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{
"377000111_0": "宇宙一可愛いアイドル?",
"377000111_1": "「早く会場へッ!\\n ライブが始まってしまいますぞッ」",
"377000111_2": "「……まあ待て。ファンとして、\\n 万全の状態で会場入りしなくてはいけないからな」",
"377000111_3": "「サイリウムよし、声出しよし……。\\n よし、完璧だッ」",
"377000111_4": "「急ぎますぞッ! 宇宙一のステージを見逃すなど、\\n ファンとしてあってはならぬこと……ッ」",
"377000111_5": "「ねぇ? これって……」",
"377000111_6": "「ああ、この高揚感と緊張感の入り混じった雰囲気は……、\\n 恐らく、開演間近のライブ会場が近くにあるようだな」",
"377000111_7": "「――ッ!?\\n 一体どういうことだ」",
"377000111_8": "「あたしたちは、ギャラルホルンがアラートを発したから、\\n わざわざこの並行世界まで来たんだよな」",
"377000111_9": "「ええ。\\n S.O.N.G.の任務としてね」",
"377000111_10": "「でも、ライブが開催されてるだなんて、\\n 平和そのものじゃないか」",
"377000111_11": "「表層だけで判断するのは危険だ。ギャラルホルンがアラートを\\n 発したからには、この世界に危機が迫っているのは確かだろう」",
"377000111_12": "「そうね。\\n とにかく、周囲の様子を探ってみましょう」",
"377000111_13": "「一通り見回ってみたが……、\\n やっぱり変わった様子なんてないぞ」",
"377000111_14": "「そのようだな。\\n ギャラルホルンは、一体何に反応したのか……」",
"377000111_15": "「あッ! いたいたッ!!\\n 捜しましたよッ」",
"377000111_16": "「何者ッ!」",
"377000111_17": "「……緒川さんッ!?」",
"377000111_18": "「また勝手に会場を離れて……、\\n 急がないと、開演に遅れてしまいますよッ」",
"377000111_19": "「<size=25>今の口ぶりからすると、こちらの世界でも、\\n 翼のマネージャーをやっているようね</size>」",
"377000111_20": "「<size=25>なるほど。今日開催されるライブは、\\n この世界のわたしのものだったか</size>」",
"377000111_21": "「<size=25>参ったな。\\n どう説明すべきか……</size>」",
"377000111_22": "「<size=25>事情を説明しちまえば、\\n ここで起こってる異変についても聞けるんじゃないか</size>」",
"377000111_23": "「<size=25>いや、わたしのマネージャーだからといって、\\n わたしたちの世界の緒川さんと同じ立場とは限らない</size>」",
"377000111_24": "「<size=25>そうね。そもそも、S.O.N.G.のような組織があるのか……。\\n 探りを入れつつ――</size>」",
"377000111_25": "「さあ、行きますよッ!」",
"377000111_26": "「……クリスティーナさんッ!」",
"377000111_27": "「――え?」",
"377000111_28": "「クリスティーナって……、",
"377000111_29": " あたしに言ってんのかッ!?」",
"377000111_30": "「ちょ、ちょっと待てよッ!\\n クリスティーナって誰だよッ」",
"377000111_31": "「またそんな、わざとらしい演技を……。\\n あなたがクリスティーナさん以外の何者だというんですか」",
"377000111_32": "「脱走の常習犯をようやく捕まえたんです。\\n もう本当に時間がありませんから、すぐに行きますよッ」",
"377000111_33": "「おいッ! 引っ張んなよッ!」",
"377000111_34": "「2人ともッ!! 黙ってないで助けろってッ!\\n おぉぉぉぉいッ」",
"377000111_35": "「お友達ですか? 申し訳ありませんが、\\n 時間が押してますのでこれで失礼しますね」",
"377000111_36": "「…………」",
"377000111_37": "「――ッ!\\n いかん。あまりの事に呆然としてしまったッ」",
"377000111_38": "「このままじゃあの子を見失ってしまうわッ!\\n 急いで追いかけましょうッ」"
}

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{
"377000121_0": "「な、なんだこの恥ずかしい衣装はッ!\\n いきなり着替えさせやがってッ」",
"377000121_1": "「クリスティーナさんがデザインした衣装じゃないですか」",
"377000121_2": "「だから、あたしはそんな名前じゃないぞッ!\\n ……これ、フリフリだし、まるでアイドル――」",
"377000121_3": "「そう、あなたはアイドルですッ! だから、\\n ファンの皆さんのためにも、頑張ってきてくださいねッ」",
"377000121_4": "「押すなって――、\\n うわわわっとおッ」",
"377000121_5": "「うおっしゃ野郎どもぉぉぉッ!!\\n 大エールで歓迎だぁぁぁぁッ」",
"377000121_6": "「おおおぉぉぉッ!\\n クリスティーナッ クリスティーナッ」",
"377000121_7": "(おいおいおいッ!\\n これ、マジもんのライブステージじゃないかよッ",
"377000121_8": "「っしゃ、サイリウム合わせろー」",
"377000121_9": "「おおおぉぉぉッ!」",
"377000121_10": "(あのサイリウムの数だけ、人がいるのかッ!?\\n なんだよ、コレぇ……ッ",
"377000121_11": "「あれ? 唄い始めないな……。\\n どうしたんだ」",
"377000121_12": "(視線が突き刺さるのが分かるッ!\\n 客の声が合わさって、地鳴りみたいだ……",
"377000121_13": "「唄わず、踊らず、ただステージに立っているだけなのに、\\n なんてあざとく、可愛く、そして尊いんだッ」",
"377000121_14": "「もしかして体調悪いんじゃないの?\\n 大丈夫かクリスティーナーッ」",
"377000121_15": "(ダメだ、分かんねぇ……ッ!\\n どうすりゃいいんだよ……ッ",
"377000121_16": "「そこのニセモノッ!\\n 早くあたしのステージから降りなさいッ」",
"377000121_17": "「――ッ!?」",
"377000121_18": "「なんだぁッ!?\\n 急に暗く……ッ」",
"377000121_19": "「早くッ!\\n ステージから<ruby=は>捌</ruby>けてくださいッ!」",
"377000121_20": "「あ?\\n ああ……ッ」",
"377000121_21": "「みんな、ごめんねッ! みんなのコールに感動して、\\n ちょっと固まっちゃったッ テヘッ♪」",
"377000121_22": "「うおおおおおおッ! そんな風に、俺たちファンを大事に\\n 思ってくれるところも大好きだぞおおおおッ」",
"377000121_23": "「さあッ! ここからが本物のあたしのステージよッ!!\\n みんな、あたしの可愛さにひれ伏しなさいッ」",
"377000121_24": "「<size=40>きたああああああああああーッ!!</size>」",
"377000121_25": "「フフッ♪ お客よお客よお客さん。\\n 宇宙一可愛いアイドルはだぁれ」",
"377000121_26": "「ク・リ・ス・ティー・ナぁぁぁぁぁぁぁッ!!」",
"377000121_27": "「クリスティーナちゃん様でぇぇぇぇすッ!!」",
"377000121_28": "「あーん、嬉しいッ! 分かってるみんなには\\n サービスしてあげちゃうッ チュッ♪」",
"377000121_29": "「ふおおおおおおッ!!」",
"377000121_30": "「クリスティーナぁッ! こっちッ! こっちにも\\n ファンサプリィィィィズッ」",
"377000121_31": "「ステージに立っているのは、確かにクリスティーナさん……。\\n 本当に人違いだったのですね。申し訳ありません」",
"377000121_32": "「いやしかし、それにしても似すぎていますッ!\\n 一体、どういうことですかッ」",
"377000121_33": "「いやその、なんて言ったらいいか……」",
"377000121_34": "(アレ……どう見てもこの並行世界のあたしだよな?\\n まさか、アイドルしてるなんて、想定外が過ぎるだろ……",
"377000121_35": "「よそ見はダメよ?\\n 宇宙一可愛いあたしのことだけ、目に焼き付けてッ」",
"377000121_36": "「クリスティーナしか、\\n 見えませえええええんッ」",
"377000121_37": "(なんだよそのキャラはッ!\\n 自分で可愛いって言うとか無しだろッ",
"377000121_38": "(ましてや、宇宙一とか……。ううう、なんであたしが\\n 恥ずかしい想いをしなきゃいけないんだよ……ッ",
"377000121_39": "「ありがとッ! 大好きよみんなッ!\\n それじゃあ、次の曲いくよッ」",
"377000121_40": "「ク・リ・ス・ティー・ナぁぁぁぁぁぁぁッ!!」",
"377000121_41": "「よぉし、声出していくぞッ!!\\n クリスティーナちゃんに届け、この想いッ」",
"377000121_42": "(――ッ!)",
"377000121_43": "(なんというか、歌はイイんだな……。客も、あのキャラに\\n たぶらかされて盛り上がってるだけじゃないってことか……",
"377000121_44": "「みんなのハートに、バーンッ♪」",
"377000121_45": "「か、可愛すぎる……ッ!\\n 可愛すぎて最後まで持たねえよぉ……ッ」",
"377000121_46": "(……いや、やっぱ無しだろ……)"
}

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@ -0,0 +1,45 @@
{
"377000131_0": "「まだまだ行くわよーッ!!」",
"377000131_1": "「おおおぉぉぉぉッ!」",
"377000131_2": "「雪音を追ってライブ会場に忍び込んだはいいが、\\n よもや、こんなものを目撃しようとは……」",
"377000131_3": "「ステージで唄っているのは、あの子じゃないわよねッ!?」",
"377000131_4": "「ああ、恐らくこの並行世界の雪音だろう。\\n アイドル『クリスティーナ』とは……驚きを禁じ得ないな」",
"377000131_5": "「えッ!? あれはなんだ?」",
"377000131_6": "「でかい……鳥?\\n ライブの演出か」",
"377000131_7": "「あれは……ッ!\\n なんで、また……」",
"377000131_8": "「み、みんな逃げてッ!\\n お願い……ッ」",
"377000131_9": "「逃げてって……、\\n まだライブは終わってないだろ どういうことだ」",
"377000131_10": "「演出にしては、\\n 本気で怖がっているような……」",
"377000131_11": "「アアアアアアアアアアッ♪」",
"377000131_12": "「な、なんだこの音ッ!?\\n あの鳥が出してるのかッ」",
"377000131_13": "「酷い音だ……。\\n ウウ、頭が割れる……ッ」",
"377000131_14": "「に、逃げろッ!\\n 本物のバケモだッ」",
"377000131_15": "「あれは、カルマノイズ……ッ!」",
"377000131_16": "「現れたわねッ!\\n 観客が危ないわ。行きましょうッ」",
"377000131_17": "「カルマノイズか……ッ!」",
"377000131_18": "「この怪物は……あの時のッ!」",
"377000131_19": "「知ってるのかッ!?」",
"377000131_20": "「ええ。\\n 少し前、クリスティーナさんのライブに……」",
"377000131_21": "「オオオオオオオオオオッ♪」",
"377000131_22": "「なんだこの音ッ!?\\n カルマイズが……唄ってる」",
"377000131_23": "「う……ッ!」",
"377000131_24": "(これは、カルマノイズの精神汚染か……ッ!)",
"377000131_25": "「ぐ、うう……。\\n なんだ、これは……ッ」",
"377000131_26": "「おいッ! しっかりしろッ!\\n 自分を見失うなッ」",
"377000131_27": "「は、はい。なんとか……」",
"377000131_28": "「このままじゃ観客が危険だ。\\n 動けるやつらで、避難誘導をしてくれッ」",
"377000131_29": "「分かりました……。\\n あと、クリスティーナさんも……」",
"377000131_30": "「そっちはあたしに任せろッ!\\n お前は客を逃がして、その後自分も逃げろよッ」",
"377000131_31": "「任せろって、あなたは……?」",
"377000131_32": "「Killter Ichaival tron――」",
"377000131_33": "「アアアアア……」",
"377000131_34": "「――ッ!\\n あたしを、狙って……」",
"377000131_35": "「させるかよッ!」",
"377000131_36": "「――ッ!\\n あ、あなたは……ッ」",
"377000131_37": "「まだ動けるみたいだな。\\n 後ろに引っ込んでな。こいつは――」",
"377000131_38": "「雪音ッ!」",
"377000131_39": "「やっと来てくれたか……」",
"377000131_40": "「さっきは悪かったわね。\\n でも、大事なのはこれからでしょう」",
"377000131_41": "「ああ。このカルマノイズを倒すことが\\n わたしたちの任務だ」",
"377000131_42": "「そうだな。さっさとブッ飛ばして、\\n あたしらの世界に帰るぞッ」"
}

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@ -0,0 +1,29 @@
{
"377000132_0": "「――ッ!」",
"377000132_1": "「さっさと倒れやがれッ!!」",
"377000132_2": "「ギャァァァァァァ~~ッ♪」",
"377000132_3": "「こいつ、また――ッ!?」",
"377000132_4": "「これは……ッ!?\\n フォニックゲインが、安定しないわッ」",
"377000132_5": "「あのカルマノイズの叫び……。いや、これは……歌かッ!\\n 彼奴の歌が、わたしたちの歌に干渉しているッ」",
"377000132_6": "「歌で装者が……負けられっかよッ!!」",
"377000132_7": "「――ッ!!」",
"377000132_8": "(さっきの、あたしのニセモノ……、\\n どうして、バケモと戦ってるの",
"377000132_9": "(ヘンなコスプレして、弾丸をぶっ放して……。\\n 全然、可愛くなんてないのに……",
"377000132_10": "「おらぁああッ!」",
"377000132_11": "「オオオオッ!」",
"377000132_12": "(唄いながら、戦ってる……?)",
"377000132_13": "(何この歌……。力強くて、あったかくて……。\\n あたしに、あんな歌が唄える……",
"377000132_14": "「雪音、マリア、呼吸を合わせてたたみかけるぞッ!!」",
"377000132_15": "「ああッ!\\n 力が削がれようがッ」",
"377000132_16": "「3人の攻撃を合わせれば……ッ!」",
"377000132_17": "「――ッ!」",
"377000132_18": "「倒せたか?」",
"377000132_19": "「……いえ、ダメージは負わせたけれど、\\n 逃げられたわね」",
"377000132_20": "「口惜しいが、\\n 観客に犠牲者が出なかったことは喜ぶべきだな」",
"377000132_21": "「正気を失っていた観客も、\\n 徐々に回復しているようだ」",
"377000132_22": "「しっかし、カルマノイズが歌を唄うなんてな。\\n そんなヤツ、今までにいたか」",
"377000132_23": "「いや……、今まで遭遇したカルマノイズには見られない能力だ。\\n あのカルマイズ独自の能力と見るべきだろう」",
"377000132_24": "「ちょっと、あなたたちッ!」",
"377000132_25": "「――ッ!」",
"377000132_26": "「しゃべってないで、色々説明しなさいよ……ッ!」"
}

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@ -0,0 +1,60 @@
{
"377000211_0": "輝きを支える努力",
"377000211_1": "「ここが、『クリスティーナ』の所属する芸能プロダクションの\\n 事務所なのね……」",
"377000211_2": "「クリスティーナも、マネージャーの緒川さんも、\\n シンフォギアを知らないようだったな」",
"377000211_3": "「だったら、こんなところまでついてくる必要あったのか?」",
"377000211_4": "「シンフォギアで戦う様子を\\n しっかりと目撃されてしまっているもの」",
"377000211_5": "「ああ。幸いにして、観客たちの方は精神汚染による混乱で\\n よく覚えていないようだったがな」",
"377000211_6": "「……それに、こちらにはクリスティーナと\\n 同じ顔の人間がいるのだ」",
"377000211_7": "「う……」",
"377000211_8": "「騒がれるより、ある程度情報を開示して、味方になって\\n もらった方が無難ね。何か情報が得られるかもしれないし――」",
"377000211_9": "「お待たせしました」",
"377000211_10": "「あたしのプロデューサーを連れてきたわよ」",
"377000211_11": "「はじめましてッ! 僕は敏腕アイドルプロデューサー、\\n ジョン・ウェイン・ウェルキンゲトリクスですッ」",
"377000211_12": "「ッ!?」",
"377000211_13": "「そうくるのか……」",
"377000211_14": "「僕こそは、音楽業界で確固たる地位を築き、\\n すべての民衆に感動を与える英雄となるべき男なのですッ」",
"377000211_15": "「気軽にウェル、と呼んでいただければッ!」",
"377000211_16": "「……?\\n どうかしたのですか」",
"377000211_17": "「い、いえ……。少々、知り合いに似ていたもので\\n 面食らってしまっただけです。お構いなく」",
"377000211_18": "「僕に似たナイスガイなど、\\n そうそういるはずがないと思うのですが」",
"377000211_19": "「お気になさらずッ!\\n 話を進めましょうッ」",
"377000211_20": "「あたしは、宇宙一可愛いアイドル、雪音クリス。\\n 可愛くクリスティーナって呼んでねッ」",
"377000211_21": "「やっぱり『クリスティーナ』ってのは、芸名なんだな。\\n というか、ステージ降りてもそのキャラなのかよッ」",
"377000211_22": "「何よキャラってッ!\\n あたしはあたしだもんッ 生まれた時から可愛いのッ」",
"377000211_23": "「…………」",
"377000211_24": "「ええ。クリスティーナさんは今までもこれからも、\\n ずっと宇宙一可愛いですよ」",
"377000211_25": "「な……緒川さん……」",
"377000211_26": "「はい、僕は緒川慎次。\\n 宇宙一可愛いアイドルのマネージャーです」",
"377000211_27": "「皆さんなぜか、僕の名前を知っていたようですが……」",
"377000211_28": "「謎はそれだけじゃないわッ!\\n あのヘンテコなコスプレもそうだしッ」",
"377000211_29": "「クリスティーナのソックリさんがいるとは……。\\n 僕に似たナイスガイも、ひょっとしてどこかに」",
"377000211_30": "「そんなのおかしいわッ! あたしが宇宙一なのにッ!\\n ひょっとして、あたしに憧れて整形したとか……」",
"377000211_31": "「んな訳あるかッ!\\n あたしだって生まれた時から、このあたしだッ」",
"377000211_32": "「そこも含めて、こちらの事情を説明します。\\n どうか驚かずにお聞きください」",
"377000211_33": "「並行世界、カルマノイズ、シンフォギア……」",
"377000211_34": "「まあ、そう簡単に受け入れられる話では――」",
"377000211_35": "「すばらしいッ!! 出身世界でもないのに身を挺して戦って\\n くださるその勇気ッ 英雄的行動に最大限の感謝をッ」",
"377000211_36": "「……信じてくれたのならそれでいいわ」",
"377000211_37": "「別の世界のあたしー?」",
"377000211_38": "「でも、あたしとは別の人だしッ! あたしが宇宙一、\\n いや全並行世界一可愛いという事実は揺らがないわッ」",
"377000211_39": "「あーはいはい、分かったよ」",
"377000211_40": "「僕たちの知らないところで、この世界にもシンフォギアが\\n 存在している可能性はありますが――」",
"377000211_41": "「そもそも、あなたたちの世界に比べて、こちらではノイズの\\n 発生件数が極端に少ないようです」",
"377000211_42": "「そうなのかッ!?」",
"377000211_43": "「数年に一度、世界のどこかで発生するかしないか、\\n ってレベルよね」",
"377000211_44": "「……なるほど。理由は分からないが、そもそも、\\n 二課の様な組織やシンフォギアが存在する必要がないんだな」",
"377000211_45": "「だのにッ! その上位種であるという\\n 『カルマイズ』が現れるだなんて……ッ」",
"377000211_46": "「しかも、現れたのは今回のライブが初めてじゃないんだろ?」",
"377000211_47": "「……2回目よ。少し前のライブにも\\n アイツは出てきて、あんな風に叫んでたわ」",
"377000211_48": "「その時は、すぐにどこかに行っちゃったから、\\n 被害もなかったし大きな騒ぎにはならなかったけど……」",
"377000211_49": "「カルマノイズの襲撃が短期間に二度も……。\\n 偶然かもしれないが、何か理由があると見るのが自然か……」",
"377000211_50": "「お前が目ェつけられてるってことじゃないか。\\n なんかやらかしたのか」",
"377000211_51": "「そんな覚えないわよッ! しいて言えば、\\n あたしが宇宙で一番可愛いアイドルだったから、じゃない」",
"377000211_52": "「な訳あるかよ……」",
"377000211_53": "「あなたは、思い当たるところはないの?\\n 敏腕プロデューサーなんでしょう」",
"377000211_54": "「…………」",
"377000211_55": "「聞いているの?」",
"377000211_56": "「おっと……ッ! 僕はアイドル以外は門外漢ですからねぇ。\\n ……おや、スポンサーからメールです。失礼しますね」",
"377000211_57": "「……?」"
}

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@ -0,0 +1,43 @@
{
"377000221_0": "「少しでもカルマノイズに狙われてる可能性がある以上、\\n しばらくアイドル活動は休むべきだろうな」",
"377000221_1": "「……それだけは絶対にできないわッ!\\n での、パフォーマンスに響くもの」",
"377000221_2": "「SSF? なんだそりゃ?」",
"377000221_3": "「『シャイニング・シンガー・フェス』\\n 国内最大級のアイドルの祭典です」",
"377000221_4": "「トップアイドルの登竜門とも呼ばれ、そのステージで\\n 好評を得たアイドルたちは、その後、皆大成しているんです」",
"377000221_5": "「今のあたしはアイドルとしてまだまだ中堅だけど……、\\n をきっかけに、真の宇宙一となるのよッ」",
"377000221_6": "「クリスティーナさん、僕もそう信じていますよ」",
"377000221_7": "「飛翔のきっかけとなる舞台か……確かにそのような機会は、\\n アーティストとして大切なものだ」",
"377000221_8": "「だとしても、今回は諦めろッ!\\n 命を懸けるほどのことじゃないだろッ」",
"377000221_9": "「あたしは、アイドルでいることに命を懸けてるのッ!\\n だから、諦めるなんて絶対にイヤ……ッ」",
"377000221_10": "「大体、カルマノイズに狙われる理由なんてないものッ!\\n 今までのは、たまたまじゃないのッ」",
"377000221_11": "「僕がいない間にずいぶんと盛り上がっていたようですねぇ」",
"377000221_12": "「片や、迅速かつ英雄的に、\\n カルマイズを見つけ出し討伐したい装者たち」",
"377000221_13": "「片や、安全かつ可愛く、\\n アイドル活動を続けたいクリスティーナ……」",
"377000221_14": "「クックック……、なるほどなるほど」",
"377000221_15": "「な、なによ?」",
"377000221_16": "「両者の要望を叶える妙案を思いついたのですよッ!」",
"377000221_17": "「妙案?\\n どういった内容だろうか」",
"377000221_18": "「クリスティーナはアイドル活動を続け、装者の皆さんに、\\n クリスティーナと観客の護衛をしてもらうのですッ」",
"377000221_19": "「護衛ぃ? こいつの?」",
"377000221_20": "「こいつって何よ、こいつってッ!」",
"377000221_21": "「もし、万が一本当にクリスティーナが狙われているのなら、\\n クリスティーナの前にカルマイズは現れます」",
"377000221_22": "「その時わたしたちが身辺警護についていれば、\\n クリスティーナや観客を護りつつ討伐が可能、ということか」",
"377000221_23": "「だけど……」",
"377000221_24": "「頭ごなしに活動を休止しろと言われても、\\n ウチのクリスティーナは納得しませんよ」",
"377000221_25": "「もし、カルマノイズとクリスティーナの\\n 関連が証明されれば、その時は大人しく活動を休止しましょう」",
"377000221_26": "「それは……分かったわ。\\n ファンのみんなを巻き込む訳にはいかないし……」",
"377000221_27": "「……確かに、悪くない作戦ね」",
"377000221_28": "「ああ。カルマノイズが現れれば今度こそ討ちとり、\\n 無関係と分かれば、改めて追えばいい」",
"377000221_29": "「マジかよ……」",
"377000221_30": "「そういうことならお願いするわッ!\\n 可愛いあたしの護衛ができるなんて、よかったわねッ」",
"377000221_31": "「そうだッ! お礼にサイン入り限定グッズをあげるッ!\\n めったに手に入らないものなんだからッ」",
"377000221_32": "「あ、ああ。よろしく頼む」",
"377000221_33": "「身辺警護なんて、正直得意じゃないんだけどな……」",
"377000221_34": "「クリスティーナの名前が世界にとどろく瞬間を、\\n 近くで目の当たりにするといいわッ」",
"377000221_35": "「……あーはいはい。ところでよ、\\n なんでわざわざクリスティーナなんて芸名つけたんだ」",
"377000221_36": "「クリスとクリスティーナじゃ、たいして変わらないだろ」",
"377000221_37": "「だって、クリスティーナの方が可愛いじゃないッ!\\n とってもあたしらしいと思わない」",
"377000221_38": "「聞いたあたしがバカだった……」",
"377000221_39": "「同じクリスのよしみで、あなたが元の世界に帰ったら、\\n 特別にマネしてもいいわよ」",
"377000221_40": "「するかッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,36 @@
{
"377000231_0": "翌日――",
"377000231_1": "「ねえ、マネージャー。\\n 今日のスケジュール、ちょっと空き過ぎじゃない」",
"377000231_2": "「どうして今日は取材2本しか入ってないの?\\n しかも午前と夕方って、間が開き過ぎよッ」",
"377000231_3": "「間が開いてしまったのは、先方の都合なんですよ。\\n 今日他の仕事を入れていないのは……」",
"377000231_4": "「今日が護衛初日ということで、\\n 互いに慣れるために少し調整をしました」",
"377000231_5": "「お気遣い感謝します」",
"377000231_6": "「あら、もう1人は?」",
"377000231_7": "「マリアは情報収集に回っている。\\n 護衛はわたしと雪音に任せてくれ」",
"377000231_8": "「ふーん……」",
"377000231_9": "「お互い慣れない体制なんだから、お試しは必要だろ?\\n 今日くらいはガマンしといてくれよ」",
"377000231_10": "「確かにそうだけど……。ぼーっとしてたら鈍っちゃうわ。",
"377000231_11": " そうだ、ボイスレッスンとかどう?」",
"377000231_12": "「すみません。今から急には……。\\n よければ、取材の想定問答を覚え直しておいてください」",
"377000231_13": "「もうッ!\\n それじゃ、ちょっと集中するからあっちに行ってるわね」",
"377000231_14": "「わたしも同行しよう」",
"377000231_15": "「やれやれ……。しかし、ずいぶんにぎやかだな。\\n 向こうにあるの、ブースか」",
"377000231_16": "「そうですね。SSFまでのカウントダウン企画として、\\n この辺りではしばらくあんなイベントが目白押しなんですよ」",
"377000231_17": "「ウチの事務所の親会社でもあるオメガタクトが、\\n 宣伝として惜しみなく費用援助してますからね」",
"377000231_18": "「へえ……。ん?」",
"377000231_19": "「か、怪物……ッ!」",
"377000231_20": "「出やがったッ!」",
"377000231_21": "「な、小さいのまで出やがったのかッ!?」",
"377000231_22": "「しかも、大型の個体はすぐに消えてしまいましたよッ!」",
"377000231_23": "「分身を生みだして、自分はトンズラかよッ!\\n チッ、そんなことまでできるなんてやっぱり普通じゃないな」",
"377000231_24": "「うわぁぁッ! 逃げろッ!」",
"377000231_25": "「雪音ッ!!」",
"377000231_26": "「もうッ! なんなのよ。\\n 全然、集中できないじゃないッ」",
"377000231_27": "「護衛対象は無事、と……。\\n おいあんた、こいつを連れて避難してなッ」",
"377000231_28": "「はいッ!\\n そちらも、気を付けてください」",
"377000231_29": "「これ以上あたしの邪魔をしないように、\\n キッチリ退治してよねッ」",
"377000231_30": "「今回の出現、クリスティーナを狙ってのものだと思うか?」",
"377000231_31": "「少なくとも今までみたいにライブ中ではないけど、\\n どうだろう……」",
"377000231_32": "「でも、とにかくッ!」",
"377000231_33": "「これ以上ワラワラと増えられたら厄介だッ!\\n ブッ飛ばしちまおう、先輩ッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,37 @@
{
"377000232_0": "「とりあえず、片付いたか……?」",
"377000232_1": "「ああ。小型の個体は、\\n 例の歌を発することはできないようだったな」",
"377000232_2": "「お2人ともッ!\\n クリスティーナさんが……ッ」",
"377000232_3": "「何かあったのですか?」",
"377000232_4": "「避難の混乱で逸れてしまって……ッ!」",
"377000232_5": "「おいおい、それはシャレにならないだろッ!」",
"377000232_6": "「申し訳ありませんッ! 僕は向こうの方を見てきますので、\\n 皆さんも手分けして捜してもらえないでしょうか」",
"377000232_7": "「カルマノイズに襲われたら事だ。行くぞ雪音」",
"377000232_8": "「ああ。\\n 無事でいてくれよ……ッ」",
"377000232_9": "「公園か。まさかこんなところには……」",
"377000232_10": "「って、いたッ! ……あいつ、何やってんだ?\\n のんきにダンスの練習か」",
"377000232_11": "「…………」",
"377000232_12": "「なあ、何してんだ。\\n 無事なのはよかったけど」",
"377000232_13": "「……ちょっと待ってて。今、つかめそうなの。\\n この感覚を、逃がしたくないから」",
"377000232_14": "「はいはい。見つけたって連絡しとくか」",
"377000232_15": "「……よしッ! 完璧につかんだわッ!\\n フッ、また可愛くなってしまったわね」",
"377000232_16": "「ずいぶん練習熱心なんだな」",
"377000232_17": "「ええッ! よりすごいアイドルになるために、\\n 秒だって無駄にはできないわッ」",
"377000232_18": "「マネージャーからは、時間が空いたからってすぐ\\n いなくなるなってよく怒られるけど……」",
"377000232_19": "「お前、まさかこの前のライブであたしが間違えられた時も、\\n 直前まで練習を……」",
"377000232_20": "「その通りよッ!\\n どうしても納得のいかないところがあったから」",
"377000232_21": "「まさか、ニセモノにスポットライトを\\n 奪われるとは思わなかったけどッ」",
"377000232_22": "「熱心なのはいいけど、今は護衛対象なんだから\\n 勝手な行動はするなよな」",
"377000232_23": "「だけどッ!\\n あたしは護衛対象である前にアイドルなのよ」",
"377000232_24": "「宇宙一可愛いアイドルは、\\n ステージの上で完璧なパフォーマンスしか見せないのッ」",
"377000232_25": "「だから、ステージ上にいる以外の時間は、\\n 少しだって無駄にできないのよ」",
"377000232_26": "「…………」",
"377000232_27": "「……なによ。言いたい事があるなら言いなさいよ」",
"377000232_28": "「いや……」",
"377000232_29": "(ただの自信過剰な奴かと思ってたけど、\\n その分の努力はしてるんだな……",
"377000232_30": "「マネージャーに連絡くらいは\\n してやれって思うけどな」",
"377000232_31": "「マネージャーは心配性だから、\\n 早めに待機を、とか体力の温存を、とか言うもの……」",
"377000232_32": "「それは確かに、言いそうだな……」",
"377000232_33": "「ま、そこまで言うなら好きなだけ練習してな。\\n 見ててやるから」",
"377000232_34": "「ありがと。\\n 覚えたてのターンを見せてあげるわッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,32 @@
{
"377000241_0": "「1、2、3、4。2、2、……」",
"377000241_1": "(あたしなんかからすれば\\n 十分踊れてるように見えるんだけどな",
"377000241_2": "(どんだけこだわって……。ん?)",
"377000241_3": "「今光ったのは、ネックレスか。\\n そんなの着けてたんだな」",
"377000241_4": "「トップについてるの、イルカか?」",
"377000241_5": "「そう、イルカのネックレスよ。\\n パパとママがプレゼントしてくれた、宝物よッ」",
"377000241_6": "「……パパと、ママ」",
"377000241_7": "「宇宙一可愛いアイドルになりたいってあたしの夢を\\n 応援してくれた、宇宙一のパパとママなの」",
"377000241_8": "「今は……遠くにいるけど……」",
"377000241_9": "(……そうか。この並行世界でも、\\n パパとママは……",
"377000241_10": "「だけど、これがあれば、いつでもパパとママを感じられる。\\n だから、ステージの上だって肌身離さずつけてるのッ」",
"377000241_11": "「いつか、あたしの歌を……届けてみせるんだからッ!」",
"377000241_12": "「なんか……悪い」",
"377000241_13": "「別にいいわ。\\n そんなことよりあなたのこと教えなさいよ」",
"377000241_14": "「あなたの歌、どこで誰に習ったの? しかも、\\n 唄いながらあんなバケモと戦うなんて……。怖くないの」",
"377000241_15": "「ああ? なんでそんなこと――」",
"377000241_16": "「――通信?\\n どうかしたか」",
"377000241_17": "「雪音。今しがたマリアから、\\n カルマイズを発見したと連絡があったッ」",
"377000241_18": "「なにッ!?\\n どこだッ」",
"377000241_19": "「大通りで行われている音楽イベント会場だそうだ」",
"377000241_20": "「またSSFの盛り上げ企画ってやつか……ッ!\\n すぐ行くッ」",
"377000241_21": "「またカルマノイズが出たそうだ。\\n 今度は完全に、お前とは関係ないみたいだな……」",
"377000241_22": "「だから言ったでしょ?\\n あたしはいいから、早く行きなさいよ」",
"377000241_23": "「ああ。\\n お前は事務所に帰るんだぞッ」",
"377000241_24": "「カルマノイズと戦う……」",
"377000241_25": "「と言うことは、あの歌を唄うはず……。\\n もう一度聴きたい。聴いて、確かめないと……ッ」",
"377000241_26": "「また小型のヤツらだけかッ!」",
"377000241_27": "「来たか雪音ッ! 会場スタッフに避難誘導を頼んだ。\\n 先行しているマリアに合流して、手早く迎撃するぞッ」",
"377000241_28": "「ああッ!」",
"377000241_29": "(追いついた。シンフォギア装者の歌……。\\n あたしの歌にはないもの。掴んでやるんだから……ッ"
}

View file

@ -0,0 +1,28 @@
{
"377000242_0": "「仲良くネンネしてなッ!」",
"377000242_1": "「――ッ!」",
"377000242_2": "「次だッ!」",
"377000242_3": "(やっぱり、すごい。バケモノと戦いながら、\\n 息を切らさず唄い続けて……",
"377000242_4": "(荒々しくて、力強い歌声。\\n なのに、不思議と気持ちが伝わってくる……",
"377000242_5": "(全然可愛くないのに……どうして惹きつけられるの……ッ!\\n あたしも、あんな風に唄ってみたいッ",
"377000242_6": "「うえーん、お母さぁぁぁん、どこぉ?」",
"377000242_7": "「――ッ!!」",
"377000242_8": "「逃げ遅れた子がッ!」",
"377000242_9": "「させるかよッ!」",
"377000242_10": "「しまった――ッ!?」",
"377000242_11": "「今の衝撃で設営テントが崩れる――ッ!\\n 下には、あの子が……ッ」",
"377000242_12": "「うわぁぁぁぁん」",
"377000242_13": "(あの子の着けてるグッズ、あたしのッ!!\\n あたしの、ファンだッ",
"377000242_14": "(今なら間に合うッ!\\n あたしが飛び込めば……助けられるッ",
"377000242_15": "「くッ、間に合わねえ……ッ!!」",
"377000242_16": "「くぅぅぅぅ……ッ!」",
"377000242_17": "「クリスティーナッ!?」",
"377000242_18": "「なんでここにッ!?」",
"377000242_19": "「う、うう……。こど、子供は……」",
"377000242_20": "「うわああああんッ!」",
"377000242_21": "「無事よ。よくやったわ」",
"377000242_22": "「よかった……。ファンは、大事に……」",
"377000242_23": "「それよりお前、大丈夫かッ!?\\n この子を庇って――」",
"377000242_24": "「…………」",
"377000242_25": "「クリスティーナを病院に搬送するぞ。\\n 急げッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,68 @@
{
"377000311_0": "はにかみの影武者",
"377000311_1": "「怪我はどうだった?」",
"377000311_2": "「……すぐ治るわよ」",
"377000311_3": "「足首を捻挫しています。\\n 完治にはそれなりの日数を要するそうです」",
"377000311_4": "「申し訳ありません。護衛を引き受けておきながら、\\n 負傷をさせてしまって……」",
"377000311_5": "「しかも、逃げ損ねた子供をわたしたちの代わりに\\n 助けてくれたからだものね。責任を感じるわ」",
"377000311_6": "「……悪かった」",
"377000311_7": "「……それは、違うわ。\\n あの子はあたしのファンだった」",
"377000311_8": "「それに並行世界のあたしにはまっすぐ事務所に戻れって\\n 言われていたもの。あなたたちの責任では、ないわよ」",
"377000311_9": "「僕としてもその点には同意しますが、\\n この時期の負傷は正直痛いですね」",
"377000311_10": "「この状態ではステージでのパフォーマンスは無理でしょう。\\n 当日までには完治する見込みですが……」",
"377000311_11": "「それまでに予定されていたライブは、\\n すべてキャンセルするしかないでしょう」",
"377000311_12": "「……ライブはキャンセルしないわ」",
"377000311_13": "「クリスティーナさん……無理ですよ」",
"377000311_14": "「あたしの怪我なんて、ファンには関係ないわッ!\\n みんなチケットを買って、ライブを楽しみにしてくれてるッ」",
"377000311_15": "「そんなファンのみんなを裏切ることはできないよ……ッ!\\n 怪我なんて関係ない。あたしは完璧なライブをするわよッ」",
"377000311_16": "「そんな怪我で、完璧なライブなんてできるはずがありません。\\n それこそ、ファンに対する冒涜ですよ」",
"377000311_17": "「プロデューサー……」",
"377000311_18": "「安静につとめて傷を癒してください」",
"377000311_19": "「SSFに出場するためにも、\\n 今無理をする訳にはいかないのですよ」",
"377000311_20": "「…………」",
"377000311_21": "「プロデューサー、どこへ行っていたの?」",
"377000311_22": "「今回の騒動について、関係各所へ確認を取りに……ですね」",
"377000311_23": "「世間では、騒動について\\n どのように認知をしているのでしょうか」",
"377000311_24": "「カルマノイズは、関係者の間では正体不明の災害という\\n 扱いですが、世間にはひた隠しにされています」",
"377000311_25": "「騒動については、集団パニックということに\\n されているようですね」",
"377000311_26": "「……マスコミもその方向に?」",
"377000311_27": "「オメガタクトはマスコミにも顔が利きますから」",
"377000311_28": "「SSFを中止にする訳にはいかないオメガタクトとしては、\\n カルマイズのことで騒がれたくないのでしょう」",
"377000311_29": "「…………」",
"377000311_30": "「話は少し脱線しましたが、\\n 僕もプロデューサーの意見に基本的には賛成です」",
"377000311_31": "「今の状態では、ステージでのパフォーマンスは厳しい。\\n ライブ中止を真摯に謝罪して、回復に努めるのが一番です」",
"377000311_32": "「確かに……。\\n いたし方のない判断だな」",
"377000311_33": "「でも――ッ!」",
"377000311_34": "「なぁ……、あたしに何か手伝えることはないか?」",
"377000311_35": "「あなた……」",
"377000311_36": "「こいつは、あたしたちに代わって人を救ってくれた」",
"377000311_37": "「ライブ以外にも、できることはあるかもしれないだろ?\\n 協力できるなら、なんでも言ってくれッ」",
"377000311_38": "「素晴らしいぃぃぃぃぃッ!!\\n その言葉、お待ちしていましたよッ」",
"377000311_39": "「き、急になんだッ!?」",
"377000311_40": "「片や、ファンのためにライブを開催したいが、\\n 怪我をしてしまったアイドル」",
"377000311_41": "「そして片や、そんなアイドルを手伝いたい、\\n アイドルに瓜二つの少女ッ」",
"377000311_42": "「ま、まさか……」",
"377000311_43": "「そう、替え玉による、ライブの開催ですッ!」",
"377000311_44": "「はああああああああああああああッ!?!?」",
"377000311_45": "「えええええええええええええええッ!?!?」",
"377000311_46": "「ふっざけんなッ! あんなフリフリ衣装また着て、\\n 今度は唄って踊れってかッ そんなことできるかッ」",
"377000311_47": "「そんなの、ファンを騙してるだけじゃないッ!!\\n 絶対に、絶対にイヤよッ」",
"377000311_48": "「ライブの中止も、替え玉も、ファンへの裏切りという\\n 意味では大差ありませんよ」",
"377000311_49": "「それよりもッ!\\n 直前の大事な時期にライブを中止して……」",
"377000311_50": "「クリスティーナの存在感を希薄にしてしまうことの方が\\n よっぽどファンを悲しませることになりますよ」",
"377000311_51": "「そ、そうだろうか……」",
"377000311_52": "「お前もイヤだろ?\\n ニセモのあたしがステージに立ったりするのはッ」",
"377000311_53": "「……イヤだけど、すっごいイヤだけど、\\n ライブを中止にさせないためなら、しかたないわ」",
"377000311_54": "「お前までッ!!」",
"377000311_55": "「でもプロデューサー、1つ条件があるわ。\\n ボーカルは譲りたくないの。どうかしら」",
"377000311_56": "「構いませんよ。MCは口パクを合わせるのが難しいので\\n 避けた方がいいでしょうが、歌ならば」",
"377000311_57": "「……断ってもいいとは思うけど」",
"377000311_58": "「どうするのだ? 雪音」",
"377000311_59": "「~~~ッ!」",
"377000311_60": "「こいつに怪我をさせたのはあたしの責任だ。\\n 替え玉だろうが何だろうが、やってやるッ」",
"377000311_61": "「素晴らしいッ!\\n 感謝しますよッ」",
"377000311_62": "「すぐにレッスンの日程を組みます」",
"377000311_63": "「わたしとマリアには、芸能活動の経験があります。\\n ダンスレッスンには、協力させてください」",
"377000311_64": "「なら、あたしはファンサービス担当ねッ!\\n 完璧に可愛いファンサパフォってものを伝授してあげるわッ」",
"377000311_65": "「どうして、こうなるんだよ……」"
}

View file

@ -0,0 +1,68 @@
{
"377000321_0": "「舞台に上がる者にとって大切なのは、立ち方と所作の美しさだ」",
"377000321_1": "「無為に立つのではなく、丹田を常に意識し肩甲骨を引き締めろ。\\n 背中を丸めるなッ アゴを引けッ」",
"377000321_2": "「……こ、こうか?」",
"377000321_3": "「動作も漫然と行うのではなく、動き出して止めるまで、\\n すべてを己の管理下に置けッ カクカクするなッ」",
"377000321_4": "「む、難しい……」",
"377000321_5": "「歩く際、母指球にばかり頼るなッ! \\n 踵を強く踏み、体幹を活かせッ」",
"377000321_6": "「それが自然で美しい歩行を生み出す。さあ、やってみろッ!\\n ……」",
"377000321_7": "「1、2、3、4……」",
"377000321_8": "「よし。レッスン場の端から端まで、\\n 今の歩き方で往復だッ」",
"377000321_9": "「マジかよ……」",
"377000321_10": "「いい? ターンの基本は、キックとクロスの2種類よ。\\n 遠心力に振り回されないで。脚をプラプラ振らないッ」",
"377000321_11": "「急にこんなのできるかよッ!」",
"377000321_12": "「宇宙一のアイドルの影武者なんでしょう?\\n ダンスにも高いクオリティが求められるのは当然よ」",
"377000321_13": "「さぁ、泣き言はいいから次はキックターンよ。\\n 大きく回るから、腰をツイストさせて可動域を常に意識なさい」",
"377000321_14": "「だから、いきなり高度すぎるっつーの。\\n こうか」",
"377000321_15": "「大丈夫、できてるわよッ!」",
"377000321_16": "「その調子で、ブレを減らしていきましょう。\\n それぞれのターンをまずは回ずつね」",
"377000321_17": "「正気かよ……」",
"377000321_18": "「ちっがぁーうッ! 可愛くないッ!\\n 笑うのッ どうして睨みつけるのよッ」",
"377000321_19": "「もっとこうキャピッて、きゃるぅ~んって。\\n はい、やってッ」",
"377000321_20": "「それで分かるかよッ!",
"377000321_21": " ……こ、こうか?」",
"377000321_22": "「それじゃ企んでる顔でしょ?\\n 頬をピクピクさせないッ」",
"377000321_23": "「……こう?」",
"377000321_24": "「今度は目じりが吊り上がってるッ!\\n 怒ってるようにしか見えないじゃないッ」",
"377000321_25": "「いや、怒ってる訳じゃ……これならどうだ?」",
"377000321_26": "「それじゃ変顔ッ!!\\n どうして同じ顔なのにそうなるのよッ」",
"377000321_27": "「知るかッ!\\n もっと的確にアドバイスしてくれよッ」",
"377000321_28": "「その認識を改めなさいッ! アンタはファンの前では\\n クリスティーナッ 宇宙一可愛いクリスティーナよッ」",
"377000321_29": "「まずは楽しませてあげたいって気持ちになってよッ!」",
"377000321_30": "「そんなんッ!\\n ……いや、それはその通りだよな」",
"377000321_31": "「やっていますねぇ。結構結構ッ!!\\n 陣中見舞いに来ましたよ。少し休憩にしては」",
"377000321_32": "「あら、いつの間にかこんなに時間が経っていたのね」",
"377000321_33": "「……なら、ちょっと外の空気吸って来る」",
"377000321_34": "「差し入れまで……。ありがとうございます。\\n その後、カルマイズについては」",
"377000321_35": "「今のところ、新たな動きはないようですねぇ。\\n 替え玉作戦のレッスンには持ってこいですッ」",
"377000321_36": "「確かに雪音のパフォーマンスは向上していますが、わたしたちの\\n 本来の目的は、いつになったら達成できるのか……」",
"377000321_37": "『トゥルルルルル……』",
"377000321_38": "「おっと、少々失礼。\\n オメガタクトからの連絡です」",
"377000321_39": "「…………」",
"377000321_40": "「ええ、はい……。その点は……。\\n 問題ありません。聖遺物は……」",
"377000321_41": "「……ッ!」",
"377000321_42": "「……カルマノイズについては……。はい、はい。\\n また後ほど報告に伺います」",
"377000321_43": "(わたしたち、聖遺物のことまで話したかしら……?\\n 彼がもし『一般人』なら、そんなこと知らないはず",
"377000321_44": "(頭から信じる訳には、いかないようね)",
"377000321_45": "翌日――",
"377000321_46": "「あーあ。ったくッ!!\\n 姿勢とかダンスはまだいいけど、なんだよあの表情訓練って」",
"377000321_47": "「あたしが『宇宙一可愛いクリスティーナ』だ?\\n さすがに無理があるだろッ」",
"377000321_48": "「宇宙一可愛い、クリスティーナ…………?」",
"377000321_49": "「あん? ……ゲッ!!」",
"377000321_50": "(ライブ会場の最前列で、やたら叫んでたヤツ?\\n もしかしなくても、クリスティーナのファンかッ",
"377000321_51": "「クリスティーナだ……。\\n 本物が、俺たちの目前に御降臨されている……ッ」",
"377000321_52": "「あ、あのあのあのッ! ファンですッ!!\\n この前のライブのオープニングアクト、すごかったですッ」",
"377000321_53": "「アハハ、ありがとー……」",
"377000321_54": "(そりゃ同じ顔だから、変装もせずウロウロしてたら\\n こうなるよなぁ……。うかつだった",
"377000321_55": "「あッ! プライベートですよね。すみません……。\\n でも、あの、もしよかったらでいいんですけど」",
"377000321_56": "「いつものコールッ! お願いしてもいいですかッ!?」",
"377000321_57": "「え、えーと……」",
"377000321_58": "(いつものコールってなんだよッ!\\n 知らねぇってッ",
"377000321_59": "「~~ッ!!」",
"377000321_60": "(――カルマノイズッ!)",
"377000321_61": "「へッ!?\\n うあああああッ 怪物だッ」",
"377000321_62": "「ヤバいッ! 早く逃げないとッ!!\\n ク、クリスティーナもッ」",
"377000321_63": "「うんッ!\\n あたしは大丈夫だから、急いでッ」",
"377000321_64": "(よーし、あとはこいつらと逆方向に走って……)",
"377000321_65": "「こちとらストレスも溜まってるんだッ!\\n 覚悟してかかってきやがれッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,25 @@
{
"377000322_0": "「ひとまず片付いたようだな。\\n 大きな被害は出てないと思うけど……」",
"377000322_1": "「うう、頭が……」",
"377000322_2": "「あ……う……」",
"377000322_3": "「おい、さっきの連中じゃねーか。\\n どうしたんだよッ」",
"377000322_4": "「ぐうう……」",
"377000322_5": "「カルマノイズの精神汚染にあてられてるのか……」",
"377000322_6": "「……あ……」",
"377000322_7": "「しっかりしろッ!\\n くそ、どうしたら……」",
"377000322_8": "(何か、注意を引いて正気に戻せたら……)",
"377000322_9": "(そ、そうだッ! さっき習ったアレで……ッ!\\n 気合入れろ……あ、あたしは、クリスティーナだッ",
"377000322_10": "「み、みんなーッ! ここからはあたしのステージッ!\\n あたしの可愛さに、みんなひれ伏しなさいッ」",
"377000322_11": "「頭……ハッ!?",
"377000322_12": " きたああああああああああーーッ!!」",
"377000322_13": "「あ……う……ッ!?",
"377000322_14": " ク・リ・ス・ティー・ナぁぁぁぁぁぁぁッ!!」",
"377000322_15": "(2人とも条件反射で目を覚ましたぞッ!?)",
"377000322_16": "「2人とも、大変だったわねッ!\\n 頑張ったごほうびに、褒めてあげるわッ」",
"377000322_17": "「ママママジっスかッ!\\n クリスティーナから、直でとか……ッ」",
"377000322_18": "「……我が人生に一片の悔いなしッ!!!!」",
"377000322_19": "「褒めてつかわすわッ!\\n えらいえらい♪」",
"377000322_20": "(こうなりゃやり切ってやるッ!\\n こういう時は、確かウィンクして投げキッス、だっけか",
"377000322_21": "「ふぉぉおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!」",
"377000322_22": "(……ちょ、ちょっとやりすぎだったか……?)"
}

View file

@ -0,0 +1,45 @@
{
"377000411_0": "赤面のステージ",
"377000411_1": "「つ、ついにステージか……。\\n うう、緊張で胃が……」",
"377000411_2": "「さあ、クリスさん。もう開演時間ですよ。\\n 腹をくくって、頑張ってくださいねッ」",
"377000411_3": "「ボーカルの方はバックからバッチリ流しますから、\\n 口パクのタイミングにだけ気を付けて」",
"377000411_4": "「あー、もう。分かったよッ!!」",
"377000411_5": "「うおーーッ!! 御降臨だぁあああああああッ!!」",
"377000411_6": "「ク・リ・ス・ティー・ナぁぁぁぁぁぁぁッ!!」",
"377000411_7": "「うう……こいつらいっつもテンション高ぇな……」",
"377000411_8": "「み、みんなー? 元気にしてたー? 今日も、\\n う……宇宙一可愛いアイドルッ、クリスティーナよッ」",
"377000411_9": "(くうううう……ッ! \\n 殺せッ いっそ今すぐ殺してくれッ",
"377000411_10": "「……なんか、堅いって言うかぎこちなくないか?\\n 顔引きつってるっていうかさ」",
"377000411_11": "「初々しさへの回帰ッ! 初心を忘れないアイドルの鑑ーッ!」",
"377000411_12": "(サイリウムは見ないッ! 人数を意識したら、かたまる。\\n 無心でやるぞ……ッ",
"377000411_13": "「それじゃあ今日の1曲目ッ! いくわよ?\\n みんな、あたしの可愛さにひれ伏しなさいッ」",
"377000411_14": "「キタキタキタアアッ! ちょっと挑戦的とも言えるその笑顔ッ!\\n クリスティーナらしくなってキタァッ」",
"377000411_15": "「今日も可愛い、クリスティーナぁぁッ!\\n ファンサはいつでも、だいかんげーいッ」",
"377000411_16": "「……ようやく曲に入ったか。これで一安心だな」",
"377000411_17": "「あんなにクリスティーナが指導していたのに、\\n まだ集中しないと笑顔が引きつるんだから……」",
"377000411_18": "「プロデューサーの作戦にのっておいてなんですけど、\\n ハラハラし通しでしたね」",
"377000411_19": "「…………」",
"377000411_20": "「クリスティーナ、どうだ?\\n なにか問題点など見あたるだろうか」",
"377000411_21": "「……表情はちっとも安定しないけど、\\n ダンスは安定してきてるのね」",
"377000411_22": "「装者として戦ってきた経験のおかげかしらね。\\n 体幹はかなり鍛えられているし、俊敏性もある」",
"377000411_23": "「戦う姿が舞っているように見える、というだろう?\\n 戦いとダンスは、身体の使い方に共通項があるからな」",
"377000411_24": "(なによ、それ……。そりゃまだまだ、あたしほどじゃないけど、\\n こんなに短期間に踊れるようになっちゃうなんて……",
"377000411_25": "「ん~、チュッ!」",
"377000411_26": "「うおおおおおお~ッ!」",
"377000411_27": "(その歓声だって、\\n 本当はあたしが受けるはずだったのに……",
"377000411_28": "(もし、歌もあの子が唄ったら、もしかしたら……)",
"377000411_29": "(って、何考えてるのッ! あたしはクリスティーナッ!\\n 誰にも負けない、宇宙一のアイドルなんだからッ",
"377000411_30": "「それじゃあみんな、またねッ!」",
"377000411_31": "(終わった……ッ!\\n あたしは、やり遂げたぞ……ッ",
"377000411_32": "「うおおおおおッ!\\n 今日も最高だったよクリスティーナあああッ」",
"377000411_33": "「SSFも楽しみにしてるからねええッ!」",
"377000411_34": "「やれやれ、なんとかバレずにワンステージ乗り切りましたね。\\n これからもこの調子で行ければ……」",
"377000411_35": "『トゥルルルルル……』",
"377000411_36": "「はい? なんでしょう」",
"377000411_37": "「なんですってッ!? 翼さん、マリアさん。\\n 例のカルマイズが出現したそうですッ」",
"377000411_38": "「場所はッ!?」",
"377000411_39": "「……会場のほど近くです。\\n 叫び声のような音を発して、徘徊を始めたと」",
"377000411_40": "「ちょっとッ! あたしのファンが帰ろうとしてるのよッ!?\\n 鉢合わせになんかなったら……ッ」",
"377000411_41": "「緒川さん、観客を逆方向へ誘導をッ!!\\n マリアッ 雪音と合流して、すぐに出るぞッ」",
"377000411_42": "「ええ。\\n やっとわたしたちの出番ねッ」"
}

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@ -0,0 +1,23 @@
{
"377000412_0": "「――ッ!!」",
"377000412_1": "「くそッ! また本体に逃げられちまったか……。\\n アイツさえ倒せれば、任務完了なのに……ッ」",
"377000412_2": "「とはいえ、今回も被害は最小限に抑えることができたな」",
"377000412_3": "「お疲れ様ッ!\\n ファンのみんなを護ってくれて感謝するわッ」",
"377000412_4": "「おまえなあ、礼はありがたいけど安全確認前に出てくるなよ。\\n 隠れてるヤツがいるかもしれないんだからな」",
"377000412_5": "「えッ!? まだいるのッ!?」",
"377000412_6": "「もういないから安心しなさい。\\n まあ、ファンを思う気持ちは好ましいけどね」",
"377000412_7": "「アイドルなんだから、当然よ」",
"377000412_8": "「よし、すみやかに撤収する。\\n 雪音はこの後レッスンだ」",
"377000412_9": "「うえー……」",
"377000412_10": "「さっきの反省会もしなくちゃね。\\n 本物の目から見て、さっきのステージはどうだった」",
"377000412_11": "「……アイドルとしてなら、まだまだね。\\n あたしの半分も可愛くないわ。よく顔が引きつるし」",
"377000412_12": "「な、なんだとッ!?」",
"377000412_13": "「では、影武者としては?」",
"377000412_14": "「ギリギリ合格。違和感は持たれたけど、ファンにバレずに\\n ワンステージやりきったからね。……ありがとう」",
"377000412_15": "「お、おう……」",
"377000412_16": "「でもやっぱり、ステージに立てないのは悔しいわ……」",
"377000412_17": "「ねえあなたたち、シンフォギアの不思議な力で、\\n 怪我を治すとかできないのッ」",
"377000412_18": "「そんな機能ねぇよッ!」",
"377000412_19": "「なによもう。あたしのためを思って\\n 新しい力に覚醒したりしなさいよね」",
"377000412_20": "「そう都合よく行けば苦労しないんだよッ!\\n ほらッ、さっさと帰るぞッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,45 @@
{
"377000421_0": "「――緒川さん、\\n あらたまって用件というのは」",
"377000421_1": "「僕なりにツテを使って、あのカルマノイズを調べたんです。\\n 皆さんには共有しておいた方がいいかと思いまして」",
"377000421_2": "「アイツは歌のレッスン中だし、ちょうどいいな」",
"377000421_3": "「助かるわ。\\n どんなことが分かったのかしら」",
"377000421_4": "「まず、皆さんもご存じの通り、あのカルマノイズは、\\n 大型と小型の種類が存在しますが……」",
"377000421_5": "「大型は固有の1体のみが存在し、\\n 小型は、大型がいる限り無尽蔵に発生するようです」",
"377000421_6": "「確かに、そのようだったな」",
"377000421_7": "「あくまで憶測ですが……、\\n 本体と分体のような関係かと思われます」",
"377000421_8": "「つまり、大型を潰さない限り\\n 小型が湧き続ける可能性がある訳ね。厄介だわ」",
"377000421_9": "「続いて、発生場所ですが、\\n ほぼ間違いなく市街地……繁華街となっています」",
"377000421_10": "「繁華街……、人が多いところに現れているのね」",
"377000421_11": "「音に引き寄せられているのか、人に引き寄せられているのか、\\n それはまだ分かりません」",
"377000421_12": "「クリスティーナが狙われているという線も、\\n 一応まだ考慮しておいた方がいいでしょうね」",
"377000421_13": "「そして、特筆すべき特徴は、あの歌です」",
"377000421_14": "「ああ。あの歌は厄介だ。普通のカルマノイズより、\\n 精神汚染が遠くまで伝わりやがる」",
"377000421_15": "「はい。精神汚染された人々は、暴れたり、記憶の混濁が\\n 見られますが、一定時間経てば正気に戻るそうです」",
"377000421_16": "「<size=25>唄うカルマノイズ……。\\n そんなの、今までいなかったよな</size>」",
"377000421_17": "「<size=25>ああ。だが、今までに固有の特性を持つ個体が\\n いなかった訳ではない</size>」",
"377000421_18": "「<size=25>その原因は、聖遺物の影響がほとんどだったな</size>」",
"377000421_19": "「<size=25>なるほど。そうなると、\\n 何者かが裏で糸を引いている可能性も出てくるわね……</size>」",
"377000421_20": "(まさか、ウェル?\\n ……いやいや、それはあまりにも決めてかかり過ぎね",
"377000421_21": "「緒川さん、貴重な情報、ありがとうございます。\\n わたしたちだけでは、ここまで辿り着けなかったでしょう」",
"377000421_22": "「皆さんには、色々と協力していただいてますから、\\n これくらいの働きはさせてもらわないと……」",
"377000421_23": "「しっかし、プロ並みの情報収集能力なのに、\\n なんでアイドルのマネージャーなんかしてるんだよ」",
"377000421_24": "「この事務所、給料がすごくいいんですよ。\\n 恥ずかしながら、僕にはお金が必要だったもので」",
"377000421_25": "「なんだよ、故郷である忍者の里を復興させたいから……、\\n なんて言う気か」",
"377000421_26": "「――ッ!?\\n 何故それをご存知なんですかッ」",
"377000421_27": "「…………」",
"377000421_28": "「わたしたちの世界の緒川さんも、\\n 忍者の里の出身だからよ」",
"377000421_29": "「並行世界の僕もですか?」",
"377000421_30": "「わたしたちの世界では、緒川さんは忍の技能を買われ、\\n 政府機関に勤めていましたが……」",
"377000421_31": "「僕の場合、マネージャーになったのは、\\n 成り行きだったんですよね」",
"377000421_32": "「クリスティーナと出会って、\\n 僕の中に変化がありました」",
"377000421_33": "「彼女の行く末を見守りたい。その支えになって、護りたいと、\\n そう思えたんです。仕える主を見つけたといいますか」",
"377000421_34": "「だから、もう転職は考えられませんね。\\n 今の僕は宇宙一可愛いアイドルのマネージャー。それだけです」",
"377000421_35": "「アイドルとしての彼女にほれ込んだ、\\n という訳ね」",
"377000421_36": "「むう……、違う緒川さんだと分かっていても、\\n 悔しい気がするのはなぜだろうか……」",
"377000421_37": "『トゥルルルルル……』",
"377000421_38": "「はい、緒川です……。なんですってッ!?\\n カルマイズがまた繁華街にッ」",
"377000421_39": "「すぐに出るわッ!」",
"377000421_40": "「お願いしますッ!\\n 今回は、小型のみのようです」",
"377000421_41": "「分体だけかよ。\\n ならパッパと蹴散らしてやるッ」",
"377000421_42": "「ああ。行くぞ、2人ともッ!!」"
}

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@ -0,0 +1,19 @@
{
"377000422_0": "「残敵なし。すみやかに撤収を……。\\n 雪音。どうした」",
"377000422_1": "「ああ、いや。あれさ」",
"377000422_2": "「大型ビジョン? SSFの宣伝番組かしら。\\n 本当に、一大イベントなのね」",
"377000422_3": "「この世界に来てからは見慣れた光景だが、\\n あれがどうかしたのか」",
"377000422_4": "「……この世界のカルマノイズと戦う時、\\n なんか音楽に縁があるなって、そんな気がしたんだ」",
"377000422_5": "「DJブース作って街頭で音楽イベントやってるとか、\\n ライブ会場に直接出てきたりとかさ」",
"377000422_6": "「今回は、SSF宣伝のための音楽番組が大音量で流れていた。\\n だからカルマイズが現われた。ということ」",
"377000422_7": "「なるほど。可能性はあるな。\\n だが、当然すべての音楽に反応している訳ではない」",
"377000422_8": "「それに、小型しか出てこない場合や、大型が出てくる場合など、\\n 出現の仕方に差があるのも気になる」",
"377000422_9": "「……確かに、音楽ってだけじゃ、説明がつかないよな……」",
"377000422_10": "「皆さん、お疲れ様です」",
"377000422_11": "「どうかしたか?\\n カルマイズはブッ飛ばしといたぞ」",
"377000422_12": "「そろそろレッスンの時間ですよ。\\n 早く移動しないと」",
"377000422_13": "「次のステージもそろそろだものね。\\n レッスンをおろそかにはできないわよ」",
"377000422_14": "「ファンを魅了できるよう、ダンスの精度を上げないとな」",
"377000422_15": "「さ、行きましょうッ!」",
"377000422_16": "「揃いも揃って切り替え早すぎだろッ!!\\n 行く、行くからッ 両脇からホールドすんなぁッ」"
}

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@ -0,0 +1,27 @@
{
"377000511_0": "もってけダブルアイドル♪",
"377000511_1": "「あ・え・い・う・え・お・あ・お……」",
"377000511_2": "(……やっぱり、声の出が悪い気がする。\\n ステージに立ってないせい",
"377000511_3": "「それだけじゃ、ないわね……」",
"377000511_4": "「あたし、気持ちで負けてる……ッ!?\\n 別の世界のクリスの、歌声に……ッ」",
"377000511_5": "(戦いの中で聴かされた。心の奥底にまで響く、\\n ううん、わしづかみにして振り回されるような、あの歌声",
"377000511_6": "(あたしとアイツ、住む世界も、経歴も違うんだから、\\n 唄い方だって変わる。頭では分かってるッ",
"377000511_7": "「でもダメッ!! 心が納得しないッ!\\n あたし、うらやましがってる。アイツの歌をッ」",
"377000511_8": "「なんであたしの歌声は、こんな弱弱しいのよ……。\\n アイツは唄えるのに、なんであたしには唄えないの……」",
"377000511_9": "「あッ! クリスティーナさん。見つけましたよ?\\n まったく、こんな夜遅くに何していたんですか」",
"377000511_10": "「なにって……、その、声のチェックよッ!\\n 替え玉作戦をしても、ボーカルはあたしなんだからッ」",
"377000511_11": "「そうですか……。危険な行動をしたことに対して、\\n マネージャーとして言いたいことはありますが」",
"377000511_12": "「クリスティーナさんのモチベーションが高くてなによりです」",
"377000511_13": "「なんだかんだ言って、替え玉作戦なんてやってしまって\\n 機嫌を損ねていないか、心配だったんですよ」",
"377000511_14": "「――ッ!」",
"377000511_15": "「か、影武者なんて目じゃないわよ。\\n あたしは宇宙一可愛いアイドルのクリスティーナだものッ」",
"377000511_16": "「そうよ。早く復帰して、世間に知らしめないといけないの。\\n あたしが、あたしこそがクリスティーナだってッ」",
"377000511_17": "「あんな経験のない初心者に、\\n 負ける訳には……、いかないのよッ」",
"377000511_18": "「…………」",
"377000511_19": "「なによ、マネージャー。ヘンな顔してッ!!」",
"377000511_20": "「……いえ、もう夜も遅いですし、冷えてきました。\\n 捻挫に障りますから、帰りましょう」",
"377000511_21": "「分かったわよ。ちょっと肩貸して」",
"377000511_22": "「ようやく帰ったか……、\\n ふらふらと外出した時には、何事かと思ったが」",
"377000511_23": "「クリスティーナは、装者として唄う雪音を見て、\\n 焦りを覚えていたのだな……」",
"377000511_24": "「…………」"
}

View file

@ -0,0 +1,29 @@
{
"377000521_0": "「今日の・クリスティーナは・絶好調ッ!!」",
"377000521_1": "「耳が幸せッ! 耳が幸せッ!!」",
"377000521_2": "(あー……。合同ライブだっていうから、時間も短いし\\n 客の何割かはクリスティーナに興味なくて気楽かと思ったけど",
"377000521_3": "(熱狂的なファンが大騒ぎするから、\\n 結局みんなの注目が集まりやがる……",
"377000521_4": "(何度ステージをこなしてもやっぱり恥ずかしい。\\n 誰かッ 今すぐあたしを殺してくれぇッ",
"377000521_5": "「お客さんたち、盛り上がってますねッ!」",
"377000521_6": "「当然よッ! あたしの歌だもの。この後のショートMCタイム\\n さえ乗り切ってくれれば完璧ね」",
"377000521_7": "「あたしは最後の曲に備えるわ。ドリンクちょうだい」",
"377000521_8": "「少々お待ちをッ!」",
"377000521_9": "(はあ、はあ、あ、あと1曲ッ!\\n ええっと、みんなを盛り上げればいいんだよな……ッ",
"377000521_10": "「よーっし、次の曲も盛り上がっていくぞッ!\\n お前らーッ」",
"377000521_11": "「行くぞ? お前ら?\\n なんかちょっと、しゃべり方が荒々しいような……」",
"377000521_12": "「そんな風に雑に扱われるのも、\\n 俺は好きだぞおおおッ」",
"377000521_13": "(へ? え? あッ! ヤベえ、しゃべり方ッ!!\\n 地が出ちまったッ",
"377000521_14": "「テ、テヘッ♪ なーんちゃってッ!\\n みんな、宇宙一可愛いあたしに、ついてきてね」",
"377000521_15": "「やっぱクリスティーナはこうだよなッ!」",
"377000521_16": "「宇宙で一番可愛いよーッ!!」",
"377000521_17": "「……なんとかごまかせた、のか?」",
"377000521_18": "「そうね。でないと、クリスティーナが這いずってでも\\n ステージに上がろうとするわ」",
"377000521_19": "「すみません。クリスティーナさんを抑えるの\\n 手伝っていただけませんかッ すごい力で……ッ」",
"377000521_20": "「ア・イ・ツ~ッ! 真のアイドルってのがどういうものか、\\n 目の前で見せなきゃダメだわッ 離してッ」",
"377000521_21": "「やれやれ……」",
"377000521_22": "「あなたねえッ! 帰ったらもう一度特訓よ特訓ッ!\\n 二度としゃべってる時に地が出ないようにするんだからッ」",
"377000521_23": "「怒んなよッ!\\n 客も喜んでたんだからいいじゃねぇかッ」",
"377000521_24": "「じゃれ合いはそこまでにしてちょうだいッ!\\n 会場にカルマイズが出たわッ」",
"377000521_25": "「な、何ッ!?」",
"377000521_26": "「合同ライブで観客も多く、避難誘導には時間がかかるな。\\n わたしたちでカルマイズを抑えるぞッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,12 @@
{
"377000522_0": "「ギャアァァァァァァッ♪」",
"377000522_1": "「唄わせてなるものかッ!」",
"377000522_2": "「また逃げるのかよッ!\\n 最後まで戦いやがれッ」",
"377000522_3": "「……仕方ないわね。撃退できただけ、よしとしましょう」",
"377000522_4": "「よし、被害状況の確認をしつつ撤収準備だ」",
"377000522_5": "(――ッ!\\n あれは、ウェル 会場に来ていたの",
"377000522_6": "「なんということだ……。\\n やはり、間違いないようだ……」",
"377000522_7": "「セイレーン……。\\n ヤツは、歌に反応して……ッ」",
"377000522_8": "(間違いないわ。彼は、何か重要な情報を隠している。\\n まさか、この件の黒幕……",
"377000522_9": "(もう少し探りを入れる必要がありそうね)"
}

View file

@ -0,0 +1,25 @@
{
"377000531_0": "「……なんだと?\\n 私の聞き間違いかな。もう一度言ってくれないか」",
"377000531_1": "「SSFにおける実験は、中止すべきです。\\n 起動に必要となる検体を、損なう危険性が否定できません」",
"377000531_2": "「ふう……。\\n それは、例のカルマイズとかいうバケモで、かね」",
"377000531_3": "「まさにそいつのせいで、我々は前回の実験に失敗し、\\n あろうことか聖遺物まで失ったのだぞッ」",
"377000531_4": "「すでに譲渡先も決まっていた物をだッ!!\\n その失態を埋め合わせるための実験だと分かっているのかね」",
"377000531_5": "「聖遺物を取りこんだカルマノイズは、\\n 人間の歌に反応して活動しているフシがあります」",
"377000531_6": "「再び実験に乱入してくる可能性は十分にあるのですよッ!!」",
"377000531_7": "「話にならんッ!!」",
"377000531_8": "「君は、カルマノイズと戦うためにわざわざ来訪した\\n 装者とかいう者たちを囲っているのだろう」",
"377000531_9": "「それを、乱入してくるカルマノイズとやらにぶつければいい。\\n なんとしてもは開催するッ」",
"377000531_10": "「ですが……ッ!」",
"377000531_11": "「繰り返すがッ!! 今回の実験は、前回の失態で損害を被った\\n クライアントに向け、代替聖遺物を用意するために行うのだ」",
"377000531_12": "「この実験まで失敗、となればオメガタクトは失墜する」",
"377000531_13": "「我々は職を失うどころか、命すら狙われることになろう。\\n そこは理解しているのかね」",
"377000531_14": "「…………」",
"377000531_15": "「中止など、状況が許さんのだ状況がッ!!\\n 必ず実行できるように動け。それが君の仕事だ。いいな」",
"377000531_16": "「……分かりました」",
"377000531_17": "「聖遺物研究の知識を買われてプロデューサーなんて道楽を\\n させてやっているのだから、こんな時くらい役に立ちたまえよ」",
"377000531_18": "「それができないならば、クライアントの前に我々が\\n 君を始末しなくてはいけなくなる」",
"377000531_19": "「…………」",
"377000531_20": "「装者とやらをうまく動かして、\\n カルマイズを迎え撃たせれば万全だろう」",
"377000531_21": "「分かったら、今日はこれで解散としよう。\\n 連絡は密に、そして実験は確実に実行するようにッ」",
"377000531_22": "「……はい、失礼します」"
}

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@ -0,0 +1,30 @@
{
"377000611_0": "フェス出場の危機",
"377000611_1": "「…………」",
"377000611_2": "「あら、プロデューサー。おかえりなさい」",
"377000611_3": "「ええ、ただいま戻りました。\\n 人は休憩中ですか」",
"377000611_4": "「クリスティーナなら、別室で取材対応中だ。\\n 同じフロア内なら、ピッタリ張りつく必要もないだろう」",
"377000611_5": "「そうですか。\\n それなら何も問題ありませんね……」",
"377000611_6": "「ねえ、『セイレーン』てなんなの?」",
"377000611_7": "「……ッ!!」",
"377000611_8": "「なんということだ……。\\n やはり、間違いないようだ……」",
"377000611_9": "「セイレーン……。\\n ヤツは、歌に反応して……ッ」",
"377000611_10": "「……聞かれていたとは。\\n あの時、そんなに近くにいたのですか」",
"377000611_11": "「何か知っているのでしょう?\\n わたしたちにすべて聞かせてもらえないかしら」",
"377000611_12": "「…………」",
"377000611_13": "「できません。契約上の守秘義務に関わりますからね。\\n 話せば、僕はプロデューサーではいられなくなってしまう」",
"377000611_14": "「契約上……? オメガタクトとの、ということか?\\n 音楽会社の守秘義務が、この話題に何の関係があるんだ」",
"377000611_15": "「その段階から、守秘義務の範囲内です。\\n お話しすることは、できませんね」",
"377000611_16": "「…………」",
"377000611_17": "「……。僕は、仕事に戻りますよ。失礼」",
"377000611_18": "「ウェルプロデューサー。わたしたちも元の世界では\\n アーティストとしてステージの上に立っていた者だ」",
"377000611_19": "「だからこそ分かる。クリスティーナの才能は本物だ。\\n たとえ壁にぶつかっても乗り越え、夢を叶えるだろう」",
"377000611_20": "「もちろん分かっていますよ。\\n 彼女は宇宙一の逸材です。磨けばいくらでも光り輝く……」",
"377000611_21": "「そんな子を、裏切ったり悪事に利用するようなら……。\\n わたしたちは、あなたを許さない」",
"377000611_22": "「そんなことする訳がないでしょうッ!?\\n 僕だって――ッ」",
"377000611_23": "「おいッ! こんな所にいたのかよ。\\n カルマイズが出やがったッ 小型だが数が多いらしいッ」",
"377000611_24": "「分かった。すぐに向かおうッ!」",
"377000611_25": "「それじゃあプロデューサー。わたしたちは行くわ。\\n ……あなたが話さなくても、真相は必ず明らかにする」",
"377000611_26": "「それが、カルマノイズを倒す一番の早道だから」",
"377000611_27": "「…………」"
}

View file

@ -0,0 +1,13 @@
{
"377000612_0": "「なんとか片付けたが……」",
"377000612_1": "「いつまでも\\n こんなイタチごっこをやってる訳にはいかないぞッ」",
"377000612_2": "「そろそろ本当に、本体を潰さないと……ッ!」",
"377000612_3": "「その通りだ。フォニックゲインが乱されなければ、\\n 逃げられる前に倒すこともできると思うのだが……」",
"377000612_4": "「……あそこ、バンドのミニライブが開かれていたらしいわ」",
"377000612_5": "「やっぱり、音楽に引き寄せられていると考えて\\n 間違いなさそうね」",
"377000612_6": "「ならば、SSFは恰好の的だッ!」",
"377000612_7": "「規模が今までのライブの比じゃないんだ。あたしたちが\\n 戦ったって、観客やアーティストを護れるか分からないぞッ」",
"377000612_8": "「アイツのことだって……ッ!」",
"377000612_9": "「本体をおびき出すことより、安全が優先ね。\\n 何とか、を延期にできないかしら……」",
"377000612_10": "「今のところ、ツテはウェルプロデューサーだけだ。\\n すぐに掛け合ってみよう」"
}

View file

@ -0,0 +1,26 @@
{
"377000621_0": "「なるほど? SSFの延期。及び、\\n 宣伝のため行っている各種イベントの即時中止を提案しろと」",
"377000621_1": "「無茶を言っているのは、承知しています。\\n ですがそこを曲げて、提案していただけないでしょうか」",
"377000621_2": "「みんなを護るためには、どうしても必要なの」",
"377000621_3": "「…………」",
"377000621_4": "「あたしたちがあのカルマノイズを確実に倒すために、\\n 少しだけ時間が欲しいんだよ。頼むッ」",
"377000621_5": "「できる訳ないでしょう」",
"377000621_6": "「ッ!」",
"377000621_7": "「SSFに危険が及ぶ可能性があるというのは、\\n 重々承知しました」",
"377000621_8": "「しかし、僕は一介のアイドルプロデューサーなのですよッ!」",
"377000621_9": "「大企業の威信をかけたプロジェクトを\\n ひっくり返すなど、不可能ですッ」",
"377000621_10": "「しかし……ッ!」",
"377000621_11": "「謎の怪物が、現れるかもしれない?」",
"377000621_12": "「そんな言い分、鼻で笑われておしまいでしょう」",
"377000621_13": "「それとも、納得させられるだけの材料をお持ちなんですか?",
"377000621_14": " 皆さんッ!!」",
"377000621_15": "「…………」",
"377000621_16": "「カルマノイズを倒すための、協力は惜しみません。\\n の開催前に倒せれば、それで収まるのですからね」",
"377000621_17": "「……そこについては、\\n 我々も全力を尽くしますが、しかし――」",
"377000621_18": "「緒川くんにはより一層の情報収集を頼んでおきますよ。\\n これが最大限の譲歩です」",
"377000621_19": "「では、会議に向かうので失礼します。\\n 皆さんの奮闘を期待しますよ」",
"377000621_20": "「なんだってんだよッ!\\n とりつくしまもありゃしないッ」",
"377000621_21": "「……だが、痛い所をいくつか突かれている。\\n この場でひっくり返せなかったのは事実だ」",
"377000621_22": "「どうする?\\n オメガタクトに乗り込んで暴れるか」",
"377000621_23": "「……それは最後の手段ね。\\n まずは開催者たちを説得する材料を、早急に探しましょう」"
}

View file

@ -0,0 +1,35 @@
{
"377000631_0": "「…………」",
"377000631_1": "「あら、お揃いじゃない」",
"377000631_2": "「あなたたちに朗報よッ! 足が完全に治ったのッ!」",
"377000631_3": "「本当かッ!?」",
"377000631_4": "「ええッ!\\n これであなたがステージに立つ必要はなくなったわッ」",
"377000631_5": "「SSFでは、宇宙一可愛いあたしがステージに立って、\\n みんなを魅了するの……ッ」",
"377000631_6": "「そいつは確かに朗報だな。あんな恥ずかしい想い、\\n 二度とゴメンだ……」",
"377000631_7": "「あら? なんだかあんまり嬉しそうじゃないわね?\\n 本当にアイドルになりたくなっちゃった」",
"377000631_8": "「……実はな、カルマノイズが、\\n を襲うかもしれないんだ」",
"377000631_9": "「だからあたしたちは、SSFを延期か、最悪中止に\\n するべきだと思ってる」",
"377000631_10": "「――ッ!」",
"377000631_11": "「そんなの、納得できないわ……ッ!」",
"377000631_12": "「…………」",
"377000631_13": "「アンタはともかく、翼、マリアッ!!\\n アンタたちはステージ経験あったわよね」",
"377000631_14": "「なら、分かるでしょうッ!? 1つのステージに、\\n アイドルがどれだけ入念な準備を重ねるかッ」",
"377000631_15": "「特に、SSFは、あたしがずっと夢見てきた\\n ステージなんだから……ッ」",
"377000631_16": "「中止や延期なんかされたら全部台無しよッ!\\n 繋がっていたチャンスも、つかみ損ねるわッ」",
"377000631_17": "「それを分かってて、それでも同じことを言うのッ!?」",
"377000631_18": "「……それを楽しみにしているファンたちの安全も、\\n なにものにも代えがたい。そういうことだ」",
"377000631_19": "「それは……ッ!! そう、だけど……」",
"377000631_20": "「必ず出るとは限らないじゃないッ!\\n 謎だらけの敵なんでしょうッ」",
"377000631_21": "「SSFだけ、中止にするなんて……」",
"377000631_22": "「ま、中止にするなんて無理だって\\n プロデューサーにも言われたんだけどな」",
"377000631_23": "「シンフォギアの力で、SSFを護ってくれることは\\n できないの……」",
"377000631_24": "「もちろん、そうできれば一番なのだが……」",
"377000631_25": "『トゥルルルルル……!』",
"377000631_26": "「なによッ! ……マネージャー?\\n 護衛たちなら、今ここにいるけど」",
"377000631_27": "「――え?\\n カルマイズが出たッ」",
"377000631_28": "「場所はッ!?」",
"377000631_29": "「繁華街の方って……。マップも送られて来たわッ!」",
"377000631_30": "「すぐ転送をッ!\\n 雪音、マリア。行くぞッ」",
"377000631_31": "「分かったわッ!」",
"377000631_32": "「…………」"
}

View file

@ -0,0 +1,31 @@
{
"377000632_0": "『トゥルルルルル……!』",
"377000632_1": "「緒川さん、こちらに出現したカルマノイズは掃討しました。\\n 被害はッ」",
"377000632_2": "「軽微な部類かと。\\n 数名が軽症を負っただけです」",
"377000632_3": "「避難誘導は順調よ。とはいえ、カルマノイズの歌を\\n 聴いてしまう人はどうしても出るわね……」",
"377000632_4": "「やっぱり本体のカルマノイズを倒さない限り、\\n 小型をいくらやっても終わらないからな」",
"377000632_5": "「にしても、なんで今回デカい方は出て来てねーんだ?」",
"377000632_6": "「法則性が不明なままだな……」",
"377000632_7": "「ほらねッ! だから、SSFだって\\n 無事に開催できるかもしれないわッ」",
"377000632_8": "「うぉわあッ!? なんでいるんだよッ!\\n 危ないからついてくんなッ」",
"377000632_9": "「それより、いい案を思いついたわ。あなたたち、\\n カルマイズが歌に引き寄せられると思ってるんでしょう」",
"377000632_10": "「だったら、あたしが今ここで唄ってあげるッ!\\n それで親玉が現れたら、タコ殴りにすればいいのよッ」",
"377000632_11": "「そうすれば、SSFも宣伝イベントも安全になるんでしょう?\\n いいアイデアだわ」",
"377000632_12": "「待て、それじゃお前に危険が及ぶかも――」",
"377000632_13": "「フン、カルマノイズが怖くて、\\n アイドルなんかやってられないわッ」",
"377000632_14": "「それじゃあ、いくわよッ!!\\n クリスティーナ復活の狼煙兼バケモをも魅了する歌ッ」",
"377000632_15": "(…………あれ?)",
"377000632_16": "(なんだろう、声が伸びない。\\n 気持ちよく唄えない……",
"377000632_17": "「……なんだ? 調子悪いのか?\\n なんかいつもと違わないか」",
"377000632_18": "「ッ!!!」",
"377000632_19": "(こんなあたしを、アイツに見せるなんて……ッ!!)",
"377000632_20": "(あたしの歌って、どんなだった? どんな風に唄ってた?)",
"377000632_21": "(こう? それともこうッ!?)",
"377000632_22": "(違うッ! 違う違う違う違う違うッ!!!)",
"377000632_23": "「お、おい。どうした? 急に唄うのやめて」",
"377000632_24": "「や、やだッ! まだちょっと本調子じゃないみたい。\\n 踏ん張りがきかなかったわ」",
"377000632_25": "「結局、カルマノイズは現れなかったな。\\n この作戦は中止にしよう」",
"377000632_26": "「今日は戻るとしましょうか」",
"377000632_27": "「声が……、出なかった。\\n いつもみたいに、唄えなくなってた。この、あたしが……」",
"377000632_28": "「SSFは、もうすぐなのに。どうするのよ……」"
}

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@ -0,0 +1,27 @@
{
"377000711_0": "歌姫の自信は脆くも揺らぐ",
"377000711_1": "「…………」",
"377000711_2": "「クリスティーナさん、予定時間終了でーすッ!\\n お疲れ様でしたッ」",
"377000711_3": "(ダメ。全然声が出てない。無理やり絞り出してごまかしたけど、\\n 唄えていない。あたしの歌が唄えない",
"377000711_4": "(それが気になって、ダンスまでおろそかになりそう……。\\n こんなこと、今までなかったわ",
"377000711_5": "(今日はSSFのリハーサル……ここなら、\\n テンションが上がって唄えると思ったのにッ",
"377000711_6": "「クリスティーナさん。……大丈夫ですか?」",
"377000711_7": "(同じ『クリス』に、並行世界の自分なんかに\\n 歌で負ける訳にはいかない",
"377000711_8": "(でも、今のあたしはなに?\\n アイツよりいい歌を唄うどころか",
"377000711_9": "(まともに歌を唄うことができない……ッ!!\\n 『いつものあたし』にすらなれないッ",
"377000711_10": "「クリスティーナさん?\\n クリスティーナさんッ」",
"377000711_11": "「――え?\\n あ、マネージャーじゃない。どうしたの」",
"377000711_12": "「それはこっちが聞きたいですよ。\\n 思いつめた顔でずっと考えこんで……」",
"377000711_13": "「足首が痛みますか?\\n それとも、どこか他の所が調子悪いとか」",
"377000711_14": "「そ、そうねッ! まだ少し違和感があって、\\n 気になっちゃったのよ。本調子とはいえないわね」",
"377000711_15": "「今日はゆっくり休んで、明日の本番に備えるわ。\\n 撤収しましょう」",
"377000711_16": "「もうですか? なんだったら、軽いミーティングを」",
"377000711_17": "「大丈夫ッ! 身体をケアすれば、バッチリ本調子よッ!\\n 進行も頭に入ってるし、ミーティングまでしなくていいわ」",
"377000711_18": "「分かりました。ちょっとスタッフに声をかけていくので、\\n 先に控室に向かっててください」",
"377000711_19": "「ええ、それじゃあね」",
"377000711_20": "「緒川さん」",
"377000711_21": "「ああ、翼さん。担当アイドルとうまくコミュニケーションが\\n とれないなんて、お恥ずかしい所を見せてしまいましたね」",
"377000711_22": "「……アーティストは、時にマネージャーにも話しづらい\\n 悩みを持つものです。わたしもそうでした」",
"377000711_23": "「本人が話せるようになった時、支えてあげてください。\\n もっとも、緒川さんには釈迦に説法でしょうが」",
"377000711_24": "(関わりのないわたしなら、話しやすいかもしれない。\\n 声をかけてみるか"
}

View file

@ -0,0 +1,28 @@
{
"377000721_0": "「…………」",
"377000721_1": "「クリスティーナ、入るぞ」",
"377000721_2": "「……なによ」",
"377000721_3": "「わたしは気の利いた言いまわしは苦手だ。\\n だから単刀直入に聞く」",
"377000721_4": "「雪音が……、\\n 並行世界の自分が、気になるか」",
"377000721_5": "「そ――ッ!\\n そんなはずないでしょッ」",
"377000721_6": "「あんな……、ニセモノの歌なんてッ!\\n あたしは全然怖くないんだからッ」",
"377000721_7": "「わたしはそこまで言っていないぞ。\\n 語るに落ちるというやつだな」",
"377000721_8": "「あ……」",
"377000721_9": "「少しだが、気持ちは分かる。\\n 自分にはない歌。それを唄える者は、怖ろしくなるものだ」",
"377000721_10": "「しかも、それが並行世界の自分となれば、\\n なおさらだろう」",
"377000721_11": "「…………」",
"377000721_12": "「恐らく、なぜ自分はあんな風にできないのか、\\n と思っているのだろう」",
"377000721_13": "「そ、それは……」",
"377000721_14": "「雪音の生い立ちは、戦いに彩られている。\\n わたしたちと最初に出会った時、雪音は敵だったよ」",
"377000721_15": "「え……ッ?」",
"377000721_16": "「互いにシンフォギアを纏い、死力を尽くして戦った。\\n その中で分かったのだ。雪音の歌の、中心にあるものが」",
"377000721_17": "「それは、確かにクリスティーナにはないものだが、\\n そんなの、当然なんじゃないか」",
"377000721_18": "「え……?」",
"377000721_19": "「しかし、クリスティーナにだってあるはずだ。\\n 歌の中心にある、クリスティーナ自身の想いが」",
"377000721_20": "「……そうね。\\n あたしは、あんな風には唄えない」",
"377000721_21": "「カルマノイズを目の前にした時、アイツは勇ましく\\n 立ち向かったけど、あたしは震えて立ち尽くした」",
"377000721_22": "「そんなあたしの歌が、\\n アイツの歌に追いつくなんて、<ruby=おこ>烏滸</ruby>がましいわね……」",
"377000721_23": "「待てッ! わたしはそんなことを言いたい訳では……ッ!\\n 歌には生い立ちが表れる。それぞれの持ち味が……」",
"377000721_24": "「勝てなくても、持ち味を出せって言うんでしょう?\\n 助言ありがとう。おかげで諦めがつきそうよ」",
"377000721_25": "「……逆効果だったか……。\\n ダメだ、実際に自分の歌の良さに気づけなければ……」"
}

View file

@ -0,0 +1,31 @@
{
"377000731_0": "「…………」",
"377000731_1": "「そうですか、ありがとうございます。\\n 引き続き、よろしくお願いしますね」",
"377000731_2": "「……では」",
"377000731_3": "「やはり、カルマノイズが唄う時間は徐々に長くなっていますか。\\n 被害者の精神ダメージも、重くなっている」",
"377000731_4": "「もし、装者の皆さんの言うようにカルマノイズが\\n に現れたら……」",
"377000731_5": "「今までのように、『犠牲者無し』では、\\n 済まないかもしれません……ッ」",
"377000731_6": "「ウェルプロデューサーッ!!」",
"377000731_7": "「どうしたのですか? ここはオメガタクトの実験場内です。\\n そのような大声を出すなど……」",
"377000731_8": "「お話があります。\\n 少しお付き合いいただけますか」",
"377000731_9": "「……分かりました」",
"377000731_10": "「話というのは?」",
"377000731_11": "「今回の実験、本当に行っていいのですか?」",
"377000731_12": "「装者のような事を言い出しますね。\\n 今更是非を問うとは」",
"377000731_13": "「SSFは表の顔……。真の目的はこの実験場で、\\n フォニックゲインを利用した聖遺物の起動実験です」",
"377000731_14": "「あなたも分かっているでしょう」",
"377000731_15": "「……ええ。僕もあなたも、知りすぎてしまった。\\n 消されないためにも、協力するしかない状況でした……」",
"377000731_16": "「でしたら、今回も――」",
"377000731_17": "「我々は、あのカルマノイズという存在を\\n 甘く見過ぎていたのかもしれません……ッ」",
"377000731_18": "「このままでは、\\n 多くの犠牲者を出す可能性もあるのですよ」",
"377000731_19": "「上層部の決意は変わりません。\\n カルマイズが出たとしても、装者をぶつければいいとね」",
"377000731_20": "「しかし、装者がカルマノイズを止められる保証なんて、\\n どこにもないじゃありませんかッ」",
"377000731_21": "「今さら正義漢ぶると?\\n 君だって、今まで見て見ぬふりをしてきたでしょう」",
"377000731_22": "「ええ、そうです。そして、あなたも悪人ではないと\\n 思っているから話しているんですッ」",
"377000731_23": "「このままでは、クリスティーナの命だって\\n 危険にさらされてしまうのですよッ」",
"377000731_24": "「実験を中止させれば、我々の命が脅かされるッ!\\n 死んでしまったらそれまでですッ」",
"377000731_25": "「もう、やるしかないんですよ……ッ!」",
"377000731_26": "「そうですか……」",
"377000731_27": "「申し訳ありませんが、僕はもう、あなたには従えません。\\n 気が変わらないと言うなら、これで失礼します」",
"377000731_28": "「…………」"
}

View file

@ -0,0 +1,11 @@
{
"377000741_0": "「…………」",
"377000741_1": "(クリスティーナを失うと決まった訳じゃありませんッ!!\\n それに……",
"377000741_2": "(今までのように、装者たちがなんとかしてくれるはずです。\\n 大丈夫……きっと、大丈夫ですッ",
"377000741_3": "(きっとうまくいきますッ!!\\n 実験さえ無事に終われば、あんな会社は辞職し……",
"377000741_4": "(クリスティーナが、スターダムを駆けあがる姿を、\\n 宇宙一のアイドルの誕生を、この目と胸に刻むのですッ",
"377000741_5": "「――ッ!!」",
"377000741_6": "「あちこちでSSFの前夜祭が開かれてるッ!\\n そりゃ現れるよな……ッ」",
"377000741_7": "「避難する人たちを援護するッ!\\n わたしたちで抑えるぞッ」",
"377000741_8": "「ええ。誰も傷つけさせたりしないわッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,14 @@
{
"377000742_0": "「よし、片付いたな。\\n 念のため、クリスティーナのいる会場へ戻るとしよう」",
"377000742_1": "「……おもしろくねえな」",
"377000742_2": "「どうした?」",
"377000742_3": "「前夜祭の会場にカルマノイズが出て、大騒動になったんだ。\\n なのに、ここは知らんぷりで準備をしてやがる」",
"377000742_4": "「業界最大手の音楽会社が主催するフェスとはいえ……。\\n 異常な光景なのは確かね」",
"377000742_5": "「一連の騒動についての報道も、統制が行き届き過ぎているな。\\n 完全に論調が固定されている」",
"377000742_6": "「今回の件で被害に遭ったやつらのためにSSFを\\n 開催するってんだろ 収益の一部を寄付して」",
"377000742_7": "「真実を知らない人から見れば、完全に美談だものね」",
"377000742_8": "「そこまでして、SSFを開催しようとする目的は、\\n 本当に、『今更やめられない』というだけなのだろうか……」",
"377000742_9": "「確かに、何か裏がありそうね……」",
"377000742_10": "「だけど、プロデューサーの野郎の言う通り、今更明日の本番を\\n 止められる気がしない……」",
"377000742_11": "「悔しいが、ライブを見守りながら、\\n カルマイズの出現に備えるしかないか……」"
}

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@ -0,0 +1,54 @@
{
"377000811_0": "陰謀をぶっ潰せ",
"377000811_1": "SSF当日――",
"377000811_2": "「とうとう、始まってしまったな」",
"377000811_3": "「ああ……。今のところは、アイドルたちが順調に\\n パフォーマンスをしていってるみたいだ」",
"377000811_4": "「カルマノイズが現れる様子はないな」",
"377000811_5": "「……そうか。クリスティーナの出番は、かなり後の方だったな。\\n それまで、何事もないといいのだが……」",
"377000811_6": "「それにしても、アイツ……」",
"377000811_7": "「なんだよ、ずいぶんひでぇ顔してるな。あたしは誰かさんに\\n ファンを楽しませる気持ちになれって説教されたけど……」",
"377000811_8": "「な……ッ! そんなのあたりまえでしょッ!\\n というか、を中止にしたいんじゃなかったの」",
"377000811_9": "「それはもう諦めたから忘れてくれ。\\n それより、怒って睨みつけるような顔で、客は喜ぶのか」",
"377000811_10": "「……あなたにそんなこと、言われたくないわよ」",
"377000811_11": "「いやいや、あたしには言う権利あると思うぞ。\\n なんなら影武者復帰して、あたしが代わりに出てやるからな」",
"377000811_12": "「ふざけないでッ!! あの時は仕方なかったけど、\\n これから上がるのはあたしのステージッ」",
"377000811_13": "「待っているのは、このあたしのファンなのよッ!!\\n もう二度と、誰にも譲らないんだからッ」",
"377000811_14": "「大きい声出せるじゃないか。その意気だよ。\\n あたしがクリスティーナする時は、そんな感じだからな」",
"377000811_15": "「へ?」",
"377000811_16": "「一世一代のチャンス、最高のステージにするんだろ?\\n だったらまず、いつも通りじゃなきゃな」",
"377000811_17": "「……ッ!」",
"377000811_18": "「うぬぼれやで、自信満々で、上から目線で……」",
"377000811_19": "「ファンが見たいのは、いつも通りの、\\n 宇宙一のお前のパフォーマンスなんじゃないのか」",
"377000811_20": "「……そうだな。わたしもその意見に賛成だ」",
"377000811_21": "「いつも通りって言われても、よく分かんないわよ……」",
"377000811_22": "「歌は、誰でも唄える。だからこそ、\\n 比べてしまい、悩み、苦しむものなのだろう」",
"377000811_23": "「だが、歌は比べるものじゃない。それは、唄う者の\\n 魂が宿る、『胸の歌』だからだ」",
"377000811_24": "「胸の、歌……」",
"377000811_25": "「お前は、ステージのために、ずっと頑張って\\n 練習してきたんだろ」",
"377000811_26": "「その理由は、あたしとも先輩とも違うはずだ。\\n お前が唄う理由はなんなんだ」",
"377000811_27": "「唄う理由……」",
"377000811_28": "「あたしは、パパやママに歌を聴いてもらうのが好きだった。\\n それは、人が幸せそうな笑顔になってくれるから……」",
"377000811_29": "「だからあたし、思ったの。\\n あたしの歌で、もっとたくさんの人を笑顔にできたらって」",
"377000811_30": "「だから、2人にもらったお守りのペンダントに誓ったんだ」",
"377000811_31": "「あたしは、あたしの歌で\\n 宇宙一のアイドルになってやるんだって……ッ」",
"377000811_32": "「それが、胸の中にあるものか」",
"377000811_33": "「なんで忘れてたんだろう……。クリスの歌をマネしようと\\n したって、意味なんてなかったのに……」",
"377000811_34": "「なんだ? そんなこと考えてたのか?」",
"377000811_35": "「――ッ!\\n 今のは無しッ」",
"377000811_36": "「それより、こんなことしてる場合じゃないわッ!\\n 出番までもう時間がないッ」",
"377000811_37": "「最後まで、あたしの可愛さを高めないとッ!\\n それじゃねッ」",
"377000811_38": "「……ま、アイツはああじゃないとな」",
"377000811_39": "「…………」",
"377000811_40": "「あら、プロデューサーじゃない。\\n なによ、心配で見に来ちゃったの」",
"377000811_41": "「ああ、クリスティーナ。\\n いや、その……」",
"377000811_42": "「? まあいいわ。あたしは大丈夫だからッ!\\n プロデューサーは世界に向けた新曲でも考えててよねッ」",
"377000811_43": "「え、ええ。\\n 分かりましたよ」",
"377000811_44": "「すごいのをお願いねッ! ……そうだ、プロデューサー」",
"377000811_45": "「なんですか?」",
"377000811_46": "「あたしをここまで連れてきてくれてありがとう。あたしの才能を\\n 最初に見出してくれたのは、プロデューサーだものッ」",
"377000811_47": "「お礼って訳じゃないけど、今日はあたし史上最高の\\n パフォーマンスを見せて、世界に躍り出てあげるッ」",
"377000811_48": "「クリスティーナ……ッ!」",
"377000811_49": "「それじゃあ行って来るわねッ!!」",
"377000811_50": "「……フフ、意気に感ずる。というものでしょうかね。\\n あんなに楽しそうにステージに上がる姿を見てしまっては」",
"377000811_51": "「迷っている場合では、ありませんね。\\n 目を背けるのは、もうおしまいです」"
}

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@ -0,0 +1,46 @@
{
"377000821_0": "「プロデューサー。どこに行くのかしら?」",
"377000821_1": "「ちょっと野暮用……、と言いたい所ですが、\\n 関係者以外立ち入り禁止区域に面倒な用事がありましてね」",
"377000821_2": "「そこを通していただきたいのですが……。\\n そうもいかないようですね」",
"377000821_3": "「理解が早くて、助かるわ」",
"377000821_4": "「少し前までの僕なら、\\n 全力で誤魔化していたところなのですけどね」",
"377000821_5": "「心境の変化というヤツです。\\n 歩きながらでよければ、全部ご説明しますよ」",
"377000821_6": "「そう、ありがとう。それじゃあ聞かせてちょうだい。\\n 隠していたことを、全部ね」",
"377000821_7": "「オメガタクトが、聖遺物の裏取引を……ッ!?」",
"377000821_8": "「ええ。ウンともスンとも言わない聖遺物をかき集め、\\n ライブを隠れ蓑に音楽で起動実験を行う」",
"377000821_9": "「歌の力に、聖遺物が反応するというのは\\n 分かっていましたから」",
"377000821_10": "「大半は<ruby=れいき>励起</ruby>すらしませんが、たまに波長が合って起動した\\n ものを、武装勢力などに売り飛ばしているのです」",
"377000821_11": "「音楽会社を隠れ蓑にした死の商人。\\n それがオメガタクトの正体ですよ」",
"377000821_12": "「だから、政府とつながりがあったのね。\\n 情報統制や隠蔽の見事さもうなずけるわ」",
"377000821_13": "「我々は少し前に、『セイレーン』と呼ばれる聖遺物の\\n 起動に成功しました」",
"377000821_14": "「聴いたものの精神を汚染する歌を放つという、\\n 兵器として価値のある代物でした」",
"377000821_15": "「しかし、それをクライアントに引き渡す前に、\\n ヤツが現れたのです」",
"377000821_16": "「……まさか、カルマノイズッ!?」",
"377000821_17": "「その時は、名前も知らぬ怪物でしたがね。\\n 形も、今の形状とは少し違っていました」",
"377000821_18": "「カルマノイズは聖遺物に引き寄せられるように現れた後、\\n それを取り込み、形状を変えて姿を消してしまったのです」",
"377000821_19": "「それが、今まで戦ってきた、カルマノイズの本体ね」",
"377000821_20": "「なるほど、歌を唄うのも、歌に引き付けられて現れるのも、\\n セイレーンの影響を受けたんだわ」",
"377000821_21": "「セイレーンは、すでに売り先が決まっていました。\\n 商品が紛失したので、上層部は大慌てでしたよ」",
"377000821_22": "「SSFは本来、純粋なアイドルイベントの予定でしたが、\\n 急遽、ここでも聖遺物の起動実験が行われることになったのです」",
"377000821_23": "「同じことを繰り返すつもりなのッ!?」",
"377000821_24": "「むしろ、起動した聖遺物があれば、\\n カルマイズを倒せるかもしれない」",
"377000821_25": "「カルマノイズの知識がない上層部は、\\n それくらい楽観的に考えているのですよ」",
"377000821_26": "「だけど、聖遺物を起動するための歌に引き付けられて、\\n きっとカルマイズは現れる」",
"377000821_27": "「そうしたら、起動実験どころじゃないわ。\\n カルマイズによる大量虐殺が起こってしまう……」",
"377000821_28": "「ええ……。僕の考えが甘かったです。\\n いえ、保身のために、目をつぶっていただけかもしれませんが」",
"377000821_29": "「だから、僕は今から実験を止めに行きます」",
"377000821_30": "「……あなた、戦えるの?」",
"377000821_31": "「戦う? めっそうもありませんッ!\\n 制御室に侵入し、スマートに実験を停止させる計画ですよッ」",
"377000821_32": "「その後は?\\n 逃げられる算段はあるの……」",
"377000821_33": "「それは――」",
"377000821_34": "「まったく、仕方がないわね。わたしも行くわッ!\\n クリスティーナを悲しませる訳にはいかないもの」",
"377000821_35": "「分かりました。協力に感謝しますよ」",
"377000821_36": "「それじゃあ、急ぎましょう。\\n カルマイズが出るまでに、実験を止めないとッ」",
"377000821_37": "「この先の配線から、セキュリティーをハッキングします。\\n 混乱を生んで、その間に制御室に――」",
"377000821_38": "「さすが、プロデューサーをしている世界線でも、\\n そういう小賢しいことはできるのね」",
"377000821_39": "「小賢しいとは何ですかッ!\\n ここは天才的と――」",
"377000821_40": "「侵入者発見。排除シマス」",
"377000821_41": "「なあッ!?\\n こんなのがいるだなんて、聞いていませんよッ」",
"377000821_42": "「まったく、詰めが甘いんだから……。\\n ついてきてよかったわ」",
"377000821_43": "「Seilien coffin airget-lamh tron――」"
}

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@ -0,0 +1,34 @@
{
"377000822_0": "「プロデューサーッ!\\n 実験の停止はまだッ」",
"377000822_1": "「もう少しですッ!\\n ここをこうして……」",
"377000822_2": "「ぐわッ!?」",
"377000822_3": "「プロデューサーッ!?」",
"377000822_4": "「おっと、そこまでだ装者くん。手を上げたまえ。\\n 君は協力者を見捨てるような薄情者でないと期待するよ」",
"377000822_5": "「ぐ……ッ!」",
"377000822_6": "「指示に従うわ。手荒なことはしないでちょうだい」",
"377000822_7": "「ふん、物分かりが良くて助かる。\\n だが、こいつは手荒なことをされて然るべきだがなッ」",
"377000822_8": "「まったく、少しは使えるかと思って拾ってやったのに、\\n 恩知らずがッ この行動は高くつくぞ、ウェル」",
"377000822_9": "「念のため、実験が終わるまでは生かしておいてやる。\\n 元研究者の君は、役に立つかもしれないからな」",
"377000822_10": "「実験は、ダメです……ッ! これ以上続ければ、間違いなく\\n カルマイズを呼び寄せてしまう……ッ」",
"377000822_11": "「それに対抗するために装者を囲ったんだろうがッ!!」",
"377000822_12": "「装者はカルマノイズを簡単に倒せる訳ではありませんッ!\\n 倒すまでに、周囲が大惨事になる可能性もあるのですよッ」",
"377000822_13": "「その程度、実験が成功すればいくらでも\\n リカバーできるッ さあ、実験を開始するぞッ」",
"377000822_14": "「待ってもらいましょうか……ッ!」",
"377000822_15": "「な、何者だッ!?」",
"377000822_16": "「緒川さん……ッ!?」",
"377000822_17": "「ウェルさんも実験を止めようとしたんですね。\\n やはり、あなたは信頼できる方ですッ」",
"377000822_18": "「グギギ……ッ!?」",
"377000822_19": "「ギャ……ッ!?」",
"377000822_20": "「く、くそッ! こいつがどうなっても……」",
"377000822_21": "「ぐおッ!?」",
"377000822_22": "「制圧、完了しました」",
"377000822_23": "「ご苦労様です」",
"377000822_24": "「仲間を連れて、助けに来てくれたのね」",
"377000822_25": "「ご名答です。里のみんなに協力してもらいました」",
"377000822_26": "「クリスティーナさんを\\n 護らないといけませんからね」",
"377000822_27": "「あなたも同じ気持ちでしょう?」",
"377000822_28": "「ええッ! そうです。元々僕は、\\n あの歌声に惚れてプロデューサーとなったのですッ」",
"377000822_29": "「起動実験は阻止できたけれど……、\\n ライブは続いているわ」",
"377000822_30": "「カルマノイズが現れる前に、\\n 止めなくては……ッ」",
"377000822_31": "「ええ。急ぎましょう……ッ!」"
}

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@ -0,0 +1,53 @@
{
"377000911_0": "勝利へのパフォーマンス",
"377000911_1": "「……よしッ! 行くわよッ!!」",
"377000911_2": "「さあみんな、ここからはあたしのステージッ!」",
"377000911_3": "「宇宙一可愛いアイドル、\\n クリスティーナの前にみんなひれ伏しなさいッ」",
"377000911_4": "「ク・リ・ス・ティー・ナぁぁぁぁぁぁぁッ!!」",
"377000911_5": "「クリスティーナが、こんなに大きなフェスに……ッ!\\n ここまできた。ここまで来たんだなッ」",
"377000911_6": "「時は来たッ! それだけだッ!!」",
"377000911_7": "「今日はあたしの晴れ舞台ッ! 盛り上げていくわよッ!\\n みんなも、たっくさん楽しんでねッ」",
"377000911_8": "「1・2・3・4ッ!!」",
"377000911_9": "「最高ッ! キュートなクリスティーナッ!!\\n 今日もダンスはキレッキレッ」",
"377000911_10": "「ホントにキレてるな……ッ!\\n ここ最近でも一番の出来じゃないか」",
"377000911_11": "「大きなフェスでもおびえなしッ!\\n さっすが俺らのクリスティーナーッ」",
"377000911_12": "(足首も気にならない……。\\n それどころか、いつもより踊れてる気がする",
"377000911_13": "(楽しいッ! 身体が思い通りに動いて、\\n ポーズがキまるのが、楽しいッ",
"377000911_14": "「声出すともーっと楽しいわよッ!\\n 皆も一緒に唄ってーッ」",
"377000911_15": "「うぉーッ!! 新ファンサッ!!\\n ドがつぶれるまで声出せーッ」",
"377000911_16": "「そうだな……。\\n 今までは、あたしの歌を聴けって感じだったのにな」",
"377000911_17": "(ああ、唄うのが、みんなと声を合わせるのが楽しいッ!\\n この一体感、初めての感覚だわ……ッ",
"377000911_18": "「クリスティーナのステージ、始まっちゃったわね……」",
"377000911_19": "「マリアッ!\\n どこに行っていたのだッ」",
"377000911_20": "「ちょっと、悪の組織の野望を止めてきたところよ」",
"377000911_21": "「はあッ!?」",
"377000911_22": "「それより、カルマノイズは歌の力を持つ聖遺物を\\n 取り込んでいることが分かったわッ」",
"377000911_23": "「――ッ! しかし、ならばどうして、\\n 歌がある場所に現れていたんだ」",
"377000911_24": "「……たぶん、取り込んだ聖遺物を活性化させるために、\\n フォニックゲインを求めていたんじゃないかしら……」",
"377000911_25": "「……ッ! じゃあ、この状況はまずいんじゃないかッ!?\\n アイツのステージ、めちゃめちゃ盛り上がってるぞッ」",
"377000911_26": "「だから今、それを止める方法を考えてるのッ!\\n クリスティーナには酷なことだけれど――」",
"377000911_27": "「次の曲いくよーッ!!」",
"377000911_28": "「……え?」",
"377000911_29": "「うおおおおッ!?\\n バケモぉぉぉぉぉぉッ」",
"377000911_30": "「な、な、なんだ、アレはッ!?」",
"377000911_31": "(現れ、ちゃった……)",
"377000911_32": "(どうして、こんな時に……ッ!)",
"377000911_33": "「何やってんだお前ぇぇぇぇ!!!」",
"377000911_34": "「ギャアアアァァァァァッ♪」",
"377000911_35": "「あ…………ッ!」",
"377000911_36": "「ビビッて棒立ちなんかするなバカッ! 早く逃げろッ!!」",
"377000911_37": "「…………イヤ。逃げない」",
"377000911_38": "「ああッ!?」",
"377000911_39": "「逃げないッ!\\n あたし、負けたくないッ」",
"377000911_40": "「カルマノイズの歌で、みんな苦しんでる……。\\n それって、あたしの歌が負けてるってことじゃないッ」",
"377000911_41": "「あたしは宇宙一のアイドルなのに、\\n カルマイズなんかに歌で負けてられないわッ」",
"377000911_42": "「あーもう、これはそういうことじゃないだろッ!」",
"377000911_43": "「あたしらしく行けって言ったのはあなたよッ!?」",
"377000911_44": "「だけどな、アイツの相手は、あたしの領分だッ!\\n お前が歌で圧倒したとして、アイツを倒せるのか」",
"377000911_45": "「それは、分からないわ」",
"377000911_46": "「だったら、ここはあたしに任せとけッ!\\n あたしの銃弾はアイツを倒せるんだからなッ」",
"377000911_47": "「わ、分かったわよッ!!」",
"377000911_48": "「……結局、最悪の事態にまでなってしまったか……」",
"377000911_49": "「いいえ、まだよッ! 被害が出る前に、\\n わたしたちがカルマイズを倒せばいいんだものッ」",
"377000911_50": "「ああッ!\\n アイツをライブの主役になんか、させるかよッ」"
}

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@ -0,0 +1,18 @@
{
"377000912_0": "「小物ごときが、邪魔すんじゃねぇッ!!」",
"377000912_1": "「小型はほぼ掃討できたなッ!\\n だが――」",
"377000912_2": "「まだ厄介なのが残っているのよね」",
"377000912_3": "「今日こそ逃がさないぞッ!\\n ここで決着つけてやるッ」",
"377000912_4": "「――ッ!!」",
"377000912_5": "「ギャアァァァァァァッ♪」",
"377000912_6": "「再び唄いだしたかッ!」",
"377000912_7": "「まずいわッ! \\n シンフォギアの力が減殺される……ッ」",
"377000912_8": "「く……、バリアコーティングで何とか\\n 精神汚染の影響は防いでいるが……」",
"377000912_9": "「あたしたちでギリギリってことは――」",
"377000912_10": "「がぁぁぁッ、頭が割れるッ!\\n 頭がぁぁぁッ」",
"377000912_11": "「全部、壊してやるッ!\\n ぐううううああああッ」",
"377000912_12": "「まずい、このままじゃ狂っちまうッ!!\\n こんのぉッ」",
"377000912_13": "「アアアアアアアアッ♪」",
"377000912_14": "「ぐ……、効かない……。\\n そんなにも、弱らされて……ッ」",
"377000912_15": "「この、ままでは……ッ!」"
}

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@ -0,0 +1,38 @@
{
"377000921_0": "「――ッ!!」",
"377000921_1": "「みんなが、苦しんでる……。\\n カルマイズの歌で……」",
"377000921_2": "「確かにあたしは、カルマノイズを倒す弾丸は持ってない……。\\n でも、戦う相手が歌ならッ」",
"377000921_3": "「パパ、ママ、応援しててッ!\\n あたし頑張る……ッ」",
"377000921_4": "「やいッ、バケモノッ!!」",
"377000921_5": "「――ッ!!」",
"377000921_6": "「な、あいつ……」",
"377000921_7": "「あたしは宇宙一可愛いアイドル、クリスティーナッ!\\n もちろん、歌だって宇宙一よッ」",
"377000921_8": "「歌は、誰かを幸せにして、笑顔にするものなのに……、\\n 苦しめる歌を唄うなんて……ッ」",
"377000921_9": "「そんなの許せないッ!\\n あたしの歌で、上書きしてやるッ」",
"377000921_10": "「あたしだって、シンフォギア装者と同じ、\\n 命がけでアイドルやってるんだからッ」",
"377000921_11": "「!?」",
"377000921_12": "「らー、らららー」",
"377000921_13": "「~~~~ッ♪」",
"377000921_14": "(聴きなさいカルマノイズッ! これがあたしの、\\n 宇宙一の歌声なんだから……ッ",
"377000921_15": "(え? パパとママに貰った\\n イルカのペンダントが……光って",
"377000921_16": "「めちゃくちゃ光ってるんですけどッ!?\\n なにこれえええッ」",
"377000921_17": "(まるで、光があたしの歌声に共鳴してるみたい……ッ!\\n パパとママなの……",
"377000921_18": "(それならあたし、もっと唄うよッ!\\n 他に何も聴こえなくなるくらいッ",
"377000921_19": "「~~~~~ッ♪♪」",
"377000921_20": "「な、なんだ……? 頭の痛みが治まって……」",
"377000921_21": "「あれ? 俺は何を……。\\n ―― ッ! この歌声は……」",
"377000921_22": "「どういうことだッ!?\\n 精神汚染を受けたやつらが、治っていくッ」",
"377000921_23": "「クリスティーナの、歌声の影響だというの……?」",
"377000921_24": "「いや、それだけじゃない。\\n あの光は……」",
"377000921_25": "「あ~~~~ッ♪」",
"377000921_26": "「なんだ? あいつの歌声と光を浴びてたら、\\n なんか――」",
"377000921_27": "「ギアが変化したッ!?\\n この姿は……」",
"377000921_28": "「不思議ね。わたしも高らかに唄いたい気分だわッ!\\n それに――」",
"377000921_29": "「アアアアアアアアッ♪」",
"377000921_30": "「――ッ! カルマノイズの歌声を聴いても、\\n 力が弱まらないッ」",
"377000921_31": "「ああッ! まるでこっちの歌が、\\n カルマイズの歌を跳ね返してるみたいだッ」",
"377000921_32": "「この力、お前のおかげなんだなッ!?」",
"377000921_33": "「さっぱり分からないわッ!\\n あたしは思いっきり唄ってるだけッ」",
"377000921_34": "「だけど、その衣装、\\n なかなか可愛いわよッ」",
"377000921_35": "「は、宇宙一のアイドルのお墨付きだッ!\\n このギアで負ける訳にはいかないなッ」"
}

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@ -0,0 +1,26 @@
{
"377000922_0": "「~~~~~ッ♪」",
"377000922_1": "「まさか、あれは……ッ!!\\n 『アポロンの首飾り』が、起動しているッ」",
"377000922_2": "「『アポロンの首飾り』? もしかして、\\n クリスティーナさんのイルカのペンダントのことですか」",
"377000922_3": "「実はあれは、聖遺物なのですよ」",
"377000922_4": "「はあ……ッ!?」",
"377000922_5": "「クリスティーナのご両親が、\\n たまたま海外の遺跡で見つけた物のようです」",
"377000922_6": "「2人は当然、聖遺物だなんて思っていませんでしたよ」",
"377000922_7": "「僕は見てすぐ、基底状態の聖遺物『アポロンの首飾り』だと\\n 気づいてはいたのですが――」",
"377000922_8": "「そうと知られれば、オメガタクトに奪われてしまいますからね」",
"377000922_9": "「だから、クリスティーナのために、\\n 誰にも言わなかったということですか……」",
"377000922_10": "「その通りですッ! そして、その聖遺物がいまッ!\\n ああして起動しているッ」",
"377000922_11": "「さらに、装者の皆さんに力を与えていると?\\n 一体なぜそんなことが……」",
"377000922_12": "「決まっているじゃないですかッ!!\\n アポロンといえば音楽を愛する太陽神ッ」",
"377000922_13": "「クリスティーナの歌が、アポロンに認められたのですよッ!」",
"377000922_14": "「そして解放された聖遺物の力が、\\n シンフォギアに影響を与えたんだッ」",
"377000922_15": "「クリスティーナさんの歌が、\\n そんなことを……」",
"377000922_16": "「オオオオオオオッ!」",
"377000922_17": "「いつまでも陰気な歌を唄ってんじゃねえッ!」",
"377000922_18": "「今度は、わたしたちの歌を聴いてもらおうかッ!」",
"377000922_19": "「わたしたちと、クリスティーナの歌をねッ!」",
"377000922_20": "「~~~~~ッ♪\\n いっけーッ そいつに、あたしたちの歌を叩き込むのよッ」",
"377000922_21": "「ああッ!\\n 宇宙一の歌声を、味わいやがれえええええッ」",
"377000922_22": "「オオオオ、オオ……」",
"377000922_23": "「やっと、終わったか……」"
}

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@ -0,0 +1,55 @@
{
"377001011_0": "宇宙一の未来へ",
"377001011_1": "「えー、それでは。\\n は、ファンの方に大きな被害もなく無事終了」",
"377001011_2": "「皆さん、お疲れ様ということで。乾杯ッ!」",
"377001011_3": "「いやあ、本来もっと盛大に行いたかったのですが……。\\n 僕も緒川くんも無職になったものでね。予算が厳しいのですよ」",
"377001011_4": "「なによそれッ!! あたし聞いてないわよッ!?」",
"377001011_5": "「初公開ですからね。これを待っていたもので」",
"377001011_6": "「携帯端末に映っているのは……ニュースですか?\\n 『大手企業オメガタクトに捜査のメス』……ッ」",
"377001011_7": "「マリアさんには説明しましたが、\\n オメガタクトは闇の深い企業でしてね」",
"377001011_8": "「それを洗いざらい司法にぶちまけたのですよ」",
"377001011_9": "「何の説明もない聖遺物の起動実験、それに聖遺物の売買。\\n わたしたちの世界なら極刑でもおかしくないわ」",
"377001011_10": "「まあ、こちらではどれほどの罪になるか分かりませんが……。\\n 少なくとも、関係部署は閉鎖の上、人員は解雇でしょう」 ",
"377001011_11": "「その程度しかダメージを与えられなかったのは、\\n 僕たちが刺し違いきれなかったからですがね……」",
"377001011_12": "「そんなの、英雄でもそうそうできることじゃないだろ。\\n できることで責任取ってくしかないって」",
"377001011_13": "「まあ、本業である芸能・音楽部門は健在です。\\n クリスティーナは、その力を存分に利用するといいのです」",
"377001011_14": "「SSFの映像、世界中でバズってますからね。\\n 世界もすっかり射程圏内ですよ」",
"377001011_15": "「……イヤ。あたしも事務所辞めるわ。\\n あなたたちがいないなら、意味ないから」",
"377001011_16": "「なに言ってるんですかッ!!」",
"377001011_17": "「……アイドル人生を左右することですよ?\\n もっと考えた方が――」",
"377001011_18": "「2人のおかげでSSFに出られて、歌を届けられたのよ。\\n あなたたちはあたしにとって最高のスタッフなの」",
"377001011_19": "「それとも、あなたたちにとってあたしは\\n 最高のアイドルじゃないの」",
"377001011_20": "「そんな訳ありませんッ!! かのアポロン神に認められた\\n 歌声を持つものなど君人ッ 最高のアイドルだとも」",
"377001011_21": "「里の復興なんてどうでもよくなる時があるくらいには、\\n クリスティーナさんに夢中です。でも僕たちは……」",
"377001011_22": "「ならいいじゃない。歌で世界を明るくして償うのよッ!\\n 人で事務所を作って、世界に出るわよッ」",
"377001011_23": "「……この貪欲さは、見習うべきかもな」",
"377001011_24": "「そうかあ?\\n かなり過酷な道だと思うぞ……」",
"377001011_25": "「ウェルを圧倒というか、説き伏せることができるなんて……。\\n たいしたものね。本当に」",
"377001011_26": "「ということで、お疲れ会兼新事務所創立お祝い会よッ!\\n もう一度乾杯を……」",
"377001011_27": "『トゥルルルルル……!』",
"377001011_28": "「あら? 誰かしら……。わあッ! ママッ!!」",
"377001011_29": "「<size=40>はああああああああああああああッ!?</size>」",
"377001011_30": "「もしもし? わ、元気そうッ! パパは?\\n 元気なんだ、よかった。え 動画見たのッ」",
"377001011_31": "「ママ……? パパ……?」",
"377001011_32": "「ああ、クリスティーナさんのご両親はギリシャでご健在ですよ?\\n 考古学に携わりながらトレジャーハントをしているそうです」",
"377001011_33": "「<size=40>生きてるのかよッ!!</size>」",
"377001011_34": "「見ててね、パパ、ママ。これからあたし、\\n 世界に羽ばたくからッ」",
"377001011_35": "「皆さんもお忙しいのに、\\n お見送りありがとうございます」",
"377001011_36": "「いえ、せっかくですから、\\n 皆さんの旅立ちを見届けたかったのです」",
"377001011_37": "「安心してくださいッ! 我々の事務所『イチイバル』は\\n クリスティーナがバズったおかげで順風満帆が確定ッ」",
"377001011_38": "「オファーが殺到し、嬉しい悲鳴を上げている所ですッ!!」",
"377001011_39": "「お別れね」",
"377001011_40": "「まあな……。ま、アイドルが輝く瞬間を\\n バッチリ見れたからな。いい土産話ができた」",
"377001011_41": "「それは、こっちも同じよッ!」",
"377001011_42": "「もう、自分の歌を見失うんじゃないぞ?」",
"377001011_43": "「言われなくたってッ! あたしらしく、\\n もっともっと、すごい歌にしてやるんだからッ」",
"377001011_44": "「そういや、次の目標は世界制覇とかか……?」",
"377001011_45": "「……ううん」",
"377001011_46": "「世界なんて、今のあたしには踏み台よ。\\n すぐに獲って、あなたみたいに並行世界に乗り出すわッ」",
"377001011_47": "「は?」",
"377001011_48": "「全部の並行世界に、あたしの歌を届けてやるのよッ!\\n そしたら、こう名乗ってあげる」",
"377001011_49": "「あたしは全並行世界で一番可愛いアイドル、クリスティーナッ!\\n 全並行世界のみんな、あたしの可愛さにひれ伏しなさいッ」",
"377001011_50": "「……ってねッ!!」",
"377001011_51": "「本当にブレないよなお前……。",
"377001011_52": " まあ、応援してるよ。ファンとして」"
}

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@ -0,0 +1,20 @@
{
"377001111_0": "暴かれたスキャンダル?",
"377001111_1": "「ふんふーん、ふふーん、ふふふーん♪」",
"377001111_2": "「おや、クリスティーナの曲か?」",
"377001111_3": "「――ッ! ……なんか、つい出ちまうんだ。\\n さんざん聴かされたからな」",
"377001111_4": "「色々あったけど、思い返せばいい経験をしたわね。\\n クリスティーナはいい子だったし」",
"377001111_5": "「まあ、クセはすごかったけど……。悪い奴じゃ、なかったな」",
"377001111_6": "「あッ! クリスちゃーんッ!!」",
"377001111_7": "「なんだお前、任務で出かけてるって聞いたけど、\\n 帰ってたのか」",
"377001111_8": "「ついこの間ねッ! それよりもクリスちゃんヒドいよッ!!\\n わたしがいない間に、こんな可愛い格好してッ」",
"377001111_9": "「は……?」",
"377001111_10": "「代理でアイドルやったんだってねッ! 音源とかある?\\n 並行世界のクリスちゃんの歌と聴き比べしたいッ」",
"377001111_11": "「ある訳ねえだろうがッ!!\\n 大体、なんでお前がそんな写真持ってるんだッ」",
"377001111_12": "「え? これ報告書の添付画像引き伸ばしたのだけど」",
"377001111_13": "「ほう、こく、しょ……?」",
"377001111_14": "「もうS.O.N.G.中で評判だよ?\\n 未来とも、可愛いねーッ て話したりしてッ」",
"377001111_15": "「うあ、うああああああ……」",
"377001111_16": "「ねえねえクリスちゃんッ!\\n よかったらもう回アイドルっぽい服を――」",
"377001111_17": "「それはもう封印した記憶だったんだッ!\\n そんなの、二度と着ないからなあああッ」"
}