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{
"399000111_0": "壊すもの、護る意思",
"399000111_1": "並行世界へと『OTHERS』の攻撃がはじまる数ヶ月前――",
"399000111_2": "「なんだよこれ……、\\n どうなってるんだッ」",
"399000111_3": "「お母さん……お父さん……。\\n やだ、怖いよぉ……」",
"399000111_4": "「俺の指が……身体が、崩れて消えていく……ッ!\\n やめてくれ、死んじまう……ッ」",
"399000111_5": "「寒いよ……気持ち悪い……」",
"399000111_6": "「やめろ化け物ッ!\\n 離れろッ 離れろよ、離してくれよ……ッ」",
"399000111_7": "「落ち着けッ! お前はまだ死んでいない。\\n この私が殺させないッ」",
"399000111_8": "「暴れられると、\\n 術式の効率が落ちるワケダッ」",
"399000111_9": "「そんなこと言ったってッ!\\n 俺の手がッ 指の先から消えていくんだよッ」",
"399000111_10": "「その分解能力を超える速度で再構築しているッ!\\n そのままじっとしていろッ」",
"399000111_11": "「死にたくなければ、\\n 大人しくするワケダね……ッ」",
"399000111_12": "「私たちの錬金術は人を助けるためにある。\\n 信じてくれ……ッ」",
"399000111_13": "「で、でも……ッ!!」",
"399000111_14": "「怖いよぉ……ッ!」",
"399000111_15": "「……ほう。\\n 魔術師ども、まだ無駄な努力を続けていたか」",
"399000111_16": "「なるほど。術式で分解を反転しているわけか……",
"399000111_17": " だが、拮抗を保つのが精一杯のようだな?」",
"399000111_18": "「――ッ!\\n 貴様……ッ」",
"399000111_19": "「わたしたちのことを『魔術師』とは……\\n 随分と古めかしい呼び方なワケダ……ッ」",
"399000111_20": "「……」",
"399000111_21": "「価値なきモノを護るために、\\n 自ら死地へと踏み込むとは……余りに愚かだ」",
"399000111_22": "「だが……そうして貴様らが抗うことによって、\\n 無駄な素材も活用され、錬金術のデータを収集できる」",
"399000111_23": "「我にとっては都合がいいことだ。\\n 献上品としては、いささか矮小な知ではあるが……」",
"399000111_24": "「無駄な、素材……ッ!?\\n 俺たちのことを言ってるのかッ」",
"399000111_25": "「わたしたち、どうなっちゃうの……?」",
"399000111_26": "「無駄なモノなど存在しない。\\n この世の遍くには価値がある。それが錬金術師の考えだッ」",
"399000111_27": "「あんた……」",
"399000111_28": "「この男も、この子も……ッ!\\n 絶対に家族のところへ返してやるワケダッ」",
"399000111_29": "「お、お姉ちゃん……」",
"399000111_30": "「ふむ、再構築の速度が上がっている、か……?",
"399000111_31": " ならば試してみるとしよう」",
"399000111_32": "「――ッ!\\n 分解の勢いが増したッ」",
"399000111_33": "「つくづく厄介なワケダッ!\\n サンジェルマンッ 力を合わせるワケダッ」",
"399000111_34": "「ああ……ッ!」",
"399000111_35": "「ほう、これでも耐えるか……。",
"399000111_36": " だが、ノイズの強化は有効だな」",
"399000111_37": "「くッ、ノイズごときに……」",
"399000111_38": "「この分解能力……ッ!\\n イズやアルカ・イズの枠はとっくに飛び越えてるワケダ」",
"399000111_39": "「ああ、もはやこれは、ノイズであってノイズではない。\\n 気を抜けばこちらが押し切られる……ッ」",
"399000111_40": "「そのまま、術式の維持でも続けているがいい。\\n お前たちには下手な拘束よりも有効だろう」",
"399000111_41": "「さて、ソロモンの杖もこの身に馴染んできたところだ。\\n いくつか門を同時に開いてみるとするか」",
"399000111_42": "「――ッ!?」",
"399000111_43": "「今までは小規模な門しか開けなかったが……\\n 世界各地、同時に、ある程度の規模の門を開いたならば……」",
"399000111_44": "「さあ……救世主気取りの魔術師どもは、\\n どれだけのヒトを救えると言うのかね」",
"399000111_45": "「――下衆がッ!」",
"399000111_46": "北米、とある街にて――",
"399000111_47": "「なんだ、こいつ……ッ!?」",
"399000111_48": "「こりゃ、まさか、ノイズとかいう化け物かよッ!?\\n おい、逃げろッ 早くッ」",
"399000111_49": "「く、来るなッ! ",
"399000111_50": " うわあああああッ!?」",
"399000111_51": "「くそ……ッ! 局長が言っていた通りだッ!\\n こ、こんなの俺たちみたいな下っ端にはどうしようも……ッ」",
"399000111_52": "「狼狽えるなッ!\\n 各自、落ち着いて対応にあたれッ」",
"399000111_53": "「この事態、対処しているのは私たちだけではない……\\n 局長の命令を信じるんだッ」",
"399000111_54": "「そうですよね……\\n アダム局長……ッ」",
"399000111_55": "「市街地にノイズが出現ッ!\\n かなりの数ですッ」",
"399000111_56": "「動けるな、奏」",
"399000111_57": "「当たり前だ、すぐに出るッ!\\n イズの好きにやらせるかッ」",
"399000111_58": "「国内だけでなく、\\n 世界各地からイズ出現の報告が届いています」",
"399000111_59": "「……どうするにせよ、まずは手の届く範囲からよ。\\n 装者のサポートに集中して」",
"399000111_60": "「……偶然、なはずがないわね。\\n これは……」",
"399000111_61": "「……ふむ、まだこの程度か。\\n 大望を遂げるにはまだ少しの時が必要だな……」",
"399000111_62": "「お前たちはそのまま術式を行使し、大人しくしているがいい。\\n いずれ有効に使ってやる」",
"399000111_63": "「調子に乗っているワケダ……」",
"399000111_64": "「だが、そこにこそ付け入る余地がある。\\n そして私たちには仲間がいる。必ず気づいてくれるはずだ」",
"399000111_65": "「それまでは耐え忍ぶワケダね」",
"399000111_66": "「ああ」",
"399000111_67": "「信じているぞ、カリオストロ、局長。\\n ――キャロル」"
}

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@ -0,0 +1,67 @@
{
"399000121_0": "特異災害『ノイズ』",
"399000121_1": "それは立花響たちの世界では、\\n既に駆逐された存在である。",
"399000121_2": "あらゆる空間から突如として発生し、人を襲う異形。\\n有史以来、幾度となく現れ、人類を苦しめたとされている。",
"399000121_3": "ノイズは人間を炭素へと変換する能力を有し、\\n死体すら残さず消滅させることで殺傷せしめる。",
"399000121_4": "また位相差障壁と呼ばれる防壁を備え、\\n特殊な技術を除く、通常の物理攻撃を無力化してしまう。",
"399000121_5": "ほとんど全ての人間にとって対抗策のない、\\n人が人を殺すために作られた、恐るべき兵器である。",
"399000121_6": "バビロニアの宝物庫、ノイズプラントより出でた殺戮兵器は、\\n今日までこの世界に残存し続けているのだ――",
"399000121_7": "「…………」",
"399000121_8": "「えーと。つまりノイズについてのおさらいってわけね。\\n 丁寧な説明をどうも」",
"399000121_9": "「――それで? 今さらオレたちにノイズの講義か?\\n 錬金術師協会統制局長はよほど暇らしいな」",
"399000121_10": "「とんでもないね、暇だなどと。この緊急事態だよ。\\n キミも知っているだろう、断続的にイズが発生している件は」",
"399000121_11": "「ここ数日で頻発しているノイズの大量発生現象か。\\n オレにも仕事が押し付けられた、知らないはずがない」",
"399000121_12": "「あーしなんてさっきまでノイズとデートだったのよ?\\n 日連続でッ これじゃお肌の調子が崩れちゃうわ」",
"399000121_13": "「サンジェルマンとプレラーティには連絡が取れないし……。\\n あの人がいればもう少し楽が出来たのにね」",
"399000121_14": "「まさにその件だよ、僕の話は。\\n 原因の対応を頼みたいのさ、イズ大量発生の」",
"399000121_15": "「やっぱりこの事態……\\n イズの自然発生じゃなく、何か原因があるのね」",
"399000121_16": "「そうでなければありえないよ、こんな状況は。\\n 可能性があるのさ――」",
"399000121_17": "「『ソロモンの杖』が稼働しているという可能性が、ね」",
"399000121_18": "「バビロニアの宝物庫の門を開き、\\n イズを支配する聖遺物か……」",
"399000121_19": "「件の立花響の世界では、\\n ソロモンの杖……宝物庫の鍵を内側に格納することで――」",
"399000121_20": "「少なくとも外界から、扉をこじ開ける干渉はできなくなった。\\n 事実上の閉鎖というわけだ」",
"399000121_21": "「その通り」",
"399000121_22": "「そして……少しばかり前のことでね。\\n ソロモンの杖が見つかったというのは」",
"399000121_23": "「だからこそ、秘密裏に頼んでいたんだ。その回収を。\\n サンジェルマンとプレラーティにね」",
"399000121_24": "「しかし……途絶えてしまったんだよ。\\n 人からの連絡が」",
"399000121_25": "「2人にソロモンの杖を探しに行かせていたわけ?",
"399000121_26": " ちょっと、どうしてあーしにも知らせなかったのよッ」",
"399000121_27": "「大きすぎるのさ。世界に与える影響が。\\n ソロモンの杖はね」",
"399000121_28": "「情報を知らせるのは限られた人数にしたほうがいい\\n ……ってことね。そりゃまあ、わからなくはないけど……」",
"399000121_29": "「だからこそ、単独で動いてもらっていたんだ。\\n まずはプレラーティ、そしてサンジェルマンに」",
"399000121_30": "「だが……」",
"399000121_31": "「……なんの問題もないと思ったのさ、あの2人なら。\\n 対処できるはずだった、どんな危険があっても」",
"399000121_32": "「……その結果、2人は行方不明というわけか。\\n お前の失策だな」",
"399000121_33": "「返す言葉もない、悔しいけどね。",
"399000121_34": " だが、手がかりはあるんだ、幸いにも」",
"399000121_35": "「あるポイントに反応が出ているのさ。\\n チフォージュ・シャトーのね」",
"399000121_36": "「チフォージュ・シャトーッ!?\\n 改めて封印したはずよねッ」",
"399000121_37": "「ああ。そして今もなお、その封印を破られた形跡もない。\\n けれど観測されているのさ、実際に」",
"399000121_38": "「どういうことなの……?\\n 封印したチフォージュ・シャトーが、どうして」",
"399000121_39": "「あの城は、もともとやつのものだ。何かしら、\\n 似た反応を発生させ、位置を知らせることは可能かもしれん」",
"399000121_40": "「プレラーティの……? ……確かに、",
"399000121_41": " サンジェルマンもいるなら、それぐらいはやってのけるかも」",
"399000121_42": "「ならどっちか人、もしくは人からのSOS信号ッ\\n あーしたちの助けを求めてるってことねッ」",
"399000121_43": "「或いは、敵の居場所を示しているのか……。\\n ここを攻撃しろというターゲットマーカーかもしれんな」",
"399000121_44": "「そのパターンもありえるわね。\\n 何があったとしても、無抵抗に諦める人じゃないもの」",
"399000121_45": "「そういうわけで、探してもらいたいのさ、あの2人を。\\n その上で見つけ出して欲しい、ソロモンの杖もね」",
"399000121_46": "「1人ずつ問題解決に送り込んで甲斐無い結果。\\n であれば、オレたちは同時に、か。なるほどな」",
"399000121_47": "「その通りさ。錬金術師協会には、\\n 一程度には脅威に対抗する術を持つ者たちはいるが――」",
"399000121_48": "「殆どが出払っているんだよ、各地に出没するノイズの対処で。\\n 正直に言えば不安がある、本部の護りにすら」",
"399000121_49": "「僕もこの場を離れなければならない、やることがあるからね。",
"399000121_50": " だから頼りたい、この組織に属する全ての錬金術師に」",
"399000121_51": "「お前が凡百の錬金術師に頼るほどか……」",
"399000121_52": "「だとしたら……本部に幹部を残さないことになるわよね。\\n それはちょっと無責任じゃないかしら」",
"399000121_53": "「否定はできないね、だから頼みたいんだ。\\n 貸してくれないかな、キャロルの騎士たちの力を」",
"399000121_54": "「――ッ!\\n オレの<ruby=オートスコアラー>自動人形</ruby>を本部の防衛に使うつもりか?」",
"399000121_55": "「彼女たちも錬金術師協会の人員だ、キミと同じく。\\n ならば力を貸して欲しい、この難局に」",
"399000121_56": "「信じられるからね、\\n キミと共に力をつけてきた<ruby=オートスコアラー>自動人形</ruby>たちなら」",
"399000121_57": "「……いいだろう。この拠点がノイズどもに分解されつくし、\\n 後から再構築に駆り出されるのも面倒だ」",
"399000121_58": "「ふぅん……あの子たちが残るなら、\\n ここの戦力は十二分ってとこね」",
"399000121_59": "「なら……\\n あーしとあなたで迷子を迎えに行きましょッ」",
"399000121_60": "「きっと今頃寂しくて泣いてるわ。\\n やさし〜く包み込んであげないとね」",
"399000121_61": "「……お前を残して、\\n <ruby=オートスコアラー>自動人形</ruby>を連れて行ってもいいか?」",
"399000121_62": "「ちょっとッ! 幹部級の錬金術師を置いてく気なのッ!?",
"399000121_63": " 必ず役に立つわよ、保証してあ・げ・る♪」",
"399000121_64": "「問題なのはお前の腕じゃない。\\n 口から出てくる言葉の方だ……」"
}

View file

@ -0,0 +1,41 @@
{
"399000131_0": "「――というわけだ。\\n オレは出る。お前たちは、この本部を護れ」",
"399000131_1": "「ええーッ!?",
"399000131_2": " マスターと一緒に戦いたいゾッ!」",
"399000131_3": "「サンジェルマン、プレラーティ……\\n どちらも侮れない力を持っていましたが……」",
"399000131_4": "「あの2人がやられちゃうぐらいなら、\\n マスターだって危ないかもしれませんよ」",
"399000131_5": "「むしろマスターに残って頂いて、\\n 私たちが捜索に出てはいかがですの」",
"399000131_6": "「休むことなく稼働できるお前たちは防衛にこそ真価を発揮する。\\n オレ人が残るよりずっと有益だ」",
"399000131_7": "「マスター……」",
"399000131_8": "「錬金術師協会は総力を上げて、\\n イズ大量発生の被害を食い止めようとしている」",
"399000131_9": "「この本部には、\\n 戦闘経験の浅い錬金術師しか残っていない」",
"399000131_10": "「ノイズ相手ならば、術式を用いてある程度身を護れるとしても、\\n 強者を相手にすれば壊滅は必至だ」",
"399000131_11": "「だが、オレもあの男も、お前たちになら任せられると判断した。\\n なぜなら――」",
"399000131_12": "「本部近くにノイズがッ!\\n 大量だッ すぐに対応をッ」",
"399000131_13": "「ちッ、こんな時に……いや、今で幸いだったか。",
"399000131_14": " まずは奴らの対処に向かうぞッ!」",
"399000131_15": "「……まぁったく。\\n 何を言っちゃってんですか、マスター」",
"399000131_16": "「な……何をしているはこちらのセリフだッ!?",
"399000131_17": " お前たちに任せると言ったばかりだろうッ!」",
"399000131_18": "「だからこそ、ですよぉ。\\n マスターにはお仕事があるんでしょう」",
"399000131_19": "「マスターからの信頼、無下にするつもりはありませんわ。",
"399000131_20": " 故にこそ……どうぞこの場はお任せください」",
"399000131_21": "「協会所属の錬金術師たちが見ているのだ、\\n マスターの分まで派手に戦いましょう」",
"399000131_22": "「マスターが帰ってくるまで、\\n あたしたちがここを護るゾッ」",
"399000131_23": "「お前たち……」",
"399000131_24": "「……そうか、ならば任せよう。\\n オレの忠実な騎士たちになッ」",
"399000131_25": "「さて。\\n おしゃべりはもういいのかしら」",
"399000131_26": "「ああ、さっさと行くぞ」",
"399000131_27": "「何よぅ、もう。\\n せっかく待っててあげたっていうのに」",
"399000131_28": "「ま、それならそれで、\\n 局長から預かったテレポートジェム、起動しちゃうわよ」",
"399000131_29": "「チフォージュ・シャトーの反応近くへ向かう特別製。\\n 後戻りはできないからね」",
"399000131_30": "「上等だ。\\n 面倒はさっさと片付ける」",
"399000131_31": "「じゃ、出発よッ!」",
"399000131_32": "「<size=25>――オレは良い騎士を持ったな</size>」",
"399000131_33": "「行ってらっしゃいませ、マスター」",
"399000131_34": "「マスターはあたしを信じたんだゾ!\\n 絶対に負けられないゾッ」",
"399000131_35": "「地味な見栄を張るな。\\n マスターは私たち全員を信じたのだ」",
"399000131_36": "「期待外れだなんて言われないように、\\n 精々お仕事と参りましょうか」",
"399000131_37": "「ええ、マスターがお戻りになるまで、\\n 一匹たりとも通しませんわッ 行きますわよッ」",
"399000131_38": "「「「「応(だゾ)ッ!!」」」」"
}

View file

@ -0,0 +1,30 @@
{
"399000211_0": "救いの手を伸ばすものたち",
"399000211_1": "「到着……したはいいけれど。\\n イズはもちろん、人影もないじゃない」",
"399000211_2": "「この村付近にチフォージュ・シャトーの反応があったのよね?\\n その影すらも見当たらないけれど……」",
"399000211_3": "「人気が一切ない、ということが既に異常だ。\\n 何かが起きている可能性は高いが……」",
"399000211_4": "「――誰かッ!\\n 助けてくれーッ」",
"399000211_5": "「あら、手がかりの方から、\\n おててをふりふり来てくれたみたいよ」",
"399000211_6": "「錬金術師の責務……などと言うつもりはない。\\n 探していた情報源だ、行くぞ」",
"399000211_7": "「反抗期にしては可愛いものだけど、\\n 素直に助けに行くって言ってもいいと思うのよねぇ」",
"399000211_8": "「ああ……ッ!\\n お願いします、助けてくださいッ」",
"399000211_9": "「随分熱烈にノイズに追われてるじゃないッ!",
"399000211_10": " 安心なさい、あーしたちがすぐに助けるわッ!」",
"399000211_11": "「……待てッ!\\n あのイズ、何かがおかしい」",
"399000211_12": "「何かって……、\\n アルカ・イズでもない、普通のイズ――」",
"399000211_13": "「――ッ!?\\n ううん、違うッ」",
"399000211_14": "「歩いた跡が黒く変色してる……ッ!?",
"399000211_15": " ノイズは無機物を炭素転換なんてしないわよッ!」",
"399000211_16": "「ノイズ本体も消えていない。\\n 性質としてはアルカ・イズに近いようだ」",
"399000211_17": "「でもアルカ・ノイズなら、\\n 炭素じゃなく赤いプリマ・マテリアに分解するはず……」",
"399000211_18": "「ただのノイズではなく、アルカ・ノイズでもない、か。",
"399000211_19": " だがこれ以上の分析をしている余裕はないな」",
"399000211_20": "「も、もう足が……",
"399000211_21": " 来るなッ! 来るなぁッ!!」",
"399000211_22": "「怖いだろうけど、心配しないでいいわ。\\n イズの体ぐらい、あーしたちがすぐに片付けて……」",
"399000211_23": "「――ッ!?」",
"399000211_24": "「ちょっと、話が違うじゃないッ!?\\n どうしてイズが勝手に増えるのよッ」",
"399000211_25": "「この場に出てきたってわけじゃないわよね?\\n 今のはまるで、自分で分裂したみたいに……」",
"399000211_26": "「分析している時間はないッ!\\n この数からあの男を護りきる、できるなッ」",
"399000211_27": "「当然よ、誰に言ってるの?\\n あーしの前で、おさわりは厳禁なんだからッ」"
}

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@ -0,0 +1,37 @@
{
"399000212_0": "「迷惑がられてるのに\\n いつまでも付きまとうヤツは、モテないわよッ」",
"399000212_1": "「……終わりか。\\n お前も無事のようだな」",
"399000212_2": "「は、はい。\\n ありがとうございます……」",
"399000212_3": "「……礼は必要ない。\\n 情報を話せ」",
"399000212_4": "「あの……情報と言っても……」",
"399000212_5": "「もう、そんな聞き方じゃ、\\n 閉じた心は開いてくれないわよ」",
"399000212_6": "「これだけの騒ぎになってるのに、誰も姿を見せない。\\n 何か起きているんでしょう」",
"399000212_7": "「話してくれたら、\\n あーしたちが力になるわよ」",
"399000212_8": "「それは……」",
"399000212_9": "「おい、どうした?\\n やはり、怪我をしたのでは――」",
"399000212_10": "「う、うわああああああッ!\\n こ、殺してやるッ 覚悟しろ――ッ」",
"399000212_11": "「――ッ!?",
"399000212_12": " なんのつもりだッ!」",
"399000212_13": "「死んでくれ、俺たちのために……ッ!\\n 頼む……頼むよッ」",
"399000212_14": "「く……放せッ!",
"399000212_15": " しがみつくだけで、人が殺せるわけがないだろうッ!!」",
"399000212_16": "(なんて軽い……振り払えば、無事で済まないのでは……ッ!?",
"399000212_17": " ええい、面倒なッ!)",
"399000212_18": "「ちょッ!? どうしたっていうのッ!?",
"399000212_19": " こらこら、落ち着きなさいよッ!」",
"399000212_20": "「う……うぅ……ッ!\\n 殺さないと、いけないのに……ッ」",
"399000212_21": "「……やっぱり……俺にはできない……ッ!\\n けど、仕事を果たせなかった……家族が、息子が……ッ」",
"399000212_22": "「<size=25>本当に殺す気があったのか、\\n 怪しい感じではあるけど……</size>」",
"399000212_23": "「<size=25>厄介事の予感がしてきたわね</size>」",
"399000212_24": "「<size=25>オレたちはその厄介事を探しに来たとも言えるだろう。\\n 歓迎してやれ</size>」",
"399000212_25": "「……お前は何を諦めている?」",
"399000212_26": "「…………」",
"399000212_27": "「諦めて膝をつく前に、もう少し抗ってみろ。\\n 場合によっては手を貸してやってもいい」",
"399000212_28": "「君たちは……?」",
"399000212_29": "「あーしたちは……」",
"399000212_30": "「<size=25>……おい、オレたちの素性を明かすのは……</size>」",
"399000212_31": "「<size=25>んもぅッ!\\n わかってるわよッ</size>」",
"399000212_32": "「……?」",
"399000212_33": "「コホンッ! あーしたちは……そうね、ただの秘密結社よ。",
"399000212_34": " 世界平和とあなたを護る……ね♪」"
}

View file

@ -0,0 +1,45 @@
{
"399000221_0": "「君たちのことは信じたいと……思っている。\\n でも、話せば家族の命はないと言われたんだ……」",
"399000221_1": "「それは『仕事』に失敗しても同じこと……違うかしら?",
"399000221_2": " それなら、あーしたちに賭けてみない?」",
"399000221_3": "「――ッ!\\n 賭けて……みたいさ、でも……ッ」",
"399000221_4": "「……ま、簡単にはいかないわよね。",
"399000221_5": " なら、別のことはどうかしら?」",
"399000221_6": "「誰もいなくなっちゃったってことは、\\n あなたの家族以外にも、人質はたくさんいるんじゃない」",
"399000221_7": "「……くッ」",
"399000221_8": "「その反応……\\n 言葉よりも余程饒舌に肯定をしてくれたものだ」",
"399000221_9": "「――となれば、他の人質を確保する方法も考えておくべきだな。\\n 数が多いのならテレポートジェムも足りるかどうか……」",
"399000221_10": "「そうね。仮にこの村の人たち全員が捕まっているとなると、\\n 全員を助け出すには結構な量がいりそうだもの」",
"399000221_11": "「……君たちは、\\n 本気で人質を助けるつもりでいるのか」",
"399000221_12": "「だから言ったじゃない?\\n 世界平和を胸に抱いてるって」",
"399000221_13": "「……聞いていた話と違う。\\n 殺してもいい、人を苦しめてきた悪人が来る、と……」",
"399000221_14": "「だから……だから俺は、\\n その子を襲ったのに……ッ」",
"399000221_15": "「ちょっとぉ、それってばどういう意味よッ!?\\n 失礼しちゃうわ……」",
"399000221_16": "「だが……だがッ!",
"399000221_17": " 君たちがノイズを生み出したんだろうッ!?」",
"399000221_18": "「――ッ!?」",
"399000221_19": "「……なるほどな」",
"399000221_20": "「一般人にノイズとアルカ・ノイズの違いを説いたとて……\\n ヒトを殺す兵器として認識されているのだろう、大差はないか」",
"399000221_21": "(……パパの設計図を完成させたのはオレだ。\\n そも、その用途は、ヒトを殺すためのものではない……だが……",
"399000221_22": "(…………)",
"399000221_23": "「……間違ってはいない。\\n オレは人々が苦しんでいる原因のつを生み出してしまった」",
"399000221_24": "「――ッ!!」",
"399000221_25": "「兵器として生み出したわけではない……\\n と、言ったところで」",
"399000221_26": "「アルカ・ノイズに分解されたもの、その家族。\\n オレを許さない人間はいくらでもいるだろう」",
"399000221_27": "「悪人と呼ぶのなら、\\n 否定する気はない」",
"399000221_28": "「勝手に使っているのは、あなたじゃないでしょうに。",
"399000221_29": " そこまで責任を感じてたとは、ちょっと意外ね……」",
"399000221_30": "「オレも、パパも、アルカ・ノイズを\\n 兵器として生み出したかったわけではないのだ」",
"399000221_31": "「だが結果は違った。それはオレが人を識らなかったからだ。\\n 世界を理解していなかったからだ」",
"399000221_32": "「パパの命題を果たしていればこんな失態はなかった」",
"399000221_33": "「数多の<ruby=きょうぞく>兇賊</ruby>に、凶行の手段を与えてしまったのは――\\n 間違いなく、オレの咎だ」",
"399000221_34": "「……それがあなたの想いってコトね」",
"399000221_35": "「君は……\\n つまりは、その……」",
"399000221_36": "「ダイナマイトの発明者のような、ものなのか……?」",
"399000221_37": "「……そうだな」",
"399000221_38": "「――ッ……」",
"399000221_39": "「……だが、罪滅ぼしを理由にするつもりはない」",
"399000221_40": "「だからといって、\\n そんなものは関係ないと言うつもりもない……」",
"399000221_41": "「オレは、お前の家族を救いたい。\\n 世界を成す人々を、助けたいんだ」",
"399000221_42": "「だから話せ。\\n お前に他者を傷つけろと命じた外道のことをな」"
}

View file

@ -0,0 +1,64 @@
{
"399000231_0": "「あれが家族が……、\\n 村の皆が捕まっている、空飛ぶ城だ」",
"399000231_1": "「驚いた……\\n 本当にプレラーティのチフォージュ・シャトーじゃないッ」",
"399000231_2": "「どこぞの局長サマは確かに封印されていると言っていたが……\\n ……本物のようにも、感じるな……」",
"399000231_3": "「偽物……だといいんだけど。\\n 壊しちゃったらプレラーティに申し訳がないもの」",
"399000231_4": "「それで?\\n 誰があの城の王様を気取ってるのかしら」",
"399000231_5": "「……数週間前に、村に1人の老人が訪れたんだ。\\n 彼は自分のことを、新世界の王だと名乗っていた」",
"399000231_6": "「あら、本当に自称王様だったのね」",
"399000231_7": "「そいつは、人を試すようなことを言って……\\n 自分の基準に満たないと判断するや、イズを……」",
"399000231_8": "「ノイズを使って、村人を何人も……何人もッ!\\n 従わなければ全員がこうなると言われて……」",
"399000231_9": "「初っ端からとんでもない圧政じゃない。\\n なんて酷い王様よ」",
"399000231_10": "「けど、誰もが、圧倒的な力に抗えるわけじゃない。\\n 言いなりになるのも仕方のないことかもね……」",
"399000231_11": "「……助けに来てくれた人もいたんだ。\\n 女性と少女、君たちと同じような力を使っていたよ」",
"399000231_12": "「それは……おそらくサンジェルマンとプレラーティね。\\n やっぱりここまで来てたんだわ」",
"399000231_13": "「……そいつらはどうなった?」",
"399000231_14": "「最初は……カエルを抱いた少女が来て、\\n あいつと戦いを始めたんだ」",
"399000231_15": "「でも、途中で俺たちがノイズに囲まれて……。\\n あの子は俺たちを護るために……抵抗をやめてしまった」",
"399000231_16": "「村の人たちを盾にしたってわけッ!?",
"399000231_17": " なんてサイテーな王様なの」",
"399000231_18": "「その後に空飛ぶ城が現れて、俺たちも連れて行かれた。\\n ……『仕事』を命じられるまで出ることすらできなかったんだ」",
"399000231_19": "「偽物にせよ本物にせよ……プレラーティが囚われたことで、\\n チフォージュ・シャトーの知識が利用されたと考えるべき、か……」",
"399000231_20": "「サンジェルマンは……\\n もう人の女はどうした」",
"399000231_21": "「どうやったのかは知らないが、城まで乗り込んで来たんだ。\\n 彼女も俺たちを護りながらあいつと戦ってくれた。でも……」",
"399000231_22": "「あいつは容赦なく村の皆をノイズに襲わせた。\\n 皆が消えそうになった時、彼女が助けてくれたんだ」",
"399000231_23": "「まるで魔法のような力を使って……」",
"399000231_24": "「……なるほどな」",
"399000231_25": "「さっきのノイズは、アルカ・ノイズに近い分解能力を有していた。\\n 錬金術の再構築で、分解される人質を護ったのか……」",
"399000231_26": "「錬金術……再構築……?\\n 詳しいことはわからないが……」",
"399000231_27": "「俺が城から出される直前も、何人もがノイズに襲われていた。\\n 彼女は、それを不思議な術で治してくれてるんだ……」",
"399000231_28": "「だが、相当な負担がかかるようで、\\n 彼女もまた、あいつに……ッ」",
"399000231_29": "「つまりは今、この瞬間も……サンジェルマンは\\n 分解された人が消えないよう、再構築し続けてるのッ」",
"399000231_30": "「プレラーティもその補助をしているとみるべきか。",
"399000231_31": " ……なるほど、動けない理由としては十全だ」",
"399000231_32": "「……ま、それでも幹部なら、\\n あっさり捕まってんじゃないわよ、とは思うけどねッ」",
"399000231_33": "「まったく……\\n あーしを置いていくからこんな体たらくになるのよッ」",
"399000231_34": "「しかし……ノイズの能力は炭素転換だったはずだ。\\n あのイズはどうして分解を……」",
"399000231_35": "「やはり、アルカ・ノイズと見るべきなのか?」",
"399000231_36": "「んー。まあ、パンピーから見たら大差ないでしょうけどね。\\n どっちも身体が消えちゃうわけだし」",
"399000231_37": "「でも、ただのノイズでも、アルカ・ノイズでもない気がするわ。\\n 突然数が増えたこともあるし……何か裏があるみたいね」",
"399000231_38": "「件の男が、\\n ソロモンの杖を悪用しているだけではないようだな」",
"399000231_39": "「状況はわかったが……\\n 情報は足りていない、か」",
"399000231_40": "「わかったことを本部にも共有しておきたいところね。\\n どうにか連絡を……」",
"399000231_41": "「す、すまない、ちょっといいか?\\n 気がついたらこの電話を持っていたんだが……」",
"399000231_42": "「……」",
"399000231_43": "「あら、ナイスタイミング。\\n 普段は鬱陶しいけど、さすが局長ね」",
"399000231_44": "「さっそく情報の共有を――」",
"399000231_45": "「――ッ!?\\n 避けろッ」",
"399000231_46": "「う、うわあッ!?」",
"399000231_47": "「どうやら本当に錬金術師協会は、\\n 人類の守護などという無駄なことを続けているようだな」",
"399000231_48": "「相も変わらず、詮なきことを……」",
"399000231_49": "「――ッ!\\n いつの間にッ」",
"399000231_50": "「殺気を感じるまで、オレも出現に気づけなかった……。\\n 油断するなッ」",
"399000231_51": "「言われるまでもないわッ!\\n 危険なオトコのにおいがプンプンしてるものッ」",
"399000231_52": "「お前は……\\n 何者だッ」",
"399000231_53": "「不躾に我が名を問うか。",
"399000231_54": " 増長した魔術師……いいや、錬金術師風情が」",
"399000231_55": "「――ッ! その杖は、まさかッ!\\n ソロモンの杖ッ」",
"399000231_56": "「ソロモンの杖を持つ者……、\\n お前が元凶かッ」",
"399000231_57": "「持つ者、とは不見識だな、錬金術師。\\n これは元より、我が所有物である」",
"399000231_58": "「なんだと……?」",
"399000231_59": "「……愚かな民へ知恵を授けるのも我が務めか。",
"399000231_60": " ならば教えてやろう」",
"399000231_61": "「我が名はソロモン。\\n 知恵の王、人を導くもの、ソロモン王である」"
}

View file

@ -0,0 +1,95 @@
{
"399000311_0": "人を殺す意志",
"399000311_1": "「我が名はソロモン。\\n 知恵の王、人を導くもの、ソロモン王である」",
"399000311_2": "「ソロモン……ッ!?",
"399000311_3": " お前が、ソロモン王、だと?」",
"399000311_4": "「本物なら、想像以上のビックネームじゃない」",
"399000311_5": "「けど、ちょーっと信じられないわね。あんたが、\\n かつてのあーしと同じペテン師じゃないってどうして言えるの」",
"399000311_6": "「フフ……ペテン。\\n ペテンか……」",
"399000311_7": "「偉大なる者の所業は、\\n 矮小な者の瞳にはそう映るのだろうな」",
"399000311_8": "「……王とは、ただ玉座に座していればいいというものではない。\\n 愚民どもに粛清を与えるのも役割故、な」",
"399000311_9": "「――ッ!?」",
"399000311_10": "「ぱ……パパッ!\\n お願い、助けて……ッ」",
"399000311_11": "「や、やめてくれッ!\\n その子のためにできることはやったんだッ」",
"399000311_12": "「君命を果たせぬということは、\\n この世界に生きる意味を持たぬということだ」",
"399000311_13": "「……無能な奴隷め、厳罰に処す」",
"399000311_14": "「あ、ああ……ッ!\\n やめて――やめてくれ、この子だけでも、せめてッ」",
"399000311_15": "「う、うわぁぁぁあ……ッ!\\n 怖いよ、嫌だよ、パパ……ッ」",
"399000311_16": "「――ッ!!」",
"399000311_17": "「……ほう」",
"399000311_18": "「く……なんて負荷よッ!?\\n 分解 炭素転換 いずれにせよ、侵食が異様に早い……ッ」",
"399000311_19": "「ただの人間がノイズを介さず、\\n 何故このような力をッ」",
"399000311_20": "「……やはり貴様らも、あの女たちと同様に、\\n 世の……愚民どもの救済を気取る手合いらしい」",
"399000311_21": "「我は、貴様が護るこの男に命じたぞ。",
"399000311_22": " 貴様を殺せ――とな」",
"399000311_23": "「そして、この男はそれを果たさんとしたはずだ」",
"399000311_24": "「……ッ!!」",
"399000311_25": "「貴様は、己を殺さんとする者に手を差し伸べると?」",
"399000311_26": "「ぐ……ッ!\\n この力、ソロモンの杖から、か……ッ」",
"399000311_27": "「緩めるんじゃないわよッ!\\n 押し負ける……ッ」",
"399000311_28": "「我は問うているのだがな……」",
"399000311_29": "「しかし……その程度の力では、\\n 術式を展開しながら問答できぬも道理か」",
"399000311_30": "「然らば――ッ!!」",
"399000311_31": "「――ッ!?」",
"399000311_32": "「2人が、崩れて……ッ!?」",
"399000311_33": "「これで気を散らす必要もあるまい?\\n 発言を許しているのだ、疾く、我の問いに答えよ」",
"399000311_34": "「オレの術式を貫通した――ッ!?\\n これは……本当にイズと同じ能力かッ」",
"399000311_35": "「あーしたちの返答を聞くために殺したとッ!?\\n なんてことをッ」",
"399000311_36": "「……殺す?",
"399000311_37": " 少々、認識に相違があるようだ」",
"399000311_38": "「この世は――命は循環する。\\n 分解とは、消失ではない」",
"399000311_39": "「塵芥となり、世界に溶け巡り、ひたすらに巡り……。\\n そうしていずれまた芽吹くのだ、永劫の流転として」",
"399000311_40": "「それはともすれば、かの<ruby=リインカーネイション>輪廻転生</ruby>にも似て……」",
"399000311_41": "「終わりの器との差異は、\\n 記憶を引き継ぐか否か、ただそれだけだ」",
"399000311_42": "「神への恋に狂ったあの女は、はて、なんといったか……\\n 随分とくだらぬことの上、昔のこと故な、忘れてしまったよ」",
"399000311_43": "「そんなこたぁ、今はどーだっていいのよッ!」",
"399000311_44": "「輪廻転生ッ!?\\n それに組み込まれているから、人を殺したとでもッ」",
"399000311_45": "「――……愚者のまま生きるより、\\n 有益な者に生まれ変わった方が、余程幸せであろう」",
"399000311_46": "「お前……ッ!\\n その頭に乗ってるのは、余程の泥の王冠のようねッ」",
"399000311_47": "「く……落ち着けッ!\\n 信じられないが、オレたちの術式は押し負けたッ」",
"399000311_48": "「このままでは、他の幹部どもと同じ結果だッ!」",
"399000311_49": "「わからぬな。\\n 何を憤るのか……」",
"399000311_50": "「この世に形があれば良いのか?\\n 先ほどまでと同じ構成物質であれば良いのか」",
"399000311_51": "「ならば……\\n これはどうだ」",
"399000311_52": "「――ッ!?\\n イズ……ッ」",
"399000311_53": "「左様。\\n ヒトがヒトを殺すための、兵器である」",
"399000311_54": "「しかし……その目はなんだ?\\n 『敵』に向けるそれではないか」",
"399000311_55": "「今、貴様らの眼前のそれは――\\n 先ほどの愚か者どもの塵芥を再構成したものだと言うに」",
"399000311_56": "「は……ッ!?」",
"399000311_57": "「何を……言っているッ!?\\n 人間をイズに再構築しただとッ」",
"399000311_58": "「分解からの再構築を正しく扱えば、\\n 素材を同じくして別種のモを生み出すなど、造作もない」",
"399000311_59": "「それこそ、貴様ら錬金術師が普段やっていることだろう?」",
"399000311_60": "「もとより獣性を持ち、同種を害するがヒトという存在。",
"399000311_61": " ――それを兵器へ組み替えることほど、容易いことはない」",
"399000311_62": "「――ッ!」",
"399000311_63": "「悪趣味極まるわ……ッ!」",
"399000311_64": "「どうした?\\n ……手を取ってやらないのか」",
"399000311_65": "「――ッ!?」",
"399000311_66": "「城に損傷だと……ッ!?\\n 何事だ」",
"399000311_67": "「あの爆発は……錬金術ッ!」",
"399000311_68": "「間違いない、サンジェルマンたちよッ!\\n さすがだわ、ずっと受け身でいるのは趣味じゃないものね」",
"399000311_69": "「……チッ」",
"399000311_70": "「仕方あるまい。\\n 優先順位はあちらが上か」",
"399000311_71": "「くッ、逃したか。",
"399000311_72": " ……あちらもあちらで、見逃したつもりかもしれないが……ッ!」",
"399000311_73": "「それよりどうするのよ、\\n このイズッ」",
"399000311_74": "「あの親子だってわかってると、\\n 冷たく接するのも気が引けちゃうわッ」",
"399000311_75": "「……手段はある」",
"399000311_76": "「あらさすが。\\n どうするつもりッ」",
"399000311_77": "「単純だ。もう1度こいつらを分解、再構築し、\\n 人間の姿へと戻す」",
"399000311_78": "「は――はぁぁあぁッ!?",
"399000311_79": " なんて無理くり、力技ッ! 可能なのッ!?」",
"399000311_80": "「単純な再構築では不可能だッ!\\n ソロモンの術を解析し、正しい手順で逆転させる必要がある」",
"399000311_81": "「少なくとも今の段階では情報不足だ。\\n 度分解し、再構築可能な状態に留め置くのが限界か……」",
"399000311_82": "「で、でもそれは、分解途中への『抵抗』とは、\\n また別の話……ああもうッ」",
"399000311_83": "「ノイズを逆に分解して、ヒトに戻せる状態で維持!?\\n 無茶よ無茶、そんな不可逆ッ」",
"399000311_84": "「だが……あの城の中にいるやつらとて、\\n 近いことはやってのけているッ」",
"399000311_85": "「泣き事を言うな、お前も幹部ならばこの程度の思いつき、\\n やってやれないことはないだろうッ」",
"399000311_86": "「サンジェルマンの見出した錬金術師、\\n カリオストロはその程度の術師だったかッ」",
"399000311_87": "「ぐ……ッ!」",
"399000311_88": "「怖いもの知らずのおチビさんが、言ってくれるじゃないの……。",
"399000311_89": " そこまで言われて引いたんじゃ、女が廃るってもんよッ!」",
"399000311_90": "「ああ、やってやれッ!\\n お前が術式を構築するまでは、オレが時間を稼いでやるッ」",
"399000311_91": "「ちょっとだけ待ってなさいよ、2人とも」",
"399000311_92": "「すぐにあーしが、\\n とびきり素敵な目覚めのキスをあげちゃうわッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,36 @@
{
"399000312_0": "「倒さない方が面倒だな……ッ!",
"399000312_1": " 動きは止めた、やれッ!」",
"399000312_2": "「任せなさいなッ!\\n 錬金術師も、女も男も――結局、最後は度胸なのよッ」",
"399000312_3": "「ヒトをその『誰か』として構成する要素――\\n 想い出つだって、取りこぼしたりするもんですかッ」",
"399000312_4": "「……できた……」",
"399000312_5": "「これは……ッ!?」",
"399000312_6": "「ヒトに――『あの親子』に戻すのはリスクが大きかったから、\\n イズになる手前……分解されたばかりの状態を維持してみたの」",
"399000312_7": "「物質的にも、錬金術の視点でも劣化はないはずよ」",
"399000312_8": "「――オレが想定したよりも、余程洗練された術式だ。\\n 錬金術師協会幹部は伊達ではないな……」",
"399000312_9": "「お褒めの言葉をありがと。",
"399000312_10": " もう、あーしはアドリブって得意じゃないのよ……」",
"399000312_11": "「ぐッ……」",
"399000312_12": "「……術式の反動か?」",
"399000312_13": "「そうね、あーしがやるには術式が繊細過ぎたかも?\\n とんでもない負荷があるわ」",
"399000312_14": "「サンジェルマンとプレラーティは、\\n 複数の人質を継続して再構築しているみたいだから……」",
"399000312_15": "「状況はあーしたちとは違うでしょうけど、\\n 消耗は冗談じゃ済まないはずよ」",
"399000312_16": "「……その状況下で、あの爆発。\\n 更に何かしようとしたのよね、きっと」",
"399000312_17": "「尊敬するわ、ほんと」",
"399000312_18": "「やつらの作った機会、\\n 活用できなかったのはオレの失策だな……」",
"399000312_19": "「ノイズにされた人を放っては置けなかったでしょ。",
"399000312_20": " サンジェルマンたちも文句は言わないわ」",
"399000312_21": "「……失態は結果で取り返す。\\n 奴はあの城だ、すぐに向かう――」",
"399000312_22": "「――ッ!?」",
"399000312_23": "「チフォージュ・シャトーの実像が、ブレて……ッ!?」",
"399000312_24": "「き、消えちゃうッ!?\\n それともチフォージュ・シャトーにあったステルス機能ッ」",
"399000312_25": "「隠れたところでッ!\\n 離脱させるものかッ」",
"399000312_26": "「あの城の底部には、オレが後付けした移動機関があるッ!\\n 破壊して足止めするくらいなら、ここからでもッ」",
"399000312_27": "「あんた、あの城にそんなカスタマイズしてたのッ!?」",
"399000312_28": "「――ッ!?\\n すり抜けただと……ッ」",
"399000312_29": "「チフォージュ・シャトーが、消えちゃった……ッ!」",
"399000312_30": "「見えなくなったわけじゃない……\\n 本当の意味であの場から消え失せたんだわ……」",
"399000312_31": "「くそッ!\\n 全てが振り出しか……」",
"399000312_32": "「いいえ、敵の正体はわかったわ」",
"399000312_33": "「報告しましょ。\\n 何か知っているかもしれないしね、秘密主義の局長なら」"
}

View file

@ -0,0 +1,62 @@
{
"399000321_0": "「厄介な事態だね、ヒトをノイズに再構築する敵に、\\n 転移するチフォージュ・シャトーとは」",
"399000321_1": "「あーしたちが見たのは、\\n 本物のチフォージュ・シャトーなのかしら」",
"399000321_2": "「いいや。チフォージュ・シャトーは封印されたままだよ、\\n 間違いなくね」",
"399000321_3": "「……本当だな?」",
"399000321_4": "「随分と険があるね。語気に。\\n だが信じてもらってかまわないよ、今回に限って」",
"399000321_5": "「どこからその自信が……」",
"399000321_6": "「アダム局長ッ!?\\n ねえ、そのTELの先にいるのってキャロぴッ」",
"399000321_7": "「ちょちょちょ、ちょい替わってッ!\\n 言いたいことあんの〜〜ッ」",
"399000321_8": "「この声……",
"399000321_9": " 最近局長に簡単な仕事を無茶振りされまくってる子かしら?」",
"399000321_10": "「……まさか……」",
"399000321_11": "「キャロぴ~ッ! 元気ーッ!?",
"399000321_12": " ところで言ってやってよこの局長にッ!」",
"399000321_13": "「……バートリか?」",
"399000321_14": "「推しに認知されてるのマジ何度体験しても最の高。",
"399000321_15": " おひさッ! そうだよ、エリザベートだょッ!」",
"399000321_16": "「この局長、アタシが逆らえないからって、あの聖遺物を見て来い、\\n 秘匿術式を確認しろってッ マジぴえんなんですけどッ」",
"399000321_17": "「まだ余裕はあるのだろう、ぴえんなら。\\n ぱおんでないのだからね」 ",
"399000321_18": "「こんな超大物がアタシの話ちゃんと聞いて、\\n 意味もわかってるのが逆にやばみざわだってのッ」",
"399000321_19": "「チフォージュ・シャトーが封印されていることを、\\n お前が確認したのか」",
"399000321_20": "「そりゃもうバッチリッ!\\n おニューにしたカラコン越しに見てきたしッ」",
"399000321_21": "「なら一応は信じておくか……」",
"399000321_22": "「アタシの信頼って一応ッ!?",
"399000321_23": " あー、サガるー」",
"399000321_24": "「……キャロぴ?",
"399000321_25": " なぁに、知り合いだったの?」",
"399000321_26": "「年の終わりに、ゾンビモドキが起こした騒ぎの報告書は読んだか?\\n あの件の主犯になった錬金術師だ」",
"399000321_27": "「ああ、話は聞いてるわ。話すのははじめてだけど……",
"399000321_28": " あーしはカリオストロ、よろしくね新人ちゃん♪」",
"399000321_29": "「…………綺麗」",
"399000321_30": "「……ん?」",
"399000321_31": "「声だけでわかるッ! 美しいッ! 尊いッ! 超推せるッ!\\n アタシの理想の体現者がまさかの同業にッ」",
"399000321_32": "「なかなかわかってるじゃないの。\\n 見どころ、あるかも♪」",
"399000321_33": "「あ、ありがとうございまッすッッ!!\\n 自分、エリザベート・バートリですッ」",
"399000321_34": "「なんだその態度は。",
"399000321_35": " ……鬱陶しいのは変わらないが、普段よりはマシか」",
"399000321_36": "「それよりもソロモンの件だ。\\n ソロモンの杖に所有者がいることは想定していたんだな」",
"399000321_37": "「推測はしていたよ、状況からね」",
"399000321_38": "「キャロル。\\n 耳の痛い話かもしれないが……キミにとっては」",
"399000321_39": "「……」",
"399000321_40": "「アルカ・ノイズはばら撒ける、使う者の意思によって。\\n だがイズは根本から違うんだ、そういった道具とはね」",
"399000321_41": "「バビロニアの宝物庫よりまろび出る、\\n 人類を殺戮するためだけの存在。それがイズさ」",
"399000321_42": "「それらの軍勢が世界規模、各地で同時に発生する。\\n これが意味するのはつしかない」",
"399000321_43": "「ソロモンの杖を悪意ある者が所有しなければ、\\n この事態は発生しない、か……」",
"399000321_44": "「あのいけすかない男が手を加えたのか、\\n その脅威もさらに得体の知れないものになっているようだしね」",
"399000321_45": "「サンジェルマンとプレラーティを送ったのは、\\n 妥当な判断だったと思うわ」",
"399000321_46": "「……あーしを一緒に送り込まなかったのは、\\n まだちょっと怒ってるけどね」",
"399000321_47": "「所有者が厄介だったことさ、想定外だったのは。\\n キミたちが出会ったのが首謀者だろう、今回の件のね」",
"399000321_48": "「厄介などという言葉で済ませられるものか」",
"399000321_49": "「あの男はノイズを呼び出しただけではない、\\n 人をイズに再構築してみせた」",
"399000321_50": "「ノイズを倒すだけでも、ただの人間には難事だろう」",
"399000321_51": "「さらに、そのノイズが目の前で転じた『人』だとすれば……\\n 善良であろうとする人間ほど、躊躇うぞ」",
"399000321_52": "「そうだね。\\n かつての隣人を、身を護るために殺せるのか……」 ",
"399000321_53": "「そんなこと、させていいはずないでしょッ!",
"399000321_54": " ……けど、どうしたら……」",
"399000321_55": "「……元凶はあの男、そしてソロモンの杖だ。\\n あの男から、杖と――幹部たちを取り戻すべきだろう」",
"399000321_56": "「フフ……。\\n 嬉しく思うよ。キミからその言葉が出ることをね」",
"399000321_57": "「……世界を識るには、それを象る人が必要不可欠。\\n パパの命題を果たすため、人を……世界を護るのは当然だ」",
"399000321_58": "「――その通りだよッ!」",
"399000321_59": "「――ッ!?\\n お前は――」"
}

View file

@ -0,0 +1,45 @@
{
"399000331_0": "「ごめんなさい、ごめんなさいッ」",
"399000331_1": "「許して、死にたくないんです、\\n 娘がまだ生きているんですッ」",
"399000331_2": "「母親の命がかかってるんだ、\\n 君を殴りたくなんかない……でもッ」",
"399000331_3": "「すまない……\\n すまない……ッ」",
"399000331_4": "「気に、するな……この程度、なんということも……ッ!\\n ない、ワケダ……ッ」",
"399000331_5": "「強靭ではあれど、無敵の肉体でもあるまい。\\n 呆れた強がりだな、錬金術師」",
"399000331_6": "「プレラーティ……ッ!」",
"399000331_7": "「こちらに意識を向ける余裕があるのか?\\n 人で分解に抵抗しているようだが、いつまで持つか」",
"399000331_8": "「ぐッ……」",
"399000331_9": "「そして余計なことをした罰は、この程度では済まさぬ。\\n 貴様には我が手ずから術を施してやろう」",
"399000331_10": "「――ッ!?",
"399000331_11": " お前……わたしに何をしたワケダッ!?」",
"399000331_12": "「貴様らの錬金術は十分に観察させてもらった。\\n もはや全てがこの手の内にある」",
"399000331_13": "「再び錬金術を行使すれば、貴様は兵器へ……ノイズと変ずる。\\n 二度と錬金術を使うことは叶わぬぞ」",
"399000331_14": "「プレラーティをノイズに再構築するとッ!?」",
"399000331_15": "「<ruby=ヒト>元</ruby>に戻せるだなどと思うてくれるなよ。\\n 貴様の理解の及ばぬ、もはや不可逆の術式と思え」",
"399000331_16": "「わたしに、錬金術を捨てろと……?\\n どこまでも卑劣なワケダな……」",
"399000331_17": "「口の減らぬ……。\\n そこの貴様らも参加せよ、命を破ればその場で処理する」",
"399000331_18": "「ああ、なんてこと……」",
"399000331_19": "「嫌だッ! 死ぬのも、殴るのも……。\\n くそッ……」",
"399000331_20": "「ぐッ……ッ……」",
"399000331_21": "「なぜだ、なぜこんなことをする……ッ!」",
"399000331_22": "「……今にも消えそうな余力ではあるが……\\n 錬成術式を維持しつつ、まだ問いをかける気力があるか」",
"399000331_23": "「……その哀れな努力に免じて、答えてやろう。\\n 愚民を導くのが我が役目であるが故に」",
"399000331_24": "「理由は1つ。\\n 我こそが、真なるヒトであるが故にだ」",
"399000331_25": "「人であるから……?\\n それがなぜ尊厳を踏みつけ、人を殺す理由になるッ」",
"399000331_26": "「ヒトとはヒトを憎み、恨み、呪い。\\n 殺すものだからだ」",
"399000331_27": "「ヒトがヒトを殺すために作られたノイズという兵器を、\\n ヒトの王である我が行使する」",
"399000331_28": "「それが正しくヒトの総意、ヒトの願いだ。\\n これを以て、我はヒトを終着点へと導かねばならん」",
"399000331_29": "「人の終着点だと……?」",
"399000331_30": "「ヒトがヒトを殺し続ける絵面は過去現在<ruby=みらい>未来</ruby>、\\n 永劫に変わることはない」",
"399000331_31": "「なればこそ……\\n ここで終わらせる」",
"399000331_32": "「ヒトを壊し、砕き、砕き、砕き、砕き……ッ!",
"399000331_33": " 輪廻転生の輪に、還し尽くすッ!!」",
"399000331_34": "「……そうしていずれまた芽吹く命にて、\\n 愛に溢れた世界こそを、再構築するのだ」",
"399000331_35": "「愛、だと……?」",
"399000331_36": "「……そのような軌跡を謳う人間が、愛を語るか。\\n 笑わせてくれる」",
"399000331_37": "「お前の根底にあるものは、\\n 下らない殺意なワケダ……」",
"399000331_38": "「……仮にそうだとしても、\\n 貴様たちには何もできまいよ」",
"399000331_39": "「人をなめるな……ッ!\\n 世界を護るために動こうとする者はいくらでもいるッ」",
"399000331_40": "「それは我の知らぬヒトだな。\\n 存在するのならば見てみたいものだ」",
"399000331_41": "「ククク……",
"399000331_42": " ハハハハハッ!!!」"
}

View file

@ -0,0 +1,42 @@
{
"399000411_0": "協力関係",
"399000411_1": "「――その通りだよッ!」",
"399000411_2": "「――ッ!?\\n お前は――立花響……ッ」",
"399000411_3": "「並行世界のシンフォギア装者が\\n どうしてここにッ」",
"399000411_4": "「この世界に来ていたのさ、二課への定期報告でね。\\n だから助力を頼んだのだ、キミたちの」",
"399000411_5": "「二課に……?",
"399000411_6": " まさかアダム、お前が本部を離れると言っていた理由は……」",
"399000411_7": "「そう、二課に行っていたのさ。\\n キミの想像通り」",
"399000411_8": "「そこで、キャロルちゃんたちが戦ってるって聞いたんです。\\n わたしもお手伝いしますよッ」",
"399000411_9": "「シンフォギアは対ノイズ用の装備でもあるわけだしね。\\n 殴る蹴るはっ倒す、専門家の手助けはありがたいかも」",
"399000411_10": "「せ、専門家だなんて、そんなッ!?」",
"399000411_11": "「……まあ、こちらに足りないのは戦力だ。",
"399000411_12": " 邪魔にはならないだろう」",
"399000411_13": "「だが、オレのところへこいつが来たのは何故だ?\\n 各地のイズ発生への対応はどうした」",
"399000411_14": "「そっちはわたしの仲間がやってくれてるよ。\\n 便利だね、テレポートジェムッ」",
"399000411_15": "「手を貸してくれたのさ、報告を受けたシンフォギア装者が。\\n 素直に礼を言うしかないね、今回ばかりは」",
"399000411_16": "「今回『も』の間違いだろう……」",
"399000411_17": "「だが……本当にそれでいいのか、立花響?\\n お前の世界のイズプラントが再度開いたわけではないのだぞ」",
"399000411_18": "「助けてって頼まれたんだから、全力で助けるよ。\\n それがわたしたちのやりたいことだから」",
"399000411_19": "「あら素敵。",
"399000411_20": " あーしは好きよ? あなたたちのわかりやすいところ」",
"399000411_21": "「ありがとうございますッ!!」",
"399000411_22": "「……。\\n それで……アダム、お前は二課で何を」",
"399000411_23": "「少し前から二課とは繋がりを持っていたんだ。実のところね。\\n 協力体制を結べるよう協議していたのさ、世界の危機に備えて」",
"399000411_24": "「錬金術師ではない人間との協力体制をとると?」",
"399000411_25": "「協会の戦力向上は必要かもとは、あーしも考えてたけど……\\n 他の組織を頼ろうだなんてビックリね」",
"399000411_26": "「頼るばかりではないさ。\\n 頼ってももらわなければね」",
"399000411_27": "「対超常組織なんて存在しないからね、\\n この世界に、二課以外は」",
"399000411_28": "「今までは少し距離を置いていたんだよ、一国の組織だから。\\n でも共通していた、世界を護ろうという目的は」",
"399000411_29": "「ならば……僕もまた、『人として』進歩があるべきだ。\\n お互いを識ろうと手を伸ばすことを恐れない……そういう考えさ」",
"399000411_30": "「目指すところが同じなら協力できる。例え理念は違っても。\\n ――そうだろう」",
"399000411_31": "「リスクも承知の上での判断か……」",
"399000411_32": "「曖昧な関係では足りなかったとも言えるね。\\n 身命を賭して世界を護るためには」",
"399000411_33": "「いずれS.O.N.G.とも連携して世界を護っていこうって、\\n そう言ってくれましたッ」",
"399000411_34": "「局長がまともな組織外交なんて……。\\n ありえない、まさか偽物ッ」",
"399000411_35": "「……お前はいつかオレに変わったと宣ったが……」",
"399000411_36": "「変わったのは、\\n オレだけではないということか」",
"399000411_37": "「それはそうさ、僕だって同じだ」",
"399000411_38": "「僕は自分を人だと思っている……いいや、思いたいのさ。\\n なら変わっていかなければならないだろう、人として」",
"399000411_39": "「常に前へ、前へと進むのが人なんだろう、\\n ならば僕は見習いたいのさ。キミたちという光をね」"
}

View file

@ -0,0 +1,89 @@
{
"399000421_0": "「……けれど、悲しいことだね。\\n 協力関係を結んですぐに、世界の脅威と戦うとは」",
"399000421_1": "「そうねぇ、それもうんざりする量のノイズ。\\n テレポートジェムの量産は間に合うかしら」",
"399000421_2": "「あのぉ……お話の腰を折って面目次第もないのですが……\\n この世界でイズがたくさん出てる原因って、なんなんですか」",
"399000421_3": "「…………。\\n ……局長から何も聞いてないの」",
"399000421_4": "「現地で情報共有してくれるって聞いたので、\\n すぐに飛んできちゃって……」",
"399000421_5": "「……少しは気をつけないと悪い人に騙されちゃうわよ?",
"399000421_6": " いえ、騙されて送られて来ちゃったのかしらね……」",
"399000421_7": "「響ちゃん、お話中に悪いんだけど、\\n 預けておいた通信機を人に渡してくれるかしら」",
"399000421_8": "「そうでしたッ! どうぞッ!」",
"399000421_9": "「ちゃんと聞こえてるかしら? 問題ないわね?\\n こちら二課の美人技術主任よ、聖遺物関連の事件だと聞いてるわ」",
"399000421_10": "「お前は……\\n ……聖遺物の専門家だったな」",
"399000421_11": "「響ちゃんに説明しながら、\\n 改めて状況の確認をしたいんだけど、いいかしら」",
"399000421_12": "「構わないわよ。\\n こちらも報告したいことがあるの」",
"399000421_13": "「流れをまとめましょうか。\\n 最初の異変は、イズの大量発生だった」",
"399000421_14": "「世界規模で連続して起きる異常事態に、\\n ソロモンの杖が原因であると特定し、協会幹部を派遣した」",
"399000421_15": "「ただ錬金術師協会内部で公表はせず、極秘任務扱いだった。\\n ――ここまではいい」",
"399000421_16": "「ああ。協会の錬金術師たちが勝手に動く可能性があったんだ、\\n ソロモンの杖が発見されたと伝えれば」",
"399000421_17": "「信頼できる相手に託すしかなかったんだよ、\\n 杖の危険性を考えればね」",
"399000421_18": "「ごめんなさいね、\\n あーしの身内が……」",
"399000421_19": "「あら、錬金術師なんて全員が研究者みたいなものでしょ?\\n 貴重な研究材料があると聞いたら飛びつくのは仕方ないわ」",
"399000421_20": "「……そいつの管理は\\n 厳重にしておけよ、二課」",
"399000421_21": "「心得ている」",
"399000421_22": "「それで、任務を受けた錬金術師プレラーティが消息不明に。\\n 次いで命を受けたサンジェルマンも連絡を断った、と」",
"399000421_23": "「その2名は貴重な戦力と聞いているが……逐次投入か。\\n 責めるわけではないが、その間、協会の局長として何をしていた」",
"399000421_24": "「情報の解析を指揮していたのさ、大量発生が起きた場所の傾向、\\n バビロニアの門が開放される時に生まれる空間のゆらぎをね」",
"399000421_25": "「……なるほど。\\n こちらに渡してもらっていた情報は、そのときのものか」",
"399000421_26": "「あの一連の情報を共有してもらったおかげで、\\n ある程度とはいえ、イズの大量発生を予想して対応できた」",
"399000421_27": "「いくらかは被害を抑えられたはずだ。\\n 改めて礼を言う」",
"399000421_28": "「言われるまでもないさ」",
"399000421_29": "「そして、このタイミングからノイズの大量発生現象が加速、\\n 同時に複数の地域で起こるようになった」",
"399000421_30": "「幹部2名の消息不明もあり、追加で戦力の投入を決断。\\n 派遣されたのが錬金術師キャロル、カリオストロの両名ね」",
"399000421_31": "「そして2人は聖遺物『ソロモンの杖』を所持した、\\n 『ソロモン』を名乗る人物と遭遇――こんなところかしら」",
"399000421_32": "「ソロモンの杖についての情報は、\\n 主に立花響の世界から得たものだったな」",
"399000421_33": "「うん、わたしの世界でも、\\n ソロモンの杖でイズを操った人たちがいた……」",
"399000421_34": "「お前の話では、ソロモンの杖はバビロニアの宝物庫を開き、\\n イズを呼び出し、従わせることができる……そうだな」",
"399000421_35": "「うん」",
"399000421_36": "「……ならばあの男が持っていたのが、\\n ソロモンの杖なのかは、疑わしい」",
"399000421_37": "「え……?",
"399000421_38": " でもノイズを操ってたんじゃ……」",
"399000421_39": "「それだけではない。\\n あの男は人を分解し、イズへと再構築してみせた」",
"399000421_40": "「……?\\n その、塵みたいなのは……」",
"399000421_41": "「ノイズに変化させられてしまったヒトを、\\n 更にヒトに戻す一歩手前まで再構築した――『<ruby=マテリアル>素材</ruby>』ってとこね」",
"399000421_42": "「……パッと見じゃ、わからないでしょうけどね」",
"399000421_43": "「そ……それが、人……ッ!?」",
"399000421_44": "「人をノイズへと変える……\\n そんなことがソロモンの杖に可能なのか」",
"399000421_45": "「人をノイズに変える、ね……。\\n 確かに、聞いていた限りなら、ソロモンの杖にはない力だわ」",
"399000421_46": "「けれど……」",
"399000421_47": "「そもソロモンの杖……聖遺物は<ruby=アヌンナキ>神</ruby>の作り出したブラックボックス。\\n 私たちの知らない能力が備わっていてもおかしくはない」",
"399000421_48": "「機能を拡張した……\\n ということか」",
"399000421_49": "「ええ。ソロモンだなんて、\\n 大げさな名前を自称するだけあるってことかも」",
"399000421_50": "「ソロモンか……しかし懐かしい名前だね、ずいぶんと。\\n 古い友人にいたよ、同じ名を持つ者が」",
"399000421_51": "「ソロモンの持つ力だとしたら、厄介だな。",
"399000421_52": " 杖を奪ったところで油断はできな――」",
"399000421_53": "「――いや、待て。\\n 古い友人だと」",
"399000421_54": "「それはダビデの子、知恵の王ソロモンのことを言っているのか?\\n 神話の時代の人物だぞ」",
"399000421_55": "「……? あ、なるほどッ!",
"399000421_56": " ソロモンの杖なんだから、ソロモンさんが持ってたんですね」",
"399000421_57": "「ああ。彼は確かにその杖を持っていたよ、この世界では。\\n キミの世界でどうかはわからないが」",
"399000421_58": "「キャロルが言った通り知恵に秀でた王でね。\\n いい友人だったのさ、僕にとっては」",
"399000421_59": "「…………」",
"399000421_60": "「ならば答えろ、その『ソロモン』は杖を用いて世界を混乱させ、\\n 人をイズに変えるような人間だったのか」",
"399000421_61": "「まさか。\\n 彼はわかっていたよ、バビロニアの宝物庫の危険性を」",
"399000421_62": "「僕が封印しようかと聞いたら、\\n ハッハ 信用できないと言われてしまったこともあったな」",
"399000421_63": "「そして最期には、自分と共にソロモンの杖を眠らせたよ。\\n 宝物庫からまろび出るイズ以外が、人を襲わないよう」",
"399000421_64": "「野心的なきらいはあったが……。\\n 厳しくも優しい、王になるべくしてなった男だったさ。彼は」",
"399000421_65": "「この世界のソロモンの杖が見つからなかったのは、\\n ソロモン王の墓所に封印されていたからなのね」",
"399000421_66": "「彼が己と共に眠らせた聖遺物は\\n 他にもうつ――」",
"399000421_67": "「…………」",
"399000421_68": "「……わかってはいたが、\\n あまり楽しくはない話題だね、これは」",
"399000421_69": "「報告を聞く分に、その<ruby=ひととなり>為人</ruby>は似ても似つかない。だが……。\\n ……疑いたくはないものだね、友人を」",
"399000421_70": "「きっと別人ですよッ!\\n お友達なら信じましょうッ」",
"399000421_71": "「局長が友人だと認める相手……ね。",
"399000421_72": " 本物なら、人質なんて下品な手は使わないと思いたいわね」",
"399000421_73": "「……ありがとう。\\n そう思っているよ、僕もね」",
"399000421_74": "「だが……僕には確かめる権利も、義務もあるはずだ。\\n 彼の永劫の眠りが妨げられたのだとしたら……」",
"399000421_75": "「…………」",
"399000421_76": "「現状を確認しに行こう、\\n 我が友人――ソロモン王の墓へ」",
"399000421_77": "「ちょ……直接行くつもりなのッ!?\\n ソロモン王の墓って、今でも未解明の世界の謎でしょうッ」",
"399000421_78": "「墓を探すところから始める、\\n などと悠長なことは言わないだろうな」",
"399000421_79": "「まさか、そんなはずがないさ。\\n 僕が選んだんだからね、彼の墓となった場所は」",
"399000421_80": "「万が一の偶然でもなければ、何者にも脅かされない眠りを、\\n そう生前の彼に乞われてね」",
"399000421_81": "「だからキミたちも、目を瞑っていてくれるかな、\\n 彼の眠る場所へ着くまでは」",
"399000421_82": "「わああッ!?」",
"399000421_83": "「ちゃんと連れて行こう、その代わりにね」",
"399000421_84": "「ななな、なんで後ろにッ!?\\n いつの間にッ」",
"399000421_85": "「良い方向に変わってる……と思いたいけど。",
"399000421_86": " 結局はこういう局長なのよね~」"
}

View file

@ -0,0 +1,66 @@
{
"399000511_0": "古き人、王の墓所にて",
"399000511_1": "「さて、着いたよ。\\n 僕らの目的地に」",
"399000511_2": "「ここにソロモンさんのお墓が……?」",
"399000511_3": "「こんなところに?",
"399000511_4": " 秘境でも隠れ里でもなんでもないわよ?」",
"399000511_5": "「ちょっとオシャレな、\\n 人気のない浜辺ってだけ――」",
"399000511_6": "「いえ、でも……、\\n だからこそ、ここなのかしら」",
"399000511_7": "「大げさに隠せば、必ず暴く者が出る。\\n あえて特別ではない場所を選んだか」 ",
"399000511_8": "「もちろん、秘匿術式は施しているよ、必要な分はね。\\n 今も術式は完璧なままだ、数百年前に墓参りに来た時と同じく」",
"399000511_9": "「数百年前……?\\n 友人なんでしょ もう少しマメに来てあげなさいよ」",
"399000511_10": "「か、過去の想い出が\\n 数百年単位なんですね……」",
"399000511_11": "「焼却できる想い出が有り余っていて、\\n 羨ましい限りだ」",
"399000511_12": "「キャロルちゃん、どれだけ長生きしてたって、\\n 失っていい想い出なんてないよッ」",
"399000511_13": "「……そうだな。\\n 知っている」",
"399000511_14": "「さあ、行ってみようか、彼の眠る場所に。\\n もう少しだけ、目を瞑っていてもらうよ」",
"399000511_15": "「ここは……。なんだか、不思議な雰囲気。",
"399000511_16": " とっても綺麗なところですね」",
"399000511_17": "「汚れなく静謐。錬金術の視点でも一欠片の歪みもない。\\n まるで聖域みたいだわ」",
"399000511_18": "「奥にあるのは棺だな。\\n あそこにソロモンが眠っているわけか」",
"399000511_19": "「――ッ!?\\n いや、待てッ あそこにあるのは……」",
"399000511_20": "「――ッ!?\\n まさか……人の遺体ッ」",
"399000511_21": "「……白骨化が進んでる。亡くなってしばらく経ってるみたいね。\\n この感じ……見たところ盗掘者かしら」",
"399000511_22": "「そんな……だ、だって、侵入者避けに\\n アダムさんの特別な錬金術がかかっていたんじゃ」",
"399000511_23": "「…………」",
"399000511_24": "「それが作用しなかったことは、この遺骸が物語っているだろう。\\n ……杖の方はどうなっている」",
"399000511_25": "「なくなっているよ、残念なことに」",
"399000511_26": "「……最悪と言っていいね、想定した中では。\\n もうつ、なくなっているものがあるんだ」",
"399000511_27": "「まさか、ソロモンの遺骸まで消えているとでも?\\n ……まさか、あのふざけた愚王は本人なのか……」",
"399000511_28": "「いいや。ちゃんと残っているよ、彼の遺骸は。\\n でもなくなっているんだ。ソロモンの杖と、もうつ……」",
"399000511_29": "「ソロモンの遺産は、\\n やはり奪われていたということか……ッ」",
"399000511_30": "「盗掘者がここまでたどり着いたけど、\\n いざピカピカなお宝を見つけて仲間割れ……とか」",
"399000511_31": "「けど、その子が言った通り局長の術式を破って侵入した。\\n なら、盗掘者は錬金術師……かしら」",
"399000511_32": "「はぁ。\\n まったく、うちの組織ってば、どうなってるのかしら」",
"399000511_33": "「いいや。盗掘者は錬金術師ではない、\\n ただの一般人だよ」",
"399000511_34": "「……一般人? ただの人間が、\\n お前の秘匿術式を破ったと」",
"399000511_35": "「破る必要はないのさ、\\n そのように作ったんだ」",
"399000511_36": "「どういうことですか?\\n アダムさんの術は、侵入者避けだったんじゃ……」",
"399000511_37": "「錬金術師――ソロモンは僕らを魔術師と呼んだけれど……",
"399000511_38": " 力ある聖遺物を求めるには理由がありすぎるだろう? 僕らには」",
"399000511_39": "「それはまぁ、そうね」",
"399000511_40": "「だから術式を調整したんだ。\\n そういった者たちの手が届かないようにね」",
"399000511_41": "「対錬金術師に特化した秘匿術式ってことッ!?",
"399000511_42": " ……だから、あーしたちには見つけられなかったわけね」",
"399000511_43": "「だとしても、なぜただの人間に突破できる?」",
"399000511_44": "「『力なき人間』がいくつかの偶然を軌跡として必然を成した時、\\n 意味を成さなくなるのさ、この秘匿術式は」",
"399000511_45": "「力を持たない人間が、無欲に、偶然にこの場所へたどり着き、\\n ソロモンの遺産を手にしたのなら」",
"399000511_46": "「その人間こそが運命を組み敷く王の資質を持つ者だ――。",
"399000511_47": " 彼はそう言っていたよ」",
"399000511_48": "「ちょっ……と、待ってくれる?」",
"399000511_49": "「偶然、たまたま、幸運にも、\\n 奇跡的にここまでたどり着いた一般人がいたら……」",
"399000511_50": "「そいつに王様の資格があるって、\\n 自分と共に眠らせた力を、そのまま預けちゃう気だったのッ」",
"399000511_51": "「そうだ」",
"399000511_52": "「それが望みだったからね、彼が最後に抱いた。\\n 後の世界に託したかったのさ、自分が使った力を」",
"399000511_53": "「そんなのリスクとリターンが釣り合ってないわよッ!\\n 賭けるにしても、下手すぎるでしょうッ」",
"399000511_54": "「しかも、ソロモンの杖は悪意ある者の手に渡っている。\\n 見事に賭けに負けているようだな」",
"399000511_55": "「同感だね、賭け事が下手だという点には。\\n 言ったじゃないか、野心的なのが欠点だったと」",
"399000511_56": "「どうしてこう権力者というのは、\\n 晩節を汚したがるんだ……」",
"399000511_57": "「だけど、こうとも言っていたよ。<ruby=みらい>未来</ruby>に賭けてみたいのだと。\\n いつまでも終わらない人と人の争いが終わることを、ね」",
"399000511_58": "「……」",
"399000511_59": "「しかし……\\n 厄介なのはソロモンの杖を持ち去られたことだけではない」",
"399000511_60": "「ソロモンの杖と共に\\n 彼の遺産だった『腕輪』も持ち去られているんだ」",
"399000511_61": "「腕輪……?\\n ソロモンの杖よりも危ないものなんですか」",
"399000511_62": "「ああ、その腕輪もまた完全聖遺物さ。\\n キミたちの流儀で言えば――」",
"399000511_63": "「『ドラウプニル』。\\n ――そう呼ぶべき、ね」"
}

View file

@ -0,0 +1,84 @@
{
"399000521_0": "「ドラ……?\\n それも聖遺物なんですか」",
"399000521_1": "「ドラウプニル……\\n 北欧神話において主神が持つとされる黄金の腕輪の名だ」",
"399000521_2": "「9夜ごとに8つ、\\n 自身と同じ腕輪を作り出すという」",
"399000521_3": "「神様が持ってる、増える腕輪……?",
"399000521_4": " そう聞くと、なんだかあんまり危なくなさそうだけど……」",
"399000521_5": "「錬金術において完全物質である黄金を、術を介さず生み出すんだ。\\n 実在するならば、オレもお目にかかりたいものだな」",
"399000521_6": "「へぇ……?",
"399000521_7": " ええと、つまり……すごいんですねッ!」",
"399000521_8": "「なんにもわかってなさそうだけど、\\n 勢いのある返事だけは嫌いじゃないわよ」",
"399000521_9": "「……けれど、それだけではないんだ。\\n ドラウプニルの力は」",
"399000521_10": "「キャロルの説明は間違いではない。\\n しかし、正しく述べてはいないのさ。事実をね」",
"399000521_11": "「オレが――、\\n いや、伝承が間違っていると」",
"399000521_12": "「ドラウプニルは北欧の権威者たちの持ち物じゃないんだ、\\n 確かに、彼らが管理していた時期もあったけれどね」",
"399000521_13": "「……古い、古い想い出さ。僕が知る限り――\\n <ruby=アヌンナキ>正しき神</ruby>が作り出した聖遺物の中でも、あれは異質だ」",
"399000521_14": "「大いなる力など軽々飛び越える、大きすぎる力がある。\\n 『全てを複製する力』が、ね」",
"399000521_15": "「全てって……何もかもをッ!?\\n ドラウプニルは腕輪そのものが増殖する道具じゃないのッ」",
"399000521_16": "「少なくとも神話にはそう伝えられているはずだ。\\n お前の話が本当なら、なぜ虚偽が今に伝わっている」",
"399000521_17": "「本来の力を使わなかったんだよ、ドラウプニルを手にした人間が。\\n 危険性に気づいていたんだろう、これまでの所有者たちは」",
"399000521_18": "「奇跡的にか……或いは、\\n それこそが人が人たらんとする意思なのか」",
"399000521_19": "「過去の所有者も……そして、僕の友人も選んだのさ。\\n 真実ごと腕輪を『封印する』というやり方をね」",
"399000521_20": "「真実ごと封印って……聞こえはいいけど、\\n 要するに、後世を騙すことを選んだってことよね」",
"399000521_21": "「大きな力を前に、仮にそれしかなかったとしても……\\n 王様のクセに、やってることは<ruby=元詐欺師>あーし</ruby>と変わらないじゃない」",
"399000521_22": "「綺麗に騙って、事実を覆い隠して。\\n トンデモな力をなかったことにしたわけでしょう」",
"399000521_23": "「……でも、少なくともその嘘のせいで、\\n 今日まではドラウプニルが悪用されなかったのかしらね」",
"399000521_24": "「神話にすら残せないほどの力……か」",
"399000521_25": "「え、ええーっと……?」",
"399000521_26": "「複製……ってことは、偽物を作れる聖遺物なんですよね?\\n そんなに危ない物なんですか」",
"399000521_27": "「『偽物』ではないのさ、ドラウプニルが生み出すのは。\\n それは本物と寸分違わぬもうつの本物、神の作りし複製品だ」",
"399000521_28": "「もう1つの本物……ッ!",
"399000521_29": " なら、ちゃんと動くガングニールも作れたりするんですか?」",
"399000521_30": "「この男の話を信じるなら、そんな程度で済む話ではない。\\n シンフォギアを纏う立花響という存在ごと複製が可能だな」",
"399000521_31": "「わ、わたしのコピーッ!?\\n クローン…… とかそういうことですかッ」",
"399000521_32": "「その領域なら、科学でも錬金術でも手が届くわよ。\\n もっともっと先の話でしょうね」",
"399000521_33": "「別に難しい話ではないさ、言葉通りなんだ。\\n 全てを複製することができるんだよ、望むのなら、世界すら」",
"399000521_34": "「世界の複製――ッ!?」",
"399000521_35": "「新たな並行世界すら生み出すとッ!?」",
"399000521_36": "「錬金術師として言わせてもらえば、\\n 仮に可能だとしても、この世界のエネルギーを使い切るはずよ」",
"399000521_37": "「実現できるのさ、理不尽に思えても。\\n それが機能だからね、ドラウプニルという聖遺物の」",
"399000521_38": "「そんなことありえない……って笑い飛ばせたら楽なんだけど、\\n 局長のニヤケ面がいつになく本気なのよね」",
"399000521_39": "「だとすれば……誰もドラウプニルを起動しなかったのも頷ける。\\n 善性を持つ人間ならば、忌避し、封ずるだろう力だ」",
"399000521_40": "「逆に言うならば、悪しき人間が持てば……\\n ドラウプニルの力を真に理解したとき、とんでもない事態になるぞ」",
"399000521_41": "「……例え悪人じゃなくても、普通の人間なら、\\n 大きな力の前には揺らぐものよ」",
"399000521_42": "「あーしだって、サンジェルマンに会う前にぽんと渡されてたら、\\n きっとよからぬことだって考えちゃうわ」",
"399000521_43": "「この賭け下手な王様は、\\n 本当にとんでもない負け方をしてくれたわね……」",
"399000521_44": "「ともあれ……復活したわけではないようだ、\\n 知恵の王であり、僕の友人である、ソロモン本人は」",
"399000521_45": "「オレたちがまみえたあの男がソロモン王の複製……\\n というわけでも、恐らくはないだろうな」",
"399000521_46": "「なにせ、ノイズと暴力で人を治めようとする暗君だ」",
"399000521_47": "「でもあーしたちの出くわした王様気取りは、\\n 自分のことをソロモンって名乗ってたのよね」",
"399000521_48": "「このタイミング……この状況。\\n 無関係ってことはなさそうだけど……」",
"399000521_49": "「さてなんだろうね、その理由は。\\n ソロモンの姿だけ複製したのか、聖遺物の力すら知らぬままに」",
"399000521_50": "「目撃者2人が物言わぬ語り部では、想像するにしても情報が足りん。\\n ……ただ、つだけ明確な事実がある」",
"399000521_51": "「最初にオレたちの遭遇した異質なノイズ。\\n 奴は自分自身を複製するように増殖していたな」",
"399000521_52": "「――ッ!\\n ドラウプニルの力が、既に使われている……ッ」",
"399000521_53": "「ああ。あれは恐らく試し運転……あの愚王が\\n ドラウプニルを理解したならば……とんでもないことになるぞッ」",
"399000521_54": "「ソロモンの杖だけじゃない、\\n ドラウプニルもなんとかしないと……ッ」",
"399000521_55": "「――ッ!?\\n イズが、ここにもッ」",
"399000521_56": "「これも偶然か?\\n それともこいつらにも、王たる資格があるとでもッ」",
"399000521_57": "「んなわけないでしょッ! \\n どうせあの王様気取りの仕業よ、マナーがなってないったらッ」",
"399000521_58": "「倒しましょうッ!\\n 亡くなった人の眠る場所を、荒らさせたりしないッ」",
"399000521_59": "「Balwisyall nescell gungnir t――」",
"399000521_60": "「えッ!?」",
"399000521_61": "「ここは任せてもらおう、この僕に」",
"399000521_62": "「ただの『人間』だけなんだよ、友人の墓を暴けるのは。\\n 安眠を妨げられる前に退場願おう、見苦しい雑音にはね」",
"399000521_63": "「お前1人でやるつもりか?」",
"399000521_64": "「許すつもりはないからね。\\n この空間を一片でも汚すことも、分解することも」",
"399000521_65": "「偶然に現れたはずがないだろう? これだけのノイズが。\\n 相手にとっても最大の鍵なんだからね、彼の墓は」",
"399000521_66": "「ソロモンを名乗る何者かも勘づいたはずだ、\\n 僕らが敵の正体に迫っていることに」",
"399000521_67": "「このノイズはオレたちへの足止めか……。\\n いや、この場所だけと考えるのは楽観的だな」",
"399000521_68": "「この場所を特定されないために通信は切ってるけど、\\n また世界のあっちこっちにイズが出てそうよね」",
"399000521_69": "「ああ。でも足を止めている余裕はないんだ、\\n 人々を護るためには」",
"399000521_70": "「だからキミたちには、任務を続けてもらう。\\n ソロモンの杖、ドラウプニル――そして人の捜索を」",
"399000521_71": "「でもこのノイズを倒さないと、\\n ここから出ることもッ」",
"399000521_72": "「心配はいらないよ、用意してある」",
"399000521_73": "「これならチフォージュ・シャトーの反応を追尾して転送できる、\\n 僕の特製だからね」",
"399000521_74": "「用意のいいことだ。\\n ……ここは任せていいんだな」",
"399000521_75": "「僕は今まで通りこの世界を護るさ。\\n 目の届く範囲でね」",
"399000521_76": "「だからキミたちに頼もうじゃないか。\\n 同じ時代に生きる隣人……或いは、友人たちのことを」",
"399000521_77": "「――はいッ! 必ずッ!」",
"399000521_78": "「さて、失敗はできないね。\\n ここまで見栄を張った以上は」",
"399000521_79": "「さあ、証明するといい。\\n キミたちが人を殺すための、人を殺せる兵器なのだと」",
"399000521_80": "「この錬金術師協会統制局長、アダム・ヴァイスハウプトが\\n 手ずからテストしてあげよう――」",
"399000521_81": "「キミたちの存在を対価にッ!」"
}

View file

@ -0,0 +1,18 @@
{
"399000522_0": "「ここは……ッ!?」",
"399000522_1": "「現在地は不明か……通常のテレポートジェムであれば、\\n 転送に用いたレイラインは判別できるのだが」",
"399000522_2": "「さすが局長が特製って言うだけあるわね。\\n ヤんなっちゃうくらいふっしぎ〜」",
"399000522_3": "「テレポートって時点で、\\n いつも不思議に思ってましたよッ」",
"399000522_4": "「普通のテレポートジェムはちゃんと<ruby=ことわり>理</ruby>のある術式よ。\\n 知識のある錬金術師から見れば不思議でもなんでもないわ」",
"399000522_5": "「お前の纏うシンフォギアも同じだ。\\n 理解のできない技術だが、理屈はあるのだろう」",
"399000522_6": "「あ……うん。わたしにはわからないけど、\\n ちゃんと整備もしてもらってるから、たぶん……」",
"399000522_7": "「あーしから見れば、\\n そっちもそっちでトンデモ技術なのよ」",
"399000522_8": "「この世の万象は、全てこの世にあるものを素材とし、\\n 解けるようになっている」",
"399000522_9": "「世界の全てを識ることで、\\n いつかシンフォギアの謎も解けることだろう」",
"399000522_10": "「――そのためにもまずは、\\n あの気に入らん王様気取りの企みを止めることからだな」",
"399000522_11": "「襲撃かッ!\\n あの男、的確に敵の場所へ送り込んだなッ」",
"399000522_12": "「でも、この攻撃は――、",
"399000522_13": " まさか、あなたなのッ!?」",
"399000522_14": "「…………」",
"399000522_15": "「どうしてあーしに武器を向けるのッ!?\\n プレラーティッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,38 @@
{
"399000611_0": "迷わず進み、託すのは",
"399000611_1": "「ちょっと、どうしちゃったのよプレラーティッ!?",
"399000611_2": " あーしたちはあなたを探しに来たのッ!」",
"399000611_3": "「サンジェルマンは、あの王様気取りは、\\n 捕まってる村の人はどうしたのッ」",
"399000611_4": "「…………」",
"399000611_5": "「なんとか言いなさいよッ! もうッ!」",
"399000611_6": "「……やつが知っているとは限らないな」",
"399000611_7": "「え……?」",
"399000611_8": "「ドラウプニルの存在を忘れたか?」",
"399000611_9": "「――ッ!? まさか複製のプレラーティッ!?",
"399000611_10": " でも……確かめる方法なんてないわよッ!」",
"399000611_11": "「ドラウプニルまでたどり着いているワケダね。",
"399000611_12": " だが――ごちゃごちゃとうるさいワケダッ!」",
"399000611_13": "「プレラーティッ!!!」",
"399000611_14": "「これはソロモン王により課せられた試練なワケダ。\\n 殺す気でかかってくるワケダッ」",
"399000611_15": "「そんな、どうしたら……」",
"399000611_16": "「――やるわよ、\\n シンフォギアのお嬢さん」",
"399000611_17": "「でも、あのプレラーティさんが本物なのか、\\n どうして襲ってきたのかもわからないんじゃ……ッ」",
"399000611_18": "「少なくともプレラーティはやる気よ。\\n そして――本気じゃないわ」",
"399000611_19": "「……え?」",
"399000611_20": "「あーしたちは戦士じゃない、錬金術師なの。\\n 戦うなら相手を妨害し、自らを高め、必勝を期して挑むわ」",
"399000611_21": "「でもあの子は奇襲しておいて、正面から戦うだけ。\\n ぜんっぜん本気じゃないのよ」",
"399000611_22": "「……そうですね、錬金術師の人と戦う時は、\\n いつも不利な状況ばかりでした」",
"399000611_23": "「だからこの状況そのものに、\\n プレラーティの狙いがあると見るべきよ」",
"399000611_24": "「つまりあーしたちのやるべきことは、",
"399000611_25": " 本気で戦って、あの子をぶっ飛ばすッ!」",
"399000611_26": "「い、いいんですかッ!?」",
"399000611_27": "「あの子が『本物』か『本物と同じ複製』かは知らないけど、\\n どっちも本物と同じ強さなんでしょう」",
"399000611_28": "「なら、どっちみちあーしたちがボコった程度で、\\n 死ぬようなタマじゃないわよッ」",
"399000611_29": "「そ……それは確かにッ!?",
"399000611_30": " なら……全力で挑んで、話を聞かせてもらいますッ!」",
"399000611_31": "「向こうはやる気なんだ、元より選択肢などないッ!",
"399000611_32": " 立ちはだかるならば倒すだけだッ!」",
"399000611_33": "「覚悟は決まったワケダな。",
"399000611_34": " さあ、かかってくるワケダッ!」",
"399000611_35": "「上等よッ! 後でたっぷり慰めてあげるから、\\n ちょっと痛いのは我慢してよねッ」"
}

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@ -0,0 +1,39 @@
{
"399000612_0": "「オレに敵への手加減という選択肢はないぞッ!\\n 死にたくなければ、本気で抗えッ」",
"399000612_1": "「――ッ、多少の手心もないワケダなッ!」",
"399000612_2": "「あーしたちも手抜きはなしよッ!」",
"399000612_3": "「みんなを信じてッ! \\n わたしにできる全力でッ」",
"399000612_4": "「フ……\\n 人がかりは不利なワケダ……ッ」",
"399000612_5": "「忘れちゃったかしら、プレラーティッ!?",
"399000612_6": " あーし相手に接近戦は――ッ」",
"399000612_7": "「――ッ!?\\n 失策だったワケダ……ッ」",
"399000612_8": "「はあああああああッ!!!」",
"399000612_9": "「久々の武闘派ッ!",
"399000612_10": " ごめんなさいねッ!」",
"399000612_11": "「ッ……ノイズより、\\n よほど純粋な暴力装置なワケダ……」",
"399000612_12": "「あら、ちゃんと無事でしょ?」",
"399000612_13": "「わたしでなければ死んでいたワケダが……。",
"399000612_14": " おかげで近づくタイミングが作れたワケダな」",
"399000612_15": "「近づくタイミング……?」",
"399000612_16": "「これを……受け取るワケダ……」",
"399000612_17": "「これで……\\n わたしたちの勝ちな、ワケダ……」",
"399000612_18": "「転換への抵抗を……\\n した、甲斐があったワケダね……」",
"399000612_19": "「プレラーティ……?」",
"399000612_20": "「何を企んでいるかは知らぬが……\\n 愚かなことをしたものよな」",
"399000612_21": "「ソロモンッ!!」",
"399000612_22": "「……やはり、我が厳命を素直に聞いたわけではなかったか」",
"399000612_23": "「ハ……ッ!\\n 『仲間を殺せ』と言われて殺せる相手は、仲間とは呼ばないワケダ」",
"399000612_24": "「……我の術式の発動を、僅かばかり遅らせたことは\\n 褒めてやるが……」",
"399000612_25": "「何故、錬金術を使った?\\n 貴様ほどの技量があれば、他の手段でも攻撃はできたろう」",
"399000612_26": "「錬金術を使えば、貴様はノイズへと再構築される。\\n その術式は解けておるまい」",
"399000612_27": "「――ッ!?」",
"399000612_28": "「フフ……わたしが手を抜いた錬金術を使えば、\\n カリオストロなら『何かある』と気づいてくれると思ったワケダよ」",
"399000612_29": "「カリオストロに近づくには、\\n 動けないのが自然な状況になる必要があったワケダ」",
"399000612_30": "「わたしは……\\n これでも、わたしの錬金術に誇りを持っているワケダ……」",
"399000612_31": "「貴様の『不可逆』如きに……\\n この誇り、折れるわけがないワケダッ」",
"399000612_32": "「己の命を賭して我を欺いたか。\\n 見事ではあるが……不敬がすぎるな」",
"399000612_33": "「あとは……任せたワケダ……」",
"399000612_34": "「なッ……プレラーティを分解し、\\n イズに再構築したのかッ」",
"399000612_35": "「いかに弱っていたとはいえ……強力な素材を元にすれば、\\n 再構築したイズを大きくすることは可能だな」",
"399000612_36": "「嘘でしょ……『不可逆』……?\\n プレラーティ、それって――」"
}

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@ -0,0 +1,25 @@
{
"399000621_0": "「そんな、プレラーティ……ッ」",
"399000621_1": "「――呆けるなッ!!\\n 何をしているッ」",
"399000621_2": "「――ッ!!」",
"399000621_3": "「プレラーティさんが、ノイズに……?\\n 本当に、そんなことをするなんて……」",
"399000621_4": "「どうした錬金術師、それにシンフォギア装者。\\n お前たちは数多の『イズ』を滅ぼして来たのだろう」",
"399000621_5": "「同じものだ。\\n 本質は何も変わらない」",
"399000621_6": "「人の獣性こそが、殺意を作るのだ」",
"399000621_7": "「――ッ!」",
"399000621_8": "「思考を放棄するなッ!」",
"399000621_9": "「き、キャロルッ!?」",
"399000621_10": "「動揺する必要がどこにあるッ!?\\n 同じこと、そうだろうともッ」",
"399000621_11": "「やつは、先日の父子と同じ状態に陥っただけのことッ!」",
"399000621_12": "「――ッ!」",
"399000621_13": "「再び分解し、再構築可能な状態で留め置けばいいッ! \\n その為の術式はお前が作ったのだろう、カリオストロッ」",
"399000621_14": "「……ナマイキだけど頼りになるわよね。\\n 目的に向かって決して折れない、あなたの意思」",
"399000621_15": "「ええ、あなたの言う通りよッ!\\n あーしの錬金術でプレラーティを返してもらうわッ」",
"399000621_16": "「――ッ!\\n 助けられるんですねッ」",
"399000621_17": "「あーしの錬金術ならカンタンよッ!\\n 動けなくなるぐらい、思いっきりあいつをボコって頂戴ッ」",
"399000621_18": "「了解ですッ!」",
"399000621_19": "「ありもせぬ奇跡を信じるか。\\n これだから愚者は救えぬのだ」",
"399000621_20": "「雑魚を増やしたってわけ?",
"399000621_21": " その程度で止められると思わないでよねッ!」",
"399000621_22": "「ク……さあ、試してみるがいい。\\n お前たちに絶望が――『不可逆』が覆せるのかをな」"
}

View file

@ -0,0 +1,28 @@
{
"399000622_0": "「よく暴れるッ!\\n 素材が影響しているんじゃないだろうなッ」",
"399000622_1": "「なんてったって、新鮮なプレラーティだものねッ!\\n 栄養たっぷりのはずよッ」",
"399000622_2": "「このノイズは足元を黒く変換しながら動いてる、\\n ちゃんと地面に立ってるんだ……ッ」",
"399000622_3": "「なら足元を崩せば、きっと姿勢も崩れるッ!",
"399000622_4": " たああああああッ!!!」",
"399000622_5": "「ナイスアイディアッ!\\n 伊達に修羅場は潜ってないじゃないッ」",
"399000622_6": "「ノイズの抵抗は防いでやるッ! \\n お前が決めろッ」",
"399000622_7": "「ええッ! さっさと――\\n 倒れなさい、この……デカイズッ」",
"399000622_8": "「術式をかけるなら、\\n イズの身体が崩壊しようとしている、今ッ」",
"399000622_9": "「帰ってきなさい――\\n プレラーティッッ」",
"399000622_10": "「――ッ!?」",
"399000622_11": "「な……ッ!? 失敗ッ!?",
"399000622_12": " なら、もう1度ッ!」",
"399000622_13": "「ど……どうなってるのッ!?\\n これじゃプレラーティがッ 崩れちゃうッ」",
"399000622_14": "「術式は間違いなく構築されている……。\\n だが術が弾かれて……無効化されているのかッ」",
"399000622_15": "「プ、プレラーティさんだったノイズが、\\n 崩れて……どんどん、なくなっていく……ッ」",
"399000622_16": "「――やめてッ! プレラーティが消えちゃうッ!\\n ダメよ、行かないでッ」",
"399000622_17": "「原因はなんだ、力場か? いや、事前に術が施されている?\\n くそッ、解明する時間など……ッ」",
"399000622_18": "「な……何が起こってるんですかッ!?\\n プレラーティさんは助けられるんじゃッ」",
"399000622_19": "「あ……ああッ!\\n 全てが、塵に……ッ」",
"399000622_20": "「――ッ!!」",
"399000622_21": "「……クッ」",
"399000622_22": "「ククククク……ハハハハハッ!",
"399000622_23": " 無様だな、愚者どもッ! クハハハハッ!」",
"399000622_24": "「ようやく、己の愚かさを知ったか。\\n 知恵の欠片を手にしたようだな」",
"399000622_25": "「もはや手遅れであろうがなァッ!」"
}

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@ -0,0 +1,49 @@
{
"399000711_0": "一方、世界各地の装者たち",
"399000711_1": "「いくら数だけ揃えたところでッ!\\n あたしの歌とガングニールをッ 止められるかッ」",
"399000711_2": "「ぶっ飛べえええええッ!!!」",
"399000711_3": "「ノイズの反応、全て消失しました。\\n お疲れ様です」",
"399000711_4": "「休んでる暇なんざないだろ?\\n すぐに次へ行くよ」",
"399000711_5": "「1人で抱え込まないで、奏。\\n こうして共に戦う<ruby=わたし>戦友</ruby>たちがいるのだから」",
"399000711_6": "「そっちも片付いたか。\\n やれやれ、頼りになるね、まったく」",
"399000711_7": "「さっさと声かけてくれりゃよかったんだよ。\\n こっちも散々助けられてんだしな」",
"399000711_8": "「自分たちだけで解決しようなんて、\\n 水臭いデスッ」",
"399000711_9": "「わたしたちも、\\n いつだって力を貸しますから」",
"399000711_10": "「ええ。例え世界が違っても、\\n わたしたちは仲間なのだから」",
"399000711_11": "「きっと他の世界のみんなだって、\\n 話を聞いたら来てくれたと思いますよ」",
"399000711_12": "「ハハッ!\\n ああ……心強いよッ」",
"399000711_13": "「――ッ!? 錬金術師協会より緊急通達ッ!\\n 新たなイズ発生の兆候ですッ」",
"399000711_14": "「カンボジアのシェムリアップ、インドネシアのジョグジャガルタ、\\n アメリカの、セドナ……」",
"399000711_15": "「ほ、他にもイギリス、メキシコ、ベトナム――\\n 世界各地で反応が出ていますッ」",
"399000711_16": "「おっと、ゆっくり話す時間もくれないか。\\n せっかちな奴らだ」",
"399000711_17": "「待ってください、ただのノイズではありません。\\n この反応は大型イズ いえ、それ以上の――」",
"399000711_18": "「奏ちゃん、その場を離れてッ! \\n 今すぐによッ」",
"399000711_19": "「――ッ!?」",
"399000711_20": "「こいつは……ったく、諦めの悪い。\\n 数じゃ勝てないからってサイズで勝負ってか」",
"399000711_21": "「ありゃりゃ……数の方も手抜きはなしかい。\\n こうも盛大にもてなされると、気合いが入るねッ」",
"399000711_22": "「錬金術師協会とリアルタイムでデータリンクしたわ。\\n このイズ、ただ大きいだけじゃないわよ」",
"399000711_23": "「存在するだけで周囲の物質を全て分解してる。\\n 人間も無機物も区別なくよッ」",
"399000711_24": "「す……全て分解ッ!?",
"399000711_25": " なら放っておいたら、この街がッ!」",
"399000711_26": "「世界各地で錬金術師協会の人員が、\\n イズによる分解に抵抗していますッ」",
"399000711_27": "「ノイズの出現ポイントは……、\\n レイライン上……」",
"399000711_28": "「龍脈の結節点かッ!\\n 街どころではない……世界を分解するつもりかッ」",
"399000711_29": "「レイライン上なら預けられたテレポートジェムで飛べるわ。\\n 装者はイズの出現ポイントへ向かってッ」",
"399000711_30": "イギリス・ロンドン――",
"399000711_31": "「姿は見えたデスが……巨大なノイズに、大量の小型ノイズ、\\n 人で戦うのはちょっと大変そうデス……」",
"399000711_32": "アメリカ・ワシントン郊外――",
"399000711_33": "「待ってて切ちゃん、\\n こっちのを、すぐに倒して助けに行くからッ」",
"399000711_34": "「何を言ってるデスッ!\\n アタシの方が調の援護に行くデスよッ」",
"399000711_35": "ルーマニア・ダキア――",
"399000711_36": "「今更ノイズに負けてられるかッ!\\n 被害が出る前に終わらせるッ」",
"399000711_37": "ギリシャ・ペロポニソス半島――",
"399000711_38": "「これだけの戦力、\\n 相手も本気になったと考えるべきでしょうねッ」",
"399000711_39": "中国・蘇州――",
"399000711_40": "「やはり立花たちの追う相手が本星かッ!」",
"399000711_41": "「ならば彼女らが事態を打破するまで、\\n なんとしてでも無辜の民を護るのみッ」",
"399000711_42": "日本――",
"399000711_43": "「きっと響も戦ってるッ!\\n その間、誰も傷つけさせたりしないッ」",
"399000711_44": "「護るだけじゃない、\\n 誰もやられるんじゃないよッ」",
"399000711_45": "「あたしたちの世界を護るためにあんたたちが死ぬなんて、\\n 絶対に許さないッ」",
"399000711_46": "「おお――――ッ!」"
}

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@ -0,0 +1,32 @@
{
"399000811_0": "本物の意志",
"399000811_1": "「ククククク……ハハハハハッ!",
"399000811_2": " 無様だな、愚者どもッ! クハハハハッ!」",
"399000811_3": "「ようやく己の愚かさを知ったか。\\n 知恵の欠片を手にしたようだな」",
"399000811_4": "「もはや手遅れであろうがなァッ!」",
"399000811_5": "「人をノイズへと再構築した挙句、消滅する様を見て嗤うかッ!\\n どこまでも腐り果てた外道がッ」",
"399000811_6": "「あんたの仕業なのね……ッ!\\n もう戻せないと知っていて、あーしたちを嘲笑ったッ」",
"399000811_7": "「見世物としては、退屈な内容だったがな。\\n ヒトの愚かさなど、とうに知っているが故に」",
"399000811_8": "「貴様はどこまで、\\n オレの逆鱗を撫でつければ気が済むッ」",
"399000811_9": "「ハ。仲間を殺した罪を我に着せて満足するか。\\n どこまでも無知、どこまでも蒙昧だな」",
"399000811_10": "「殺した……仲間を……ッ!?」",
"399000811_11": "「そんなはずない……ッ! プレラーティさんがこんなに簡単に、\\n わたしたちにやられるはずがないッ」",
"399000811_12": "「――ッ!」",
"399000811_13": "「……そう、ね。そうよね。……ええ、そうだわ。\\n つまりあれは、あーしたちを動揺させるための偽物ッ」",
"399000811_14": "「…………」",
"399000811_15": "(だが、あれがアダムの言った『ドラウプニルが作った複製』で\\n あるならば……それは、やはり……",
"399000811_16": "「……ふむ? そちらの女は……\\n この期に及んで、己を騙そうとするか」",
"399000811_17": "「――ッ!」",
"399000811_18": "「どうやらドラウプニルの生み出す『完全な複製』の意味を、\\n 履き違えたままでいたいようだが……」",
"399000811_19": "「身体のみならず、想い出も、魂すらも『同じもの』を、\\n 貴様らは偽物と呼ぶのか」",
"399000811_20": "「答えてみよ。己の体躯を完全なモノへと作り替え……\\n 或いは、体躯を渡り歩き、自己連続性を捏造したペテン師どもめが」",
"399000811_21": "「貴様らより余程……\\n 消え失せた女こそ、『本物』であろうが」",
"399000811_22": "「……」",
"399000811_23": "「そん、な……」",
"399000811_24": "「ッ……それは……あーしたちは……",
"399000811_25": " …………」",
"399000811_26": "「……だが、いいだろう。\\n 知恵の王として教えを授けてやる」",
"399000811_27": "「我がこの場に寄越したのは、貴様らの言葉に倣って言うならば\\n ――紛れもなく『本物の』プレラーティだとも」",
"399000811_28": "「ドラウプニルの生み出した『偽物』も、\\n 今や世界を切り崩す巨大兵器の素材へと成り果てたッ」",
"399000811_29": "「世界は、お前たち人間を初として果てるのだッ!」"
}

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@ -0,0 +1,175 @@
{
"399000821_0": "「我がこの場に寄越したのは、貴様らの言葉に倣えば\\n ――紛れもなく『本物の』プレラーティだとも」",
"399000821_1": "「ドラウプニルの生み出した『偽物』も、\\n 今や世界を切り崩す巨大兵器の素材へと成り果てたッ」",
"399000821_2": "「世界は、お前たち人間を初として果てるのだッ!」",
"399000821_3": "「本物の、プレラーティさん?\\n じゃあ、わたしが殴ったのは……殺した、のは……」",
"399000821_4": "「疑いもなく本物だ。\\n 答えが得られたことに感謝せよ、シンフォギア装者」",
"399000821_5": "「そんな――」 ",
"399000821_6": "「――ッ!?\\n うあああッ」",
"399000821_7": "「何をしているッ!?\\n お前まで死ぬつもりかッ」",
"399000821_8": "「だってプレラーティさんが、\\n また、わたしたちを助けるために……ッ」",
"399000821_9": "「完全なる、命の焼却は――ッ!」",
"399000821_10": "「ラピスに通じる輝きなワケダッ!」",
"399000821_11": "「あの子たちと手を取り合ってなどいない……。\\n 取り合えるものか……」",
"399000821_12": "「死を灯すことでしか、明日を描けなかった……\\n 私には――ッ」",
"399000821_13": "「――そう。\\n あなたの世界のプレラーティも、こうして命を使ったのね」",
"399000821_14": "「いえ、プレラーティだけを逝かせたりはしなかった……\\n あーしたちも、なのね」",
"399000821_15": "「あの時もわたしは、\\n 助けられるだけで……」",
"399000821_16": "「助けられただけなら、あなたはここにいないでしょ?\\n 並行世界のあーしたちが繋いだ希望を、形にしてくれたのね」",
"399000821_17": "「なかなか美しい終わり方してるじゃない、そっちのあーしは。\\n ちょっと妬いちゃうわ」",
"399000821_18": "「……怒り喚くのにはもう飽いたか?」",
"399000821_19": "「ええ、そうね。一周回って冷静になったわ、\\n あ・り・が・とッ」",
"399000821_20": "「ニセモノでもホンモノでも、\\n 『プレラーティ』は命を賭してこの場に来たの」",
"399000821_21": "「世界を護るために、誰かを助けるために、\\n 命を懸ける必要があったから、可能性を見出していたから」",
"399000821_22": "「だったら……あーしが託されたこの『ドラウプニル』……\\n 有効活用せずにどうしろって話じゃないのッ」",
"399000821_23": "「ドラウプニルの複製――。",
"399000821_24": " 盗み出していたのか、錬金術師め」",
"399000821_25": "「だが、無駄なことだ。\\n ドラウプニルは既につの複製を行い、役目を終えている」",
"399000821_26": "「役目を終えた……?」",
"399000821_27": "「知らぬか。ならばドラウプニルが何を成したのか、\\n お前たちにも教えてやろう」",
"399000821_28": "「ッ……!?\\n 何も起きていない……」",
"399000821_29": "「聞こえてるッ!?\\n 取り込み中だろうけどごめんなさい、緊急事態よッ」",
"399000821_30": "「ああ、察しの通り取り込み中だ。特大のなッ!\\n 何が起きたッ」",
"399000821_31": "「世界中に巨大ノイズが出現して、\\n レイラインの基点から世界を分解し始めたのッ」",
"399000821_32": "「とんでもない数よッ!\\n このままでは世界ごと……星ごと分解されるッ」",
"399000821_33": "「――ッ!?\\n プレラーティの他にも、巨大イズがッ」",
"399000821_34": "「世界の分解、だと……ッ!?」",
"399000821_35": "「並行世界のシンフォギア装者が協力してくれて、\\n 今までは優勢に戦っていたんだけど――」",
"399000821_36": "「巨大なノイズが突然力を増して、\\n 世界を分解しながら装者たちを圧倒しているわッ」",
"399000821_37": "「このままじゃ全滅よッ!\\n そっちで何かあったのなら、教えてもらえるッ」",
"399000821_38": "「みんなが……ッ!」",
"399000821_39": "「……すぐに対処する。\\n 死ぬなと伝えておけ」",
"399000821_40": "「――お前の仕業か、ソロモン」",
"399000821_41": "「こんなものは序章に過ぎん。\\n 本番はここからだ――」",
"399000821_42": "「また、巨大ノイズが……」",
"399000821_43": "「待ってちょうだい、さっきの巨大ノイズは、\\n プレラーティを再構築して生まれたはずよ」",
"399000821_44": "「……つまりこいつにも、\\n 元となる誰かが――ッ」",
"399000821_45": "「まさか……ッ!?」",
"399000821_46": "「さすがに気づいたか。\\n ただのイズでは力不足のようなのでな」",
"399000821_47": "「世界再構築のキーとして使うため、\\n もう人の錬金術師を使わせてもらった」",
"399000821_48": "「そ、そんな……それって、",
"399000821_49": " この巨大ノイズが、サンジェルマンさんってことですかッ!?」",
"399000821_50": "「如何にも。もう1人の錬金術師、その複製体が素材だ。\\n ドラウプニルの正しい活用法というわけだな」",
"399000821_51": "「そして――\\n 見よ、この力を」",
"399000821_52": "「なんて圧力……ッ!\\n イズが力を増したって、このことなのッ」",
"399000821_53": "「――貴様、まさかこの術式は」",
"399000821_54": "「城に残されていた、\\n 想い出を焼却し、力とする術式を使わせてもらった」",
"399000821_55": "「ノイズへと再構築するより前、\\n 素材に刻まれた想い出の焼却だったが、効果はあるようだな」",
"399000821_56": "「やはり、オレの術式か……ッ!」",
"399000821_57": "「肉体はもちろん、\\n 積み重ねてきた過去までも有効に活用してやったのだ」",
"399000821_58": "「あの女も感謝していることだろう」",
"399000821_59": "「サンジェルマンさんをノイズにして、\\n その想い出を、キャロルちゃんの術で焼却して……」",
"399000821_60": "「酷い……。\\n どうして、そんなことができるんですか……ッ」",
"399000821_61": "「――?\\n 可能であったが故に」",
"399000821_62": "「――ッ!?」",
"399000821_63": "「目的へと、理想へと近づけるならば、\\n 如何なる非道であろうとも、成さずにいられない」",
"399000821_64": "「ヒトはそういうものだろう」",
"399000821_65": "「故に、我はこうするのだッ!!」",
"399000821_66": "「今このときまで脈々と引き継がれて来たヒトの悪性を――\\n 世界ごと分解してくれるッ」",
"399000821_67": "「違う……ッ!\\n 人は、人は……」",
"399000821_68": "「理想的な勝利のために、\\n あの女を殴り殺しておいて……か」",
"399000821_69": "「……ッ!!」",
"399000821_70": "「あんたなんかに、人を語れるもんですか。\\n わかった顔して調子に乗ったただのクソ野郎じゃないの」",
"399000821_71": "「カリオストロさん……」",
"399000821_72": "「いくら想い出を燃やして、力だけが増しても、\\n 彼女たちの本当の強さは持ちようがないわ」",
"399000821_73": "「想い出は、その『誰か』を形作る要素――\\n それが欠けて、『同じ者』を語るなんて片腹痛いのよッ」",
"399000821_74": "「不出来な複製品を素材に、出来損ないを作ってるだけ。\\n あんたはドラウプニルの使い方がわかってないのよ」",
"399000821_75": "「何を言ったところで、\\n 貴様の持つドラウプニルは役目を終えた廃棄品」",
"399000821_76": "「それ以上の効果を発揮することなどない」",
"399000821_77": "「――ないッ!\\n ないはずだッ」",
"399000821_78": "「随分とドラウプニルを酷使していたようだが、\\n 貴様も勘違いしていたか」",
"399000821_79": "「いや……\\n 『識らなかった』のだろう」",
"399000821_80": "「何を……言っているッ!?\\n 知恵の王たる我の、知らぬことなどあるはずがないッ」",
"399000821_81": "「元の持ち主は知っていたぞ、あの腕輪の、本当の力をな。\\n だから決して使おうとはしなかった」",
"399000821_82": "「ドラウプニルの本当の力だと――?」",
"399000821_83": "「完璧な複製を作る――、\\n もうつの『本物』を作り出す力」",
"399000821_84": "「ねえ、あなた算数はできる?\\n つのドラウプニルがつドラウプニルを生み出せるなら――」",
"399000821_85": "「――ッ!?」",
"399000821_86": "「その8つのドラウプニルは、いったいどれだけの\\n 『本物』のドラウプニルを生み出すのかしらね」",
"399000821_87": "「そして、『本物』を作り出せるのは8回まで……\\n 過去の王たちがそう騙ってきた『知識』をその身に宿した故か」",
"399000821_88": "「その身に宿った『想い出』に……人の善性故の、嘘に。\\n 騙されたようだな」",
"399000821_89": "「ち・な・み・にッ!」",
"399000821_90": "「これってば、詐欺師業界じゃ有名な手法によく似てるんだけど……\\n 民と触れ合わない王様じゃあ、知る由もなかったみたいね」",
"399000821_91": "「ダメよぉ、馬鹿がバレちゃうからね。\\n 『ネズミ講』なんかに、引っかかっちゃあッ」",
"399000821_92": "「オレも少しばかり――\\n その力、使わせてもらおうかッ」",
"399000821_93": "「ええ、どーぞ♪」",
"399000821_94": "「馬鹿な……ッ!\\n 先ほどまで本物偽物と狼狽えていた人間が、何故ッ」",
"399000821_95": "「馬鹿はあなたよ。\\n ……確かに、あのプレラーティは本物だったのでしょう」",
"399000821_96": "「だが――お前は、\\n 彼女の『完全な複製』を用意したと宣った」",
"399000821_97": "「つまり、それはッ!」",
"399000821_98": "「オレが想い出をホムンクルス体躯に移し替え、\\n 今日まで生きてきた状態と、何も変わらないッ」",
"399000821_99": "「なら、\\n あーしたちがこれから同じことをしたとして……」",
"399000821_100": "「オレが、オレ自身を定めている限りッ!」",
"399000821_101": "「あーしが、次のあーしを、\\n あーしだと認識している限りッ」",
"399000821_102": "「「この身体の崩壊を、\\n  恐れる道理など何もないッ」」",
"399000821_103": "「ふ、2人とも、何を……ッ!?」",
"399000821_104": "「すっごく簡単に言っちゃえば、\\n 絶望する必要なんてないってことよ」",
"399000821_105": "「このドラウプニルたちは、あーしたちが<ruby=たお>斃</ruby>れても、\\n あーしを引き継ぐあーしを生み出せる」",
"399000821_106": "「それは明日のあーしが、\\n 今日のあーしを引き継ぐことと、何も変わらない」",
"399000821_107": "「いいえ……今日のあーしが進めなかった道へだって進める。\\n 人じゃたどり着けなかった場所にだって到達できる」",
"399000821_108": "「ドラウプニルの力は、\\n 『完全な複製』を作るためだけじゃないッ」",
"399000821_109": "「この子が作り出すのは新たな道ッ! \\n 数多なる<ruby=みらい>未来</ruby>へと繋がる可能性ッ!」 ",
"399000821_110": "「そうでしょう、\\n ――ドラウプニルッ」",
"399000821_111": "「自身の完全な複製が、己の可能性の拡大……だとッ!?\\n それが、ドラウプニルの力だと……ッ」",
"399000821_112": "「それはモノを増やす聖遺物……ッ!!\\n そんな詭弁が、通ってたまるかァッ」",
"399000821_113": "「あんたの許可なんざ求めちゃいないわッ!\\n 王如きが、屁理屈で元詐欺師に勝てると思わないでッ」",
"399000821_114": "「神が至高と言うつもりは微塵もないが……。\\n 王如きが『<ruby=アヌンナキ>神</ruby>の遺物』の限界を知ったつもりでいたとは」",
"399000821_115": "「いささか傲慢だったようだな?」",
"399000821_116": "「貴様……我を、\\n ソロモン王を愚弄するかッ」",
"399000821_117": "「オレが呆れているのはソロモン王ではない。\\n 眼の前で間抜けを晒している、お前だ」",
"399000821_118": "「真のソロモン王は知っていたのだ。\\n ドラウプニルの危険性を。そして、可能性をな」",
"399000821_119": "「どうやら己の無知を知らなかったようだな、\\n 自称『知恵の王』よッ」",
"399000821_120": "「く……ッ口ばかり達者な愚民めがッ!\\n どんな言葉を吐いたところで<ruby=みらい>未来</ruby>は変わらぬッ!」",
"399000821_121": "「ならば試してみるがいい。\\n オレたちは進むぞ。何者に阻まれようとも、進み続ける」",
"399000821_122": "「それは世界を識るため、生きるため。\\n <ruby=たお>斃</ruby>れた者たちから託されたものを継ぎ、明日に繋ぐために」",
"399000821_123": "「それこそが人の本能だ。\\n ――お前もそうだろう、立花響」",
"399000821_124": "「――うん、そうだよ」",
"399000821_125": "「プレラーティさんを助けられなかった。\\n そのことは忘れない。今だってその後悔に食い殺されそうだ」",
"399000821_126": "「ううん……\\n プレラーティさんだけじゃない」",
"399000821_127": "「他にも、たくさん……\\n たくさんッ」",
"399000821_128": "「わたしはずっと……わたしがわたしであるために、\\n 通さなきゃいけないワガママのために、進んできたッ」",
"399000821_129": "「だからこそ彼女の願いを無駄にしないッ! できないッ!\\n 無駄にしちゃ――いけないんだッッ」",
"399000821_130": "「わたしが殴って、進んだ先に……\\n 何かがあると、信じてくれたならッ」",
"399000821_131": "「わたしは、この胸の歌を唄い続けるッ!!」",
"399000821_132": "「シンフォギア……\\n 人を殺す獣性と己を認め、折れていればいいものを……ッ」",
"399000821_133": "「だが……ッ!! なればこそ……ッ!!\\n ヒトを殺すための、ヒトの兵器は、我が手に有りッ」",
"399000821_134": "「――ッ!\\n ソロモンの杖ッ」",
"399000821_135": "「ノイズが……\\n 世界を、分解していく……止まらないッ」",
"399000821_136": "「如何に自己の存続を謳おうと……\\n 託され、託し進むのだと謳おうとッ」",
"399000821_137": "「世界ごと潰えて終えば、\\n 如何なる道も続くことはないッ」",
"399000821_138": "「貴様らに、できることなどあるものかッ!」",
"399000821_139": "「例え短い時間でもッ! 終わってしまうのだとしてもッ!\\n できることは必ずありますッ」",
"399000821_140": "「ええ、終われないッ!\\n あーしが終わらせないわッ」",
"399000821_141": "「殺すこと――人の道を塞ぐことしか能のない王など、\\n このオレが超えてみせようッ」",
"399000821_142": "「お前が殺戮を携えた王ならば――\\n オレは……錬金術を携えた女王となるッ」",
"399000821_143": "「その力は一体……ッ!?\\n ドラウプニルが生み出した――可能性だとでもッ」",
"399000821_144": "「終わらせることに特化した分解など、\\n 未熟な素人芸に過ぎんッ」",
"399000821_145": "「世界を分解しッ! 世界を再構築するッ!\\n 錬金術の真髄を見せてやろうッ」",
"399000821_146": "「ノイズッ……\\n ヒトのために、ヒトを殺す兵器がッ」",
"399000821_147": "「何故、ヒト如きに負けるッ!?」",
"399000821_148": "「人の歩みは――進歩というものはッ!!\\n 分解や殺戮如きで、止められるものではないからだッ」",
"399000821_149": "「認めるものか……\\n 認められるものかッ」",
"399000821_150": "「我は、全てを知った王ぞ……ッ!」",
"399000821_151": "「この世の悲しみを……憂いを……ッ!\\n 憎しみを……絶望を……ッ」",
"399000821_152": "「ここで終わることこそが、世界を殺し尽くすことがッ!\\n ヒトを新たに生まれ変わらせるための、最良の手段ッ」",
"399000821_153": "「……それが、あんたの理由ってわけね」",
"399000821_154": "「確かにヤなことが多くって、\\n 世界なんて終わっちゃえって思う日もあるわ」",
"399000821_155": "「誰も隣にいてくれなくて、誰の愛も感じられなくて、\\n どうしようもなくみじめな日だってあるッ」",
"399000821_156": "「わかるわよ。\\n あーしも、かつてはそうだった」",
"399000821_157": "「でもね、そんなのは……\\n 明日を、不確定の<ruby=みらい>未来</ruby>を知らないからでしかないッ!!」",
"399000821_158": "「……ッ!!」",
"399000821_159": "「過去から続く全てを知っていたとしても……」",
"399000821_160": "「人が紡ぎ、重ね、\\n 神をも殴り倒して進んでいく、この先の<ruby=みらい>未来</ruby>をッ!!」",
"399000821_161": "「あんたが知っているなんて、言わせないッ!」",
"399000821_162": "「抑え、込んで、いる……ッ!?\\n 貴様ら、たった人で世界を支えているのかッ」",
"399000821_163": "「ここもまた、レイラインの基点ッ!\\n ならばこの場から世界を再構築するも容易いッ」",
"399000821_164": "「世界を識ると、オレは誓ったッ!\\n ならば己の世界程度、護ってみせるのがオレの命題の内だッ」",
"399000821_165": "「あーしはね、好きなのよッ!\\n どうしようもなく……どうにもならない、人と、世界がッ」",
"399000821_166": "「それを護ろうと、命を賭した友がいる……。\\n <ruby=詐欺師>あーし</ruby>が<ruby=タマ>命</ruby>張る理由なんて、そんなもんで十分よッッ!!」",
"399000821_167": "「だから――行きなさい、\\n 立花響ッ」",
"399000821_168": "「シンフォギア……ッ!」",
"399000821_169": "「……プレラーティさんは、\\n これはソロモン王の試練だって言ってました」",
"399000821_170": "「あなたがどうしてそんなにも、\\n 世界を壊したいのかはわかりません」",
"399000821_171": "「でもあなたがわたしたちに試練を与えているのなら、\\n それをこの歌とッ 拳でッ 乗り越えてみせるッ」",
"399000821_172": "「あなたを止めてッ! みんなを助けてッ!\\n 全ての理由を聞かせてもらいますッ」"
}

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@ -0,0 +1,25 @@
{
"399000822_0": "「あぁ〜ん、もうッ!\\n あれだけ啖呵は切ったけど、重いったらありゃしないッ」",
"399000822_1": "「あの子のことも……ッ!\\n なんとか援護してあげたいけど――」",
"399000822_2": "「きゃあッ!?」",
"399000822_3": "「集中を欠くなッ!\\n オレたちで世界の分解をせき止めているんだぞッ」",
"399000822_4": "「キャロルちゃんが、カリオストロさんが、戦ってくれてる。\\n この世界のあちこちで、みんなだってッ」",
"399000822_5": "「だから、わたしは――ッッ!!」",
"399000822_6": "「まだ抗うかッ!」",
"399000822_7": "「これは、あなたへの抗いなんかじゃないッ!!\\n わたしたちの……人の戦いですッ」",
"399000822_8": "「目の前に壁があるなら壊して進むッ!\\n 人が何かを壊すのは、前に進みたいからッ」",
"399000822_9": "「わたしはあなたの試練を壊して、もっと、もっと<ruby=みらい>未来</ruby>へと進むッ!\\n ――はああああああッ」",
"399000822_10": "「これがッ! みんなが支えてくれたッ!\\n 生きたいと願う、人間の拳だああああッッ」",
"399000822_11": "「ぐ……",
"399000822_12": " がああああぁぁぁッ!?」",
"399000822_13": "「はあッ……はあッ……、\\n これで終わりですッ」",
"399000822_14": "「……ククク、そうだな、貴様はよくやった。\\n ヒトならばそれで決着がつくだろうな……」",
"399000822_15": "「世界を分解するなんて、\\n もうやめてくださいッ」",
"399000822_16": "「わたしたちは……\\n 人は、そんなことで、止まっていられないんですッ」",
"399000822_17": "「ソロモンさんッ!?」",
"399000822_18": "「ククク……ハハハハハ……、",
"399000822_19": " カカカカカカカァッ!!!」",
"399000822_20": "「え――――?」",
"399000822_21": "「ソロモンの中から、何かが……\\n あの子を……貫いた……ッ」",
"399000822_22": "「立花、響――ッ!!!」"
}

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@ -0,0 +1,141 @@
{
"399000911_0": "諦めを選ばないもの、選んだもの",
"399000911_1": "「――俺は1人だった」",
"399000911_2": "「無能な父親は物心つく前に死んでいて、\\n 要領の悪い母親は俺がガキの頃に死んだ」",
"399000911_3": "「両親を失ったガキから、周囲の大人は全てを奪い去った。\\n 金を、住処を、食べ物を、生きる方法を」",
"399000911_4": "「奪われたならば、奪うしかなかった。\\n 生きていくために」",
"399000911_5": "「――このクソガキがッ!\\n 親なしを育ててやってる恩を忘れやがってッ」",
"399000911_6": "「自分の物を取り返しただけなのに。\\n 俺は奪った以上の物を奪われた」",
"399000911_7": "「生まれた時から多くを持つ奴らは、\\n 俺がいくらかを奪ったところで、溢れるほどに残っていやがる」",
"399000911_8": "「だが俺は違った。\\n 奪った以上を奪われれば、何も残りはしない」",
"399000911_9": "「誰もが俺には価値がないと断じた。\\n 価値がなければ何をしてもいいと侮った」",
"399000911_10": "「ヒトらしく生きたくて、たった1度奪っただけの俺は、\\n 全ての尊厳を奪われて、ヒトたる権利すら失った」",
"399000911_11": "「そして今――、\\n 命すら失おうとしている」",
"399000911_12": "「クソが……、\\n 俺が何をしたってんだ……」",
"399000911_13": "「ヒトなんてどいつもこいつもクズしかいねえ。\\n 自分が楽をするために、奪ってもいい誰かを探してるだけだ」",
"399000911_14": "「どうせいつか死ぬくせに、\\n 暇さえあれば誰かを苦しめて……俺を馬鹿にして……」",
"399000911_15": "「滅んじまえばいいんだ、ヒトなんて、\\n こんな世界なんて……」",
"399000911_16": "「なんだよ、ここ……墓か? \\n ハッ……そんなに俺に死ねってのか……」",
"399000911_17": "「死ねばいいんだろ……。\\n お望み通り、もう持たねえよ……」",
"399000911_18": "「ああ、ちくしょう……\\n 神様仏様……王様……なんだっていい、誰だっていい……」",
"399000911_19": "「俺の願いを叶えてくれよ……\\n それかこのクソみたいな想い出を……俺から消し去ってくれ……」",
"399000911_20": "「ちくしょう……ちくしょう……、\\n こんな世界、滅んじまえ……」",
"399000911_21": "「どうして……\\n ほんのすこし……たった一欠片……」",
"399000911_22": "「俺にだって、\\n 誰かが、愛を、くれたなら……」",
"399000911_23": "「……やりなおして……、\\n もう度、……」",
"399000911_24": "(――♪\\n ――――♪",
"399000911_25": "(おやすみ――おやすみ――。\\n 今は泣いているぼうや――眠りは優しいから――",
"399000911_26": "(おやすみ――おやすみ――。\\n 闇はこわくない――ぼうやを包みこむ――",
"399000911_27": "「おやすみ……おやす、み……♪\\n ゆっくり……目を、閉じて――」",
"399000911_28": "「母……さん……」",
"399000911_29": "「…………」",
"399000911_30": "「この身体は……\\n この記憶は……想い出は……」",
"399000911_31": "「私は――俺は――",
"399000911_32": " 否……我こそは、この場で最も強く満つ、真なるヒトの想い」",
"399000911_33": "「誰かを呪い、恨み、奪い、そして殺す。\\n それが、我。ヒトという生き物、ヒトの世界に満つ真実……」",
"399000911_34": "「だが、この身体は……?",
"399000911_35": " ……そうか……」",
"399000911_36": "「その真理を知る我こそが、\\n かつてのヒトの王の器を持ちここに在ることは、紛れもなく運命」",
"399000911_37": "「――――」",
"399000911_38": "「……ヒトよ、新たなる我の、最初の民よ。\\n その呪い、その願い、確かに叶えよう――」",
"399000911_39": "「だがもし、お前が求めた小さな愛とやらが、\\n 本当にあるのだとすれば――」",
"399000911_40": "「この世界、我こそが再誕させようぞ」",
"399000911_41": "「爺さん、1人でこんなところをうろつくたあ、\\n 不用心だったなぁ」",
"399000911_42": "「なんだ、時計の1つもつけてねえ。\\n 使えねえジジイだ」",
"399000911_43": "「――愛がない」",
"399000911_44": "「あ? ――なんだ、こいつはッ!?」",
"399000911_45": "「あなた、わたしの祖父に似ているの。\\n よかったら少しお話をしませんか――」",
"399000911_46": "「……」",
"399000911_47": "「このおじいさんがわたしに酷いことを……ッ!\\n 怖かったわ、あなた……」",
"399000911_48": "「おいおい、人の妻に手を出すとは、\\n こりゃ大事だなあ」",
"399000911_49": "「――お前たちにも、愛はないのか」",
"399000911_50": "「うおッ!?\\n な、何すんだ、やめ……」",
"399000911_51": "「あ――あああッ!?」",
"399000911_52": "「この目で世界を見た。世界を識った。\\n 哀しきヒトの子が願った愛を探した……」",
"399000911_53": "「だが、それでも」",
"399000911_54": "「ヒトが求めた愛など、\\n どこにもありはしなかったのだ」",
"399000911_55": "「この力も、得た身に馴染みつつある。\\n この世界を、愛で満たすには……度、壊してしまわねば」",
"399000911_56": "「そのための障害となるのは……」",
"399000911_57": "「僕は人を護ろう、 \\n ソロモン、キミが人を治めるのなら」",
"399000911_58": "「そのための組織だからね、\\n 錬金術師協会は」",
"399000911_59": "「これは……\\n かつての我を形作っていた……想い出……なのか」",
"399000911_60": "「なるほど――ヒトを護る組織もある。\\n 下らぬことを目的に据えているが……この男は、よもや……」",
"399000911_61": "「……ならば力を蓄え、動きを妨げ、\\n 必ずや目的を遂げねばなるまい」",
"399000911_62": "「我はソロモン。ヒトの嘆きを知る、知恵の王。\\n ヒトの望みし終わりへ導く王が故に」 ",
"399000911_63": "「え――――?」",
"399000911_64": "「ソロモンの中から、何かが……\\n あの子を……貫いた……ッ」",
"399000911_65": "「立花、響――ッ!!!」",
"399000911_66": "「あ……く……ソロモンの杖が、\\n どうしてソロモンさんの中から……ッ」",
"399000911_67": "「我こそが、ソロモンの杖。\\n ヒトがヒトを殺す兵器の格納庫……バビロニアの宝物庫を統べる者」",
"399000911_68": "「そしてヒトの真なる想い、\\n この世界の滅びを願う、絶望から生まれし救世主」",
"399000911_69": "「ヒトを正しき<ruby=みらい>未来</ruby>へ導く、\\n 真なる王である」",
"399000911_70": "「ヒトの想い……絶望……?」",
"399000911_71": "「喋ってる場合じゃないわよッ!\\n 治療をしないとッ」",
"399000911_72": "「大丈夫です、ギアを纏っていれば……、\\n わたしはまだ、折れていな――ぐうううッ」",
"399000911_73": "「なんで、ギアのバリアが……\\n 効いてない……ッ」",
"399000911_74": "「シンフォギア――なるほど確かに、\\n 唄い伝え、繋ぐための技術なのだろう……」",
"399000911_75": "「だが……ヒトは死ぬ。どれほど生きようとも。\\n その不可逆には、誰も抗えはしない」",
"399000911_76": "「故に、殺すのだ。殺し尽くすのだ。二度と心が生きぬよう。\\n 二度と、希望など唄わせぬように」",
"399000911_77": "「希望など抱くから、絶望は深くなる。\\n 哀しみは<ruby=かいびゃく>開闢</ruby>より続き……それ故、ヒトは愛を棄てるのだ」",
"399000911_78": "「それこそが、ヒトを殺さんとするヒトの殺意」",
"399000911_79": "「――ッ!?」",
"399000911_80": "「ヒトを護らんとする意思よりも、\\n ヒトを害さんとする意思が優るのは当然のこと」",
"399000911_81": "「ヒトは滅ぶ。\\n 他ならぬヒトの意思が故に――ッ」",
"399000911_82": "「これは――ッ!」",
"399000911_83": "「……崩壊していくッ!\\n 世界が……オレの、識るべきものたちが……ッ」",
"399000911_84": "「崩壊を……留め、きれない……ッ!」",
"399000911_85": "「本気で世界を終わらせるつもりなのッ!?\\n ソロモンの杖が、――聖遺物の意思がッ」",
"399000911_86": "「……我が意志ではない、ヒトの意思だ」",
"399000911_87": "「違うッッ!!」",
"399000911_88": "「人は、憎み合うだけじゃない……」",
"399000911_89": "「争うことになった人とだって手を繋げるって、\\n わたしは知っているから……」",
"399000911_90": "「手を取り合えるヒトなど極僅かに過ぎん。\\n 比較にならぬほど膨大な、ヒトを憎むヒトの想いがある」",
"399000911_91": "「ヒトはヒトを憎む。\\n すなわち、ヒトはヒトに憎まれている」",
"399000911_92": "「貴様たちの言う愛とて、\\n どれだけが憎に転換されてきた」",
"399000911_93": "「誰かを恨み、誰かから恨まれるだけの世界。\\n 他者を憎み、他者から憎まれるだけの存在」",
"399000911_94": "「世界ごとなくなってしまえば、\\n 分解されたまま再構築に至ることもなければ――」",
"399000911_95": "「愛は増悪に再構築されることも、\\n 殺意に転じることもない」",
"399000911_96": "「ヒトがいなければ……\\n ヒトはもう、ヒトを殺すまい」",
"399000911_97": "「絶望の輪廻転生にとらわれることはない。\\n シンフォギア、貴様にもまた……優しき終わりが訪れよう」",
"399000911_98": "「故に、ここで終わること、それこそが愛ッ!!\\n 二度と壊れぬよう、ここで散るが良いッ」",
"399000911_99": "「か、身体がッ!?」",
"399000911_100": "「我が打ち込んだ崩壊の因子だ。\\n フォニックゲインで抗っているようだが、長くは持たぬ」",
"399000911_101": "「わたしの身体が分解されてる……、\\n このまま、消える、なくなって……」",
"399000911_102": "「――ッ」",
"399000911_103": "「それでも、\\n わたしは、進むことをやめたりなんかしない……ッ」",
"399000911_104": "「……それほどに、震えているのにか。\\n 安心せよ、その恐怖すらも――終わりは包み込む」",
"399000911_105": "「そうだね……震えてる。\\n 死んだら、生き返ることなんてできない」",
"399000911_106": "「そうしたらもう、わたしは……\\n 大好きな人たちに会えなくなってしまう……」",
"399000911_107": "「だから――死ぬのは怖いッ!\\n 消えてしまうのは嫌だッ」",
"399000911_108": "「――――」",
"399000911_109": "「だと、してもッ!!」",
"399000911_110": "「この世界のプレラーティさんが……\\n ううん、この世界だけじゃないッ」",
"399000911_111": "「わたしが<ruby=たお>斃</ruby>し、時に手を取り乗り越えてきた人たち全員が、\\n 命を賭してわたしに教えてくれていたッ」",
"399000911_112": "「わたしがここで消えてしまってもッ!\\n わたしがしてきたことを、明日に繋げてくれる人たちがいるッ」",
"399000911_113": "「それがたとえわたしじゃなくたって……\\n 人は、想いを背負って歩いていける……ッ」",
"399000911_114": "「あなたが背負っていることだって……",
"399000911_115": " それと、何ひとつ変わらないはずだッ!!」",
"399000911_116": "「――――」",
"399000911_117": "「その想いだって、世界がなくなってしまったら……\\n 誰も繋げなくなってしまうッ」",
"399000911_118": "「だからわたしは、わたし自身の最期まで、この生命を使うんだ。\\n 明日へ向かう人のために……ッ」",
"399000911_119": "「恐怖を認め、まだ立とうとするか……。\\n 如何に研磨し鍛え上げれば、このような精神が生まれるのだ」",
"399000911_120": "「わたしは1人で立つんじゃない。\\n 信じてくれる人、護りたい人、みんなが支えてくれているッ」",
"399000911_121": "「……そのようなヒトは存在せぬ。\\n 世界が終わる中で、ヒトを想えるヒトなどありはしない」",
"399000911_122": "「ああ……そうだとも。\\n そんな心強きヒトを、私は識らない――」",
"399000911_123": "「…………。\\n よかろう、そのことを証明してやろう――」",
"399000911_124": "「空に、街が映し出されて……ッ!?」",
"399000911_125": "「きゃああああッ!?」",
"399000911_126": "「未来――ッ!!!」",
"399000911_127": "「想い出を焼却したノイズ、\\n そして数多のイズに囲まれ、もはや長くはない」",
"399000911_128": "「他のシンフォギアも同様だ」",
"399000911_129": "「くそッ!\\n このままじゃキリがねえッ」",
"399000911_130": "「だとしてもッ!\\n 諦めないデスッ」",
"399000911_131": "「これ以上、世界を壊させないッ!」",
"399000911_132": "「諦めるものかッ!\\n たとえこの身が砕けようとも、最後の一瞬まで――ッ」",
"399000911_133": "「少しでも長く戦い続けることでッ!\\n きっとあの子たちの助けになるはずッ」",
"399000911_134": "「どけッ! あたしが、あたしの世界を――、",
"399000911_135": " ぐああああッ!」",
"399000911_136": "「これより、貴様を支える全てが失われる」",
"399000911_137": "「そんな――みんなが……ッ!」",
"399000911_138": "「終わりだ。\\n 絶望を――この愛こそを、受け入れるのだ」"
}

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{
"399000921_0": "「終わりだ。\\n 絶望を――この愛こそを、受け入れるのだ」",
"399000921_1": "「――随分と素直なんだね、\\n 今日びの『ソロモン』は」",
"399000921_2": "「……その、声は」",
"399000921_3": "「……電話越しで失礼するよ。\\n いったい、どうしたというんだろうね」",
"399000921_4": "「もっと諦めが悪かったはずだよ、僕の知るソロモンは。\\n 可能性を賭したぐらいさ、<ruby=みらい>未来</ruby>に……自分が死んだ後の世界にね」",
"399000921_5": "「キミがソロモンだというのなら……\\n どうして降りようとしている その賭けを」",
"399000921_6": "「――我は、民の呪いを聞き、再誕した。\\n ヒトの想いを背負い、過去の想い出全てを背負い――」",
"399000921_7": "「…………ハッハ!\\n 僕の知るソロモンは――」",
"399000921_8": "「民の言葉を聞き、識るべきことを識り――\\n ドラウプニルもソロモンの杖も、使わないことを選び」",
"399000921_9": "「そうして……死んだのさ。\\n 定命の者として、二度と生き返らぬことを、誇りとして」",
"399000921_10": "「ああ……覚えているとも。\\n 我を構築した、輪廻転生に刻み込まれた想い出により――」",
"399000921_11": "「いいや。盛大な勘違いだね、それは。\\n だからこそ、キミは『<ruby=ソロモン>知恵の王</ruby>』にはなれやしない」",
"399000921_12": "「過去だけではないのだよ。人を構成するものは。\\n 人は生きてはいけない。想い出だけでは」",
"399000921_13": "「だからこそ――\\n 人は歩き続けるんだ」",
"399000921_14": "「己を、創り続けながら」",
"399000921_15": "「……<ruby=みらい>未来</ruby>は変わらぬ。\\n 歩き続けたとて……その先には死しかない」",
"399000921_16": "「……」",
"399000921_17": "「見よ……貴様の言う、歩き続ける者たちを。\\n 死に向かって、まっすぐに――ッ」",
"399000921_18": "「――きゃああッ!?」",
"399000921_19": "「まだノイズから逃げ遅れた人が……ッ!」",
"399000921_20": "「やめ、やめて……ッ!」",
"399000921_21": "「させないッ!」",
"399000921_22": "「いま足を止めたら……でも……ッ!」",
"399000921_23": "「助けて、お願い……ッ!」",
"399000921_24": "「必ず、助けますッ!」",
"399000921_25": "「無価値なヒトを捨てられない。\\n ヒトを恨みながらも、ヒトを愛する素振りがやめられぬ」",
"399000921_26": "「これがヒトの限界だ。\\n 誰にも、変えることなど出来はしないッ」",
"399000921_27": "「そう簡単にはできていないんだよ、世界は」",
"399000921_28": "「人は確かに、人を殺す。\\n だが同時に、愛し、愛しむことを諦められない」",
"399000921_29": "「そのような矛盾が、\\n 美しき世界にあるべきものかッ」",
"399000921_30": "「そうさ。\\n だからこそ、その矛盾は……未完は、可能性となるッ」",
"399000921_31": "「人を殺せるほどに愛することができる人だからこそ……\\n 識り続ける、価値があるのさッ」",
"399000921_32": "「知らぬ……そんなものは、我はッ!」",
"399000921_33": "「ああ……そうだろうとも。",
"399000921_34": " だからこそ、よく見ておくんだねぇッ!!」",
"399000921_35": "「あなたは……ッ!?」",
"399000921_36": "「失礼するよ。\\n 古い友人を騙る誰かとの、電話をしながらでね」",
"399000921_37": "「え……?\\n ええっと……」",
"399000921_38": "「行くといい、キミの行きたい場所へ。\\n 手伝うよ、微力ながらね」",
"399000921_39": "「これ以上、調に無理をさせられないんデスッ!!!\\n 全部まとめて――ッ」",
"399000921_40": "「調ッ!?\\n どうしてここにいるデスッ」",
"399000921_41": "「て、テレポートジェムで送られて……。\\n それに、来たのはわたしだけじゃないみたい」",
"399000921_42": "「大きなノイズ、解剖し放題だゾッ!」",
"399000921_43": "「まさか……\\n <ruby=オートスコアラー>自動人形</ruby>デスッ!?」",
"399000921_44": "「ミカだとッ!?\\n 本部の防衛を命じた<ruby=オートスコアラー>自動人形</ruby>が、何故戦場にいるッ!?」",
"399000921_45": "「彼女だけではないよ、力を貸してくれたのは」",
"399000921_46": "「派手にやるといい、\\n それを超える戦果を見せてやる」",
"399000921_47": "「あたしに派手を期待したんだ、\\n 巻き込まれても文句は言わないなッ」",
"399000921_48": "「はーぁあ、ガリィちゃんカワイソー! こんなところに送られて。\\n もう少し楽しそうな場所が良かったわァ……」",
"399000921_49": "「あら。\\n お互い護らなきゃいけない相手が少なくて戦いやすいじゃない」",
"399000921_50": "「確かに、いけすかないやつを護りながらお仕事するよりは\\n いくらかマシですかねえ じゃ、お互い適当に参りましょ」",
"399000921_51": "「ええ、期待してるわッ!」",
"399000921_52": "「援軍は期待できないと聞いていたが……、\\n その様子、おっとり刀で駆けつけてくれたか」",
"399000921_53": "「後でマスターに叱責を受ける覚悟で来たのですもの、\\n 感謝していただかないと困りますわ」",
"399000921_54": "「無論だ、貴重な助力に感謝する」",
"399000921_55": "「……壊し甲斐のありそうな剣ですけれど、\\n 今日のところは我慢致しましょうか」",
"399000921_56": "「マスター、お叱りは後ほど。\\n 許して頂けるよう、せめて戦果をお届けしますわッ」",
"399000921_57": "「ああ……そうだろうな。",
"399000921_58": " それでこそ、オレの騎士たちだッ!!」",
"399000921_59": "「変わったのは……前に進んでいるのは、\\n オレだけではないのだからッ」",
"399000921_60": "「彼女たちだけではないよ、\\n こちらからの援軍は」",
"399000921_61": "「1人でも戦うんだ、\\n 響のために少しでも時間を――ッ」",
"399000921_62": "「アルカ・ノイズがノイズを……?\\n どうして……」",
"399000921_63": "「こマ シンフォギアの人って、リアルJKじゃんッ",
"399000921_64": " あ、もちろんアタシもリアルJKだけどぉ……」",
"399000921_65": "「あなたは……?」",
"399000921_66": "「錬金術師協会の援軍ってやつ? エリザベートでっす☆\\n エリちゃんって呼んでおけぽよッ」",
"399000921_67": "「エリザベートさん……。\\n ありがとうございます」",
"399000921_68": "「わぁ、意外とマイペース系ぢゃん。",
"399000921_69": " 別にイんだけどね」",
"399000921_70": "「援軍って言っても、アタシはマジな戦闘は無理寄りの無理で。\\n アルカ・イズでイズに対抗するしかないんだケド……」",
"399000921_71": "「大丈夫です。残っている人と、ノイズをお願いします。",
"399000921_72": " わたしだって、響の力になるんだ――ッ!」",
"399000921_73": "「え、その響ちゃんのために戦うって感じ?",
"399000921_74": " 推せる……きゅんなんですけどーッ!」",
"399000921_75": "「バートリ……ッ!?\\n 戦えないお前までもが戦場に……」",
"399000921_76": "「……<ruby=オートスコアラー>自動人形</ruby>や錬金術師が抵抗したところで、\\n ヒトの愚かさはなんら変わるものではないッ」",
"399000921_77": "「滅びを前にヒトは無力ッ!\\n ヒトがヒトに滅びろと願うが故にッ」",
"399000921_78": "「――総員、配置につけッ!\\n シンフォギア装者を援護しろッ」",
"399000921_79": "「な、に――ッ!?」",
"399000921_80": "「この攻撃は……どこからッ!?」",
"399000921_81": "「世界の危機に、戦えるやつが立ち上がらずどうしろって話だよなッ!\\n 援護するぞ、シンフォギア装者ッ」",
"399000921_82": "「馬鹿ッ!\\n 何をやってんだ、イズは銃なんかじゃ――ッ」",
"399000921_83": "「錬金術師協会からの情報だ、\\n ここに出現したイズはアルカ・イズに近い性質がある」",
"399000921_84": "「ならば分解時に防御が弱まる性質も共通している可能性が高い。\\n 戦力になってみせるッ」",
"399000921_85": "「この世界……\\n 特別な誰かだけに託していいもんじゃないッ」",
"399000921_86": "「護るんだ、特別な力なんてなくても……\\n 俺たちだってッ」",
"399000921_87": "「世界が終わる寸前だ、\\n 出し惜しみはするなッ」",
"399000921_88": "「錬金術師――来てくれたかッ!」",
"399000921_89": "「ここは俺たちの生きている世界なんだ。\\n 誰にだって……任せきりにできるかッ」",
"399000921_90": "「だが、悪いがこっちは戦闘班じゃない、\\n 近距離戦では頼らせてもらうぞッ」",
"399000921_91": "「任せておけッ!",
"399000921_92": " 陣形を組んで錬金術師を護るぞッ!」",
"399000921_93": "「せ、戦闘班じゃない……ッ!?\\n 馬鹿なッ 無茶をしやがってッ」",
"399000921_94": "「けど……ああ、おかげさんで気合いが入ったッ!!\\n 悪くないッ」",
"399000921_95": "「絶対に死ぬんじゃないよ、\\n あんたたちを護るのが、あたしの戦いなんだッ」",
"399000921_96": "「錬金術師協会が……本部の護りすら捨てて、 \\n 世界の分解に抗っているのか」",
"399000921_97": "「二課の人たちも、錬金術師の人たちも、\\n 一緒に戦ってくれてる……ッ」",
"399000921_98": "「この世界の人たちが……\\n 世界を分解しようとする殺意と……戦っているッ」",
"399000921_99": "「巨大ノイズ1体の撃破を確認。\\n 続けて体目、体目ッ」",
"399000921_100": "「4、5――6体ッ!\\n 巨大イズ、倒せない相手じゃないわッ」",
"399000921_101": "「何故――何故受け入れないッ!? 認めないッ!?\\n 抗えど、戦えど、果てにあるのは死のみと言うにッ」",
"399000921_102": "「あんたこそ、認めなさいよねッ!?\\n それ以上に、人が生きていきたいと望んでいるからこそッ」",
"399000921_103": "「いつか来る終わりに、あーしたちの『今』は屈さないッ!\\n 愚王の末路は、反逆と革命って決まってんのよッ」",
"399000921_104": "「ではフィナーレといこうか、こちらもね」",
"399000921_105": "「人が人を憎む、否定はしないよ、キミの想いは。\\n でも知っておくべきだ、それに抗う人の想いを」",
"399000921_106": "「僕もまた、抗おうじゃないか、キミが導く人の終わりに。\\n ――飽くまでも、人としてッ」",
"399000921_107": "「巨大ノイズ、全て消滅ッ!\\n 状況は完全に逆転したわ、安心してッ」",
"399000921_108": "「……全滅……?」",
"399000921_109": "「これが、人の意思です……ッ!」",
"399000921_110": "「ありえない。世界が消え去る恐怖を、己が消滅する現実を前に、\\n 怯え竦むことしかできないのが、ヒトだ」",
"399000921_111": "「恐怖を克服し、世界のために戦うヒトが、\\n どうして現れたッ」",
"399000921_112": "「――伝えられた想いがあるからだ。\\n かつて死んだ誰かから――受け取ってきた想いがあるからだッ」",
"399000921_113": "「オレを支える者たちの想いが、家族から継いだ願いが、\\n 恐怖を乗り越えて前に進む力となるのだッ」",
"399000921_114": "「……そうだ、わたしだって倒れてちゃいけない、\\n この世界を護ろうと……みんなが戦ってる……」",
"399000921_115": "「あなたの押し付ける滅びを、\\n 誰も認めてなんていないッ」",
"399000921_116": "「例え終わってしまうのだとしても、\\n 最後の一瞬まで進み続ける、それが人間なんだッ」",
"399000921_117": "「――どれほどに高潔な想いを抱こうと、\\n 抗った人間はたったあれだけだ」",
"399000921_118": "「貴様たちがいくら願った所で、\\n ヒトの大半は滅びを受け入れている、それが現実に過ぎん」",
"399000921_119": "「あいつ、また杖の力を……ッ!?」",
"399000921_120": "「――ッ! 世界中に、さらに大量のノイズが発生ッ!?\\n 皆、全力で対応してッ」",
"399000921_121": "「バビロニアの宝物庫を、\\n 一気に開いたというのか……ッ」",
"399000921_122": "「いくらノイズを潰そうとも、この場に我がいる。\\n この一点からでも世界は分解できるッ」",
"399000921_123": "「この絶望と……戦い続けられるヒトなどいないッ!\\n 終わりだ、シンフォギアッ 安寧の死に沈めッ」",
"399000921_124": "「貴様の消滅を以て、\\n この世界の終焉とするッ」",
"399000921_125": "「そんなことはない。\\n させるものか」",
"399000921_126": "「――ッ!?」",
"399000921_127": "「この世界は、貴様に定められ終わるものではないッ!」",
"399000921_128": "「あなたは――サンジェルマンッ!? \\n プレラーティッ」",
"399000921_129": "「待たせたワケダッ!」",
"399000921_130": "「お前たちが……\\n その哀れなるものを追い詰めると信じていたぞ」",
"399000921_131": "「――そうか、己が護ると定めたものを見捨ててきたか。\\n 貴様ら錬金術師も、やはりヒトであったな」",
"399000921_132": "「私の錬金術を舐めるな。ノイズが分解するよりも早く再構築を、\\n ――いいや、『再生』させる術式を完成させてきた」",
"399000921_133": "「何……ッ!?」",
"399000921_134": "「ソロモンの意識がこちらに向いて、\\n 隙を見つけたワケダ」",
"399000921_135": "「人質は村に戻した。\\n ならば本来の任務に戻るまで」",
"399000921_136": "「人を護り、この世界を護るワケダな」",
"399000921_137": "「貴様らは不眠不休でヒトの再構築を続け、\\n 己の複製がイズと化す光景を目にしたはずだ」",
"399000921_138": "「身体も、精神も、魂までもが限界だろう。\\n なぜ抵抗をやめないッ」",
"399000921_139": "「不本意だが、耐え忍ぶことは得意分野だ。\\n この程度、限界と呼ぶには遠いッ」",
"399000921_140": "「わたしとしても元の体躯に、\\n ガタが来ていたところなワケダ」",
"399000921_141": "「そもそも身体をいじられるのは初めてではないワケダ。\\n 複製元の消失など恐るるに足らないワケダね」",
"399000921_142": "「それを察知してくれたからこそ……\\n かつてのわたしを、きちんと送ってくれたワケダろう」",
"399000921_143": "「あんたの思い切りは、\\n いつも心臓に悪いのよ……」",
"399000921_144": "「あいつは錬金術師が自己連続性に拘ると勘違いしてたワケダ。\\n 上手く利用した元の身体は、正しい命の使い方をしたワケダな」",
"399000921_145": "「例え戦う意思があったところで、\\n もはや死に体の貴様らに何ができるとッ」",
"399000921_146": "「今の私たちにお前と戦う余力はない。\\n だがッ」",
"399000921_147": "「錬金術ならば例え死ぬ寸前でも、\\n 使ってみせるワケダッ」",
"399000921_148": "「幸いにも、こちらの身体には、",
"399000921_149": "  お前の術式はかかっていないワケダ――ッ!!」",
"399000921_150": "「くッ……今の私たちでは、\\n 人でようやく人分か」",
"399000921_151": "「負荷が限界なワケダ……」",
"399000921_152": "「なら世界を護る仕事は錬金術師協会の幹部が受け持ちましょ。\\n キャロルはあの小煩い杖をなんとかしちゃって」",
"399000921_153": "「……任せていいんだな?\\n 世界の再構築は容易ではないぞ」",
"399000921_154": "「あーし、関係の再構築って好きじゃないのよね。\\n 離れちゃうなんてそもそもお断りよ」",
"399000921_155": "「だからこの世の理から離れようとする世界を\\n あーしの愛で繋ぎ止めちゃうわッ」",
"399000921_156": "「終わることが愛? もう嫌だって逃げてるだけじゃない。\\n まったく馬鹿よね、誰も教えてくれなかったなら……」",
"399000921_157": "「あーしたちが教えてあげる必要があるじゃない。\\n 愛なら、いくらだって騙ってあげるわよッ」",
"399000921_158": "「フ……\\n 最悪な宣言なワケダ」",
"399000921_159": "「はんッ!\\n あんたに言われたくないのよねッ」",
"399000921_160": "「だから……」",
"399000921_161": "「立花響を、お願いね」",
"399000921_162": "「――ああ、頼まれてやるッ!」",
"399000921_163": "「みんな諦めてない、今も戦ってる。\\n 護ろうとしてる」",
"399000921_164": "「だからわたしも、\\n この拳を握るんだッ」",
"399000921_165": "「愚かな……いいや、哀れな」",
"399000921_166": "「己の滅びを受け入れ、\\n それでもヒトを救わんとする英雄」",
"399000921_167": "「貴様はヒトの希望ではない、ヒトの奴隷よ。\\n 我が解放しよう、その呪いから」",
"399000921_168": "「わたしは英雄じゃないッ! 希望でも、奴隷でもないッ!!\\n ただ、生きることを諦めない――立花響だッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,15 @@
{
"399000922_0": "「まだ、まだッ!\\n 一歩でも先に――ッ」",
"399000922_1": "(バランスが――足の感覚がないッ!? \\n もう、消えて――ッ",
"399000922_2": "「だと、しても――ッ!!!」",
"399000922_3": "「<ruby=はや>逸</ruby>るな、このオレがいることを忘れたか」",
"399000922_4": "「キャロルちゃん……ッ!」",
"399000922_5": "「ドラウプニルの力で可能性を得たファウストローブなら、\\n あの王様気取りの分解も再構築で抗える」",
"399000922_6": "「だがヒトがヒトを呪う、あの分解の力は生半可なものではない。\\n オレの力だけではいずれ再構築に限界が来る」",
"399000922_7": "「それでも進むのか、立花響」",
"399000922_8": "「決まってるッ!」",
"399000922_9": "「カリオストロさんが、プレラーティさんが、\\n サンジェルマンさんも、キャロルちゃんだってッ」",
"399000922_10": "「命を惜しまずに、全力で前に進んでいたって、\\n わたしは知ってるッ」",
"399000922_11": "「わたしだって キャロルちゃんたちみたいにッ!",
"399000922_12": " 明日に進んでみせるッ!!」"
}

View file

@ -0,0 +1,60 @@
{
"399001011_0": "前へ進め!",
"399001011_1": "「進み続ける……\\n わたしの終わりは、今じゃないッ」",
"399001011_2": "「ッ……右腕が、消える……ッ!」",
"399001011_3": "「この程度でオレの術式を押し切れると思うなッ!」",
"399001011_4": "「戻ったッ! ",
"399001011_5": " なら――おおおおおッ!」",
"399001011_6": "「我が打ち込んだ崩壊の因子と、\\n 錬金術による再構築が拮抗しているのか……ッ」",
"399001011_7": "「ヒトの滅びの意思を、\\n 己の意思で乗り越えようとでも言うのかッ」",
"399001011_8": "「どれだけ苦しくても、何度絶望しても、\\n 隣で支えてくれる人がいれば、わたしたちは進んでいけるッ」",
"399001011_9": "「人は進める、人は変われるんだッ!」",
"399001011_10": "「それは……わたしを憎む人とだって、\\n いつか、手を繋げる日がくるかもしれないということッ」",
"399001011_11": "「そんなものは、あり得ぬ可能性ッ!\\n 憎しみと化した愛は、愛そのものには戻らないッ」",
"399001011_12": "「世界を識れば、人を識れば、\\n そこに悪徳しか見えぬこともある」",
"399001011_13": "「それでもパパは識れと言った。\\n その言葉はいつだって優しかったッ」",
"399001011_14": "「人が互いを呪う不完全な種であってもッ!\\n オレは、あの愛こそを信じるッ」",
"399001011_15": "「そしてオレはこの世界の全てを識るその時まで、\\n 世界を諦めたりは――しないッ」",
"399001011_16": "「故に、今こそ唄え、立花響ッ!!\\n オレと共にッ」",
"399001011_17": "「――ッ!!」",
"399001011_18": "「オレがオレであるために――\\n 想い出の焼却ではなくッ」",
"399001011_19": "「わたしの、胸の歌とッ!」",
"399001011_20": "「オレの、錬金術でッ!!」",
"399001011_21": "「「明日に、進むためにッッ!!!」」",
"399001011_22": "「その、歌は……ッ!?」",
"399001011_23": "「いや……歌だけではない。錬金術だけでもない……ッ!\\n ドラウプニルの持つ複製の力が、欠損した部位を補っているッ」",
"399001011_24": "「まさか、生まれ変わり続けているのかッ!?\\n 新たな自分自身にッ」",
"399001011_25": "「この我と出自を同じくする<ruby=聖遺物>神の力</ruby>が……\\n ヒトに味方をするとッ」",
"399001011_26": "「ドラウプニル……、\\n あなたも諦めてないんだねッ」",
"399001011_27": "「2人分の再構築であれば、奴の分解を上回れるッ!\\n 今こそ攻めきるぞッ」",
"399001011_28": "「ヒトがヒトへ持つ憎悪すらも超える意思、\\n そんなものが存在するというのかッ」",
"399001011_29": "「これが……\\n これこそが、まさか……ッ」",
"399001011_30": "「――ッ!\\n ありえん、あってはならないッ」",
"399001011_31": "「ヒトの憎悪を、塗りつぶす愛など……ッ!\\n 信じるが故に、また哀しみは繰り返すッ」",
"399001011_32": "「させぬぞ――我はヒトの<ruby=みらい>未来</ruby>を滅ぼすものッ!\\n バビロニアの宝物庫の、鍵であるが故にッ」",
"399001011_33": "「<size=40><ruby=みらい>未来</ruby>になど……進ませるものかァッ!!!</size>」",
"399001011_34": "「そんなことでッ!」",
"399001011_35": "「止まるものかッ!」",
"399001011_36": "「なぜ恐れないッ!\\n どうして自身の消滅を耐え、進み続けられるッ」",
"399001011_37": "「それが人だからッ!\\n それがわたしだからッ」",
"399001011_38": "「ふざけるな、シンフォギア――立花響ッ!」",
"399001011_39": "「貴様は錬金術師ですらないッ!\\n 自己同一性の崩壊になど耐えられないッ」",
"399001011_40": "「それほどの勢いで自己を消失し、再生成しッ!\\n 己という存在を保っていられるものかッ」",
"399001011_41": "「このままでは貴様を構成する生体部位に、\\n 元のパーツなど残らないのだぞッ」",
"399001011_42": "「『今のわたし』なんて、ずっと在るものじゃないッ!」",
"399001011_43": "「誰かに出会うたびに、1つの壁を乗り越えるたびに、\\n 誰だって別の自分に成長してるんだッ」",
"399001011_44": "「さっき下を向いていたわたしは、\\n 今のわたしじゃあないッ」",
"399001011_45": "「一歩進むたびに生まれる別のわたしが、\\n 必ずあなたを止めるッ」",
"399001011_46": "「意志で自己連続性を補完しているッ!?\\n ヒトの本能を……恐怖を……乗り越える想いだとッ」",
"399001011_47": "「こいつはただの、馬鹿で融通の利かない頑固者だ。\\n そんな人間がいることを オレは識っている」",
"399001011_48": "「オレもまた、その1人だからだッ!!\\n その無理を通せずして――奇跡の完遂者など名乗れるものかッ」",
"399001011_49": "「覚えておけ、ヒトを殺す意志ッ!\\n その宝物庫を開く鍵――殺意の化身よッ」",
"399001011_50": "「この世の何よりも強いぞッ!!\\n 呆れるぐらいに真っ直ぐな馬鹿はなッ」",
"399001011_51": "「――ッ!!!」",
"399001011_52": "「人類を殺す兵器が……ヒトの意思に圧されるなど、\\n あってはならないッ」",
"399001011_53": "「貴様らが前に進むと言うのならば……",
"399001011_54": " 我もまた、この殺意にて貴様らを貫き穿つ凶弾となろうッ!!」",
"399001011_55": "「ここが貴様らの終点、終着地ッ!!\\n 永劫の輪廻を、ここで……ッ」",
"399001011_56": "「終わらせることでしか、\\n 可能性を見出せなかったお前に……ッ」",
"399001011_57": "「わたしたちが見せるッ!! 叩き込むッ!!\\n これがッ 人のッ 歩み続ける力だとッ」"
}

View file

@ -0,0 +1,108 @@
{
"399001012_0": "「なぜ砕けない、なぜ消えないッ!?\\n 全てが分解された世界で、どうして存在を留めていられるッ」",
"399001012_1": "「留めてるんじゃないッ!\\n 進んでるんだッ」",
"399001012_2": "「わたしは何があっても人として生きるッ!\\n 人として唄って、戦って、愛してッ 進み続けるッ」",
"399001012_3": "「オレとて識らない新たなオレがッ!\\n この場で止まることを許さないッ」",
"399001012_4": "「お前という絶望を突破してッ!\\n その先の<ruby=みらい>未来</ruby>を識れとオレの魂が叫んでいるッ!」",
"399001012_5": "「わたしが唄う<ruby=みらい>未来</ruby>がッ!」",
"399001012_6": "「オレが唄う希望がッ!」",
"399001012_7": "「「<size=40>絶望になど、負けるものかぁぁぁあッ!!!</size>」」",
"399001012_8": "「グ、ァ……",
"399001012_9": " ぐぁああああああああああ――ッ!!」",
"399001012_10": "「――」",
"399001012_11": "「……壊せ、なかった……\\n ……殺せなかった……」",
"399001012_12": "「あれは……」",
"399001012_13": "「ソロモンが抱いていた、\\n 人が人へと向ける、絶望の想いか……ッ」",
"399001012_14": "「どうして一緒に死んでくれない、\\n なぜ同じように不幸になってくれない」",
"399001012_15": "「お前たちばかり誰かに支えられて、\\n お前たちばかり誰かに求められて」",
"399001012_16": "「オレには、ワタシには、ボクには、何もない、何もないのに。\\n どうして世界は滅びてくれないの……」",
"399001012_17": "「……皆、二度と生まれてこないなら……\\n ……俺だって、諦められるのに――」",
"399001012_18": "「…………」",
"399001012_19": "「……ごめんね」",
"399001012_20": "「……ぁぁぁ」",
"399001012_21": "「あなたが辛かった時に手を伸ばせなくて、\\n 全てを諦めてしまってから止めることしかできなくて」",
"399001012_22": "「でもあなたの手を掴んだから。\\n あなたの想いを識ったから」",
"399001012_23": "「もう、壊さなくていいんだよ」",
"399001012_24": "「ぁぁ、ぁぁぁぁ……」",
"399001012_25": "「……絶望に沈んだ魂。\\n オレもお前と同じ終わりを迎えていたかもしれない」",
"399001012_26": "「救ってやりたいが……お前の器は既にない。\\n この世界に留め置く手段は、ない」",
"399001012_27": "「それでもお前の魂が崩れてしまわないように、\\n オレの全霊を以て再構築に挑もう」",
"399001012_28": "「この世の流転に、還れるように。\\n ――死は不可逆だが……命はまた巡るのだから」",
"399001012_29": "「だから――再び希望を抱いてくれ。\\n またいつかこの世界に生まれてくるように」",
"399001012_30": "「どうして……温かいんだ……\\n 諦めたかった……全てを……なのに……」",
"399001012_31": "「それは……」",
"399001012_32": "「わたしが――」",
"399001012_33": "「オレが――」",
"399001012_34": "「こうして手を伸ばしてもらったことが、あるから――」",
"399001012_35": "「ノイズが消えていく……ッ!」",
"399001012_36": "「やったみたいね、あの2人ッ!」",
"399001012_37": "「だが……まだ世界の分解が、\\n 止まっていないワケダッ」",
"399001012_38": "「レイラインの分解が致命的なところまで進んでいる……。\\n もはやこの星の存在が維持できない、連鎖的に崩壊するぞッ」",
"399001012_39": "「手遅れだったワケダ……」",
"399001012_40": "「そんな、ここまでやったのに……ッ!?」",
"399001012_41": "「ぐッ……\\n せめてカリオストロ、お前だけでも……ッ」",
"399001012_42": "「――ッ!? まさか、あーしにだけ逃げろとでもッ!",
"399001012_43": " 何を馬鹿なこと言ってるのよッ!」",
"399001012_44": "「わたしたちはもう逃げる余力もないワケダ。\\n 動けるやつが動くべきなワケダな」",
"399001012_45": "「局長が漏らしていただろう?\\n その身つで並行世界へ渡る方法もあるそうだ」",
"399001012_46": "「どれだけの年月がかかってもいい、\\n この世界を再構築する方法を探せ」",
"399001012_47": "「サンジェルマン、あなた……」",
"399001012_48": "「これは酷い呪いなワケダ」",
"399001012_49": "「フッ……\\n それぐらいのわがままは、許――」",
"399001012_50": "「ちょっとちょっとちょーっとッ!\\n 勝手に納得してンじゃないわよッ」",
"399001012_51": "「あんたたちに、あの2人だけに、\\n いい格好をさせるわけないでしょうッ」",
"399001012_52": "「たまにはあーしだって、\\n 主役をはりたいんだからねッ」",
"399001012_53": "「何をする気だッ!?」",
"399001012_54": "「分解と再構築は錬金術の基本……。\\n でもね、あーしの原点はただの詐欺師なのよッ」",
"399001012_55": "「あーしは、そんなあーしを許容し続けたこの世界をッ!\\n このまま無かったことになんてさせないッッ」",
"399001012_56": "「殺意が真実ッ!?\\n ええ、そうでしょうね、でも――」",
"399001012_57": "「この世界に在るのは、それだけじゃないッ!!」",
"399001012_58": "「下らない理論も、押し付けられた終わりもッ!\\n 世界の真実を全部、なかったことにしてあげるわッ」",
"399001012_59": "「無茶苦茶を言っているワケダッ!」",
"399001012_60": "「世界を書き換えて矛盾を押し通すつもりかッ!?\\n そんなものは不可能だ、理論が破綻しているッ」",
"399001012_61": "「あーしができると言ったらできるのよッ!\\n 事実はどうあれ、みんながそれを信じればいいッ」",
"399001012_62": "「この身に溶けた、全てのドラウプニル……\\n あーしに、力を、貸しなさいッ」",
"399001012_63": "「この世界が進んだ道は滅びだったけど……\\n ――あんたなら、別の可能性に手が届くでしょうッ」",
"399001012_64": "「みんなが生きているこの世界をッ!\\n ハッピーエンドの可能性をッ この場に作り出せッ」",
"399001012_65": "「これは……ラピスがッ!?」",
"399001012_66": "「呼応しているワケダッ!」",
"399001012_67": "「こうなれば、\\n その無茶に付き合ってやるッ」",
"399001012_68": "「騙されてやるワケダなッ!」",
"399001012_69": "「2人とも、ありがとッ!」",
"399001012_70": "「さあやってやるわよッ!\\n これがカリオストロ一世一代の錬金術ッ」",
"399001012_71": "「術式命名――現実改変・ラブワールドッ!」",
"399001012_72": "「あーしの愛を信じて、\\n みんな幸せになりなさいッ」",
"399001012_73": "「そのためになら――\\n この命、何度だって燃やし尽くすッ」",
"399001012_74": "「現実改変はッ!」",
"399001012_75": "「錬金術の範疇ではないワケダッ!」",
"399001012_76": "「……」",
"399001012_77": "「……」",
"399001012_78": "「――ッ!?",
"399001012_79": " あの、2人はッ!!」",
"399001012_80": "「これは……",
"399001012_81": " 気絶しているワケダ」",
"399001012_82": "「……あら、手なんて繋いじゃって。\\n 仲良くなったみたいね」",
"399001012_83": "「……この状況で……\\n 随分と平和な顔で寝ているな」",
"399001012_84": "「気が抜けるワケダ」",
"399001012_85": "「世界の崩壊は止まっているワケダ。\\n ……どこまで世界は再構築されたワケダ」",
"399001012_86": "「あの詐欺のような術式が、\\n 再構築などと呼べるかどうか」",
"399001012_87": "「もはや我々が新しく作り出した世界……、\\n 新たな<ruby=みらい>未来</ruby>なのかもしれん」",
"399001012_88": "「ん……」",
"399001012_89": "「くッ……ここは……」",
"399001012_90": "「あら、オハヨ♪\\n 人とも目を覚ましたみたいね」",
"399001012_91": "「えっ、と……",
"399001012_92": " あッ!!」",
"399001012_93": "「せ、世界はッ!?\\n わたしたちの世界はどうなったんですかッ」",
"399001012_94": "「……レイラインに異常は感知できない。空間になんの歪みもない。\\n いったいこれは……何が起きている」",
"399001012_95": "「それはあーしたちのセリフでもあるわよ。\\n あの自称王様はどうしたの」",
"399001012_96": "「……またいつか、生まれて来てくれると思います。\\n だから、わたし――」",
"399001012_97": "「今度は、\\n あんな悲しい想いを抱く前に、きっと……」",
"399001012_98": "「それで?\\n 分解されていた全てが、元に戻って……」",
"399001012_99": "「いや、これは――」",
"399001012_100": "「んー。\\n 話せば長くなっちゃいそうだし……」",
"399001012_101": "「あなたに納得してもらうのって、\\n ちょーっとめんどくさそうなのよねえ」",
"399001012_102": "「恋も識らないお子様なわけだし」",
"399001012_103": "「な……ッ!?」",
"399001012_104": "「ま、それでもあえて一言二言で言うのであればぁ……\\n 偽を真と騙るのはあーしのオハコ」",
"399001012_105": "「あーしの愛が、全部救ったってことでッ!」"
}

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@ -0,0 +1,103 @@
{
"399001111_0": "また明日、可能性の世界へ",
"399001111_1": "「現地の組織が徹底的に探してくれたけど、\\n ソロモンの杖らしき聖遺物はどこにも見つからなかったわ」",
"399001111_2": "「こちらの調査でも同様だ。\\n 砕けて散ったか、再構築の際に消えてなくなったか」",
"399001111_3": "「最後の瞬間、オレたちが完全に破壊したはずだ。",
"399001111_4": " だが……」",
"399001111_5": "「人の殺意の籠った歌が、\\n 眠っていた聖遺物を励起させ、その場の想い出と溶けあった」",
"399001111_6": "「故にこそ、その存在は単一となり、意志を持つに至った。\\n 聖遺物を器にして、な」",
"399001111_7": "「そして、『ソロモンの杖』として砕いたけれど、\\n この世から消え去ったわけではない…」",
"399001111_8": "「ああ、そうだ。\\n あれもまた、紛れも無く、人を作っていた心だったからな」",
"399001111_9": "「杖自体は……修復された世界と同じように巻き戻って、\\n 元々あった場所に戻っている可能性は」",
"399001111_10": "「杖は戻っていなかったよ、友の墓にはね。\\n 彼が眠っているだけさ、何も変わらずに」",
"399001111_11": "「とすれば……この世界のソロモンの杖は、\\n 完全に失われたと考えるべきか」",
"399001111_12": "「バビロニアの宝物庫からノイズが漏れ出す理屈は不明瞭よ。\\n 対抗策がなくなったのはちょっと面倒かもね」",
"399001111_13": "「何かのきっかけで再び門が開けば、\\n 永劫に閉じることはできないだろう」",
"399001111_14": "「ノイズと永遠に戦い続けるワケダね」",
"399001111_15": "「その時はソロモンの杖が残っている世界に\\n お願いして借りる……とか」",
"399001111_16": "「……。\\n ソロモンの杖が、感化されていたように」",
"399001111_17": "「誰もが他者の善意を信じられるわけじゃないわ。\\n 気軽に貸してはくれないでしょうね」",
"399001111_18": "「……」",
"399001111_19": "「例え杖があったところでノイズへの警戒は必要だろう。\\n アルカ・イズを含め、継続して対策していくだけだ」",
"399001111_20": "「いままでと変わらず対処する。\\n それだけのことさ」",
"399001111_21": "「異論はないよ、キミの結論にね。\\n こちらでも研究を進めさせよう、根本的なイズ対策の」",
"399001111_22": "「分解された民間人の方はどう?\\n こっちは門外漢だし、協会に任せきりだったけれど……」",
"399001111_23": "「無事に人間への再構築が完了している。\\n イズになっていた時の記憶は、残っていないようだがな」",
"399001111_24": "「さすがね。よかったわ。\\n 記憶も残っていたらトラウマもの、いっそ幸運だったわね」",
"399001111_25": "「ならば……残る問題はドラウプニルか。\\n 放置しておくには余りにも危険な力だ」",
"399001111_26": "「無論、可能な限り厳重な管理を行う」",
"399001111_27": "「二課と錬金術師協会が共同で、\\n 科学と錬金術の双方を用いての封印を行うわ」",
"399001111_28": "「これなら封印の解除はできないからね、\\n 片方の組織の独断では」",
"399001111_29": "「甘さを捨てられない二課に、すぐにはぐれを出す錬金術師協会。\\n どちらか一方に任せなかったのは悪くない判断だ」",
"399001111_30": "「手厳しいね。相変わらず。",
"399001111_31": " だが、信じてもらえるよう前に進むさ、統制局長としてね」",
"399001111_32": "「……カリオストロ、\\n 最後に使った術式を覚えているか」",
"399001111_33": "「あーしの愛で世界を救っちゃった、\\n あの錬金術のことよね」",
"399001111_34": "「愛かはさて置き、その件だ。\\n 再び再現することは可能なのか」",
"399001111_35": "「これでもあなたの見出した錬金術師よ?\\n 土壇場のでっち上げでも、度成功した術を忘れたりしないわ」",
"399001111_36": "「もちろんドラウプニルか、\\n その複製の力は必要だけどね」",
"399001111_37": "「ならば、そちらも封印だ。\\n この力は、易々と人間が振るって良いものではない」",
"399001111_38": "「そんなに怖い顔をしなくてもわかってるわよん。",
"399001111_39": " ……やっぱりドラウプニルの力が怖い?」",
"399001111_40": "「――いいや、そうではない」",
"399001111_41": "「この世界に生きる者の奮起がなければ、\\n 並行世界の支援がなければ……」",
"399001111_42": "「この世界は滅んでいたかもしれない、それは事実だ。\\n だが……」",
"399001111_43": "「可能性とは本来、神の力添えなしに、\\n 人こそが切り開いていくべきものだからだ」",
"399001111_44": "「……フフッ!\\n ええ、その通りねッ」",
"399001111_45": "「もしも、また不届き者の手に\\n ドラウプニルが渡る<ruby=みらい>未来</ruby>があったとしても――」",
"399001111_46": "「その時はまた、止めるだけのことだ。\\n 今よりもさらに前へと進んだオレたちがな」",
"399001111_47": "「そういうことね。\\n あーしの愛は無限なんだから」",
"399001111_48": "「存外、新しい身体も馴染みがいいワケダ。\\n その時にはついでにまた身体を乗り換えさせてもらうワケダ」",
"399001111_49": "「フ……そうだな。\\n 次があれば、その時は今回のような不覚はとらないと誓おう」",
"399001111_50": "「その時代の人間がなんとかする、\\n とは言わないところが錬金術師ね」",
"399001111_51": "「みんな長生きで頼りになりますねッ!」",
"399001111_52": "「長生き、なんて言葉で表現していいのかしら……」",
"399001111_53": "「それを言うのかい。\\n キミが」",
"399001111_54": "「え?」",
"399001111_55": "「フ。\\n ――独り言さ」",
"399001111_56": "「報告はこのぐらいだな。\\n では、アダム局長」",
"399001111_57": "「よろしく頼むよ、今後もね。",
"399001111_58": " 僕は期待しているんだ、誰よりも人間らしいキミたちに」",
"399001111_59": "「同じ志を持つ人間からの信頼だ。\\n 必ず応えるとも」",
"399001111_60": "「……それは嬉しい言葉だね、僕にとっては」",
"399001111_61": "「キャロルちゃん、キャロルちゃんッ!\\n 帰る前に、ちょっとだけお話してもいいかな」",
"399001111_62": "「立花響か……。",
"399001111_63": " まあ、聞くだけは聞いてやる」",
"399001111_64": "「良かったッ!",
"399001111_65": " キャロルちゃん、あの時、助けてくれてありがとう」",
"399001111_66": "「……礼を言いに来たのか?\\n お前を死地へと走らせたこのオレに」",
"399001111_67": "「キャロルちゃんがわたしと手を繋いでくれたから、\\n 最後まで諦めずに、希望へ手を伸ばすことができたんだよ」",
"399001111_68": "「わたし、身体が崩れていったあの時……確かに怖かった。\\n 怖かったのも、前に進みたかったのも、どっちも本当」",
"399001111_69": "「でも、キャロルちゃんが隣にいてくれた。\\n いつか、繋げなかった手を、わたしと繋いでいてくれた」",
"399001111_70": "「本当に、ありがとう」",
"399001111_71": "「……感謝など必要ない\\n オレはオレ自身のために、適切な術を行使しただけだ」",
"399001111_72": "「またそんな言い方で……」",
"399001111_73": "「……あらゆる可能性の中には、過去・現在・<ruby=みらい>未来</ruby>全てに、\\n オレが奇跡の殺戮者となった特異点があったのだろう」",
"399001111_74": "「キャロルちゃん……\\n ううん、そんなこと、何があったってさせな――」",
"399001111_75": "「そうだ。オレはもう、それを二度と選ばない。\\n だからこそ――」",
"399001111_76": "「――オレの方こそ、お前に礼を言うべきだった。\\n 本当は、もっと早くに」",
"399001111_77": "「え……ッ!?\\n キャロルちゃん、それって……」",
"399001111_78": "「――ッ!!」",
"399001111_79": "「や、やめろッ!\\n 腹の立つ顔で寄ってくるなッ」",
"399001111_80": "「そもそも、お前は何も気にならないのか?\\n ドラウプニルの力を目にしておいて……」",
"399001111_81": "「えっと……すごい聖遺物だとは思ったけど。\\n 何か心配なことがあるの」",
"399001111_82": "「……いや、確証のないことだ。\\n 気づいていないのなら、お前に話しても意味はない」",
"399001111_83": "「ええーッ!?\\n 教えてよッ」",
"399001111_84": "(並行世界の立花響。\\n お前の世界にもオレは存在したと聞く",
"399001111_85": "(並行世界、『可能性』の世界。\\n その存在はオレも予期していた",
"399001111_86": "(しかしドラウプニルという本物を複製する聖遺物を目にして、\\n つの可能性に行き当たった",
"399001111_87": "(ドラウプニルを手にした人間は、誰もその力を使わなかった。\\n アダムはそう言っていた",
"399001111_88": "(だが人間ではなく、\\n 神が使っていたとしたら……",
"399001111_89": "(ドラウプニルの本来の用途は、\\n 数多の並行世界を作り出すことだったのではないか",
"399001111_90": "(だとすればドラウプニルの存在するこの世界が『本物』なのか?\\n それとも観測者たるギャラルホルンの存在する世界か",
"399001111_91": "(もしくは真の意味で『本物』の世界が存在し、\\n 他の世界は全て複製された可能性もある",
"399001111_92": "(オレの世界もお前の世界も『本物』ではない。\\n そんな可能性すら否定できない……",
"399001111_93": "「お、教えてよキャロルちゃん。このままじゃ気になって、\\n ご飯の時間にしかご飯が喉を通らないよッ」",
"399001111_94": "(――だが、大した意味のないことだ。\\n こんな考えは",
"399001111_95": "「お前と食事をとったことなどないが、\\n それでも嘘だとわかるような戯言を言うな」",
"399001111_96": "「ええーッ!?」",
"399001111_97": "(もはやこの世界も、それぞれの並行世界も、\\n 神の手を離れて歩き出している",
"399001111_98": "(それは、全ての世界が――全ての人の想いが\\n 本物だということに他ならないのだから",
"399001111_99": "(オレはこの世界を識ろう。そしてあまねく並行世界を識ろう。\\n それがパパの遺した命題――そして",
"399001111_100": "(オレ自身が、\\n 幾らでも拓いていける可能性なのだから"
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View file

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{
"399001121_0": "「すごい、本当に何もなかったみたいに直ってる……」",
"399001121_1": "「世界の消滅を防ごうと、1人でも傷つく人を減らそうと、\\n 色んな人が戦ってくれていたんだってね」",
"399001121_2": "「うん。\\n どうしていいかわからなくても、みんな必死だった」",
"399001121_3": "「何事もなかったわけじゃない。傷ついた人たちもたくさんいる。\\n それでも……この世界が消えなくてよかった」",
"399001121_4": "「うん……",
"399001121_5": " そうだねッ」",
"399001121_6": "「……あのね、響。\\n ドラウプニルについて聞いて思ったの」",
"399001121_7": "「あらゆる可能性を生み出す力。\\n それって、もしかしたら、死をも覆す力なんじゃないかって」",
"399001121_8": "「……え?」",
"399001121_9": "「もしそうだったとしたら――\\n 響は、その力を使いたいって思う」",
"399001121_10": "「あの力があれば、\\n 全てを取り戻すことができるんじゃないかって思わない」",
"399001121_11": "「…………」",
"399001121_12": "「――ううん。\\n 思わないよ」",
"399001121_13": "「この世界で起きたことは、ドラウプニルの力で起きた悲劇を、\\n ドラウプニルの力がひっくり返しただけ」",
"399001121_14": "「わたしたちがその力を使ったら、\\n きっと、また新しい悲劇を生むだけだ」",
"399001121_15": "「……もし、わたしと戦ってきたみんなが、\\n 今もいてくれたらって思うことはあるよ」",
"399001121_16": "「けど……わたしは、それを願っちゃいけない」",
"399001121_17": "「今のわたしを作ってきたのは、\\n 間違いなく、今まで歩いて来た、わたしだから」",
"399001121_18": "「それを、なかったことになんてしちゃいけないんだ」",
"399001121_19": "「…………」",
"399001121_20": "「だから、ね。\\n エヘヘ……」",
"399001121_21": "「未来のご飯をたくさん増やしてお腹いっぱいになる……。\\n それぐらいの使い道しか、わたしには思いつかないや」",
"399001121_22": "「……フフッ。\\n 増やしたりしなくても、いくらでも用意するよ」",
"399001121_23": "「……そうだよね。\\n 借り物の奇跡で元通りになんて、しちゃいけないんだ」",
"399001121_24": "「それにね。……どれだけ可能性を拾っても、\\n きっと『元通り』にはならないよ」",
"399001121_25": "「え……?」",
"399001121_26": "「戦場に立つんだから、傷つくことも、死んでしまうことも、\\n 覚悟していた。ずっとしてきたよ」",
"399001121_27": "「それでも……自分が分解されていくって、\\n 本当に怖いことだったんだ」",
"399001121_28": "「わたしだけじゃなく、たくさんの人が、\\n 世界が分解されていく光景を見ていたんだよね」",
"399001121_29": "「きっとみんな、すごく怖かったと思う」",
"399001121_30": "「うん……世界が消えていく光景は、\\n 今思い出しても、足がすくむよ」",
"399001121_31": "「絶対に引かない、護るんだって決めていても……\\n それでも怖かった」",
"399001121_32": "「それでも誰かを助けようと立ち上がって、\\n 自分にできることで戦っていた人がいる」",
"399001121_33": "「傷が消えて、街が修復されて……、\\n でも心の中には勇気を出して戦った記憶が残ってるんだよ」",
"399001121_34": "「だからこの世界も、決して元通りじゃないんだ。\\n ――みんなの力で前に進んだんだからッ」",
"399001121_35": "「立ち上がった記憶が、この世界には残ってる……。",
"399001121_36": " そっか、元通りじゃないんだね」",
"399001121_37": "「うんッ!」",
"399001121_38": "「わたしたちも、小さな一歩でも、少しずつでも、\\n 一緒に進んでいこうね」",
"399001121_39": "「もちろんッ!\\n それがわたしたちの信じる、人間の<ruby=みらい>未来</ruby>だから」"
}