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@ -0,0 +1,62 @@
{
"506000111_0": "閉じた世界",
"506000111_1": "観測記録 No.1248873895.",
"506000111_2": "規定の手順に従い、『ギャラルホルン』世界にて、",
"506000111_3": "OTHERSを用いた観測世界群への攻撃作戦を開始――",
"506000111_4": "英雄該当存在『キョウ』『ヨウ』を主力とし、",
"506000111_5": "作戦は予定通りに推移した。",
"506000111_6": "しかし『世界蛇』並びに『ベアトリーチェ』の介入が発生、",
"506000111_7": "作戦は大きな修正を強いられた。",
"506000111_8": "『ベアトリーチェ』による世界群破壊は作戦の致命的失敗を招く。",
"506000111_9": "『キョウ』『ヨウ』はシンフォギア装者との共同戦線を構築。",
"506000111_10": "装者、『キョウ』『ヨウ』は『ベアトリーチェ』を撃破。",
"506000111_11": "世界群への攻撃を継続することが可能となった。",
"506000111_12": "消耗した世界群からは容易に略奪が可能であり、",
"506000111_13": "作戦の成功率はより高まったと判断された。",
"506000111_14": "――にも関わらず『キョウ』『ヨウ』が戦闘放棄、逃亡を画策。",
"506000111_15": "シンフォギア装者による精神侵食と考えられる。",
"506000111_16": "両名の『英雄化』を強化し作戦継続を促すも効果は限定的、",
"506000111_17": "緊急措置として当世界へと撤退させた。",
"506000111_18": "英雄該当存在の利用を一時凍結、",
"506000111_19": "以降は予備プランを適用し、作戦を継続するものとする――",
"506000111_20": "――",
"506000111_21": "――――",
"506000111_22": "――全ては『見放された世界』のために。",
"506000111_23": "「「ア、アア……\\n  やめて、もう、戦いたくなンテ、ナイッ」」",
"506000111_24": "「「お願、イ、\\n  カヴァーチャ……ッ」」",
"506000111_25": "「「もう、\\n  わタシたち、に――」」",
"506000111_26": "「「……殺させ、ないで」」",
"506000111_27": "「き、消えた……?",
"506000111_28": " あれは、2人がずっと使っていた……世界を渡る亀裂?」",
"506000111_29": "「今のは、\\n なんだったんだ……」",
"506000111_30": "「2人が纏っている武装が暴走し、\\n 彼女たちを縛り付けたようにも見えましたが……」",
"506000111_31": "「ああ……2人の意思ではなかったように見えた。\\n しかし、あの姿……尋常ではないぞ」",
"506000111_32": "「すごく……痛そうだったデス」",
"506000111_33": "「ようやく、手を繋げたのに……ッ!\\n こんなことって……」",
"506000111_34": "「キョウちゃん、ヨウちゃん、\\n どこに、行っちゃったの……」",
"506000111_35": "「みなさん、\\n ご無事ですかッ」",
"506000111_36": "「世界蛇、並びにベアトリーチェの消滅を確認しました。\\n 本当に……本当にお疲れ様です……ッ」",
"506000111_37": "「あ……はいッ!」",
"506000111_38": "「でも……キョウちゃんとヨウちゃんが、\\n 姿を変えて、どこかへ……」",
"506000111_39": "「こちらでも認識しています。\\n お気持ちはわかりますが、今は状況の確認を優先しましょう」",
"506000111_40": "「司令代理、\\n 先程のベアトリーチェの言葉ですが、確認が取れました」",
"506000111_41": "「各地でカルマノイズ、カオスビーストと戦っていた部隊より、\\n 敵性存在の全てが消滅したと報告が入っています」",
"506000111_42": "「例外なく……\\n 世界中のあらゆる場所で、です」",
"506000111_43": "「そっか……ベアトリーチェは、\\n 本当に全部連れていってくれたんだ……」",
"506000111_44": "「でも、彼女が言ったことが全て本当なら――」",
"506000111_45": "「……はい。\\n 現在確認中ではありますが……」",
"506000111_46": "「ギャラルホルンは完全に沈黙、\\n 恐らくは基底状態にあるものと思われます」",
"506000111_47": "「基底状態――",
"506000111_48": " 励起していない、ということですか……」",
"506000111_49": "「えッ……?\\n それって……ギャラルホルンが動いてないってこと、だよね」",
"506000111_50": "「じゃ……じゃあ、並行世界へ繋がるゲートは\\n どうなっちゃったんデスッ」",
"506000111_51": "「詳しいことはまだ……。\\n ですが、現状では再びゲートを開くことは困難かと……」",
"506000111_52": "「そんな……だとしたら、\\n 並行世界への移動手段は……」",
"506000111_53": "「みんな、無事かッ!?」",
"506000111_54": "「――ッ!?」",
"506000111_55": "「まさか……この声は……」",
"506000111_56": "「この様子を見るに、\\n やっぱりベアトリーチェを倒したんだなッ」",
"506000111_57": "「ったく、そんなにボロボロになりやがって……ッ!",
"506000111_58": " けど誰も欠けてないみたいだね、よくやったよ、本当に」",
"506000111_59": "「奏……ッ!?」"
}

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@ -0,0 +1,78 @@
{
"506000121_0": "「お帰りなさい、響ちゃん。\\n あったかいもの、どうぞ」",
"506000121_1": "「あったかいもの、どうも。\\n ……こうしてると、帰ってきたって気がします」",
"506000121_2": "「とんでもない激戦で、戦闘管制を続けながら、\\n 何度撤退を提案しようと思ったか……」",
"506000121_3": "「けど、皆が何度だって立ち上がる姿を見ていて、\\n こっちも腹を括ったよ」",
"506000121_4": "「ありがとうございます。\\n おかげで、全力で戦えました」",
"506000121_5": "「そして後ろに護るべきものがあるからこそ、\\n わたしたちも立ち上がれたのよ」",
"506000121_6": "「それに、わたしたちだけが戦っているなんて\\n 一度も思いませんでした」",
"506000121_7": "「戦いの最中、常に感じていました。\\n この世界を生きる誰もが、絶望に屈してなどいないと」",
"506000121_8": "「あたしたちが立ったところで\\n 誰も彼もが諦めてちゃ、あいつには勝てなかっただろうからな」",
"506000121_9": "「悪意の化身たるベアトリーチェを、正面から打ち破った……。",
"506000121_10": " この星に生きる全ての人が、悪意に負けなかったんですね」",
"506000121_11": "「絶望的な状況でも『明日がある』と信じることができたのは、\\n 装者の皆さんの奮闘があってこそです」",
"506000121_12": "「本当にお疲れ様でした。\\n 後はゆっくり休んでください――」",
"506000121_13": "「本当なら……\\n そう伝えたかったのですが」",
"506000121_14": "「まだ終わってはいない……ですね」",
"506000121_15": "「うん、ここで立ち止まってはいられないよッ!」",
"506000121_16": "「……いったい全体、どういう意味だ? \\n ベアトリーチェとの決着はついたんだろ」",
"506000121_17": "「おまけにカルマノイズだのカオスビーストだの、\\n 世界を超えた厄介事も片付いたってのに」",
"506000121_18": "「……ああ。\\n あたしたちは、確かにあいつに勝ったよ」",
"506000121_19": "「ベアトリーチェはカルマノイズやカオスビーストと共に、\\n 世界に溶けて消えていった……けれど」",
"506000121_20": "「その結果の一部として――、\\n ギャラルホルンの機能が停止してしまったんだ」",
"506000121_21": "「おいおい、待てよッ! ギャラルホルンが停止だってッ!?\\n さっきあたしが通った時は、いつもと変わらなかったぞッ」",
"506000121_22": "「カルマノイズもカオスビーストもまとめて消えて、\\n こりゃ何かあったなって、こっちに渡ってきたんだ」",
"506000121_23": "「……ログを確認しましたが、ギャラルホルンの停止は、\\n 奏さんがゲートを通過した直後だったようです」",
"506000121_24": "「本当にギリギリのタイミングでした。\\n 不幸中の幸いとすら言えるかもしれません」",
"506000121_25": "「……そりゃ背筋の冷える話だ。\\n あの妙な空間に閉じ込められたかもしれないってのか」",
"506000121_26": "「無事に渡ることができたのは幸いだけど、\\n このままじゃ、奏は、奏の世界には……」",
"506000121_27": "「そうですね、\\n ギャラルホルンが動かないとなると……」",
"506000121_28": "「…………」",
"506000121_29": "「ま、そんな顔をするなよ。",
"506000121_30": " 世界を渡れなくなることぐらい、前にもあっただろ?」",
"506000121_31": "「イシムの件……ですか?」",
"506000121_32": "「……」",
"506000121_33": "「その……今回ですが、\\n あの時とは少し状況が違っています」",
"506000121_34": "「あの時はギャラルホルンの『流れ』に干渉されていて、\\n こちらでも異常が確認できていました」",
"506000121_35": "「でも……今は全てが正常なんです。",
"506000121_36": " 正しく機能した結果、予定通りに停止したような……」",
"506000121_37": "「……あの、あたしも感じてます」",
"506000121_38": "「この世界には、今まで当たり前のように\\n いろんな世界と繋がっている『流れ』があったんです」",
"506000121_39": "「でも今は、\\n それが全て絶たれたような、そんな感じがして……」",
"506000121_40": "「まったく……\\n 厄介事には困らないな」",
"506000121_41": "「なら、この前みたいに、\\n 力づくで次元の壁を破るのはどうですかッ」",
"506000121_42": "「あんな大博打を何度も何度もやってたまるかッ!」",
"506000121_43": "「響はあの時の負荷で倒れちゃって……\\n もう忘れたなんて言わせないからッ」",
"506000121_44": "「そ、それはそうだけど……」",
"506000121_45": "「……ま、この場でモメても仕方ないさ。",
"506000121_46": " きっとなんとかなるってッ!」",
"506000121_47": "「奏……」",
"506000121_48": "「ちょっとした想定外で戻れなくなるなんて、\\n 今までにも腐る程あったハプニングだろ おんなじさ」",
"506000121_49": "「聖遺物が1つ動かなくなったぐらいで慌てることはない。\\n あたしたちの繋がりはそんなに弱くない」",
"506000121_50": "「そうだろ?」",
"506000121_51": "「…………うん、世界はきっとまた繋がれる。\\n 何度でも」",
"506000121_52": "「はいッ!\\n みんなとも、きっとまた会えるはずですッ」",
"506000121_53": "「で、この空気の理由は、それだけじゃないだろ?\\n ベアトリーチェを倒した後に何があったんだ」",
"506000121_54": "「実は――」",
"506000121_55": "「並行世界からの侵攻、OTHERS……\\n キョウとヨウ、か……」",
"506000121_56": "「あの青い化け物……ドッペルゲンガーを連れてきたやつらが、\\n 一緒にベアトリーチェと戦ったってのか」",
"506000121_57": "「2人も自分の世界を救うために必死で戦っていて……\\n そのためにこの世界や、みんなの世界を襲うしかなかった……」",
"506000121_58": "「簡単に許されるとは思いません。\\n でも、最後にはもう誰かを傷つけたくないって言ってたのに」",
"506000121_59": "「やっと本当の気持ちが聞けたのに……ッ!",
"506000121_60": " それを否定するみたいに、何かが2人を縛り付けたんですッ!」",
"506000121_61": "「自分の心を押し殺して、世界のために誰かを傷つけていた。\\n ついに本当の気持ちを口に出した瞬間に罰を与えられた、か」",
"506000121_62": "「……ああ、心底から気に入らない話だ。\\n そりゃ放っておけないね」",
"506000121_63": "「キョウちゃんとヨウちゃんを苦しめて逃げた、\\n 『カヴァーチャ』……あれを追いかけない、と……」",
"506000121_64": "「う……ッ」",
"506000121_65": "「響ッ!?\\n 大丈夫ッ」",
"506000121_66": "「こちらで情報を集めます。",
"506000121_67": " その間、少しでも休息をとってください」",
"506000121_68": "「長い戦いでしたから、\\n 全員のメディカルチェックもお願いします」",
"506000121_69": "「はいッ!",
"506000121_70": " ほら響、すぐ検査にッ!」",
"506000121_71": "「だ、大丈夫だよ。\\n これぐらい、へいき、へっちゃらだから……」",
"506000121_72": "「平気な人は倒れたりしないッ!」",
"506000121_73": "(……悪意に打ち勝ったところで、戦いは終わらない、か。",
"506000121_74": " ま、そのぐらいで落ち込みはしないさ)",
"506000121_75": "(たとえ誰が、何が相手でも……\\n あたしは自分の歌を唄うだけだ"
}

View file

@ -0,0 +1,71 @@
{
"506000131_0": "「響さん、チェック完了です。",
"506000131_1": " 極度の疲労を除けば、概ね異常ありません」",
"506000131_2": "「これぐらいの疲れなら慣れっこだからね。\\n すぐにでも動けるよッ」",
"506000131_3": "「慣れる必要なんてないのッ!」",
"506000131_4": "「あたしも一緒に戦えればよかったんですが、\\n その前の戦いでいっぱいいっぱいで……」",
"506000131_5": "「力不足が悔やまれます……」",
"506000131_6": "「明日香さんたちの協力がなければ、\\n ボクたちは全力を出すことはできませんでした」",
"506000131_7": "「みなさんも、今は休んでください」",
"506000131_8": "「あなたこそ大丈夫なの?\\n <ruby=アーティファクト>人工聖遺物</ruby>で、ああも奮闘したっていうのに」",
"506000131_9": "「はい。\\n データ上も、体感としても何も問題ありません」",
"506000131_10": "「ただ、詳しい影響を調べたいので、\\n しばらくは戦えないかもしれませんが……」",
"506000131_11": "「そのあいだはアタシたちに、\\n 任せておくデスよッ」",
"506000131_12": "「うん、エルフナインはとっても頑張ったから」",
"506000131_13": "「いえ……切歌さん、調さん、マリアさんも、\\n しばらくは待機をお願いします」",
"506000131_14": "「デデデッ!?」",
"506000131_15": "「わたしたちを名指しで……ということは、\\n LiNKERの影響ね」",
"506000131_16": "「はい。長い戦闘の間、断続的にLiNKERを投与していましたから。\\n 身体には相当の負担がかかっているはずです」",
"506000131_17": "「う……そう言われると確かにちょっと、\\n 身体が重いかも……」",
"506000131_18": "「うう、仕方ないデス……」",
"506000131_19": "「それから、翼さん、クリスさん、\\n あのギアの件なんですが……」",
"506000131_20": "「ベアトリーチェが蒔く悪意の種を糧として、\\n 強く咲き誇った、新たなるギアだな」",
"506000131_21": "「別に変な感じはしなかったけど、\\n こっちも調べるのか」",
"506000131_22": "「はい。",
"506000131_23": " お2人のギアに関しては『念の為』ですね……」",
"506000131_24": "「ベアトリーチェが残したものを、\\n これからどう扱っていくか……検討は必要かと」",
"506000131_25": "「じゃあ今戦えるのは、わたしだけ……?」",
"506000131_26": "「もう、未来ってば。\\n わたしも大丈夫だってばーッ」",
"506000131_27": "「でも……」",
"506000131_28": "「だって、あんなに近くで手を伸ばそうとしてくれた2人に、\\n わたしは手が届かなかったんだ……」",
"506000131_29": "「握り返してあげられないなんて……\\n そんなのは嫌だよッ」",
"506000131_30": "「……だからね、未来。\\n わたしはどうしても人のために動きたい」",
"506000131_31": "「……」",
"506000131_32": "「でも……それで未来を困らせたいわけでもない。\\n だからさ」",
"506000131_33": "「未来にわたしを支えてほしいんだ。\\n ……あ、もちろん、いつも支えてもらってるけどッ」",
"506000131_34": "「――ッ!」",
"506000131_35": "「もう……ずるいな。\\n そんなこと言われたら、がんばるしかないじゃない」",
"506000131_36": "「エヘヘ……」",
"506000131_37": "「――それじゃあ、キョウちゃんとヨウちゃんが見つかったら、\\n すぐに動こうッ わたしと、未来で――」",
"506000131_38": "「――おいおい、あたしを忘れたのか?」",
"506000131_39": "「奏さん……ッ!\\n 手伝ってもらえるんですか」",
"506000131_40": "「でも、奏さんは帰る方法を探さないといけないんじゃ……」",
"506000131_41": "「さっきの話を聞いて放っておけるもんか。",
"506000131_42": " それに、帰れるとしてもやめておけと、ダンナに言われちまってね」",
"506000131_43": "「え……ッ!?」",
"506000131_44": "「ギャラルホルンが停止して繋がりが失われた今、\\n 無理やりな世界間の移動には危険を伴う可能性がある――ですね」",
"506000131_45": "「どうもそうらしい。\\n どこの世界からも人が来ないのは変だ、ってね」",
"506000131_46": "「はい、仮にデュプリケイターが安全に利用できるなら、\\n APPLEのみなさんが世界蛇の消滅を確認しに来るでしょう」",
"506000131_47": "「そっか、カルマノイズとカオスビーストが消えたってことは、\\n 他の世界のみんなもわかってるはず……」",
"506000131_48": "「なのに様子を見に来る人がいないってことは、\\n きっと危険に気づいてるんだ」",
"506000131_49": "「世界を食い尽くそうなんて相手と決着をつけたんだ、\\n 落ち着くには時間もいるさ」",
"506000131_50": "「奏さんが必ず元の世界へ戻れるよう、\\n ボクも全力を尽くします」",
"506000131_51": "「悪いね、こっちから押しかけたってのに。\\n 頼りにしてるよ」",
"506000131_52": "「イシムがやったみたいに、\\n オケアスでギャラルホルンに干渉できたらいいんですけど……」",
"506000131_53": "「どうやっても世界を繋ぐ流れが感じられなくて、\\n あたし、なんの役にも立ててません……」",
"506000131_54": "「そんなことないよッ!\\n 流れが消えたことがわかるだけで凄いんだからッ」",
"506000131_55": "「そ、そうですかッ!?",
"506000131_56": " じゃあもっと気合を入れて、全力で感じてみますッ!」",
"506000131_57": "(……流れを司るオケアノスでも感じ取れない以上、\\n ギャラルホルンは完全な停止状態にある",
"506000131_58": "(世界蛇による脅威が去った今、ギャラルホルンは役目を終えた。\\n 終焉を知らせる角笛が吹き鳴らされることはもうない……",
"506000131_59": "(ボクたちは、確かにずっとそのために戦ってきたのかもしれない。\\n 脅威を退け、誰かを護りたいと……ただその一心で",
"506000131_60": "(それでも、その結果がこれだというのなら……\\n ボクたちがやってきたことは……",
"506000131_61": "(…………)",
"506000131_62": "(――本当に?)",
"506000131_63": "(本当に、これで終わりだと……?)",
"506000131_64": "「メディカルチェック中にごめんなさい、\\n ちょっと話したいことがあるんだけど……」 ",
"506000131_65": "「チェックは丁度終わったところです。\\n 何かあったんですか」",
"506000131_66": "「行方のわからなかった司令が無事に帰還したわ。\\n 可能な人から、指令室に集合をお願いできる」",
"506000131_67": "「師匠がッ!?",
"506000131_68": " すぐに行きますッ!」"
}

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@ -0,0 +1,66 @@
{
"506000141_0": "「未知の敵対勢力による襲撃、ベアトリーチェの再来。\\n 未曽有の危機が押し寄せた中、S.O.N.G.を空けてすまなかった」",
"506000141_1": "「そして、世界を救い、こうして無事な姿を見せてくれたこと……\\n 本当によくやってくれた」",
"506000141_2": "「司令の方こそ、\\n ご無事で何よりです」",
"506000141_3": "「司令がいなくとも現場は動かせる。 \\n そう証明しないとなかなか休んでもらえませんからね」",
"506000141_4": "「ただ、あまり何度も席を空けられては困りますね。\\n 僕では力不足だと、心底から実感しました」",
"506000141_5": "「だが、こうして結果を出してくれた。\\n どうだ緒川、司令代理の立場、正式に受けてみるか」",
"506000141_6": "「遠慮しておきますよ。\\n 翼さんのマネージャーが僕の本職ですから」",
"506000141_7": "「フッ、今はそういうことにしておこう。",
"506000141_8": " さて――こちらに何があったのかを話しておこうか」",
"506000141_9": "「少し前のことだ。日本政府に対し非公式に接触した存在がいる。\\n その者は並行世界の風鳴訃堂を名乗った」",
"506000141_10": "「なッ……\\n おじい様がッ」",
"506000141_11": "「それも自立型と思われる聖遺物を伴っていた。\\n 捕えているはずの風鳴訃堂の登場に、日本政府は大混乱だ」",
"506000141_12": "「自立型聖遺物……、\\n ツクヨミさんのような」",
"506000141_13": "「同種の存在である可能性は否定できん」",
"506000141_14": "「だが、常に連れ立って歩いていたことを聞くに、\\n 少し違うものであるようにも思ったが……詳細は不明だ」",
"506000141_15": "「……」",
"506000141_16": "「残念だが平和的な対話とはならなかったようでな。\\n 捕縛を試みたが失敗し、犠牲者も出たらしい」",
"506000141_17": "「日本政府は並行世界について仔細を理解しているわけではない。\\n 緊急事態と判断し、この世界の風鳴訃堂への尋問を決断した」",
"506000141_18": "「そこで俺を呼びつけたのだ。\\n 海底監獄へと、な」",
"506000141_19": "「深淵の竜宮と同様の施設、\\n 凶悪犯罪者を収容する海底監獄ですか」",
"506000141_20": "「ああ。……だが尋問の直前にあの大地震だ。\\n 海底監獄は孤立状態に陥った」",
"506000141_21": "「OTHERSの起こした地震が、\\n 海底にも影響を……ッ」",
"506000141_22": "「通信は途絶、帰還も不可能。\\n 復旧のために動くのが精一杯でな……」",
"506000141_23": "「事情はわかりました。\\n 確かに、風鳴訃堂氏の尋問は司令にしか不可能でしょう」",
"506000141_24": "「拍子抜けするほどに、\\n 大人しいものだったがな」",
"506000141_25": "「しかし――話を聞いていて、\\n どうにも嫌な感覚が拭えなかった」",
"506000141_26": "「何かしらの企みがある、と……?」",
"506000141_27": "「俺には正確に読み取ることはできなかったが、\\n 何かしらは知っていると考えるべきだろう」",
"506000141_28": "「ただ、どうにも気になることを言っていた。\\n ……『龍脈を調べよ』、とな」",
"506000141_29": "「りゅうみゃく……っていうと」",
"506000141_30": "「地脈や霊脈、レイラインとも呼ばれる、\\n 星を巡る生命エネルギーの流れのことですね」",
"506000141_31": "「生命エネルギー……、\\n キョウちゃんとヨウちゃんが集めていたものッ」",
"506000141_32": "「それを奪うことが、元来『見放された世界』の悲願だったはず……\\n だとしたら、人を攫ったカヴァーチャとやらの目的とも言えるわ」",
"506000141_33": "「なら、レイラインを調査するのは妥当……?」",
"506000141_34": "「ああ。こちらの世界の風鳴訃堂も、君たちが戦った風鳴訃堂も――\\n 目的のために手段を間違えた男だが、腐っても『護国の鬼』」",
"506000141_35": "「そいつの言葉だ。\\n 何かしらに繋がっている可能性は高いと、俺も思う」",
"506000141_36": "「全ては星の生命の先に、か。\\n 面白いじゃないか」",
"506000141_37": "「司令、S.O.N.G.としてはどのように動くおつもりで?」",
"506000141_38": "「並行世界などという概念を知ってしまった日本政府は、\\n 今も混乱の只中にある」",
"506000141_39": "「できることならこのまま知らぬ存ぜぬを貫きたいところだったが、\\n 数日のうちにS.O.N.G.にも調査が入ることになっている」",
"506000141_40": "「S.O.N.G.が並行世界と深く関わっていると知れば、\\n 面倒事は避けられまい」",
"506000141_41": "「こちらは大人しくしている他ない。\\n ギャラルホルンが停止していたのは……不幸中の幸いだな」",
"506000141_42": "「奏、こちらへ救援に来てくれたというのに、\\n すまないと思っているが……」",
"506000141_43": "「呼ばれて来たわけじゃないんだ、\\n そっちが気にすることはないよ」",
"506000141_44": "「にしても、調査が入るってなら……」",
"506000141_45": "「もういないはずの『天羽奏』がこの場にいるのは\\n ちょっと面倒事を増やしそうな気もするね」",
"506000141_46": "「奏さん……」",
"506000141_47": "「……」",
"506000141_48": "「どうだい、そのレイラインの調査\\n あたしも同行するってのは」",
"506000141_49": "「――ッ!",
"506000141_50": " それ、すごくいい案だと思いますッ!」",
"506000141_51": "「それなら、わたしと一緒に行動をお願いしたい。",
"506000141_52": " ……司令、構いませんか?」",
"506000141_53": "「……」",
"506000141_54": "「……そうだな……。\\n ……ならば、エルフナインくん」",
"506000141_55": "「はい」",
"506000141_56": "「翼のギアの調整を\\n 先に回してもらえるか」",
"506000141_57": "「手間をかけさせてしまって、すまない……。",
"506000141_58": " よろしく頼む」",
"506000141_59": "「任せてくださいッ!",
"506000141_60": " それじゃあ、その後は順々にみなさんのギアを点検していきますね」",
"506000141_61": "「ああ、それで問題ない。",
"506000141_62": " それでは……」",
"506000141_63": "「皆、行動開始だッ!」"
}

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@ -0,0 +1,68 @@
{
"506000211_0": "選べる道を前に",
"506000211_1": "「ベアトリーチェを倒したことで、\\n 完全に停止したギャラルホルン――」",
"506000211_2": "「あんたの言った通り、か……」",
"506000211_3": "「…………」",
"506000211_4": "「ふん、黙りとはな。\\n 久方ぶりに顔を見せておいて、相変わらずの親不孝者よ」",
"506000211_5": "「まあよい。ここに来るのはわかっていたわ。\\n 何を聞くつもりかも、のう」",
"506000211_6": "「並行世界について――であろう?」",
"506000211_7": "「…………ッ!」",
"506000211_8": "「どうした、表情が隠せておらんぞ。",
"506000211_9": " 相も変わらぬ未熟者、風鳴の血が泣くわ」",
"506000211_10": "「……あんたに俺の腹芸が通じるとは思っていない。\\n ならばこの際だ、腹を割って話してやる」",
"506000211_11": "「地震への対応に現場が働いている間、\\n 俺はあんたと話すぐらいしか仕事もない」",
"506000211_12": "「……聞かせてもらうぞ。\\n 並行世界の存在を、なぜ知っている」",
"506000211_13": "「いつ知った。ここに入る以前か、それとも後か。\\n どこまでの知識がある」",
"506000211_14": "「ふん……全ては夢よ。\\n 薄気味の悪い、夢の話だ」",
"506000211_15": "「夢、だと……?」",
"506000211_16": "「この牢に入って以降、別の世界を垣間見ることがあった。\\n くだらぬ遠回りを重ね、気味の悪い策略を巡らす自分の夢をな」",
"506000211_17": "「……『竜姫』……。\\n メックヴァラヌスといったか、あの兵装は」",
"506000211_18": "「――ッ!」",
"506000211_19": "(報告にあった、並行世界の風鳴訃堂……ッ! \\n 精神的リンクが生まれていたということか……",
"506000211_20": "「しかし、『竜姫』なる兵装になど、\\n とんと覚えはない。儂が<ruby=もうろく>耄碌</ruby>したとも考え難い……」",
"506000211_21": "「凡夫であればともかく、この身が幾度も同じ夢を見る。\\n 何かあると考えるのは当然のこと」",
"506000211_22": "「儂は意図的に夢へと繋がり情報を集めた。\\n ……何せ、夢を見る時間だけはあったものでな」",
"506000211_23": "「……そして行き着いた結論が、\\n 並行世界の存在か」",
"506000211_24": "「そも、夢の世界で儂を止めたのが並行世界……\\n いいや、『この世界』の者なのだ」",
"506000211_25": "「繋がりが深まるほどに、\\n より鮮明に『見えてくる』のは当然のこと」",
"506000211_26": "「そして並行世界へと繋ぐ術があるのならば、\\n 護国のために用いるべしと考えるのも、また当然のことよ」",
"506000211_27": "「並行世界の儂もそのように考え――、",
"506000211_28": " やはり成功はせなんだが」",
"506000211_29": "「……他の世界を踏み台にしての護国など、\\n 誰も認めはせん」",
"506000211_30": "「などと嘯いて、\\n 世界を繋ぐ術を独占していたわけか」",
"506000211_31": "「――そうして胡座をかいていたからこそ、\\n その道も……並行世界という可能性すら失うのだ」",
"506000211_32": "「――なん、だとッ!?",
"506000211_33": " それも並行世界から得た知識かッ!?」",
"506000211_34": "「ほう、まだ知らぬか。\\n その程度の惰弱さとは、呆れ果てるわ」",
"506000211_35": "「答えろッ! \\n あんたは何を知っているッ」",
"506000211_36": "「…………」",
"506000211_37": "「……龍脈を調べよ」",
"506000211_38": "「龍脈……レイラインを?」",
"506000211_39": "「世界を繋ぐ術を護るために、あるいはその代わりとするために。\\n 龍脈を調べ、利用するがいい」",
"506000211_40": "「……それが護国のために必要だから、\\n 俺に託そうというのか」",
"506000211_41": "「フン、国連の犬如きに託せるものか。\\n ただ護国に必要であれば、利用するだけのことよ」",
"506000211_42": "「……変わらないな、あんたは」",
"506000211_43": "「失礼しますッ!\\n 先程、潜航艇の復旧が完了しましたッ」",
"506000211_44": "「了解だ。――じゃあな。\\n また顔を見に来る」",
"506000211_45": "「今度は土産の1つも持って来い。\\n 常識も知らぬ、不肖の息子めが」",
"506000211_46": "「今まで繋いできた世界、護ってきた<ruby=みらい>未来</ruby>。\\n 繋がったからこそ積み重なった、痛みと苦悩……」",
"506000211_47": "「それが失われることを知り、\\n その打開策を俺に託した――だが」",
"506000211_48": "「こいつがもう動かないのなら、\\n 装者たちが血を流すことも、少なくなるだろう」",
"506000211_49": "「……本当に正しいと思うか?\\n 再び他の世界へと手を伸ばすことが……」",
"506000211_50": "「――なあ、お前はどう思う?」",
"506000211_51": "「お気づきでしたか……」",
"506000211_52": "「――危機を乗り越えるために、世界を救うために。\\n ギャラルホルンが動く間は、そればかりを考えていました」",
"506000211_53": "「でもこうして止まってみると、\\n 心の何処かに安堵の気持ちを見つけてしまいますね」",
"506000211_54": "「……」",
"506000211_55": "「後悔しているのですか?」",
"506000211_56": "「ギャラルホルンの響かせる音に従い、\\n 彼女たちを戦場へ送り込んだことを」",
"506000211_57": "「…………」",
"506000211_58": "「そうだと答えられればよかったのだが……、\\n どうも悔やんではいないらしい」",
"506000211_59": "「俺たちが、<ruby=こども>装者</ruby>たちが選択し、時に戦い、時に手を伸ばし、\\n 傷つきながら歩んできたのがこの道のりだ」",
"506000211_60": "「いくら不肖の身と嗤われようと……\\n 後悔など、できるものかよ」",
"506000211_61": "「……ええ、僕たちに後悔する資格などありません」",
"506000211_62": "「今はただ彼女たちの想いを叶えるために、\\n 力を尽くしましょう」",
"506000211_63": "「その通りだ。そして――お前を司令代理に復帰させる。\\n わかっているだろうが、今度は本気だ」",
"506000211_64": "「おや、これは余計な口出しでしたかね」",
"506000211_65": "「いいや、お前の覚悟がよくわかった。\\n 今まで以上に頼らせてもらうぞ」"
}

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@ -0,0 +1,68 @@
{
"506000221_0": "「ここがかつて要石のあった場所。\\n 龍脈、即ちレイラインの基点だったはずだが……」",
"506000221_1": "「ここならレイラインの流れも感じ取れるかもしれないわけか。",
"506000221_2": " ――オケアノス、だっけ?」",
"506000221_3": "「はいッ! 流れを司る聖遺物ッ!",
"506000221_4": " ……の欠片の欠片、ぐらいですけどね」",
"506000221_5": "「水流、協力に感謝する。\\n そう乱用したい力ではないだろうに」",
"506000221_6": "「いえいえ、世界中でレイラインの調査をするんですもんね?",
"506000221_7": " ならあたしにだって、お手伝いさせてくださいッ!」",
"506000221_8": "「さあ、やりますよーッ!\\n なんてったってあたしの力なんですからッ」",
"506000221_9": "「オケアノスセンサー、起動ッ!」",
"506000221_10": "「へえ……欠片の欠片、なんて言ったけど、\\n 結構な力を感じるね」",
"506000221_11": "「それだけ元の力が強大だったから。\\n 恐れず使いこなそうとする水流の勇気は、装者にも劣らない」",
"506000221_12": "「相変わらずここには、\\n 見どころのあるヤツが集まるね」",
"506000221_13": "「……奏、あなたもその1人だよ。\\n 自分の世界の問題ではなくとも、こうして助力を惜しまない」",
"506000221_14": "「戻ることができるかすら不透明な今、\\n 滅私の心で世界の為に動くことができる――」",
"506000221_15": "「それはとても凄いことだと思う」",
"506000221_16": "「……そう褒められると罪悪感があるな」",
"506000221_17": "「……?」",
"506000221_18": "「だって、あたしも、世界のためになんて動いてないからさ。\\n ただみんなが困ってる。許せない何かがある……それだけだ」",
"506000221_19": "「知ってるだろ? 嫌なんだよ、あたしは。\\n 誰かが何かを諦めているのがさ」",
"506000221_20": "「……うん。\\n よく知ってる」",
"506000221_21": "「けど、自分の世界に二度と帰れないかもしれない……\\n それは奏にとっても大きいことだと思う」",
"506000221_22": "「そこもなぁ、実はピンときてないっていうか……」",
"506000221_23": "「え?」",
"506000221_24": "「ぶっちゃけさ、今となっちゃもう、\\n 遠くに住んでる仲間、って認識なんだよ」",
"506000221_25": "「もちろん、あたしの世界は大切だよ。\\n 周りにいる人も、いてくれた人も……全部大事な存在さ」",
"506000221_26": "「けど……こっちの世界があっちより大事じゃないかっていうと、\\n ちっともそういうわけじゃない」",
"506000221_27": "「翼やこの世界の仲間だって、同じように大切なんだ」",
"506000221_28": "「どっちが、なんて区別してるわけじゃない。\\n だから、もし帰れないのだとしても――」",
"506000221_29": "「あたしはさ、\\n このままこっちの世界で生きたっていいと思ってる」",
"506000221_30": "「な――ッ!\\n 本気で言っているのッ」",
"506000221_31": "「そんなに妙な話じゃないだろ?」",
"506000221_32": "「あたしの世界には他にも戦えるやつがいる。\\n 錬金術師との協力関係も結ばれた」",
"506000221_33": "「最近なんて、厄介な事態だって出向いてみたら、\\n キャロルたちが解決した後だった、なんてこともあるんだ」",
"506000221_34": "「最速で駆けつけたってのに、\\n 今更来たのか、って顔でこっち見るんだぞ、あいつら」",
"506000221_35": "「……それは……フフ、表情が目に浮かぶな。\\n テレポートジェムと比べれば、通常の移動手段は亀の歩みだろうね」",
"506000221_36": "「ならこっちにもっと寄越せっての。",
"506000221_37": " ……ま、そんなわけでさ」",
"506000221_38": "「あたしが『なくてはならない』世界ってわけでもないんだ。\\n 特に今は、ね」",
"506000221_39": "「だから行き来が難しくなるっていうなら、\\n 帰るべきかどうか、ちょっと悩んでるわけだ」",
"506000221_40": "「……さっきから思っていたけど……\\n 奏は、この状況で帰ろうと思えば帰れるように言う」",
"506000221_41": "「……何か理由があるんだよね、奏」",
"506000221_42": "「……流石、ご明察だ。\\n 本当なら、さっき報告すべきだったんだろうけどさ……」",
"506000221_43": "「選択肢が絞られる前に……\\n 翼に話しておきたかったのかな、あたしは」",
"506000221_44": "「……」",
"506000221_45": "「……こいつを預かってきてるんだ」",
"506000221_46": "「それは……デュプリケイターッ!?」",
"506000221_47": "「必要になるかもしれないって、あたしの世界のダンナがね。",
"506000221_48": " 相変わらず勘がいいよ」",
"506000221_49": "「でも、このデュプリケイターは片道切符でね……。\\n あたしの世界に戻ったら、それで終わりだ」",
"506000221_50": "「ギャラルホルンが使えないままなら、\\n もうこちらの世界に来ることはできなくなる……」",
"506000221_51": "「――二度と会えないとしても、\\n それでわたしたちの想いが途切れるわけじゃない」",
"506000221_52": "「もう『独りになった』などと泣き言は吐かない。\\n それでも、そうなったときの胸の喪失感は――きっと、重い」",
"506000221_53": "「あたしだってそうさ」",
"506000221_54": "「この世界の『奏』やあたしの世界の『翼』には、\\n どうしようもない、別れるしかない理由があった」",
"506000221_55": "「けど、今は違う。\\n あたしには、ある意味選択の余地があるんだ」",
"506000221_56": "「どこでどう生きるのか、ってさ」",
"506000221_57": "「……そんな風に迷っちまった時に、\\n 今はデュプリケイターも使うな、なんて言われてね」",
"506000221_58": "「これ幸いと隠したんだよ。",
"506000221_59": " ……ったく、どの辺が滅私の心なんだか」",
"506000221_60": "「……翼はどう思う?\\n あたしは、どっちの世界を選べばいい」",
"506000221_61": "「…………」",
"506000221_62": "「……ごめん、奏。\\n わたしには、預けられる言葉がない……」",
"506000221_63": "「少しでもこの胸の<ruby=うち>裡</ruby>を漏らしたなら、\\n 奏が何を選んだにせよ、わたしはきっと差し出口を生涯後悔する」",
"506000221_64": "「だから、ただ聞かせてほしい。\\n わたしのこと、みんなのことは関係ない……」",
"506000221_65": "「……奏。\\n あなたは――どうしたいの」"
}

View file

@ -0,0 +1,102 @@
{
"506000231_0": "「ようこそいらっしゃいました。詳しくは存じませんが……、\\n あなたたちにどれだけ感謝をしても、足らないことでしょう」",
"506000231_1": "「そんな、お礼を言われるようなことなんて……」",
"506000231_2": "「当然のことをしただけデスッ!\\n 押しかけたのに入れてくれただけで十分デスよッ」",
"506000231_3": "「あなたたちを閉め出す道理などありません。それに、先ほどまでも\\n S.O.N.G.の方がレイラインの調査にいらしていたのですよ」",
"506000231_4": "「あ……そうか。\\n わたしたちが調整で動けない間に……」",
"506000231_5": "「ありゃ……\\n アタシたちが一緒にやるって言えばよかったデスね」",
"506000231_6": "「フフ。なんでもかんでも抱え込んでも、抱えきれませんよ。\\n ――用意はすんでいます、さ、こちらへどうぞ」",
"506000231_7": "「ツクヨミさん、ツクヨミさん……。\\n 聞こえますか」",
"506000231_8": "――",
"506000231_9": "「…………」",
"506000231_10": "「……やっぱり出てきてくれないね。\\n 夜じゃないから、っていうわけでもない気がする」",
"506000231_11": "「むむむぅ……気配も感じないデス。\\n 本当に見放されたんデスか……」",
"506000231_12": "「そう、なのかな……」",
"506000231_13": "「レイラインの調査、\\n アタシたちは行かなくていいんデスか」",
"506000231_14": "「近場のは手が足りてるし、\\n わたしたちはギアの調整が先だね」",
"506000231_15": "「残念デス……。\\n みんな忙しそうなのに、手伝えないデスか」",
"506000231_16": "「そのぶん、ギアの調整が終わったらがんばろう。\\n 世界中の人たちががんばってるんだから」",
"506000231_17": "「デスデースッ!",
"506000231_18": " ……ん? 世界中……」",
"506000231_19": "「どうかした?」",
"506000231_20": "「……そういえば、世界が大変だったのに、\\n どうして<ruby=ガーディアン>守護者</ruby>たちは手伝ってくれなかったんデスかね?」",
"506000231_21": "「あ……そうだ、今回の件も『全ての並行世界』が巻き込まれた、\\n 世界の危機だったよね」",
"506000231_22": "「それなのに、一度も……」",
"506000231_23": "「この前に助けてくれた時に力を使いすぎて、\\n 今は寝ちゃってるんデスかね……それとも……」",
"506000231_24": "「もしかしてアタシたち、\\n 見放されちゃったデスかッ」",
"506000231_25": "「――見放された?\\n 見放された、世界……」",
"506000231_26": "「それ、キョウさんたちが、\\n 言ってたことデスねッ」",
"506000231_27": "「うん。関係があるかはわからないけど、\\n ツクヨミさんたちに話を聞けたら、何かわかるかも」",
"506000231_28": "「でもどうやってこっちから、\\n 会いに行くんデス」",
"506000231_29": "「うーん……、\\n ツクヨミさんが眠っていた勾玉、とか……」",
"506000231_30": "「それデスッ!\\n 神社の人に連絡して、調神社に持ってきてもらうデスよッ」",
"506000231_31": "「ありがとうございました。\\n 無理を言ってごめんなさい」",
"506000231_32": "「ありがとうデス……」",
"506000231_33": "「……そのお顔、\\n あまり良い結果ではありませんでしたか」",
"506000231_34": "「そんなところデス」",
"506000231_35": "「お2人がそうして思い悩むということは、\\n また大きな危機が絡んでいるのでしょうなぁ……」",
"506000231_36": "「私にできることは、きっと少ないですが……\\n それでもお力になれることがあれば、何でも仰ってください」",
"506000231_37": "(わたしたちがここに来たのは、キョウさんたちのことを除けば、\\n むしろ『大きな危機』が去ったからこそ……",
"506000231_38": "(けど、そのせいで、\\n わたしたちは並行世界との繋がりを失うかもしれない",
"506000231_39": "(……)",
"506000231_40": "「……あの、1つだけ、\\n 聞いてもいいですか」",
"506000231_41": "「もちろん、どんなことでも」",
"506000231_42": "「宮司さんは、もし大事な仲間と、友達と、\\n 二度と会えないとしたら――どうしますか」",
"506000231_43": "「調……」",
"506000231_44": "「……そうデスね、\\n アタシも教えて欲しいデスッ」",
"506000231_45": "「それは……困りましたね。我々の教えでは、\\n 執着というものは穢れ……あまり良いものでは――」",
"506000231_46": "「…………」",
"506000231_47": "「……ですがお2人が聞きたいのは、そういった話ではないでしょう。\\n であれば――こう答えましょうか」",
"506000231_48": "「よくあることです、と」",
"506000231_49": "「大事な人との別れが、\\n よくあること……デス」",
"506000231_50": "「ええ。この年齢になれば、\\n 人との別れは日常茶飯事です」",
"506000231_51": "「……まあ、あなたたちが尋ねるくらいです、\\n きっと我々とは違う、特別な事情があるのでしょう」",
"506000231_52": "「けれど……誰かとの別離、\\n 避けられぬ別れというのは、誰しもに起こること」",
"506000231_53": "「それが起こるのは、もしかしたら今日かもしれない。\\n 明日かもしれない……それは誰にもわからないこと」",
"506000231_54": "「……」",
"506000231_55": "「可能性というのは、希望だけのことを言いません。\\n ……その中には、逃れられない別れも当たり前に存在している」",
"506000231_56": "「世界が穏やかに見えるとしても、\\n 当たり前の、どこにでもあることなんです」",
"506000231_57": "「当たり前の、どこにでもある、こと……」",
"506000231_58": "「宮司さんも……\\n そんな悲しいことを、経験してきたんデスか……」",
"506000231_59": "「ええ、幾度も」",
"506000231_60": "「受け入れたこともあれば……\\n 恥ずかしながら、泣きわめいて抗ったこともあります」",
"506000231_61": "「しっかり執着してるデスッ!?」",
"506000231_62": "「それはもう。執着を捨てることができているなら、\\n 祀る側ではなく、祀られる側になっていますとも」",
"506000231_63": "「それに……抗ったことも受け入れたことも、後悔はしていません。\\n むしろ――」",
"506000231_64": "「なるようにしかならない、と言うべきでしょうか」",
"506000231_65": "「なるようにしか、ならない……。",
"506000231_66": " 別れは当たり前のことだから……?」",
"506000231_67": "「みんながそんな風に納得してるんデスか……?」",
"506000231_68": "「納得は……どうでしょうか?",
"506000231_69": " 別れを悲しむことと、正しく諦めること……諦観は別の話ですからね」",
"506000231_70": "「……?」",
"506000231_71": "「……フフ。\\n 私はね、こう思っています」",
"506000231_72": "「だからこそ、心のままに行動するべきなのだと。\\n 別れを厭う気持ちがあるのなら、全力で抗うといい」",
"506000231_73": "「え……?\\n 諦めなくて、いいんですか」",
"506000231_74": "「二度と会うことのできなくなる別れ……」",
"506000231_75": "「その代表は、やはり『死』になるでしょう。\\n 化け物に殺されるのであれ、病や事故に倒れるのであれ……死は別れだ」",
"506000231_76": "「では――死に抗うことはできるでしょうか?\\n 人は全力で足掻けば、死を退けることが可能ですか」",
"506000231_77": "「それは……無理だと思います。\\n 寿命のない人になら、会ったことがあるけど――」",
"506000231_78": "「その人たちでも、\\n 死は避けられなかったデス」",
"506000231_79": "「では死んでしまったのなら、\\n 死ぬ前に試みた全てが無駄になると、そう思いますか」",
"506000231_80": "「――ッ!」",
"506000231_81": "「……無駄ではないはずです」",
"506000231_82": "「だって、きっと、今の世界は……\\n 死の寸前まで戦った人が作り上げてきたものだから」",
"506000231_83": "「そうデスッ!\\n マムが命を懸けて護った世界なんデスッ」",
"506000231_84": "「その通りです」",
"506000231_85": "「人が成した行いは、必ず残る。\\n 人の行いも、人の感情も、無に帰すことはできない」",
"506000231_86": "「別れに納得ができないのであればこそ、\\n 先の自分が納得できるまで抗うこと」",
"506000231_87": "「『なるようにしかならない』別れがあるからこそ、\\n 人はそもそも、そうするしかないのではないでしょうか」",
"506000231_88": "「納得できるまで抗って――戦って。\\n その先に、やっと納得がある……」",
"506000231_89": "「アタシたちの知らないところで、\\n みんながそうやって、別れと戦ってるんデスね……」",
"506000231_90": "「調さん、切歌さん。\\n <ruby=ガーディアン>守護者</ruby>の調査中にごめんなさい」",
"506000231_91": "「ううん、そっちは終わったから。\\n どうしたの」",
"506000231_92": "「レイラインの調査に進展がありました。\\n 全員に共有しますので、一度本部へ帰還していただけますか」",
"506000231_93": "「了解デスッ!\\n すぐに戻るデスよッ」",
"506000231_94": "「宮司さん、色々ありがとう。\\n 納得できるまで、頑張ってみます」",
"506000231_95": "「また会えるまで、\\n 元気でいてくださいデスよーッ」",
"506000231_96": "「ええ。\\n またお会いできる日を楽しみにしています」",
"506000231_97": "「――強い力を持つ者ほど、手の届く範囲も広い。\\n 故に執着をなくすこともまた、容易ではない」",
"506000231_98": "「大きな力を持つ彼女たちが、『納得』へと至ることが、\\n どれほどに難しいことでしょうか」",
"506000231_99": "「それでも、どうかあなたたちの望む結末を迎えられるよう。\\n 心から祈っていますよ――」"
}

View file

@ -0,0 +1,78 @@
{
"506000241_0": "「集まっていただいてありがとうございます。\\n レイラインの調査からわかった内容を、お話しさせてください」",
"506000241_1": "「調査の結果、世界中のレイラインを流れる生命エネルギー、\\n 『星命力』と呼べる力が――」",
"506000241_2": "「この星の外側、\\n 宇宙へと流れ出していることがわかりました」",
"506000241_3": "「星の命が、宇宙へッ!?」",
"506000241_4": "「はい、星命力は宇宙のある一点に集まっています。",
"506000241_5": " 引っ張られるように……あるいは引きずり込まれるように」",
"506000241_6": "「この星だけでなく宇宙のあちこちから星命力が集まっています。\\n まるで世界そのものを喰らうかの如く、です」",
"506000241_7": "「仮にですが、その場所をブラックホールと呼称しています。\\n 世界の命を吸い尽くす、黒い大穴として」",
"506000241_8": "「調査が進展したというよりは、\\n 隠されていた問題が露呈したと考えるべきですね」",
"506000241_9": "「はい、早期に発見できたことは幸いでした」",
"506000241_10": "「ニコラ・テスラの試みと似た状況なので、\\n このまま星命力の流出が続けば、世界は滅んでしまいますから」",
"506000241_11": "「この星の命はともかく、\\n 他からも集まっているだなんて……よく観測できたわね」",
"506000241_12": "「ブラックホールへと流れ込む他の『流れ』がある、\\n そう気づけたのは明日香さんのおかげです」",
"506000241_13": "「レイラインを調べている最中に、\\n この世界からの流出だけじゃない、もっと大きなうねりが――」",
"506000241_14": "「空よりももっと外……宇宙全体を流れているのを感じまして、\\n もしかしたら、って……」",
"506000241_15": "「すごいッ! 流石だよッ!」",
"506000241_16": "「少しでもお役にたてたなら、\\n 光栄ですッ」",
"506000241_17": "「この星以外からも、って……\\n 星命力って、人の生命エネルギーでもあるんだよね」",
"506000241_18": "「この宇宙に、人間が住んでる星が、\\n たくさんあるってのかッ」",
"506000241_19": "「生命体というならまだしも、\\n 『人間が』というなら、あまりにも常識はずれの推論です」",
"506000241_20": "「それに……水流さんが感じた『流れ』は、\\n 未知のエネルギー現象として科学的にも観測できてはいるけれど……」",
"506000241_21": "「流れの元……星の存在は観測できてないんだ。\\n つまり――」",
"506000241_22": "「星命力を奪われてるのは<ruby=俺たち>人類</ruby>の観測範囲外にある星々ってことになる。\\n 光の速さで動いても億を超える時間が要る遠さの、ね」",
"506000241_23": "「そういった星からも星命力を集める技術……」",
"506000241_24": "「言ってしまえば、科学の埒外。\\n この星の人類がたどり着いていない技術だと思われます」",
"506000241_25": "「神の手によるもの……、\\n アヌンナキにしか不可能な技術か」",
"506000241_26": "「また、わたしたちの前に、\\n 神の意思が立ちはだかると……」",
"506000241_27": "「……」",
"506000241_28": "「……今回は、そうではないかもしれん」",
"506000241_29": "「はい……\\n ボクもそう思います」",
"506000241_30": "「それは、どういう……?」",
"506000241_31": "「少し、結論まで遠回りをすることになりますが……」",
"506000241_32": "「そもそもこの星の人類の誕生を促したのが、\\n アヌンナキと称される存在です」",
"506000241_33": "「今となっては、\\n 神の軛から解き放たれた人類ですが……」",
"506000241_34": "「アヌンナキにも派閥があった。\\n 人を愛した一派がいれば、道具として見た一派もいました」",
"506000241_35": "「惑星環境改造装置、ユグドラシルシステム……」",
"506000241_36": "「かつて我々人類がそうであったことと、\\n 今回の観測結果により、新たな推測が生まれたんだ。それは――」",
"506000241_37": "「並行世界とは多元宇宙に存在する泡のようなものではなく。\\n その全てが『唯一の宇宙』に存在する星々なのではないか――」",
"506000241_38": "「――ッ!?」",
"506000241_39": "「本来は届くはずもなく、干渉し合うこともなかった遠い星。\\n それこそが並行世界の本当の姿だ――という考えです」",
"506000241_40": "「今まで渡ってきた並行世界が、\\n この宇宙のどこかにある星々だったというのかッ」",
"506000241_41": "「それは……考えたこともなかったな……\\n 並行世界はギャラルホルンで渡るもの、と思ってたから」",
"506000241_42": "「並行世界とは、アヌンナキが手の届く場所に準備した、\\n 『箱庭世界のスペア』……」",
"506000241_43": "「根拠と呼べるほどのものは、ブラックホールの他にはまだありません。\\n ですが、そう考えると辻褄が合うことが幾つかあります」",
"506000241_44": "「ベアトリーチェが消える間際、\\n ギャラルホルンはアヌンナキが作ったのだと言っていました」",
"506000241_45": "「つまり世界蛇とは、アヌンナキの認識していた範囲での、\\n 並行世界に対する脅威です」",
"506000241_46": "「そしてベアトリーチェと世界蛇、カルマノイズらが消滅し、\\n アヌンナキが想定していた脅威は収束した」",
"506000241_47": "「並行世界は――\\n この宇宙の安寧は護られたんです」",
"506000241_48": "「だからギャラルホルンは基底状態になり、\\n 必要のなくなった『並行世界を渡る手段』も失われた」",
"506000241_49": "「管理する側のアヌンナキから見れば、\\n 『箱庭』同士は関わるべきではありませんから……」",
"506000241_50": "「そんな……」",
"506000241_51": "「本当に、もうギャラルホルンは動かないのッ!?\\n みんなと会えないなんて、そんなの嫌だよ……ッ」",
"506000241_52": "「――ッ!!」",
"506000241_53": "「ボクだって……」",
"506000241_54": "「ボクだってそんなのは嫌ですッ!」",
"506000241_55": "「――ッ!」",
"506000241_56": "「ボクだって……ッ! また、キャロルと……\\n 新しい想い出を積み重ねられるはずだったのに――ッ」",
"506000241_57": "「エルフナインちゃん……」",
"506000241_58": "「……ご、ごめんなさい。\\n 感情的になってしまって……」",
"506000241_59": "「ううん。\\n ……同じ気持ちだってわかって、嬉しかった」",
"506000241_60": "「……その、もう1つ重要な要素があります。\\n この星を、世界を護る<ruby=ガーディアン>守護者</ruby>の存在です」",
"506000241_61": "「ツクヨミさんたち……、\\n 結局返事はしてくれなかった」",
"506000241_62": "「うんともすんとも言わなかったデスッ!」",
"506000241_63": "「本来であれば、それは異常なことなんです」",
"506000241_64": "「世界蛇と戦った時はツクヨミが、\\n ニコラ・テスラを止めた時はアマテラスたちが――」",
"506000241_65": "「そしてイシムを止めた時には、\\n <ruby=みらい>未来</ruby>の世界で3機ともが戦ってくれていました」",
"506000241_66": "「なのに今回、星の命が奪われるという事態にあって、\\n <ruby=ガーディアン>守護者</ruby>は何の反応も示していない」",
"506000241_67": "「つまりブラックホールによる星命力の略奪は、\\n 『神も認識していない技術』によるものだと考えられます」",
"506000241_68": "「神様の知らない力……」",
"506000241_69": "「アヌンナキが想定していない事態だから、\\n <ruby=ガーディアン>守護者</ruby>は感知できない……だから、動けなかった……?」",
"506000241_70": "「そして……ブラックホールの向こう側には、もう1つの宇宙がある。\\n 昔から語られてきた仮説です」",
"506000241_71": "「幾度も否定され、現代の寓話と言っても過言ではないでしょう。",
"506000241_72": " ――ですがッ!」",
"506000241_73": "「もしも、これが事実ならば。\\n ボクたちの星から星命力を奪っているのは、もうつの宇宙」",
"506000241_74": "「アヌンナキの常識すら通用しない、\\n 別の宇宙からの略奪者」",
"506000241_75": "「それこそがキョウさんたち……\\n 『見放された世界』のOTHERSだったのではないでしょうか……」"
}

View file

@ -0,0 +1,68 @@
{
"506000251_0": "「……仮説はわかった。\\n それで、これからどうするんだ」",
"506000251_1": "「現実的な話として、並行世界が同じ宇宙にあったとしても、\\n 今日明日で手の届く距離じゃないってのはあたしでもわかる」",
"506000251_2": "「並行世界に助けを求める手段は今のところない。",
"506000251_3": " その上で、ブラックホールのその先に向かって――」",
"506000251_4": "「星命力の流出を止めるのか?」",
"506000251_5": "「それは……」",
"506000251_6": "「…………」",
"506000251_7": "「ブラックホールの向こう側に\\n 行くことができれば……」",
"506000251_8": "「キョウちゃんとヨウちゃんを助けられるかもしれないってこと、\\n だよね」",
"506000251_9": "「問題が『向こう側』にあるなら、\\n 星命力のことだって、何かわかるかもしれない」",
"506000251_10": "「……こいつはそう言ってるけど、\\n 人の行方はわかったのか」",
"506000251_11": "「いいえ、各国と連携し捜索を行いましたが、\\n 未だに痕跡も見つかっていません」",
"506000251_12": "「もちろん、今までのことを思えば\\n 他の並行世界に一旦退避した、ということもありえますが……」",
"506000251_13": "「可能性としては――いえ、消える瞬間の様子から見て、\\n 高い確率で『別の宇宙』に戻ったんだと思います」",
"506000251_14": "「ボクも、あの時の彼女らは『何者かの強い意思』によって、\\n 強制的に送還された……あるいは抵抗を試みたように見えましたから」",
"506000251_15": "「やっぱり、そうだよね……ッ!\\n それならッ」",
"506000251_16": "「……もう。\\n こうなったら聞かないもんね、響は」",
"506000251_17": "「うん。場所がわかったんなら、助けにいきたい。\\n あの時に繋げなかった手を、今度こそ……ッ」",
"506000251_18": "「過去に渡った並行世界は、同じ星の海にあった……か。\\n ならば今度こそ、別宇宙への挑戦となろう」",
"506000251_19": "「ま、あいつらも見た目はあたしたちと変わらなかった。\\n 行ってみれば、きっとなんとかなるさ」",
"506000251_20": "「……キョウ、ヨウの2名を助けるだけではない」",
"506000251_21": "「今も星命力が奪われ続けているのならば、\\n これは世界を救う戦いに他ならない」",
"506000251_22": "「――ッ!!」",
"506000251_23": "「S.O.N.G.としても全力で支援する。\\n 君たちだけを戦わせはしない」",
"506000251_24": "「ありがとうございますッ!」",
"506000251_25": "「でも……やっぱりわたしがやりたいのは、\\n 世界を救うことじゃなくて……」",
"506000251_26": "「2人に手を伸ばすことなんだと思います」",
"506000251_27": "「響くん……」",
"506000251_28": "「……責任から逃げたいわけじゃありません。",
"506000251_29": " けど、わたしにとって一番大事なこと……」",
"506000251_30": "「それを抱きしめていないと、きっと……\\n いざというとき、折れてしまうかもしれないから」",
"506000251_31": "「未来を取り戻すと決めて……シェム・ハさんと約束をした時も、\\n <ruby=悪意>ベアトリーチェ</ruby>に向き合うと、孤独になんてさせないと決めた時も」",
"506000251_32": "「手を繋ぎたい相手に、全力で手を伸ばして、\\n それが世界の明日を護ることに繋がっただけ……」",
"506000251_33": "「それだけなんです」",
"506000251_34": "「響……」",
"506000251_35": "「……」",
"506000251_36": "「でも、だからこそ」",
"506000251_37": "「今回だって、2人に手を伸ばすことが、\\n きっと明日に繋がっていくと信じたいんです」",
"506000251_38": "「結局は手を繋ぎたいだけ――。\\n 『それだけ』のわたしを、信じてくれますか」",
"506000251_39": "「当然だッ!」",
"506000251_40": "「必ず連れ帰らないとな。\\n あいつらにはもうちょっと文句を言ってやりたかったんだ」",
"506000251_41": "「そう言って、目の前にすれば優しい言葉をかけるのが雪音だ。\\n その姿を見るのが楽しみだな」",
"506000251_42": "「んな……ッ!?」",
"506000251_43": "「目的のために手段を間違えるのはわたしにも経験があるわ。\\n 償う方法、一緒に探してあげないとね」",
"506000251_44": "「アタシは<ruby=アーティファクト>人工聖遺物</ruby>のお礼を言いたいデスッ!\\n 気合いでどんどん使いこなせるようになってるデスよッ」",
"506000251_45": "「お礼を言われても困るだろうけど……、",
"506000251_46": " うん、伝えよう」",
"506000251_47": "「みんな……ッ!」",
"506000251_48": "「世界のためじゃなく、助けたい誰かのために。\\n それが何よりも響らしい答えだよ」",
"506000251_49": "「わたしも、そんな響だから、\\n 一緒に戦いたいって思うんだもの」",
"506000251_50": "「うん……ありがとうッ!」",
"506000251_51": "「よし、作戦の具体案を練るぞッ!\\n もうつの宇宙に向かう方法を探すんだッ」",
"506000251_52": "「ブラックホールと呼称はしていますが、\\n そもそも本物のブラックホールと同質の存在ではないでしょうね……」",
"506000251_53": "「そうだね……。地球のこんな近くにブラックホールができたら、\\n とっくにこの星丸ごとお陀仏だよ」",
"506000251_54": "「ブラックホールの影響範囲は重さで変動しますが、\\n 長期間存在するなら、太陽を下回ることはありませんね……」",
"506000251_55": "「緒川、まずは宇宙へ向かう手段を探すぞ。\\n 俺は日本国内を当たる、そちらは米国を中心に頼む」",
"506000251_56": "「わかりました。\\n 欧州の方にも伝手を頼ってみます」",
"506000251_57": "「しかし……宇宙へ行けたところで、そこで活動する手段は、\\n 決して多くはない、か」",
"506000251_58": "「宇宙に上がる方法はともかく、もしかしたら\\n あのギアなら生存ぐらいならできるんじゃないか」",
"506000251_59": "「宇宙で――",
"506000251_60": " そうか、コネクトギアかッ!」",
"506000251_61": "「宇宙生命体ギギによって齎された、ギアの姿……\\n 可能性はありますねッ こちらで打開策を練ってみますッ」",
"506000251_62": "「頼む。だが、ギアの機能だけで、\\n 別の宇宙までたどり着けるだろうか……」",
"506000251_63": "「はい……普通なら宇宙空間では歌は響きません。\\n 空気がありませんから」",
"506000251_64": "「フォニックゲインをエネルギーの当てにしているのであれば、\\n おそらくそれは難しい……」",
"506000251_65": "「――なら、大容量のエネルギー源を、\\n どこかから持ち込めばいい……そうだよな」"
}

View file

@ -0,0 +1,48 @@
{
"506000311_0": "もう1つの宇宙へ",
"506000311_1": "「きっとこいつになら、\\n ――宇宙を超える、力がある」",
"506000311_2": "「それは――デュプリケイターッ!?」",
"506000311_3": "「あたしの世界のダンナから預かってたんだ。\\n 悪いね、隠してて」",
"506000311_4": "「……いや、危険があるとはいえ、\\n 数少ない並行世界を移動する手段だ」",
"506000311_5": "「先日の状況下で持っていることを知っていたなら、\\n 今以上に話は混乱していただろう」",
"506000311_6": "「まったく、謝らせてもくれないか」",
"506000311_7": "「切り札の1つもないと格好がつかないってだけさ。",
"506000311_8": " それより、コイツの話だよ」",
"506000311_9": "「あたしの世界の錬金術師たちが、\\n デュプリケイターの中身を解析したんだけどね」",
"506000311_10": "「こいつはとんでもないエネルギーを使って、\\n 点と点の間をこじ開ける――それだけの道具らしいんだ」",
"506000311_11": "「そのときは、そういうものなんだな、\\n くらいに聞いてたんだけど……今回の話で合点がいった」",
"506000311_12": "「世界の壁を超えるのではなく、\\n 点の距離をゼロにするだけの道具……」",
"506000311_13": "「並行世界が『星』として同じ宇宙に存在しているなら、\\n それだけの機能で事足りる……ということか」",
"506000311_14": "「まあ、理屈は置いとこう」",
"506000311_15": "「要するにエネルギー任せの力技ってことだ。\\n だから使用回数もあるし、量産もできなかったんだろうね」",
"506000311_16": "「つまりコイツはとんでもないエネルギーを抱え込んでる。\\n で、全開状態のギアは宇宙スレスレでだって行動できたんだろ」",
"506000311_17": "「ましてやこっちには、\\n <ruby=ギギ>本物の宇宙人</ruby>の力だってある」",
"506000311_18": "「まさか、デュプリケイターのエネルギーを使って――」",
"506000311_19": "「そのまさかだ。コネクトギアを強化できるんじゃないか?\\n それこそ宇宙を渡れるぐらいに」",
"506000311_20": "「……どうだエルフナインくん、やれそうか?」",
"506000311_21": "「…………」",
"506000311_22": "「可能性はあります。コネクトギアの力を、\\n 人為的にエクスドライブへ迫るほどに高められれば……」",
"506000311_23": "「ですが……デュプリケイターは、\\n 奏さんが自分の世界へ戻るためのアイテムでもあります」",
"506000311_24": "「――ッ!」",
"506000311_25": "「……」",
"506000311_26": "「今もまだ、世界を――星々を渡る手段は見つかっていません。\\n これが最後の手段になる可能性すらあります」",
"506000311_27": "「だのに、自身のためではなく……\\n 誰かを助けるために使ってしまっていいんですか」",
"506000311_28": "「そのことか。\\n まあ、そうくるよな」",
"506000311_29": "「…………」",
"506000311_30": "「……いいさ」",
"506000311_31": "「……奏……」",
"506000311_32": "「……確かにこの世界はあたしが生まれた世界じゃない。\\n あたしが生きてきた星じゃないんだろう」",
"506000311_33": "「けど……ここはもう、とっくに、『あたしの世界』の一部なんだ。\\n 大切な仲間がいる、それは何物にも代え難いものだよ」",
"506000311_34": "「今までだって生きて戻れる保証がなくても、\\n 命を懸けて戦ってきただろ」",
"506000311_35": "「この想いのために、全てを懸ける。\\n いつものあたしだよ」",
"506000311_36": "「……」",
"506000311_37": "「こーらッ!\\n そんなに不安そうな顔するなって」",
"506000311_38": "「この選択だって、もしかしたらほんのちょっとくらいは……\\n 後悔する日が来るのかもしれない」",
"506000311_39": "「それでもあたしは、今、このときの自分を誇りに思うさ。\\n たとえ強がりだったとしてもね」",
"506000311_40": "「――うん。\\n 奏が自分で選んだのなら、わたしはもう、何も言わない」",
"506000311_41": "「さすが翼ッ!\\n わかってるねッ」",
"506000311_42": "「……それにね、迷いもしがらみも全部捨てるってのは、\\n なかなか気分がいいもんだよ」",
"506000311_43": "「いつか心と身体、全部からっぽにして、\\n 思いっきり唄いたかったんだ」",
"506000311_44": "「宇宙のその先に、あたしの歌を響かせられるなら……",
"506000311_45": " 出し惜しみなしでいこうじゃないかッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,143 @@
{
"506000321_0": "観測記録 No. 1258900283.",
"506000321_1": "『ミストルティン』世界――",
"506000321_2": "「ああもうッ!\\n 何がどうなってんだッ」",
"506000321_3": "「暴れ回ってたカルマノイズが消えてなくなったと思ったらッ!\\n ギャラルホルンのゲートまで消えちまって……ッ」",
"506000321_4": "「――落ち着いて、翼。ゲートの消失は前にもあった。\\n きっと非常事態なんだと思う」",
"506000321_5": "「それならそれで、助けに行きたいのに……ッ!",
"506000321_6": " 何がなんだかわからないってのが、一番座りが悪いな……」",
"506000321_7": "「うん……\\n うまく言えないけど、前の消失とも違う気がするし……」",
"506000321_8": "「なんだかね、\\n 『正しい』のはむしろ、今の状態なんだって気がするの」",
"506000321_9": "「……」",
"506000321_10": "「だって――元を辿れば、\\n この世界にゲートなんてなかった」",
"506000321_11": "「……そりゃ、そうだけど……\\n そんなのは、だって……」",
"506000321_12": "「ああもうッ!」",
"506000321_13": "「受け入れちゃったら、寂しいだろうがッ!」",
"506000321_14": "「……」",
"506000321_15": "「知ってしまったものは、もう知らないとは言えない。\\n あいつらが戦ってるなら、オレは見過ごしたくなんかないねッ」",
"506000321_16": "「フフ。\\n うん、それはわたしも同じ気持ち」",
"506000321_17": "「それなら、わたしたちが今できることは――」",
"506000321_18": "「――緊急ですッ! 生命力を奪う、青い化け物を発見。\\n 至急対応をお願いします」",
"506000321_19": "「狩り残しか……なら、愚痴を言うのもここまでだ。\\n 今はできることをするしかない」",
"506000321_20": "「うん。\\n つまり、いつも通り、だね」",
"506000321_21": "「いいや、いつもを取り戻すために戦うんだ」",
"506000321_22": "「……そんで、みんながいる『いつも』が帰ってきたら、\\n シャロンも交えてまたお喋りでもできたらいいよな」",
"506000321_23": "「うん。……フフ、きっとうんと賑やかだね。",
"506000321_24": " じゃあ――」",
"506000321_25": "「ああ、行こう。\\n 目の前のことを片づけて、その先へッ」",
"506000321_26": "観測記録 No. 1258900421.",
"506000321_27": "『フロッティ世界』――",
"506000321_28": "「化け物が暴れて、カルマノイズも暴れて、倒して倒して……\\n 最後は並行世界へのゲートと一緒に、さっぱり消えてなくなった」",
"506000321_29": "「助手はどう見る?」",
"506000321_30": "「…………きゅう」",
"506000321_31": "「……はぁ。\\n 日寝てないくらいで、軟弱」",
"506000321_32": "「あの……調。\\n じょ、助手さんは大丈夫デスかね……」",
"506000321_33": "「大丈夫でしょ。……けど、サポートの都度こうなられるのは困る。\\n 上手な仮眠の取りかたくらい教えるべきかな、週間くらい動けるやつ」",
"506000321_34": "「ひょ、ヒョエエ……」",
"506000321_35": "「そんなことより、この状況。また何か起きたのは間違いない。\\n これを使えばゲートがなくても確認に行ける……はずなんだけど」",
"506000321_36": "「けど、なんデス?」",
"506000321_37": "「使用回数がネック……」",
"506000321_38": "「軽く解析にかけたから、莫大なエネルギーを秘めてるのは確実。\\n だけど……」",
"506000321_39": "「そもそも、どうしても必要ってわけじゃないのに、\\n 安全か確かめるだけで使っていいのか――多分よくない」",
"506000321_40": "「聞いてると使わない方がいい気がするデス……」",
"506000321_41": "「でも青い化け物が出た時期から、\\n この星から宇宙へと力の流出が起きてるの」",
"506000321_42": "「――ッ!?」",
"506000321_43": "「青い化け物のせいかと思ったけど……\\n カルマイズも消えた後にその勢いが急増してる」",
"506000321_44": "「それも放っておくと星ごと滅ぶような、\\n ちょっと元気な勢いで」",
"506000321_45": "「そんなことが起きてたんデスかッ!?\\n 全然気づかなかったデスよッ」",
"506000321_46": "「助手が勝手に置いてたレイライン探査装置、\\n びーびーうるさいからすぐ消した」",
"506000321_47": "「でも……無視するには危険な数値が出てた。\\n 危機は去っていないか、次の危機が起きてるのかも……」",
"506000321_48": "「放っておけないデスね……、\\n 調査に行くデスか」",
"506000321_49": "「……うん。わたしがやるべきことは、\\n 目の前の危機から目をそらさないこと」",
"506000321_50": "「すぐに動こう。きっと、ほかの並行世界の人たちも動いてる。",
"506000321_51": " ――切ちゃんも、手伝ってくれる?」",
"506000321_52": "「当然デスッ!\\n 任せておくデスッ」",
"506000321_53": "観測記録 No. 1258900423.",
"506000321_54": "『スヴォル』世界――",
"506000321_55": "「苛立たしいッ! 腹立たしいッ!\\n 忌々しいッ」",
"506000321_56": "「カルマノイズが一斉に消えたと思ったら、\\n 突然にギャラルホルンのゲートまで消失するとはッ」",
"506000321_57": "「この英雄に理解できない謎がこうも堆積するなどッ!\\n 不愉快でなりませんねッ」",
"506000321_58": "「カルマノイズの消失は、\\n ベアトリーチェが関わっているだろうことは推測できるとして……」",
"506000321_59": "「ゲートの消失は痛いわね。",
"506000321_60": " この世界にはゲートを使える人間はいないとはいえ……」",
"506000321_61": "「その謎を解明するために手を借りているのだ。\\n 頼りにしている」",
"506000321_62": "「ならばそのデュプリケイターとかいう道具、\\n この天才に解析させてはどうなのですッ」",
"506000321_63": "「詳しく調べたらどうも胡散臭いのよ、このアイテム。\\n 高濃度のエネルギーを限界まで圧縮してあるような、そんな代物」",
"506000321_64": "「正しい手順で使うのなら大丈夫でしょうけど、下手に弄くり回して、\\n この星ごと大爆発なんてしたら笑い話にもならないわ」",
"506000321_65": "「それに今は、レイラインの流れに大きな異常がある。\\n 世界間移動の道具なんて、封印しておくのが妥当よ」",
"506000321_66": "「ふん、そっちはあなたに任せたのですから、\\n 精々働くことですね、英雄使いの荒い魔女めッ」",
"506000321_67": "「星の命が奪われている、か……。\\n どうにかなりそうか」",
"506000321_68": "「各国のデータを無断借用して、状況は概ねわかってるわ。\\n 今は根本的な解決へ向かうための、時間稼ぎってところね」",
"506000321_69": "「とはいえエネルギーの向かう先は、はるか宇宙の彼方。\\n すぐに対処するのは難しそうね……」",
"506000321_70": "「状況から察するに、鍵となるのはS.O.N.G.の世界。\\n 今はこの世界を護り切ることが最優先か」",
"506000321_71": "「あら、楽観的ね。\\n 私が難しいと口に出したのがどれだけ重いか、理解してる」",
"506000321_72": "「わかっているさ。\\n 『またしても』かつてない世界の危機だということはな」",
"506000321_73": "「だからこそ、俺は緩むことなく目の前の危機に対処しよう。\\n <ruby=みらい>未来</ruby>への対処は君に任せるとするさ」",
"506000321_74": "「……いいわ、このまま負けっぱなしでいるつもりもないし。\\n 私の世界へ手を伸ばした報い、必ず受けさせましょう」",
"506000321_75": "観測記録 No. 1258900748.",
"506000321_76": "『グレイプニル世界』――",
"506000321_77": "「どう、かな?\\n ヴェイグさん……」",
"506000321_78": "「――最悪ではない、ってところだな」",
"506000321_79": "「ミレニアムパズルを用いた、\\n 星命力の流出阻止にはなんとか成功してる」",
"506000321_80": "「本当ッ!? \\n やりましたッ」",
"506000321_81": "「だが、まだ喜べるような状況じゃないぞ」",
"506000321_82": "「星を離れるエネルギーを可能な限りパズルに閉じ込め、\\n 手元に残しているだけだ」",
"506000321_83": "「レイラインからエネルギーが流出していることは変わらない。\\n パズルの力にも限界はある、今だって漏れは生じている……」",
"506000321_84": "「そうですか……。\\n やっぱり原因をなんとかしないといけないんですね」",
"506000321_85": "「ああ、オレたちができることには限りがある。\\n 特にギャラルホルンへ異常が起きた今は」",
"506000321_86": "「……きっと、姉さんたちも動いてくれています。\\n わたしの戦いは、現状に精一杯抗うことッ」",
"506000321_87": "「パズルの規模を広げて、\\n もっと多くの命を護りますッ ",
"506000321_88": "(どうか勝ってください、みなさん。\\n わたしもここで、精一杯戦います――ッ",
"506000321_89": "観測記録 No. 1258902080.",
"506000321_90": "『ドラウプニル』世界――",
"506000321_91": "「――ドッペルゲンガーの掃討は終わったぞ。\\n そっちの仕事はどうした」",
"506000321_92": "「順調ではないね、不甲斐ないことに。\\n どうにも効果が薄いんだよ、こちらの手札の」",
"506000321_93": "「それにしても……本気で言っているのか? \\n レイラインの制御など、片手間でやってのけるだろうに」",
"506000321_94": "「普段ならば、ね。\\n それに――それはこの世界の中で起こっている循環に限る」",
"506000321_95": "「何かの法則が働いているようだ、歪なものがね。\\n 対処は難しいだろう、その摂理を手にしなければ」",
"506000321_96": "「世界を識ろうと挑む、\\n オレたちすら知らぬ法則、か……」",
"506000321_97": "「……ねえ、一応確認するわよ?\\n 本当に、局長が犯人じゃないのね」",
"506000321_98": "「レイラインからの強制的なエネルギー奪取、\\n 局長やキャロル以外には不可能なワケダ」",
"506000321_99": "「しかし、キャロルも局長も、\\n この世界を<ruby=おびや>脅</ruby>かす動機など最早ない――そうでしょう?」",
"506000321_100": "「おや、フフ……。\\n 嬉しいものだね、キミたちからの信頼というものは」",
"506000321_101": "「フン……」",
"506000321_102": "「――もう一度会いたい、などと温いことを言うつもりはないが、\\n あれが別れというのも気にいらない」",
"506000321_103": "「この世界に割り込んだ法則が何であれ、\\n すぐに既知へと堕としてやる」",
"506000321_104": "「オレの命題への妨害は、\\n 何であろうとさせるものかッ」",
"506000321_105": "観測記録 No. 1258900748.",
"506000321_106": "『ナグルファル』世界――",
"506000321_107": "「――これでも、\\n 他の並行世界に飛ぶことはできない、か……」",
"506000321_108": "(世界間の移動が妨害されてるわけじゃない。\\n ベアトリーチェの障壁とは違う",
"506000321_109": "(今まではあった、世界を繋ぐガイドラインが消えている感じ。\\n ルートがわからなくて上手く移動ができてない……",
"506000321_110": "(だとしたら正確に世界の座標を理解して、\\n わたしとエレクライトがナビゲーターになれば――",
"506000321_111": "(……でも、それを、\\n どうすればいいのかがわからない……",
"506000321_112": "「――だ、誰かぁぁぁッ!\\n 助けて、ば、化け物が……ッ」",
"506000321_113": "「――ッ!!",
"506000321_114": " 今行くからッ!!」",
"506000321_115": "(今は……\\n できないことを考えても仕方がないッ",
"506000321_116": "(全部救うんだッ!!\\n せめて、この手の届く範囲、全部くらいはッ",
"506000321_117": "(だって、これは……\\n わたしがやりたいことッ",
"506000321_118": "観測記録 No. 1258910002.",
"506000321_119": "『ミョルニル』世界発、APPLEの艦――",
"506000321_120": "「状況はッ!?」",
"506000321_121": "「各並行世界への跳躍不能ッ!\\n 流れが断たれていますッ」",
"506000321_122": "「ひぃ〜ン……ッ!\\n 今までこんなことなかったっスよぉ……」",
"506000321_123": "「改良を重ねたデュプリケイターも、\\n この状況じゃ使っても爆発するのが関の山っスーッ」",
"506000321_124": "「それでもどうにかするのが、\\n 私たちの科学だろうがッ」",
"506000321_125": "「この『鍵』は、可能性の塊だ……ッ」",
"506000321_126": "「あらゆる点と点、事象と事象を結び、シュレディンガーの猫を\\n 箱から引き摺り出すことすら可能かもしれない鍵ッ」",
"506000321_127": "「だが、その本質は……",
"506000321_128": " フフフッ、かつて訪れた虫島に、思考のヒントがあろうとは……ッ!」",
"506000321_129": "「このようなものを前に、私にまた諦めろとッ!?\\n ふざけるな、この艦の科学者がそんなことで諦めてどうするッ」",
"506000321_130": "「あらまぁ。ナツミと研究室に引っ込んでる間に、\\n 随分とこの艦の乗組員らしくなっちゃって」",
"506000321_131": "「ええ、嬉しい誤算ですね」",
"506000321_132": "「新入りが、これだけこの逆境に抗っているんだもの。\\n わたしたちが早々に情けない顔をするわけにはいかないわッ」",
"506000321_133": "「ナツミさんはエジソンとデュプリケイターの改良を進めてください。\\n その力は、わたしたちを繋ぐ希望です。手放すなんてできないッ」",
"506000321_134": "「〜〜〜ッ!\\n ……ッス」",
"506000321_135": "「ベソかきつつだけど、良い顔になったわね」",
"506000321_136": "「それなら――このまま進むわよ、\\n このバカみたいに大きい、うねりの中をッ」",
"506000321_137": "「全員、衝撃に備えてくださいッ!!\\n どこに抜けるか、抜けられるかもわからないッ」",
"506000321_138": "「それでも、進み続けますッ!\\n この状況を、打破するまで――ッ」",
"506000321_139": "「APPLE――わたしの艦、わたしの家族。\\n さあ、行くわよッ」",
"506000321_140": "「「全速、前進ッッ!!!!」」"
}

View file

@ -0,0 +1,83 @@
{
"506000331_0": "観測記録 No. 1259000042.",
"506000331_1": "『ギャラルホルン』世界――",
"506000331_2": "「OTHERSの世界――いや、彼女たちの流儀に従い、\\n 『見放された世界』と呼ぼう」",
"506000331_3": "「見放された世界への遠征作戦について、\\n 今の見通しを話しておきたい」",
"506000331_4": "「あれから数日……時が経つのはあまりにも早いな。",
"506000331_5": " まずは現状の再確認を頼む」",
"506000331_6": "「はい。ブラックホールと呼称していた宇宙の穴ですが、\\n その正体が判明しました」",
"506000331_7": "「わずかですが観測できたエネルギーから、\\n 性質が<ruby=アーティファクト>人工聖遺物</ruby>と同種であると判明」",
"506000331_8": "「その正式名称を、\\n アーティファクトホールとしました」",
"506000331_9": "「また、アーティファクトホールの向こう側を、\\n ごく一部、観測することに成功しました」",
"506000331_10": "「詳細は不明ですが、恐らくは地球サイズの質量を持つ物体です。\\n 見放された世界における居住惑星ではないかと……」",
"506000331_11": "「じゃあそのアーティファクトホールさえ突破できれば、\\n 向こうの本拠地に突っ込めるわけか」",
"506000331_12": "「2人はきっとそこにいる……ッ!」",
"506000331_13": "「宇宙空間の大穴だ、向かうのも通り抜けるのも簡単ではない。\\n とはいえ、手段があるだけでも御の字というべきか」",
"506000331_14": "「こちらの技術では別の宇宙へと繋ぐ手段すらありません。\\n 彼女たちはどれほどの苦労を重ね、我々の世界を訪れたのか……」",
"506000331_15": "「……でも、そうやって戦いに来た『英雄』は、\\n 本当は、わたしたちと同じ、普通の女の子だったんです」",
"506000331_16": "「傷つけたくない、奪いたくないって、\\n 大事な人と一緒に生きたいんだって、泣いてた――」",
"506000331_17": "「放ってなんておけない。\\n どこまでだって手を伸ばしに行きますッ」",
"506000331_18": "「みなさん、お待たせしましたッ!」",
"506000331_19": "「エルフナインちゃんッ!?",
"506000331_20": " ギアの改良が……終わった、の……?」",
"506000331_21": "「はいッ! デュプリケイターからエネルギーを分離、\\n それをギアに移植して――」",
"506000331_22": "「あの、みなさん? どうしました?」",
"506000331_23": "「えっと……頑張ってくれたん、だね?」",
"506000331_24": "「服がボロボロ、髪はボサボサ、額には冷却シートときたか……。\\n 片手に栄養ドリンクがあれば完璧だったな」",
"506000331_25": "「あッ……",
"506000331_26": " 見苦しくて、ごめんなさい……」",
"506000331_27": "「そこまでの奮戦を目にして、\\n 称えることはあっても、<ruby=そし>謗</ruby>ることなどあるものか」",
"506000331_28": "「名誉の負傷よ、\\n 胸を張りなさい」 ",
"506000331_29": "「けど、一段落したら休んでね?」",
"506000331_30": "「――ありがとうございます」",
"506000331_31": "「そこまでの力を注いだ理由は、\\n デュプリケイターの件だけではないのだろう」",
"506000331_32": "「はい。お願いしていたデータ、ありがとうございましたッ!",
"506000331_33": " どれもこの場に集めるのは相当の苦労が必要だったはず……」",
"506000331_34": "「俺ができることを全てやっただけさ」",
"506000331_35": "「けれど、そのおかげで……世界の最先端技術を結集、\\n 異星での生命維持と環境確認のため、超小型の観測機を装備」",
"506000331_36": "「さらにデュプリケイター以外の力も集約しました。\\n 世界に撒かれた<ruby=アーティファクト>人工聖遺物</ruby>の力を全て抽出、組み込んでいます」",
"506000331_37": "「アタシたちのギアみたいに、デスかッ!?」",
"506000331_38": "「同等か、それ以上を自負していますッ!」",
"506000331_39": "「<ruby=アーティファクト>人工聖遺物</ruby>は人の技術によって産み出されたもの……。\\n 神の遺産である聖遺物よりも、ボクの経験が活かせましたッ」",
"506000331_40": "「素晴らしい成果だけど――リスクもあるのでは?\\n <ruby=アーティファクト>人工聖遺物</ruby>は、元々この世界への罠だったわけだし……」",
"506000331_41": "「またギアの機能が妨害されちゃうかも……」",
"506000331_42": "「おっしゃる通りです。<ruby=アーティファクト>人工聖遺物</ruby>を組み込んだのは、\\n むしろそれが理由なんです」",
"506000331_43": "「あえて取り込んだ、と?」",
"506000331_44": "「はい。キョウさんたちの残した言葉から推測するに、\\n この世界と向こうの世界では全く違う法則が働いています」",
"506000331_45": "「恐らく世界同士が強く反発するのでしょう。\\n ギアの活動阻害は、その性質を利用した可能性が高い」",
"506000331_46": "「ならアーティファクト・ホールもまた、\\n 同様の性質を持つはず――」",
"506000331_47": "「この世界に最も根ざした存在、聖遺物であるギアは、\\n アーティファクト・ホールに強く拒まれる……」",
"506000331_48": "「あれは星命力を奪うゲートであり、\\n こちらの世界の戦力を止める防壁でもあるわけね」",
"506000331_49": "「なるほどデスッ!\\n 開きっぱなしの素通りじゃないんデスねッ」",
"506000331_50": "「そこで<ruby=アーティファクト>人工聖遺物</ruby>をギアに組み込むことで、\\n その反発を中和、あちらの世界への突入を試みます」",
"506000331_51": "「これがボクたちに実現できる、\\n 最も成功率の高い作戦ですッ」",
"506000331_52": "「2人が残した力で、\\n 『見放された世界』へ飛ぶんだねッ」",
"506000331_53": "「……きっとあの2人だって、こうして利用される可能性に、\\n 気づいていたと思うんです」",
"506000331_54": "「罠であると同時に、世界を移動する鍵でもある。\\n その相反した想いは、彼女たちの気持ちと同じな気がして」",
"506000331_55": "「侵攻、略奪と銘打っていても、\\n その内心には助けを求める気持ちがあった……ですか」",
"506000331_56": "「――本部に踏み込んできた時、\\n 彼女たちはどこか、対話を望むような空気がありました」",
"506000331_57": "「……少し、わかります。頼るべき相手を失った子供が、\\n 意地を張りながらも甘えたがっているような……」",
"506000331_58": "「……わたしが見放された世界に向かう理由は変わりません。\\n けど、決意はもっと堅くなりましたッ」",
"506000331_59": "「必ず、この手を届かせてみせますッ!」",
"506000331_60": "「では早速ですが、\\n ギアの装着を試してもらえますか」",
"506000331_61": "「……奏さんに、\\n こうしてお願いするのは心苦しいんですが……」",
"506000331_62": "「コネクトギアはあたしたちが託された力。\\n それに、安心して動かせる戦力は他にないんだろ」",
"506000331_63": "「そもそもデュプリケイターを持ち込んだのはあたしだよ。\\n 使わせてもらう権利ぐらいはあるはずさ」",
"506000331_64": "「――はい。\\n お願いしますッ」",
"506000331_65": "「それなら……わたしたちは、この力で、宇宙へッ!\\n 応えて、ガングニールッ」",
"506000331_66": "「Balwisyall nescell gungnir tron――」",
"506000331_67": "「Croitzal ronzell gungnir zizzl――」",
"506000331_68": "「Rei shen shou jing rei zizzl――」",
"506000331_69": "「コネクトギア、正常に起動ッ!\\n 出力は――基準値を超えていますッ 成功ですッ」",
"506000331_70": "「すごい……重くて、熱くて……\\n 強いエネルギーを感じるよッ」",
"506000331_71": "「これが星々を渡る力なんだ……」",
"506000331_72": "「気に入ったよ。これだけの力があれば、\\n 向こうの世界でも思う存分に唄えそうだ」",
"506000331_73": "「――うん。\\n 奏の歌を、宇宙をも超えて響かせてきて」",
"506000331_74": "「翼……」",
"506000331_75": "「それが『あなたの』出した答えなら……\\n 人の友人として、わたしはそれを尊重したい」",
"506000331_76": "「けど、だからこそ……」",
"506000331_77": "「――ついでに、これも持っていってほしい。\\n 無茶をする奏には、きっとお守りになるから」",
"506000331_78": "「ん……?\\n こいつは――」",
"506000331_79": "「さあ最終段階だッ!\\n 全員、気合いを入れろよッ」",
"506000331_80": "「我々の総力を以て、\\n 装者たちを宇宙へ送り出すッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,30 @@
{
"506000411_0": "見放された世界",
"506000411_1": "「朗報です。装者を送り出すための宇宙ロケットですが、\\n 米国の宇宙局が航法システムのサポートに同意してくれましたッ」",
"506000411_2": "「発射施設の方も、内閣府特命担当大臣が、\\n 割り込みでの使用に同意を取り付けたそうです」",
"506000411_3": "「ギリギリになりましたが、\\n 関係各局の足並みは揃いましたね」",
"506000411_4": "「大臣自ら動いてくれたか。\\n 俺の名前で礼を言っておいてくれ」",
"506000411_5": "「しかし、よく有人の宇宙ロケットを、\\n こうも迅速に用意できましたね」",
"506000411_6": "「立ち消えになった第二次アルテミス計画の遺物が、\\n 幸運にも使用できる状態にあった――などと言っていたがな」",
"506000411_7": "「独自に月遺跡を調査すべく準備していたものを、\\n 慌てて引っ張り出してきたんだろうさ」",
"506000411_8": "「まったく……\\n 何をする気だったのやら、という気持ちはありますが」",
"506000411_9": "「今回ばかりは、\\n 人の欲に救われましたね」",
"506000411_10": "「今の苦境を乗り越えたならば、\\n 遠く星の海を越えた先に同胞の住む星を探すことになる」",
"506000411_11": "「その時はこれらの技術が役に立つことだろう。\\n 欲に根ざしたものであれ、前に進む意志は無駄にはならん」",
"506000411_12": "「次は星間外交ですか。\\n 技術や資源の奪い合いで、問題はさらに増しそうですね」",
"506000411_13": "「それこそ俺たちの領分というものだ」",
"506000411_14": "「この星を、そしてあちらの星を護る者たちが、\\n 互いに拳を向け合うようなことは絶対にさせん」",
"506000411_15": "「並行世界が居住可能な異星だとすれば、\\n そんなフロンティアを前に自制が効くかは疑わしいですが」",
"506000411_16": "「その通り。\\n 政の実権を握るものたちは、善人ばかりではない――」",
"506000411_17": "「無論、こちらも容易く退くつもりはないが……。\\n S.O.N.G.はあくまで国連の組織に過ぎん」",
"506000411_18": "「もしも俺が自ら権力争いの渦中に乗り込むことで、\\n ここを護ることができるのなら――」",
"506000411_19": "「その時は……緒川。\\n お前にこの場所を、司令の椅子を託すとしようか」",
"506000411_20": "「ご冗談を……というお顔ではありませんね」",
"506000411_21": "「司令が本気で立ち向かうのなら、\\n 僕も出来る限りのことはするつもりです」",
"506000411_22": "「ああ、頼りにしている」",
"506000411_23": "「ですが、代理の文字は消しませんよ」",
"506000411_24": "「この場に戻ることを認めさせるぐらいの力は、\\n 勝ち取っていただけると信じています」",
"506000411_25": "「全く、上司を使い倒す部下だ」",
"506000411_26": "「ロケットの最終チェックを開始。\\n 装者名もギアの調整完了とのこと」",
"506000411_27": "「さあ、いよいよだな。\\n 神の箱庭を飛び立つ時だッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,59 @@
{
"506000421_0": "「――最終チェック開始。\\n 燃料、推進、航法システム、問題ありません」",
"506000421_1": "「保安、環境、生命維持、全てグリーン。\\n ネットワークは電波、レーザー、錬金のラインで接続」",
"506000421_2": "「コネクトギア、正常に稼働中。\\n 装者のフォニックゲイン、安定しています」",
"506000421_3": "「司令代理が全チェックの完了を確認。\\n では司令、お願いします」",
"506000421_4": "「よし……。\\n 響くん、未来くん、奏――準備はいいな」",
"506000421_5": "「いつでも大丈夫ですッ!」",
"506000421_6": "「はい、行ってきます」",
"506000421_7": "「……不思議な気持ちだな。",
"506000421_8": " 緊張もあるけど、これは……きっと高揚だ」",
"506000421_9": "(……ああ、そうか。\\n これは……いつかのライブの前と同じ――",
"506000421_10": "「ならばよしッ!\\n カウントダウンを始めてくれッ」",
"506000421_11": "「カウントダウンスタート。\\n ――」",
"506000421_12": "「無事に戻ってこいよ……」",
"506000421_13": "「目的よりも、身の安全を優先して――、",
"506000421_14": " なんて言っても聞きはしないでしょうね」",
"506000421_15": "「でも、これが別れになってしまったら、\\n 絶対に納得なんてできないから」",
"506000421_16": "「全力で頑張って、\\n 元気に帰ってくるデスよッ」",
"506000421_17": "「立花、小日向――そして、奏。\\n 目指すべき場所へ、振り返らずに飛べッ」",
"506000421_18": "「ロケット点火ッ! \\n 、リフトオフッ」",
"506000421_19": "「……ッ!!」",
"506000421_20": "「行ってらっしゃい、\\n みなさん……ッ」",
"506000421_21": "「宇宙に来たんだ……ッ!」",
"506000421_22": "「わ……わわッ!? 身体が、変な感じ……自然と浮いてくッ!\\n 重力がないって、こんな感じなんだ……」",
"506000421_23": "「2人は初めてってわけじゃないんだろ?」",
"506000421_24": "「ロケットで飛び出したことはないですよッ!?」",
"506000421_25": "「わたしは気づいたら月で、\\n そこからはずっと必死だったので……」",
"506000421_26": "「ハハハッ! まあ、本来なら何年もかかる訓練を、\\n ギアの性能で突破してるしな」",
"506000421_27": "「この感じなら、身体の方は問題なくついてきてくれる……」",
"506000421_28": "「航法システム正常に稼働中、\\n オートで軌道修正を完了」",
"506000421_29": "「みなさん、そろそろ最終加速に入ります」",
"506000421_30": "「ああ、やってくれ。\\n 宇宙の感覚に飽きちまう前にね」",
"506000421_31": "「では――アルケミックブースターを起動します。\\n アーティファクトホールへ最終加速をッ」",
"506000421_32": "「すごい、加速……ッ!\\n 遠かった黒い穴が、どんどん近くにッ」",
"506000421_33": "「あれがアーティファクトホールッ!」",
"506000421_34": "「アーティファクトホールは星命力を引き寄せ、\\n それ以外は逆に拒絶していますッ」",
"506000421_35": "「このまま近づけば――らからの――通信も押し戻されて、\\n ――不能になる可能性が――ますッ」",
"506000421_36": "「――ッ!?\\n 通信がッ」",
"506000421_37": "「通信が不安定になっていますッ!」",
"506000421_38": "「管制機能、接続率50%を切りました」",
"506000421_39": "「予想はしていたが、やはりか。\\n ならばプラン通りに」",
"506000421_40": "「はい、みなさんを信じましょう」",
"506000421_41": "「これが最後の通信になりますッ!\\n 予定通り、個々の判断でアーティファクトホールへッ」",
"506000421_42": "「ここまで連れてきてくれて、ありがとうございますッ!\\n あとはわたしたちのコネクトギアでッ」",
"506000421_43": "「<ruby=ギギ>一緒に戦った仲間</ruby>の想いと、\\n 奏さんが与えてくれたデュプリケイター……」",
"506000421_44": "「この力で、わたしたちは……\\n 宇宙の先にだって手を伸ばすッ」",
"506000421_45": "「あたしの歌を、どこまでだって轟かせてやるッ!\\n 星の海の向こうまでッ」",
"506000421_46": "「これがアーティファクトホールの中……」",
"506000421_47": "「似てる……ギャラルホルンのゲートを、\\n 通っている時の光景に」",
"506000421_48": "「莫大なエネルギーで宇宙同士を繋ぐ、\\n そのゲートがこんな空間を生み出すのなら」",
"506000421_49": "「やっぱりギャラルホルンが開いていたゲートは、\\n 他の星へと繋がっていたの……」",
"506000421_50": "「でもこの空間はいつもと違う。\\n 押し戻されてるみたいな、変な感覚があるよ」",
"506000421_51": "「あたしたちを拒んでるみたいだ。\\n 話に聞いた通り、星の生命だけもらって他は通さないってか」",
"506000421_52": "「でも、進めるッ! みんなの想いが繋いだギアは、\\n もっともっと先へと飛べるッ」",
"506000421_53": "「――ッ! 周囲を警戒しろッ!\\n 何かくるッ」",
"506000421_54": "「ノイズッ!?\\n わたしたちが止まらないから、直接止めようとッ」",
"506000421_55": "「ただのノイズか、<ruby=アーティファクト>人工聖遺物</ruby>か、\\n どっちかは知らないがッ」",
"506000421_56": "「あたしたちの歌を止めさせはしないッ!\\n 押し通るッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,9 @@
{
"506000422_0": "「こいつでラストだッ!\\n はあああッ」",
"506000422_1": "「他にノイズの姿はありません、\\n 今ので最後ですッ」",
"506000422_2": "「よし、後はゲートの向こう側まで――ッ!?",
"506000422_3": " これは……ッ!」",
"506000422_4": "「押し戻されていた力が消えていく。\\n むしろ引き寄せられているみたいにッ」",
"506000422_5": "「ああ、きっと出口が近いんだ。\\n さあ、ここから先は本物の異星だ。覚悟はいいねッ」",
"506000422_6": "「「はいッ!」」"
}

View file

@ -0,0 +1,50 @@
{
"506000431_0": "「ここが……キョウちゃんとヨウちゃんの、\\n 見放された世界……」",
"506000431_1": "「別の星なのに、ちゃんと空気はある……。",
"506000431_2": " でも……ケホッ。呼吸するだけで喉が焼けるみたい」",
"506000431_3": "「長居はしたくない場所だね。\\n 見渡す限りの荒野だけど……ともかく移動してみよう」",
"506000431_4": "「この何もない大地を見てると、\\n なんだか……<ruby=みらい>未来</ruby>のことを思い出すな」",
"506000431_5": "「もしかして、\\n イシムが導いた、終わってしまった<ruby=みらい>未来</ruby>の地球?」",
"506000431_6": "「……うん。\\n あの場所も、こんな光景だったから」",
"506000431_7": "「それに、世界蛇に食い尽くされた世界のことも……」",
"506000431_8": "「……終わりの世界は、どこもかしこも、\\n こんな姿になっちまうってことか」",
"506000431_9": "「今回、あたしたちが下手を打てば、\\n あたしたちの星もこうなるってわけか……」",
"506000431_10": "「2人を助けたら、\\n なんとかする方法も考えないと……」",
"506000431_11": "「――け、届け、届け……」",
"506000431_12": "「……?\\n 今、何か聴こえたような……」",
"506000431_13": "「うん、聴こえたね。\\n 歌、みたいな……」",
"506000431_14": "「届け、届け――」",
"506000431_15": "「唄え、唄え――」",
"506000431_16": "「子供の声……?\\n あっちの方から聴こえるッ」",
"506000431_17": "「よし、見に行ってみよう。\\n この世界のこと、何か聞けるかもしれないしね」",
"506000431_18": "「いたぞ、こっちだッ!」",
"506000431_19": "「追いかけて、絶対に見失わないでッ!」",
"506000431_20": "「任せろッ!」",
"506000431_21": "「武装した子供が、\\n 何かを追いかけてる……」",
"506000431_22": "「だりゃああッ! ",
"506000431_23": " ――よし、やったッ!」",
"506000431_24": "「蛇だッ!\\n さっすがカイ兄ちゃん、大物だなッ」",
"506000431_25": "「こっち見て、白いの……卵もあるッ!\\n 大戦果だよーッ」",
"506000431_26": "「なんだか最近、妙に蛇が多いな。\\n 卵なんて見たこともなかったのに……」",
"506000431_27": "「そんなの、いいんだってッ!\\n これだけ獲れれば、今日はみんな腹一杯食えるよッ」",
"506000431_28": "「おバカ。ちょっとずつ分ければ、\\n 週間は毎日ごはんが食べられるでしょッ」",
"506000431_29": "「……狩りをしてるみたいだね」",
"506000431_30": "「あんな子供たちが……」",
"506000431_31": "「――ッ!?\\n あれはッ」",
"506000431_32": "「ノイズッ!?\\n ――倒さなきゃッ あの子たちが危ないッ」",
"506000431_33": "「でも、ここは聖遺物を憎んでいたキョウちゃんたちの世界……」",
"506000431_34": "「なるほど、あたしたちがシンフォギア装者だとは\\n バレたくないってことか」",
"506000431_35": "「そんなこと言ってる場合じゃないよッ!\\n それに――」",
"506000431_36": "「デュプリケイターのおかげで、ギアの性能が上がってる。\\n 唄って引き上げなくても、これなら、体術だけでッ」",
"506000431_37": "「……ん?",
"506000431_38": " あっちから、何か来る……あれはッ!?」",
"506000431_39": "「ノ、ノイズ……ッ!!」",
"506000431_40": "「う、ううッ!\\n 気合を入れようって、歌なんて唄うからッ」",
"506000431_41": "「そんなことより逃げようッ!\\n 全部捨てて、早くッ」",
"506000431_42": "「ダメだ、せっかく見つけた獲物なのにッ!\\n オレだって戦士見習いなんだ、負けたりしないッ」",
"506000431_43": "「でも、カイ兄ちゃんッ!」",
"506000431_44": "「2人は逃げろッ!",
"506000431_45": " ここはオレが――うわああああッ!?」",
"506000431_46": "「――ッ、え……?」",
"506000431_47": "「大丈夫――。\\n 君の勇気は、無駄にしないッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,24 @@
{
"506000432_0": "「……ふう。\\n みんな、怪我はない」",
"506000432_1": "「問題ないよ。\\n このぐらいで不覚はとらないさ」",
"506000432_2": "「でもギアのエネルギーは、\\n なるべく無駄にしたくないね」",
"506000432_3": "「あ、あのッ!」",
"506000432_4": "「君は、みんなを護ろうとしていた……。",
"506000432_5": " 大丈夫だった?」",
"506000432_6": "「は、はいッ! あの、オレ、カイっていいますッ!\\n もしかしてあなたたちは――」",
"506000432_7": "「新しいカヴァーチャの戦士様ですかッ!?」",
"506000432_8": "「カヴァーチャ……ッ!?」",
"506000432_9": "(2人が最後に呟いていた言葉……。\\n やっぱりここは、人の……『見放された世界』なんだ",
"506000432_10": "「えっと、わたしたちは戦士様じゃなくて……」",
"506000432_11": "「<size=25>待って、響ッ!</size>」",
"506000432_12": "「<size=25>思い出して、キョウちゃんたちは聖遺物――\\n シンフォギアのことを憎んでた</size>」",
"506000432_13": "「<size=25>あ……そっか。言わない方がいいかな。</size>",
"506000432_14": "<size=25> でも嘘をつくのは、ちょっと……</size>」",
"506000432_15": "「ああ、あたしたちがカヴァーチャの戦士だよ。",
"506000432_16": " 見事な戦いっぷりだったろ?」",
"506000432_17": "「やっぱりッ!\\n 助けてくれてありがとうございますッ」",
"506000432_18": "「<size=25>奏さんッ!?</size>」",
"506000432_19": "「<size=25>しーッ。これくらいの汚れ役、引き受けるよ。\\n ……今、あたしたちに必要なのは情報だ</size>」",
"506000432_20": "「ぜひお礼をさせてくださいッ!\\n どうかオレたちの集落にッ」",
"506000432_21": "「……ああ。\\n ならお言葉に甘えて、邪魔させてもらうよ」"
}

View file

@ -0,0 +1,47 @@
{
"506000441_0": "「ここがオレたちの集落ですッ!」",
"506000441_1": "「集落……なんだ……」",
"506000441_2": "「ここが……」",
"506000441_3": "「水があるわけでも、植物があるわけでもない。\\n ただの荒野に人が集まっているだけ、か」",
"506000441_4": "「キョウちゃんたちの生き抜く力は、\\n こんな世界で生きてきたからなんだ……」",
"506000441_5": "「ただいまッ! \\n 獲物をとってきたよッ」",
"506000441_6": "「おお、よくやってくれた――",
"506000441_7": " ……そちらは?」",
"506000441_8": "「ちょっと成り行きで招待されてね」",
"506000441_9": "「いや、その姿……ッ!\\n まさか、カヴァーチャの戦士様ですかッ」",
"506000441_10": "「そうだよッ!\\n オレたち、助けてもらったんだッ」",
"506000441_11": "「――ッ!?\\n まさか、イズが出たのかッ」",
"506000441_12": "「えーと……その、それは、そう……\\n イズと鉢合わせしちゃってさ。それは後で報告するよ」",
"506000441_13": "「それは……災難だったな。\\n そして、戦士様。大したお礼もできませんが……」",
"506000441_14": "「戦士様だってッ!?」",
"506000441_15": "「ありがたや……ありがたや……」",
"506000441_16": "「戦士様、この星の<ruby=みらい>未来</ruby>をどうか、\\n 見放された世界をお願いします……」",
"506000441_17": "「え、あの、えーっと……。\\n その、わたしたちは……」",
"506000441_18": "「こりゃ……随分な歓迎だね」",
"506000441_19": "「はい、本当に英雄を迎えたみたい……」",
"506000441_20": "「戦士様ッ!\\n 長が挨拶したいってッ」",
"506000441_21": "「おっと、大物に呼ばれたか」",
"506000441_22": "「大丈夫かな。\\n 色々バレちゃったら……」",
"506000441_23": "「でも、誰も疑ってないみたい。\\n 偉い人なら、色々知ってるかもしれないよ」",
"506000441_24": "「……うん。\\n 行ってみよう」",
"506000441_25": "「戦士様、申し訳ありません、\\n もはや起き上がることもできない身で……」",
"506000441_26": "「急に押しかけたんだ、\\n もちろんそのままで構わないよ」",
"506000441_27": "「ありがとうございます。子供たちも救っていただいたそうで。\\n さすがはカヴァーチャの戦士様だ」",
"506000441_28": "「ここまで繋いできた、世界を救う力を継ぐのは、\\n これからを生きる子供たちですからな……」",
"506000441_29": "「は、はい……」",
"506000441_30": "「しかし……そうですか。カヴァーチャの戦士様が新たに3人も。\\n この世界はもう、大丈夫ですね……」",
"506000441_31": "「よかった……\\n 本当に、よかった……」",
"506000441_32": "「…………」",
"506000441_33": "「<size=25>……カヴァーチャの戦士様が、新たに生まれた……</size>",
"506000441_34": "<size=25> それって、キョウさんとヨウさんは、まさか……</size>」",
"506000441_35": "「――ッ!?」",
"506000441_36": "「時に皆さま、お迎えに不備があってはいけないので、\\n よろしければお聞かせ願いたいのですが」",
"506000441_37": "「ああ、なんだい?」",
"506000441_38": "「皆さまは何を代償に、\\n カヴァーチャを纏ったのでしょう」",
"506000441_39": "「代償……?」",
"506000441_40": "(……ッ、まさか、\\n キョウちゃんの腕、ヨウちゃんの脚は――",
"506000441_41": "「あー、あたしたちはさ、\\n っと、なんて言えばいいかな」",
"506000441_42": "「……ああ、なるほどッ!」",
"506000441_43": "「――ッ」",
"506000441_44": "「もしや、皆さまは想い出と引き換えに、\\n 世界を救う力を纏ったのではありませんかな」"
}

View file

@ -0,0 +1,77 @@
{
"506000451_0": "「想い出と……引き換えに?」",
"506000451_1": "「あ――」",
"506000451_2": "「そう、なのかもしれません。\\n すみません、色々と記憶が曖昧で……」",
"506000451_3": "「<size=25>未来ッ!?</size>」",
"506000451_4": "「<size=25>きっとこう言っておけば、\\n 大丈夫だと思う</size>」",
"506000451_5": "「それはそれは。カヴァーチャに認められるほどの想い出だ、\\n 莫大な量の記憶を捧げたことでしょう」",
"506000451_6": "「もしも我々にお力になれることがあれば、\\n 何でもおっしゃって――げふッ、がふッ」",
"506000451_7": "「だ、大丈夫ですかッ!?」",
"506000451_8": "「長ッ! \\n もう長く喋れる身体じゃないのにッ」",
"506000451_9": "「戦士様、後はオレがッ!」",
"506000451_10": "「はい、もう十分ですッ!\\n 長さん、ありがとうございました」",
"506000451_11": "「申し訳ない。\\n 頼んだぞ、カイ」",
"506000451_12": "「ごめんな。\\n 長は色々話すには、身体が悪くて……」",
"506000451_13": "「この空気の中じゃ仕方ないよ。\\n 本当に……唄うには地獄みたいな場所だ」 ",
"506000451_14": "「唄う?",
"506000451_15": " えっと……」",
"506000451_16": "「いや、それは後でいいや。",
"506000451_17": " ――あのね、戦士様に聞きたいことがあるんだ」",
"506000451_18": "「うん、どうしたの?」",
"506000451_19": "「キョウ様とヨウ様のこと、\\n 知らない」",
"506000451_20": "「2人を知ってるのッ!?」",
"506000451_21": "「やっぱり、想い出を代償にしても、\\n 前代の戦士様のことは覚えてるんだねッ」",
"506000451_22": "「2人はどうしたの?\\n もう、見放された世界に帰って来た」",
"506000451_23": "「えっと……\\n ……それは、わからないんだ」",
"506000451_24": "「そっか……」",
"506000451_25": "「…………うん、でも、仕方ないよな。\\n この世界を救いに行ったんだから」",
"506000451_26": "「キョウさんとヨウさんなら、\\n きっと――」",
"506000451_27": "「――あッ!\\n キョウ様とヨウ様、なッ」",
"506000451_28": "「フフ……大丈夫だよ。\\n 人はそんなこと気にしないと思う」",
"506000451_29": "「――ッ!」",
"506000451_30": "「……そっか。嬉しいな。\\n 本当に、あの人のことを知ってるんだ」",
"506000451_31": "「でも、本当に少し知ってるだけなんだ。\\n カイくんはキョウちゃんとヨウちゃんのこと、詳しく知ってるの」",
"506000451_32": "「もちろんッ! \\n 人はこの集落にもよく来てくれたからなッ」",
"506000451_33": "「へえ、顔見知りか」",
"506000451_34": "「この近くにも集落はいくつかあるけど……\\n ここの戦士候補はオレみたいに、まだ若いやつが多いんだ」",
"506000451_35": "「だからキョウさんとヨウさんが、\\n よく戦い方を教えに来てくれたんだ」",
"506000451_36": "「あの2人から、戦い方を……?」",
"506000451_37": "「うんッ! オレだって、戦士候補だからね。\\n この世界のために戦う覚悟は、人にだって負けてないつもりだよ」",
"506000451_38": "「……」",
"506000451_39": "「それにノイズが出たらどんなに遠くにいても、\\n 駆けつけて護ってくれたッ」",
"506000451_40": "「来る時は食料を持ってきてくれるし、\\n 水を集めるのも手伝ってくれたんだッ」",
"506000451_41": "「それにすっごい戦士様なのに全然偉そうじゃなくて、\\n オレたちにはこっそり、様なんてつけずに呼んでいいってッ」",
"506000451_42": "「だからキョウさん、ヨウさんって、\\n 呼んでたんだね」",
"506000451_43": "「あんなに強いのに、普通の人間だから、なんて言うんだぜ。\\n 本当に格好いいよなッ」",
"506000451_44": "「……本物の英雄も顔負けだね」",
"506000451_45": "「そりゃあそうだよッ! \\n 人は間違いなく英雄なんだからッ」",
"506000451_46": "「あ、それから……これは絶対の絶対に内緒だけど。\\n 人はすごく、歌が上手いんだぜ」",
"506000451_47": "「……フフ。\\n やっぱり、そうなんだね」",
"506000451_48": "「戦士様も2人の歌を聴いたことあるのか?\\n 大人の前では聴けないけど、上手だよなッ」",
"506000451_49": "「大人の前では……?\\n えっと……それは、どうして」",
"506000451_50": "「え?",
"506000451_51": " そりゃ、唄うとノイズを呼び寄せちゃう危険が上がるからさ」",
"506000451_52": "「命の乏しいこの世界だもの。唄ったりなんかしたら、\\n 世界中に『自分はここにいる』って知らせるようなものだよ」",
"506000451_53": "「……だから、本当はダメなんだ。歌なんか唄っちゃ。\\n 戦士様、オレたちがさっき唄ってたのは秘密にしてくれよな」",
"506000451_54": "「……なるほどな。",
"506000451_55": " わかった、秘密にしとくよ」",
"506000451_56": "「へへ……\\n ありがとなッ」",
"506000451_57": "(子供たちを護るためなら、いつだって駆けつけて。\\n できることは何でも手伝って",
"506000451_58": "(それでも自分は普通の人間だからって、\\n 決して偉そうにはしなくて……",
"506000451_59": "(本当に、響みたいだ――)",
"506000451_60": "「ねえ、カイくん。\\n もしかして、人が唄ってくれたのは、この曲」",
"506000451_61": "「――――♪」",
"506000451_62": "「だ、ダメだよ、唄っちゃッ!\\n あいつらが――」",
"506000451_63": "「――ッ!?」",
"506000451_64": "「くそ、やっぱり……ッ!\\n キョウさんとヨウさんが唄えるのは凄い戦士だからだよッ」",
"506000451_65": "「もし出てきても、\\n 簡単に倒してくれたんだッ」",
"506000451_66": "「ノイズが来るのに、唄った……\\n やっぱり、あの人は歌が好きだったんだ」",
"506000451_67": "「世界のために歌を封じたけど、\\n 憎んでなんていなかったんだ……ッ」",
"506000451_68": "「そ、そんなこと言ってる場合じゃッ!」",
"506000451_69": "「大丈夫。\\n へいき、へっちゃらッ」",
"506000451_70": "「――ッ!?」",
"506000451_71": "「だから、カイくんは少しでも遠くへッ!!」",
"506000451_72": "「わ……わかったッ! 集落のみんながケガしないように、\\n 避難するよう呼びかけるよッ」",
"506000451_73": "「さて……わざわざ歌を聴きに来たらしいが、\\n 悪いけど、お引取り願おうかッ」",
"506000451_74": "「戦えるのは、わたしたちも同じッ!!」"
}

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@ -0,0 +1,16 @@
{
"506000452_0": "数時間後――",
"506000452_1": "「……キョウちゃんとヨウちゃん、\\n 本当にこの世界が大好きだったんだ」",
"506000452_2": "「ノイズを倒したって聞いて、\\n みんながキョウ様みたい、ヨウ様みたい、って言ってたね」",
"506000452_3": "「うん、それに――キョウ様とヨウ様はどうしたんだろう、って。\\n 色んな人が心配してた」",
"506000452_4": "「この世界を愛し、この世界に愛された、か。\\n まさしく英雄だね」",
"506000452_5": "「あんなに苦しい想いを押し殺してでも、\\n わたしたちの世界へ奪いに来た理由、少しだけわかったよ」",
"506000452_6": "「長さんが言ってた、代償っていうのは、\\n まだちゃんとはわからないけど……」",
"506000452_7": "「他の何を犠牲にしてでも、この世界を護ろうとしたんだ。\\n 見放された世界のために――」",
"506000452_8": "「……そろそろ休もう。\\n ずっと空が焼けてて時間がわかりにくいけど……、もう夜だ」",
"506000452_9": "「そうですね。\\n 明日に備えよう、響」",
"506000452_10": "「……うん。\\n 時間は限られてるけど、焦っちゃダメだよね」",
"506000452_11": "「――キョウちゃん、ヨウちゃん。\\n 人が愛したこの世界に、助けに来たよ」",
"506000452_12": "「あなたたちに手を伸ばしたい。\\n 手を繋がせて欲しい、だから――」",
"506000452_13": "「――2人は、どこにいるの?」"
}

View file

@ -0,0 +1,95 @@
{
"506000511_0": "巡らない世界",
"506000511_1": "「響くんたちとの通信は?」",
"506000511_2": "「継続して呼びかけていますが、装者3名から応答なし。\\n ギアの反応もありません」",
"506000511_3": "「装着した観測器のデータも計測できません。\\n 完全に分断されているようです」",
"506000511_4": "「あちらの世界の2人は通信ができていたようなのですが……。",
"506000511_5": " 技術情報を共有できなかったのが悔やまれます」",
"506000511_6": "「吸い取られるエネルギーの一部として、\\n あちらへ届いている可能性もある。呼びかけ続けてくれッ」",
"506000511_7": "「了解ですッ!」",
"506000511_8": "「今も立花たちは人知の及ばぬ異星で戦っている。\\n 座して待つことしかできないとは、辛いものだな」",
"506000511_9": "「ええ、本当に。こうして手をこまねいているよりも、\\n 戦場で傷つく方が気持ちはずっと楽ね」",
"506000511_10": "「たった数日で海は濁って、風は止まった……星の命が消えてくのを、\\n こうもあからさまに目の当たりにするとはな……」",
"506000511_11": "「……できること、何もないのかな」",
"506000511_12": "「本当に待つしかないんデス……?」",
"506000511_13": "「シードギア、アマルガムキーパーの安全確認、\\n 装者のメディカルチェックも完了しました」",
"506000511_14": "「星命力についても各国、各機関と協力して、\\n 可能な限りの手立ては打っています」",
"506000511_15": "「異端技術、錬金術を用いて星を覆うシールドプロジェクト、\\n 流出する星命力を引き戻す救星計画」",
"506000511_16": "「今の人類にできる最大限の試みでしたが、\\n 効力を示していないのが現状です」",
"506000511_17": "「あいつらを信じるしかないか……」",
"506000511_18": "「星命力は相変わらず、\\n 奪われ続けているのよね」",
"506000511_19": "「残念ながらこの星、そして他の並行世界――他の星からも、\\n アーティファクト・ホールへと星命力が流出し続けています」",
"506000511_20": "「その影響か、世界中で異常な気象現象が頻発しています。\\n 歴史的建造物が崩れ去ったという報告もあり……」",
"506000511_21": "「ベアトリーチェとの戦いから立て続けの異変に、\\n 世界的にも不安感が蔓延しているようです」 ",
"506000511_22": "「みんな、怖いんだね」",
"506000511_23": "「あっちの世界だけが問題じゃない。\\n こっちの世界だって落ち着いてるわけじゃないんだ」",
"506000511_24": "「宇宙におかしな大穴が空いて、\\n どいつもこいつもビビってるんだよ」",
"506000511_25": "「……そしておそらくそれは、\\n きっとこの世界だけではないでしょうね」",
"506000511_26": "「でも、今、\\n この世界には、戦うべき敵なんていない……」",
"506000511_27": "「切り払う『敵』がいるときの、\\n なんとわかりやすいことかしら」",
"506000511_28": "「…………」",
"506000511_29": "「はあ……\\n 何事もなかったなら、ライブに行ってる時期だったんだけどな」",
"506000511_30": "「もう、こんな時に……」",
"506000511_31": "「こんな時だからこそ、だろッ!?」",
"506000511_32": "「それはもしかして……\\n ツヴァイウィングの再現ライブのことですか」",
"506000511_33": "「あ、ええ、そうです。",
"506000511_34": " 気になってるアーティストも出るっていうんで……」",
"506000511_35": "「ツヴァイウィングの……再現ライブ?」",
"506000511_36": "「……はい。\\n 翼さんたちのかつてのステージを再現し――」",
"506000511_37": "「『ツヴァイウィング』の歌を、\\n <ruby=いま>現在</ruby>のアーティストたちがカバー楽曲として唄う……」",
"506000511_38": "「次代に継いでいくための企画だったと\\n 聞いています」",
"506000511_39": "「……騒動に次ぐ騒動で、結局は立ち消えでしょうが……\\n 残念ですね」",
"506000511_40": "「…………」",
"506000511_41": "「……なら、そのステージ、使えないかしら?」",
"506000511_42": "「――えッ!?」",
"506000511_43": "「だって……戦うことを取り上げられたなら……\\n わたしたちにできることは、唄うことだけでしょう」",
"506000511_44": "「70億の<ruby=人類>わたしたち</ruby>は、歌で繋がってきた……」",
"506000511_45": "「今回だって、諦めていない誰かがここにいると、\\n 知らせることはできるはずよ」",
"506000511_46": "「――ならッ!\\n アタシたちにできることをしたいデスよッ」",
"506000511_47": "「うん。\\n ……このまま何もしないなんて、嫌だ」",
"506000511_48": "「そうだな。\\n あのバカも、結局はその気持ちであっちの宇宙に行ったんだ」",
"506000511_49": "「こっちに残ったあたしたちが、\\n 間抜けヅラで『帰りを待ってる』だけじゃダメだろうさ」",
"506000511_50": "「ええ。\\n 同じくらい……いいえ、それ以上に」",
"506000511_51": "「わたしたちもできることをしなくてはね」",
"506000511_52": "「歌――ああ、そうだ。この身は防人であると同時に、\\n ツヴァイウィングの片翼、風鳴翼だ」",
"506000511_53": "「人々の心に不安が満ちているというなら、\\n その心を護ることも、わたしの使命に違いない……」",
"506000511_54": "「ええ。\\n 唄いましょう、全ての人々のためにッ」",
"506000511_55": "「緒川さん、急な頼みですが……」",
"506000511_56": "「会場とスケジュールは押さえてあるも同然……」",
"506000511_57": "「であれば、ベストな放送設備を押さえてみせます。\\n 僕はこっちが本職ですから」",
"506000511_58": "「アタシたちも手伝うデスッ!\\n この世界、手をとってくれた人全部、頼りまくるデスよッ」",
"506000511_59": "「みんなに、最高の歌を届けようッ!」",
"506000511_60": "「…………」",
"506000511_61": "「……この中継を目に、耳にしている全ての『誰か』に、\\n 伝えさせてください」",
"506000511_62": "「わたしは、風鳴翼。\\n 今、この世界に迫る『終わり』に対し、抗う術を何も持たない――」",
"506000511_63": "「ただの、風鳴翼です」",
"506000511_64": "「……これを聞いているあなたが、\\n もし、迫る絶望に打ちひしがれているのなら……」",
"506000511_65": "「それでもどうか、ほんの少しだけ視線を上げて、\\n あなたたちと同じように、何もできないわたしを見てほしい」",
"506000511_66": "「……」",
"506000511_67": "「ほんの一欠片、わたしにできるのは……わたしが、したいことは。\\n それでも生きるのを諦めたくないと叫ぶこの<ruby=うち>裡</ruby>を」",
"506000511_68": "「胸の歌を……\\n あなたたちに届けることだけ」",
"506000511_69": "「この想いが、広がっていくことを祈るだけです」",
"506000511_70": "「絶望を前に、\\n すぐには届かないかもしれないと<ruby=すく>竦</ruby>んでも……」",
"506000511_71": "「届くことを諦めず唄うことで、きっと開ける<ruby=みらい>未来</ruby>があると、\\n そう信じて――ここに立っています」",
"506000511_72": "「わたしは……」",
"506000511_73": "「――わたしたちは、ですよ」",
"506000511_74": "「――ッ!?\\n みんな、どうして……ッ」",
"506000511_75": "「いや、まあ……\\n 先輩だけのがいいかもしれないとは思ったんだけどな」",
"506000511_76": "「けど、あたしたちにもできること……\\n したいこと、って思ったらさ。こうなっちまった」",
"506000511_77": "「デスデスッ! アタシたちだって、\\n どーしても伝えたい……唄いたいデスよッ」",
"506000511_78": "「生きるのを諦めてない誰かがここにいるって、\\n たくさんの『誰か』に伝えなきゃって思ったんです」",
"506000511_79": "「それなら、唄い手は、繋がる手は……\\n 多い方がいい」",
"506000511_80": "「翼1人で唄わせるなんて、\\n そんなもったいないこと、させるものですか」",
"506000511_81": "「だって、こんなにも滾っているのだもの。\\n わたしたちの、胸の歌がッ」",
"506000511_82": "「<ruby=伝えず>唄わず</ruby>にいられるものかッ!\\n ……そうでしょう」",
"506000511_83": "「「「応(デス)ッ!」」」",
"506000511_84": "「みんな……」",
"506000511_85": "「…………フフッ。\\n ああ、そうだなッ」",
"506000511_86": "「これを聴くあなたたちの胸に、湧き上がる歌があるのなら……\\n どうか、その歌に耳を傾けてください」",
"506000511_87": "「わたしが……わたしたちが、あなたたちと唄いたいその歌は、\\n 特別な誰かの歌ではないのです」",
"506000511_88": "「この歌は、きっと誰の<ruby=うち>裡</ruby>にもある――ッ!」",
"506000511_89": "「「命を燃やして、\\n 明日へ向かっていくための、胸の歌なのだからッッ」」",
"506000511_90": "(……どうかこの歌が、\\n 世界中の……あわよくば世界外の『誰か』に届きますように",
"506000511_91": "(そして、叶うならば、\\n 遠き<ruby=そら>宇宙</ruby>で戦う戦友へ、この想いが届くように)",
"506000511_92": "(必ず無事に戻るんだ。\\n 立花、小日向――……奏"
}

View file

@ -0,0 +1,50 @@
{
"506000521_0": "「戦士様ッ!\\n おはようございますッ」",
"506000521_1": "「――う、ん……もう、朝……?\\n 今の声は、カイくん」",
"506000521_2": "「あ……ッ!",
"506000521_3": " ごめんなさい、まだおやすみだったんですね……」",
"506000521_4": "「もしお願いできるなら、\\n 村の水を取りに行くので手伝ってもらえないかなって……」",
"506000521_5": "「お水……うん、すぐ行くから、\\n 外で待っていてくれる」",
"506000521_6": "「はいッ!」",
"506000521_7": "「えっと、響と奏さんは……」",
"506000521_8": "「うう……\\n 全部食べないでよ、切歌ちゃん……」",
"506000521_9": "「また妙なことを考えて……、\\n ……ダンナに……バレても知らないからね……んん……」",
"506000521_10": "「2人ともぐっすり。",
"506000521_11": " もう少し寝ててもらおうかな」",
"506000521_12": "「時間的には朝なのに、\\n 空はずっと紅いまま……」",
"506000521_13": "「おはよう、戦士様。",
"506000521_14": " ごめんなさい、起こしちゃって……」",
"506000521_15": "「おはよう。気にしないで。\\n お水はどこで取れるの」",
"506000521_16": "「うん、こっちだよッ!」",
"506000521_17": "「フフ……どんな世界でも、\\n 子供は元気だね」",
"506000521_18": "「もうすぐだよ、戦士様。\\n きっとこの辺りなら……」",
"506000521_19": "「確か……<ruby=アーティファクト>人口聖遺物</ruby>で水を集めるんだよね?」",
"506000521_20": "「それは覚えてるんだ。\\n もちろん、ちゃんと持ってきてるよ」",
"506000521_21": "「よし、ここなら大丈夫そうだ。",
"506000521_22": " いくよ……ッ!」",
"506000521_23": "(やっぱり、あの時キョウちゃんたちが見せてくれた技術……",
"506000521_24": " でも、なんだか様子が、ちょっと違うような……?)",
"506000521_25": "「あ、戦士様ッ!\\n そっちは危ない――ッ」",
"506000521_26": "「え……?」",
"506000521_27": "「――ッ!?\\n 壁が、崩れてッ」",
"506000521_28": "「……ふう、危なかった」",
"506000521_29": "「わ、凄い動きッ! さすが戦士様――",
"506000521_30": " ……っと、詳しいことは覚えてなかったんだ?」",
"506000521_31": "「えっと……そうなんだと思う。\\n 教えてくれる、かな」",
"506000521_32": "「うん。この<ruby=アーティファクト>人工聖遺物</ruby>は――、\\n というかこの世界は、何をするにも『代償』が必要だから」",
"506000521_33": "「水を集めようと思ったら周りの水分を奪わなくちゃいけない。\\n だから世界は崩れていくばっかりで」",
"506000521_34": "「ここもしばらくは水が集まったけど、\\n そろそろ使えなくなりそうだ」",
"506000521_35": "「奪うしかない……水も、命も。\\n どうしてそんな風になっちゃったんだろう」",
"506000521_36": "「ハハ……\\n それはオレに聞かれても、わかんないよ」",
"506000521_37": "「あ、でも知ってるよッ!\\n 聖遺物が――シンフォギアがこの世界を壊したんだってッ」",
"506000521_38": "「――ッ!?\\n シンフォギアがッ」",
"506000521_39": "「それも忘れちゃった?\\n もしかして他の戦士様も忘れてるんじゃない」",
"506000521_40": "「あ……きっとそうだと思う。\\n 良かったら、詳しく話してくれる」",
"506000521_41": "「じゃあ帰ったら、\\n みんな一緒に話すよッ」",
"506000521_42": "「ありがとう」",
"506000521_43": "「なら、水をもってさっさと帰ろう。\\n ほんと、オレ人だと往復しなきゃいけないから、助かる――」",
"506000521_44": "「――ッ!?」",
"506000521_45": "「またノイズッ!?\\n 唄いでもしなきゃ、普段はこんなに出くわさないのに……」",
"506000521_46": "(狙ったように現れるノイズ。\\n もしかして、わたしたちに反応してる……",
"506000521_47": "「どちらにしても、集落には連れていけない。\\n この場で倒さなきゃッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,59 @@
{
"506000522_0": "「ただいま、戦士様ッ!」",
"506000522_1": "「おかえりカイくん、未来ッ!」",
"506000522_2": "「起き抜けから、どこ行ってたんだ?」",
"506000522_3": "「おはよう、2人とも。\\n ちょっとお水を集めてきたんだ」",
"506000522_4": "「戦士様のおかげで無事に戻れた。\\n ありがとうッ」",
"506000522_5": "「ううん、気にしないで。",
"506000522_6": " それより――さっきの話、聞かせてくれる?」",
"506000522_7": "「……?」",
"506000522_8": "「響と奏さんに、\\n 聞いて欲しい話があるの」",
"506000522_9": "「カヴァーチャの戦士様にオレが教えるなんて畏れ多いし、\\n 上手くできるかわからないけど……」",
"506000522_10": "「オレ、精一杯やるねッ!」",
"506000522_11": "「……コホン。\\n えっと、むかしむかし――」",
"506000522_12": "「――神ははじめに、1つの星を作りました。\\n その星は、神の箱庭」",
"506000522_13": "「神々が、己が種のために作り出した実験施設でした」",
"506000522_14": "(シェム・ハさんたちが言っていた。\\n わたしたちの星も、そうして育てられた、って……",
"506000522_15": "「生命を創り、進化を促し、必要とあらば廃棄をしながら。\\n 箱庭を管理する神という種は、ある瞬間、気付きます」",
"506000522_16": "「この星は『巡る』ように作ってしまった。\\n それを前提とした実験しかできないではないか――と」",
"506000522_17": "「神はその力を用いて、巡ることのない世界、\\n 『終わることが決まった世界』を生み出します――」",
"506000522_18": "「終わることが決まった世界……?\\n まさか……ッ」",
"506000522_19": "「うん、それが、\\n この世界の成り立ちだよ」",
"506000522_20": "「終わることが決まった世界と、巡る世界、\\n どんな違いがあるの……」",
"506000522_21": "「そこは、オレも詳しくは知らないけど……",
"506000522_22": " この星のように奪う必要のない世界が……宇宙があるんだよ」",
"506000522_23": "「キョウさんたちはこんな風にも言ってたっけ。\\n 真なる宇宙と、可能性の宇宙――」",
"506000522_24": "「オレたちの世界は『可能性の宇宙』の、\\n さらに分割されたモなんだ、って」",
"506000522_25": "「使ったものが『巡って』戻ってくる、循環のある世界。",
"506000522_26": " 奪ったらそれで終わりじゃない……凄いよな、羨ましい」",
"506000522_27": "「……この星はそうじゃないってのか」",
"506000522_28": "「ここは奪うことしかできない世界。\\n 使えば使うだけ、奪えば奪うだけ、消えてなくなっていく」",
"506000522_29": "「だからキョウさんやヨウさんが、\\n 巡る世界から奪って来てくれるんだ」",
"506000522_30": "「そしてこの世界は延命されるんだッ! \\n 見放された世界のために――」",
"506000522_31": "「あ、ごめん、話の途中だった」",
"506000522_32": "「……うん。\\n ……続きを教えて」",
"506000522_33": "「『終わることが決まった世界』に放たれた生命たちは、\\n 神々に、いつか世界が終わることを知らされました」",
"506000522_34": "「神は言いました。終わりは遥か遠く、\\n 今を生きる生命たちに関わりのないことだ、と」",
"506000522_35": "「しかし考えることを得た生命にとって、\\n 定められた『終わり』は――劇薬だったのです」",
"506000522_36": "「<ruby=みらい>未来</ruby>のその先にも、可能性を。\\n 人類の得た想いは願いであり、呪いでもありました」",
"506000522_37": "「神の定めた終わりなら。神をも超えて覆そう。\\n 人は神に届く手段、シンフォギアを作り上げてしまいました」",
"506000522_38": "「シンフォギアで、神に……ッ!」",
"506000522_39": "「人類が神に挑む。\\n それが『今』に繋がる悲劇の始まり」",
"506000522_40": "「届け、届け、届け。\\n シンフォギアは唄いました」",
"506000522_41": "「超えろ、超えろ、超えろ。\\n 人類は神を呪いました」",
"506000522_42": "「――しかし、この世界は終わることが決まった世界。\\n 命の限られた世界」",
"506000522_43": "「神にも届けとシンフォギアが唄えば唄うほどに、\\n 星の生命は失われていきました」",
"506000522_44": "「そして――」",
"506000522_45": "「命を燃やす、歌……」",
"506000522_46": "「うん。星の命――、\\n 星命力がシンフォギアを動かす代償だったんだ」",
"506000522_47": "「神に手を伸ばしたシンフォギアは、星の生命を燃やした歌は、\\n この世界を喰い滅ぼす寸前まで追い込んだんだって」",
"506000522_48": "「シンフォギアが、世界を滅ぼした……\\n キョウちゃんたちが言ったことは、本当だったんだ……」",
"506000522_49": "「……この世界のノイズだって、\\n 元はと言えばシンフォギアを止めるために人が作った兵器だ」",
"506000522_50": "「――ッ!」",
"506000522_51": "「けど、ノイズじゃシンフォギアは止められなかった……」",
"506000522_52": "「今もオレたちが襲われるのは、不本意だよ。\\n シンフォギアと同じものだと思われるなんてね」",
"506000522_53": "「だからオレたちは……人類は、\\n シンフォギアに代わる力を……<ruby=みらい>未来</ruby>への光を作り出した」",
"506000522_54": "「……まさか」",
"506000522_55": "「そう、カヴァーチャ……ううん、カヴァーチャ・システムは\\n その後に出来た」",
"506000522_56": "「代償を『1人』に絞って、\\n 星の延命をするための技術なんだよ」"
}

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@ -0,0 +1,25 @@
{
"506000531_0": "「シンフォギアが滅ぼした世界を延命するために、\\n 人の命を代償として力を発揮するのが、カヴァーチャ……」",
"506000531_1": "「なら、それは対<ruby=聖遺物>シンフォギア</ruby>の道具なんかじゃない。\\n むしろ、この世界なりの<ruby=聖遺物>シンフォギア</ruby>改だってことか……」",
"506000531_2": "「カイくん、神様はどうしたの?\\n エネルギーを使い切ってまで手を伸ばした、この星の人は……」",
"506000531_3": "「何も」",
"506000531_4": "「何……も……?」",
"506000531_5": "「急速に星命力を使い果たしたこの星は箱庭として『使えない』。\\n すぐ切り捨てられちゃったってさ」",
"506000531_6": "「この星は捨てられたんだよ、神に――創造主に。",
"506000531_7": " 見放された世界なんだ」",
"506000531_8": "「きっと人類が生まれるまでにも、そうやって切り捨てられた\\n 星や生命がたくさんあったんだろうな」",
"506000531_9": "「……ああ、そうかもしれないね」",
"506000531_10": "「そのカヴァーチャ・システムっていうのは、\\n どうやって産み出されたの」",
"506000531_11": "「ええー、そんな大事な記憶も代償にしちゃったの?\\n 戦士候補なら必ず聞くことなのにさ」",
"506000531_12": "「ご、ごめんね」",
"506000531_13": "「いいって。\\n 戦士様はもっと堂々としないとッ」",
"506000531_14": "「カヴァーチャ・システムの根幹は\\n 『人の想いの累積』なんだ」",
"506000531_15": "「この世界に生きてきた人たちが『この世界を救いたい』って、\\n 想いを重ね、繋いで、託し、受け継がれてきた力」",
"506000531_16": "「この星で唯一、\\n 失われない力だよッ」",
"506000531_17": "「だからこそ『選ばれた』人は強いんだ。\\n 戦士様はみんなの想いを継いで戦っているから」",
"506000531_18": "「全てが消費されてなくなってしまう世界で、\\n それでも積み重ねられてきた唯一のものが、人の想い……」",
"506000531_19": "(八千八声――\\n 啼いて血を吐く、ホトトギス",
"506000531_20": "(――血を吐き唄うその鳥は、\\n 不如帰去と鳴いたともいう……",
"506000531_21": "(かえりゆくにしかず。\\n 巡りの中に『帰れない』なら――",
"506000531_22": "(ただ積み上がったその想いは、\\n いったいどれほどの重さで、どこに向かうというのだろう"
}

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@ -0,0 +1,38 @@
{
"506000541_0": "「ふぅ……ッ!\\n 戦士候補のオレが知ってるのはこれぐらい、かな……」",
"506000541_1": "「あ……戦士候補しか教わってないことも話しちゃったから、\\n 一応、みんなには言っちゃダメだよッ」",
"506000541_2": "「……ああ、約束するよ。\\n ありがとな、カイ」",
"506000541_3": "「戦士様にお礼を言われちゃった。\\n へへ、オレも誰にも言わないよッ」",
"506000541_4": "「カイ、いるか?\\n ちょっと聞きたいことがあるんだが」",
"506000541_5": "「あ、はいッ!",
"506000541_6": " じゃあ戦士様、またッ!」",
"506000541_7": "「うん、ありがとう」",
"506000541_8": "「カヴァーチャ……キョウちゃんとヨウちゃんを連れ去ったのは、\\n この世界を護ろうという想いの集合体だったんだ……」",
"506000541_9": "「この世界に生きる人たちを護りたいっていう想いで、\\n 人はカヴァーチャに選ばれたんだね」",
"506000541_10": "「……やっぱり、きっと……\\n 人の想いは本物だったんだよ」",
"506000541_11": "「でも、だからって、たった2人で、全ての人の想いは背負えない。\\n 絶対に逃げられないなら、縛られてるのと変わらないッ」",
"506000541_12": "「それでも最後は、一緒に戦おうとしてくれた。\\n きっと本当の意味でわたしたちと心を通わせてくれたんだッ」",
"506000541_13": "「それがカヴァーチャには許せなかったんだ。\\n 巡る世界のわたしたちに心を開くことは、世界の想いと反するから」",
"506000541_14": "「でも……」",
"506000541_15": "「護りたかっただけなんだよ。シンフォギアを使った過去の人も、\\n わたしたちの世界に来た、今の人たちも」",
"506000541_16": "「なのに、こんなのってない……ッ!」",
"506000541_17": "「……なあ、2人とも」",
"506000541_18": "「あたしはアヌンナキのことには明るくないけど、\\n この世界の人は自分の力だけで生き抜いてきたんだろ」",
"506000541_19": "「シンフォギアを、聖遺物を憎む……推進力は必要だったけど、\\n 必要であれば人工的に作り出してみせた」",
"506000541_20": "「この世界は『人の力』で生きてきた世界なんだな……」",
"506000541_21": "「はい、きっとそうです。\\n 『神様』に見放されても、それでも人の力で戦ってきた」",
"506000541_22": "「……あたしは錬金術師の連中とつるんで長いから、\\n ちょっと思ったんだけどな」",
"506000541_23": "「何かを得るために代償を必要とする、\\n 等価交換の技術……」",
"506000541_24": "「そいつを錬金術って呼ぶんじゃないか?」",
"506000541_25": "「――あッ!?」",
"506000541_26": "「この世界が生み出した技術は、\\n 錬金術と同じものってことですか」",
"506000541_27": "「むしろ……この世界の根幹は錬金術にあるんじゃないかな。\\n それがあたしたちの宇宙との違いなんじゃ――」",
"506000541_28": "「戦士様ッ!\\n ごめんッ、失礼しますッ」",
"506000541_29": "「カイくんッ!?\\n あれ、さっき呼ばれて……お話はもういいの」",
"506000541_30": "「それが、オレより小さい子たちが、\\n 食料を探しに集落を出て行ったみたいでッ」",
"506000541_31": "「なッ、子供だけで行ったのかッ!?」",
"506000541_32": "「まだ遠くには行ってないはずなんだ。\\n お願い、一緒に探してください……ッ」",
"506000541_33": "「もちろんッ!\\n 放ってなんておけないよッ」",
"506000541_34": "「ありがとう、戦士様ッ!\\n やっぱりみんなは、オレたちのために戦ってくれるんだッ」",
"506000541_35": "「――うん……できる限りのことはするよ。\\n だってそれが……わたしのやりたいことだからッ」"
}

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@ -0,0 +1,61 @@
{
"506000551_0": "「残った足跡はこっちに続いてるッ!\\n 急いでッ」",
"506000551_1": "「なるほどね、風もほとんど吹かないから、\\n 足跡が消えないわけか」",
"506000551_2": "「でも地面はボロボロで、\\n 本当にわずかな痕跡しかないのに」",
"506000551_3": "「キョウちゃんやヨウちゃんと同じ。\\n この世界で生きるって、そういうことなんだ……」",
"506000551_4": "「お、ここなら水ができるぞッ!」",
"506000551_5": "「やった、食料は取れなかったけど、\\n 水は持って帰れるねッ」",
"506000551_6": "「――いたッ!",
"506000551_7": " そんなところでなにやってるんだッ!」",
"506000551_8": "「げッ、カイにーちゃんッ!」",
"506000551_9": "「見つかっちゃった……」",
"506000551_10": "「よかった……\\n みんな無事だね」",
"506000551_11": "「うん、何もなかったみたいだね」",
"506000551_12": "「全く、どうしてこんな無茶をしたんだよ」",
"506000551_13": "「だってみんなが、\\n 最近は獲物がよくとれるってッ」",
"506000551_14": "「蛇が取れるんでしょッ!?\\n 卵もッ」",
"506000551_15": "「偶然よく見つかるだけだ。\\n こんなところに獲物なんていないッ」",
"506000551_16": "「でも、こっちから変な音が聞こえたから……\\n きっと何かいると思ったんだよ」",
"506000551_17": "「変な音……?\\n それって、どんな――」",
"506000551_18": "「「いヤだ……もう、イやナンだ――、\\n やメロォオオオッ」」",
"506000551_19": "「――ッ!? \\n な、なんだ、この声ッ」",
"506000551_20": "「い、今のを聞いて来たんだッ!",
"506000551_21": " でも、音じゃなくて、声だった……?」",
"506000551_22": "「泣いてるような、怒ってるような……、\\n すごく、嫌な感じが……」",
"506000551_23": "「この声……ッ!」",
"506000551_24": "「うん、間違いないッ!\\n カイくん、みんなを連れてすぐに集落にッ」",
"506000551_25": "「ば、バカにしないでくれよ、戦士様ッ!\\n ただごとじゃないことくらい、オレにだってわかるッ」",
"506000551_26": "「オレだって戦えるッ!\\n これでも戦士候補なんだッ」",
"506000551_27": "「なら、そいつらだけで帰らせる気か?\\n 護ってやるやつが必要だろッ」",
"506000551_28": "「それは、",
"506000551_29": " …………ッ!」",
"506000551_30": "「か、カイにーちゃん……」",
"506000551_31": "「……」",
"506000551_32": "「……ッ!",
"506000551_33": " 戦士様は……本当に大丈夫、なんだよな?」",
"506000551_34": "「キョウさんとヨウさんと同じくらい……\\n 強いんだよなッ」",
"506000551_35": "「……まかせておいてッ!\\n へいき、へっちゃらだよッ」",
"506000551_36": "「信じてるから……\\n 絶対に帰ってきてよッ」",
"506000551_37": "「2人とも、行くぞッ!\\n 戦士様の邪魔にならないように、ここを離れるんだッ」",
"506000551_38": "「う、うんッ!」",
"506000551_39": "「「あァ……ぅあアアアアッ!\\n 嗚呼ァァッ 来なイで、モウ……」」",
"506000551_40": "「「わタシは、アたしは――\\n 英雄に、ナレナイ……殺せナイッ 奪エナいッ」」",
"506000551_41": "「「もう、ソンなコト、したくない……ッ!!」」",
"506000551_42": "「洞窟の奥から、声が向かってくる……ッ!」",
"506000551_43": "「なんて声だよ……こんなに心が泣き叫んでても、\\n 弱音を吐くことすら許されなかったってのか……」",
"506000551_44": "「世界を救いたいのも本当で、\\n それでも、その手段を行使したくなくて……」",
"506000551_45": "「……苦しかったよね、2人とも……」",
"506000551_46": "「「もう、ダれも……\\n キズつけたく、なイ……ッ」」",
"506000551_47": "「……大丈夫。\\n 人に、誰も傷つけさせなんかしないッ」",
"506000551_48": "「「シンフォ、ギア……ァ\\n あァ\"アアアアアアアッ!!!!」」",
"506000551_49": "「――響ッ!!」",
"506000551_50": "「直撃ッ!?\\n そんな――」",
"506000551_51": "「大、丈夫……ッ!」",
"506000551_52": "「――ッ!",
"506000551_53": " あの攻撃を、正面から受けたのかッ! 無茶しやがってッ!」",
"506000551_54": "「わたしは……",
"506000551_55": " キョウちゃんとヨウちゃんの攻撃で、傷ついたりしないッ!!」",
"506000551_56": "「「――ッ!!」」",
"506000551_57": "「だってわたしは……」",
"506000551_58": "「<size=40>2人を、助けに来たんだッ!</size>」"
}

View file

@ -0,0 +1,73 @@
{
"506000611_0": "『英雄』カヴァーチャ",
"506000611_1": "「――やっと会えたんだッ!\\n キョウちゃん、ヨウちゃんッ」",
"506000611_2": "「こんなところにいたんだね。\\n 大事な人たちが暮らす場所のそばに……」",
"506000611_3": "「――こいつが、そうなんだな?」",
"506000611_4": "「うん。最後に見た時の――、\\n 助けを求めてくれた時のままです」",
"506000611_5": "「「シンフォ、ぎア……",
"506000611_6": " ああ……アアアァァアァッ!!」」",
"506000611_7": "「そうだよ、助けに来たんだッ!!\\n 人がそう望んでくれたから……この胸の歌のままにッ」",
"506000611_8": "「「いやだ……\\n タタカい、うばウ………ッ」」",
"506000611_9": "「こんな姿になっても、\\n 戦いに苦しんで……ッ」",
"506000611_10": "「それにきっと、2人に混ざったこの敵意は……\\n この世界の『想い』……ッ」",
"506000611_11": "「これが、カヴァーチャ……世界を護るための……」",
"506000611_12": "「「もう――とドカセない――、\\n ウタワせない――」」",
"506000611_13": "「その想いが、こんなに痛々しいカタチをしていて……\\n いいわけがないだろうッ」",
"506000611_14": "「「<size=40>コのセカイはッ! コワさせナいッ!!!</size>」」",
"506000611_15": "「キョウちゃんッ!!\\n ヨウちゃんッッ」",
"506000611_16": "「わたしたちの声が、\\n 届いてないの……ッ」",
"506000611_17": "「構わず呼び続けろッ! 戦いながらだッ!!\\n そんでもって……膝をついたりなんか、絶対するなよッ」",
"506000611_18": "「「はいッ!!」」",
"506000611_19": "「くッ、硬いッ!",
"506000611_20": " しかも――」",
"506000611_21": "「この速度ッ!\\n 速くて硬い、単純だけど厄介だッ」",
"506000611_22": "「キョウちゃんとヨウちゃんの力を、\\n そのまま受け継いでる……ッ」",
"506000611_23": "「「エイユウ えいユウ……。\\n いヤだ、たすケたい、なりタい、ナレない――」」",
"506000611_24": "「まだ英雄に囚われて……?",
"506000611_25": " ――ううん。……それも2人の本当の願いだったんだよね」",
"506000611_26": "「この星の人たちが積み重ねた、世界を救いたいって想い。",
"506000611_27": " それが間違ってるなんて、あるわけないッ!!」",
"506000611_28": "「「ヤメろ……シンフォぎあ、",
"506000611_29": " えいユウを、カタルな……カタルなァアアアアッ!!」」",
"506000611_30": "「――ッ! うッ、あああぁッ!",
"506000611_31": " 英雄を、目指したとしてもッ!」",
"506000611_32": "「英雄になることより、世界を護ることよりッ!\\n 人はもっと大切な望みがあったはずだよッ」",
"506000611_33": "「「やめロ――イラない……世界をマモるタめには……",
"506000611_34": " そんなモノ……ヤ\"めろぉおおお――ッ!!」」",
"506000611_35": "「やらせるかッ!",
"506000611_36": " ――行けええええッ!!」",
"506000611_37": "「――奏さんッ!」",
"506000611_38": "(……ダメだ、奏さんが繋いでくれた、2人への道ッ!\\n 振り返ったら、無駄にしちゃうッ",
"506000611_39": "(奏さんなら大丈夫だって……\\n 信じるんだッ",
"506000611_40": "「――ッ!!」",
"506000611_41": "「隣に立つ相手と、ずっと一緒にいたいッ!\\n そう叫んだことを、思い出してッ」",
"506000611_42": "「「オォォォォッ!」」",
"506000611_43": "「お願い、気づいてッ!\\n 今この瞬間も苦しんでいる、大切な人にッ」",
"506000611_44": "「近すぎたら、気づけないかもしれない……",
"506000611_45": " それでもッ!!」",
"506000611_46": "「2人の隣には、\\n 一番大切な人がいるでしょうッ」",
"506000611_47": "「「――――ッ!!」」",
"506000611_48": "「「あ、あアぁァぁッ……、\\n ……ヨ、ウ……きょウ……」」",
"506000611_49": "「――ッ!\\n キョウちゃん、ヨウちゃんッ」",
"506000611_50": "「「エイゆ、ウ……\\n アタシ、わた、シは――」」",
"506000611_51": "「「違う……チガウ……英雄、ナレナク、ても……ッ」」",
"506000611_52": "「「シンフォぎアを、\\n 傷つけナイ、やらせない――ッ」」",
"506000611_53": "(熱い……痛い、寒い……\\n …………苦しい……ッ",
"506000611_54": "(もうないはずのはらわたが、\\n 千切れるように痛む……ッ",
"506000611_55": "(頭の中も、身体の中も……\\n 全部裏返ってぐちゃぐちゃにされたみたいだ……ッ",
"506000611_56": "(これは、憎悪……悲しみ……心の、痛みだ……ッ!\\n 世界を救えなかった、いままでの戦士たちの嘆き……ッ",
"506000611_57": "(……それでも……ッ!!)",
"506000611_58": "(こいつらを、傷つけさせない――ッ!\\n 傷つけちゃいけないんだッ",
"506000611_59": "(共に戦いたいと……戦ってほしいと、\\n そう思った人たちだからッ)",
"506000611_60": "(お願い……ほんの一瞬でも、わたしたちの力だったのなら……\\n カヴァーチャ……ッ",
"506000611_61": "「「ア……\\n ヴ、アァアア\"ア\"ア\"アアアッ!!」」",
"506000611_62": "「――ッ!\\n また、攻撃が……ッ」",
"506000611_63": "「けど、カヴァーチャの動きが、\\n バラバラに崩れてるッ」",
"506000611_64": "「キョウちゃんとヨウちゃんの意識が、\\n カヴァーチャの中で抵抗してるんだ……ッ」",
"506000611_65": "「うん、伝わってくる。\\n 今も戦ってくれてるッ」",
"506000611_66": "「上等だッ! 本来のこいつらに声が届いたなら――\\n 後は表で暴れてるヤツを大人しくさせるだけだッ」",
"506000611_67": "「動きを止めて――」",
"506000611_68": "「2人に、手を伸ばすッ!\\n わたしたちがッ」",
"506000611_69": "「「おマエの、お前が殺したセカイ――許さない、ナい……",
"506000611_70": " シンフォギア\"ァ\"ァ\"ァッ!」」"
}

View file

@ -0,0 +1,53 @@
{
"506000612_0": "「止まれええぇぇッ!!!」",
"506000612_1": "「いつまで暴れてんだ、\\n 自分の意志を取り戻せッ」",
"506000612_2": "「「ソノ、歌がッ! セカイをホロぼすッ!\\n カミにみはなサレルッ」」",
"506000612_3": "「2人はやらせない――ッ!」",
"506000612_4": "「「が、アアアァッ!?」」",
"506000612_5": "「――ッ!?\\n 届いたッ」",
"506000612_6": "「今の、見たなッ!?」",
"506000612_7": "「はい、もしかしたら、\\n わたしのギアなら攻撃が通るかもしれませんッ」",
"506000612_8": "「そのギア、<ruby=シェンショウジン>神獣鏡</ruby>だったな。\\n 確か特性は――」",
"506000612_9": "「鏡であるが故の、\\n 『あるべきカタチ』を映し出す力ですッ」",
"506000612_10": "「……ああ、そうだろうね。あの2人の本当の姿は、\\n あんな英雄モドキじゃないってことか」",
"506000612_11": "「さすが未来だッ!\\n なら、わたしたちでカヴァーチャの動きを止めればッ」",
"506000612_12": "「うん、2人をあるべきカタチに……戻してみせるッ!」",
"506000612_13": "「上等だッ!」",
"506000612_14": "「同じギアだ、遠慮せずに唄わせてもらうよ、\\n その拳のガングニールで、ついて来てみせなッ」",
"506000612_15": "「はいッ!",
"506000612_16": " おおおおおおッ!!!」",
"506000612_17": "「話を聞くたびに、心が近づくたびに、\\n あなたたちが他人だとは思えなかった」",
"506000612_18": "「世界のためにと戦いながら、\\n 英雄なんだと奮い立ちながら――」",
"506000612_19": "「隣に立つたった1人のことを思い続けるあなたたちに、\\n どうしようもなく共感していたから」",
"506000612_20": "「「セカイヲほろボシタッ! \\n シンフォギアがあああああッ」」",
"506000612_21": "「ああ、これがシンフォギアさッ!\\n でもお前の知る、世界を壊したシンフォギアとは違うッ」",
"506000612_22": "「これがあたしのッ!」",
"506000612_23": "「わたしのッ!」",
"506000612_24": "「「ガングニールッ!!!」」",
"506000612_25": "「「ガアアアッ!?」」",
"506000612_26": "「だからわかるんだ。2人で1人だと口に出しても、\\n 本当につにはなりたくないって」",
"506000612_27": "「だって2人が1人になってしまったら、もう手を繋げないッ!\\n 大切な人の笑顔を、二度と見られないッ」",
"506000612_28": "「「ヤメロッ! いうナッ! ツナギたい、つなゲナイッ!\\n みタい、ミたイ、見たい……見れないのは……厭だッ」」",
"506000612_29": "「手を繋ぎたいなら、\\n 伸ばせばいいんだよッ」",
"506000612_30": "「笑顔が見たいなら、\\n 自分から笑ってやれッ」",
"506000612_31": "「「その手伝いならッ!\\n わたしたちは――いくらだって、できるッ」」",
"506000612_32": "「「ウあァァァァッ!!!」」",
"506000612_33": "「お願い、未来ッ!」",
"506000612_34": "「ぶちかませッッ!!!」",
"506000612_35": "「取り戻して、本当の想い、本当の姿ッ!\\n あるべきカタチ、人が……そう在りたいと願う<ruby=みらい>未来</ruby>をッ!」",
"506000612_36": "「「あ、あぁぁぁぁッ!!!」」",
"506000612_37": "「――カヴァーチャの姿がッ!」",
"506000612_38": "「2人に戻ってくれた……ッ!」",
"506000612_39": "「ヨ、ウ……\\n ああ、ようやく、見えた……ヨウの顔……」",
"506000612_40": "「キョウ……\\n ……なんて顔、してる、の……」",
"506000612_41": "「……ヨウ、だって……\\n ……エヘヘ……涙で……顔、ぐちゃぐちゃだよ……」",
"506000612_42": "「……やれやれ。\\n どうも無事みたいだな」",
"506000612_43": "「うん、でもどこかで休ませないと。",
"506000612_44": " 集落に連れて行けば、きっと……」",
"506000612_45": "「何、だよ……今の……」",
"506000612_46": "「あ……」",
"506000612_47": "「カイくんッ! よかったッ!\\n キョウちゃんとヨウちゃんが戻ってきたんだ、だから――」",
"506000612_48": "「唄いながら戦って、シンフォギアだと声を張り上げて――。\\n あんたたち……カヴァーチャの戦士じゃ、ないのか」",
"506000612_49": "「えッ……」",
"506000612_50": "「シンフォギア……なのか……ッ!?」"
}

View file

@ -0,0 +1,39 @@
{
"506000621_0": "「これは、その――」",
"506000621_1": "「……もう隠しても仕方ない。",
"506000621_2": " そうだよ、あたしたちが、シンフォギア装者ってやつだ」",
"506000621_3": "「…………ごめんね、嘘をついて。\\n 人を助けるために、力を借りたくて」",
"506000621_4": "「……カ、イ……」",
"506000621_5": "「――ッ!」",
"506000621_6": "「キョウさん、ヨウさん……。\\n さっきの化け物が、人を捕まえてたの……」",
"506000621_7": "「……うん、そう思ってくれていいよ。\\n だから戦って、取り返したんだ」",
"506000621_8": "「だ――だまれッ!!\\n シンフォギアには聞いてないッ」",
"506000621_9": "「シンフォギアが、キョウさんとヨウさんを、\\n カヴァーチャの戦士を助けた……」",
"506000621_10": "「わからないッ! なんでだよ、どうしてッ!\\n シンフォギアは、この世界の敵なのにッ」",
"506000621_11": "「カイくん……」",
"506000621_12": "「……返せよッ! 2人を離せッ!」",
"506000621_13": "「ッ……ぁぁ……」",
"506000621_14": "「やめ、て……」",
"506000621_15": "「キョウさん、ヨウさんッ!?",
"506000621_16": " 酷い怪我だ……そんなになるまで……」",
"506000621_17": "「――くそッ! 2人はずっと世界のために戦ってきたんだッ!\\n これからだってそうだッ なのに、お前らがッ」",
"506000621_18": "「ち、がう……」",
"506000621_19": "「カイ……やめ……」",
"506000621_20": "「――見放された世界のために。\\n 今までも、これからも、か」",
"506000621_21": "「そうだッ!\\n だってキョウさんとヨウさんは、英雄なんだッ」",
"506000621_22": "「見放された世界のために、\\n 戦ってくれる人なんだッ」",
"506000621_23": "「……なら、\\n 人は、もうこの世界にいるべきじゃない」",
"506000621_24": "「なッ……なんでッ……!」",
"506000621_25": "「この世界はこいつらに『英雄』を強要する。\\n 本当の願いを塗りつぶして、目的を押し付ける」",
"506000621_26": "「違う、オレたち戦士候補は、\\n 英雄になりたいって、自分で決めたんだッ」",
"506000621_27": "「キョウさんもヨウさんも、\\n そうやって英雄になったッ」",
"506000621_28": "「人の望みは1つじゃない。\\n 相反する想いを抱えて、壊れそうになることだってある」",
"506000621_29": "「……それを受け止めるには、\\n この世界は乾きすぎたのかな」",
"506000621_30": "「最大の目的――2人を助けることには成功した。\\n 一旦退くぞッ」",
"506000621_31": "「……はい。",
"506000621_32": " ギアのエネルギーが尽きない内にッ!!」",
"506000621_33": "「あ――やめろよッ!\\n 連れて行かないでくれッ」",
"506000621_34": "「……ごめん、カイくんッ!!」",
"506000621_35": "「帰ろう、わたしたちの世界に。\\n 人を連れてッ」",
"506000621_36": "「そうして、道を探すんだ……ッ!\\n 人の望みだって、全部、掴み取るために……ッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,101 @@
{
"506000711_0": "命を燃やす歌",
"506000711_1": "「――くッ、走るたびに、呼吸するたびに喉が焼ける……ッ!\\n どっちに行けば……ッ」",
"506000711_2": "「この世界に降りてきた場所は、\\n あっちの方向だと思う」",
"506000711_3": "「集落の近くは通らない方がいい。\\n 遠回りで行くよ」",
"506000711_4": "「ふう……。\\n カイくん、追いかけては来ないみたい」",
"506000711_5": "「集落から追手が来ているとしても、\\n 距離は取れたかな」",
"506000711_6": "「う……」",
"506000711_7": "「そろそろ、少しでも休まないと。\\n キョウさんたちに無理をさせちゃったから」",
"506000711_8": "「……。\\n なぜ……なんです……」",
"506000711_9": "「おっと、喋って平気かい?」",
"506000711_10": "「大丈夫、だ……もう、自分の足で立てる。\\n そんなことより……」",
"506000711_11": "「どうして、……こんな、見放された世界まで来て……\\n 宇宙すら超えて……ッ」",
"506000711_12": "「挙げ句に、目的は果たしたから元の世界に帰る?\\n ……わたしたちを探しに来たとでもいうんですか」",
"506000711_13": "「そうだよ。\\n キョウちゃんとヨウちゃんを助けに来たんだ」",
"506000711_14": "「なぜですッ!\\n わたしたちは最後には敵へと戻ったはずッ」",
"506000711_15": "「そんなことないよ。\\n だって最後に、助けてって言ってくれたから」",
"506000711_16": "「――そんなことは、言っていません」",
"506000711_17": "「そうかな?",
"506000711_18": " ……うん、そうだったかも」",
"506000711_19": "「でも、受け入れてくれた。\\n 協力して、世界を救う方法を一緒に探そうって」",
"506000711_20": "「わたしたちから奪う、戦うしかないって言っていた2人が、\\n 伸ばした手をつかもうとしてくれた」",
"506000711_21": "「――ッ!!」",
"506000711_22": "「だからかな、聞こえた気がするんだ。\\n 『助けて』――って」",
"506000711_23": "「呼んでくれた気がするんだ、この場所へ」",
"506000711_24": "「だから会えた。\\n こうやって、また話すことができた」",
"506000711_25": "「あんな辛そうな姿じゃない。\\n また笑い合う人が見られて、本当に嬉しいッ」",
"506000711_26": "「たったそれだけの理由で、\\n こんな死地へと……なんて、馬鹿な――」",
"506000711_27": "「……でも、……\\n …………でも……ッ」",
"506000711_28": "「うん。\\n ……ゆっくりでいいんだよ、ちゃんと聞いてるから」",
"506000711_29": "「…………」",
"506000711_30": "「……ずっと……ずっと、助けてだなんて言えなかった。\\n この使命から逃げたいと……口に出すことは許されなかった」",
"506000711_31": "「あたしたちはこの世界の英雄。\\n 世界そのものを背負って、泣き言なんて、吐けるはずがない……」",
"506000711_32": "「あたしたちは、ぬるい……とんだ甘ちゃんだ。\\n ……それでもッ」",
"506000711_33": "「この世界も、そこで生きる人々も大切なんだ。\\n 本当に……本当に、護りたかったんだ……ッ」",
"506000711_34": "「だけど――それと同じぐらいに、\\n それ以上に、わたしたちは――」",
"506000711_35": "「――ッ、う、」",
"506000711_36": "「うあぁぁあああん……ッ!」",
"506000711_37": "「……すまなかった。\\n 情けないところを見せたな……」",
"506000711_38": "「本当に、涙を見せるなんて、\\n まるで子供のようです……」",
"506000711_39": "「2人の本当の想いだもの。\\n 恥ずかしくなんてないよ」",
"506000711_40": "「うん。友達の前で泣くことを、\\n 情けないなんて思わない」",
"506000711_41": "「とも……ッ!?",
"506000711_42": " ……いつ、あたしたちとおまえが友達になったんだ」",
"506000711_43": "「ええッ!?\\n わたしはとっくに、友達だと思ってたよッ」",
"506000711_44": "「こいつの手を握って本音を出したんだ。\\n もう諦めたほうが話が早いよ」",
"506000711_45": "「……あなたは、本当に人のパーソナルスペースに\\n 土足で上がるのがお得意ですね」",
"506000711_46": "「…………ええ、ええ。知ってはいましたよ、もちろん。\\n けど、これも、観測するのと体験するのでは、全く違うとは……」",
"506000711_47": "「それで、どうやってこの世界に?\\n 見放された世界への移動はギャラルホルンにも不可能だ」",
"506000711_48": "「うん。むしろ、ギャラルホルンはあの後動かなくなって……\\n 少しだけ、こっちであったことを話すね」",
"506000711_49": "「あなた方の星から星命力がこちらの世界に吸い込まれている。\\n アーティファクトホールという宇宙の穴から……」",
"506000711_50": "「だからシンフォギアの護りを頼りに宇宙の穴を突破して、\\n 見放された世界まで……」",
"506000711_51": "「…………はぁ。\\n いっそ、清々しいほどの馬鹿だな」",
"506000711_52": "「えええッ!?」",
"506000711_53": "「本当に……あなたたちの世界の善人は、\\n リスクヘッジのできない大馬鹿者ばかり……」",
"506000711_54": "「……」",
"506000711_55": "「……〜〜ッ、違います、わかってるんです。\\n わたしは、こんなことを言いたいんじゃない……」",
"506000711_56": "「……そのリスクを冒してまで、手を伸ばしてくれた。\\n <size=25>……ありがとう、ございます……</size>」",
"506000711_57": "「ああ……その無理無茶無謀に助けられたんだ、\\n 感謝しておくよ」",
"506000711_58": "「だが、真の目的は星命力の流出を止めること。\\n その助力としてあたしたちを助け出した。理由はわかったよ」",
"506000711_59": "「ううん、2人を助けるのが一番の目的だよ。",
"506000711_60": " ……少なくとも、わたしはねッ!」",
"506000711_61": "「こちらの世界に行く方法を探していて、 \\n 星命力が流出していることに気づいたんです」",
"506000711_62": "「あたしが最初に聞いたのも、\\n 人を助けたいって話だったね」",
"506000711_63": "「……やっぱり、馬鹿みたいにお人好しだ。\\n 世界が恵まれてるから、なんて理由じゃ説明がつかない」",
"506000711_64": "「本当に。……だからこそ、\\n それこそがあなたたちの本質なのでしょう」",
"506000711_65": "「確かに星命力が流れ込んでる状態は止めたい。\\n わたしたちの世界を護りたいと思う」",
"506000711_66": "「でもそれと同じぐらい、\\n わたしたちの宇宙にも、この世界にも死んで欲しくないんだ」",
"506000711_67": "「キョウちゃん、ヨウちゃん……\\n あの集落で出会ったカイくんたちも」",
"506000711_68": "「この世界で精一杯に生きている人たちにも、\\n 終わって欲しくなんてない」 ",
"506000711_69": "「だから手伝って欲しいんだ。\\n 両方の世界を……全部まとめて、<ruby=たす>救</ruby>けるためにッ!!」",
"506000711_70": "「……都合のいい言葉だよ。\\n 全部、だなんて」",
"506000711_71": "「……そうですよ。\\n 夢物語にすぎません」",
"506000711_72": "「――だというのに」",
"506000711_73": "「もしかしたら。どうにかできるかもしれないと信じられる、\\n いいえ、信じたくなる力がありますね」",
"506000711_74": "「ファム・ファタール……」",
"506000711_75": "「そういえば……そのファム・ファタールって、どういう意味なの?\\n いつもそう呼ぶね」",
"506000711_76": "「今更ですかッ!?",
"506000711_77": " 本当に、自分のことを最後にする人」",
"506000711_78": "「ファム・ファタール。\\n ……『運命の人』、という意味です」",
"506000711_79": "「う、運命の人ぉッ!?\\n わわわ、わたし、そんなトキメキ溢れる人じゃあ……ッ」",
"506000711_80": "「バカ。あたしたちとしても、\\n そんなロマンチックな意味では言ってない……」",
"506000711_81": "「……この世界……いいや、アヌンナキの宇宙には、\\n どの星でも変わらず、決まった動きをするものがある」",
"506000711_82": "「ギャラルホルンを始めとする、\\n 真の世界に近しい歴史を辿った並行世界群――」",
"506000711_83": "「そこで常に重要な役割を果たす存在。\\n それがあなたです、ファム・ファタール……いえ、」",
"506000711_84": "「……響」",
"506000711_85": "「――ッ!!」",
"506000711_86": "「ええー……?\\n エヘヘー……本当かなー……」",
"506000711_87": "「……コホン。\\n 本人には自覚がないものなんでしょう、運命というものは」",
"506000711_88": "「うーん。でも、並行世界のわたしに会ったことって、\\n あんまり多くはないよね……」",
"506000711_89": "「うん、そうかも。\\n ちょっとだけ、いろんな響に会ってみたいのに」",
"506000711_90": "「わたしは色んな未来に会ってみたいよ。\\n できれば幸せになってる未来に」",
"506000711_91": "「なら、ここにいるわたしでいいよね?」",
"506000711_92": "「類まれな存在だからこそ、\\n なのかもしれません」",
"506000711_93": "「きっとあなたが生きていることで、様々な運命が動き出す。\\n あなたがいないことで途切れてしまった運命があるのだと――」",
"506000711_94": "「キョウ、話はそこまでだ。\\n 見つかったよ」",
"506000711_95": "「ノイズか……休ませてもくれないとはね」",
"506000711_96": "「いや、こいつは……\\n イズじゃないほうだ」",
"506000711_97": "「ええ、ノイズを模して産み出された<ruby=アーティファクト>人工聖遺物</ruby>です。\\n 恐らくは、カヴァーチャからの追手」",
"506000711_98": "「なるほど、養殖物か。\\n なら、この場で対処すれば終わりだッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,101 @@
{
"506000721_0": "「はああッ!\\n キョウ、後はッ」",
"506000721_1": "「任せてッ!」",
"506000721_2": "「はあ、はあ……、\\n 大幅に力が落ちてる……か」",
"506000721_3": "「ヨウ、身体は……?」",
"506000721_4": "「今は、まだ動く。\\n それで十分だよ」",
"506000721_5": "「――さて、いつまでも逃げ回るわけにはいかない。\\n そっちの世界に帰る方法は」",
"506000721_6": "「コネクトギアに蓄積した、デュプリケイターのエネルギー。\\n これを使って空間と空間を繋ぐつもりです」",
"506000721_7": "「ま、力任せにドアをこじ開けようって考えだな」",
"506000721_8": "「けど、出発したときよりも力を感じない……」",
"506000721_9": "「カヴァーチャとの戦いで、\\n かなりギリギリになってるんだと思う」",
"506000721_10": "「けど、最初に来た場所からなら、帰還ルートが観測できてる。\\n きっとまだ足りるはずだよ」",
"506000721_11": "「……その予測は、そちらの世界からこちらの世界へ、\\n 移動した時の消費量を前提にしているのか」",
"506000721_12": "「うん。",
"506000721_13": " ……もしかして、何か問題が?」",
"506000721_14": "「大有りだ。覚えてるだろう?\\n エネルギーは高いところから低いところに流れるんだ」",
"506000721_15": "「おまえたちの言うアーティファクトホール……おそらく\\n カヴァーチャは、それを利用してエネルギーをこちらに引き込んだ」",
"506000721_16": "「その法則は物体が移動する時も変わらない。",
"506000721_17": " 阻む力があったとすれば、それはこの世界からの拒絶……」",
"506000721_18": "「……」",
"506000721_19": "「……とにかく、あちらからこちらへは、下るが故に少ない力で済むが、\\n こちらからあちらへは、上るために大きな力が必要だ」",
"506000721_20": "「カヴァーチャの妨害を抜けた後の、引き込まれるような感覚。\\n あれはエネルギーの流れに乗ったからか……」",
"506000721_21": "「じゃあ戻るには、\\n 来た時と同じエネルギーじゃ足りないってことッ」",
"506000721_22": "「ギリギリのエネルギーでは、かなりの不足が出るはずだ。",
"506000721_23": " 無理に押し通ることは可能かもしれないが……」",
"506000721_24": "「この宇宙で無理を通そうとするなら必ず『代償』を支払います。\\n その重みは、軽く考えるべきではないかと」",
"506000721_25": "「そんな……どうしよう……」",
"506000721_26": "「デュプリケイターに並ぶエネルギーなんて、\\n 簡単には調達できないね……」",
"506000721_27": "「この世界の資源は何かを消費しなければ得られないはず。\\n わたしたちが帰るために犠牲を出すなんて……」",
"506000721_28": "「――消費できる物なら、\\n ここにある」",
"506000721_29": "「ええ。\\n あなたたちに助けられた、この命が」",
"506000721_30": "「残されたこの身に代えても、\\n あなたたちを、あなたたちの宇宙へと返してみせる」",
"506000721_31": "「それがせめてもの贖罪です」",
"506000721_32": "「――ッ!\\n そんなのは――」",
"506000721_33": "「<size=40>わかってないッ!!!</size>」",
"506000721_34": "「み、未来……?」\\n「…………」",
"506000721_35": "「……え?」",
"506000721_36": "「……2人とも、わかってない」",
"506000721_37": "「なんにもわかってないよッ!\\n そんなのは贖罪じゃないッ」",
"506000721_38": "「あなたたちの願いを叶えたくて、\\n 幸せになって欲しくて、ここまできたのッ」",
"506000721_39": "「あなたたちを助けたいと思った人たちの気持ちが、\\n 全然わかってないッ」",
"506000721_40": "「……ッそ、それは……\\n その……」",
"506000721_41": "「……けど、あたしたちにできることは……」",
"506000721_42": "「2人を放って置けない理由、よくわかった……\\n わたしと似てるから、ってだけじゃない」",
"506000721_43": "「ありもしない罪を背負って、償わなきゃって追い詰められて、\\n 自分を犠牲にするのが正しいんだって思い込むッ」",
"506000721_44": "「昔の響にそっくりなんだッ!」",
"506000721_45": "「未来……」",
"506000721_46": "「わたしたちの、幸せ……」",
"506000721_47": "「なら、この贖罪を受け入れてくれることだって……\\n 終わってしまった命でおまえたちを救えるのなら、満足だよ」",
"506000721_48": "「違う。\\n 違うよッ」",
"506000721_49": "「そんなことじゃない、本当の想いがあるから、\\n わたしたちと手を取ったんでしょうッ」",
"506000721_50": "「それは……でも、叶えてもらいました。\\n 最期に……わたしが終わってしまう前に、ヨウと手を繋げた」",
"506000721_51": "「キョウの笑顔を見られた。\\n だから、ここで終わっていいんだ」",
"506000721_52": "「……で、次の英雄ってやつに\\n その運命を押し付けていくのか」",
"506000721_53": "「――え?」",
"506000721_54": "「まだお前たちは見つけてないんだろ。\\n 世界を救う道筋も、隣の相棒を護る方法も」",
"506000721_55": "「何の答えも得られないまま\\n 世界を護るという命題ごと、次の誰かに押し付けるのか」",
"506000721_56": "「でもカヴァーチャに否定された今、\\n わたしたちには何も残ってなんて――」",
"506000721_57": "「……わたしは戦う時は、いつも命を失う覚悟をしてる。\\n でも決して死にたくなんてない」",
"506000721_58": "「死ぬのが怖くて、それでも戦えるのは、\\n 未来を、自分の周りの大切な人を護りたいから」",
"506000721_59": "「……」",
"506000721_60": "「みんなが大切だから、\\n 知らない誰かのためにだって戦えるんだ」",
"506000721_61": "「……」",
"506000721_62": "「……ホントはね、混ざっちゃうこともある。\\n 戦っている最中、バカみたいに必死で」",
"506000721_63": "「誰のためにとか、自分のためにとか、考える余裕なんてなくて。",
"506000721_64": " だからわたしは、これだけ握りしめてることにしてるんだ」",
"506000721_65": "「目の前の大切な誰かに、手を伸ばしたい。\\n 届くのなら握って、抱きしめて……伝えたいんだ」",
"506000721_66": "「わたしたちは……生きている人たちはみんな、」",
"506000721_67": "「みんな……自分のわがままを叶えるために、\\n 生きてていいんだって」",
"506000721_68": "「……。\\n …………わがまま……」",
"506000721_69": "「……うん。わがままだよ。\\n わたしだって、わかってる」",
"506000721_70": "「けど――どうしたって、捨てられない想いが……\\n 貫きたい、胸の歌がある」",
"506000721_71": "「キョウちゃんも、ヨウちゃんも……\\n そうだったんじゃない」",
"506000721_72": "「…………わたし、たちは……」",
"506000721_73": "「2人も世界を救うために戦ってた。",
"506000721_74": " たまに、こっそり歌も唄って」",
"506000721_75": "「――ッ!」",
"506000721_76": "「歌を禁じられた世界でも……唄うことで、戦うことで……\\n みんなに幸せになって欲しいって、願ってたんでしょ」",
"506000721_77": "「わたしたちの世界と戦う前から、\\n そうやって生きてたって、教えてもらったよ」",
"506000721_78": "「うん、その想いは、絶対に嘘じゃない。本当のあなたたちの想い。\\n カヴァーチャに押し付けられた願いなんかじゃないはずだよ」",
"506000721_79": "「……まだ終わってない。\\n 人の願いは、叶えられるはずなんだ」",
"506000721_80": "「わたしたちの願い――。\\n 世界を護りたいという想い……」",
"506000721_81": "「ほんの微かでも、唄ったのは……\\n 口笛なんてものにしてまで、縋ったのは……」",
"506000721_82": "「……ああ、そうだ。覚えてる……\\n あのときわたしは確かに、世界が動いた気がしたんだ――」",
"506000721_83": "「そうだ……誰かに届いた気がした。投げやりな気持ちなんかじゃない。\\n みんなを助けたい。心からそう願って、あそこに立ったんだ」",
"506000721_84": "「けど、それには捨てなきゃいけないものだってあって……」",
"506000721_85": "「ヨウと生きたいって願いは、本当の本当に、本当です。\\n けど……だからって、英雄としての願いは、嘘にならない……」",
"506000721_86": "「うん。\\n 絶対にッ」",
"506000721_87": "「そうか……\\n そう、ですね……」",
"506000721_88": "「……英雄として生きる道が絶たれて、楽な道を選ぼうとしてた。\\n 終わってしまいたいと逃げてたのかも……」",
"506000721_89": "「死は甘え、か。\\n 優しくないな。この世界は」",
"506000721_90": "「……この世界だけじゃない。\\n どの世界だって、どの宇宙だって、きっと同じだよ」",
"506000721_91": "「……そうですね。\\n それが……きっと、世界というものなのでしょう」",
"506000721_92": "「それなら……\\n あたしたちができることは……」",
"506000721_93": "「――ああ、そうさ。そうだった。\\n 笑ってしまうくらいの危険はあるが、方法は……あるッ」",
"506000721_94": "「そうこないとなッ!」",
"506000721_95": "「聞かせてくれ、その方法ってやつを」",
"506000721_96": "「――カヴァーチャを使うんだ」",
"506000721_97": "「もう一度――",
"506000721_98": " ううん、今度こそ、世界を護るために」"
}

View file

@ -0,0 +1,49 @@
{
"506000731_0": "「カヴァーチャを使うッ!?」",
"506000731_1": "「お前らを呑み込んだあの兵装を、か?",
"506000731_2": " どうする気だい?」",
"506000731_3": "「あなたたちも察していることでしょう、\\n カヴァーチャとは何なのか」",
"506000731_4": "「それはこの身に纏う戦装束であり\\n わたしたちを英雄とし、戦う力を与えた存在」",
"506000731_5": "「あたしたちを監視し \\n 世界を護らせんとしていた意志……」",
"506000731_6": "「世界の意志……\\n カイくんも、そう言っていた」",
"506000731_7": "「ええ、意志なのです。",
"506000731_8": " この星で唯一、……星の終わりまでは、永久に残るもの」",
"506000731_9": "「この世界を護ろうとした数多の人々、\\n その想いが蓄積し、依代を介して形を成した」",
"506000731_10": "「人の想いの集合体、この星の歴史そのもの。\\n それがカヴァーチャなのです」",
"506000731_11": "「世界を救おうとした過去の人間の想いが、\\n 今の人間に無理やり世界を救わせようとしてる、ってのか」",
"506000731_12": "「無理やりというわけじゃない。\\n あたしたちは望んで英雄になったんだ」",
"506000731_13": "「カヴァーチャの意志に沿わなければ、\\n 塗り替えられる程度の望みでしたが」",
"506000731_14": "「それを無理やりって呼ぶんだよ、\\n あたしたちの宇宙ではね」",
"506000731_15": "「ともかく、そのエネルギーは強大です。\\n あなたたちの世界へ移動したのもカヴァーチャの力ですから」",
"506000731_16": "「世界に根ざし、他の世界へと手を伸ばそうとする想いだから\\n 他の世界へと繋げることもできる……」",
"506000731_17": "「理屈はいいさ。\\n この場でその力を引き出すのは不可能なんだな」",
"506000731_18": "「ええ。作戦の途中、わたしたちは戦うことを、\\n 誰かを傷つけることを拒んでしまった」",
"506000731_19": "「あたしたちはもう、\\n 世界を救う英雄たり得ぬと断じられたんだ」",
"506000731_20": "「あたしたち自身の力……最低限の戦う力は残ってる。\\n だが他の力はカヴァーチャに取り返された」",
"506000731_21": "「それはこの星を護る、次の英雄を探すため。\\n 次の適合者を見つけ出すためだ」",
"506000731_22": "「つまり向こうの世界に渡るのに十分な力が、\\n カヴァーチャ・システムの本体に戻ってるはずなんだ」",
"506000731_23": "「カヴァーチャの本体……",
"506000731_24": " 意思……想いの累積に、カタチがあるの?」",
"506000731_25": "「フフ……ッ。\\n あなたがそれを言うんですか、響」",
"506000731_26": "「あ……」",
"506000731_27": "「フ……」",
"506000731_28": "「ともかく、次の英雄が選ばれる前にシステムの根幹に向かい、\\n 蓄積されたエネルギーを奪い取る」",
"506000731_29": "「それでお前たちの世界へのゲートを開ける」",
"506000731_30": "「ついでに 英雄という呪いを他の誰かに押し付ける前に、\\n その力を削いでおきたいところです」",
"506000731_31": "「そうだな。",
"506000731_32": " こんな想いを次の誰かに味わわせたりはしないッ!」",
"506000731_33": "「……いい覚悟だな。\\n お前たちが英雄って呼ばれたの、あたしも納得できたよ」",
"506000731_34": "「今となっては、ふさわしいのかわからない呼び名だよ。\\n 英雄であることを拒んだのもまた、あたしたちだから」",
"506000731_35": "「でも、今だけは。\\n 英雄の力が必要です」",
"506000731_36": "「作戦は決まったね。",
"506000731_37": " カヴァーチャの中心に向かって、力をもらっていくッ!」",
"506000731_38": "「おっと、もう次が出たか」",
"506000731_39": "「カヴァーチャの元へ向かえば、\\n 今まで以上の妨害に合うことでしょうね」",
"506000731_40": "「じゃあ、どうするの?\\n わたしたちの選ぶ道は――」",
"506000731_41": "「そんなのは、決まっているだろう?」",
"506000731_42": "「最速で、最短で、まっすぐに……",
"506000731_43": " さて……、なんでしたっけ?」",
"506000731_44": "「――ッ!」",
"506000731_45": "「一直線にッ!!\\n 行こう、みんなッ」",
"506000731_46": "「ああ……蹴散らすのみだッ!!」"
}

View file

@ -0,0 +1,16 @@
{
"506000732_0": "「あっちこっちから出てくるねッ!\\n 全部<ruby=アーティファクト>人工聖遺物</ruby>かッ!?」",
"506000732_1": "「あたしたちがカヴァーチャの手を逃れたことに気づいてる。\\n システムに近づかせないつもりだッ」",
"506000732_2": "「無駄な抵抗を。\\n もうシステムの中枢は、すぐそこですッ」",
"506000732_3": "「この塔は……\\n テスラさんのッ」",
"506000732_4": "「……ええ。\\n あなたたちの宇宙から借用したデザインです」",
"506000732_5": "「全て、見てきましたから」",
"506000732_6": "「そっちの宇宙は……あたしたちにとって切望、羨望の対象であり、\\n 恨みの対象でもあり、そして知識の源でもあった」",
"506000732_7": "「カヴァーチャという人類の叡智の結晶を、\\n この塔に置いたのは、そういうことです」",
"506000732_8": "「わたしたちのことを……\\n 本当に、ずっと見ていたんだね」",
"506000732_9": "「全てを観測し、貪欲に取り込まなければ生きられなかった。\\n そうでなければお前たちには勝てないと思っていた」",
"506000732_10": "「――不要だと思っていた『想い』にこそ、\\n 抗うことができなかったが」",
"506000732_11": "「それはそうだよ。\\n 想いこそが、人の生きる根底にあるんだと、そう感じるから……」",
"506000732_12": "「……そのことを、みんなに伝えたかったな。\\n あたしが英雄でいられた間に」",
"506000732_13": "「――さあ、進むぞッ!\\n もう後戻りなどするものかッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,7 @@
{
"506000741_0": "「こっちですッ!\\n カヴァーチャ・システムの本体は最上階にッ」",
"506000741_1": "「主だった戦士候補は、そちらの世界に派遣された。\\n おかげでこちらはかなり手薄になってる」",
"506000741_2": "「なら、後は上まで走るだけ――\\n ってワケにはいかなそうだッ」",
"506000741_3": "「<ruby=アーティファクト>人工聖遺物</ruby>ッ!」",
"506000741_4": "「足は止めないッ!\\n このまま突き抜けるッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,104 @@
{
"506000742_0": "「ここが最上階だ。\\n カヴァーチャ・システムの依代はここにある」",
"506000742_1": "「これは……ギャラルホルンッ!?」",
"506000742_2": "「似ているのはガワだけだ。\\n お前たちの知る『ギャラルホルン』ではないさ」",
"506000742_3": "「ですがその依代となったものは、\\n もしかしたら、似通った存在だったのかもしれませんね」",
"506000742_4": "「ともすれば……<ruby=アーティファクト>人工聖遺物</ruby>ノイズと同じように、\\n 皮肉を込めて模し、造られたものなのかも」",
"506000742_5": "「さあ、その力、再び借り受けますよ……\\n カヴァーチャッ」",
"506000742_6": "「お前があたしたちを英雄に選んだんだ、\\n 文句は言わせないッ」",
"506000742_7": "――",
"506000742_8": "――『見放された世界』にて、",
"506000742_9": "元英雄的存在、『キョウ』『ヨウ』の明確な叛逆を確認。",
"506000742_10": "これより、粛清を行う――",
"506000742_11": "「ヨウ――<ruby=世界の意思>カヴァーチャ・システム</ruby>に選ばれた戦士。\\n あなたが本物の英雄となる時が来ました」",
"506000742_12": "「……はい。光栄です。\\n 見放された世界のため、最強の英雄になってみせます」",
"506000742_13": "「よろしい。\\n さあ、カヴァーチャの祝福を」",
"506000742_14": "(あたしが英雄、か。\\n ずっと目指していた場所に、やっとたどり着いた",
"506000742_15": "(これで世界を護れる。キョウを護れるんだ。\\n ――でも",
"506000742_16": "(あたしは何を代償にして、\\n 何が残るのかな",
"506000742_17": "(キョウを抱きしめる腕は、キョウを見つめる瞳は……\\n ……護りたいって想いは、残るのかな",
"506000742_18": "(何が残ったら、\\n あたしが残ったって言えるのかな",
"506000742_19": "(もし、全部がなくなったとしても……そのあたしは、\\n それでも世界を、キョウを護ってくれる",
"506000742_20": "(そうならなかったら――\\n ああ、……厭だな……",
"506000742_21": "「――ッ!?\\n この反応は――ッ」",
"506000742_22": "「え……?」",
"506000742_23": "「カヴァーチャよ……この少女の意志は、\\n 英雄に足りなかったというのですか……」",
"506000742_24": "「――ッ!?",
"506000742_25": " ひ、光が、押し寄せて……うわああああッ!!」",
"506000742_26": "(カヴァーチャが暴走――?\\n ……違う、これは強制措置だ",
"506000742_27": "(英雄として立つことに迷い、決意を示せなかったあたしを、\\n 正しき英雄へ導く光",
"506000742_28": "(ああ……なくなっていく……\\n あたしが、……消えていく……",
"506000742_29": "(あたしの全てが 英雄に、\\n 世界を護る者に書き換えられる",
"506000742_30": "(世界のために、他の世界を食い殺せ……\\n 恨み、呪い、全てを、あたしたちの世界のために――",
"506000742_31": "(……これが、カヴァーチャの望む英雄。\\n あたしではない、もの――",
"506000742_32": "「――ヨウッ!!」",
"506000742_33": "「――ッ!?」",
"506000742_34": "「キョ、ウ……どうして……?」",
"506000742_35": "「消えさせない。\\n 人でなんて、いかせない」",
"506000742_36": "「だからね……\\n 走ってきたのッ」",
"506000742_37": "「――ッ!!",
"506000742_38": " ダメだ、手を離して……ッ!」",
"506000742_39": "「このままじゃ、あたしだけじゃない……\\n キョウが消えちゃうッ」",
"506000742_40": "「消えないッ!!\\n 絶対にッ ヨウを独りになんてさせないッ」",
"506000742_41": "「…………ッ!!」",
"506000742_42": "「ヨウ1人じゃ英雄に足りなくても、\\n 人なら、きっと受け止められる」",
"506000742_43": "「だから……一緒に英雄になろう。\\n ――人で人の英雄に」",
"506000742_44": "(そして、わたしは両腕を――)",
"506000742_45": "(あたしは下半身と、\\n <ruby=はら>肚</ruby>の中身を失った……)",
"506000742_46": "(受け取りきれないはずの力を受け止めきった。\\n だからあたしたちは、最強の英雄になったはずだった",
"506000742_47": "(でも現実は、\\n 資格もないのに割り込んだ<ruby=わたし>異物</ruby>",
"506000742_48": "(……そう。\\n わたしには、カヴァーチャと適合する資格なんてなかった",
"506000742_49": "(そしてあたしは、1人では英雄になれなかった、\\n 元から足りてなどいない、出来損ない",
"506000742_50": "(そんな2人が英雄に足らずと判じられたのは、\\n 当たり前のことで――",
"506000742_51": "「あ――……」",
"506000742_52": "「<size=40>ああ、ああああああッ!</size>」",
"506000742_53": "「わたしたちは、世界を救うに足りない……」",
"506000742_54": "「その意志すらも中途半端な……\\n なり損ない……ッ」",
"506000742_55": "「どうした、何が見えてるッ!?\\n しっかりしろッ」",
"506000742_56": "「カヴァーチャ・システムが光ってる……ッ!\\n 人に何か……すごく嫌なものを見せてるんだッ」",
"506000742_57": "「カヴァーチャの呪いに負けないでッ!」",
"506000742_58": "「お互いを思う気持ちを、思い出して――ッ!\\n そうしたらもう……人は誰にだって、負けないからッ」",
"506000742_59": "「この圧力ッ!\\n つの歴史が生み出すプレッシャーかッ」",
"506000742_60": "「…………ッ!!」",
"506000742_61": "「キョウちゃんッ!!」",
"506000742_62": "「ヨウちゃんッ!!」",
"506000742_63": "「………ッ!!」",
"506000742_64": "(感じる……かつての痛みに、\\n 後悔に灼かれそうな今も……ッ",
"506000742_65": "(わたしたちを、それでも助けようと手を伸ばしてくれる、\\n この人たちの手のひらの温かさを、背中に……ッ",
"506000742_66": "「そうだ……わたしたちは、\\n わたしたちだけで戦ってなんて、いない……ッ」",
"506000742_67": "「――ああ……ッ!\\n こんなにも、支えられている……」",
"506000742_68": "「ならばッ!\\n わたしたちは――」",
"506000742_69": "「立ち続けてみせるッ!!\\n 今度こそッ」",
"506000742_70": "「――ッ!\\n カヴァーチャの力を……弾いたッ」",
"506000742_71": "「……あたしが英雄にふさわしくないことなど、\\n わかっていたことだ」",
"506000742_72": "「わたしは英雄に選ばれなかった、\\n 不適格者ですから」",
"506000742_73": "「それでも諦めなかった。\\n 立ち上がらずにはいられなかった」",
"506000742_74": "「だからこそ……誰に何と決められたって、\\n 何度でも叫んでみせましょう」",
"506000742_75": "「命と苦難あふれる世界で、\\n 誰よりも<ruby=みらい>未来</ruby>を信じた彼女たちのようにッ!」",
"506000742_76": "「「だと、しても――ッ!!!」」",
"506000742_77": "「届いた……2人の手が……ッ!!」",
"506000742_78": "「…………」",
"506000742_79": "「――ええ、\\n 力の一部は奪い取ってみせました」",
"506000742_80": "「さすがは世界の意思だ、全部ってわけにはいかなかった。",
"506000742_81": " でもあっちの世界へゲートを開くには十分だ」",
"506000742_82": "「上だッ!\\n カヴァーチャ・システムが狙われてるッ」",
"506000742_83": "「シンフォギアを潰せッ!\\n これ以上、星の終わりへ近づかせるなッ」",
"506000742_84": "「――ッ!\\n 追手ッ」",
"506000742_85": "「<ruby=アーティファクト>人工聖遺物</ruby>だけじゃない、\\n この世界の人も追いかけてきたッ」",
"506000742_86": "「なら、ぶっ飛ばすってわけにもいかないッ!\\n どうするッ」",
"506000742_87": "「大丈夫です。\\n 今この場でゲートを開きます」",
"506000742_88": "「でも、あたしたちだけじゃ足りないかもしれない。\\n だからこの力……扱うのを手伝ってくれ」",
"506000742_89": "「<ruby=アーティファクト>人工聖遺物</ruby>も何とかしてみせた、\\n おまえたちに共通する……その気合い……胸の歌ってやつでさ」",
"506000742_90": "「簡単に言うんだから。",
"506000742_91": " でも――」",
"506000742_92": "「まかせてッ!\\n 絶対に、繋いでみせるよッ」",
"506000742_93": "「フフ……\\n だよねッ」",
"506000742_94": "「なら――\\n いくよ、キョウ」",
"506000742_95": "「ええ、いきましょう。\\n 見放された世界で、彼女たちを終わらせないためにッ」",
"506000742_96": "「ゲートが開いたッ!」",
"506000742_97": "「飛び込むぞッ!」",
"506000742_98": "「はいッ!」",
"506000742_99": "「――キョウさん、ヨウさんッ!!」",
"506000742_100": "「――カイッ!?」",
"506000742_101": "「……あ――ッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,91 @@
{
"506000751_0": "「こいつは……来た時と同じだッ!\\n 宇宙を繋ぐ空間に入ったッ」",
"506000751_1": "(カイ……\\n 何も言えなかった……ごめん……ッ",
"506000751_2": "「……ああ、ここを抜ければ、\\n 向こうの世界に行けるッ」",
"506000751_3": "「でも……",
"506000751_4": " ぐッ、進めてる感覚がないッ!」",
"506000751_5": "「わたしたちの世界に引き込まれてるッ!\\n カヴァーチャが抵抗してるのッ」",
"506000751_6": "「引き剥がしたカヴァーチャの力も抵抗してる。\\n あたしたちを逃さないつもりかッ」",
"506000751_7": "「だとしてもッ!!\\n 進むんだ――ただ、前へッ」",
"506000751_8": "「帰るんだ、絶対にッ!\\n 人を連れて、みんなの所へッ」",
"506000751_9": "「必ず戻るって約束したからッ!」",
"506000751_10": "「――想いがシンフォギアの出力を引き上げてる。",
"506000751_11": " けど、これでも足りないッ!」",
"506000751_12": "「想いだけじゃ超えられない。\\n 摂理は、塗り替えられないと……ッ」",
"506000751_13": "「――そうか。\\n 気合だけじゃどうにもならない、か」",
"506000751_14": "「ああ……そうだよな、翼。",
"506000751_15": " あたしはそれを、嫌になるくらい、よく知ってる――」",
"506000751_16": "「奏さん……ッ!?」",
"506000751_17": "「絶対に帰る。\\n ああ、いい言葉だよ」 ",
"506000751_18": "「いつからかな、帰るって言葉が好きになったのは。",
"506000751_19": " あたしに帰る場所なんてないって、ずっと思ってたのに」",
"506000751_20": "「弦十郎のダンナがいて、了子さんがいて、\\n たまに<ruby=こうるさ>小煩</ruby>い錬金術師たちがうろついてて――」",
"506000751_21": "「そして、あたしの『翼』はもういない、\\n あたしの居場所」",
"506000751_22": "「別の場所を選んでもいいか、なんて思うのは。\\n 結局はこの、帰るべき場所があるからなんだ」",
"506000751_23": "「この想いは……今までの全てがなけりゃ、",
"506000751_24": " 翼に――おまえたちに会えなきゃ、得られなかったッ!!」",
"506000751_25": "「――だから、あたしは――ッ!!」",
"506000751_26": "<speed=0.2>「Gatrandis babel ziggurat edenal……</speed>",
"506000751_27": "<speed=0.2> Emustolronzen fine el baral zizzl……」</speed>",
"506000751_28": "<speed=0.2>「Gatrandis babel ziggurat edenal……</speed>",
"506000751_29": "<speed=0.2> Emustolronzen fine el zizzl……」</speed>",
"506000751_30": "「絶、唱――……」",
"506000751_31": "「――――ッ!!\\n ダメです、奏さんッ」",
"506000751_32": "「やめてくださいッ!\\n すぐに手を、わたしが、S2CAで反動を抑えて――ッ」",
"506000751_33": "「……それじゃ、ダメだ」",
"506000751_34": "「どうしてッ!?\\n このままじゃ奏さんがッ」",
"506000751_35": "「あたしも一度目にしたS2CA。\\n 絶唱と称されるシンフォギアの切り札を1つに束ね、放つもの」",
"506000751_36": "「その優れた点はバックファイアの低減。\\n 自爆技にも等しい絶唱を、戦術の1つとして扱えること……」",
"506000751_37": "「そうです、負荷を抑えればッ!」",
"506000751_38": "「ですが今必要なのは一撃の火力ではない。\\n カヴァーチャの、世界の引力に打ち勝って『飛び続ける』出力」",
"506000751_39": "「彼女は絶唱により増加したフォニックゲインを放つことなく、\\n その身に纏って出力を引き上げてる」",
"506000751_40": "「それが必要だと、わかっているから……ッ!」",
"506000751_41": "「いつかの日、地球へ降りた時にわたしたちの唄った、\\n あの絶唱のように――ッ」",
"506000751_42": "「無茶だよッ!\\n たった人の力で、その負荷を身体に留めておくなんてッ」",
"506000751_43": "「ぐ、くッ……お前たちは、やってみせたんだろ?",
"506000751_44": " 話に聞いただけで、自分でするのは初めてだけどねッ!」",
"506000751_45": "「他の装者にできて、\\n あたしに無理ってことはないッ」",
"506000751_46": "「奏さん……」",
"506000751_47": "「なら、わたしたちも一緒にッ! \\n 人の出力ならッ」",
"506000751_48": "「揃って戦えなくなって、敵が妨害に来たらどうする気だッ!\\n あんたたちは大人しく、あたしのライブを楽しんでな……ッ」",
"506000751_49": "「でもッ!」",
"506000751_50": "(――と、意地を張ってはみたけど。\\n 絶唱の出力に身体がさっぱり追いついてない……ッ",
"506000751_51": "(自分のフォニックゲインに、\\n あたしの歌に、意識が持っていかれる……",
"506000751_52": "「は、うううッ! がぁぁぁぁッ!」",
"506000751_53": "「――ッ!!!\\n もうやめてッ これ以上は――」",
"506000751_54": "(――ああ、歌が聴こえる。\\n この声は、翼、おまえなのか……",
"506000751_55": "(もう迎えに来たのか? \\n 随分と気が早いな",
"506000751_56": "(いや……違う……、\\n 『翼』じゃない",
"506000751_57": "(聴こえる、あいつの歌が。\\n 泣きそうになりながら、あたしたちを想う旋律が",
"506000751_58": "(そんなにあたしが心配か? 翼。\\n 必死になって、宇宙を超えて唄うほどにッ",
"506000751_59": "「ぐ、がッ……",
"506000751_60": " ……ハッ、ハハハッ!!」",
"506000751_61": "「奏さん……",
"506000751_62": " 奏さんッ!!!」",
"506000751_63": "「なめてんじゃ、ないよ……ッ!」",
"506000751_64": "「ツヴァイウィングの片翼がッ!\\n 天羽奏が、こんなところで堕ちるもんかッ」",
"506000751_65": "「翼が渡してくれた『お守り』……。\\n ここで、使わせてもらうよッ」",
"506000751_66": "「アンプル――\\n LiNKERのッ」",
"506000751_67": "「適合係数を上昇させれば、バックファイアを抑えられるッ!",
"506000751_68": " でも、奏さんは元々LiNKERを使っていたはずじゃッ」",
"506000751_69": "「<ruby=オーバードーズ>過剰摂取</ruby>……ッ!?」",
"506000751_70": "「適合係数だの何だのって話は、好きじゃなくてね……。\\n でもあたしは歌に限っちゃ、誰にも負けやしないんだッ」",
"506000751_71": "「本気の歌にこの身体がついてこられるなら――",
"506000751_72": " どんな不可能だって、可能にしてみせるッ!」",
"506000751_73": "「奏、さ――」",
"506000751_74": "「……あんたの知ってる『奏』は……\\n その瞬間まで得てきた全てを燃やして、不可能を超えたんだろうさ」",
"506000751_75": "「でも、あたしは――」",
"506000751_76": "「あんたたちと一緒に、\\n その先を生きてきたッ」",
"506000751_77": "「――ッ!!」",
"506000751_78": "「あんたの知る終わりを超えて、飛び続けたッ!」",
"506000751_79": "「あたしはこんなところで死なないッ! 終わらないッ!!\\n 死んでも生きて帰ってやるッ」",
"506000751_80": "「これが、あたしの歌ッッ!!!」",
"506000751_81": "「死すらも超えて<ruby=いのち>生命</ruby>を唄う、不死鳥の翼ッッ!!!!」",
"506000751_82": "「この心を、身体を空っぽにして唄い上げる胸の歌で、\\n 『その先』を生きるためにッ」",
"506000751_83": "「あたしは……",
"506000751_84": " あたしの居るべき世界に、帰るんだッ!!!」",
"506000751_85": "(身体が、前に進む――、\\n 温かく優しい手に、背中を押されているみたいに",
"506000751_86": "「ファム・ファタール。\\n ……『運命の人』、という意味です」",
"506000751_87": "(2人はわたしを運命の人と呼んだけど、\\n それなら、きっと",
"506000751_88": "(わたしの運命は、\\n この人の歌から、はじまったんだ――"
}

View file

@ -0,0 +1,129 @@
{
"506000811_0": "歴史の亡霊",
"506000811_1": "「ここは……?\\n 元の世界なの、か」",
"506000811_2": "「……データリンク成功ッ!",
"506000811_3": " わたしたちの星……わたしたちの世界ですッ!」",
"506000811_4": "「戻ってきたッ! 帰ってきましたよ奏さんッ!\\n しっかりしてくださいッ」",
"506000811_5": "「そう叫ばなくても、聞こえてる……。\\n 言ったろ、死にはしないさ、安心しな」",
"506000811_6": "「けど……調子に乗って唄いすぎたね。\\n 困ったことに、流石にもう出涸らしだ。宇宙に出なくてよかったよ」",
"506000811_7": "「わたしたちがこの星へ来た時と同じ。\\n 安全な場所へ繋ぎました」",
"506000811_8": "「そりゃ助かった。\\n 借りができたか」",
"506000811_9": "「いいや、助けられたのはあたしたちだ。\\n その不死鳥の翼に」",
"506000811_10": "「響ちゃん、未来ちゃん、奏さんッ!\\n ご無事ですかッ」",
"506000811_11": "「おっと、お早い歓迎だ。",
"506000811_12": " 急な里帰りなのに、ありがたい……ぐうッ……」",
"506000811_13": "「――ッ!? 奏さんの肉体とギアに強い負荷を確認しました。\\n 何があったんですかッ」",
"506000811_14": "「すぐに救助をお願いしますッ!\\n 奏さんが無茶な絶唱に、LiNKERの過剰摂取もッ」",
"506000811_15": "「――直ちに向かってもらいますッ!\\n それまで奏さんの意識を保ってくださいッ」",
"506000811_16": "「はいッ! でもこんな場所じゃ、",
"506000811_17": " 助けが来るのも時間がかかりそうで……」",
"506000811_18": "「いえ、響ちゃんたちの座標は日本国内です。\\n そう時間はかかりません」",
"506000811_19": "「ここが……日本ッ!?」",
"506000811_20": "「そんな、どうしてこんなことに」",
"506000811_21": "「日本だけでなく世界中で起きている現象です。\\n 星命力の流出が原因と推測されています」 ",
"506000811_22": "「この星の生命が、\\n こんなにもたくさん奪われて……」",
"506000811_23": "「この世界だけの問題じゃない。\\n こんな無理やりな方法じゃ、あっちの世界も耐えられない」",
"506000811_24": "「わたしたちが人の生命力を少しずつ奪っていたのは、\\n そうしなければ世界が受け止められないから」",
"506000811_25": "「これでは、乾ききった土に許容量を超えた豪雨が降り注ぐようなもの。\\n 星の生命が潤う前に、世界が崩れてしまう」",
"506000811_26": "「このままじゃ両方の世界が、滅ぶ……ッ!?」",
"506000811_27": "「どうにかして止めないとッ!",
"506000811_28": " けど、どうしたら……ッ」",
"506000811_29": "「……方法はある。",
"506000811_30": " そうだよね、キョウ」",
"506000811_31": "「うん、わたしたちで閉じよう。\\n あのアーティファクトゲートを」",
"506000811_32": "「可能なのか?\\n あれは宇宙に開いた大穴なんだろ」",
"506000811_33": "「カヴァーチャ・システムの妨害で、\\n わたしたちの世界からは観測できませんでした」",
"506000811_34": "「でもこの世界に来たことで、ゲートを感じ取れました。\\n 目に見えなくとも、距離が遠くとも」",
"506000811_35": "「カヴァーチャから奪い取った力が繋がっている。\\n 残された力を使い尽くせば、ゲートに干渉できるはずだ」",
"506000811_36": "「――ッ!? そんなことをしたら、\\n 人が元の世界に戻れなくなっちゃうッ」",
"506000811_37": "「いいんだよ。\\n だって……それでも、帰る方法を一緒に探してくれるだろう」",
"506000811_38": "「――――ッ!!」",
"506000811_39": "「ここで為すべきを為さなければ、\\n それこそ後悔どころじゃ済みません」",
"506000811_40": "「だから……響。\\n 今度は止めないでくれますね」",
"506000811_41": "「2人とも……」",
"506000811_42": "「あんたたちも、\\n あたしと同じなんだね」",
"506000811_43": "「奏さん……」",
"506000811_44": "「自分の世界に戻る方法を失うとしても。\\n 誇りを捨てて、自分に嘘をつく方がずっと辛い」",
"506000811_45": "「逃げるんじゃない、戦おうとしてる。\\n なら、背中を押してやろう」",
"506000811_46": "「――お願い、わたしたちの世界を、2つの世界を助けてッ!\\n キョウちゃん、ヨウちゃんッ」",
"506000811_47": "「世界を救えと頼まれるのはいつものことだ」",
"506000811_48": "「さあ……わたしたちの願いに応えなさいッ!!\\n カヴァーチャッ」",
"506000811_49": "「閉じろッ! \\n アーティファクトゲートッ」",
"506000811_50": "「ぐッ……\\n これは……ッ」",
"506000811_51": "「ゲートを開く時よりもずっと負荷が大きいッ!",
"506000811_52": " これがカヴァーチャの、歴史の重み……ッ!」",
"506000811_53": "「だからって、諦めたりは……、",
"506000811_54": " ぐああぁッ!?」",
"506000811_55": "「うああああああぁぁッ!?」",
"506000811_56": "「2人ともッ!?」",
"506000811_57": "「問題ありません……くッ!?\\n 腕が、動かない……ッ」",
"506000811_58": "「足に感覚がない、\\n 呼吸も上手くできない……」",
"506000811_59": "「カヴァーチャの怒り、無理矢理に力を奪い取る気か。\\n でも……まだ抗えるッ」",
"506000811_60": "「諦めないで、もう一度やろう。\\n つの世界のために、あのゲートを止め――」",
"506000811_61": "「聞こえてるッ!?\\n キョウさん、ヨウさんッ」",
"506000811_62": "「通信……わたしたちへ?」",
"506000811_63": "「その声……まさか、カイなのかッ!?」",
"506000811_64": "「聞いてよッ! 特別作戦が発令されたんだッ!\\n 世界を救うための、最終任務がッ」",
"506000811_65": "「最終、任務?\\n わたしたちは何も命じていませんッ」",
"506000811_66": "「もう嘘なんて吐かないでいいんだよッ!」",
"506000811_67": "「キョウさんとヨウさんは、シンフォギアを殺すために\\n 懐に入り込んだってカヴァーチャが教えてくれたッ」",
"506000811_68": "「――ッ!?」",
"506000811_69": "「だから、今こそオレたちが2人を救うためにも、\\n 並行世界群に乗り込む時だってッ」",
"506000811_70": "「カヴァーチャ・システムからのオーダーだよッ!\\n 直々に命令を与えてくれたんだッ」",
"506000811_71": "「オレも今からそっちの世界に乗り込むッ!\\n いいや、オレだけじゃなくみんなも一緒に、全員でッ」",
"506000811_72": "「カヴァーチャが、直接、全員に……ッ!?\\n 馬鹿な、あの声が聞こえるのは、英雄候補だけのはず……ッ」",
"506000811_73": "「どういうことッ!?\\n 世界を捨ててこちらに移住するとでもッ」",
"506000811_74": "「まさかッ!\\n 世界を救うための戦いだよッ」",
"506000811_75": "「オレたち全員がドッペルゲンガーのトリガーになり、\\n エネルギーを全て奪い取るんだッ」",
"506000811_76": "「なッ……",
"506000811_77": " 全ての人間を消費しての略奪だってッ!?」",
"506000811_78": "「そんなことをしては、\\n 誰も生き残らないッ」",
"506000811_79": "「でも、オレたちの世界は生き続ける。\\n 恵まれた世界じゃなく、オレたちの『見放された世界』がッ」",
"506000811_80": "「奪う者がいなくなれば、奪われることはない。\\n オレたちの星だけが世界に残るッ オレたちの勝利だッ」",
"506000811_81": "「そんな……」",
"506000811_82": "「そんな勝利に意味なんてない。\\n あたしたちが護ろうとしたのは、そんな世界じゃない」",
"506000811_83": "「わたしたちがゲートを閉じようとしたから……。\\n カヴァーチャは目的のために手段すら選ばなくなってしまった」",
"506000811_84": "「目的のために悪を為す覚悟を。\\n 護るべき者を全て捨てることすらも厭わない――」",
"506000811_85": "「それがカヴァーチャの答えだというのか……」",
"506000811_86": "「あれ? 聞こえてるかな、もしもーしッ!?\\n あのね、人ともッ」",
"506000811_87": "「キョウさんやヨウさんみたいな戦士にはなれなくても、\\n オレたち全員が戦うよッ」",
"506000811_88": "「もうすぐみんなの準備が整うんだ。\\n だから号令をッ」",
"506000811_89": "「……ご……号令?」",
"506000811_90": "「そうだよッ!\\n いつもみたいに、言ってほしいんだ」",
"506000811_91": "「『全ては見放された世界のために』、って――」",
"506000811_92": "「「――ッ!?」」",
"506000811_93": "「…………」",
"506000811_94": "「……」",
"506000811_95": "「あれ?\\n また通信がおかしいのかな……」",
"506000811_96": "「…………違うんだ、カイ」",
"506000811_97": "「それは、できない。\\n あたしたちには、もう……叫べないんだよ」",
"506000811_98": "「え――……」",
"506000811_99": "「どう、して……?」",
"506000811_100": "「……わたしたちは、歪んでしまった。\\n 悪を為す覚悟が、悪へと逃げる言い訳になっていた」",
"506000811_101": "「ああ……世界に見せる背中を間違えたんだ。\\n だから、護りたい世界をこんな行き止まりに導いた」",
"506000811_102": "「それでも、ずっと観測していた。\\n 仲間を護るために、世界を護るために戦ってきた人たちを」",
"506000811_103": "「……ううん、わがままを通すため、かな」",
"506000811_104": "「恵まれた世界だからと目をそらしていました。\\n その輝きが眩しすぎて、直視できなかったから」",
"506000811_105": "「……でも」",
"506000811_106": "「そうさ――教えてもらった。\\n 背中だって、支えてもらった……ッ」",
"506000811_107": "「終わりだと諦めてしまったあたしたちを、\\n もう一度立ち上がらせてくれた」",
"506000811_108": "「そう……そしてそれは、わたしたちの本来の力でもある。",
"506000811_109": " 救いが曇って見えずとも、泥を啜って、何で汚れたとしてもッ!」",
"506000811_110": "「<ruby=みらい>未来</ruby>が見えなくても、\\n 自分が照らすんだと立ち上がってみせるッ」",
"506000811_111": "「それはあたしたちが愛した、\\n 見放された世界が育ててくれた力だからッ」",
"506000811_112": "「「だから――カヴァーチャッ!!\\n 思い出せ、<ruby=世界>おまえ</ruby>が抱いた、最初の想いをッッ!!!」」",
"506000811_113": "「「世界を救うという願い――\\n こんなところで、堕としてくれるなッッ」」",
"506000811_114": "「見えました、\\n 響さんたちはあそこです――ッ」",
"506000811_115": "「あの光はッ!?」",
"506000811_116": "「カヴァーチャが、\\n 黄金に輝いてる、のか……」",
"506000811_117": "「あの光、今までとは違う。\\n 切羽詰まった焦りも、追い詰められた苦悩も感じない」",
"506000811_118": "「<ruby=みらい>未来</ruby>へ進むための、道を照らす輝きだ……」",
"506000811_119": "「カヴァーチャとは……神話における英雄が、\\n 生まれた時から身に纏っていた鎧を指す名前です」",
"506000811_120": "「きっとあれは、誰かに与えられた力じゃない。\\n 自分自身の想いが輝かせる、人の命が本来持つ力の結実――」",
"506000811_121": "「なりやがったか、\\n 本物の英雄ってやつにッ」",
"506000811_122": "「何を言ってるデス、\\n 人ともとっくに英雄だったデスッ」",
"506000811_123": "「一緒にベアトリーチェに挑んだ時から、\\n ずーっとデスよッ」",
"506000811_124": "「うん、同感かな。\\n あの武装は心配なさそう、だけど――」",
"506000811_125": "「ああ。あれだけの力を振り絞る理由があるということ。\\n 帰還を祝うにはいささか早いと見るべきだ」",
"506000811_126": "「――ッ! 上空に強いエネルギー反応ッ! \\n 緊急降下をお願いしますッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,49 @@
{
"506000821_0": "「あれは……一体……?」",
"506000821_1": "「キョウちゃんとヨウちゃんが1つになっていた、\\n あの姿に似てる……でも……」",
"506000821_2": "「感じる圧力は、\\n 言っちゃなんだが、比じゃないね……ッ」",
"506000821_3": "「あれは恐らく、\\n カヴァーチャ・システムの意志そのものですッ」",
"506000821_4": "「……次の英雄を探すんじゃなく、\\n 歴史そのものが英雄になることを選んだか」",
"506000821_5": "「――――」",
"506000821_6": "「……どうした、どうして黙っている?\\n ふさわしい人間が見つからなかったのか」",
"506000821_7": "「それとも……\\n わたしたちを超える英雄がいなかったんじゃないですかッ」",
"506000821_8": "「―――――ッ!!!」",
"506000821_9": "「怒ってる……、\\n それとも、焦ってる……」",
"506000821_10": "「そりゃ焦るだろうさ。こいつが英雄、あいつが英雄って、\\n 偉そうに選んでた意思なんだろう」",
"506000821_11": "「落第判定を出したとこだってのに……\\n 本物の英雄が生まれる瞬間に、出くわしちまったんだからねッ」",
"506000821_12": "「あなたたち、無事ねッ!?」",
"506000821_13": "「空から見下ろしている、\\n あの恐ろしい力は――」",
"506000821_14": "「友好的な雰囲気じゃないデスよッ!」",
"506000821_15": "「あちらの世界の一張羅、\\n ってワケじゃなさそうだなッ」",
"506000821_16": "「ああ、敵の大トリってヤツだ。\\n 勝手に幕引きにしようと先走りやがった」",
"506000821_17": "「奏も無事――ではない、けど……",
"506000821_18": " ……役に立ったみたいでよかった、わたしの渾身の『お守り』」",
"506000821_19": "「ああ。あたしなら使えるって信じてくれたおかげさ。\\n ――聴こえたよ、翼の歌」",
"506000821_20": "「……そっか。\\n 奏の知る『翼』とは、一味違ったでしょう」",
"506000821_21": "「最高だったよ。 \\n 途中から勝手にデュエットさせてもらったけどね」",
"506000821_22": "「フフ……、聴けなかったのが残念だよ。",
"506000821_23": " ――エルフナイン、すまないが奏を頼む」",
"506000821_24": "「はい。ボクはボクの戦いに戻りますッ!!\\n こっちです、奏さんッ」",
"506000821_25": "「悪いね……あとは、任せた……」",
"506000821_26": "「で、こいつは一体どういう相手なんだ?」",
"506000821_27": "「あれは終わりを認められない過去……\\n 未来を否定する存在に成り下がった、人々の想い」",
"506000821_28": "「あたしたちの世界の歴史――、\\n いや、『亡霊』だ」",
"506000821_29": "「……シンフォギア装者。\\n いいえ――」",
"506000821_30": "「響、未来。\\n ……翼、クリス、調、切歌、マリア――」",
"506000821_31": "「……恥を忍んで、お願いします。\\n わたしたちは、あの亡霊を打ち倒したい」",
"506000821_32": "「わたしたちの世界だけじゃない。\\n 全ての世界に、<ruby=みらい>未来</ruby>があると示したいんです」",
"506000821_33": "「けど、あたしたちだけじゃ、\\n あいつには勝てないだろう」",
"506000821_34": "「どうか、あたしたちを――、\\n 助けて欲しい」",
"506000821_35": "「うん、最初からそのつもりだよ」",
"506000821_36": "「まーったく。\\n 言うのが遅いんデスよッ」",
"506000821_37": "「共通の敵。共通の目標。共通の想い。\\n 再び共に戦うことに、何の躊躇いもないわ」",
"506000821_38": "「ま、助けてくれと頼まれちゃ、\\n どうにも断れない癖がついてもいるしな」",
"506000821_39": "「振るべき相手が見えず、堪えに堪えたこの剣。\\n その言葉に滾らずいられようか」",
"506000821_40": "「この世界のためにゲートを閉じようとしてくれた。\\n その想いに、わたしたちも応えたいッ」",
"506000821_41": "「わたしたちの全力の歌でッ! 拳でッ!!\\n 必ず止めて見せるッ」",
"506000821_42": "「ありがとう、みんな。",
"506000821_43": " ――ならばッ!」",
"506000821_44": "「この場に集った全ての英雄が――ただの、わたしたちがッ!!\\n あなたのもたらす滅びに抗うッ」",
"506000821_45": "「その気持ちの始まりは、きっと悪じゃない。",
"506000821_46": " でも――止めさせてもらうぞ、カヴァーチャッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,76 @@
{
"506000822_0": "「はぁぁぁッ!」",
"506000822_1": "「そこデスッ!」",
"506000822_2": "「さっぱり手応えがないデスッ!?」",
"506000822_3": "「どういう手品かしらないが、\\n こいつも消せるのかよッ」",
"506000822_4": "「この感じ、防いでるんじゃない……?\\n 攻撃のエネルギーが吸収されて――ッ」",
"506000822_5": "「そう簡単にはッ!」",
"506000822_6": "「ぐッ……防いだだけで力が抜けていく……ッ!",
"506000822_7": " これはドッペルゲンガーと同じ、いいえ、もっと強力なッ!」",
"506000822_8": "「攻撃のエネルギーを吸収し、防いだとて生命力が奪われる。\\n これが『略奪』の本質かッ」",
"506000822_9": "「直撃した地面が崩れていく……。\\n 崩壊していくあの星のようにッ」",
"506000822_10": "「わたしたちが避けてしまったら、\\n この星の星命力が奪われるんだッ」",
"506000822_11": "「くッ! 厄介な相手ね……ッ!」",
"506000822_12": "「カヴァーチャ。あなたたちの願いはわたしたちと同じだった。\\n 世界を護りたい、ただそれだけの想い」",
"506000822_13": "「それがこんな悲しい力に堕ちてしまった\\n ただ奪ったところで、星の命を短くするだけの絶望に」",
"506000822_14": "「振るうたびに誰もが不幸になる。\\n そんな力――そんな想いは願いのままではいられないッ」",
"506000822_15": "「恵まれた世界だけじゃない、見放された世界すら、\\n 自分たちと同じ場所に堕とそうとする、過去からの呪縛だッ」",
"506000822_16": "「お願いしますッ!\\n 一瞬でいい、わたしたちにチャンスをッ」",
"506000822_17": "「あたしたちがあいつの目を覚ましてみせるッ!」",
"506000822_18": "「そういうことならッ、\\n 出し惜しみはなしだッ」",
"506000822_19": "「この場に立てぬ友の想いが剣に宿るッ!\\n この一撃の重さ、侮ってくれるなッ」",
"506000822_20": "「ギアの攻撃が通らないとしても、\\n この星の怒りならばッ」",
"506000822_21": "「3方向から、同時にッ!」",
"506000822_22": "「そうやって何でもかんでも、\\n 防げるもんデスかッ」",
"506000822_23": "「――――ッ!」",
"506000822_24": "「これでもダメデスかッ!」",
"506000822_25": "「岩の破片も、\\n 力を奪われ砂へと変わる――」",
"506000822_26": "「でも、その足は止まったわねッ!\\n ここが勝機よッ」",
"506000822_27": "「Gatrandis babel ziggurat edenal……\\n Emustolronzen fine el baral zizzl……」",
"506000822_28": "「Gatrandis babel ziggurat edenal……\\n Emustolronzen fine el zizzl……」",
"506000822_29": "「「S2CA――ツインブレイクッ」」",
"506000822_30": "「――――ッ!!!」",
"506000822_31": "「攻撃が飲み込まれるッ!\\n でもッ 歌が背中を押してくれるッ」",
"506000822_32": "「今も響いてるんだ……わたしたちだけじゃない……",
"506000822_33": " ――生きたいと願う、全ての人の歌がッッ!!」",
"506000822_34": "「わたしたちの絶唱をッ!!\\n 『亡霊』がッ 奪えるもんかあああぁぁッ」",
"506000822_35": "「――――ッ!?」",
"506000822_36": "「お願い、あなたたちの思いで――」",
"506000822_37": "「――あの星が辿ろうとしている歴史を、変えるんだッ!」",
"506000822_38": "「何も為せなかったわたしたちを、\\n 信じて任せてくれた人たちがいる」",
"506000822_39": "「そしてあの世界のみんなが、\\n こんなあたしたちを信じてくれていたッ」",
"506000822_40": "「わたしたちは今度こそ見せなきゃいけない\\n 何にも縛られず、何も恐れず、<ruby=みらい>未来</ruby>を信じる英雄の背中をッ!」",
"506000822_41": "「「おおおおお――ッ!!!」」",
"506000822_42": "「――――ッ!」",
"506000822_43": "「キョウちゃん、ヨウちゃん――ッ!?」",
"506000822_44": "「そんなッ!?\\n カヴァーチャに飲み込まれちゃうッ」",
"506000822_45": "「侵食……",
"506000822_46": " だがッッ!!!」",
"506000822_47": "「この胸には<ruby=みらい>未来</ruby>を願う想いがッ!!\\n 友に教えられた、立ち上がる力が溢れているッ」",
"506000822_48": "「さあ、奪えるものなら奪いきってみせなさいッ!\\n わたしたちの願いをッ <ruby=みらい>未来</ruby>への祈りをッ!!!」",
"506000822_49": "「過去を越えて進む、この想いをッ!\\n 歪んだ呪い如きが食らえるものならばッ」",
"506000822_50": "「英雄にならなきゃいけないからじゃないッ!\\n 互いがそう願うから、わたしたちは人で人ッ」",
"506000822_51": "「これが――」",
"506000822_52": "「「おまえが選んだ『英雄』の歌だ――ッ!!!」」",
"506000822_53": "「――――ッ!!!!!!!!!」",
"506000822_54": "「なんて爆発……ッ!\\n 空気が、震えてる……ッ」",
"506000822_55": "「これは……相反する想いの圧力に耐えられず、\\n 内側から破裂した、のか……」",
"506000822_56": "「あれも、元は『世界を救いたい』という願いの累積……\\n だからこそ、ということね……」",
"506000822_57": "「やれやれ。何でもかんでも奪って行くヤツも、\\n バカデカい英雄の想いまでは持っていけなかったか」",
"506000822_58": "「あんなにまっすぐな2人の気持ちが\\n 悪い想いに塗りつぶされるわけがないんデスッ」",
"506000822_59": "「はあ、はあ……\\n ……カヴァーチャ…………すまない……」",
"506000822_60": "「……わたしたちは……\\n ……わかっていても……こうするしか……ッ」",
"506000822_61": "「敵性存在の消滅を確認ッ!\\n みなさん、ご無事ですかッ」",
"506000822_62": "「はい、2人が倒してくれましたッ!\\n あとは星の命を、星命力の流出を止めないと……」",
"506000822_63": "「それが、流出の勢いが止まって――、\\n いいえ、止まっただけじゃありませんッ」",
"506000822_64": "「この星の星命力に、急速な増加を観測ッ!」",
"506000822_65": "「アーティファクトホールへ流れ出していたエネルギーが、\\n こちらの世界へと戻っていますッ」",
"506000822_66": "「あの、あのですねッ! この世界だけじゃありませんッ!\\n 流れが、宇宙のあちこちへと……ッ」",
"506000822_67": "「じゃあ――ッ!」",
"506000822_68": "「この世界は……\\n 並行世界は、助かったんだッ」",
"506000822_69": "「……力は、低いところに流れる。\\n でも、溢れるしかないのなら、その力は……」",
"506000822_70": "「……ああ、正しき場所へ。\\n ……全てはあるべき場所に、か」",
"506000822_71": "「終わったんだな、全て……」",
"506000822_72": "「そうだね。わたしたちの戦いも、\\n …………世界の、<ruby=みらい>未来</ruby>も……」",
"506000822_73": "「…………ッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,22 @@
{
"506000831_0": "「キョウさん、ヨウさん……」",
"506000831_1": "「お礼を言えばいいのか、謝ればいいのか、\\n わからないデス……」",
"506000831_2": "「いいんだ、わかっていたことだ」",
"506000831_3": "「どれだけ望み目指そうとも、人の力では覆らないもの……\\n それを摂理と呼ぶのだから」",
"506000831_4": "「神はわたしたちの世界に終わりを――死を定めた。\\n それが避けられないことなど、誰もが理解していたんです」",
"506000831_5": "「それでも望んだ、その報いがあの世界。\\n なのにわたしたちはまだ諦められなかった」",
"506000831_6": "「奪うことでしか生きられない世界が、\\n 他の星にまでその摂理を押し付けようとしてしまった」",
"506000831_7": "「その報いを受けただけなんだ」",
"506000831_8": "「カヴァーチャ・システムを打ち砕き、\\n 奪った星命力を失った」",
"506000831_9": "「わたしたちの世界は、今度こそ終わる。",
"506000831_10": " いいえ、わたしたちが終わらせた」",
"506000831_11": "「もう奪いたくないから、\\n 奪うことでしか作り出せない<ruby=みらい>未来</ruby>を否定したから――」",
"506000831_12": "「世界を終わらせることで、\\n 全ての世界を滅ぼすという暴挙を止めることしかできなかった……」",
"506000831_13": "「残り少ない生命で、\\n 少しでも贖罪を為せたのなら、それを喜ぶとします」",
"506000831_14": "「あたしたちの世界のこと、どうか、忘れないでくれ。\\n どん底まで落ちながらも、ゆえにこそと戦って――」",
"506000831_15": "「最後には誰かの<ruby=みらい>未来</ruby>を祈ることができた、\\n あの世界のことを」",
"506000831_16": "「――どれだけ苦しくても、\\n 受け入れなければならないことが、ある」",
"506000831_17": "「でも、だからって……\\n これで終わりなんて、あんまりデス……」",
"506000831_18": "「……ううん、違う。\\n これで終わりなんかじゃない」",
"506000831_19": "「うん、まだ終わってなんかいないよ。\\n ――絶対に」"
}

View file

@ -0,0 +1,40 @@
{
"506000911_0": "明日を繋ぐ胸の歌",
"506000911_1": "「今……なんて?」",
"506000911_2": "「終わってなんてない。\\n そう言ったんだよ、キョウちゃん、ヨウちゃん」",
"506000911_3": "「2人が纏う本物の『カヴァーチャ』は諦めてなんていない。\\n その輝きは少しも陰っていないでしょ」",
"506000911_4": "「これはカヴァーチャ・システムとは違うんだ。\\n 本物のカヴァーチャと呼んでいいのか……」",
"506000911_5": "「わたしたちとずっと共に在ったカヴァーチャの一部分が、\\n 想いに応えてくれた――きっとそれだけのことで」",
"506000911_6": "「――うん、そうだよ。\\n 想いに……応えてくれたんだ」",
"506000911_7": "「それはわたしたちのシンフォギアと、胸の歌と同じ。\\n カヴァーチャは、シンフォギアと変わらないんだよ」",
"506000911_8": "「だってそれは、誰かに『届け』と……\\n 願いを託してきた、人の世界の力なんだから」",
"506000911_9": "「――ッ!?」",
"506000911_10": "「だから、きっと聴こえるよ。\\n 耳を傾けてみて。今もこんなに響いている……人の胸の歌に」",
"506000911_11": "「胸の、歌――」",
"506000911_12": "「わたしたちの、歌……?」",
"506000911_13": "「――聴こえる」",
"506000911_14": "「わたしたちの胸にも、歌がある……」",
"506000911_15": "「ああ……そうだ、この歌は――",
"506000911_16": " あたしたちが、ずっと、声を張り上げて唄いたかった歌――」",
"506000911_17": "「みんなと唄った歌が、大好きだった。\\n 口ずさまずにいられないほどに」",
"506000911_18": "「この歌を、声を張り上げて唄える<ruby=みらい>未来</ruby>がいつかくると願って……\\n 信じていたんだッ」",
"506000911_19": "「だからこそ、あたしたちは――ッ!」",
"506000911_20": "「……うん、わたしたちと同じだよ。",
"506000911_21": " だから、戦ってきた……唄ってきたんだ」",
"506000911_22": "「悲しみの中で抗う大好きな人に、\\n 少しでも想いを届けたくて、唄っていた」",
"506000911_23": "「わたしたちの世界でも、想いだけは積み重ねられる……\\n それなら、きっと――」",
"506000911_24": "「あたしたちの胸には、\\n ずっとずっと……この歌が、いてくれた……」",
"506000911_25": "「巡る世界と、わたしたちの世界は、別の宇宙だと思っていた。\\n 違う摂理に従う、相容れない存在だと」",
"506000911_26": "「でも、胸の奥には同じものがあった。\\n それはきっと、人が人であるが故の、変わらない何か」",
"506000911_27": "「カヴァーチャも、シンフォギアも、胸の想いで輝くもの。\\n つの可能性から生まれた存在なのでしょう」",
"506000911_28": "「きっとそうなんだと思う。",
"506000911_29": " ――だから、もう一度言わせて」",
"506000911_30": "「まだ、終わってなんていないッ!」",
"506000911_31": "「――ッ!!」",
"506000911_32": "「……えーと。あのね、未来?",
"506000911_33": " わたし、2人を助けたいんだ」",
"506000911_34": "「わかってる。繋いだこの手から、伝わってる。\\n 今だけは、言葉にしなくてもいいんだよ」",
"506000911_35": "「――ありがとう」",
"506000911_36": "「……キョウちゃん、ヨウちゃん。\\n 世界の源になる力が、この世界も、人の世界も同じなら」",
"506000911_37": "「きっとこの胸の歌、その力があれば、\\n 世界の明日を繋ぐことができるんじゃないかな」"
}

View file

@ -0,0 +1,91 @@
{
"506000921_0": "「世界の明日を繋ぐ、胸の歌……?」",
"506000921_1": "「な……何を言っているんですッ!?\\n あなたたちの胸の歌があれば その力を使ってッ」",
"506000921_2": "「それは、そうかもしれない……\\n けどッ」",
"506000921_3": "「それは奪うことだッ!\\n あたしたちが拒んだ、略奪だッ」",
"506000921_4": "「ううん、違う……\\n ベアトリーチェと戦った時と同じだよ」",
"506000921_5": "「譲れない想いがあるなら、\\n ちゃんとぶつけ合ってこそ、理解できる」",
"506000921_6": "「その先に、避けられない別れがあるとしても、\\n 精一杯頑張った先だからこそ、受け入れられる」",
"506000921_7": "「わたしたちも、負けたくない。\\n 人の世界を助けたい。でも、この歌は譲れない」",
"506000921_8": "「どっちも本当で、どっちも叶えたい」",
"506000921_9": "「この矛盾、全部ぶち抜いてッ!\\n 全部、全部、叶えたいんだッ」",
"506000921_10": "「だから――奪うんじゃない。\\n 友達として、仲間として、それでも譲れないものを――」",
"506000921_11": "「わたしから、勝ち取りに来てッ!\\n わたしたちも、そうするからッ」",
"506000921_12": "「わたしも響も、\\n 人みたいな英雄にはなれない」",
"506000921_13": "「貫き通したワガママが、たまたま世界にとって、\\n いい方向に傾いていただけなんだ」",
"506000921_14": "「……でも、それでいいんだと思う」",
"506000921_15": "「わたしは響の隣にいたいだけなんだ」",
"506000921_16": "「度が過ぎたお人よしで、人助けがやめられなくて、\\n 自己犠牲で全部投げ捨てられちゃうようなこの人の隣に」",
"506000921_17": "「だから響と同じように、ううん、それ以上に。\\n この胸の歌を懸けられる」",
"506000921_18": "「何よりも大切なたった<ruby=ひとつ>1人</ruby>の『<ruby=なにか>だれか</ruby>』のために、\\n 自分の全てを捧げられる」",
"506000921_19": "「……ッ!!」",
"506000921_20": "「……ここに、可能性がある。\\n <ruby=みらい>未来</ruby>への道がある」",
"506000921_21": "「なら――\\n 人が本当に望んでいることは、何」",
"506000921_22": "「ハ……ハハ……\\n アハハッ」",
"506000921_23": "「聞くのか、それを……\\n 聞いてくれるのか、あたしたちにッ」",
"506000921_24": "「わたしたちは――生きたい。生きていきたいよ。\\n 少しでも、生きていて幸せだったと叫べるようにッ」",
"506000921_25": "「ここで終わりたくない。世界を救いたい。\\n あなたたちの<ruby=みらい>未来</ruby>も、わたしたちの<ruby=みらい>未来</ruby>も、どっちも欲しい……ッ!!」",
"506000921_26": "「どれだけ不釣り合いでも、英雄じゃなくても、\\n 見放された世界のみんなを……」",
"506000921_27": "「あたしたちの明日を護りたいッ!」",
"506000921_28": "「背負わされた歴史の重みに、<ruby=みらい>未来</ruby>への絶望に、\\n 忘れてしまっていた」",
"506000921_29": "「わたしたちもわがままだったんです。\\n 大切な人に、手を伸ばさずにはいられないぐらいにッ」",
"506000921_30": "「キョ……さ、\\n ……ウさん……」",
"506000921_31": "「――ッ!!\\n 通信が復旧して……どうしてッ」",
"506000921_32": "「カイなのかッ!?",
"506000921_33": " くそッ、音が遠くて――」",
"506000921_34": "「……って……\\n オレだって、ずっと人を見てきたんだッ」",
"506000921_35": "「だから……だから、さっきまでの戦いだって、\\n ずっと――全部見てたッ」",
"506000921_36": "「なんにも知らなくてごめんッ!!\\n ずっと……ずっと戦ってくれて、ありがとうッ」",
"506000921_37": "「「――ッ!!」」",
"506000921_38": "「だから……わかんねえ、クソ……ッ!\\n こう言うのが正しいのか、わかんないよ……けどッ」",
"506000921_39": "「キョウさん、ヨウさん……ッ!!\\n お願いだ、勝ってくれッ」",
"506000921_40": "「英雄だからなんて、もう言わない。\\n 普通の人間だって言った、人の言葉をちゃんと信じる」",
"506000921_41": "「でも、だからこそ――、\\n オレたちは、キョウさんとヨウさんが大好きなんだッ」",
"506000921_42": "「勝って……\\n オレと一緒に帰ろう、……オレたちの世界へッッ」",
"506000921_43": "「ああ――ああ。\\n そうだな……ッ」",
"506000921_44": "「わたしたちも……\\n わたしたちの世界のみんなが、大好きですッ」",
"506000921_45": "「わたしたちは、\\n どんな底からでも、立ち上がる戦士ッ」",
"506000921_46": "「終わりの先を目指し、抗い続ける英雄ッ!」",
"506000921_47": "「わたしたちは終わらない」",
"506000921_48": "「終わったとしても……\\n いつだって、そこから始めてやるッ」",
"506000921_49": "「わたしの友達……戦友、大好きになってしまった、あなたたち。\\n それでも、こう言わせてくださいッ」",
"506000921_50": "「その胸の歌をッ! 世界の<ruby=みらい>未来</ruby>をかけてッ!\\n あたしたちと戦ってくれッ」",
"506000921_51": "「――嬉しいね。違う気持ちと同じ気持ち、\\n 矛盾ぜんぶを、抱いたままに通じ合えたことが」",
"506000921_52": "「うん。目指す<ruby=みらい>場所</ruby>が同じではなかったとしても。\\n こんなにも、今、手が届いたことが……ッ」",
"506000921_53": "「あいつら、シンフォギアを――\\n 命を懸けて戦う気かッ」",
"506000921_54": "「だが……お互いがお互いのために交えるあの戦いを……\\n たとえ目の前で命を散らすとしても、割っては入れない」",
"506000921_55": "「カヴァーチャの放つ力、フォニックゲインに近く、\\n どこか違うエネルギーは――人の力を超えているわ」",
"506000921_56": "「止めないといけない――でも、",
"506000921_57": " 見届けてあげたい……そうも感じている……」",
"506000921_58": "「避けられない別れを、納得して受け入れるために、なんデス。\\n なら……言えることはつだけデスよッ」",
"506000921_59": "「「「「「どうか―― その歌に、勝利を」」」」」",
"506000921_60": "「――光が……ううん、これは、歌……\\n 歌が、響さんと未来さんに集まってるッ」",
"506000921_61": "「アタシにも聴こえるデスッ!\\n 儚くて、だから強い……何も特別じゃない、みんなの歌がッ」",
"506000921_62": "「世界の想いが届いたわけじゃない。\\n 呪いも、絶望も、この世界にはたくさんある……」",
"506000921_63": "「なのに、それを全部ひっくるめて……前に進むための力だって、\\n 世界中の想いが集まっているみたいだ……」",
"506000921_64": "「明日に届け、って――」",
"506000921_65": "「これは――きっと、星の生命なんだわ。\\n 星が取り戻した星命力が、人の歌に宿っているッ」",
"506000921_66": "「――いいや、この星だけじゃない。\\n 全ての星が、並行世界が……あの人を祝福しているッ」",
"506000921_67": "「すごい……\\n 本当に運命の人みたい……」",
"506000921_68": "「あっちが2人で1人の英雄なら、\\n こっちは人で人の、運命の人デスッ」",
"506000921_69": "「……奏、聴こえているかな……\\n かつて、あなたが繋いで、託した歌が、今――……」",
"506000921_70": "「……ッ」",
"506000921_71": "「だから、何も……\\n ……何も、無駄なんかじゃなかったんだ……ッ」",
"506000921_72": "「ああ……そうでなくては。\\n あなたたちに相対した者の気持ちが、いまこそわかる」",
"506000921_73": "「星そのものが相手……、\\n <ruby=みらい>未来</ruby>の奪い合いをするのに、ふさわしい相手だ」",
"506000921_74": "「ええ、星を超えてこそ、\\n <ruby=みらい>未来</ruby>を勝ち取るだけの勝利になるッ!」",
"506000921_75": "「――星の力だけじゃないよ」",
"506000921_76": "「向かい合った相手、隣り合った相手。\\n そして時には、争い合う相手」",
"506000921_77": "「想いと想いが繋ぎ合い、支え合い、ぶつけ合い、\\n わたしたちに力を与えてくれるッ」",
"506000921_78": "「歌が、さらに膨れ上がって……ッ!」",
"506000921_79": "「わたしたちの想いすら糧として、心が互いの力を高めて、\\n 際限なく、どこまでも上っていく――」",
"506000921_80": "「限界を超えた――、\\n いや、限界の存在しない力ッ」",
"506000921_81": "「互いを想い合うことができれば、\\n 胸の歌に限界なんてないッ」",
"506000921_82": "「これがわたしたちの、全部――\\n ありったけの、その先だッッッ」",
"506000921_83": "「いくよ、\\n キョウちゃん、ヨウちゃんッ」",
"506000921_84": "「世界の<ruby=みらい>未来</ruby>を勝ち取るためにッ!」",
"506000921_85": "「いつかの夢を叶えるためにッ!」",
"506000921_86": "「響と一緒の明日のためにッ!」",
"506000921_87": "「わたしは、全部。\\n 全部をッ この手のひらで掴むためにッ」",
"506000921_88": "「「「「<size=40>勝負、だぁぁぁぁぁッッ!!!</size>」」」」"
}

View file

@ -0,0 +1,71 @@
{
"506000922_0": "「――ッ!」",
"506000922_1": "「まだだ……\\n まだ、終わってないッ」",
"506000922_2": "「そうだよね……\\n 大丈夫、わかってるよッ」",
"506000922_3": "「ええ、ありがとうッ!",
"506000922_4": " まだまだ付き合ってもらいますよッ!!」",
"506000922_5": "「あたしたちも、おまえたちも――\\n 満身創痍、いつ折れてもおかしくない」",
"506000922_6": "「でも、折れるわけにはいかない……\\n ううん、折れたくないッ」",
"506000922_7": "「だからこうしている、そうでしょうッ!」",
"506000922_8": "「ああ……\\n その通りだッ」",
"506000922_9": "「譲れないから……",
"506000922_10": " 譲りたくないからッ! このわがままをッ!!!」",
"506000922_11": "「あなたと……あなたたちと出逢って、\\n 本当に、わたしたちは随分とわがままになってしまった」",
"506000922_12": "「……?」",
"506000922_13": "「世界を救うなんて言いながらも、\\n ずっと諦めたかった」",
"506000922_14": "「燻る胸の歌を押し殺して、\\n できっこないって、自分たちに言い聞かせて……ッ」",
"506000922_15": "「そうしていれば、\\n 諦めたって仕方ないって、言い訳ができたからッ」",
"506000922_16": "「――でもッ!」",
"506000922_17": "「――ッ!!」",
"506000922_18": "(一撃一撃が、重い……ッ!!\\n キョウちゃんの本気が、伝わってくる……ッ",
"506000922_19": "(これが、本物のキョウちゃんの拳――ッ!!)",
"506000922_20": "「そんなのは違うって、\\n 諦めなくていいって――」",
"506000922_21": "「響ッ!\\n あなたが、教えてくれたッ」",
"506000922_22": "「だから……ッ!!」",
"506000922_23": "「うんッ!\\n 出し切るんだ、全部ッ」",
"506000922_24": "「わたしたちは英雄じゃない……\\n たった人で戦う英雄になんかなれやしない」",
"506000922_25": "「けどッ!\\n だからこそッ」",
"506000922_26": "「この胸の歌にまっすぐに――\\n わたしはこの、助けたいってわがままを貫き通せるッ」",
"506000922_27": "「わたしたちの世界のこともッ!!\\n キョウちゃんたちの世界もッッ」",
"506000922_28": "「全部、全部……ッ!\\n 絶対に、諦めるもんかッ」",
"506000922_29": "「わたしだって、同じことッ!!」",
"506000922_30": "「――ッ!\\n キョウ……ッ」",
"506000922_31": "「よそ見してる暇なんて、\\n あげないよッ」",
"506000922_32": "「ハッ!\\n よそ見なんてしているつもりも……ないねッ」",
"506000922_33": "「――ッ!?\\n 全部防がれたッ」",
"506000922_34": "「ここに至ってようやく決まった、\\n あたしたちの『戦う』覚悟……」",
"506000922_35": "「そう易々と折れるとは思わないことだッ!」",
"506000922_36": "「そんなふうに思ったことなんて、\\n 一度だってない」",
"506000922_37": "「けど……今のヨウちゃんの頑固は、\\n 前よりずっと……好ましいかなッ」",
"506000922_38": "「言ってろッ!」",
"506000922_39": "「度の過ぎた世話焼きで、\\n あたしたちのことにまで首を突っ込んで……」",
"506000922_40": "「矛盾も無茶も、\\n 全部ぶち抜くと言い切ってみせたんだッ」",
"506000922_41": "「こんなところで、\\n あたしなんかに押されてる場合じゃないぞッ」",
"506000922_42": "「――ッ!!\\n ヨウちゃんこそッ」",
"506000922_43": "「わたしたちなんかに……\\n 負けないでよねッ」",
"506000922_44": "「ああ、その通りだッ!\\n お互いになッ」",
"506000922_45": "「だから、わたしだって――」",
"506000922_46": "「響と同じように……\\n ヨウちゃんたちとだって、同じようにッ」",
"506000922_47": "「わたしの胸の歌、\\n 全部を懸けてここにいるッ」",
"506000922_48": "「響の隣で、一緒に走り続けること……\\n 一緒に<ruby=うた>戦</ruby>って生きていくことッ!」",
"506000922_49": "「それこそがわたしの望み――」",
"506000922_50": "「わたしの、わがままッ!!」",
"506000922_51": "「はぁ、はぁ……\\n ――くッ」",
"506000922_52": "「まだ、\\n ……戦える、のに……ッ」",
"506000922_53": "「もう」",
"506000922_54": "「心配させないで」",
"506000922_55": "「あ……未来?」",
"506000922_56": "「ちゃんと立ってなきゃ、\\n 決着もつけられないでしょ」",
"506000922_57": "「でも、響はいつだってそうやって、\\n 全力で突っ走って、フラフラになっても止まれないから」",
"506000922_58": "「なら……\\n それを支えるのは、わたしの役目」",
"506000922_59": "「ヨウ……?」",
"506000922_60": "「……あたしの一番は、どこまでいっても\\n 世界より、キョウのこと」",
"506000922_61": "「あの子も、同じだからさ」",
"506000922_62": "「……」",
"506000922_63": "「だから――」",
"506000922_64": "「うん。\\n 響ひとりじゃない」",
"506000922_65": "「そして、キョウも。\\n ひとりになんて、させるもんか」",
"506000922_66": "「「2人ごと、あの子たちにぶつかろう」」",
"506000922_67": "「――ッ!」",
"506000922_68": "「うんッ!!」"
}

View file

@ -0,0 +1,125 @@
{
"506001011_0": "“FINE” is a name that end of",
"506001011_1": "「はあ、……はあ……ッ\\n 出し、切った……ぜんぶ……ッ」",
"506001011_2": "「わたしも……\\n もう、動けそうに、……ない……」",
"506001011_3": "「……ああ、まったく――\\n 参ったよ」",
"506001011_4": "「いくら胸の想いが猛ろうと、\\n これはもう、立ち上がれそうもない……」",
"506001011_5": "「……ええ、わたしたちの負けです。\\n 本当に、何の言い訳もできないぐらいに」",
"506001011_6": "「……奪うたび、傷つけるたび、\\n 世界を護ることと、キョウを護ることが離れていった」",
"506001011_7": "「ヨウを護りたい想いと、世界を護らなければならない呪いが、\\n いつだって相反するように感じていた」",
"506001011_8": "「大切な人を護るために、世界を護る。\\n そんな単純で、素敵な願いを抱けなくなっていた」",
"506001011_9": "「でも……それでも、その想いを取り返して、\\n あたしたちはぶつかれた……向き合ってくれる友達と」",
"506001011_10": "「…………」",
"506001011_11": "「……」",
"506001011_12": "「初めて自分のために、思い願う気持ちのままに戦ったのに。\\n それでも、勝てなかった……」",
"506001011_13": "「ああ……悔しいなあ。\\n 負けたのが悔しい。負けを認めてしまった自分が悔しい」",
"506001011_14": "「悔しいのに……ちくしょう、何の後悔もない。\\n 自分の全てでぶつかって、負けたことに納得してる」",
"506001011_15": "「あたし自身が納得してることが、\\n 何よりも悔しい……ッ」",
"506001011_16": "「……これで終わりなんだ。\\n わたしたちの戦いも」",
"506001011_17": "「そうだね。世界を護れず、\\n 救いたい人も救えず、あたしたちは負けた」",
"506001011_18": "「けど、あたしたちは最後まで抗った。\\n どん底から立ち上がって、<ruby=みらい>未来</ruby>を目指して戦った」",
"506001011_19": "「世界なんて背負ってなかった。\\n でも、だからこそ、わたしの全力でした」",
"506001011_20": "「みんな――、ごめんなさい」",
"506001011_21": "「……負けちゃった。\\n …………ごめん……ッ」",
"506001011_22": "「……未来、もう立てる?」",
"506001011_23": "「うん、なんとか……",
"506001011_24": " 支えてくれる?」",
"506001011_25": "「もちろん。\\n わたしのことも、お願いね」",
"506001011_26": "「「あッ!?」」",
"506001011_27": "「シンフォギアが、欠けて――」",
"506001011_28": "「わたしのも……\\n ――ッ」",
"506001011_29": "「アハハ……\\n 思ってたよりギリギリだったみたい、わたし」",
"506001011_30": "「……強かったもん、\\n キョウちゃんも、ヨウちゃんも」",
"506001011_31": "「……」",
"506001011_32": "「…………」",
"506001011_33": "「2人とも、これを持っていって」",
"506001011_34": "「これは……ギアの欠片……?」",
"506001011_35": "「うん、シンフォギアの――\\n 世界のみんなの、想いの一片」",
"506001011_36": "「本当なら、わたしの全部を渡したい気持ちだってある。\\n けど、それはできないから」",
"506001011_37": "「これだけじゃ、世界を救うことはできないかもしれない。",
"506001011_38": " だとしても、少しでも力に――」",
"506001011_39": "「――必要、ない」",
"506001011_40": "「ええ、不要です」",
"506001011_41": "「――えッ!?」",
"506001011_42": "「でも、わたしたちが戦ったのは、憎み合ったからじゃない。\\n 奪われるのは困るけど、譲ることはできる。だから――ッ」",
"506001011_43": "「ああ……違いますよ。\\n 勘違いしないでください」",
"506001011_44": "「施しはいらない、なんて気取るつもりはありません」",
"506001011_45": "「世界にとっては……無駄なんだ、きっと。\\n 本当に」",
"506001011_46": "「……え?」",
"506001011_47": "「……わかりませんか?\\n フフ、ええ……そういうこともありますよね、本当に」",
"506001011_48": "「……わたしたちの世界は奪うことでしか生きられない宇宙。\\n 力の巡らない、使い切ればそれまでの閉じた星」",
"506001011_49": "「この世界からエネルギーを奪い、星の命を永らえたとしても、\\n それが尽きれば終わりは来るんです」",
"506001011_50": "「無限に続く略奪の末に全ての星の生命を奪い、\\n あたしたちの世界もまた、滅ぶしかない」",
"506001011_51": "「いつか必ず訪れる終わりの<ruby=みらい>未来</ruby>。\\n それは神が世界を作った時と何ら変わらないんだ」",
"506001011_52": "「だから――本当に、もういいんだ」",
"506001011_53": "「あの――。\\n 割り込んでしまってごめんなさい」",
"506001011_54": "「どうしても直接伝えるんだって聞かないものだから……",
"506001011_55": " ごめんなさいね、わたしたちも同じ気持ちだったところだし」",
"506001011_56": "「おまえは……ッ」",
"506001011_57": "「……ご存じでしょうが、ボクはエルフナインです。\\n ヨウさん、キョウさん」",
"506001011_58": "「――ッ!!",
"506001011_59": " ああ。……知っていたとも、エルフナイン」",
"506001011_60": "「……通信機越しですが、状況は確認していました。\\n 奏さんの報告と合わせて、計測器のデータも解析しています」",
"506001011_61": "「その上でお話させてください。\\n あなたたちの世界を救うことのできる、可能性について」",
"506001011_62": "「可能、性……?」",
"506001011_63": "「そんなものは……。\\n あたしたちの世界は終わる。そのように産み出された」",
"506001011_64": "「確かに<ruby=アヌンナキ>神</ruby>はその様に創ったのかもしれません。\\n ですが、その『終わり』を歪ませる存在を検知したんです」",
"506001011_65": "「終わりを歪ませる……?\\n 神の摂理を崩すことのできる存在なんて……」",
"506001011_66": "「あったんです。\\n それは――ベアトリーチェの、悪意」",
"506001011_67": "「――ッ!?\\n あの世界蛇の巫女のッ」",
"506001011_68": "「彼女は最後の最後まで、悪意と共にありました。\\n そして悪意のまま、『あらゆる世界』へと溶け込んだのです」",
"506001011_69": "「この星、この宇宙だけではなく、\\n あなたたちの生きる宇宙にすらも」",
"506001011_70": "「彼女の悪意が……力が。\\n あなたたちの世界の摂理を歪ませようとしているんですッ」",
"506001011_71": "「ベアトリーチェの――\\n かつて、<ruby=フィーネ>神に届こうとした巫女</ruby>でもある、あの力が……?」",
"506001011_72": "「この宇宙も、ヨウさんたちの生きる宇宙も、\\n 『星のつくり』は変わらないと観測データが証明しています」",
"506001011_73": "「それはどこかの世界――仮にあなたたちの言う『本流世界』、\\n そのスペアや『可能性』だから、なのかもしれません」",
"506001011_74": "「何にせよ、人類が存在する『星』には、\\n 星命力の流れ、レイラインが存在しています」",
"506001011_75": "「最後まで悪意と共に世界へと溶けたベアトリーチェは、\\n そちらの世界のレイラインを通じ、悪意を巡らせているんです」",
"506001011_76": "「誰かが誰かを傷つけ、傷つけられた誰かがまた誰かを傷つける。\\n 繰り返されるたびに膨れ上がる――悪意の循環」",
"506001011_77": "「そんな悪意の循環に、\\n あなたたちの世界もまた、組み込まれたんです」",
"506001011_78": "「悪意の、循環。\\n わたしたちの世界に、巡るもの……」",
"506001011_79": "「あいつは、\\n あたしたちの世界を認識してなかったのに……」",
"506001011_80": "「最初はそうだったのかもしれません。\\n でも、最後にはあなたたちを敵として認めていた」",
"506001011_81": "「あなたたちが、自分の意思で歩き始めたからこそ……ッ!」",
"506001011_82": "「――そうだ。\\n あなたたちも、悪くなかったわよ」",
"506001011_83": "「あなたたちと拳を交わしたおかげで、\\n わたしは、『全ての世界』に干渉する術がわかった……」",
"506001011_84": "「もう、わたしの手が届かない世界はない。\\n どれほどに遠い大地であっても、わたしは必ずそこにいる」",
"506001011_85": "「わたしは、永劫潰えることのない悪意として、\\n 全ての世界に溶けていくの」",
"506001011_86": "「あらゆる世界の人間……その最後の1人が、\\n 絶望を抱いて死ぬのかどうか、それを見届けるために、ね」",
"506001011_87": "「なら、あいつの言葉は……」",
"506001011_88": "「全て、本当だった……?」",
"506001011_89": "「その兆しはすでに観測されています」",
"506001011_90": "「奏さんが話してくれました。あの世界の住民が言うには、\\n 最近は獲物がよく取れる――特に蛇が、卵まで産んでいる、と」",
"506001011_91": "「――ッ!?\\n 蛇……ベアトリーチェの……ッ」",
"506001011_92": "「巡る世界への妬み、終わる世界を生み出した神への憎しみ。\\n そして世界を壊したシンフォギアへの後悔……」",
"506001011_93": "「わたしたちの世界は、\\n ベアトリーチェの好みだったかもしれませんね……」",
"506001011_94": "「たった1つの要素が循環しただけでは、\\n 世界を維持するエネルギーには足りないかもしれません」",
"506001011_95": "「元となる力も、とびきりの悪意です。\\n どんな影響があるかはわかりません、ですが――」",
"506001011_96": "「それでも、力は力。強い想い。\\n それが、届いた――」",
"506001011_97": "「世界に染み込んだ想いの力が、神の摂理を打ち崩したんです」",
"506001011_98": "「わたしたちの世界の摂理を、\\n わたしたちが憎んだ敵が、打ち壊してくれた……」",
"506001011_99": "「ハ……ハハ……\\n それって、なんて……冗談ですか……」",
"506001011_100": "「冗談なもんか。\\n おまえらがしてきたこと、あたしたちがしてきたこと――」",
"506001011_101": "「全部繋がって、こうなってんだ。\\n それならそれは、『キセキ』ってこったろ」",
"506001011_102": "「それに……種になるのが悪意であっても、\\n 咲かせるのは人の意志だ」",
"506001011_103": "「英雄の背中を見た人間ならば、\\n 悪意からでも美しい花を咲かせるはずだ」",
"506001011_104": "「なら、世界は……\\n あたしたちの、世界は……」",
"506001011_105": "「終わりませんッ」",
"506001011_106": "「エルフナイン……」",
"506001011_107": "「いつでも代わるデスよッ!」",
"506001011_108": "「ぐす……ッ",
"506001011_109": " いいえッ! これを2人に伝えるのは、ボクの役目ですからッ!」",
"506001011_110": "「……あ、あの――\\n エルフナイン……」",
"506001011_111": "「いいから聞いてくださいッ!!」",
"506001011_112": "「――ッ!!」",
"506001011_113": "「――終わったり、しないんですッ!!\\n あなたたちの世界も、ボクたちの世界もッ」",
"506001011_114": "「キャロルが繋いでくれた、この世界……\\n みんなが繋ごうとした、あなたたちの世界……ッ」",
"506001011_115": "「たとえ、どれだけ遠くなったって――」",
"506001011_116": "「<size=40>誰にだって、終わらせられるもんかッッ!!!</size>」",
"506001011_117": "「…………終わら、ない……」",
"506001011_118": "「そうか……\\n …………終わらないんだな」",
"506001011_119": "「……わたしたちの戦いは、\\n ……無駄じゃ、なかった……」",
"506001011_120": "「無駄じゃなかったんだ、ヨウ……ッ!」",
"506001011_121": "「キョウ……みんな……、\\n あり、がとう……」",
"506001011_122": "「「あぁ、う、ぅぁぁ……、\\n わああああん――」」"
}

View file

@ -0,0 +1,107 @@
{
"506001021_0": "数週間後――",
"506001021_1": "「世界の再生は、\\n ゆっくりとですが進んでいます」",
"506001021_2": "「各国機関の協力もあり、居住区の復興は順調です。",
"506001021_3": " それでも自然が受けた影響は甚大ですね……」",
"506001021_4": "「ダメージを受けたのは星の命そのものだ。\\n 今すぐ治れ、などと無茶は言えんさ」",
"506001021_5": "「翼さんたちのライブ以降、世論は落ち着きを見せています。\\n この星の住人はいくつもの苦難を乗り越えてきましたからね」",
"506001021_6": "「まったく、最高だな。どいつもこいつも肝が据わってる。",
"506001021_7": " ならば残る問題は、世界間の移動について、か」",
"506001021_8": "「はい、ギャラルホルンは未だに稼働しないままです。\\n 継続して再起動を試みているのですが……」",
"506001021_9": "「やはり今の俺たちの手元に残った星を渡る手段は、\\n あれだけということだな」",
"506001021_10": "「……まもなく時間です。\\n 司令もお見送りにどうぞ」",
"506001021_11": "「ああ、ここは任せる」",
"506001021_12": "「それじゃあ、改めて――\\n これを受け取ってくれ」",
"506001021_13": "「これって……\\n 人の、カヴァーチャの……ッ」",
"506001021_14": "「キョウちゃんの繋ぐ手と、\\n ヨウちゃんの、明日に走るための足……ッ」",
"506001021_15": "「あたしたちは奪い合い――、\\n いや、勝ち取るための勝負に負けた」",
"506001021_16": "「挙げ句に<ruby=みらい>未来</ruby>の可能性までもらったんだ。\\n それぞれつぐらいは渡しておかないと、胸を張って帰れない」",
"506001021_17": "「歪んでしまった想いでもあったけれど……」",
"506001021_18": "「遍く世界群の観測データから構築された、\\n 技術の結晶とも言えるのがカヴァーチャ・システムです」",
"506001021_19": "「ギャラルホルンと繋がっている今なら、\\n 並行世界への――星々を超えての移動は容易いはずです」",
"506001021_20": "「勝ったのはあたしってわけじゃないのに、\\n 受け取っていいもんかね」",
"506001021_21": "「いいんだ――いや、正しく、託したいんだ。\\n 死んでも生きると唄った、あの不死鳥の翼に」",
"506001021_22": "「――なら、ありがたく預からせてもらうよ」",
"506001021_23": "「……響、あなたにも。\\n この世界だけでなく、わたしたちの世界にとっても運命の人」",
"506001021_24": "「わたしたちから勝ち取った力、\\n どうか持っていてください」",
"506001021_25": "「……ありがとう」",
"506001021_26": "「でも、これは勝ち取ったんじゃなくて、\\n 大事な友達に貸してもらったんだって思ってるからッ」",
"506001021_27": "「お好きにどうぞ。\\n 間違っているとは、言いませんから」",
"506001021_28": "「……キョウちゃん、ヨウちゃん、\\n もう少しだけでもこの世界に残らない」",
"506001021_29": "「2人が……眠らなくて済む方法だって、\\n みんなで探せば見つかるかも……」",
"506001021_30": "「……だな、何とかして他の並行世界の手も借りられれば、\\n 他の手だって見つかるかもしれないだろ」",
"506001021_31": "「ええ。観測だけではわからない、\\n 本当に頼れる人は何人もいるのよ」",
"506001021_32": "「……いいんです。\\n 眠るのなら、わたしたちの世界がいい」",
"506001021_33": "「あなたたちの手元に、命そのものは返せたのだとしても……\\n わたしたちは、多くを傷つけました」",
"506001021_34": "「その償いのために、本当なら、こちらに残るべきだろうに。\\n あたしたちの世界に帰っていいとまで言う」",
"506001021_35": "「……それはそうさ」",
"506001021_36": "「世界のために血涙すら流し戦った子供たちに、\\n ねぎらいすら与えない大人がどこにいる」",
"506001021_37": "「――ッ、風鳴、弦十郎……ッ!」",
"506001021_38": "「……凄まじい存在感だな」",
"506001021_39": "「罪は罪だと、糾弾する人間はいるだろう。\\n それは事実だ」",
"506001021_40": "「だが、君たちへの『報酬』――世界の再生、活性は、\\n 君たちが生きている間には、おそらく与えられないものだ」",
"506001021_41": "「それは……それこそが悲願だった君たちにとって、\\n 十分すぎる罰だと、俺は思う」",
"506001021_42": "「……そうかもしれません。",
"506001021_43": " でも、いいんです」",
"506001021_44": "「わたしたちはもう、誰にも呪いを託さずに済む」",
"506001021_45": "「ああ……。\\n そんな罰なら、いくらでも受けよう」",
"506001021_46": "「冷えた諦めの中じゃなく、<ruby=みらい>未来</ruby>を信じて眠りにつく。\\n それは幸福なんだ、何よりも望んだ幸せだよ」",
"506001021_47": "「キョウさん、ヨウさんッ!\\n 聞こえますか」",
"506001021_48": "「こっちから、2人が帰ってこられるよう、\\n 補助のための流れを作りますッ」",
"506001021_49": "「ああ、よろしく頼む」",
"506001021_50": "「あ……それと、\\n シンフォギアはそこにいますか」",
"506001021_51": "「……ッ!\\n いるッ いるよ、カイくんッ」",
"506001021_52": "「……オレ、まだなんて言っていいのかなんてわかんないよ。\\n 心んなか、ぐちゃぐちゃで……でもさ」",
"506001021_53": "「ほんとは思った。あんたたちが唄った歌、\\n すごく力強くて……とびきりキレイだったって」",
"506001021_54": "「……それだけッ!\\n ありがとな、キョウさんとヨウさんのこと、帰してくれてッ」",
"506001021_55": "「フフ……\\n それだけ、じゃなかったね」",
"506001021_56": "「うん……」",
"506001021_57": "「……」",
"506001021_58": "「…………それじゃあ、お別れです」",
"506001021_59": "「……いつかまた、なんてぬるいことは言えない。\\n けど……」",
"506001021_60": "「わたしの片腕は」",
"506001021_61": "「あたしの片足は」",
"506001021_62": "「「あなたたちと共にある」」",
"506001021_63": "「見送ることしかできないんだね」",
"506001021_64": "「別れも、悲しさも、当然にあるもの……、\\n それでも……アタシたちは――」",
"506001021_65": "「うん……だから、これからも抗おうね。\\n あの人がそうしたみたいに」",
"506001021_66": "「さて――\\n そういうことだとさッ」",
"506001021_67": "「奏……」",
"506001021_68": "「いつまでもしんみりしてるのは\\n 性に合わないんだよッ」",
"506001021_69": "「……だから、あたしの決意も鈍らないうちにさ。\\n この片割れ、使わせてもらってもいいかな」",
"506001021_70": "「うん、奏が預けられたものだもの。\\n ――それで、構いませんね」",
"506001021_71": "「無論だ。\\n 元より、今を逃せば早々使えるものでもない」",
"506001021_72": "「沈黙したギャラルホルンとカヴァーチャが繋がっているのは、\\n 機能停止前に世界が接続していたことによる偶然でしかありません」",
"506001021_73": "「切断までにラグが起きているようなもの。\\n これが途切れれば、もう使用することはできないでしょう」",
"506001021_74": "「というわけだ。\\n 惜しむ理由はない、好きに使ってくれ」",
"506001021_75": "「ありがとよ。\\n となると、さっさと帰るのが上策だね」",
"506001021_76": "「でも……他に世界を……星間を繋ぐ方法が見つからなければ、\\n これが……別れになる、のかな」",
"506001021_77": "「なーにが別れだよ。\\n あたしたちだって、いつも一緒、だろ」",
"506001021_78": "「うん……そうだった。",
"506001021_79": " どれほどに遠い、星の彼方にあったとしても」",
"506001021_80": "「あたしたちの歌は、いつだって繋がってる」",
"506001021_81": "「翼ッ! 次のライブにはあたしも呼べよッ!\\n じゃあまたなッ」",
"506001021_82": "「さあ開け、カヴァーチャ……ッ!\\n あたしが選んだ――あたしが生きる世界への道をッ」",
"506001021_83": "「まったく……強引なんだから。ツヴァイウィングが\\n 再び唄う姿など見せれば、世界がひっくり返るよ……」",
"506001021_84": "「並行世界――宇宙に広がる世界群の存在を、人々は知った。",
"506001021_85": " ありえない<ruby=みらい>未来</ruby>でもないぞ?」",
"506001021_86": "「では……楽しみに待つとします。\\n 我々の望む<ruby=みらい>未来</ruby>を」",
"506001021_87": "「ええ、必ずそんな<ruby=みらい>未来</ruby>が訪れますッ!\\n いいえ、創り出すんですッ すぐにだってッ」",
"506001021_88": "「シンフォギア・システムは櫻井了子女史が作り上げたもの。\\n カヴァーチャ・システムだって人の可能性の結晶ですッ」",
"506001021_89": "「神へと手を伸ばすシンフォギア、<ruby=アーティファクト>人工聖遺物</ruby>という新たな力。\\n 人の可能性はこうして目の前にありますッ」",
"506001021_90": "「ボクは諦めません。また並行世界のキャロルと――、",
"506001021_91": " みなさんと一緒に笑い合う<ruby=みらい>未来</ruby>をッ!」",
"506001021_92": "「うんッ!\\n 絶対に、またみんなと会うんだッ」",
"506001021_93": "「そうだな……\\n きっとこの宇宙のどこかで、あいつらだってそれを目指してる」",
"506001021_94": "「ええ。\\n それを信じられるほどに、わたしたちは繋がっている」",
"506001021_95": "「わたしたちは、\\n 独りじゃない……」",
"506001021_96": "「それなら……\\n まずは何からするデスか」",
"506001021_97": "(ぐぅぅ〜〜……)",
"506001021_98": "「あ……",
"506001021_99": " エヘヘ……みんな、おなかすかない?」",
"506001021_100": "「フフ……\\n おさんどんの出番ですね」",
"506001021_101": "「ああ、良い案だ」",
"506001021_102": "「いっぱいがんばって、明日も、明後日も、その先も……\\n 生きて、生きて――がんばって生きていくためにッ」",
"506001021_103": "「ごはんを食べて、いっぱい眠って……\\n それで、また明日、歩き出そうッ」",
"506001021_104": "「おおーッ!!!」"
}

View file

@ -0,0 +1,36 @@
{
"506001031_0": "「……ねえ、よかったの?」",
"506001031_1": "「……ん?\\n どうしたの、ヨウ」",
"506001031_2": "「あの子たちに……響たちに、\\n もうつ、言うか迷ってたこと」",
"506001031_3": "「結局、言わなかったから……」",
"506001031_4": "「……ああ、フフ。",
"506001031_5": " あのことか……」",
"506001031_6": "「うん。\\n いいんだ。だって、些細なことだもの」",
"506001031_7": "「わたしたちの宇宙もまた、神が作ったという点では同じ――\\n 大きく離れても『可能性』のつだったなんて」",
"506001031_8": "「だって、別々に生きてきたんだもの。\\n わたしは、わたしとして」",
"506001031_9": "「あの子は、あの子として――\\n それは、他の世界の『可能性』たちだって、同じこと……」",
"506001031_10": "「だから、これはわかってくれる人がいれば……\\n ヨウがわかっててくれれば、それでいいの」",
"506001031_11": "「……キョウのそういう頑固、\\n 昔から変わらないよね」",
"506001031_12": "「……そうかな?」",
"506001031_13": "「そうだよ。",
"506001031_14": " ……だからあたしは、あなたを支えたいって思うんだもの」",
"506001031_15": "「……でも、それなら、ヨウだって変わらないよ」",
"506001031_16": "「他の人が……それに、あなた自身がなんて言ったって、\\n あなたはわたしの陽だまりなんだから」",
"506001031_17": "「…………もう」",
"506001031_18": "「……不思議だね。\\n あの子たちが、ずっと感じていたこと……」",
"506001031_19": "「あたしたちも、ずっと見ていたはずのこと」",
"506001031_20": "「……うん。わかったつもりで、\\n でも、本当には、手を繋がないとわからないこと……」",
"506001031_21": "「――――あ」",
"506001031_22": "「ゲートを抜ける……\\n 見放された世界に辿り着くんだ」",
"506001031_23": "「…………」",
"506001031_24": "「……ギャラルホルン。ドラウプニル。ナグルファル」",
"506001031_25": "「スヴォル、グレイプニル、ミョルニル、\\n ミストルティン、フロッティ――」",
"506001031_26": "「……?」",
"506001031_27": "「わたしたちは、たくさんの世界を観測してきた。\\n 何かのターニングポイントを齎す<ruby=聖遺物>モノ</ruby>の名前をつけて――」",
"506001031_28": "「それに、わたしたちの世界は……\\n もう、見放されてなんかいない」",
"506001031_29": "「……そうか、永いこと、誰も呼ばなくなってしまった、\\n あたしたちの世界の名前――」",
"506001031_30": "「……そんなの、寂しいもんね」",
"506001031_31": "「うん。\\n だから……」",
"506001031_32": "「……ただいま、『カヴァーチャ』。\\n わたしたちが生きて――」",
"506001031_33": "「生き抜いてからようやく、死すべき世界」"
}

View file

@ -0,0 +1,51 @@
{
"506001111_0": "天の光はすべて星",
"506001111_1": "数日後――",
"506001111_2": "「……うわあッ!」",
"506001111_3": "「ちょうど夕焼けの時間だったんだ。\\n うわー、うわあああ……キレイッ」",
"506001111_4": "「この空の向こうにみんなの世界がある……。\\n そう思うとなんだか不思議な気分になるね」",
"506001111_5": "「この宇宙にある星だけじゃないよ」",
"506001111_6": "「直接は繋がっていないかもしれないけど……、\\n この夕焼けを見ていると、あの世界を思い出せるから」",
"506001111_7": "「そうだね。\\n 終わりを定められて尚、諦めていなかった星を」",
"506001111_8": "「……未来、覚えてるよね、あの世界で聞いた昔話。\\n 神様へ届けと唄ったシンフォギア」",
"506001111_9": "「うん。\\n きっとわたしたちと同じ気持ちだった人」",
"506001111_10": "「神様に届けと、シンフォギアを唄ったのは\\n この星ではわたしたちだった」",
"506001111_11": "「もしもわたしがあの星に生まれていたら、\\n きっと同じことをしたと思うんだ」",
"506001111_12": "「たとえそれが滅びを招くとしても、\\n 終わってしまう明日に耐えられなくて」",
"506001111_13": "「いくら強くなったつもりでも、結局わたしは弱いままなんだ。\\n だっていつまでも受け入れられない」",
"506001111_14": "「救いたい人が救えないことも、\\n 護りたい人が護れないことも」",
"506001111_15": "「今だって、キョウちゃんとヨウちゃんを、\\n 送り出すことしかできなかったのが、悔しくて仕方ないッ」",
"506001111_16": "「だからきっと、わたしは歌を止められない。\\n この歌が、世界を傷つけるとしても」",
"506001111_17": "「だとしたら――、\\n その時に隣で唄っているのは、わたしだよ」",
"506001111_18": "「未来が……隣で……?」",
"506001111_19": "「響が神様に手を伸ばした時、\\n 隣にいたのはわたしでしょ」",
"506001111_20": "「だったら世界へ唄う時も、\\n わたしが一緒だよ」",
"506001111_21": "「響1人に世界を背負わせたりしない。\\n あなただけに世界を終わらせたりはしないから」",
"506001111_22": "「それに……\\n そもそもそんなこと、させないもの」",
"506001111_23": "「フ……アハハッ!\\n うんッ そりゃそうだよねッ」",
"506001111_24": "「わたし1人じゃ、わからない。\\n でも未来がいてくれたら、きっと……」",
"506001111_25": "「何があったって、『明日』に繋がる歌を唄える」",
"506001111_26": "「それに、そんなこと考えてるよりも先に、\\n しなきゃいけないことがあるでしょ」",
"506001111_27": "「うん。\\n そうだよね」",
"506001111_28": "「並行世界のみんなと繋がっている、\\n 『この世界』のわたしたちの日常を――」",
"506001111_29": "「わたしたちは取り返さなきゃ」",
"506001111_30": "「……おどかすわけじゃないんだよ?」",
"506001111_31": "「でも……できると思う?\\n 観測できないほど遠い宇宙にある、みんなの世界に」",
"506001111_32": "「もう一度、手を伸ばすことが」",
"506001111_33": "「もちろんッ!」",
"506001111_34": "「大丈夫。\\n ――絶対に帰ってくるよ」",
"506001111_35": "「だって……\\n せわしなくて、辛いこともたくさんあって……」",
"506001111_36": "「だけど確かに愛しかった、\\n わたしたちの日常なんだからッ」",
"506001111_37": "「手を伸ばしているのは、わたしたちだけじゃない。\\n わたしたちは……手を伸ばし合うんだもんッ」",
"506001111_38": "「……うんッ!\\n 届かないはずがないよねッ」",
"506001111_39": "「うん。\\n もし、仮に……ほんとのほんとに、ちょぴーっとだけッ」",
"506001111_40": "「わたしが生きている間にそれが叶わないとしても――\\n 今はね、あんまり怖くないんだ」",
"506001111_41": "「この願いは、想いは……\\n 誰かを知りたい、誰かを抱きしめたい気持ちは……」",
"506001111_42": "「この星の海の向こうまで、どこの宇宙にだって――\\n きっと、届けてくれる『誰か』が生まれているって信じられるから」",
"506001111_43": "「……うん。\\n わたしも、そう信じて――」",
"506001111_44": "「――くちゅんッ!」",
"506001111_45": "「わッ!?\\n 冷えてきたもんね、大丈夫」",
"506001111_46": "「う、ううう〜……\\n ごめん、話の途中で……ムズムズ鼻がいうこときかなくてぇ……」",
"506001111_47": "「フフ、いいってば。\\n じゃあ……」",
"506001111_48": "「うん、帰ろうッ!\\n わたしたちの、居場所へッ」"
}