いつまでたっても帰ってこないからねぇ」",
"502000511_85": "「……おや?\\n そこにいるのは、響くんが助けた人かな」",
"502000511_86": "「どうもどうも。\\n 私はアレクシス・ケリヴ。どうぞよろしく――」",
"502000511_87": "「<size=40>――アレクシス・ケリヴッ!!</size>」",
"502000511_88": "「……うん?\\n いかにも、私がアレクシス――」",
"502000511_89": "「やっと……やっと見つけたぞッ! よくもノコノコと……ッ!\\n 俺の娘にまでちょっかいをかけやがってッ」",
"502000511_90": "「お前を許しはしない……\\n 許すものかッ」",
"502000511_91": "「ふむ?\\n 君は……」",
"502000511_92": "「……誰だったかな?」"
}

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@ -0,0 +1,48 @@
{
"502000521_0": "「君は……\\n ……誰だったかな」",
"502000521_1": "「誰……だと?」",
"502000521_2": "「お前は……ッ!\\n お前は、どこまで人をコケにすれば……ッ」",
"502000521_3": "「いや、響くんのお父さんであることはわかっているんだよ。\\n 私も面識があるからね」",
"502000521_4": "「でも、君は別人だろう?\\n 多元宇宙、あるいは並行世界の可能性の同一人物……」",
"502000521_5": "「だけど、だからこそ覚えがないんだよねぇ。\\n そんな風に強い怒りを向けられる理由に」",
"502000521_6": "「俺の怒りの理由がわからないだと……ッ!?\\n お前ぇ……ッ」",
"502000521_7": "「お、お父さん……ッ!」",
"502000521_8": "「下がってろ、響ッ! こいつを信用しちゃいけないッ!!\\n こいつは……危険だッ」",
"502000521_9": "「それについちゃ同感だけどよ。\\n 何がどうなってんだ」",
"502000521_10": "「言葉からすると、\\n 面識、あるいは因縁があるようだが……」",
"502000521_11": "「どうなの、そのへん?」",
"502000521_12": "「うーん? どうだろうねぇ。顔を見ても思い出せないとなると、\\n そう大した間柄でもないんじゃないかな」",
"502000521_13": "「む、向こうはそうでもないらしい」",
"502000521_14": "「大したことがない、だと……?\\n あれだけのことをしておいて、お前は――ッ」",
"502000521_15": "「随分恨まれてるみたいだけど、悪いねぇ。\\n 生憎だが記憶喪失の身の上で、覚えがないんだよ」",
"502000521_16": "「私と君との間に何があったかは知らないが、\\n ここはお互い、水に流そうじゃないか。ハッハッハッ」",
"502000521_17": "「…………ッ!」",
"502000521_18": "「記憶喪失?\\n そんな嘘で油断させて、娘を利用するつもりかッ」",
"502000521_19": "「お前をこれ以上、\\n 俺の家族に近づけさせはしないッ」",
"502000521_20": "「……おや?\\n この気配は……」",
"502000521_21": "「な、何……ッ!?」",
"502000521_22": "「か、怪獣か」",
"502000521_23": "「――ッ!?\\n なんて数だよッ」",
"502000521_24": "「これは……少々厄介ですね。\\n あの数の猛攻、シェルターでも耐えられるかどうか」",
"502000521_25": "「だったら――\\n 倒すまでだッ」",
"502000521_26": "「俺らもお仕事するとしますかね」",
"502000521_27": "「アクセスコード・スカイヴィッター!」",
"502000521_28": "「アクセスコード・バスターボラー!」",
"502000521_29": "「我々も行くぞッ!」",
"502000521_30": "「おうッ!」",
"502000521_31": "「アクセス・フラッシュッ!」",
"502000521_32": "「わ、わたしもッ!」",
"502000521_33": "「待ってくれ、響ッ!」",
"502000521_34": "「お、お父さん……ッ!?」",
"502000521_35": "「行かせないッ!\\n 響はここから逃げるんだッ」",
"502000521_36": "「で、でも、\\n わたしが戦わなきゃ街の人が……ッ」",
"502000521_37": "「そんな必要はないッ!\\n もう十分、響は辛い目に遭ったじゃないかッ」",
"502000521_38": "「これ以上、お前が辛い目に遭うことはないんだッ!」",
"502000521_39": "「…………ッ!」",
"502000521_40": "(このお父さんが見てるのは、わたしじゃない、\\n 別の『響』だ……。でも――",
"502000521_41": "(もし、あの時……。わたしや家族が辛かった時、\\n お父さんがそばにいてくれたら……",
"502000521_42": "(こんな風に、言ってくれたのかな……?)",
"502000521_43": "「行かないでくれ、響ッ!」",
"502000521_44": "(お父さんは、わたしを護ろうとしてくれてるんだ……。\\n でも……わたしはこの手を振りほどかなきゃいけない",
"502000521_45": "(いけないのに……ッ)"
}

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@ -0,0 +1,40 @@
{
"502000522_0": "「こいつら、\\n 次から次へと湧いて出やがるッ」",
"502000522_1": "「立花抜きでは、\\n どうしても手数が足りないか……ッ」",
"502000522_2": "(どうしよう、みんなが戦ってるのに……ッ!)",
"502000522_3": "「――ッ! お願い、お父さんッ!\\n わたし、みんなのところに行かなきゃいけないのッ」",
"502000522_4": "「いいや、ダメだッ!\\n なんと言われようと、お前を行かせるわけにはいかないッ」",
"502000522_5": "「父の愛とは、苛烈だねえ。\\n 見ていて、実に良い。いいよぉ」",
"502000522_6": "「――ッ!!\\n お前は黙っていろッ」",
"502000522_7": "「おっと?\\n 褒めたつもりだったんだけどな」",
"502000522_8": "「しかし、いいのかい?\\n このままでは怪獣がこちらまで来てしまうよ ほら」",
"502000522_9": "「――ッ!\\n こっちにはシェルターがあるのに……ッ」",
"502000522_10": "「お父さんッ!\\n ここはわたしが食い止めるから、シェルターに逃げてッ」",
"502000522_11": "「逃げるんなら、響も一緒だッ!」",
"502000522_12": "(ダメ……お父さんを説得できない……)",
"502000522_13": "(でも、こんなに近くでグリッドマンの力を使えば、\\n 巨大化した時にお父さんやシェルターの人たちを巻き込んじゃう",
"502000522_14": "「……だったらッ!」",
"502000522_15": "「Balwisyall nescell gungnir tron――」",
"502000522_16": "「響……ッ!?」",
"502000522_17": "「ごめん、お父さんッ!」",
"502000522_18": "「ここから先へは、行かせないッ!」",
"502000522_19": "「ほう!\\n グリッドマンの力無しで怪獣に立ち向かうつもりかい」",
"502000522_20": "「いいねぇ、実にいい。自暴自棄とも違うその心の強さ、\\n 実におもしろい。やっぱり人間っていうのは、こうじゃなきゃねぇ」",
"502000522_21": "「しかし、やっぱりこれは、\\n さすがに無茶が過ぎるんじゃないかな」",
"502000522_22": "「たとえ無茶だとしてもッ!\\n この拳は、この胸の歌は……誰かを護るための力ですッ」",
"502000522_23": "「相手がどれだけ強大な怪獣だろうと、\\n 護るべき人がわたしの後ろにいるのならッ」",
"502000522_24": "「わたしはこの拳で、\\n 無茶も無謀も、打ち砕くッッ」",
"502000522_25": "「あなたたちが、なんのために人や街を襲うのかはわからない。\\n ――だけどッ」",
"502000522_26": "「<size=40>わたしもここは、譲れないッ!</size>」",
"502000522_27": "「おおぉーーーーーーーーーーッ!!」",
"502000522_28": "「――ッ、\\n ここまで、か……」",
"502000522_29": "「インスタンス――」",
"502000522_30": "「――ッ!?」",
"502000522_31": "「――ドミネーションッ!!」",
"502000522_32": "「…………ッ!?」",
"502000522_33": "「おや?\\n この力は……」",
"502000522_34": "「怪獣が……止まった?」",
"502000522_35": "「…………く……ぐ……ッ!\\n 負荷が重い……だがッ」",
"502000522_36": "「逃げてくれ、響……ッ!!\\n ここから、逃げるんだ――ッ」",
"502000522_37": "「お父、さん……?」"
}

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@ -0,0 +1,141 @@
{
"502000611_0": "オモイダス、アレクシス",
"502000611_1": "「たとえ無茶だとしてもッ!\\n この拳は、この胸の歌は……誰かを護るための力ですッ」",
"502000611_2": "「相手がどれだけ強大な怪獣だろうと、\\n 護るべき人がわたしの後ろにいるのならッ」",
"502000611_3": "「わたしはこの拳で、\\n 無茶も無謀も、打ち砕くッッ」",
"502000611_4": "「あなたたちが、なんのために人や街を襲うのかはわからない。\\n ――だけどッ」",
"502000611_5": "「<size=40>わたしもここは、譲れないッ!</size>」",
"502000611_6": "「おおぉーーーーーーーーーーッ!!」",
"502000611_7": "「――ッ、\\n ここまで、か……」",
"502000611_8": "「インスタンス――」",
"502000611_9": "「――ッ!?」",
"502000611_10": "「――ドミネーションッ!!」",
"502000611_11": "「…………ッ!?」",
"502000611_12": "「おや?\\n この力は……」",
"502000611_13": "「怪獣が……止まった?」",
"502000611_14": "「…………く……ぐ……ッ!\\n 負荷が重い……だがッ」",
"502000611_15": "「逃げてくれ、響……ッ!!\\n ここから、逃げるんだ――ッ」",
"502000611_16": "「お父、さん……?」",
"502000611_17": "「あれは、\\n 怪獣優生思想の力――ッ」",
"502000611_18": "「なんであのおっさんが使ってんだよ!?\\n まさか怪獣優生思想の一員だってのかッ」",
"502000611_19": "「……!!」",
"502000611_20": "「そんな雰囲気じゃなかったけど……\\n こいつらを倒さなきゃ、話だって聞けやしないよッ」",
"502000611_21": "「ぐ……くそ、\\n ちゃっちゃと蹴散らすぞ」",
"502000611_22": "「「「応ッ!!!」」」",
"502000611_23": "「お父さん……?\\n なんで……どうして、お父さんが怪獣を……」",
"502000611_24": "「おやおや、これは予想外。\\n まさか、君が……『そう』だったとはねぇ」",
"502000611_25": "「アレクシスさん……? どういうことですか?\\n 何か知っているんですかッ」",
"502000611_26": "「どうしてお父さんが、あんな力をッ!?」",
"502000611_27": "「知っているも何も、\\n 見た通りじゃないか、響くん」",
"502000611_28": "「君のお父さんは怪獣を操る力を持っている。\\n いや、それ以上かもしれない」",
"502000611_29": "「え……?」",
"502000611_30": "「ごちゃごちゃと、まだ語るか……ッ!」",
"502000611_31": "「アレクシス・ケリヴッ!\\n 俺の娘から離れろぉぉぉおッ」",
"502000611_32": "「怪獣が、アレクシスさんのほうに……ッ!?」",
"502000611_33": "「どうやら彼が操っているのは間違いないようだねぇ。\\n ついでといってはなんだけど……つ、思い出したよ」",
"502000611_34": "「私と君は、確かに以前会っているね。\\n そう――あの時君は、こんなことを言っていた」",
"502000611_35": "「『俺から娘を奪った世界なんてどうでもいい。\\n そんな世界は……俺が壊す』――と」",
"502000611_36": "「失意と絶望……その嘆きで世界を拒絶しようとする情動。\\n うんうん、思い出してきたぞ」",
"502000611_37": "「――ッ!!」",
"502000611_38": "「え……?」",
"502000611_39": "「……黙れ」",
"502000611_40": "「君の情動に興味を持ち、少しだけ手を貸してはみたが……\\n 君はあの時結局、怪獣を生み出せなかった」",
"502000611_41": "「そうなったら、私は力の分け与え損だ。\\n 早々に君に見切りをつけたのは、仕方ないじゃないか」",
"502000611_42": "「黙れぇッ!」",
"502000611_43": "「久しぶりだね。しかし、どうしたんだい?\\n 私に牙を剥くなんて」",
"502000611_44": "「あの時君は、私の手を一度は取ろうとしたのに、\\n 結局、世界への復讐からも、逃げ出したじゃないか」",
"502000611_45": "「それを今更……\\n 何が不満なんだい」",
"502000611_46": "「ふざけたことを抜かすなッ!\\n 親切なことを言って、俺を騙しやがって……ッ」",
"502000611_47": "「元はと言えば、俺たちの世界に、\\n お前が怪獣をばら撒きさえしなければ、響は――ッ」",
"502000611_48": "「……お前だったんだろうッ!\\n 俺が住む世界に怪獣を解き放ったのはッ」",
"502000611_49": "「アレクシスさんが怪獣を、世界に……ッ!?",
"502000611_50": " 本当なんですかッ!?」",
"502000611_51": "「本当なんじゃないかな?\\n そちらのほうは、はっきりとは覚えていないけどね」",
"502000611_52": "「そんな……ッ!」",
"502000611_53": "「――っしゃ、近場の怪獣はこれで片付いた」",
"502000611_54": "「てなことで……だから言ったろ。\\n こいつは信用していい奴じゃないんだよ」",
"502000611_55": "「ボラーちゃん……」",
"502000611_56": "「でも、なんでアレクシスさんがそんなことを……?\\n 何が目的なんですか」",
"502000611_57": "「目的かい? そんなご大層なものじゃないよ。\\n 言葉にするなら、退屈凌ぎということになるだろうねぇ」",
"502000611_58": "「退屈、凌ぎ……?」",
"502000611_59": "「無限の命を持つとねぇ、\\n どうにも退屈で仕方ないんだよ」",
"502000611_60": "「せっかくの休日に外が雨じゃ、どこにも出かけられず、\\n 日中家で過ごさなきゃいけないだろ」",
"502000611_61": "「だからといって、ただ座って過ごすのも味気ない。\\n そんなときは響くんだって、何かすることを探すだろ」",
"502000611_62": "「それと一緒さ。私にとって、人の情動に触れることが、\\n 何より楽しい退屈凌ぎなのさ」",
"502000611_63": "「そんなこと……\\n 退屈凌ぎでしていいことじゃありませんッ」",
"502000611_64": "「残念ながら……\\n この男に倫理を説いても無駄だろう」",
"502000611_65": "「価値観が違うって言うか……\\n 悪意すら持ってないってのが厄介なんだよ」",
"502000611_66": "「あ、悪意がなければ、改心することもない」",
"502000611_67": "「だから、ずっと封じときたかったんだけどよ。",
"502000611_68": " 案の定、厄介ごとを起こしてやがったか」",
"502000611_69": "「やれやれ、さんざんな言われようだねぇ」",
"502000611_70": "「一応言っておくと、私がそこの彼と接触したのは\\n もう何年も前のことだと思うよ」",
"502000611_71": "「関係あるか。\\n 記憶喪失だからって、見逃されると思うんじゃねぇ」",
"502000611_72": "「わかっただろう、響。\\n その男は、悪だ。だから、俺がここで倒す――ッ」",
"502000611_73": "「そこの怪獣を使って、かい?」",
"502000611_74": "「お父さん、ダメだよッ!\\n 怪獣が暴れたら、街だって無事じゃすまないよッ」",
"502000611_75": "「止めてくれるな、響ッ! こいつは自分の暇つぶしのために、\\n たくさんの人を利用し、弄んできたッ」",
"502000611_76": "「そのせいで、響は……ッ!",
"502000611_77": " 俺は……ッ!!」",
"502000611_78": "「お父さん……」",
"502000611_79": "「だから……この世界もろとも、アレクシス・ケリヴは\\n 消し去らねばならないんだッ」",
"502000611_80": "「なッ!?",
"502000611_81": " 怪獣がさらに強力に……ッ!?」",
"502000611_82": "「く、そ――ッ!\\n あたしらだけじゃ、抑えきれないッ」",
"502000611_83": "「マックス」",
"502000611_84": "「わかっている。\\n だが……」",
"502000611_85": "「行ってくださいッ!」",
"502000611_86": "「――!?」",
"502000611_87": "「お父さんのことは、わたしがなんとかしますッ!\\n だから……翼さんたちをお願いしますッ」",
"502000611_88": "「……承知した。\\n ならば、この場は任せよう」",
"502000611_89": "「……おい、響。\\n あんま無茶すんなよな」",
"502000611_90": "「ありがとうッ!\\n ボラーちゃんもねッ」",
"502000611_91": "「…………ッ!」",
"502000611_92": "「しかし、これだけの怪獣を操るので、\\n 君はどうやら精一杯だろう」",
"502000611_93": "「けれど、君の目に燃えているのは殺意だ。\\n それも、確実に私を殺せると確信しているものの瞳」",
"502000611_94": "「だったらなんだというんだッ!」",
"502000611_95": "「……君、私と一緒に死ぬつもりだね?\\n しかし、そうなると妙なんだよ」",
"502000611_96": "「確かに、私が君に力を与えたのは思い出したよ。\\n だけど、それはこんな大それたことができる力じゃないはずだ」",
"502000611_97": "「私を追いかけ、この世界に引きずり込んだのも君だろう?\\n いったいどうやって、私の力を増幅させたんだい」",
"502000611_98": "「ク……ハハハッ!\\n ああ、それなら冥土の土産に教えてやるよッ」",
"502000611_99": "「――グリッドマンさ」",
"502000611_100": "「彼こそが――\\n 今の俺に、力を与えてくれたッ」",
"502000611_101": "「グリッドマン……ッ!?\\n どうしてお父さんがグリッドマンの名前を……」",
"502000611_102": "「……俺はアレクシス・ケリヴを追ううち、\\n グリッドマンの存在に行きついた」",
"502000611_103": "「多元宇宙、並行世界――呼び方はなんだっていいが、\\n どこかにある怪獣使いたちのいる世界含め、その存在にもな」",
"502000611_104": "「そして、グリッドマンの力と、\\n 並行世界を檻にする手段さえあれば……」",
"502000611_105": "「アレクシスを完全に殺すことができる。\\n そう考えたんだ」",
"502000611_106": "「――ッ!」",
"502000611_107": "「違う……違うよ、お父さんッ! グリッドマンの力は、\\n 誰かを傷つけたり、殺すための力なんかじゃないよッ」",
"502000611_108": "「……そうだとしても、グリッドマンの持つ力は、可能性だ。\\n 望めば、きっとどんなことだってできる」",
"502000611_109": "「だから俺は……グリッドマンに向けて叫んだのさ。",
"502000611_110": " 助けて、ってな」",
"502000611_111": "「そんな……」",
"502000611_112": "「……響の言う通り、グリッドマンは――\\n 正真正銘、正義の味方なんだろう」",
"502000611_113": "「どうしようもない、俺みたいなやつの『助けて』って言葉まで、\\n 馬鹿みたいに真剣に受け取って、やってきてくれた……」",
"502000611_114": "「だが、グリッドマンは俺の願いを……アレクシス・ケリヴを\\n 倒して欲しいという願いを、断ったッ」",
"502000611_115": "「ほう?\\n 彼がそんなことを」",
"502000611_116": "「ああ、そうだよ……ッ!」",
"502000611_117": "「アレクシス・ケリヴも変わろうとしているのかもしれない……\\n グリッドマンはそう言ったんだッ」",
"502000611_118": "「許せるかッ!? 悪を許す正義の味方なんて……ッ!!\\n そうさ、俺には無理だったッ」",
"502000611_119": "「グリッドマンが……\\n 正義の味方が、悪を許すというならッ」",
"502000611_120": "「……悪に踏みにじられた俺の娘の仇は……\\n 俺がとるしかないだろうッッ」",
"502000611_121": "「お父さん……」",
"502000611_122": "「……ん?\\n 何かな、今は取り込み中なのだけれど」",
"502000611_123": "「……?」",
"502000611_124": "「ほうほう、なるほど。\\n 響くんと繋いでほしいときたか」",
"502000611_125": "「アレクシスさん、何を……?」",
"502000611_126": "「ああ、そうだったね。今、ジャンクの中のグリッドマンの声は、\\n 私以外には聞こえないんだった」",
"502000611_127": "「響くん。\\n グリッドマンが、君に伝えたいことがあるそうだ」",
"502000611_128": "「グリッドマンが……ッ!?」",
"502000611_129": "「私の手を取りたまえ。\\n そうすれば、響くんにも彼の声が聞こえるはずだ」",
"502000611_130": "「騙されるな、響ッ!\\n そいつの言葉に耳を貸しちゃダメだッ」",
"502000611_131": "「今は私もこの世界に閉じ込められている状況だからねぇ。\\n 響くんの不利になることはしないよ」",
"502000611_132": "「響ッ!」",
"502000611_133": "「…………ッ!",
"502000611_134": " ごめん、お父さんッ!」",
"502000611_135": "(――――、)",
"502000611_136": "(――るか。\\n 聞こえているか、響",
"502000611_137": "「聞こえる……\\n わたしにも、あなたの声が聞こえるよッ」",
"502000611_138": "「――グリッドマンッ!!」"
}

View file

@ -0,0 +1,101 @@
{
"502000621_0": "「グリッドマン……ッ!",
"502000621_1": " わたしに、伝えたいことってッ!?」",
"502000621_2": "(――よかった。\\n 響。まずは、また巻き込んでしまったことを申し訳なく思う",
"502000621_3": "「そんなこと、気にしないでくださいッ!\\n それに、わたしにとっても関係のないことじゃありませんッ」",
"502000621_4": "「でも……どうして今までは、\\n 声が聞こえなかったんですか」",
"502000621_5": "(それは――この世界が、『アレクシス・ケリヴを斃す』という\\n 立花洸の強い願いが作った世界だからだ",
"502000621_6": "「アレクシスさんを斃すための、世界……ッ!?」",
"502000621_7": "(私が立花洸の願いを断った時――\\n 彼は私に対し、怪獣を操る力を使った",
"502000621_8": "(本来、それは私を従えるような力ではない。\\n だが……事実として、私は彼に、私の力の制御権を奪われた",
"502000621_9": "「つまり、彼はその力でグリッドマンを支配下におき、\\n この<ruby=檻>世界</ruby>を作り上げたというわけか」",
"502000621_10": "「なるほど、合点がいったよ。\\n グリッドマン、ヒーローの力……」",
"502000621_11": "「それを使って、彼の中の確固たる『悪』である私を\\n 捉える檻としたわけだね」",
"502000621_12": "「『ヒーローは悪を逃さない』。\\n つまるところはそういった概念かな」",
"502000621_13": "「概念……。\\n この世界全てが、哲学兵装の檻っていうこと……」",
"502000621_14": "「さっき、響くんも見ただろう?\\n 彼が怪獣の動きを縛るために使った力を」",
"502000621_15": "「は、はい……」",
"502000621_16": "「本来はそんな大それたことができる力ではないはずなんだがね。\\n だが、彼の執念が、その力を変質させたようだ」",
"502000621_17": "「いやはや、人の執念というのは凄まじいねぇ」",
"502000621_18": "「まさか彼みたいな平凡な男が、\\n 一部とはいえグリッドマンの力を制御するなんて」",
"502000621_19": "(そして、彼の力はアレクシス・ケリヴを\\n どこまでも追跡し、この世界に引き込んだんだ",
"502000621_20": "「いや、人の可能性というのは、実におもしろい」",
"502000621_21": "「大したことはできないと思っていた彼のような男が、\\n これだけのことをやってのけるのだからね」",
"502000621_22": "「だが……おそらくは、\\n 響くん共々この世界に落ちてきたことで、その理に綻びができた」",
"502000621_23": "「わ、わたしがッ!?」",
"502000621_24": "「うん。グリッドマンはともかく……\\n 響くん、君は自分自身をヒーローだと思ったことはあるかい」",
"502000621_25": "「悪は許すべくもない、斃すべきものと断じ、\\n 戦ったことはないんじゃないのかな」",
"502000621_26": "「――ッ」",
"502000621_27": "(『手を繋ぎたい』――。\\n 相手のことを、わかりたい",
"502000621_28": "(響が胸に抱く、その大切な<ruby=歌>想い</ruby>こそが……\\n 彼の強固な檻を打ち砕く鍵だったんだ",
"502000621_29": "(そもそも、扱いきれない力を無理矢理使って形成した世界には、\\n 綻びがあった",
"502000621_30": "(その綻びを補うように、この世界は、他のいくつもの世界を\\n 巻き込み、つぎはぎのように補修し始めた",
"502000621_31": "「そうか。だから……世界が繋がって、\\n わたしの世界にも、怪獣が現れたんですねッ」",
"502000621_32": "(そこまで状況が進行していたか……)",
"502000621_33": "(響。\\n もはや一刻の猶予もない。事態の解決は急を要する",
"502000621_34": "「解決……。\\n それはもしかして、お父さんを……」",
"502000621_35": "(安心してほしい。立花洸の絶望はあまりに深く、\\n ゆえに心が闇に染まってしまった",
"502000621_36": "(油断していたとはいえ、私を支配下に置くほどに)",
"502000621_37": "(だが……その悲しみの深さを垣間見たからこそ、\\n 私は彼を助けたい。いや、助けなければならないのだ",
"502000621_38": "(なぜならば――\\n 彼の悲しみは、彼が大切に想う者への愛情故だからだ",
"502000621_39": "「――わたしだって、同じですッ!」",
"502000621_40": "「あのお父さんが目覚めを待っている『響』は、\\n わたしじゃないけど……だからこそッ」",
"502000621_41": "「『響』が目覚めた時、笑顔で向き合えるように、\\n わたしが、お父さんを止めなきゃッ」",
"502000621_42": "「泣かせるねぇ。たとえ別人だと知っていても、\\n 放ってはおけないか。家族の愛とは、実に美しいものだねぇ」",
"502000621_43": "「――ッ!!」",
"502000621_44": "「なら……\\n アレクシスさんも手伝ってくださいッ」",
"502000621_45": "「おや?\\n 私もかい」",
"502000621_46": "「お願いしますッ!」",
"502000621_47": "「……変わっているねぇ。\\n 私は君のお父さんを誑かしたとさえ言えるというのに」",
"502000621_48": "「でも、それはグリッドマンたちと一緒に戦う前の\\n アレクシスさんなんですよね」",
"502000621_49": "「……君もグリッドマンと同じで、\\n 私が変わったと思っているのかい」",
"502000621_50": "「それは……",
"502000621_51": " まったくもって、わかりませんッ!」",
"502000621_52": "「んん?」",
"502000621_53": "「でも、わたしは今、こうやってアレクシスさんと\\n 話をすることができる」",
"502000621_54": "「だったら、手を取り合うことも、\\n 協力することだってできるはずですッ」",
"502000621_55": "「……ま、それも悪くないかもねぇ」",
"502000621_56": "「なんにしろ、\\n 彼もそろそろ限界みたいだしね」",
"502000621_57": "「ハァ、ハァ、ハァ……ッ!\\n ぐ……、くそ……ッ思うように、力が、操れない……ッ」",
"502000621_58": "「お父さん……ッ!」",
"502000621_59": "(私の力を制御下に置くのみならず、\\n あれだけの数の怪獣に影響を及ぼしているんだ",
"502000621_60": "(その負担は尋常なものではない。\\n そう長くはもたない",
"502000621_61": "「響……ッ、\\n 逃げてくれ……ッ」",
"502000621_62": "「わたしは――ッ!」",
"502000621_63": "「たとえッッ!!!」",
"502000621_64": "「――たとえ、お前が、俺の娘の響じゃなくても、\\n 俺が、お前を巻き込むわけにはいかないんだ……ッ」",
"502000621_65": "「お父さん……わたしが並行世界から来たって……\\n もしかして、最初からわかってたの……」",
"502000621_66": "「いいや……初めは、俺のことを嫌って、\\n 嘘をついているんだろうと思っていたさ」",
"502000621_67": "「だけど……\\n その小さな身体で怪獣に立ち向かおうとする姿を見て、わかった」",
"502000621_68": "「……君は、俺の娘の『響』じゃない。\\n こんなに強く成長した『響』を、俺は知らない……」",
"502000621_69": "「……それでもッ! 響は響だッ!\\n 俺の勝手に巻き込むわけにはいかないッ」",
"502000621_70": "「だったらッ!\\n こんなことはもうやめようよッ」",
"502000621_71": "「それはできないッ! 俺は『響』のために、\\n その男を許すわけにはいかないんだ――ッ」",
"502000621_72": "「そのためだったらこの程度……\\n へいき、へっちゃらだッ」",
"502000621_73": "「――ッ!」",
"502000621_74": "「だから……\\n 逃げてくれッ、響ッ」",
"502000621_75": "「お父、さん……」",
"502000621_76": "「…………」",
"502000621_77": "「……ううん。\\n わたしは逃げないよ」",
"502000621_78": "「――ッ!」",
"502000621_79": "「わたしはお父さんの『響』じゃない。\\n でも……わかるんだ」",
"502000621_80": "「この世界の『響』だって、\\n それがわたしの可能性のつであるならば――」",
"502000621_81": "「生きるのを諦めたり、しているはずがないッ!!」",
"502000621_82": "「『響』はきっと、目覚めようと今も頑張ってるッ!\\n 『響』のためにも、お父さんにそんな顔はさせられないッ」",
"502000621_83": "「眠っている『響』のかわりに――\\n わたしが、あなたを止めるッ」",
"502000621_84": "「…………ッ!",
"502000621_85": " 響……」",
"502000621_86": "「グリッドマンッ!\\n お願い、わたしに力を貸してくださいッ」",
"502000621_87": "(私からもお願いしよう。\\n 響、力を貸してくれ",
"502000621_88": "(そして、アレクシス・ケリヴ――)",
"502000621_89": "「わたしたちに……\\n 力を貸してくださいッ」",
"502000621_90": "「フッフフ、フフ……いいよ。乗りかかった船だ。\\n それに、響くんがどこまでやれるのか、私も興味があるしね」",
"502000621_91": "(行こう、2人とも!)",
"502000621_92": "「行きましょうッ!」",
"502000621_93": "「ひび、き……」",
"502000621_94": "「お父さんッ!?」",
"502000621_95": "(力を使い過ぎて気絶したようだ。\\n 命に別状はない。それより――",
"502000621_96": "(彼の安全を確保しつつも、\\n 制御を離れた怪獣をどうにかするのが先決だ",
"502000621_97": "「はいッ!\\n ――それなら、今こそッ」",
"502000621_98": "「<size=40>アクセス・フラーーーーーッシュッ!!!!</size>」"
}

View file

@ -0,0 +1,101 @@
{
"502000711_0": "心の怪獣",
"502000711_1": "「さすがにちったぁきつくなってきた……ッ!\\n あのバカは、まだ雁字搦めかよッ」",
"502000711_2": "「街を壊さぬよう戦うのも、\\n 存外神経をすり減らす……ッ」",
"502000711_3": "「だがッ!\\n この場に迫る気配は、気迫は……ッ」",
"502000711_4": "「だりゃぁぁぁあああぁあ――ッ!」",
"502000711_5": "「お待たせしましたッ!」",
"502000711_6": "「やーっとこ来たか。\\n 遅いんだよッ」",
"502000711_7": "「待っていたぞ、立花。\\n お父上は大丈夫なのか」",
"502000711_8": "「はいッ。でも、あっちのシェルターの方向には、\\n 怪獣を近づけないようにしたいです」",
"502000711_9": "「へッ、お安い御用だ。\\n あたしらで怪獣どもをぶっ倒すぞッ」",
"502000711_10": "「はいッ!",
"502000711_11": " そうと決まれば――全力全開だぁあああああああああああッ!」",
"502000711_12": "「わたしたちの前で、これ以上の暴虐が……\\n まかり通ると思ってくれるなッ」",
"502000711_13": "「今ので、怪獣は最後みたいですね。\\n よかった……全部倒せた」",
"502000711_14": "「けど、これからどうするんだ?\\n 怪獣は出たなら倒せばいいけど……そういう話じゃないんだろ」",
"502000711_15": "「グリッドマン……\\n わたしたちはどうすれば」",
"502000711_16": "(まず、立花洸の支配下にある私の力を取り戻す必要がある)",
"502000711_17": "「となると当然、\\n 彼を倒してしまうのが手っ取り早いけど……」",
"502000711_18": "「そんなの、絶対にダメですッ!」",
"502000711_19": "「そう言うだろうと思ったよ」",
"502000711_20": "「あるいは、逆に目的を果たさせるか」",
"502000711_21": "「この世界は、アレクシスの奴を倒すために作り上げた\\n 世界だって話だし、それなら、話は早いけど……」",
"502000711_22": "「それは、彼に私を斃させてあげるということだよね?\\n さすがに気乗りしないなぁ」",
"502000711_23": "「無限の命をもつ私としても、グリッドマンの力で\\n ぶん殴られちゃあ、本当に消滅してしまうかもしれないよ。フフ」",
"502000711_24": "「……よく言うぜ」",
"502000711_25": "「誰かを犠牲にして誰かを助けたって、意味がありませんッ!\\n そんなの……わたしは嫌ですッ」",
"502000711_26": "(ああ、私も同感だ)",
"502000711_27": "「けど……じゃあ、どうするの?\\n 何か他にアイデアでも」",
"502000711_28": "(立花洸自身に、復讐を諦めさせるしかない。\\n それができるとしたら――",
"502000711_29": "「――わたしが、\\n もう一度お父さんと話をしてみますッ」",
"502000711_30": "(頼めるか、響。\\n 彼の復讐の根源にあるのは、娘を傷つけられた悲しみだ",
"502000711_31": "「娘への想いで世界への悪意を募らせた男が、\\n 娘への想いで心を取り戻す、か」",
"502000711_32": "「い〜い話だねぇ。\\n 私もぜひとも、その様子を見てみたい」",
"502000711_33": "「…………」",
"502000711_34": "(いずれにしろ、それが唯一の解決策だろう。\\n 響、任せてしまってすまないが……",
"502000711_35": "「はいッ、大丈夫ですッ!\\n それじゃあわたし、お父さんのところに――」",
"502000711_36": "「――ッ!?\\n な、なんだこの揺れは……ッ」",
"502000711_37": "「地震……? いや、地面というよりは……\\n まさか、この世界そのものが揺れているのかッ」",
"502000711_38": "「…………ッ!!\\n 今のは……ッ」",
"502000711_39": "「気づいたか、グリッドマン」",
"502000711_40": "(ああ、この気配……怪獣だッ!)",
"502000711_41": "「えッ!? でも、怪獣を操り、生み出すお父さんは気絶して……\\n この状況で、新しい怪獣ってッ」",
"502000711_42": "「だが、何か様子がおかしい」",
"502000711_43": "(来るぞッ!)",
"502000711_44": "「――ッ!\\n ――――ッ」",
"502000711_45": "「な……ッ、なんだ、あいつはッ!?\\n 今までのとは様子が違うぞッ」",
"502000711_46": "「なんと物々しく、泣き叫ぶような声……ッ!\\n こうも心胆寒からしめるとは……ッ」",
"502000711_47": "「おい……ちょっと待て!\\n あっちって、シェルターがある方向じゃねーかっ」",
"502000711_48": "「…………ッ!\\n お父さんは無事なの……ッ」",
"502000711_49": "「ふぅむ。\\n あれを無事と呼べるかどうかは、微妙なところだねぇ」",
"502000711_50": "「ど、どういうことですか?」",
"502000711_51": "「どうやら、限界まで頑張りすぎて、\\n 意識を失くしたのがよくなかったみたいだね」",
"502000711_52": "「抑えられていた強い憎悪が、\\n この世界で形になってしまったようだ」",
"502000711_53": "「アレクシスさん、何を……\\n いったい何を言っているんですか……」",
"502000711_54": "「怪獣は、人の心が生み出す。今まで君たちが戦っていた怪獣は、\\n 君の父親の心から生まれたものだ」",
"502000711_55": "「それはいわば、心の断片。\\n では、欠片ではなく心そのものが怪獣になったとしたら」",
"502000711_56": "「…………ッ、",
"502000711_57": " まさかッ!」",
"502000711_58": "「あれは、\\n 立花のお父上の成れの果てということか……ッ」",
"502000711_59": "「――――――――ッ!!」",
"502000711_60": "「街が……ッ!」",
"502000711_61": "「どうやら、目につくものを片っ端から\\n 破壊しようとしているようだねぇ」",
"502000711_62": "(まずいことになった)",
"502000711_63": "「しゅ、出現した時の余波で、あれだけの衝撃だ」",
"502000711_64": "「あの怪獣が持てる力を際限なく振るえば、\\n この世界そのものが破壊されかねない」",
"502000711_65": "「そんなことになったら、\\n この世界に繋がった並行世界にも影響待ったなしだね」",
"502000711_66": "「止めるしかねえったって……あれは響の親父なんだろ!?\\n だったら、説得とか……っ」",
"502000711_67": "「無理だろうねぇ。\\n 今の彼は破壊衝動の権化、怪獣そのものだ」",
"502000711_68": "「もはや、人の言葉など届きはしない――」",
"502000711_69": "「――そんなことはありませんッ!」",
"502000711_70": "「――」",
"502000711_71": "「あれは、怪獣なんかじゃない……。\\n 涙を流して悲しんでいる、人の人間……」",
"502000711_72": "「怒りも、憎しみも、大切なものを失った悲しさがあるからです。",
"502000711_73": " だったら……」",
"502000711_74": "「わたしは、そんな悲しさからお父さんを救いたいッ!\\n 救ってみせるッ」",
"502000711_75": "「翼さん、クリスちゃん、グリッドマンにみんな……。\\n わたしに、力を貸してくださいッ」",
"502000711_76": "「当たり前だ、バカ」",
"502000711_77": "「ああ。\\n もとよりそのつもりだ」",
"502000711_78": "(もちろんだ。\\n そのために、私はいるのだからッ",
"502000711_79": "「そうは言うけど……\\n あれは心まで既に怪獣になってしまっているよ」",
"502000711_80": "「悪よりも、何よりも純粋な衝動……\\n そういった類のものさ、怪獣というのはね」",
"502000711_81": "「……それを言うならば、\\n 人間誰しもが、心に怪獣を宿しているのでしょう」",
"502000711_82": "「それでも、手を差し伸べてくれる誰かがいれば、\\n 人は怪獣だって飼いならせるってもんだ」",
"502000711_83": "「ほう、興味深いねぇ。\\n 君たちは心の中の破壊衝動に打ち勝った経験でもあるのかな」",
"502000711_84": "「かつて、魔剣でこの身の闇を暴かれたことがあるゆえ、\\n わかるのです」",
"502000711_85": "「心の闇は――\\n 己が<ruby=うち>裡</ruby>の怪獣とは、決して勝てぬ相手ではないと」",
"502000711_86": "「ほほう。おもしろいことを言うじゃないか。\\n その瞬間、ぜひともまた、この目で見てみたいものだねぇ」",
"502000711_87": "「――うん? また……そう、『また』だな。\\n 私はかつて、どこかでそれを見た……」",
"502000711_88": "「だったら、つべこべ言わずにお前も手伝いやがれッ!\\n 人間の可能性ってやつを見せてやるからよッ」",
"502000711_89": "「フ――いいだろう。だが、あれと話をするにしても、\\n まずは無力化する必要があるんじゃないかい」",
"502000711_90": "「あれじゃあまるで、\\n 人の話を聞こうとしないダダっ子だからね」",
"502000711_91": "(君にとっては連戦になる……\\n やれるか、響",
"502000711_92": "「へいき、へっちゃらですッ!」",
"502000711_93": "「それじゃ、こっちも本気だそうか」",
"502000711_94": "(ああ。共に行こう!\\n 全員の力を、響に集めるんだ",
"502000711_95": "「おう!」",
"502000711_96": "「この胸の歌は、握る拳は、正義でも悪でもない……",
"502000711_97": " ただ、誰かに届きたいための、わたしの想いッ!!」",
"502000711_98": "「ちょっぴり痛いかもしれないけど、我慢してね、\\n お父さん――ッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,103 @@
{
"502000712_0": "「……ッ、強いッ!」",
"502000712_1": "「3人がかりだってのに、\\n まるで効いてる様子がない……ッ」",
"502000712_2": "「それほどまでに、あの怪獣を生み出したお父上の悲しみは\\n 深いということか……ッ」",
"502000712_3": "「――――――――ッ!」",
"502000712_4": "「怪獣が増えたッ!?」",
"502000712_5": "「ただでさえ消耗が激しいというのに……ッ!」",
"502000712_6": "「それでは、私も少し力を貸すとしよう。\\n クリスくんだったね」",
"502000712_7": "「あ?\\n ……この状況であんたに呼ばれんの、なんかな」",
"502000712_8": "「まぁまぁ、それは言いっこなしさ。\\n さあ――受け取りたまえッ」",
"502000712_9": "「――インスタンス・アブリアクションッッ!!」",
"502000712_10": "「これは……力が溢れてくるッ!?」",
"502000712_11": "「君に貸した力に、重ねて私の力を送り込んだ。\\n 役に立ちそうかな」",
"502000712_12": "「上出来だッ!\\n これだけありゃ、あんな小物なんざ物の数じゃないッ」",
"502000712_13": "「――くらいなッ!\\n その場その場の即興連携は、あたしたちの十八番だッ」",
"502000712_14": "「どんなもんだッ!」",
"502000712_15": "「すごいよ、クリスちゃんッ!」",
"502000712_16": "「再び怪獣を呼ばれる前に、一気に畳みかけるぞッ!」",
"502000712_17": "「はいッ!」\\n「おうッ」",
"502000712_18": "「今の攻撃を受けて尚、真正面から向かってくるとは――\\n いささか自棄が過ぎるッ」",
"502000712_19": "「――ッ!\\n わたしを素通りしたッ」",
"502000712_20": "「どこ行こうってんだよッ!?」",
"502000712_21": "「あたしのことも、\\n 眼中にないってかッ」",
"502000712_22": "「わ、わたしを狙ってる……ッ!?」",
"502000712_23": "「――――――――ッ!」",
"502000712_24": "「だったら……力比べだッ!\\n わたしが、受け止める――ッ」",
"502000712_25": "「く……ッ!\\n なんてパワー……ッ 押し返、される……ッ」",
"502000712_26": "(おそらく、私の力を狙っているのだろう)",
"502000712_27": "「グリッドマンッ!\\n どういうことですかッ」",
"502000712_28": "(奴は私を倒し、力をまるごと取り込むことで、\\n 完全にこの世界を掌握するつもりだ",
"502000712_29": "(このパワー、真正面から相手をするのは難しい……。\\n 響、この場は突進をかわし、距離を取るんだ",
"502000712_30": "「わかりまし……」",
"502000712_31": "「…………ッ",
"502000712_32": " ダメです、できませんッ!!」",
"502000712_33": "(響!?\\n 何を……、――ッ",
"502000712_34": "(そうか……\\n 君の背後には――ッ",
"502000712_35": "「わたしの後ろには、シェルターがある……ッ!\\n ここを退くわけにはいかないッ」",
"502000712_36": "「誰も傷つけさせないッ!\\n そんなこと、お父さんは望んでいないからッ」",
"502000712_37": "「―――――――――ッ!!」",
"502000712_38": "「ぐ……ッ!\\n つぅ……ッ」",
"502000712_39": "「立花ッ!」\\n「グリッドマンッ」",
"502000712_40": "「ちくしょうッ!\\n あたしの攻撃じゃ、周りも巻き込んじまう……ッ」",
"502000712_41": "「――風鳴翼。\\n グリッドマンを助けたい」",
"502000712_42": "「それはわたしも同じです」",
"502000712_43": "「ならば、力を貸してくれ。\\n ありったけの一撃で、奴を倒す」",
"502000712_44": "「何か手があるのですね。",
"502000712_45": " ……その策、乗らせていただきます」",
"502000712_46": "「おい、お前」",
"502000712_47": "「お前じゃない、雪音クリスだ」",
"502000712_48": "「……雪音クリス。\\n お前の手も借りたい。そしてアレクシス・ケリヴ」",
"502000712_49": "「うん? なんだい?」",
"502000712_50": "「お前には、伝言を任せる」",
"502000712_51": "「くぅ……ッ!」",
"502000712_52": "「おい、やべーぞ!\\n このままじゃこいつがもたねぇ」",
"502000712_53": "「フルパワーグリッドマンの装甲越しでさえ、\\n この衝撃……」",
"502000712_54": "「とは言っても、\\n ここを放棄するわけにもいかないし」",
"502000712_55": "「ここを退いたら、\\n シェルターにいる人たちが……ッ」",
"502000712_56": "「キャリバー。\\n なんかアイデアない」",
"502000712_57": "「な、ない」",
"502000712_58": "「くっそ、八方塞がりかよ……!」",
"502000712_59": "「そうでもないよ」",
"502000712_60": "「うおッ!?\\n びっくりした」",
"502000712_61": "「アレクシス・ケリヴ!」",
"502000712_62": "「ちょっとちょっと、なんの用?\\n 見ての通り、こっちは忙しいんだけど」",
"502000712_63": "「つれないねぇ。\\n グリッドナイトから作戦を預かってきたというのに」",
"502000712_64": "「――作戦っ?」",
"502000712_65": "「ああ。\\n 彼はこう言っていたよ」",
"502000712_66": "「――――――――」",
"502000712_67": "「……それ正気?\\n ほとんど自殺行為でしょ」",
"502000712_68": "(いいや……イチかバチかの賭けではあるが、\\n やる価値はあるだろう",
"502000712_69": "「……君はどうだ?\\n 立花響」",
"502000712_70": "「……やれますッ!\\n みんなを救うためなら、どうってことありませんッ」",
"502000712_71": "「そう言うと思ったぜ」",
"502000712_72": "「なら……\\n 何も、も、問題ない」",
"502000712_73": "「それじゃあ、始めるとしようか」",
"502000712_74": "「――――――――ッ!」",
"502000712_75": "「ちッ、ろくに効いちゃいないか」",
"502000712_76": "「けど、ちょっと気を逸らせりゃあ、\\n お釣りがくるって寸法よッ」",
"502000712_77": "「みんなッ!\\n 今だ、わたしからパージをッ」",
"502000712_78": "「「「「おうッッ!!!!」」」」",
"502000712_79": "「案の定、俺らのことは無視かよ!」",
"502000712_80": "「む、むしろ好都合だ」",
"502000712_81": "「行ってくださいッ! わたしが抑えているうちに……\\n 翼さんのところへッ」",
"502000712_82": "「……来たッ!」",
"502000712_83": "「いくぞ! 準備は良いか!」",
"502000712_84": "「「いつでもッ!」」",
"502000712_85": "「合体だ!」",
"502000712_86": "「超合体騎士ッ!\\n フルパワーグリッドナイト――ッ」",
"502000712_87": "「ここからは、俺たちが役割を果たす番だ」",
"502000712_88": "「ええ。参りましょうッ!\\n この剣を振るうのは――貴方とわたし、共に、友が為にッ」",
"502000712_89": "「く……ッ!\\n これ以上は、抑えきれない……ッ」",
"502000712_90": "(大丈夫だ。\\n ――彼らが来た",
"502000712_91": "「――ッ!!」",
"502000712_92": "「立花ッ!」\\n「グリッドマンッ」",
"502000712_93": "「わたしたちのこの一刀――ッ!!」",
"502000712_94": "「今こそ、お前が繋げッ!!\\n 立花響ッ」",
"502000712_95": "「翼さんッ! グリッドナイトッ!!",
"502000712_96": " それなら、わたしは……ッ!!」",
"502000712_97": "「お父さんを……\\n お父さんの心が生み出した怪獣をッ」",
"502000712_98": "「2人の前に、ぶん、投げる――ッッ!!!」",
"502000712_99": "「よくぞッ!」",
"502000712_100": "「俺たちの刃、その身に刻めッッ!!!\\n 復讐に身を任せた怪獣よ――ッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,71 @@
{
"502000811_0": "『彼』の可能性",
"502000811_1": "――",
"502000811_2": "――――",
"502000811_3": "「いやぁ、限りある命の力は、すごいねぇ。\\n 人間の情動……可能性というのは、大したものだ」",
"502000811_4": "「あ、あれを見ろ」",
"502000811_5": "「ん……?\\n 怪獣が崩れて消えて……あっ」",
"502000811_6": "「怪獣の中から、人が!!」",
"502000811_7": "「――ッ!",
"502000811_8": " お父さんッ!」",
"502000811_9": "「…………」",
"502000811_10": "「いかん、気を失っているぞ!」",
"502000811_11": "「このままでは地面に叩きつけられるッ!」",
"502000811_12": "「…………」",
"502000811_13": "「あ、焦ったぁ……!」",
"502000811_14": "「ナぁイス、キャリバー!」",
"502000811_15": "「……」",
"502000811_16": "「お父さん……ッ!」",
"502000811_17": "「う……ッ、\\n 響、か……」",
"502000811_18": "「大丈夫……?」",
"502000811_19": "「ああ……情けないな……。\\n 娘に助けられるなんて……」",
"502000811_20": "「いやぁ、見事だったよ、君たち。\\n とてもいいものを見せてもらった」",
"502000811_21": "「――ッ!」",
"502000811_22": "「響に近づくな……ッ!」",
"502000811_23": "「そんなに心配しなくても、君の娘を傷つけたりしないさ。\\n むしろ、感謝しているくらいだからね」",
"502000811_24": "「それに、君もだ。\\n つまらない男と言ったのは撤回しよう、すまなかったね」",
"502000811_25": "「君がグリッドマンたち相手に、ここまで戦えるとはね。\\n いや、実にいい<ruby=ショー>見世物</ruby>だった」",
"502000811_26": "「ショー、だと……?」",
"502000811_27": "「そうそう、響くんたちとの約束だ。\\n 君に貸していた力は、返してもらうよ」",
"502000811_28": "「何……ッ!?」",
"502000811_29": "「なんだ、これは……ッ!?」",
"502000811_30": "「今の消耗した君からなら、\\n かつて私が与えた力を引きはがすことなんて簡単さ」",
"502000811_31": "「はーい、ちょっとチクっとしますよぉ」",
"502000811_32": "「ちく、しょう……ッ!」",
"502000811_33": "「お父さんッ!」",
"502000811_34": "「……安心しろ、立花。\\n 再び、気を失っただけだ」",
"502000811_35": "「よかった……」",
"502000811_36": "「グリッドマンの力を制御してた親父さんが\\n 力を失くしたってことは……」",
"502000811_37": "「問題は解決したと思えるが……。\\n しかし、この複合世界はどうなる」",
"502000811_38": "「心配はない。\\n グリッドマンならば、きっと――」",
"502000811_39": "「その通りだ」",
"502000811_40": "「――ッ!?\\n そ、空に、グリッドマンを映す……巨大なモニターがッ」",
"502000811_41": "「なんだってんだ、ありゃあッ!?」",
"502000811_42": "「立花洸の制御を離れたことで、\\n グリッドマンを縛っていた枷がなくなったのだろう」",
"502000811_43": "「それに、この世界はグリッドマンそのものだった。\\n こうした干渉をする程度、容易いんだろうねえ」",
"502000811_44": "「グリッドマンッ!\\n この街は、この街の人たちは……ッ」",
"502000811_45": "「安心してくれ、響。\\n 今の私ならば、フィクサービームで破壊された街を修復できる」",
"502000811_46": "「そのうえで、この世界に巻き込まれた各世界との繋がりを\\n ほどけば――晴れて、この事態は解決だ」",
"502000811_47": "「怪獣を生み出していた立花洸が力を失ったことで、\\n 他の世界に滲み出た怪獣たちも、消失したはずだ」",
"502000811_48": "「――ッ!\\n よかった……ッ」",
"502000811_49": "「響……いいや、全てのシンフォギア装者たちよ。\\n 今回もまた、世話になった。礼を言おう」",
"502000811_50": "「そんなことないですよッ!\\n わたしたちの世界も護れたんですからッ」",
"502000811_51": "「ああ。\\n 水くさいことは言いっこなしだ」",
"502000811_52": "「再び共に戦えて光栄でした」",
"502000811_53": "「ま、なんだかんだで楽しかったぜ。\\n お好み焼きもうまかったしな」",
"502000811_54": "「――アレクシス・ケリヴ。\\n 君にも世話になった」",
"502000811_55": "「いやぁ、照れるじゃないか。\\n それに、お礼を言うのはまだ早いと思うよ」",
"502000811_56": "「……あ?」",
"502000811_57": "「だって、こんなおもしろい状況だよ。\\n これで解散だなんて、もったいないじゃないか」",
"502000811_58": "「え……?」",
"502000811_59": "「何を……\\n 言っているのですか」",
"502000811_60": "「……どういう意味だ?」",
"502000811_61": "「改めて……シンフォギア、と言ったね、君たちの力は。\\n その力もそうだけど、何より君たち自身がおもしろい」",
"502000811_62": "「特に、響くん!」",
"502000811_63": "「わ、わたしッ!?」",
"502000811_64": "「グリッドマンが選ぶだけのことはあるねぇ。\\n どんな状況でも決して諦めない君の心の強さには感心したよ」",
"502000811_65": "「君の在り方に触れた者にまで、影響を及ぼす」",
"502000811_66": "「情動が他者に波及し、さらに大きな波となるその様子は、\\n 実におもしろい」",
"502000811_67": "「だから――これで終わりだなんて言わず、\\n もっと、もっと私に見せてほしい」",
"502000811_68": "「君の――君たちの、\\n 迸る情動をッッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,68 @@
{
"502000821_0": "「情、動……?\\n どういうことだ」",
"502000821_1": "「要は、退屈凌ぎだよ。\\n こいつのしでかすことは、結局それが根っこにあるんだよ」",
"502000821_2": "「そのような酔狂な理由で、\\n これ以上何をしようと言うのですッ」",
"502000821_3": "「そう言われると、元も子もないんだけどね。\\n そう邪険にしないでくれないか」",
"502000821_4": "「どうして……、アレクシスさんは、\\n そんなことを繰り返すんですか」",
"502000821_5": "「それが私という存在だから。\\n ……という答えでは、簡単すぎるかな」",
"502000821_6": "「当たり前だッ!\\n そんな与太で納得できるかよッ」",
"502000821_7": "「何を話しても納得してもらえない気はするけど。\\n 強いて言うなら、私のコレは……無限の命が根底にあるんだよね」",
"502000821_8": "「無限の、命……」",
"502000821_9": "「そう。無限の命なんてものを持っているとね、\\n 物事に価値を見出すのが難しくなってしまうんだよ」",
"502000821_10": "「そうそう、こんな言葉があるよね。\\n ――退屈は神をも殺す」",
"502000821_11": "「いや、神を騙るつもりなんてないんだけどね?\\n なかなかどうして、これは至言だと思うのさ」",
"502000821_12": "「退屈というのは心を、ひいては――命をすり減らす。\\n それは神だろうが人だろうが、私だろうが同じことさ」",
"502000821_13": "「無限の命を持つ私が退屈に殺されるかどうかはさておき、\\n 退屈は、誰だって嫌だよねぇ」",
"502000821_14": "「だから、\\n 私は自分の心を動かし続けたいんだ」",
"502000821_15": "「ただ漫然と存在することを生きているとは言わない。\\n 私は、生きている実感が欲しいのさ」",
"502000821_16": "「そう、だったんですか……」",
"502000821_17": "「――なんて、それらしいことを言ったら、\\n 納得してくれるかな」",
"502000821_18": "「――ッ!?」",
"502000821_19": "「うそだろッ!?\\n 今のそれも法螺なのかよッ」",
"502000821_20": "「……いや……。\\n まるっきり嘘であるとは、私には思えない」",
"502000821_21": "「……わたしもです。\\n 何から何まで本当じゃないのかもしれない。だけど――」",
"502000821_22": "「アレクシスさんにとって、それは譲れないことなんだって、\\n そう感じました」",
"502000821_23": "「わたしは、アレクシスさんが抱えている虚しさはわかりません。\\n だけど、ほんのちょっとだけ……わかった気がするんです」",
"502000821_24": "「…………おや」",
"502000821_25": "「アレクシスさん。\\n あなたは――死にたくないんじゃ、ないですか」",
"502000821_26": "「――――。\\n 死にたくない 私が」",
"502000821_27": "「死なないのに、かい?」",
"502000821_28": "「……はい。",
"502000821_29": " 退屈は、心を殺す――」",
"502000821_30": "「だから……アレクシスさんはもしかしたら、\\n 誰よりも、生きたいんじゃないかって」",
"502000821_31": "「だけど……たとえ、何が理由だったとしても。\\n 何が、あなたの根底にあったとしても――」",
"502000821_32": "「ああ。\\n 虚無を理由に、人の心を弄んでいいということにはならない」",
"502000821_33": "「それでも、アレクシスさんの心が、\\n 『情動』を求めているというのなら――」",
"502000821_34": "「わたしは、わたしたちは……\\n アレクシスさんに、それを見せることができるッ」",
"502000821_35": "「この胸の歌を、人の想いを……\\n 命の輝きをッ」",
"502000821_36": "「ああ。\\n 私も同じ気持ちだ」",
"502000821_37": "「アレクシス・ケリヴ。\\n 君とは時に敵対し、時に肩を並べて戦った」",
"502000821_38": "「その過程で、私は確かに、\\n 無限の命を持つ君の中で起こった変化を感じた」",
"502000821_39": "「それは、同時に私にも変化をもたらしたのだ」",
"502000821_40": "「ほう?」",
"502000821_41": "「それはきっと、ここにいるシンフォギア装者たち……\\n そして、かつて私と一緒に戦ってくれた『彼ら』から学んだもの」",
"502000821_42": "「悪を許さない。そこまでで、終わらせるわけにはいかないのだ。\\n その更に先へ、手を伸ばすこと――」",
"502000821_43": "「それこそが、私が差し伸べるべき救済なのだとッ!!」",
"502000821_44": "「今こうして向かい合うことが君の救いとなり、\\n 君の変化へ繋がるかもしれないのなら――」",
"502000821_45": "「わたしと、グリッドマンがッ!!」",
"502000821_46": "「相手になります、アレクシスさんッ!」\\n「相手になろう、アレクシス・ケリヴ」",
"502000821_47": "「…………クッ」",
"502000821_48": "「お?」",
"502000821_49": "「……クックックック……\\n フフフ……」",
"502000821_50": "「ハーッハッハッハ!!」",
"502000821_51": "「…………」",
"502000821_52": "「いやぁ、良いね良いね。実にいい。\\n 死にたくないと、そうきたか……これは一本取られたなあ」",
"502000821_53": "「ならば……\\n こんなにも良いお手本が目の前にこれだけいるんだ」",
"502000821_54": "「私も――私の停滞を打ち破るために、\\n 本気で 君たちに挑んでみるとしよう」",
"502000821_55": "「さあ……私を救けてもらおうじゃないか!\\n グリッドマン そして、響くんッッ」",
"502000821_56": "「アレクシス・ケリヴが……!」",
"502000821_57": "「変化していくッ!?」",
"502000821_58": "「細なっがいナリから、\\n 随分とゴリラになったじゃねえか……ッ」",
"502000821_59": "「あれは……まさか、\\n さきほど立花のお父上が変化していた姿……ッ」",
"502000821_60": "「『怪獣』に必要な悲哀は、彼の要素で十分だろう?\\n だが、何か気づかないかな」",
"502000821_61": "「あの拳……\\n まさか、わたしのッ」",
"502000821_62": "「ピンポーン! 大正解!!」",
"502000821_63": "「私も、<ruby=みらい>未来</ruby>の自分の変化とやらに期待して、\\n いろいろな可能性を取り込んでみたよ」",
"502000821_64": "「この姿は、そうだなぁ……\\n グリッドマン、君が『そう』成ったのにもあやかって――」",
"502000821_65": "「アレクシス・ユニバース形態、\\n ――とでも名乗ろうか。ハハハハハーッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,119 @@
{
"502000911_0": "SSSS.JUNCTION XD",
"502000911_1": "「人の悲哀に、響くんの繋ぐ手。\\n そして……」",
"502000911_2": "「――この姿なら、君たちとも対等に渡り合えると思うんだが、\\n どうだろう 私と、戦ってくれるかい」",
"502000911_3": "「それが、\\n アレクシスさんとわかり合うために必要ならッ」",
"502000911_4": "「いい返事だ。\\n 楽しくなってきたよ」",
"502000911_5": "「みんな、準備を!」",
"502000911_6": "「あ\"あ\"ー……」",
"502000911_7": "「わーかったよ。やってやる。\\n ったく、なーにがアレクシス・ユニバースだっつの」",
"502000911_8": "「けど、我らが大将がすっかりやる気だ。\\n 俺たちもやるとしますか」",
"502000911_9": "「い、いいだろう」",
"502000911_10": "「付き合おう、グリッドマン」",
"502000911_11": "「……あ。えーっと……\\n と、いうわけなんだけど……」",
"502000911_12": "「はぁ……\\n まったくこのバカ。勝手に決めやがって」",
"502000911_13": "「う……ダメ、かな……?」",
"502000911_14": "「そうは言ってないだろ。",
"502000911_15": " ……いつも通り、付き合ってやるよッ!!」",
"502000911_16": "「ああ。こんな形で戦いが始まるとは予想外だったが……\\n 一時は戦友として肩を並べた相手だ」",
"502000911_17": "「彼がそう望むのならば、\\n 本気で向き合うことも、戦友への礼儀だろう」",
"502000911_18": "「……2人ともッ!」",
"502000911_19": "「――グリッドナイト。\\n しばしお付き合い願えますか」",
"502000911_20": "「構わん。\\n 存分にやれ」",
"502000911_21": "「それじゃ……\\n 景気づけにあれ、やるか」",
"502000911_22": "「ああ。\\n この名乗りが無くして――先の勝鬨もあるまいッ」",
"502000911_23": "「フフ……\\n ああ、存分に叫びたまえよ」",
"502000911_24": "「――。\\n それじゃあ、行きますッ」",
"502000911_25": "「「「――アクセス・フラッシュッッッ!!!」」」",
"502000911_26": "「役者がそろったようだね」",
"502000911_27": "「ふむ……しかし、街中だと君たちは気を使って\\n 全力で戦えないか」",
"502000911_28": "「それに、\\n ここだとギャラリーが少なくて寂しいねぇ」",
"502000911_29": "「……そうだ!\\n こういうのはどうだろう」",
"502000911_30": "「な……ッ!? せ、世界が歪んでッ!?\\n どうなってやがるッ」",
"502000911_31": "「立花洸から力を回収したおかげで、この世界の支配権が\\n 宙に浮いていたのでね。それを拝借したのさ」",
"502000911_32": "「――心配はいらない。\\n 繋ぎ合わされていた世界は、元に戻っている」",
"502000911_33": "「それと……感じる。どうやら、いくつかの世界からこちらが\\n 見えるようになっているようだ」",
"502000911_34": "「――だからさ、怪獣が出ない回は作っちゃダメなんだよ。\\n ……って、聞いてるか裕太 おーい」",
"502000911_35": "「…………?\\n どこ見てるの」",
"502000911_36": "「空……」",
"502000911_37": "「え?」",
"502000911_38": "「空に、グリッドマンが」",
"502000911_39": "「グリッドマン?\\n お前、何言って――」",
"502000911_40": "「……いやいやいやいや、\\n ウソでしょ、マジじゃん」",
"502000911_41": "「はぁ? 2人して何言って……。",
"502000911_42": " ……グリッドマン!? それにアレクシス・ケリヴも!」",
"502000911_43": "「なんだろ、あれ。\\n 空に……パソコンのモニターみたいなのに映ってるけど」",
"502000911_44": "「……グリッドマンが戦ってるんだ!\\n どこかの宇宙で」",
"502000911_45": "「あ、あー……\\n そういう なるほど」",
"502000911_46": "「だったら――\\n 応援しよう」",
"502000911_47": "「えぇ?\\n ここから応援したって、届かないんじゃ……」",
"502000911_48": "「それより私たちも、\\n 何か手助けできるか探すべきなんじゃ……」",
"502000911_49": "「いいやッ! こういう時は時空を超えて声援が届くってのが\\n 『お約束』だ」",
"502000911_50": "「また出た、そういうの……。\\n よくわかんないんだけど……」",
"502000911_51": "「けど……こういうとき、内海の言うことって外れたことないし。\\n もしかしたらってこともあるし……」",
"502000911_52": "「……あー、もー!\\n わかった、一緒にやるから」",
"502000911_53": "「やったっ!」",
"502000911_54": "「話はまとまったな?\\n ……それじゃ、いくぜ 腹から声出せよッ」",
"502000911_55": "「「「グリッドマーーーン!\\n 頑張れーーーーーッッッ」」」",
"502000911_56": "「いやマジか。\\n ……あれって……」",
"502000911_57": "「グリッドマン……だね。\\n どういうこと 誰かと……戦ってる」",
"502000911_58": "「なんすか、なんすかー。\\n まーたおもしろそうなことしてますねー」",
"502000911_59": "「いや、おもしろくはないだろ……。\\n 前の時も大変だったし」",
"502000911_60": "「楽しんじゃえばいんすよ、どんなことも。\\n というわけでー、応援いってみよー」",
"502000911_61": "「えーと……やる?」",
"502000911_62": "「がんばれー、グリッドマーン」",
"502000911_63": "「あ、やるんだ」",
"502000911_64": "「ほらほら先輩とよもさんも、声を合わせて。\\n こーゆーのは勢いっすよー、勢い せー、のッ」",
"502000911_65": "「え、あ、ちょ、待っ――」",
"502000911_66": "「「「グリッドマーーーン! 頑張れーーーーーー!!」」」\\n「ぐ、グリッドマーン…… がんばれぇーーー……」",
"502000911_67": "「アレクシスのやつ……あの人、まーたなんかしでかしたな。\\n 何やってんだか……」",
"502000911_68": "「けど……うん。\\n 大丈夫だよね、あなたがいるなら。……グリッドマン」",
"502000911_69": "「ふぅぅッ!\\n 一丁上がりデースッ」",
"502000911_70": "「大きい怪獣も、\\n レックス隊長が倒してくれたみたい」",
"502000911_71": "「怪獣の出現が、急に止まったわね。\\n 向こうで問題を解決したのかしら」",
"502000911_72": "「かもな。\\n だったら、出迎えの準備をしとかねぇとな」",
"502000911_73": "「出迎え……。",
"502000911_74": " レックスさんたちも自力で並行世界を渡れるんですか?」",
"502000911_75": "「……ん? ああ、まあな……って、\\n なんだ、ありゃ。空になんか浮かんで……」",
"502000911_76": "「空? いったい何、が……",
"502000911_77": " え、――えええええッ!?」",
"502000911_78": "「デデデデースッ!?\\n 空がテレビみたいにッ な、何事デスかぁッ」",
"502000911_79": "「空に映し出されているの――\\n 翼たちじゃないのッ」",
"502000911_80": "「響……ッ!」",
"502000911_81": "「戦ってるのか?\\n けど、相手はいったい……俺に何かできることはッ」",
"502000911_82": "「――あ?」",
"502000911_83": "「素っ頓狂な声出して、\\n 一体全体どうしたデスか、レックス隊長ッ」",
"502000911_84": "「な、なんだ!?\\n ダイナゼンが引っ張られる……」",
"502000911_85": "「なんだこりゃあッ!? 呼ばれてるみたいな感覚が――",
"502000911_86": " う、うぉおおおおおおおおおおおおおおお……!?」",
"502000911_87": "「ダ、ダイナゼノンとゴルドバーンが、\\n 空に引っ張られてるデスよッ」",
"502000911_88": "「隊長……ッ!」",
"502000911_89": "「うぉおおおおおおおおおおおおおおおお!\\n お前らぁああああああああぁぁぁぁぁ――」",
"502000911_90": "「だ、大丈夫だ心配すんなぁぁ<size=25>ぁぁぁ――!</size>」",
"502000911_91": "「そ、空のモニターに、\\n レックス隊長が吸い込まれちゃったデスッ」",
"502000911_92": "「うぉおおおおおおおおおおおおお……!?」",
"502000911_93": "「いつつつ……何がどうなってんだ?」",
"502000911_94": "「――ガウマさんッ!?\\n ゴルドバーンもッ」",
"502000911_95": "「お前……久しぶりじゃねえか、響ッ!\\n 俺は今はレックス……って」",
"502000911_96": "「呑気に自己紹介<ruby=アラタメ>改</ruby>をしてる場合じゃあ、\\n なさそうだな」",
"502000911_97": "「そういう飲み込みが早いのは助かるぜ、新人!\\n おまえも手伝え」",
"502000911_98": "「いや、それにしたっていきなりだな!?\\n 説明とかねぇのかよ」",
"502000911_99": "「状況は大詰め、あそこにいるのを倒せば、\\n 万事解決大団円、ってとこ」",
"502000911_100": "「なるほど。\\n ……なるほど」",
"502000911_101": "「……まあ、いいか!\\n お前らがそう言うんなら、やってやるよ」",
"502000911_102": "「響、やれるか?」",
"502000911_103": "「もちろんですッ!\\n だって、こんなにも響いてくる……ッ」",
"502000911_104": "「他の世界からの、みんなの声が……ッ!\\n グリッドマンの力になりたいと、今もッ」",
"502000911_105": "「おまえらの好きにやっちまえ、響、グリッドマンッッ!!\\n 俺が合わせてやるッ」",
"502000911_106": "「「「<size=40>超竜王合体超人ッ!!</size>」」」",
"502000911_107": "「「「<size=40>ローグカイゼルグリッドマン――ッ!!!!</size>」」」",
"502000911_108": "「ダイナレックスと、ゴルドバーンまでもが……ッ!」",
"502000911_109": "「あのバカと合体しやがったッ!?\\n もうなんでもありだなッ」",
"502000911_110": "「んじゃまぁ、こっちも合体といくか!」",
"502000911_111": "「準備はできたようだね。\\n それじゃあ――ラストバトルの始まりといこうか」",
"502000911_112": "「来い、アレクシス・ケリヴ!\\n お前の虚無を、打ち砕いてみせる」",
"502000911_113": "「できるかな、君に?」",
"502000911_114": "「できる!\\n 私と響、そしてこの場に集ったみなの力を合わせれば――」",
"502000911_115": "「例えアレクシスさんが囚われた虚無が、\\n 無限の闇だろうとッ」",
"502000911_116": "「「<size=40>この拳で砕けない道理など、ないッ!</size>」」"
}

View file

@ -0,0 +1,100 @@
{
"502000912_0": "「わたしの拳が、胸の歌がッ!\\n あなたの停滞を、失望を打ち払うならッ」",
"502000912_1": "「戦いの中に、君が己を見出すと言うのなら――ッ!\\n 君が、その可能性を掴むためにッ」",
"502000912_2": "「「アレクシスッ!!\\n 私たちは、君に――この手を伸ばすッッ」」",
"502000912_3": "「ぐ……く……ッ!!\\n 押し、負ける……ッ」",
"502000912_4": "「ぐ――",
"502000912_5": " ぐぁあああああああああああああああ……ッ!!」",
"502000912_6": "「――」",
"502000912_7": "「アレクシスさんッ!」",
"502000912_8": "「あっ、おい……",
"502000912_9": " …………いや、大丈夫か、あの様子なら……」",
"502000912_10": "「アレクシスさん、\\n 大丈夫ですかッ」",
"502000912_11": "「…………フ、」",
"502000912_12": "「……フ。フフ、",
"502000912_13": " フハハハハハ!」",
"502000912_14": "「――ッ!?」",
"502000912_15": "「またしても敗れるか。いや、今度はグリッドマンだけではない。\\n 君の力も大きかったね、響くん」",
"502000912_16": "「アレクシスさん……\\n わたしは……」",
"502000912_17": "「気に病むことはない。\\n 言っただろう 私の命には限りがないと」",
"502000912_18": "「とはいえ――今回もまた、退屈せずに済んだよ。\\n 君には感謝しなければいけないねぇ」",
"502000912_19": "「……アレクシスさんが退屈になったら、また今度みたいに、\\n 誰かを巻き込んで騒ぎを起こすんですか」",
"502000912_20": "「もしかすると、そうかもしれないねぇ。\\n 私にすらわからないさ、<ruby=みらい>未来</ruby>の――可能性のことなどね」",
"502000912_21": "「……。",
"502000912_22": " ……それなら」",
"502000912_23": "「うん?」",
"502000912_24": "「そのときは、またわたしたちがアレクシスさんの企みを\\n 打ち破ってみせますッ」",
"502000912_25": "「――ハッハッハ! それはいいねぇ。うん、実に素敵な約束だ。\\n 君たちがいる限り、私も退屈せずに済みそうだ」",
"502000912_26": "「……感謝しよう、グリッドマン。\\n それに、シンフォギア装者たち……無限の可能性を謳う者たちよ」",
"502000912_27": "「無限の命がもたらす虚無を打ち砕けるのは、\\n 君たちのような存在なのかもしれないねぇ」",
"502000912_28": "「また私が無限の虚無に飽いた時――\\n 君たちが私を止めに来るのを、楽しみにしているよ――」",
"502000912_29": "「言いたいことだけ言って、消えやがった……」",
"502000912_30": "「無限の命を持つ者の虚無、か……。その大きさは、\\n 只人であるわたしたちに計りきれるものではないのだろうな」",
"502000912_31": "「それでも、いつかは……」",
"502000912_32": "「ああ。\\n いつの日か、変わる日がくるかもしれない」",
"502000912_33": "「どうだかなぁ。\\n あいつがそんなタマかぁ」",
"502000912_34": "「にわかには想像できないよね」",
"502000912_35": "「だが……奴の言った通り、\\n 先のことは誰にもわからんさ」",
"502000912_36": "「ま、また敵になれば倒すだけだ」",
"502000912_37": "「――それでも私は信じたい。\\n <ruby=みらい>未来</ruby>にある、無限の可能性を」",
"502000912_38": "「…………。",
"502000912_39": " で?」",
"502000912_40": "「決着したってことだよ。\\n わかんねぇんだったら黙っとけ、めんどくせー」",
"502000912_41": "「一方的に引っ張り込んでおいて理不尽すぎだろ!?」",
"502000912_42": "「……ハハッ!\\n なんと言うか、しまんないなぁ」",
"502000912_43": "「フ……\\n しんみりするよりは、よほど『らしい』さ」",
"502000912_44": "「……そうですね」",
"502000912_45": "「…………」",
"502000912_46": "「立花。\\n ……並行世界のお父上のことを考えているのか」",
"502000912_47": "「はい……。\\n 大丈夫かな、って……」",
"502000912_48": "「――心配いらない。\\n 複合世界に取り込まれていた各世界は、既に元に戻っている」",
"502000912_49": "「彼も、自分の世界に帰還しているだろう。\\n そして、彼の進む方向にも、可能性は無限に広がっている」",
"502000912_50": "「え?\\n それって、どういう……」",
"502000912_51": "「…………、う……」",
"502000912_52": "「ここは……?\\n 俺はいったい……」",
"502000912_53": "「……そうだ。\\n アレクシス・ケリヴを前に気を失って、それで……」",
"502000912_54": "「……俺自身が怪獣になってしまったところを、\\n 響に……あの子に、助けられたのか……」",
"502000912_55": "「ざまぁないな……。響の恨みを晴らすつもりが、\\n 響を傷つけた怪獣と同じものになってしまうなんて……」",
"502000912_56": "「響……」",
"502000912_57": "(……わかってる。あの響は、俺の娘の『響』じゃない……。\\n 俺が知ってる『響』より、ずっと強い心を持っていた",
"502000912_58": "(きっと、俺が知らない時間を何年も過ごして、\\n いろいろな人と出会って、成長したんだろう",
"502000912_59": "(だったら、俺の娘は……)",
"502000912_60": "「……ダメだな、俺は」",
"502000912_61": "「……俺は……戦い方を間違ったんだろうな。\\n 復讐を考えるより、もっと家族に向き合うべきだったんだ」",
"502000912_62": "「だけど……いい加減、前を向いて歩かなきゃな。\\n あの響は俺の娘じゃないけど、成長した響の姿が見れたんだ」",
"502000912_63": "「俺みたいなやつには、過ぎた奇跡だよな……\\n だから、俺は……」",
"502000912_64": "「せめて、あの子にも、\\n 響にも……胸を張れるような大人にならないと……」",
"502000912_65": "(……まずは償いだ。\\n いつになったら償いきれるのか、わからないけど",
"502000912_66": "「それでも……もう、間違い続けるのはごめんだ」",
"502000912_67": "「まずは、家族のところに顔を出すか――」",
"502000912_68": "「……お父さん?」",
"502000912_69": "「…………え?」",
"502000912_70": "「ひび、き……?」",
"502000912_71": "「やっぱり、お父さんだ」",
"502000912_72": "(並行世界の……いや、違うッ!?\\n この子は……俺の……ッ",
"502000912_73": "「響……ッ!\\n おまえ、目が、覚めたのか……」",
"502000912_74": "「……うん」",
"502000912_75": "「い、いったい、いつッ!?\\n 俺は、ずっとおまえに会いたくて――謝りたくて……ッ」",
"502000912_76": "「……夢を、見ていたんだ」",
"502000912_77": "「夢……?」",
"502000912_78": "「うん。\\n ……わたしによく似た誰かが戦ってる夢」",
"502000912_79": "「その子は、昔お父さんと一緒に見に行ったヒーローショーの\\n 主人公みたいに、誰かのために戦っていた」",
"502000912_80": "「誰かを助けるために一生懸命なその子を見ていたら、\\n わたしもこうしちゃいられないって思って……」",
"502000912_81": "「そうしたらね、誰かの声が聞こえたんだ」",
"502000912_82": "「――目を覚ますんだ、『響』。\\n 君の目覚めを、助けを待っている人がいる」",
"502000912_83": "「…………ッ!」",
"502000912_84": "「なんでかな。\\n その声を聞いた時、お父さんの顔が浮かんだんだ」",
"502000912_85": "「お父さん、とっても悲しそうな顔してて……。\\n そんな顔をさせてちゃいけない、って思ったの」",
"502000912_86": "「いてもたってもいられなくって、\\n 真っ暗な、どこともしれない道をひたすら走って……」",
"502000912_87": "「何度も、何度も転んだけど。",
"502000912_88": " 痛くたって、お父さんが待ってる」",
"502000912_89": "「だから――",
"502000912_90": " へいき、へっちゃらッ!」",
"502000912_91": "「――ッ!!」",
"502000912_92": "「そうやって走り続けたら……\\n そしたら、目が覚めたんだ」",
"502000912_93": "「そうか……、\\n …………そうか……」",
"502000912_94": "「お父さん……泣いてるの?」",
"502000912_95": "「嬉しいんだ……\\n 響に、こうしてまた会えたのが……ッ」",
"502000912_96": "「……うん。\\n わたしも嬉しいよ」",
"502000912_97": "「お父さん……帰ろ?\\n わたしたちの家に――」"
}

View file

@ -0,0 +1,70 @@
{
"502001011_0": "ヒーローの帰還",
"502001011_1": "「今回も世話になってしまったな。\\n ありがとう、響。……そして翼、クリス」",
"502001011_2": "「気にすることないって。\\n あたしらの世界にだって影響があることだったしな」",
"502001011_3": "「いや、今回の事件はそもそも、私自身が利用されたことが\\n 始まりだ。原因は私にあると言える」",
"502001011_4": "「そんなことないですよ。\\n 並行世界とはいえ、わたしのお父さんが関わってましたし」",
"502001011_5": "「それだって元をたどれば、\\n あのアレクシス・ケリヴが原因だろ」",
"502001011_6": "「……ま、あたしとしちゃ、そいつから力を借りてたってのが、\\n 複雑な気分なんだが……」",
"502001011_7": "「誰が原因かなど、些細なことです。\\n 共に戦い、そして、生き抜いた。それでいいではないですか」",
"502001011_8": "「しかし……」",
"502001011_9": "「ったく、うちの大将はいちいち細けぇんだよ。\\n うじうじしてんじゃねぇ」",
"502001011_10": "「すまない」",
"502001011_11": "「それにグリッドマンは、\\n お父さんを救おうとしてくれたじゃないですか」",
"502001011_12": "「誰かを助けたいっていう気持ちからの行動が\\n 間違っていたなんてこと、ないと思います」",
"502001011_13": "「そうか……\\n ありがとう、響」",
"502001011_14": "「風鳴翼。\\n また、腕を上げたな」",
"502001011_15": "「いえ、わたしなどまだまだ未熟者です。ですが、未熟者なりに\\n 手の届く場所にある命は護りたい……そう思っています」",
"502001011_16": "「そうか。\\n ならば、俺もお前に負けないように、強くなろう」",
"502001011_17": "「はい。\\n いずれまた、お会いしましょう」",
"502001011_18": "「あー……\\n 蚊帳の外のうちに解決しちまった感がすげーな」",
"502001011_19": "「何言ってるんですかッ! ガウマさん……いえ、",
"502001011_20": " レックスさんはわたしたちの世界を護ってくれてたんですよね?」",
"502001011_21": "「だからわたしたちも安心して戦えたんです。",
"502001011_22": " でも、もっとお話ししたかったなぁ……」",
"502001011_23": "「別に今生の別れってわけじゃねぇんだ。\\n そのうち遊びに行ってもいいしな」",
"502001011_24": "「ほんとですか?\\n だったら、みんなで一緒にふらわーに行きましょうッ」",
"502001011_25": "「世界一……いえ、全並行世界一、\\n 美味しいお好み焼きをごちそうしちゃいますッ」",
"502001011_26": "「お好み焼きか! そりゃあいいな。\\n だったら俺も、たっぷりカニを差し入れるとするか」",
"502001011_27": "「えッ……と……それはひょっとして、\\n 川で獲ったカニのことじゃあ……」",
"502001011_28": "「ん? そっちのほうがいいのか?",
"502001011_29": " まあ、あれは賞味期限なんてないようなものなのが良い点――」",
"502001011_30": "「い、いえいえ、そんなことないですッ!",
"502001011_31": " アハ、アハハ……」",
"502001011_32": "「あたしからも礼を言わせてくれ。\\n あたしらの後輩を護ってくれて……ありがとな」",
"502001011_33": "「ああ、安心してくれ。\\n 全員、怪我つしてねぇぜ」",
"502001011_34": "「それを聞いて安心したよ」",
"502001011_35": "「お話し中のところ悪いけど、\\n そろそろお別れの時間だね」",
"502001011_36": "「そうですか……」",
"502001011_37": "「あいたぁッ!? なんで叩くのッ!?",
"502001011_38": " うぅ、背中が痛いよう、ボラーちゃん」",
"502001011_39": "「景気悪いツラしてんじゃねぇっての。\\n 辛気くせぇな」",
"502001011_40": "「うん……",
"502001011_41": " また一緒にご飯食べようね、ボラーちゃんッ!」",
"502001011_42": "「おまえ……\\n ほんとに食うの好きなんだな」",
"502001011_43": "「うんッ!\\n 好きなものは、ごはんごはん、それにごはんだよッ」",
"502001011_44": "「えぇ……?",
"502001011_45": " ……ま、次に会った時は、付き合ってやるよ」",
"502001011_46": "「約束だよッ!」",
"502001011_47": "「……て、手合わせできなくて、すまなかった」",
"502001011_48": "「その楽しみは、\\n また今度にとっておきましょう」",
"502001011_49": "「た、達者でな」",
"502001011_50": "「ええ、キャリバーさんも」",
"502001011_51": "「全員……\\n 食事の際は、栄養のバランスにも気をつけるようにな」",
"502001011_52": "「ハハ、なんだよそれ。\\n あんたこそ、普段何食ってんだか」",
"502001011_53": "「ま、お互い身体にゃ気をつけようぜ。\\n 人を救けるのだって世界を救うのだって、そこが資本だろ」",
"502001011_54": "「それじゃあ、そろそろ――。",
"502001011_55": " なーんか、こうして別れるのもお約束になってきちゃったねえ」",
"502001011_56": "「ならば……きっとこれこそが、\\n また逢えるという証左でしょう」",
"502001011_57": "「――響」",
"502001011_58": "「――ッ!」",
"502001011_59": "「君と私が、こうして繋いだ手は、\\n たとえ形が失われたとしても、二度と離れることはない」",
"502001011_60": "「はい。\\n また何かあれば、すぐに呼んでくださいッ」",
"502001011_61": "「グリッドマンは、ヒーローとして。\\n わたしは、ただの立花響として」",
"502001011_62": "「それでも、手の届く範囲の誰かを助けたい……\\n その気持ちは、一緒ですからッ」",
"502001011_63": "「立場は違えど、\\n お互いに世界の枠を超えて戦う者同士です」",
"502001011_64": "「あたしらは数少ない同類ってとこだもんな。\\n 遠慮すんなよ」",
"502001011_65": "「ああ。\\n 感謝する、シンフォギア装者たちよ」",
"502001011_66": "「みんな、きっとまた会おう」",
"502001011_67": "「はいッ! またいつかッ!\\n お元気で――ッ」"
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"502001111_0": "まだ見ぬ明日へ",
"502001111_1": "「でも、不思議ね……。\\n こんなボロボロのパソコンが別の世界と繋がっているなんて」",
"502001111_2": "「本当デスね……。パソコンはいろいろできる箱や板だとは\\n 思ってたデスけど、まさか並行世界を行き来できるとはッ」",
"502001111_3": "「普通はできないよ、切ちゃん。でも、どうしてこんな",
"502001111_4": " オンボロパソコンがそんな機能を持ったんだろう?」",
"502001111_5": "「はッ! もしかして……。\\n オンボロパソコン型の聖遺物デスかッ」",
"502001111_6": "「いくらオンボロだからって、\\n 聖遺物としての力が宿るほど古いものじゃないわよ」",
"502001111_7": "「あー、君たち……人の力作をボロボロとかオンボロとか、\\n ちょっと言い過ぎじゃないかな……」",
"502001111_8": "「あ、ごめんなさい」",
"502001111_9": "「でも、不思議。あれからはグリッドマンたちの声も\\n 聞こえなくなっちゃったんですよね」",
"502001111_10": "「ああ。",
"502001111_11": " 一応、パソコンとしては使えるんだけど……」",
"502001111_12": "「このパソコンは聖遺物ではないので、\\n 推測しかできないのですが……」",
"502001111_13": "「おそらく、並行世界の洸さんが特殊な力を持ったことで、\\n この世界の洸さんにも影響が出たのでしょう」",
"502001111_14": "「その結果、洸さんが作ったジャンクにも\\n ある種の『縁』のようなものが生じたと考えられます」",
"502001111_15": "「ふむふむ、そういうことデスかー。\\n なるほどなるほど」",
"502001111_16": "「……さっぱりデスッ!」",
"502001111_17": "「だろうな」",
"502001111_18": "「グリッドマンが世界そのものになった、っていうのも\\n スケールが大きすぎて、何がなんだか」",
"502001111_19": "「わたしたちの常識では理解が及ばないわね。",
"502001111_20": " このジャンク、また同じことが起こる可能性は?」",
"502001111_21": "「再現性のある現象ではありませんが、\\n この先何があるかは、わかりません」",
"502001111_22": "「ですので、申し訳ありませんが……」",
"502001111_23": "「このパソコンはS.O.N.G.で管理する、ってことだよね……。\\n はぁ……」",
"502001111_24": "「お父さん、元気出してよ」",
"502001111_25": "「そんなこと言っても、せっかく作ったんだぞ?」",
"502001111_26": "「こんなオンボロでも、\\n 俺にとっては思い入れのあるものだったんだッ」",
"502001111_27": "「もちろん、それなりの補償はさせてもらいます」",
"502001111_28": "「S.O.N.G.の予算から、\\n 代わりになるパソコンを贈らせてもらう予定です」",
"502001111_29": "「え……ほんとかいッ!?\\n ということは……新品のパソコンなんだよねッ」",
"502001111_30": "「え、ええ。\\n そうなるはずですが……」",
"502001111_31": "「新品のパソコンと交換ならッ!\\n それはもう、喜んでこのオンボロを寄贈するともッ」",
"502001111_32": "「お、お父さんってば……\\n まったくもう〜……」",
"502001111_33": "「ア、アハハハハ……」",
"502001111_34": "「しっかし、響がまさか巨大化ヒーローにまで\\n なっちゃうとはなぁ」",
"502001111_35": "「お父さんも見てたの?」",
"502001111_36": "「ああ、空に映ったスクリーンでな。",
"502001111_37": " いつかと同様、こっちまで生きた心地がしなかったよ……」",
"502001111_38": "「けど――」",
"502001111_39": "「響なら帰ってきてくれる。\\n そう信じていたからな」",
"502001111_40": "「お父さん……ッ!」",
"502001111_41": "「アタシたちも応援してたデスよ」",
"502001111_42": "「グリッドマンとダイナゼノンが合体するなんて、\\n 思わなかった……」",
"502001111_43": "「カッコよかったデースッ!」",
"502001111_44": "「応援するしかないと思って、\\n そりゃあもう、応援しまくったさッ」",
"502001111_45": "(……こっちが見ているだけで心配になるくらい、\\n 必死に応援してたっていうのは……",
"502001111_46": "(フフ。……パパさんのプライドのために、\\n 言わないでおいてあげましょう",
"502001111_47": "「いやぁ、よくやった、響ッ! 白熱の戦いだったぞッ!\\n すンばらしい特撮ものを見てる気分だったッ」",
"502001111_48": "「……」",
"502001111_49": "「……特撮と言えば、前に響が言ってたヒーローショー、\\n まだやってるかな」",
"502001111_50": "「わたしが、アレクシスさんと他の並行世界に吸い込まれる前に\\n 見てきた、ヒーローショーのこと ……興味あるの」",
"502001111_51": "「まあ、その、ちょっとな。\\n そういうイベントには随分長いこと行ってなかったし」",
"502001111_52": "「たまには行ってみようかなー、なんて」",
"502001111_53": "「響も……どうかな?\\n その、母さんたちも誘ってさ」",
"502001111_54": "「お母さんたちも……」",
"502001111_55": "「――うんッ、それすっごくいいと思うッ!\\n 家族みんなで行こうよッ ヒーローに会いにッ」",
"502001111_56": "「そ、そうかッ。\\n それじゃあ、さっそく母さんに電話してくるよッ」",
"502001111_57": "「お父さんってば、あんなに張りきっちゃって」",
"502001111_58": "「よかったね、響」",
"502001111_59": "「うんッ!」",
"502001111_60": "(……あっちの世界のお父さんも、\\n 向こうの『響』と仲良くやれてるかな",
"502001111_61": "(うん……きっと大丈夫。\\n だって、あんなに手を伸ばしていたんだから",
"502001111_62": "(あのお父さんの手が、\\n 『響』に届かないなんてこと、きっとない",
"502001111_63": "(どんな宇宙だって、\\n ……この可能性は、きっと、開かれてるよねッ"
}