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@ -0,0 +1,49 @@
{
"386000111_0": "四国での出会い",
"386000111_1": "「――任務、\\n 終わったぁッ」",
"386000111_2": "「時間も遅い。\\n すぐに港に停泊中の本部に帰投するとしよう」",
"386000111_3": "「本部も一緒に四国まで来てくれて助かった。\\n 今から、公共交通機関で帰るのはシンドイからな」",
"386000111_4": "「えーッ!?\\n もう帰っちゃうんですかーッ」",
"386000111_5": "「立花は、どこか行きたいところでもあるのか?」",
"386000111_6": "「はいッ!\\n うどんを食べに行きたいですッ」",
"386000111_7": "「うどんだぁ?\\n そんなの、本部の食堂のメニューにもあるじゃないか」",
"386000111_8": "「チッチッチ、甘いよッ!\\n 四国のうどんは、それはもう全然違うんだからねッ」",
"386000111_9": "「全然違うって……。\\n お前、食ったことあんのか」",
"386000111_10": "「ないよッ!」",
"386000111_11": "「ないのかよッ!」",
"386000111_12": "「前に読んだ雑誌に載ってたんだよッ!\\n お願いします翼さんッ 杯だけでいいですからッ」",
"386000111_13": "「まあ、どちらにしろ食事はしなくてはならないからな。\\n 一応、本部にも確認してみるが……」",
"386000111_14": "「――と、立花が言っているのですが」",
"386000111_15": "「ああ、それくらいなら構わないぞ」",
"386000111_16": "「美味い食事は心を満たす。\\n 本場のうどん、たっぷり味わってくるといいッ」",
"386000111_17": "「やったーッ!」",
"386000111_18": "「いっそ俺たちも、\\n 外にうどんを食べに行くっていうのは……」",
"386000111_19": "「残念だけど、\\n 別の任務に当たっている装者たちのサポートが先ね」",
"386000111_20": "「……うう、了解」",
"386000111_21": "「こちらのことは気にせず、\\n 腹いっぱい食べてこいッ」",
"386000111_22": "「はいッ!\\n ありがとうございますッ」",
"386000111_23": "「まあ、\\n 美味いもんが食えるってんなら文句はないさ」",
"386000111_24": "「でも、どの店に入るんだ?\\n 見たところ、そこら中うどん屋だらけだぞ」",
"386000111_25": "「うーん、これだけたくさんあると決められないなぁ。\\n どこかに、うどんに詳しい人がいればいいんだけど……」",
"386000111_26": "「きゃぁぁぁぁッ!!」",
"386000111_27": "「悲鳴ッ!?\\n 何事だッ」",
"386000111_28": "「おい、あっちだッ!」",
"386000111_29": "「――――ッ!!」",
"386000111_30": "「あれはッ!?」",
"386000111_31": "「待てッ!\\n 人々の避難が先だッ」",
"386000111_32": "「おい、そこのアンタッ!\\n ここはあたしらに任せて、早く逃げなッ」",
"386000111_33": "「は、はいッ!\\n ありがとうございますッ」",
"386000111_34": "「周囲の人たちの避難、全て完了しましたッ!\\n 怪我人はいませんッ」",
"386000111_35": "「被害は建物のみ。\\n 不幸中の幸いだな」",
"386000111_36": "「――――ッ!!」",
"386000111_37": "「なんなんだコイツら……。\\n イズとも、アルカ・イズとも違うぞ」",
"386000111_38": "「これ以上、街に被害を出すわけにはいかないよッ!」",
"386000111_39": "「そうだな。\\n このまま捨て置くわけにはいかんッ」",
"386000111_40": "「――こちら翼です。聞こえますか?\\n 未知の脅威を確認。応戦しますッ」",
"386000111_41": "「こちらでも謎の反応を捕捉ッ!\\n 対応をお願いしますッ」",
"386000111_42": "「任せてくださいッ!」",
"386000111_43": "「Balwisyall Nescell gungnir tron――」",
"386000111_44": "「Imyuteus amenohabakiri tron――」\\n「Killter Ichaival tron――」",
"386000111_45": "「行くぞッ!」",
"386000111_46": "「了解ッ!」"
}

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@ -0,0 +1,18 @@
{
"386000112_0": "「くらえぇぇぇぇッ!!」",
"386000112_1": "「よしッ!\\n 倒せたッ」",
"386000112_2": "「……しかし、妙な手応えの相手だったな。\\n 攻撃が通りづらいというか……」",
"386000112_3": "「確かに、弾の効き目も鈍かった気がする。\\n 本当、何者なんだコイツら……」",
"386000112_4": "「大暴れついでに攻撃もしてくるんだから、\\n 迎撃はするけどよ。敵、だよな……」",
"386000112_5": "「――北に300メートルの位置に、\\n 新たな正体不明の反応を捕捉ッ」",
"386000112_6": "「ノイズや、アルカ・ノイズ、\\n 聖遺物とも異なる反応ですッ」",
"386000112_7": "「皆さんと接敵したものと関係があるかもしれませんッ!\\n 調べに行ってもらえますか」",
"386000112_8": "「了解ッ!\\n 直ちに向かいますッ」",
"386000112_9": "「――――ッ!!」",
"386000112_10": "「いたぞッ!\\n さっきのと同じ奴だッ」",
"386000112_11": "「待ってッ!\\n 誰かいるよッ」",
"386000112_12": "「逃げ遅れた住民がまだいたのかッ!?\\n すぐ助けに行かねばッ」",
"386000112_13": "「――っ!!」",
"386000112_14": "「ん、なんだあいつら?\\n スマホなんか取り出して……」",
"386000112_15": "「へ、変身したぁッ!?」"
}

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@ -0,0 +1,21 @@
{
"386000121_0": "「――ねえッ!\\n 変身したよ、あの子たちッ」",
"386000121_1": "「ただの民間人じゃないってことかッ!?」",
"386000121_2": "「見ろッ!\\n ものすごい覇気だッ」",
"386000121_3": "「てぇりゃぁーっ!!」",
"386000121_4": "「さすがは友奈ちゃん、\\n 一撃で敵を吹き飛ばしたわ」",
"386000121_5": "「突然光に包まれた時は何事かと思ったけど……。",
"386000121_6": " 問題なさそうだし、この調子でどんどん行くわよ!」",
"386000121_7": "「うん!\\n 街の中心部に行かないよう、ここで食い止めないと」",
"386000121_8": "「すごい……。\\n あっという間に倒しちゃった」",
"386000121_9": "「あいつら、シンフォギア装者……とは違うよな?\\n どっかの組織の戦闘部隊か」",
"386000121_10": "「……その可能性も考えられるな。\\n ひとまず慎重に警戒を続けるとしよう」",
"386000121_11": "「――――ッ!!」",
"386000121_12": "「おいおい、\\n 新手のお出ましかよ……」",
"386000121_13": "「まずいな。\\n いくら彼女たちが手練れでも、次々と敵が現れては……」",
"386000121_14": "「助けましょうッ!\\n このまま見ているだけなんてできませんッ」",
"386000121_15": "「いいのかよ?\\n 素性の知れないやつらなんだぞ」",
"386000121_16": "「だとしてもッ!\\n 街を護ろうと戦っているあの子たちが悪い人なはずないよッ」",
"386000121_17": "「……まあ確かに、\\n 少なくとも悪気があるような連中には見えないけどよ」",
"386000121_18": "「今はその直感を信じるとしよう。\\n 彼女たちを助太刀するぞッ」"
}

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@ -0,0 +1,34 @@
{
"386000122_0": "「これ以上、進ませないっ!」",
"386000122_1": "「よーし!\\n 次は――」",
"386000122_2": "「って、あれ? なんだか敵の数が減ってるような。\\n もっとたくさんいた気がしたんだけど……」",
"386000122_3": "「それが、\\n 別の勇者が一緒に戦ってくれているみたいなの」",
"386000122_4": "「別の勇者!?\\n 本当」",
"386000122_5": "「私たちのフォローをしているのは間違いないみたいね。\\n あとで話を聞くとして……ひとまず今は戦いに集中」",
"386000122_6": "「どうやら、\\n あちらもこちらを認識したようだ」",
"386000122_7": "「少なくとも、\\n 向こうから敵意は感じないな」",
"386000122_8": "「だったら、\\n 協力して戦えるってことだよねッ」",
"386000122_9": "「ふう……。\\n なんとか全部倒せた――」",
"386000122_10": "「あの!\\n ありがとうございました」",
"386000122_11": "「えッ!?」",
"386000122_12": "「はじめまして!\\n 私、讃州中学組、勇者部所属の結城友奈って言います」",
"386000122_13": "「すっごく強かったけど、\\n どこの勇者さんなの」",
"386000122_14": "「ゆ、勇者……?」",
"386000122_15": "「私たちとは勇者服の雰囲気も違うし、\\n こことは遠く離れた場所の勇者さんなのかな」",
"386000122_16": "「だとしたら、\\n 私たちの街を救ってくれてありがとう」",
"386000122_17": "「あなたのおかげで、\\n この街も、大好きなうどん屋さんも護ることができたよ」",
"386000122_18": "「そうだ!\\n さっきのパンチってどうやったの」",
"386000122_19": "「すごくカッコよかったから、\\n よければやり方を教えて――」",
"386000122_20": "「ちょっとッ!\\n 待って待ってッ」",
"386000122_21": "「?\\n どうしたの」",
"386000122_22": "「ごめん、\\n 一気に聞かれたから慌てちゃって……」",
"386000122_23": "「あ、ごめんなさい。\\n つい……」",
"386000122_24": "「ううん、わたしの名前は立花響。\\n それと――」",
"386000122_25": "「響って、すごく綺麗でいい名前だね!\\n ね、響ちゃんって呼んでもいいかな」",
"386000122_26": "「も、もちろんッ!」 ",
"386000122_27": "「じゃあ、響ちゃん! パンチだけじゃなく、\\n キックのやり方も教えて あとチョップも」",
"386000122_28": "「あ、あの、ちょっとまっ――」",
"386000122_29": "「見たことのない勇者服だから、\\n やっぱり、この辺りの人じゃないよね」",
"386000122_30": "「観光かな? それならもう、うどんは食べた?\\n もしまだならオススメのお店紹介できるよ 私はね――」",
"386000122_31": "「だ、だから、\\n ちょっと待ってってばーッ」"
}

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@ -0,0 +1,32 @@
{
"386000211_0": "もう一片<ひとひら>の出会い",
"386000211_1": "「だ、だから、\\n ちょっと待ってってばーッ」",
"386000211_2": "「いい加減にしなさい友奈。\\n 相手が困ってるじゃないの」",
"386000211_3": "「夏凜ちゃん!」",
"386000211_4": "「先程は、援護していただいてありがとうございました。\\n お怪我はありませんでしたか」",
"386000211_5": "「う、うん、大丈夫」",
"386000211_6": "「私は、讃州中学2年3組、\\n 勇者部所属の東郷美森と申します」",
"386000211_7": "「同じく、三好夏凜よ」",
"386000211_8": "「アンタたちいったい何者?",
"386000211_9": " 助っ人が来るなんて、大赦からは何も聞いてないけど……」",
"386000211_10": "「まさかあのバカが押されるとは……」",
"386000211_11": "「にしても、大赦だぁ?\\n それがお前たちの組織なのか 初めて聞く名前だな」",
"386000211_12": "「初めて聞く……って嘘でしょ!?\\n 大赦を知らない人間なんて、この四国にいるの」",
"386000211_13": "「……お互いについて、\\n 話し合いの場を設けた方がいいと思うが、どうだろうか」",
"386000211_14": "「わたしは風鳴翼。\\n S.O.N.G.という組織に所属している」",
"386000211_15": "「同じく、雪音クリスってもんだ」",
"386000211_16": "「風鳴さん、雪音さん、そして立花さん。\\n ……そうですね、私も気になることがありますので」",
"386000211_17": "(さっきから、\\n 何か違和感があると思ってたけど、この空は……",
"386000211_18": "(……ああ、やっぱり、見間違いじゃない。\\n 私が幻覚を見ている可能性はあるけれど――",
"386000211_19": "(何か異常が起きている?\\n 私たちを包んだ光の正体もわからないし……",
"386000211_20": "(この人たちが何かを知っているなら、\\n 少しでも情報を得ておかないと……",
"386000211_21": "「――――ッ!!」",
"386000211_22": "「なっ!?\\n また星屑が」",
"386000211_23": "「星屑?\\n あの敵は、星屑という名前なのか」",
"386000211_24": "「……はい。\\n 私たち勇者が戦い続けている敵です」",
"386000211_25": "「なるほど。あの敵についても、\\n 後でゆっくり聞かせてもらうとしよう。今は――」",
"386000211_26": "「まずは、\\n 星屑をやっつけなきゃだよね」",
"386000211_27": "「そうね。\\n このままじゃ落ち着いて話もできないもの」",
"386000211_28": "「わたしたちも一緒に戦おうッ!」",
"386000211_29": "「ああッ! 星屑だろうが星雲だろうが、\\n まとめて砂子にしてやらぁッ」"
}

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@ -0,0 +1,30 @@
{
"386000212_0": "「てりゃぁぁぁぁぁーっ!!」",
"386000212_1": "「やるじゃねえかッ!\\n こっちも負けてらんねえなッ」",
"386000212_2": "「全部倒した!」",
"386000212_3": "「これで落ち着いて\\n みんなとお話ができるね」",
"386000212_4": "「そうだな」",
"386000212_5": "「――む?\\n どうしたんだエルフナイン」",
"386000212_6": "「翼さん、話の続きはS.O.N.G.本部に\\n 場所を移してからお願いできないでしょうか」",
"386000212_7": "「先程確認した反応について報告したいこともあります。\\n 恐らく、そちらの皆さんにも関係することかと……」",
"386000212_8": "「なるほど、了解した」",
"386000212_9": "「そちらの拠点に招待したいということですね?\\n 構いませんよ」",
"386000212_10": "「いいのか?」",
"386000212_11": "「いいの!? 大赦を知らないなんて滅茶苦茶怪しいわよ!?\\n S.O.N.G.なんて組織、聞いたことないし!」",
"386000212_12": "「大丈夫よ、夏凜ちゃん。\\n 少し話を聞きに行くだけだから。月のこととか」",
"386000212_13": "「月? アンタ何を言って……",
"386000212_14": " ってえええええええ!?」",
"386000212_15": "「ど、どうしたの夏凜ちゃん!?」",
"386000212_16": "「月が……月が……」",
"386000212_17": "「うわっ、月にリングができてる!!\\n 端っこも欠けてるし、あれじゃウサギさんお餅つけないよ」",
"386000212_18": "「そういう問題じゃないでしょ!\\n ちょっと東郷 どういうことなのよアレ」",
"386000212_19": "「それを知るためにも、風鳴さんたちの話を聞かなくちゃ。\\n 相手の懐に飛び込むのは危険かもしれないけど……」",
"386000212_20": "「大丈夫だよ、東郷さん!」",
"386000212_21": "「街を護るために一緒に戦ってくれたんだもん!\\n そんな人たちが、悪い人なはずないよっ」",
"386000212_22": "「友奈ちゃん…」",
"386000212_23": "「まあ、もしも悪の組織だとしたら、\\n 完成型勇者の私の力で、壊滅させればいいだけ、か」",
"386000212_24": "「お待たせしました。\\n あなたたちの拠点へ、案内していただけますか」",
"386000212_25": "「ああ、歓迎しよう」",
"386000212_26": "「あれほどの数を、\\n いとも容易く……」",
"386000212_27": "「勇者と装者と言っていたな。\\n あやつらがいれば――」"
}

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@ -0,0 +1,53 @@
{
"386000221_0": "「ただいま戻りましたッ!」",
"386000221_1": "「ああ、ご苦労。",
"386000221_2": " せっかくのうどんが食べられず残念だったな」",
"386000221_3": "「それで、彼女らが……」",
"386000221_4": "「はい。\\n 勇者を名乗る少女たちです」",
"386000221_5": "「すっごいよ、ここ!\\n 潜水艦の中だよ」",
"386000221_6": "「海の方に行くからどこ行くのかと思ったけど!\\n まさか潜水艦の中に基地があるなんて すごーい」",
"386000221_7": "「はしゃいでるんじゃないわよ、恥ずかしい!\\n 東郷もなんとか言ってやってよ」",
"386000221_8": "「……これほどの戦力を瀬戸内海に配備できれば、\\n もはや海に敵は無し。潜水艦、素晴らしいわね」",
"386000221_9": "「――アンタも!?\\n 正気を保ちなさいよ」",
"386000221_10": "(しかし、\\n 何から何まで、大赦とは違う組織ね",
"386000221_11": "(ますます油断ができないわ。\\n 人とも頼りにならないし、ここは私がしっかりしないと……",
"386000221_12": "「俺は、このS.O.N.G.の司令官を務める風鳴弦十郎だ。\\n こちらの要望を受けて、本部に来てくれたこと感謝する」",
"386000221_13": "「早速だが、君たちのことを教えてくれないか?\\n 勇者とはいったい 星屑と呼んでいたあの敵は」",
"386000221_14": "(早速切り込んできたわね。\\n ここは、相手にペースを渡さないようにしないと……",
"386000221_15": "「……こちらに尋ねる前に、\\n まず自分のことを話すのが礼儀なんじゃ――」",
"386000221_16": "「はい!\\n 私、讃州中学組、勇者部所属の結城友奈です」",
"386000221_17": "「好きな食べ物はうどん! 神樹様の力で勇者に変身して\\n 人類の敵、バーテックスと戦ってます」",
"386000221_18": "「ちょっと友奈!\\n 何を全部喋っちゃってるの」",
"386000221_19": "「え?\\n だって隠すようなことじゃないよね」",
"386000221_20": "「それに勇者部五箇条、<ruby=ひとつ>一</ruby>\\n 『挨拶はきちんと』だよ」",
"386000221_21": "「た、確かにそうかもしれないけど……。\\n ああもう 全部この子の言う通りよ」",
"386000221_22": "「さっき戦った星屑ってのは小型だけど、とにかく数が多いの。\\n そして私たちはバーテックスを倒すのがお役目の勇者よ」",
"386000221_23": "「いつもなら、敵がやってきたら警報が鳴って\\n 神樹様の力で世界が樹海化するハズなのに……」",
"386000221_24": "「今回は突然変な光に包まれて、光が晴れたと思ったら、\\n 星屑と一緒にアンタたちもいたのよ」",
"386000221_25": "「いったいどうなってるのよ!? アンタたちは何者なの!?\\n どうして月が欠けてるのよ」",
"386000221_26": "「説明感謝する。俺たちS.O.N.G.は、\\n 超常的事件の解決を目的とした国連直下の組織だ」",
"386000221_27": "「響くんたち装者には、シンフォギア・システムと\\n 呼ばれる力を纏い、様々な問題に対応してもらっている」",
"386000221_28": "(シンフォギア・システム……?\\n 私たちの勇者システムと似たようなもの",
"386000221_29": "「とある事件の解決のために四国を訪れたところ、\\n 未知の敵……星屑からの襲撃を受けた、というわけだ」",
"386000221_30": "「はぇー……」",
"386000221_31": "「えっと……では、ここからはボクが。\\n まず、どうして月が欠けているのか、についてですが……」",
"386000221_32": "「……驚かないで聞いてください。\\n ここは、勇者の皆さんのいた世界とは別の世界になります」",
"386000221_33": "「えっ!?」",
"386000221_34": "「別の世界……。\\n やっぱり、そうでしたか……」",
"386000221_35": "「東郷、わかっていたの?」",
"386000221_36": "「あくまで可能性の1つとして、だけど。\\n だって、月の形が突然変わるなんてあり得ないもの」",
"386000221_37": "「ア、アハハ……\\n そうだよね、目の前で起こらない限り……」",
"386000221_38": "「……なんとなくだけど状況はわかったわ。\\n 嘘は言っていないと思うし、悪いやつらでもなさそうね」",
"386000221_39": "「うん!\\n 私もそう思うよ」",
"386000221_40": "「でも、私たち、どうしてこの世界に来ちゃったわけ?\\n ちゃんと帰れるのよね」",
"386000221_41": "「原因については、まだ調査中です。\\n もちろん、皆さんが元の世界に帰る方法も一緒に」",
"386000221_42": "「<ruby=ふう>風</ruby>先輩や<ruby=いつき>樹</ruby>ちゃんも心配してるわね。\\n 早く元の世界に帰る方法を見つけないと」",
"386000221_43": "「……今日はもう遅い。\\n 考えるのは明日にしたらどうだ」",
"386000221_44": "「そうだな。君たちには、本部内に部屋を用意しよう。\\n 元の世界に戻れるまで、そこを使ってくれ」",
"386000221_45": "「……どうする?」",
"386000221_46": "「お言葉に甘えましょう。\\n 私たちにとっては、未知の世界だもの」",
"386000221_47": "「やったー、みんなでお泊まりだ!\\n 世界が違うってことは、やってるテレビも違うのかな」",
"386000221_48": "「はぁ、まったく。この異常事態に……。アンタの能天気さ、\\n たまにほんの少しわけてもらいたくなるわ……」",
"386000221_49": "「どうやってわけてあげればいいかな……!?」",
"386000221_50": "「いらんわっ!」"
}

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@ -0,0 +1,40 @@
{
"386000231_0": "翌朝――",
"386000231_1": "「友奈ちゃん、おはようッ!\\n 昨日はぐっすり眠れた」",
"386000231_2": "「おはよう響ちゃん!\\n もうバッチリ眠れたよ」",
"386000231_3": "「……私たちが起こしに行くまで寝てたわよ。\\n こんな異常事態に、よくぐっすり眠れるもんだわ」",
"386000231_4": "「ふふ、\\n そこが友奈ちゃんのいいところだから」",
"386000231_5": "「あ、エルフナインちゃん、おはよう!」",
"386000231_6": "「おはようございます。\\n 皆さんのために、こちらをご用意しました」",
"386000231_7": "「これは……通信機?」",
"386000231_8": "「はい。響さんたちが使っているのと同じ物です。\\n これがあれば、どこでも本部のボクたちと話せます」",
"386000231_9": "「この世界のことで、\\n 何かわからないことがあれば、いつでも通信してください」",
"386000231_10": "「すごい!\\n ありがとう」",
"386000231_11": "「警報音ッ!?」",
"386000231_12": "「何があったんですかッ!?」",
"386000231_13": "「来てくれたか。\\n 勇者の皆も」",
"386000231_14": "「――街の中心部に、\\n 正体不明の反応が出現しましたッ」",
"386000231_15": "「昨晩と同じ反応ですッ!\\n 恐らく、星屑かと思われますッ」",
"386000231_16": "「まーた<ruby=ぬえてき>鵺的</ruby>な<ruby=やっこ>奴</ruby>さんがおいでなすったか」",
"386000231_17": "「今すぐ出動しますッ!\\n 行くぞッ」",
"386000231_18": "「了解ッ!」",
"386000231_19": "「星屑と戦いに行くんですよね!\\n 私たちにも手伝わせてください」",
"386000231_20": "「しかし、並行世界から来た君たちを\\n わたしたちの世界の戦いに巻き込むわけには……」",
"386000231_21": "「大丈夫です!\\n 私たち、星屑との戦いには慣れてますから」",
"386000231_22": "「星屑が相手なら、私たちに<ruby=いちじつのちょう>一日之長</ruby>があるわ」",
"386000231_23": "「自分たちの世界じゃないといえど、\\n アレが暴れてるのを放っておくのは癪なのよね」",
"386000231_24": "「……わかった。\\n 君たち勇者の力を貸してくれ」",
"386000231_25": "「その代わり、君たちが元の世界に戻る方法を\\n 一刻も早く見つけることを約束するッ」",
"386000231_26": "「よろしくお願いします!\\n みんな、行こう」",
"386000231_27": "「――――ッ!!」",
"386000231_28": "「うじゃうじゃと、\\n 数だけ立派に揃えやがってッ」",
"386000231_29": "「ふん。\\n 片っ端から殲滅してやるわ」",
"386000231_30": "「こらーッ!\\n やめるのじゃーッ」",
"386000231_31": "「えッ!?\\n 今の声って……」",
"386000231_32": "「あっ、見てあそこ!」",
"386000231_33": "「やめーいッ!\\n わしに近寄るではないッ」",
"386000231_34": "「大変ッ!\\n 助けないとッ」",
"386000231_35": "「Imyuteus amenohabakiri tron――」",
"386000231_36": "「行くぞッ!」",
"386000231_37": "「はいッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,29 @@
{
"386000232_0": "「――――ッ!!」",
"386000232_1": "「大丈夫ッ!?\\n 怪我してないッ」",
"386000232_2": "「た……」",
"386000232_3": "「助けに来るのが遅いわーッ!!」",
"386000232_4": "「えええーッ!?」",
"386000232_5": "「もっと早く助けにこんかッ!\\n わしの身に何かあったらどうするつもりじゃッ」",
"386000232_6": "「ご、ごめんなさい……?」",
"386000232_7": "「わしの心は海よりも広いからの、特別に許してやろう。\\n 装者、そして勇者たちよ」",
"386000232_8": "「え!?\\n 私たちのこと知ってるの」",
"386000232_9": "「<size=25>おいおい、なんだよあのちんまいのは……。\\n 獣の耳に、獣の尻尾……あれ本物か</size>」",
"386000232_10": "「<size=25>勇者のことを知っているようだが、\\n まさか君たちの知り合いか</size>」",
"386000232_11": "「<size=25>いえ、知らない子です。\\n なんとなく懐かしい雰囲気は感じるのですが……</size>」",
"386000232_12": "「ええい、そこッ!\\n 何をゴチャゴチャと言っておるかッ」",
"386000232_13": "「ところでおぬしら、\\n あのバケモを退治するとは、なかなか腕が立つようじゃのッ」",
"386000232_14": "「よいじゃろうッ!\\n おぬしら、特別に、わしを手助けすることを許そうッ」",
"386000232_15": "「……はぁ?\\n 何勝手なこと言ってんの、このちっこいの……」",
"386000232_16": "「ちっこい言うなッ! ちんまいも聞こえておったぞッ!\\n わしにはヤコという立派な名前があるんじゃッ」",
"386000232_17": "「フフン。\\n 特別にヤコ様……いや偉大なるヤコ様と呼んでもよいぞ」",
"386000232_18": "「何が偉大なるヤコ様よ!\\n それが人に物を頼む態度なわけ」",
"386000232_19": "「まあまあ夏凜ちゃん……。",
"386000232_20": " ここはひとまず、ヤコちゃんの話を聞いてみようよ」",
"386000232_21": "「おぬしはよくわかっておるではないか。\\n わしは神の使いッ お<ruby=かみ>上</ruby>さまに次いでえらいのじゃからなッ!」",
"386000232_22": "「はいはい。\\n えらいえらい」",
"386000232_23": "(……神の使い?)",
"386000232_24": "「それで、ヤコちゃんは、\\n どうして困ってるの」",
"386000232_25": "「うむ、実は……、\\n 大切な物が無くなってしまったのじゃ……」",
"386000232_26": "「頼むッ! 無くなった御神体を……\\n お<ruby=かみ>上</ruby>さまの器を探すのを手伝ってくれッ!」"
}

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@ -0,0 +1,23 @@
{
"386000311_0": "発足、猫探し同盟!",
"386000311_1": "「ここが、ヤコちゃんの神社?\\n ここで巫女さんをしてるの」",
"386000311_2": "「わしは巫女でないぞ。\\n ほれ、そこにキツネの像があるじゃろ」",
"386000311_3": "「うん。でも、1体足りないみたいだけど。\\n こういうのって普通、組で置かれてるものだよね」",
"386000311_4": "「その足りない1体こそが、\\n わしの正体じゃ」",
"386000311_5": "「おいおいおい、\\n どうしてキツネの像が歩いて喋ってるんだよ」",
"386000311_6": "「それはわしにもわからん。\\n 参拝者から、拝まれることはよくあったのじゃが――」",
"386000311_7": "「それが毎日、何年も何年も続いた結果、\\n 気が付けば、動けるようになっておったのじゃッ」",
"386000311_8": "「お上さまもわしをお認めくださったのじゃろうてッ! ヤコと\\n 呼ばれ慕われるわしに、動ける身体を下さったに違いないッ」",
"386000311_9": "「なるほど……?」",
"386000311_10": "(人々の信仰がカタチとなったもの……\\n もしや、哲学兵装なのか",
"386000311_11": "「それで、\\n 御神体が無くなったというのは……」",
"386000311_12": "「そうなのじゃッ! 大切な『お上さま』の器……\\n 御神体は、盗まれてしまったのじゃッ」",
"386000311_13": "「えええ!?\\n すぐに警察に行かないと」",
"386000311_14": "「警察なんぞ役に立たんッ!\\n 何しろ、お上さまを盗んだのは野良猫なんじゃからッ」",
"386000311_15": "「猫ぉ!?」",
"386000311_16": "「普段、お上さまは本殿に安置されているのじゃが、\\n 昨晩、忍び込んだ野良猫が持ち去ってしまったのじゃッ」",
"386000311_17": "「すぐに探しに出たんじゃが……、\\n 突然、あの面妖なバケモが現れ出しての……」",
"386000311_18": "「それで、星屑に襲われてるところを、\\n 私たちが見つけたってわけだね」",
"386000311_19": "「頼む、おぬしたちッ!」",
"386000311_20": "「あんなバケモノが出る街を1人で探すには限界があるッ!\\n どうか、わしと一緒にお上さまを探してくれッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,27 @@
{
"386000321_0": "「ヤコさんの話を聞く限り、\\n 当の御神体は、聖遺物の可能性があります」",
"386000321_1": "「……すみません。\\n 聖遺物とは」",
"386000321_2": "「聖遺物とは、\\n 超常の力を秘める古代の遺物のことです」",
"386000321_3": "「装者の皆さんが纏うシンフォギアにも、\\n その力の一端が組み込まれています」",
"386000321_4": "「神社の御神体が、\\n 聖遺物だとする根拠はあるのか」",
"386000321_5": "「明確な理由はありません。\\n ですが、タイミングが気になります」",
"386000321_6": "「タイミング?」",
"386000321_7": "「はい、神社の御神体が盗まれたタイミングと、\\n 勇者の皆さんがこの世界に来たタイミングがほぼ同じなのです」",
"386000321_8": "「何よそれ。\\n 私たちがこの世界に来たのと何か関係があるってこと」",
"386000321_9": "「その可能性は十分に考えられます」",
"386000321_10": "「たとえば、御神体が動かされたことで何か異常が起こり、\\n 勇者の皆さんをこちらの世界に呼び寄せた……」",
"386000321_11": "「待ってください!\\n だとしたら、その御神体を元に戻せば」",
"386000321_12": "「はい。勇者の皆さんが元の世界に戻ることができるかも\\n しれません。ですが、これは飽くまで可能性の話で――」",
"386000321_13": "「確証はない、ってことね。でもやってみる価値はある。\\n どうする、友奈」",
"386000321_14": "「もう夏凜ちゃん!\\n 何を言ってるの」",
"386000321_15": "「元の世界とか関係ない!\\n 目の前に困っている子がいるんだよ 放っておけないよ」",
"386000321_16": "「そうだよッ!\\n 困っている人を、見過ごすわけにはいかないッ」",
"386000321_17": "「だからヤコちゃん、安心してッ!\\n お上さま探し、手伝うよッ」",
"386000321_18": "「本当かッ!?」",
"386000321_19": "「うん!\\n 絶対に私たちが見つけてあげるから」",
"386000321_20": "「すまんッ!\\n 恩にきるッ」",
"386000321_21": "「友奈に聞いたつもりだったのに、\\n 思わぬところから食いついてきたわね……」",
"386000321_22": "「まあ、どこの世界にも、\\n 似たようなやつがいるってことだな」",
"386000321_23": "「ふふっ、\\n 友奈ちゃんならこう言うと、思っていました」",
"386000321_24": "「では決まりだな。\\n 星屑の出現には警戒しつつ、御神体探しを行おう」"
}

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@ -0,0 +1,37 @@
{
"386000331_0": "「猫ちゃんを探すのは得意だよ!\\n 勇者部の活動で、何度も迷子猫を探したことがあるもん」",
"386000331_1": "「わたしも猫を探したことあるよッ!\\n これは猫探し同盟結成だねッ」",
"386000331_2": "「ヤコちゃん!\\n 猫探し同盟が結成されたからには安心して」",
"386000331_3": "「わたしたちなら、\\n 四国中の猫を探してみせるよッ」",
"386000331_4": "「な、なんと心強い同盟じゃッ!\\n 探すのは茶トラの野良猫じゃ。頼んだぞッ」",
"386000331_5": "2時間後――",
"386000331_6": "「お~い、猫ちゃ~ん。\\n どこに行ったの」",
"386000331_7": "「猫ちゃ~ん。\\n 出ておいで」",
"386000331_8": "「って、全然見つからないではないかッ!\\n なーにが、猫探し同盟結成、じゃッ」",
"386000331_9": "「おかしいなぁ……。\\n 猫ちゃん、怖くないから出て来て」",
"386000331_10": "「御神体をお持ちの猫ちゃ~んッ!\\n どうかこちらにお越しくださいッ」",
"386000331_11": "「迷子のアナウンスじゃないんだから!\\n そんなので出てくるわけないでしょ」",
"386000331_12": "「えー、そうかなぁ?」",
"386000331_13": "「全く……、\\n 友奈のボケが倍になったみたいだわ」",
"386000331_14": "「おいおいボケとはご挨拶だな。\\n こっちは一応歳上なんだぞ 敬うのを忘れるなよ」",
"386000331_15": "「あ、そう……ですね。\\n すみません……」",
"386000331_16": "「そ、そこまでしょげんなッ!\\n 冗談だよッ」",
"386000331_17": "「その……なんだ、あのバカには思い切り言ってやってくれ。\\n そうすれば、あたしの苦労も減るってもんだ」",
"386000331_18": "「ちょっと! それって面倒だから私にツッコミを\\n 押しつけてるってことじゃない」",
"386000331_19": "(フフ。猫はまだ見つからないが、\\n 我らの距離は、大分縮まったようだな",
"386000331_20": "「きゃぁぁぁぁッ!!」",
"386000331_21": "「何事だッ!?」",
"386000331_22": "「――――ッ!!」",
"386000331_23": "「うわぁぁぁぁぁッ!!\\n な、なんだコイツらッ」",
"386000331_24": "「こんなところに星屑が!?",
"386000331_25": " 早く倒さないと!」",
"386000331_26": "「待て東郷ッ!\\n ヤコと一般人を避難させるのが先だッ」",
"386000331_27": "「立花、雪音、そして勇者たちも、避難指示を頼むッ!\\n 避難が完了するまで、この場はわたしが護るッ」",
"386000331_28": "「――――ッ!!」",
"386000331_29": "「――ぐッ!?\\n なんの……これしきッ」",
"386000331_30": "(人々を助け、自ら護りの盾に、剣になる。\\n それが……装者",
"386000331_31": "(似ている……。\\n 私たち、勇者と……",
"386000331_32": "「私も、\\n 一緒に戦わせてください」",
"386000331_33": "「……ああ、頼んだッ!\\n 必ずこの場を護りきるぞッ」",
"386000331_34": "「はいっ!」"
}

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@ -0,0 +1,47 @@
{
"386000332_0": "「はあっ!!」",
"386000332_1": "「ふぅ……急いで戻ってきたけれど、\\n なんとか倒せたみたいね」",
"386000332_2": "「2人とも大丈夫ですかッ!?」",
"386000332_3": "「ああ、問題ない。\\n 東郷も助けてくれたからな」",
"386000332_4": "「しかし……、\\n 本当になんなんじゃ、このバケモたちは」",
"386000332_5": "「うーん、元は私たちの世界の敵なんだけど、\\n どうして、こっちでも出るようになっちゃったんだろ」",
"386000332_6": "「――ッ!?」",
"386000332_7": "(まさか、\\n ひょっとして……",
"386000332_8": "「どうしたの?\\n 何か気になることでもあるの」",
"386000332_9": "「い、いえ、なんでも……」",
"386000332_10": "「勇者部五箇条、<ruby=ひとつ>一</ruby>! 『悩んだら相談』!",
"386000332_11": " 東郷さん、1人で悩まないでほしいな?」",
"386000332_12": "「そう、ね……」",
"386000332_13": "「さっきの友奈ちゃんの言葉を聞いて思ったの。\\n 星屑は、私たちが連れて来ちゃったんじゃないかって……」",
"386000332_14": "「もしそうなら、私たちのせいで、\\n この世界の人たちを危険に――」",
"386000332_15": "「大丈夫だよッ!」",
"386000332_16": "「……え?」",
"386000332_17": "「誰かを危険に晒すなんて、\\n わたしたちが絶対にさせないからッ」",
"386000332_18": "「立花の言う通りだ。元より、あのような超常との戦いを\\n 領分とするのがわたしたち、装者やS.O.N.G.なのだからな」",
"386000332_19": "「星屑とも何度か戦ってみてわかったが、十分対応できる。\\n それとも、あたしたちの実力が信用できないっていうのか」",
"386000332_20": "「い、いえ!\\n そういうわけでは……」",
"386000332_21": "「1人で悩むのは、アンタの悪い癖よ。\\n グダグダ悩んでないで、今は御神体を探せばいいの」",
"386000332_22": "「そうそう!\\n 私たちと一緒に、星屑もまとめて帰るかもしれないし」",
"386000332_23": "「今はそれを試してみようよ!\\n 勇者部五箇条、<ruby=ひとつ>一</ruby>! 『なせば大抵なんとかなる』だよ!」",
"386000332_24": "「……ありがとう。\\n 私、少し弱気になっていたのかも」",
"386000332_25": "「みんな、素敵な仲間だね」",
"386000332_26": "「えへへ~、そうなんだよ~。\\n わかってもらえて嬉しいなあ」",
"386000332_27": "「それでは、\\n 御神体を持って逃げた猫の捜索を続けよう」",
"386000332_28": "「グー……」",
"386000332_29": "「なんの音!?\\n 新手の敵襲」",
"386000332_30": "「ごめんッ!\\n 今のはわたしのお腹の音ッ」",
"386000332_31": "「私も!\\n ちょうど今、お腹が鳴っちゃった」",
"386000332_32": "「……コイツらには、\\n 緊張感という概念はないのか」",
"386000332_33": "「お腹空いたのなら煮干しあるわよ?\\n 一緒にサプリもキメとく」",
"386000332_34": "「駄目だよ夏凜ちゃん! ご飯はしっかり食べないと!\\n 勇者部五箇条、<ruby=ひとつ>一</ruby>! 『よく寝て、よく食べる』だよ!」",
"386000332_35": "「その通りッ!\\n ご飯を食べることは、すっごく大事ッ」",
"386000332_36": "「……コイツら、メシで意気投合しやがった。\\n というか、さっきから出てくる勇者部五箇条ってなんなんだ」",
"386000332_37": "「あ、気になる?\\n それはね……」",
"386000332_38": "「待て結城。\\n その話は、昼食を食べながらにしよう」",
"386000332_39": "「えっ!?\\n じゃあ、お昼休憩ですか」",
"386000332_40": "「ああ。\\n 御神体捜索を始めて時間以上。もう昼飯時だからな」",
"386000332_41": "「わしもッ! わしも食うぞッ!\\n 人間の食事を一度食べてみたかったのじゃッ」",
"386000332_42": "「それなら、ここで1番美味しいものを食べさせてあげないと。\\n そうでしょ、友奈ちゃん」",
"386000332_43": "「もっちろん!\\n ここといえば、アレしかないよね」",
"386000332_44": "「それって、ひょっとして――」"
}

View file

@ -0,0 +1,38 @@
{
"386000411_0": "大樹より降る力",
"386000411_1": "「こ、これが四国のうどんッ!?\\n 今までに食べたうどんと全然違うよッ」",
"386000411_2": "「でしょー!」",
"386000411_3": "「これは美味いッ!\\n 特に麺のコシの強さ、気に入ったぞ」",
"386000411_4": "「確かにこりゃあ、\\n うどんの本場と呼ばれるだけのことはあるな」",
"386000411_5": "「でしょでしょー!\\n うどんの美味しさは、どこに行っても変わらないよね」",
"386000411_6": "「うどんの魂は世界を越える――。\\n 世界が滅びようと、うどんが滅びることはないということね」",
"386000411_7": "「アンタたち、\\n うどんをなんだと思ってるのよ……」",
"386000411_8": "「わしはこのキツネうどんが気に入ったぞッ!\\n さすがはキツネの名を冠するだけのことはあるなッ」",
"386000411_9": "「ハフハフッ!\\n 今後のお供え物は、全部これでよいくらいじゃッ」",
"386000411_10": "「もう、慌てて食べるから顔に汁が飛んでるわよ?\\n 拭いてあげるから、顔を出して」",
"386000411_11": "「う、うむ、苦しゅうないぞ」",
"386000411_12": "「キツネうどんも美味しそうだねッ!\\n わたし、もう杯食べちゃおうかなッ」",
"386000411_13": "「美味しすぎて、何杯でも食べられちゃうよね!\\n 勇者部の先輩なんて、来る度に丼を積み上げてるよ」",
"386000411_14": "「…………」",
"386000411_15": "「雪音も遠慮せず、\\n おかわりしてもいいんだぞ」",
"386000411_16": "「べ、別に何も言ってないだろッ!?」",
"386000411_17": "「わしもキツネうどん、\\n もう杯行くぞッ」",
"386000411_18": "「みんなやる気だね!?\\n だったら、私もキツネうどん、おかわり」",
"386000411_19": "「……アンタたち、おかわりで盛り上がるのはいいけど、\\n 本来の目的を忘れてないわよね」",
"386000411_20": "「え? 目的?」",
"386000411_21": "「って、本当に忘れてるんじゃないわよ!\\n 御神体を咥えて逃げた猫を探してるんでしょ」",
"386000411_22": "「わわわ、忘れてるわけじゃないよぅ!\\n ただ、腹が減っては戦はできないって言うし〜」",
"386000411_23": "「そうだ、店員さんにも聞いてみようよッ!\\n すみませーんッ」",
"386000411_24": "「はいはい。\\n ご注文ですか」",
"386000411_25": "「追加でキツネうどん3杯ッ!\\n ――じゃなくて、その前に、猫を見ませんでしたか」",
"386000411_26": "「へ? 猫?」",
"386000411_27": "「わたしたち、野良猫を探してるんですッ!",
"386000411_28": " 茶トラの猫なんですけど、このくらいのものを咥えてて……」",
"386000411_29": "「茶トラだったかまでは覚えてないけど……\\n 変なものを咥えた猫なら、分ぐらい前に見たわよ」",
"386000411_30": "「本当ですかッ!?」",
"386000411_31": "「ええ。確か、\\n 街の方に走って行ったと思うけど……」",
"386000411_32": "「大事そうに人形のようなものを咥えていたから、\\n 印象に残っていたの。見つかるといいわね」",
"386000411_33": "「20分なら、まだそこら辺にいるかもしれないわ!\\n 探しに行きましょう」",
"386000411_34": "「うむッ! キツネうどんは名残惜しいが、\\n お上さま探しには代えられぬ。今すぐ行くぞッ」",
"386000411_35": "「ありがとうございます、おばちゃんッ!\\n 探し物が終わったら、また食べに来ますねッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,26 @@
{
"386000421_0": "「うどん屋のおばちゃんの話だと、\\n こっちの方に向かったはずなんだけど……」",
"386000421_1": "「追跡するとなると、土地勘がないと厳しいな。\\n 本部にガイドを頼むか」",
"386000421_2": "「大丈夫です!\\n 道なら私たちがわかりますから」",
"386000421_3": "「ここの街並み、私たちの世界とほとんど同じなんです。\\n そうだよね、東郷さん」",
"386000421_4": "「細かい違いはあるけど、よく知る讃州の街並みです。\\n これなら道案内も可能かと」",
"386000421_5": "「それなら安心だな。\\n とっとと野良猫を追いかけよう」",
"386000421_6": "「ううむ、お上さまも近くにおわすならば、\\n 使わしめたるわしの祈りが届くやもしれぬ……やってみるか」",
"386000421_7": "「――――」",
"386000421_8": "「ニャ~ン」",
"386000421_9": "「あッ、猫だよッ!\\n しかも茶トラちゃんだッ」",
"386000421_10": "「何か口に咥えてる!\\n あれってまさか……」",
"386000421_11": "「ま、間違いないッ!\\n あやつこそ、御神体を盗んだ猫、ネコハチじゃッ」",
"386000421_12": "「ネコハチーッ!\\n ここで遭ったが年目、そこを動くでないぞッ」",
"386000421_13": "「ニャ~?」",
"386000421_14": "「おいおいおい、これが祈りの力ならすごいなッ!\\n 猫どころかどんな失せ物も見つかっちまいそうだ」",
"386000421_15": "「……いや、\\n どうやら余計なものまで引き寄せてしまったようだ」",
"386000421_16": "「星屑!?\\n こんな時に」",
"386000421_17": "「――――ッ!!」",
"386000421_18": "「ニャニャニャッ!?」",
"386000421_19": "「って、ああっ!?",
"386000421_20": " ネコハチちゃんが逃げちゃうよ!」",
"386000421_21": "「急にこんなバケモノが現れたんだもの。\\n 無理もないわ」",
"386000421_22": "「せっかく見つけたんだ、早く追いかけないとッ!\\n そのためにも――」",
"386000421_23": "「ああッ!\\n さっさと仕留めるぞッ」"
}

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@ -0,0 +1,32 @@
{
"386000431_0": "「どれだけ数が来ようとも――ッ!」",
"386000431_1": "「全部潰す……っ!」",
"386000431_2": "「次々に現れやがるッ!\\n キリがねぇぞッ」",
"386000431_3": "「1体1体の力は大したことないですが、\\n ここまで数が多いと厄介ですね」",
"386000431_4": "「それに、満開ゲージがおかしいよっ!\\n こっちの世界に来たとき壊れちゃったのかな」",
"386000431_5": "「このままだと、\\n またネコハチちゃんに逃げられちゃうッ」",
"386000431_6": "「く……満開が使えれば、\\n こんな状況、わけないっていうのに……」",
"386000431_7": "「満開、とは……?\\n 現状を打破するに足るものなのか」",
"386000431_8": "「はい。\\n 簡単に言えば、私たち勇者の切り札です」",
"386000431_9": "「満開を使うことで勇者の武装は強化され、\\n 強大な力を発揮できるようになるんです」",
"386000431_10": "「わたしたち装者でいうところの、\\n 絶唱みたいなものかな」",
"386000431_11": "「そいつが何故か、\\n 使えなくなっちまってるってことか」",
"386000431_12": "「ひょっとしたら、\\n 神樹様との繋がりが薄れてしまったせいかもしれない」",
"386000431_13": "「元々、勇者システムは神樹様の力を使ったもの。\\n 世界が隔たれたせいで、満開する力が届かないのかも……」",
"386000431_14": "「察するに……\\n そのシンジュサマとやらとの繋がりを取り戻せばよいのか」",
"386000431_15": "「そうだけど。\\n そう簡単には……」",
"386000431_16": "「できるぞ、恐らくじゃがな」",
"386000431_17": "「えっ!?」",
"386000431_18": "「わしは使わしめだと言うたじゃろう。\\n 人間よりも、神を感じる力には長けておるのじゃ」",
"386000431_19": "「おぬしらが持つその四角い板から、ぼんやりと大樹のような\\n 気配を感じておった。この存在がそうではないのか」",
"386000431_20": "「大樹に端末!\\n 間違いない、神樹様だよ」",
"386000431_21": "「然らば、やはりわしを経由して、\\n おぬしたちに力を繋ぎ直すことができるやもしれん」",
"386000431_22": "「今は朧げな輪郭なれど、この力を辿れば……ッ」",
"386000431_23": "「しばし時間を稼いでくれぬか?\\n 必ず、その力の端緒を掴んでみせようぞッ」",
"386000431_24": "「時間稼ぎなら任せておきなッ!」",
"386000431_25": "「ああッ!\\n ここから先は、一歩も通さんッ」",
"386000431_26": "「お上さまの器を奪われてしまった力及ばぬ身なれど、\\n わしにも、それだけの神通力はあるはずッ」",
"386000431_27": "「頑張ってヤコちゃん!」",
"386000431_28": "「わたしたちも、\\n ヤコちゃんに負けないよう、もう少しだけ頑張ろうッ」",
"386000431_29": "「了解ッ!!」"
}

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@ -0,0 +1,16 @@
{
"386000432_0": "「もう一発ッ!\\n いっけえええッ」",
"386000432_1": "「はぁ、はぁ……。",
"386000432_2": " ヤコちゃん、どうッ!?」",
"386000432_3": "「ああ感じるぞッ!\\n あとはこの力を、わしの手で抑えれば――ッ」",
"386000432_4": "「――できたッ!\\n 勇者たちよッ 受け取ってくれッ」",
"386000432_5": "「来て!\\n ヤコちゃん」",
"386000432_6": "「――駄目だ!\\n やっぱり満開できない」",
"386000432_7": "「どうして!?\\n 確かに力は感じるのに」",
"386000432_8": "「力が弾かれているような……。\\n 私たちでは、ヤコちゃんから力を受け取れないの……」",
"386000432_9": "「ならば――ッ!」",
"386000432_10": "「こっちでは、どうじゃ――ッ!」",
"386000432_11": "「なんだッ!?\\n 力が、注ぎ込まれてくるッ」",
"386000432_12": "「くッ!?\\n こりゃ、なんつう力だッ」",
"386000432_13": "「わたしたちの、ギアがッ!?\\n うわぁ――――ッ」"
}

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@ -0,0 +1,12 @@
{
"386000441_0": "「――何これッ!?\\n ギアが変わってるッ」",
"386000441_1": "「しかも、このギアって、\\n 友奈ちゃんたちの勇者服じゃッ」",
"386000441_2": "「え!?\\n 響ちゃんたちも勇者になったってこと」",
"386000441_3": "「友奈ちゃん。\\n それは多分、違うと思うわ」",
"386000441_4": "「……ど、どうじゃ?\\n わしの力は、役に立った……か」",
"386000441_5": "「ヤコちゃんッ!?」",
"386000441_6": "「あ、案ずるな……ちと神通力を使いすぎただけじゃ、\\n 少し休めばなんてことはない……ッ」",
"386000441_7": "「それじゃあ、\\n その間に、敵さんをぶちのめすとするかッ」",
"386000441_8": "「力が溢れてくる。\\n どれだけ星屑が現れようと、負ける気はしないなッ」",
"386000441_9": "「頑張ってくれたヤコちゃんのためにも、\\n この力、使いこなしてみせるッ」"
}

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@ -0,0 +1,20 @@
{
"386000442_0": "「はぁーッ!」",
"386000442_1": "「先程より、星屑に攻撃が効いているような……。\\n 新たなギアのおかげか」",
"386000442_2": "「そうかもしれないわね。\\n 勇者は、星屑の天敵みたいなものだもの」",
"386000442_3": "「なんにせよ助かるッ!\\n これなら、数に押し負けるこたぁねえッ」",
"386000442_4": "「くらええええぇぇぇッ!!」",
"386000442_5": "「はぁ……はぁ……。\\n これで、全部倒せたかな」",
"386000442_6": "「はい。\\n 近くに、星屑の反応もありません」",
"386000442_7": "「フフンッ!\\n これもひとえに、使わしめたるわしのおかげじゃなッ」",
"386000442_8": "「ヤコちゃんッ!?\\n 起きて大丈夫なのッ」",
"386000442_9": "「まだ少しふらつくが大丈夫じゃッ!\\n それよりもおぬしら、勝利へ導いたわしを讃えんかッ」",
"386000442_10": "(そういうこと言わなければ、\\n 普通に助かったし、褒めてあげるんだけど……",
"386000442_11": "(……尻尾、すごい揺れてんな)",
"386000442_12": "「ンナァ~」",
"386000442_13": "「あ、ネコハチちゃん!\\n よかった、逃げてなかったんだ……」",
"386000442_14": "「出たなネコハチッ! ここで会ったが100億年目ッ!\\n 大人しくお縄を頂戴せいッ」",
"386000442_15": "「ニャニャッ!?」",
"386000442_16": "「ああッ!?\\n ヤコちゃんが驚かせたから逃げちゃったよッ」",
"386000442_17": "「これ以上の追いかけっこはごめんだッ!\\n 絶対に捕まえるぞッ」"
}

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@ -0,0 +1,67 @@
{
"386000511_0": "装者と勇者",
"386000511_1": "「こらぁー!\\n 逃げるなぁー」",
"386000511_2": "「ヤコちゃんッ!\\n そっち行ったよッ」",
"386000511_3": "「おのれちょこまかとッ!」",
"386000511_4": "「ニャニャニャニャッ!」",
"386000511_5": "「ええいッ、このままでは埒があかんッ!\\n こうなったら方向から同時に攻めるぞッ」",
"386000511_6": "「タイミングを合わせて飛び掛かるんだねッ!",
"386000511_7": " よーし、3――」",
"386000511_8": "「2――」",
"386000511_9": "「1――」",
"386000511_10": "「ゼロ――ッ!」",
"386000511_11": "「ニャァッ!?」",
"386000511_12": "「フハハハハッ、ついに捕まえたぞッ!\\n わしの前では、貴様など赤子も同然よッ」",
"386000511_13": "「……その割には、\\n 随分時間がかかったような気がするんだけど」",
"386000511_14": "「それは言わないであげましょう」",
"386000511_15": "「さあネコハチよッ! 盗んだお上さまを返してもら……",
"386000511_16": " んんんッ!?」",
"386000511_17": "「お、おいネコハチッ!\\n さっきまで咥えていたお上さまをどこへやったのじゃッ」",
"386000511_18": "「まさか、\\n どこぞに落としたというのかッ」",
"386000511_19": "「ここまで来て、また振り出しかよッ!?」",
"386000511_20": "「最初に見かけた時は、確かに御神体を咥えていたはず。",
"386000511_21": " その後の移動ルートがわかれば、探すことも可能なのだが」",
"386000511_22": "「ちょっと待って!",
"386000511_23": " この匂いは……」",
"386000511_24": "「くんくんくん。\\n スーハー、スーハー……」",
"386000511_25": "「おいおい、\\n いきなり猫を吸い始めて、なんのつもりだ」",
"386000511_26": "「うん間違いない!\\n ネコハチちゃんから 出汁の匂いがする」",
"386000511_27": "「これなら、御神体を見つけられるかも!\\n スーハー、スーハー……」",
"386000511_28": "「ええッ!?\\n どうして見つけられるのッ」",
"386000511_29": "「麺も、出汁も、うどん屋さんによって違う。\\n だから、出汁の匂いを嗅ぎ分けることさえできれば――」",
"386000511_30": "「ネコハチちゃんの移動ルートが導き出せる!\\n そのルート上に、御神体が落ちているはずだよ」",
"386000511_31": "「すごいよ友奈ちゃんッ!\\n まるで、うどん探偵だねッ ",
"386000511_32": "「スーハー、スーハー……。\\n この匂いは……商店街のお店 それとも……」",
"386000511_33": "「頑張れッ!\\n わしらの未来は、おぬしの鼻にかかっておるぞッ」",
"386000511_34": "「……なあ、\\n 四国の人間はみんなアレができるのか」",
"386000511_35": "「できるわけないでしょ!\\n 四国をなんだと思ってるのよ」",
"386000511_36": "「……あれ、友奈ちゃん?\\n 鼻のところ、何か付いているわよ」",
"386000511_37": "「え、本当だ。\\n これは……黒いペンキ いつの間に付いたんだろ」",
"386000511_38": "「猫を嗅いでる間に付いたんじゃないか?\\n 見ろ、猫にもペンキが付いている」",
"386000511_39": "「本当じゃな。\\n 道理で、いつもより黒い部分が多いと思ったぞ」",
"386000511_40": "「なあ、そのペンキもルートのヒントになるんじゃないか?\\n 触るだけでひっつくなんて、塗りたてってことだろ」",
"386000511_41": "「うどん屋さんの近くで、ペンキが塗りたての場所。\\n それなら、そんなに数はなさそうね」",
"386000511_42": "「全員で動いては非効率的だな。\\n ここは、道のわかる勇者と装者で、ペアにわかれるか」",
"386000511_43": "「だったら!\\n 私、風鳴さんと一緒がいいです」",
"386000511_44": "「いい、ですか?」",
"386000511_45": "「あ、ああ。\\n よろしく頼む」",
"386000511_46": "「スーハー……スーハー……」",
"386000511_47": "「ちょっと!\\n アンタいつまで猫を吸ってるのよ」",
"386000511_48": "「ああんっ!?\\n もうちょっとだけ」",
"386000511_49": "「いいから!\\n 誰とペアになるか決めなさい」",
"386000511_50": "「それはもちろん!\\n 猫探し同盟の仲間、響ちゃんに決まってるよ」",
"386000511_51": "「うんッ!\\n 今度はお上さま探し同盟だねッ」",
"386000511_52": "「……ということは、\\n 残った私たちがペアね」",
"386000511_53": "「ああ、よろしく頼む」",
"386000511_54": "「ヤコちゃんは、さっきの疲れも残ってるだろうから、\\n 待っててくれるかな」",
"386000511_55": "「う、うむッ、吉報を期待しておるぞッ!」",
"386000511_56": "「……。",
"386000511_57": " …………」",
"386000511_58": "「ヤコちゃん、すっごくそわそわしてるね?」",
"386000511_59": "「し、仕方なかろうッ!」",
"386000511_60": "「わしが不甲斐ないせいで奪われた \\n お上さまをみんなが探してくれるというに、わしが留守番では……」",
"386000511_61": "「じゃあ、一緒に行こっか?」",
"386000511_62": "「うんッ、そうだよねッ。大丈夫。\\n わたしと友奈ちゃんが、ヤコちゃんのこと護るからッ」",
"386000511_63": "「……ッ!",
"386000511_64": " ああ、よろしく頼むッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,29 @@
{
"386000521_0": "「…………」",
"386000521_1": "「………………」",
"386000521_2": "「おいおい、さっきから心ここにあらずだな。\\n 残り物のあたしとのペア、そんなに不満なのか」",
"386000521_3": "「えっ!?",
"386000521_4": " 別にそういうわけじゃ……」",
"386000521_5": "「冗談だよ、本気にすんなって。\\n 仲間のこと、そんなに心配なのか」",
"386000521_6": "「心配というか……友奈はあんなだし、\\n 東郷もああ見えてボケ始めたら止まらないし……」",
"386000521_7": "「それぞれ、ちゃんとやってるか、\\n ペアに迷惑をかけてないか気になっちゃって」",
"386000521_8": "「ふーん。\\n お前、優しいんだな」",
"386000521_9": "「はぁっ!?\\n いきなり何」",
"386000521_10": "「というか、そっちこそどうなのよ?\\n 随分と振り回されているように見えるけど」",
"386000521_11": "「確かに……。\\n たまに、本気で殴ってやろうかって思う時だってあるけどよ」",
"386000521_12": "「でも、振り回されるのも込みで、長い付き合いってやつさ。\\n まあ、なんだ。……これも悪くないなって思ってる」",
"386000521_13": "「あ、それちょっとわかる」",
"386000521_14": "「なんだかんだ、あの子たちとも長いもの。\\n 振り回されるのにも慣れちゃったわ」",
"386000521_15": "「それに……、\\n あの子たちがいたからこそ、今の私があるんだし」",
"386000521_16": "「……あたしたち、\\n なんだか少し似てるかもな」",
"386000521_17": "「それは、\\n アンタも実は優しいってこと」",
"386000521_18": "「なッ!?\\n 別にそういうわけじゃッ」",
"386000521_19": "「ふふーん、お返しよ」",
"386000521_20": "「――――ッ!!」",
"386000521_21": "「チッ!\\n 現れやがったかッ」",
"386000521_22": "「せっかく装者と勇者の親交を深めてたのに、\\n 無粋な奴らね」",
"386000521_23": "「前衛は私に任せて!\\n 完成型勇者の本気、見せてあげる」",
"386000521_24": "「あたしの射線上には入るんじゃねえぞッ!\\n 間違って当たっても責任は取らないからなッ」",
"386000521_25": "「そっちこそ!\\n うっかり斬られないよう気を付けてよね」",
"386000521_26": "「行くぞッ!」\\n「行くわよ」"
}

View file

@ -0,0 +1,16 @@
{
"386000522_0": "「これで終わり!!\\n はあぁぁぁぁーっ」",
"386000522_1": "「……ふう。\\n 楽勝だったな」",
"386000522_2": "「的確な援護のおかげよ。\\n おかげで戦いやすかったわ。ありがとう」",
"386000522_3": "「普段は、援護に徹するなんて滅多にないからな。",
"386000522_4": " あたしも結構楽しかったよ」",
"386000522_5": "「ひょっとしたら私たちって、\\n 結構いいペアなのかもしれないわね」",
"386000522_6": "「ああ、そうだな。\\n 即興のペアとしちゃあ上出来だろう」",
"386000522_7": "「ふふ! 今まであんまり感じてなかったけど、\\n クリスも確かに先輩って感じ」",
"386000522_8": "「はぁッ!?\\n 先輩って言うなら少しは敬えってんだッ」",
"386000522_9": "「こ、これでも敬ってるのよ。",
"386000522_10": " でも、可愛い先輩だなって感じちゃったんだもん」",
"386000522_11": "「もんじゃねえッ! もん、じゃッ!",
"386000522_12": " ったく……」",
"386000522_13": "(それにしても何も見つかんないな。\\n 他の連中、上手くやってるといいけど……"
}

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@ -0,0 +1,46 @@
{
"386000531_0": "「――この店も、\\n 御神体の手掛かりはなかったか」",
"386000531_1": "「そうですね。\\n 次は、通りの向こうのお店で聞いてみましょう」",
"386000531_2": "「……なあ東郷。\\n つ、聞いていいか」",
"386000531_3": "「はい、なんでしょうか?」",
"386000531_4": "「このペアを組む時、\\n どうして真っ先にわたしに声をかけてくれたんだ」",
"386000531_5": "「あまりに即断だったからな。\\n 何か理由があるなら聞いておきたいんだが」",
"386000531_6": "「それは……。\\n 風鳴さんを近くで見たかったからです」",
"386000531_7": "「近くで……?\\n どういうことだ」",
"386000531_8": "「先程、風鳴さんが変身する時、\\n 『アメハバキリ』と唄われていましたよね」",
"386000531_9": "「聖詠のことか?\\n わたしが振るう聖遺物の銘は『天羽々斬』だからな」",
"386000531_10": "「天羽々斬は羽々――大蛇を斬る剣のこと。\\n この大蛇とは、お国を襲う洪水を示唆したものとされています」",
"386000531_11": "「つまり、天羽々斬を振るう風鳴さんは、\\n お国を護る剣――護国の剣ということです」",
"386000531_12": "「護国の剣!\\n ああ、なんて素晴らしい響きなの」",
"386000531_13": "(……なるほど、この子も護国について\\n 思うところがあるということか",
"386000531_14": "「それだけではありません!\\n 風鳴さんは戦い方も素晴らしいんです」",
"386000531_15": "「他者を護ろうとする、強い意志!\\n 護る意志を全身全霊で体現する戦い方、惚れ惚れします」",
"386000531_16": "「護る意志、か。\\n 確かにこの身は、防人という役目を担っているが……」",
"386000531_17": "「防人っ!?",
"386000531_18": " すごい! 風鳴さんにピッタリですね!」",
"386000531_19": "「そ、そうか……?」",
"386000531_20": "「はい! お国を護る防人……\\n すごく良い響きの言葉です」",
"386000531_21": "「護る戦いこそ、私の目指すものなんです!\\n 風鳴さんの戦い方。どうか、参考にさせてください」",
"386000531_22": "「あ、ああ。\\n 未熟なこの身でよければ……」",
"386000531_23": "「どこまでも謙虚! 素晴らしい!\\n やはり風鳴さんは、立派な大和撫子ですね」",
"386000531_24": "「すまん、そろそろ勘弁してくれ」",
"386000531_25": "「え?\\n 何がですか」",
"386000531_26": "(結城に迫られている時の立花もこんな気分だったのか?\\n あの時、助けてやるべきだったろうか……",
"386000531_27": "(しかし、護ることに殉じるかのようなこの姿勢……。\\n その<ruby=ひたむ>直向</ruby>きさは強さでもあるが、同時に危うくもある)",
"386000531_28": "(まるで、過去の自分を見ているようでもある。\\n このまま放ってはおけない、か",
"386000531_29": "「……老婆心ながら、\\n つだけ助言をいいだろうか」",
"386000531_30": "「はい! \\n なんですか」",
"386000531_31": "「1人ではないことを、\\n 決して忘れないでいてほしい」",
"386000531_32": "「1人では……ない?」",
"386000531_33": "「ああ。全てを護ろうとする姿勢は立派だが、\\n 人だけでは決して護りきれないものもある」",
"386000531_34": "「そんな時、すぐ近くに仲間がいることを思い出せ。\\n そして、仲間を頼ることをためらわないでほしい」",
"386000531_35": "「人のまま、鬼と成らずに護るために。\\n いるのだろう 東郷には、頼れる仲間が」",
"386000531_36": "「はい、います。\\n 友奈ちゃんに夏凜ちゃん……それに勇者部のみんな」",
"386000531_37": "「私が、1人で抱え込んでしまった時、\\n 手を伸ばしてくれた、みんなが……」",
"386000531_38": "「――――ッ!!」",
"386000531_39": "「現れたかッ!?\\n 東郷ッ」",
"386000531_40": "「はいっ!」",
"386000531_41": "「背中は私が護ります!\\n 存分に、剣を振るってください」",
"386000531_42": "「心得たッ!",
"386000531_43": " いざ、推して参るッ!!」"
}

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@ -0,0 +1,14 @@
{
"386000532_0": "「――撃ち抜きますっ!」",
"386000532_1": "「……よし。\\n 終わったな」",
"386000532_2": "「お疲れ様でした!」",
"386000532_3": "「間近で見る風鳴さんの戦い方、とても華麗でした。\\n まるで一振りの日本刀みたいで……」",
"386000532_4": "「そう見てくれるのなら、\\n この身を剣のみとして鍛えた過去も箔が付くというものだな」",
"386000532_5": "「私も、友奈ちゃんにとっての剣であれたなら……」",
"386000532_6": "「友を護らんとするその想いこそ、\\n 東郷が心に抱く剣に他ならない」",
"386000532_7": "「結城にも、\\n その想いは伝わっているさ」",
"386000532_8": "「……はい。\\n ありがとうございます」",
"386000532_9": "「やっぱり私、\\n 風鳴さんとお話ができてよかったです」",
"386000532_10": "「これも年長者の務めだ。\\n それでは、御神体探しを続けるとしよう」",
"386000532_11": "「はい! 次は通りの向こうのお店です!\\n なんでも、外のベンチがペンキ塗りたてだとか――」"
}

View file

@ -0,0 +1,37 @@
{
"386000541_0": "「――ふむふむ。\\n 街外れで、ペンキ塗りたての看板を見かけたと……」",
"386000541_1": "「貴重な情報、ありがとうございます!\\n 助かりました」",
"386000541_2": "「感謝するぞッ!」",
"386000541_3": "「こちらこそ、\\n 荷物を持ってくれてありがとうねぇ」",
"386000541_4": "「いえいえ!\\n 困っている人を助けることが勇者部の活動ですから」",
"386000541_5": "「……勇者部? その子の狐の尻尾といい、\\n 若い子の間では、不思議なものが流行ってるんだねぇ」",
"386000541_6": "「ご婦人、流行っているわけではないぞ。\\n これはわしの自慢の尻尾であって――」",
"386000541_7": "「おっと、ここまでで大丈夫だよ。\\n 本当にありがとうねぇ」",
"386000541_8": "「アハハ。それじゃあ、またッ!\\n 何かあったら、いつでも呼んでくださいねッ」",
"386000541_9": "「ふう……。\\n 情報が手に入ってよかったねッ」",
"386000541_10": "「うん、これでまた一歩前進!\\n それに並行世界でも、勇者部の活動絶好調っ」",
"386000541_11": "「あちらこちらに寄り道しておるが、その都度前進している\\n 手応えがあるのじゃから、大したものじゃ、勇者部ッ」",
"386000541_12": "「気になってたんだけど、\\n その勇者部って、どんな活動をする部活なの」",
"386000541_13": "「人のためになることなら、なんでもだよ!\\n お店のお手伝いやゴミ拾い、幼稚園で出し物をやったりとか」",
"386000541_14": "「あ、あとね!\\n 勇者部には『勇者部五箇条』っていうのがあるの」",
"386000541_15": "「それ、さっき話していたもののこと?」",
"386000541_16": "「コホン。それでは……",
"386000541_17": " 勇者部五箇条!」",
"386000541_18": "「<ruby=ひとつ>一</ruby>、挨拶はきちんと!\\n <ruby=ひとつ>一</ruby>、なるべく諦めない!」",
"386000541_19": "「<ruby=ひとつ>一</ruby>、よく寝て、よく食べる!\\n <ruby=ひとつ>一</ruby>、悩んだら相談!」",
"386000541_20": "「<ruby=ひとつ>一</ruby>、なせば大抵なんとかなる!」",
"386000541_21": "「カ、カッコイイッ!\\n 真っ直ぐで、いい言葉ばかりだねッ」",
"386000541_22": "「えへへ、響ちゃんだったら、\\n そう言ってくれると思ったよ」",
"386000541_23": "「勇者部かぁ、楽しそうだなぁ。\\n 五箇条もカッコイイし……」",
"386000541_24": "「ひゃああああああッ!?」",
"386000541_25": "「この声は――!?」",
"386000541_26": "「まさか、さっきのご婦人のものかッ!?」",
"386000541_27": "「――――ッ!!」",
"386000541_28": "「おばあさんっ!\\n 大丈夫ですか」",
"386000541_29": "「あわわわ、\\n ば、バケモが……」",
"386000541_30": "「驚いて腰を抜かしちゃってる!?\\n この場所で戦ったら、巻き込んじゃうよ」",
"386000541_31": "「だったら、\\n 星屑を別の場所に誘導して戦おうッ」",
"386000541_32": "「ヤコちゃん……!」",
"386000541_33": "「あいわかった、ご婦人のことは任されよ。\\n おぬしたち、怪我なぞしてくれるなよッ」",
"386000541_34": "「任せて、ちょちょいっと片付けちゃうんだからッ!\\n ――行くよッ」"
}

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@ -0,0 +1,33 @@
{
"386000542_0": "「いっけえええええぇぇぇぇ――っ!!」",
"386000542_1": "「ナイスパンチッ!\\n これで全部倒したねッ」",
"386000542_2": "「街外れまで星屑を連れてくるのは成功したけど、",
"386000542_3": " 結構遠くまで来ちゃったみたい。今どの辺だろう?」",
"386000542_4": "「あれ?\\n ここら辺って、さっきおばあさんが言ってた場所のような……」",
"386000542_5": "「本当ッ!?」",
"386000542_6": "「だとしたら、\\n ここら辺にペンキ塗りたての看板が……」",
"386000542_7": "「あった!」",
"386000542_8": "「おおーいッ!\\n 人とも、大丈夫かッ」",
"386000542_9": "「ヤコちゃんッ!\\n ネコハチちゃんもッ」",
"386000542_10": "「よかった、怪我もないようじゃの」",
"386000542_11": "「うん、大丈夫だよ。\\n ヤコちゃんも、おばあさんのことありがとうッ」",
"386000542_12": "「フフーンッ! この街の人々は、お上さまの庇護下にある。\\n お上さまが護っているものは、わしが護るのも当然のことッ」",
"386000542_13": "「安全な場所に避難をしてもらってから、わしも2人の様子を\\n 見にきたというわけじゃ。無事で本当に何よりじゃった……」",
"386000542_14": "「ふふ。ヤコちゃんは立派なお上さまのお使いさんだね。\\n お上さまもきっと安心してるよー」",
"386000542_15": "「こりゃ、お使いではなく『使わしめ』と言えいッ!」",
"386000542_16": "「――ん? あっ、看板の裏に何かある!",
"386000542_17": " 手を伸ばせば……!」",
"386000542_18": "「んしょ、んしょ……。\\n もう少し……で……取れた」",
"386000542_19": "「そ、そんなに這いつくばって、泥だらけではないか……。\\n では、わしに見せてみいッ」",
"386000542_20": "「むッ!?\\n これは――ッ」",
"386000542_21": "「ど、どうなの、\\n ヤコちゃん……」",
"386000542_22": "「……ゴクリ」",
"386000542_23": "「溢れ出る神々しきオーラッ!\\n 間違いないッ これこそがお上さまの器じゃーッ」",
"386000542_24": "「本当ッ!?」\\n「やったー」",
"386000542_25": "「ニャ~」",
"386000542_26": "「なーにが、『ニャ~』じゃッ! \\n 元々の原因はおぬしなのだぞネコハチッ」",
"386000542_27": "「ニャッ!?」",
"386000542_28": "「こうして無事見つかったから咎めはせんが、\\n もう悪さをするでないぞッ」",
"386000542_29": "「ニャ~ン」",
"386000542_30": "「じゃあわたし、\\n 御神体が見つかったこと、みんなに連絡しちゃうねッ」"
}

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@ -0,0 +1,17 @@
{
"386000551_0": "「これが……、\\n 紛失していた御神体か」",
"386000551_1": "「どうじゃ?\\n 神々しいオーラが溢れてるじゃろうッ」",
"386000551_2": "「神々しいというか、なんというか……」",
"386000551_3": "「猫のよだれとペンキで、\\n ビショビショのグチャグチャになっちゃってるわね」",
"386000551_4": "「ぐッ!?\\n それはネコハチのせいじゃッ」",
"386000551_5": "「小さくて優しい形。\\n なんだか少し可愛いかも……」",
"386000551_6": "「お上さま、おかえりなさい!\\n もう無くならないようにね」",
"386000551_7": "「うむッ! わしも、本殿にお戻りいただくまで、\\n 肌身離さず持ち歩くことにするぞッ」",
"386000551_8": "「すまないが。その御神体、神社に戻す前に、\\n 一度預からせてもらえないか」",
"386000551_9": "「そうか。友奈ちゃんたちが、\\n 元の世界に帰る方法を調べないといけないんですね」",
"386000551_10": "「ああ。そのために一度本部に持ち帰らなくてはな。\\n 構わないだろうか」",
"386000551_11": "「本来ならば、大切なお上さまの器を渡すなど\\n 言語道断なのだが……」",
"386000551_12": "「おぬしらの頼みなら断るわけにはいくまいッ!\\n お上さまも納得してくださるじゃろう、存分に調べるがよいッ」",
"386000551_13": "「ありがとう、ヤコちゃんッ!」",
"386000551_14": "「それじゃあ、\\n みんなで本部に戻ろうッ」"
}

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@ -0,0 +1,46 @@
{
"386000611_0": "縮まる距離",
"386000611_1": "(…………)",
"386000611_2": "(……駄目です。\\n 結果が変わらない",
"386000611_3": "(響さんたちが持って来てくれた御神体。\\n 何回調査を繰り返しても――",
"386000611_4": "(聖遺物の反応が見られません。\\n 古木で作られた、ただの像としか……",
"386000611_5": "(いや、\\n そう決めつけるのは早計です",
"386000611_6": "(ボクたちの想像を易々と越えてくるのが、\\n 聖遺物――ブラックアートと呼ばれるもの",
"386000611_7": "(まだ、ボクが気付けていないことがあるのかもしれません)",
"386000611_8": "(……星屑と呼ばれる、\\n イズともアルカ・イズとも異なる脅威",
"386000611_9": "(そして友奈さん、東郷さん、夏凜さん。\\n 勇者と呼ばれる皆さんのこと……",
"386000611_10": "(わからないことばかりです。今、わかっている事……",
"386000611_11": " いいえ、ボクが感じている事は1つだけ)",
"386000611_12": "(それは、友奈さんたちが、とても『良い人』だということ。\\n 響さんや、ここにいる皆さんたちと同じように……",
"386000611_13": "「だからこそ、帰るべき場所に帰してあげたいッ!\\n そのためにも、ボクができることをやらなくっちゃッ」",
"386000611_14": "「そうだッ!\\n 御神体が造られた年代から何かわかるかも――」",
"386000611_15": "「のう、おぬし」",
"386000611_16": "「ひゃああッ!?」",
"386000611_17": "「そそ、そんなに大声を出すでないッ!\\n びっくりするし、耳がキーンとするじゃろうがッ」",
"386000611_18": "「す、すみません……。\\n まさか、後ろに誰かいるとは思わず……」",
"386000611_19": "「む……先に驚かせたのはわしの方じゃったか。\\n すまなんだ、みんなにこの場所を聞いての」",
"386000611_20": "「いえいえ、ボクこそ失礼しました。\\n それで、何か御用でしょうか」",
"386000611_21": "「用というほどではないのじゃが……\\n お上さまの様子がちと気になっての」",
"386000611_22": "「ああ、すみません。\\n 大切な物なのに、長い時間お借りしてしまって」",
"386000611_23": "「ただ、まだ結果が出ていないので、\\n もう少しの間、お借りしたいのですが……」",
"386000611_24": "「構わぬ。\\n どうやら、大切に扱ってくれておるようじゃからの」",
"386000611_25": "「……え?」",
"386000611_26": "「よだれやペンキの汚れが綺麗に落とされておる。\\n お上さまも、心なしか喜んでおられるようじゃ」",
"386000611_27": "「もしもお上さまに対して失礼を働いていれば、\\n 強硬手段も已む無しと思っておったが……」",
"386000611_28": "「<ruby=けいけん>敬虔</ruby>な行いにこそ、使わしめたるわしが報いる意義もあろう。\\n 友奈たちのためにも、存分に調べ尽くすがよいぞ」",
"386000611_29": "「はいッ!",
"386000611_30": " ありがとうございますッ!」",
"386000611_31": "「……そうだ、ヤコさん。\\n これを持っておいてもらえますか」",
"386000611_32": "「むむ?\\n なんじゃこれは」",
"386000611_33": "「通信機というものです。\\n そうですね、簡単に説明すると……」",
"386000611_34": "「これを耳に着けていただければ、\\n 離れていても、ボクとお話ができるようになります」",
"386000611_35": "「なんじゃとッ!?\\n 友奈たちが持っていた、『すまほ』のようなものかッ」",
"386000611_36": "「そう考えていただいて大丈夫です。\\n 御神体の調査が完了したら、すぐにそれで連絡しますので」",
"386000611_37": "「ふむ、感謝するぞ。\\n それにしても、おぬしは小さいのに色々と気が利くのお」",
"386000611_38": "「いえ、そんな……。\\n ボクにできることは、これくらいですから……」",
"386000611_39": "「そんな事はない。\\n わしは、おぬしも頼りにしておるぞ」",
"386000611_40": "「っと、頑張ってるところを邪魔してはならんな。\\n わしはそろそろお暇させてもらおう。あとは頼む」",
"386000611_41": "「はいッ!\\n 任せてくださいッ」",
"386000611_42": "「まったく……ここにいる者たちはみんな、良いやつばかりじゃの。\\n お上さまの庇護下にあるこの街の住民でない事が悔やまれるわ」",
"386000611_43": "「――それでも、どうか、お上さまよ。\\n 彼女らが幸いであるよう、何卒、お護りくださいませ……」"
}

View file

@ -0,0 +1,28 @@
{
"386000621_0": "「すごいね夏凜ちゃんッ!\\n 腕立て、あんなにたくさんできるなんてッ」",
"386000621_1": "「それはこっちの台詞よ。\\n まさか、私について来れるやつがいるなんて……」",
"386000621_2": "「また一緒にトレーニングしようよッ!\\n 今度は腹筋対決なんてどうかなッ」",
"386000621_3": "「もちろん受けて立つわ!\\n 完成型勇者の本気、見せてやるんだから」",
"386000621_4": "「……お前ら、\\n あんなに動きまくった後で、よくそんな元気でいられるな」",
"386000621_5": "「途中で脱落したクリス先輩じゃないですか」",
"386000621_6": "「脱落なんかしてないッ! \\n 決められた回数をこなしたから切り上げただけだッ」",
"386000621_7": "「ったく、可愛くない煽りばかり\\n 覚えやがる……」",
"386000621_8": "「それはそれとして、クリスは遠距離型の武器とはいえ、\\n もう少しフィジカルを鍛えてもいいんじゃない」",
"386000621_9": "「筋肉に効くサプリ、キメとく?",
"386000621_10": " 私のオススメは、これとこれ、あとはこれも――」",
"386000621_11": "「……ってどれだけ持ってるんだよッ!?\\n 机が埋まっちまうじゃねえかッ」",
"386000621_12": "「む、つまりだな。\\n 人々の日常を護ることこそ真の護国ではないかと――」",
"386000621_13": "「素晴らしい!\\n それは護国的に満点だと思います。万歳」",
"386000621_14": "「みんな、仲良くなってるねぇ。\\n よかったよかった」",
"386000621_15": "「警報……!?」",
"386000621_16": "「何事ですかッ!?」",
"386000621_17": "「休んでいたところ、すまない。\\n 敵の反応があった」",
"386000621_18": "「敵ッ!?\\n アルカ・イズかッ」",
"386000621_19": "「いや、この反応は星屑だ。\\n 幸いにも、数は少ないようだが――」",
"386000621_20": "「ええっ!?\\n また現れたのっ」",
"386000621_21": "「ど、どういうことなのじゃッ!?",
"386000621_22": " お上さまは、帰って来られたというのにッ!」",
"386000621_23": "「ヤコさん……」",
"386000621_24": "「調査に関しては、引き続きこちらで請け負おう。\\n 全員、急いで現場に向かってくれッ」",
"386000621_25": "「了解ッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,22 @@
{
"386000622_0": "「再出現した星屑の殲滅を完了」",
"386000622_1": "「しかし――」",
"386000622_2": "「……何故じゃ。\\n どうしてまたあのバケモが現れるんじゃ」",
"386000622_3": "「よもやお上さまは、器を奪われたわしに、\\n 怒りを示されておるのか これは、罰なのでは……」",
"386000622_4": "「大丈夫だよッ!\\n ヤコちゃんッ」",
"386000622_5": "「確かに、どうしてまだ星屑が出てくるのかわからないし――\\n 友奈ちゃんたちのことも、そうだけど」",
"386000622_6": "「でも、きっと大丈夫ッ!\\n だって、みんないるんだからッ」",
"386000622_7": "「そうそう! 勇者部五箇条にもこうあるよ!\\n 『なせば大抵なんとかなる』って」",
"386000622_8": "「おぬし、たち……」",
"386000622_9": "「あの御神体については、\\n 今もエルフナインが調べてくれている。結果を待とう」",
"386000622_10": "「安心しなさい。\\n どんだけ星屑が出て来ようと、私たちが倒してあげるから」",
"386000622_11": "「ヤコちゃんがあんなに嬉しそうに話すお上さまのことだもの。\\n 罰だなんて……きっと、そんなことないわ」",
"386000622_12": "「……要するに、\\n あんまり気にするなってことだ」",
"386000622_13": "「…………」",
"386000622_14": "「……わしは、\\n おぬしたちと出会えて本当によかった」",
"386000622_15": "「お上さまの器が無くなったことに気が付いた時も、\\n バケモに襲われ、人で逃げていた時も……」",
"386000622_16": "「……強がってこそいれど、\\n わしがどれだけ心細かったか……」",
"386000622_17": "「――しかし、今は寂しくない。\\n 不安はあっても、怖くはない」",
"386000622_18": "「おぬしたちがいる。……だから、もう大丈夫じゃ。\\n ありがとう、わしの頼みを聞いてくれて」",
"386000622_19": "「ありがとう。\\n わしと一緒にいてくれて」"
}

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@ -0,0 +1,37 @@
{
"386000631_0": "「よーし!\\n じゃあみんなでお菓子を食べようか」",
"386000631_1": "「ちょっと!?\\n なんでそうなるのよ」",
"386000631_2": "「どんな時でも、\\n お菓子を食べれば元気が出るんだよ」",
"386000631_3": "「本当は、東郷さんが作ったぼたもちを食べてほしいんだけど。\\n あれは四国一……ううん、宇宙一美味しいんだから」",
"386000631_4": "「もう友奈ちゃん、\\n 宇宙一なんて誉め過ぎよ」",
"386000631_5": "(そんな事言って、\\n しっかり嬉しそうね",
"386000631_6": "「じゃあ、輪になって座ってください!\\n チョコを配りまーす」",
"386000631_7": "「おいおい、\\n チョコなんてどこから持って来たんだ」",
"386000631_8": "「この前、街のおばあさんからもらったんだ!\\n 荷物を持ってくれたお礼にって」",
"386000631_9": "「こうしてると勇者部の部室を思い出すなー。\\n <ruby=ふう>風</ruby>先輩がいて、<ruby=いつき>樹</ruby>ちゃんがいて……」",
"386000631_10": "「……あ、<ruby=ふう>風</ruby>先輩っていうのは、私たち勇者部の部長で、\\n 優しくて頼りになるだけじゃなく、女子力もすごくて――」",
"386000631_11": "数十分後――",
"386000631_12": "「――っていう、\\n 『勇者部五箇条』も部室に飾ってあるんだよ」",
"386000631_13": "「なるほどな。それが前に言ってたやつか。\\n 確かに、気合いの入る言葉だな」",
"386000631_14": "「でしょー!」",
"386000631_15": "「聞く限り、他の勇者部のメンバーも皆、芯があるようだ。\\n 機会があれば、一度そちらの世界に行ってみたいものだな」",
"386000631_16": "「是非是非。\\n その時には、特製のぼたもちを御馳走しますので」",
"386000631_17": "「うーん、まだまだ話し足りない!\\n 私、追加のお菓子を買ってくるね」",
"386000631_18": "「……行っちゃった。\\n 止める暇もなかったわね」",
"386000631_19": "「もう、友奈ちゃんったら……」",
"386000631_20": "「あの猪突猛進っぷり……。\\n やっぱり誰かさんとそっくりだな」",
"386000631_21": "「フフ、そうかもしれないな」",
"386000631_22": "「え?\\n そっくりって誰と……」",
"386000631_23": "(元の世界の話を、\\n あんなに楽しそうに……",
"386000631_24": "(やはり、友奈たちには帰る場所がある。\\n 帰りを待っている人々がいる",
"386000631_25": "(この世界に、\\n 居続けるべきではないのじゃ……",
"386000631_26": "(そうじゃ、響たちも言うてくれたではないかッ! お上さまは、\\n <ruby=ほうらつ>放埒</ruby>に罰を与えるような神ではないと。……全くその通りじゃ)",
"386000631_27": "(……お上さま、何卒お頼み申し上げます。\\n どうか、あの者たちを元の世界に帰してやってくださいまし",
"386000631_28": "「爆発ッ!?」",
"386000631_29": "「――っ!?",
"386000631_30": " あっちの方角はっ!?」",
"386000631_31": "「あいつが走って行った方角だッ!\\n 急いで追いかけるぞッ」",
"386000631_32": "「――――ッ!!」",
"386000631_33": "「もう!\\n こんな時に邪魔くさいわね」",
"386000631_34": "「時間が惜しいッ!\\n 急いで蹴散らすぞッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,13 @@
{
"386000632_0": "「邪魔だぁぁぁッ!!」",
"386000632_1": "「みんなー!」",
"386000632_2": "「友奈ちゃん大丈夫!?\\n 怪我はない」",
"386000632_3": "「うん、平気だよ!\\n みんなも大丈夫みたいでよかった」",
"386000632_4": "「気を抜くなッ!\\n まだ終わりじゃねえぞッ」",
"386000632_5": "「くッ!?\\n 増援かッ」",
"386000632_6": "「おいおい……。\\n コイツは尋常な数じゃないぞ……」",
"386000632_7": "「それだけじゃないよッ!\\n 形を変えて……」",
"386000632_8": "「……まさか、\\n 合体していくッ」",
"386000632_9": "「あれは……。\\n そんな、どうして……」",
"386000632_10": "「――――――――ッ!!」"
}

View file

@ -0,0 +1,18 @@
{
"386000711_0": "レオ・バーテックス",
"386000711_1": "「――――――――ッ!!」",
"386000711_2": "「くッ!?\\n なんというプレッシャーだッ」",
"386000711_3": "「なんなんだ、コイツは……ッ!? さっきまでの星屑とは\\n 比べものにならないってことを肌に叩きつけてきやがるッ」",
"386000711_4": "「……あれは、レオ・バーテックス。\\n 獅子座の名を冠するバーテックスです」",
"386000711_5": "「知ってるのッ!?」",
"386000711_6": "「以前に戦ったことがあります。\\n しかし、こちらの世界でまた相対することになるとは……」",
"386000711_7": "「動き始めた!\\n みんな、気を付けて」",
"386000711_8": "「幸い、街からは離れている。\\n この場で迎え撃つぞッ」",
"386000711_9": "「そうですね。\\n 怯んではいられません」",
"386000711_10": "「連携を忘れるなよッ!\\n 全員で力を合わせるぞッ」",
"386000711_11": "「わかってるわよ。\\n 生半可で戦える相手じゃないものね」",
"386000711_12": "「ヤコちゃんッ!\\n 危ないから、離れていてッ」",
"386000711_13": "「あ、あいわかったッ。\\n 怪我をするでないぞ、みんなッ」",
"386000711_14": "「――――――――ッ!!」",
"386000711_15": "「――来るよっ!!」"
}

View file

@ -0,0 +1,22 @@
{
"386000712_0": "「ぐッ!?",
"386000712_1": " 凄まじい攻撃だッ!?」",
"386000712_2": "「攻撃が激し過ぎて、\\n 近付くこともできない……っ」",
"386000712_3": "「これじゃ連携も何もあったもんじゃない、\\n なんとか隙を――」",
"386000712_4": "「いけない!\\n また攻撃がっ」",
"386000712_5": "「――――――――ッ!!」",
"386000712_6": "「うわああああ!!」",
"386000712_7": "「友奈ちゃんッ!!」",
"386000712_8": "「ま、けるかぁぁあっ!!」",
"386000712_9": "「着地――っ!!」",
"386000712_10": "「たくさん戦ってきたんだ、\\n これくらい、なんてことないっ」",
"386000712_11": "「お、おぬしッ!\\n 大丈夫かッ」",
"386000712_12": "「ヤコちゃん、まだこんな近くにいたの!?\\n もっと遠くに逃げないと危ないよ」",
"386000712_13": "「ここは、\\n 私たちがなんとかするから」",
"386000712_14": "「な、なんとかするって……。\\n もう、みんなボロボロではないかッ」",
"386000712_15": "「それでも、なんとかしてみせるよ!\\n だから……早く逃げて」",
"386000712_16": "「……くッ!?」",
"386000712_17": "(こんな時、わしには何もできんのか?\\n 神の使いともあろうものが、なんと無様なッ",
"386000712_18": "(お上さま、お願いじゃッ!\\n 応えてくだされ……ッ",
"386000712_19": "(わしの祈りを……、\\n どうか聞き届けてくだされッ"
}

View file

@ -0,0 +1,68 @@
{
"386000721_0": "(申し訳ありません、お上さま。やはりこれが、",
"386000721_1": " お上さまの器をなくしたことへの罰なら――ッ!)",
"386000721_2": "(響や友奈たちは関係ないッ!\\n 全ての<ruby=ざいか>罪科</ruby>はこのわしが引き受けますッ!)",
"386000721_3": "(お願いじゃッ!\\n どうか怒りを収めてくだされッ",
"386000721_4": "「どうかッ!\\n ――お聞き届けくだされ、お上さまッ」",
"386000721_5": "「――――――――ッ!!」",
"386000721_6": "「なんだッ!?\\n 奴の攻撃がより激しくなって――ッ」",
"386000721_7": "「く……っ!」",
"386000721_8": "「友奈ちゃん、今飛び込んだら――っ!」",
"386000721_9": "「うああああああっ!!」",
"386000721_10": "「友奈っ!!」",
"386000721_11": "(ここから退がったら、あのちっこいのも危ない……っ!\\n 友奈なら大丈夫。信じろ、私……",
"386000721_12": "「な、何故じゃッ!",
"386000721_13": " 収まるどころか、バケモノの攻撃が強くなっておるッ!?」",
"386000721_14": "「そんな……お上さま、これが本当にお上さまの\\n 意志なのですかッ お願いじゃ、応えてくだされ……ッ」",
"386000721_15": "「っ痛……ずいぶん飛ばされちゃった。\\n ……あれ、地面が光ってる……」",
"386000721_16": "「……違う、地面じゃない。\\n これ、私の端末だ……」",
"386000721_17": "(よかった、落としたけど割れてないみたい。",
"386000721_18": " でも、なんだろ? こんな光り方、見たことない……)",
"386000721_19": "(しかも光が、端末からどこかに向かってる。\\n 光の向かう先は――",
"386000721_20": "「何故じゃッ!\\n 何故なんじゃッ」",
"386000721_21": "「――ヤコちゃんっ!?\\n どうして、私の端末とヤコちゃんがっ」",
"386000721_22": "「応えてくだされッ!\\n お上さまぁッ」",
"386000721_23": "「……っ!?\\n 端末の光がより強く」",
"386000721_24": "「――――――――ッ!!」",
"386000721_25": "(どうして、\\n ワシが祈るたびにあのバケモが光るのじゃッ",
"386000721_26": "「ヤコちゃん!」",
"386000721_27": "「友奈ッ!?」",
"386000721_28": "「見て!\\n 私の端末」",
"386000721_29": "「端末とヤコちゃんが、光で繋がってる!\\n それに、レオ・バーテックスも同じ色で光ってる」",
"386000721_30": "「ひょっとしたらこの光、\\n レオ・バーテックスの強さと関係があるのかも」",
"386000721_31": "(気付かなんだ。\\n この光は、いったい……",
"386000721_32": "(しかし、この光。\\n 友奈の言う通り、この状況を打破する鍵になるやも……",
"386000721_33": "「――あいわかった、わしはこの光を探るッ!\\n ただ集中している間は無防備になる。どうか……ッ」",
"386000721_34": "「任せて!\\n ヤコちゃんには指一本触れさせないんだから」",
"386000721_35": "(――わしの身体から出た光。\\n 友奈の『すまほ』と繋がっておるだけではない",
"386000721_36": "(『すまほ』の先、感じるぞ。\\n 遠いどこかへと向かっているのを",
"386000721_37": "(どこじゃ?\\n どこに向かっておる――",
"386000721_38": "「ヤコちゃんッ!\\n 友奈ちゃんッ」",
"386000721_39": "「響ちゃん!」",
"386000721_40": "「なかなか戻って来ないから、みんなが抑えてくれてるうちに\\n 様子を見に来たの。人とも大丈夫」",
"386000721_41": "「今ね、ヤコちゃんに、\\n 光の流れを調べてもらってたんだ」",
"386000721_42": "「光?」",
"386000721_43": "「うん!\\n これがわかれば、レオ・バーテックスに勝てるかも――」",
"386000721_44": "「う……ッ」",
"386000721_45": "「大丈夫ヤコちゃん!?」",
"386000721_46": "「……わかったぞ、光の行き着く先が……」",
"386000721_47": "「本当ッ!?」",
"386000721_48": "「……大樹じゃ。\\n 友奈たちの世界の大樹に、光は向かっておった」",
"386000721_49": "「え、神樹様に……?」",
"386000721_50": "「以前、おぬしらの満開を手助けしようとした時、\\n 大樹の力を引き寄せたことがあったじゃろう」",
"386000721_51": "「そのせいで余計に繋がりやすくなっていたようじゃ。\\n まったく……情けないの……」",
"386000721_52": "「ヤコちゃん……?\\n どうして、そんな辛そうな顔をしているの」",
"386000721_53": "「あの光の正体は、\\n わしの祈りじゃった……」",
"386000721_54": "「わしがお上さまに向けた祈りは、お上さまではなく、\\n 友奈たちの世界の……大樹の元へ届いてしまっていたんじゃ」",
"386000721_55": "「これが……、\\n どういうことかわかるか」",
"386000721_56": "「祈ることで、\\n わしはつの世界を繋げ続けてしまったのじゃッ」",
"386000721_57": "「あのバケモノたち、そして、勇者たちがッ!\\n 簡単に、この世界に来られてしまうぐらいにッ」",
"386000721_58": "「――ッ!?」",
"386000721_59": "「考えてみれば、あのバケモノが出現するのは、\\n 決まって、わしが祈りを捧げた後じゃった」",
"386000721_60": "「友奈たちが、この世界に現れたのも、\\n お上さまを探すため、何度も何度も祈りを捧げた時じゃ……」",
"386000721_61": "「……原因は、おぬしたちが言うように、\\n お上さまのせいではなかった」",
"386000721_62": "「……フ。\\n こればかりは何よりじゃがの……」",
"386000721_63": "「ヤコちゃ――」",
"386000721_64": "「何も言うてくれるな、響ッ!\\n もうわかったじゃろうッ」",
"386000721_65": "「祈ることすらまともにできぬ、\\n このわしが、全ての原因じゃったのじゃ――ッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,65 @@
{
"386000731_0": "「わしが、\\n 全て悪いんじゃ……」",
"386000731_1": "「ヤコちゃん!\\n しっかりして」",
"386000731_2": "「そうだよッ!\\n ヤコちゃんが悪いなんて、誰も……ッ」",
"386000731_3": "「わしが……わしが……」",
"386000731_4": "「……ヤコちゃん?",
"386000731_5": " 駄目だよ、そっちは危ないッ!」",
"386000731_6": "「止めてくれるなッ!」",
"386000731_7": "「身体が、動かない……っ!?」",
"386000731_8": "「ッ……何、この力、押さえられてるみたい……ッ!",
"386000731_9": " ヤコちゃん、何をしようとしてるの……ッ!?」",
"386000731_10": "「っ!?",
"386000731_11": " レオ・バーテックスが、こっちに!」",
"386000731_12": "「――――――――ッ!!」",
"386000731_13": "「ぐうぅッ!?」\\n「かはっ」",
"386000731_14": "「立花ッ!」\\n「友奈ちゃん」",
"386000731_15": "「くそッ、止めきれなかったッ!\\n こっちにゃちびすけもいたってのにッ」",
"386000731_16": "「立ってるだけで精一杯ってときに、\\n なんて動きしてくれてんのよ……っ」",
"386000731_17": "「――すまぬ、装者たち。\\n そして、勇者たちよ」",
"386000731_18": "「ヤコっ!?\\n アンタ、敵のド真ん前で何やってるの」",
"386000731_19": "「どうなってんだッ!?\\n デカブツが止まっていやがるのか……ッ」",
"386000731_20": "「ッぐ……それになんだってんだ、\\n この力場は……ッ」",
"386000731_21": "「踏み込んだ途端、動くことすら侭ならぬとは。\\n ヤコがやっているのか……ッ」",
"386000731_22": "「わしが未熟なばかりに\\n みんなを巻き込んでしまい、すまなかった」",
"386000731_23": "「わしのせいで、\\n この世界に混乱を持ち込んでしまった」",
"386000731_24": "「わしのせいで、\\n みんなを傷付けてしまった」",
"386000731_25": "「……ヤコちゃん? 何を言ってるの?\\n それに、この力はいったい……」",
"386000731_26": "「その、数多の<ruby=とが>咎</ruby>を償えるとは思わぬが――」",
"386000731_27": "「わしが、\\n あのバケモをどうにかしてみせよう」",
"386000731_28": "「やめろッ!\\n 人で倒せる相手ではないッ」",
"386000731_29": "「誰が倒すと言った? おぬしらでも敵わぬバケモノ、\\n わしが勝つなどとは口が裂けても言えんわ」",
"386000731_30": "「しかし……わしの神通力を使えば、\\n あのバケモを封印することならできる」",
"386000731_31": "「フフ……今もこうして、\\n 抑えるくらい、なら、できるのじゃから……」",
"386000731_32": "「くッ!」",
"386000731_33": "「ヤコちゃん、やめてよ! それ、わかんないけど",
"386000731_34": " 辛いんだよね!? それくらいわかるよっ!!」",
"386000731_35": "「辛さがなんだと言うんじゃッ! わしの全てと引き換えだとて、\\n バケモが消えるのならば安いものッ」",
"386000731_36": "「おい待てッ!\\n 全てってどういうことだッ」",
"386000731_37": "「ほんに……すまんのう。バケモノを抑えるだけのつもりが、\\n 己の力すら儘ならず、おぬしらも動けなくしてしまうとは」",
"386000731_38": "「……こうするしかない。",
"386000731_39": " これが1番の方法なのじゃ」",
"386000731_40": "「駄目だよッ!\\n 戻って来てッ」",
"386000731_41": "「ヤコちゃん、やめてッ!\\n 誰かが犠牲になるなんていやだ……嫌だよッ」",
"386000731_42": "「――――――――ッ!!」",
"386000731_43": "「ぐぁぁッ!?」",
"386000731_44": "「……これ、おイタをするでない。\\n これから長い付き合いになるんじゃからの」",
"386000731_45": "「満足に祈りすら捧げられぬキツネ如きが従者ときては、\\n お上さまも、ネコハチに攫われたくもなろうな……」",
"386000731_46": "「今まで、力及ばぬ従者で申し訳ありませぬ……」",
"386000731_47": "「――お上さま。\\n どうか、それでもみんなだけは……」",
"386000731_48": "「ヤコちゃんーッ!」\\n「ヤコちゃん」",
"386000731_49": "「消えた……。\\n ヤコちゃんも、レオ・バーテックスも……」",
"386000731_50": "「――皆さんッ!\\n 聞こえますかッ」",
"386000731_51": "「……はい。\\n 聞こえています」",
"386000731_52": "「よかったッ!\\n 通信、回復しましたッ」",
"386000731_53": "「突然発生した強力なジャミングにより、\\n モニタリングができていなかったんです」",
"386000731_54": "「あ、あのッ!\\n ヤコさんはご無事ですかッ」",
"386000731_55": "「――ッ!?」",
"386000731_56": "「御神体の調査が終わったので、報告しようと思ったのですが、\\n 渡した通信機になんの反応もなくて……」",
"386000731_57": "「まさか、怪我をしたとかッ!?\\n いけない、早く救護班を――ッ」",
"386000731_58": "「……いや。\\n その必要はねえよ」",
"386000731_59": "「えッ!?\\n それって、どういう意味で――」",
"386000731_60": "「く――ッ!!」",
"386000731_61": "「ヤコちゃんは、\\n もう、ここにはいない……」",
"386000731_62": "「ヤコちゃんを……。\\n 止められなかったッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,48 @@
{
"386000811_0": "封印の先へ",
"386000811_1": "「わしが、\\n 全て悪いんじゃ……」",
"386000811_2": "「辛さがなんだと言うんじゃッ! わしの全てと引き換えだとて、\\n バケモが消えるのならば安いものッ」",
"386000811_3": "「ヤコちゃんーッ!」\\n「ヤコちゃん」",
"386000811_4": "「――以上が、\\n 通信不能だった間に起きた事象だ」",
"386000811_5": "「……そう、ですか。\\n そんなことが……」",
"386000811_6": "「ヤコは、\\n レオ・バーテックスとともにいなくなった……」",
"386000811_7": "「勇者たちと星屑の出現は、\\n 全て自分のせいだと言い残してな」",
"386000811_8": "「なあ、実際のところ可能なのか?\\n あいつの語った通り、祈りが世界を超えるなんてよ」",
"386000811_9": "「不可能と断じることはできないと……いいえ、\\n 有り得ると、ボクは思います」",
"386000811_10": "「人々の長年の信仰によって、\\n ヒトの形を得たヤコさんの神通力は決して弱くありません」",
"386000811_11": "「そして、皆さんの話を聞く限り、\\n この街と、勇者の皆さんが住む街は、かなり似ています」",
"386000811_12": "「ひょんなことで行き先がずれた強い祈りが、\\n よく似た別世界に向かってしまったのではないかと」",
"386000811_13": "「……断定はできませんが、ってか」",
"386000811_14": "「……はい。すみません、\\n ボクがもっと早くに仮説を導き出せていれば……ッ」",
"386000811_15": "「アンタのせいじゃないわよ」",
"386000811_16": "「はじめてヤコちゃんに会った時、\\n どこか懐かしい雰囲気を感じた気がしたのは……」",
"386000811_17": "「神樹様との繋がりを持っていたから、\\n だったんですね……」",
"386000811_18": "「…………」",
"386000811_19": "「…………」",
"386000811_20": "「周囲一帯に、\\n 星屑、並びにレオ・バーテックスの反応は確認できません」",
"386000811_21": "「恐らく、\\n 完全に消失したものと思われます」",
"386000811_22": "「……ヤコさんがこの世界からいなくなったことで、\\n つの世界の繋がりは喪失しました」",
"386000811_23": "「並行世界から来たものが現れることは、\\n もうないでしょう」",
"386000811_24": "「これは全て……、\\n ヤコさんが成し得てくれた……ことです……」",
"386000811_25": "「エルフナインちゃん……」",
"386000811_26": "「……東郷?\\n アンタ、身体が……」",
"386000811_27": "「えっ!?\\n あれ 私、なんだか透けてきてるような……」",
"386000811_28": "「東郷だけじゃないッ!\\n 結城と三好も同じだッ」",
"386000811_29": "「何よこれ!\\n 私たちに何が起きてるのっ」",
"386000811_30": "「…………」",
"386000811_31": "「勇者の皆さんにも、\\n 元の世界に戻る力が働き始めたんです」",
"386000811_32": "「では、このままでいれば、\\n 私たちは元の世界に帰れる、ということですか」",
"386000811_33": "「これも……\\n あのちんまいののおかげ、ってか」",
"386000811_34": "「そりゃ、帰れるのはありがたいわよ。\\n いつまでも向こうを、<ruby=ふう>風</ruby>たちに任せておけないし」",
"386000811_35": "「でも……」",
"386000811_36": "「なんとも、\\n やり切れない結末だな……」",
"386000811_37": "「…………」",
"386000811_38": "「…………」",
"386000811_39": "「ってもう!\\n アンタたちも、なんとか言いなさいよ」",
"386000811_40": "「黙りたい気持ちはわかるけど。\\n だからって――」",
"386000811_41": "「――うん、決めたッ!」\\n「みんな、ごめんっ」",
"386000811_42": "「ね、響ちゃん。\\n ここらへんだよね、ヤコちゃんが消えたところ」",
"386000811_43": "「うんッ!\\n 考えてることは一緒だよね、友奈ちゃんッ」",
"386000811_44": "「もちろんっ!!」",
"386000811_45": "「はあぁぁぁぁーッ!!」"
}

View file

@ -0,0 +1,53 @@
{
"386000821_0": "「開くまでッ!」\\n「何度だってッ」",
"386000821_1": "「はあぁぁぁぁーッ!!」",
"386000821_2": "「な、何をしているんですかッ!?」",
"386000821_3": "「殴ってるんだよ!」",
"386000821_4": "「そりゃ、\\n 見ればわかるってのッ」",
"386000821_5": "「どうして、\\n いきなり空中を殴り始めたのか聞いてるのよ」",
"386000821_6": "「だって!\\n このまま、元の世界になんて帰れないよ」",
"386000821_7": "「わたしもッ!\\n これで終わりなんて、絶対に駄目だよッ」",
"386000821_8": "「だからッ!」",
"386000821_9": "「「開けええええッ!!」」",
"386000821_10": "「……あの、\\n 人が殴っている場所って、ひょっとして……」",
"386000821_11": "「ああ。\\n ヤコが、レオ・バーテックスとともに消えた場所だ」",
"386000821_12": "「あいつらまさか……、\\n 封印を殴ってこじ開けようとしてるんじゃ……」",
"386000821_13": "「はぁっ!?",
"386000821_14": " そんな事できるわけが――」",
"386000821_15": "「――ッ!?\\n 僅かながら、空間の歪みが観測されましたッ」",
"386000821_16": "「座標は、2人が攻撃を加えている空間ッ!\\n これは――封印の障壁だと思われますッ」",
"386000821_17": "「うわッ、こちらのモニタリングに再度影響が……ッ!",
"386000821_18": " 映像情報が途絶、回復を試みますッ!」",
"386000821_19": "「……できたわね。\\n もう、やることが滅茶苦茶じゃない」",
"386000821_20": "「そうね。\\n でも……」",
"386000821_21": "「実に、あの2人らしいな」",
"386000821_22": "「確かに、このまま黙っていれば、\\n 元の世界に帰れるかもしれない」",
"386000821_23": "「だけど、\\n ヤコちゃんにはもう二度と会えなくなっちゃう」",
"386000821_24": "「せっかく会えたのに……、",
"386000821_25": " 私たちに会えてよかったって言ってくれたのに!」",
"386000821_26": "「お別れも言えず、\\n あんな風に別れるなんて、私、嫌だ」",
"386000821_27": "「勇者部五箇条、<ruby=ひとつ>一</ruby>\\n 『なるべく諦めない』」",
"386000821_28": "「もう一度会って!\\n ちゃんとお別れを言うんだ」",
"386000821_29": "「ヤコちゃんは、\\n わたしたちに助けを求めていたッ」",
"386000821_30": "「なのにわたしはッ!\\n 去って行くヤコちゃんの手を掴めなかったッ」",
"386000821_31": "「でも、まだきっと終わりじゃないッ!\\n できることが、あるはずッ」",
"386000821_32": "「だから行こう、友奈ちゃんッ!\\n 手を繋いで、一緒に、ヤコちゃんに会いに行こうッ」",
"386000821_33": "「はい!」",
"386000821_34": "「身体が元に戻った!?\\n そうか、ひょっとして――」",
"386000821_35": "「東郷さん、夏凜ちゃん!\\n 響さんと手を繋いでみて 身体が元に戻るかもッ」",
"386000821_36": "「うん!」\\n「わかったわ」",
"386000821_37": "「これは……響さんのガングニールに込められた、\\n 『誰かと手を繋ぐ』という意志の力の影響――ッ」",
"386000821_38": "「響さんを通じて、こちらの世界に、\\n 勇者の皆さんの存在が引き戻されたということですか……」",
"386000821_39": "「わからないよッ!\\n でも、今はそれでいいッ」",
"386000821_40": "「同じ気持ちだからッ!\\n 力を合わせて、道を拓くんだッ」",
"386000821_41": "「行くよッ!\\n はあぁぁぁぁ――ッ」",
"386000821_42": "「開いてええええぇぇぇぇ――っ!!」",
"386000821_43": "「――封印障壁、\\n 強度が下がっていますッ」",
"386000821_44": "「このまま続ければ、\\n 封印を破壊できるかも――ッ」",
"386000821_45": "「――待ってくださいッ!\\n 障壁内部に敵性反応出現ッ」",
"386000821_46": "「コイツらッ!\\n また現れやがったッ」",
"386000821_47": "「しかし、好機だッ! 星屑が現れたということは、\\n 封印が薄くなってきているということではないか」",
"386000821_48": "「間違いありませんッ!\\n 封印が完全なら、星屑は外に出られませんッ」",
"386000821_49": "「ということは、あと一息だな。\\n 力尽くで押し切るぞッ」",
"386000821_50": "「ああッ!\\n みんなでヤコに会いに行こうッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,9 @@
{
"386000822_0": "「邪魔を――ッ!」",
"386000822_1": "「するなぁ――っ!!」",
"386000822_2": "「見てください!\\n 星屑が溢れてきた余波で入り口が開きました」",
"386000822_3": "「……ふふ、何よ。\\n あのちっこいのが呼んでるみたいじゃない」",
"386000822_4": "「そうだよ――だから行かなきゃいけないんだっ!\\n この先に、ヤコちゃんがいるんだからっ ",
"386000822_5": "「ヤコちゃんッ!\\n 聞こえてるッ」",
"386000822_6": "「今、助けに行くからねッ!」"
}

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@ -0,0 +1,33 @@
{
"386000911_0": "勇烈に咲え<わらえ>、六重の唄",
"386000911_1": "「…………」",
"386000911_2": "「……これで、\\n これで、よかったのじゃ」",
"386000911_3": "「ここでなら、\\n このバケモを封じ続ける事ができる……」",
"386000911_4": "「おぬしが外の世界に出ることは叶わぬ。\\n わしがここに居続ける限り、永遠な」",
"386000911_5": "「……永遠か。\\n どれだけの長さなのか、想像もつかんな」",
"386000911_6": "「だが、仕方のないことじゃ。\\n 全ては、わしの未熟さが招いたことじゃからの……」",
"386000911_7": "「……しかし、\\n この中はなんとも静かじゃの」",
"386000911_8": "「あやつらが賑やかだったから、\\n 余計に静かに感じてしまうわい」",
"386000911_9": "「そういえば、\\n あやつらと一緒に食べた、キツネうどんは美味かったのぉ」",
"386000911_10": "「こんな事になるのなら、\\n 無理を言ってでも、おかわりをしておけばよかったわい」",
"386000911_11": "「……だが、\\n それも、もはや遠い夢じゃ」",
"386000911_12": "「ここには、\\n 何もない」",
"386000911_13": "「ここには、\\n 誰もいないのじゃから」",
"386000911_14": "「……む?」",
"386000911_15": "「気のせいか?\\n 今、少し揺れたような」",
"386000911_16": "「――――」",
"386000911_17": "「……むむ?\\n 今度はなんじゃ」",
"386000911_18": "「――――」",
"386000911_19": "「これは……声?」",
"386000911_20": "「そんなバカな。\\n ここには誰もおらん。声など聞こえるはずが――」",
"386000911_21": "「――――ッ!」",
"386000911_22": "「――――!!」",
"386000911_23": "「……まさかッ!?\\n この声はッ」",
"386000911_24": "「――ちゃんッ!」",
"386000911_25": "「――コちゃん!」",
"386000911_26": "「いやッ、そんなはずはないッ!\\n これは気のせいじゃッ」",
"386000911_27": "「あやつらの……、",
"386000911_28": " あやつらの声が聞こえるなんて――ッ!?」",
"386000911_29": "「――なッ!?」",
"386000911_30": "「ヤコちゃんッ!」\\n「ヤコちゃん」"
}

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@ -0,0 +1,30 @@
{
"386000921_0": "「ヤコちゃんッ!」\\n「ヤコちゃん」",
"386000921_1": "「お、おぬしら……」",
"386000921_2": "「な、なんじゃッ!\\n ここはわしが作った封印の中じゃぞッ」",
"386000921_3": "「おぬしらなんぞ呼んだ覚えはないッ!\\n いったいどうやって入ってきおったッ」",
"386000921_4": "「ごめん、ヤコちゃん!\\n 封印、壊しちゃった」",
"386000921_5": "「――なッ!?」",
"386000921_6": "「なんじゃとおおおぉぉぉ――ッ!?」",
"386000921_7": "「壊したッ!?\\n 封印を壊したと言ったかッ」",
"386000921_8": "「なんてことをしてくれたんじゃッ!\\n わしが、どんな想いで封印を作ったと思っておるッ」",
"386000921_9": "「せっかく、あのバケモノを封じられたのにッ!\\n これでは、なんの意味もないではないか――ッ」",
"386000921_10": "「そうだね。封印を壊したせいで、\\n きっとレオ・バーテックスは復活しちゃう……」",
"386000921_11": "「そ、そうだね、じゃと……ッ!?」",
"386000921_12": "「ということは、\\n ヤコちゃんがここにいる理由も、もう無いよね」",
"386000921_13": "「なッ!?」",
"386000921_14": "「そ、それは、\\n 確かにそうかもしれんが……」",
"386000921_15": "「だからさ!\\n もう出ちゃおうよ」",
"386000921_16": "「そうだよッ!\\n こんな、何もない寂しい場所じゃなくて――」",
"386000921_17": "「帰ろうッ!\\n みんなが待ってる場所にッ」",
"386000921_18": "「……ッ!」",
"386000921_19": "「突っ込むよッ!\\n はぐれないよう、このまま手を握っててねッ」",
"386000921_20": "「わ、わしは……」",
"386000921_21": "(手を、掴んでしまった……\\n わしは、ここにいなくてはいけない、のに……ッ",
"386000921_22": "「いいんだよ、迎えにきたんだもん!\\n 迷子のときは、手を繋ぐと安心するもんね」",
"386000921_23": "「だから……絶対に手を放しちゃ駄目だよ?\\n 一緒に帰るんだから」",
"386000921_24": "「あ……」",
"386000921_25": "「――あいわかったッ!\\n この身、おぬしらに預けるッ」",
"386000921_26": "(……絶対に。\\n 絶対に、放すものかッ",
"386000921_27": "「行くよ――ッ!!」"
}

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@ -0,0 +1,45 @@
{
"386000931_0": "「――はッ!?」",
"386000931_1": "「おッ!\\n 気が付いたか」",
"386000931_2": "「顔色も悪くない。\\n 問題は無さそうだな」",
"386000931_3": "「……おぬしら」",
"386000931_4": "「おぬしら、じゃないわよ!\\n アンタ、人で突っ込んで行くなんて何考えてんの」",
"386000931_5": "「友奈と響が、結界を壊せたからどうにかなったけど!」",
"386000931_6": "「す、すまぬ……」",
"386000931_7": "「そうね。\\n せめて相談くらいして欲しかったわ」",
"386000931_8": "「え!?\\n 東郷さん、相談されたら行かせてあげたの」",
"386000931_9": "「まさか。\\n 木に縛りつけてでも行かせないわ」",
"386000931_10": "「だよね!」",
"386000931_11": "「……ところでアンタ、\\n いつまで友奈と響の手を握っているわけ」",
"386000931_12": "「なッ!?\\n ち、違うんじゃこれはッ」",
"386000931_13": "「ああッ!\\n ずっと握っててくれていいのにッ」",
"386000931_14": "「ヤコちゃんの手、\\n 温かくて気持ちいいんだよねー」",
"386000931_15": "「――ッ、何を呑気なことを言っておるッ!\\n 今の状況がわかっておるのかッ ",
"386000931_16": "「そもそもッ!\\n どうして結界を壊したんじゃッ」",
"386000931_17": "「あのまま、わしがあのバケモノを封印しておれば、\\n 全て終わったというにッ」",
"386000931_18": "「このままでは――」",
"386000931_19": "「わたしが、ヤコちゃんを助けたかったからだよッ!」",
"386000931_20": "「またあのバケモノが――って、",
"386000931_21": " はぁッ?」",
"386000931_22": "「うん、あのままお別れなんて嫌だもん。\\n 助けて、またヤコちゃんに会いたかったんだ」",
"386000931_23": "「……それだけの、理由で……?」",
"386000931_24": "「諦めなさい。\\n それが、結城友奈ってやつなのよ」",
"386000931_25": "「そうね。\\n いつもの友奈ちゃんよ」",
"386000931_26": "「ああ。\\n うちのバカも、いつものバカだ」",
"386000931_27": "「それに生憎だけど……。\\n 私は、『それだけ』だなんて思わないわ」",
"386000931_28": "「そうね。誰かの犠牲の上に成り立つ解決なんて、\\n 決して解決とは呼べない。私は……認めない」",
"386000931_29": "「あたしらだってそうさ。……何より、\\n お前自身が掴んだじゃないか、コイツらの手を」",
"386000931_30": "「どんな困難が待ってようと、\\n 全員揃って大団円を迎えてみせる」",
"386000931_31": "「それが、\\n わたしたちが常に選ぶべき道だ」",
"386000931_32": "「おぬしら……」",
"386000931_33": "「この……大馬鹿者どもが……」",
"386000931_34": "「ヤコさんッ!\\n よかった、戻ってこられたんですねッ」",
"386000931_35": "「……ああ、すまぬ。\\n 心配を掛けたの」",
"386000931_36": "「ごめんなさい、再会を喜ぶのは後にッ!\\n レオ・バーテックスの反応が増大していますッ」",
"386000931_37": "「間もなく、\\n 完全に解き放たれるものと思われますッ」",
"386000931_38": "「皆さんッ!\\n 急いで戦闘準備を――ッ」",
"386000931_39": "「早い……ッ!\\n 封印の綻びから、敵の反応が出現――星屑ですッ」",
"386000931_40": "「――――ッ!!」",
"386000931_41": "「おーおー、アホ面もこんだけ並ぶと壮観だッ!\\n だが、もうこの程度で折れるあたしたちだと思うなよッ」",
"386000931_42": "「まずは、尖兵を討つぞッ!\\n 後のことは、それからだッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,13 @@
{
"386000932_0": "「くらえっ!!\\n 勇者パーンチ」",
"386000932_1": "「よし!」",
"386000932_2": "「星屑の消滅を確認ッ!\\n しかし――」",
"386000932_3": "「皆さん、備えてくださいッ!\\n レオ・バーテックス、顕現しますッ」",
"386000932_4": "「――――――――――ッ!!」",
"386000932_5": "「さあて、リベンジだッ!\\n 前と同じと思うなら、火傷するぜッ」",
"386000932_6": "「連敗なんて、\\n 完成型勇者の辞書には載ってないわよ」",
"386000932_7": "「もう、誰も失わないために!」",
"386000932_8": "「その<ruby=きょく>巨躯</ruby>、斬り伏せてみせるッ!」",
"386000932_9": "「ヤコちゃんは頑張ってくれた……。\\n 今度は、わたしたちが意地を見せる番だ」",
"386000932_10": "「うんッ!\\n わたしたちの手で、全てを終わらせようッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,20 @@
{
"386001011_0": "咲き誇る、七重の絆",
"386001011_1": "「――――――――――ッ!!」",
"386001011_2": "(……ッ身体が、震える……ッ!)",
"386001011_3": "(わかってはいたが、なんという迫力じゃ……ッ。\\n 本当に、こんなバケモに勝てるのか……ッ",
"386001011_4": "(もし……勝てなければ、\\n この街が……この世界が……",
"386001011_5": "(そして何より、\\n 戦ったあやつらは……ッ",
"386001011_6": "(やはり、\\n もう一度わしが封印を――ッ",
"386001011_7": "(温かい。\\n そうだ……これは、人が繋いでくれた……",
"386001011_8": "「勇者部、五箇条――っ!」",
"386001011_9": "「ッ!?」",
"386001011_10": "「<ruby=ひとつ>一</ruby>、挨拶はきちんと!」",
"386001011_11": "「<ruby=ひとつ>一</ruby>、なるべく諦めないッ!」",
"386001011_12": "「<ruby=ひとつ>一</ruby>、よく寝て、よく食べる!」",
"386001011_13": "「<ruby=ひとつ>一</ruby>、悩んだら相談ッ!」\\n",
"386001011_14": "「――――――――――ッ!!」",
"386001011_15": "「ひとぉつッ!」",
"386001011_16": "「なせば大抵――!」",
"386001011_17": "「なんとか、なぁぁぁぁぁるッ!!」"
}

View file

@ -0,0 +1,50 @@
{
"386001012_0": "「全力全開っ!!\\n 勇者パーンチ」",
"386001012_1": "「――――――――ッ!?」",
"386001012_2": "「決まったっ!?」",
"386001012_3": "「いや、まだだッ!!」",
"386001012_4": "「ったくッ!\\n どれだけタフなんだよ……ッ」",
"386001012_5": "「本当よ。\\n いったい何百回斬りつけたか――」",
"386001012_6": "「――気を付けてくださいッ!\\n 敵内部に、超高エネルギー反応を確認ッ」",
"386001012_7": "「攻撃――来ますッ!」",
"386001012_8": "「皆さんッ!\\n 避けて――ッ」",
"386001012_9": "「――――――――――ッ!!」",
"386001012_10": "「ぐぐぐぐぐぐ――ッ!?」",
"386001012_11": "「これは……バリアッ!?\\n ヤコちゃんが護ってくれたのッ」",
"386001012_12": "「すまぬ……ッ!!\\n 護れたのは、おぬしら人だけじゃ……ッ」",
"386001012_13": "「――――――――――ッ!!」",
"386001012_14": "「直撃からは護れども、ほかのみんなは弾き飛ばされ……ッ",
"386001012_15": " ぐぐぐぐッ!?」",
"386001012_16": "「ヤコちゃんっ!?",
"386001012_17": " 無理しないでっ!!」",
"386001012_18": "「……この程度ッ!\\n おぬしたちに比べればッ」",
"386001012_19": "「しかし、このままでは――ッ!\\n 一旦退避をッ」",
"386001012_20": "「いいや、退かぬッ! それに、これが無理であるものかッ!\\n 多少の無茶は、させてもらうぞッ」",
"386001012_21": "「教えられたのじゃ――響の、心ごと握る拳にッ!\\n 友奈がわしを呼んだ、その声にッ」",
"386001012_22": "「……ッ」",
"386001012_23": "「諦めるなと、手を伸ばし続けろとッ!」",
"386001012_24": "「それが、希望を繋ぐことになるのならば。\\n たとえ、未熟なこの身であろうともッ」",
"386001012_25": "「わしが信じるもののために……、\\n お上さまとともに、護りたいもののために……ッ」",
"386001012_26": "「ここで退くことなど、\\n できんのじゃぁぁぁ――ッ」",
"386001012_27": "(な、なんじゃッ!?\\n 身体の奥底から、力が沸き上がってくる――ッ",
"386001012_28": "「あったかい――。\\n これ、もしかして、神樹様の力……」",
"386001012_29": "「確かにこれは、以前感じた……\\n いや、だがこれは、それだけでは……」",
"386001012_30": "(懐かしくも、優しい、\\n この力は……",
"386001012_31": "「……ッありがとうございます、\\n お上さま……ッ」",
"386001012_32": "「――――――――――――――――ッ!!」",
"386001012_33": "「はぁ、はぁ……ッ!\\n く、……ッ」",
"386001012_34": "「あやつも痺れを切らしているようじゃ。\\n そろそろ、決着をつけねばなッ」",
"386001012_35": "「うんっ! ヤコちゃんが繋いでくれたから、",
"386001012_36": " 私だって、まだ……立てる……っ!」",
"386001012_37": "「ヤコちゃん1人に立たせるもんか……ッ!」",
"386001012_38": "「ひとりぼっちなら立てなかったかもしれない。\\n でも、こうして、人でならっ」",
"386001012_39": "「ああ、あと一踏ん張りじゃッ!\\n もう無理だ、などと言うてくれるなよッ」",
"386001012_40": "「もちろんッ!!」",
"386001012_41": "「フ……ハハハッ! 本当に、笑えるほどに満身創痍じゃが――\\n そんな強がりが言えるのなら、十全以上よッ」",
"386001012_42": "「わたしたちは支え合って、立ち向かえるッ!\\n どんな困難を相手にしたってッ」",
"386001012_43": "「私たちは、\\n 絶対に、負けたりしないっ」",
"386001012_44": "「わしらの全てッ!\\n おぬしに託すぞッ」",
"386001012_45": "「勇者も装者も関係ない!\\n 私たちの、何もかも全部」",
"386001012_46": "「受け取って!!」\\n「受け取れぇッ」",
"386001012_47": "「はああああああぁぁぁぁ――ッ!!」"
}

View file

@ -0,0 +1,26 @@
{
"386001021_0": "「はああああああぁぁぁぁ――ッ!!」",
"386001021_1": "「あれは――満開ッ!?」",
"386001021_2": "「すごいッ!\\n 次から次に力が溢れてくるッ」",
"386001021_3": "「思い切りぶちかましてやれッ!\\n 勇者を纏いし装者よッ」",
"386001021_4": "「うんッ!\\n はああああああぁぁぁぁ――ッ」",
"386001021_5": "「いっけえええぇぇぇぇぇぇっ!!」",
"386001021_6": "「勇者と装者の力を束ねて咲かせた――、\\n これが、わたしたちのッ 一撃だぁあああああッ」",
"386001021_7": "「「「ぶち抜けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ――――ッ!!」」」",
"386001021_8": "「レオ・バーテックスの反応、\\n 完全に消失、しました……ッ」",
"386001021_9": "「半径10キロ以内に、\\n 星屑の反応もありませんッ」",
"386001021_10": "「ボクたちの勝利ですッ!」",
"386001021_11": "「――ッ!」",
"386001021_12": "「ヤコさんッ!?\\n どうしましたッ」",
"386001021_13": "「ああ……大丈夫じゃ、エルフナイン。\\n わしは少しばかり、気が抜けただけじゃ……じゃが」",
"386001021_14": "「はい。皆さんのため、直ちに救護班を向かわせます。\\n ――ただしッ」",
"386001021_15": "「この皆さんの中には、ヤコさんも入っています。後回しに\\n なんかさせません、ちゃんと診てもらってくださいッ」",
"386001021_16": "「大丈夫だよッ!\\n わたしたちが手を握っておくからッ」",
"386001021_17": "「うん!\\n 絶対に放さないから」",
"386001021_18": "「そ、そんなに心配せずともよいッ!\\n もうどこにも行きはせんわッ」",
"386001021_19": "「じゃが……そうさな。\\n もう少しだけ、どうか、この手はこのまま、で――ッ」",
"386001021_20": "「よかった……皆が生きていてくれた……ッ。\\n ほんによかった……わしは、わしはぁぁぁあ……ッ」",
"386001021_21": "「ヤコちゃんがあの時、\\n 頑張ってくれたおかげだねッ」",
"386001021_22": "「……ふふ。\\n おかえり、ヤコちゃん。ただいま、私たちっ」",
"386001021_23": "「ぅぁああぁああああん……ッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,62 @@
{
"386001031_0": "「すまない、不覚を取ってしまった」",
"386001031_1": "「尋常じゃないバリアがなけりゃ、\\n あたしらも今頃は消し炭だ……ありがとな」",
"386001031_2": "「なに、おぬしらの勇猛を見たからこその強度よ。それに――",
"386001031_3": " フフ、力を貸してくれたのは、おぬしらだけではないからの」",
"386001031_4": "「……?」",
"386001031_5": "「響さんは満開まで……」",
"386001031_6": "「勇者でもないのに、\\n 満開を使いこなすなんて……」",
"386001031_7": "「わたしだけじゃない。\\n ヤコちゃんと、友奈ちゃん――」",
"386001031_8": "「みんなで、\\n 掴み取った力だよッ」",
"386001031_9": "「それじゃあ!\\n 勝利を祝しましてアレやりましょう」",
"386001031_10": "「……アレ?\\n アレとはなんだ」",
"386001031_11": "「こういう時、私たち勇者部では、\\n みんなで手を上げて喜びをわかち合うんです」",
"386001031_12": "「つまり、ハイタッチのことね。\\n 友奈が好きで、何かにつけてすぐやりたがるのよ」",
"386001031_13": "「う、うむッ!」",
"386001031_14": "「おい、大丈夫かよ?\\n 泣いてただろ、どっか痛むなら無理は――」",
"386001031_15": "「ななな、泣いてなどおらんッ!",
"386001031_16": " さっきのはその、う、うどんの汁じゃッ!」",
"386001031_17": "「あははっ! それじゃ……\\n せーのっ」",
"386001031_18": "「お疲れ様ッ!」",
"386001031_19": "「風鳴さん、お疲れ様でした。\\n 何度も助けていただき、ありがとうございます」",
"386001031_20": "「こちらこそだ。\\n おかげで、後背を気にせず全力を出せた」",
"386001031_21": "「って、何照れてるの?\\n ほら、右手を上げて」",
"386001031_22": "「ハッ……可愛い後輩の歩み寄りだ、\\n 受け止めないわけにはいかないからな」",
"386001031_23": "「もう1回やろう!\\n いや、もう回と言わず何度でも」",
"386001031_24": "「うん、いいよッ!\\n せーのッ」",
"386001031_25": "「あれ?\\n どうしてスカって……」",
"386001031_26": "「友奈ちゃんッ!\\n また身体が透けてきてるよッ」",
"386001031_27": "「わわわ、本当だ!?」",
"386001031_28": "「私たちも、身体が透けてきてるわ」",
"386001031_29": "「どうやら、今度こそ、\\n わしの神通力が底をつきかけているようじゃ……」",
"386001031_30": "「神通力が尽きれば、\\n 向こうの世界との繋がりを保つことはできん」",
"386001031_31": "「繋がりが途切れれば、\\n みんな、すぐにでも元の世界へ引き戻されることじゃろう」",
"386001031_32": "「確かに、レオ・バーテックスと同じように、\\n 友奈さんたちの反応が、急速に薄れていっています……」",
"386001031_33": "「恐らくは、もってあと数分。\\n 本部に戻る余裕も無いかと」",
"386001031_34": "「ええっ!?\\n じゃあ、うどんを食べに行く時間もないの」",
"386001031_35": "「この期に及んで、\\n うどんを食べようとするな」",
"386001031_36": "「やれやれ。\\n 来た時もいきなりだったが、帰りも急だな」",
"386001031_37": "「そうだな、\\n できればもう少し話したいところだったが……」",
"386001031_38": "「私も、話したいことがまだたくさん……」",
"386001031_39": "「大丈夫だよ、東郷さん!」",
"386001031_40": "「……え?」",
"386001031_41": "「だって!\\n これが最後ってわけじゃないもん」",
"386001031_42": "「そうだよッ!\\n わたしたち、こうして手を繋ぐことができたッ」",
"386001031_43": "「だったらッ!\\n また絶対に会えるはずッ」",
"386001031_44": "「世界を越えて繋がった縁だもん!\\n 簡単に途切れるはずがないよ」",
"386001031_45": "「わしは未熟な使わしめじゃった。お上さまに\\n お仕えする事すら真っ当にできんと、一度は……」",
"386001031_46": "「それでも、おぬしらが教えてくれた。\\n わしにも『戦える』力があることを……」",
"386001031_47": "「だから……これは約束じゃッ!」",
"386001031_48": "「わしは……、今度こそ、",
"386001031_49": " この街を、お上さまとともに護っていくッ!」",
"386001031_50": "「もう二度と、\\n 諦めたりはせんッ」",
"386001031_51": "「ヤコちゃん……」",
"386001031_52": "「また会おうッ!\\n 勇者たちよッ」",
"386001031_53": "「次は、使わしめとして成長したわしを見せてくれようッ!\\n 楽しみにしておくんじゃぞッ」",
"386001031_54": "「うん!\\n 楽しみにしてるね」",
"386001031_55": "「――どうやら、\\n これまでみたいです」",
"386001031_56": "「色々あったけど……、\\n ちょっとだけ楽しかったわ」",
"386001031_57": "「これでお別れじゃない……。\\n そう信じているから」",
"386001031_58": "「また、いつか!」",
"386001031_59": "「……うん。\\n また、いつか、だねッ」"
}

View file

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{
"386001111_0": "いつかのために、日々重ねゆく",
"386001111_1": "「――先生ッ!\\n お願いしますッ」",
"386001111_2": "「駄目ですッ!\\n そのような部活、認めるわけにはいきませんッ」",
"386001111_3": "「ええッ!?\\n そんなーッ」",
"386001111_4": "「どうしたの?\\n なんだかションボリしてるけど……」",
"386001111_5": "「うん、それがね――」",
"386001111_6": "「……なるほど。\\n 四国の任務で出会った人たちみたいな部活を作りたい、と」",
"386001111_7": "「うん。\\n でも、何度お願いしても認めてもらえないんだ」",
"386001111_8": "「うーん……。\\n 聞く限り、ちょっと厳しいんじゃないかな」",
"386001111_9": "「未来までッ! なんでぇッ!?",
"386001111_10": " 『勇者部リディアン支部』、絶対カッコイイのにッ!」",
"386001111_11": "「そもそも……。\\n 『勇者部』って、どんなことをする部活なの」",
"386001111_12": "「それはもちろんッ!\\n 困った人を助ける部活だよッ」",
"386001111_13": "「困った人を助ける、かぁ……」",
"386001111_14": "「でも、それって、\\n 響がいつもやっていること、だよね」",
"386001111_15": "「……え?」",
"386001111_16": "「ほ、本当だッ!?」",
"386001111_17": "「でしょ?\\n だから、部活っていう形にこだわらなくても――」",
"386001111_18": "「そのままの響でいれば大丈夫。\\n これからも、たくさんの困った人を助けることができるよ」",
"386001111_19": "「そうだよねッ!\\n ありがとう、さっすが未来だッ」",
"386001111_20": "(……部活は無理でも、\\n 『装者五箇条』みたいなのは作ってもいいよね……",
"386001111_21": "(よーしッ!\\n 五箇条が決まったら、S.O.N.G.に飾ってもらおっとッ!)",
"386001111_22": "「こりゃネコハチッ、祠の上に乗るでないッ!\\n お上さまに失礼じゃろうがッ」",
"386001111_23": "「ニャーン♪」",
"386001111_24": "「全く、呑気にしおって……。\\n 罰が当たってもわしは知らんからの……」",
"386001111_25": "「よしッ、今日の掃除は終了じゃッ!\\n どうじゃ どこもかしこもピカピカじゃろう」",
"386001111_26": "「ンニャー♪」",
"386001111_27": "「うむッ!\\n そうじゃろう、そうじゃろうッ」",
"386001111_28": "「いつまた、あやつらが遊びに来るかわからん。\\n 常に綺麗にしておかねばなッ」",
"386001111_29": "「さて、そろそろ昼飯時か……」",
"386001111_30": "「耳と尻尾はこうしてこう……見えていると驚かせてしまうでの。\\n よし、それでは腹ごしらえ――コホン、見回りにいくとするかッ」",
"386001111_31": "「ンニャ?」",
"386001111_32": "「……ん?\\n 何を食べるのか、じゃとッ」",
"386001111_33": "「決まっておろうッ!\\n もちろん、キツネうどんじゃッ」"
}