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@ -0,0 +1,78 @@
{
"397000111_0": "辺獄のふち",
"397000111_1": "「本当に……\\n うんざりするほどに平和そうだな」",
"397000111_2": "「この村のこと?\\n それとも、この世界」",
"397000111_3": "「どっちも、かな。……あたしたちの世界に比べれば、\\n どこだってマシかもしれないけど」",
"397000111_4": "「……そうだね」",
"397000111_5": "「キョウ様、ヨウ様。お話し中に失礼致します。\\n 準備が整いました」",
"397000111_6": "「……ご苦労さまです。\\n すぐに始めます。待機位置に着き、指示を待ちなさい」",
"397000111_7": "「了解ですッ!」",
"397000111_8": "「……いいんだね、キョウ」",
"397000111_9": "「うん……覚悟はできてる。",
"397000111_10": " ヨウだって、そうでしょ?」",
"397000111_11": "「それは、そうだけど。\\n けど、背負うのは、別にあたし人でも……」",
"397000111_12": "「ヨウ、それは言いっこなし。\\n わたしたちは、一心同体」",
"397000111_13": "「わたしたちは、一緒に失ってきた。\\n それはこれから先も同じ……でしょ」",
"397000111_14": "「……そうだね、ごめん。",
"397000111_15": " さっきのは、なし。だから――」",
"397000111_16": "「あたしと一緒に、\\n 『英雄』に堕ちよう、キョウ」",
"397000111_17": "「もちろん。\\n いつだって一緒だよ、ヨウ」",
"397000111_18": "「な、なんなんだ、あんたたちはッ!?\\n 見ての通り、ここは貧しい農村だぞッ」",
"397000111_19": "「奪うものなんて、\\n なんにもありゃしない……ッ」",
"397000111_20": "「お前、家族は?」",
"397000111_21": "「な、なに……?」",
"397000111_22": "「家族はいるか?\\n ……そう聞いている」",
"397000111_23": "「……妻がいる。\\n それに、息子と娘が人ずつ」",
"397000111_24": "「……へぇ。それは結構。\\n さぞかし、たくさんの想い出があるだろうね」",
"397000111_25": "「理不尽に抗うくらい元気が有り余ってるのも、都合がいい。\\n 無気力な人間だと、正確なデータが取れないから……」",
"397000111_26": "「な……なんだ?\\n あんたたち、何を言っているんだッ」",
"397000111_27": "「おい、出番だ」",
"397000111_28": "「はい。……この時を待っておりました。",
"397000111_29": " 一足先に、我らが世界の礎となってまいりますッ!」",
"397000111_30": "「…………」",
"397000111_31": "「や、やめろ、やめてくれッ!\\n いったい、何をするつもりだッ」",
"397000111_32": "「全ては……\\n 『見放された世界』のためにッ」",
"397000111_33": "「ぐ……ッ!? な、なんだ、今のはッ!?\\n 人が、爆発したのか……ッ」",
"397000111_34": "「いいや。\\n 今のは、言うならば……『避雷針』さ」",
"397000111_35": "「ひ、避雷針……?」",
"397000111_36": "「ああ。\\n あれを呼び寄せるためのな」",
"397000111_37": "「――――」",
"397000111_38": "「ひ……ッ!?\\n ば、化けもの……ッ」",
"397000111_39": "「フェーズ1、転移は成功……」",
"397000111_40": "「後は、ちゃんと機能するかどうか――」",
"397000111_41": "「く、来るな……ッ、\\n 来るなぁッ」",
"397000111_42": "「暴れないでください」",
"397000111_43": "「取って食おうというわけではありませんから。\\n もっとも――」",
"397000111_44": "「あ……、\\n あ、あ、あ、あ、あぁぁ――ッ」",
"397000111_45": "「あなたの想い出と生命力は、\\n 奪わせてもらいますが」",
"397000111_46": "「そん、な……\\n 消える……家族が……想い出が……ッ」",
"397000111_47": "「……安心しろ。恨むな、なんて言わない。",
"397000111_48": " 存分に恨んで、怨んで、憎んでくれ」",
"397000111_49": "「この……ッ、\\n 悪魔、が……――ッ」",
"397000111_50": "「ぁ――。\\n …………」",
"397000111_51": "「「……」」",
"397000111_52": "「――――」",
"397000111_53": "「…………」",
"397000111_54": "「ん……。\\n 許容量まで溜め込んだみたいだね」",
"397000111_55": "「こっちの男も……脈はある。\\n 死んだわけじゃない」",
"397000111_56": "「ああ……\\n これで本当の本当に、準備は整った。あとは……」",
"397000111_57": "「わたしたちが、覚悟を決めるだけ」",
"397000111_58": "「そうだね。",
"397000111_59": " そう――あたしたちは侵略者だ」",
"397000111_60": "「そして、略奪者」",
"397000111_61": "「覚悟をもって、\\n 人を救う者を英雄と呼ぶのなら……」",
"397000111_62": "「侵略と略奪をもって、\\n わたしたちは英雄となる――ッ」",
"397000111_63": "「申し上げます。目標世界での仕込みが完了しました。\\n いつでも作戦を始められます」",
"397000111_64": "「ああ、わかった。なら……そうだな。\\n みんなを集めてもらえるか」",
"397000111_65": "「はッ!」",
"397000111_66": "「…………」",
"397000111_67": "「進もう、キョウ。それがどんなに血塗られた道でも、\\n お前と一緒なら、あたしは迷わない」",
"397000111_68": "「うん。一緒に行こう、ヨウ。\\n あなたが進む道なら、地獄へ続いていようと構わない」",
"397000111_69": "「同志諸君、時は来ましたッ!\\n まもなく、わたしたちの戦いが始まりますッ」",
"397000111_70": "「「「<size=40>おおぉーーーッ!</size>」」」",
"397000111_71": "「お前たちの命、あたしたちが預かったッ!」",
"397000111_72": "「たとえ、かの地で果てたとしても、\\n その魂は永遠に語り継がれることになるでしょうッ」",
"397000111_73": "「死を恐れるなッ!\\n ただ、故郷を救うことだけを考えろッ」",
"397000111_74": "「「「<size=40>おおぉーーーッ!</size>」」」",
"397000111_75": "「準備は良いな? 現時刻をもって、\\n 我々はかの『世界群』へ攻撃を開始する――ッ」"
}

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@ -0,0 +1,101 @@
{
"397000121_0": "(調査班によって確保された聖遺物、\\n 『アリアドネの糸』……",
"397000121_1": "(ギリシャ神話の英雄、テセウスが迷宮の最奥から脱出する際、\\n これを辿ることで無事に帰ることができたという謂れがある……",
"397000121_2": "(これを応用すれば、かつてノーブルレッドが作り出し、\\n 装者のみなさんを閉じ込め、苦しめたダイダロスの迷宮……",
"397000121_3": "(そういった迷宮的危機から、\\n 逃れることを可能にするかもしれない",
"397000121_4": "(魔剣ダインスレイフの欠片をシンフォギアに組み込んだ時と\\n 同様、不可能ではないはず。ですが――",
"397000121_5": "「お邪魔するよ。\\n ああ、やっぱりこんな時間まで頑張ってた」",
"397000121_6": "「お疲れ様。\\n あったかいものどうぞ」",
"397000121_7": "「藤尭さん、友里さん。\\n あったかいものどうもです」",
"397000121_8": "「それって、この前発見された聖遺物だよね?\\n 『アリアドネの糸』……だっけ」",
"397000121_9": "「はい。手が空いたので、なにか役立てられればと、\\n 解析していたんです」",
"397000121_10": "「いやいや……\\n 手が空いたんなら休もうよ……」",
"397000121_11": "「休憩も仕事のうちよ。\\n 適切に休まなきゃ、効率だって悪くなるでしょ」",
"397000121_12": "「確かにそうですね……わかりました。",
"397000121_13": " 仕事をしっかりするためにも、ボクも適切な休憩を心がけます」",
"397000121_14": "「とはいえ……こうも聖遺物が続けて発見されると、\\n 調べずにはいられないというか」",
"397000121_15": "「まぁ、そわそわするのはわかるんだけどね。\\n 装者の皆も回収任務で出払ってるし」",
"397000121_16": "「未知の聖遺物を回収するとなると、\\n もしものことが考えられるものね」 ",
"397000121_17": "「回収したらしたで、安全な取り扱いのためにも、\\n エルフナインちゃんに解析してもらわなきゃだし……」",
"397000121_18": "「任せてください、それがボクのやるべきことですからッ!",
"397000121_19": " 解析するのは錬金術師の性ですし――」",
"397000121_20": "「それに、嬉しいんです。\\n ボクもみなさんと一緒に戦えているんだってことが……」",
"397000121_21": "「しかし、本部が手薄だとちょっと落ち着かないな。\\n 少し前にも、本部襲撃とか、色々あったし……」",
"397000121_22": "「それは……茶蔵さんのこと?」",
"397000121_23": "「あれは一応、明日香ちゃんを心配して乗り込んできたわけだから\\n さすがにあんな無茶は、もうしないと思いたいわね」",
"397000121_24": "「司令と組手をするだけで、\\n 本部が半壊しかねないからなぁ……」",
"397000121_25": "「そういえば……\\n 弦十郎さんはまだ戻らないんですか」",
"397000121_26": "「ええ。S.O.N.G.がいくら国連直轄とはいえ、\\n 日本政府の呼び出しを無下にはできないしね」",
"397000121_27": "「おかげで、司令代行の緒川さんは休憩の暇もないみたい。\\n ……ここ数日、休んでいるところを見てないわね」",
"397000121_28": "「司令ほどじゃないとはいえ、\\n あの人も常人離れしてるよな……」",
"397000121_29": "「そのおかげでどうにか状況を処理できているのが実情よね」",
"397000121_30": "「ほんと、なんなんだろうな、最近の聖遺物発見ラッシュは。\\n 景気がいいというか、なんと言うか」",
"397000121_31": "「確かに、奇妙な話ね。芸術品の闇ブローカーが所持してたり、\\n 未発見の遺跡が発見されたり、状況は違うんだけど……」",
"397000121_32": "「ミステリー、ですねッ」",
"397000121_33": "「ミステリー?",
"397000121_34": " フフ、響ちゃんみたいな表現ね」",
"397000121_35": "「ミステリーといえば……聞いた?\\n ここんとこ噂になってる、ドッペルゲンガーの話」",
"397000121_36": "「ドッペルゲンガー、ですか?」",
"397000121_37": "「自分と瓜二つの人を見かける、というやつね。\\n よくある都市伝説や怪談の類が、どうかしたの」",
"397000121_38": "「それが最近、話題になってるみたいでさ。\\n ネットなんかでも、盛り上がってるみたいだよ」",
"397000121_39": "「友人の友人が、自分にそっくりなヤツを、\\n 見たとか見なかったとか……」",
"397000121_40": "「なにかの聖遺物や、\\n 超常現象の影響でしょうか……」",
"397000121_41": "「可能性はあるけど、実害が出てるわけじゃないから、\\n 調査の優先度が低いのよね」",
"397000121_42": "「ただでさえ人手不足なんだから単なる悪戯であってほしいような、\\n 悪戯だったら、それはそれで勘弁してほしいような……」",
"397000121_43": "「聖遺物の発見も、\\n いったん落ち着いてくれないものかなぁ」",
"397000121_44": "「それについてなんですが……\\n 疑問に思っていることがありまして」",
"397000121_45": "「というと?」",
"397000121_46": "「最近、立て続けに発見された聖遺物に、\\n 『当たり』が多すぎるんです」",
"397000121_47": "「当たり?」",
"397000121_48": "「はい。根本的なことですが、そも『聖遺物』というものは、\\n 遺跡などから古い武具や道具が発掘されたとしても……」",
"397000121_49": "「その段階ではあくまで、\\n 『聖遺物らしき未知のアイテム』でしかありません」",
"397000121_50": "「形状や土地柄から、神話や伝承の記述。\\n そして、その『未知のアイテム』が世界に及ぼす影響……」",
"397000121_51": "「基本的にボクたちは、\\n それらを材料に、聖遺物の正体を<ruby=るいすい>類推</ruby>しているにすぎないんです」",
"397000121_52": "「だからこそ、アウフヴァッヘン波形……聖遺物が励起状態に\\n なった際のパターンを今日まで記録してきているわけですが……」",
"397000121_53": "「実のところ、調査段階が『それ以前』である場合、調べたものの\\n 実はただの骨董品だった――というのは、よくあることなんです」",
"397000121_54": "「しかし、最近立て続けに発見されている品は、\\n 『当たり』が多すぎる。……ボクが気に掛かっているのは、ここです」",
"397000121_55": "「『アレクトリアの石』『アリアドネの糸』『ゴーレム』\\n 『キビシス』『ケストス』『アスクレピオスの杖』……」",
"397000121_56": "「どれもが神話に語られる、いわば『格のある』ものなんです。\\n そしていずれも、アウフヴァッヘン波形の確認がされています」",
"397000121_57": "「なるほど……。\\n 確かに、不自然といえば不自然ね」",
"397000121_58": "「ん……通信が。",
"397000121_59": " 緒川さんからだわ」",
"397000121_60": "「友里です。……ええ、エルフナインちゃんのところです。\\n ……了解しました」",
"397000121_61": "「なんだって?」",
"397000121_62": "「マリアさんと調ちゃんが帰投したそうよ。\\n メディカルチェックの準備をお願い」",
"397000121_63": "「了解しました」",
"397000121_64": "「はぁぁ……\\n 休憩は終わりかー」",
"397000121_65": "「ほら、ぼやかないでさっさと動く」",
"397000121_66": "「……フフフッ」",
"397000121_67": "「ん?\\n どうかした」",
"397000121_68": "「いえいえ。 こうしてお話しするだけで、\\n 心を軽くしてくれるみなさんがいれば……」",
"397000121_69": "「何があっても、きっと大丈夫だって、\\n 改めて思っただけですッ」",
"397000121_70": "「うん――よし。\\n 人とも、数値に異常は見られないです」",
"397000121_71": "「悪いわね。\\n あなたも色々と忙しいでしょうに」",
"397000121_72": "「いえいえ。\\n みなさんの健康が一番大事ですからッ」",
"397000121_73": "「フフ、ありがと。ちなみに……\\n 切ちゃんや他のみんなは、まだ帰ってないの」",
"397000121_74": "「世界中を飛び回っているので、しばらくかかると思います。\\n 人は、まだ近い方でしたので」",
"397000121_75": "「そっか……。\\n 切ちゃん、慣れない国でお腹壊してないといいけど」",
"397000121_76": "「あの子のことだから、むしろ喜んで現地のごちそうを\\n 食べてる頃かもね」",
"397000121_77": "「むぅ……\\n 切ちゃんのお腹は、わたしがいっぱいにしてあげたいのに」",
"397000121_78": "「それにしても調ちゃん、思ったより早く帰ってこられたみたいね。\\n もう少しかかる予定と聞いていたけど」",
"397000121_79": "「特にトラブルもなかったので、\\n 意外とあっさり済んじゃいました」",
"397000121_80": "「調が担当していたのは、確か『ゴーレム』だったわよね。\\n 剣呑なイメージだけど……大丈夫だったの」",
"397000121_81": "「うん。\\n ぴくりとも動かなかったよ」",
"397000121_82": "「ゴーレム……\\n 製作者の命令を忠実に遂行する土人形ですね」",
"397000121_83": "「近づく者を迎撃しろ、等の命令が与えられていれば\\n 危なかったかもしれません……」",
"397000121_84": "「そうなの?",
"397000121_85": " なら、なにもなくてラッキーだったんだね」",
"397000121_86": "「はい。そしてここから先は、ボクたちの戦いです。\\n 本当に『なにもない』のかを、確認するための――ッ」",
"397000121_87": "「……なんて、ちょっと大げさでしたね」",
"397000121_88": "「フフ、そんなことはないわよ。エルフナインの『戦い』は、\\n わたしたちにはできないものだしね」",
"397000121_89": "「なんにせよ、無事に終わったのならよかったわ。\\n 人とも、今はゆっくり休んで――」",
"397000121_90": "「あら? また緒川さんだわ。",
"397000121_91": " ――はい。ええ、ちょうど済んだところです。」",
"397000121_92": "「……えッ!?」",
"397000121_93": "「どうかしたの?」",
"397000121_94": "「それが……新しい任務だって。\\n また新たに聖遺物が見つかったと……」",
"397000121_95": "「ええッ!?\\n 今、帰ってきたばかりなのにですか……」",
"397000121_96": "「ま、仕方ないわね。エルフナインたちに負けないように、\\n わたしたちも気張るとしましょうか」",
"397000121_97": "「切ちゃんが帰ってくるのをお迎えしたかったけど……",
"397000121_98": " そうだよね、それがわたしたちの役目だもの」"
}

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@ -0,0 +1,65 @@
{
"397000131_0": "「ま、仕方ないわね。エルフナインたちに負けないように、\\n わたしたちも気張るとしましょうか」",
"397000131_1": "「切ちゃんが帰ってくるのをお迎えしたかったけど……",
"397000131_2": " そうだよね、それがわたしたちの役目だもの」",
"397000131_3": "「マリアさんと調さんもああ言ってくれていた……\\n ボクも張り切って聖遺物の解析を進めなきゃです」",
"397000131_4": "「やるぞー、おーッ!」",
"397000131_5": "「さて。\\n 『アリアドネの糸』については一旦考え事を保留するとして……」",
"397000131_6": "「調さんが回収してきた『ゴーレム』の解析に\\n 取り掛かるとしましょうッ」",
"397000131_7": "「音声記録、開始……と」",
"397000131_8": "「こほん……。回収されてきた、『ゴーレム』と推定される\\n 聖遺物の分析を開始」",
"397000131_9": "「ゴーレムと総称される遺物は、主にヨーロッパの広い地域で\\n 神話や伝承として語り継がれている」",
"397000131_10": "「土で作られたゴーレムが有名であるものの、\\n この起源はユダヤ教の泥人形にあり――」",
"397000131_11": "「ギリシャ神話に語られる鍛冶の神ヘーパイストスが作ったと\\n される青銅の巨人、タロースもまたゴーレムと言えるでしょう」",
"397000131_12": "「ギリシャ神話……」",
"397000131_13": "「そういえば……最近、連続して発見された聖遺物は、\\n すべてギリシャ神話に由来している……」",
"397000131_14": "「これは……なにか作為的なものがあると\\n 考えるべきかもしれません」",
"397000131_15": "「しかし、そうだとして誰がそんなことを?」",
"397000131_16": "「ボクたちに聖遺物を発見させることが利益になる……。\\n そんな人物や組織がいるものでしょうか」",
"397000131_17": "「わ……ッ! な、なんですか、この衝撃……ッ!?\\n 攻撃、いいえ、地震……ッ」",
"397000131_18": "「聖遺物は……問題ないですね」",
"397000131_19": "「と、とにかく、解析はいったん中止して、今は発令所へ……ッ!」",
"397000131_20": "「各区画の被害報告は?」",
"397000131_21": "「現状、浸水の類は確認されていませんッ!」",
"397000131_22": "「ミサイルなどの飛来物は感知されず、また外装への損害も\\n ありませんッ 外部からの攻撃ではない模様ッ」",
"397000131_23": "「なにがあったんですかッ!?」",
"397000131_24": "「よかった、無事でしたか」",
"397000131_25": "「原因を確認中ですが、\\n この本部が狙われたわけではないようです」",
"397000131_26": "「市街地でも同様の轟音と衝撃が感知された模様ッ!」",
"397000131_27": "「各地の震度計の情報から、\\n 衝撃は同心円状に広がったと推測ッ」",
"397000131_28": "「同心円状……?",
"397000131_29": " ということは、やっぱり地震ですか?」",
"397000131_30": "「継続する揺れではないし、\\n ただの地震というわけじゃないと思う」",
"397000131_31": "「……風鳴司令との連絡はまだつきませんか?」",
"397000131_32": "「携帯端末の電源を切っているらしく、\\n 一向につながりません……ッ」",
"397000131_33": "「そうですか……」",
"397000131_34": "「市街地への被害が広く出ていますッ!」",
"397000131_35": "「……自衛隊が動いているはずですが、災害救助の協力も\\n 視野に入れ、まずは被害状況を確認しましょう」",
"397000131_36": "「その後、各地の装者たちにも状況の共有を――」",
"397000131_37": "「――ッ!?\\n 都市上空に高密度のエネルギー反応ッ」",
"397000131_38": "「空に……ッ!?\\n まさか……さっきの衝撃の原因がッ」",
"397000131_39": "「現時点では因果関係不明ッ!\\n 外部カメラの映像、出しますッ」",
"397000131_40": "「え……ッ!?\\n あれは……ッ」",
"397000131_41": "「まさか……世界蛇ッ!?」",
"397000131_42": "「い、いえ……ッ!\\n エネルギーパターン、世界蛇とは異なりますッ」",
"397000131_43": "「この波形、どうして……ッ!?",
"397000131_44": " すみません、よく見せてくださいッ!」",
"397000131_45": "「エルフナインちゃん……?」",
"397000131_46": "「……やっぱり」",
"397000131_47": "「何かわかったんですか?」",
"397000131_48": "「はい。現在観測されている波形と、\\n ボクの研究室で計測していた波形データとを比較しました」",
"397000131_49": "「あの空間の亀裂から観測されたエネルギーパターンは、\\n ここ最近で発見された聖遺物が持つ波形と酷似しています」",
"397000131_50": "「――ッ!?」",
"397000131_51": "「聖遺物が連続して発見されたことに感じた作為……。",
"397000131_52": " まさか、この状況に繋げるための布石だった……?」",
"397000131_53": "「市街地の各所から救援要請ッ!\\n 至る所で未知の怪物が出現ッ」",
"397000131_54": "「未知の……?\\n 確かに、アルカ・イズの反応は出ていない……ッ」",
"397000131_55": "「くそ、生きているカメラは……\\n あったッ 映像、出しますッ」",
"397000131_56": "「な……、なに、この化け物は……?」",
"397000131_57": "「アルカ・ノイズの変種……ってわけでもなさそうか。\\n 解剖器官による分解は確認できない」",
"397000131_58": "「警察官が拳銃で応戦していますが、効果は薄い模様ッ!\\n 通常兵器では歯が立ちませんッ」",
"397000131_59": "「自衛隊、応戦準備を始めていますが、\\n 未知の勢力につき対応が後手に回っていますッ」",
"397000131_60": "(今は僕が司令の代行……。\\n しかし、装者たちはほとんどが任務で遠方にいる……",
"397000131_61": "(派遣したばかりのマリアさんたちを呼び戻す?\\n いえ、それでは到着まで被害が広まる一方……",
"397000131_62": "(どうする……?\\n この状況における、最善の行動は……ッ"
}

View file

@ -0,0 +1,218 @@
{
"397000211_0": "天地鳴動",
"397000211_1": "S.O.N.G.本部にて『衝撃』を観測する、少しばかり前。",
"397000211_2": "シンガポールにて――",
"397000211_3": "「……ここが例の組織のアジトです。\\n 銃火器による武装を確認していますが……いけますか」",
"397000211_4": "「はい、いつでもいけますッ」",
"397000211_5": "「こっちも準備オッケーです。\\n いこう、響ッ」",
"397000211_6": "「うんッ!」",
"397000211_7": "「Balwisyall Nescell gungnir tron――」",
"397000211_8": "「Rei shen shou jing rei zizzl――」",
"397000211_9": "「いきますッ!!\\n 電光石火、初撃で決めるッ」",
"397000211_10": "「カ、壁がコワレたぁッ!?」",
"397000211_11": "「武器を捨て、両手を上にッ!!\\n 全員、おとなしくしてくださいッ」",
"397000211_12": "「目標の聖遺物、『アスクレピオスの杖』は無事回収。\\n 杖を所持していた集団は拘束しました」",
"397000211_13": "「以降は現地の治安維持機関と協力し、\\n 調査を進めます」",
"397000211_14": "「――お疲れ様でした、お2人とも。\\n 後は我々にお任せください」",
"397000211_15": "「あの……この人たちは、\\n 聖遺物でなにをしていたんですか」",
"397000211_16": "「彼らが持っていた『アスクレピオスの杖』は、\\n 人の怪我を癒す能力をもつ聖遺物と聞いています」",
"397000211_17": "「その力を使い、自分たちがばら撒いた『<ruby=クスリ>商品</ruby>』で不調をきたした\\n 人たちを治療し、その対価を要求していたようです」",
"397000211_18": "「聖遺物をそんなことに使うなんて……」",
"397000211_19": "「マッチポンプということですね……。\\n でも、どこから手に入れたんだろう」",
"397000211_20": "「そこを調査するのは、我々の仕事です。\\n 帰りの便を手配しますので、お人は先に……」",
"397000211_21": "「う、うわぁッ!?」",
"397000211_22": "「この揺れ――\\n 地震ッ」",
"397000211_23": "「大きい……ッ!」",
"397000211_24": "「シンガポールで地震ッ!? 地震から最も縁遠いと呼ばれる国で、\\n どうしてこのタイミングで……ッ」",
"397000211_25": "「ナ、ナニコレッ!? ユレテるぅッ!\\n アワワ、セカイオワリだ……ッ」",
"397000211_26": "「この国の人は、地震に慣れてないんだ……ッ!」",
"397000211_27": "「イ、イノチあってのモノダネッ!\\n ニゲサセテモラウヨッ」",
"397000211_28": "「あ、待てッ、\\n そっちには古い建物が……ッ」",
"397000211_29": "「まずい、壁が崩れる……\\n 生き埋めになるぞッ」",
"397000211_30": "「ヒィィィィッ!?」",
"397000211_31": "「危ないッ!\\n ハァアアアアアアーーッ」",
"397000211_32": "「カ、壁がフタタビコナゴナにぃッ!?」",
"397000211_33": "「大丈夫ですかッ!?」",
"397000211_34": "「オ、オレをタスケテくれたのか……?\\n ナンデ……」",
"397000211_35": "「人を助けるのに、理由なんていりませんッ!」",
"397000211_36": "(キュン……)",
"397000211_37": "「揺れは収まりましたね……\\n けど、あちこちで助けを求める声が……ッ」",
"397000211_38": "「未来ッ!\\n みんなを助けようッ」",
"397000211_39": "「うんッ!\\n 今、わたしたちにできることを――」",
"397000211_40": "「今度は何……ッ!?」",
"397000211_41": "「響、あれ……ッ!\\n 空を見てッ」",
"397000211_42": "「あれってもしかして……\\n 世界蛇が現れた時と同じッ」",
"397000211_43": "「まさか……ベルちゃんがッ!?",
"397000211_44": " ――ッ!?」",
"397000211_45": "「――ご期待に沿えず、申し訳ありません」",
"397000211_46": "「ベルちゃんじゃ……ない?」",
"397000211_47": "「はぁ……。\\n 街には結構な被害が出せたけど――」",
"397000211_48": "「やっぱり、初動では死んでくれないか」",
"397000211_49": "「……仕方ないよ。\\n この女は運命に護られてる」",
"397000211_50": "「わ……\\n わたしを知ってる、の」",
"397000211_51": "「……ええ。知っていますよ。\\n 嫌になるほど、見ていましたから」",
"397000211_52": "「改めて――」",
"397000211_53": "「「ごきげんよう、 <ruby=運命の人>ファム・ファタール</ruby>」」",
"397000211_54": "「――ッ!?」",
"397000211_55": "「ま……待ってくださいッ!」",
"397000211_56": "「今、『結構な被害が出せた』って言いましたよね。\\n この地震……まさか、あなたたちが起こしたんですかッ」",
"397000211_57": "「え……ッ!?」",
"397000211_58": "「クッ、クハハ……ッ!\\n 本当に呆れるほどの平和ボケだな」",
"397000211_59": "「ええ、本当に。……こんなのは序の口です。\\n 被害なら、これからもっと出ることでしょうね……フフ」",
"397000211_60": "「どういう意味――」",
"397000211_61": "「な、なんだお前たちはッ!?\\n いつの間に……ッ」",
"397000211_62": "「…………」",
"397000211_63": "「――ッ!?」",
"397000211_64": "(あの目……\\n なにかを覚悟している人の目だッ",
"397000211_65": "「止めなきゃ……。\\n あの人たち、なにかするつもりだッ」",
"397000211_66": "「――おっと。\\n 行かせない」",
"397000211_67": "「あたしたちの相手をしてよ、ファム・ファタール。\\n それともあたしが相手じゃ物足りない」",
"397000211_68": "「――ッ!\\n 蹴り技で止められた……ッ」",
"397000211_69": "(速すぎて見えなかった……ッ!",
"397000211_70": " この子の足――義足……? ううん、ただの義足じゃないッ!)",
"397000211_71": "「フフ。観察と分析――戦いの基本だね。けど……",
"397000211_72": " ヌルいッ!!」",
"397000211_73": "「く……ッ!\\n 未来、先に行ってッ」",
"397000211_74": "「……わかったッ!」",
"397000211_75": "「――揃いも揃って、わたしを無視しないでくださいよ。\\n 寂しいじゃないですか」",
"397000211_76": "「――ッ!",
"397000211_77": " ……あなたたちは、何をしようとしているんですか?」",
"397000211_78": "(こっちの子の腕……なんだろう、禍々しい……。\\n これは、義手、なの……",
"397000211_79": "「それに、空間を移動する手段……。\\n もしかして、並行世界から」",
"397000211_80": "「質問ですか。",
"397000211_81": " 本当に――笑えるくらいヌルいですね。ここは既に戦場ですよ?」",
"397000211_82": "「キョウの言う通りだ。\\n そんな寝ぼけた頭じゃあ、寝首でなくとも掻かれるぞ」",
"397000211_83": "「――こうやってなッッ!!」",
"397000211_84": "「速いッ!?」",
"397000211_85": "「消えた……ッ!?」",
"397000211_86": "「――こっちだ」",
"397000211_87": "「――ッ!?」",
"397000211_88": "「うあああッ!」",
"397000211_89": "「響ッ!?」",
"397000211_90": "「言ったそばからこの体たらく」",
"397000211_91": "「しまっ――」",
"397000211_92": "「きゃあああッ!」",
"397000211_93": "「み、未来ッ!?",
"397000211_94": " あなたたち、どうして……ッ!」",
"397000211_95": "「優れた兵器を持ったところで、心構えはてんで素人か。\\n 敵を前に呆けるなんて、三流以下」",
"397000211_96": "「う、く……ッ!\\n わたしは……あなたたちの敵になりたいわけじゃない」",
"397000211_97": "「それに、この拳は兵器なんかじゃないッ!",
"397000211_98": " わたしの、<ruby=ガングニール>胸の歌</ruby>だッ!!」",
"397000211_99": "「眠たいことを――ッ!」",
"397000211_100": "「……まったくもって、埒が明かない」",
"397000211_101": "「……同感」",
"397000211_102": "「『避雷針』たちはもう位置についてる。\\n なら――もういい、始めよう」",
"397000211_103": "「――全ては」",
"397000211_104": "「「『見放された世界』のために」」",
"397000211_105": "「「全ては……\\n 『見放された世界』のためにッ」」",
"397000211_106": "「なんだッ!?\\n なにをするつもりだッ」",
"397000211_107": "「ナニ、ナニッ!?」",
"397000211_108": "「く……ッ! わからないけど、わかるッ!",
"397000211_109": " そこから逃げてぇぇえッ!」",
"397000211_110": "「な、なにが起こったの……ッ!?」",
"397000211_111": "「響、あれ……ッ!」",
"397000211_112": "「か、怪物ッ!? なんでいきなり……ッ、\\n S.O.N.G.のみんなはッ!? 確保した人たちは……ッ!?」",
"397000211_113": "「倒れてる……\\n 一応は無事みたいだけど……」",
"397000211_114": "「大丈夫ですかッ!?」",
"397000211_115": "「…………」",
"397000211_116": "「…………」",
"397000211_117": "「ど、どうしたんですか?\\n どこか痛いところがあるんですかッ」",
"397000211_118": "「……あたしたちの追撃を警戒するよりも先に、\\n 民間人の安全確認か。反吐が出る」",
"397000211_119": "「――無駄だよ。\\n そいつらはもう、中身の無い人形みたいなものだ」",
"397000211_120": "「ご安心を。\\n 想い出と生命力をいただいただけです」",
"397000211_121": "「想い出……?」",
"397000211_122": "「はい。\\n ですので、死んでいるわけではありませんよ」",
"397000211_123": "「まあ、もう目覚めないかもしれないけれど」",
"397000211_124": "「そんなッ、なんてことをッ!?」",
"397000211_125": "「……さっきの人たちは?」",
"397000211_126": "「……?\\n さっきの そこにいるので全員――」",
"397000211_127": "「さっきの人たちですッ!",
"397000211_128": " あなたたちの仲間は、どうなったんですか……ッ!?」",
"397000211_129": "「――ッ!?」",
"397000211_130": "「……驚きました。\\n そこをあなたが気にかけるんですか」",
"397000211_131": "「ファム・ファタールが気にすることではないですよ。\\n 彼らは、『避雷針』として役割を果たしただけです」",
"397000211_132": "「避雷針……?」",
"397000211_133": "「或いは……そうですね、マーカーとでも言うべきでしょうか。\\n 丁度、かつてあなたたちが行った『ナインホープ作戦』のような」",
"397000211_134": "「ナインホープ作戦……?\\n それって、初めてベルちゃんと戦った時の……」",
"397000211_135": "「フフ。\\n ……思い出しましたか」",
"397000211_136": "「そして、気づきませんでしたか?\\n あなたがたの駒と、わたしたちの駒。よく似ていたと」",
"397000211_137": "「――ッ!?」",
"397000211_138": "「駒だなんて……ッ!」",
"397000211_139": "「……『同じ人間』が存在するという矛盾は、\\n 世界にかすかな揺らぎをもたらします」",
"397000211_140": "「避雷針へ向けて放たれた力は世界の揺らぎをこじ開け、\\n ゲートを作る」",
"397000211_141": "「そうして、我々の尖兵をこちらの世界へ\\n 引き入れるんです」",
"397000211_142": "「うーん……そうですね。\\n 『よく似た別の人』を指標に訪れるナニカ……」",
"397000211_143": "「『ドッペルゲンガー』とでも呼びましょうか。\\n ま、なんだっていいんですけど」",
"397000211_144": "「ドッペルゲンガー……\\n それが、あの怪物の名前……」",
"397000211_145": "「けど、指標は所詮人間だ。\\n 人間は雷のエネルギーには耐えられないだろ」",
"397000211_146": "「つまり――\\n あいつらは使い捨ての道具ってこと」",
"397000211_147": "「道、具……?」",
"397000211_148": "「ああ……好きな呼び方で構わない。\\n 道具、駒、雑兵――」",
"397000211_149": "「そんなことを言ってるんじゃないよッ!」",
"397000211_150": "「……まさか、最近噂になってた\\n ドッペルゲンガーって――ッ」",
"397000211_151": "「ええ、それはわたしたちが送り込んでいた避雷針たちでしょうね。\\n どうしたって、誰かしらは『本物』に見られたりするでしょう」",
"397000211_152": "「だとしたら、この怪物が日本中……\\n ううん、世界中に……ッ」",
"397000211_153": "「気になる? 気になりますか?\\n どうする どうします どうしようかぁッ」",
"397000211_154": "「アッハハハッ!",
"397000211_155": " …………ほんと、いい気味」",
"397000211_156": "「――ッ!!」",
"397000211_157": "「あなたたちは……\\n なにをしようとしているんですかッ」",
"397000211_158": "「知りたいことがあるなら、\\n 力ずくで聞き出したらどうだ、聖遺物使い」",
"397000211_159": "「――」",
"397000211_160": "「ううん、時間切れみたい、ヨウ。\\n わたしたちが稼ぐべき時間は、既に稼いだ。それに――」",
"397000211_161": "「きゃあああああ……ッ!」",
"397000211_162": "「街の人が……ッ!」",
"397000211_163": "「ファム・ファタールたちも、\\n やるべきことがあるだろうから」",
"397000211_164": "「空間に亀裂が……ッ!」",
"397000211_165": "「待ってッ!」",
"397000211_166": "「呆れた。\\n ……わたしたちを追っている場合ですか」",
"397000211_167": "「あっちを助けられるのは、現状お前たちだけじゃあないのか。",
"397000211_168": " ……この世界の正義の味方なんだろ?」",
"397000211_169": "「それともやっぱり……\\n 誰かを助けたいなんて、嘘だった」",
"397000211_170": "「……ち、違うよッ!\\n わたしは――ッ」",
"397000211_171": "「誰か……ッ!\\n 誰か助けてぇええッ」",
"397000211_172": "「く……ッ!\\n 響、今は街の人をッ」",
"397000211_173": "「わかってるッ!\\n けど――ッ」",
"397000211_174": "「……ハ。じゃあね。\\n せいぜい頑張りなよ、ファム・ファタール」",
"397000211_175": "「頑張ったところで……ではありますが。\\n あなたとの決着はまだ先です」",
"397000211_176": "「人を助けたいなら、急いだほうがいいですよ。",
"397000211_177": "『避雷針』は、まだまだ連れてきているので――」",
"397000211_178": "「なんで……ッ!\\n どうして、こんなことをするんですかッ」",
"397000211_179": "「……は?」",
"397000211_180": "「争って、街を壊して……人を傷つけなきゃいけない理由が、\\n どこにあるんですかッ」",
"397000211_181": "「どう、して……?」",
"397000211_182": "「どうしてだと?\\n 理由だとッ」",
"397000211_183": "「この世界の人間が、\\n どのツラ下げてそんなことを言えるッ」",
"397000211_184": "「……ヨウ」",
"397000211_185": "「言わせてよ、キョウッ! こいつら――ッ!\\n 本当に、本当になにつ、罪の意識の持ち合わせがないッ」",
"397000211_186": "「――ッ!?」",
"397000211_187": "「…………」",
"397000211_188": "「これは、大いなる流れに見放された者たちによる略奪だ」",
"397000211_189": "「見放され、た……? どういうことか、話してよッ!\\n 話してくれなきゃ、なにもわからないッ」",
"397000211_190": "「お前らと話して、なんの意味がある?\\n 今まで、あたしたちに気づこうともしなかったお前らが……ッ」",
"397000211_191": "「……行こう、ヨウ。\\n 目的は達した。これ以上は無意味」",
"397000211_192": "「――ッ!",
"397000211_193": " くそ……くそッ!!」",
"397000211_194": "「待っ……ッ!」",
"397000211_195": "「誰かぁぁぁ……ッ!」",
"397000211_196": "「響……ッ!」",
"397000211_197": "「――ッ! わかってる……ッ!",
"397000211_198": " 街の人たちを助けようッ!」",
"397000211_199": "「ば、化け物……ッ!」",
"397000211_200": "「大丈夫ですかッ!?」",
"397000211_201": "「わたしたちの後ろにッ!」",
"397000211_202": "「は、はい……ッ!」",
"397000211_203": "「……ン、……ワイ――」",
"397000211_204": "「え……? \\n まさか……言葉を話してるッ」",
"397000211_205": "「……違う」",
"397000211_206": "「――ジシン、コワイ」",
"397000211_207": "「クスリ、ウル……\\n ンァァ……ルマ、キツイ……」",
"397000211_208": "「これって……まさか、\\n わたしたちが捕まえた人たちの……」",
"397000211_209": "「真似をしてるの……ッ!?」",
"397000211_210": "「サポートガ、ワレワレノヤクメ――」",
"397000211_211": "「……ッ!\\n S.O.N.G.の人たちの言葉……ッ!?」",
"397000211_212": "「さっきの2人は、\\n 想い出と生命力をもらったって言ってた……」",
"397000211_213": "「だったら、\\n この怪物を倒せば、みんなをもとに戻せるかもッ」",
"397000211_214": "「やろう、未来ッ!!」",
"397000211_215": "「うんッ!!」"
}

View file

@ -0,0 +1,44 @@
{
"397000212_0": "「みんなに、\\n 想い出を返してッ」",
"397000212_1": "「硬い……ッけど、なんとか倒した……ッ!\\n みんなはッ」",
"397000212_2": "「うう……」",
"397000212_3": "「意識を取り戻したッ!」",
"397000212_4": "「よかったッ!\\n 奪われた想い出が戻ったんだッ」",
"397000212_5": "「大丈夫でしたかッ!?\\n どこか、調子の悪い所とかはないですか」",
"397000212_6": "「…………」",
"397000212_7": "「…………」",
"397000212_8": "「様子が、おかしい……。\\n 目の焦点もあってないみたいだし……」",
"397000212_9": "「そんな……\\n 間に合わなかったってことなの……」",
"397000212_10": "「無線通信……本部からだッ!」",
"397000212_11": "「お2人とも、ご無事ですか?」",
"397000212_12": "「緒川さんですかッ!?\\n よかった、大変なことが……ッ」",
"397000212_13": "「地震の件なら把握しています。\\n 世界各地で空間の裂け目の発生に伴う衝撃波を確認しています」",
"397000212_14": "「世界中で……ッ!」",
"397000212_15": "「それと同時に、謎の脅威が地震のあった土地で発生。\\n こちらでも対処に当たっています」",
"397000212_16": "「あ……\\n それなら、わたしたちも倒したと思います」",
"397000212_17": "「でも、想い出を吸われた人たちが……ッ!」",
"397000212_18": "「想い出……?\\n その情報はどこから」",
"397000212_19": "「空間の裂け目から現れた2人組が言っていたんです」",
"397000212_20": "「たぶん……\\n キョウちゃんと、ヨウちゃんっていうんだと思います」",
"397000212_21": "「2人組……? ……どうやら、お2人が出くわした状況は、\\n こちらとは少し異なるようです。その人組、今は」",
"397000212_22": "「問答無用で攻撃されて、それで……",
"397000212_23": " すみません、逃げられました」",
"397000212_24": "「そうですか……。\\n 気がかりではありますが、まずは状況への対処を優先しましょう」",
"397000212_25": "「想い出を吸われた人たちは、\\n どのような状況ですか」",
"397000212_26": "「青い怪物を倒したら、一応意識を取り戻しました。",
"397000212_27": " でも、なんだかぼーっとしてて、声をかけても返事が……」",
"397000212_28": "「それと、あの2人は怪物のことを\\n 『ドッペルゲンガー』と呼んでいました」",
"397000212_29": "「なるほど……。詳細の共有が必要ですね。\\n 人は至急、本部へ戻ってください」",
"397000212_30": "「多少の無茶を通してでも、\\n 航空機が飛べるように計らいますので――」",
"397000212_31": "「待ってくださいッ!\\n ここで困ってる人を置いてはいけませんッ」",
"397000212_32": "「まずはここで、救助活動をさせてくださいッ!」",
"397000212_33": "「うぇぇぇぇんッ!\\n お父さん、お母さぁん……ッ」",
"397000212_34": "「足が、足がぁぁ……ッ!」",
"397000212_35": "「お願いします、緒川さんッ!\\n 人を助けるためのシンフォギアなんですッ」",
"397000212_36": "「……わかりました。",
"397000212_37": " ただ、他の装者たちも同じように足止めをされています」",
"397000212_38": "「救助活動を終え次第、帰投してください」",
"397000212_39": "「はいッ!\\n 通信、終わりますッ」",
"397000212_40": "「行こう、未来ッ!」",
"397000212_41": "「うんッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,39 @@
{
"397000221_0": "(響さんたちも、現地の救助活動で手いっぱい……\\n すぐには戻れないと見るべきですね",
"397000221_1": "「日本の各地にて、\\n 同時多発災害の対処に当たっている自衛隊から救援要請ッ」",
"397000221_2": "「海外からも多数の要請ありッ!」",
"397000221_3": "「やはり、通常兵器の効き目は薄いようです……ッ」",
"397000221_4": "「それに加えて、怪物の出現地点では意識不明者が\\n 続出しているとの報告もありますッ」",
"397000221_5": "「……おそらく、これは人為的な災害です。\\n その首謀者と思しき人物と、響さんたちが接触したようです」",
"397000221_6": "「曰く、被害者は『想い出』を吸われたと……」",
"397000221_7": "「想い出……ッ!?\\n まさか錬金術師ッ」",
"397000221_8": "「魔法少女事変において、<ruby=オートスコアラー>自動人形</ruby>によって昏睡状態に\\n 陥っていた被害者と同じ状態、ということでしょうか」",
"397000221_9": "「断定はできません。\\n いずれにしろ、今は事態の究明よりも対処が先です」",
"397000221_10": "「件の怪物は以後、響さんたちから共有された情報に伴って\\n ドッペルゲンガーと呼称します」",
"397000221_11": "「ドッペルゲンガー……ッ!?\\n まさか、藤尭さんが言っていた噂にも繋がると……ッ」",
"397000221_12": "「――当面の方針としては、\\n ドッペルゲンガーの撃破を最優先とします」",
"397000221_13": "「し、しかし、\\n 装者たちは皆、身動きが……」",
"397000221_14": "「僕が出ます」",
"397000221_15": "「緒川さんは今、司令代理ですッ!\\n ここを留守にするのは……」",
"397000221_16": "「戦える人間が他にいないのなら、風鳴司令だって出撃します。\\n 幸いにして、敵はアルカ・イズではないようですしね」",
"397000221_17": "「それなら、\\n いくらかでも戦える者が迎撃に向かうべきです」",
"397000221_18": "「でも、それじゃあ、\\n ここの指揮は……ッ」",
"397000221_19": "「……司令不在の穴はもとより、\\n 僕が人で埋められるものではありません」",
"397000221_20": "「え……?」",
"397000221_21": "「全員で互いをカバーし合えば、できることもある……。\\n そういうことですか」",
"397000221_22": "「そんな無茶な……とは思うけれど、\\n 私たちだって、確かに何度も修羅場を経験している」",
"397000221_23": "「計器の数値を読み上げるだけじゃ、\\n S.O.N.G.のオペレーターは務まらない。だろ?」",
"397000221_24": "「――そうね。指示を待つだけで銃後の護りが\\n 務まるほど、S.O.N.G.の仕事は甘くないわ」",
"397000221_25": "「藤尭さん、友里さん……」",
"397000221_26": "「――わかりましたッ!\\n 及ばずながら、ボクもお力になれるよう、頑張りますッ」",
"397000221_27": "「緒川さん、行ってください。\\n ここは私たちが預かりますッ」",
"397000221_28": "「ありがとうございます。",
"397000221_29": " ――以後、判断の全権を友里さんに委譲しますッ!」",
"397000221_30": "「それでは、ここをよろしくお願いしますッ!」",
"397000221_31": "「「「はいッ!!」」」",
"397000221_32": "「フン……バカみたいにデケェ地震が収まったかと思えば、\\n 妙な気配が現れやがったな」",
"397000221_33": "「何か……胸がざわつくような感じがします。イシムの眷属を\\n 相手にした時みたいに、首筋がぴりぴりするような……」",
"397000221_34": "「師範ッ! 街に急ぎましょうッ!\\n これはきっと、なにか大変なことが起こってますッ」",
"397000221_35": "「ま、いいだろう。熊を相手にするのも飽きていたところだ。",
"397000221_36": " ちょっとは手応えのある相手であることを期待するとするか」"
}

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@ -0,0 +1,34 @@
{
"397000231_0": "「ハッ!」",
"397000231_1": "「手応えはあり……ですが、致命傷には至りませんか。\\n それなら――ッ」",
"397000231_2": "「急所らしき部位への連続攻撃。\\n これならどうですかッ」",
"397000231_3": "「倒せない相手ではない……",
"397000231_4": " しかし、こうも頑丈では1体1体に時間がかかり過ぎますね」",
"397000231_5": "「それに……」",
"397000231_6": "「『待ち合わせ、遅れちゃう』『はい、弊社の商品を今後とも\\n どうぞ――』『今年こそ、甲子園に――』」",
"397000231_7": "(無作為に放たれる言葉……この不気味さが、警察や自衛隊員を\\n 怯ませていて、なかなか救助も撃退も進まない……",
"397000231_8": "(響さんたちの言う通り、倒すたびに目を覚ます人々がいる……。\\n しかし、意識ははっきりせず、覇気に欠けている――",
"397000231_9": "(まるで、人間として必要な何かを、\\n 取り戻せていないような……",
"397000231_10": "「想い出、か……。\\n 全て取り戻すには、どうしたら……」",
"397000231_11": "「ドッペルゲンガー、さらに複数体を確認ッ!\\n 民間人の意識不明者も増加し続けていますッ」",
"397000231_12": "「手数はどうしたって足りていない……」",
"397000231_13": "「けれど、これらを倒さないことには事態は改善しない――ッ!」",
"397000231_14": "「緒川さんッ! ドッペルゲンガーの出現とほぼ同じくして、\\n 周辺の人々が意識を失っていることを確認しました」",
"397000231_15": "「また、ドッペルゲンガーの数と倒れた人の数は、\\n 比例関係にあります」",
"397000231_16": "「これは、そう……まるで、ドッペルゲンガーが\\n 人の生命力をエネルギー源にしているというより……」",
"397000231_17": "「生命力や想い出そのものが、\\n ドッペルゲンガーを形作っているかのようです」",
"397000231_18": "「つまり……あれは人から奪ったエネルギーが詰まった、\\n 器のようなものということですか」",
"397000231_19": "「はい。だとすれば、目を覚ましても様子がおかしいのは、\\n 想い出や生命力を、既にある程度消費したからなのかも……」",
"397000231_20": "「つまり……時間をかければかけるほど、\\n 人々の後遺症も深刻になる可能性がある……ということですね」",
"397000231_21": "「引き続き、ドッペルゲンガーの解析と、\\n 警察や自衛隊との情報共有をお願いしますッ」",
"397000231_22": "「了解しま……わぁッ!?\\n な、なんですかッ」",
"397000231_23": "「な、なんだお前ら……ッ!\\n いつの間に発令所に――うわあああッ」",
"397000231_24": "「どうしましたッ!?\\n いったいなにが……ッ」",
"397000231_25": "「通信が途切れた……ッ!",
"397000231_26": " まさか……本部が何者かの襲撃を受けたッ!?」",
"397000231_27": "(この状況で、本部への襲撃……",
"397000231_28": " まさか、ドッペルゲンガーは陽動ッ!?)",
"397000231_29": "「く……ッ、\\n 来るな、来ないでくれぇ……ッ」",
"397000231_30": "(だからといって、この状況を捨て置くわけには……ッ!",
"397000231_31": " まずは、一帯のドッペルゲンガーをどうにかしなくては――ッ!)"
}

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@ -0,0 +1,58 @@
{
"397000232_0": "(長引けば長引くほど、奪われた想い出が消化されてしまう。\\n 本部の状況もわからない……ッ",
"397000232_1": "「圧倒的に戦力が足りていない……ッ!\\n このままでは……ッ」",
"397000232_2": "「そらよ、とォッ!\\n 一撃で倒れんじゃねえぞッ」",
"397000232_3": "「あなたは……ッ!?」",
"397000232_4": "「ヒィィィイロォォォ……\\n キィィイックーーッ」",
"397000232_5": "「――改めッ!\\n オケアスキック、ですッ」",
"397000232_6": "「街の平和を乱す怪物は、\\n このあたしと師範が許しませんッ」",
"397000232_7": "「お前と一緒にすんな。\\n 俺は手応えのある相手がいれば、それでいい」",
"397000232_8": "「そういう意味じゃあこいつらは、そこそこってとこだな。\\n 熊よりは殴りがいがある」",
"397000232_9": "「……ん?",
"397000232_10": " お前……弦十郎のところで見たな」",
"397000232_11": "「緒川さんッ!\\n ご無沙汰してますッ」",
"397000232_12": "「お久しぶりです。\\n それと、助太刀感謝します」",
"397000232_13": "「助けたつもりはねぇよ」",
"397000232_14": "「あッ! ……ていうかあたし、\\n オケアスの力を使ってしまってるんですけど……ッ」",
"397000232_15": "「こ、これって……緊急事態ですよね?\\n 使ってもいいですよねッ」",
"397000232_16": "「ええ。事後承認ではありますが、\\n 処分などが及ばないように取り計らいます」",
"397000232_17": "「よかったぁ……」",
"397000232_18": "「しっかしこの化け物ども……\\n どこから湧いてきやがった」",
"397000232_19": "「『タイムセール、間に合うかしら』『持久走めんどくせぇ。\\n 雨でも降らないかな』『今月のルマ、まだ半分も残ってる』」",
"397000232_20": "「脈絡のないことをブツブツと呟いていやがるし……」",
"397000232_21": "「セールとか、持久走とか……\\n 言ってることがめちゃくちゃです」",
"397000232_22": "「この『ドッペルゲンガー』たちは、\\n 人の想い出を奪って活動しています」",
"397000232_23": "「倒せば想い出はもとの持ち主に戻るようですが、\\n 刻一刻と想い出は消化されていきます」",
"397000232_24": "「それってつまり……急いで倒さなきゃ、\\n 街の人が大変なことになるってことじゃないですかッ」",
"397000232_25": "「なるほど。\\n 人助けなんてのはガラじゃねぇが――」",
"397000232_26": "「タイムアタックモードと思えば、少しはやりがいもあるか。",
"397000232_27": " ……ところで、弦十郎のやつはどうした?」",
"397000232_28": "「ちょうど、政府からの要請で留守にしていたところです。\\n 今は連絡が取れません」",
"397000232_29": "「フン、政府なんぞの飼い犬になるからだ」",
"397000232_30": "「師範ッ! そんなことは後でいいですからッ!\\n 今はみんなを助けましょうッ」",
"397000232_31": "「想い出が無くなっちゃうなんて、そんなの悲しいですッ!\\n あたしも響先輩たちと一緒に……って、響先輩たちは」",
"397000232_32": "「装者の皆さんは、\\n それぞれが任務に出ています」",
"397000232_33": "「つまり……あたしたちしか戦える人はいないんですね。\\n それならあたしが、このオケアスの力でッ」",
"397000232_34": "「せめて、想い出が吸い取られている流れがわかれば、\\n 次にドッペルゲンガーが出る場所がわかるはず……ッ」",
"397000232_35": "「……あれ?\\n これは……」",
"397000232_36": "「どうした?」",
"397000232_37": "「吸い取られる想い出の『流れ』が見えたんですけど、ドッペル\\n ゲンガーの中で、流れが終わっているわけではないみたいです」",
"397000232_38": "「でも、そこから先が見えない……」",
"397000232_39": "「まるで、ドッペルゲンガーの中に『穴』みたいなものがあって、\\n そこから漏れているような……」",
"397000232_40": "「つまり、奴らはそこで『消化』を行っていると……?」",
"397000232_41": "「うーん……す、すみません。まだオケアノス本来の力を\\n 使いこなせてないからか、そこから先が追えなくて……」",
"397000232_42": "「いえ、敵の情報は少しでも欲しいところですから。\\n 助かります」",
"397000232_43": "「そして……お2人とも。来てくださって早々で\\n 申し訳ありませんが、この場をお任せしてもよろしいですか」",
"397000232_44": "「どういうことだ?」",
"397000232_45": "「S.O.N.G.本部が何者かの襲撃を受けています。\\n 一刻も早く、戻りたいのです」",
"397000232_46": "「ええッ!? 大変じゃないですかッ!\\n エルフナインちゃんや、友里さんたちは……ッ」",
"397000232_47": "「なんらかの通信妨害を受けているようで、\\n 連絡がつきません」",
"397000232_48": "「これくらいの手合い、俺と明日香がいれば十分だ。\\n とはいえ――」",
"397000232_49": "「さしあたって、周囲を囲んでいるこいつらを掃除しなきゃ、\\n 突破できそうもないな」",
"397000232_50": "「師範ッ!」",
"397000232_51": "「うるせぇな。手を貸せってんだろ?",
"397000232_52": " ……ま、あそこの連中には世話になっちまったからな」",
"397000232_53": "「――いいだろう、道を切り拓いてやる」",
"397000232_54": "「感謝します」",
"397000232_55": "「余計なことはいい……\\n 来るぞッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,93 @@
{
"397000241_0": "「制圧完了……か」",
"397000241_1": "「もうちょっと抵抗があるかと思ったんだけど。",
"397000241_2": " 国連直轄とは言っても、聖遺物使いがいなければこの程度か」",
"397000241_3": "「でも、『緒川慎次』はやっぱり一味違うね」",
"397000241_4": "「ああ。ドッペルゲンガーを相手に、ああも戦えるとは……。",
"397000241_5": " ん、分身した? モニターだと何してるのかまるでわからないな」",
"397000241_6": "「いずれにしろ、彼がここにいたらすんなりいったかどうか。",
"397000241_7": " よかったです、使命感に駆られてくれて」",
"397000241_8": "「おかげで、こうして人質をとれた。",
"397000241_9": " こうすれば、帰ってきても簡単には身動きがとれないだろう」",
"397000241_10": "「く……ッ!」",
"397000241_11": "「言わせておけば……ッ!」",
"397000241_12": "「おっと。\\n 変な気は起こすなよ」",
"397000241_13": "「う……ッ!」",
"397000241_14": "「やめなさいッ!\\n 抵抗はしないから、誰も傷つけないでッ」",
"397000241_15": "「うるさいな。\\n そんなに吠えなくても聞こえている」",
"397000241_16": "「安心しろ。手を煩わせないなら、殺しはしない。\\n 人質はそれなりに数がいた方が、使い勝手がいい」",
"397000241_17": "「あなたたちは、いったい……」",
"397000241_18": "「……そうですね。\\n せっかくなので、名乗っておきましょうか」",
"397000241_19": "「……いいんだな?」",
"397000241_20": "「うん。わたしたちがどんな人間なのか知ってもらわないと。",
"397000241_21": " ……恨む相手の名前くらい、知りたいでしょうし」",
"397000241_22": "「……そうだな」",
"397000241_23": "「では、しばしお耳を拝借……」",
"397000241_24": "「わたしたちは『見放された世界』より参りました。\\n 組織としては、『<ruby=アザーズ>OTHERS</ruby>』と名乗っております」",
"397000241_25": "「OTHERS……他人、という意味でしょうか……",
"397000241_26": " しかし、『見放された世界』というのは……?」",
"397000241_27": "「わたしたちOTHERSの目的は――",
"397000241_28": " 略奪です」",
"397000241_29": "「略奪……ッ!?」",
"397000241_30": "「まさか、目的はS.O.N.G.の機密か聖遺物……ッ!?",
"397000241_31": " そう簡単に奪えるだなんて思うなよッ!!」",
"397000241_32": "「それに、街のあの怪物がお前たちの仕業だっていうなら、\\n 無差別な攻撃になんの意味があるんだッ」",
"397000241_33": "「……口上ぐらい静かに聞けないのか、お前たち。",
"397000241_34": " 足に一発ぶち込んでやれば、ちょっとは静かになるか?」",
"397000241_35": "「う……ッ!」",
"397000241_36": "「……いや、やめておこう。\\n お前は悲鳴の方がうるさそうだ」",
"397000241_37": "「フフ。続きをよろしいですか?",
"397000241_38": " ……略奪とは言いましたが、欲しいのはモノではありません」",
"397000241_39": "「機密? 聖遺物?\\n そんなものに興味はない」",
"397000241_40": "「……」",
"397000241_41": "「わたしたちが欲しいのは、星命力」",
"397000241_42": "「この世界の、いいえ、\\n 『大きな流れ』を持つ並行世界全ての……」",
"397000241_43": "「……失礼。\\n これは余計な情報ですね」",
"397000241_44": "「……やはり、『見放された世界』というのは、\\n こことは別の並行世界のことでしたか」",
"397000241_45": "「しかし、見放されたというのは……?」",
"397000241_46": "「知る必要はないです。\\n どのみち、あなたがたに選択の権利などありませんから」",
"397000241_47": "「わたしたちは……我らが『見放された世界』のために、\\n この世界を殺します」",
"397000241_48": "「世界を……殺すッ!?」",
"397000241_49": "「どういう意味……?」",
"397000241_50": "「それは……」",
"397000241_51": "「司令の不在に、好きにさせてたまるかッ!」",
"397000241_52": "「雑魚だと思ったかッ!? 俺たちのボディチェックを\\n しなかったことを後悔させて――ッ」",
"397000241_53": "「ぐぁ……ッ!」",
"397000241_54": "「――ッ!!",
"397000241_55": " なんてことを……ッ!」",
"397000241_56": "「動くな。",
"397000241_57": " どのみち即死だ、手当の必要はない」",
"397000241_58": "「く……ッ!!」",
"397000241_59": "「……そう睨むな。今のはそいつが悪い。\\n 銃なんか抜こうとするからそうなるんだ」",
"397000241_60": "「……けれど、少々もったいないことをしました。\\n あれもまた、資源となり得たのに」",
"397000241_61": "(想い出……資源……",
"397000241_62": " やはり、この人たちがドッペルゲンガーを……?)",
"397000241_63": "「けど、今ので伝わったはずだ。\\n あたしたちが、本気だってこと」",
"397000241_64": "「それでも抵抗するというなら……",
"397000241_65": " 死に急ぐのは愚かだと思うけど、やってみればいい」",
"397000241_66": "「……1つ、いいかしら?」",
"397000241_67": "「……なんでしょう?」",
"397000241_68": "「S.O.N.G.本部の中枢であるこの発令所まで、\\n どうやって警備をかいくぐって侵入したの」",
"397000241_69": "「ちょっとやそっとで潜り込めるほど、\\n 平和ボケしていたつもりはないのだけど」",
"397000241_70": "「どうやって、か……」",
"397000241_71": "「どうやってもこうやってもないさ。\\n お前たちは、どうせあたしたちに気づかない」",
"397000241_72": "「ええ。本当に、ずっと見ていたというのに、酷い話です。\\n あなたたちのファンよりも熱烈に観察していたつもりですよ」",
"397000241_73": "「けれど……わたしたちは、わたしたちの世界同様、\\n 存在が薄いですからね」",
"397000241_74": "「薄い……?\\n それは、どういう……」",
"397000241_75": "「……」",
"397000241_76": "「…………?」",
"397000241_77": "「質問コーナーはこのあたりにして、話を戻しましょう」",
"397000241_78": "「残念ながら、S.O.N.G.の方々……特に『ネームド』の\\n あなたがたは、非常に強い精神力をお持ちです」",
"397000241_79": "「力とは、高きから低きに流れるもの……」",
"397000241_80": "「『自分が自分である』と言い切れないような有象無象であれば、\\n その生命力は弱い方の器に収まってくれるものなのですが……」",
"397000241_81": "「強い自我を持つ者は、\\n 困ったことにドッペルゲンガーに生命力を収めるのも一苦労です」",
"397000241_82": "「想い出……生命力を器に箱詰めして持ち帰るのがあたしたちの\\n 目的だ」",
"397000241_83": "「……が、お前たちはそれもうまくいかないときた」",
"397000241_84": "「だったら……あたしらで、お膳立てしてやる必要がある。\\n そうだろう」",
"397000241_85": "「な、なにを……ッ!」",
"397000241_86": "「心が強いなら、それを折るだけです。\\n ――そのための手段なら、わたしたちはよく心得ています」",
"397000241_87": "「ま、まさか……\\n ここで俺たちを……ッ」",
"397000241_88": "「安心しろ、無駄に苦しめるのは趣味じゃない。\\n 殺すときは――ひと思いに終わらせてやる」",
"397000241_89": "「全員、構えろッ!」",
"397000241_90": "「…………ッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,81 @@
{
"397000311_0": "倉庫の冷たい床",
"397000311_1": "「ほら、入りな」",
"397000311_2": "「ひゃ……ッ!」",
"397000311_3": "「お前たちは、ここでおとなしくしていろ」",
"397000311_4": "「妙なことを考えたらどうなるか……お花畑の詰まった\\n その頭でも、想像くらいできるだろう」",
"397000311_5": "「……足音が遠ざかっていく……。\\n 本当に行ったみたいね」",
"397000311_6": "「くそッ!\\n まさか、本部で閉じ込められるなんて……」",
"397000311_7": "「いたたッ」",
"397000311_8": "「だ、大丈夫ですかッ!?」",
"397000311_9": "「さっき蹴られたところね……",
"397000311_10": " まったく、無茶するんだから」",
"397000311_11": "「面目ない……緒川さんや司令だったら、\\n こんなことにはならなかっただろうに……」",
"397000311_12": "「私たちの護身術程度じゃ、\\n どうにもならないわね……」",
"397000311_13": "「それにしても、\\n どういうことでしょうか……」",
"397000311_14": "「安心しろ、無駄に苦しめるのは趣味じゃない。\\n 殺すときは――ひと思いに終わらせてやる」",
"397000311_15": "「…………ッ!」",
"397000311_16": "(こうなったら、イチかバチか――ッ!)",
"397000311_17": "(――ッ!?",
"397000311_18": " 待てッ!)",
"397000311_19": "「……キョウ様、ヨウ様。\\n ご報告が」",
"397000311_20": "「……どうした?」",
"397000311_21": "「実は――」",
"397000311_22": "「……なんだと?",
"397000311_23": " 『グレイプニル』で?」",
"397000311_24": "「他の支流は?",
"397000311_25": " ……、…………ッ!?」",
"397000311_26": "「な……なに?\\n 揉め事……」",
"397000311_27": "「『スヴォル』でも予想以上の――」",
"397000311_28": "「そうですか……『ドラウプニル』あたりの抵抗は\\n 予想していましたが、『グレイプニル』とは……」",
"397000311_29": "「『グレイプニル』……\\n 『スヴォル』に、『ドラウプニル』……」",
"397000311_30": "「なんの話だ……?」",
"397000311_31": "「いずれも北欧神話に語られる、\\n 道具の名前ですが……」",
"397000311_32": "「『グレイプニル』……\\n セレナさんが纏った、デュオレリック……」",
"397000311_33": "「話の流れから言って、どうにも別の意味で話しているみたいね。\\n ……なにかの暗号かしら」",
"397000311_34": "「それより……\\n 奴らが気を取られている今がチャンスだ」",
"397000311_35": "「考えることは同じだったみたいね」",
"397000311_36": "「え?\\n 人とも、なにを……」",
"397000311_37": "「このまま黙ってやられるほど……\\n お行儀がよくないってことよッ」",
"397000311_38": "「デスクの裏に銃が……ッ!?\\n き、緊急用……ということですかッ」",
"397000311_39": "「こういう事態だって、S.O.N.G.にいるなら想定内ッ!\\n ……やるわよッ」",
"397000311_40": "「こうなったら、やぶれかぶれだッ!」",
"397000311_41": "「武器を捨てなさ――」",
"397000311_42": "「――届かせませんよ、その一手」",
"397000311_43": "「……抜け目がありませんね。\\n とはいえ、デスクの裏に隠した銃をとる動作で数手……」",
"397000311_44": "「わたしたちに銃を向けるために、また数手。\\n ええ、おっしゃる通り、『想定内』です」",
"397000311_45": "「嘘……ッ!?",
"397000311_46": " 完全に不意を突いたのに……ッ!?」",
"397000311_47": "「言ったでしょう、見ていたと。",
"397000311_48": " 気に入ってリピ買いしてる下着のメーカー、当てましょうか?」",
"397000311_49": "「う、うぉおおおおおおお……ッ!」",
"397000311_50": "「はぁ……」",
"397000311_51": "「ぐあぁ……ッ!」",
"397000311_52": "「藤尭さんッ!」",
"397000311_53": "「本当に行儀の悪い人質だな。そんなに死に急ぎたいか?\\n 大事にした方がいい、たったつの命なんだ」",
"397000311_54": "「それを奪おうとしておいて、なにを……ッ!!」",
"397000311_55": "「そうですね。しかし……少し事情も変わったことですし、\\n しばらく『いのちだいじに』でお願いできますか」",
"397000311_56": "「げほ、ごほ……ッ!\\n あ、あの機械の足、なんて威力だ……ッ」",
"397000311_57": "「あ、あなたたちはいったい……『スヴォル』や\\n 『ドラウプニル』とは…… それに、その身体は……」",
"397000311_58": "「……さて、なんだろうな。",
"397000311_59": " それより、聞き耳を立てるとは感心しないな」",
"397000311_60": "「お前にも、\\n 仕置きが必要か――ッ」",
"397000311_61": "「く…………ッ!」",
"397000311_62": "「ヨウ、待ってッ!」",
"397000311_63": "「――ッ!?\\n ……キョウ どうして……」",
"397000311_64": "「……今はこっちに時間を割いてる場合じゃない。\\n 他の支流の問題を先に解決しよう」",
"397000311_65": "「……そうだね。\\n それじゃあ、こいつらは――」",
"397000311_66": "「ほんっとーに……\\n 死んだかと思ったよ……」",
"397000311_67": "「あの手足……\\n ただの義手や義足じゃないみたいね」",
"397000311_68": "「銃も取り上げられてしまったし、\\n 隙をついたところで倒せる相手じゃないみたい」",
"397000311_69": "「それ以前に、こうもきつく縛られたら、\\n 動くことすらできないって」",
"397000311_70": "「すみません……\\n ボクだけ、なにもできなくって……」",
"397000311_71": "「気にしなくていいわよ。\\n 戦い方は、人それぞれ。そうでしょ」",
"397000311_72": "「それに、諦めるのは早いさ。\\n こうして生きている以上、きっとチャンスは巡ってくる」",
"397000311_73": "「ええ。\\n 今できることを考えましょう」",
"397000311_74": "「藤尭さん、友里さん……」",
"397000311_75": "「……ボク、励まされてばかりですね。",
"397000311_76": " でも……お2人の言う通りです」",
"397000311_77": "(装者のみなさんがいない今、\\n ボクはボクにできることをしなきゃ",
"397000311_78": "(それが……ボクの戦いですッ!)"
}

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@ -0,0 +1,22 @@
{
"397000321_0": "一方その頃、セレナの世界では――",
"397000321_1": "「これ以上、誰も傷つけさせない――ッ!」",
"397000321_2": "「よし、倒せたッ!",
"397000321_3": " でも……」",
"397000321_4": "(次から次へと……。\\n キリがないな、これは",
"397000321_5": "(はい……。",
"397000321_6": " でも、やらないわけにはいきませんッ!)",
"397000321_7": "「セレナ、そちらの戦況は?」",
"397000321_8": "「倒せない敵ではありません。ただ、これまで戦ってきたものとは\\n 勝手が違って、思うようには……」",
"397000321_9": "「こらえてください。\\n 分析が進めば、有効な手立ても見えてくるはずです」",
"397000321_10": "「はいッ!」",
"397000321_11": "「そうは言っても、この物量……\\n このままではジリ貧ですね」",
"397000321_12": "「自衛隊も対処に出ているようですが、\\n 戦果は芳しくないようです」",
"397000321_13": "「心苦しくはありますが、\\n また、あの世界に頼ることになりそうですね……」",
"397000321_14": "「マリア姉さんたちの世界に……?」",
"397000321_15": "「ええ。ですがそれには、あなたに出向いてもらわねば\\n なりません。その前に――」",
"397000321_16": "「はいッ!\\n まずは、この怪物たちをわたしがどうにかしなくちゃッ」",
"397000321_17": "「ヴェイグさん、手伝ってくれる?」",
"397000321_18": "「オレもこんな濁った<ruby=にお>臭</ruby>いの中にはいたくないからな、仕方ない。\\n そうと決まれば……お前の全力を見せてやれッ」",
"397000321_19": "「はいッ!!」"
}

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@ -0,0 +1,12 @@
{
"397000322_0": "「これで、お終いですッ!」",
"397000322_1": "「ハァ、ハァ……ッ!」",
"397000322_2": "「ノイズでも、アルカ・ノイズでもない……\\n なんだったんだ、こいつらはッ」",
"397000322_3": "「わかりません。\\n けれど……ッ」",
"397000322_4": "「第3波はこれで凌いだようですね……ご苦労様です、セレナ。\\n ……大丈夫ですか」",
"397000322_5": "「はいッ!\\n すぐに、マリア姉さんの世界に向かいますッ」",
"397000322_6": "「頼みましたよ。あなたが助けを連れて戻ってくるまでは、\\n 私の指揮でもたせます」",
"397000322_7": "「この世界を護るべきは私たち……\\n 不甲斐なくはありますが、今は――」",
"397000322_8": "「助けを求められる隣人がいることを、\\n 幸いに思いましょう」",
"397000322_9": "「はいッ!\\n 必ず、助けを呼んできますッ」"
}

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@ -0,0 +1,53 @@
{
"397000331_0": "――同時刻。",
"397000331_1": "「この拳、受けられるものならば受けてみろッ!」",
"397000331_2": "「ふむ……妙な手応えの敵だな。\\n 実体があるのは確かだが、妙に捉えどころがない」",
"397000331_3": "「どうやら何らかのエネルギーを固めることで、\\n 疑似的な質量体を作り出しているようね」",
"397000331_4": "「これが何者かの手によるものだとすれば、\\n なかなか面白い技術ですねぇ」",
"397000331_5": "「しかぁーーーしッ!」",
"397000331_6": "「英雄たるこの僕の前に立ちはだかるには、力が足りないッ!\\n 数が足りないッ そして何よりもぉぉぉ……」",
"397000331_7": "「役者が足りていないッ!」",
"397000331_8": "「まったく、うるさいわね」",
"397000331_9": "「戦力としては申し分ないのですが……」",
"397000331_10": "「風鳴司令ッ!」",
"397000331_11": "「どうしたッ!\\n こちらは未だ交戦中だッ」",
"397000331_12": "「司令たちが戦っている正体不明の怪物ですが、\\n 世界各地で同様の状況が発生していますッ」",
"397000331_13": "「地震に続いての怪物の出現……。",
"397000331_14": " この2つは関係していると見てよさそうだな」",
"397000331_15": "「そうなると、私たちがいる日本はともかく、\\n 他の地域では戦力が圧倒的に足りていないでしょうね」",
"397000331_16": "「今こそ僕の力を世界に示し、英雄となるべき時ッ!\\n これは天が僕に与えし配剤ッ」",
"397000331_17": "「あんただけ放り込んでどうにかなるんだったら、\\n それもいいんだけどね……」",
"397000331_18": "「この状況、さすがに多勢に無勢が過ぎるな。",
"397000331_19": " ……あれを使うか」",
"397000331_20": "「はぁ……またあの世界に頼ることになるのね。\\n まったく、借りばかりが増えていく」",
"397000331_21": "「不要ですッ! この僕1人で千人力、いいえ、\\n 桁とばして百万人力ッ 援軍など余計な――」",
"397000331_22": "「むぐッ!?」",
"397000331_23": "「博士ッ!\\n 少し黙っていてくださいッ」",
"397000331_24": "「そうですよ、話が進みませんッ!」",
"397000331_25": "「もごーッ!?\\n んごご、むごーッ」",
"397000331_26": "「ほら博士、戦いましょうッ!\\n 英雄の働きを今こそ世界に見せるときですよッ」",
"397000331_27": "「……助かるわ」",
"397000331_28": "「それで……\\n 援軍要請には私が行くわ」",
"397000331_29": "「君が……?」",
"397000331_30": "「ええ。並行世界をこの目で見られないことが\\n 存在を知ってからずっと、腹立たしかったのよね」",
"397000331_31": "「こんな千載一遇のチャンス、\\n 逃す手はないじゃない」",
"397000331_32": "「フッ……いいだろう。行ってくれ。",
"397000331_33": " この場は俺たちが抑えるッ!」",
"397000331_34": "「……あら、そんなに簡単に私を信じていいの?\\n デュプリケイターを使って、何かするかもしれないわよ」",
"397000331_35": "「あなたがいない並行世界で、\\n また月を落とそうとしてしまうかも」",
"397000331_36": "「うん?",
"397000331_37": " ……ああ、そうだな」",
"397000331_38": "「……なによ、その見透かしたような笑みは」",
"397000331_39": "「なにということはないさ。しかしまぁ、君という戦力を\\n 欠くのは、いささか以上に痛いな」",
"397000331_40": "「できれば……\\n 早く帰ってきてくれるとありがたい」",
"397000331_41": "「……仕方ないわね、善処してあげる。\\n ――行ってくるわね」",
"397000331_42": "「あの世界に援軍を求めるのは賛成ですが、\\n 極力こちらでなんとかしたいですね。となれば……」",
"397000331_43": "「あまり頼りたくはないですが、\\n 実力は申し分ないですし……」",
"397000331_44": "「当てがあるのか?」",
"397000331_45": "「ええ。司令も知っている相手です。",
"397000331_46": " ――とはいえ」",
"397000331_47": "「まずは、この状況をなんとかしないといけませんね」",
"397000331_48": "「病み上がりの身体も温まってきたところだ。\\n ――行くぞッ」",
"397000331_49": "「はいッ!」",
"397000331_50": "「僕に命令しないでいただきたいッ!\\n 英雄とは、何者にも降らぬからこそ英雄なのですッ」"
}

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@ -0,0 +1,58 @@
{
"397000332_0": "そしてまた、異なる並行世界では――",
"397000332_1": "「ぶっ飛べぇぇえええッ!」",
"397000332_2": "「おし、一丁上がりだな」",
"397000332_3": "「奏、また別の地点で正体不明の怪物が確認された」",
"397000332_4": "「またかよッ!?\\n これで何箇所目だ」",
"397000332_5": "「日本だけでなく、\\n 世界各地で同様の事態が発生しているようだ」",
"397000332_6": "「1体1体の強さはともかく、\\n こうも連戦となるとさすがにきついな……」",
"397000332_7": "「『彼ら』もまた、この事態の収拾にあたっているらしい。\\n 向こうが片づけば、こちらへの援軍を期待できるだろう」",
"397000332_8": "「彼ら……?",
"397000332_9": " ああ、なるほど」",
"397000332_10": "「だけど、あまり借りを作りたくもないしな。\\n もうひと踏ん張り、いくとするかッ」",
"397000332_11": "「きゃぁあああああ……ッ!\\n か、怪物……ッ」",
"397000332_12": "「ひ……ッ!」",
"397000332_13": "「こ~ら、そこで立ち止まらないの」",
"397000332_14": "「ほら、早くお行きなさいな。\\n ベソかいてたら、可愛いお顔が台無しよ」",
"397000332_15": "「あ、ありがとうございます、お姉さんッ!」",
"397000332_16": "「あーしがこうして人助けをするとはね〜。",
"397000332_17": " 絆されちゃったって、こういうことを言うのかしら?」",
"397000332_18": "「こちらも片づいたようだな」",
"397000332_19": "「とりあえず、仕事は果たしたワケダ」",
"397000332_20": "「言った矢先に、追加が来たか……」",
"397000332_21": "「いい加減、しつこいワケダ」",
"397000332_22": "「もうッ! なんなのよ~、こいつらッ!\\n 熱烈にもほどがあるでしょッ」",
"397000332_23": "「なにを目的に、誰が糸を引いているのか。\\n いい加減、糸口が欲しいワケダ」",
"397000332_24": "「その解明も私たちの仕事だ。",
"397000332_25": " サンプルを持ち帰りたいところだが……」",
"397000332_26": "「――下がっていたまえ。\\n 怪我をしないようにね」",
"397000332_27": "「――横に跳べッ!」",
"397000332_28": "「他愛ないね、僕にとっては。\\n 二流もいいところだ、怪物とは言っても」",
"397000332_29": "「ちょっとぉ〜ッ! 危ないじゃないッ!\\n お肌に火傷が残ったらどうするつもりッ」",
"397000332_30": "「避けるのは容易いだろう?\\n 君たちならば」",
"397000332_31": "「そういう問題ではないワケダ」",
"397000332_32": "「局長、あの怪物は分析に回すべきです。\\n すべて焼き払ったのはどういう了見ですか」",
"397000332_33": "「必要ないね、そんなもの。\\n 既に済んでいるようなものだよ、解析は」",
"397000332_34": "「……?」",
"397000332_35": "「気づいているだろう、君たちも。\\n あの怪物が、想い出を人々から奪っていることにね」",
"397000332_36": "「それはまぁ、うすうす感づいてはいたけど……」",
"397000332_37": "「想い出の焼却が思い当たるね。\\n 想い出と言えば」",
"397000332_38": "「キャロルが奥の手として用いていたワケダ」",
"397000332_39": "「だが、生態として想い出を奪う機能があるようだね、\\n あの怪物には」",
"397000332_40": "「別物だよ、それも。<ruby=オートスコアラー>自動人形</ruby>たちとは。\\n どうやら一線を画すようだね、僕らが知る技術や知識と」",
"397000332_41": "「さて、どうするべきかな。\\n 世界中を襲うこの脅威を」",
"397000332_42": "「――この状況、ギャラルホルンを保有する件の並行世界が\\n 関わっている可能性がある」",
"397000332_43": "「あら。\\n 自分の倒すべきぶんは倒し終わったって顔」",
"397000332_44": "「この世界のものではない脅威……。\\n 別の並行世界から持ち込まれたものと考えるのが自然だ」",
"397000332_45": "「そして、これまで起こった並行世界を越えた驚異の中心には、\\n 常にあの世界とシンフォギア装者たちがいた」",
"397000332_46": "「あの世界になにかしらの情報が集まっている可能性が\\n あるというのは、考えられる可能性なワケダ」",
"397000332_47": "「でも、そうなるとぉ~……」",
"397000332_48": "「二課に協力を要請する必要がある。あの世界と連絡を取るには、\\n シンフォギア装者である天羽奏の協力が不可欠だ」",
"397000332_49": "「うまくいくものかな、そう都合よく。\\n 彼らも手が離せないだろうね、怪物への対応に追われて」",
"397000332_50": "「回りくどいぞ。\\n なにか手段があるのなら、さっさと言え」",
"397000332_51": "「フッ、つれないねぇ、相変わらず。",
"397000332_52": " しかし、話を進めるとしよう、今日のところは」",
"397000332_53": "「出番なのさ。\\n 『とっておき』のね」",
"397000332_54": "「それは……?」",
"397000332_55": "「先日、僕を訪ねてきたんだよ。\\n 艦を率いた――可愛らしいお客さんがね」"
}

View file

@ -0,0 +1,61 @@
{
"397000411_0": "思いつきを、数字で",
"397000411_1": "「倒しても倒しても、\\n 数が減らない……ッ」",
"397000411_2": "「ったく、どこから湧いてきやがるんだか」",
"397000411_3": "(人の声がもうほとんど聞こえない……。\\n 避難が済んだのならいいのですが。それに――",
"397000411_4": "「く……ッ!」",
"397000411_5": "「なんだ?\\n もうへばったか」",
"397000411_6": "「いえ……連戦による体力の消耗は確かにありますが、\\n それとは別です」",
"397000411_7": "「おそらく、ドッペルゲンガーに生命力を奪われているのでしょう。\\n 人は大丈夫なんですか」",
"397000411_8": "「確かに……じわじわと、\\n あの怪物に力を吸い取られているのを感じます」",
"397000411_9": "「ハ、鍛え方が足りねぇな。",
"397000411_10": " 山籠もりが終わったら、山頂と麓を百往復だ」",
"397000411_11": "「師範はなんともないんですか?」",
"397000411_12": "「ちょっと肩が凝ってるかもしれねぇが、その程度だな」",
"397000411_13": "「それくらいで済んでるのは、\\n 基礎体力が違い過ぎるからでしょうか……」",
"397000411_14": "(……ッ、眩暈が……ッ!)",
"397000411_15": "(しまった……ッ!\\n 避けきれない……ッ",
"397000411_16": "「危ないッ!」",
"397000411_17": "「これくらい、あたしだって――ッ!」",
"397000411_18": "(あの緒川さんがここまで追い詰められるなんて……\\n まさかこいつら、何か別の特殊能力が……ッ",
"397000411_19": "「え……ッ!?\\n なに、これ……力が、抜けて……ッ」",
"397000411_20": "「おいおいおい、こらこら何してやがんだ明日香ッ!\\n そんな程度で膝付くほど、ヤワな鍛え方した覚えはねぇぞッ」",
"397000411_21": "「――ぐッ!?",
"397000411_22": " なんだ、急に、引っ張られるみてぇな感覚が……ッ!」",
"397000411_23": "「……ッ、ゥオラァッ!」",
"397000411_24": "「師範ッ!」",
"397000411_25": "「ったく、テメェら。\\n 気を抜きすぎ、だ……」",
"397000411_26": "「し、師範……ッ!?\\n まさか、今ので深手を……ッ」",
"397000411_27": "「ダメージは大したことねぇ……。だが、なんだ……?\\n 一気に体力を吸っていきやがった……ッ」",
"397000411_28": "「はっきり見えました……師範の中にある大きな力が、\\n 一気にあの怪物に吸い取られる『流れ』が……ッ」",
"397000411_29": "「でも、師範から奪った生命力が全部、\\n あの怪物に宿っているわけではないみたいです」",
"397000411_30": "「やっぱり、消化を……ううん。\\n どこか他のところに生命力を送っている……」",
"397000411_31": "「……細けぇことは後でいい」",
"397000411_32": "「師範ッ!\\n 大丈夫なんですかッ」",
"397000411_33": "「当たり前だ。格ゲーは2ラウンド先取が基本だ。\\n 一度倒れた分、体力は全開よッ」",
"397000411_34": "「そんな無茶な……ッ!」",
"397000411_35": "(口ではああ言っていますが、\\n 茶蔵さんの消耗は相当なもの……加えて――",
"397000411_36": "(この数の怪物……ッ!\\n 消耗したこの人で、どう戦う……",
"397000411_37": "「緒川さんッ!\\n 先に行ってくださいッ」",
"397000411_38": "「なッ!?」",
"397000411_39": "「緒川さんはわたしたちが来る前から戦っているので、\\n わたしたちより消耗しているはずですッ」",
"397000411_40": "「それに、\\n 早くS.O.N.G.に戻らなきゃいけないんですよねッ!?」",
"397000411_41": "「しかし……ッ!」",
"397000411_42": "「この程度、\\n 俺と明日香がいりゃあ十分おつりが来る」",
"397000411_43": "「だろ?」",
"397000411_44": "「押忍ッ!!」",
"397000411_45": "「茶蔵さん、明日香さん……。",
"397000411_46": " …………」",
"397000411_47": "「緒川さん……?」",
"397000411_48": "「おいこら、先行けっつったろ。\\n どういうつもりだ」",
"397000411_49": "「この場をお人と共に切り抜け、S.O.N.G.の援護に\\n 来ていただく……それが一番、被害を小さく収める方法です」",
"397000411_50": "「お前……」",
"397000411_51": "「……チッ、仕方ねぇな。\\n その顔はなに言っても聞きそうにねぇ。とはいえ――」",
"397000411_52": "「この数は、\\n ちぃとばかし面倒だな」",
"397000411_53": "「それでも、やるしかないです……ッ!",
"397000411_54": " はぁああああ――ッ!」",
"397000411_55": "「――やけっぱちは感心しないわね」",
"397000411_56": "「今のは……ッ!?」",
"397000411_57": "「シュルシャガナと」",
"397000411_58": "「アガートラームッ!\\n ――助太刀するわ」"
}

View file

@ -0,0 +1,30 @@
{
"397000412_0": "「とりあえず――差し当たっての脅威は退けたようね。",
"397000412_1": " 助けに来るのが遅れて、ごめんなさい」",
"397000412_2": "「本部との通信が途切れて、詳しい位置がわからなかったんです。\\n ここに来る道すがらも、この怪物と戦っていて」",
"397000412_3": "「いえ、助かりました。お2人とも、ありがとうございます。\\n 聖遺物の回収任務がまさかここまで早く終わるとは」",
"397000412_4": "「それは……ごめんなさい、失敗したのだと思うわ。",
"397000412_5": " 突然、聖遺物の波形を観測できなくなったの」",
"397000412_6": "「報告して指示を仰ごうにも本部に連絡はつかない。\\n 嫌な予感がして、それで踵を返したというわけ。正解だったわね」",
"397000412_7": "「わたしの方も、同じです。\\n 街で異常が起こったと聞いて、急いで戻ったんです」",
"397000412_8": "「聖遺物の波形が、消えた……?」",
"397000412_9": "「……いえ、気になる事態ではありますが、後にしましょう。\\n それよりも今は、本部へ急がないと」",
"397000412_10": "「なにか起こったのね?」",
"397000412_11": "「何者かが本部を襲撃したようです。\\n ……既に発令所が制圧されている可能性もあります」",
"397000412_12": "「そんな……ッ!」",
"397000412_13": "「どうやら、事態は一刻を争うようね」",
"397000412_14": "「ここは大丈夫ですので、行ってくださいッ!」",
"397000412_15": "「化け物も残り少ない。体力もほぼ回復した。\\n 残った奴らを狩るのは俺たちだけで十分だ」",
"397000412_16": "「でもあなたたち、\\n ずいぶん消耗が激しいみたいじゃない」",
"397000412_17": "「確かに、ちょっとへばっちゃってましたけど……\\n エヘヘ。やっぱりみなさんは、かっこいい歌の戦士ですッ」",
"397000412_18": "「お2人の戦いを見たら、あたしも頑張らなくちゃって、\\n 元気が出ましたッ」",
"397000412_19": "「そうしたら不思議と……吸い取られるみたいな力の流れも、\\n ぴったり止まりました。なのであたしたちは大丈夫ですッ」",
"397000412_20": "「だから……行ってくださいッ!\\n あたしだって、今は戦う力が――人を護る力があるんですッ」",
"397000412_21": "「そこまで言われたら、\\n 信じて任せないわけにはいかないわね」",
"397000412_22": "「お願いします、水流さん」",
"397000412_23": "「はいッ!\\n お任せくださいッ」",
"397000412_24": "「背中くらいは護ってやらぁ。",
"397000412_25": " ――ってことだ、憂いはねえな?」",
"397000412_26": "「……はい。",
"397000412_27": " 急ぎましょうッ! 本部の状況が心配ですッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,60 @@
{
"397000421_0": "「どうですか、友里さん?\\n 縄、解けそうですか……」",
"397000421_1": "「難しいわね……かなり固く結んであるみたい。\\n せめて、身体の前で結ばれていれば、まだやりやすかったのだけど」",
"397000421_2": "「背中側で結ばれているから、\\n どうしても手探りに……」",
"397000421_3": "「ナイフの1本でもあればな……。\\n 代わりになりそうな道具は、全部取り上げられてるし」",
"397000421_4": "「それでも、今できることをやらないと……ッ!」",
"397000421_5": "「……そうだな。\\n 縄を噛みちぎってでも、脱出してやるッ」",
"397000421_6": "「敵の正体や狙いも分析したいわね」",
"397000421_7": "「ええ……本部の警備をかいくぐって発令所まで到達するなんて、\\n 並大抵のことじゃありません」",
"397000421_8": "「警備システムを破られたっていうことはないと思うけど……」",
"397000421_9": "「なにか、センサーに引っかからない手段を持っているのかもね。\\n 光学迷彩とか」",
"397000421_10": "「<ruby=シェンショウジン>神獣鏡</ruby>のウィザードリィステルスみたいな技術……とかも\\n 考えられるのか。なんせ並行世界だからな」",
"397000421_11": "「その可能性はありますが……",
"397000421_12": " それだと、違和感があります」",
"397000421_13": "「キョウと呼ばれた人が言っていました。\\n 『わたしたちは、わたしたちの世界同様、存在が薄い』……と」",
"397000421_14": "「ええ、そこは私もひっかかった。\\n 存在が薄い……どういう意味かしら」",
"397000421_15": "「まさか、影が薄くて人に気づかれにくいから、\\n 警備も誤魔化せたっていうんじゃないだろうな」",
"397000421_16": "「わかりません。ですがなんらかの手段、或いは生まれ持った\\n 性質として、気配を希薄させることができるとしたら……」",
"397000421_17": "「ボクたちが気づけていないだけで、\\n こうしている今も監視されているのかもしれません」",
"397000421_18": "「そんなの、まるで魔法じゃないか。\\n 錬金術とはまた違う異端技術を持っているってことか」",
"397000421_19": "「確証はありませんが、あの人たちの口ぶりは、\\n 『存在の薄さ』を忌々しく思っているようでした」",
"397000421_20": "「『見放された世界』……\\n 確か、そう言っていたわね」",
"397000421_21": "「そこに、\\n あの人たちの正体を知るヒントがあるかもしれません」",
"397000421_22": "「でも、そこまで正体不明だと、\\n 動かないのが正解なのか……」",
"397000421_23": "「こっちの動きをつかんでいたら、脱走しようとしてる私たちを\\n もっと早く止めようとするんじゃない それに――」",
"397000421_24": "「それに?」",
"397000421_25": "「悪い想像で行動を制限されるくらいだったら、\\n 出たとこ勝負に出た方が、勝ちの目はあるでしょ」",
"397000421_26": "「その大胆な行動力、たまに羨ましくなるよ……」",
"397000421_27": "「それがいいことに繋がることだってあるのよ。\\n ……こんな風にね」",
"397000421_28": "「縄が……ッ!」",
"397000421_29": "「苦労したけど、ようやくほどけたわ。",
"397000421_30": " 2人の縄もほどくわ。こんなところ、さっさと脱出よ」",
"397000421_31": "「……大丈夫、見える範囲に敵はいないわ」",
"397000421_32": "「まずはどこに向かいましょう?」",
"397000421_33": "「なんとか外部と連絡を取って、\\n 緒川さんや装者の皆と連携を取りたいところだけど……」",
"397000421_34": "「今の本部を連中への対抗手段も無しに進むのは避けたいわね。\\n いざという時のための武器が欲しいわ」",
"397000421_35": "「あの連中相手だと、銃くらいでは\\n 足止めにしかならないかもしれないけれど……ね」",
"397000421_36": "「まずは、武器庫の方へ……、",
"397000421_37": " う……ッ!?」",
"397000421_38": "「なに、この虚脱感……ッ!?」",
"397000421_39": "「貧血……? いえ、この感覚……まるで身体の内側から、\\n 力を奪われているような……ッ」",
"397000421_40": "「立っていられない……ッ!」",
"397000421_41": "「――ッ!? なにかに引っかかったッ!?\\n これは……ワイヤートラップ」",
"397000421_42": "「ノイズッ!?\\n どうしてッ」",
"397000421_43": "「まさか、並行世界からソロモンの杖を……ッ!?」",
"397000421_44": "「おそらく、ボクたちの脱走を見越して、\\n 罠を張っていたんですッ」",
"397000421_45": "「なんてドジを……ッ!\\n ごめんッ ほんっとーにごめんッ」",
"397000421_46": "「気にしてる場合じゃないでしょッ!」",
"397000421_47": "「か、囲まれてます……ッ!」",
"397000421_48": "「く、逃げ場がない……ッ!\\n 私たち程度、ただのイズで十分、というわけね……」",
"397000421_49": "「くそ……ッ!\\n ここまでなのか……ッ」",
"397000421_50": "「――まだですッ!」",
"397000421_51": "「調さんッ!?\\n マリアさんも――ッ」",
"397000421_52": "「待たせたわね」",
"397000421_53": "「どうしてノイズが……?」",
"397000421_54": "「正体不明の敵に発令所が乗っ取られたわ。\\n おそらく、別の世界からのお客さんよ」",
"397000421_55": "「なるほど……人が留守にしてる間に暴れるなんて、\\n 行儀が悪いわね」",
"397000421_56": "「教育してあげるわ。\\n 覚悟しなさいッ」",
"397000421_57": "「お仕置き、です」"
}

View file

@ -0,0 +1,31 @@
{
"397000422_0": "「ノイズなんて、今更敵じゃないッ!」",
"397000422_1": "「…………?」",
"397000422_2": "「今ので終わりみたいね。\\n 怪我はない」",
"397000422_3": "「はい、ありがとうございましたッ」",
"397000422_4": "「助かったよ、本当に……」",
"397000422_5": "「……」",
"397000422_6": "「調、どうかしたの?」",
"397000422_7": "「あッ……ううん。大したことじゃないんだけど、",
"397000422_8": " 感触がちょっとだけ、ノイズと違ったような……」",
"397000422_9": "「並行世界から持ち込まれたものだからかしら……?\\n 性能も違うのかもしれないわね」",
"397000422_10": "「そっか……そうだよね。\\n うん、今は敵に集中しないと」",
"397000422_11": "「ともあれ……間に合ってよかったわ。心配した。\\n 突然本部と連絡がつかなくなるんだもの」",
"397000422_12": "「緒川さんから聞きました。\\n 本部が襲われたみたいだって……」",
"397000422_13": "「緒川さんと会ったのかい?」",
"397000422_14": "「はい。\\n 茶蔵さんと水流さんも一緒で……」",
"397000422_15": "「あの2人が……。",
"397000422_16": " それで、緒川さんは今は?」",
"397000422_17": "「本部までは一緒に来たわ。人質になっている職員のみんなを\\n 解放するって、別行動を」",
"397000422_18": "「なるほど。\\n 緒川さんなら見つからずに動けるかもしれませんね」",
"397000422_19": "「それで、これからのことだけど。\\n まずは人を安全な場所に連れて行きたい――」",
"397000422_20": "「うわぁあああああああああああああぁぁ……ッ!」",
"397000422_21": "「い、今のは……ッ!?」",
"397000422_22": "「きっと、囚われている職員の声だわッ!」",
"397000422_23": "「――予定変更ね。\\n これ以上犠牲者を出さないためにも、そっちを優先しましょう」",
"397000422_24": "「みんなのことは、\\n わたしたちが護りますッ」",
"397000422_25": "「ええ、お願い……ッ!\\n 私たちも、自分でなんとかできることは、なんとかするからッ」",
"397000422_26": "「一難去って、また一難だな……ッ!」",
"397000422_27": "(戦えないボクには、ボクの戦い方がある……。\\n それは納得していたつもりだけど……",
"397000422_28": "(護られてばかりは、\\n やっぱり、どこか心苦しい……"
}

View file

@ -0,0 +1,9 @@
{
"397000431_0": "「悲鳴はこっちの区画から聞こえてきたわッ!」",
"397000431_1": "「――ッ!\\n そこで止まってッ」",
"397000431_2": "「えッ!?\\n ――あッ」",
"397000431_3": "「ドッペルゲンガーが、\\n あんなに……ッ」",
"397000431_4": "「――ッ!\\n 怪物の向こう、何人か倒れている……ッ」",
"397000431_5": "「く……ッ!\\n だったら、あとはとにかく早く倒すッ」",
"397000431_6": "「これ以上、生命力を――\\n 想い出を奪わせてなるものですかッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,39 @@
{
"397000432_0": "「こいつら、どれだけいるのよッ!?」",
"397000432_1": "「奥の部屋から、どんどん増えてくるッ!\\n キリがないッ」",
"397000432_2": "「わ……ッ!\\n こ、こっちに――」",
"397000432_3": "「エルフナイン――ッ!」",
"397000432_4": "「危なかった……ッ!\\n 大丈夫」",
"397000432_5": "「す、すみません……」",
"397000432_6": "「ううん。いつもエルフナインに助けられてるもの。\\n これくらい、どうってことないよ」",
"397000432_7": "(それでも、ボクが1番みなさんの負担に\\n なっていることは明らかです……",
"397000432_8": "「本部の中というのが厄介ね。下手に出力の高いギアを\\n 纏えば、本部の設備を破壊しかねないし」",
"397000432_9": "「それに、隠れている職員さんがいれば、\\n 巻き添えにしてしまうかも……」",
"397000432_10": "「交戦を最低限に抑えて職員を助けて、みんなを外に逃がせれば\\n いいんだけど……そう都合良くはいかないわね」",
"397000432_11": "「そうか……必要なのは、強い力ではなく、\\n 現状を打開する能力――ッ」",
"397000432_12": "「みなさん。\\n イチかバチかですが……ボクに考えがあります」",
"397000432_13": "「考え?」",
"397000432_14": "「聞かせてもらえるかしら?」",
"397000432_15": "「『アリアドネの糸』です。あの聖遺物には、迷宮を抜け出す\\n 道しるべになったという逸話があります」",
"397000432_16": "「でも、『アリアドネの糸』は分析がまだ途中のはずよね?」",
"397000432_17": "「はい。\\n ですから、これはイチかバチかです」",
"397000432_18": "「けれど、広く入り組んだS.O.N.G.本部で、職員のみなさんを助け、\\n 安全に脱出するには、新たな力が必要です」",
"397000432_19": "「確かに、それはそうかもしれないけど……」",
"397000432_20": "「勝算があるの?」",
"397000432_21": "「それは、その……",
"397000432_22": " か、かつて弦十郎さんも、こう言ったと聞きましたッ!」",
"397000432_23": "「思いつきを数字で語れるものかよーッ!」",
"397000432_24": "「エ、エルフナイン……?」",
"397000432_25": "「……なんて、威勢のいいことを言えればいいんですけど。",
"397000432_26": " これは、どこまでも賭けです」",
"397000432_27": "「それでもボクは、信じたいッ!\\n みなさんと一緒に戦ってきたからこその『思いつき』が……」",
"397000432_28": "「現状を打破するに足るものだとッ!!」",
"397000432_29": "「……そうだったわね。\\n あなたには、何度も何度も助けられたのだもの」",
"397000432_30": "「今回だって、きっと。\\n ――いいわ。あなたの『思いつき』に賭けましょう」",
"397000432_31": "「わたしも、エルフナインを信じるよ」",
"397000432_32": "「――ッ!",
"397000432_33": " ありがとうございますッ!」",
"397000432_34": "「もちろん、俺も異論はないよ」",
"397000432_35": "「それなら、まずはエルフナインちゃんの\\n 研究室に向かわないとね」",
"397000432_36": "「ええ、何が出てきても、\\n あなたたちには指一本触れさせない。行くわよッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,91 @@
{
"397000441_0": "「ここまではどうにか、無事にたどり着けたわね」",
"397000441_1": "「すぐにお2人のギアの改良に取り掛かりますッ!」",
"397000441_2": "「任せたわよ」",
"397000441_3": "「シュルシャガナをお願い」",
"397000441_4": "「はい、任されましたッ!」",
"397000441_5": "(この土壇場で、お2人がボクに大切なギアを預けてくれたんです。\\n 必ず、期待に応えないと――ッ",
"397000441_6": "(この切迫した状況、使える時間は限られている……ですが、\\n ダインスレイフを組み込んだ時と同じ要領でやればきっとッ",
"397000441_7": "(この『アリアドネの糸』を、\\n 現状を打破する新たな力としてみせる――ッ",
"397000441_8": "(これこそが、ボクの戦い……ッ!\\n ボクの、振るうべき力ですッ",
"397000441_9": "「でも、『アリアドネの糸』を組み込むってことは……\\n デュオレリックにするということだよね」",
"397000441_10": "「これまで土壇場で起こしてきた奇跡を、\\n 狙って起こすってことか……」",
"397000441_11": "「確かに、人為的にデュオレリックを\\n 引き起こすことは難しいです」",
"397000441_12": "「でも、これまでの研究成果と合わせれば、\\n その奇跡の一端を再現することも、不可能ではないはず」",
"397000441_13": "「それに、今必要なのは決戦機能のような切り札ではありません。\\n 目指すのは、シンフォギアの機能の拡張」",
"397000441_14": "「それなら、聖遺物同士の反発も最小に抑えられるはずです」",
"397000441_15": "「奇跡というには少し地味ですが、この状況を打開するのに、\\n それが必要だというのなら……」",
"397000441_16": "「ボクだって、奇跡を起こしてみせます――ッ!」",
"397000441_17": "「フッ、いい顔をするじゃない。\\n 信じるわ。あなたの奇跡を」",
"397000441_18": "「はいッ!」",
"397000441_19": "「あと少し……ッ!\\n ここで反発が起きなければ――ッ」",
"397000441_20": "「シミュレータを起動……\\n ……システムオールグリーン……こいッ」",
"397000441_21": "「……やったッ! 聖遺物同士の反発、ありませんッ!\\n シミュレーション成功ですッ」",
"397000441_22": "「やったわねッ!\\n さすがはエルフナインちゃんッ」",
"397000441_23": "「すぐに試しましょう」",
"397000441_24": "「ええ。\\n マリアさん、調さん、これを――」",
"397000441_25": "「――かわいくなるほど愚かだね。\\n そんなに喜んじゃってさ」",
"397000441_26": "「……ぬか喜びにならないといいけど」",
"397000441_27": "「「――ッ!?」」",
"397000441_28": "「いつの間に……ッ!?」",
"397000441_29": "「気配を感じなかった……ッ!」",
"397000441_30": "「この人が、本部を襲撃した敵……ッ!?」",
"397000441_31": "「ええ。\\n 指揮役をしていたうちの人よッ」",
"397000441_32": "「……それで?\\n それをどうするつもり」",
"397000441_33": "「マリア、この人……」",
"397000441_34": "「ええ……わかってる。\\n 只者じゃないわ」",
"397000441_35": "(聖詠を唱える隙がない……ッ!)",
"397000441_36": "「……抜きな」",
"397000441_37": "「え……?」",
"397000441_38": "「『武器』を抜けと言ったんだ。待っててやる。\\n それとも、敵を前に武器も出せないほどの腑抜けか」",
"397000441_39": "「……それは策?\\n それとも驕り」",
"397000441_40": "「……さあ、どうだか。\\n 試してみたらどうだ」",
"397000441_41": "「なめてくれるわね。でも、ちょうどいいわ。\\n エルフナインがくれた新しい力……試させてもらうッ」",
"397000441_42": "「やろう、マリアッ!」",
"397000441_43": "「Seilien coffin airget-lamh tron――」",
"397000441_44": "「Various shul shagana tron――」",
"397000441_45": "「「……え?」」",
"397000441_46": "「いつも通りの、ギア……?」",
"397000441_47": "「そんな、どうしてッ!?",
"397000441_48": " シミュレーションはうまくいったはずなのに……ッ!?」",
"397000441_49": "「わたしたちがギアの力を引き出せなかった……?」",
"397000441_50": "「フ……ハハハッ! アハハハハッ! ハ……はぁ……\\n 笑いを堪えるのって、大変。茶番もほどほどにしてほしいね」",
"397000441_51": "「その顔は……本当に、当てが外れたみたいだな。\\n まんまと騙されてくれて、ありがとう」",
"397000441_52": "「騙され、た……?」",
"397000441_53": "「どういう意味ッ!?」",
"397000441_54": "「フ……いいよ。",
"397000441_55": " 1つくらいは種明かしをしてあげる」",
"397000441_56": "「こちらの技術で動くはずもないんだ。\\n それは、言わばあたしたちが作った聖遺物……」",
"397000441_57": "「<ruby=アーティファクト>人工聖遺物</ruby>なんだから」",
"397000441_58": "「<ruby=アーティファクト>人工聖遺物</ruby>……ッ!?」",
"397000441_59": "「人の手によって作られた聖遺物、\\n ということですか……ッ」",
"397000441_60": "「その通り。\\n 根本的に、この世界の技術で御せるものじゃないんだよ」",
"397000441_61": "「フ……しかし、つくづく滑稽だったよ。\\n 楽しませてもらった」",
"397000441_62": "「あたしたちがバラまいたとも知らず、\\n 嬉々としてそんなものを集めてるんだから」",
"397000441_63": "「――ッ! それじゃあ、最近私たちが回収していた\\n 聖遺物は、あなたたちが……ッ」",
"397000441_64": "「なぜ、そんなことを……?」",
"397000441_65": "「そんなことは――\\n 後回しよッ」",
"397000441_66": "「新しい力がなかったとしても――わたしたちには何度も\\n 危機を乗り越えてきた、このギアがあるッ」",
"397000441_67": "「わたしたち2人を相手に出てきた迂闊のツケ、\\n 利息込みで払わせてあげるわッ」",
"397000441_68": "「ああ……わかってるよ。装者が強いってことは。\\n あたしたちは、『<ruby=お前たち>敵</ruby>』を決して過小評価などしていない」",
"397000441_69": "「――だから、お前たちは負けるんだッ!\\n 今ッ ここでッ」",
"397000441_70": "「――スイッチッ!?\\n そんなものを取り出していったいッ」",
"397000441_71": "「こうするのさッ!",
"397000441_72": " ――起動しろ、『アリアドネの糸』ッ!」",
"397000441_73": "「なッ……、\\n うぁああああ……ッ」",
"397000441_74": "「あぁあああああああぁ……ッ!?」",
"397000441_75": "「マリアさんッ!? 調さんッ!?",
"397000441_76": " どうしたんですかッ!?」",
"397000441_77": "「……ッ、わから、ない……ッ! 唄おうと――\\n フォニックゲインを高めようとした途端……ッ」",
"397000441_78": "「身体を内側から、焼かれてるみたいに……ッ!」",
"397000441_79": "「まさか――バックファイアッ!?\\n そんな……ッ、どうしてッ」",
"397000441_80": "「言ったろう、お前たちが嬉々として回収した\\n 『聖遺物モドキ』は、あたしらが作ったものだとッ」",
"397000441_81": "「……ッ!\\n まさか……ッ」",
"397000441_82": "「ああ、そのまさかッ! あたしたちが作ったものなんだ。\\n あたしたちが制御できて当たり前だろう」",
"397000441_83": "「お前たちは自分から、\\n 自分たちの武器に『毒』を仕込んだというわけさ」",
"397000441_84": "「そんな……ッ!\\n それじゃあ……この危機は、ボクのせい……」",
"397000441_85": "「……そんな顔をするなよ、お前はよく頑張った。",
"397000441_86": " ただ――」",
"397000441_87": "「残念だったなッ! お前たちの希望もッ! 奇跡もッ!\\n 全部あたしたちの手のひらの上なんだよッ」",
"397000441_88": "「さぁ……始めようか。\\n お前たちの、絶望を――ッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,107 @@
{
"397000511_0": "人形つかい(パペットマスター)",
"397000511_1": "「さぁ……始めようか。\\n お前たちの、絶望を――ッ」",
"397000511_2": "「そうは……させないッ!」",
"397000511_3": "「マリアさんッ!?」",
"397000511_4": "「……そんな状態で、\\n あたしを相手にできると」",
"397000511_5": "「お前たち聖遺物使いは、\\n 相手の力量すらわからない木偶ではなかったはずだ」",
"397000511_6": "「そんなの、関係ない……ッ!\\n みんなに手は出させないッ」",
"397000511_7": "「……ハッ!\\n そのザマで、よく吼えるッ」",
"397000511_8": "「……聖遺物と聞けば、腹を空かせた犬みたいに\\n 簡単に食いつくからそんなザマを見る。本当に、呆れる……」",
"397000511_9": "「あんなものに頼り切って、力に溺れるから、\\n こうやって足を掬われるんだ……ッ」",
"397000511_10": "(…………?\\n やっぱり、あの子、なにか妙だわ……",
"397000511_11": "<ruby=アーティファクト>人工聖遺物</ruby>なんてものを作ってる割に、\\n 聖遺物に対して嫌悪感を抱いているような……",
"397000511_12": "「聖遺物は……シンフォギアは、\\n 何度もわたしたちを助けてくれたッ」",
"397000511_13": "「わたしたちは、力に溺れてなんていないッ!\\n シンフォギアに支えられて、今まで戦ってきたッ」",
"397000511_14": "「どんな力も、重要なのは使い方よッ!」",
"397000511_15": "「使い方だと……?」",
"397000511_16": "「――そんなことが関係あるものかッ!」",
"397000511_17": "「お前たちが貫くと言い張り振るうその力がッ!\\n あたしたちの世界を食い殺すッッ」",
"397000511_18": "「「――ッ!?」」",
"397000511_19": "「そんな奴らに、あたしが耳を傾ける道理があるとッ!?\\n いい加減、うるさいんだよッ」",
"397000511_20": "「が……ッ!」",
"397000511_21": "「マリアッ!",
"397000511_22": " よくも……ッ!」",
"397000511_23": "「うざったいんだよッ! 力も入れられない状態で、\\n ただただしがみついて……離せッ」",
"397000511_24": "「あ……ッ!」",
"397000511_25": "「お前はそこで寝ていろッ!」",
"397000511_26": "「調……ッ!」",
"397000511_27": "「誰が立っていいと言った?",
"397000511_28": " なあ、なあ、なぁ――ッ!」",
"397000511_29": "「く……ッ!\\n かふ……ッ が……ッ」",
"397000511_30": "「マリアさん……ッ!」",
"397000511_31": "「やめなさいッ!」",
"397000511_32": "「好きにさせるかッ!」",
"397000511_33": "「なあ、本当に……無駄なことはもうやめてくれよ。\\n 戦えもしない奴らが……ッ」",
"397000511_34": "「あたしの足に縋りついたところで、蹴倒され、\\n 踏みつけられるのがオチだと、なぜわからないッ」",
"397000511_35": "「きゃあ……ッ!」",
"397000511_36": "「かは――ッ!\\n う……」",
"397000511_37": "「弱いやつがかかってくるなッ!\\n 煩わしいッ」",
"397000511_38": "「や……、やめてくださいッ!」",
"397000511_39": "「――ッ」",
"397000511_40": "「みんなを傷つけないで……ッ!」",
"397000511_41": "「……戦えもしないガキが、戦士の道に口を出すなッ!\\n 引っ込んでいろッ」",
"397000511_42": "「…………ッ!」",
"397000511_43": "「いいえ……。\\n 引っ込んでなんて、いられません」",
"397000511_44": "「なに……?」",
"397000511_45": "「ボクにだって……\\n 戦い方はあるんですッ」",
"397000511_46": "「アリアドネの糸を掴んで、何を……?」",
"397000511_47": "「ああ――ハッ! わかったよ。\\n 何をするかと思えば、この期に及んで聖遺物頼りかッ」",
"397000511_48": "「だが……聞いていなかったのか?\\n そもそもそれは『<ruby=アーティファクト>人工聖遺物</ruby>』。あたしたちが作った紛い物だ」",
"397000511_49": "「聖遺物と誤認させるための仕掛けを施してこそいるが、\\n 『特別な力』なんて、はなから宿っちゃいない」",
"397000511_50": "「だいたい、お前は\\n シンフォギア装者ですらないだろう」",
"397000511_51": "「そんなガラクタに縋ったところで、\\n 何ができるつもりだ」",
"397000511_52": "「ボクは適合者ではない……そんなことは、わかっています。",
"397000511_53": " でも、あなたは知りません」",
"397000511_54": "「この世界でシンフォギアが……『聖遺物』が、\\n どんな想いを託されてきたかを」",
"397000511_55": "「マリアさんのアガートラーム。調さんのシュルシャガナ。\\n 響さんのガングニール……」",
"397000511_56": "「そのどれもが、神話の時代から今に至るまで、\\n 人の想いが希望を唄い、積層してきた、願いの結晶ッ」",
"397000511_57": "「翼さんが天羽々斬をツバサと信じたようにッ!\\n 響さんが神殺しと呼ばれた拳で人と手を繋いできたようにッ」",
"397000511_58": "「ボクは信じますッ! この世界でボクたちが手にした、\\n この『アリアドネの糸』が、ボクに力を貸してくれるとッ」",
"397000511_59": "「ボクはその力に縋るんじゃない……\\n 使いこなすんですッ」",
"397000511_60": "「願掛けすれば、願いが叶うとでもッ!?\\n 寝ぼけたことをッッ」",
"397000511_61": "「そんなガキの戯言で、あたしを……あたしたちを\\n 止められるとでも言うつもりかッ」",
"397000511_62": "「止めなきゃいけないんですッ!」",
"397000511_63": "「あの日、チフォージュ・シャトーでノーブルレッドから\\n ボクを助けてくれたキャロルは、もうボクの中にはいない……」",
"397000511_64": "「だけど……みんなを護るために、\\n ボクは――ッ」",
"397000511_65": "「ば……、馬鹿な……ッ!?\\n なんで、<ruby=アーティファクト>人工聖遺物</ruby>が……ッ!?」",
"397000511_66": "「……ッ、ガキだから……\\n 子供だからと、いつまでも許してやると思うなよッ」",
"397000511_67": "「――ッ!?」",
"397000511_68": "「「エルフナイン……ッ!」」",
"397000511_69": "「ッ……、くそ……くそッ!",
"397000511_70": " あたしたちの邪魔をするから、こうなるんだ……ッ!」",
"397000511_71": "「……解析からの再構築は、錬金術の原理原則」",
"397000511_72": "「――ッ!?」",
"397000511_73": "「なんだ……なんだ、それはッ!?\\n その光は、なんなんだ……ッ」",
"397000511_74": "「――あなたたちの言う『人工』聖遺物が、\\n 聖遺物の性質の一部を再現したというのなら……」",
"397000511_75": "「その構造を解析し、理解することで、\\n 聖遺物としての機能を再現できない道理はありません」",
"397000511_76": "「……ボクは、錬金術師としては中途半端。みなさんのように、\\n 歌でフォニックゲインを生み出すこともできません」",
"397000511_77": "「それでもッ! ボクには積み重ねてきた聖遺物の研究成果と、\\n シンフォギアを改良してきた経験、そして――」",
"397000511_78": "「キャロルから受け継いだ、錬金術……\\n 世界を識ろうという意思があるッ」",
"397000511_79": "「そのすべてを束ねれば……\\n ボクにだって、できることがあるんですッ」",
"397000511_80": "「な――ッ!?」",
"397000511_81": "「エルフナインが……変身したッ!?\\n でも、ギアじゃない……」",
"397000511_82": "「ファウストローブ……?」",
"397000511_83": "「いいえ。ボクにはみなさんが戦った錬金術師のように、\\n エネルギーを鎧と錬成するファウストローブは纏えません」",
"397000511_84": "「これは、ファウストローブには至らない途上の力。\\n 錬金術で、無理やり<ruby=アーティファクト>人工聖遺物</ruby>を機能させているにすぎません」",
"397000511_85": "「聖遺物を鎧として『装う』のではなく、\\n 外から『操って』いる状態……」",
"397000511_86": "「さしずめ……\\n 『装者』ならぬ『操者』というところでしょうか」",
"397000511_87": "「<ruby=アーティファクト>人工聖遺物</ruby>は未だ、あたしに指揮権がある……。\\n シンフォギア装者どもが動けないのがその証拠……ッ」",
"397000511_88": "「なのに……\\n なぜお前がそれを使えるッ」",
"397000511_89": "「仮に――ッ、仮に外から操っていたとしてッ!\\n その身を焦がす負担は尋常なものではないはずだッ」",
"397000511_90": "「それは――",
"397000511_91": " ぐ……ッ!」",
"397000511_92": "「エルフナインッ!?」",
"397000511_93": "「あれは……聖遺物からのバックファイアッ!?」",
"397000511_94": "「は……ハッ! そら見たことかッ!\\n そんな奇跡が、無理筋がッ 易々と通ってたまるものかッ」",
"397000511_95": "「確かに、この奇跡は時限式かもしれません。",
"397000511_96": " ……それでもッ!」",
"397000511_97": "「ボクにだって、誰かを護るため、\\n 命をかけることはできるんです――ッ」",
"397000511_98": "「なら、お前がそれの扱いに慣れる前に叩きのめすだけだッ!\\n 時間切れを待つまでもないッ」",
"397000511_99": "「ノイズッ!」",
"397000511_100": "「安心しな。そんなちんけなものじゃない。\\n これもあたしたちの技術のつ……<ruby=アーティファクト>人工聖遺物</ruby>の一端だ」",
"397000511_101": "「こいつを、ただのノイズだなどと思うなッ!\\n これはどこまでも純粋な、暴力装置だッ」",
"397000511_102": "「蹂躙してやるッ!\\n お前たちの奇跡など――ッ」",
"397000511_103": "「ボクの大切な人たちを、\\n 傷つけさせはしませんッ」",
"397000511_104": "「ボクが……\\n ボクが、護るんです――ッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,36 @@
{
"397000512_0": "「はぁ、はぁ、はぁ……ッ!\\n な、なんとか倒せました……」",
"397000512_1": "「くそ……ッ! 想定外だ……ッ! まさか、聖遺物使いと\\n 風鳴弦十郎以外が障害になるだなんて……ッ」",
"397000512_2": "「……お前らを殺すのは、まだ先の予定だった。\\n だが――」",
"397000512_3": "「――ッ!\\n エルフナイン、逃げなさいッ」",
"397000512_4": "「そいつ、エルフナインを狙って――ッ!」",
"397000512_5": "「お前らは……危険だ。\\n お前らの可能性は、この後の作戦の障害になりえる」",
"397000512_6": "「だから――\\n 今、殺すッ」",
"397000512_7": "「え……?」",
"397000512_8": "「エルフナインッ!?」",
"397000512_9": "「か……ッ!?\\n けほ、けほ……ッ」",
"397000512_10": "「動きがさっきまでと全然違う……ッ!?」",
"397000512_11": "「今までは手加減していたっていうこと……ッ!?」",
"397000512_12": "(息が、吸えない……ッ!\\n 身体がうまく動かせない……、たった一撃で……",
"397000512_13": "「そうさ……覚悟したことじゃないか。",
"397000512_14": " あたしは……あたしたちは、殺しに来たんだ、この世界をッ!」",
"397000512_15": "「――全ては、『見放された世界』のためにッ!!」",
"397000512_16": "「あ……」",
"397000512_17": "(やっぱり……だめなの……?)",
"397000512_18": "(キャロル……。\\n キャロルみたいに強くなろうと頑張ったけど……だめだった",
"397000512_19": "「ボクじゃあ……\\n 奇跡は起こせない……」",
"397000512_20": "「――いいや。\\n そんなことはない」",
"397000512_21": "「え……?」",
"397000512_22": "「な……ッ!?\\n お前は、まさか……ッ」",
"397000512_23": "「キャロ、ル……?」",
"397000512_24": "「夢じゃ……ない?」",
"397000512_25": "「これが夢などであるものか。\\n どこまでも果てのない、現実だ」",
"397000512_26": "「そして――たとえか細くとも、お前が掴んだものは、\\n まぎれもなく奇跡だ」",
"397000512_27": "「ならば、お前が信じ、掴んだ奇跡――\\n このオレが繋ぎ、遂げよう」",
"397000512_28": "「キャロル……。\\n ……みんなを」",
"397000512_29": "「みんなを……ッ、\\n みんなを助けてください……ッ」",
"397000512_30": "「承知した」",
"397000512_31": "「く……ッ! この土壇場で、こんな都合のいい奇跡など、\\n あってたまるかッ」",
"397000512_32": "「お前の都合など知ったことか。\\n オレが奇跡を繋ぐと言っている」",
"397000512_33": "「――オレは『奇跡の完遂者』だッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,86 @@
{
"397000611_0": "3つの世界、3つの叡智",
"397000611_1": "「お前がどこの誰であろうとッ!\\n あたしたちの計画を邪魔されてたまるものかッ」",
"397000611_2": "「……なんだ、これは?」",
"397000611_3": "「あたしたちの作った、<ruby=アーティファクト>人工聖遺物</ruby>だッ!\\n これだけの数に囲まれたら、錬金術師だろうが簡単には――」",
"397000611_4": "「ああ、違う、そうじゃない。\\n どうやら、思い違いをさせてしまったようだな」",
"397000611_5": "「あ……?」",
"397000611_6": "「オレはこう訊いたんだ」",
"397000611_7": "「――こんなおもちゃで、\\n オレをどうにかできると思ったのか」",
"397000611_8": "「な……ッ!?」",
"397000611_9": "「くだらん戯れにつき合ってやるつもりはない」",
"397000611_10": "「戯れ、だと……ッ!?\\n 貴様……ッ」",
"397000611_11": "「ふむ、自ら来るか。軽くはないな。",
"397000611_12": " だが――ッ!」",
"397000611_13": "「これを防ぐか、化け物め……ッ!」",
"397000611_14": "「――立花響はいないようだな」",
"397000611_15": "「ええ……あいにく、別件で出張ってるわ。\\n 世界中で異常現象が起こっていてね」",
"397000611_16": "「なるほど。\\n どうやら、厄介ごとはオレの世界だけではないらしいな」",
"397000611_17": "「もしかして、キャロルの世界でも……?」",
"397000611_18": "「ああ。もっとも、あちこちの世界で\\n 同じようなことが起こってるようだが」",
"397000611_19": "「あちこちの……?」",
"397000611_20": "「へぇ、ここがS.O.N.G.の本部っていうわけ。悪くないわね。\\n 弦十郎くんに二課の本部を移動する提言でもするべきかしら」",
"397000611_21": "「……フィーネッ!?」",
"397000611_22": "「どうやら、改めて自己紹介をする必要はないみたいね」",
"397000611_23": "「ど、どうしてここに……ッ!?」",
"397000611_24": "「細かいことはいいの。",
"397000611_25": " それよりなんなの、地に伏したそのザマは」",
"397000611_26": "「聖遺物のバックファイアに似ているわね……\\n 大凡把握したわ、あとは任されてあげるから、ギアを解除なさい」",
"397000611_27": "「ああ……\\n ありが、とう……」",
"397000611_28": "「あとは、おねが、い……」",
"397000611_29": "「……まったく、頑張るわね。\\n 想像を絶する痛みでしょうに」",
"397000611_30": "「――ッ!!」",
"397000611_31": "「さて。\\n それで、そこのあなたがこの騒動の首謀者かしら",
"397000611_32": "「その身体……未知のシンフォギア、というわけではないわね。\\n ただの義足ではないようだけど」",
"397000611_33": "「次から、次へと……ッ!!」",
"397000611_34": "「どうして、ドラウプニルとスヴォルの人間がここに……ッ!\\n キョウはどうしたッ」",
"397000611_35": "「……ドラウプニル? スヴォル?",
"397000611_36": " 聖遺物のようにも聞こえるが……そういう意味ではなさそうだな」",
"397000611_37": "「察するに、オレたちの所属を示しているのか」",
"397000611_38": "「そうね。どうやらそれが、\\n あなたたちの世界での『私たちの世界の呼称』……かしら」",
"397000611_39": "「キョウ、というのは人名のようね。\\n 覚えがないけど、あなたは」",
"397000611_40": "「知らんな」",
"397000611_41": "「まさか……キョウの身になにかあったのか……ッ!?」",
"397000611_42": "「くそ……ッ!」",
"397000611_43": "「あら、逃げるつもり?\\n つれないわね」",
"397000611_44": "「お前には聞きたいことがある。\\n それにこのふざけた所業の落とし前、どうつけるつもりだ」",
"397000611_45": "「キョウに何かあったのなら――ッ!\\n 今、お前たちに構っている暇はないッ」",
"397000611_46": "「へぇ……おもしろいことをするのね。\\n これも、イズのようでイズではない……」",
"397000611_47": "「オレたちが使ってきたデュプリケイターとも\\n 違った技術のようだな」",
"397000611_48": "「並行世界を渡る、独自の技術か……。これだけの叡智を持った\\n 組織が、今まで息を潜めていたというのか」",
"397000611_49": "「――ッ!!」",
"397000611_50": "「ああ……その通りだ。\\n お前たちは、あたしたちに気づきもしない」",
"397000611_51": "「踏みつけた足元を見ようともせず……聴くに耐えない歌に、\\n 耳を塞いで蹲るあたしたちに、気づこうともせず……ッ」",
"397000611_52": "「正義ヅラしてお前たちが振るってきた力こそが、\\n あたしたちを苦しめてきたッ」",
"397000611_53": "「ボクたちが、あなたたちを……?」",
"397000611_54": "「忘れるな……その呪われた力が、\\n お前たちに返ってくる時が来たッ」",
"397000611_55": "「必ずあたしが、\\n お前らを呪い殺してやる……ッ」",
"397000611_56": "「ま、待ってくださいッ!\\n あなたたちは何を――ッ」",
"397000611_57": "「それ以上前に出ない」",
"397000611_58": "「あ……。\\n す、すみません」",
"397000611_59": "「裂け目の残滓すらない、か。",
"397000611_60": " ……逃げるのがうまい奴だ」",
"397000611_61": "「ええ。\\n なかなか便利な逃走手段を持ってるじゃない」",
"397000611_62": "「……ッ……」",
"397000611_63": "「まったく、無茶をする。\\n その技、相当消耗が激しいはずだ」",
"397000611_64": "「まさか、想い出を焼却してはいないだろうな?」",
"397000611_65": "「そんなこと……するはずないッ!\\n キャロルのこと、みんなのこと……全部全部、ボクの大切な……」",
"397000611_66": "「……」",
"397000611_67": "「それでも、頭によぎったのは……\\n ダウルダブラの鋼糸魔弦を爪弾いた、キャロルの戦う姿でした」",
"397000611_68": "「だから……。\\n だからボクは、戦えたんです……ッ」",
"397000611_69": "「……それはオレであって、オレではない。\\n だが――」",
"397000611_70": "「この世界のオレが今のお前を見たら、\\n きっと誇りに思うだろう」",
"397000611_71": "「だから……今は代わりにオレが褒めてやる。\\n ……よくやったな」",
"397000611_72": "「……ッ、キャロル……ッ!」",
"397000611_73": "「わたしとマリアが無事なのも、\\n エルフナインのおかげだよ」",
"397000611_74": "「助かったわ、エルフナイン」",
"397000611_75": "「お2人とも……ッ!\\n 目が覚めたんですねッ」",
"397000611_76": "「友里さんたちは……まだ気を失ってる。",
"397000611_77": " 医務室に向かおう」",
"397000611_78": "「はい……この事態は、そもそもボクが『アリアドネの糸』を\\n ギアに組み込んだせいで……」",
"397000611_79": "「失点を回復したいのなら、\\n まずは身体を休めることだな」",
"397000611_80": "「ヨウ……だっけ。あの様子だと、そう簡単に\\n 諦めそうもないから。策を練って、次の敵襲に備えよう」",
"397000611_81": "「ええ。\\n 頼りにしてるわ」",
"397000611_82": "「マリアさん、調さん……」",
"397000611_83": "「……わかりました。\\n すぐに、対策を練りましょうッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,29 @@
{
"397000621_0": "「軽く見回ってきたけど、あの女と一緒に本部を制圧したという\\n 兵隊たちは姿を消していたわ」",
"397000621_1": "「倒れていた職員のみんなは、\\n 動ける人で医務室に連れてきてもらったよ」",
"397000621_2": "「ひとまず、真っ先にすべきことはできましたね」",
"397000621_3": "「友里さんや藤尭さんが\\n 目を覚まさないのが心配だけど……」",
"397000621_4": "「どうやら、脳震盪を起こしたようです。",
"397000621_5": " 安静にしていれば、大事にはならないかと」",
"397000621_6": "「ならば、時間が惜しい。\\n 情報の共有といこうか」",
"397000621_7": "「ここまでくる道すがら、例の怪物が邪魔だったから\\n 排除してきたけど、余計だったかしら」",
"397000621_8": "「いえ、助かるわ。",
"397000621_9": " こっちも、各地で見つかった聖遺物の回収任務で人手不足でね」",
"397000621_10": "「聖遺物が各地で?」",
"397000621_11": "「ええ。\\n どうやら結局、さっきの奴らの罠だったようだけど」",
"397000621_12": "「彼女たちは『<ruby=アーティファクト>人工聖遺物</ruby>』と呼んでいました」",
"397000621_13": "「どうやらその1つが、ボクがお2人のギアに組み込んだ\\n 『アリアドネの糸』なのですが……」",
"397000621_14": "「そのせいで、お2人のギアは動作不良を……」",
"397000621_15": "「その2人が戦えなかったのは、そういうことね。\\n <ruby=アーティファクト>人工聖遺物</ruby>とやらが、ギアの機能を阻害しているのかしら」",
"397000621_16": "「こちらの世界では見つかっていないことも考えると、\\n はなからS.O.N.G.に利用させる罠と考えるのが、確かに妥当か」",
"397000621_17": "「忌々しいわね。この世界の『フィーネ』が作った\\n シンフォギアが、他人にいいようにされてるなんて」",
"397000621_18": "「あからさまにこの世界の装者を狙い撃ちにしている。\\n 連中にとってこの世界には、他とは違う目的があるようだな」",
"397000621_19": "「本当のことを言うと、救援を要請しに来たのだけど……",
"397000621_20": " それどころじゃないようね」",
"397000621_21": "「むしろ、こちらが敵の本命だった……\\n というわけか」",
"397000621_22": "「幸いなのは、向こうは向こうで思い通りに\\n 計画が進んでいるわけではないらしいことです」",
"397000621_23": "「ああ。あの様子では、予想外の事態が起きたようだったな。\\n そちらの対応で手がいっぱいなのかもしれん」",
"397000621_24": "「これを好機と捉えて、まずはみんなと合流しましょう」",
"397000621_25": "「立て直して、次の敵の動きに備える……それが今の最善よ。",
"397000621_26": " やられっぱなしは、趣味じゃないものッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,93 @@
{
"397000631_0": "「申し訳ありません、遅くなりました」",
"397000631_1": "「そちらはどんな状況?」",
"397000631_2": "「皆さんが敵の指揮官やドッペルゲンガーと交戦している間、\\n 敵の兵士を倒して拘束していたのですが……」",
"397000631_3": "「先ほど確認しにいったところ、\\n 影も形もありませんでした」",
"397000631_4": "「仕方がないです。\\n 敵には並行世界を渡る力があるみたいだから」",
"397000631_5": "「どのみち、訓練された兵士から情報を聞き出すのは\\n 骨が折れるでしょうしね」",
"397000631_6": "「ええ。重要なのは、ここから僕たちがどう動くかです。\\n ……街の被害状況は」",
"397000631_7": "「藤尭さんと友里さんは目を覚ましたものの、\\n もう少しの間、安静にしていていただきたかったので……」",
"397000631_8": "「かわりに情報を集めておきましたッ!」",
"397000631_9": "「市街地のマップと合わせて、被害の概要を表示します」",
"397000631_10": "「これは……ッ!",
"397000631_11": " 想像以上に酷い……」",
"397000631_12": "「司令からS.O.N.G.を任されながら、この体たらく……ッ」",
"397000631_13": "「この状況、たとえ司令がいたとしても、\\n どれだけ打てる手があったか……」",
"397000631_14": "「あんまり、自分を責めないでください。\\n 本部まで制圧されたら、どうしようもないですよ……」",
"397000631_15": "「<ruby=アーティファクト>人工聖遺物</ruby>という囮と人為的な地震により装者たちを分散させ、\\n その隙に検知されない手段でS.O.N.G.本部を襲撃……」",
"397000631_16": "「周到に練られた作戦のうえ、\\n あまりにも不確定要素が多すぎました」",
"397000631_17": "「問題は、それだけの異端技術を持った連中が、\\n これまでの騒動で一切表に出てこなかったことだ」",
"397000631_18": "「世界蛇が並行世界全体の脅威となった際も、\\n あの連中が動いた様子はなかった……どういうことかしら」",
"397000631_19": "「自分たちで対処できていたとでもいうのか?」",
"397000631_20": "「だとしたら、あのベアトリーチェが放っておいたというのも\\n 違和感があるわね」",
"397000631_21": "「ひょっとして……ベアトリーチェの仲間とか?」",
"397000631_22": "「そうかもしれないけれど、ベアトリーチェを至上とする\\n ウロボロスの構成員としては、どうにもしっくりこないわ」",
"397000631_23": "「……あの人は、自分たちの存在を『薄い』と言っていました」",
"397000631_24": "「それが自嘲や皮肉の類でないとしたら、ベアトリーチェですら、\\n そもそも気づいていなかったのかもしれません」",
"397000631_25": "「世界そのものを隠ぺいする手段があると?」",
"397000631_26": "「そこまでは……。ただ、相手の言葉を借りれば、\\n 彼女たちの世界は『見放された世界』だそうです」",
"397000631_27": "「見放された……ね」",
"397000631_28": "「相手の正体に至るには、情報が足りていないな」",
"397000631_29": "「そうね。……それと、言ったと思うけど、そもそも私が\\n この世界に来たのは、救援を要請するためだったのよね」",
"397000631_30": "「それが望めないのなら、私も早く戻らなくちゃいけないわ。\\n なにせ私の世界ときたら、装者がいないんだもの」",
"397000631_31": "「悪いわね。\\n この状況で、手を貸すことができなくて」",
"397000631_32": "「いえ、この世界を護るのは、\\n この世界に生きる僕たちの役割ですから」",
"397000631_33": "「それを言われると、\\n 何度もこっちの世界に力を借りてる側としては複雑ね」",
"397000631_34": "「すみません、そんなつもりでは……」",
"397000631_35": "「冗談よ。……しかし、妙な気分ね。私の世界のあなたとは\\n 何度も言葉を交わしてるけど。これが初対面なのよね」",
"397000631_36": "「僕としても不思議な気分です。その……了子さんが\\n フィーネの姿となった時は、既に敵対していましたから」",
"397000631_37": "「フフ……我ながら、\\n ずいぶんと長いこと猫を被っていたみたいね」",
"397000631_38": "「それはそうと、こっちの弦十郎くんはどうしたの?」",
"397000631_39": "「日本政府から呼び出しを受け、ある人物に会いに行っています」",
"397000631_40": "「ある人物?」",
"397000631_41": "「風鳴訃堂……司令の御父上です。とある事情で、\\n 海底にある政府保有の特殊な監獄施設に収監されています」",
"397000631_42": "「……それで?」",
"397000631_43": "「――ッ……。\\n 実を言えば、未だに連絡が取れず……」",
"397000631_44": "「そんな……ッ!」",
"397000631_45": "「海底って……ッ! あんなに大きな地震があったのに、\\n 大丈夫なんですか……ッ」",
"397000631_46": "「残念ながら、こちらから無事を確認するすべはありません。",
"397000631_47": " 最悪の場合も考慮して、行動する必要があるでしょう……」",
"397000631_48": "「最悪の場合って……」",
"397000631_49": "「……今は考えるのはよしましょう。\\n とにかく、わたしたちにできることを模索するべきだわ」",
"397000631_50": "「うん……」",
"397000631_51": "「……まあ、あまり心配はいらないでしょ。\\n 私も知る、この世界の風鳴弦十郎なのだもの」",
"397000631_52": "「こっちが心配するのが馬鹿らしくなるくらい、\\n あっさり帰ってくるんじゃない」",
"397000631_53": "「ええ。\\n あの司令が、そう簡単に倒れるとは思えません」",
"397000631_54": "「……そうね。訓練でも、いったい何度、\\n 辛酸をなめさせられたことか。でしょ、調」",
"397000631_55": "「うん……そうだね。\\n きっと大丈夫」",
"397000631_56": "「……若干、この世界の常識に置いてけぼりを食らっているんだが。\\n 今こいつらは、普通の人間の話をしているんだよな」",
"397000631_57": "「えぇっと……。\\n 少なくとも、生物学上は普通の成人男性……のはずです」",
"397000631_58": "「……どうしてそこで困った顔をする。\\n この組織のトップが人外だとでも言うつもりか」",
"397000631_59": "「素手で小型ミサイルの一斉掃射を掴んで止めるような人なのよ。\\n ……普通とは、言い難いわよね」",
"397000631_60": "「……は?」",
"397000631_61": "「あなたたち、話がずれてるわよ。",
"397000631_62": " ともあれ、私は自分の世界に帰る必要があるのだけど――」",
"397000631_63": "「現状の最大戦力である装者の2人が戦えないのはきついわね」",
"397000631_64": "「仕方ない……もう少しくらいは手を貸してあげる。\\n 私の世界ではシンフォギアは完成させられなかったけれど――」",
"397000631_65": "「それでも先史文明期の巫女である私以上に、\\n 『聖遺物』と名のつくモに詳しい者はいないでしょう」",
"397000631_66": "「…………」",
"397000631_67": "「なによ、その顔は?」",
"397000631_68": "「いや……『終わり』の名を持つ先史文明期の巫女が、\\n まさか情けをかけるとは思わなくてな」",
"397000631_69": "「あら、ずいぶん人を薄情者呼ばわりしてくれるじゃない」",
"397000631_70": "「あなたの世界が私の世界と同じなら、錬金術師の技術は、\\n 私の知識が源流にあるはずだけど。先達に対して失礼ね」",
"397000631_71": "「同じくらい、面倒な目にも遭わされているからな。",
"397000631_72": " ……だが、足並みを揃えてくれるというなら、ありがたい」",
"397000631_73": "「お前の持つ叡智を誰よりも理解しているのもまた、\\n オレたち錬金術師だからな」",
"397000631_74": "「オレも手を貸してやる」",
"397000631_75": "「いいんですかッ?",
"397000631_76": " キャロルの世界にも、危機が迫っているんじゃ……」",
"397000631_77": "「<ruby=オートスコアラー>オレの騎士たち</ruby>に錬金術師協会の幹部ども、",
"397000631_78": " あまり頼りたくはないが、……アダムもいる」",
"397000631_79": "「日本に二課があることも踏まえれば……\\n オレが多少空けていたところで、すぐに崩れる世界ではない」",
"397000631_80": "「このメンツなら、なにかしら解決策の1つも見つかるでしょう。\\n 聖遺物の扱いに関しては、私に一日の長があるしね」",
"397000631_81": "「先史文明期からの知識を一日のものと言うつもりなら、\\n ずいぶんと長い『一日』があったものだ……」",
"397000631_82": "「ご協力、感謝します。\\n 本部が半ば壊滅状態の今、お人の協力は非常に心強いです」",
"397000631_83": "「となれば……\\n 次に目指すのは、通信の復旧かしら」",
"397000631_84": "「そうですね。みんなと……\\n 切ちゃんと連絡が取れないのも、心配」",
"397000631_85": "「難を逃れた職員たちと協力して、\\n 本部機能の復旧に努めます」",
"397000631_86": "「世界中が混乱してるこの状況、\\n すぐに解決とはいかないかもしれませんが……」",
"397000631_87": "「それでも、1つずつ準備を進めないとね」",
"397000631_88": "「準備って、なんの……?」",
"397000631_89": "「そんなの、決まっていますッ!」",
"397000631_90": "「それは、反撃の準備ッ! このままやられっぱなしの\\n S.O.N.G.じゃない……そうでしょう、みなさんッ!」"
}

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@ -0,0 +1,96 @@
{
"397000711_0": "不安、解析中",
"397000711_1": "「『アリアドネの糸』とギアの融合……。",
"397000711_2": " 不発に終わったとはいえ、いい腕してるわ」",
"397000711_3": "「罠でさえなかったら、問題なく機能していたでしょうね。\\n あなた、即席にしてはいい仕事をしたわよ」",
"397000711_4": "「ダインスレイフの欠片を組み込んだ経験がありましたので、\\n そこは見当がついていたんです」",
"397000711_5": "「もっとも、今回はそれが裏目に出たわけだけど」",
"397000711_6": "「はい……ボクが迂闊でした」",
"397000711_7": "「ま、『<ruby=アーティファクト>人工聖遺物</ruby>』なんて代物、\\n 想定しろって言う方が無理よね」",
"397000711_8": "「『アリアドネの糸』を組み込むことで装者へのバックファイアが\\n 起こった原因を特定すれば、分離も不可能ではないはずです」",
"397000711_9": "「シミュレーションのデータ、見せてもらえる?」",
"397000711_10": "「こちらです」",
"397000711_11": "「……なるほど。これは一見では、騙されるのも無理ないわ。\\n 敵もさるものね」",
"397000711_12": "「巧妙に隠してあるけど、波形のこの部分……わかるかしら?\\n 僅かだけど、聖遺物とは異なるパターンを示している」",
"397000711_13": "「あ……ッ!",
"397000711_14": " うぅ……そんな罠に引っかかるなんて……」",
"397000711_15": "「反省で頭をいっぱいにすることで事態は好転しない。\\n それよりも、頭を働かせなさい」",
"397000711_16": "「罠にはクセがある。もしこの罠をあなたが作ったのだとしたら、\\n 他の罠はどう仕掛けるかしら」",
"397000711_17": "「クセ……そうですね。\\n 見つけ出してみせます……ッ」",
"397000711_18": "「エルフナイン、大丈夫かな……。\\n 消耗しているはずだけど、休まなくていいのかなって……」",
"397000711_19": "「技術的なことはわたしたちにはわからないから、\\n こればっかりは――とは言いつつも、心配は心配よね」",
"397000711_20": "「ちょっと、あなたたち」",
"397000711_21": "「あ……」",
"397000711_22": "「フィーネ……」",
"397000711_23": "「気が散るわ。\\n 邪魔だから、よそに行ってなさい」",
"397000711_24": "「そんな言い方……」",
"397000711_25": "「あの子を見なさい」",
"397000711_26": "「え?」",
"397000711_27": "「…………」",
"397000711_28": "「あの子はあの子の仕事に集中してるの。\\n できることがないなら、邪魔になるだけよ」",
"397000711_29": "「でも、エルフナインは消耗してるはずで……」",
"397000711_30": "「そうね。でも、本人が弱音を吐いていないっていうのに、\\n 外野がとやかく言うことじゃないんじゃない」",
"397000711_31": "「…………」",
"397000711_32": "「……その通りね。\\n 行きましょう、調」",
"397000711_33": "「マリア……」",
"397000711_34": "「あの子のこと、頼んでいいかしら?」",
"397000711_35": "「私にできるのは、ちょっとしたサポートだけよ」",
"397000711_36": "「けど……あまり無茶するようだったら、\\n 効率が悪くなる前に休ませるわ」",
"397000711_37": "「倒れでもしたら、1番効率が悪いもの」",
"397000711_38": "「研究者らしい合理的な思考ね。でも、今のエルフナインを\\n 見てあげる人は、それくらいがちょうどいいのかも」",
"397000711_39": "「調、ここは任せて、わたしたちは行きましょう」",
"397000711_40": "「うん……」",
"397000711_41": "(とはいえ、ギアを纏えない今のわたしたちにできることは\\n 限られている……",
"397000711_42": "「まずは本部で、街の状況を確認しましょうか」",
"397000711_43": "「戦闘データを集めて、自衛隊への共有を」",
"397000711_44": "「地震が起こった際の被害状況から、同様の事態が起こった際の\\n 避難範囲のシミュレーションを――」",
"397000711_45": "「混乱はしばらく収まりそうもないわね」",
"397000711_46": "「ええ。ただ、幸いにも国内においては地震による\\n 建造物の倒壊被害は軽微です」",
"397000711_47": "「問題は、諸外国の被害です。地震への備えが不十分だった\\n 国々から救援要請が届いているようで……」",
"397000711_48": "「そっか……。\\n 被害にあったのは、日本だけじゃないんだ……」",
"397000711_49": "「街に溢れていた怪物……\\n ドッペルゲンガーは」",
"397000711_50": "「姿を消したようです。すべてを倒しきったのか、\\n あるいは敵組織……OTHERSによって回収されたのか」",
"397000711_51": "「海外に派遣されているS.O.N.G.職員や装者との\\n 連絡は取れたの」",
"397000711_52": "「通信設備にダメージを受けており、復旧に至っていません。\\n 技術担当者にも意識が戻らない者が多く……」",
"397000711_53": "「そう……わたしたちがギアを纏えない今、\\n 敵が姿を消したのは不幸中の幸いね」",
"397000711_54": "「……なにか、わたしにできることはないんですか?」",
"397000711_55": "「今は、何があってもすぐ動けるよう、\\n 待機していてください」",
"397000711_56": "「でも……、",
"397000711_57": " なにか……なにかできるはずですッ!」",
"397000711_58": "(調……いつになく焦っているわね。\\n 切歌が帰らないことで不安なのかも",
"397000711_59": "「調、今は――」",
"397000711_60": "「気にすんな。\\n どうせ大したことはできねぇよ」",
"397000711_61": "「え……ッ!?」",
"397000711_62": "「茶蔵さんに水流さん……\\n 無事でよかったです」",
"397000711_63": "「あの程度、屁でもねぇさ。",
"397000711_64": " それより、余計な事しようとすんなよ」",
"397000711_65": "「どういう意味ですか……?」",
"397000711_66": "「役立たずがのうのうと出てったところで、\\n 邪魔になるのは目に見えてるんだ」",
"397000711_67": "「そんな言い方……ッ!」",
"397000711_68": "「もうッ!\\n 師範は言葉がきついんですよッ」",
"397000711_69": "「ふんッ」",
"397000711_70": "「えーっと……月読さん、師範はですね、\\n 人には得手不得手があるってことを言いたかったんですよ」",
"397000711_71": "「得手不得手……?」",
"397000711_72": "「はい。あたしたちも怪物を退けた後は、救助の真似事を\\n していたんですけど、どうにもうまくいかなくって……」",
"397000711_73": "「自衛隊の方々が来てからは邪魔になると思って、\\n こちらに合流した次第なんですよ」",
"397000711_74": "「怪物がいなくなったので、\\n 自衛隊も救助活動を進められるようになったんです」",
"397000711_75": "「ですから、あなたが無力を感じる必要はないんですよ」",
"397000711_76": "「……そう、ですね。\\n ちょっと、焦り過ぎてたみたいです」",
"397000711_77": "「師範ってば、ほんとに言葉が雑なんですから。",
"397000711_78": " あ……性格もかな?」",
"397000711_79": "「あ……ひょっとして、茶蔵さん……",
"397000711_80": " 慰めてくれてたんですか?」",
"397000711_81": "「あ?\\n バカ言え。なんだって俺がそんなことを」",
"397000711_82": "「フフ……。",
"397000711_83": " 口は悪いけど、茶蔵さんの言うことももっともね」",
"397000711_84": "「エルフナインがギアを直してくれた時、\\n わたしたちがここにいなかったら」",
"397000711_85": "「そしてそのタイミングで、\\n 敵が襲撃を再開したら」",
"397000711_86": "「それは……」",
"397000711_87": "「焦る調の気持ちはわかるけど、\\n 今は耐える時だわ。……でしょ」",
"397000711_88": "(マリア……握った手が、震えてる。",
"397000711_89": " マリアだって、できるならみんなを助けに行きたいんだ……)",
"397000711_90": "「2人も合流してくれたことだし、\\n 今は一度情報を整理しましょう」",
"397000711_91": "「相手の言葉の1つ1つから情報を拾えば、\\n 次にわたしたちが動く時、なにかできることが増えるかも」",
"397000711_92": "「それが今のわたしたちにできる、\\n この世界の護り方なのではないかしら」",
"397000711_93": "「うん……わかった。\\n さっそく始めよう」"
}

View file

@ -0,0 +1,71 @@
{
"397000721_0": "「状況を整理するわ。まず、OTHERSを名乗る謎の集団が、\\n 一連の事件、災害の首謀者よ」",
"397000721_1": "「その、OTHERSっていうのが組織名なんですねッ」",
"397000721_2": "「アザーズ……他人、ですか。ずいぶんへんてこな名前ですね。\\n ナントカ団とか、秘密結社ナントカの方がそれっぽいのに」",
"397000721_3": "「名前なんざなんだっていいだろう。出てきた奴を片っ端から\\n ぶん殴る。これを繰り返せば、敵は全員いなくなる」",
"397000721_4": "「豪快……」",
"397000721_5": "「それは後手に回るということよ。それでは、今回のような\\n 世界規模での同時多発攻撃には対応できない」",
"397000721_6": "「それじゃあ、相手を見つけて、\\n こっちから仕掛けるってことですか」",
"397000721_7": "「そこまでできないとしても、目的がなにかを特定すれば、\\n いち早く動けるわ」",
"397000721_8": "「OTHERSという名前もそうだけど、連中が口にした『避雷針』や\\n 『見放された世界』という言葉に、ヒントがあるのかも」",
"397000721_9": "「避雷針って、雷を集める……誘導する? ですかね。\\n そういったモですよね」",
"397000721_10": "「ええ。ただ、どうにもきなくさい……\\n 調はわたしたちが対世界蛇のときに行った作戦を覚えている」",
"397000721_11": "「うん。世界蛇の頭に目印――『避雷針』を突き立てて、\\n そこにミョルニルの雷撃を叩き込む……ナインホープ作戦」",
"397000721_12": "「それって……ッ!」",
"397000721_13": "「その作戦の詳細は知らねえが……」",
"397000721_14": "「言われてみれば妙な格好をした奴が光った瞬間、衝撃が走って\\n そこにあの化け物が現れてた気がするな」",
"397000721_15": "「ええ、似ているの。『避雷針』と思しき彼らの行動、\\n そしてそこからの力の発露のタイミング」",
"397000721_16": "「確か、別の世界から何かを送り込む目印にするとか……。",
"397000721_17": " まさか、本当に?」",
"397000721_18": "「『避雷針』がOTHERSの兵士たちなら、\\n 送り込んできているものは……」",
"397000721_19": "「あの怪物……\\n ドッペルゲンガーということになりそうね」",
"397000721_20": "「これまでの観測データから考えると、\\n 地震は怪物を送り込んだ余波によるものと考えられそうです」",
"397000721_21": "「エルフナインッ!」",
"397000721_22": "「大丈夫?\\n ふらついているみたいだけど」",
"397000721_23": "「フィーネさんから、休憩してこいと言われまして……。",
"397000721_24": " せっかくなので、ボクも混ぜてください」",
"397000721_25": "「それは、休憩にならないと思うけれど……」",
"397000721_26": "「大丈夫です。他のことを考えるのが、\\n ボクにとっては気分転換になりますから」",
"397000721_27": "「横になって休みなさいと言っても……聞きそうにないわね。\\n それじゃあ、あなたにも協力してもらいましょう」",
"397000721_28": "「はい。",
"397000721_29": " それで、ドッペルゲンガーについてですが……」",
"397000721_30": "「おそらくあれは、OTHERSたちが\\n 彼らの世界から喚んだナニカであると考えられます」",
"397000721_31": "「ノイズそっくりの『<ruby=アーティファクト>人工聖遺物</ruby>』を作っていたことからも、\\n ドッペルゲンガーもまた人工的な疑似生命であるのではないかと」",
"397000721_32": "「ま、あんなのが野生でそこら辺を歩いてるのもおかしいしな。\\n 煮ても焼いても食えそうにねぇ」",
"397000721_33": "「いくら山籠もり中でも、あれを食べるのはちょっと……\\n 遠慮したいですね」",
"397000721_34": "「あの怪物は人の想い出や生命力を直接吸収しているようなので、\\n 体組成も人間が栄養にできるものではないでしょう」",
"397000721_35": "「倒せば、奪われたエネルギーは元の人に戻るようだけど\\n ……それも全てではないようね」",
"397000721_36": "「とにかく、見つけたら速攻でやっつけた方がいい、\\n ということですねッ」",
"397000721_37": "「あくまで場当たり的な対処しかできないのが、悔しい所ね」",
"397000721_38": "「人の生命力や想い出を吸収する疑似生命体……。\\n ただ暴れさせるのが目的と考えるには、奇妙な生態です」",
"397000721_39": "「そういえば、オケアノスの力で、あいつらに吸い取られる力の\\n 流れが見えたんですけど……」",
"397000721_40": "「あの怪物がすべてを吸っているわけではないみたいです」",
"397000721_41": "「なんていうか、あの怪物が生命力を集める『器』だとすれば、\\n その器に穴が開いてるみたいな……」",
"397000721_42": "「『器』……」",
"397000721_43": "「あ、器っていうのは、あたしがそう感じただけなんで、\\n あまり気にしないでもらえると――」",
"397000721_44": "「……いえ、聞き逃してしまうには、\\n あまりにも重要な意見です」",
"397000721_45": "「え?」",
"397000721_46": "「あれらがそもそも暴れるための『兵器』ではなく、\\n 生命力や想い出を集めるための『器』だったとしたら……」",
"397000721_47": "「生命力や想い出を集める……?",
"397000721_48": " どうしてそんなことを……」",
"397000721_49": "「それはまだわかりません。ですが、<ruby=アーティファクト>人工聖遺物</ruby>がボクたちへの\\n 罠だったように、なにか意味があっての機能のはずです」",
"397000721_50": "「ということは……集めた生命力を送り込んだ先で、\\n なにかの準備をしている……」",
"397000721_51": "「十分に考えられるわね」",
"397000721_52": "「だとしても、先手を取れるような情報じゃあねぇな」",
"397000721_53": "「そうね。だけど、ここまでわたしたちは、\\n 手玉に取られるばかりだった」",
"397000721_54": "「相手の行動に、次の段階があると推測が立てられたのは、\\n 一歩前進よ」",
"397000721_55": "「その次の段階とやらが来た時に、\\n 計画をぶっ壊してやればいいわけだ」",
"397000721_56": "「この後も協力してくれるのかしら?」",
"397000721_57": "「オレは暴れたいところで暴れるだけだ。\\n お前らの下につくわけじゃねぇ」",
"397000721_58": "「それで十分よ。\\n 司令がいない今、心強い戦力だわ」",
"397000721_59": "「あたしはもちろん、\\n 歌の戦士であるみなさんにご協力させていただきますッ」",
"397000721_60": "「ありがとう、水流さん。\\n 一緒に戦えて、嬉しい」",
"397000721_61": "「あたしもです、月読さんッ!」",
"397000721_62": "「他の装者との連絡はつかない。\\n 敵の目的も、技術にも謎は多い。だけど――」",
"397000721_63": "「ここからは、わたしたちが敵に迫り、\\n その陰謀を打ち砕く番ですッ」",
"397000721_64": "「フフ、その意気よ」",
"397000721_65": "「ところで、キャロルの姿が見えないようだけど……。\\n フィーネと一緒かしら」",
"397000721_66": "「いえ、キャロルには別の仕事を頼んであります」",
"397000721_67": "「別の仕事?」",
"397000721_68": "「ええ。うまくいけば――大幅に戦力を増強させることが\\n できます」"
}

View file

@ -0,0 +1,25 @@
{
"397000731_0": "「これ以上、好きにさせない――ッ!」",
"397000731_1": "「次はッ!?」",
"397000731_2": "「今のでこのあたりの怪物は全部みたい」",
"397000731_3": "「それじゃあ、怪我人の救助をッ!」",
"397000731_4": "「それは我々の仕事です。\\n どうかあなたたちは休んでいてください」",
"397000731_5": "「でも……ッ!」",
"397000731_6": "「S.O.N.G.所属とはいえ、年端もいかない少女たちに\\n ここまでさせてしまっているんです」",
"397000731_7": "「この先は、この国の人間である我々の仕事です」",
"397000731_8": "「それに、あの怪物はまた出るかもしれない」",
"397000731_9": "「恥ずかしながら、あなたがたの帰国の目途が立つまでは、\\n 頼らせていただきたいので、今はどうかお休みを――」",
"397000731_10": "「東地区で化け物が現れたッ!\\n 至急、応援を……ッ」",
"397000731_11": "「言ったそばからこれか……ッ!」",
"397000731_12": "「わたしたちが行きますッ!」",
"397000731_13": "「申し訳ありません……。\\n この国のために命をかけるのは、我々の役目なのに……」",
"397000731_14": "「わたしたちが唄うのは、誰かの笑顔を護りたいからですッ!\\n だから、へいき、へっちゃらですッ」",
"397000731_15": "「ヘイキ、ヘッチャラ……?」",
"397000731_16": "「勇気の出るおまじないですッ!",
"397000731_17": " ――行こう、未来ッ!」",
"397000731_18": "「うんッ!」",
"397000731_19": "「ヘイキ、ヘッチャラ……か」",
"397000731_20": "「意味はわからないが……。\\n 不思議と、勇気と元気が湧いてくるな」",
"397000731_21": "「――よしッ! 我々は、我々の仕事をするぞッ!\\n 住民の避難誘導と、救助作業を進めろッ」",
"397000731_22": "「おうッ!!」"
}

View file

@ -0,0 +1,44 @@
{
"397000732_0": "「よし。\\n ……とりあえず、全部倒したみたい」",
"397000732_1": "「気を失った人たち、大丈夫かな……」",
"397000732_2": "「やっぱり、単に体力を消耗しているっていうわけじゃ\\n ないみたいだし……心配だよね」",
"397000732_3": "「S.O.N.G.本部にも、\\n この前の連絡以降、通信が繋がらないし……」",
"397000732_4": "「警察官の人に聞いた話だと、\\n 世界中であの地震が起こってるみたいだね」",
"397000732_5": "「もしかして、本部も大変なことに……?」",
"397000732_6": "「そんなことないって、信じよう。\\n S.O.N.G.はこれくらいじゃ折れない……そうでしょ?」",
"397000732_7": "「うんッ、そうだねッ!」",
"397000732_8": "「それでもなんとか、\\n 直接連絡をつける方法があればいいんだけど……」",
"397000732_9": "「……ここにいたか」",
"397000732_10": "「え……ッ!?」",
"397000732_11": "「探したぞ。\\n ――立花響」",
"397000732_12": "「エルフナインちゃん……?",
"397000732_13": " ううん、その声は……キャロルちゃんッ!?」",
"397000732_14": "「如何にも、オレだ」",
"397000732_15": "「も、もしかして、並行世界の……?\\n どうしてこの世界にッ」",
"397000732_16": "「……落ち着け、細かいことはいい。\\n 日本に戻るぞ」",
"397000732_17": "「いやいやいやいやッ、ぜんぜん細かくない、細かくないよ、\\n キャロルちゃんッ」",
"397000732_18": "「ならば端的に言おう。\\n S.O.N.G.本部が襲われ、多大な被害が出ている」",
"397000732_19": "「おまけに、マリア・カデンツァヴナ・イヴと月読調のギアが\\n 動作不良を起こした。至急、装者を集める必要がある」",
"397000732_20": "「本部が……ッ!?」",
"397000732_21": "「それに、マリアさんと調ちゃんのギアが動作不良って……?」",
"397000732_22": "「今は時間が惜しい。\\n 後にしろ」",
"397000732_23": "「でも、ここの人たちは……」",
"397000732_24": "「唄って戦うお嬢さんがたッ!\\n こっちのことは気にするなッ」",
"397000732_25": "「あ、あなたは……?」",
"397000732_26": "「あんたたちに助けられた、この街の住民さ」",
"397000732_27": "「帰らなきゃいけないんでしょ?\\n なら、帰れる時に帰るべきよ」",
"397000732_28": "「君たちにはすっかり甘えてしまったが……\\n そもそも、自分たちの街は自分で護るものさ」",
"397000732_29": "「怪物はいなくなったし、政府の混乱もだいぶ落ち着いてきた。\\n あとは俺たちが踏ん張るだけだ」",
"397000732_30": "「ヘイキ、ヘッチャラ……\\n 君たちから教えてもらったおまじないを胸に、なッ」",
"397000732_31": "「行ってくれ。君たちが帰るべき所へッ!\\n 君たちの歌を待っている、他の誰かのところへッ」",
"397000732_32": "「みなさん……ッ、――わかりましたッ!\\n また何かあったら、必ず助けに来ますッ」",
"397000732_33": "「みなさんもお気をつけてッ!」",
"397000732_34": "「キャロルちゃんッ!」",
"397000732_35": "「気掛かりはなくなったようだな」",
"397000732_36": "「うんッ! でも、どうやって?",
"397000732_37": " 飛行機はまだ飛んでないって聞いたけど……」",
"397000732_38": "「これを使う」",
"397000732_39": "「そっか、テレポートジェムッ!\\n これなら本部まであっという間だもんねッ」",
"397000732_40": "「そういうことだ。",
"397000732_41": " ――では、行くぞッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,138 @@
{
"397000811_0": "行き詰まった道",
"397000811_1": "「す……すごいッ!",
"397000811_2": " あっという間に本部までひとっ飛びッ!」",
"397000811_3": "「戻られましたかッ!\\n 人とも、無事でよかったです」",
"397000811_4": "「それはこっちのセリフですッ!\\n 立花響、ただいま帰還しましたッ」",
"397000811_5": "「でも、どうして並行世界のキャロルちゃんが?」",
"397000811_6": "「オレの世界でもこっちと同様、怪物の……ドッペルゲンガーの\\n 襲撃があってな。この世界の様子を見に来たんだ」",
"397000811_7": "「幸いにも、APPLEの技術――\\n 新型デュプリケイターがオレの世界にも<ruby=もたら>齎</ruby>されていたからな」",
"397000811_8": "「こちらの方が襲撃が激しいのがわかると、\\n 僕たちへの協力を申し出てくれまして」",
"397000811_9": "「各地に散らばっていた装者の皆さんを、\\n 迎えに行っていただいてるんです」",
"397000811_10": "「キャロルちゃんの世界まで……」",
"397000811_11": "「そんな状況なのに、手を貸してくれたんだ……。",
"397000811_12": " 改めて、ありがとう」",
"397000811_13": "「オレの世界の連中は、\\n 一昼夜で折れるほどヤワじゃない」",
"397000811_14": "「それに……ずっと借りっぱなしでは、気が済まない。\\n 利子が膨らむ前に返しておきたかっただけだ」",
"397000811_15": "「フフフ……キャロルちゃんってば。\\n そんなこと言って、心配してくれてるんでしょ」",
"397000811_16": "「……フン。\\n 好きに考えろ」",
"397000811_17": "「うんッ!\\n 好きに考えておくッ」",
"397000811_18": "「では……申し訳ありませんが、\\n 引き続き装者の迎えをお願いできますか」",
"397000811_19": "「やると言ったからには、足にでもなんでもなってやるがな。",
"397000811_20": " 今回だけだぞ、こんなことをしてやるのは」",
"397000811_21": "「もちろんです。\\n この御恩は、いずれ必ず」",
"397000811_22": "「うんうんッ! すっごく心強いよッ!\\n いざという時、持つべき友はキャロルちゃんだねッ」",
"397000811_23": "「本当は、いつ本部に戻れるか不安だったの。\\n キャロルちゃんが来てくれて、ホッとしたんだよ」",
"397000811_24": "「いや、だから、オレは有言実行をしているまでで……",
"397000811_25": " ええい、調子が狂うッ!」",
"397000811_26": "「と、とにかくッ!\\n オレは次の装者の回収に向かうからなッ」",
"397000811_27": "「ああ、行っちゃった……」",
"397000811_28": "「戻ってきたら、また会えるよ。\\n 今度は平和な時に来てもらいたいね」",
"397000811_29": "「そうしたら、ふらわーにも連れて行きたいなぁ。\\n キャロルちゃん、お好み焼きなんて食べたことないだろうし」",
"397000811_30": "「美味しくってほっぺた落ちちゃうかも」",
"397000811_31": "「フフ、喜んでくれるといいね」",
"397000811_32": "「戻ったようね」",
"397000811_33": "「お2人とも、無事でよかったです」",
"397000811_34": "「マリアさん、調ちゃん……ッ」",
"397000811_35": "「こんにちは、響先輩、未来先輩ッ!",
"397000811_36": " あたしも助太刀に来ましたよッ!」",
"397000811_37": "「明日香ちゃんに茶蔵さんまでッ!?」",
"397000811_38": "「お2人のおかげで、\\n 被害が最小限で済みました」",
"397000811_39": "「そうだったんですか。\\n いざという時に本部にいられず、すみません……」",
"397000811_40": "「任務と救助活動だったんでしょう?\\n 仕方ないわ」",
"397000811_41": "「連絡が取れないままだったから、心配しました」",
"397000811_42": "「わたしたちは平気だよッ。それより、2人こそ大丈夫ですか?",
"397000811_43": " ギアがどうにかなっちゃったって聞いたけど……」",
"397000811_44": "「その件も含めて、一度情報共有をしましょうか。\\n あなたたちの情報も合わせて、今後の方針を検討したいわ」",
"397000811_45": "「わかりましたッ!\\n わたしからも、話したいことがいっぱいありますッ」",
"397000811_46": "「そう……\\n あなたたちも、あの連中に会っていたのね」",
"397000811_47": "「まさか、本部にも現れていたなんて……ッ!」",
"397000811_48": "「あの人たちは、響を前から知っていたような……\\n ううん、この世界を、ずっと観察していたような口ぶりでした」",
"397000811_49": "「ええ。\\n どうやら、入念に襲撃の準備を整えていたようね」",
"397000811_50": "「各場所の襲撃時間を考えるに、あの空間の亀裂による移動に、\\n 空間座標の縛りはないようですね」",
"397000811_51": "「新型デュプリケイターとは違い、まさに神出鬼没……。",
"397000811_52": " なかなか厄介な移動手段だわ」",
"397000811_53": "「あとは……明日香ちゃんが見た感じだと、\\n 奪われた想い出はどこか別の場所に流れてるんだよね」",
"397000811_54": "「はい。その先がどこかまでは追えないので、\\n 別の並行世界なのかもです。お役に立てず、すみません」",
"397000811_55": "「ううん、その話を聞けただけで十分だよッ!」",
"397000811_56": "「どこかに集めてるっていうことは、\\n 元の人に返してあげることもできるかもしれないもんッ」",
"397000811_57": "「確かに……",
"397000811_58": " そう考えると、希望が湧きますねッ!」",
"397000811_59": "「うんッ!\\n だから、わたしはあの子たちにもう一度会わなくちゃ」",
"397000811_60": "「奪った想い出を返して、と言ったところで、\\n 素直に返してくれる手合いでもなさそうなのが問題ね」",
"397000811_61": "「それでも、まずは話をしたいです。",
"397000811_62": " わかり合える道もあるって……信じたいんです」",
"397000811_63": "「……そうだといいのだけど」",
"397000811_64": "「忘れるな……その呪われた力が、\\n お前たちに返ってくる時が来たッ」",
"397000811_65": "(あの言葉……呪われた力がわたしたちに返ってくるとは、\\n どういうこと",
"397000811_66": "(いったい、なにを目的にこんなことを……)",
"397000811_67": "「こ、困ります、どうかここでお待ちを――」",
"397000811_68": "「そんな、すっとろいことを言ってる場合じゃないだろうッ!」",
"397000811_69": "「なんだか廊下が騒がしいような……」",
"397000811_70": "「この声は、まさか――」",
"397000811_71": "「邪魔するよ」",
"397000811_72": "「「環さんッ!?」」",
"397000811_73": "「頭数が少ないね。\\n 他の連中はどうした」",
"397000811_74": "「申し訳ありません、お止めしたのですが……」",
"397000811_75": "「いえ、構いません。\\n 協力体制がとれる相手は多い方がいいです」",
"397000811_76": "「ん……今はあんたが仕切ってんのかい?",
"397000811_77": " あいつはどうした?」",
"397000811_78": "「司令とは連絡が取れない状況です。\\n 他の装者は、協力者の助けを借りて間もなく合流できるかと」",
"397000811_79": "「そうかい……。しかし、この状況、\\n 嫌な予感が当たっちまったみたいだね」",
"397000811_80": "「大地震に続いての、得体のしれない化け物の出現……。\\n 一連の流れは、誰かが手引きしてるんだね」",
"397000811_81": "「お察しの通りです」",
"397000811_82": "「おまけに、敵は自ら作り出した<ruby=アーティファクト>人工聖遺物</ruby>を餌に\\n 装者をおびき出し、世界中に分散させていました」",
"397000811_83": "「その隙に本部を襲撃され、\\n 通信設備を中心に被害は甚大です」",
"397000811_84": "「装者の不在状況を作り出されて、\\n まんまとしてやられたってわけか」",
"397000811_85": "「しかし、<ruby=アーティファクト>人工聖遺物</ruby>だって……?\\n 随分とまぁ、ふざけたものを作ってくれるね」",
"397000811_86": "「おい、お前たちッ!」",
"397000811_87": "「へい、姐さんッ!」",
"397000811_88": "「なんでしょうか?」",
"397000811_89": "「さっさと復旧作業に入るよッ!\\n 終わるまで寝られないものと思いなッ」",
"397000811_90": "「ご助力いただけるのですか?」",
"397000811_91": "「アタシらはアタシらの仕事をする。\\n あんたも自分の務めを果たしな。今はあんたが頭なんだろ」",
"397000811_92": "「――ありがとうございます」",
"397000811_93": "「環さんがいれば、百人力ですッ!」",
"397000811_94": "「フッ、おだてたってなにも出ないよ」",
"397000811_95": "「それじゃあ、全部終わったら、一緒にご飯でも行きましょうッ! \\n わたしの行きつけの店にご案内しますッ」",
"397000811_96": "「フッ……ああ、楽しみにしてるよ」",
"397000811_97": "「ふらわーのおばちゃん、\\n 大忙しになりそう……」",
"397000811_98": "「うーん……\\n ううううーん……」",
"397000811_99": "「どうかしたの、明日香ちゃん?」",
"397000811_100": "「なにもしないっていうのが、どうしても落ち着かなくって……。",
"397000811_101": " よしッ! あたしと師範で、買い出しに行ってきますッ!」",
"397000811_102": "「買い出し……?」",
"397000811_103": "「響先輩たちは、遠方から帰ってきたばかりで疲れてますし、\\n いざという時のために、身体を休めるべきですッ」",
"397000811_104": "「それに、お腹が空いてませんか?」",
"397000811_105": "「言われてみれば……\\n お腹と背中がくっつきそうかも……」",
"397000811_106": "「ですよねッ!\\n 響先輩の好きそうなもの、たくさん買ってきますッ」",
"397000811_107": "「それじゃあ……お願いしちゃおうかな?」",
"397000811_108": "「まっかせてくださいッ!",
"397000811_109": " ほら、行きますよ、師範ッ!」",
"397000811_110": "「あぁ? なんで俺が……」",
"397000811_111": "「荷物持ちですよッ! 師範だってたくさん食べるんですから、\\n 文句言わないでくださいッ」",
"397000811_112": "「……仕方ねぇな」",
"397000811_113": "「と、いうわけなので、水流明日香、\\n 買い出しに行ってきまーすッ」",
"397000811_114": "「行っちゃった……」",
"397000811_115": "「すごい行動力……。",
"397000811_116": " さすがは明日香ちゃん」",
"397000811_117": "「実際、そういうところに意識を割くのがおろそかに\\n なっていたわね。腹が減ってはなんとやら、とも言うし」",
"397000811_118": "「……決して、楽観視をするつもりではないのだけれど」",
"397000811_119": "「こんなにも多くの仲間が手を貸してくれるなら、この先に\\n あるのは不確かな<ruby=みらい>未来</ruby>じゃなく、みんなで掴む明日、よね」",
"397000811_120": "「はいッ! 手を繋いだみんなが力を貸してくれるなら、\\n どんな危機だって切り抜けられる――いつもと同じですッ」",
"397000811_121": "「そして、あの2人……キョウちゃんやヨウちゃんとも、\\n きっと、手を繋げるって、わたしは信じます」",
"397000811_122": "「だから……この手を伸ばすことを、\\n 絶対に諦めませんッ」",
"397000811_123": "「う……」",
"397000811_124": "「――無駄な抵抗をするから、そうなるんです」",
"397000811_125": "「あなたたちは……なにが目的なのですか?」",
"397000811_126": "「そんなこと、あなたに教える必要がありますか?\\n 仮に願ったとして、拒絶されることがわかっているのに」",
"397000811_127": "「わたしたちとあなたたちは、\\n どこまで行っても通じ合えない『他人』――」",
"397000811_128": "「他人同士がわかり合える<ruby=みらい>未来</ruby>なんて、いつまでも来ない。\\n そんなもので救えるほど、わたしたちの絶望は浅くない」",
"397000811_129": "「――誰かの善意が、正義が、\\n 他の誰かを地獄に突き落とすことだってあるんですよ」",
"397000811_130": "「……私には、確かにあなたの求めることがわかりません。\\n けれど、あなたが何かを諦めてしまっていることだけはわかります」",
"397000811_131": "「……ハ。",
"397000811_132": " 知ったような口を、偉そうに」",
"397000811_133": "「いいんですよ、理解なんてしなくたって。\\n わたしたちも、あなたたちを知ろうとは思わない」",
"397000811_134": "「手を繋げばお友達、なんていうおとぎ話では\\n 救えないくらい――」",
"397000811_135": "「わたしたちの世界は、\\n どうしようもなく行き詰まっているのですから」"
}

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@ -0,0 +1,30 @@
{
"397000821_0": "「行き詰っている……?\\n どういうことですか」",
"397000821_1": "「……少し、喋り過ぎました。\\n 幕を引くとしましょう」",
"397000821_2": "「大丈夫、抵抗しなければ、痛くはしませんよ。",
"397000821_3": " ……死ぬ寸前まで苦しいのは、嫌でしょう?」",
"397000821_4": "「…………ッ!」",
"397000821_5": "「――させませんッ!」",
"397000821_6": "「セレナッ!」",
"397000821_7": "「ごめんなさい、マムッ!\\n 途中に現れた怪物を倒すのに手間取りましたッ」",
"397000821_8": "「並行世界に向かおうというときに、\\n どうしても嫌な予感がして……」",
"397000821_9": "「戻ってきて、本当によかった……ッ!」",
"397000821_10": "「陽動のドッペルゲンガーを突破してきましたか……。",
"397000821_11": " 存外、グレイプニルの装者もやりますね」",
"397000821_12": "「ドッペルゲンガー……? あの怪物のことですね。\\n あなたがあれを街に放ったんですかッ」",
"397000821_13": "「そうですが? ――ああ、なぜ、なんて聞かないでくださいね。\\n 答える必要も、意味もないですから」",
"397000821_14": "「あるのは理由だけ……",
"397000821_15": " 全ては――『見放された世界』のためにッ!」",
"397000821_16": "「く……ッ!」",
"397000821_17": "「セレナッ!\\n こいつら、何か変だッ」",
"397000821_18": "「ヴェイグさんッ!?」",
"397000821_19": "「なにか、力を吸われているような……。",
"397000821_20": " なんだ、これは……オレの知ってる力の流れじゃない……ッ」",
"397000821_21": "「ヴェイグさんにまで影響がッ!?\\n やっぱりこの怪物……匹たりとも放っておけないッ」",
"397000821_22": "「セレナッ! 行きなさいッ!!\\n 並行世界に救援要請を……ッ」",
"397000821_23": "「今ここでこの世界を……\\n ううん、マムを見捨てていくなんて、できませんッ」",
"397000821_24": "「今はそんな場合ではありませんッ!\\n 最悪なのは、このまま全滅することです……ッ」",
"397000821_25": "「…………ッ!」",
"397000821_26": "「暢気なことを。どうせ、他の世界も自分のことで手いっぱい。\\n 助けなんて、呼んだって来るはずないのに」",
"397000821_27": "「――終わりにしましょう。\\n 抵抗しないことをおすすめします」"
}

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@ -0,0 +1,43 @@
{
"397000822_0": "「ハァ、ハァ、ハァ……ッ!」",
"397000822_1": "「……頑張りますね。\\n 耐えたところで、意味なんてないのに」",
"397000822_2": "「ドッペルゲンガーもノイズも、すべて倒しましたッ!\\n 残るはあなただけですッ」",
"397000822_3": "「ああ、すみません。",
"397000822_4": " ……勘違い、させてしまいましたね」",
"397000822_5": "「え?」",
"397000822_6": "「きゃああッ!?」",
"397000822_7": "「手勢をけしかけているからといって……。わたしが、\\n あの子たちよりも弱いなんて、ひと言でも言いましたか」",
"397000822_8": "「お、重い……ッ!\\n なんて打撃なの……ッ」",
"397000822_9": "(この人……強いッ!)",
"397000822_10": "「く……ッ!\\n 明らかに、ただの義手じゃない……ッ」",
"397000822_11": "「気をつけてください、セレナ……。あの武装にはなんらかの\\n かたちで聖遺物が使われている可能性があります……ッ」",
"397000822_12": "「聖遺物……ッ!?」",
"397000822_13": "「さすがは聖遺物研究の権威、ナスターシャ博士」",
"397000822_14": "「けれど、それがわかったところで、\\n どうにかなるものでもないでしょう」",
"397000822_15": "「苦しめるのは、趣味ではないのですが。",
"397000822_16": " ――抗うのなら、致し方なしです、ねッ!!」",
"397000822_17": "(疾くて、鋭い。まるで刃物みたいな拳……ッ!\\n でも、わたしだってマリア姉さんたちに鍛えられてきたッ",
"397000822_18": "(隙は必ずできるはず……そこを狙うッ!)",
"397000822_19": "「ハ――ッ!」",
"397000822_20": "「見えていました、右の大振りッ!!」",
"397000822_21": "(これを回避して、死角に潜り込む――ッ!)",
"397000822_22": "「――ッ!?\\n しまったッ」",
"397000822_23": "「ここですッ!」",
"397000822_24": "「――なぁんて、ね」",
"397000822_25": "「嘘、避けられ……ッ!?」",
"397000822_26": "「ああああぁ――ッ!」",
"397000822_27": "「馬鹿みたいに素直な子ですね。\\n だから、救えるものも取りこぼすんですよ」",
"397000822_28": "「く、ぅ……ッ!」",
"397000822_29": "「セレナ……ッ!」",
"397000822_30": "「セレナッ、しっかりしろッ!\\n おい、セレナ……ッ」",
"397000822_31": "「マ、ム……ヴェイグさん……」",
"397000822_32": "(わたし……みんなを護れなかった……)",
"397000822_33": "「……他愛ないですね」",
"397000822_34": "(姉、さん……――)",
"397000822_35": "「――ッ!」",
"397000822_36": "「……マリア?\\n どうかした」",
"397000822_37": "「……いえ。\\n 気のせい……だと思うわ」",
"397000822_38": "「そう?」",
"397000822_39": "「ええ……」",
"397000822_40": "(……何かしら、今の、酷い悪寒。\\n この嫌な予感は……なに"
}

View file

@ -0,0 +1,83 @@
{
"397000911_0": "世界の敵",
"397000911_1": "(切ちゃん、帰ってくるの遅いな……。\\n お腹空かせてないかな",
"397000911_2": "「どうかしたの?」",
"397000911_3": "「あ……ええと、その……。",
"397000911_4": " 切ちゃん、遅いなって」",
"397000911_5": "「キャロルちゃんが順番に迎えに行ってくれてるんだよね。\\n 心配」",
"397000911_6": "「……ちょっとだけ」",
"397000911_7": "「ちょっと?」",
"397000911_8": "「切ちゃんは強いから、1人でも戦えます。",
"397000911_9": " でも、そそっかしいところもあるから」",
"397000911_10": "「フフ、そうかもね。",
"397000911_11": " でも、きっともうすぐ帰ってくるよ」",
"397000911_12": "「……はい。そうですよね。\\n きっと疲れてるだろうから、帰ってきたら労ってあげないと」",
"397000911_13": "「本当に仲がいいよね、2人は」",
"397000911_14": "「はいッ!\\n 未来さんと響さんにも負けないくらい、ですよ」",
"397000911_15": "「言うなぁ」",
"397000911_16": "(……うん。\\n 未来さんの言う通り、考えすぎだよね",
"397000911_17": "「戻ったぞ」",
"397000911_18": "「本部襲撃という一大事に空けていたこと、申し訳ない」",
"397000911_19": "「クリスちゃん、翼さんッ!」",
"397000911_20": "「おかえりなさい。\\n 無事なようで安心したわ」",
"397000911_21": "「ああ、問題ない。……しかし驚いたぞ。\\n まさか迎えに来るのが、あのキャロルとはな」",
"397000911_22": "「世話になったな」",
"397000911_23": "「気にするな。\\n オレはオレの都合で手を貸しただけだ」",
"397000911_24": "「すぐに合流できたみたいで、よかったよ」",
"397000911_25": "「……そうだな」",
"397000911_26": "「いやいや、あたしたちも化け物退治で動き回ってたからな。\\n すごい探し回っててくれたじゃないかよ……」",
"397000911_27": "「い、言わんでいいッ!」",
"397000911_28": "「使用不能になっていた通信機が復旧したおかげだ。\\n 故障したままでは、今しばらくかかっていただろう」",
"397000911_29": "「本当によかった。\\n 環さんたちが頑張ってくれたおかげですね」",
"397000911_30": "「環さんが来ているのですか?",
"397000911_31": " 後で挨拶と礼をしなければ……」",
"397000911_32": "「これで残るは、あと1人だな」",
"397000911_33": "「切ちゃんとの連絡は?」",
"397000911_34": "「それが、まだつかないんです」",
"397000911_35": "「え……?」",
"397000911_36": "「通信に気づいていないのか、\\n あるいは通信機自体を失くしたか、破損したか……」",
"397000911_37": "「まさか……\\n なにか大変な目に遭ってるんじゃ……ッ」",
"397000911_38": "「慌てるな。任務で出たのなら、おおよその位置の見当は\\n ついているんだろう オレが行って探してやる」",
"397000911_39": "「いいんですか……?」",
"397000911_40": "「乗りかかった船だ、もう少しつき合ってやる。\\n 少し待っていろ」",
"397000911_41": "「行っちゃった……」",
"397000911_42": "「フフ……本当に、\\n 随分と雰囲気が丸くなったものだな」",
"397000911_43": "「はぁ……」",
"397000911_44": "「お、なんだなんだ?\\n 似た顔なのに、こっちはずいぶんと落ち込んでるな」",
"397000911_45": "「あ、クリスさん、翼さん……ッ!",
"397000911_46": " よかった、帰ってこられたんですね」",
"397000911_47": "「ああ、キャロルのおかげでな。",
"397000911_48": " そちらは……雪音の言う通り、随分落ち込んでいるようだが……」",
"397000911_49": "「マリアさんと調さんのギアに組み込んだ『アリアドネの糸』が、\\n 思っていた以上に深く溶け込んでしまっていて……」",
"397000911_50": "「想定よりも、除去が難しそうなんです……。\\n うぅ……すみません、ボクが余計なことをしたばかりに……」",
"397000911_51": "「気にしないで……なんて言っても、\\n あなたは余計気にするわよね」",
"397000911_52": "「あなたはあの時、やれるだけのことをやろうとしてくれた。\\n そんなあなたを責めるつもりはないわ」",
"397000911_53": "「でも……」",
"397000911_54": "「LiNKERが無くなって戦えなくなった時だって、\\n エルフナインが最後はなんとかしてくれた」",
"397000911_55": "「だから、今度もエルフナインはきっとどうにかしてくれるって、\\n 信じてる」",
"397000911_56": "「そうね。プレッシャーをかけるようだけど、\\n わたしもあなたに期待しているわ」",
"397000911_57": "「だから、エルフナイン。\\n あなたも自分を信じて」",
"397000911_58": "「大切なのは、自分を信じること……」",
"397000911_59": "「……そうでしたね。\\n 追い込まれて、うっかり忘れるところでした」",
"397000911_60": "「それに……\\n エルフナインは既に、奇跡を引き寄せているじゃない」",
"397000911_61": "「え……?」",
"397000911_62": "「『アリアドネの糸』よ。\\n あなたが戦ってくれたおかげで、みんな無事だったのだもの」",
"397000911_63": "「<ruby=アーティファクト>人工聖遺物</ruby>である『アリアドネの糸』を、\\n 聖遺物と拡張しての励起……」",
"397000911_64": "「……そうです。除去するのが難しいなら、その逆の発想なら、\\n もしかしたら――ッ」",
"397000911_65": "「なにか浮かんだみたいね」",
"397000911_66": "「もう少し、時間をいただきますが……。",
"397000911_67": " ひょっとしたら、解決の糸口が見つかったかもしれません」",
"397000911_68": "「その意気よ。大丈夫、翼たちも帰ってきたんだもの。",
"397000911_69": " わたしたちは、ちょっとやそっとでは折れたりしないわ」",
"397000911_70": "「はいッ!\\n ボクはボクの戦いに戻りま――」",
"397000911_71": "「う……」",
"397000911_72": "「あ、キャロルッ! おかえりなさい。\\n ちょうど、聞いて欲しい理論が――」",
"397000911_73": "「後にしろッ!」",
"397000911_74": "「え……?\\n なにが……――えッ」",
"397000911_75": "「う、うぅ……」",
"397000911_76": "「な……ッ!?」",
"397000911_77": "「切ちゃん……ッ!?",
"397000911_78": " その怪我……ッ」",
"397000911_79": "「しら、べ……?\\n へへ……ちょっとだけ、油断しちゃったデス、よ……」",
"397000911_80": "「話は後だッ!\\n すぐにこいつの治療の準備を――ッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,148 @@
{
"397000921_0": "「切ちゃんッ、切ちゃん……ッ!」",
"397000921_1": "「居ても立っても居られない気持ちはわかる。\\n だが、落ち着くんだ月読」",
"397000921_2": "「でも……ッ!」",
"397000921_3": "「ここで騒いでいては治療の邪魔になるわ。\\n とりあえず、場所を移しましょう」",
"397000921_4": "「…………」",
"397000921_5": "「調ちゃんッ、切歌ちゃんならきっと大丈夫ッ!」",
"397000921_6": "「響さん……?」",
"397000921_7": "「キャロルちゃんが治療してくれてるんだもんッ!\\n きっと元気になるよッ」",
"397000921_8": "「……はい」",
"397000921_9": "「それに、取り乱していては、\\n 切歌が目を覚ました時に余計な心配をかけてしまうわよ」",
"397000921_10": "「――ッ!」",
"397000921_11": "「うん、そうだね……切ちゃんはきっと、自分が傷ついたことより、\\n わたしが悲しむことの方を気にしてしまう」",
"397000921_12": "「だな。\\n だったら、塞ぎ込むのはやめだ」",
"397000921_13": "「その意気よ、調」",
"397000921_14": "(……とは言ったものの、わたし自身、\\n セレナのことが気になっているのよね……",
"397000921_15": "(さっき感じた嫌な予感……。\\n まさかとは、思うけれど……",
"397000921_16": "「あなたなら大丈夫よね、セレナ……」",
"397000921_17": "「――大丈夫じゃないですよ」",
"397000921_18": "「え……ッ!?」",
"397000921_19": "「あの時の……ッ!?」",
"397000921_20": "「いつの間に……ッ!?」",
"397000921_21": "「こいつらが本部に押し入ったという賊か……ッ!」",
"397000921_22": "「あたしらが留守の間に、随分好き勝手してくれたらしいな。\\n また本部に乗り込んでくるとは、いい度胸だッ」",
"397000921_23": "「逸るな、雪音ッ!\\n 音もなくここまで近づかれた……只者ではないッ」",
"397000921_24": "「関係あるかよッ!」",
"397000921_25": "「威勢がいいのは結構。",
"397000921_26": " だが、力関係も読み取れないというのは滑稽だな」",
"397000921_27": "「言ってくれる……ッ!」",
"397000921_28": "「あなた……さっき、なんて言ったの?」",
"397000921_29": "「グレイプニルのセレナ・カデンツァヴナ・イヴだったら、\\n 残念ながら無事ではないと言ったんです」",
"397000921_30": "「もう見てるから知ってるだろうが……\\n イガリマのシンフォギア装者と同じだよ」",
"397000921_31": "「――ッ!?",
"397000921_32": " セレナになにをしたッ!」",
"397000921_33": "「まさか……ッ、\\n あなたが切ちゃんをッ」",
"397000921_34": "「ふむ。",
"397000921_35": " ……だったら、どうします?」",
"397000921_36": "「――許さないッ!」",
"397000921_37": "「そこに直りなさいッ!」",
"397000921_38": "「く……ッ!\\n ぁああああ……ッ」",
"397000921_39": "「ぐぅ……ッ!!\\n バックファイアが……ッ」",
"397000921_40": "「呆れますね。鳥頭なのか、猪武者なのか。\\n あなたたちのギアは、もはや枷でしかないでしょうに」",
"397000921_41": "「キョウちゃんに……ヨウちゃんだよね。\\n ねえ、人はいったいなにが目的なのッ」",
"397000921_42": "「……びっくりです。ファム・ファタール。\\n 許してもいないのに、そんなに馴れ馴れしく呼ばれるとは」",
"397000921_43": "「あなたって、本当に仲良くない相手の心にも土足で\\n 上がろうとするんですね。パーソナルスペースってご存知ですか」",
"397000921_44": "「まったくもって同意だな」",
"397000921_45": "「――ッ!」",
"397000921_46": "「とはいえ――せっかく役者が揃っているんです。\\n 皆様の情報量の足並みを揃えましょうか」",
"397000921_47": "「床を這ってるその2人と違って、一応こいつらは、あたしたちの力量を\\n 見定めようとする理性を持ち合わせているようだしね」",
"397000921_48": "「わたしたちOTHERSは、皆様お察しの通り、\\n 他の並行世界より参りました」",
"397000921_49": "「……あなたたちが、\\n 今まで見向きもしなかった『見放された世界』からね」",
"397000921_50": "「目的は、この世界群からの略奪」",
"397000921_51": "「あたしたちは、\\n この世界から盗み、奪う」",
"397000921_52": "「そうして、この世界を殺します」",
"397000921_53": "「そう……全ては――」",
"397000921_54": "「「『見放された世界』のために」」",
"397000921_55": "「わたしたちの知らなかった、並行世界……」",
"397000921_56": "「その……それは……今からじゃ、\\n どうにもできないのかなッ」",
"397000921_57": "「は……?」",
"397000921_58": "「……どういう、意味ですか?」",
"397000921_59": "「2人がしてることは、見逃せない。でも……\\n 痛いくらい必死なのは、見ればわかるよッ」",
"397000921_60": "「わたしたちは確かに、2人の世界のことを知らなかった……。",
"397000921_61": " でも、今は違うッ!」",
"397000921_62": "「2人が、教えてくれたからッ!\\n わたしたちは、人の世界のことを、少しだけ知ったんだよッ」",
"397000921_63": "「だったらッ! 今からだって遅くないはずだよッ!\\n こうやって、話ができるんだもんッ」",
"397000921_64": "「おそく、ない……。",
"397000921_65": " 遅くない、だと……ッ!?」",
"397000921_66": "「そうだよ……ッ!\\n 手を差し伸べるのが遅すぎるなんてこと、ないはずだッ」",
"397000921_67": "「よくもまぁ、\\n しゃあしゃあと……ッ」",
"397000921_68": "「どの口で、そんなことを……ッ!」",
"397000921_69": "「――ッ!」",
"397000921_70": "「響、下がってッ!」",
"397000921_71": "「あぁ……あぁ、あぁッ、あぁッ!\\n いつだってそうだッ」",
"397000921_72": "「お前たちは正義の顔をして、ありがたくも上から目線で人を\\n 救ってくださるッ 救う側のつもりでいるッ」",
"397000921_73": "「あなたたちは所詮、\\n 自分の目に入るものを救って悦に入っているだけ」",
"397000921_74": "「あなたたちがヒーローを気取る舞台裏で、\\n なにが起こっているかも知らずに……」",
"397000921_75": "「そのくせ……\\n 英雄になる覚悟もないくせに……ッ」",
"397000921_76": "「話をする? 手を伸ばす?",
"397000921_77": " ……なにもかも、とっくに手遅れなんですよッ!」",
"397000921_78": "「ああ……本当に嫌になる。この世界だって本物の『本流』では\\n ないくせに、さも自分が世界を動かしているような顔をするッ」",
"397000921_79": "「並行世界の存在に、在り方に……ッ!\\n 疑問すら抱かなかったことを後悔させてやる――ッ」",
"397000921_80": "「待ってよ……ッ!\\n あなたたちは、なにと戦ってるのッ」",
"397000921_81": "「…………。\\n ふざけ、ないで……ッ」",
"397000921_82": "「さっきから、\\n 勝手な理屈を並べてばかり……ッ」",
"397000921_83": "「どんな事情があったとしても、あなたたちは切ちゃんをッ!\\n 多くの人を傷つけたッ」",
"397000921_84": "「その身勝手な目的のためにッ!\\n セレナに何をしたッ」",
"397000921_85": "「立てもせず、這いつくばったままよく吠える」",
"397000921_86": "「……本当に。一皮剥けば、怒りの本質はわたしたちと同じのくせに。\\n そんな奴相手に、答えてあげる理由がありませんね」",
"397000921_87": "(――ッ、隙がない。\\n だが、仕掛けるなら今……いけるか……ッ",
"397000921_88": "(いや、先輩、それは――)",
"397000921_89": "「……やめておけ。",
"397000921_90": " そこの芋虫みたいな2人を護り切る自信がないなら、な」",
"397000921_91": "「クソ……お前の言う通りだよッ!\\n 本部ん中じゃ、あたしたちが暴れ回るにゃ部が悪い……ッ」",
"397000921_92": "「『ψ型避雷針』No.12に伝達。これからあなたを使用します。\\n 作戦開始位置についてください」",
"397000921_93": "「はいッ、自分の準備はできていますッ!」",
"397000921_94": "「それではお願いします。\\n 作戦開始を――」",
"397000921_95": "「あ、あの……ッ!\\n 最期につ、よろしいでしょうかッ」",
"397000921_96": "「――構いません。\\n なんでしょうか」",
"397000921_97": "「ありがとうございます、そのッ! キョウ様は、自分の憧れでした。",
"397000921_98": " お役に立てるよう、世界のためにこの命、捧げますッ!」",
"397000921_99": "「…………ッ」",
"397000921_100": "「……あなたの献身は、遥か未来まで語り継がれることでしょう。\\n 全ては『見放された世界』のために」",
"397000921_101": "「はいッ!\\n 全ては『見放された世界』のためにッ」",
"397000921_102": "「…………」",
"397000921_103": "「今の通信……なにをするつもりだッ!?」",
"397000921_104": "「……さぁて、なんでしょう?」",
"397000921_105": "「とぼけようってんなら、力ずく、で――",
"397000921_106": " うわあッ!?」",
"397000921_107": "「なんだ……ッ!?",
"397000921_108": " また、あのときのような地震がッ!?」",
"397000921_109": "「市街地にて異常発生ッ!」",
"397000921_110": "「まさか、またドッペルゲンガーが……ッ!?」",
"397000921_111": "「……本当にそれだけで済むと思っているのか。\\n おめでたいな」",
"397000921_112": "「どういうことですか……?」",
"397000921_113": "「現場の状況、端末に回しますッ!」",
"397000921_114": "「きゃあああああ……ッ!",
"397000921_115": " あ……あ? 力が、ぬけ、て……」",
"397000921_116": "「こ、この前よりも数段デカい化け物……ッ!?\\n なんだってんだ、この世に何が起こって――ッ」",
"397000921_117": "「なに、が……\\n ……ぁ…………」",
"397000921_118": "「なんだ、これは……ッ!?」",
"397000921_119": "「ドッペルゲンガーが合体して、\\n どんどん大きくなっていく……ッ」",
"397000921_120": "「お前ら……\\n ありゃなんだってんだ」",
"397000921_121": "「何度も言ってる。\\n 答えるつもりはない……ってね」",
"397000921_122": "「お前たちが、無辜の民をも脅かすというのなら――\\n 牽制はここまでだッ」",
"397000921_123": "「答えるつもりがないのなら、剣にて問うまでッ!」",
"397000921_124": "「覚悟ッ!」",
"397000921_125": "「逸るなよ、聖遺物使い。\\n そう急がなくたって、じきに到着する」",
"397000921_126": "「これだけの上等かましといて逃げるつもりかッ!」",
"397000921_127": "「そんな無粋はしませんよ。\\n ……甲板でお待ちします」",
"397000921_128": "「くそッ、ふざけやがって……ッ!」",
"397000921_129": "「甲板って言ってたけど……。\\n なにか、罠を張って待ち構えてるのかも」",
"397000921_130": "「これが罠だとて、乗るしかあるまいッ!」",
"397000921_131": "「行きましょうッ!」",
"397000921_132": "「く……ッ!\\n どうして……どうして、こんなときにッ」",
"397000921_133": "「身体がうまく動かない……ッ!」",
"397000921_134": "「バックファイアの影響がまだ抜けていないのだろう。\\n 無茶をするな」",
"397000921_135": "「こんな局面で、あなたたちに任せるしかないなんて……」",
"397000921_136": "「馬鹿言うな、先に行くだけだ。\\n 必ず追いついて来い」",
"397000921_137": "「クリス先輩……」",
"397000921_138": "「……そんなこと言われたら、わたしも、マリアも、\\n いつまでもここで休んでるわけにはいかないじゃないですか」",
"397000921_139": "「本当よ……まったくもう」",
"397000921_140": "「……きっとわたしたちも追いつきます。\\n だから――ッ」",
"397000921_141": "「うんッ!\\n 絶対に、人が来るまで持ちこたえてみせるからッ」",
"397000921_142": "「さて……わたしたちも、このまま一矢も報いずに\\n 終わらせるわけにはいかないわね。そうでしょ」",
"397000921_143": "「もちろん。",
"397000921_144": " でも、わたしたちのギアは……」",
"397000921_145": "「あら、もう1人いるでしょう? ――わたしたちと一緒に、\\n 雪辱を果たしたいと思っている仲間が」"
}

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{
"397000931_0": "「来ましたね」",
"397000931_1": "「待ちくたびれるところだ」",
"397000931_2": "「好き勝手やってくれやがって、ここが年貢の納め時だッ!\\n 耳を揃えて支払ってもらおうかッ」",
"397000931_3": "「安心しろ。逃げるつもりはない。",
"397000931_4": " ほら、見ろ。――主役もご到着だ」",
"397000931_5": "「あの大きなの……本部に向かってくるッ!」",
"397000931_6": "「随分とでかくなったな……」",
"397000931_7": "「それはもう、はらぺこの器ですから。",
"397000931_8": " あの大きさなら、十分な想い出をため込めそうですね」",
"397000931_9": "「想い出を……?",
"397000931_10": " それって……ッ!」",
"397000931_11": "「わたしたちの想い出をわけてあげれば、戦わずに済むの?\\n どうしても、ぶつからなきゃいけないのッ」",
"397000931_12": "「ああ……\\n そうそう、その『目』だよ」",
"397000931_13": "「え……?」",
"397000931_14": "「自分がしていることを正しいと信じて疑わない『目』。\\n 正義の味方らしい、使命に満ちた『目』が問題なんだよ」",
"397000931_15": "「わ、わたしは、正義の味方なんかじゃないよ。\\n わたしは……ッ」",
"397000931_16": "「あなたのその無意識の正義で飾られた『怒り』が\\n 多くを救う一方で、多くを殺してきた」",
"397000931_17": "「手を、取りたい?",
"397000931_18": " ――笑わせるな」",
"397000931_19": "「護ることは殺すこと。\\n そして、殺すことは護ること」",
"397000931_20": "「殺して護る覚悟すら持ち合わせのないお前に……ッ!!\\n わたしたちの計画を止める資格なんて、ないんですよッ」",
"397000931_21": "「護ることが、殺すこと……?",
"397000931_22": " そんなはずないよ、護ることは……護ることだよッ!!」",
"397000931_23": "「敵の言葉に惑わされるなッ!\\n 要はこいつらは――諦めちまってんだッ」",
"397000931_24": "「誰も傷つかずに済む道を選ぼうとせず、安易な偽悪に\\n 身をゆだねる――かような輩に、心を乱されるなッ」",
"397000931_25": "「……揃いも揃って、綺麗ごとを」",
"397000931_26": "「お前らみたいな奴らに、\\n あたしたちの覚悟を否定される筋合いはないッ」",
"397000931_27": "「つまるところ、\\n どこまでも平行線ということです」",
"397000931_28": "「だったら……わかるだろう。",
"397000931_29": " やり合うしか、ないんだよッ!」",
"397000931_30": "「……わかりません。",
"397000931_31": " そんなのは、わからないッ!!」",
"397000931_32": "「……は?」",
"397000931_33": "「わたしの言葉が届かないのは悲しい。\\n すごく悲しいよ。だけど――ッ」",
"397000931_34": "「それでもわたしは、誰彼構わず傷つけるあなたたちを、\\n 見過ごすことはできないッ だから――ッ」",
"397000931_35": "「Balwisyall Nescell gungnir tron――」",
"397000931_36": "「ごめんね。\\n わたしはこの胸の歌で……あなたたちを、ぶん殴るッ」",
"397000931_37": "「ハッ!\\n 化けの皮がはがれたな」",
"397000931_38": "「結局あなたも、暴力で相手を叩きのめすだけ」",
"397000931_39": "「違うッ!\\n わたしの拳は、わかり合うための壁を壊す拳ッ」",
"397000931_40": "「けれど、握った拳は、手のひらを開く勇気があれば……\\n いつだって解くことができるからッ」",
"397000931_41": "「今、2人とわかり合えないのは悲しいけど……",
"397000931_42": " それでも……その先の可能性まで、諦めるもんかッ!」",
"397000931_43": "「だからこそ――わたしは戦うッ!」",
"397000931_44": "「…………ッ!",
"397000931_45": " お前……貴様ッッ!」",
"397000931_46": "「世界のために誰かを殺し、何かを奪う……それが、英雄の道。\\n その道を歩く覚悟もないくせに……ッ」",
"397000931_47": "「わたしは英雄になりたいんじゃないッ!\\n 人を知りたいだけ――」",
"397000931_48": "「うるさい、黙れッ!!」",
"397000931_49": "「キョウッ!\\n 今だッ」",
"397000931_50": "「――――」",
"397000931_51": "「――ッ!\\n もうこんな近くまで――」",
"397000931_52": "「オォォォオォォ……ッ!」",
"397000931_53": "「…………ッ!?",
"397000931_54": " なに、これ……ッ、急に力が……ッ!?」",
"397000931_55": "「響ッ!? なにが……、",
"397000931_56": " え……ッ!?」",
"397000931_57": "「な……なんだ、この脱力感は……ッ!?」",
"397000931_58": "「まるで身体の奥から力を\\n 直接奪われているかのような、この感覚……ッ」",
"397000931_59": "「小型のドッペルゲンガーを相手にした時に感じた感覚だ……。\\n だけど、前とは比べ物にならないぞッ」",
"397000931_60": "「ハハッ……辛いだろうな。見てみなッ!\\n お前たちの想い出を集める『器』のご到着だッ」",
"397000931_61": "「力は、高きから低きところへ。\\n 弱いやつを<ruby=しるべ>導</ruby>に落としたドッペルゲンガーは、いい器になる」",
"397000931_62": "「それに……」",
"397000931_63": "「同じ理屈です。乾いて、大きな器ほど……あなたたちの\\n 瑞々しい想い出は、容赦無くそちらに吸い寄せられるッ」",
"397000931_64": "「想い出を……ヒトが生きていくための力を奪われながら、\\n わたしたちの相手ができますかッ」",
"397000931_65": "「だったら……ッ、\\n まずはデカブツを潰すまでだッ」",
"397000931_66": "「効いてない……ッ!?」",
"397000931_67": "「苦し紛れで、どうにかなるほどヤワじゃないぞ、\\n こいつはッ」",
"397000931_68": "「く……ッ!?\\n 奴の巨大な腕が、こちらに――ッ」",
"397000931_69": "「雪音ッ!」",
"397000931_70": "「……ッ、悪い、先輩。\\n 世話かけちまった」",
"397000931_71": "「それより、次が来るッ!」",
"397000931_72": "「この巨体ながら、なんという速さ……ッ!」",
"397000931_73": "「本部を護らなきゃッ!」",
"397000931_74": "「でも、こんなに攻撃が激しいんじゃ……」",
"397000931_75": "「いなすので精一杯だ……ッ!」",
"397000931_76": "「だろうな、当然そうなるッ!\\n お前たちが退けば、この艦にいる連中が餌食になるッ」",
"397000931_77": "「一歩も引けないこの状況、背水の陣ですね。\\n どんどん追い詰められて、そして……フフ」",
"397000931_78": "「こうしている間も、お前らの力はどんどん吸い取られていく。\\n 長引けば長引くほど、勝ちの目はなくなるわけだッ」",
"397000931_79": "「この状況、あなたたちはもう、詰んでいるんですよ。\\n 一時的な障害があったとはいえ――全ては計画通りです」",
"397000931_80": "「――その計画には、\\n もちろんわたしたちも含まれているのよねッ」",
"397000931_81": "「く……ッ!?」",
"397000931_82": "「この土壇場で、横やりッ!?」",
"397000931_83": "「大丈夫かッ、キョウッ!?」",
"397000931_84": "「――っつぅ……",
"397000931_85": " 大丈夫だよ、ヨウ……直撃は避けたから」",
"397000931_86": "「でも……ッ」",
"397000931_87": "「ああ……。\\n お前たち、なんで動けるッ」",
"397000931_88": "「マリア、月読……ッ!?\\n ギアを纏っても大丈夫なのかッ」",
"397000931_89": "「お前らのギアは組み込まれた『アリアドネの糸』が、\\n 未だに機能を阻害しているはず……なにをしたッ」",
"397000931_90": "「――確かに、お2人のギアはボクが不用意に組み込んでしまった\\n 『アリアドネの糸』のせいで、動作不良を起こしていました」",
"397000931_91": "「エルフナインちゃんッ!」",
"397000931_92": "「そう――『アリアドネの糸』はこちらの制御下にある。\\n だというのに、なぜ妨害が機能していない……」",
"397000931_93": "「お忘れですか? ボクが『アリアドネの糸』を起動させ、\\n 制御に成功したことを」",
"397000931_94": "「……ッ!?",
"397000931_95": " まさかお前……ッ!」",
"397000931_96": "「そのまさかですッ! お2人のギアに組み込まれた\\n 『アリアドネの糸』の制御権、上書きさせていただきましたッ」",
"397000931_97": "「「…………ッ!?」」",
"397000931_98": "「キャロルがヒントをくれたんです。錬金術を用いて聖遺物を\\n 制御することにかけて、キャロルはボクよりずっと上ですから」",
"397000931_99": "「く……ッ、そうだとしても、お前は聖遺物の扱いに\\n 慣れていないッ そう長くはもつはずがないッ」",
"397000931_100": "「フィーネさんが置き土産に、\\n 聖遺物の負荷を軽減するための知恵を貸してくれました」",
"397000931_101": "「戯言を……ッ! だったらどうした?\\n 人増えたところで、戦況は変わらないッ」",
"397000931_102": "「それはどうかしら?」",
"397000931_103": "「なに……?」",
"397000931_104": "「あなた、背水の陣と言ったわね。\\n けれど理解していて」",
"397000931_105": "「この言葉はね、追い込まれた時に使いがちだけれど――",
"397000931_106": " 『背水の陣』は、勝つためにこそ敷くものなのよッ!」",
"397000931_107": "「あなたたちは不用意に敵を作り、\\n 追い込むべきではない相手を追い込んだッ」",
"397000931_108": "「追い込まれたわたしたちの強さ、見せてあげるッ!」",
"397000931_109": "「2人のギアが……ッ!?」",
"397000931_110": "「変わったッ!?」",
"397000931_111": "「シンフォギアはリビルドを経て、\\n 錬金術という異なる概念を取り入れ、アマルガムと成りました」",
"397000931_112": "「だったらそれと同じように、『<ruby=アーティファクト>人工聖遺物</ruby>』だって、\\n 自分の力とできない道理はないッ」",
"397000931_113": "「これが、ボクとキャロルが――フィーネさんがッ!\\n つの世界が手を取り合って、辿り着いた<ruby=ちから>奇跡</ruby>ッ!」",
"397000931_114": "「この力は、あなたたちと同じように、\\n 世界を渡ってきた人たちが繋いでくれた――」",
"397000931_115": "「ボクの……いいえ。",
"397000931_116": " ボクたちの、新しい力ですッ!!」",
"397000931_117": "「ふざけるな……ッ!\\n 同じでなど、あるはずがないッ」",
"397000931_118": "「手を取り合える人が、手を繋いで……\\n それで、また――わたしたちの世界を、殺すとッ」",
"397000931_119": "「認めない、認められるか、そんなこと……ッ!」",
"397000931_120": "「その上、聖遺物が、\\n あたしたちの『<ruby=アーティファクト>人工聖遺物</ruby>』を取り込んだだと……ッ!?」",
"397000931_121": "「ふざけてる……ッ!\\n そんなもの、スイッチを切ればッ」",
"397000931_122": "「……くそッッ!! どうして何も応えてくれないんだ、\\n お前はあたしたちの『<ruby=アーティファクト>人工聖遺物</ruby>』だろう……ッ!」",
"397000931_123": "「どこまでも貪欲な……ッ!」",
"397000931_124": "「これは、絶対に負けられないという意志の結晶。\\n アマルガムの新しい形」",
"397000931_125": "「護るためのアマルガム――名づけて、\\n 『アマルガム・キーパー』ですッ」",
"397000931_126": "「切ちゃんを傷つけたあなたたちの罪は、許しはしない。\\n だけど、わたしが戦うのは仕返しのためじゃない」",
"397000931_127": "「セレナだって、きっと無事でいると信じている。\\n だから、これは復讐の戦いではない」",
"397000931_128": "「「もう誰も、傷つけさせないために――ッ!」」",
"397000931_129": "「さあ――反撃の時間よ」",
"397000931_130": "「ボクたちの力で、護ってみせる――ッ!」"
}

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@ -0,0 +1,46 @@
{
"397000932_0": "「ボクが……終わらせるんだッ!!\\n この戦いを……ッ」",
"397000932_1": "「すごい、一気にバラバラにッ!」",
"397000932_2": "「くそッ!\\n 器が……ッ」",
"397000932_3": "「…………ッ!」",
"397000932_4": "「勝負あったようね」",
"397000932_5": "「これでもう、本部に手は出せないッ!」",
"397000932_6": "「くそ……ッ!」",
"397000932_7": "「……よしッ!\\n 吸われてた力も戻ってきたッ」",
"397000932_8": "「明日香さんが教えてくれました。あなたたちが集めた\\n エネルギーは、どこか別の場所へ送られていると」",
"397000932_9": "「そしてあなたたちが漏らした言葉のカケラ……\\n それらつを組み立てていくと、つの仮説が成り立ちます」",
"397000932_10": "「それは、この世界だけでなくあらゆる並行世界が、\\n 『どこか』に向けて傾いている状況……」",
"397000932_11": "「水は高いところから低いところへ流れるように、\\n 乾いたものが、潤いを奪い去るように……」",
"397000932_12": "「おそらく、あなたたちの世界に流れ込んでいるッ!!」",
"397000932_13": "「「…………ッ!」」",
"397000932_14": "「ですが、それほどまでに大きな渦。\\n 制御するのは並大抵のことではないのでしょう」",
"397000932_15": "「だからこそボクらはこの場で『感情の振れ幅』によって、\\n どこまでも強く、そして弱くもなる……ッ」",
"397000932_16": "「……ッ、あたしたちは勝たなきゃいけないんだ……ッ!\\n こんなところで、負けるわけには……ッ」",
"397000932_17": "「ヨウ……\\n 大丈夫だよ」",
"397000932_18": "「キョウ……?」",
"397000932_19": "「わたしたちはこれ以上、弱くなんてならない。\\n 底なんて、とうに決まってた。そうでしょ」",
"397000932_20": "「……だから、大丈夫。\\n わたしたちのやることは、変わらない」",
"397000932_21": "「あ――」",
"397000932_22": "「……そう、だよね。そうだった……\\n ありがとう、キョウ……」",
"397000932_23": "「なに……?\\n 急に落ち着いた……」",
"397000932_24": "「腹をくくったとでも言うつもりか?」",
"397000932_25": "「そんなところです。\\n 負けられないんですよ、わたしたちは」",
"397000932_26": "「まだやるのかよ? お前らのとっておきだって潰したんだ。\\n もう負けは見えてるだろ」",
"397000932_27": "「関係ないさ。たとえ一度負けようと……。",
"397000932_28": " いや、負けて負けて負けて負けて負けて……」",
"397000932_29": "「どれだけ辛酸をなめようが、半身を削られようが、\\n あたしらは諦めなかった」",
"397000932_30": "「だから――\\n 変わらないんだよ、あたしらのやることは」",
"397000932_31": "「わたしたちは、あなたたちの『強さ』程度に屈したりしない」",
"397000932_32": "「何度頽れようとも、世界のために進み続けると……ッ!\\n そんな覚悟は、とっくに済ませてきたッ」",
"397000932_33": "「違うッ! その気持ちだけじゃ、痛んで、すり減って、\\n もう歩けないことにだって、気づけなくなっちゃうよッ」",
"397000932_34": "「2人が、歩き疲れてこの世界にたどり着いたなら……ッ!\\n わたし、手を伸ばすからッ」",
"397000932_35": "「2人が、また新しく、歩いていくために……ッ!」",
"397000932_36": "「黙ッれェェェェェッ!!!\\n わたしたちは、奪うッ」",
"397000932_37": "「お前たちに奪われた世界を……ッ!\\n 奪い返すッ」",
"397000932_38": "「なんという、怨嗟……",
"397000932_39": " ……悲しいくらいに、1つだけ確かなことがあるわ」",
"397000932_40": "「覚悟を決めた人間が、1番厄介……。\\n そういう意味では、この人ほど厄介な手合いはいない」",
"397000932_41": "「ああ……理屈ではない。\\n どうやら、少々見誤っていたらしい」",
"397000932_42": "「この2人には、なにを犠牲にしてでも成し遂げるという、\\n 覚悟がある」",
"397000932_43": "「こいつらは、どうしようもないほどに――\\n 世界の敵だッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,123 @@
{
"397001011_0": "End of Prologue",
"397001011_1": "「世界の敵……ええ、そうです。",
"397001011_2": " そうですよッ! わたしたちは、あなたたちの、敵ですッ!!」",
"397001011_3": "「あたしたちは、そうなるためにここに来た……ッ!\\n その<ruby=そし>誹</ruby>りは、望むところだッ!!」",
"397001011_4": "「なぜ、そこまで……ッ!",
"397001011_5": " 針の道を歩こうとするッ!?」",
"397001011_6": "「勝敗は決したッ!\\n この期に及んで、なにを考えているッ」",
"397001011_7": "「それはもちろん、あなたたちを倒す手段ッ!」",
"397001011_8": "「あぁ、認めよう。\\n あたしたちは、お前らの底を見誤った」",
"397001011_9": "「なるほど確かに化け物だ。\\n 人が、運命を乗り越えてくる……ッ」",
"397001011_10": "「あなたたちの言ってること、本当にわからないわ。\\n けど……これだけは確か」",
"397001011_11": "「あなたたちを逃がすつもりはないってことはねッ!」",
"397001011_12": "「く……ッ! そう、いきり立たないでくださいよ。",
"397001011_13": " あなたたちは、この子たちの相手でもしていてくださいッ!」",
"397001011_14": "「ノイズでもアルカ・ノイズでもない……",
"397001011_15": " なるほど、こいつが『<ruby=アーティファクト>人工聖遺物</ruby>』かッ!!」",
"397001011_16": "「しゃらくせぇッ!\\n 今更イズの紛い物なんかでッ」",
"397001011_17": "「止められるなどと、甘く見ないでもらおうかッ!」",
"397001011_18": "「動くなッ!!!!」",
"397001011_19": "「次に攻撃体制をとったら……\\n この船を爆破します」",
"397001011_20": "「「なに……ッ!?」」",
"397001011_21": "「どういうこと……?」",
"397001011_22": "「わたしたちを感知できないのは、既に体験済みのはず。\\n それにこの船には、もう二度も潜り込んでいます」",
"397001011_23": "「ええッ!?",
"397001011_24": " それじゃあ、本部に爆弾が……ッ!?」",
"397001011_25": "「はったりに決まってるッ!」",
"397001011_26": "「あぁ、そうかもしれない。けど……そうじゃなかったら?\\n ベッドで寝てるお友達も、ただじゃすまないだろうな」",
"397001011_27": "「…………ッ!?\\n 切ちゃんが……ッ」",
"397001011_28": "「……爆弾が本当に仕掛けられてるかなんて、\\n この場では判断のしようがない」",
"397001011_29": "(……さすがはキョウ、機転が利く。爆弾なんて仕掛けてない。\\n それでも、その可能性を示唆されたらこいつらの動きは止まる",
"397001011_30": "(後はこの場をいったん離脱すれば、\\n いくらでも次の手が打てる",
"397001011_31": "「怪我人を人質に取るかッ! この外道がッ!」",
"397001011_32": "「外道で結構。目的のためなら、\\n どれほど血にまみれた道も駆け抜けてみせます」",
"397001011_33": "「……動くなよ、聖遺物使い。\\n 名残惜しいが、今日はこのへんでお暇させてもらうとする」",
"397001011_34": "「――それはそれは、つれないデスねぇ。\\n アタシのおもてなしは、これからデスよッ」",
"397001011_35": "「――ッ!?",
"397001011_36": " キョウ、避けろッ!!」",
"397001011_37": "「今の攻撃は……ッ!」",
"397001011_38": "「切ちゃんッ!」",
"397001011_39": "「フッフッフ~。遅れて飛び出て、ババババーンッ!",
"397001011_40": " デス……およよッ!?」",
"397001011_41": "「し、調ッ!?\\n ど、どうしたんデスか、み、みんな見てるデスよ」",
"397001011_42": "「バカ……。\\n 心配したんだからね……」",
"397001011_43": "「あ……心配かけて、ごめんデス。でも、もう大丈夫デスよ。",
"397001011_44": " エルフナインが治療してくれたデスから……って」",
"397001011_45": "「あ、あれ、エルフナイン?\\n いつのまにアタシより先に外に出てたデスか」",
"397001011_46": "「いえ、それはボクでは……」",
"397001011_47": "「まったく、話も聞かずに飛び出すとは、忙しないやつだ」",
"397001011_48": "「デデデデースッ!?\\n エ、エルフナインが人いるデスッ」",
"397001011_49": "「ああ……そういえば、迎えに行った時、\\n 既に意識がもうろうとしていたか」",
"397001011_50": "「お前の治療をしたのは、このオレだ」",
"397001011_51": "「デ……デデデッ!?\\n ということは……」",
"397001011_52": "「はい。こっちは並行世界のキャロルですよ。\\n 助けに来てくれたんです」",
"397001011_53": "「デースッ!? そうだったんですかッ。\\n 治療してくれて、ありがとうデスッ」",
"397001011_54": "「礼はいらん。それより、病み上がりなのだから、\\n あまり無茶をするな」",
"397001011_55": "「それはそうデスけど……やられっぱなしじゃ、\\n いられないデスッ」",
"397001011_56": "「フッ……\\n それについては同感だな」",
"397001011_57": "「それと、マリア・カデンツァヴナ・イヴ」",
"397001011_58": "「わたし……?」",
"397001011_59": "「お前の妹も無事だ」",
"397001011_60": "「…………ッ!」",
"397001011_61": "「そこの女に痛めつけられはしたが、助けが間に合ったようだ。\\n さっき、報告に現れたよ」",
"397001011_62": "「セレナ……よかった」",
"397001011_63": "「いい報せをありがとう。",
"397001011_64": " でも、助けって……?」",
"397001011_65": "「お前も知っているはずのやつらだ。\\n ……誰よりもな」",
"397001011_66": "「それより今は……\\n いい加減、こいつらをどうするかだ」",
"397001011_67": "「……確かに、イガリマの装者は無事だったようですが。\\n それでも、こちらがこの船を掌握していることは変わりません」",
"397001011_68": "「そ、そうだよ、キャロルちゃんッ!\\n 本部に爆弾を仕掛けてるって……」",
"397001011_69": "「そんなもの、ブラフに決まっているだろう」",
"397001011_70": "「「…………ッ!」」",
"397001011_71": "「ど、どうしてわかるの……?」",
"397001011_72": "「簡単だ。土壇場になって伏せていた札をチラつかせるまでは、\\n まぁ、よしとしよう」",
"397001011_73": "「だが、これだけ戦力差をひっくり返されておきながら、\\n 未だにそれを切ろうとしない」",
"397001011_74": "「暁の乱入とキャロルの登場が、戦況を変えたというわけか」",
"397001011_75": "「悪役を演じるには、仕込みも年季も足りていなかったな」",
"397001011_76": "「悪役の年季ときたか。\\n お前が言うと、なんというか、重みが違うな……」",
"397001011_77": "「……<ruby=この世界>ギャラルホルン</ruby>を落とすには、装者さえ排除できれば\\n いいと思っていました。……しかし、それは思い違いだった」",
"397001011_78": "「本当にこれまで関係を結んできたすべてが、\\n この世界の味方らしい」",
"397001011_79": "「ああ……これだけの駒を使っても、しのぎ切られた。\\n 他の並行世界でも装者や錬金術師に邪魔をされている」",
"397001011_80": "「世界を越えて助け合う仲間、か……",
"397001011_81": " 本当に、嫌になる」",
"397001011_82": "「そんなに力があるなら……\\n どうして、少しくらい、あたしたちにも……ッ」",
"397001011_83": "「え――?」",
"397001011_84": "「この場は、仕切り直しだッ!」",
"397001011_85": "「往生際の悪いッ!」",
"397001011_86": "「待つデスッ!」",
"397001011_87": "「逃がすものかよッ!」",
"397001011_88": "「亀裂の中に……ッ!\\n 間に合わないッ」",
"397001011_89": "「待って……ッ!」",
"397001011_90": "「覚悟しておけ、シンフォギアッ!\\n 次に会った時、必ずお前たちを――」",
"397001011_91": "「な……ッ!?」",
"397001011_92": "「きゃあッ!?」",
"397001011_93": "「なに……ッ!?」",
"397001011_94": "「よもや、再び増援かッ!?」",
"397001011_95": "「キョウ、これは……ッ!?」",
"397001011_96": "「わ、わからないッ!\\n こんなの、作戦にないッ」",
"397001011_97": "「――ッ!?",
"397001011_98": " あなたたちの仕込みではないというのッ!?」",
"397001011_99": "「知るかッ!\\n いったいなにが――」",
"397001011_100": "「……ッ、みんな、空が……ッ!」",
"397001011_101": "「あの裂け目って……もしかして……ッ!?」",
"397001011_102": "「こ、この雰囲気……覚えがあるデスッ!」",
"397001011_103": "「本部上空にて、極めて高密度のエネルギー反応を確認ッ!\\n この反応は……ッ、間違いありませんッ」",
"397001011_104": "「世界蛇……いえッ、ベアトリーチェです……ッ!!」",
"397001011_105": "「…………ッ!!」",
"397001011_106": "「ああ……不愉快だわ。\\n 本当に――本当に、不愉快」",
"397001011_107": "「あなたたちのごとき小娘が、悪意の化身であるこのわたしに\\n 断りもなく、世界に絶望を振りまこうだなんてねぇ」",
"397001011_108": "「あれがベアトリーチェ……\\n 『世界蛇の巫女』ッ」",
"397001011_109": "「このタイミングで……どうしてッ!」",
"397001011_110": "「全ての並行世界を絶望に陥れ、\\n 喰い滅ぼすのはこのわたし」",
"397001011_111": "「どこの世界から来たのか知らないけれど……\\n 身の程を教えてあげましょうか」",
"397001011_112": "「「…………ッ!」」",
"397001011_113": "「……と、言いたいところだけど。",
"397001011_114": " この状況、遊んでもらうにはいいタイミングね」",
"397001011_115": "「よかったわぁ。\\n パーティが終わる前に駆け付けることができて」",
"397001011_116": "「く……ッ! この状況で、ベアトリーチェの相手も\\n しなければならないとは……ッ」",
"397001011_117": "「ベルちゃん……ッ!\\n わたしは、戦いたくなんて――ッ」",
"397001011_118": "「響。あなたには先日の件で貸しがあるでしょう?\\n 今更、つれないこと言わないでよね」",
"397001011_119": "「ベルちゃん……」",
"397001011_120": "「さぁ――踊りましょうか?\\n パーティは、まだまだこれからよ」"
}

View file

@ -0,0 +1,54 @@
{
"397001111_0": "不確定観測記録・1",
"397001111_1": "――OTHERSによる侵攻が始まる少し前。",
"397001111_2": "「『本流』より分たれた『ギャラルホルン』『ドラウプニル』\\n 『グレイプニル』『スヴォル』『ミステルテイン』――」",
"397001111_3": "「そして『フロッティ』への干渉可能を確認」",
"397001111_4": "「いつでも作戦開始できます」",
"397001111_5": "「はい……はい。\\n 了解しました」",
"397001111_6": "「それでは以後、『器』の使用権限は、\\n 戦士である『キョウ』と『ヨウ』に移行」",
"397001111_7": "「我らOTHERS、全ては『見放された世界』のために。\\n ――通信を終了します」",
"397001111_8": "「…………」",
"397001111_9": "「キョウ、どうかした?」",
"397001111_10": "「うん?",
"397001111_11": " ううん、ちょっとね……」",
"397001111_12": "「わたしたち、これから自分の世界のために、\\n 他の世界を壊す……ううん、殺すんだな、って」",
"397001111_13": "「……キョウが嫌なら、やめてもいいんだよ。\\n いっそのこと……ふたりで逃げちゃう」",
"397001111_14": "「ダメだよ、ヨウ……そんなこと言っちゃ。\\n わたしたちは選ばれた戦士なんだから」",
"397001111_15": "「それに、カヴァーチャがそんなこと許すはずがないって、\\n わかってるでしょ」",
"397001111_16": "「……うん」",
"397001111_17": "「フフ。\\n 自分たちのために何かを殺すわたしたちは……悪役だね」",
"397001111_18": "「キョウ……」",
"397001111_19": "「だからさ、ヨウ。\\n ……わたしと約束してくれる」",
"397001111_20": "「ああ……キョウとの約束なら、どんなことだって」",
"397001111_21": "「ありがとう。",
"397001111_22": " ね、ヨウ、ぎゅってさせて」",
"397001111_23": "「キョウ……?」",
"397001111_24": "「ヨウは……あったかいね。",
"397001111_25": " 何かを抱きしめる腕を失くした、わたしとは違う……」",
"397001111_26": "「そんなことないよ。あたしも、キョウと同じ。\\n 胎の中すら兵器で埋まって、もう、温度すらわからないんだ」",
"397001111_27": "「…………」",
"397001111_28": "「ねぇ、ヨウ。\\n ……わたしたち、酷い人でいようね」",
"397001111_29": "「……?」",
"397001111_30": "「飢えた子供が2人いて、パンが1つしかない……。\\n 優しい人は半分こにしてくれようとするかもね。でも……」",
"397001111_31": "「その子供がまるまる1つ食べなくちゃ死んじゃう子供なら。\\n わたしたちは、相手からパンを奪わなきゃいけない」",
"397001111_32": "「守護者にすら見放されたわたしたちが生きるには、\\n それしかないから」",
"397001111_33": "「そのためにわたしたちは……\\n 世界そのものを奪い、殺す」",
"397001111_34": "「うん……そうだね」",
"397001111_35": "「でも……せめて、食べる前に『いただきます』って言おう。\\n たとえそれで、許されることじゃなくても……」",
"397001111_36": "「……キョウは優しすぎるよ。\\n お腹が空いてるから、殺して食べる……それだけだよ」",
"397001111_37": "「あたしたちを見向きもしなかった奴らからそれを奪って、\\n なにがいけないの」",
"397001111_38": "「うん……わかってる。それでもそれは、きっといけないこと。\\n いけないことだって、わかってる……」",
"397001111_39": "「でも――わたしたちは、託されてしまったから。\\n 護りたいものが……護らなきゃいけないものがあるから」",
"397001111_40": "「わたしたちの、渇ききった、死にゆく世界は救えない。\\n 歌なんかじゃ……シンフォギアなんかじゃ救えないから」",
"397001111_41": "「だからせめて、わたしたちは悪役でいよう」",
"397001111_42": "「わたしたちの世界の犠牲になる人たちが、\\n ちゃんとわたしたちを憎めるように」",
"397001111_43": "「……わかったよ、キョウ」",
"397001111_44": "「奪わなきゃ、踏みにじらなきゃ生きていけないって言うんなら\\n ――あたしは、悪になる」",
"397001111_45": "「わたしたちは、でしょ?」",
"397001111_46": "「うん。\\n ――一緒に墜ちて、キョウ」",
"397001111_47": "「うん。\\n ――一緒に墜ちよう、ヨウ」",
"397001111_48": "「ね、キョウ。\\n ファム・ファタールがいるポイントをみつけたよ」",
"397001111_49": "「うん……\\n それじゃあ、行こうか」",
"397001111_50": "「あたしたちは、この世界に悪役として降り立って――\\n 殺して、殺して、殺し尽くす」",
"397001111_51": "「そして、あたしたちの世界を救うんだ。\\n 『見放された世界』の英雄として」"
}