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{
"382000111_0": "凶猛なる闖入",
"382000111_1": "「警報……? 何事だッ!」",
"382000111_2": "「艦内のセンサーに反応ありッ!\\n 何者かが外壁を破壊し、艦内に侵入した模様ですッ」",
"382000111_3": "「なんだとッ!? アルカ・ノイズかッ!?」",
"382000111_4": "「いえ、アルカ・ノイズの反応はありませんッ!」",
"382000111_5": "「それどころか、何のエネルギー反応も拾えないッ!?\\n 相手はいったい何者なんだッ」",
"382000111_6": "「いずれにしろ、S.O.N.G.本部にカチコミをかけるとは、\\n いい度胸をしている」",
"382000111_7": "「艦内映像、出ますッ!」",
"382000111_8": "「なッ!? こいつは……ッ!?」",
"382000111_9": "「な、何が起きたデスかッ!?」",
"382000111_10": "「ただ事じゃないのは確かだな。\\n よりによって、客がいる時に――」",
"382000111_11": "「明日香ちゃん、大丈夫だからねッ!\\n わたしたちがついているからッ」",
"382000111_12": "「ありがとうございますッ!",
"382000111_13": " それにしても、さっきの揺れとこの警報……」",
"382000111_14": "「ひょっとして、異常進化したイルカの襲撃でしょうかッ!?\\n ならばあたしも、微力ながら助太刀しますッ」",
"382000111_15": "「たぶんそれは違うと思う……」",
"382000111_16": "「まずは、状況の把握が必要ね」",
"382000111_17": "「ああ。なにより、水流を巻き込むわけにはいかない。\\n ひとまず、我々で警護しながら発令所まで向かうぞ」",
"382000111_18": "「わ、分かりました」",
"382000111_19": "「それじゃあ、こっちに――」",
"382000111_20": "「――ッ!?\\n 壁に穴がッ」",
"382000111_21": "「誰かいる……ッ!?",
"382000111_22": " 響、気をつけてッ!」",
"382000111_23": "「侵入者ッ!?」",
"382000111_24": "「おいおい、まさか1人で乗り込んで来たってのかッ!?」",
"382000111_25": "「……見つけたぞ、明日香」",
"382000111_26": "「え……?」",
"382000111_27": "「ま、まさか……、\\n あいつがここまで追ってきたのッ」",
"382000111_28": "「明日香ちゃん、わたしたちの後ろにッ!」",
"382000111_29": "「やるしかないデスッ!\\n ギアを纏って――」",
"382000111_30": "「その必要はない」",
"382000111_31": "「師匠ッ!?」",
"382000111_32": "「下がっていろ。俺が相手をする」",
"382000111_33": "「…………」",
"382000111_34": "「いくぞ。",
"382000111_35": " ……はぁああッ!」",
"382000111_36": "「……ッ!」"
}

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@ -0,0 +1,66 @@
{
"382000121_0": "侵入者襲撃の少し前――",
"382000121_1": "(数日前、響さんたちが訪れた未知の並行世界)",
"382000121_2": "(ギャラルホルンも、デュプリケイターも使わずに並行世界を\\n 移動できたのは、いったいどうしてでしょうか……",
"382000121_3": "(状況を聞く限りでは、イシムという存在が\\n 空間に穴を開けたようですが",
"382000121_4": "(それがイシム固有の力なのか、あるいはなんらかの\\n 聖遺物や哲学兵装を使ってのことなのか",
"382000121_5": "(……どの仮説も、推測の域を出ないですね)",
"382000121_6": "「邪魔するぞ」",
"382000121_7": "「あったかいものどうぞ。\\n 調子はどう」",
"382000121_8": "「あったかいものどうも」",
"382000121_9": "「……でも、すみません。\\n 現状では、あまりにも情報が不足しています」",
"382000121_10": "「仕方のないことだ。気にすることはない」",
"382000121_11": "「イシム……何者なんでしょうか?」",
"382000121_12": "「イシムという名前は、\\n シュメール神話で確認することができます」",
"382000121_13": "「従神と言うことで、\\n それほど重要な神としては描かれていないのですが……」",
"382000121_14": "「つまり、先史文明やアヌンナキが関係している可能性も\\n あるということか……」",
"382000121_15": "「並行世界を渡る力を持っていることからも、\\n その可能性は高いと思います」",
"382000121_16": "「はい。それに、響さんたちは向こうで数日を過ごしたという\\n ことですが、こちらで経過した時間はわずか時間……」",
"382000121_17": "「この時間のずれも気になります」",
"382000121_18": "「ギャラルホルンやデュプリケイターとは性質が違うようね。\\n 空間の歪曲自体は検知できたけど、正体がつかめないわ」",
"382000121_19": "「いずれにせよ、イシムが他の並行世界に\\n 害を及ぼさないとも限らん」",
"382000121_20": "「各並行世界の協力機関にも情報を共有せねばな」",
"382000121_21": "「そうですね。\\n イシムの目的が分かれば、対策も立てやすいのですが……」",
"382000121_22": "「イシムが明日香さんを狙っていたのはなぜでしょう?\\n ……ううーん……」",
"382000121_23": "「現状では、考えても分からないことよ。\\n 根を詰め過ぎると身体に毒だわ」",
"382000121_24": "「ああ。確かに、不可解な事態ではあったが、\\n イシムはガーディアンギアによって撃退している」",
"382000121_25": "「はっきりとその消滅を確認したわけではないため、\\n 油断は禁物だが、当面の危機は去ったものと判断している」",
"382000121_26": "「調査と検証は続けつつも、様子見といこう」",
"382000121_27": "「はい、分かりましたッ!」",
"382000121_28": "「こんにちはッ! 検査、終わりましたッ!」",
"382000121_29": "「すまない、君には面倒をかける」",
"382000121_30": "「いえいえ、そんなことはないですッ!\\n それに……」",
"382000121_31": "「ん?」",
"382000121_32": "「ここは奏さんの働いていた正義の組織ですからッ!\\n 来れる理由があるのは嬉しいですッ」",
"382000121_33": "「正確には、奏がいた頃とは別の組織なのだが――」",
"382000121_34": "「別の組織……ひょっとして、名前を変えて\\n 気持ちを新たにリニューアルされたとかッ」",
"382000121_35": "「まあ、その認識でも問題ないか。\\n ――それより、検査の結果を確認しよう」",
"382000121_36": "「そうでしたッ! どうだったでしょうかッ!?\\n あたし、なにか特殊な力に目覚めたりしてませんかッ」",
"382000121_37": "「ちょっと待ってくださいね。\\n 今、結果のデータを詳しく確認してみます」",
"382000121_38": "「……残念ですが、今回の検査で、\\n 新たに分かったことはありません」",
"382000121_39": "「そうなんですか……」",
"382000121_40": "「とはいえ、並行世界で怪物の位置を察知できたのには、\\n なにか理由があるはずです」",
"382000121_41": "「あれから、なにか変わったことはありませんか?」",
"382000121_42": "「う~ん……そうですね。最近ちょっと夢見が悪い気がしますが、\\n 特に変わったことはないですね」",
"382000121_43": "「あ、でもちゃんと毎日9時間は寝てるし、\\n ごはんもしっかり食べてるので、大丈夫ですッ」",
"382000121_44": "「規則正しい生活は、健全な肉体作りに欠かせませんからッ!」",
"382000121_45": "「フッ、それは結構。後は映画さえ見れば、鍛錬には十分だ」",
"382000121_46": "「それで強くなるのは司令だけですから……」",
"382000121_47": "「話を戻すが、まだ検査できていない項目もある。\\n また日を改め、調べさせてほしい」",
"382000121_48": "「はいッ! もちろん、協力させていただきますッ!」",
"382000121_49": "「苦労をかけてすまないな」",
"382000121_50": "「いえ、そんなことないです」",
"382000121_51": "「……この前は、シンフォギアを使えなくても、たくさん\\n 頑張って、なんとか装者の皆さんの力になることができました」",
"382000121_52": "「それは響先輩の言う通りでしたけど、もしまたイシムが\\n 現れた時、同じことができるかは分かりません……」",
"382000121_53": "「あたしには、装者の皆さんのような\\n 戦う力が無いから……」",
"382000121_54": "「出来れば、今度は皆さんと一緒に戦えるような\\n 『がんばり』がしたいんですッ 奏さんのように……ッ」",
"382000121_55": "「司令さん、あたしも歌の戦士に、\\n シンフォギア装者になることはできないでしょうかッ」",
"382000121_56": "「…………」",
"382000121_57": "「君が持つ正義感の強さは、並大抵のものではない。\\n それゆえに装者のように戦えない無力感も大きいのだろう」",
"382000121_58": "「しかし……装者になれる者は限られている。\\n 覚悟だけでは届かないものも、世の中にはあるんだ」",
"382000121_59": "「それに、もし装者になる方法があったとしても、\\n それは非常に危険なことだ。そう簡単には協力できん」",
"382000121_60": "「…………」",
"382000121_61": "「銃後の戦いも護りたいもののためにできる1つの方法だ。\\n だが、君はまだ学生……それも難しいだろう」",
"382000121_62": "「君が大人になった時、また門をたたいてほしい。\\n それまで踏ん張り続けるのが、俺たち大人の仕事だ」",
"382000121_63": "「……分かりました。\\n あたしは、今のあたしにできることを、がんばります……ッ」"
}

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@ -0,0 +1,33 @@
{
"382000131_0": "「出口までご案内しますね」",
"382000131_1": "「忙しい中、ありがとうございますッ!」",
"382000131_2": "「いえいえ。明日香さんのおかげで、装者の皆さんも\\n 無事に帰ってくることができたんです」",
"382000131_3": "「明日香さんは皆さんの恩人ですから、\\n これくらいはさせてください」",
"382000131_4": "(エルフナインさん、小さいのにしっかりしてるな)",
"382000131_5": "「そういえば、あの世界で見つけたケースは、\\n エルフナインさんが残したものだったんですよね」",
"382000131_6": "「そのようですね。\\n ……でも、ボクには見覚えがないんです」",
"382000131_7": "「たぶん、明日香さんたちが訪れた並行世界のボクが\\n 残したものでしょう」",
"382000131_8": "「ということは、何が入っているか分からないのですか……」",
"382000131_9": "「はい。開けようとはしているのですが、\\n 何重にもロックがかけられていて、手こずっています」",
"382000131_10": "「あたし、瓶の硬い蓋とかを開けるのは得意ですッ!\\n 試してみましょうか」",
"382000131_11": "「い、いえ、気持ちはありがたいのですが、\\n ケース自体の劣化が激しいので……」",
"382000131_12": "「無理に開けようとすれば、\\n 中のものを壊してしまうかもしれません」",
"382000131_13": "「なるほど、時間がかかっても、\\n 丁寧に開けるしかないということですね」",
"382000131_14": "「でも、それだけ厳重にしまわれているのだから、\\n 大事なものが入っているに違いありませんッ」",
"382000131_15": "「そうですね。\\n 並行世界のボクが、希望と呼んだ何か……」",
"382000131_16": "「そう聞いて、装者の皆さんは元気を取り戻していましたッ!\\n あんなに大変な状況だったのにッ」",
"382000131_17": "「きっとエルフナインさんは、\\n 皆さんに信頼されているんですねッ」",
"382000131_18": "「そ、それほどでも……」",
"382000131_19": "「そんなエルフナインさんがこんなに小さな子だったのには、\\n 正直びっくりしました」",
"382000131_20": "「ところで、子供は働けないって、さっき弦十郎さんに\\n 言われましたけど、エルフナインさんはどうしてここに」",
"382000131_21": "「ひょっとして……実はものすごく強いのですかッ!?」",
"382000131_22": "「い、いえ、ボクは戦うことはできないです。\\n だから、装者の皆さんのサポートをするぐらいです」",
"382000131_23": "「S.O.N.G.に所属させてもらっているのには、\\n 色々と込み入った事情がありまして……」",
"382000131_24": "(困りました……。\\n 説明するわけにもいかないですし……",
"382000131_25": "「分かりましたッ! 海外の有名な大学をその歳で\\n 卒業するほどの、大天才だったんですねッ」",
"382000131_26": "「えッ!? その、あの……」",
"382000131_27": "「いえいえ、みなまで言わずとも大丈夫です。\\n 類まれな頭脳を持っていらっしゃるなら、例外も納得です」",
"382000131_28": "「ち、ちが……」",
"382000131_29": "「装者を支える天才科学者ッ!\\n すごく尊敬しますッ」",
"382000131_30": "(どうしましょう……。\\n いつの間にか、尊敬されてしまいました……"
}

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@ -0,0 +1,20 @@
{
"382000141_0": "「ハァッ!」",
"382000141_1": "「随分と気合が入ってるわね」",
"382000141_2": "「あの並行世界で戦ったイシム……あれは圧倒的強さを誇っていた」",
"382000141_3": "「スサノオたちの力もあり、どうにか勝ちこそしたが\\n 辛勝だったのは否めない」",
"382000141_4": "「それに、やつが並行世界を渡る力を持っている以上、\\n 再びまみえることも考えられる」",
"382000141_5": "「その時は、アタシがアマテラスさんの力で\\n 返り討ちにしてやるデスッ」",
"382000141_6": "「やる気があるのはいいけど、無理はダメだよ」",
"382000141_7": "「月読の言う通りだ。与えられた力に頼っていては、\\n 足をすくわれるぞ」",
"382000141_8": "「う……調子に乗ってごめんなさいデス……」",
"382000141_9": "「あたしは少ししか戦ってないけど、確かにあれはやばかったな」",
"382000141_10": "「先の戦いで力になれなかった分、\\n わたしたちも力をつけましょう」",
"382000141_11": "(……あの世界は、『<ruby=みらい>未来</ruby>』の世界なんじゃないかって。\\n どうしても、その思いつきが頭を離れない",
"382000141_12": "(もし、本当にそうだとしたら、この世界もいずれ、\\n 同じ道を辿ることになっちゃうのかな……",
"382000141_13": "(わたしの考えすぎならいいんだけど……)",
"382000141_14": "(そういえば、あの世界のことが気になって、\\n 未来への手紙も書けてないんだ",
"382000141_15": "(プレゼントのマグカップも渡せてないし……)",
"382000141_16": "「どうしたの、ボーっとして?\\n 訓練中に考え事なんて、危ないよ」",
"382000141_17": "「ご、ごめん、そうだよね。集中集中ッ!」"
}

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@ -0,0 +1,104 @@
{
"382000142_0": "「それにしても、S.O.N.G.の本部って潜水艦の中なのに\\n ずいぶん広いですね。迷っちゃいそうです」",
"382000142_1": "「実はボクも、たまに迷ってしまって、\\n 友里さんや藤尭さんに助けてもらっているんです」",
"382000142_2": "「いたたたた……たんこぶできてないかな?」",
"382000142_3": "「訓練中に集中力を欠くからだ。\\n たるんでいるんじゃないか」",
"382000142_4": "「うー、面目次第もございません……」",
"382000142_5": "「響先輩ッ!」",
"382000142_6": "「明日香ちゃんッ!? 本部に来てたんだッ!」",
"382000142_7": "「検査のために来てもらっていたんです」",
"382000142_8": "「検査ッ!? なんともなかったッ!?」",
"382000142_9": "「はい。\\n 今のところなんの異常も認められませんでしたよ」",
"382000142_10": "「そっかー、なんともなくてよかったよッ!」",
"382000142_11": "「はい……なんともなかったです」",
"382000142_12": "「およ? なんだか、残念そうデスね?」",
"382000142_13": "「ひょっとしたら、検査で装者の素質が見つかるかも、\\n なんて期待していたので……」",
"382000142_14": "「明日香ちゃんは、\\n 奏さんに憧れているんだもんね……」",
"382000142_15": "「ただ、まだすべての検査が終わったわけではありませんので、\\n もう一度来ていただく予定です」",
"382000142_16": "「つまり、まだ望みはあるということですッ!」",
"382000142_17": "「だったら、くよくよしてる場合じゃありませんッ!」",
"382000142_18": "「あのような目に遭いながらも、戦うことに臆さないか。\\n 水流の勇気は本物だな」",
"382000142_19": "(だが、それゆえに危うさもある。\\n 無茶をしなければいいが……",
"382000142_20": "「なんだ? 先に行ったと思ったらこんなところで立ち話か?」",
"382000142_21": "「エルフナインと……あら、その子は」",
"382000142_22": "「こんにちは、水流明日香ですッ!」",
"382000142_23": "「そういや、顔は合わせちゃいたが、話すのは初めてだったな。\\n 雪音クリスだ」",
"382000142_24": "「マリア・カデンツァヴナ・イヴよ。よろしくね」",
"382000142_25": "「あの、お2人もシンフォギア装者なんですよねッ!?」",
"382000142_26": "「え、ええ、そうだけど」",
"382000142_27": "「これで7人の装者が勢ぞろいですねッ!",
"382000142_28": " お2人はどんな武器で戦うんですかッ!?」",
"382000142_29": "「――へ? ああ……。\\n あたしは銃なんかの飛び道具専門だけど……」",
"382000142_30": "「銃ッ! なるほど、遠距離からの援護も重要ですもんねッ!\\n マリアさんはッ」",
"382000142_31": "「わたしは剣が主な武器ね」",
"382000142_32": "「なるほどッ! 翼さん以外にも剣使いがッ!\\n 戦闘スタイルにどのような違いがあるのか気になりますッ」",
"382000142_33": "「お2人も歌を唄いながら戦うんですよね?\\n あの歌は、自分で考えてるんですか それとも……」",
"382000142_34": "「ちょ、ちょっと待て、食いつき過ぎだッ!\\n 少しは落ち着けッ」",
"382000142_35": "「あ……すみません。\\n ついつい……」",
"382000142_36": "「ったく、やかましいのは間に合ってんだよ。\\n 猪武者は人で十分だ」",
"382000142_37": "「クリスちゃん、確かに翼さんは武者って感じだけど、\\n シシはひどいと思うな」",
"382000142_38": "「お前のことだよッ!」",
"382000142_39": "「えぇッ!? なんでッ!?」",
"382000142_40": "「なんだか、いつもの日常に帰ってきたって気がするね」",
"382000142_41": "「うんうん、平和が一番デース」",
"382000142_42": "「な、何が起きたデスかッ!?」",
"382000142_43": "「ただ事じゃないのは確かだな。\\n よりによって、客がいる時に――」",
"382000142_44": "「明日香ちゃん、大丈夫だからねッ!\\n わたしたちがついているからッ」",
"382000142_45": "「ありがとうございますッ!",
"382000142_46": " それにしても、さっきの揺れとこの警報……」",
"382000142_47": "「ひょっとして、異常進化したイルカの襲撃でしょうかッ!?\\n ならばあたしも、微力ながら助太刀しますッ」",
"382000142_48": "「たぶんそれは違うと思う……」",
"382000142_49": "「まずは、状況の把握が必要ね」",
"382000142_50": "「ああ。なにより、水流を巻き込むわけにはいかない。\\n ひとまず、我々で警護しながら発令所まで向かうぞ」",
"382000142_51": "「わ、分かりました」",
"382000142_52": "「それじゃあ、こっちに――」",
"382000142_53": "「――ッ!?\\n 壁に穴がッ」",
"382000142_54": "「誰かいる……ッ!?",
"382000142_55": " 響、気をつけてッ!」",
"382000142_56": "「侵入者ッ!?」",
"382000142_57": "「おいおい、まさか1人で乗り込んで来たってのかッ!?」",
"382000142_58": "「……見つけたぞ、明日香」",
"382000142_59": "「え……?」",
"382000142_60": "「ま、まさか……、\\n あいつがここまで追ってきたのッ」",
"382000142_61": "「明日香ちゃん、わたしたちの後ろにッ!」",
"382000142_62": "「やるしかないデスッ!\\n ギアを纏って――」",
"382000142_63": "「その必要はない」",
"382000142_64": "「師匠ッ!?」",
"382000142_65": "「下がっていろ。俺が相手をする」",
"382000142_66": "「…………」",
"382000142_67": "「いくぞ。",
"382000142_68": " ……はぁああッ!」",
"382000142_69": "「……ッ!」",
"382000142_70": "「なんという衝撃……ッ!」",
"382000142_71": "「ひええ……司令の本気の攻撃って、\\n やりすぎデスよ……ッ」",
"382000142_72": "「あの侵入者、まだ立っているわッ!\\n 司令の一撃を受けきったというのッ」",
"382000142_73": "「いったい、何と戦って……?」",
"382000142_74": "「え? あれって……」",
"382000142_75": "「イシムじゃ……ないッ!!」",
"382000142_76": "「普通の……人間?」",
"382000142_77": "「ただの人間がおっさんの拳を\\n 受け止めたってのかよッ」",
"382000142_78": "「――ッ!!」",
"382000142_79": "「え、嘘……ッ!?」",
"382000142_80": "「おおッ!」",
"382000142_81": "「ふんッ!」",
"382000142_82": "「距離をとれッ! 近づき過ぎれば拳圧に巻き込まれ、\\n ただでは済まなくなるぞッ」",
"382000142_83": "「ぜあッ!!」",
"382000142_84": "「デデデデースッ!? 爆弾でも使ったみたいに、\\n 壁がキレイさっぱりはじけ飛んだデスッ」",
"382000142_85": "「まずいな……このままでは、このフロアが丸ごと\\n 破壊されかねない……ッ」",
"382000142_86": "「それどころか、本部が沈没してしまう恐れもあります……ッ!」",
"382000142_87": "「な、なんとかして2人を止めないとッ!」",
"382000142_88": "「止めるったって、どうやってだよッ!?\\n あたしら全員がギアを纏っても手に負えるかどうか……」",
"382000142_89": "「…………」",
"382000142_90": "「……どうした? 来ないのか?」",
"382000142_91": "「……思ったほど衰えてはいないようだな。\\n ……風鳴弦十郎」",
"382000142_92": "「お前こそ。むしろ拳のキレは増しているか」",
"382000142_93": "「……え? 師匠の名前を知ってる?」",
"382000142_94": "「もしかして……知り合い、なんですか?」",
"382000142_95": "「ああ。この男は<ruby=ちゃくらのりすけ>茶蔵紀輔</ruby>と言ってな。昔、何度か――」",
"382000142_96": "「師範ッ!」",
"382000142_97": "「……なに?」",
"382000142_98": "「……え?」",
"382000142_99": "「水流……今、なんと?」",
"382000142_100": "「この人は、あたしが武術を教わった師範なんですッ!」",
"382000142_101": "「……えぇえええええーッ!?」"
}

View file

@ -0,0 +1,42 @@
{
"382000211_0": "望まぬ再戦",
"382000211_1": "「なんで師範がここにいるんですか……ッ!?」",
"382000211_2": "「なんでも何も、お前を追ってきたんだろうが」",
"382000211_3": "「え、あたしを……?」",
"382000211_4": "「お前は頭は足りねぇが、修行に関しちゃ\\n バカがつくほど真面目に励んできた」",
"382000211_5": "「けど、最近のお前はどうだ? しょっちゅう適当な理由\\n つけちゃあ、修行を休んでどっかへ行きやがる」",
"382000211_6": "「あ、それは……」",
"382000211_7": "「今朝、お前が怪しい黒塗りの車に乗せられるのを見た」",
"382000211_8": "「お前はバカだからな。大方、誰かに騙されて厄介ごとにでも\\n 巻き込まれたんだろうと踏んで、後をつけたんだよ」",
"382000211_9": "「そしたら、怪しい船の中に入っていくじゃねぇか」",
"382000211_10": "「要するに、明日香ちゃんが心配だったってことだよね」",
"382000211_11": "「だからって、いきなり壁を破らなくてもいいのでは……」",
"382000211_12": "「――あ?\\n 俺のやり方に文句があるのか」",
"382000211_13": "「な、ないデスッ!」",
"382000211_14": "「師範、誤解ですッ! ここは怪しい船なんかじゃありませんッ!\\n 政府公認の正義の組織ですッ」",
"382000211_15": "「んなもん、思いっきり怪しいじゃねぇか。\\n まあ、なんであれ俺には関係ねえ」",
"382000211_16": "「俺が他人を測る基準は、\\n 強いか弱いか、それだけだ」",
"382000211_17": "「変わってないな、茶蔵」",
"382000211_18": "「そういえば、司令も知り合いのようでしたが、\\n いったいどのような関係が」",
"382000211_19": "「俺がまだ若かったころ、何度か拳を交えたことがあってな。\\n 結局、決着はつかずじまいだったが」",
"382000211_20": "「ありゃあ、てめぇが俺の修行場に踏み込んできたのが原因だ」",
"382000211_21": "「あそこは山籠もりするには持ってこいだからな。\\n しかし毎日のように襲撃されて、気が休まる暇もなかったぞ」",
"382000211_22": "「野生の熊の相手もよかったが、もっと骨がある獲物が\\n 見つかったんだ。逃がすわきゃねぇだろが」",
"382000211_23": "「俺と対等に渡り合える相手が見つかったと思ってな、\\n そりゃあ嬉しかったわけよ」",
"382000211_24": "「山から下りた後も、こいつとなら\\n 技を高め合っていけるってな」",
"382000211_25": "「だってのに、こいつは政府の組織に入っちまった。\\n 武の道を捨てて、政府の犬なんぞになりやがって……」",
"382000211_26": "「山籠もりに熊って……いったい何の話なの?」",
"382000211_27": "「考えたら負けだ。\\n このおっさんたちに常識が通じると思わない方がいい」",
"382000211_28": "「武の道を捨てたというが、別に俺は一度もお前と\\n 志を同じくしたつもりは無いがな」",
"382000211_29": "「まあ、それはいい。\\n てめぇが誰の犬になろうが、てめぇの自由だ」",
"382000211_30": "「けどな、俺の弟子をたぶらかそうってんなら……、\\n それは見逃しちゃおけねぇな」",
"382000211_31": "「その前に話を聞け。\\n ……と言っても、聞くような男ではなかったな」",
"382000211_32": "「い、いけませんッ! さっきみたいな戦いを再開したら、\\n 今度こそ本部が沈んでしまいます……ッ」",
"382000211_33": "「冗談じゃないわッ! 止めるわよ、みんなッ!」",
"382000211_34": "「おっさん同士のケンカで本部が沈んじまったら、\\n 笑い話にもならないぞッ」",
"382000211_35": "「し、師範ッ! 止まってくださいッ!\\n 別にあたし、たぶらかされてるとかじゃありませんからッ」",
"382000211_36": "「――あぁ?」",
"382000211_37": "「あたしが師範の弟子であることは変わらないですッ!」",
"382000211_38": "「ただちょっと事情があって……。\\n とにかく、回その殺気をひっこめてくださいッ」",
"382000211_39": "「……チッ」"
}

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@ -0,0 +1,77 @@
{
"382000221_0": "「……なんとか、矛を収めてくれたな」",
"382000221_1": "「とりあえず、勝負は預けといてやる。こう周りが\\n ピーピーうるさかったら、落ち着いてケンカもできやしねぇ」",
"382000221_2": "「だから、ケンカしないでくださいッ!\\n ここの皆さんはあたしの恩人なんですからッ」",
"382000221_3": "「まったく、難儀な師範だな……」",
"382000221_4": "「でも、ちょっと納得しちゃったな」",
"382000221_5": "「納得って、なにが?」",
"382000221_6": "「明日香ちゃんの強さだよ。師匠と互角に戦える茶蔵さんの\\n 稽古を受けていたんなら、あれだけ強いのも当然だよね」",
"382000221_7": "「確かに。未知の怪物に立ち向かっていく豪胆さの理由が\\n 垣間見えたな」",
"382000221_8": "「しかし、お前が弟子をとるとは、らしくないな。\\n 自分の強さにしか興味がないと思っていたが」",
"382000221_9": "「お前は、彼女の『夢』を応援しているのか?」",
"382000221_10": "「正義のヒーローになるってやつか?",
"382000221_11": " バカ言え。そんな下らないもの、俺が後押しするかよ」",
"382000221_12": "「下らなくなんてないですッ!」",
"382000221_13": "「ふん」",
"382000221_14": "「あの、それじゃあ、どうして茶蔵さんは武道を極めようと\\n しているんですか」",
"382000221_15": "「誰かのための拳じゃないのに、人生を懸けて強くなろうとする。\\n ……それはいったい、なんのために」",
"382000221_16": "「なんのため、か……」",
"382000221_17": "「いいか、よく聞きな、お嬢ちゃん」",
"382000221_18": "「はいッ!」",
"382000221_19": "「俺はよ……もともと格闘ゲームが好きでな」",
"382000221_20": "「……はい?」",
"382000221_21": "「来る日も来る日もゲーセンに通いつめ、血の滲むような鍛錬を\\n 続けた俺は、格闘ゲームを極め……やることが無くなった」",
"382000221_22": "「だから俺は、ゲームの次は現実世界を拳で\\n 攻略することにしたんだ」",
"382000221_23": "「つ、つまり茶蔵さんにとって、\\n 武道はゲームの延長っていうことなんですか……」",
"382000221_24": "「ああ、そうだ。現実だってゲームと同じだ。自分を操作する\\n 感覚で身体を動かせば、コンクリだって拳で砕ける」",
"382000221_25": "「な、なんとッ! そうだったのデスねッ!」",
"382000221_26": "「切ちゃん……たぶん、茶蔵さん以外には無理だから、\\n 真似しちゃダメだよ」",
"382000221_27": "「おっさんとなんとなく似てる気がしてたけど、\\n これで理由が分かったな」",
"382000221_28": "「あー……師匠の修行って、映画を見ることだもんね」",
"382000221_29": "「類が友を呼んだ、というところね」",
"382000221_30": "「映画を見て強くなるのも、ゲーム感覚で強くなるのも、\\n どっちも同じレベルの変態だな」",
"382000221_31": "「一緒にするんじゃねぇよッ!」",
"382000221_32": "「映画は良いものだぞ、クリスくん」",
"382000221_33": "「映画の話はいいんだよッ! 話が脱線するだろッ!」",
"382000221_34": "「む……それもそうだな」",
"382000221_35": "「……とにかく、俺が言いてぇのはだ」",
"382000221_36": "「武の道ってのは、正義なんて混ざりものの入る余地が\\n ないくらい、シンプルで純粋なもんってことだ」",
"382000221_37": "「強さの探求そのものが、現実世界を拳ひとつで\\n 攻略するってことよ」",
"382000221_38": "「でも、それならどうして正義のヒーローを目指す\\n 明日香ちゃんを弟子にとったんですか」",
"382000221_39": "「そりゃ気まぐれだ。才能はあったしな」",
"382000221_40": "「……それに、正直俺は退屈してた。世界中を旅してまわったが、\\n ラスボスに相応しい強さのやつは、意外といないもんだ」",
"382000221_41": "「いっそ俺がラスボス側に回って、世界を相手にケンカを売るのも\\n 悪かねぇかと思ってたところに、こいつが現れやがった」",
"382000221_42": "「もしも明日香を俺と同じレベルにまで育てることができりゃ、\\n 倒す敵が増えて、楽しくなるだろ」",
"382000221_43": "「とんでもない師弟関係ね……」",
"382000221_44": "「それはともかくだ。明日香くん、そういえば君の両親は\\n 海外出張中で、道場に下宿しているんだったな」",
"382000221_45": "「はい。師範の道場の敷地内に間借りしています」",
"382000221_46": "「つまり、茶蔵が保護者になるというわけだな。\\n ……であれば、事情を隠し続けるわけにもいかないか」",
"382000221_47": "「よろしいのですか?」",
"382000221_48": "「構わん。誰彼構わず吹聴して回る男でもない。\\n それに……」",
"382000221_49": "「明日香くんを呼ぶたびに、本部を破壊されてはかなわんだろう」",
"382000221_50": "「……以上の事情により、明日香くんを検査する必要があった」",
"382000221_51": "「イシムとかいう怪物に、並行世界だと……?」",
"382000221_52": "「……なるほどな」",
"382000221_53": "「理解してくれたか?」",
"382000221_54": "「……ふざけんなッ!\\n そんな与太話、誰が信じるかッ」",
"382000221_55": "「取り付く島もないデス……」",
"382000221_56": "「師範ッ! あたしが装者の皆さんに助けられたのは本当ですッ!\\n それに、協力したいのはあたしの意志ですッ」",
"382000221_57": "「バカ言ってんじゃねぇッ! そんなよく分からんものに\\n 惑わされてる暇があったら、真面目に修行しろッ」",
"382000221_58": "「もうッ! 師範の分からず屋ッ!」",
"382000221_59": "「なんだとッ!?」",
"382000221_60": "「修行を休んじゃったのは悪かったですけど、\\n あたしは――」",
"382000221_61": "【ドクンッ――】",
"382000221_62": "「……ッ!」",
"382000221_63": "「……明日香?」",
"382000221_64": "「この気配……間違いありませんッ!」",
"382000221_65": "「ひょっとして……ッ!?」",
"382000221_66": "「はい……あいつらですッ!\\n イシムの生み出した怪物の気配がしますッ」",
"382000221_67": "「なんデスとッ!? それじゃあ、アタシたちはイシムを\\n 倒しきれていなかったってことデスかッ」",
"382000221_68": "「今度は、この世界に攻めてきた……?」",
"382000221_69": "「落ち着け。状況は不明だ。\\n ひとまずここは対処にあたるべきだろう」",
"382000221_70": "「俺だ。\\n ……うむ、分かった。至急、対処にあたろう」",
"382000221_71": "「今の連絡は?」",
"382000221_72": "「正体不明の何者かによる破壊活動を確認したとのことだ。\\n ポイントは市街地からは離れているが、放ってはおけん」",
"382000221_73": "「……ッ!」",
"382000221_74": "「装者たちは現場へ急行してくれッ!」"
}

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@ -0,0 +1,12 @@
{
"382000231_0": "「あそこだッ!」",
"382000231_1": "「あの怪物は……ッ!」",
"382000231_2": "「やっぱり、明日香ちゃんの\\n 感覚は間違いじゃなかったんだね……」",
"382000231_3": "「じゃあ、あれが並行世界で戦ったって言う、\\n イシムの眷属なんだなッ」",
"382000231_4": "「はい……ッ!\\n ただ、あの世界で戦ったのと、色が違うような……」",
"382000231_5": "「衣替えしたデス?」",
"382000231_6": "「いずれにせよ、人にあだなす輩であることに変わりはない」",
"382000231_7": "「それなら、やることは同じッ!」",
"382000231_8": "「街まで行く前に、ここで――ッ!」",
"382000231_9": "「Balwisyall Nescell gungnir tron――」"
}

View file

@ -0,0 +1,37 @@
{
"382000232_0": "「正体不明の怪物を、報告にあった敵性体と断定。\\n 今後『イシムの眷属』と呼称しますッ」",
"382000232_1": "「装者たち、イシムの眷属と交戦開始ッ!」",
"382000232_2": "「皆さん、どうか負けないで……ッ!」",
"382000232_3": "「どうだ、茶蔵。これでもまだ、下らないと一蹴するか?」",
"382000232_4": "「……俺は他人から聞かされた与太話は信じないと言ったんだ。\\n 自分の目で見たことは信じてやる」",
"382000232_5": "「……しかし、怪物っつうからどんなもんかと思ったが、\\n 群れてるだけで匹は大したことねぇな」",
"382000232_6": "「もうちょっと骨がある相手なら、\\n 暇つぶしに相手してもよかったんだがな」",
"382000232_7": "「あの、司令……めちゃくちゃ言ってるこちらの人は、\\n いったい何者ですか」",
"382000232_8": "「昔のケンカ仲間、といったところだな」",
"382000232_9": "(装者の皆さんが戦ってるのに、あたしはなにもできない……)",
"382000232_10": "(戦えないことは、\\n やっぱり、悔しい……",
"382000232_11": "「あ、あれ……?」",
"382000232_12": "「おっと。大丈夫か?」",
"382000232_13": "「は、はい、すみません」",
"382000232_14": "「検査を受けてもらった後だ。疲れているんだろう。\\n 仮眠室で休んでもいいが……」",
"382000232_15": "「いえッ、皆さんの戦い、最後まで見届けますッ!」",
"382000232_16": "「そうか。だが、くれぐれも無理はしないように」",
"382000232_17": "(しかし……妙だな。イシムが生み出した眷属は、\\n 本能のままに動く獣のようだったという話だが……",
"382000232_18": "「くッ……! なかなかどうして、厄介な動きをするッ!」",
"382000232_19": "「翼さんッ!」",
"382000232_20": "「立花も気づいたか」",
"382000232_21": "「はいッ! 1体1体の強さは並行世界で戦ったやつと\\n 変わりありませんッ でも――ッ」",
"382000232_22": "「つぅ……ッ!」",
"382000232_23": "「響ッ!」",
"382000232_24": "「ありがとう、助かったよッ!」",
"382000232_25": "「ううん。それより、隙を見せないように戦わないとッ!」",
"382000232_26": "「明らかに統率のとれた動き……報告と違うわね」",
"382000232_27": "「大人しくハチの巣になりやがれッ!」",
"382000232_28": "「ちょこまかと動き回りやがってッ!」",
"382000232_29": "「前に戦った時は、\\n 統率なんてない獣みたいだったのに……ッ」",
"382000232_30": "「ああ、もうッ! 大人しく切り刻まれるデスよッ!」",
"382000232_31": "「……このまま長引くのはまずいな。\\n 切り札の使い時か」",
"382000232_32": "「一気に勝負をしかけるぞ」",
"382000232_33": "「なにか考えがあるの?」",
"382000232_34": "「ああ。スサノオたちより託された、奥の手を使う」"
}

View file

@ -0,0 +1,15 @@
{
"382000311_0": "絶望のミライ",
"382000311_1": "「スサノオたちから託された奥の手……。\\n それって、並行世界で手に入れたっていう」",
"382000311_2": "「ああ。彼らが託してくれた、最後の力……その灯し火は、\\n 今もこの胸に宿っている」",
"382000311_3": "「この怪物たちがイシムの眷属と同質であらば、\\n スサオの炎で焼き尽くせぬ道理はないッ」",
"382000311_4": "「暁、月読ッ! いけるなッ!?」",
"382000311_5": "「もちろんデスッ!\\n アマテラスさんの力で、目にもの見せてやるデスッ」",
"382000311_6": "「ツクヨミさんが託してくれた力……。\\n もう一度、わたしに応えてッ」",
"382000311_7": "「これがガーディアンたちの力かよ……ッ!\\n とんでもねぇなッ」",
"382000311_8": "「さすがはアヌンナキが遺した並行世界の守護者ね……ッ!」",
"382000311_9": "「見てッ! イシムの眷属たちも警戒してるみたいだよッ!」",
"382000311_10": "「天敵だって見抜いたわけか。\\n こりゃ、あたしらはサポートに徹した方がよさそうだな」",
"382000311_11": "「わたしたちが群れを切り崩し、連携を絶つッ!\\n 皆は各個撃破をッ」",
"382000311_12": "「了解ッ!!」"
}

View file

@ -0,0 +1,19 @@
{
"382000312_0": "「スサノオの劫火を宿した一撃、受けてみよッ!」",
"382000312_1": "「やったデースッ! 一網打尽とはこのことデースッ!」",
"382000312_2": "「もう、眷属はいないみたい……ひとまずは安心、かな」",
"382000312_3": "「ああ……だけど、問題はここからだ。\\n この世界にもイシムの眷属が現れたんだからな」",
"382000312_4": "「並行世界のイシムが蘇り、こちらへやってきた、\\n ということかしら」",
"382000312_5": "「だとすれば、あいつらの襲撃はこれで終わりじゃない……」",
"382000312_6": "「むしろ、始まりと受け取るべきでしょうね」",
"382000312_7": "「あの並行世界はイシムにより滅びを迎えていた。\\n この世界が同じ運命をたどることは、絶対に避けねばならない」",
"382000312_8": "「また、イシムとも戦うことになるかもしれないんですね……」",
"382000312_9": "「だ、大丈夫デスよッ! 今はクリス先輩やマリアも一緒デスし、\\n このギアだってあるんデスからッ」",
"382000312_10": "「確かにこのギアはイシムの眷属に有効だ。",
"382000312_11": " だが……再び纏って分かったが、これはかなり消耗が激しい」",
"382000312_12": "「い、言われてみれば、\\n いつも以上に体力を消耗してる気がするデス……」",
"382000312_13": "「多量のフォニックゲインを必要とする以上、乱用は禁物。\\n ここぞという時の切り札として温存せねばなるまい」",
"382000312_14": "「戦力の運用も含めて、今後の方針を本部で話し合う必要が\\n ありそうね。ここは一度、帰投しましょう」",
"382000312_15": "(この世界にもイシムの眷属が現れてしまった……)",
"382000312_16": "(あの並行世界は、やっぱり――)"
}

View file

@ -0,0 +1,66 @@
{
"382000321_0": "「お前たち、ご苦労だった。\\n さっそくで悪いが、今後の方針を話し合いたい」",
"382000321_1": "「イシムの眷属……やっぱりあれは、\\n この前の並行世界から来たんでしょうか」",
"382000321_2": "「――藤尭」",
"382000321_3": "「イシムの眷属の出現に際し、\\n 以前観測したような空間の歪曲現象は観測されていません」",
"382000321_4": "「つまり、並行世界から来たのではない……。\\n すると、この世界で生まれた存在ということですか」",
"382000321_5": "「その可能性もある、ということだ」",
"382000321_6": "「ただ問題は、イシムの眷属自体は\\n 計器になんの反応も示さないことです」",
"382000321_7": "「今回は破壊活動を早期に発見することで、\\n 位置を特定できたにすぎません」",
"382000321_8": "「眷属が他にもいるのか、それを生み出しているであろう\\n イシム本体がどこに潜んでいるかも分からない、というわけね」",
"382000321_9": "「どこかで密かに眷属を増やし続けている、\\n ということも考えられるな」",
"382000321_10": "「そ、それじゃあ眷属が津波みたいに押し寄せることも\\n あるっていうことデスかッ」",
"382000321_11": "「あくまで可能性の話ではあるがな」",
"382000321_12": "「であれば、ますますもって、スサノオたちの力の運用は\\n 慎重にならざるを得ないな……」",
"382000321_13": "「並行世界で戦った際、確かな手ごたえはあったが……、\\n しとめ損ねていたとはな。口惜しい限りだ……ッ」",
"382000321_14": "「あれだけ攻撃を喰らわせたのに、\\n どれだけタフなんデスかッ」",
"382000321_15": "「みんな。ちょっと、いいですか?」",
"382000321_16": "「ん? どうした?」",
"382000321_17": "「もしかして、なんですけど……」",
"382000321_18": "「さっきの眷属を生み出したのは、並行世界で戦ったイシムじゃ\\n なくて、この世界の……」",
"382000321_19": "「この時間のイシムなんじゃないでしょうか?」",
"382000321_20": "「この時間の……?\\n どういうことだ」",
"382000321_21": "「つまり……この前行ったのは別の並行世界じゃなくて、\\n この世界の<ruby=みらい>未来</ruby>の姿だったんじゃないかって思うんですッ!」",
"382000321_22": "「――ッ!」",
"382000321_23": "「そう考えると、納得がいくことが\\n いろいろとあるなって……ッ」",
"382000321_24": "「なんとッ! それじゃあ、知らないうちにアタシたち、\\n タイムスリップしてたということデスかッ」",
"382000321_25": "「驚きの展開……」",
"382000321_26": "「おいおい、ちょっと待てよ。\\n その仮説はSFが過ぎるぞッ」",
"382000321_27": "「いえ……そうとも言い切れません」",
"382000321_28": "「ギャラルホルンによる並行世界転移に慣れていたせいで\\n ボクも今の今まで思い至りませんでしたが……」",
"382000321_29": "「もしも未知の聖遺物が絡んでいるとしたら、\\n ありえないことでは無いのかもしれません」",
"382000321_30": "「マジか……」",
"382000321_31": "「確かに、あの世界は建造物の経年劣化がすさまじかった」",
"382000321_32": "「多少歴史に違いがあったところで、\\n あそこまで朽ち果てるものだろうか」",
"382000321_33": "「それに、あの世界ではわたしたちの世界と同じことが、\\n いくつも起こっていた……」",
"382000321_34": "「うん。壊れたカ・ディンギルに、チフォージュ・シャトー……。\\n 今までの並行世界は、ここまでそっくりじゃなかった」",
"382000321_35": "「そういえば、戻ってきた時、こっちの世界ではほとんど\\n 時間が経っていなかった……」",
"382000321_36": "「アタシたちは3日もサバイバルしたのに、\\n こっちでは時間しか経っていなかったデスッ」",
"382000321_37": "「重ねて言うなら、今も眠っているはずのガーディアンが、\\n 向こうでは目覚めていた」",
"382000321_38": "「ガーディアンは並行世界を護る存在……。\\n 並行世界全体で、体しかいないはずなのにね」",
"382000321_39": "「なるほど……ここまで状況が揃えば、非科学的だと\\n 決めてかかるのも、かえって危険なのかもしれんな」",
"382000321_40": "「あくまで1つの説として考えておきたいが」",
"382000321_41": "「その場合、イシムは……」",
"382000321_42": "「きっと、<ruby=みらい>未来</ruby>のエルフナインちゃんが書いてくれた\\n 歴史の始まりが、今なんだ……」",
"382000321_43": "「……遥か昔、闇の神は現れました。\\n その名は『イシム』」",
"382000321_44": "「イシムは無数の眷属を生み出し、\\n 人々を襲いました」",
"382000321_45": "「殺戮を続けるイシムの暴虐から人々を護ろうと、\\n 人の『天使』が立ち上がります」",
"382000321_46": "「しかし、闇の神の大いなる力の前に\\n 天使の羽根は為す術もなく折られてしまうのです」",
"382000321_47": "「希望が潰えたかに思えた時、三柱の守り神が現れました」",
"382000321_48": "「守り神と闇の神の争いは長きに渡り続き、\\n 人々は守り神の加護によりその小さき命を永らえています」",
"382000321_49": "「しかし、守り神の加護も限界が近いようです。\\n やがて、我々人類の歴史は終焉を迎えるでしょう……」",
"382000321_50": "「先日戦ったイシムは、ずっと<ruby=みらい>未来</ruby>の、\\n 人類を滅ぼした後のイシム――」",
"382000321_51": "「そして、先ほどの眷属を生み出しているのが、\\n この時代に現れたイシムと言うことか……」",
"382000321_52": "「えーっと、えーっと……」",
"382000321_53": "「そうだッ!\\n アタシで例えてみるデスッ」",
"382000321_54": "「この前戦った、赤い眷属を生み出してたのが、\\n おばあちゃんのアタシ」",
"382000321_55": "「ついさっき戦った、青い眷属を生み出してるのが、\\n 今の、歳のアタシ……ってことデスッ」",
"382000321_56": "「なんで自分で例えた……。\\n でもまあ、そう言うことなんじゃないか」",
"382000321_57": "「<ruby=みらい>未来</ruby>のイシムが、どうしてこの時代に\\n タイムスリップしてきたのかは、分からないですけど……」",
"382000321_58": "「でも、よく思いついたね。みんな並行世界だと思い込んで、\\n タイムスリップなんて考えてもなかったのに」",
"382000321_59": "「響先輩、すごいですッ!\\n 強い上に、頭も回るんですねッ」",
"382000321_60": "「……。\\n 今回ばかりは、つっこめねぇ……」",
"382000321_61": "「そう思ったのはね。\\n 向こうの本部に、未来に渡そうとしていたマグ――」",
"382000321_62": "「あッ、ううんッ! やっぱりなんでもないッ!\\n 要するに、ピンと来ちゃったんだよね……ッ」",
"382000321_63": "「…………?」"
}

View file

@ -0,0 +1,71 @@
{
"382000331_0": "「あの並行世界がこの世界の<ruby=みらい>未来</ruby>の姿だということは……」",
"382000331_1": "「アタシたちはこの後、イシムと戦って\\n 負けてしまうということデスよね」",
"382000331_2": "「うん……わたしたち装者が負けた後も、\\n 人類は戦い続けるけど、結局世界は……」",
"382000331_3": "「うー、そんなの絶対に嫌デスッ!」",
"382000331_4": "「落ち着け。まだそうと決まったわけじゃないんだ」",
"382000331_5": "「あの世界で読んだ記録では、戦っていたのは7人の天使……。\\n やっぱりあたしは、なにもできないまま……」",
"382000331_6": "「強いやつが勝ったってんなら、なにも変な話じゃねぇ。\\n それが世界のルールだろうよ」",
"382000331_7": "「また師範はそうやって……」",
"382000331_8": "「<ruby=みらい>未来</ruby>、か……」",
"382000331_9": "「どうかしたの?」",
"382000331_10": "「思い出してたんだ、シェム・ハさんとの約束」",
"382000331_11": "「答えよ。\\n なぜつに融け合うことを拒むのか」",
"382000331_12": "「わたしたちは、簡単に分かりあえないからこそ、\\n 誰かを大切に想い、好きになることができるッ」",
"382000331_13": "「その気持ちは、誰にも塗り潰されたくないッ!」",
"382000331_14": "「それが原因で、\\n <ruby=みらい>未来</ruby>にまた、傷つき苦しむことになってもか?」",
"382000331_15": "「――ッ……」",
"382000331_16": "「だとしても。\\n わたしたちは傷つきながらも自分の足で歩いていける」",
"382000331_17": "「神様も知らない光で、歴史を作っていけるから」",
"382000331_18": "「ならば責務を果たせよ。\\n お前たちが、これからの<ruby=みらい>未来</ruby>を司るのだ」",
"382000331_19": "「わたしはシェム・ハさんに、\\n 人の手で<ruby=みらい>未来</ruby>を作っていくって約束した。だから……」",
"382000331_20": "「<ruby=みらい>未来</ruby>をあんな希望のない世界にしちゃいけないんだッ!」",
"382000331_21": "「うん……。\\n わたしも、あんな<ruby=みらい>未来</ruby>は絶対に認めたくない」",
"382000331_22": "「シェム・ハさんが託してくれたこの世界の<ruby=みらい>未来</ruby>が、\\n あんなものであっていいはずないッ」",
"382000331_23": "「で、でも、実際にあの世界のアタシたちは、\\n イシムに負けてしまっているんデスよね……」",
"382000331_24": "「あれが<ruby=みらい>未来</ruby>の世界だとしても、まったく同じじゃないはずだよ。\\n わたしたちは、イシムのことを知っているッ」",
"382000331_25": "「滅びへの道筋を知っているのなら、\\n それを避けることもできるということね」",
"382000331_26": "「はいッ! それに、わたしたちには、\\n あの世界にはなかった希望があるッ」",
"382000331_27": "「アマテラスさんたちの力……。\\n ガーディアンギアのことデスねッ」",
"382000331_28": "「この時代のガーディアンたちは未だ眠りの中にある。\\n 既に歴史は変わっているということか」",
"382000331_29": "「<ruby=みらい>未来</ruby>が唯一絶対のものじゃないことは、既に証明されている。\\n いい兆候じゃない」",
"382000331_30": "「後ろ向きなのは性に合わないしな。\\n 誰が黙って負けてやるかってんだよ」",
"382000331_31": "「それに、希望だったらもう1つある……」",
"382000331_32": "「もう1つ……?\\n ……あ」",
"382000331_33": "「あのケースの中身、ですね」",
"382000331_34": "「そうだよッ! <ruby=みらい>未来</ruby>のエルフナインちゃんが『希望』って\\n 言ってたんだもんッ すごいものが入ってるかもッ」",
"382000331_35": "「ガーディアンギアと並ぶ、もう1つの希望か。\\n 確かに、この局面においては期待がかかるが……」",
"382000331_36": "「エルフナインに頼らざるを得ないけど……大丈夫?」",
"382000331_37": "「お心遣いありがとうございます。ですが……」",
"382000331_38": "「<ruby=みらい>未来</ruby>のボクが、希望として残したもの。\\n これを解析するのは、ボクの役目です」",
"382000331_39": "「必ず、なんとかしてみせますッ!」",
"382000331_40": "「ボクはさっそく研究室で解析を進めますので、これで」",
"382000331_41": "「我々は来たるイシムの眷属の再出現に備え、\\n 訓練に励むとしよう」",
"382000331_42": "「統率のとれた相手と戦うには、連携がより重要になるわね。\\n そのあたりを重点的に見直しましょう」",
"382000331_43": "「茶蔵、成り行きで聞かせてしまったが、\\n 分かっているな」",
"382000331_44": "「ああ、別に、そんなこと吹聴するつもりは\\n もとよりねえよ」",
"382000331_45": "「それにしても、全然怖くないんですか?\\n 世界が滅びるかもしれないのに……」",
"382000331_46": "「逆だな。\\n むしろ、ちょっとした楽しみができたぜ」",
"382000331_47": "「え? 楽しみ……?」",
"382000331_48": "「群れるばかりのあの眷属とやらには興味はねぇが……」",
"382000331_49": "「イシムってのが世界を滅ぼすほど強いってんなら、\\n 真っ向から戦いたいところだ」",
"382000331_50": "「えぇッ!?」",
"382000331_51": "「司令とはまた違った豪胆さね……」",
"382000331_52": "「そういや、お前さんらもなかなかの強さだったな」",
"382000331_53": "「あッ、師範、果たし合いなんてダメですよッ!」",
"382000331_54": "「わぁってるよ。政府の犬はお行儀がいいからな。\\n 理由がなければ戦えねぇってんだろ」",
"382000331_55": "「ったく、だからつまんねぇんだ。\\n 政府やら正義やらなんてもんはよ」",
"382000331_56": "「ま、まるで戦えるなら今すぐにでも戦いたそうな\\n 口ぶりデス……」",
"382000331_57": "「おうよ。お嬢ちゃんがその気なら、相手になってやるぜ?」",
"382000331_58": "「え、遠慮するデスッ!」",
"382000331_59": "「だろうよ。\\n ……おい、明日香。帰るぞ」",
"382000331_60": "「押忍ッ!」",
"382000331_61": "「それでは皆さん、あたしはこれでおいとましますね」",
"382000331_62": "「あたしにも協力できることがあればいいんですけど……、\\n 今はできることもなさそうですし……」",
"382000331_63": "「せめて、応援だけでもさせてくださいッ!",
"382000331_64": " フレーッ、フレーッ! みーなーさーん……ッ!」",
"382000331_65": "「最後までやかましいやつだ……」",
"382000331_66": "「ええ。でも、今の状況だと、むしろありがたいわね」",
"382000331_67": "「そうだな。あの声援に応えるためにも、\\n 我々も自分のできることをしよう」",
"382000331_68": "「はいッ! 今はとにかく、訓練あるのみ、ですねッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,19 @@
{
"382000341_0": "「皆さん、ちょっといいですか?」",
"382000341_1": "「エルフナインちゃん? どうかしたの?」",
"382000341_2": "「これを見てください」",
"382000341_3": "「これは、イシムの眷属……?」",
"382000341_4": "「今日の皆さんの戦闘データから、シミュレータでイシムの\\n 眷属と戦えるようにしてみました。よければ使ってください」",
"382000341_5": "「さっきの今でかよ。仕事が早すぎるぞ」",
"382000341_6": "「それはとてもありがたいのだけど、\\n ケースの解析だけでも忙しいでしょうに」",
"382000341_7": "「大丈夫です。休憩の時に、息抜きに組み込んだデータですから」",
"382000341_8": "「それって、休憩って言えるの……?」",
"382000341_9": "「エルフナインは働き過ぎデスよ」",
"382000341_10": "「よく言われますけど、できることをしないでいる方が、\\n 落ち着かないので……」",
"382000341_11": "「いずれにしろ、これはありがたく使わせてもらおう。\\n 感謝する、エルフナイン」",
"382000341_12": "「はい。それじゃあ、ボクはケースの解析に戻りますので」",
"382000341_13": "「またね、エルフナインちゃん」",
"382000341_14": "「エルフナインの気持ちに応えるためにも、\\n さっそくトレーニングに使わせてもらいましょうか」",
"382000341_15": "「ああ。やつらの動きに対処するには、絶好の訓練相手だ」",
"382000341_16": "「はいデスッ!\\n さんざん翻弄された借りを返してやるデスよッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,49 @@
{
"382000342_0": "「そこッ!」",
"382000342_1": "「イシムの眷属の動きにも、だいぶ慣れてきたね」",
"382000342_2": "「うん。でも、実戦ではなにが起こるか分からないから、\\n もっと連携を強化しないとッ」",
"382000342_3": "「真面目もいいけど、根を詰めすぎるのもよくないわ。\\n 特に今は、いつイシムの眷属が現れるかも分からないのだし」",
"382000342_4": "「本番でへろへろになって動けませんでした、\\n じゃあ目も当てられないからな」",
"382000342_5": "「今日はこれくらいにしておこっか」",
"382000342_6": "「邪魔するよ」",
"382000342_7": "「失礼します」",
"382000342_8": "「奏? そうか、定期報告のタイミングだったね」",
"382000342_9": "「いらっしゃい、セレナ。出迎えられなくてごめんね」",
"382000342_10": "「ううん、いいの」",
"382000342_11": "「それより、今戦ってたのはなんだ?\\n アルカ・イズってわけじゃなさそうだけど」",
"382000342_12": "「それについては、俺から説明しよう」",
"382000342_13": "「イシムに、廃墟になった<ruby=みらい>未来</ruby>の世界……ッ!?」",
"382000342_14": "「またとんでもないことになってるみたいだな」",
"382000342_15": "「この世界がいつか滅ぼされるなんて……」",
"382000342_16": "「安心して、セレナ。そうならないように、\\n 対策を打っているところだから」",
"382000342_17": "「念のため、現状集まっている情報を渡そう。\\n 持って行ってくれ」",
"382000342_18": "「ああ。今のとこ、さっきみたいなやつが現れたって\\n 話は聞かないけど、気をつけるよ」",
"382000342_19": "「それより、そのイシムってのは、強いんだろ?」",
"382000342_20": "「だったら、あたしも力を貸すよ」",
"382000342_21": "「わたしも、この世界を護りたいですッ! イシムが勝利した\\n <ruby=みらい>未来</ruby>があるなら、それを覆す役に立ちたいですッ!」",
"382000342_22": "「その申し出、ありがたく思う。だが……」",
"382000342_23": "「ああ。敵の全容は未だ把握できていない。そんな状況で、\\n 人を長期間この世界にとどめておくわけにはいかない」",
"382000342_24": "「セレナ、あなたの世界でギアを纏えるのは、あなただけよ。\\n 気持ちは嬉しいけど、今は甘えられないわ」",
"382000342_25": "「それは……。\\n 確かにそうだね」",
"382000342_26": "「そういえば、あたしもこの後、任務で海外に行くんだったな。\\n 確か、デンマークだったか……」",
"382000342_27": "「そっちはそっちで、忙しくしているようだね」",
"382000342_28": "「なにぶん人手不足でね。けど、すぐに片付けてやるさ」",
"382000342_29": "「ピンチになったら、いつでも駆けつけるから、\\n 遠慮せずに頼ってくれよ」",
"382000342_30": "「わたしもすぐに駆けつけますッ!」",
"382000342_31": "「ああ。その時は、2人の力を貸してもらおう」",
"382000342_32": "「7人の天使……滅びた<ruby=みらい>未来</ruby>の記述にはそうあったけど、\\n わたしたちには並行世界の心強い味方がいるものね」",
"382000342_33": "「ハハハ、天使か。ガラじゃないねぇ」",
"382000342_34": "「奏は天使というより、戦乙女という方が似合う」",
"382000342_35": "「お? 言ったな。そういう翼はどうなんだよ?」",
"382000342_36": "「わたしはあくまで防人だから」",
"382000342_37": "「マリア姉さんも、世界の歌姫って呼ばれてたんだよね?」",
"382000342_38": "「改めて言われると、照れくさいわね」",
"382000342_39": "(そうだ。わたしたちには、奏さんやセレナちゃん、\\n それにたくさんの仲間が、並行世界にいる",
"382000342_40": "(これだけ力強い味方がいるんだ。きっと……ううん、\\n 絶対に滅びの<ruby=みらい>未来</ruby>だって、変えられる――ッ!)",
"382000342_41": "(そういえば、明日香ちゃんは奏さんに助けられたんだよね。\\n もし、この奏さんに明日香ちゃんが会ったら……",
"382000342_42": "(明日香ちゃんが奏さんに伝えたかった想い、\\n 奏さんならきっと受け止めてくれるかも",
"382000342_43": "(……ううん、この奏さんは、別人だ。\\n そんなことしても、明日香ちゃんを混乱させるだけ",
"382000342_44": "「ん? どうした? あたしの顔、なにか変か?」",
"382000342_45": "「す、すみません、なんでもないです」",
"382000342_46": "(大丈夫。明日香ちゃんは強い子だもん。\\n 奏さんから受け取った勇気で、これからも頑張れる"
}

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@ -0,0 +1,100 @@
{
"382000411_0": "力なきボクだけど",
"382000411_1": "「えーと、明日香ちゃんが下宿してる茶蔵さんのお家、\\n この辺のはずなんだけど……」",
"382000411_2": "「ほんとにこんなところにあるのか?」",
"382000411_3": "「クリスも明日香ちゃんの検査のお迎え、\\n つき合ってくれてありがとう」",
"382000411_4": "「気にすんな。あいつにも護衛が付いてた方が\\n いいだろうしな」",
"382000411_5": "「しっかし、いったいどこに……」",
"382000411_6": "「はぁぁぁぁぁッ!」",
"382000411_7": "「あめぇッ! なんだその拳はッ!」",
"382000411_8": "「……あっちだな」",
"382000411_9": "「アハハ……案外、すぐに見つかったね」",
"382000411_10": "「行ってみようッ!」",
"382000411_11": "「まだですッ! はぁッ!」",
"382000411_12": "「技の繋ぎは悪くない。\\n けど、こっちも受けてばかりじゃねぇぞッ」",
"382000411_13": "「……ッ!」",
"382000411_14": "「つ……ッ! 重い……でも、師範が体勢を崩したここを\\n 狙ってカウンターを入れればッ」",
"382000411_15": "「俺の硬直を狙ってきたか。いい判断だ。\\n 尋常な相手なら確定反撃ってとこだな。だが――ッ」",
"382000411_16": "「えッ!? かわされたッ!?」",
"382000411_17": "「残念ながら、俺は尋常じゃねぇッ!」",
"382000411_18": "「わぁッ!?」",
"382000411_19": "「技の選択を間違ったな。\\n そんな発生のおせぇ大振り、俺がくらうかよ」",
"382000411_20": "「投げの間合いに自分から踏み込むのもなってねぇ」",
"382000411_21": "「お、押忍ッ! ありがとうございましたッ!」",
"382000411_22": "「痛そう……明日香ちゃん、大丈夫?」",
"382000411_23": "「あ、皆さん、いらしてたんですね。\\n 気づかずに失礼しましたッ」",
"382000411_24": "「なんの用だ?」",
"382000411_25": "「そいつの検査があるから迎えに来たんだよ」",
"382000411_26": "「ちッ、またか。\\n 稽古の邪魔しやがってよ」",
"382000411_27": "「師範、修行の途中ですみませんが……」",
"382000411_28": "「あー、うるせぇな。分かった分かった」",
"382000411_29": "「でも、やっぱり明日香ちゃんの動き、すごいよねッ!\\n キレがあって、かっこいいッ」",
"382000411_30": "「かっこいいだなんて、そんな滅相もないですッ!\\n 響先輩たちに比べたら、あたしなんて全然ですからッ」",
"382000411_31": "「いや、実際ギア無しで言えば、\\n あたしらより戦えるんじゃないか」",
"382000411_32": "「うん。アクション映画みたいだったよ」",
"382000411_33": "「装者の皆さんにそう言われると、嬉しいですッ!」",
"382000411_34": "「おい、お前ら。あんまり明日香を調子に乗らせるなよ。\\n こんなレベルで満足されちゃ困るんだ」",
"382000411_35": "「明日香、1秒を60フレームに分解して捉えろ。\\n 相手の技の発生時間と硬直時間に、自分の技をねじ込むんだ」",
"382000411_36": "「押忍ッ! 精進しますッ!」",
"382000411_37": "「フレームって……本当にゲームみたいな修行してんだな」",
"382000411_38": "「あとお前、間違っても『映画みたい』なんて\\n 例えるんじゃねえッ 言うならゲームにしろッ」",
"382000411_39": "「は、はいッ!」",
"382000411_40": "「それじゃあ、師範。行ってきますね」",
"382000411_41": "「好きにしろ。俺はいつもの廃車置き場にでも行くとする」",
"382000411_42": "「廃車置き場? そんなところでなにするんですか?」",
"382000411_43": "「決まってんだろ。車をぶっ壊すんだよ。素手でな」",
"382000411_44": "「はぁッ!? なんでそんなことをッ!?」",
"382000411_45": "「それが師範の修行なんです。ゲームをヒントにしたらしいです」",
"382000411_46": "「なんだそりゃ……」",
"382000411_47": "「そんな修行方法があるんですねッ!\\n わたしも今度やってみようかな……」",
"382000411_48": "「真似しちゃダメ。危ないでしょ」",
"382000411_49": "「そういえば、明日香ちゃんはどうして、\\n 茶蔵さんの弟子になったの」",
"382000411_50": "「確かに、それは気になるな。強くなるにしたって、\\n まっとうな街の道場に通うとかいろいろあるだろ」",
"382000411_51": "「もともとは、あたしもそのつもりでした。奏さんの強さに\\n 少しでも近づくために、有名な道場に見学に行ったんです」",
"382000411_52": "「ところが……一歩足を踏み入れると、\\n 道場の人たちがみんな倒れてたんですッ」",
"382000411_53": "「まさか道場に入る前に、あたしの『気』だけで\\n 道場の人たちを倒してしまったのかと驚いたのですが……」",
"382000411_54": "「いや、んなわけないだろ……」",
"382000411_55": "「でも、道場の人たちがみんな倒されるなんてことある?」",
"382000411_56": "「大勢の人に襲われたとか?」",
"382000411_57": "「いえ、押し入ったのはたった1人でした。たった1人ですべての\\n 門下生を圧倒したその人こそ……茶蔵師範だったんですッ」",
"382000411_58": "「えぇッ!? それって、道場破りってことッ!?」",
"382000411_59": "「武者修行とかいってたのは、そういうことか。\\n とんだ無法者だな」",
"382000411_60": "「はいッ、まさにあたしもそう思い、お縄についてもらうために、\\n 師範を追いかけて、ひどいことはやめるように注意しました」",
"382000411_61": "「いや、お前も相当な無茶するなッ!?」",
"382000411_62": "「それで、茶蔵さんは? 大人しく従ったとは思えないけど……」",
"382000411_63": "「師範の答えは『言いたいことがあるなら拳で語れ』\\n というものでした」",
"382000411_64": "「あたしは師範に挑み、\\n あっさり返り討ちに遭ってしまったのです……」",
"382000411_65": "「ええッ!? 手加減もなにもなしッ!?」",
"382000411_66": "「挑んだんだ……」",
"382000411_67": "「容赦なさすぎだろ、あのおっさんッ!」",
"382000411_68": "「『正義を語りたいなら、せめて力をつけな』\\n ……師範はあたしにそう吐き捨てました」",
"382000411_69": "「あたしはその通りだと思ったのですッ!\\n だから、すぐに師範に弟子入りを志願したというわけです」",
"382000411_70": "「お前もお前で、思い切りがよすぎるだろ……。\\n なんだかんだで、お前らそっくりなんじゃないか……」",
"382000411_71": "「まあ、当然最初は断られたんですけどね」",
"382000411_72": "「その後も、師範が行きそうなところに先回りして、\\n 根気強くお願いしてたら、最後には認めてくれました」",
"382000411_73": "「……なぁ、こういうこと言うのもなんだけど、\\n あのおっさんが師範で本当に大丈夫なのか」",
"382000411_74": "「力がすべてだー、とか、武の道に正義も悪もない、\\n とか言ってたし、かなりヤバいやつなんじゃないか」",
"382000411_75": "「うん……道場破りとかしてたのだってめちゃくちゃだし、\\n さすがに心配かも」",
"382000411_76": "「確かに、師範は強くなることしか考えてない人で、\\n 何をするか分かりません」",
"382000411_77": "「そういえば、強い人がいなかったから、\\n 世界にケンカを売る、みたいなことも言ってたもんね……」",
"382000411_78": "「もし、師範が悪人になってしまうようなことがあれば、\\n あたしが止めてみせますッ」",
"382000411_79": "「そのためにも、もっと強くならなくちゃいけないんですッ!」",
"382000411_80": "「それはそれで、ありそうな気がするな……」",
"382000411_81": "「装者とも戦いたいみたいなこと言ってったっけ」",
"382000411_82": "「普通の人を相手に、\\n 理由もなく戦えないよ……」",
"382000411_83": "「どこが『普通の人』だよ。お前、茶蔵のおっさんが\\n あたしらの司令と真っ向から殴り合ってたの、忘れてないか」",
"382000411_84": "「S.O.N.G.の司令さん、確かに強かったですね。\\n 今度、その秘訣をぜひ――」",
"382000411_85": "【ドクンッ――】",
"382000411_86": "(……ッ! 今の感覚は……ッ!)",
"382000411_87": "「明日香ちゃん……?」",
"382000411_88": "「皆さん、あいつらですッ!\\n イシムの眷属の気配ですッ」",
"382000411_89": "「……ッ!」",
"382000411_90": "「キャーーッ!」",
"382000411_91": "「な、なんだあれはッ!? 怪物ッ!?」",
"382000411_92": "「あっちだッ! 未来、クリスちゃんッ!」",
"382000411_93": "「おうッ!」",
"382000411_94": "「明日香ちゃんは隠れていてッ!」",
"382000411_95": "「ッ……、分かりましたッ!」",
"382000411_96": "「Balwisyall Nescell gungnir tron――」",
"382000411_97": "「行こうッ! 怪我人が出る前にッ!」"
}

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@ -0,0 +1,30 @@
{
"382000412_0": "「好きにさせるもんかッ!」",
"382000412_1": "(……まただ)",
"382000412_2": "「2人とも、なんだかイシムの眷属、様子がおかしくない?」",
"382000412_3": "「どういう意味だ?」",
"382000412_4": "「なんだか、前に戦った時より積極的じゃないっていうか」",
"382000412_5": "「……確かに、言われてみりゃあたしらへの敵意があんまり\\n 感じられないな」",
"382000412_6": "「なにか、他に目的でもあるのかな?」",
"382000412_7": "「だとすりゃ、狙いはなんだ?」",
"382000412_8": "「あ、見てッ! イシムの眷属たちが……ッ!」",
"382000412_9": "「一斉に向きを変えた……? なんだ、なにを目標にした?」",
"382000412_10": "「あそこは……明日香ちゃんが隠れている場所だッ!」",
"382000412_11": "「え……ッ!?」",
"382000412_12": "「こ、こっちに来た……ッ!?」",
"382000412_13": "「くそッ、ここからじゃ射線が通らねぇ……ッ!」",
"382000412_14": "「間に合わないッ!\\n 明日香ちゃん、逃げて……ッ」",
"382000412_15": "「く……ッ!\\n それなら、こっちにッ」",
"382000412_16": "「回り込まれた……ッ!?」",
"382000412_17": "「逃げ場はない、ということですか……ならッ!」",
"382000412_18": "「逃げられないなら、迎え撃ちますッ!\\n ただでやられるあたしだと思わないでくださいッ」",
"382000412_19": "「そんな……ッ!」",
"382000412_20": "「たとえ力は皆さんに及ばずとも、\\n この胸には奏さんからもらった勇気があるッ」",
"382000412_21": "「最後の瞬間まで、あたしは戦い抜きます――ッ!」",
"382000412_22": "「え……?」",
"382000412_23": "「――今の啖呵はなかなかよかったぞ、水流」",
"382000412_24": "「だが、この場を死地とするのはいささか勇み足だ」",
"382000412_25": "「遅れて来た立場でこう言うのもなんだけど、\\n この場は譲ってもらうわよ」",
"382000412_26": "「かっこよかったデス、水流さんッ!」",
"382000412_27": "「<ruby=みらい>未来</ruby>の世界では何度も助けられた。\\n だから今は、わたしたちに護らせてッ」"
}

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@ -0,0 +1,15 @@
{
"382000421_0": "「みんなッ! 来てくれたんですねッ!」",
"382000421_1": "「わたしたちではなくて\\n S.O.N.G.の優秀なオペレーターに感謝してほしいわね」",
"382000421_2": "「さすがに今のはハラハラしたな……」",
"382000421_3": "「よかった、間に合って」",
"382000421_4": "「話はあとだ。水流を護りつつ、イシムの眷属を掃討する」",
"382000421_5": "「ガーディアンギアは使わないデスか?」",
"382000421_6": "「確かに、その方が確実」",
"382000421_7": "「いえ、あれは奥の手として取っておくべきよ」",
"382000421_8": "「この程度、わたしたち本来の力で倒せなければ、\\n この先の戦いは到底乗り越えられないわ」",
"382000421_9": "「そういうことなら、いっちょやってやるデスッ!」",
"382000421_10": "「それに、シミュレータでの特訓の成果を\\n 本物を相手に試す絶好の好機ッ」",
"382000421_11": "「それじゃあ、みんな……行くわよッ!」",
"382000421_12": "「頑張ってください、皆さんッ!」"
}

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@ -0,0 +1,22 @@
{
"382000422_0": "「これで、終わりデスッ!」",
"382000422_1": "「はぁ、はぁ……。\\n なんとか勝てた」",
"382000422_2": "「訓練の成果は確実に出ているわね」",
"382000422_3": "「ああ。この規模の襲撃ならば、\\n ガーディアンギアなしでも退けられると証明できたな」",
"382000422_4": "「…………」",
"382000422_5": "「どうしたの? 神妙な顔して」",
"382000422_6": "「うん……偶然かもしれないけど、さっきのイシムの眷属、\\n 明日香ちゃんを狙っていたような気がして」",
"382000422_7": "「なに? それは本当か?」",
"382000422_8": "「確か、<ruby=みらい>未来</ruby>の世界のイシムも、この子を狙っている\\n 様子だったのよね」",
"382000422_9": "「この時代のイシムも、水流さんを……?」",
"382000422_10": "「装者の力を持っているわけでもないのに、\\n どうして……」",
"382000422_11": "「……水流がイシムの眷属の気配を探知できることと\\n 何か関係があるのだろうか」",
"382000422_12": "「……ん?」",
"382000422_13": "(今のって……茶蔵のおっさん?)",
"382000422_14": "「ともあれ、懸念は本部で検討するとしよう。",
"382000422_15": " ……雪音、どうかしたのか?」",
"382000422_16": "「いや、あそこに……」",
"382000422_17": "「……いない?」",
"382000422_18": "「どうしたデスか? 誰かいたんデス?」",
"382000422_19": "「……いや、あたしの見間違いだろう。\\n わりぃ、なんでもない」"
}

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@ -0,0 +1,75 @@
{
"382000431_0": "「すみません、明日香さん。検査の結果が出るまで、\\n もう少し待っていてください」",
"382000431_1": "「いえ、あたしなら大丈夫です」",
"382000431_2": "(装者の皆さんは戦いの報告に行きましたが、\\n あたしは予定通り検査……",
"382000431_3": "(もし、あたしの中にイシムの眷属が狙う何かがあるのなら、\\n それは戦うための力なのかも……ッ",
"382000431_4": "「うーん……ダメです。\\n これでもロックは開きませんか……」",
"382000431_5": "「エルフナインさんは、何をしているんですか?」",
"382000431_6": "「皆さんが<ruby=みらい>未来</ruby>の世界から持ち帰ったケースの解析です」",
"382000431_7": "「エルフナインさんは、あの空間の穴の先の世界が<ruby=みらい>未来</ruby>だって\\n 確信しているんですか」",
"382000431_8": "「はい、ボクは響さんの仮説を信じます」",
"382000431_9": "「……皆さんが見てきた<ruby=みらい>未来</ruby>の風景、\\n それにチフォージュ・シャトーの壁に書かれた記述……」",
"382000431_10": "「これらを考えれば、<ruby=みらい>未来</ruby>のボクは『希望』の用意を、\\n きっと間に合わせられなかったんだと思います」",
"382000431_11": "「<ruby=みらい>未来</ruby>のボクは、深く後悔したでしょう……」",
"382000431_12": "「エルフナインさん……」",
"382000431_13": "「でも、だからこそ、ボクはこのケースと一緒に受け取った\\n <ruby=みらい>未来</ruby>のボクの想いを、背負っていこうと思うんです」",
"382000431_14": "「今度は、絶対に手遅れになんてさせない。\\n ボクがこの希望を、装者の皆さんに届けるんです」",
"382000431_15": "「そうすれば、たとえ運命なんていうものがあったとしても、\\n 装者の皆さんが打ち砕いてくれる……そう信じてますッ」",
"382000431_16": "「…………」",
"382000431_17": "「……すごいですね、エルフナインさんは」",
"382000431_18": "「え?」",
"382000431_19": "「あたしは奏さんのような存在を目指していますが、\\n 実際に自分が誰かの運命を背負ったことなんて、ない」",
"382000431_20": "「だからそうなったとき、エルフナインさんみたいに運命に\\n 立ち向かえるのか、それはその時まで分かりません」",
"382000431_21": "「……エルフナインさんがここにいる理由、\\n どうか教えてくれませんか」",
"382000431_22": "「それは……」",
"382000431_23": "「言いたくないことなのかもしれません。\\n でも……知りたいんです。どうして、そこまで強くあれるのか」",
"382000431_24": "「明日香さん……」",
"382000431_25": "どうしよう……S.O.N.G.の事情を知っているとはいえ、\\n 何から何まで話すわけにはいかないし",
"382000431_26": "(それでも、ボクに言えることがあるとすれば――)",
"382000431_27": "「……ボクは、自分のことを強いなんて思ったことはありません。\\n でも、明日香さんからそう見えるのだとすれば……」",
"382000431_28": "「それはきっと、キャロルのおかげです」",
"382000431_29": "「キャロル……?」",
"382000431_30": "「キャロルは……もう1人のボク」",
"382000431_31": "「キャロルがいたからこそ、今のボクがあるんです。\\n 反目したこともあったけど、最後には手を取り合えた……」",
"382000431_32": "「キャロルはいなくなってしまったけれど、\\n 今もボクの中でキャロルとの想い出は生き続けている」",
"382000431_33": "「ボクの中のキャロルが、今もボクを見ていてくれる……、\\n そう思えるんです」",
"382000431_34": "「エルフナインさん……」",
"382000431_35": "(もう1人の自分……それがどういうことかは分からないけど、\\n きっと、とても大切な人なんだろうな……",
"382000431_36": "「そっか……それなら、強く見えるのも納得です」",
"382000431_37": "「え?」",
"382000431_38": "「エルフナインさんは今、そのキャロルさんと、\\n <ruby=みらい>未来</ruby>の自分の想いまで背負っているんですから」",
"382000431_39": "「でも、それだけの想いを背負えることこそが、\\n エルフナインさん本来の強さだと思います」",
"382000431_40": "「うん……。\\n やっぱり、エルフナインさんは強いです」",
"382000431_41": "(でも……それならあたしだって、\\n 奏さんの戦う姿を知っている",
"382000431_42": "(奏さんはもういない。それでも、その想いは、あの時あたしを\\n 助けてくれた勇気は、確かにあたしの中にあるッ",
"382000431_43": "「この前、装者の皆さんと一緒に飛ばされた<ruby=みらい>未来</ruby>の世界では、\\n 無我夢中で頑張って、結果的に皆さんの助けになれました」",
"382000431_44": "「今は何をどうすればいいか、まだ分かりません。\\n それでも、あたしにできることがあるかもしれないのなら」",
"382000431_45": "「奏さんの想いを受け取ったあたしは、\\n あたしらしく進み続けるだけですッ」",
"382000431_46": "「ですから、一緒に頑張りましょう、エルフナインさんッ!」",
"382000431_47": "「明日香さん……」",
"382000431_48": "「はい、ボクも負けずに頑張りますッ!」",
"382000431_49": "「明日香さん、お待たせしました。\\n 検査の結果が出ました」",
"382000431_50": "「どうでしたか?」",
"382000431_51": "「今回は聖遺物などの反応がないか、\\n 改めて詳しく調べたのですが、データによると……」",
"382000431_52": "「……ッ!\\n こ、これは……ッ」",
"382000431_53": "「ど、どうしたんですかッ!?」",
"382000431_54": "「……どうやら、明日香さんの身体から、極めて微弱ですが\\n 何らかのエネルギーの反応が認められます」",
"382000431_55": "「エネルギー……ッ!? なんですか、それッ!?\\n あたしがすっごいパワーに目覚めたということですかッ」",
"382000431_56": "「それが、あまりに反応が微弱なせいで、\\n 身体のどこから発しているかも分からないんです」",
"382000431_57": "「身体の中に……つまり、装者の皆さんみたいなすごい力が\\n あたしの中にあるかもしれない、ってことですよねッ」",
"382000431_58": "「お、落ち着いてください。確かに、聖遺物との融合症例という\\n 前例もありますので、可能性はゼロではないですが」",
"382000431_59": "「融合症例……そういうのもあるんですねッ!」",
"382000431_60": "「もしそうであっても、武器になるものだとも限りません」",
"382000431_61": "「ただ、これがイシムの眷属を感知できる理由とすれば、\\n 明日香さんの不思議な感覚にも説明がつきます」",
"382000431_62": "「そのせいで、イシムの眷属から狙われているのかも\\n しれませんし……」",
"382000431_63": "「それはつまり、あたしの中に眠る力が、イシムやその眷属に\\n とっては天敵になるかもしれない……そういうことですよね」",
"382000431_64": "「え?\\n それは……確かに、そういう捉え方もできるとは思いますが」",
"382000431_65": "「なら、今はそれで十分ですッ!」",
"382000431_66": "(そうだ。今はまだイシムの眷属の居場所が分かるだけでも、\\n 使いこなせば、あたしだって装者になれるかもしれないッ",
"382000431_67": "(そうなれば、装者の数は8人……あたしが最後の一押しに\\n なれれば、滅びの運命だってきっと変えられるッ",
"382000431_68": "(奏さん……見ていてください)",
"382000431_69": "(あたしは絶対に、あなたから受け継いだ想いを、\\n 正義を諦めません――ッ",
"382000431_70": "【ドクンッ――】",
"382000431_71": "「――ッ!」",
"382000431_72": "「明日香さんッ!?\\n まさか……ッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,24 @@
{
"382000511_0": "想い出の結晶",
"382000511_1": "「警報ッ!?」",
"382000511_2": "「藤尭、状況は?」",
"382000511_3": "「アルカ・ノイズではありませんッ! またしても、\\n イシムの眷属によるものと思われる破壊活動の報告ありッ」",
"382000511_4": "「報告を終えたと思ったらこれ?\\n よっぽどわたしたちを休ませたくないようね」",
"382000511_5": "「現場はどこだ?」",
"382000511_6": "「ポイントは……えッ!?」",
"382000511_7": "「どうした?」",
"382000511_8": "「す、すぐそばですッ!\\n 本艦からメートルッ」",
"382000511_9": "「なんだとッ!?」",
"382000511_10": "「生き残りがわたしたちを追ってきたのか、あるいは……」",
"382000511_11": "「ともかく、ここは打って出ましょう」",
"382000511_12": "「うむ。港湾施設に被害が出ては、都市にも影響が出る。\\n 頼んだぞ、お前たち」",
"382000511_13": "「了解(デース)ッ!」",
"382000511_14": "「いた、イシムの眷属ッ!」",
"382000511_15": "「性懲りもなく出てくるとはいい度胸デスッ!」",
"382000511_16": "「って、あれ? アタシたちのことは無視デスかッ!?」",
"382000511_17": "「つれないじゃねぇか。\\n そんなに急いでどこ行くつもりだ」",
"382000511_18": "「あいつらが向かってる方向って、ひょっとして……」",
"382000511_19": "「まさか……本部のある方角かッ!\\n あたしらよりあっちを優先してるってのかッ」",
"382000511_20": "「本部には今、明日香ちゃんが。\\n やっぱりあの子を狙ってッ」",
"382000511_21": "「だったらなおさらッ!\\n ここから先へは行かせないッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,24 @@
{
"382000512_0": "「この先に、行かせるかあああッ!」",
"382000512_1": "「これならどうッ!?」",
"382000512_2": "「相変わらずしぶとい……ッ!」",
"382000512_3": "「気をつけて、敵はまだまだいるよッ!」",
"382000512_4": "「戦況は?」",
"382000512_5": "「今のところ敵の侵攻を食い止められてはいます。\\n が、本部を狙っているのは確かなようです」",
"382000512_6": "「とすれば、やはり明日香くんが連中の狙いである可能性は\\n 大いにあるな」",
"382000512_7": "「イシムの眷属が、あたしを狙っている……」",
"382000512_8": "「逃ガサナイ……」",
"382000512_9": "(やっぱり、あたしの中にあるっていう力を\\n 警戒しているの それならッ",
"382000512_10": "「司令さん……あたしがやつらの狙いなら、\\n 囮になれたりしませんか」",
"382000512_11": "「その勇気は買うが、人々を護るのが俺たちの務めだ。\\n 今はここで、俺たちに護らせてくれ」",
"382000512_12": "「……ッ!\\n ……分かりました」",
"382000512_13": "(なにもできないのは仕方ないけど、やっぱり歯がゆいな……)",
"382000512_14": "「これで終いだぁぁぁぁッ!」",
"382000512_15": "「ふぅ……ったく、手間取らせやがって」",
"382000512_16": "「ようやく殲滅したわね」",
"382000512_17": "「ああ。皆、よく頑張ったな」",
"382000512_18": "「今日は何度も戦って、さすがに疲れたデース。\\n お腹もへりんこデス……」",
"382000512_19": "「確かに、こう続いちゃあ身がもたないな」",
"382000512_20": "「かといって、ガーディアンギアに頼って消耗するのも、\\n 本末転倒」",
"382000512_21": "「今後の方針をよく考えないといけなそうね」"
}

View file

@ -0,0 +1,68 @@
{
"382000521_0": "「街と埠頭、二度にわたる襲撃の様子を見るに、\\n 明日香くんが連中の目的である可能性は格段に高まった」",
"382000521_1": "「確かに、街で戦ったイシムの眷属は、\\n 明日香ちゃんが隠れてる場所を感じ取ってた……」",
"382000521_2": "「それに、あたしらを無視して本部に向かって行ったのは、\\n 中にいるこいつを狙ったとも考えられるな」",
"382000521_3": "「それは……あたしの中にあるっていう、\\n 何かが原因ですか」",
"382000521_4": "「そう考えるのが妥当だろうな」",
"382000521_5": "「明日香ちゃんの中にあるなにか……? なんですか、それ?」",
"382000521_6": "「つい先ほど検査で判明したんだが、明日香くんの体内には、\\n なんらかのエネルギーを発する物質が存在しているようだ」",
"382000521_7": "「まさか……聖遺物ッ!?」",
"382000521_8": "「それはまだなんとも言えん。\\n 反応が微弱すぎるんだ」",
"382000521_9": "「体内に聖遺物があるとするなら、立花の胸にあった\\n ガングニールの破片と同じ、融合症例……」",
"382000521_10": "「イシムの眷属の狙いが明日香くんだとすれば、\\n 向こうの動きが活性化してきた今、人にしておくのは危険だ」",
"382000521_11": "「そこで明日香くんには、護衛体制強化のため、\\n しばらくはこの潜水艦に寝泊まりしてほしい」",
"382000521_12": "「あたしがここに、ですか?」",
"382000521_13": "「無論、極力不便をかけないように計らうつもりだ」",
"382000521_14": "「装者たちは有事に備え、\\n 交代で本部内に常駐してもらうことになる」",
"382000521_15": "「確かに、それが一番確実ね」",
"382000521_16": "「みんなで本部にお泊りデースッ!」",
"382000521_17": "「切ちゃん、遊びじゃないんだよ?",
"382000521_18": " あ、でも……歯ブラシとかはちゃんと用意しないと」",
"382000521_19": "「まったく、緊張感のない後輩だ……」",
"382000521_20": "「……また、装者の皆さんに護られることになるんですね。\\n 申し訳ありません……」",
"382000521_21": "「そんなことないよ。わたしたちだって、明日香ちゃんには\\n 何度も助けられたもん」",
"382000521_22": "「お互い様ってことだ。あんま気にすんなよ」",
"382000521_23": "「はい……ッ!」",
"382000521_24": "(皆さんはこう言ってくれるけど、\\n 足を引っ張らないように、あたしも頑張らないと……ッ",
"382000521_25": "「本部に泊まるなら、着替えとかいろいろ準備しないとだね」",
"382000521_26": "「学校からの課題も忘れちゃダメだよ」",
"382000521_27": "「響先輩ッ!」",
"382000521_28": "「明日香ちゃん? どうかしたの?」",
"382000521_29": "「あの……響先輩は、融合症例というものだったんですよね?」",
"382000521_30": "「え? うん、そうだけど……」",
"382000521_31": "「それなら……あたしも、ひょっとしたら装者に\\n なれるかもしれないっていうことですよねッ」",
"382000521_32": "「え……?」",
"382000521_33": "「あたしが自分の中にある聖遺物の力を引き出せたら、\\n イシムの眷属と戦える……皆さんの力になれるはずですッ」",
"382000521_34": "「だから、響先輩がどうやって聖遺物の力を引き出したのか、\\n 教えてくださいッ」",
"382000521_35": "「それは……」",
"382000521_36": "「……明日香ちゃん。\\n 融合症例は、そんなに都合のいいものじゃないんだよ」",
"382000521_37": "「え……?\\n どういうことですか」",
"382000521_38": "「確かにわたしは過去に\\n 融合症例者としてシンフォギアを纏っていたことがあった」",
"382000521_39": "「でも……ガングニールの力を使うたびに、\\n わたしの身体は聖遺物の破片に蝕まれていったんだ」",
"382000521_40": "「……ッ!」",
"382000521_41": "「あの時の響はね、命を落としてたかもしれない……。\\n 本当に、危険な状態だったんだよ」",
"382000521_42": "「そ……そうだったんですか……」",
"382000521_43": "「それにね、<ruby=みらい>未来</ruby>の世界で言ったでしょ?\\n 装者は特別な、ヒーローなんかじゃないって」",
"382000521_44": "「そ、そうでした……。あたしと同じ人間で、\\n 怖かったり、悲しかったりもするんだって……」",
"382000521_45": "「うん。装者になると、戦いたくない相手とも、\\n 戦うことになるかもしれないんだよ」",
"382000521_46": "「わたしも、色んな人と戦った……分かり合おうと伸ばした手を、\\n はねのけられたことだって、何度もあった」",
"382000521_47": "「響先輩……」",
"382000521_48": "「……ごめんなさい。あたし、自分のことばっかりで、\\n ヒーローになれるって、浮かれてしまって……」",
"382000521_49": "「ううん、無理もないよ。\\n 明日香ちゃんは、誰よりもそれを目指してきたんだもん」",
"382000521_50": "「……そうだな」",
"382000521_51": "「翼さん?」",
"382000521_52": "「すまんな、立ち聞きするつもりはなかったのだが、\\n 聞こえてしまった」",
"382000521_53": "「水流。その正義感は立派なものだ。\\n 奏に憧れてのこととあれば、わたしとしても誇らしい」",
"382000521_54": "「だが、はやる気持ちを一度抑え、落ち着いて考えるべきだ。\\n 確かに、力のない正義は無意味かもしれない」",
"382000521_55": "「だが、大きな力があれば、より大きな正義を成せる、\\n というものでもないのだから」",
"382000521_56": "「……そうですよね。すみません。あたし、皆さんに\\n 護られてばかりだから、焦っちゃって……」",
"382000521_57": "「わたしも装者になる前は護られてばかりだったから、\\n その気持ちは分かる。でも、気にすることないよ」",
"382000521_58": "(だけどそしたら、あたしはどうやって\\n 奏さんの想いを受け継いだら……",
"382000521_59": "「……あれ?\\n 向こうから走ってくるのって……エルフナインちゃん」",
"382000521_60": "「あ、皆さんッ!\\n ここにいましたか」",
"382000521_61": "「お疲れ様。\\n 急いでいるみたいだけど、どうしたの」",
"382000521_62": "「実は、ケースのロック解除に成功したんです」",
"382000521_63": "「ケースって……<ruby=みらい>未来</ruby>の世界から持ち帰ってきたケースだよね?」",
"382000521_64": "「ということは……『希望』がなんだか分かったのッ!?」",
"382000521_65": "「はいッ! 皆さんも来てくださいッ!\\n あのケースには、大変なものが入っていましたッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,40 @@
{
"382000531_0": "「ケースの中には、これが入っていました」",
"382000531_1": "「これは……宝石デスか?」",
"382000531_2": "「1、2……4つある」",
"382000531_3": "「赤、青、緑、黄色。\\n すごくきれいな宝石だね」",
"382000531_4": "「<ruby=みらい>未来</ruby>のエルフナインくんが『希望』として遺したものだ。\\n ただの宝飾品ということはあるまい」",
"382000531_5": "「はい。実は、正体には心当たりがあります。\\n これは、しばらく前にボクが書いたレポートなのですが」",
"382000531_6": "「『錬金術による想い出の結晶化 通称アルカメモリ』\\n について……」",
"382000531_7": "「想い出、っていうことは……」",
"382000531_8": "「はい。想い出をエネルギーへと変換し、莫大な力を生み出す\\n キャロルの奥の手である、想い出の焼却……」",
"382000531_9": "「これは、その理論を応用したものです」",
"382000531_10": "「結晶化するのは個人的な想い出ではなく、錬金術の知識……。\\n つまり、術式とエネルギーを一緒に結晶化するという構想です」",
"382000531_11": "「これが実用化に至れば、非錬金術師でも錬金術の奥義を\\n 扱えるようになる……というものです」",
"382000531_12": "「それってつまり、\\n アタシにも錬金術が使えるっていうことデスかッ」",
"382000531_13": "「でも、それはあくまで構想の域を出ていない……。\\n そうよね」",
"382000531_14": "「はい……。\\n ボクでは力が足りず、実現には至りませんでした」",
"382000531_15": "「だけど、今それがここにあるということは……」",
"382000531_16": "「<ruby=みらい>未来</ruby>のエルフナインは、\\n 見事完成にこぎ着けたということか」",
"382000531_17": "「そうかもしれません。ただ、この結晶にはヒビが入って\\n しまっていて、機能を発揮できない状態です」",
"382000531_18": "「ひょ、ひょっとして、ここに持ってくるまでの間に、\\n アタシたちが手荒に扱ってしまったから……とかデス」",
"382000531_19": "「いえ、そうではありません。\\n 外部からの衝撃による破損ではないのは、確認済みです」",
"382000531_20": "「よ、よかったデース……。",
"382000531_21": " い、いえ、壊れてるんだから、ちっともよくないデスッ!」",
"382000531_22": "「でも、衝撃で壊れたんじゃないなら、いったいどうして……?」",
"382000531_23": "「密閉されたケースの中にあってなお、\\n 時の経過による破損は免れなかったということね」",
"382000531_24": "「はい……あらゆる物質は、時間による風化からだけは\\n 逃れることはできませんから」",
"382000531_25": "「それだけの長い期間、この『希望』は、誰かの手に委ねられる\\n 日を待ち続けていたということか……」",
"382000531_26": "「直すことはできないんですか?」",
"382000531_27": "「錬金術による修復をしようとは思っています。\\n ですが……あまりに構造が複雑で、本当にできるかどうか……」",
"382000531_28": "「すみません……。\\n せっかくケースが開いたのに……」",
"382000531_29": "「ううん、そんなことはないよ」",
"382000531_30": "「響さん……?」",
"382000531_31": "「大丈夫。<ruby=みらい>未来</ruby>のエルフナインちゃんにできたんだもん。\\n 今のエルフナインちゃんにだって、いつかきっとできるよッ」",
"382000531_32": "「…………」",
"382000531_33": "「――そうですね。響さんの言う通りです。\\n まだできないと決まったわけじゃありません」",
"382000531_34": "「<ruby=みらい>未来</ruby>のボクが何年かけてこれを完成させたかは分からない。\\n でも、そこに辿り着いたのは確かなんです」",
"382000531_35": "「道が示されているのなら、後はそこに向かうだけですッ!」",
"382000531_36": "「そうだよッ! 最速で、最短でッ!」",
"382000531_37": "「まっすぐに、一直線にッ!\\n ボクは、<ruby=みらい>未来</ruby>のボクに追いついてみせますッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,92 @@
{
"382000541_0": "「ふぅ……。\\n なかなかうまくはいきませんね」",
"382000541_1": "「でも、これはボクが修復しなければいけないんです。\\n <ruby=みらい>未来</ruby>のボクの無念は、ボクが晴らさなきゃッ!」",
"382000541_2": "「さあ、もうひと頑張りですッ!」",
"382000541_3": "「失礼します」",
"382000541_4": "「明日香さん?\\n どうしたんですか、こんな夜遅くに」",
"382000541_5": "「ずっと休んでないと思ったら、案の定ですね。",
"382000541_6": " 飲み物の差し入れです」",
"382000541_7": "「えーっと、あったかいものどうぞッ!」",
"382000541_8": "「フフ、あったかいものどうも」",
"382000541_9": "「今のあたしには、なにができるか分かりませんから。\\n せめて、少しでもできることがあれば、手伝いたいなって」",
"382000541_10": "「掃除でも雑用でも、なんでもするので、\\n 遠慮せずに言ってくださいねッ」",
"382000541_11": "「ありがとうございます。\\n それは頼りになりますね」",
"382000541_12": "「でも……明日香さんこそ、寝なくて大丈夫ですか?\\n 今日はいろいろあって、疲れたでしょう」",
"382000541_13": "「そうなんですけど……なんだか最近、夢見がよくなくって。\\n あんまり眠りたくないんですよね」",
"382000541_14": "「イシムの眷属のことがストレスになっているのかも\\n しれませんね」",
"382000541_15": "「とはいっても、まったく寝てないわけじゃないですし、\\n 体力には自信がありますからッ 心配しないでくださいッ」",
"382000541_16": "「それじゃあ、ここはありがたく、\\n 散らかった資料の整理をお願いします」",
"382000541_17": "「了解しましたッ! お任せくださいッ!」",
"382000541_18": "「……この方法もダメですか」",
"382000541_19": "「修理は難しいですか……?」",
"382000541_20": "「はい……ボクの知識も技術も、想い出を扱うことに長けた\\n キャロルには遠く及びません……」",
"382000541_21": "「ここにキャロルがいれば、どうにかなるかもしれませんが……」",
"382000541_22": "(並行世界のキャロルのもとにこれを届けてもらって、\\n 代わりに修復してもらうことは可能でしょうか……",
"382000541_23": "(……いけません。弱気になっちゃダメです。\\n それは、もう少しボクが頑張ってからでも遅くありませんッ",
"382000541_24": "(エルフナインさん……大変そうだな)",
"382000541_25": "(かといって、励まそうにも、護られるばかりの\\n あたしが言っても……",
"382000541_26": "「……あたしは部屋に戻ります。エルフナインさん、\\n あまり根を詰めすぎないでくださいね」",
"382000541_27": "「ん……もうこんな時間……」",
"382000541_28": "「明日香さんは……いつの間にか部屋に帰ったみたいですね。\\n さすがに、ボクも休んだ方がよさそうです……」",
"382000541_29": "「警報……ッ!?\\n まさか……イシムの眷属ッ」",
"382000541_30": "「不明勢力による破壊活動の報告ありッ!」",
"382000541_31": "「映像を確認、やはりイシムの眷属ですッ!」",
"382000541_32": "「場所はどこだッ!?」",
"382000541_33": "「地図に出しますッ!」",
"382000541_34": "「これは……。\\n 本部からは、かなり離れているな」",
"382000541_35": "「今度の目的は明日香ちゃんじゃない、っていうことですかね?」",
"382000541_36": "「まだ断定はできん」",
"382000541_37": "「司令ッ、状況はッ!?」",
"382000541_38": "「来たか、お前たち」",
"382000541_39": "「デースッ!? またイシムの眷属がッ!?\\n どれだけ大盤振る舞いする気デスかッ」",
"382000541_40": "「すぐに出撃できますッ!」",
"382000541_41": "「これくらいの数、全員で対処すればすぐに倒せるはずッ!」",
"382000541_42": "「いや、イシムの眷属は統率された動きを見せていた。もしも、\\n 知性ある何者かの制御下にあるとすれば、陽動という線もある」",
"382000541_43": "「何者か、か……」",
"382000541_44": "「とはいえ、無視することもできん」",
"382000541_45": "「それなら、戦力を二手に分けましょう」",
"382000541_46": "「それが最善手だろうな」",
"382000541_47": "「翼、調くん、切歌くん。\\n 人は指定のポイントへ向かい、イシムの眷属を殲滅せよ」",
"382000541_48": "「了解(デース)ッ!」",
"382000541_49": "「師匠、わたしたちは?」",
"382000541_50": "「残りの4人は本部に残ってくれ。\\n 万が一、ここが襲われた際の備えだ」",
"382000541_51": "「翼たちならいざという時にガーディアンギアで乗り切れる、\\n ということね」",
"382000541_52": "「そういうことだ。本部に残る4人は俺たちがバックアップする」",
"382000541_53": "「分かりましたッ! もしもイシムの眷属が襲ってきても、\\n 絶対に食い止めてみせますッ」",
"382000541_54": "「頼んだぞ。今は外部協力者である明日香くんも\\n 乗っているからな」",
"382000541_55": "「はぁ、はぁ……ッ! み、皆さんッ!」",
"382000541_56": "「どうしたの、そんなに慌てて?」",
"382000541_57": "「あ、明日香さんが……」",
"382000541_58": "「明日香さんが、部屋にいないんですッ!」",
"382000541_59": "「えッ!?」",
"382000541_60": "「この状況で行方不明なんて……まさか、外に出て行った\\n なんてことないでしょうね」",
"382000541_61": "「いえ、艦内から誰かが無断で外に出た形跡はありません」",
"382000541_62": "「こんな時にのんきにかくれんぼってタイプでもないよな。\\n ……ちょっと探してくる」",
"382000541_63": "「わたしも行くよッ!」",
"382000541_64": "「明日香さんが寝泊まりしているのは、この部屋なんですが……」",
"382000541_65": "「……ベッドにわずかに体温が残っている。\\n 少し前までここにいたのは確かなようね」",
"382000541_66": "「明日香ちゃん、どこに行っちゃったんだろう……。\\n ひょっとして、迷子になっちゃったとか」",
"382000541_67": "「そんなマヌケなオチだったらいいんだけどな」",
"382000541_68": "「……ッ! みんな、ちょっと来てくれッ!」",
"382000541_69": "「どうしたの、クリス?」",
"382000541_70": "「部屋の前にある、この汚れ……足跡じゃないか?」",
"382000541_71": "「確かにそうね。相当大きいみたいだけど……」",
"382000541_72": "「こんなに大きな靴を履いてる人なんて、そうそういないよね。\\n S.O.N.G.の中だと、師匠くらい?」",
"382000541_73": "「……なあ。ひょっとしてこれ……、\\n 茶蔵のおっさんの足跡じゃないか」",
"382000541_74": "「茶蔵さんのッ!?」",
"382000541_75": "「確かに、サイズは一致しそうだけど……なにか根拠はあるの?」",
"382000541_76": "「……今日の昼、街でイシムの眷属と戦ってる時、\\n 茶蔵のおっさんの姿を見た気がしたんだ」",
"382000541_77": "「あたしたちの戦いを、こっそり見ていたみたいだった」",
"382000541_78": "「茶蔵さんがわたしたちを……?\\n でも、どうしてそんなこと……」",
"382000541_79": "「そういえば、世界を敵に回すラスボスになる\\n とか言ってたよな……」",
"382000541_80": "「もしかしたら、もしかするとだけど、\\n イシムの眷属を操ってるのは……」",
"382000541_81": "「乗員に告げるッ! 現在、艦内にて敵性勢力の侵入を\\n 多数確認ッ 敵性勢力はイシムの眷属と思われるッ」",
"382000541_82": "「……ッ!」",
"382000541_83": "「乗員は敵性勢力との接敵は避け、ただちに防衛体制に\\n 移行せよッ 繰り返す――」",
"382000541_84": "「このタイミングで……ッ!?\\n 間が悪いにもほどがあるわッ」",
"382000541_85": "「いや……むしろ、しっくりくる流れだ」",
"382000541_86": "「あなた……もしかして、あの人を疑っているの?」",
"382000541_87": "「ああ……そうじゃないとは思いたいけどな」",
"382000541_88": "「え? どういうこと?」",
"382000541_89": "「イシムの眷属を操っているのは、\\n 茶蔵のおっさんかもしれないってこった」"
}

View file

@ -0,0 +1,22 @@
{
"382000611_0": "明日香を救い出せッ!",
"382000611_1": "「イシムの眷属を操っているのが、茶蔵さん……?」",
"382000611_2": "「ああ。\\n それが一番、この状況でしっくりくる答えだ」",
"382000611_3": "「……根拠はあるのでしょうか?」",
"382000611_4": "「んなもんはないッ!\\n ただ、いなくなったこいつの部屋の前にはデカい足跡」",
"382000611_5": "「そして、イシムの眷属は艦内に押し入ったんじゃなくて、\\n 突然艦内に現れやがったんだ」",
"382000611_6": "「でもッ! 茶蔵さんは明日香ちゃんの\\n お師範さんなんだよッ」",
"382000611_7": "「茶蔵のおっさんが言ってたことを思い出せ。あいつには正義も悪もない、\\n 強くなることと、強いやつと戦うことにしか興味がないんだ」",
"382000611_8": "「そして、強い相手に巡り合えず、\\n 退屈していたとも」",
"382000611_9": "「もし、戦う相手を個人から、\\n もっと大きな規模に変えたのだとしたら……」",
"382000611_10": "「そんな……」",
"382000611_11": "「響……。\\n 響も、茶蔵さんが明日香ちゃんをさらったんだと思う」",
"382000611_12": "「わたしは……分からない。\\n でも、違うと信じたい」",
"382000611_13": "「だから、今はまず、この状況をなんとかしようッ!」",
"382000611_14": "「それについては賛成ね。現に……」",
"382000611_15": "「こうやって、厄介な手合いが艦内に溢れている以上、\\n どうにかしないわけにはいかないものッ」",
"382000611_16": "「イシムの眷属がここにも……ッ!\\n かなり深くまで入り込まれているようですね……」",
"382000611_17": "「この艦には、明日香ちゃんが乗っている……他にも、\\n たくさんの職員の人だってッ だから――ッ」",
"382000611_18": "「わたしが歌で、みんなを護るッ!」",
"382000611_19": "「Balwisyall Nescell gungnir tron――」"
}

View file

@ -0,0 +1,20 @@
{
"382000612_0": "「大人しく、消えなさいッ!」",
"382000612_1": "「よしッ!\\n とりあえず、この区画にいるやつらは片付いたなッ」",
"382000612_2": "「お前たち、無事かッ!?」",
"382000612_3": "「当たり前だッ! そっちはどうなって――」",
"382000612_4": "「<size=40>ぬんッ!</size>」",
"382000612_5": "「お、おいッ、大丈夫なのかよッ!?」",
"382000612_6": "「まさか、発令所にも敵が……ッ!?」",
"382000612_7": "「師匠、大丈夫なんですかッ!? 師匠――ッ!」",
"382000612_8": "「すまん、発令所に数体、イシムの眷属が侵入してな。\\n だがもう片付けた」",
"382000612_9": "「お、驚かせんなよッ!」",
"382000612_10": "「さすがというか、なんというか……」",
"382000612_11": "「エルフナインくんも一緒だな? ひとまず、君は発令所に\\n 来てくれ。今は安全なルートが確保されているはずだ」",
"382000612_12": "「わ、分かりましたッ!」",
"382000612_13": "「装者たちはこれより、手分けして艦内に現れたイシムの眷属を\\n 掃討してくれッ 位置はこちらから指示するッ」",
"382000612_14": "「合わせて、明日香くんの捜索と保護を頼むッ!」",
"382000612_15": "「了解ッ!」",
"382000612_16": "「明日香ちゃんは必ず探し出しますッ!」",
"382000612_17": "(明日香ちゃん……どうか、無事でいて――ッ!)"
}

View file

@ -0,0 +1,24 @@
{
"382000621_0": "「いい加減、しつこいデスッ!」",
"382000621_1": "「イシムの眷属の相手もだんだん慣れてきたけど……」",
"382000621_2": "「こう数が多いと、さすがに厄介デスッ!」",
"382000621_3": "「この連中……どうにも狙いが読めないな。\\n 明確な破壊目標があるわけでもないようだが……」",
"382000621_4": "「翼です」",
"382000621_5": "「翼さん、冷静に聞いてください。\\n 現在、S.O.N.G.本部はイシムの眷属の襲撃を受けています」",
"382000621_6": "「なに……ッ!?」",
"382000621_7": "「なんデスとッ!?」",
"382000621_8": "「本部にもイシムの眷属が……ッ!」",
"382000621_9": "「やはり、戦力の分断が目的だった、ということでしょうか」",
"382000621_10": "「その可能性は高いとこちらも考えています。\\n そして問題は、敵勢力が本部の中に突如現れた点です」",
"382000621_11": "「な……ッ!? 突破されたのではなく、\\n 艦内に出現したということですかッ」",
"382000621_12": "「はい。現在、本部に残ったマリアさんたちが敵への対処に\\n 当たっています。……そちらの状況は」",
"382000621_13": "「……どうやら、敵はアンコールを所望のようです」",
"382000621_14": "「はた迷惑なお客さんデスねッ!」",
"382000621_15": "「アーティストへの接触は禁止」",
"382000621_16": "「こうなれば、出し惜しみをしている場合ではないな……」",
"382000621_17": "「暁、月読ッ! わたしたちのとっておきを見せてやるぞッ!」",
"382000621_18": "「ということは……」",
"382000621_19": "「ガーディアンギアの出番ッ!」",
"382000621_20": "「一気に勝負をかけるッ!\\n イシムの眷属を殲滅し、本部の応援に向かうぞッ」",
"382000621_21": "「了解(デース)ッ!」"
}

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@ -0,0 +1,13 @@
{
"382000622_0": "「これで、とどめッ!」",
"382000622_1": "「きれいさっぱり、殲滅デスッ!\\n 急いで本部の応援に――ッ」",
"382000622_2": "「……また出てきたッ!?\\n いったい何体いるの……」",
"382000622_3": "「何体出て来ようが、こいつらに負ける気はしないデスッ!\\n さっさとかかってくるデスッ」",
"382000622_4": "「待て、なにか様子がおかしいッ!」",
"382000622_5": "「え?」",
"382000622_6": "「が、合体したデスッ!?」",
"382000622_7": "「そんな……」",
"382000622_8": "「気をつけろ、2人ともッ!\\n さきほどまでの小型の眷属とは格が違う」",
"382000622_9": "「どうやら、そうやすやすと本部へ向かわせてくれるつもりは\\n ないようだな……」",
"382000622_10": "「来るぞッ!\\n 初手より全力で参るッ」"
}

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@ -0,0 +1,23 @@
{
"382000631_0": "「た、助けて……ッ!」",
"382000631_1": "「いけないッ、イシムの眷属が……ッ!」",
"382000631_2": "「頭を下げていろッ!」",
"382000631_3": "「無事か?」",
"382000631_4": "「は、はい、ありがとうございます……ッ!」",
"382000631_5": "「これで職員の避難、完了しましたッ!」",
"382000631_6": "「ですが、依然明日香ちゃんの姿は見当たりませんッ!」",
"382000631_7": "「そうか……」",
"382000631_8": "「俺はこの場を動くことはできん。\\n 装者たちが頼りだな」",
"382000631_9": "「立花ですッ!」",
"382000631_10": "「俺だ。非戦闘員は避難が完了した」",
"382000631_11": "「よかったッ!」",
"382000631_12": "「けど、そこは安全なのか?\\n イシムの眷属が集まってきたらどうする」",
"382000631_13": "「その時は、俺が蹴散らしてやるさ」",
"382000631_14": "「……愚問だったみたいだな。\\n そりゃ、世界一安全だ」",
"382000631_15": "「お前たちは引き続き、明日香くんの捜索を頼むッ!\\n こちらも艦内映像から、足取りを探るッ」",
"382000631_16": "「了解したわ」",
"382000631_17": "「急いで明日香ちゃんを見つけないとッ!」",
"382000631_18": "「ええ。こうしている間にも、\\n イシムの眷属に襲われないとも限らない」",
"382000631_19": "「そんなこと、絶対にさせないッ! だから――」",
"382000631_20": "「道を開けろおおおーッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,58 @@
{
"382000632_0": "「……ん。うぅ……」",
"382000632_1": "「……あれ? あたし、いつの間に眠って……」",
"382000632_2": "「というか、ここって……外?\\n もしかして、怪物クジラの背中――ッ」",
"382000632_3": "「……じゃない。S.O.N.G.の潜水艦の上か……」",
"382000632_4": "「どうしてこんなところに……」",
"382000632_5": "(何があったの……? エルフナインさんの手伝いをして、\\n それから眠ろうと部屋に戻って……",
"382000632_6": "(……ダメ。その後が思い出せない)",
"382000632_7": "「う……ッ!?」",
"382000632_8": "(頭が……割れそうに痛い……ッ!?)",
"382000632_9": "「と、とにかく、潜水艦の中に入らないと……」",
"382000632_10": "「な……ッ!?\\n イシムの眷属ッ」",
"382000632_11": "(なんてこと……。\\n ろくに動けない、この状況で囲まれるなんて……",
"382000632_12": "(このままあたし、こいつらに殺されてしまうの……?)",
"382000632_13": "「そんなの……絶対に嫌だ。\\n こんなところで、終わってたまるかッ」",
"382000632_14": "(あたしの命は、奏さんに救ってもらったものだッ!\\n だから――ッ",
"382000632_15": "「あたしは、生きるのを諦めないッ!」",
"382000632_16": "(本当にあたしの中に、イシムたちが恐れる力があるのなら……。\\n それを使って生き残ることができるかもしれないッ",
"382000632_17": "(――集中しろ、水流明日香。\\n 自分の中にある力を、制御するんだ",
"382000632_18": "(…………)",
"382000632_19": "【ドクンッ――】",
"382000632_20": "(……ッ! あたしの中に、なにかがあるッ!)",
"382000632_21": "(この感覚を手繰り寄せて、自分のものにすればッ!)",
"382000632_22": "「……あたしには、装者の皆さんみたいな才能はない。\\n エルフナインさんみたいな知識もない」",
"382000632_23": "「頼りになるのは、この身体の中の感覚だけ。\\n だから、この力を使いこなして……」",
"382000632_24": "「今こそあたしは――ッ!」",
"382000632_25": "(…………)",
"382000632_26": "「……ダメ。なにも起こらない……」",
"382000632_27": "「どうしてッ!? 何が足りないのッ!?」",
"382000632_28": "「あたしには……戦う力を手に入れることは、できないの……?」",
"382000632_29": "「あたしはこのまま、こんなやつらに……」",
"382000632_30": "「――なにしけたツラしてやがる」",
"382000632_31": "「え……? イシムの眷属が、一瞬で……」",
"382000632_32": "「ふん。歯ごたえのねぇやつらだ」",
"382000632_33": "「し……師範ッ!? どうしてここに……」",
"382000632_34": "「どうしてって、そりゃお前……あー、なんだ」",
"382000632_35": "「……最近、毎晩うなされてるようだったしよ。\\n ちょっとばかし、気になってな」",
"382000632_36": "「弟子の様子を見学に来てみたってわけだ。\\n もちろん、また不法侵入だがな」",
"382000632_37": "「え、それって……あたしを心配してくれたっていう\\n ことですか」",
"382000632_38": "「言わせんじゃねぇよ、バカ弟子が」",
"382000632_39": "「しっかし、虫の知らせってのは当たるもんだな。\\n 嫌な予感がしたが……なんだ、この状況は」",
"382000632_40": "「あたしにも、なにがなんだか……」",
"382000632_41": "「まあいい。とりあえず、こいつらはぶっ飛ばしとくとするか」",
"382000632_42": "「すぅぅぅ……オラァッ!」",
"382000632_43": "「イシムだかなんだか知らねぇが、\\n そんなもんかッ」",
"382000632_44": "(師範……やっぱり強い。\\n イシムの眷属が、あっという間に倒れていく……ッ",
"382000632_45": "【ドクンッ――】",
"382000632_46": "「……ッ!? 頭痛が……、一層激しく……ッ!」",
"382000632_47": "(ダメ……目がかすんで……)",
"382000632_48": "(し、<size=28>は</size><size=26>ん……</size>",
"382000632_49": "「……片付いたか」",
"382000632_50": "「ちッ、この程度の相手に時間かけちまうとはな。\\n 俺もまだまだ、修行が足りねぇ」",
"382000632_51": "「明日香に稽古をつけるついでに、鍛え直さねぇとな」",
"382000632_52": "「おい明日香。\\n お前も、これくらいの相手は簡単に倒せるくらいに――」",
"382000632_53": "「がッ、……は……ッ!」",
"382000632_54": "(何かが、腹を貫いてやがる……ッ!\\n これは……",
"382000632_55": "「……んな、バカな……ッ、てめぇは……ッ!」"
}

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@ -0,0 +1,18 @@
{
"382000711_0": "師はかく語りき",
"382000711_1": "「く……ッ! 大きいくせに、素早い……ッ!」",
"382000711_2": "「調から離れるデスッ!」",
"382000711_3": "「避けられたデスッ!?」",
"382000711_4": "「ならば接近戦で仕留めるッ!\\n 荒魂を宿せし天羽々斬の一太刀、受けてみよッ」",
"382000711_5": "「受け止めただと……ッ!?\\n 力押しかと思いきや、技も持っているかッ」",
"382000711_6": "「あの図体であの素早さ、それに剣技まで……。\\n いいとこどり過ぎデスよッ」",
"382000711_7": "「よもや、ガーディアンギアを纏った我々をいなすとはな……」",
"382000711_8": "「今のところはなんとか互角だけど……。\\n これじゃあ、いつまで経っても本部の応援にいけない」",
"382000711_9": "「ああ。\\n 問題は、この敵が体とは限らないということだ」",
"382000711_10": "「あいつは小さな眷属が合体して生まれた……ということは」",
"382000711_11": "「本部の方にも、こいつと同じ敵が\\n 現れるかもしれないということデスかッ」",
"382000711_12": "「可能性は大いにある。ガーディアンギアを纏うわたしたちで\\n これだけ苦労している相手だ」",
"382000711_13": "「通常のギアで戦う4人では、\\n 対処するのは難しいかもしれない……」",
"382000711_14": "「ここが正念場だッ! 決着をつけるぞッ!」",
"382000711_15": "「はい(デース)ッ!」"
}

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@ -0,0 +1,61 @@
{
"382000712_0": "「う……頭がくらくらする……」",
"382000712_1": "(あたし、また気を失ってたの……?)",
"382000712_2": "(……そうだッ! 師範がイシムの眷属と戦ってるんだッ!)",
"382000712_3": "「……え?\\n なに、これ 赤い……血」",
"382000712_4": "「いったい、誰の……」",
"382000712_5": "「そこに倒れてるのは……師範?」",
"382000712_6": "(血……師範の身体から流れて……)",
"382000712_7": "「…………そんな」",
"382000712_8": "「嘘、ですよね……?\\n あんな、めちゃくちゃに強い師範がやられちゃうなんて……」",
"382000712_9": "「…………」",
"382000712_10": "「師範……、師範ッ!」",
"382000712_11": "「……ッ!\\n こんなに酷い傷を……ッ」",
"382000712_12": "「う……」",
"382000712_13": "「師範ッ!?\\n よかった、息はあるッ」",
"382000712_14": "「当たり前だ、バカやろう……。\\n 俺がそう簡単に死ぬかよ……」",
"382000712_15": "(あたしが気絶してる間に、イシムの眷属にやられた……?\\n でも、眷属は師範の敵じゃなかった……なら",
"382000712_16": "「もしかして……イシムにやられたんですかッ!?」",
"382000712_17": "「…………」",
"382000712_18": "「ああ、そうみたいだな」",
"382000712_19": "「師範……もしかして、あたしを護って怪我を……?」",
"382000712_20": "(あたし、また護られてる……)",
"382000712_21": "「……ごめんなさい、師範。\\n あたしに、戦う力がなかったから……」",
"382000712_22": "「あたしが、秘められた力を使いこなせていたら、\\n 足手まといになんてならなかったのに……ッ」",
"382000712_23": "「……明日香。お前よ」",
"382000712_24": "「才能がないだの、力を使いこなせればだの……、\\n いつからそんなつまらねぇことを言うようになった」",
"382000712_25": "「え……?」",
"382000712_26": "「お前が目指した正義のヒーローってやつは、\\n 誰かのお膳立てが無けりゃなれないもんなのか」",
"382000712_27": "「……ッ!」",
"382000712_28": "「あの日、俺に弟子入りを志願してきたお前は、\\n そんな他力本願じゃなかったぜ」",
"382000712_29": "「お前は、自分自身で戦う力を身に着けようと、必死だった。\\n 俺が何度突っ返そうと、諦めなかった」",
"382000712_30": "「師範……」",
"382000712_31": "「だからよ……簡単に諦めてんじゃねぇ」",
"382000712_32": "「諦めねぇってのは、それだけで強ぇんだよ。\\n その心の強ささえありゃ、十分だ」",
"382000712_33": "「その諦めの悪さが、まるで自分を見てるみてぇでなぁ……」",
"382000712_34": "「……だから俺は、\\n お前を認めて、弟子にしてやったんだ」",
"382000712_35": "「諦めない、強さ……」",
"382000712_36": "「明日香……お前はバカでいい。才能だとか、\\n 小賢しいこと考えずに、バカのまま、進み続けろ」",
"382000712_37": "「そうすりゃ、正義のヒーローだろうが、最強の格闘家だろうが、\\n 気づいたらなっちまってるもんじゃねぇのか……」",
"382000712_38": "「師範……ッ!」",
"382000712_39": "「ちッ、ガラにもねぇ説教させやがって……」",
"382000712_40": "「この厄介ごとが片付いたら、みっちり鍛え直してやるからな。\\n 覚悟しとけよ」",
"382000712_41": "「……はいッ!」",
"382000712_42": "(そうだ……あたしは焦るあまり、自分自身が\\n 積み重ねてきたものを否定していたんだ",
"382000712_43": "(力がなければ正義は貫けない……。\\n でも、力があれば正義っていうわけじゃないッ",
"382000712_44": "(正義を貫くために自分を鍛え続ければ、\\n きっとあたしはいつか、奏さんのように……ッ",
"382000712_45": "(だから、今はあたしにできることをしようッ!)",
"382000712_46": "「師範、じっとしててくださいッ!\\n 応急手当をしますッ」",
"382000712_47": "「へッ、この程度、ツバつけときゃ治るっての……」",
"382000712_48": "「そんなわけないでしょうッ! こんなに血を流してッ!」",
"382000712_49": "「……師範に怪我を負わせた相手は、\\n どこへ行ったんですか」",
"382000712_50": "「……明日香」",
"382000712_51": "「はい? なんですか、師範?」",
"382000712_52": "「……負けるんじゃねぇぞ」",
"382000712_53": "「負ける……?\\n なんのことですか」",
"382000712_54": "「……白旗上げるのは、\\n お前には似合わねぇっつってん<size=28>だ……</size><size=26>よ……</size>」",
"382000712_55": "「師範……ッ!?」",
"382000712_56": "「…………」",
"382000712_57": "「よかった、気絶しただけか……」",
"382000712_58": "「だけど……、\\n イシムはいったい、どこに消えたの……ッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,50 @@
{
"382000721_0": "「明日香ちゃんッ!\\n よかった、ここにいたんだッ」",
"382000721_1": "「響先輩ッ!\\n 師範が……ッ」",
"382000721_2": "「えッ!? そこに倒れてるの、茶蔵さんッ!?」",
"382000721_3": "「この出血量……まずいわ。\\n 早く治療を受けさせないとッ」",
"382000721_4": "「なんで茶蔵のおっさんが怪我してるんだよッ!?」",
"382000721_5": "「あたしは気を失ってしまって、\\n 目覚めたらこんなことに……ッ」",
"382000721_6": "「てことは……お前をさらったのは、\\n 茶蔵じゃなかったってことか……ッ」",
"382000721_7": "「師範があたしを……?\\n な、何を言ってるんですか」",
"382000721_8": "「いや、悪かった。\\n 忘れてくれ」",
"382000721_9": "「これで、別の誰かが艦内にイシムの眷属を\\n 解き放ったことになるわね」",
"382000721_10": "「だとしたら、それはきっとイシムですッ!」",
"382000721_11": "「師範は眷属相手に負ける人じゃありませんッ!\\n イシムにやられたんですッ」",
"382000721_12": "「確かに、状況を見れば\\n それが一番、つじつまが合うわね」",
"382000721_13": "「茶蔵さんは、やっぱり明日香ちゃんを\\n 大事に思っていたんだ……」",
"382000721_14": "「わたしたちを街で見張っていたのも、\\n きっと明日香ちゃんを心配してたんだよ」",
"382000721_15": "「くそッ、あたしの思い違いか……ッ!」",
"382000721_16": "「反省するのは後、今はとにかく、\\n 人を安全な場所に運んで……」",
"382000721_17": "「イシムの眷属ッ!? こんな時に……ッ!」",
"382000721_18": "「この数が相手だと、4人総出でなければ\\n 抑えられそうにないわね……」",
"382000721_19": "「でも、明日香ちゃん1人じゃあ、\\n 大柄な茶蔵さんを運ぶのは無茶だよ」",
"382000721_20": "「みんな、2人をこっちへッ!」",
"382000721_21": "「茶蔵さんはこっちで引き受けるッ!」",
"382000721_22": "「――ッ!\\n 発令所からここまで来てくれたんですかッ」",
"382000721_23": "「いいタイミングだッ!」",
"382000721_24": "「これならわたしたちも、イシムの眷属の相手に専念できるッ!」",
"382000721_25": "「絶対に、明日香ちゃんたちのところには行かせないッ!」",
"382000721_26": "「く……痛つ……」",
"382000721_27": "「できるかぎりの処置はしましたが、大丈夫ですか……?」",
"382000721_28": "「ああ、問題ない。助かる。\\n しかし、下手を打ってしまったな」",
"382000721_29": "「あれだけの数の敵と戦ったのだから、仕方ないです。\\n むしろ、これだけの負傷で済んでいるのが信じられません」",
"382000721_30": "「持ちこたえられたのは、装者の皆が\\n 艦内の敵を減らしてくれたからこそだ」",
"382000721_31": "「戻りましたッ!」",
"382000721_32": "「師範が怪我をしているんですッ!\\n 手当てをお願いできないでしょうかッ」",
"382000721_33": "「なに? 茶蔵が……?」",
"382000721_34": "「これは……普通の人だったら、相当危険な状態です。\\n すぐに応急処置を……ッ」",
"382000721_35": "「お願いしますッ!」",
"382000721_36": "(……妙だな)",
"382000721_37": "(誰を相手にしたにしろ、あの茶蔵がここまでの深手を\\n 負うだろうか……",
"382000721_38": "(なにか、よほど意表を突かれることでもあったのか……?)",
"382000721_39": "「敵はいったい……何者だ?」",
"382000721_40": "「はぁ、はぁ……ッ! 見た目を裏切らぬタフさだな」",
"382000721_41": "「それでも、少しずつダメージは与えられています」",
"382000721_42": "「動きもだんだん鈍くなってきたデスッ!」",
"382000721_43": "「本部では響さんたちが大量のイシムの眷属と、\\n いまだ交戦中とのことですッ」",
"382000721_44": "「ならばなおさら、こいつにこれ以上時間を\\n 割くわけにはいかないッ」",
"382000721_45": "「勝負のかけどころだッ! 一気に決めるぞッ!」",
"382000721_46": "「はいッ!」",
"382000721_47": "「やってやるデスッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,27 @@
{
"382000722_0": "「いい加減に……ッ!」",
"382000722_1": "「<size=40>倒れろーーーッ!</size>」",
"382000722_2": "「や……やったデスッ!」",
"382000722_3": "「ずいぶんと手こずらせてくれたな……」",
"382000722_4": "「みんなの応援に向かわないと。",
"382000722_5": " ――あ……」",
"382000722_6": "「調ッ、大丈夫デスかッ!?」",
"382000722_7": "「うん……ちょっと、力を使い過ぎたみたい……」",
"382000722_8": "「そうデスね。\\n アタシもヘトヘトデスよ……」",
"382000722_9": "「わたしたちの力を削るための戦術だとすれば、\\n まんまと術中にはまったな……」",
"382000722_10": "「……本部の様子が気がかりだ。急いで戻ろう」",
"382000722_11": "「皆さん、ヘリに乗ってくださいッ!\\n 本部に急行しますッ」",
"382000722_12": "「お願いします」",
"382000722_13": "「ここから本部まで、1時間といったところか……」",
"382000722_14": "「皆、無事でいてくれ……ッ!」",
"382000722_15": "「大盤振る舞いだッ! 蹴散らしてやるッ!」",
"382000722_16": "「だいぶ相手の数が減ってきたッ!」",
"382000722_17": "「これならどうにか押し切れそうだねッ!」",
"382000722_18": "「そういう楽観的なこと言ってると、\\n 大抵よくないことが起こるんだよな」",
"382000722_19": "「え?」",
"382000722_20": "「見て、イシムの眷属が一箇所に集まってるッ!」",
"382000722_21": "「まとめて一網打尽にしてください……ってわけじゃないよな。\\n 何するつもりだ」",
"382000722_22": "「……なにか嫌な予感がするわ」",
"382000722_23": "「イシムの眷属が……」",
"382000722_24": "「合体した……ッ!?」"
}

View file

@ -0,0 +1,26 @@
{
"382000811_0": "NEVER GIVE UP",
"382000811_1": "「合体なんて……そんなのありッ!?」",
"382000811_2": "「ったく、本当に厄介なことになりやがった……ッ!",
"382000811_3": " どっかの能天気が、変なフラグたてるからッ!」",
"382000811_4": "「うう……ッ!」",
"382000811_5": "「集中しなさい。\\n これまでのイシムの眷属とは、プレッシャーが段違いよ」",
"382000811_6": "「速い……ッ!」",
"382000811_7": "「あ、危なかった……ッ!」",
"382000811_8": "「こいつをくらいなッ!」",
"382000811_9": "「効いてないのかッ!?」",
"382000811_10": "「どうやら、生半可な攻撃はダメージにならないみたいね」",
"382000811_11": "「……こうなると、ガーディアンギアを纏う3人がこの場に\\n いないのが痛いわね」",
"382000811_12": "「でも、わたしたちがここで食い止めないと、\\n 艦内にいるみんなが危ないッ」",
"382000811_13": "「どうする?\\n ギャラルホルンを使って応援を連れてくるか」",
"382000811_14": "「確かに、奏さんやセレナちゃんがいてくれれば、\\n なんとかなるかもッ」",
"382000811_15": "「悪くない案だけど、その隙を与えてくれそうにないわね」",
"382000811_16": "「それなら……わたしたちでなんとかしようッ!\\n 人の力を合わせれば、きっと乗り越えられるッ」",
"382000811_17": "「この状況で精神論か?」",
"382000811_18": "「ううん、そうじゃないよ。わたしは、信じてるから」",
"382000811_19": "「あんな<ruby=みらい>未来</ruby>にしないために重ねてきた特訓は、\\n わたしたちを強くしてくれているはずだってッ」",
"382000811_20": "「結局根性論かよッ!」",
"382000811_21": "「けどまあ、悪くない。乗ってやる」",
"382000811_22": "「来る……ッ!」",
"382000811_23": "「迎え撃つわよッ!\\n 連携を崩さず、お互いをカバーし合ってッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,49 @@
{
"382000812_0": "「背中ががら空きよッ!」",
"382000812_1": "「どこ見てるッ!\\n あたしを無視すんなッ」",
"382000812_2": "「一気に畳みかけますッ!」",
"382000812_3": "「効いてるわッ!」",
"382000812_4": "「とっておきをくらわせてやれッ!」",
"382000812_5": "「みんなが注意を引いてくれたから、ここまで近づけたッ!」",
"382000812_6": "「……ッ!」",
"382000812_7": "「これがわたしの、全力全開だぁぁぁぁぁ――ッ!」",
"382000812_8": "「やったッ!」",
"382000812_9": "「頼むから、もう立ち上がるんじゃねぇぞッ!」",
"382000812_10": "「ゼロ距離からの、ガングニールによる最大火力……。\\n これで仕留め切れていなかったら……」",
"382000812_11": "「なんだ……? 様子が変だぞ?」",
"382000812_12": "「分裂したッ!?」",
"382000812_13": "「しかも、まだまだ元気じゃねぇかッ!」",
"382000812_14": "「やっぱり、ガーディアンギアでなければ、\\n 倒しきれないの……」",
"382000812_15": "「はぁ、はぁ……ッ、\\n ……それでも――」",
"382000812_16": "「それでもわたしは、諦めないッ!」",
"382000812_17": "「ぬぅ……ッ!\\n ここにきて手札を残していたかッ」",
"382000812_18": "「そんな……1体でも大変だったのに、\\n 体同時だなんて……」",
"382000812_19": "「…………」",
"382000812_20": "「エルフナインさん……?」",
"382000812_21": "「……よし。艦内はもう、安全みたいですね。\\n これなら、問題なく研究室まで辿り着けそうです」",
"382000812_22": "「どこへ行くんですか?」",
"382000812_23": "「わッ!?」",
"382000812_24": "「あ、驚かせてごめんなさい。\\n でも、こんな状況で人で動くなんて、危険ですよ」",
"382000812_25": "「それは確かにそうなんですが……装者の皆さんには、\\n もっと強い力が必要です」",
"382000812_26": "「翼さんたちの合流が遅れている以上、残された手段は1つ……」",
"382000812_27": "「想い出の結晶、『アルカメモリ』です」",
"382000812_28": "「え、でも……、\\n それは、修復が済んでいないのでは……」",
"382000812_29": "「だから、ボクが今、修復しないといけないんです」",
"382000812_30": "「いつだって、土壇場で粘って、勝利を引き寄せてきた\\n 響さんたちが、今も頑張っている……」",
"382000812_31": "「だったら、この場で頑張るのは、ボクの役目です」",
"382000812_32": "「想い出の結晶を修復して、響さんたちに『希望』を届ける……。\\n それが、状況を打開する唯一の手段なんですッ」",
"382000812_33": "「エルフナインさん……」",
"382000812_34": "「……分かりました。そういうことなら、止めはしません」",
"382000812_35": "「その代わり、あたしも一緒に行きますッ!」",
"382000812_36": "「明日香さんが?」",
"382000812_37": "「まだ敵がどこかに残っているかもしれない状況で、\\n 人で動くのは危険すぎます」",
"382000812_38": "「あたしなら、イシムの眷属の位置を把握できますッ!」",
"382000812_39": "「ですが……」",
"382000812_40": "「もし逃げ切れずに襲われたとしても、\\n イズみたいに触った途端に炭にされるわけじゃないです」",
"382000812_41": "「それなら、あたしでも時間稼ぎくらいはできるはずですッ!\\n あたしは、茶蔵師範の弟子なんですからッ」",
"382000812_42": "「明日香さん……。\\n ですが――」",
"382000812_43": "「巻き込みたくない、っていうのは無しですよ。\\n 今更部外者だなんて、寂しいことは言わせませんから」",
"382000812_44": "「……決意は固いようですね」",
"382000812_45": "「分かりました。一緒に行きましょうッ!」",
"382000812_46": "「はいッ! あたしたち2人で、響先輩たちを助けましょうッ!」"
}

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@ -0,0 +1,62 @@
{
"382000821_0": "「……よし、イシムの眷属の気配はなし」",
"382000821_1": "「どうにか無事にここまで来れましたね」",
"382000821_2": "「ありがとうございます、明日香さんッ! ボクだけでは、\\n ここまですんなり来られたか分かりませんでした」",
"382000821_3": "「いえ、まだまだこれからです。\\n あたしは近くにあいつらが来ないか見張っていますから」",
"382000821_4": "「ボクはその間に、想い出の結晶の修復を完了させますッ!」",
"382000821_5": "(問題は、損傷のせいで込められた想い出、\\n つまりは術式の正体が分からないこと",
"382000821_6": "(これが最後の1ピース……これさえ解析できれば、\\n 修復はすぐに完了するのに",
"382000821_7": "(……いえ、弱音を吐いている場合じゃありませんッ!)",
"382000821_8": "(分からないなら、片っ端から術式をあてはめて、\\n 仮説検証してみるまでですッ",
"382000821_9": "「これもダメでしたか……」",
"382000821_10": "(長い歴史をかけて培われてきた錬金術……)",
"382000821_11": "(その術式を1つ1つ検証していたのでは、\\n どれだけ時間がかかるか分かりません……",
"382000821_12": "(このままでは、響さんたちが危ないのに……)",
"382000821_13": "「わぁッ!?」",
"382000821_14": "「な、なにがッ!?」",
"382000821_15": "「いたたた……。\\n だ、大丈夫ですかッ」",
"382000821_16": "「……大丈夫です、どうということは……、",
"382000821_17": " つ……ッ!」",
"382000821_18": "「どこか怪我をッ!?」",
"382000821_19": "「倒れてきた棚にぶつけたみたいです……」",
"382000821_20": "「さっきの揺れで机の上のものは全部ひっくり返されたようですが、\\n まずは傷の手当てを……」",
"382000821_21": "「そんなことより、想い出の結晶はッ!?\\n 結晶が砕けでもしていれば、希望がなくなってしまうッ」",
"382000821_22": "「想い出の結晶はどこに……ッ!」",
"382000821_23": "「あ、あたしも探しますッ!」",
"382000821_24": "「……こっちに2つッ! 残り2つはッ!?」",
"382000821_25": "「こっちにもありましたッ!\\n これで全部ですッ」",
"382000821_26": "「よかった、新たな損傷はないみたいです……ッ!\\n すぐに修復を……ッ」",
"382000821_27": "「…………」",
"382000821_28": "「あの、どうかしたんですか……?」",
"382000821_29": "「……ダメなんです」",
"382000821_30": "「え?」",
"382000821_31": "「結晶があっても、ボクはまだどんな想い出がこの結晶に\\n 込められているか、特定できていません……」",
"382000821_32": "「ヒントもない状態で、術式を特定するだけの知識も力も、\\n ボクにはありません……」",
"382000821_33": "「やっぱりボクは、肝心なところでなんの役にも立てない……」",
"382000821_34": "(……同じなんだ。あたしと)",
"382000821_35": "(いつだって背負った想いの重さに潰されそうになりながら、\\n 小さな身体で頑張ってるんだ……",
"382000821_36": "(あたしも、奏さんの想いを背負ったつもりだったけど、\\n 全然役に立てなくて、諦めそうになった……でも",
"382000821_37": "(師範はそんなあたしに、諦めるなって言ってくれた。\\n それがあたしの強さだってッ",
"382000821_38": "「諦めちゃダメですッ!\\n 諦めないこと……それが、一番大切な強さなんですッ」",
"382000821_39": "「強さ……?」",
"382000821_40": "「それさえあれば、必ず人は強くなれるッ!\\n いつか必ず、望みは叶いますッ」",
"382000821_41": "「だから、エルフナインさんも抗うことを\\n やめたらダメなんですッ 抗うことを……」",
"382000821_42": "「生きることを、諦めないでッ!」",
"382000821_43": "「……ッ!」",
"382000821_44": "「あたしも一緒に考えますッ!\\n あたし、頭はよくないんで全然ダメかもしれないけど……」",
"382000821_45": "「それでも、最後の瞬間まで、一緒に戦いますからッ!」",
"382000821_46": "(そうだ……キャロルも、シェム・ハに負けそうな時、\\n 絶対に最後まで諦めなかった",
"382000821_47": "(キャロルに助けられたボクが、こんな弱気じゃダメですッ!)",
"382000821_48": "(……キャロル。どうか、君の強さをボクに分けて……ッ!)",
"382000821_49": "(キャロル……?)",
"382000821_50": "「……そうか。そうですッ! キャロルですッ!」",
"382000821_51": "「ど、どうしたんですか?」",
"382000821_52": "「ボクは……大切なことを忘れていました」",
"382000821_53": "「この想い出の結晶は、他ならぬ<ruby=みらい>未来</ruby>のボクが作った物です」",
"382000821_54": "「だったら、結晶に込められた術式は、ボクが心の底から強いと\\n 思えるもの……『希望』と呼べるもののはずなんです」",
"382000821_55": "「な、なるほど……?\\n それで、その強いものというのは……」",
"382000821_56": "「ボクが知る、強く、そして優しい人……、\\n それは、キャロル以外にいません」",
"382000821_57": "「4つあることもヒントだったんですね。\\n どうして気づかなかったんでしょう……」",
"382000821_58": "「ボクが『希望』と呼ぶのなら、それはキャロルの力の一端。\\n ボクのことも助けてくれた、キャロルの力の分身ッ」",
"382000821_59": "「つまりは――ッ!」"
}

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@ -0,0 +1,49 @@
{
"382000831_0": "(く……ッ! 重くて速い……ッ!\\n 疲れとダメージで、いなすことも難しくなってきた……ッ",
"382000831_1": "「……ッ! しまった……ッ!」",
"382000831_2": "「うわああああああ……ッ!」",
"382000831_3": "「響ッ!?」",
"382000831_4": "「く……ッ、大丈夫、まだ戦えるッ!」",
"382000831_5": "(身体の奥までしびれるような痛みが消えない……。\\n ダメージが蓄積してきてる。このままじゃあ……ッ",
"382000831_6": "「……追い込まれたわね」",
"382000831_7": "「いよいよ、切り札の使い時かもな……」",
"382000831_8": "「でも、絶唱を使ったら……」",
"382000831_9": "「ええ。相手は戦略的に、こっちの力を削ってきてるわ」",
"382000831_10": "「こいつらを絶唱でどうにかできたとしても、\\n もしあっちにはまだ戦力が残ってたら……」",
"382000831_11": "「一網打尽ってわけだ」",
"382000831_12": "「……わたしたちの戦いには、S.O.N.G.のみんなや、\\n 明日香ちゃん……ううん、それだけじゃない」",
"382000831_13": "「この世界の、みんなの<ruby=みらい>未来</ruby>がかかってる」",
"382000831_14": "「負けるわけにはいかないッ!」",
"382000831_15": "「必ず、希望を明日に繋ぐんだッ!」",
"382000831_16": "「<size=40>『希望』なら、ここにあります――ッ!!</size>」",
"382000831_17": "「え……ッ!?」",
"382000831_18": "「あ、明日香ちゃんに、エルフナインちゃんッ!?\\n なんで……ッ」",
"382000831_19": "「これを使ってくださいッ!」",
"382000831_20": "「わッ!? これって……」",
"382000831_21": "「想い出の結晶……っていうことはッ!」",
"382000831_22": "「修復が完了したのッ!?」",
"382000831_23": "「はいッ、遅くなってすみませんッ!\\n 修復に必要な最後のピースが、ついに分かったんですッ」",
"382000831_24": "「その結晶は、<ruby=みらい>未来</ruby>のボクが遺した、勇気と希望の結晶。\\n そして、ボクにとっての勇気と希望、それは――ッ」",
"382000831_25": "「キャロルと、キャロルが自らの心の写し身として作り出した、\\n 体の分身……」",
"382000831_26": "「チフォージュ・シャトーでボクを助けてくれた、\\n <ruby=オートスコアラー>自動人形</ruby>たちッ!」",
"382000831_27": "「彼女たちに与えられた、四大元素の力ッ!\\n それこそが、想い出の結晶に込められた術式だったんですッ」",
"382000831_28": "「受け取ってくださいッ! 結晶に込められた、想いをッ!\\n そうすればきっと、応えてくれるはずですッ」",
"382000831_29": "「うん……感じるよ。<ruby=みらい>未来</ruby>のエルフナインちゃんが、\\n どんな想いでこれを遺したか――ッ」",
"382000831_30": "「わたしたちが……S.O.N.G.がイシムに敗れて、\\n 荒れ果てていく世界で、それでも追い求めた希望ッ」",
"382000831_31": "「託す相手がいなくなっても、それでも絶望に抗い、\\n 信じ続けたッ 必ず誰かが受け取ってくれるとッ」",
"382000831_32": "「その『希望』が今、時を越えてわたしたちの手の中にあるッ!\\n ならばそれは、奇跡や偶然なんかじゃないッ」",
"382000831_33": "「<ruby=みらい>未来</ruby>のエルフナインちゃん、今のエルフナインちゃん、\\n そして――ッ」",
"382000831_34": "「明日香ちゃんが引き寄せた、運命そのものなんだッ!!」",
"382000831_35": "「…………ッ!」",
"382000831_36": "「みんなが繋いだ希望の力ッ!\\n これがわたしたちの……新しい力だ――ッ」",
"382000831_37": "「みんなのギアが、変化した……ッ!?」",
"382000831_38": "「皆さんッ!\\n そのギアは、錬金術を攻撃に乗せて放つことができますッ」",
"382000831_39": "「シンフォギアに術式を組み込んだ、\\n アマルガムとは別の形での、錬金術とのハイブリッド……ッ」",
"382000831_40": "「名づけて……、",
"382000831_41": " アルカメモリギアですッ!」",
"382000831_42": "「ええ……感じるわ。吹き荒ぶ風をッ!」",
"382000831_43": "「さんざん苦しめられたあいつらの力だ。\\n 使い方は分かってるッ」",
"382000831_44": "「これ以上、好きにはさせないッ!」",
"382000831_45": "「キャロルちゃんとエルフナインちゃんの想い出が、\\n わたしたちを助けてくれる……だからッ」",
"382000831_46": "「こんなところで、負けてなんていられるかッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,28 @@
{
"382000832_0": "「敵を分断し、最大火力で決めるッ!\\n こっちの眷属はわたしたちで相手をするわよッ」",
"382000832_1": "「はいッ!」",
"382000832_2": "「だったらもう1体のデカブツは、あたしらの担当だッ!」",
"382000832_3": "「うんッ!」",
"382000832_4": "「マリアさんッ! そのアルカメモリギアが宿しているのは、\\n 風の元素の力ッ」",
"382000832_5": "「吹き荒ぶ風は、巨体であるほど逃れることはできませんッ!」",
"382000832_6": "「つまり……こういうことねッ!」",
"382000832_7": "「響さんッ! 響さんが宿しているのは、大地の力ッ!\\n 圧倒的な打撃で敵を薙ぎ払いますッ」",
"382000832_8": "「分かったッ!",
"382000832_9": " この拳で、砕けろおおおおおおおおッ!」",
"382000832_10": "「未来さんッ! そのギアは空気中の水分を操って……」",
"382000832_11": "「未来さんッ!?」",
"382000832_12": "「今のは、水と光で作った虚像ッ!?\\n もう使いこなして……ッ」",
"382000832_13": "「さらに、これでッ!」",
"382000832_14": "「眷属の足が、氷で覆われて動きを……ッ!」",
"382000832_15": "「いいタイミングだッ!\\n こっちも行くぞッ」",
"382000832_16": "「高熱の炎の錬成……ッ!」",
"382000832_17": "「こいつをあたしの銃撃に乗せて、超音速で撃ちだすッ!」",
"382000832_18": "「すごいですッ! イシムの眷属を追い込んでいますッ!」",
"382000832_19": "「ここだああ――ッ!」",
"382000832_20": "「全力の一撃をッ!」",
"382000832_21": "「<ruby=みらい>未来</ruby>を切り開くためにッ!」",
"382000832_22": "「1つに束ねて――ッ!」",
"382000832_23": "「<size=40>叩き込めえええええええええええええええええッ!</size>」",
"382000832_24": "「イシムの眷属が、消えた……」",
"382000832_25": "「響先輩たちの勝利ですッ!」"
}

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@ -0,0 +1,82 @@
{
"382000841_0": "「響先輩ッ!」",
"382000841_1": "「明日香ちゃん……って、",
"382000841_2": " わわぁッ!?」",
"382000841_3": "「抱き着いちゃった」",
"382000841_4": "「すごいすごいッ! すごいです、響先輩ッ!\\n やっぱり響先輩は、かっこいいですッ」",
"382000841_5": "「皆、無事かッ!?」",
"382000841_6": "「敵はどこですかッ!?」",
"382000841_7": "「駆けつけるのが遅れた分、ここから挽回するデスよッ!」",
"382000841_8": "「翼さん、みんなッ!」",
"382000841_9": "「って……イシムの眷属がどこにもいないデス?」",
"382000841_10": "「それに、そのギアはいったい……?」",
"382000841_11": "「なるほど、そんなことがあったのか」",
"382000841_12": "「はー、アルカメモリギアデスかー」",
"382000841_13": "「これで、イシムの眷属に有効な手段、\\n つの希望が揃いましたね」",
"382000841_14": "「そのようだな」",
"382000841_15": "「師匠、その怪我はッ!?」",
"382000841_16": "「かすり傷だ。ツバでもつけときゃ治る」",
"382000841_17": "「現状、艦内にイシムの眷属の姿は見当たらない。\\n すべて殲滅できたと考えていいだろう」",
"382000841_18": "「よくやった」",
"382000841_19": "「とはいえ、だ……、\\n これですべての戦いが終わったわけではないだろう」",
"382000841_20": "「茶蔵を負傷させ、眷属たちを操っていた存在……。\\n イシムがどこにいるのかは、依然として知れないままだ」",
"382000841_21": "「はい。眷属でさえあの強さです。わたしたちが先だって\\n 戦ったイシムより、遥かに強いと思った方がいいでしょう」",
"382000841_22": "「<ruby=みらい>未来</ruby>の方は、あれで弱くなっていたというわけデスか……ッ!\\n 改めて、とんでもないデスね」",
"382000841_23": "「だからこそ、今のうちに体制を立て直さなければいかん。\\n 明日にでも、並行世界の装者に救援を求めるつもりだ」",
"382000841_24": "「なるべくわたしたちで対処したいところだけど、\\n 今度ばかりはそうも言ってられないわね」",
"382000841_25": "「2人が来てくれるなら、百人力ですッ!」",
"382000841_26": "「うむ」",
"382000841_27": "「それと、エルフナインくん。それに明日香くん」",
"382000841_28": "「は、はい」",
"382000841_29": "「なんでしょうか……?」",
"382000841_30": "「まったく……2人だけで前線に出るなど、無茶をするものだ」",
"382000841_31": "「あ……それは……」",
"382000841_32": "「だが、おかげで事なきを得た。\\n S.O.N.G.司令として、礼を言わせてもらう」",
"382000841_33": "「うんッ! 勝てたのは想い出の結晶を持って来てくれた、\\n 人のおかげだよッ」",
"382000841_34": "「い、いえいえッ! それを言うなら、想い出の結晶を\\n 直したエルフナインさんのおかげですよッ」",
"382000841_35": "「ボク1人では、諦めてしまっていたかもしれません。\\n 明日香さんがいてくれたからこそです」",
"382000841_36": "「そんなッ!\\n あたしは大したことはなにも……」",
"382000841_37": "「いえいえ、そんなことはありませんよ。\\n 明日香さんのおかげです」",
"382000841_38": "「いえいえ、あたしなんてなんにも」",
"382000841_39": "「いえいえ」",
"382000841_40": "「いえいえ」",
"382000841_41": "「……なんでこの2人は、\\n お互いに手柄を譲り合ってるのかしら」",
"382000841_42": "「めんどくさいやつらだな。どんだけ謙虚なんだよ」",
"382000841_43": "「もっと誇っていいんだよ。わたしたちが勝てたのは、\\n 人のおかげなんだからッ」",
"382000841_44": "「そうデスよ~。\\n アタシだったら、もっと鼻高々になっちゃうデス」",
"382000841_45": "「切ちゃんは調子がいいから」",
"382000841_46": "「えぇッ!?\\n それはないデスよぉ、調」",
"382000841_47": "「アハハハ」",
"382000841_48": "「明日香ちゃんには、<ruby=みらい>未来</ruby>の世界と合わせて、\\n 二度も助けてもらっちゃったね」",
"382000841_49": "「ああ。<ruby=みらい>未来</ruby>の世界で苦戦するわたしたちが勝てたのは、\\n スサオたちを連れて来てくれた水流の勇気あってこそだ」",
"382000841_50": "「おかげで、わたしたちはこの世界に帰ってこれた」",
"382000841_51": "「今日だって、みんなを助けてくれたデスッ!」",
"382000841_52": "「明日香ちゃんが諦めないで助けてくれたおかげだね」",
"382000841_53": "「奏さんのように戦うっていう夢も、諦めない。\\n そうなんだね」",
"382000841_54": "「響先輩……」",
"382000841_55": "「はい。あたし、諦めません。\\n 諦めが悪いのが、あたしですから……」",
"382000841_56": "(……決めた。あたしもエルフナインさんみたいに諦めず、\\n いつか装者の皆さんを本当に支えられるようになるんだッ",
"382000841_57": "【ドクンッ――】",
"382000841_58": "(え……?)",
"382000841_59": "「皆、消耗が激しいだろう。\\n ひとまず、続きは中に入ってからとしよう」",
"382000841_60": "「あー……そういえば、疲れてお腹がペコペコだったデ~ス」",
"382000841_61": "「この状況で食い物かよ……。\\n ま、その様子なら、大丈夫そうだな」",
"382000841_62": "「本部もてんやわんやだものね。大したものは用意できない\\n でしょうけど、一息つきたいのは同感だわ」",
"382000841_63": "「そうだな。まずは熱い茶でも淹れてから、今後の方針を……」",
"382000841_64": "「が……ッ!?」",
"382000841_65": "「……え?」",
"382000841_66": "「師匠……ッ!?」",
"382000841_67": "「まさか……敵の伏兵ッ!?」",
"382000841_68": "「気をつけろ、後ろからだッ!」",
"382000841_69": "「…………」",
"382000841_70": "「明日香ちゃん、急いでこっちに……ッ!」",
"382000841_71": "「待てッ、小日向ッ!」",
"382000841_72": "「え?」",
"382000841_73": "「なにか……様子がおかしい」",
"382000841_74": "「…………」",
"382000841_75": "「明日香……ちゃん?」",
"382000841_76": "「……え?」",
"382000841_77": "「水流が……バカな、その姿は……ッ!?」",
"382000841_78": "「まさか、イシム……ッ!?」",
"382000841_79": "「…………嘘」"
}

View file

@ -0,0 +1,85 @@
{
"382000911_0": "最初のガーディアン",
"382000911_1": "「…………嘘」",
"382000911_2": "「おいッ、こいつはなんの冗談だッ!?」",
"382000911_3": "「あの姿って……ッ!」",
"382000911_4": "「見た目は違うが、確かに似ている。\\n イシム……なのか」",
"382000911_5": "「――ようやく」",
"382000911_6": "「ようやく、この世界に復活することができましたわ」",
"382000911_7": "「喋った……ッ!?」",
"382000911_8": "「敵意があるわけじゃない……?」",
"382000911_9": "「少なくとも、前みたいに\\n いきなり襲いかかるつもりはないみたいだけど……」",
"382000911_10": "「長かった……本当に、長い時間を無為に過ごしましたわ」",
"382000911_11": "「ですが――これでようやく、\\n 『夢』が叶えられます」",
"382000911_12": "「明日香ちゃんを……、",
"382000911_13": " 明日香ちゃんをどうしたんだッ!」",
"382000911_14": "「立花ッ!?」",
"382000911_15": "「……せっかくの喜ばしい日に似つかわしくない、\\n 煩わしいサルがいるようね。……無粋だわ」",
"382000911_16": "「質問に答えてッ!」",
"382000911_17": "「まあ、大目に見て差し上げますわ。\\n だって、今のわたくしは、とっても気分がいいんですもの」",
"382000911_18": "「あなたたちが『明日香』と呼ぶこの子は、わたくしがこの世界に\\n 再び顕現するための、依り代となってくれましたわ」",
"382000911_19": "「依り代……? どういうことッ!?\\n 明日香ちゃんを返してッ」",
"382000911_20": "「知性を備えないサルにも分かるように話せと?」",
"382000911_21": "「さっきからサルサルと、見下してくれるデス……ッ!」",
"382000911_22": "「まさか……フィーネと同じ、遺伝子に刻印を持つ者に\\n 転生を繰り返してきた、先史文明期の……ッ」",
"382000911_23": "「フィーネ? ……なるほど。サルの身でありながら、\\n 転生を成した者を知っているようですわね」",
"382000911_24": "「つまり、あなたも転生を繰り返してきた、\\n 先史文明期の存在というわけ」",
"382000911_25": "「少し違いますわね。遥か悠久の昔、天の星々すらも今とは\\n 異なる様相だった時代……」",
"382000911_26": "「わたくしは、あの自分勝手なアヌンナキによって、\\n 一度は滅ぼされたのですわ」",
"382000911_27": "「アヌンナキにだと……ッ!?」",
"382000911_28": "「……あなたと、それからそこのあなた方」",
"382000911_29": "「わたしたち……?」",
"382000911_30": "「ア、アタシと調と翼さんがどうしたデスか……?」",
"382000911_31": "「あなた方から、感じる気配……」",
"382000911_32": "「それは……ガーディアンの力ですわね?」",
"382000911_33": "「ガーディアンたちと面識があるのか?」",
"382000911_34": "「面識もなにも、わたくしはその3体のガーディアンと争い、\\n 破れたのですわ」",
"382000911_35": "「ガーディアンたちと戦った……ッ!?\\n いったい、あなたは何者なのッ」",
"382000911_36": "「わたくしは――アヌンナキによって生み出された、\\n 最初のガーディアン」",
"382000911_37": "「…………ッ!?」",
"382000911_38": "「バカなッ! ガーディアンは\\n 並行世界と人類を護るためのものだろうッ」",
"382000911_39": "「なぜ人類に牙を剥くッ!」",
"382000911_40": "「いつだって、子は親に反旗を翻すものではなくって?」",
"382000911_41": "「冗談のつもりかしら?」",
"382000911_42": "「あら、本気よ? アヌンナキはわたくしに感情を与えた。\\n 人類を愛し、自発的に護るように」",
"382000911_43": "「けれど、感情を持つがゆえに、わたくしはそれとは別の\\n 生き甲斐を見出し、そっちを優先しましたの」",
"382000911_44": "「アヌンナキたちは、それが気に入らなかったようでして。\\n わたくしは失敗作とみなされ、廃棄処分が決定しました」",
"382000911_45": "「それで、ガーディアンたちと戦ったっていうわけか……」",
"382000911_46": "「ええ。アマテラス、ツクヨミ、スサノオ。\\n あれらは感情を解さぬわたくしの後継機ですわ」",
"382000911_47": "「その戦いで、アヌンナキたちはわたくしが\\n 完全に滅びたと思ったのでしょう」",
"382000911_48": "「ですが、わたくしは終わっていなかった……」",
"382000911_49": "「そして、ある聖遺物を使い、自らを1人のルル・アメルの\\n 血の中に封印したのですわ」",
"382000911_50": "「ルル・アメル……人間のことね」",
"382000911_51": "「力を失ったわたくしは、存続をそのサルに託すしかなかった。\\n ……今考えても、これ以上ない屈辱ですわッ」",
"382000911_52": "「ただ、そのサルの血が、わたくしと共に遥かな時代を超え今まで\\n 続いたことは、僥倖と言って差し支えないのではなくて」",
"382000911_53": "「やはりわたくしこそ、この世界に君臨するに\\n 相応しい存在だということなのですわ……ッ」",
"382000911_54": "「…………」",
"382000911_55": "「フィーネのように、各時代で覚醒したのではなく、\\n 脈々と続くの中にずっと潜んでいたというのかッ」",
"382000911_56": "「そしてその子孫が……、\\n 明日香ちゃんッ」",
"382000911_57": "「ええ。この時代まで封印に甘んじざるを得ませんでしたが、\\n ようやく復活が叶いましたの」",
"382000911_58": "「これで、わたくしの夢が叶えられますわ」",
"382000911_59": "「なんという尋常ならざる執念……ッ!」",
"382000911_60": "「そんなの……、\\n 明日香ちゃんを奪っていい理由になんてならないッ」",
"382000911_61": "「明日香ちゃんを返してッ!」",
"382000911_62": "「勘違いなされているようですわね。\\n わたくしはこの娘の身体を奪ったわけではありませんわ」",
"382000911_63": "「わたくしは、この娘……明日香そのもの。\\n 決して、わたくしたちを別つことなどできないのですわ」",
"382000911_64": "「そんなこと……ッ!」",
"382000911_65": "「もとよりサルごときに、\\n 聞き分けの良さを期待してなどいませんわ」",
"382000911_66": "「わたくしはこれから、かつて成し得なかったことを\\n 実行に移しますの」",
"382000911_67": "「この子もわたくしの中で、それを見ることになりますわ」",
"382000911_68": "「成し得なかったこと……?」",
"382000911_69": "「さっき言ってた、あなたが見出した生き甲斐のこと……?」",
"382000911_70": "「同時に、アヌンナキたちに廃棄処分される理由になったという\\n 話だったな。それはいったい……」",
"382000911_71": "「わたくしの願い、それは……」",
"382000911_72": "「――全人類の抹殺」",
"382000911_73": "「…………ッ!?」",
"382000911_74": "「さて、おしゃべりはここまでにいたしましょう。\\n 光栄に思いなさい、サルども」",
"382000911_75": "「あなた方は、わたくしによる蹂躙を受ける、\\n 最初のサルになるのですからッ」",
"382000911_76": "「来るぞッ!」",
"382000911_77": "「で、でも、あれは明日香ちゃんなんだよッ!?」",
"382000911_78": "「そりゃそうだが……ッ!」",
"382000911_79": "「……なんとかして動きを止めましょう。\\n 元に戻す方法があるかもしれないッ」",
"382000911_80": "「あれを相手に傷をつけずに無力化か……。\\n 無理難題だが、やるしかあるまいッ」",
"382000911_81": "「明日香ちゃん……少しだけ、待っててッ!\\n わたしたちが、必ず助けるから――ッ」",
"382000911_82": "「Balwisyall Nescell gungnir tron――」"
}

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@ -0,0 +1,44 @@
{
"382000912_0": "「ちっくしょう……ッ、なんて強さだ……ッ」",
"382000912_1": "「前に戦ったやつよりも、ずっとずっと強いデス……。\\n もう、立ってるだけの力も……」",
"382000912_2": "「切ちゃん……しっかり……」",
"382000912_3": "「ガーディアンギアを使い過ぎた、か……」",
"382000912_4": "「連戦に次ぐ連戦……。\\n もう、振り絞れるほどの体力が残ってない……」",
"382000912_5": "「ひび、き……」",
"382000912_6": "「ガーディアンの力を宿した戦士とて、この程度?\\n 多少はやるものかと警戒したのですが……」",
"382000912_7": "「どうやらこの時代、わたくしの悲願を叶えるのは\\n 楽な仕事になりそうですわね」",
"382000912_8": "「負けない……」",
"382000912_9": "「負けるもんかッ!\\n たとえどんな相手でも、明日香ちゃんは取り戻すッ」",
"382000912_10": "「まだ分からないとは、ほとほと呆れたサルですわね。\\n 明日香はわたくしそのもの、取り戻すなどということは……」",
"382000912_11": "「わたしは明日香ちゃんに話してるんだッ!」",
"382000912_12": "「……ッ!」",
"382000912_13": "「明日香ちゃんッ! 聞こえてるよねッ!\\n そんなやつに負けちゃダメだッ」",
"382000912_14": "「誰が相手だって、なにが相手だってッ!\\n わたしたちは、絶対に負けないッ ",
"382000912_15": "「だから、明日香ちゃんも負けないでッ!\\n 抗い続けるんだッ」",
"382000912_16": "「……無駄だと教えて差し上げているというのに。\\n やはり、人間を滅ぼすと決めたわたくしの判断は正しかった」",
"382000912_17": "「このような愚物のために自分を捧げるなど、\\n 冗談じゃありませんもの」",
"382000912_18": "「明日香ちゃんッ! 応えてッ!\\n わたしは明日香ちゃんを、諦めないッ」",
"382000912_19": "「いい加減耳障りですわ。あなたから塵にしてさしあげ――」",
"382000912_20": "「…………ッ!?\\n ぐッ、ああぁああぁ……ッ」",
"382000912_21": "「なんだ……ッ!?\\n なにが起こっているッ」",
"382000912_22": "「あれは……苦しんでいるの?」",
"382000912_23": "「ぐッ、ううぅぅうううぅ……ッ!」",
"382000912_24": "「明日香ちゃんッ!」",
"382000912_25": "「戦ってる……明日香ちゃんも戦ってるんだッ」",
"382000912_26": "「まだ主導権を完全に奪われてはいない、ということかッ!」",
"382000912_27": "「呼びかけましょうッ!\\n あの子を繋ぎとめるのよッ」",
"382000912_28": "「水流さんッ! 一緒に美味しいものを\\n たくさん食べに行くって、約束したデスッ」",
"382000912_29": "「これからたくさん話そうッ!\\n もっともっと、仲良くなろうッ」",
"382000912_30": "「だから、そんなやつに好き勝手されてるんじゃねぇッ!」",
"382000912_31": "「なぜ……?\\n どうして、わたくしを拒むの……」",
"382000912_32": "「怖がることはないわ。あなただけは特別。\\n だって、あなたはわたくしなんですもの」",
"382000912_33": "「あなたは人間を滅ぼした後の世界で、\\n わたくしとともに絶対者として君臨するのです」",
"382000912_34": "「それがどれだけ名誉なことか――」",
"382000912_35": "「いや……だ……ッ!」",
"382000912_36": "「…………ッ!」",
"382000912_37": "「そん、なの……ッ、嫌だーーーッ!」",
"382000912_38": "「ううぅぅぅ……ッ!」",
"382000912_39": "「よかった、明日香ちゃんッ、正気に戻って……」",
"382000912_40": "「響、先輩……ッ!\\n お願いです……ッ」",
"382000912_41": "「あたしを……殺してください――ッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,53 @@
{
"382000921_0": "「え……?」",
"382000921_1": "「何を……何を言ってるの、明日香ちゃん……?」",
"382000921_2": "「……あたしが、イシムを抑えておけるのは、きっと……、\\n これが最後のチャンスです……ッ、だから……ッ」",
"382000921_3": "「あたしがあたしでいられるうちに……ッ、\\n あたしがこれ以上、誰かを傷つける前に……ッ」",
"382000921_4": "「あたしを……殺してくださいッ!」",
"382000921_5": "「そん、な……」",
"382000921_6": "「そんなこと……できないよ。\\n できるわけないよッ」",
"382000921_7": "「響先輩は……正義の味方です。\\n だから、悪い怪物は、倒されるべきなんです……」",
"382000921_8": "「明日香ちゃんは怪物なんかじゃ――ッ!」",
"382000921_9": "「怪物ですッ!」",
"382000921_10": "「……ッ!」",
"382000921_11": "「分かったんです……」",
"382000921_12": "「<ruby=みらい>未来</ruby>の世界から戻ってきてから、\\n 悪夢にうなされるようになった……」",
"382000921_13": "「あれは、あたしの中のイシムが目覚め始めてたから……」",
"382000921_14": "「あたしが眠っている間に……少しずつ眷属を生み出して、\\n 完全に復活する機会を、ずっと窺ってた……」",
"382000921_15": "「だから、眷属を使って皆さんを傷つけたのも……ッ、\\n 師範を傷つけたのもッ 全部、あたしなんです――ッ」",
"382000921_16": "「だって……、\\n それはイシムがやったことでしょッ」",
"382000921_17": "「同じです……このままイシムを……あたしを放置すれば、\\n 同じ悲劇が起こる……もっと多くの人が傷つく……ッ」",
"382000921_18": "「だから……ッ、\\n 怪物は殺されなければいけないんです……ッ」",
"382000921_19": "「明日香、ちゃん……」",
"382000921_20": "「……あたしが、なにかの力を宿してるって知った時、\\n その力には、きっと意味があるって思った……」",
"382000921_21": "「でも……あたしの力に、意味なんてなかった……」",
"382000921_22": "「あたしは……ヒーローなんかじゃなかった……」",
"382000921_23": "「人を護るどころか……たくさんの人を困らせて、\\n 傷つける元凶……怪物のゆりかごだった……」",
"382000921_24": "「強くなりたいって……誰かを護りたいって、\\n そう思ったことが間違いだった……ッ」",
"382000921_25": "「でも……それでもッ!」",
"382000921_26": "「奏さんから受け継いだ、誰かを救いたいっていう意志まで、\\n 間違いにはしたくない……だからッ」",
"382000921_27": "「お願い……、\\n あたしを…………殺して」",
"382000921_28": "「そんな……だって、わたしの拳は……」",
"382000921_29": "「今が最後のチャンスなんです……ッ!\\n あんな悲惨な<ruby=みらい>未来</ruby>を向かえないためのッ!」",
"382000921_30": "「だから……、その拳でッ!\\n 間違った運命を打ち砕いてくださいッ」",
"382000921_31": "「<ruby=みらい>未来</ruby>が、絶望に染まる前に……ッ!」",
"382000921_32": "「…………ッ!」",
"382000921_33": "「…………」",
"382000921_34": "「響、先輩……?」",
"382000921_35": "「……できないよ」",
"382000921_36": "「ううん。そんな方法で作る<ruby=みらい>未来</ruby>なんて、\\n 受け入れちゃいけないんだ」",
"382000921_37": "「明日香ちゃんを救えない<ruby=みらい>未来</ruby>に、意味なんてない」",
"382000921_38": "「誰かの犠牲で成り立つ<ruby=みらい>未来</ruby>に希望が溢れてるなんて、\\n わたしには絶対に思えないよ。だから……」",
"382000921_39": "「わたしはイシムを倒して、明日香ちゃんも救うッ!\\n どっちも諦めたりなんかしないッ」",
"382000921_40": "「響……先輩……」",
"382000921_41": "「……ああ。やっぱり、響先輩は、正義のヒーローそのものです。\\n あたしがなれなかった、正義の味方……」",
"382000921_42": "「でも、その正義が、あたしを絶望に突き落とす……」",
"382000921_43": "「心だけは正義のままで死にたかったのに……、\\n その正しさが、あたしの正義を殺すんだ……」",
"382000921_44": "「明日香ちゃんッ!\\n 戻ってきて、明日香ちゃん……ッ」",
"382000921_45": "「――無駄ですわ。もうあの子に、\\n わたくしの精神に抗うだけの余力は残っていない」",
"382000921_46": "「もっとも、最後にあの子の心を折ったのは、\\n あなた自身のようですけど」",
"382000921_47": "「勝手なことを言うなッ! 明日香ちゃんは強いんだッ!\\n お前なんかに負けるもんかッ」",
"382000921_48": "「いい加減、あなたの戯言も聞き飽きましたわ。\\n ――ここで幕を下ろすとしましょう」",
"382000921_49": "「来いッ! わたしは逃げも隠れもしないッ!」",
"382000921_50": "「困ってる友達がいる……だったら、最後まで戦い続けるッ!\\n 絶対に、諦めたりしないッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,23 @@
{
"382000922_0": "「はぁ……はぁ……はぁ……」",
"382000922_1": "「明日香ちゃんを……かえ、せ……ッ!」",
"382000922_2": "「……いささか、あなたのことを甘く見ていましたわ」",
"382000922_3": "「なるほど。これは常軌を逸しています。\\n 精神が肉体を凌駕している」",
"382000922_4": "「その装束が意志の強さを力に変えるものだとすれば、\\n 真っ向から折って差し上げるのは、少々手間ですわね」",
"382000922_5": "「しかし、それも希望を信じているからこそのこと。\\n では、それを砕いていくといたしましょう。つ、丁寧に」",
"382000922_6": "「なにを……言って……」",
"382000922_7": "「ここ数日で明日香が見聞きしたことは把握しています」",
"382000922_8": "「知っていますわよ。\\n あなた方が、並行世界の仲間を頼りにしていることを」",
"382000922_9": "「……ッ!」",
"382000922_10": "「まずは、その希望を砕く」",
"382000922_11": "「ッ……、甲板に穴が……ッ!?」",
"382000922_12": "「この艦の構造は把握しています。\\n ですので……目的の部屋まで穴をあければ、この通り」",
"382000922_13": "「ギャラルホルンを……ッ!?」",
"382000922_14": "「バカな……ッ、貴様、なにをするつもりだッ!」",
"382000922_15": "「あなた方に最大限の敬意を込めて、\\n わたくしの力の一端をお見せするとしましょう」",
"382000922_16": "「誇りに思いなさい。サルの身でありながら、\\n わたくしにこの力を使わせたことをッ」",
"382000922_17": "「ギャラルホルンが……ッ!」",
"382000922_18": "「何をした……何をしたんだッ!?」",
"382000922_19": "「ギャラルホルンを通して、この世界と他の並行世界とを繋ぐ\\n 『流れ』を断ちましたわ。つまり……」",
"382000922_20": "「あなた方はもう、並行世界に助けを呼ぶことも、\\n 逃げ込むこともできない――そういうことですわッ」"
}

View file

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{
"382001011_0": "怨嗟の嘆き",
"382001011_1": "「並行世界との繋がりが断たれた……だとッ!?」",
"382001011_2": "「この世界が、完全に孤立してしまったというのッ!?」",
"382001011_3": "「そんなバカなこと、あるわけが……ッ!」",
"382001011_4": "「お忘れかしら? わたくしは、先史文明期にアヌンナキによって\\n 作られた、最初のガーディアン」",
"382001011_5": "「あなた方の想像の枠に収まるような存在ではありませんわ」",
"382001011_6": "「……だとしても、アヌンナキが作った聖遺物に干渉する\\n 権限が、反逆者であるあなたに与えられているとは思えません」",
"382001011_7": "「あら、少しは頭の回るものもいるようですね」",
"382001011_8": "「確かに、生半可な手段ではギャラルホルンに\\n 干渉することなどできませんわ」",
"382001011_9": "「ですが……わたくしが別の完全聖遺物を\\n 手にしているとしたら」",
"382001011_10": "「……ッ!\\n まさか……」",
"382001011_11": "「完全聖遺物オケアノス――\\n それが、わたくしが先史文明期に手に入れた力」",
"382001011_12": "「オケアノスは、\\n この世のあらゆる『流れ』に干渉する力を持つ聖遺物」",
"382001011_13": "「『流れ』はあらゆるところに存在する。そのすべてに\\n 干渉できるとしたら、素晴らしいと思いませんこと」",
"382001011_14": "「そうかッ! 人間の血脈を『流れ』と見立てたからこそ、\\n そこに干渉することができた……」",
"382001011_15": "「聖遺物と自らを人間の血脈の中に封じ、\\n 存在を今の時代まで永らえさせたということなんですね」",
"382001011_16": "「どこまでも、人間をなめてくれる……ッ!」",
"382001011_17": "「……ッ!\\n その力で時間の流れにすら干渉し、あのようなことが……ッ」",
"382001011_18": "「時間に? いかにオケアノスと言えど、\\n 時間干渉まではできませんわよ。想像力豊かなサルですこと」",
"382001011_19": "(時間干渉の意思が無い? つまり、時間干渉を\\n 行ったのはあくまで<ruby=みらい>未来</ruby>のイシムのようだな)",
"382001011_20": "「……ふざけるな」",
"382001011_21": "「明日香ちゃんは……奏さんのように戦う<ruby=みらい>未来</ruby>を目指していた。\\n それは明日香ちゃんが、自分で見つけた目標……」",
"382001011_22": "「なのにあなたは、明日香ちゃんが生まれた時から、\\n 明日香ちゃんに成り代わるつもりだったって言うのかッ」",
"382001011_23": "「心外ですわねぇ。明日香は強く力を求めていた。\\n その心が、わたくしの覚醒を促したのです」",
"382001011_24": "「今、わたくしとオケアノス、そして明日香は1つになった……。\\n 明日香の希望通り、力ある存在になれたのです」",
"382001011_25": "「それの、どこが悪いと?」",
"382001011_26": "「違うッ! 明日香ちゃんが求めていたのは、\\n そんな力じゃないッ」",
"382001011_27": "「明日香ちゃんは、自分の中に見つかった力を、\\n 正しいことのために使えるかもって、喜んでいたッ」",
"382001011_28": "「それなのに――ッ!」",
"382001011_29": "「――無駄ですわ」",
"382001011_30": "「が……ッ!」",
"382001011_31": "「響ッ!?」",
"382001011_32": "「いい加減、無駄だと分かる頃合いでしょうに」",
"382001011_33": "「……分かって、たまるもんか」",
"382001011_34": "「わたしがシンフォギアを纏う意味……。\\n それは、誰かに手を差し伸べることッ」",
"382001011_35": "「そんな勝手な理屈なんて、知るもんか――ッ!」",
"382001011_36": "「ぐ……ッ!」",
"382001011_37": "「……いい加減、煩わしくなってきましたわ。\\n どうやら、砕いた希望がつでは、足りなかったようですわね」",
"382001011_38": "「あなた、その装束を纏う意味がどうのと言っていましたわね」",
"382001011_39": "「でしたら――その意味、\\n 優しく手折って差し上げましょう」",
"382001011_40": "「え……?」",
"382001011_41": "「バカな……ッ!? 強制解除だとッ!?」",
"382001011_42": "「アンチLiNKERみたいに適合係数を下げられたわけじゃない。\\n どういうことだッ」",
"382001011_43": "「だとしても、何度だって唄うまでだッ!」",
"382001011_44": "「Balwisyall Nescell gungnir tron――」",
"382001011_45": "「ガングニールが……応えてくれない……」",
"382001011_46": "「こ、こっちもダメデスッ!」",
"382001011_47": "「どうして……?」",
"382001011_48": "「ウフフフ……」",
"382001011_49": "「止めて差し上げただけですのよ?\\n その装束の中の流れをね」",
"382001011_50": "「聖遺物、オケアノス……」",
"382001011_51": "「まさか、フォニックゲインの流れに干渉して、\\n ギアの機能を停止させたのですか……ッ」",
"382001011_52": "「そんな……それじゃあわたしたちは、\\n もうギアを纏えないの……」",
"382001011_53": "「ギアもなしに、ガーディアンと同等の相手と渡り合う\\n 手段なんて……」",
"382001011_54": "「フフ、その装束を失っただけで、えらい慌てようですわね」",
"382001011_55": "「それで……次の希望は?\\n その次は」",
"382001011_56": "「――いくらでも手折って差し上げますわ」",
"382001011_57": "「…………」",
"382001011_58": "「……だから、言ったのに……」",
"382001011_59": "「どうして……どうして、\\n 殺してくれなかったんですか……」"
}